JP2017000120A - マンノース抽出方法 - Google Patents
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ベイマツ(米松)のオガコを105±5℃に保温した乾燥機内で一晩乾燥した。乾燥済みのオガコを金属製トレイに入れてマッフル炉内に載置した。炉内に窒素ガスを供給して不活性雰囲気とし、所定の昇温速度により350℃まで昇温し当該温度を60分間維持しオガコを焼成した。冷却後、マッフル炉から焼成されたオガコを取り出して粉砕機によりおよそ0.18mm以下に粉砕し粉砕炭化物とした。
ベイマツ(米松)由来の塩化亜鉛賦活活性炭(フタムラ化学株式会社製,比表面積1700,平均粒径39μm)の10gに、11%発煙硫酸100mLを添加して攪拌し、液温80℃を維持しながら10時間かけてスルホ化した。スルホ化後冷却して100℃の蒸留水により洗浄し、洗浄後の蒸留水中の硫酸イオンが検出限界以下になるまで洗浄を繰り返して木質固体酸触媒(C2)を得た。
前出の木質固体酸触媒(C2)に蒸留水を添加してスラリー濃度を重量5%とした。当該スラリーをオートクレーブにより150℃、10時間加熱した。冷却してスラリーを濾過し濾液を除去した。最終的に、スラリー濃度1重量%としたときの濾液中の硫酸イオンが検出限界以下になるまで当該操作を繰り返して木質固体酸触媒(C3)を得た。
ベイマツ(米松)由来の塩化亜鉛賦活活性炭(フタムラ化学株式会社製,比表面積1600,平均粒径1.11mm)の10gに、11%発煙硫酸100mLを添加して攪拌し、液温80℃を維持しながら10時間かけてスルホ化した。スルホ化後冷却して100℃の蒸留水により洗浄し、洗浄後の蒸留水中の硫酸イオンが検出限界以下になるまで洗浄を繰り返して粒状(顆粒状)の木質固体酸触媒(C4)を得た。
前出の木質固体酸触媒(C4)に蒸留水を添加してスラリー濃度を重量5%とした。当該スラリーをオートクレーブにより150℃、10時間加熱した。冷却してスラリーを濾過し濾液を除去した。最終的に、スラリー濃度1重量%としたときの濾液中の硫酸イオンが検出限界以下になるまで当該操作を繰り返して粒状(顆粒状)の木質固体酸触媒(C5)を得た。
ベイマツ(米松)のオガコを105±5℃に保温した乾燥機内で一晩乾燥し、オガコを粉砕機により0.075mm以下に粉砕した。粉砕後のオガコ300gに、DIC株式会社製,フェノール樹脂バインダ(品名「フェノライト J−325」)120gと適量の蒸留水を添加し、これらを混練し木質混練物を得た。この混練物をペレタイザにより直径2mm×長さ10mmの円筒ペレット状に成形して保形物を得た。
レゾール型フェノール樹脂(リグナイト株式会社製,LPS(登録商標)シリーズ)100gに11%発煙硫酸1000mLを添加して攪拌し、液温80℃を維持しながら10時間かけてスルホ化した。スルホ化後冷却して100℃の蒸留水により洗浄し、洗浄後の蒸留水中の硫酸イオンが検出限界以下になるまで洗浄を繰り返した。洗浄後、湿式にて粒径0.3mm以上に篩別して粒状の樹脂固体酸触媒(C7)を得た。
レゾール型フェノール樹脂(リグナイト株式会社製,LPS(登録商標)シリーズ)100gに11%発煙硫酸1000mLを添加して攪拌し、液温80℃を維持しながら10時間かけてスルホ化した。スルホ化後冷却して100℃の蒸留水により洗浄し、洗浄後の蒸留水中の硫酸イオンが検出限界以下になるまで洗浄を繰り返して樹脂固体酸触媒(C8)を得た。
レゾール型フェノール樹脂(リグナイト株式会社製,LPS(登録商標)シリーズ)100gに98%濃硫酸1000mLを添加して攪拌し、液温80℃を維持しながら10時間かけてスルホ化した。スルホ化後冷却して100℃の蒸留水により洗浄し、洗浄後の蒸留水中の硫酸イオンが検出限界以下になるまで洗浄を繰り返して樹脂固体酸触媒(C9)を得た。
ノボラック型フェノール樹脂(群栄化学株式会社製,商品名「カイノール」)3gに11%発煙硫酸300mLを添加して固定床にて攪拌し、液温160℃を維持しながら10時間かけてスルホ化した。スルホ化後冷却して100℃の蒸留水により洗浄し、洗浄後の蒸留水中の硫酸イオンが検出限界以下になるまで洗浄を繰り返した。洗浄後、当該スルホ化物を粉砕するとともに0.18mm以下に篩別した。こうして、樹脂固体酸触媒(C10)を得た。
市販の粉末状(ミル粉砕)のコーヒー豆にイオン交換水を添加してスラリー濃度を5重量%とし、これを30分間煮沸した。煮沸後濾過を3回以上繰り返してコーヒー豆抽出残渣を分離した。コーヒー豆抽出残渣を105±5℃に保温した乾燥機内で一晩乾燥し、粉砕機により0.075mm以下に粉砕した。こうして植物系食品残渣物の試料となるコーヒー豆抽出残渣を得た。
15mLサンプル管に、前出のマンノース抽出操作(1)にて使用のコーヒー豆抽出残渣0.2gと木質固体酸触媒0.2g(ともに乾燥重量)、及びイオン交換水を添加して全水分重量を2.8gに設定し、140℃を維持しながら後出の表中の時間反応させた。反応終了後氷温に冷却するとともにサンプル管内にイオン交換水3.2gを添加して希釈した。そして、シリンジフィルター(前記同様)を用いて反応液を濾過し抽出濾液を得た。
4mLサンプル管に、前出のマンノース抽出操作(1)にて使用のコーヒー豆抽出残渣0.1g(乾燥重要)と10%(v/v)の希硫酸0.1g、及びイオン交換水1.4gを添加し、90℃を維持しながら後出の表中の時間反応させた。反応終了後氷温に冷却するとともにサンプル管内にイオン交換水1.6gを添加して希釈した。そして、シリンジフィルター(前記同様)を用いて反応液を濾過し抽出濾液を得た。
15mLサンプル管に、前出のマンノース抽出操作(1)にて使用のコーヒー豆抽出残渣0.2g(乾燥重要)と10%(v/v)の希硫酸0.2g、及びイオン交換水2.8gを添加し、140℃を維持しながら後出の表中の時間反応させた。反応終了後氷温に冷却するとともにサンプル管内にイオン交換水3.2gを添加して希釈した。そして、シリンジフィルター(前記同様)を用いて反応液を濾過し抽出濾液を得た。
当該操作の反応触媒(比較例)として、イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製,アンバーリスト(登録商標),15JWET)と合成ゼオライト(和光純薬株式会社製,合成ゼオライト,HS−320,粉末,ヒドロゲンY)の2種類を用意した。4mLサンプル管に、前出のマンノース抽出操作(1)にて使用のコーヒー豆抽出残渣0.1gと比較例の反応触媒0.1g(ともに乾燥重量)、及びイオン交換水を添加して全水分重量を1.4gに設定し、90℃を維持しながら後出の表中の時間反応させた。反応終了後氷温に冷却するとともにサンプル管内にイオン交換水1.6gを添加して希釈した。そして、シリンジフィルター(前記同様)を用いて反応液を濾過し抽出濾液を得た。
マンノース抽出操作(1)ないし(5)を経て得た抽出濾液中のマンノース量について、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(株式会社島津製作所製,RID−10A)、カラム(BIO−RAD社製,品名:AminexHPX−87Hカラム)、オーブン(株式会社島津製作所製,CTO−20AC)、デガッサ(株式会社島津製作所製,DGU−20A3)を使用して測定した。はじめに内部基準物質として、所定濃度のキシリトール溶液を調製してHPLCに装填した。そして、HPLCの対応するリテンションタイムに出現したピーク面積比から、測定対象のマンノースの生成量及び抽出濾液中の可溶糖中に占めるマンノースの生成割合(%)を求めた。マンノースの生成量は残渣物0.1gから生成したマンノース重量(mg)として換算した(mg/0.1g)。
各触媒における反応中心はスルホ基と考えられる。そこで、触媒毎にスルホ基量を分析して求めた。実施例の木質固体酸触媒及び樹脂固体酸触媒、比較例の反応触媒を100℃に加熱して乾燥した。それぞれに含まれる元素組成について、自動燃焼イオンクロマトグラフ:DIONEX製ICS−1000、燃焼装置:株式会社三菱化学アナリテック製AQF−100、吸収装置:株式会社三菱化学アナリテック製GA−100、送水ユニット:株式会社三菱化学アナリテック製WS−100、燃焼温度1000℃)により分析した。得られた硫黄分(mmol/g)は、スルホ基と等価であるとして、単位重量当たりのスルホ基(スルホン酸基)量(mmol/g)とした。
〈形態、種類について〉
全実施例と比較例1ないし10との決定的な相違は触媒の形態である。実施例は固体酸であり比較例は液体の硫酸である。自明ながら実施例は固体酸触媒であるため、糖鎖の分解により生成したマンノース抽出液と固体酸触媒は、濾過を通じて容易に分離可能である。しかも濾過分離後、回収して再度触媒として反応系に加えることもできる。このような利点は、硫酸等の液体の酸触媒からは得ることができない。
実施例1及び2の比較から、90℃の反応温度の場合、より長時間反応させると生成量は増す傾向にある。なお、90℃の反応温度で短時間の場合、反応が緩慢であり十分な生成量を得ることはできなかった。そこで、当該温度を採用する場合には、固体酸触媒の量いかんによるものの、時間を要することが判明した。同様の知見は、希硫酸を使用した比較例1ないし5からも裏付けられる。反応時間の増加に伴ってマンノース生成量も増加した。
植物系食品残渣物からマンノースを抽出する反応に使用する触媒としての性能差をさらに詳細に検討した。事前に、和光純薬工業株式会社製,D(+)−マンノース試薬を用いて、同様の条件下でHPLCによる測定を実施した。結果、リテンションタイム9.5分付近にピークの検出を確認した。図3のHPLC分析チャート図において、上方のチャートは実施例14であり、下方のチャートは比較例10である。実施例14では、マンノースのピークを示すリテンションタイム9.5分付近に大きなピークが検出され、その他のピークは相対的に小さい。つまり、効率良くマンノースへの分解が進んだといえる。対照となる硫酸使用の比較例10では、ピークが複数存在することから、糖鎖のランダムな分解、さらにはマンノース自体の分解も生じたと類推できる。従って、固体酸触媒は従前の硫酸よりも高いマンノース濃度を簡便に得ることができる。
固体酸触媒(木質固体酸触媒及び樹脂固体酸触媒)によると、単に反応液中からマンノース抽出液と固体酸触媒を分離しやすいばかりではない。特に、植物系食品残渣物から他の分解産物等の生成を抑えつつ、マンノースを比較的高い濃度で得ることができる。このような付加価値は、従前の液体の酸触媒からは到底得ることができない効果である。従って、本発明のマンノース抽出方法は極めて効率よく植物系食品残渣物からマンノースを生成することができる。
M2 フェノール樹脂
PR 植物系食品残渣物
SA1,SA2 木質固体酸触媒
SA3 樹脂固体酸触媒
Claims (7)
- 木質系原料に由来する炭化物にスルホ基を導入してスルホ化することにより得た木質固体酸触媒と、植物系食品残渣物とを混合して加熱することによって、前記植物系食品残渣物中よりマンノースを抽出する
ことを特徴とするマンノース抽出方法。 - フェノール樹脂にスルホ基を導入してスルホ化することにより得た樹脂固体酸触媒と、植物系食品残渣物とを混合して加熱することによって、前記植物系食品残渣物中よりマンノースを抽出する
ことを特徴とするマンノース抽出方法。 - 前記炭化物が、前記木質系原料をバインダにより保形した形状物である請求項1に記載のマンノース抽出方法。
- 前記木質固体酸触媒と前記植物系食品残渣物が水分存在下で加熱される請求項1に記載のマンノース抽出方法。
- 前記樹脂固体酸触媒と前記植物系食品残渣物が水分存在下で加熱される請求項2に記載のマンノース抽出方法。
- 前記木質固体酸触媒と前記植物系食品残渣物との加熱が、80〜150℃の温度条件下で行われる請求項4に記載のマンノース抽出方法。
- 前記植物系食品残渣物がコーヒー豆抽出残渣である請求項1ないし6のいずれか1項に記載のマンノース抽出方法。
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