JP2017001971A - ビニル芳香族モノマーの重合を抑制するための組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】重合抑制効果が向上したビニル芳香族モノマーの重合抑制方法の提供。
【解決手段】一又は複数の実施形態において、ビニル芳香族モノマーの製造、精製、貯蔵、及び輸送工程からなる群から選択される少なくとも1つの工程に、α−ヒドロキシベンゾキノンを溶媒に溶解した状態で添加することを含む、ビニル芳香族モノマーの重合を抑制する方法に関する。
【選択図】なし
【解決手段】一又は複数の実施形態において、ビニル芳香族モノマーの製造、精製、貯蔵、及び輸送工程からなる群から選択される少なくとも1つの工程に、α−ヒドロキシベンゾキノンを溶媒に溶解した状態で添加することを含む、ビニル芳香族モノマーの重合を抑制する方法に関する。
【選択図】なし
Description
本開示は、ビニル芳香族モノマーの重合を抑制するための組成物、その組成物を用いたビニル芳香族モノマーの精製方法、及びその組成物を用いたビニル芳香族モノマーの重合を抑制する方法に関する。
スチレン及びα−メチルスチレンのようなビニル芳香族モノマーは、高温下に重合しやすい性質を有する。一方、このようなビニル芳香族モノマーを製造、精製等する際に、高温下に晒される場合がある。このような高温下において、ビニル芳香族モノマーが重合してポリマーが生成すると、ビニル芳香族モノマーの収率が低下するのみならず、製造、精製等工程において用いる装置に汚れとして付着するため、生産効率が著しく低下するという問題点がある。
このような重合を防ぐため、従来から様々な化合物が重合抑制剤として用いられている。重合抑制剤としては、重合禁止剤と重合遅延剤の2種類に分類される。前記重合禁止剤は、重合を完全に停止することが可能であるが、特定の時間を経過すると、重合を停止する活性が失活してしまう。前記重合遅延剤は、重合禁止剤ほど完全ではないが、重合を抑制することができる。ただし、時間の経過と共に、重合を抑制する能力は徐々に低下していく。このような性質を鑑み、通常は、重合を防ぐために、重合禁止剤と重合遅延剤の2種類を併用している。
従来、ビニル芳香族モノマー用重合遅延剤として知られている化合物の中で、4,6−ジニトロ−2−sec−ブチルフェノール(DNBP)に代表されるニトロフェノール化合物は、非常に毒性が強いことが知られている。例えば、DNBPは、毒物及び劇物取締法では、医薬用外毒物に指定されている。
また、スチレン類の重合抑制方法として、スチレン類の製造、精製、貯蔵、あるいは輸送工程に、6−非置換−2−ヒドロキシ−p−ベンゾキノン類を添加するスチレン類の重合抑制方法が知られている(特許文献1)。
本開示は、重合抑制効果が向上したビニル芳香族モノマーの重合抑制方法を提供する。
本開示は、一又は複数の実施形態において、ビニル芳香族モノマーの製造、精製、貯蔵、及び輸送工程からなる群から選択される少なくとも1つの工程に、α−ヒドロキシベンゾキノンを溶媒に溶解した状態で添加することを含む、ビニル芳香族モノマーの重合を抑制する方法に関する。
本開示は、一又は複数の実施形態において、ビニル芳香族モノマーを含有する混合物を加熱下に蒸留してビニル芳香族モノマーを単離する工程を含むビニル芳香族モノマーの精製方法であって、前記単離工程において、前記混合物にα−ヒドロキシベンゾキノンを溶媒に溶解した状態で添加することを含む、ビニル芳香族モノマーの精製方法に関する。
本開示は、一又は複数の実施形態において、α−ヒドロキシベンゾキノンを含む、溶媒に溶解してビニル芳香族モノマーの重合抑制剤とするための組成物に関する。
本開示は、一又は複数の実施形態において、効率よくビニル芳香族モノマーの重合を抑制しうるという利点がある。
本開示は、加熱下におけるビニル芳香族モノマー(スチレン)の重合が、α−ヒドロキシベンゾキノン溶液を添加することによって、α−ヒドロキシベンゾキノンの固体を添加する場合に比べて効果的に抑制できるという知見に基づく。
α−ヒドロキシベンゾキノンを溶液状態で使用することでビニル芳香族モノマーの重合を抑制する効果が向上するメカニズムの詳細は明らかではないが以下のように推測される。すなわち、溶液化したα−ヒドロキシベンゾキノンは自己カップリング(下記参照)が形成される。α−ヒドロキシベンゾキノンの自己カップリングは、重合抑制に効果的である。α−ヒドロキシベンゾキノンの自己カップリングは、固体状態でスチレン溶液に添加されるよりも、溶液化された状態でスチレン溶液に添加されたほうが、効率よく形成される。その結果、α−ヒドロキシベンゾキノンが溶液状態で使用されることでビニル芳香族モノマーの重合が効果的に抑制されると考えられる。但し、本開示はこのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
[α−ヒドロキシベンゾキノン]
本開示におけるα−ヒドロキシベンゾキノンとは、α−ヒドロキシ基を有するベンゾキノンをいい、一又は複数の実施形態において、少なくとも1つのヒドロキシ基を有する1,4−ベンゾキノンをいう。α−ヒドロキシベンゾキノンとしては、一又は複数の実施形態において、テトラヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン(BQTH)、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン(DHBQ)、2−ヒドロキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2−ヒドロキシ−5−メトキシ−1,4−ベンゾキノン、2−ヒドロキシ−5−タ−シャリーブチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン、及びこれらの2又は2以上の組み合わせが挙げられる。
本開示におけるα−ヒドロキシベンゾキノンとは、α−ヒドロキシ基を有するベンゾキノンをいい、一又は複数の実施形態において、少なくとも1つのヒドロキシ基を有する1,4−ベンゾキノンをいう。α−ヒドロキシベンゾキノンとしては、一又は複数の実施形態において、テトラヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン(BQTH)、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン(DHBQ)、2−ヒドロキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2−ヒドロキシ−5−メトキシ−1,4−ベンゾキノン、2−ヒドロキシ−5−タ−シャリーブチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン、及びこれらの2又は2以上の組み合わせが挙げられる。
[ビニル芳香族モノマー]
本開示におけるビニル芳香族モノマーとは、芳香族化合物にビニル基が置換した化合物をいい、一又は複数の実施形態において、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンが挙げられる。
本開示におけるビニル芳香族モノマーとは、芳香族化合物にビニル基が置換した化合物をいい、一又は複数の実施形態において、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンが挙げられる。
[溶媒]
α−ヒドロキシベンゾキノン溶液の溶媒としては、ビニル芳香族モノマーの製造、精製、又は使用に影響が大きくなく、かつ、α−ヒドロキシベンゾキノンを必要量溶解できるものが好ましい。該溶媒は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、グリコールエーテルが挙げられる。1種類のグリコールエーテルでもよく、2種類以上が混合されたグリコールエーテルでもよい。グリコールエーテルとしては、エチレングリコールエーテル及びプロピレングリコールエーテルが挙げられる。
α−ヒドロキシベンゾキノン溶液の溶媒としては、ビニル芳香族モノマーの製造、精製、又は使用に影響が大きくなく、かつ、α−ヒドロキシベンゾキノンを必要量溶解できるものが好ましい。該溶媒は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、グリコールエーテルが挙げられる。1種類のグリコールエーテルでもよく、2種類以上が混合されたグリコールエーテルでもよい。グリコールエーテルとしては、エチレングリコールエーテル及びプロピレングリコールエーテルが挙げられる。
エチレングリコールエーテルとしては、一又は複数の実施形態において、下記式(1)で表されるものが挙げられる。プロピレングリコールエーテルとしては、一又は複数の実施形態において、下記式(2)で表されるものが挙げられる。
R1-O-(CH2CH2O)n-R2 (1)
R1-O-(CH2CH(CH3)O)n-R2 (2)
式(1)及び(2)において、nは、1、2、3、又は4〜12であり、R1は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、アリル基、フェニル基、又はベンジル基であり、R2は、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、アリル基、フェニル基、又はベンジル基である。
R1-O-(CH2CH2O)n-R2 (1)
R1-O-(CH2CH(CH3)O)n-R2 (2)
式(1)及び(2)において、nは、1、2、3、又は4〜12であり、R1は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、アリル基、フェニル基、又はベンジル基であり、R2は、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、アリル基、フェニル基、又はベンジル基である。
α−ヒドロキシベンゾキノン溶液の溶媒としては、ビニル芳香族モノマーの製造、精製、又は使用に影響が大きくなく、かつ、α−ヒドロキシベンゾキノンを必要量溶解できるという観点から、エチレングリコール又はジエチレングリコールのモノC1-4アルキルエーテルが好ましく、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(MDG)、又はトリエチレングリコールモノメチルエーテルがより好ましい。
[ビニル芳香族モノマーの重合を抑制する方法]
本開示は、一態様において、ビニル芳香族モノマーの製造、精製、貯蔵、及び輸送工程からなる群から選択される少なくとも1つの工程に、α−ヒドロキシベンゾキノンを溶媒に溶解した状態で添加することを含む、ビニル芳香族モノマーの重合を抑制する方法(以下、「重合抑制方法」ともいう。)に関する。本開示において、α−ヒドロキシベンゾキノンを溶媒に溶解した状態で添加することとは、一又は複数の実施形態において、α−ヒドロキシベンゾキノン溶液を添加することである。
本開示は、一態様において、ビニル芳香族モノマーの製造、精製、貯蔵、及び輸送工程からなる群から選択される少なくとも1つの工程に、α−ヒドロキシベンゾキノンを溶媒に溶解した状態で添加することを含む、ビニル芳香族モノマーの重合を抑制する方法(以下、「重合抑制方法」ともいう。)に関する。本開示において、α−ヒドロキシベンゾキノンを溶媒に溶解した状態で添加することとは、一又は複数の実施形態において、α−ヒドロキシベンゾキノン溶液を添加することである。
α−ヒドロキシベンゾキノンを溶液状態で添加する場所は、特に限定されるものではないが、ビニル芳香族モノマーの蒸留塔、反応塔の塔頂部、塔底部、貯蔵タンクなど重合反応が生起する場所、ファウリング(汚れ)の発生場所、あるいはそれより上流の工程が挙げられる。前記上流の工程としては、例えばスチレンでは、一般にエチルベンゼンの脱水素反応によってスチレンが製造され、製造されたスチレンと未反応エチルベンゼンを連続的に蒸留分離して精製されるため、エチルベンゼン脱水素後の蒸留塔群等の工程があげられる。添加方法としては、特定箇所に一括添加する、あるいはいくつかの箇所に分けて多点添加するなどの方法があり、適宜選択される。
本開示にかかる重合抑制方法におけるα−ヒドロキシベンゾキノンの添加量としては、ビニル芳香族モノマーの溶液又は雰囲気が約100℃程度の温度の場合、一又は複数の実施形態において、ビニル芳香族モノマーに対して10ppm以上、50ppm以上、100ppm以上、300ppm以上、又は500ppm以上が挙げられる。該α−ヒドロキシベンゾキノンの添加量は、経済性の観点から1000ppm以下が挙げられる。
本開示にかかる重合抑制方法におけるα−ヒドロキシベンゾキノンの添加量としては、ビニル芳香族モノマーの溶液又は雰囲気が約120℃程度(例えば、120℃±3℃)の温度の場合、一又は複数の実施形態において、ビニル芳香族モノマーに対して500ppm以上、700ppm以上、900ppm以上、又は1000ppm以上であって、好ましくは、ビニル芳香族モノマーに対して1000ppmを超える又は1100ppm以上が挙げられる。該α−ヒドロキシベンゾキノンの添加量は、経済性の観点から1500ppm以下が挙げられる。
上述の添加量は、α−ヒドロキシベンゾキノンが2種類又はそれ以上の組み合わせである場合、その合計量を指す。本開示の一又は複数の実施形態において、α−ヒドロキシベンゾキノンは、少なくとも2種類の組み合わせであってもよく、テトラヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン(BQTH)と2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン(DHBQ)との組合せが挙げられる。2種類のα−ヒドロキシベンゾキノンを組み合わせる場合、相乗効果を得る観点から、質量比で2:8〜8:2、3:7〜7:3、4:6〜6:4、又は、5:5となることが好ましい。
よって、本開示にかかる重合抑制方法は、一又は複数の実施形態において、ビニル芳香族モノマーの製造、精製、貯蔵、及び輸送工程からなる群から選択される少なくとも1つの工程において、ビニル芳香族モノマーの溶液又は雰囲気が120℃±3℃又はそれ以上となる工程がある場合に、その工程又はその前に、α−ヒドロキシベンゾキノンを溶液状態でビニル芳香族モノマーに対して1000ppmを超える又は1100ppm以上となるように添加することを含む、ビニル芳香族モノマーの重合を抑制する方法である。
本開示にかかる重合抑制方法は、一又は複数の実施形態において、α−ヒドロキシベンゾキノン溶液の効果を損なわない範囲で他の公知の重合禁止剤及び/又は重合遅延剤を併用してもよい。
[ビニル芳香族モノマーの精製方法]
本開示は、一態様において、ビニル芳香族モノマーを含有する混合物を加熱下に蒸留してビニル芳香族モノマーを単離する工程を含むビニル芳香族モノマーの精製方法であって、前記単離工程において、前記混合物にα−ヒドロキシベンゾキノンを溶媒に溶解した状態で添加することを含む、ビニル芳香族モノマーの精製方法に関する。
本開示は、一態様において、ビニル芳香族モノマーを含有する混合物を加熱下に蒸留してビニル芳香族モノマーを単離する工程を含むビニル芳香族モノマーの精製方法であって、前記単離工程において、前記混合物にα−ヒドロキシベンゾキノンを溶媒に溶解した状態で添加することを含む、ビニル芳香族モノマーの精製方法に関する。
本開示にかかる精製方法において、ビニル芳香族モノマー、α−ヒドロキシベンゾキノン、溶媒及び、α−ヒドロキシベンゾキノンの添加量等は上述のとおりである。
本開示にかかる精製方法において、ビニル芳香族モノマーを含有する混合物を蒸留する地点の上流で、連続的又は断続的に、溶媒に溶解したα−ヒドロキシベンゾキノンを添加することができる。あるいは、前記精製方法において、ビニル芳香族モノマーを含有する混合物を蒸留する地点より前の異なる導入地点において、連続的又は断続的に、溶媒に溶解したα−ヒドロキシベンゾキノンを添加してもよい。
[組成物]
本開示は、一態様において、α−ヒドロキシベンゾキノンを含む、溶媒に溶解してビニル芳香族モノマーの重合抑制剤とするための組成物に関する。本開示は、その他の態様において、α−ヒドロキシベンゾキノン及び溶媒を含む、ビニル芳香族モノマーの重合抑制のための組成物に関する。本開示にかかるこれらの組成物は、一又は複数の実施形態において、上述した「ビニル芳香族モノマーの重合を抑制する方法」及び/又は「ビニル芳香族モノマーの精製方法」に使用するための組成物である。
本開示は、一態様において、α−ヒドロキシベンゾキノンを含む、溶媒に溶解してビニル芳香族モノマーの重合抑制剤とするための組成物に関する。本開示は、その他の態様において、α−ヒドロキシベンゾキノン及び溶媒を含む、ビニル芳香族モノマーの重合抑制のための組成物に関する。本開示にかかるこれらの組成物は、一又は複数の実施形態において、上述した「ビニル芳香族モノマーの重合を抑制する方法」及び/又は「ビニル芳香族モノマーの精製方法」に使用するための組成物である。
本開示にかかる組成物において、ビニル芳香族モノマー、α−ヒドロキシベンゾキノン、及び、溶媒、並びに、使用方法は上述のとおりである。
本開示にかかる組成物は、溶媒に溶解された溶液の形態であってもよく、固体(例えば、粉体)の形態であってもよい。
本発明はさらに以下の一又は複数の実施形態に関する。
<1> ビニル芳香族モノマーの製造、精製、貯蔵、及び輸送工程からなる群から選択される少なくとも1つの工程に、α−ヒドロキシベンゾキノンを溶媒に溶解した状態で添加することを含む、ビニル芳香族モノマーの重合を抑制する方法。
<2> 前記溶媒が、グリコールエーテルである、<1>の方法。
<3> ビニル芳香族モノマーを含有する混合物を加熱下に蒸留してビニル芳香族モノマーを単離する工程を含むビニル芳香族モノマーの精製方法であって、前記単離工程において、前記混合物にα−ヒドロキシベンゾキノンを溶媒に溶解した状態で添加することを含む、ビニル芳香族モノマーの精製方法。
<4> 前記溶媒が、グリコールエーテルである、<3>の精製方法。
<5> α−ヒドロキシベンゾキノンを含む、溶媒に溶解してビニル芳香族モノマーの重合抑制剤とするための組成物。
<6> α−ヒドロキシベンゾキノン及び溶媒を含む、ビニル芳香族モノマーの重合抑制のための組成物。
<7> 前記溶媒が、グリコールエーテルである、<5>又は<6>に記載の組成物。
<1> ビニル芳香族モノマーの製造、精製、貯蔵、及び輸送工程からなる群から選択される少なくとも1つの工程に、α−ヒドロキシベンゾキノンを溶媒に溶解した状態で添加することを含む、ビニル芳香族モノマーの重合を抑制する方法。
<2> 前記溶媒が、グリコールエーテルである、<1>の方法。
<3> ビニル芳香族モノマーを含有する混合物を加熱下に蒸留してビニル芳香族モノマーを単離する工程を含むビニル芳香族モノマーの精製方法であって、前記単離工程において、前記混合物にα−ヒドロキシベンゾキノンを溶媒に溶解した状態で添加することを含む、ビニル芳香族モノマーの精製方法。
<4> 前記溶媒が、グリコールエーテルである、<3>の精製方法。
<5> α−ヒドロキシベンゾキノンを含む、溶媒に溶解してビニル芳香族モノマーの重合抑制剤とするための組成物。
<6> α−ヒドロキシベンゾキノン及び溶媒を含む、ビニル芳香族モノマーの重合抑制のための組成物。
<7> 前記溶媒が、グリコールエーテルである、<5>又は<6>に記載の組成物。
以下、実施例を用いて本開示をさらに説明する。ただし、本開示は以下の実施例に限定して解釈されない。
[α−ヒドロキシベンゾキノン]
α−ヒドロキシベンゾキノンとして下記を使用した。
テトラヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン(以下、BQTHと表す)
2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン(以下、DHBQと表す)
なお、α−ヒドロキシ基を持たない対照例として、1,4−ナフトキノン(以下、NQIと表す)を使用した。
α−ヒドロキシベンゾキノンとして下記を使用した。
テトラヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン(以下、BQTHと表す)
2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン(以下、DHBQと表す)
なお、α−ヒドロキシ基を持たない対照例として、1,4−ナフトキノン(以下、NQIと表す)を使用した。
[溶媒]
α−ヒドロキシベンゾキノンを溶解させる溶媒としてジエチレングリコールモノメチルエーテル(以下、MDGと表す)を使用した。
α−ヒドロキシベンゾキノンを溶解させる溶媒としてジエチレングリコールモノメチルエーテル(以下、MDGと表す)を使用した。
[ビニル芳香族モノマー]
ビニル芳香族モノマーとして、市販のスチレンを、活性アルミナ(たとえばSigma−Aldrich社製Inhibitor remover)充填カラムを通過させて安定剤(tert−ブチルカテコール)を除去した後、以下の実験で用いた。
ビニル芳香族モノマーとして、市販のスチレンを、活性アルミナ(たとえばSigma−Aldrich社製Inhibitor remover)充填カラムを通過させて安定剤(tert−ブチルカテコール)を除去した後、以下の実験で用いた。
[ポリマー形成実験]
温度コントローラーつき熱電対、コンデンサー及びガス吹き込み用ガラスチューブを備えた100mL三つ首フラスコに、スチレン(100g)及び重合抑制剤を加えたスチレン溶液を配置した。次に、窒素ガスを100ml/分の速度で前記スチレン溶液中に注入(ガスパージング)した。このガスパージングは以下のサンプリングが終了するまで継続した。あらかじめ40℃に調整したオイルバスに前記三つ首フラスコを浸漬させ、前記スチレン溶液の温度が40分間で120℃に到達するように加熱した。
温度コントローラーつき熱電対、コンデンサー及びガス吹き込み用ガラスチューブを備えた100mL三つ首フラスコに、スチレン(100g)及び重合抑制剤を加えたスチレン溶液を配置した。次に、窒素ガスを100ml/分の速度で前記スチレン溶液中に注入(ガスパージング)した。このガスパージングは以下のサンプリングが終了するまで継続した。あらかじめ40℃に調整したオイルバスに前記三つ首フラスコを浸漬させ、前記スチレン溶液の温度が40分間で120℃に到達するように加熱した。
前記スチレン溶液の温度が120℃へ到達後、所定の時間にコンデンサー上部からテフロン(登録商標)チューブを挿入し、約0.5mLのスチレン溶液を三つ首フラスコ中の前記スチレン溶液から採取した。
[ポリマー量の測定方法]
採取したスチレン溶液をトルエンで適当に希釈した。その希釈液へメタノールを添加することにより生じた濁度を測定した。この結果と、予め標準ポリスチレンにより作成した濃度と濁度との検量線とを用いて、採取したスチレン溶液におけるポリマー濃度(ppm)を求めた。
採取したスチレン溶液をトルエンで適当に希釈した。その希釈液へメタノールを添加することにより生じた濁度を測定した。この結果と、予め標準ポリスチレンにより作成した濃度と濁度との検量線とを用いて、採取したスチレン溶液におけるポリマー濃度(ppm)を求めた。
[実施例1]
重合抑制剤としてスチレンに対して1200ppmのBQTHをMDGに溶解した溶液を使用してポリマー形成実験を行った。
比較例1として、スチレンに対して1200ppmのBQTHを粉末の状態で添加した。
これらの結果を下記表1及び図1に示す。
重合抑制剤としてスチレンに対して1200ppmのBQTHをMDGに溶解した溶液を使用してポリマー形成実験を行った。
比較例1として、スチレンに対して1200ppmのBQTHを粉末の状態で添加した。
これらの結果を下記表1及び図1に示す。
[実施例2]
重合抑制剤としてスチレンに対して600ppmのDHBQをMDGに溶解した溶液を使用してポリマー形成実験を行った。
比較例2として、スチレンに対して600ppmのDHBQを粉末の状態で添加した。
これらの結果を下記表1及び図2に示す。
重合抑制剤としてスチレンに対して600ppmのDHBQをMDGに溶解した溶液を使用してポリマー形成実験を行った。
比較例2として、スチレンに対して600ppmのDHBQを粉末の状態で添加した。
これらの結果を下記表1及び図2に示す。
[実施例3]
重合抑制剤としてスチレンに対して600ppmのBQTH及び600ppmのDHBQをMDGに溶解した溶液を使用してポリマー形成実験を行った。
参考例3として、スチレンに対して600ppmのBQTH及び600ppmを粉末の状態で添加した。
これらの結果を下記表1及び図3に示す。
重合抑制剤としてスチレンに対して600ppmのBQTH及び600ppmのDHBQをMDGに溶解した溶液を使用してポリマー形成実験を行った。
参考例3として、スチレンに対して600ppmのBQTH及び600ppmを粉末の状態で添加した。
これらの結果を下記表1及び図3に示す。
[比較例4及び5]
重合抑制剤として、スチレンに対して1200ppmのNQIをMDGに溶解した溶液で(比較例4)及び粉末の状態で(比較例5)添加してポリマー形成実験を行った。
これらの結果を下記表1及び図4に示す。
重合抑制剤として、スチレンに対して1200ppmのNQIをMDGに溶解した溶液で(比較例4)及び粉末の状態で(比較例5)添加してポリマー形成実験を行った。
これらの結果を下記表1及び図4に示す。
表1並びに図1及び図2に示すとおり、α−ヒドロキシベンゾキノンは、溶液状態で添加するほうが(実施例1及び2)、粉末状態で添加する場合に比べて(比較例1及び2)より強くかつ、長期にわたる重合抑制効果を発揮した。
表1及び図3に示すとおり、2種類のα−ヒドロキシベンゾキノン(BQTH及びDHBQ)を組み合わせところ、同濃度(1200 ppm)のBQTH(実施例1)と比較して顕著な重合抑制効果を示した(参考例3及び実施例3)。さらに、2種類のα−ヒドロキシベンゾキノン(BQTH及びDHBQ)を組み合わせた場合であっても、溶液の状態で添加すると(実施例3)、粉末状態で添加した場合(参考例3)に比べ、よりいっそうの重合抑制効果を示した。
表1及び図4に示すとおり、α−ヒドロキシ基を有さないナフトキノンでは溶液と粉末とで(比較例4と5とで)重合抑制効果に差がなかった。
表1及び図3に示すとおり、2種類のα−ヒドロキシベンゾキノン(BQTH及びDHBQ)を組み合わせところ、同濃度(1200 ppm)のBQTH(実施例1)と比較して顕著な重合抑制効果を示した(参考例3及び実施例3)。さらに、2種類のα−ヒドロキシベンゾキノン(BQTH及びDHBQ)を組み合わせた場合であっても、溶液の状態で添加すると(実施例3)、粉末状態で添加した場合(参考例3)に比べ、よりいっそうの重合抑制効果を示した。
表1及び図4に示すとおり、α−ヒドロキシ基を有さないナフトキノンでは溶液と粉末とで(比較例4と5とで)重合抑制効果に差がなかった。
Claims (7)
- ビニル芳香族モノマーの製造、精製、貯蔵、及び輸送工程からなる群から選択される少なくとも1つの工程に、α−ヒドロキシベンゾキノンを溶媒に溶解した状態で添加することを含む、ビニル芳香族モノマーの重合を抑制する方法。
- 前記溶媒が、グリコールエーテルである、請求項1の方法。
- ビニル芳香族モノマーを含有する混合物を加熱下に蒸留してビニル芳香族モノマーを単離する工程を含むビニル芳香族モノマーの精製方法であって、
前記単離工程において、前記混合物にα−ヒドロキシベンゾキノンを溶媒に溶解した状態で添加することを含む、ビニル芳香族モノマーの精製方法。 - 前記溶媒が、グリコールエーテルである、請求項3の精製方法。
- α−ヒドロキシベンゾキノンを含む、溶媒に溶解してビニル芳香族モノマーの重合抑制剤とするための組成物。
- α−ヒドロキシベンゾキノン及び溶媒を含む、ビニル芳香族モノマーの重合抑制のための組成物。
- 前記溶媒が、グリコールエーテルである、請求項5又は6に記載の組成物。
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