JP2017000120A - マンノース抽出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液体の酸触媒に代えて固体酸触媒を用い、植物系食品残渣中から単糖まで分解してマンノースを抽出し、かつ、触媒の分離を容易にすること可能とするマンノース抽出方法を提供する。【解決手段】木質系原料M1に由来する炭化物にスルホ基を導入してスルホ化することにより得た木質固体酸触媒SA1,SA2と、コーヒー豆抽出残渣である植物系食品残渣物PRとを混合し、水分の存在下、80ないし150℃の温度条件下で加熱することによって、植物系食品残渣物中よりマンノースを抽出する。【選択図】図1

Description

本発明は、マンノース抽出方法に関し、特に、固体酸触媒を用いて多糖類を分解することによって植物系食品残渣からマンノースを得る抽出方法に関する。
単糖の一種であるマンノースは、近年機能性糖類として注目されている。例えば、マクロファージの活性化との関連性、感染症抑制、有用腸内細菌の増殖等の分野である(特許文献1、2等参照)。さらには甘味料の添加成分としての利用である(特許文献3等参照)。このため、マンノースの活性効果を生かした製剤や食品分野への利用を満たすべく、マンノースの需要は急速に拡大している。
現状、マンノース単体は、グルコマンナン等の多糖類から微生物等による酵素的分解により生産される。そのため、生産効率を向上させることは容易ではない。加えて、製造経費も問題となっていた。そのため、より効率の良いマンノースの抽出方法が模索されている。マンノースは多糖類の糖鎖を構成する糖の一種であり、主に植物の細胞壁等の表面に糖鎖状に現出していることが知られている。
しかしながら、グルコマンナン等の糖鎖はデンプンを構成するアミロースやアミロペクチン等と異なり、溶解が容易ではないことから十分に溶出することができなかった。そのため、存在は確認されてはいるものの残存成分として有効に活用されてはいなかった。この点に鑑み、植物の細胞壁、つまりは食品の残渣物に対して酸と熱処理によりマンノースのオリゴ糖を抽出する方法が提案されている(特許文献4、5等参照)。特許文献4ではコーヒー抽出物に硫酸が添加され、特許文献5では酢酸またはギ酸が添加され、加熱を経てマンノオリゴ糖(マンナンオリゴ糖)が抽出される。
ただし、当該特許文献4,5では、オリゴ糖段階の抽出に留まっており、単糖のマンノースまでに分解して抽出することはできなかった。また、反応に用いた酸は液体であるため、オリゴ糖溶液からの除去は容易とは言えなかった。さらに、処理ごとに酸液を使い捨てにしなければならず、生産効率や経費上の問題も山積していた。ただし、一連の経緯から、グルコマンナン等のマンノースを含有する糖鎖の分解に、酸の使用が効果的であることまでは明らかとなった。そこで、新たな酸処理に際しての改良が望まれていた。
特開2004−159659号公報 特開2010−22267号公報 特開2001−352936号公報 特公平5−52200号公報 特開2011−132187号公報
発明者らは前述のマンノース成分の分解抽出とは別に、固体酸の設計に鋭意取り組んできた。固体酸とは、有機物の表面にスルホ基を導入して得た固形物である。そのため、触媒として作用する硫酸に近似した性質を備える。このような固体酸であれば、硫酸触媒としての作用が期待できる。
本発明は、上記状況に鑑み提案されたものであり、既存の液体の酸触媒に代えて固体酸触媒を用いることにより、植物系食品残渣中から単糖まで分解してマンノースを抽出し、かつ、触媒の分離を容易にすることを可能とするマンノース抽出方法を提供する。
すなわち、請求項1の発明は、木質系原料に由来する炭化物にスルホ基を導入してスルホ化することにより得た木質固体酸触媒と、植物系食品残渣物とを混合して加熱することによって、前記植物系食品残渣物中よりマンノースを抽出することを特徴とするマンノース抽出方法に係る。
請求項2の発明は、フェノール樹脂にスルホ基を導入してスルホ化することにより得た樹脂固体酸触媒と、植物系食品残渣物とを混合して加熱することによって、前記植物系食品残渣物中よりマンノースを抽出することを特徴とするマンノース抽出方法に係る。
請求項3の発明は、前記炭化物が、前記木質系原料をバインダにより保形した形状物である請求項1に記載のマンノース抽出方法に係る。
請求項4の発明は、前記木質固体酸触媒と前記植物系食品残渣物が水分の存在下で加熱される請求項1に記載のマンノース抽出方法に係る。
請求項5の発明は、前記樹脂固体酸触媒と前記植物系食品残渣物が水分の存在下で加熱される請求項2に記載のマンノース抽出方法に係る。
請求項6の発明は、前記木質固体酸触媒と前記植物系食品残渣物との加熱が、80〜150℃の温度条件下で行われる請求項4に記載のマンノース抽出方法に係る。
請求項7の発明は、前記植物系食品残渣物がコーヒー豆抽出残渣である請求項1ないし6のいずれか1項に記載のマンノース抽出方法に係る。
請求項1の発明に係るマンノース抽出方法によると、木質系原料に由来する炭化物にスルホ基を導入してスルホ化することにより得た木質固体酸触媒と、植物系食品残渣物とを混合して加熱することによって、前記植物系食品残渣物中よりマンノースを抽出するため、液体の酸触媒に代えて木質固体酸触媒を用いることにより、植物系食品残渣中から単糖まで分解してマンノースを抽出し、かつ、触媒の分離が容易となり、製造経費の圧縮が可能となる。
請求項2の発明に係るマンノース抽出方法によると、フェノール樹脂にスルホ基を導入してスルホ化することにより得た樹脂固体酸触媒と、植物系食品残渣物とを混合して加熱することによって、前記植物系食品残渣物中よりマンノースを抽出するため、液体の酸触媒に代えて樹脂固体酸触媒を用いることにより、植物系食品残渣中から単糖まで分解してマンノースを抽出し、かつ、触媒の分離が容易となり、製造経費の圧縮が可能となる。
請求項3の発明に係るマンノース抽出方法によると、請求項1の発明において、前記炭化物が、前記木質系原料をバインダにより保形した形状物であるため、さらに反応液中からの分離、回収が容易となる。
請求項4の発明に係るマンノース抽出方法によると、請求項1の発明において、前記木質固体酸触媒と前記植物系食品残渣物が水分の存在下で加熱されるため、植物系食品残渣物から触媒反応を通じて円滑にマンノースを抽出することができる。
請求項5の発明に係るマンノース抽出方法によると、請求項2の発明において、前記樹脂固体酸触媒と前記植物系食品残渣物が水分の存在下で加熱されるため、植物系食品残渣物から触媒反応を通じて円滑にマンノースを抽出することができる。
請求項6の発明に係るマンノース抽出方法によると、請求項4の発明において、前記木質固体酸触媒と前記植物系食品残渣物との加熱が、80〜150℃の温度条件下で行われるため、効率良い反応促進と反応生成物の安定性の両立が図られる。
請求項7の発明に係るマンノース抽出方法によると、請求項1ないし6のいずれかの発明において、前記植物系食品残渣物がコーヒー豆抽出残渣であるため、産業廃棄物の有効利用が可能となり、原料調達も容易、かつ、均質性も高い。
本発明の第1実施形態のマンノース抽出方法に係る概略工程図である。 本発明の第2実施形態のマンノース抽出方法に係る概略工程図である。 実施例14及び比較例10のHPLC分析結果を示したチャート図である。 実施例10ないし14のHPLC分析結果を示したチャート図である。
本発明に規定するマンノース抽出方法とは、従前の硫酸、ギ酸、酢酸等の液体の酸触媒の使用ではなく、固体酸を使用して反応対象である植物系食品残渣中に含まれている糖鎖の分解反応を進め、これよりマンノースを得る方法である。それゆえ、反応後、触媒として機能した固体酸の反応系からの分離、回収は容易となる。
図1の概略工程図を用い、第1実施形態による固体酸の調製と、これを使用したマンノース抽出方法を説明する。第1実施形態においては、木質固体酸触媒が用意される。木質固体酸触媒の原料となる木質系原料M1は、木材の製材、加工時に生じるオガコ(または大鋸屑や鉋屑等)、廃材や間伐材、廃竹や伐採竹、ヤシ殻、コーヒーの抽出時に生じるコーヒー豆等のセルロース分に富む原料である。加えて、前述の原料から抽出されるセルロース分も原料に含めることができる。木質系原料は炭化に先立ち、あるいは、炭化後に必要に応じて予め適度な大きさに粉砕(破砕)される。さらには、粉砕は炭化の前後両方としても良い。併せて、石や金属片等の異物が混入していないことも事前に検査され、それらは除去される。木質系原料は一般に燃料として用いられる他、焼却処理されていた廃棄物であり、これまで特段有効活用されてこなかった。そこで、木質系原料に由来する材料が固体酸の基材に加工されることによって、原価は抑えられ資源の有効活用が可能となる。
木質系原料は焼失しない程度の温度条件下にて炭化されて炭化物となる(S10)。「炭化」は窒素ガス等の不活性ガスを充満した雰囲気下、300ないし450℃の加熱処理条件において加熱される。当該温度域は木質系原料の炭化促進に十分であり、かつ木質系原料の過剰な熱分解を回避可能な温度である。炭化中の加熱温度が300℃未満の加熱処理条件では炭化が不十分となり、未炭化の木質系原料が残存するおそれがある。加熱温度が450℃を超過すると炭化物の表面に露出する官能基も喪失すると考えられ、事後の触媒化に適さない構造となる。後記の実施例においては、木質系原料の炭化は約1時間の加熱とした。炭化時間は処理装置、処理量、木質系原料の粒径等を勘案して規定される。加えて、木質系原料に対する加熱処理温度は、原料の種類に応じても適宜調整される。
炭化(S10)の後、所定の粒径に粉砕してもよい。炭化物の粉砕には、公知のミル、グラインダー等が適宜使用される。粉砕及び篩別に際し、炭化物は必要に応じて1mm以下、好ましくは0.5mm以下、さらには0.1mm以下の適宜の粒径とされる。
炭化物を作製するに際し、予め木質系原料に対して、または炭化物とした後に、賦活処理を加えることもできる。賦活処理が加わることにより細孔が発達しやすくなる。このため、表面積が大きくなって接触効率の高い炭化物を得ることができる。賦活処理の方法は適宜であり、水蒸気賦活、塩化亜鉛賦活、リン酸賦活、硫酸賦活、空気賦活、炭酸ガス賦活等が例示される。特に、賦活温度による触媒の失活や、薬品によるスルホ基量への影響を検証すると、塩化亜鉛賦活による賦活処理が好ましい。
出来上がった炭化物に対し、スルホ基(またはスルホン酸基とも称される)を導入するスルホ化が行われる。この処理が「スルホ化」である(S20)。スルホ化は室温ないし200℃の温度条件下で行われる。スルホ基(スルホン酸基)は「−SO3Hまたは−SO2(OH)」として表される酸性の官能基である。スルホ化を経て、炭化物は「木質固体酸触媒SA1」になる。スルホ基の導入は、濃硫酸、発煙硫酸、またはクロロスルホン酸等のスルホ化剤と炭化物との反応により行われる。当該スルホ化工程に用いるスルホ化剤の種類は通常のスルホ化反応に使用できる薬品の中から選択される。
木質固体酸触媒SA1は熱水等による洗浄を経ることによって、余分なスルホ化剤は洗い流される。ここで、篩別により所定の大きさに揃えられた製品とすることができる。また、製造途中に砕けて生じた粉状物も取り除かれる。当該作製に基づく固体酸としては、例えば、特許第5528036号等に開示の固体酸が示される。
前述のように、粉末状の固体酸(木質固体酸触媒SA1)を得る他、さらに所定の形状物に保形(加工)することもできる。保形により粉末状よりも粒が大きくなり、反応液中からの分離、回収が容易となる。具体的には、木質系原料と保形目的のバインダは所定量ずつ計量され、双方とも十分に混練される。木質系原料とバインダとの混練は、公知のニーダーやブレンダ等の混練機により行われる。
バインダには、次の合成樹脂バインダが例示される。熱可塑性樹脂の合成樹脂バインダとしては、ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、高分子量ポリエチレン(UHMPE)、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリイミド樹脂、またはポリウレタン樹脂等が例示される。熱硬化性樹脂の合成樹脂バインダとしては、フェノール樹脂(レゾール型)、ジアリルフタレート樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、またはポリウレタン樹脂等が例示される。なお、同種類の樹脂であっても、組成や生成法等の相違から熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の両方に該当する樹脂も存在する。
また、バインダには、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、さらにはビスコース等のセルロース系バインダも含められる。ビスコース(セルロースキサントゲン酸ナトリウム)は、パルプに水酸化ナトリウム、二硫化炭素を添加して調製される。
木質系原料とバインダ(各種の合成樹脂バインダ)との混練物は、球状(丸薬状)、錠剤状(円盤状)、ペレット状(円筒状)等の適宜形状の保形物(成形物)に成形される。球状では造粒機を用いた球形化であり、錠剤状では打錠機が用いられ、ペレット状ではペレタイザ等が使用される。このように所定の保形後、保形物は前述のとおりスルホ化剤によりスルホ化される。結果、成形物表面にスルホ基が導入される。そして、水洗を経て、保形物となった「木質固体酸触媒SA2」を得ることができる。なお、ペレット状にすることにより、触媒の分離性をさらに高めることができる。用途例としては、カラム等への使用が考えられる。木質固体酸触媒SA2の大きさには特段制限はない。前述のバインダの種類、配合割合、用途、反応設備、取り扱いやすさ等が考慮され、粉末以上の大きさに作製される。
続いて、一連の工程を経て得られた木質固体酸触媒SA1またはSA2と、処理対象となる植物系食品残渣物PRとが混合される。そして混合状態で加熱される(S30)。植物系食品残渣物PRは、おから、酒粕、茶類抽出残渣、コーヒー豆抽出残渣等の食品加工時に生じる残渣成分である。コーヒー豆抽出残渣は、コーヒー豆を焙煎してこれに水または熱湯を加えてコーヒーを抽出した際に生じる残渣である。コーヒー飲料は生産量も多いため、これまで多くは産業廃棄物として処理されていた。従って、産業廃棄物の有効利用となり、原料調達も容易であり、また、残渣自体の均質性も高い。なお、食品には含まれないものの、稲藁、間伐材、廃竹、コプラミール等の植物原料も残渣物に加えられる。
植物系食品残渣物の利用が好適な理由は、単なる廃棄物処理以上に下記の利点があるからである。植物細胞の細胞壁表面には、セルロース以外の各種の糖鎖が存在している。これらの糖鎖は植物細胞同士の細胞接着や植物体の形状維持に作用していると考えられている。しかしながら、人体はこれらの糖鎖成分を消化して栄養とすることはできないことが多い。そのため、未利用成分として存在は明らかではあるものの有効活用に至っていなかった。例えば、グルコマンナン等の糖鎖が単糖に分解されると、マンノースが得られる。そこで、簡便かつ有力なマンノース供給源としての付加価値がコーヒー豆抽出残渣に創出される。
木質固体酸触媒SA1またはSA2と植物系食品残渣物PRとの混合、加熱の際、水分が適宜調整される。植物系食品残渣物から触媒反応を通じて円滑にマンノースを抽出するべく、水分存在下であることが望ましい。ただし、水分過剰である場合には、植物系食品残渣物から分解されて生じる抽出成分が希釈される。この点も考慮して、水分量は適当に調整される。
木質固体酸触媒SA1またはSA2と、植物系食品残渣物PRが混合され適宜の水分存在条件下の触媒反応により、植物系食品残渣物PR中に含まれるグルコマンナン等の糖鎖の分解は生じる。しかしながら、効率的な速度反応を勘案すると、高温条件下の反応が好ましい。そこで、木質固体酸触媒SA1またはSA2と、植物系食品残渣物PRとの混合加熱の際には、80℃ないし150℃の範囲、好ましくは90℃ないし140℃の範囲で加熱される。
木質固体酸触媒の利点は、100℃以上の高温度域でも使用可能である。既存の樹脂系の固体酸触媒では、後記の実施例に開示の140℃の温度条件下では分解することが知られている。既存の樹脂系の固体酸触媒は触媒として機能しなくなる。しかしながら、第1実施形態の木質固体酸触媒は、極めて温度耐性が高く速度反応を促進する温度域への対応が可能となる。
後述の実施例から明らかであるように、高温度条件下で触媒を作用させると、より短時間でマンノースの抽出が進む。ただし、150℃を上回る(超過する)高温度域で反応させてしまうと、目的の反応生成物であるマンノースも酸化、分解により変質するおそれがある。そこで、効率良い反応促進と反応生成物の安定性の両立を図る観点から、80℃ないし150℃の加熱温度域が規定される。
木質固体酸触媒SA1またはSA2と植物系食品残渣物PRとの混合加熱(S30)の後、糖鎖の分解により生じたマンノースが存在水分中に溶出する。そこで、木質固体酸触媒、植物系食品残渣物、水分の混合物より、水分のみが分離される(S40)。分離の手法は、濾過、遠心分離等の適宜である。特に、触媒自体も固形分であることから、植物系食品残渣物とともに、極めて簡便に糖分を含有する水分のみが分離可能となる。こうして、マンノース抽出液MEを得ることができる。この反応形態から理解されるように、酢酸や硫酸等の液体の酸が反応生成物の溶解する液体と混合し合うことはない。そのため、触媒反応後の分離に要する負担は大きく軽減される。製造経費の圧縮が可能となる。
これより図2の概略工程図を用い、第2実施形態による固体酸の調製と、これを使用したマンノース抽出方法を説明する。第2実施形態においては、樹脂固体酸が用意される。樹脂固体酸の原料はフェノール樹脂M2である。このフェノール樹脂には、レゾール樹脂とノボラック樹脂が含まれる。スルホ基の導入に際し、粉末状または粒状のフェノール樹脂に、濃硫酸、発煙硫酸、またはクロロスルホン酸等のスルホ化剤が添加される。スルホ化剤の添加後、室温ないし200℃の温度条件下でスルホ化は行われる(S20)。スルホ化剤は第1実施形態にて説明と同種である。スルホ化を経て、フェノール樹脂は「樹脂固体酸触媒SA3」になる。樹脂固体酸触媒SA3は熱水等による洗浄を経ることによって、余分なスルホ化剤は洗い流される。
続いて、一連の工程を経て得られた樹脂固体酸触媒SA3と、処理対象となる植物系食品残渣物PRとが混合される。そして混合状態で加熱される(S30)。この過程も第1実施形態と同様である。植物系食品残渣物PRは、おから、酒粕、茶類抽出残渣、コーヒー豆抽出残渣等の食品加工時に生じる残渣成分である。第2実施形態においても同様にコーヒー豆抽出残渣が好ましく使用される。
樹脂固体酸触媒SA3と植物系食品残渣物PRとの混合、加熱の際にも、水分が適宜調整される。植物系食品残渣物から触媒反応を通じた抽出の便宜から、水分存在下であることが望ましい。ただし、水分過剰である場合には、植物系食品残渣物から分解されて生じる抽出成分が希釈される。この点も考慮して、水分量は適当に調整される。樹脂固体酸触媒SA3と、植物系食品残渣物PRを混合し、これに水分量を適宜調整した条件においても触媒反応により、植物系食品残渣物PR中に含まれるグルコマンナン等の糖鎖の分解は生じる。樹脂固体酸触媒SA3と、植物系食品残渣物PRとの混合加熱では、樹脂固体酸触媒の耐熱強度等を勘案しておおむね90℃までの温度域である。
樹脂固体酸触媒SA3と植物系食品残渣物PRとの混合加熱(S30)の後、糖鎖の分解により生じたマンノースが存在水分中に溶出する。そこで、樹脂固体酸触媒、植物系食品残渣物、水分の混合物より、水分のみが分離される(S40)。触媒自体も固形分であることから、植物系食品残渣物とともに、極めて簡便に糖分を含有する水分のみが分離可能となる。こうして、マンノース抽出液MEを得ることができる。第2実施形態の反応形態においても第1実施形態と同様に、酢酸や硫酸等の液体の酸が反応生成物の溶解する液体と混合し合うことはない。そのため、触媒反応後の分離に要する負担は大きく軽減され、製造経費の軽減が可能となる。
第1実施形態の木質固体酸触媒SA1またはSA2、第2実施形態の樹脂固体酸触媒SA3に存在する単位重量当たりのスルホ基量は、おおよその触媒活性の指標と考えられる。反応に供する固体酸の性能評価の上で考慮される。発明者らのこれまでに蓄積した知見によると、形状毎の表面積の相違に依存するものの、固体酸に存在するスルホ基量は、少なくとも0.5mmol/g以上、好ましくは0.7mmol/g以上、より好ましくは1.5mmol/g以上が望ましいと考えられる。このスルホ基量は元素分析により硫黄の量から算出される。
発明者は、各表中に開示の固体酸触媒を作製し、植物系食品残渣物よりマンノースの抽出を試行した。これと併せて、液体酸触媒及び市販の触媒も使用して植物系食品残渣物よりマンノースの抽出を試行した。はじめに、木質固体酸触媒(C1)ないし(C6)及び樹脂固体酸触媒(C7)ないし(C10)の作製から説明する。
[木質固体酸触媒(C1)の作製]
ベイマツ(米松)のオガコを105±5℃に保温した乾燥機内で一晩乾燥した。乾燥済みのオガコを金属製トレイに入れてマッフル炉内に載置した。炉内に窒素ガスを供給して不活性雰囲気とし、所定の昇温速度により350℃まで昇温し当該温度を60分間維持しオガコを焼成した。冷却後、マッフル炉から焼成されたオガコを取り出して粉砕機によりおよそ0.18mm以下に粉砕し粉砕炭化物とした。
粉砕炭化物10gに11%発煙硫酸100mLを添加して攪拌し、液温80℃を維持しながら10時間かけてスルホ化した。スルホ化後冷却して100℃の蒸留水により洗浄し、洗浄後の蒸留水中の硫酸イオンが検出限界以下になるまで洗浄を繰り返して木質固体酸触媒(C1)を得た。
[木質固体酸触媒(C2)の作製]
ベイマツ(米松)由来の塩化亜鉛賦活活性炭(フタムラ化学株式会社製,比表面積1700,平均粒径39μm)の10gに、11%発煙硫酸100mLを添加して攪拌し、液温80℃を維持しながら10時間かけてスルホ化した。スルホ化後冷却して100℃の蒸留水により洗浄し、洗浄後の蒸留水中の硫酸イオンが検出限界以下になるまで洗浄を繰り返して木質固体酸触媒(C2)を得た。
[木質固体酸触媒(C3)の作製]
前出の木質固体酸触媒(C2)に蒸留水を添加してスラリー濃度を重量5%とした。当該スラリーをオートクレーブにより150℃、10時間加熱した。冷却してスラリーを濾過し濾液を除去した。最終的に、スラリー濃度1重量%としたときの濾液中の硫酸イオンが検出限界以下になるまで当該操作を繰り返して木質固体酸触媒(C3)を得た。
[木質固体酸触媒(C4)の作製]
ベイマツ(米松)由来の塩化亜鉛賦活活性炭(フタムラ化学株式会社製,比表面積1600,平均粒径1.11mm)の10gに、11%発煙硫酸100mLを添加して攪拌し、液温80℃を維持しながら10時間かけてスルホ化した。スルホ化後冷却して100℃の蒸留水により洗浄し、洗浄後の蒸留水中の硫酸イオンが検出限界以下になるまで洗浄を繰り返して粒状(顆粒状)の木質固体酸触媒(C4)を得た。
[木質固体酸触媒(C5)の作製]
前出の木質固体酸触媒(C4)に蒸留水を添加してスラリー濃度を重量5%とした。当該スラリーをオートクレーブにより150℃、10時間加熱した。冷却してスラリーを濾過し濾液を除去した。最終的に、スラリー濃度1重量%としたときの濾液中の硫酸イオンが検出限界以下になるまで当該操作を繰り返して粒状(顆粒状)の木質固体酸触媒(C5)を得た。
[木質固体酸触媒(C6)の作製]
ベイマツ(米松)のオガコを105±5℃に保温した乾燥機内で一晩乾燥し、オガコを粉砕機により0.075mm以下に粉砕した。粉砕後のオガコ300gに、DIC株式会社製,フェノール樹脂バインダ(品名「フェノライト J−325」)120gと適量の蒸留水を添加し、これらを混練し木質混練物を得た。この混練物をペレタイザにより直径2mm×長さ10mmの円筒ペレット状に成形して保形物を得た。
前記の保形物を金属製トレイに入れてマッフル炉内に載置した。炉内に窒素ガスを供給して不活性雰囲気とし、所定の昇温速度により350℃まで昇温し当該温度を60分間維持し保形物を焼成して焼成保形物を得た。焼成保形物10gに11%発煙硫酸100mLを添加して攪拌し、液温80℃を維持しながら10時間かけてスルホ化した。スルホ化後冷却して100℃の蒸留水により洗浄し、洗浄後の蒸留水中の硫酸イオンが検出限界以下になるまで洗浄を繰り返して保形物(ペレット状)の木質固体酸触媒(C6)を得た。
[樹脂固体酸触媒(C7)の作製]
レゾール型フェノール樹脂(リグナイト株式会社製,LPS(登録商標)シリーズ)100gに11%発煙硫酸1000mLを添加して攪拌し、液温80℃を維持しながら10時間かけてスルホ化した。スルホ化後冷却して100℃の蒸留水により洗浄し、洗浄後の蒸留水中の硫酸イオンが検出限界以下になるまで洗浄を繰り返した。洗浄後、湿式にて粒径0.3mm以上に篩別して粒状の樹脂固体酸触媒(C7)を得た。
[樹脂固体酸触媒(C8)の作製]
レゾール型フェノール樹脂(リグナイト株式会社製,LPS(登録商標)シリーズ)100gに11%発煙硫酸1000mLを添加して攪拌し、液温80℃を維持しながら10時間かけてスルホ化した。スルホ化後冷却して100℃の蒸留水により洗浄し、洗浄後の蒸留水中の硫酸イオンが検出限界以下になるまで洗浄を繰り返して樹脂固体酸触媒(C8)を得た。
[樹脂固体酸触媒(C9)の作製]
レゾール型フェノール樹脂(リグナイト株式会社製,LPS(登録商標)シリーズ)100gに98%濃硫酸1000mLを添加して攪拌し、液温80℃を維持しながら10時間かけてスルホ化した。スルホ化後冷却して100℃の蒸留水により洗浄し、洗浄後の蒸留水中の硫酸イオンが検出限界以下になるまで洗浄を繰り返して樹脂固体酸触媒(C9)を得た。
[樹脂固体酸触媒(C10)の作製]
ノボラック型フェノール樹脂(群栄化学株式会社製,商品名「カイノール」)3gに11%発煙硫酸300mLを添加して固定床にて攪拌し、液温160℃を維持しながら10時間かけてスルホ化した。スルホ化後冷却して100℃の蒸留水により洗浄し、洗浄後の蒸留水中の硫酸イオンが検出限界以下になるまで洗浄を繰り返した。洗浄後、当該スルホ化物を粉砕するとともに0.18mm以下に篩別した。こうして、樹脂固体酸触媒(C10)を得た。
[マンノース抽出操作(1)]
市販の粉末状(ミル粉砕)のコーヒー豆にイオン交換水を添加してスラリー濃度を5重量%とし、これを30分間煮沸した。煮沸後濾過を3回以上繰り返してコーヒー豆抽出残渣を分離した。コーヒー豆抽出残渣を105±5℃に保温した乾燥機内で一晩乾燥し、粉砕機により0.075mm以下に粉砕した。こうして植物系食品残渣物の試料となるコーヒー豆抽出残渣を得た。
4mLサンプル管に、コーヒー豆抽出残渣0.1g、木質固体酸触媒0.1gまたは樹脂固体酸触媒0.1g(ともに乾燥重量)、及びイオン交換水を添加して全水分重量を1.4gに設定し、90℃を維持しながら後出の表中の時間反応させた。反応終了後氷温に冷却するとともにサンプル管内にイオン交換水1.6gを添加して希釈した。そして、シリンジフィルター(孔径:0.2μm)を用いて反応液を濾過し抽出濾液を得た。
[マンノース抽出操作(2)]
15mLサンプル管に、前出のマンノース抽出操作(1)にて使用のコーヒー豆抽出残渣0.2gと木質固体酸触媒0.2g(ともに乾燥重量)、及びイオン交換水を添加して全水分重量を2.8gに設定し、140℃を維持しながら後出の表中の時間反応させた。反応終了後氷温に冷却するとともにサンプル管内にイオン交換水3.2gを添加して希釈した。そして、シリンジフィルター(前記同様)を用いて反応液を濾過し抽出濾液を得た。
[マンノース抽出操作(3)]
4mLサンプル管に、前出のマンノース抽出操作(1)にて使用のコーヒー豆抽出残渣0.1g(乾燥重要)と10%(v/v)の希硫酸0.1g、及びイオン交換水1.4gを添加し、90℃を維持しながら後出の表中の時間反応させた。反応終了後氷温に冷却するとともにサンプル管内にイオン交換水1.6gを添加して希釈した。そして、シリンジフィルター(前記同様)を用いて反応液を濾過し抽出濾液を得た。
[マンノース抽出操作(4)]
15mLサンプル管に、前出のマンノース抽出操作(1)にて使用のコーヒー豆抽出残渣0.2g(乾燥重要)と10%(v/v)の希硫酸0.2g、及びイオン交換水2.8gを添加し、140℃を維持しながら後出の表中の時間反応させた。反応終了後氷温に冷却するとともにサンプル管内にイオン交換水3.2gを添加して希釈した。そして、シリンジフィルター(前記同様)を用いて反応液を濾過し抽出濾液を得た。
[マンノース抽出操作(5)]
当該操作の反応触媒(比較例)として、イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製,アンバーリスト(登録商標),15JWET)と合成ゼオライト(和光純薬株式会社製,合成ゼオライト,HS−320,粉末,ヒドロゲンY)の2種類を用意した。4mLサンプル管に、前出のマンノース抽出操作(1)にて使用のコーヒー豆抽出残渣0.1gと比較例の反応触媒0.1g(ともに乾燥重量)、及びイオン交換水を添加して全水分重量を1.4gに設定し、90℃を維持しながら後出の表中の時間反応させた。反応終了後氷温に冷却するとともにサンプル管内にイオン交換水1.6gを添加して希釈した。そして、シリンジフィルター(前記同様)を用いて反応液を濾過し抽出濾液を得た。
[マンノース生成量の測定]
マンノース抽出操作(1)ないし(5)を経て得た抽出濾液中のマンノース量について、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(株式会社島津製作所製,RID−10A)、カラム(BIO−RAD社製,品名:AminexHPX−87Hカラム)、オーブン(株式会社島津製作所製,CTO−20AC)、デガッサ(株式会社島津製作所製,DGU−20A3)を使用して測定した。はじめに内部基準物質として、所定濃度のキシリトール溶液を調製してHPLCに装填した。そして、HPLCの対応するリテンションタイムに出現したピーク面積比から、測定対象のマンノースの生成量及び抽出濾液中の可溶糖中に占めるマンノースの生成割合(%)を求めた。マンノースの生成量は残渣物0.1gから生成したマンノース重量(mg)として換算した(mg/0.1g)。
[スルホ基量の測定]
各触媒における反応中心はスルホ基と考えられる。そこで、触媒毎にスルホ基量を分析して求めた。実施例の木質固体酸触媒及び樹脂固体酸触媒、比較例の反応触媒を100℃に加熱して乾燥した。それぞれに含まれる元素組成について、自動燃焼イオンクロマトグラフ:DIONEX製ICS−1000、燃焼装置:株式会社三菱化学アナリテック製AQF−100、吸収装置:株式会社三菱化学アナリテック製GA−100、送水ユニット:株式会社三菱化学アナリテック製WS−100、燃焼温度1000℃)により分析した。得られた硫黄分(mmol/g)は、スルホ基と等価であるとして、単位重量当たりのスルホ基(スルホン酸基)量(mmol/g)とした。
植物系食品残渣物であるコーヒー豆抽出残渣に対し、固体酸触媒等を添加してマンノース抽出操作を行った結果(実施例及び比較例)を表1ないし表5として示す。表1ないし表3では、触媒物性{触媒の種類、形態、粒径等、精製温度(℃)、スルホ基量(mmol/g)}、反応条件{反応温度(℃)、反応時間(hr)}、反応結果{マンノース生成量(mg/0.1g)、マンノース生成割合(%)}、そして、触媒分離性(良または不良)である。ここで、触媒分離性は、前掲のマンノース抽出操作(1)ないし(5)を経て得た抽出濾液への触媒成分の混入の有無の目視による確認とした。
Figure 2017000120
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[結果,考察]
〈形態、種類について〉
全実施例と比較例1ないし10との決定的な相違は触媒の形態である。実施例は固体酸であり比較例は液体の硫酸である。自明ながら実施例は固体酸触媒であるため、糖鎖の分解により生成したマンノース抽出液と固体酸触媒は、濾過を通じて容易に分離可能である。しかも濾過分離後、回収して再度触媒として反応系に加えることもできる。このような利点は、硫酸等の液体の酸触媒からは得ることができない。
また、実施例の固体酸触媒(実施例1ないし5の木質固体酸触媒)は、粉末状からペレット状まで形成可能であり、形状設計の自由度も高い。従って、生産規模に応じた濾過設備にも柔軟に対応できる。なお、固体酸触媒が大きくなるとその表面積は低下する。表面に露出する触媒部位のスルホ基量は減少する。このため、マンノース生成量の差異になったと考える。
さらに、実施例1ないし9の木質固体酸触媒及び樹脂固体酸触媒のとおり、触媒の材質(種類)を拡張しても、いずれからも概ね良好な結果を得た。従って、多用な原料を基に木質固体酸触媒及び樹脂固体酸触媒を作製することができる。このことから、資源確保の観点上好ましい。
比較例11は分子中にスルホ基を備えた樹脂である。スルホ基が触媒を担うと予想して実験した。ところが、性能的には劣ることが分かった。比較例11では、スルホ基量自体は樹脂分子と結合しているため、スルホ基の測定値は大きくなったことが原因と考える。比較例12は触媒として知られているゼオライトの結果である。ゼオライトは植物系食品残渣物からマンノースを抽出する反応には役立たないことがわかった。
〈反応温度と反応時間について〉
実施例1及び2の比較から、90℃の反応温度の場合、より長時間反応させると生成量は増す傾向にある。なお、90℃の反応温度で短時間の場合、反応が緩慢であり十分な生成量を得ることはできなかった。そこで、当該温度を採用する場合には、固体酸触媒の量いかんによるものの、時間を要することが判明した。同様の知見は、希硫酸を使用した比較例1ないし5からも裏付けられる。反応時間の増加に伴ってマンノース生成量も増加した。
実施例10ないし14は同形態の固体酸触媒(木質固体酸触媒)を使用した際の140℃の反応温度の場合の傾向である。この反応温度では、90℃の場合と異なり反応時間が長くなるほどマンノース生成量は減少した。おそらく、反応時の加熱を通じていったん生じたマンノースの分解や別の分子への変化が生じたと考える。こちらについても同様に、希硫酸を使用した比較例6ないし10からも裏付けられる。反応時間の増加に伴ってマンノース生成量は減少した。
これらの結果を勘案すると、固体酸触媒のうち木質固体酸触媒について好適な反応温度は、マンノース抽出操作にて試行した90ないし140℃の範囲を含めて80ないし150℃の温度範囲が好適といえる。反応装置の規模、形状、熱伝導等を含めて適宜拡張される。
〈触媒性能差について〉
植物系食品残渣物からマンノースを抽出する反応に使用する触媒としての性能差をさらに詳細に検討した。事前に、和光純薬工業株式会社製,D(+)−マンノース試薬を用いて、同様の条件下でHPLCによる測定を実施した。結果、リテンションタイム9.5分付近にピークの検出を確認した。図3のHPLC分析チャート図において、上方のチャートは実施例14であり、下方のチャートは比較例10である。実施例14では、マンノースのピークを示すリテンションタイム9.5分付近に大きなピークが検出され、その他のピークは相対的に小さい。つまり、効率良くマンノースへの分解が進んだといえる。対照となる硫酸使用の比較例10では、ピークが複数存在することから、糖鎖のランダムな分解、さらにはマンノース自体の分解も生じたと類推できる。従って、固体酸触媒は従前の硫酸よりも高いマンノース濃度を簡便に得ることができる。
次に固体酸触媒同士も比較した。図4のHPLC分析チャート図において、下方から順に実施例10,11,12,13,及び14に対応するチャートである。固体酸触媒を反応させた時間の相違はあるものの、いずれもリテンションタイム9.5分付近に大きなピークが出現した。その他のピークは相対的に小さい。従って、固体酸触媒を使用すると、効率良く植物系食品残渣物からマンノースを抽出することが裏付けられた。
〈まとめ〉
固体酸触媒(木質固体酸触媒及び樹脂固体酸触媒)によると、単に反応液中からマンノース抽出液と固体酸触媒を分離しやすいばかりではない。特に、植物系食品残渣物から他の分解産物等の生成を抑えつつ、マンノースを比較的高い濃度で得ることができる。このような付加価値は、従前の液体の酸触媒からは到底得ることができない効果である。従って、本発明のマンノース抽出方法は極めて効率よく植物系食品残渣物からマンノースを生成することができる。
本発明のマンノース抽出方法は極めて効率よく、しかもより高い濃度で植物系食品残渣物からマンノースを生成することができる。特に、濾過分離が可能であることから、反応後の抽出液を処理する設備等の設計が容易となり、経費負担が軽減する。このため、従前のマンノース抽出方法と比較しても価格競争力に富み、代替として非常に有望である。
M1 木質系原料
M2 フェノール樹脂
PR 植物系食品残渣物
SA1,SA2 木質固体酸触媒
SA3 樹脂固体酸触媒

Claims (7)

  1. 木質系原料に由来する炭化物にスルホ基を導入してスルホ化することにより得た木質固体酸触媒と、植物系食品残渣物とを混合して加熱することによって、前記植物系食品残渣物中よりマンノースを抽出する
    ことを特徴とするマンノース抽出方法。
  2. フェノール樹脂にスルホ基を導入してスルホ化することにより得た樹脂固体酸触媒と、植物系食品残渣物とを混合して加熱することによって、前記植物系食品残渣物中よりマンノースを抽出する
    ことを特徴とするマンノース抽出方法。
  3. 前記炭化物が、前記木質系原料をバインダにより保形した形状物である請求項1に記載のマンノース抽出方法。
  4. 前記木質固体酸触媒と前記植物系食品残渣物が水分存在下で加熱される請求項1に記載のマンノース抽出方法。
  5. 前記樹脂固体酸触媒と前記植物系食品残渣物が水分存在下で加熱される請求項2に記載のマンノース抽出方法。
  6. 前記木質固体酸触媒と前記植物系食品残渣物との加熱が、80〜150℃の温度条件下で行われる請求項4に記載のマンノース抽出方法。
  7. 前記植物系食品残渣物がコーヒー豆抽出残渣である請求項1ないし6のいずれか1項に記載のマンノース抽出方法。
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