JP2017002142A - 活性エネルギー線重合性樹脂組成物 - Google Patents

活性エネルギー線重合性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、優れた接着性を有し、高温耐久性に優れた積層体を形成できる接着剤ないしコート剤等に使用できる活性エネルギー線重合性樹脂組成物の提供を目的とする。
【解決手段】分子内に1個以上のB原子を有するカチオン重合性官能基含有化合物(A)と、分子内にB原子を有しないカチオン重合性官能基含有化合物(B)とを必須成分とする活性エネルギー線重合性樹脂組成物。なお前記分子内に1個以上のB原子を有するカチオン重合性官能基含有化合物(A)と分子内にB原子を有しないカチオン重合性官能基含有化合物(B)との合計100重量%のうち、前記分子内に1個以上のB原子を有するカチオン重合性官能基含有化合物(A)を0.5〜95重量%、前記分子内にB原子を有しないカチオン重合性官能基含有化合物(B)を5〜99.5重量%含むことが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、接着剤やコート剤等に使用できる活性エネルギー線重合性樹脂組成物に関する。
活性エネルギー線重合性樹脂組成物は、重合速度が速く、また一般に無溶剤で使用できるため、作業性に優れ、さらに重合時に必要となるエネルギーが極めて低い等の優れた特性を有している。活性エネルギー線重合性樹脂組成物は、一般的に、ラジカル重合性の活性エネルギー線重合性樹脂組成物や、カチオン重合性の活性エネルギー線重合性樹脂組成物が知られており、接着剤やコート剤等の幅広い分野で使用されている。
近年、ディスプレイなどの表示装置を含めた情報通信機器の発達と汎用化は目覚しいものがある。これらの表示装置においては、コート剤、接着剤、あるいはシーリング剤等の更なる性能向上および生産性の向上が求められており、活性エネルギー線重合性樹脂組成物を用いた様々な提案がされている。このような表示装置には、通常、外部光源からの反射を防ぐための反射防止フィルムや、表示装置の表面の傷付き防止のための保護フィルム(プロテクトフィルム)など、用途に応じて様々なフィルムが使用されており、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)を構成する液晶セル用部材においては、偏光板や位相差フィルムが積層されている。
また、フラットパネルディスプレイ(FPD)は、表示装置として利用するだけではなく、その表面にタッチパネルの機能を設けて、入力装置として利用されることもある。タッチパネルにも、保護フィルム、反射防止フィルムやITO蒸着樹脂フィルムなどが使用されている。
また、表示装置には、液晶層を背面から照らして発光させるバックライト方式が普及し、液晶層の下面側にエッジライト型、直下型等のバックライトユニットが装備されている。かかるエッジライト型のバックライトユニットは、基本的には光源としての線状のランプと、ランプに端部が沿うように配置される方形板状の導光板と、導光板の表面側に配設される光拡散シートと、光拡散シートの表面側に配設されるプリズムシートを備えている。最近では、光源として、冷却極管(CCFL)に代わり、色再現性や省電力に優れた発光ダイオード(LED)が使用されるようになってきたため、より耐熱性や寸法安定性の要求が高まってきている。
このようなフィルムは、接着剤を介して被着体に貼着して光学素子用積層体として表示装置に使用されており、活性エネルギー線重合性接着剤が一形態として使用されている。
表示装置の具体的な例を挙げると、LCDに使用する偏光子は、通常ポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素や染料を吸着させたものを一軸延伸して製造されるが、このPVA系偏光子は、熱や水分により収縮することで偏光性能が低下し易い。そこで、PVA系偏光子の表面に保護フィルムを貼り合せた積層体を偏光板として使用されている。この貼り合わせに使用する接着剤は、従来からポリビニルアルコール系樹脂の水溶液(PVA系水性接着剤)が広く使用されていた。しかし、水性接着剤は塗工後に乾燥工程が必要であるところPVA系偏光子は、耐熱性が低いため低温での長時間の乾燥が必要になり生産効率が悪い。そこで生産効率向上のため水系接着剤に代えて、活性エネルギー線として紫外線を用いたカチオン系活性エネルギー線重合性接着剤が開示されている(特許文献1参照)。
ところで、液晶表示装置は、その用途が拡大するにつれて、さまざまな環境で使用されるようになり、液晶表示装置を構成する偏光板には高い耐熱性が要求されている。例えば、カーナビゲーション等の車載型の液晶表示装置は、LCDテレビとは異なり夏季に過酷な高温雰囲気に晒されるため高度の耐久性(高温耐久性)が必要になる。具体的には高温環境下では接着性が弱いとPVA系偏光子と保護フィルムの熱収縮率の違いにより、PVA系偏光子と保護フィルムとが剥がれる問題があった。
そこで、特許文献2には、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドおよびN−アクリロイルモルホリンを含有する(メタ)アクリロイル基を有する化合物に係る硬化性成分を含有し、硬化後の接着剤層のTgが60℃以上である活性エネルギー線重合性接着剤が開示されている。
また、特許文献3には、水酸基を有しない(メタ)アクリルアミド化合物(A)と、ホウ酸(B)とからなる紫外線を用いた活性エネルギー線重合性樹脂組成物が開示されている。
特開2008−233874号公報 特許4744496号公報 特開2013−194083号公報
しかし、従来の接着剤を使用した偏光板は、より過酷な環境下における耐久性を満足することが出来なかった。
本発明は、優れた接着性を有し、高温耐久性に優れた積層体を形成できる接着剤ないしコート剤等に使用できる活性エネルギー線重合性樹脂組成物の提供を目的とする。
本発明の活性エネルギー線重合性樹脂組成物は、分子内に1個以上のB原子を有するカチオン重合性官能基含有化合物(A)と、分子内にB原子を有しないカチオン重合性官能基含有化合物(B)とを含む。
上記の本発明によれば、組成物が含む分子内に1個以上のB原子を有するカチオン重合性官能基含有化合物(A)は、基材等との密着性向上に寄与しつつ、分子内にB原子を有しないカチオン重合性官能基含有化合物(B)が形成する架橋ネットワークに組み込まれ易いことで、樹脂層の高温耐久性が向上した。
本発明により、優れた接着性を有し、高温耐久性に優れた積層体を形成できる活性エネルギー線重合性樹脂組成物が得られるため、接着剤用途ないしコート剤用途等に好ましく使用できる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
<活性エネルギー線重合性樹脂組成物>
本発明の活性エネルギー線重合性樹脂組成物は、分子内に1個以上のB原子を有するα,β−エチレン性不飽和二重結合基含有化合物(A)と、分子内にB原子を有しないカチオン重合性官能基含有化合物(B)とを含むことを特徴とする。
ここで、「活性エネルギー線」とは、紫外線、可視光線、赤外線、エレクトロンビーム(EB)、及び放射線を含む、化学反応を生じさせるための活性化に必要なエネルギーを提供できる、広義のエネルギー線を意味する。本発明の活性エネルギー線重合性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」ともいう)は、上記活性エネルギー線の照射によって、重合反応が進行し、硬化物(樹脂層ともいう)を形成する。
本発明で用いる分子内に1個以上のB原子を有するカチオン重合性官能基含有化合物(A)(以下、化合物(A)という)は、カチオン重合性官能基を有するモノマー、ないしその重合体、ないしその化合物に、B原子を有する化合物を反応させた反応生成物である。また、化合物(A)は、さらに他の反応性官能基を有してもよい。
化合物(A)の態様の一例は、ホウ素化合物(a1)と、水酸基を有するカチオン重合性官能基化合物(a2)(以下、化合物(a2)ともいう)との反応生成物が好ましい。前記反応生成物を合成する方法は、Boronic acids - Preparation and applications in organic synthesis and medicine 2005 − Dennis G. Hall 等に記載された公知の反応を適宜選択できる。
さらに具体的な反応例としては、例えばホウ素化合物(a1)としてホウ酸を用いた場合、式1の反応でホウ酸エステルを得ることができる。なお、本発明においてホウ酸エステルとはホウ素化合物と水酸基含有化合物が脱水または脱アルコールして得られるホウ素含有化合物の総称である。
式1 H3BO3+nHO−R1 → (OH)3-n−B−(OR1n+nH2
nは1から3の整数、R1はカチオン重合性官能基含有有機残基である。
式1の反応は、脱水しながら反応することが好ましい。脱水により可逆反応が少なくなり、化合物(A)を安定して得ることができる。さらに、脱水量の調整により化合物(A)に含まれるカチオン重合性官能基含有有機残基の置換数を調整することができる。また、反応に際しアルコール、ポリオールを併用することで化合物(A)に含まれるカチオン重合性官能基含有有機残基の置換数を調整することもできる。
化合物(A)を得るための反応条件は、例えば30℃から250℃で10分から10時間、加熱しながら脱水反応または脱アルコール反応をすることが好ましい。また、減圧雰囲気下、脱水反応または脱アルコール反応を行ってもよい。さらに必要に応じて酸や塩基性物質、スズやチタン、ジルコニウム等の金属化合物を触媒として使用してもよい。
ホウ素化合物(a1)は、化合物自体がB−O−Hの結合を1つ以上有するか、または、水の存在下加水分解してB−O−H結合を1つ以上形成し得るホウ素含有化合物であることが好ましい。
ホウ素化合物(a1)は、例えばホウ酸酸化物(例えば、B23)、オルトホウ酸、メタホウ酸、過ホウ酸、次ホウ酸、ボロン酸、ボリン酸等のホウ酸;
ホウ酸とアルコール、またはホウ酸とフェノールとの反応で得られる化合物として、例えばホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリ−n−プロピル、ホウ酸トリ−n−ブチル、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリ−t−アミル、ホウ酸トリフェニル、トリメトキシボロキシン、ホウ酸トリ−2−シクロヘキシルシクロヘキシル、ホウ酸トリエタノールアミン、ホウ酸トリイソプロピルアミン、ホウ酸マンニトール、ホウ酸グリセロール、およびホウ酸トリイソプロパノールアミンなどのホウ酸エステルが挙げられる。
また、ホウ素化合物(a1)には、ボロン酸の誘導体も含まれる。ボロン酸の誘導体は、例えばメチルボロン酸、エチルボロン酸、ブチルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸などの、アルキルまたはアルケニルボロン酸;
例えば、フェニルボロン酸、ナフタレンボロン酸、アントラセンボロン酸などの、アリールボロン酸、1,4−ベンゼンジボロン酸またはこれらのアリール基に任意の置換基を有する、置換型アリールボロン酸が挙げられる。
また、ホウ素化合物(a1)は、他のアミノ含有ボレートおよびホウ酸の第三級アミン塩が好ましい。例えば、2−(β−ジメチルアミノイソプロポキシ)−4,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボロラン、2−(β−ジエチルアミノエトキシ)−4,4,6−トリメチル−1,3,2−ジオキサボリナン、2−(β−ジメチルアミノエトキシ)−4,4,6−トリメチル−1,3,2−ジオキサボリナン、2−(β−ジイソプロピルアミノエトキシ)−1,3,2−ジオキサボナリン、2−(β−ジイソプロピルアミノエトキシ)−4−メチル−1,3,2−ジオキサボリナン、2−(γ−ジメチルアミノプロポキシ)−1,3,6,9−テトラプキサ−2−ボラシクロウンデカン、および2−(β−ジメチルアミノエトキシ)−4,4−(4−ヒドロキシブチル)−1,3,2−ジオキサボリナンが挙げられる。
ホウ素化合物(a1)には、また、それが水性媒体中で容易に解離してホウ酸を形成し得るという条件で、ホウ酸の金属塩(すなわち、ホウ酸金属)も好ましい。ホウ酸金属は、例えばホウ酸カルシウム、ホウ酸カリウム(例えば、メタホウ酸カリウム、テトラホウ酸カリウム、ペンタホウ酸カリウム、ヘキサホウ酸カリウムおよびオクタホウ酸カリウム)、ホウ酸ナトリウム(例えば、過ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、ジホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸ナトリウム、ペンタホウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、ヘキサホウ酸ナトリウムおよびオクタホウ酸ナトリウム)等が挙げられる。また、ホウ酸アンモニウムも好ましい。
これらの中でもホウ素化合物(a1)は、ホウ酸、ホウ酸エステル、ホウ酸の第三級アミン塩が溶解性の点で好ましく、接着性の観点から、ホウ酸がより好ましい。
本ホウ素化合物(a1)の使用量は、化合物(A)の総量を100重量%としたときに、0.1〜50重量%が好ましく、0.5〜40重量%がより好ましい。0.1重量%以上であると化合物(A)と基材との化学結合が増加し、接着力が向上する。また、50重量%以下になると樹脂組成物全体の相溶性や、樹脂組成物の粘度安定性がより向上する。
さらに化合物(A)として、ホウ素原子含有オリゴマーおよびホウ素原子含有重合体等が好ましい。例えば、ホウ素化合物(a1)と水酸基およびカチオン重合性官能基含有重合体とを反応させたホウ素原子含有オリゴマー、ホウ素化合物(a1)とカチオン重合性官能基含有ポリシロキサン重合体とを反応させたホウ素原子含有重合体化合物が挙げられる。
ホウ素原子含有重合体に用いる重合体は、例えば、アクリル重合体、ポリエステル重合体、ポリウレタン重合体、ポリエーテル重合体の少なくとも1種から選択できる。
ホウ素化合物(a1)は、分子内にB−O−H結合を1つ以上有することが好ましい。B−O−H結合を有することで化合物(a2)と反応速度が向上し、化合物(A)の生産効率が高まるため好ましい。
水酸基を有するカチオン重合性官能基含有化合物(a2)とは、水酸基とカチオン重合性官能基を有する化合物である。カチオン重合性官能基としては、環状ヘテロ化合物であるオキシランおよびオキセタニル基、ならびに2個以上の酸素、硫黄、またはリンを含む環状化合物、ならびにビニルエーテル等が好ましい。なお、カチオン重合性官能基のオキシランは、グリシジル基またはエポキシ基ともいう。またオキセタニル基は、オキセタン化合物が有するカチオン重合性官能基を意味する。
水酸基を有するオキシラン含有化合物は、例えば1個以上のオキシランと1個以上の水酸基を有する脂肪族化合物、脂環族化合物、および芳香族化合物等が好ましい。水酸基は、1級、2級、および3級の水酸基、ならびにフェノール性の水酸基が好ましく、脂肪族の1級水酸基がより好ましい。
また水酸基を有するオキシラン含有化合物は、オキシランの数が1〜5が好ましく、水酸基の数が1〜3が好ましい。
水酸基を有するオキシラン含有化合物は、例えばアリルアルコールオキシド、3−ブテン−1−オールオキシド、2−ブテン−1−オールオキシド、2−メチル−2−プロペン−1−オールオキシド、1−メチル−2−プロペン−1−オールオキシド、4−ペンテン−1−オールオキシド、3−ペンテン−1−オールオキシド、2−ペンテン−1−オールオキシド、3−メチル−3−ブテン−1−オールオキシド、3−メチル−2−ブテン−1−オールオキシド、2−メチル−2−ブテン−1−オールオキシド、1,1−ジメチル−2−プロペン−1−オールオキシド、1,2−ジメチル−2−プロペン−1−オールオキシド、5−ヘキセン−1−オールオキシド、6−ヘプテン−1−オールオキシド、7−オクテン−1−オールオキシド、1−オクテン−3−オールオキシド、2−メチル−6−ヘプテン−2−オールオキシド、9−デセン−1−オールオキシド、2,7−オクタジエン−1−オールジオキシド、7−オクテン−1、2−ジオールオキシド、1,7−オクタジエン−3−オールジオキシド、2−メチル−3−ブテン−2−オールオキシド、リナロールオキシド、1,2−デヒドロリナロールオキシド、ゲラニオールジオキシド、ネロールジオキシド、ラバンドゥロールオキシド、シトロネロールオキシド、1,2−ジヒドロリナロールオキシド、デヒドロネロリドールジオキシド、ネロリドールトリオキシド、ファルネソールトリオキシド、ビスアボロールジオキシド、ゲラニリナロールテトラオキシド、ゲラニルゲラニオールテトラオキシド、イソフィトールオキシド、フィトールエポキシド、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールモノグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンモノグリシジルエーテル等の脂肪族化合物等が挙げられる。
水酸基を有するオキシラン含有化合物は、2個以上のオキシラン含有化合物のオキシランを水酸基や酸、塩基性化合物で開環した2級水酸基を有するオキシラン含有化合物も好ましい。オキシランを開環した水酸基を有するオキシラン含有化合物は、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、大豆油変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂などが挙げられる。
水酸基を有するオキセタニル基含有化合物は、例えば3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン等が好ましい。
水酸基を有する2個以上の酸素や硫黄やリンを含む環状へテロ化合物は、例えばグリセリンカーボネート等が好ましい。
水酸基を有するビニルエーテルは、例えばヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシオクチルビニルエーテル、ヒドロキシデシルビニルエーテル、ヒドロキシドデシルビニルエーテル、ヒドロキシオクタデシルビニルエーテル、グリセリルビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、ペンタエリスリトールモノビニルエーテル、ならびにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの繰り返し付加した末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド付加型ビニルエーテル等が挙げられる。
化合物(a2)は、単独または2種類以上を併用できる。
これらの中でも化合物(a2)は、カチオン重合性が良好なオキシラン、およびオキセタニル基含有化合物が好ましい。さらにホウ素化合物(a1)との反応性が良好な点から、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールモノグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンモノグリシジルエーテル、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンがより好ましい。
本発明の樹脂組成物を基材に塗工し、活性エネルギー線を照射することで形成した硬化物(樹脂層)は、化合物(A)のB−O−H結合が基材の表面官能基(例えば水酸基、カルボニル基等)と共有結合や水素結合などの化学結合を形成するので密着性が向上する。さらに化合物(A)のカチオン重合性官能基が化合物(B)と反応することで、ホウ素化合物(a1)が架橋構造に取り込まれ易いため基材と樹脂層は、強固に結合するため非常に優れた密着性(優れた接着性)が得られる。
化合物(A)は、未反応のB−OH結合が残存しているか、あるいは残存せずにホウ素化合物(a1)を完全にカチオン重合性官能基含有有機残基化合物で置換した場合でも、密閉された容器中ではホウ酸エステルとして安定に存在するが、例えば、基材に塗工後は、空気中や基材中の水分と反応しカチオン重合性官能基含有有機残基の一部が分解しB−OH結合が現れる。
化合物(B)は、酸触媒によりカチオン重合する官能基を少なくとも1種以上を含む。
化合物(B)は、活性エネルギー線による反応性の観点から、環状ヘテロ化合物、ビニルエーテルが好ましい。環状ヘテロ化合物は、3員環状エーテル基を1つ以上有するオキシラン化合物(b1)、4員環エーテルであるオキセタニル基含有化合物、2個以上の酸素または酸素以外のヘテロ基を有する化合物、およびビニルエーテル等が好ましい。
が好ましい。
オキシラン化合物(b1)は、例えばオキシラン、メチルオキシラン、フェニルオキシラン、1,2−ジフェニルオキシラン、メチリデンオキシラン、オキシラニルメチル、オキシラニルメタノール、オキシランカルボン酸、(クロロメチル)オキシラン、(ブロモメチル)オキシラン、およびオキシラニルアセトニトリル等の脂肪族系環状エーテル基を有する化合物;
3,4−オキシランシクロヘキシルメチル、3,4−オキシランシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−オキシラン−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−オキシラン−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレンビス(3,4−オキシランシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス(3,4−オキシランシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−オキシラン−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジエチレングリコールビス(3,4−オキシランシクロヘキシルメチルエーテル)、およびジシクロペンタジエンジオキサイド等の脂環式環に結合した三員環状の環状エーテル基を有する化合物等が挙げられる。
オキシラン化合物は、単独または2種類以上を併用できる。
オキシラン化合物(b1)のオキシラン当量は、通常30〜3000g/eq程度が好ましく、50〜1500g/eqがより好ましい。オキシラン当量が30g/eq以上の場合、硬化後のシートの可撓性が優れ、接着力もより向上する。また、3000g/eq以下になると、化合物(A)との相溶性がより向上する。
オキシラン化合物(b1)は、これらの中でもシクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロブタジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン等のシクロアルケン骨格を有するものが好ましい。
オキシラン化合物(b1)は、耐熱性および耐湿熱性がより向上する面で、芳香環を有するオキシラン化合物(b1−1)がさらに好ましい。
芳香環を有するオキシラン化合物(b1−1)は、芳香環由来の置換基を含むことができる。芳香環由来の置換基は、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、ヘミメリテン、プソイドクメン、メシチレン、クメン、プレーニング、イソジュレン、ジュレン、シメン、およびメリテン等が挙げられる。
前記芳香環は、環に置換基を有する芳香環も好ましい。例えばフェニル、フェニレン、トリル、トリレノ、ベンジル、ベンジリデン、ベンジリジン、キシリル、キシリレン、フタリリデン、イソフタリリデン、テレフタリリデン、フェネチリデン、フェネチリジン、スチリル、スチリリデン、as−プソイドクミル、v−プソイドクミル、s−プソイドクミル、メシチル、クメニル、α−クミル、ヒドロシンナミル、シンナミル、シンナミリデン、シンナミリジン、ジュリル、ジュリレン、チミル、カルバクリル 、クミニル、クミニリデン、ネオフィル、キセニル、ベンズヒドリル、ベンズヒドリリデン、トリチル等が挙げられる。
芳香環は、ベンゼン以外の環を構成する炭素数が3以上の[4n+2]アヌレンが挙げられる。
また、ビフェニル、トリフェニルメタン等の芳香族多環化合物;
ペンタレン、インデン、インダン、ニンヒドリン、ナフタレン、テトラリン、デカリン、サポタレン、カダレン、オイダレン、ナフトール、メナジオール、ゴシポール、ナフトキノン、ラウソン、ユグロン、メナジオン、プルンバギン、フチオコール、エキノクロムA、アルカンニン、シコニン、アセトナフトン、ナフトエ酸、ナフトイル、ナフタル酸、ナフタラート、アセトメナフトン、ナフチオン酸、ナフチオナート、ナフチオニル、ダンシル、クロセイン酸、フラビアン酸、クロモトロプ酸、ネオクペロン、アズレン、カマズレン、グアイアズレン、ヘプタレン、オクタレン、プルプロガリン等の炭素縮合二環系化合物:
as−インダセン、s−インダセン、as−ヒドロインダセン、s−ヒドロインダセン、ビフェニレン、アセナフチレン、アセナフテン、アセナフトキノン、フルオレン、フェナレン、ペリナフテン、フェナントレン、フェナントリル、フェナントリリウム、フェナントリリデン、フェナントリレン、フェナントロール、モルホール 、フェナントロン、フェナントラキノン、ピマントレン、レテン、アントラセン、アントリル、アントリリウム、アントリリデン、アントリレン、アントロール、アントラノール 、アントラロビン、アントラリン、ジトラノール、アントロイル、アントロン、ビアントロン、アントラキノン、アントラキノニル、アントラキノニレン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、クリサジン、アントラガロール、プルプリン、フラボプルプリン、アントラプルプリン、キナリザリン、テクトキノン、クリソファノール、クリソファン酸、エモジン、レイン、ケルメス酸、カルミン酸、ジアントリミド、アントリミド、クリサンミン酸、コルヒチン等の炭素縮合三環系化合物;
トリンデン、トリンダン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセフェナントレン、アセアントリレン、アセアントレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、テトラフェン、テトラセン、ナフタセン、ルブレン、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、プレイアデン、ベンゾアントロン等の炭素縮合四環系化合物;
ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン、テトラフェニレン、コラントリレン、コラントレン等の炭素縮合五環系化合物;
芳香環を有するオキシラン化合物(b1−1)は、例えば耐熱性と接着力がより優れる面から、ビスフェノールAのグリシジルエーテル、ビスフェノールFのグリシジルエーテル、1,3−フェニレンビス(メチレン)ビス(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボキシレート)、および1,3−ビス{(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−イルメトキシ)メチル}ベンゼンが好ましい。
4員環エーテルであるオキセタニル基含有化合物は、例えば3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、ジ(1−エチル−3−オキセタニル)メチルエーテル、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、フェノールノボラックオキセタン、および3−エチル−{(3−トリエトキシシリルプロポキシ)メチル}オキセタン等が挙げられる。
オキセタニル基含有化合物は、単独または2種類以上を併用できる。
2個以上の酸素または酸素以外のヘテロ基を有する化合物は、環状エステル化合物、環状ホルマール化合物、環状カーボネート化合物、含フッ素環状化合物等が好ましい。環状エステル化合物は、ラクトンが好ましい。また環状ホルマール化合物は、ジオキソラン、ジオキサンおよびトリオキサン等がより好ましい。
環状カーボネートは、グリコールとジアルキルカーボネートとの反応によって得られるポリマーを解重合する方法(特開平2−56356号公報参照)、または対応するアルキレンオキシドと二酸化炭素の反応によって合成することができる。環状カーボネートは、5員環,6員環または7員環以上の構造を有することが好ましい。
5員環は、例えば1,3−ジオキソラン等が挙げられる。6員環は、例えば1,3−ジオキサン等が挙げられる。7員環は、1,3−ジオキセパンに含まれるが、2位の炭素がカルボニル炭素のため、環状カーボネートとして独立に分類される。その具体例は、エチレンカーボネート(1,3−ジオキソラン−2−オン)、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、4‐ペンチル‐1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ブチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−(イソプロポキシメチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヘキシル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヘキシル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4,5,5−テトラメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−オクチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ノニル−5−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−デシル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ビスメチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4,5,5−テトラエチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ヘキサヒドロ−1,3−ベンゾジオキソール−2−オン、4−イソプロピル−4−メチル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、ビニレンカーボネート、アリルエチレンカーボネート、アリルコハク酸無水物、4−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イルメチルカルバモイルオキシメチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン等の5員環カーボネート;
炭酸トリメチレン(1,3−ジオキサン−2−オン)、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、炭酸2,2−ジメトキシプロパン−1,3−ジイル、5−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン(ネオペンチルグリコールカーボネート)、5−メチル−5−プロピル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−ヒドロキシメチル−5−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4−フェニル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−(ヒドロキシメチル)−5−エチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチレン−1,3−ジオキサン−2−オン、5,5−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−シアノ−5−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イルメトキシ)−5−エチル−1,3−ジオキサン−2−オン等の6員環カーボネート;
炭酸テトラメチレン(1,3−ジオキセパン−2−オン)、5−メチル−1,3−ジオキセパン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキセパン−2−オン、5,5−ジメチル−1,3−ジオキセパン−2−オン、5−フェニル−1,3−ジオキセパン−2−オン、4−フェニル−1,3−ジオキセパン−2−オン、4−[1−(フェニルチオ)シクロヘキシル]−1,3−ジオキセパン−2−オン、5,5′−(エチレンビスチオビストリメチレン)ビス(1,3−ジオキセパン−2−オン)等の7員環カーボネートが挙げられる。これらの中でもエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、グリセリンカーボネート等の5員環カーボネートは、活性エネルギー線の反応性が良好であるため好ましい。
また、ビニルエーテルとしては、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−クロロビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、イソペンチルビニルエーテル、tert−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、イソヘキシルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ヘプチルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル等のビニルエーテルが挙げられる。
化合物(B)は、カチオン重合性に優れる面から、3,4−オキシランシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−オキシランシクロヘキシルメチル)アジペート、ビスフェノールAのグリシジルエーテル、ビスフェノールFのグリシジルエーテルが好ましい。
本発明において化合物(A)と化合物(B)の配合比率は、化合物(A)と化合物(A)との合計100重量%のうち、化合物(A)を0.5〜95重量%、化合物(B)を5〜99.5重量%含有することが好ましく、化合物(A)を1〜80重量%、化合物(B)を20〜99重量%を含有することがより好ましく、化合物(A)を2〜60重量%、化合物(B)を40〜98重量%含有することがさらに好ましい。化合物(A)が0.5%より多いとB−OH結合と基材の化学結合により密着性が向上する。95重量%より少ないと粘度が低くなり、塗工適正に優れる。
本発明の樹脂組成物は、さらにα,β−エチレン性不飽和二重結合基含有化合物(C)(以下、化合物(C)という)を含んでも良い。
樹脂組成物が化合物(C)を含むと樹脂組成物の粘度調整、活性エネルギー線反応性の調整が容易になる。なお、本発明では、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイルオキシ」、及び「(メタ)アリル」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、「アクリロイルオキシ及び/又はメタクリロイルオキシ」、及び「アリル及び/又はメタリル」を表すものとする。
化合物(C)は、水酸基含有α,β−エチレン性不飽和二重結合基含有化合物(c1)(以下、化合物(c1)という)、分子内に水酸基を有せず、かつ、1個以上の環状構造を有するα,β−エチレン性不飽和二重結合基含化合物(c2)(以下、化合物(c2)という)、化合物(c1)および化合物(c2)以外のα,β−エチレン性不飽和二重結合基含化合物(c3)(以下、化合物(c3)という)が好ましい。
化合物(c1)は、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸エチル−α−(ヒドロキシメチル)等の単官能(メタ)アクリル酸グリセロール;
(メタ)アクリル酸グリシジルラウリン酸エステル等の脂肪酸エステル系(メタ)アクリル酸エステル;
化合物(c1)に対してε−カプロラクトンの開環付加させることで分子末端に水酸基付与した(メタ)アクリル酸エステル;
化合物(c1)に対してエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを繰り返し付加したアルキレンオキサイド付加(メタ)アクリル酸エステル等;の脂肪族(メタ)アクリル酸エステル;
ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシデシルビニルエーテル等のアルキレンオキサイドの繰り返し付加した末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド付加系ビニルエーテル等の脂肪族ビニルエーテル;
(メタ)アリルアルコール、イソプロペニルアルコール、ジメチル(メタ)アリルアルコール、ヒドロキシエチル(メタ)アリルエーテル;
エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの繰り返し付加した末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド付加系(メタ)アリルエーテル等の脂肪族(メタ)アリルアルコール、ならびにその(メタ)アリルエーテル;
プロペンジオール、ブテンジオール、ジ(メタ)アクリル酸グルセロール等の複数の水酸基を有するα,β−エチレン性不飽和二重結合基含有化合物。
N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド。
ビニルアルコール等の水酸基とビニル基を有する単量体類等が挙げられる。
化合物(c1)は、これらの中でも基材との接着性の観点から(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリル酸エステル、ε−カプロラクトン1〜2mol付加(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の炭素数2〜18であるα,β−エチレン性不飽和二重結合基含有化合物が好ましい。
化合物(c2)は、例えば水添ビフェノールAのジアクリレート、3,3−ジシクロプロピルアクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−プロピル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、1,3−アダマンチルジオールジ(メタ)アクリレート、1,3,5−アダマンチルトリ(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1,5−アダマンチルジ(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メトキシスチレン、3−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン、4−t−ブトキシ−α−メチルスチレン、4−(2−エチル−2−プロポキシ)スチレン、4−(2−エチル−2−プロポキシ)−α−メチルスチレン、4−(1−エトキシエトキシ)スチレン、4−(1−エトキシエトキシ)−α−メチルスチレン、1−ブチルスチレン等が挙げられる。
化合物(c2)は、これらの中でも耐熱性向上の観点から、水添ビフェノールAのジアクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートが好ましい。
化合物(c3)は、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、および(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸(メタ)アリル、(メタ)アクリル酸1−ブテニル、(メタ)アクリル酸3−クロル2−プロペニル、(メタ)アクリル酸2−プロペニルラクチル、(メタ)アクリル酸3,7−ジメチルオクタ−6−エン−1−イル、(メタ)アクリル酸ロジニル、(メタ)アクリル酸シンナミル、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、および(メタ)アクリル酸ビニル等の他の不飽和基を含有する(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、および(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸パーフルオロアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸(メトキシカルボニル)メチル、(メタ)アクリル酸2−(エトキシカルボニルオキシ)ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−(プロポキシカルボニルオキシ)エチル、および(メタ)アクリル酸2−(オクチルオキシカルボニルオキシ)ブチル等のカルボニル基を1つ有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸2−オキソブタノイルエチル、(メタ)アクリル酸3−オキソブタノイルプロピル、(メタ)アクリル酸2,3−ジ(オキソブタノイル)ブチル、(メタ)アクリル酸2,3−ジ(オキソブタノイル)ヘキシル、および(メタ)アクリル酸2,3−ジ(オキソブタノイル)オクチル等のカルボニル基を2つ有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸3−スルホプロピル、および(メタ)アクリル酸スルホステアリル等のスルホニル基含有の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
(メタ)アクリロイルオキシジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート等のスルホニル基含有の(メタ)アクリル酸エステルの金属塩、またはそのアンモニウム塩;
(メタ)アクリル酸アシッドホスホオキシエチル、および(メタ)アクリル酸アシッドホスホオキシエチレンオキサイド(エチレンオキサイド付加モル数:4〜10)等のホスホン酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸3−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ブトキシエチル、および(メタ)アクリル酸4−ブトキシエチル等のアルコキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸のアルキレンオキサイド付加物等のアルキレンオキサイド含有(メタ)アクリル酸誘導体;
ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸2,2−ジメチルプロピルジオール、ジ(メタ)アクリル酸ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、ジ(メタ)アクリル酸2,5−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,2−オクタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、およびジ(メタ)アクリル酸2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール等の2官能(メタ)アクリル酸エステル;
トリ(メタ)アクリル酸1,2,3−プロパントリオール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールヘキサン、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールオクタン、およびトリ(メタ)アクリル酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン等の3官能(メタ)アクリル酸エステル類;
テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、テトラ(メタ)アクリル酸2,2−ビス(ヒドロキシメチル)1,3−プロパンジオール、およびヘプタ(メタ)アクリル酸ジ2,2−ビス(ヒドロキシメチル)1,3−プロパンジオールポリアルキレンオキサイド等の多官能(メタ)アクリル酸エステル;
ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、およびステアリン酸ビニル等のカルボン酸のビニルエステル;
アセト酢酸ビニル、アセトプロピオン酸ビニル、2−アセトアセトキシヘキシルビニルエーテル、および2−アセトアセトキシオクチルビニルエーテル等のアシル基を有する脂肪族ビニル化合物;
エチルビニルエーテル、2−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエーテル、iso−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−アミルビニルエーテル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、およびステアリルビニルエーテル等の脂肪族ビニルエーテル;
パーフルオロビニル、パーフルオロプロペン、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、およびフッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニル系化合物;
ビニルスルホン酸、2−プロペニルスルホン酸、2−メチル−2−プロペニルスルホン酸、およびビニル硫酸等のアルケニル基含有スルホン酸;
ビニルスルホン酸アンモニウム、ビニルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸カリウム、およびナトリウムビニルアルキルスルホサクシネート等の金属塩、またはそのアンモニウム塩;
2−メチル−2−プロペニルスルホン酸アンモニウム、および2−メチル−2−プロペニルスルホン酸ナトリウム等の2−メチル−2−プロペニルスルホン酸の金属塩、またはそのアンモニウム塩;
(メタ)アクリロニトリル、イタコンニトリル、2−プロペンニトリル、および(メタ)アクリル酸2−シアノエチルなどのニトリル基含有α,β−エチレン性不飽和二重結合基含有化合物;
酢酸(メタ)アリル、プロピオン酸(メタ)アリル、およびピバリン酸ビニル等の飽和カルボン酸の(メタ)アリルエステル;
グリシジルシンナマート、アリルグリシジルエーテル、および1,3−ブタジエンモノオキシラン等のグリシジル基含有ビニルエステル;
アセト酢酸(メタ)アリル、アセトプロピオン酸(メタ)アリル、プロパノイル酢酸(メタ)アリル、およびブチリル酢酸(メタ)アリル等のアシル基を有する脂肪族(メタ)アリル化合物;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、およびアリルクロライド等のビニルエステル;
アレン、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、および2−メチル−1,3−ブタジエン等のジエン;
cis−コハク酸ジアリル、2−メチリデンコハク酸ジアリル、(E)−ブタ−2−エン酸ビニル、(Z)−オクタデカ−9−エン酸ビニル、および(9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−9,12,15−トリエン酸ビニル等の多官能の不飽和結合を含有するα,β−エチレン性不飽和二重結合基含有化合物;
エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、2−メチルプロペン、1−テトラデセン、1−トリアコンテン、1−オクタトリアコンテン、および1−テトラコンテン等が挙げられる。
化合物(C)は、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、およびポリエステル(メタ)アクリレート等のオリゴマーも好ましい。
エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ化合物のエポキシ基と、カルボキシル基および水酸基の少なくとも1種を含むモノマーとを反応させて得たエポキシ基を有しない(メタ)アクリレートである。
エポキシ化合物は、例えばビスフェノ−ル型エポキシ化合物、アリルアルコール型エポキシ化合物等の脂肪族エポキシ化合物;フェノ−ル型エポキシ化合物、芳香族エポキシの水添物、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、分子内にウレタン結合と(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。ウレタン(メタ)アクリレートは、市販品では、例えば日本化薬株式会社製のKAYARAD UXF−4002、KAYARAD UXF−3301、KAYARAD UX−2201、KAYARAD UX−2301、KAYARAD UX−6101、KAYARAD UX−5003D等が挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートは、分子内にエステル結合と(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。ポリエステル(メタ)アクリレートは、市販品を使用できる。例えばダイセル・サイテック社製のEBECRYL 450、EBECRYL 657、EBECRYL 800、EBECRYL 810、EBECRYL 811、EBECRYL 812、EBECRYL 1830、EBECRYL 846、EBECRYL 851、EBECRYL 851、EBECRYL 1870等が挙げられる。
化合物(C)は、単独または2種類以上を併用できる。
本発明の樹脂組成物は、さらに光カチオン重合開始剤を含有することが好ましい。光カチオン重合開始剤は、公知の化合物を使用できる。市販品を挙げると、例えばUVACURE1590(ダイセル・サイテック社製)、CPI−110P(サンアプロ社製)等のスルホニウム塩、IRGACURE250(BASF社製)、WPI−113(和光純薬社製)、Rp−2074(ロ−ディア・ジャパン製)等のヨ−ドニウム塩が挙げられる。
光カチオン重合開始剤は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物100重量%中に0.1〜10重量%配合することが好ましく、0.5〜5重量%がより好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、さらに光ラジカル重合開始剤を含有しても良い。光ラジカル重合開始剤は、公知の化合物を使用できる。市販品を挙げると、例えば、イルガキュア−184,907,651,1700,1800,819,369,261、DAROCUR−TPO(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ダロキュア−1173(メルク社製)、エザキュア−KIP150、TZT(日本シイベルヘグナ−社製)、カヤキュアBMS、カヤキュアDMBI、(日本化薬製)等が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、さらに光増感剤、アミン系触媒、リン系触媒、フィラ、帯電防止剤、老化防止剤、酸化防止剤、粘着付与剤、アンチブロッキング剤、消泡剤、可塑剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等を含有できる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、これまで説明した原料を配合し、攪拌混合することで作製できる。
本発明の活性エネルギー線重合性樹脂組成物は、コ−ト剤または接着剤として使用することが好ましい。樹脂組成物は、基材の片面(または両面)に塗工し、次いで活性エネルギー線を照射を行い重合(硬化)することで樹脂層(用途により接着剤層、または塗膜ともいう)を形成することが好ましい。
樹脂層の厚さは、0.1〜6μmが好ましく、0.1μm〜3μmがより好ましい。樹脂層の厚さを0.1μm以上にすると密着性や接着力がより向上する。また3μmを超えても特に不具合は無いが、コスト面でデメリットがある。
前記塗工は、公知の塗工装置を使用できる。例えば、マイヤ−バ−、アプリケ−タ−、刷毛、スプレ−、ロ−ラ−、グラビアコ−タ−、ダイコ−タ−、マイクログラビアコ−タ−、リップコ−タ−、コンマコ−タ−、カ−テンコ−タ−、ナイフコ−タ−、リバ−スコ−タ−、スピンコ−タ−等が挙げられる。
硬化に使用する活性エネルギー線は、光カチオン重合開始剤が通常反応可能な紫外線を含む波長が好ましく、150〜550nmがより好ましい。活性エネルギー線の光源は、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェ−ブ励起水銀灯、LEDランプ、キセノンランプ、およびメタルハライドランプ等が挙げられる。
活性エネルギー線の照射強度は、10〜500mW/cm2が好ましい。照射強度と照射時間の積として表される積算照射量は、10〜5000mJ/cm2が好ましく、30〜4000mJ/cm2がより好ましい。
本発明の接着剤は、必須成分として活性エネルギー線重合性樹脂組成物を含む。
本発明の塗工シートは、基材と、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から形成してなる樹脂層とを備えており、ディスプレイやタッチパネル等の情報通信機器等の光学フィルムに使用することが好ましい。
本発明の積層体は、活性エネルギー線重合性樹脂組成物を含む接着剤から形成した樹脂層と、基材とを備えている。積層体なので基材は、少なくとも第一の基材と第二の基材を通常備えている。
接着剤の活性エネルギー線重合反応は、樹脂組成物の塗工時、あるいは積層する際、さらには積層した後に活性エネルギー線を照射して進行するが、基材を積層した後に活性エネルギー線を照射して重合反応を進めることが好ましい。この際、上記基材は、活性エネルギー線の照射によって重合反応を進行させるために、活性エネルギー線を透過し易い材料から構成する必要がある。
基材は、透明フィルム、または透明ガラス板が好ましい。第一の基材に透明フィルムまたは透明ガラス板を使用すれば、第二の基材として活性エネルギー線が透過し難い基材、例えば、木材、金属板、プラスチック板、紙加工品等を使用しても良い。
つまり樹脂層への活性エネルギー線照射は、基材越しに照射されるため第一の基材と第二の基材のうち、一方が透明フィルムである必要がある。
本発明の積層体では、基材として、フィルム状基材を使用することが好ましい。フィルム状基材は、
例えばセロハン、各種プラスチックフィルム、および紙等が挙げられる。なかでも、透明な各種プラスチックフィルムの使用が好ましい。また、フィルム状基材は、フィルムが透明であれば、単層または、複数の基材を積層した多層構造でも良いを有するものであっても良い。
本発明のコート剤は、必須成分として活性エネルギー線重合性樹脂組成物を含む。
本発明のシートは、活性エネルギー線重合性樹脂組成物から形成した樹脂層と、基材とを備えている。
活性エネルギー線重合性樹脂組成物をコ−ト剤として用いる場合、活性エネルギー線重合反応は、樹脂組成物を片面、あるいは両面の塗工時に活性エネルギー線を照射して進行するが、積層した後に活性エネルギー線を照射して重合反応を進めることが好ましい。この際、上記基材は、木材、金属板、プラスチック板、フィルム状基材、ガラス板、紙加工品等であってよく、これらを特に制限なく使用することができる。
以下、本発明の積層体のより具体的な実施形態について、基材として透明フィルムを使用した場合を例にして説明する。
一方、本発明の樹脂組成物を接着剤として使用して構成される積層体は、代表的に、透明フィルム/接着層/透明フィルム、又は透明フィルム/接着層/透明フィルム/接着層/透明フィルムといった、複数の透明フィルムを積層して得られるシ−ト状の多層フィルムである。また、別の形態において、積層体は、透明フィルム/接着層/透明フィルム/接着層/透明フィルム/接着層/透明フィルムといったシ−ト状の多層フィルムを、ガラス又は光学成形体といった他の光学部材に固定化した構成を有してもよい。上記積層体は、概樹脂組成物を、フィルムの片面、あるいは両面から活性エネルギー線で重合硬化することによって、接着層を硬化させることによって得ることができる。
本発明の樹脂組成物をコ−ト剤として使用して構成される積層体は、代表的に、透明フィルム/コ−ト層、又はコ−ト層/透明フィルム/コ−ト層の構造を有する、シ−ト状のフィルムである。このような積層体は、透明フィルムの少なくとも一方の主面に樹脂組成物を塗工し、該樹脂組成物を重合硬化させて、コ−ト層を形成することによって得ることができる。
基材として透明フィルムを使用した場合、上記積層体は、光学用途が好ましい。
透明フィルムは、各種プラスチックフィルム又はプラスチックシ−トとも称される。透明フィルムは、例えばポリビニルアルコールフィルム、ポリトリアセチルセルロースフィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系フィルム;ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム;ポリカーボネート系フィルム、ポリノルボルネン系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリアクリル系フィルム、ポリフェニレンサルファイド系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリビニル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリイミド系フィルム、並びにポリオキシラン系フィルム等が挙げられる。
透明フィルムの厚さは、適宜決定することができるが、一般には、強度又は取扱性等の作業性、および薄層性などの観点から、1〜500μmであり、1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましい。光学用途においては、透明フィルムの厚さは、5〜150μmの範囲が特に好適である。
本発明の積層体の実施態様の一例、光学素子用積層体は、透明フィルムとして、主に光学用途にて用いられる光学フィルムを使用することが好ましい。
光学フィルムは、例えばハ−ドコ−トフィルム、帯電防止コ−トフィルム、防眩コ−トフィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射防止フィルム、光拡散フィルム、輝度向上フィルム、プリズムフィルム(プリズムシ−トともいう)、加飾フィルム(タッチパネル用充填シ−トを意味する)、および導光フィルム(導光板ともいう)等が挙げられる。
偏光フィルムは、偏光板とも呼ばれ、ポリビニルアルコール系偏光子の両面を2枚のポリアセチルセルロース系フィルムであるポリトリアセチルセルロース系保護フィルム(以下、「TACフィルム」という)や、ポリビニルアルコール系偏光子の片面や両面をポリノルボルネン系フィルムであるポリシクロオレフィン系フィルム、ポリアクリル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリエステル系フィルム等接着剤を介して積層した多層構造のシ−ト状の光学素子用積層体である。
本発明の樹脂組成物を接着剤として使用して、液晶表示装置、PDPモジュ−ル、タッチパネルモジュ−ル、および有機ELモジュ−ル等の積層体を形成できる。
本発明の偏光板は、保護フィルムと、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から形成される樹脂層と、偏光子とを備えている。この偏光板には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を接着剤として使用することが好ましい。
活性エネルギー線硬化性接着剤を使用した偏光板(偏光フィルム)は、より具体的には、以下のようにして得ることができる。
(I)第1の透明フィルムである保護フィルムの一方の面に、活性エネルギー線硬化性接着剤を塗工し、第1の樹脂層(接着剤層)を形成し、
透明フィルムである第2の保護フィルムの一方の面に、活性エネルギー線硬化性接着剤を塗工し、第2の樹脂層(接着剤層)を形成し、
次いで、ポリビニルアルコール系偏光子の各面に、第1の樹脂層(接着剤層)および第2の樹脂層(接着剤層)面を、同時に/または順番に重ね合わせた後、活性エネルギー線を照射し、第1の樹脂層(接着剤層)および第2の樹脂層(接着剤層)を重合硬化することによって製造する方法。
(II)ポリビニルアルコール系偏光子の一方の面に、活性エネルギー線硬化性接着剤を塗工し、第1の樹脂層を形成し、形成された第1の樹脂層の表面を透明フィルムである第1の保護フィルムで覆い、次いでポリビニルアルコール系偏光子の他方の面に、活性エネルギー線硬化性接着剤を塗工し、第2の樹脂層を形成し、形成された第2の樹脂層の表面を第2の保護フィルムで覆い、活性エネルギー線を照射し、第1の樹脂層および第2の樹脂層を重合硬化することによって製造する方法。
(III)第1の透明フィルムである保護フィルムとポリビニルアルコール系偏光子を重ねた端部および、ポリビニルアルコール系偏光子の第1の保護フィルムがない面に重ねた第2の保護フィルムの端部に活性エネルギー線硬化性接着剤をたらした後、ロ−ルの間を通過させ各層間に接着剤を広げる。次に活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性接着剤を重合硬化させることによって製造する方法等があるが、特に限定するものではない。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお「部」は「重量部」であり、「%」は「重量%」を表す。
[ポリビニルアルコール系偏光子]の製造例
ホウ酸20重量部、ヨウ素0.2重量部、ヨウ化カリウム0.5重量部を水480重量部に溶解させて染色液を調整した。この染色液にPVAフィルム(ビニロンフィルム#40、アイセロ社製)を、30秒浸漬した後、フィルムを一方向に2倍に延伸し、乾燥させて、膜厚30μmのPVA偏光子を得た。
<化合物(A)の製造>
[合成例1]
冷却管、分留管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、オルトホウ酸15部、ジグリセロールトリグリシジルエーテル285部を仕込み、窒素雰囲気下で反応を開始した。脱水しながら180℃まで昇温し2時間保持し、透明な化合物(A)を得た。なお、オルトホウ酸が全て3置換体になった場合の理論脱水量は13.1gであり、実際の脱水量は12.9gであった。
[合成例2〜6、8〜11]
化合物(a1)、(a2)、反応条件を表1のように変えた以外は、上記同様に製造し、化合物(A)を得た。なお、合成例2および4の理論脱水量はフェニルボロン酸が全て2置換体になった場合の理論脱水量である。また、合成例9および10の理論脱水量はオルトホウ酸のOH基より3―エチル―3―ヒドロキシメチルオキセタン( 東亞合成社製 アロンオキセタンOXT−101)のOH基のほうが少ないため、3―エチル―3―ヒドロキシメチルオキセタンが全てホウ酸エステルになった場合の理論脱水量である。
<化合物(a1)>
3BO3:オルトホウ酸
PhB:フェニルボロン酸
<化合物(a2)>
DGTGE:ジグリセロールトリグリシジルエーテル
OXT101:3―エチル―3―ヒドロキシメチルオキセタン( 東亞合成社製 アロンオキセタンOXT−101)
<カチオン重合性官能基を有しない水酸基含有化合物>
n−HeOH:ノルマルヘキシルアルコール
[合成例7]
冷却管、分留管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、オルトホウ酸15部、OXT101 285部を仕込み、60℃まで昇温し反応を行った。真空ポンプで30torrまで減圧し脱水しながら60℃でし2時間保持し、透明な化合物(A)を得た。なお、オルトホウ酸が全て3置換体になった場合の理論脱水量は13.1gであり、実際の脱水量は12.8gであった。
得られた化合物(A)について、ホウ素系化合物(a1)のカチオン重合性官能基置換数を以下の方法に従って求め、表1に結果を示した。
≪置換体の生成比率の測定≫
化合物(A)約5mgを重クロロホルム0.6gに溶解し、室温条件にて、積算回数10秒x64回の条件で、NMR測定を行った。測定はすべて、日本電子社製、JNM−LA400を用いて1H−NMR測定をおこなった。B−O−Hのプロトンピーク(2.0ppm)とB−O−CHのプロトンピーク(3.82〜4.32ppm)の積分値比率を求め、比率を計算した。
Figure 2017002142
Figure 2017002142
以下実施例で使用する原料の略称を以下に記載する。
<化合物(B)>
2021P:3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P)
EX−212L:1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、デナコールEX−212L(低塩素品))
OXT−101:3‐エチル‐3‐ヒドロキシメチルオキセタン(東亞合成社製、アロンオキセタンOXT−101)
<化合物(C)>
4HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート
DCPA:ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学社製、イトアクリレートDCP−A)
M−315:イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ及びトリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM−315)
<光カチオン重合開始剤>
CPI−100P:p-フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムPF6塩(サンアプロ社製、CPI−110P)
<光ラジカル重合開始剤>
TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイト゛(BASF社製、ルシチンTPO)
[実施例1]
遮光された容量300mLのガラス瓶に、2021Pを45部、EX−212Lを30部、OXT−101を15部、合成例1で得られた化合物(A)10部、CPI−110Pを2部加え、十分に攪拌と脱泡を行い、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
<塗工シートAの製造例>
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を使用し、以下の塗工シートAを作成した。
透明フィルムとして、ポリアセチルセルロース系フィルム(富士フィルム社製、商品名「フジタック:80μm」、紫外線吸収剤含有ポリトリアセチルセルロース系フィルム)を用いた。透明フィルム表面を300W・分/m2の放電量でコロナ処理を行った後、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をワイヤ−バ−コ−タ−を用いて塗工後の膜厚が2μmとなるように塗工し、樹脂層を有する積層体を形成した。積層体を80℃−2分乾燥し、溶媒を除去した後、透明フィルムがブリキ板に接するように、積層体の四方をセロハンテ−プで、ブリキ板に固定した。UV照射装置(東芝社製 高圧水銀灯)内を乾燥窒素で置換後、波長365nmの最大照度500mW/cm2、積算光量1000mJ/cm2の紫外線を樹脂層側から照射して塗工シートAを作製した。なお
得られた塗工シートAについて、密着力、耐湿熱性、耐熱性を以下の方法に従って求め、結果を同様に表3に示した。
《密着力》
JIS K5600−5−6:1999に従い、碁盤目剥離試験を実施した。100マス中の剥離したマス数を4段階評価した。
(評価基準)
◎:0マス(極めて良好)
○:1〜10マス(良好)
△:11〜30マス(使用可)
×:31マス以上(使用不可)
《耐湿熱性》
積層体を、50mm×40mmの大きさに裁断し、85℃−85%RHの条件下で1000時間暴露した後、上記密着力と同様にJIS K5600−5−6:1999に従い、碁盤目剥離試験を実施した。100マス中の剥離したマス数を4段階評価した。
(評価基準)
◎:0〜10マス(極めて良好)
○:11〜30マス(良好)
△:31〜60マス(使用可)
×:61マス以上(使用不可)
《耐熱性》
積層体を、50mm×40mmの大きさに裁断し、100℃−dryの条件下で1000時間暴露した後、上記密着力と同様にJIS K5600−5−6:1999に従い、碁盤目剥離試験を実施した。100マス中の剥離したマス数を4段階評価した。
(評価基準)
◎:0〜10マス(極めて良好)
○:11〜30マス(良好)
△:31〜60マス(使用可)
×:61マス以上(使用不可)
<積層体Bの製造例>
透明フィルム(1)として、富士フィルム社製の紫外線吸収剤含有ポリトリアセチルセルロース系フィルム:商品名「フジタック:80μm」(厚み80μm)を用い、透明フィルム(2)として、富士フィルムビジネスサプライ社製の紫外線吸収剤を含有しないポリトリアセチルセルロース系フィルム:商品名「TAC50μ」(厚み50μm)を使用した。透明フィルム(1)、(2)の片側の表面に300W・min/m2の放電量でコロナ処理を行い、その後1時間以内に、活性エネルギー線硬化性組成物を、各フィルムのコロナ処理面上に、ワイヤ−バ−コ−タ−を用いて厚みが4μmとなるように塗工し、被膜を形成した。80℃−2分乾燥し、溶媒を除去した後、前記透明フィルム(1)、(2)に形成した樹脂層との間にポリビニルアルコール系偏光子を挟み、透明フィルム(1)/樹脂層/PVA系偏光子/樹脂層/透明フィルム(2)からなる積層体を得た。透明フィルム(1)がブリキ板に接するように、この積層体の四方をセロハンテ−プで固定し、ブリキ板に固定した。
活性エネルギー線照射装置(東芝社製 高圧水銀灯)で最大照度500mW/cm2、積算光量1000mJ/cm2の紫外線を透明フィルム(2)側から照射して、積層体B(偏光板)を作成した。
得られた積層体Bについて、接着力、耐湿熱性、耐熱性を以下の方法に従って求め、結果を同様に表3に示した。
《接着力》
密着力は、JIS K6 854−4 接着剤−剥離接着強さ試験方法−第4部:浮動ロ−ラ−法に準拠して測定した。
即ち、得られた積層体Bを、25mm×150mmのサイズにカッタ−を用いて裁断して測定用サンプルとした。サンプルの片面に両面粘着テ−プ(ト−ヨ−ケム社製DF8712S)を貼り付け、ラミネ−タを用いて金属板上に接着させて、偏光板と金属板との測定用の積層体を得た。測定用の積層体には、透明フィルムと偏光子の間に予め剥離用のキッカケを設けておき、この測定用の積層体を23℃、相対湿度50%の条件下で、300mm/分の速度で90°の角度で引き剥がし、剥離力を測定した。この際、ポリビニルアルコール系偏光子と透明フィルム(1)、およびポリビニルアルコール系偏光子と透明フィルム(2)との双方の剥離力を測定した。
この剥離力を接着力として4段階で評価した。◎、○、△の評価であれば、実用上、問題のないレベルである。
◎:剥離不可、あるいは偏光板破壊 (極めて良好)
○:剥離力が2.0(N/25mm)以上 (良好)
△:剥離力が1.0(N/25mm)以上2.0(N/25mm)未満 (使用可)
×:剥離力が1.0(N/25mm)未満 (使用不可)
《耐湿熱性》
積層体を、50mm×40mmの大きさに裁断し、85℃−85%RHの条件下で1000時間暴露した後、上記接着力と同様ににJIS K6 854−4に従い、剥離力を測定した。。
◎:剥離力が2.0(N/25mm)以上 (極めて良好)
○:剥離力が1.0(N/25mm)以上2.0(N/25mm)未満 (良好)
△:剥離力が0.5(N/25mm)以上1.0(N/25mm)未満 (使用可)
×:剥離力が0.5(N/25mm)未満 (使用不可)
《耐熱性》
積層体を、50mm×40mmの大きさに裁断し、100℃−dryの条件下で1000時間暴露した後、上記接着力と同様ににJIS K6 854−4に従い、剥離力を測定した。。
◎:剥離力が2.0(N/25mm)以上 (極めて良好)
○:剥離力が1.0(N/25mm)以上2.0(N/25mm)未満 (良好)
△:剥離力が0.5(N/25mm)以上1.0(N/25mm)未満 (使用可)
×:剥離力が0.5(N/25mm)未満 (使用不可)
[実施例2〜17、比較例1,3,4]
実施例1と同様に遮光された容量300mLのガラス瓶に、表3,4に記載の組成で各原料を加え、十分に攪拌と脱泡を行い、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用い、塗工シートA、積層体Bを作製後、密着力、接着力、耐湿熱性、耐熱性を評価し表3および表4に示した。
[比較例2]
遮光された容量300mLのガラス瓶に、2021Pを45部、EX−212Lを30部、OXT−101を24.5部、オルトホウ酸0.5部、CPI−110Pを10部を加え、十分に攪拌と脱泡を行い、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用い、塗工シートA、積層体Bを作製後、密着力、接着力、耐湿熱性、耐熱性を評価し表4に示した。
本発明の活性エネルギー線重合性樹脂組成物を用いた塗工シート、積層体(実施例1〜17)は、比較例1〜5の積層体よりも、密着性、接着性、耐湿熱性、耐熱性に優れることが明らかとなった。
Figure 2017002142
Figure 2017002142
Figure 2017002142

Claims (8)

  1. 分子内に1個以上のB原子を有するカチオン重合性官能基含有化合物(A)と、
    分子内にB原子を有しないカチオン重合性官能基含有化合物(B)とを含む、活性エネルギー線重合性樹脂組成物。
  2. 前記分子内に1個以上のB原子を有するカチオン重合性官能基含有化合物(A)と分子内にB原子を有しないカチオン重合性官能基含有化合物(B)との合計100重量%のうち、前記分子内に1個以上のB原子を有するカチオン重合性官能基含有化合物(A)を0.5〜95重量%、前記分子内にB原子を有しないカチオン重合性官能基含有化合物(B)を5〜99.5重量%含む、請求項1記載の活性エネルギー線重合性樹脂組成物。
  3. 前記分子内に1個以上のB原子を有するカチオン重合性官能基含有化合物(A)は、ホウ素化合物(a1)と水酸基を有するカチオン重合性官能基含有化合物(a2)との反応生成物である、請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. 前記ホウ素化合物(a1)は、B−O−H結合を1つ以上有する化合物である、請求項1〜3いずれか1項に記載の活性エネルギー線重合性樹脂組成物。
  5. 前記カチオン重合性官能基が、オキシランおよびオキセタニル基からなる群より選択される1種以上である、請求項1〜4いずれか1項に記載の活性エネルギー線重合性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5いずれか1項に記載の活性エネルギー線重合性樹脂組成物を含む、接着剤。
  7. 請求項1〜5いずれか1項に記載の活性エネルギー線重合性樹脂組成物を含む、コート剤。
  8. 請求項1〜5いずれか1項に記載の活性エネルギー線重合性樹脂組成物から形成した樹脂層と、基材とを備えた、積層体。
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