JP2016539944A - 新規sars免疫原性組成物 - Google Patents
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Abstract
本開示の実施形態は、重症急性呼吸器症候群(SARS)を治療または予防するための免疫原性組成物および方法に関する。これらの組成物および方法は、SARS−CoVスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)の一部に関する。少なくとも特定の例では、RBDの脱グリコシル化突然変異体などの突然変異型のRBDの一部を利用する。【選択図】なし
Description
本出願は、その全容が参照により本明細書に組み込まれている、2013年11月26日に出願された米国仮特許出願第61/909,145号の優先権を主張するものである。
連邦政府による資金提供を受けた研究開発に関する陳述
本発明は、米国国立衛生研究所により授与されたR01AI098775の下、政府の支援によってなされた。政府は本発明において特定の権利を有する。
本発明は、米国国立衛生研究所により授与されたR01AI098775の下、政府の支援によってなされた。政府は本発明において特定の権利を有する。
本開示の分野は、少なくとも細胞生物学、分子生物学、免疫学、ウイルス学、生化学、予防接種学、および医学の分野に関する。
重症急性呼吸器症候群(SARS)は2002年に中国南部の広東省で出現し、最終的に5大陸に広がり、そこでSARSは8,000の呼吸器感染症と800の死を引き起こした(Du et al.、2009)。SRASコロナウイルス(SARS−CoV)は2003年にSARSの病原因子として確認され(Peiris et al.、2003;Zhong et al.、2003)、おそらくバイオディフェンスで重要な他の高伝染性因子と共にカテゴリーCの病原体として、米国国立衛生研究所(NIH)の国立アレルギー感染症研究所により後に定義された(Jiang et al.、2012)。
2002〜03におけるSARSパンデミックの爆発的性質のため、ワクチンを含めたSARS対策を開発するための集中的努力が進行中である(Du et al.、2009)。安定した有効なSARS−CoVワクチンを、国家的または世界規模公衆衛生上の緊急時備蓄品の一部として貯蔵することが可能である(Jiang et al.、2012)。初期の努力は、化学物質または照射によりしばしば不活化されミョウバン・アジュバント化された完全ウイルス・ワクチンの開発に焦点を当てた(Du et al.、2009)。しかしながら、実験用マウスにおいて、Th2関連肺胞損傷の痕跡と共に好酸球性免疫促進異常を、このようなワクチンが誘発したことが観察された(Perlman et al.、2005;Balles et al.、2011)。以前、予防接種済み児童における免疫促進異常によって不活化呼吸器合胞体ウイルス(RSV)ワクチンを開発するための同様の計画が狂った(Castilow et al.、2007)。
代替手法として、SARS−CoVスパイク(S)タンパク質を含む原型サブユニット・ワクチンが開発されている(Du et al.、2009)。HIVgp160およびインフルエンザ・ヘマグルチニンと同様に、SARS−CoVSタンパク質はクラスIのウイルス融合タンパク質であり、このように、それは宿主中和抗体の主な標的である(Du et al.、2009;Jiang et al.、2012)。遺伝子操作型SARS−CoVSタンパク質ワクチンを開発するための努力は以前に論評されている(Du et al.、2009)。簡単に言うと、ミョウバン・アジュバント化バキュロウイルス発現系組換えタンパク質とS−タンパク質プラスミドを含有するベネズエラウマ脳炎用ベクターの両方が、生SARS−CoVで攻撃したBALB/cマウスにおいて防御を誘発することが示されたが(Du et al.、2009;Tseng et al.、2012)、哺乳動物細胞中で発現されるいくつかのS−タンパク質構築物は抗体介在性促進を引き起こすことが分かった(Jaume et al.、2012)。
完全長Sタンパク質の代替として、残基318〜510を含有するその193アミノ酸(aa)の最小受容体結合ドメイン(RBD)(RBD193)が確認され、その推定ヒト受容体、膜貫通型アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)とin vitroで結合することが分かった(Wong et al.、2004)。さらに、それぞれ哺乳動物細胞293Tとチャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)−K1の培養上清で発現される、組換えタンパク質RBD193と関連構築物RBD219(残基318〜536)は、予防接種済みマウスにおいて中和抗体および防御免疫を誘発することが実証された(Du et al.、2009;Du et al.、2012)。さらにRBDは、完全SARS−CoVまたはSタンパク質構築物発現ワクシニアウイルスで免疫処置したマウス、サル、およびウサギの抗血清において大部分の中和抗体を吸収および除去することもできる(Chen et al.、2005)。
本開示は、疾患の好酸球性免疫異常もしくは抗体介在性促進を誘発せず有害な免疫応答を引き起こさず、一方他のSARSワクチンと比較して強い交差反応性中和抗体応答を同時に誘導するSARS免疫原性組成物を提供することによって、当技術分野で長年感じられていた要望の解決策を提供する。本開示のいくつかの実施形態は、例えばSARSの完全な予防、または1つまたは複数の症状の重症度の低下、または1つまたは複数の症状の発症の遅延を含めた、重症急性呼吸器症候群(SARS)の治療または予防に関連した方法および/または組成物に関する。詳細な態様では、SARSの治療または予防に有用なSARS−CoVスパイクタンパク質に関連した方法および/または組成物がある。特定の実施形態では、SARS−CoVスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)(RBDはスパイクタンパク質のサブユニット1(S1)に由来する)はSARSの治療または予防と関連がある。具体的実施形態では、SARSを治療または予防するためのSARSCoVスパイクタンパク質の1つまたは複数の修飾RBDに関する方法および/または組成物がある。個別の例では、RBDの修飾は、RBD配列の1つまたは複数のグリコシル化部位の欠失および/または突然変異を含む。特定の態様では、RBD修飾組成物は、例えば(置換もしくは物理的除去などによる)第一アスパラギン(RBD219−N1、RBD193−N1)の除去、または残り2つのアスパラギンの片方もしくは両方の置換もしくは除去、およびいくつかの例ではさらに第一アスパラギン(RBD219−N3、RBD193−N3)の欠失などによって、1つまたは複数のアスパラギン結合グリコシル化部位を欠いている。いくつかの例では、RBD修飾組成物にはアミノ酸置換、欠失、逆位などがある可能性がある。詳細な実施形態では、RBD修飾組成物にはグリコシル化部位以外に修飾がある。いくつかの実施形態は、修飾され正常条件下でグリコシル化されたアミノ酸の欠失を含むRBDを含む。本開示のいくつかの態様は、修飾されアスパラギンと(例えばセリンまたはアスパラギン酸などの)別のアミノ酸の置換を含むRBDに関する。特定の例は、例えば2箇所以上のアスパラギンを含め、所与のRBDタンパク質分子における2箇所以上のアミノ酸に修飾を含む。具体的実施形態では、組成物は単離、組換え、合成状態であり、および/または天然で見られない。
具体的実施形態では、1つまたは複数の免疫原性組成物および/または方法を、個体においてSARSの予防、またはSARSの発症の遅延、および/またはSARSの少なくとも1つ症状の重症度の低下のために利用する。
本開示のいくつかの実施形態は、SARS−CoVスパイクタンパク質の受容体結合ドメインを含む、ワクチンなどのSARS免疫原性組成物の開発を含む。ワクチンまたは免疫原性組成物は1つまたは複数のアジュバントを含むことができる。個別の例では、ワクチンまたは免疫原性組成物は、例えば酵母中または哺乳動物系中で組換えタンパク質として発現され得る。
本開示のいくつかの実施形態では、脱グリコシル化したSARS−CoVスパイクタンパク質における受容体結合ドメインの酵母発現系組換えタンパク質は、SARS免疫原性組成物またはワクチンとして有用である。
個別の例では、RBD193とRBD219組換えタンパク質、およびそれらの発現、ならびにそれらの脱グリコシル化型がある。具体的実施形態では、組換えタンパク質は、典型的な酵母ピキア・パストリス(Pichia pastoris)の系において産生される。突然変異体の1つ、RBD219のN1位置におけるN結合型グリコシル化アスパラギンが欠失したRBD219−N1は、組換えタンパク質として発現され、高収率で精製され、哺乳動物発現系RBD193と同等以上のその機能性と抗原性を維持し得る。(ミョウバン系アジュバントとの組合せなどの)RBD219−N1は、SARS−CoV偽ウイルスと生存ウイルスの両方に対する高力価の中和抗体を誘発した。したがってこの分子は、例えばワクチンなどの組換えSARS免疫原性組成物に関する、スケールアップ・プロセスの開発と製造に有用である。
本発明の詳細な態様では、本開示の方法および/または組成物によって処理される感染は、SARSまたはSARS関連ウイルス、中東呼吸器症候群(MERS)と遺伝学的に関連があるウイルスなどによる感染である。いくつかの例では、感染ウイルスは、SARSであり得るかまたはあり得ないコロナウイルスである。
具体的実施形態では、本開示の1つまたは複数の免疫原性組成物および/または方法を、個体においてMERSの治療もしくは予防、またはMERSの発症の遅延、および/またはMERSの少なくとも1つ症状の重症度の低下のために利用する。
いくつかの例では、個体は、例えば子供、年輩者、軍人、または医療従事者を含めた、SARSもしくはSARS関連感染、またはSARSもしくはSARS関連生物兵器に曝された可能性がある任意の年齢の個体である。個体は、個体がSARSを有するかもしくは個体がSARSを有する傾向があることが知られている地域に居住している、または居住していた可能性がある。
本開示のいくつかの実施形態では、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS−CoV)タンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)を含む単離された組成物であって、前記ドメインが少なくとも1つのグリコシル化部位を欠く、または正常条件下でグリコシル化されている少なくとも1つの部位で脱グリコシル化されている組成物がある。いくつかの例では、ドメインは完全長SARSCoVスパイクタンパク質内に含まれ、一方他の例では、ドメインはSARS−CoVスパイクタンパク質の断片である。具体的実施形態では、断片はSARSCoVスパイクタンパク質のアミノ酸残基275〜575、300〜550、310〜525、もしくは318〜510を含み、または断片はSARSCoVスパイクタンパク質のアミノ酸残基275〜575、300〜550、310〜540、もしくは318〜536を含む。具体的実施形態では、断片は少なくとも190アミノ酸長であり、または断片は少なくとも210アミノ酸長である。
本開示の詳細な態様では、グリコシル化部位はN−グリコシル化部位である。N−グリコシル化部位はアスパラギン部位であってよい。部位はSARS−CoVスパイクタンパク質のアミノ酸318のアスパラギン、SARS−CoVスパイクタンパク質のアミノ酸330のアスパラギン、またはSARS−CoVスパイクタンパク質のアミノ酸347のアスパラギンにあり得る。具体的実施形態では、部位はSARS−CoVスパイクタンパク質のアミノ酸318、アミノ酸330、またはアミノ酸347からなる群から選択される1つまたは複数のアスパラギンにある。個別の例では、断片はSARSCoVスパイクタンパク質のアミノ酸残基318〜536を含み、部位はSARS−CoVスパイクタンパク質のアミノ酸318のアスパラギンにある。いくつかの例では、部位はアミノ酸欠失、またはセリンもしくはアラニンへの置換などのアミノ酸置換を含む。
本開示の任意の組成物は薬学的に許容されるビヒクルに含まれ得る。
一実施形態では、個体におけるSARSの発症を予防もしくは遅延する、またはSARSの少なくとも1つの症状を低下する方法であって、個体に有効量の本開示の任意の組成物を提供するステップを含む方法がある。詳細な態様では、組成物を個体に1回または2回以上提供する。組成物は、第1提供ステップの数週間、数ヶ月、または数年以内に個体に後で提供することができる。いくつかの例では、個体は1つまたは複数のSARSの症状を示す、如何なるSARSの症状も欠く、またはSARSに曝されている。特定の態様では、個体はSARSを有する個体と接触している。詳細な態様では、個体は、生物兵器に曝されているまたはそのリスクがある子供、年輩者であり、または医療従事者である。
一実施形態では、個体におけるMERSの発症を予防もしくは遅延する、またはMERSの少なくとも1つの症状を低下する方法であって、個体に有効量の本開示の任意の組成物を提供するステップを含む方法がある。詳細な態様では、組成物を個体に1回または2回以上提供する。組成物は、第1提供ステップの数週間、数ヶ月、または数年以内に個体に後で提供することができる。いくつかの例では、個体は1つまたは複数のMERSの症状を示す、如何なるMERSの症状もない、またはMERSに曝されている。特定の態様では、個体はMERSを有する個体と接触している。詳細な態様では、個体は、生物兵器に曝されているまたはそのリスクがある子供、年輩者であり、または医療従事者である。
長年にわたる特許法の慣習に従い、語句「a」および「an」は、語句「含む」と共に請求の範囲を含め本明細書中で使用するとき、「1つまたは複数」を示す。いくつかの実施形態は、本開示の1つまたは複数の要素、方法ステップ、および/または方法からなる、またはこれらから本質的になり得る。本明細書中に記載する任意の方法または組成物は、本明細書中に記載する任意の他の方法または組成物、開示する実施形態に対して実施することができ、本発明の主題の精神と範囲から逸脱せずに同様または類似の結果をさらに得られることは企図される。
本明細書中で使用する用語「有効量」は、SARSもしくはSARS関連感染を予防する、またはSARSもしくはSARS関連疾患の少なくとも1つ症状の発症の遅延、またはそれらの改善に必要とされる化合物の量として定義する。例えば、SARSもしくはSARS関連疾患の治療または予防において、少なくとも1つ症状の発生を抑制する、または発症を遅延させる、または少なくとも1つ症状の重症度を低下させる化合物が有効であり得る。いくつかの実施形態では、疾患を治癒するのに有効量の化合物は必要とされないが、疾患の治療または予防はもたらす。
I.一般的実施形態
重症急性呼吸器症候群(SARS)は2002年に中国で出現し、最終的に世界規模で8,000の感染症と800の死を引き起こした。それはカテゴリーCの病原体であり、したがって将来的パンデミックの予防およびバイオディフェンス用備蓄品のためのワクチンの開発が必要とされる。以前の試験は、SARS−CoVスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)からなるSARSワクチン候補は、予防接種済み動物において強い中和抗体応答およびSARS−CoV攻撃に対する防御を誘導できることを示している。しかしながら、以前の試験における組換えRBDの発現はコストが高く評価不能であり、または不要なタグもしくは融合体を含有していた。
SARSコロナウイルス(SARS−CoV)によって引き起こされる重症急性呼吸器症候群(SARS)の将来的パンデミックの予防、およびバイオディフェンス用備蓄品のためのワクチンの開発は早急に必要とされ本明細書に包含される。以前の試験は、SARS−CoVスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)を有していた候補SARSワクチン抗原は、予防接種済み動物において強い中和抗体応答およびSARS−CoV攻撃に対する防御を誘導できることを示している。RBDワクチン候補の大型生産に関する発現条件を最適化するためには、RBDタンパク質中のグリコシル化部位を除去することによって、これが実施可能であると考えられた。本開示では、例として2個のRBDタンパク質変異体、1)RBD193−野生型(193アミノ酸、残基318〜510)およびその脱グリコシル化型(RBD193−N1、RBD193−N2、RBD193−N3)、2)RBD219−野生型(219アミノ酸、残基318〜536)およびその脱グリコシル化型(RBD219−N1、RBD219−N2、およびRBD219−N3)を構築した。一例として、酵母における組換えタンパク質として構築物が発現され得る。これらの構築物の精製組換えタンパク質は、アジュバントとしてミョウバンを使用し、マウスにおいてそれらの抗原性、機能性および免疫原性に関して比較した。RBD219−N1はより高い発現収率を示し、その抗原性と機能性を維持した。さらに重要なことに、RBD219−N1は、免疫処置マウスにおいてRBD193−野生型、RBD193−N1、RBD193−N3またはRBD219−野生型より、有意に強力なRBD特異的抗体応答および高レベルの中和抗体を誘導した。したがってRBD219−N1は、ワクチンなどの最適SARS免疫原性組成物として有用である。
II.SARS
本発明の組成物および/または方法を提供する個体はSARSを有することが知られている可能性がある、SARSを有する疑いがあり得る、SARSに曝されていたことが知られている可能性がある、またはSARSに曝されていた疑いがあり得る。
個体がSARSに罹患した場合、最初の症状は通常少なくとも38℃(100.4°F)以上の発熱である。初期症状は約2〜10日間続き、例えば悪寒/硬直、筋肉痛、頭痛、下痢、咽頭痛、鼻水、倦怠感、および筋肉痛を含めた、一般的な流感のような症状を含む。空咳、息切れ、および/または上気道感染症が次いで発症し得る。血中のリンパ球数は通常減少し、血小板数も少なくなる可能性がある。血清中の乳酸脱水素酵素(LDH)およびクレアチニンホスホキナーゼ(CPK)レベルは増大し得る。個体には診断の一部として健康診断、胸部レントゲン検査および/またはHRCTスキャンを施すことができる。具体的実施形態では、SARSの診断は本開示の方法における任意選択または必須ステップである。
SARSに重度に罹患した人は、成人呼吸窮迫症候群(ARDまたはARDS)と呼ばれる、おそらく死に至る型の呼吸不全を発症する。このような場合、ウイルスは身体内の肺以外の臓器を攻撃し、例えば腎不全、心膜の炎症(心膜炎)、凝固系の破裂が原因の重度の全身出血(播種性血管内凝固症候群)、白血球細胞数の減少(リンパ球減少症)、動脈の炎症(脈管炎)、または下痢を伴う腸の炎症を引き起こす。
本発明のいくつかの方法では、個体がSARSを有するかどうか確認するステップを個体に施す。SARS−CoVは、例えばその抗体に関する酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、またはその遺伝子物質に関する逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試験を使用して検出することができる。試験の例には呼吸器系分泌物または血液に実施される試験がある。
個体が適切な症状を有するおよび/または実験室内でSARS−CoVに関する作業をした、または感染した人もしくは哺乳動物と最近接触したとき、個体をSARSに関して試験することができる。
III.中東呼吸器症候群(MERS)
本発明の組成物および/または方法を提供する個体はMERSを有することが知られている可能性がある、MERSを有する疑いがあり得る、MERSに曝されていたことが知られている可能性がある、またはMERSに曝されていた疑いがあり得る。
MERSは2012年にサウジ・アラビアで最初に報告されたウイルス性呼吸器疾患である。それは(EMC/2012(HCoV−EMC/2012)とも呼ばれる)MERS−CoVと呼ばれるコロナウイルスによって引き起こされる。MERS−CoV感染があると確認された大部分の人は重症急性呼吸器疾患を発症した。彼らには発熱、咳、および息切れがあり、これらの人々の約半数は死亡した。
本発明のいくつかの方法では、個体がMERSを有するかどうか確認するステップを個体に施す。試験の例には、MERS抗原に関する試験などの呼吸器系分泌物または血液に実施される試験がある。
個体が適切な症状を有するおよび/または実験室内でMERSに関する作業をした、または感染した人もしくは哺乳動物と最近接触したとき、またはMERSを有するもしくはMERSを有する傾向がある地域に個体が居住しているもしくは居住していたとき、個体をMERSに関して試験することができる。具体的実施形態では、MERSの診断は本開示の方法における任意選択または必須ステップである。
IV.タンパク質性ワクチンおよび免疫原性組成物
本開示のいくつかの実施形態では、組成物は細胞、組織または動物(例えばヒト)において抗原に対する免疫応答を誘導する。本明細書中で使用する、(あるいは「免疫原性組成物」と呼ぶことができる)「抗原性組成物」は、抗原(例えば、タンパク質、ペプチド、もしくはポリペプチド)または修飾型の抗原を含むことができる。詳細な実施形態では、抗原性組成物は、SARS−CoVスパイクタンパク質、またはその脱グリコシル化型を含めたその突然変異型の受容体結合ドメインの全部または一部を含むかまたはコードする。特定の実施形態では、抗原性組成物またはワクチンは少なくとも1つのアジュバントを含む。他の実施形態では、抗原性組成物は、別の免疫賦活剤またはこのような作用物質をコードする核酸を含む混合物中に存在する。免疫賦活剤には、別の抗原、免疫調節剤、抗原提示細胞またはアジュバントがあるが、これらだけには限られない。他の実施形態では、1つまたは複数の別の作用物質(複数可)が任意の組合せで抗原または免疫賦活剤と共有結合している。特定の実施形態では、抗原性組成物はHLAアンカーモチーフ・アミノ酸と結合しているか、またはそれを含む。
配列番号1はSARS−CoV−RBD−193(318〜510アミノ酸)の核酸配列を与え、配列番号2はそのアミノ酸配列を与える。配列番号3はSARS−CoV−RBD−219(318〜536アミノ酸)の核酸配列を与え、配列番号4はそのアミノ酸配列を与える。完全長SARS−CoVスパイクタンパク質の一例はDQ407820.1でGenBank(登録商標)内に存在し、その配列の全容は参照により本明細書に組み込まれている。
特定の実施形態では、抗原性組成物または免疫機能同等物は、ヒトを含めた動物において、抗SARS体液性および/または細胞媒介性免疫応答を誘導するのに有効なワクチンとして使用することができる。本発明は、能動と受動免疫処置両方の実施形態において使用するための、1つまたは複数の抗原性組成物またはワクチンを企図する。
本発明のワクチンまたは免疫原性組成物は、タンパク質構成要素のその組成が変わる可能性がある。本明細書に記載する様々な組成物は、別の構成要素をさらに含み得ることは理解されよう。例えば、1つまたは複数のワクチンまたは免疫原性組成物の構成要素は、脂質またはリポソーム内に含まれる可能性がある。別の非制限的な例では、ワクチンまたは免疫原性組成物は1つまたは複数のアジュバントを含み得る。本開示のワクチンまたは免疫原性組成物、およびその様々な構成要素は、本開示に照らして、本明細書中に開示するもしくは当業者に知られている任意の方法によって調製および/または投与することができる。
固相合成法による化学合成、およびHPLCによる化学反応の他の産物からの精製、またはin vitro翻訳系または例えば酵母細胞、細菌、哺乳動物細胞もしくはバキュロウイルス/昆虫細胞を含めた生存細胞における、本発明の抗原を含むペプチドもしくはポリペプチドをコードする核酸配列(例えばDNA配列)の発現の生成だけには限られないが、これらを含めた当技術分野でよく知られている方法により、免疫原性組成物を作製できることは理解される。抗原性組成物を単離および大量に精製して1つまたは複数の望ましくない低分子量分子を除去することができ、および/または所望のビヒクルにさらに容易に製剤化するため凍結乾燥することができる。ワクチンなどの抗原性組成物構成要素に施されるアミノ酸付加、欠失、突然変異、化学修飾などは、抗体のエピトープ配列認識に実質的に干渉しないことが好ましいことがさらに理解される。
SARS−CoVスパイクタンパク質の受容体結合ドメインの1つまたは複数の抗原決定基に対応するペプチドまたはポリペプチドは一般に10〜20アミノ酸残基長であってよく、2つ以上のペプチド抗原決定基または最大約30〜50残基以上を含有し得る。ペプチド配列は、例えば自動ペプチド合成装置、Applied Biosystems(Foster City、CA)から入手可能な合成装置などを使用したペプチド合成などの、当業者に知られている方法によって合成することができる。具体的実施形態では、完全長ペプチドはSARS−CoVスパイクタンパク質の193アミノ酸断片または219アミノ酸断片である。
さらに長鎖のペプチドまたはポリペプチドも、例えば組換え手段によって調製することができる。特定の実施形態では、本明細書中に記載する抗原性組成物および/または構成要素をコードする核酸を使用して、例えばin vitroまたはin vivoで本発明の様々な組成物および方法用の抗原性組成物を生成することができる。例えば特定の実施形態では、抗原をコードする核酸は例えばベクター中または組換え細胞中に含まれる。核酸を発現させ、抗原配列を含むペプチドまたはポリペプチドを生成することが可能である。ペプチドまたはポリペプチドは細胞から分泌される、または細胞の一部として含まれる、または細胞内に含まれる可能性がある。
A.免疫機能同等物
修飾および改変を本開示の抗原性組成物の構造に施し、同様のまたは他の望ましい特徴を有する分子をさらに得ることができるので、このような免疫機能同等物も本発明内に包含される。
修飾および改変を本開示の抗原性組成物の構造に施し、同様のまたは他の望ましい特徴を有する分子をさらに得ることができるので、このような免疫機能同等物も本発明内に包含される。
例えば、特定のアミノ酸は、相互作用結合能の明らかな消失なしで、例えば抗体の抗原結合領域、基質分子もしくは受容体上の結合部位、DNA結合部位などのような構造を有するペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質構造中の他のアミノ酸と置換することができる。その生物学的(例えば免疫学的)機能活性を定義するのはペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の相互作用結合能および性質なので、特定アミノ酸配列の置換をアミノ酸配列(または当然その基礎DNAコード配列)に施し、それにもかかわらず同様の(アゴニスト)性を有するペプチドまたはポリペプチドを得ることができる。したがって、例えばSARSCo−VRBDペプチドまたはポリペプチドなどの抗原性組成物の配列に、生物学的有用性または活性の明らかな消失なしで、様々な改変を施すことができることが本発明者らによって企図される。個別の例では、RBDの1つまたは複数のグリコシル化部位は突然変異または欠失状態であり、詳細な実施形態では、対応する野生型配列と比較して修飾された1つまたは複数の他のアミノ酸も存在する。
本明細書中で使用する「アミノ分子」は、当業者に知られている任意のアミノ酸、アミノ酸誘導体またはアミノ酸模倣体を指す。特定の実施形態では、抗原性組成物の残基は、如何なる非アミノ分子もアミノ分子残基の配列を妨害せずに、連続的であるアミノ分子を含む。他の実施形態では、配列は1つまたは複数の非アミノ分子部分を含むことができる。詳細な実施形態では、抗原性組成物の残基の配列は1つまたは複数の非アミノ分子部分によって妨害される可能性がある。
したがって抗原性組成物、特に本明細書中に開示する配列の免疫機能同等物は、天然合成タンパク質における20の共通アミノ酸の少なくとも1つ、または少なくとも1つの修飾もしくは異常アミノ酸を含むアミノ分子配列を包含することができる。
免疫機能同等物に関して、分子の画定部分内に施すことができる改変の数は限られており、さらに許容可能レベルの同等な免疫活性がある分子をもたらすという概念は、この定義に固有であることは、当業者によって充分理解されている。したがって本明細書では、大部分または全部ではないが特定のアミノ酸(複数可)が置換され得るペプチド(複数可)またはポリペプチド(複数可)として免疫機能同等ペプチドまたはポリペプチドを定義する。
特に短い長さのペプチドに関する場合、より少ないアミノ酸置換が所与のペプチド内に施されるに違いないことは企図される。より長いポリペプチドは中間数の改変を有し得る。完全長タンパク質は多数の改変に対して最大耐性を有する。当然ながら、異なる置換を有する複数の別個のポリペプチド/ペプチドを、本発明に従って容易に作製し使用することができる。
特定残基が、タンパク質もしくはペプチド、例えば結合領域もしくは活性部位中の残基の免疫学的または構造的性質に非常に重要であることが示される場合、このような残基は一般に交換することができないことも充分理解される。抗原部位の改変を注意深く考慮し後に試験して免疫機能(例えば抗原性)の維持を確かめなければならない場合、免疫機能の維持が望ましい場合、これは本発明における重要な考慮事項である。このように、相当量のその本来の免疫活性を維持するペプチドまたはポリペプチドとして、本明細書において機能同等物を定義する。
アミノ酸置換は一般に、例えば、アミノ酸側鎖置換基の相対的類似性、それらの疎水性、親水性、電荷、大きさなどに基づく。アミノ酸側鎖置換基の大きさ、形状および型の分析によって、アルギニン、リシンおよびヒスチジンはいずれも正に帯電した残基であること、アラニン、グリシンおよびセリンはいずれも類似した大きさであること、ならびにフェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンはいずれも一般に類似した形状を有することが明らかになる。したがって、これらの考慮事項に基づき、アルギニン、リシンおよびヒスチジン;アラニン、グリシンおよびセリン;ならびにフェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンを、本明細書において免疫機能同等物として定義する。
より定量的な改変を実施するため、アミノ酸のハイドロパシー指標を考慮することができる。それぞれのアミノ酸には、それらの疎水性および電荷特性に基づいてハイドロパシー指標が割り当てられており、それらはイソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン/シスチン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(−0.4)、スレオニン(−0.7)、セリン(−0.8)、トリプトファン(−0.9)、チロシン(−1.3)、プロリン(−1.6)、ヒスチジン(−3.2)、グルタミン酸(−3.5)、グルタミン(−3.5)、アスパラギン酸(−3.5)、アスパラギン(−3.5)、リシン(−3.9)、およびアルギニン(−4.5)である。
タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドに相互作用性生物学的機能をもたらす際のアミノ酸のハイドロパシー指標の重要性は、当技術分野で一般に理解されている(参照により本明細書に組み込まれている、Kyte and Doolittle、1982)。特定のアミノ酸を、類似のハイドロパシー指標またはスコアを有し類似の生物学的活性を依然保持する他のアミノ酸に置換することができることは知られている。ハイドロパシー指標に基づき改変を施す際には、そのハイドロパシー指標が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、そのハイドロパシー指標が±1以内であるアミノ酸の置換が非常に好ましく、そのハイドロパシー指標が±0.5以内であるアミノ酸の置換が一層より非常に好ましい。
同様のアミノ酸の置換は、特にそれらによって構成される免疫機能が同等なポリペプチドまたはペプチドを、本発明の特定実施形態中と同様に免疫学的実施形態において使用することを目的とする場合、親水性に基づいて効率よく行うことができることも当技術分野では理解されている。参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,554,101号は、その隣接アミノ酸の親水性によって左右されるタンパク質の最大局所平均親水性は、その免疫原性および抗原性、すなわちタンパク質の免疫性と相関関係があることを言及している。
米国特許第4,554,101号中に詳述されたように、以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられている。アルギニン(+3.0)、リシン(+3.0)、アスパラギン酸(+3.0±1)、グルタミン酸(+3.0±1)、セリン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、グリシン(0)、スレオニン(−0.4)、プロリン(−0.5±1)、アラニン(−0.5)、ヒスチジン(−0.5)、システイン(−1.0)、メチオニン(−1.3)、バリン(−1.5)、ロイシン(−1.8)、イソロイシン(−1.8)、チロシン(−2.3)、フェニルアラニン(−2.5)、トリプトファン(−3.4)。
類似した親水性値に基づき改変を施す際には、その親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、その親水性値が±1以内であるアミノ酸の置換が非常に好ましく、その親水性値が±0.5以内であるアミノ酸の置換が一層より非常に好ましい。
多数の科学技術文献は、アミノ酸配列の分析からの二次構造の予測、およびエピトープの同定にも力を入れている(Chou and Fasman、1974a,b;1978a,b、1979)。望ましい場合これらのいずれかを使用して、米国特許第4,554,101号の教示に補足することができる。
さらに、1つまたは複数のタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの抗原部分とエピトープ・コア領域の予測を支援するコンピュータ・プログラムが現在利用可能である。例には、Jameson−Wolfの分析(Jameson and Wolf、1988、Wolf et al.、1988)に基づくプログラム、プログラムPepPlot(登録商標)(Brutlag et al.、1990、Weinberger et al.、1985)、およびタンパク質三次構造予測用の他の新たなプログラム(Fetrow and Bryant、1993)がある。このような分析を実施することができる別の市販のソフトウェア・プログラムはMacVector(IBI、New Haven、CT)である。
さらなる実施形態では、ペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸の一部分が組換え宿主内で発現されるペプチドまたはポリペプチドの主要抗原決定基は、実験的手法によって確認することができ、生成したペプチド(複数可)またはポリペプチド(複数可)は免疫応答を誘発するそれらの能力に関して試験することができる。例えばPCR(商標)を使用して、アミノ酸配列のC末端の連続的に長い断片を欠く一定範囲のペプチドまたはポリペプチドを調製することができる。これらのペプチドまたはポリペプチドそれぞれの免疫活性を決定して、免疫優勢である断片またはドメインを確認する。したがって、各反復配列においてごく少数のアミノ酸を除去したさらなる試験は、ペプチドまたはポリペプチドの抗原決定基(複数可)の位置をより正確に決定することができる。
ペプチドまたはポリペプチドの主要抗原決定基を決定するための別の方法はSPOTs(商標)システム(Genosys Biotechnologies、Inc.、The Woodlands、TX)である。この方法では、重複ペプチドをセルロース膜上で合成し、合成および脱保護後、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を使用してそれらをスクリーニングする。最初に確認されたペプチドまたはポリペプチドの抗原決定基は、大きな重複がある小さなペプチドの二次合成を実施し、免疫反応性配列に沿って各位置の個々のアミノ酸を最後に置換することによって、さらに位置を突き止めることができる。
1つまたは複数のこのような分析が終了した後、1つまたは複数の抗原決定基の必須特徴を少なくとも含有する抗原性組成物、例えばペプチドまたはポリペプチドなどを調製する。次いで抗原性組成物を、組成物、および好ましくは抗原決定基(複数可)に対する抗血清の生成において利用する。
考察ではアミノ酸改変から生じる機能的に同等なポリペプチドに焦点を当てているが、遺伝子コードが縮重コードであること、および2つ以上のコドンが同じアミノ酸をコードすることができることも考慮に入れて、これらの改変はコードDNAの変更によって実施することができることは理解される。標準的な方法(Sambrook et al.、1987)によって、例えばPCR(商標)クローニング法を使用して、これらの抗原性組成物をコードする核酸を構築し1つまたは複数の発現ベクターに挿入することもできる。
本明細書中に記載するペプチジル化合物以外に、本発明者らは、他の立体的に類似した化合物を製剤化してペプチドまたはポリペプチド構造の重要部分を模倣する、または例えば抗体と特異的に相互作用させることが可能であることも企図する。ペプチド模倣体と呼ぶことができるこのような化合物は、本発明のペプチドまたはポリペプチドと同じ形式で使用することができ、したがってこれらも免疫機能同等物である。
タンパク質二次構造の要素を模倣した特定の模倣体がJohnson et al.(1993)中に記載されている。ペプチド模倣体を使用する根本的な理由は、タンパク質のペプチド骨格は主に、抗体と抗原の相互作用などの分子間相互作用を容易にするような形式で、アミノ酸側鎖を配向させるために存在することである。したがってペプチド模倣体は、天然分子と類似した分子間相互作用を可能にするよう設計される。
B.抗原の突然変異誘発
詳細な実施形態では、例えばその免疫原性を高める、または免疫機能が同等な配列の生成もしくは確認などの目的で、抗原性組成物を突然変異させる。突然変異誘発の方法は当業者によく知られている(Sambrook et al.、1987)。
詳細な実施形態では、例えばその免疫原性を高める、または免疫機能が同等な配列の生成もしくは確認などの目的で、抗原性組成物を突然変異させる。突然変異誘発の方法は当業者によく知られている(Sambrook et al.、1987)。
本明細書中で使用する用語「オリゴヌクレオチド指定突然変異誘発手順」は、その初期濃度と比較した特異的核酸分子の濃度の増大、または増幅などの検出可能シグナルの濃度の増大をもたらす、鋳型依存的プロセスおよびベクター媒介性増殖を指す。本明細書中で使用する用語「オリゴヌクレオチド指定突然変異誘発手順」は、プライマー分子の鋳型依存的延長を含むプロセスを指すものとする。用語、鋳型依存的プロセスはRNAまたはDNA分子の核酸合成を指し、この場合核酸の新たに合成される鎖の配列はよく知られている相補的塩基対形成の法則によって指定される(例えば、Watson、1987参照)。典型的にはベクター媒介法は、DNAまたはRNAベクターへの核酸断片の導入、ベクターのクローン増幅、および増幅核酸断片の回収を含む。このような方法のいくつかの例は、参照によりその全容が具体的に本明細書に組み込まれている米国特許第4,237,224号によって提供される。
好ましい一実施形態では、部位指定突然変異誘発を使用する。部位特異的突然変異誘発は、基本DNAの特異的突然変異誘発を介した、抗原性組成物の調製において有用な技法である。一般に、部位特異的突然変異誘発の技法は当技術分野でよく知られている。この技法は、1つまたは複数の前述の考慮事項を組み込んで、DNAに1つまたは複数のヌクレオチド配列改変を導入することによって配列変異体を調製し試験するのに充分な能力をさらに与える。部位特異的突然変異誘発は、望ましい突然変異のDNA配列をコードする特異的オリゴヌクレオチド配列(複数可)、および突然変異する位置の両側に安定した二本鎖を形成する充分な大きさと配列複雑性のプライマー配列を与えるのに充分な数の隣接ヌクレオチドの使用によって、突然変異体を生成することができる。典型的には、改変する位置の両側に約10〜約25以上の残基を有する約17〜約75ヌクレオチド長のプライマーが好ましく、一方改変する位置の両側に約5〜10の残基を有する約17〜約25ヌクレオチド長のプライマーがより好ましい。
一般に部位指定突然変異誘発は、最初に一本鎖ベクターを得ること、または望ましいタンパク質をコードするDNA配列をその配列内に含む二本鎖ベクターの2本の鎖を融解することによって実施される。当業者によって理解されるように、この技法は、一本鎖型と二本鎖型の両方で存在するバクテリオファージ・ベクターを典型的に利用する。部位指定突然変異誘発において有用である典型的なベクターは、M13ファージなどのベクターを含む。これらのファージ・ベクターは市販されており、これらの使用は一般に当業者にはよく知られている。二本鎖プラスミドも部位指定突然変異誘発において通常利用されており、これによってファージからプラスミドに対象の遺伝子を移すステップを削除する。
次いでこの突然変異誘発プライマーを一本鎖DNA調製物とアニーリングさせ、DNA重合酵素、例えば大腸菌ポリメラーゼIクレノウ断片などに施して、突然変異がある鎖の合成を終了させる。したがって、1本の鎖が原型非突然変異配列をコードし第2の鎖に望ましい突然変異があるヘテロ二本鎖が形成される。次いでこのヘテロ二本鎖を使用して大腸菌細胞などの適切な細胞を形質転換し、突然変異した配列配置がある組換えベクターを含むクローンを選択する。
あるいは、一対のプライマーを二本鎖ベクターの2本の別個の鎖とアニーリングさせ、PCR(商標)反応において所望の突然変異(複数可)がある対応する両方の相補鎖を同時に合成することができる。突然変異オリゴヌクレオチドを取り込んだクローンを増大させるための遺伝子選択スキームが考案されている(Kunkel et al.、1987)。あるいは、Taqポリメラーゼなどの市販の耐熱性酵素を用いたPCR(商標)の使用は、増幅DNA断片に突然変異オリゴヌクレオチド・プライマーを取り込ませるために使用することができ、次いでそれを適切なクローニングまたは発現ベクターにクローニングすることができる(Tomic et al.、1990;Upender et al.、1995)。耐熱性ポリメラーゼ以外に耐熱性リガーゼを利用するPCR(商標)を使用して、増幅DNA断片にリン酸化突然変異オリゴヌクレオチドを取り込ませることもでき、次いでそれを適切なクローニングまたは発現ベクターにクローニングすることができる(Michael 1994)。
部位指定突然変異誘発を使用して選択した遺伝子の配列変異体の調製は、おそらく有用な種を生成する手段として与え限定的であることは意味しない。遺伝子の配列変異体を入手することができる他の方法が存在するからである。例えば、所望の遺伝子をコードする組換えベクターをヒドロキシルアミンなどの突然変異誘発剤で処理して、配列変異体を入手することができる。
さらに、1つの特に有用な突然変異誘発技法は、タンパク質立体配座における大規模な混乱のリスクを最小限にしながら側鎖相互作用消失の影響を決定することができるように、いくつかの残基がアミノ酸アラニンと個別に置換されるアラニン・スキャニング突然変異誘発である(Cunningham et al.、1989)。
C.リポソーム媒介型トランスフェクション
本発明のさらなる実施形態では、1つまたは複数のワクチンまたは免疫原性組成物構成要素を、例えばリポソームなどの脂質複合体内に捕捉することが可能である。リポソームは、リン脂質二重層膜と内部水性媒体によって特徴付けられる小胞構造体である。多層状リポソームは、水性媒体によって隔てられた多数の脂質層を有する。リン脂質を過剰な水溶液に懸濁させると、それらは自然発生する。脂質構成要素は閉鎖構造の形成前に自己再編成を経て、脂質二重層間に水と溶存溶質を捕捉する(Ghosh and Bachhawat、1991)。
本発明のさらなる実施形態では、1つまたは複数のワクチンまたは免疫原性組成物構成要素を、例えばリポソームなどの脂質複合体内に捕捉することが可能である。リポソームは、リン脂質二重層膜と内部水性媒体によって特徴付けられる小胞構造体である。多層状リポソームは、水性媒体によって隔てられた多数の脂質層を有する。リン脂質を過剰な水溶液に懸濁させると、それらは自然発生する。脂質構成要素は閉鎖構造の形成前に自己再編成を経て、脂質二重層間に水と溶存溶質を捕捉する(Ghosh and Bachhawat、1991)。
D.ワクチンまたは免疫原性組成物構成要素の精製
いずれの場合も、ワクチン構成要素(例えば、抗原性ペプチドまたはポリペプチド)は、化学合成試薬、細胞または細胞構成要素から単離および/または精製することができる。ワクチンまたは免疫原性組成物構成要素を生成する方法では、本明細書中に記載するまたは当業者によく知られている任意の適切な技法によって精製が実施される(例えば、Sambrook et al.、1987)。本発明の抗原性組成物または他のワクチン構成要素が常にそれらの最も精製された状態で提供されなければならないという、一般的な要求基準はない。実際、実質的にあまり精製されていないが、それにもかかわらずその天然状態と比較して望ましい化合物が増大したワクチンまたは免疫原性組成物構成要素は、例えばタンパク質産物の完全回収などの特定の実施形態において、または発現タンパク質の活性を維持する際に有用であることが企図される。しかしながら、不活性産物も特定の実施形態において、例えば抗体産生により抗原性を決定する際などに有用であることが企図される。
いずれの場合も、ワクチン構成要素(例えば、抗原性ペプチドまたはポリペプチド)は、化学合成試薬、細胞または細胞構成要素から単離および/または精製することができる。ワクチンまたは免疫原性組成物構成要素を生成する方法では、本明細書中に記載するまたは当業者によく知られている任意の適切な技法によって精製が実施される(例えば、Sambrook et al.、1987)。本発明の抗原性組成物または他のワクチン構成要素が常にそれらの最も精製された状態で提供されなければならないという、一般的な要求基準はない。実際、実質的にあまり精製されていないが、それにもかかわらずその天然状態と比較して望ましい化合物が増大したワクチンまたは免疫原性組成物構成要素は、例えばタンパク質産物の完全回収などの特定の実施形態において、または発現タンパク質の活性を維持する際に有用であることが企図される。しかしながら、不活性産物も特定の実施形態において、例えば抗体産生により抗原性を決定する際などに有用であることが企図される。
本発明は、精製された、および特定の実施形態では実質的に精製されたワクチンまたは免疫原性組成物構成要素も提供する。本明細書中で使用する用語「精製されたワクチン構成要素」または「精製された免疫原性組成物構成要素」は少なくとも1つのそれぞれのワクチンまたは免疫原性組成物構成要素(例えば、細胞から単離可能なタンパク質性組成物)を指すものとし、この場合構成要素は、その本来得られる状態と比較して、例えば細胞抽出物または化学合成の試薬内のその純度と比較して任意の程度に精製される。ワクチン構成要素がタンパク質性組成物である特定の態様では、精製されたワクチン構成要素は、それが本来存在する環境から分離された野生型または突然変異タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドも指す。
用語「実質的に精製された」を使用する場合、これは特定化合物(例えばタンパク質、ポリペプチド、またはペプチド)が組成物の主要構成要素を形成する、例えば組成物中の約50%以上をその化合物が構成する組成物を指す。好ましい実施形態では、実質的に精製されたワクチン構成要素は、組成物中の約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%より多く、またはより多量の化合物を構成する。
特定の実施形態では、ワクチンまたは免疫原性組成物構成要素を均質状態に精製することができる。本発明に適用する「均質状態に精製」は、ワクチン構成要素に、他の化学物質、生体分子または細胞から化合物が実質的に精製された一定レベルの純度があることを意味する。例えば、精製ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は他のタンパク質構成要素を実質的に含まないことが多く、したがって分解的シークエンシングを首尾よく実施することができる。ワクチン構成要素の精製度を定量化するための様々な方法が、本開示に照らして当業者に知られる。これらは、例えば分画の特異的タンパク質の活性(例えば抗原性)の決定、またはゲル電気泳動による分画内のポリペプチド数の評価を含む。
当業者によく知られている、化学的、生体分子または生物学的精製において使用するのに適した様々な技法を、本発明のワクチン構成要素の調製に適用することができる。これらは、例えば硫酸アンモニウム、PEG、抗体などを用いた沈殿、または熱変性による沈殿、次に遠心分離、分画化、分配クロマトグラフ(例えばペーパー・クロマトグラフ、薄層クロマトグラフ(TLC)、ガス−液体クロマトグラフィーおよびゲル・クロマトグラフィー)、ガス・クロマトグラフィー、高性能液体クロマトグラフィー、アフィニティー・クロマトグラフィー、超臨界流体クロマトグラフィー、イオン交換、ゲル濾過、逆相、ヒドロキシアパタイト、レクチン・アフィニティーだけには限られないが、これらを含めたクロマトグラフィー手順、等電点電気泳動およびゲル電気泳動を含む(例えば参照により本明細書に組み込まれている、Sambrook et al.、1989;and Freifelder、Physical Biochemistry、第2版、238〜246頁を参照)。
多くのDNAおよびタンパク質が知られており(例えば、the National Center for Biotechnology InformationのGenBank(登録商標)およびGenPept(登録商標)データベースを参照)、または本明細書中に記載する方法を使用して確認および増幅することができることを考慮して、当業者に知られている組換え発現核酸またはタンパク質配列に関する任意の精製法を現在利用することができる。特定の態様では、核酸はポリアクリルアミド・ゲル、および/または塩化セシウム密度勾配遠心法で、または当業者に知られている任意の他の手段によって精製することができる(例えば参照により本明細書に組み込まれている、Sambrook et al.、1989を参照)。さらなる態様では、融合タンパク質として配列を組換えにより発現させることによって、タンパク質配列の精製を実施することが可能である。このような精製は当技術分野において通常の手順である。これは、特異的タンパク質−グルタチオンS−トランスフェラーゼ融合タンパク質の生成、大腸菌における発現、およびグルタチオン−アガロースにおけるアフィニティー・クロマトグラフィーを使用した均質状態への単離、またはタンパク質のN−もしくはC−末端におけるポリヒスチジン・タグの生成、およびNi−アフィニティー・クロマトグラフィーを使用した二次精製によって例示される。詳細な態様では、細胞またはワクチンの他の構成要素はフロー・サイトメトリーにより精製することができる。フロー・サイトメトリーは液体サンプル中の細胞または他の粒子の分離を含み、これは当技術分野でよく知られている(例えば、米国特許第3,826,364号、米国特許第4,284,412号、米国特許第4,989,977号、米国特許第4,498,766号、米国特許第5,478,722号、米国特許第4,857,451号、米国特許第4,774,189号、米国特許第4,767,206号、米国特許第4,714,682号、米国特許第5,160,974号および米国特許第4,661,913号を参照)。本明細書中に記載するこれらの技法のいずれか、およびこれらと当業者に知られている任意の他の技法の組合せを使用して、本発明のワクチンを構成し得る様々な化学物質、タンパク質化合物、核酸、細胞物質および/または細胞を精製するおよび/またはその純度をアッセイすることができる。当技術分野で一般的に知られているように、様々な精製ステップを実施する順序は変更することができること、または特定のステップは省略することができ、実質的に精製された抗原または他のワクチン構成要素を調製するのに適した方法をさらにもたらすことが考えられる。
E.他のワクチン構成要素
本発明の抗原性組成物を1つまたは複数の他の構成要素と組み合わせて、より有効な組成物またはワクチンを形成することができることは企図される。他の構成要素の非制限的な例には、例えば本発明の抗原性組成物および/または他の構成要素(複数可)に対する免疫応答を刺激するための、1つまたは複数の他の抗原、免疫調節物質またはアジュバントがある。
本発明の抗原性組成物を1つまたは複数の他の構成要素と組み合わせて、より有効な組成物またはワクチンを形成することができることは企図される。他の構成要素の非制限的な例には、例えば本発明の抗原性組成物および/または他の構成要素(複数可)に対する免疫応答を刺激するための、1つまたは複数の他の抗原、免疫調節物質またはアジュバントがある。
1.免疫調節物質
例えば、免疫調節物質をワクチン内に含めて細胞または患者の(例えば動物の)応答を増強することができることは企図される。精製タンパク質として免疫調節物質、免疫調節物質をコードする核酸、および/または免疫調節物質を発現する細胞を、例えばワクチン組成物中に含めることができる。以下の項は対象である免疫調節物質の非制限的な例を列挙し、免疫調節物質の様々な組合せ(例えば、サイトカインとケモカイン)を特定の実施形態中で使用することができることは企図される。
例えば、免疫調節物質をワクチン内に含めて細胞または患者の(例えば動物の)応答を増強することができることは企図される。精製タンパク質として免疫調節物質、免疫調節物質をコードする核酸、および/または免疫調節物質を発現する細胞を、例えばワクチン組成物中に含めることができる。以下の項は対象である免疫調節物質の非制限的な例を列挙し、免疫調節物質の様々な組合せ(例えば、サイトカインとケモカイン)を特定の実施形態中で使用することができることは企図される。
インターロイキン、サイトカイン、インターロイキンまたはサイトカインをコードする核酸、および/またはこのような化合物を発現する細胞は考えられるワクチン構成要素として企図される。インターロイキンとサイトカインには、インターロイキン1(IL−1)、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−18、β−インターフェロン、α−インターフェロン、γ−インターフェロン、アンギオスタチン、トロンボスポンジン、エンドスタチン、GM−CSF、G−CSF、M−CSF、METH−1、METH−2、腫瘍壊死因子、TGFβ、LT、およびこれらの組合せがあるが、これらだけには限られない。
ケモカイン、ケモカインをコードする核酸、および/またはこれらを発現する細胞もワクチン構成要素として使用することができる。ケモカインは一般に、ケモカイン発現の部位に免疫エフェクター細胞を動員するためのケモアトラクタントとして作用する。例えばサイトカインコード配列と組み合わせて特定のケモカインコード配列を発現させ、治療部位への他の免疫系構成要素の動員を高めることが、有利である可能性がある。このようなケモカインには、例えばRANTES、MCAF、MIP1−α、MIP1−β、IP−10、およびこれらの組合せがある。当業者は、特定のサイトカインはケモアトラクタント効果も有することが知られており、用語ケモカインの下に分類することも可能であることを理解している。
特定実施形態では、抗原性組成物と担体または組換え発現系免疫原性担体ペプチドもしくはポリペプチドを化学結合させて(例えば、抗原−担体融合ペプチドもしくはポリペプチド)、免疫反応を高めることが可能である。例示的で好ましい免疫原性担体アミノ酸配列には、B型肝炎表面抗原、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)およびウシ血清アルブミン(BSA)がある。卵白アルブミン、マウス血清アルブミンまたはウサギ血清アルブミンなどの他のアルブミンも免疫原性担体タンパク質として使用することができる。ポリペプチドまたはペプチドと免疫原性担体タンパク質を結合させるための手段は当技術分野でよく知られており、例えばグルタルアルデヒド、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、カルボジイミドおよびビス−ジアゾ化ベンジジンを含む。
T細胞免疫を上方制御しサプレッサー細胞活性を下方制御することが示されている生物学的反応修飾物質(BRM)を、同時投与することが望ましい可能性がある。このようなBRMには、シメチジン(CIM;1200mg/d)(Smith/Kline、PA)、低用量シクロホスファミド(CYP;300mg/m2)(Johnson/Mead,NJ)、またはB−7などの1つまたは複数の免疫ヘルパー機能に関与するタンパク質をコードする遺伝子があるが、これらだけには限られない。
2.アジュバント
免疫処置プロトコールは応答を刺激するため長年アジュバントを使用しており、このようなアジュバントは当業者にはよく知られている。いくつかのアジュバントは、抗原が提示される形式に影響を与える。例えばタンパク質抗原がミョウバンによって沈殿するとき、免疫応答は増大する。抗原の乳化も抗原提示の期間を延長する。
免疫処置プロトコールは応答を刺激するため長年アジュバントを使用しており、このようなアジュバントは当業者にはよく知られている。いくつかのアジュバントは、抗原が提示される形式に影響を与える。例えばタンパク質抗原がミョウバンによって沈殿するとき、免疫応答は増大する。抗原の乳化も抗原提示の期間を延長する。
一態様では、約0.05〜約0.1%リン酸緩衝生理食塩水溶液中で使用するミョウバンなどの、作用物質の使用によってアジュバント効果を得る。あるいは、約0.25%溶液として使用する糖の合成ポリマー(Carbopol(登録商標))との混合物として抗原を作製する。アジュバント効果は、それぞれ30秒間〜2分間の約70°〜約101℃の間の範囲の温度での熱処理による、ワクチンにおける抗原の凝集によってなすこともできる。アルブミンに対するペプシン処理(Fab)抗体、クリプトスポリジウム属パルバム(C.parvum)などの細菌細胞(複数可)、グラム陰性菌のエンドトキシンまたは多糖構成要素、生理的に許容される油性ビヒクルに乳濁したエマルジョン、モノオレイン酸マンニド(AracelA)など、またはブロック置換基として使用されるペルフルオロカーボン(Fluosol−DA(登録商標))の20%溶液とのエマルジョンとの混合物を用いた再活性化による凝集も利用することができる。
いくつかのアジュバント、例えば細菌から得られる特定有機分子は、抗原ではなく宿主に作用する。一例はムラミルジペプチド(N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン[MDP])、細菌ペプチドグリカンである。MDPの影響は、大部分のアジュバントと同様に完全には理解されていない。MDPはマクロファージを刺激するだけでなく、B細胞も直接刺激するようである。したがって、アジュバントの影響は抗原特異的ではない。しかしながら、精製抗原と共にアジュバントを投与する場合、それらを使用して抗原に対する応答を選択的に促進することができる。
アジュバントは、未知の抗原に対する全身免疫の増大を促進するため実験的に使用されている(例えば、米国特許第4,877,611号)。特定実施形態では、ヘモシアニンとヘモエリスリンも本発明において使用することができる。特定実施形態ではキーホールリンペット由来のヘモシアニン(KLH)の使用が好ましいが、他の軟属腫および節足動物のヘモシアニンとヘモエリスリンを利用することができる。
様々な多糖アジュバントを使用することもできる。例えば、マウスの抗体応答に対する様々な肺炎球菌多糖アジュバントの使用が記載されている(Yin et al.、1989)。最適応答をもたらす用量、または他に抑制をもたらさない用量は、記されたように利用すべきである(Yin et al.、1989)。脱アセチル化キチンを含めたキチンおよびキトサンなどの、ポリアミン変種の多糖が特に好ましい。
別群のアジュバントは、ムラミルジペプチド(MDP、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン)群の細菌ペプチドグリカンである。アミノ酸誘導体スレオニル−MDP、および脂肪酸誘導体MTPPEなどのムラミルジペプチドの誘導体も企図される。
米国特許第4,950,645号はムラミルジペプチドの脂溶性二糖−トリペプチド誘導体を記載し、これはホスファチジルコリンとホスファチジルグリセロールから形成される人工リポソームにおける使用に関して記載される。ヒト単球を活性化し腫瘍細胞を破壊する際にそれは有効であるが、一般に高用量で無毒である。米国特許第4,950,645号およびPCT特許出願WO91/16347の化合物は、細胞担体および本発明の他の実施形態との使用が企図される。
本発明における使用が企図される別のアジュバントはBCGである。BCG(カルメット−ゲラン桿菌、マイコバクテリウムの弱毒化株)およびBCG−細胞壁骨格(CWS)も、トレハロースジマイコレート有りまたは無しで、本発明においてアジュバントとして使用することができる。トレハロースジマイコレートはそれ自体使用することができる。トレハロースジマイコレートの投与は、マウスにおけるインフルエンザウイルス感染に対する耐性の増大と関係があることは示されている(Azuma et al.、1988)。トレハロースジマイコレートは米国特許第4,579,945号中に記載されたように調製することができる。
BCGは、その免疫刺激性のため重要な臨床ツールである。BCGは細網内皮系を刺激するよう作用し、ナチュラルキラー細胞を活性化し、造血幹細胞の増殖を増大させる。BCGの細胞壁抽出物には、優れた免疫アジュバント活性があることが証明されている。マイコバクテリア用の分子遺伝学的ツールおよび方法は、BCGに外来遺伝子を導入するための手段をもたらしている(Jacobs et al.、1987;Snapper et al.、1988;Husson et al.、1990;Martin et al.、1990)。
生BCGは、結核を予防するため世界中で使用されている有効で安全なワクチンである。BCGおよび他のマイコバクテリアは非常に有効なアジュバントであり、マイコバクテリアに対する免疫応答は広く研究されている。約20億の免疫処置と共に、BCGには人間における長期の安全な使用の記録がある(Luelmo、1982;Lotte et al.、1984)。BCGは出生時に与えることができる数少ないワクチンの1つであり、それはわずか1回の投与で長期の免疫応答をもたらし、BCG予防接種を経験した世界に分布するネットワークがある。例示的なBCGワクチンはTICE(登録商標)BCG(Organon Inc.、West Orange、NJ)として販売されている。
両親媒性化合物および表面活性剤、例えばサポニンおよびQS21(Cambridge Biotech)などの誘導体は、本発明の免疫原と共に使用するための、さらに別群のアジュバントを形成する。非イオン性ブロックコポリマー界面活性剤(Rabinovich et al.、1994;Hunter et al.、1991)も利用することができる。オリゴヌクレオチドは別の有用なアジュバント群である(Yamamoto et al.、1988)。Quil Aおよびレンチネンは、本発明の特定実施形態中で使用することができる他のアジュバントである。
本発明中で使用するのに好ましい一群のアジュバントは、米国特許第4,866,034号の精製無毒化エンドトキシンなどの無毒化エンドトキシンである。これらの精製無毒化エンドトキシンは、哺乳動物中でアジュバント応答を生み出す際に有効である。当然ながら、無毒化エンドトキシンを他のアジュバントと組み合わせ、マルチアジュバント取り込み型細胞を調製することができる。例えば、米国特許第4,435,386号中に記載されたような、無毒化エンドトキシンとトレハロースジマイコレートの組合せが特に企図される。米国特許第4,436,727号、米国特許第4,436,728号および米国特許第4,505,900号中に記載されたような無毒化エンドトキシンと細胞壁骨格(CWS)またはCWSとトレハロースジマイコレートの組合せと同様に、無毒化エンドトキシンとトレハロースジマイコレートおよびエンドトキシン糖脂質の組合せも企図される(米国特許第4,505,899号)。米国特許第4,520,019号中に記載されたような、無毒化エンドトキシンを含まない、CWSとトレハロースジマイコレートのみの組合せも有用であると想定される。
他の実施形態において本発明は、様々なアジュバントを細胞膜において使用し、改良型免疫原性組成物を生成することができると企図する。唯一の要件は、一般に、アジュバントを問題の細胞の細胞膜に取り込ませる、それと物理的会合させる、またはそれと結合させることが可能であることである。当業者は本発明による細胞性ワクチンと結合させることが可能である異なる種類のアジュバントを理解しており、これらは特にアルキルリゾリン脂質(ALP)、BCG、および(ビオチニル化誘導体を含めた)ビオチンを含む。使用が特に企図される特定アジュバントはグラム細胞由来のタイコ酸である。タイコ酸には、リポタイコ酸(LTA)、リビトールタイコ酸(RTA)およびグリセロールタイコ酸(GTA)がある。活性型のそれらの合成相当物も本発明に関して利用することができる(Takada et al.、1995a)。
例えば抗体を産生すること、または活性化T細胞を後に得ることを望む場合、様々なアジュバント、人間では一般に使用されないアジュバントでさえも動物において利用することができる。例えば非照射腫瘍細胞を使用して起こり得る、アジュバントまたは細胞の一方から生じ得る毒性または他の有害な影響はこのような環境では無関係である。
本発明のいくつかの実施形態において使用するのに好ましい一群のアジュバントは、核酸(例えば、DNAまたはRNA)によってコードされ得るアジュバントである。このようなアジュバントが、抗原をコードする核酸(例えば、発現ベクター)中、または別のベクターもしくは他の構築物中にコードされ得ることは企図される。アジュバントをコードするこれらの核酸は、例えば脂質またはリポソームなどと共に直接送達することができる。
3.賦形剤、塩および補助物質
本発明の抗原性組成物は、薬学的に許容され少なくとも1つの活性成分(例えば抗原)と適合性がある、1つまたは複数の他の構成要素(例えば賦形剤、塩など)と混合することができる。適切な賦形剤は、例えば水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール、およびこれらの組合せである。
本発明の抗原性組成物は、薬学的に許容され少なくとも1つの活性成分(例えば抗原)と適合性がある、1つまたは複数の他の構成要素(例えば賦形剤、塩など)と混合することができる。適切な賦形剤は、例えば水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール、およびこれらの組合せである。
本発明の抗原性組成物は、中性型または塩型としてワクチンに製剤化することができる。薬学的に許容される塩には、(ペプチドの遊離アミノ基で形成される)酸付加塩、および例えば塩酸もしくはリン酸などの無機酸、または例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸で形成される塩がある。遊離カルボキシル基で形成される塩は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化第二鉄などの無機塩基、ならびにイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン、およびこれらの組合せなどの有機塩基から誘導される可能性もある。
さらに、望ましい場合、抗原性組成物は、抗原性組成物またはワクチンの有効性を高める、例えば湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝剤などの1つまたは複数の微量の補助物質を含むことができる。
F.ワクチンおよび免疫原性組成物の調製
生成、合成および/または精製後、抗原または他のワクチン構成要素は、個体に投与するためのワクチンまたは免疫原性組成物として調製することができる。いずれも参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,608,251号、米国特許第4,601,903号、米国特許第4,599,231号、米国特許第4,599,230号および米国特許第4,596,792号によって例示されるように、ワクチンの調製は一般に当技術分野でよく理解されている。本開示に照らし、このような方法を使用して、活性成分(複数可)としてSARS−CoVの特定RBDを含む抗原性組成物を含むワクチンを調製することができる。詳細な実施形態では、本発明の組成物が薬理学的に許容されるワクチンであるように調製する。
生成、合成および/または精製後、抗原または他のワクチン構成要素は、個体に投与するためのワクチンまたは免疫原性組成物として調製することができる。いずれも参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,608,251号、米国特許第4,601,903号、米国特許第4,599,231号、米国特許第4,599,230号および米国特許第4,596,792号によって例示されるように、ワクチンの調製は一般に当技術分野でよく理解されている。本開示に照らし、このような方法を使用して、活性成分(複数可)としてSARS−CoVの特定RBDを含む抗原性組成物を含むワクチンを調製することができる。詳細な実施形態では、本発明の組成物が薬理学的に許容されるワクチンであるように調製する。
本発明の医薬用ワクチンまたは免疫原性組成物は、薬学的に許容される担体に溶解または分散した有効量の1つまたは複数のSARS−CoVの特定RBDを含む。語句「医薬的または薬理学的に許容される」は、適時に例えばヒトなどの動物に投与したとき、有害、アレルギー、または他の望ましくない反応を生み出さない分子体および組成物を指す。参照により本明細書に組み込まれているRemington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Printing Company、1990によって例示されたような、SARS−CoVの少なくとも1つのRBDを含有する医薬組成物の調製は、本開示に照らして当業者に知られる。さらに、動物(例えばヒト)に投与するため、調製はFDA Office of Biological Standardsによって要求される滅菌、発熱性、一般的安全性および純度基準を満たさなければならないことは理解される。
本明細書中で使用する「薬学的に許容される担体」は、当業者に知られているように、任意および全ての溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤(例えば抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、防腐剤、薬剤、安定薬剤、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、色素、同様なこのような物質、およびこれらの組合せを含む(例えば、参照により本明細書に組み込まれているRemington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Printing Company、1990、1289〜1329頁を参照)。SARS−CoVの修飾RBDは、それが固体、液体またはエアロゾル型が投与されるかどうか、およびそれがこのような投与経路の注射物として滅菌状態である必要があるかどうかに応じて、異なるタイプの担体を含むことができる。何らかの従来型担体が活性成分と不適合であることに関する以外、治療用または医薬組成物におけるその使用は企図される。
いずれの場合も組成物は、1つまたは複数の構成要素の酸化を遅らせるため様々な抗酸化剤を含むことができる。さらに、微生物の作用の防止は、パラベン(例えばメチルパラベン、プロピルパラベン)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール、またはこれらの組合せだけには限られないが、これらを含めた様々な抗菌剤および抗真菌剤などの防腐剤によってもたらすことができる。
SARS−CoVの修飾RBDは、遊離塩基、中性型または塩型で組成物に製剤化することができる。薬学的に許容される塩には、酸付加塩、例えばタンパク質組成物の遊離アミノ基で形成される塩、または例えば塩酸もしくはリン酸などの無機酸、または例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸で形成される塩がある。遊離カルボキシル基で形成される塩は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化第二鉄などの無機塩基、またはイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジンもしくはプロカインなどの有機塩基から誘導される可能性もある。
組成物が液体型である実施形態では、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、脂質(例えばトリグリセリド、植物油、リポソーム)およびこれらの組合せだけには限られないが、これらを含めた溶媒または分散媒であってよい。適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングの使用によって、例えば液体ポリオールもしくは脂質などの担体中の分散により必要な粒径を維持することによって、例えばヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤の使用によって、またはこのような方法の組合せによって維持することができる。多くの場合、例えば糖、塩化ナトリウムまたはこれらの組合せなどの等張剤を含むことが好ましい。
他の実施形態では、目薬、点鼻液またはスプレー、エアロゾルまたは吸入薬を本開示において使用することができる。このような組成物は一般に、標的組織型と適合性があるように設計される。非制限的な例では、点鼻液は通常、滴またはスプレーで鼻腔路に投与されるよう設計された水溶液である。点鼻液は、それらが多くの点で鼻腔分泌物と類似するように、正常な毛様体作用が維持されるように調製される。したがって好ましい実施形態では、点鼻水溶液は通常等張であり、または緩衝剤で若干処理して約5.5〜約6.5のpHを維持する。さらに、抗菌防腐剤、眼用調製剤、薬剤、または適切な安定化薬剤において使用するのと類似した防腐剤を、必要な場合製剤中に含めることができる。例えば、様々な市販の鼻腔調製剤が知られており、抗生物質または抗ヒスタミン薬などの薬剤を含む。
特定実施形態では、SARS−CoVのRBDを経口摂取などの経路による投与用に調製する。これらの実施形態では、固体組成物は、例えば溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、ピル、カプセル(例えば、硬質または軟質ゼラチン・カプセル)、徐放性製剤、口腔用組成物、トローチ、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、カシェ剤、またはこれらの組合せを含むことができる。経口組成物は食品と共に直接取り込むことができる。経口投与に好ましい担体は、不活性希釈剤、同化性食用担体またはこれらの組合せを含む。本発明の他の態様では、シロップまたはエリキシル剤として経口組成物を調製することができる。シロップまたはエリキシル剤は、例えば少なくとも1つの活性剤、甘味剤、防腐剤、香味剤、色素、防腐剤、またはこれらの組合せを含むことができる。
特定の好ましい実施形態では、経口組成物は、1つまたは複数の結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、香味剤、およびこれらの組合せを含むことができる。特定実施形態では、組成物は、以下の:例えばトラガカントゴム、アカシア、コーンスターチ、ゼラチンまたはこれらの組合せなどの結合剤、例えばリン酸二カルシウム、マンニトール、ラクトース、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムまたはこれらの組合せなどの賦形剤、例えばコーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸またはこれらの組合せなどの崩壊剤、例えばステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、例えばスクロース、ラクトース、サッカリンまたはこれらの組合せなどの甘味剤、例えばペパーミント、冬緑油、チェリー風香味料、オレンジ風香味料などの香味剤、または前述のこれらの組合せの1つまたは複数を含むことができる。単位剤形がカプセルであるとき、それは前述のタイプの材料以外に、液体担体などの担体を含有することができる。様々な他の材料がコーティングとして存在することができ、または他の場合単位剤形を改変するため存在することができる。例えば錠剤、ピル、またはカプセルをセラック、糖または両方でコーティングすることができる。
他の投与形式に適した別の製剤には座薬がある。座薬は様々な重量と形状の固体剤形であり、直腸、膣または尿道への挿入に通常施される。挿入後、座薬は腔液に軟化、融解または溶解する。一般に、座薬に関する従来の担体は、例えばポリアルキレングリコール、トリグリセリドまたはこれらの組合せを含むことができる。特定実施形態では、例えば約0.5%〜約10%、および好ましくは約1%〜約2%の範囲の活性成分を含有する混合物から座薬を形成することができる。
滅菌注射溶液は、必要に応じて、前に列挙した様々な他の成分を含む適切な溶媒に必要量の活性化合物を取り込ませ、次いで濾過滅菌によって調製される。一般に分散液は、基本分散媒および/または他の成分を含有する滅菌ビヒクルに、様々な滅菌活性成分を取り込ませることによって調製される。滅菌注射溶液、懸濁液またはエマルジョン調製用の滅菌粉末の場合、好ましい調製法は、事前に滅菌濾過したその液体培地から活性成分と任意の他の望ましい成分の粉末を生成する真空−乾燥または凍結−乾燥技法である。液体培地は必要な場合適切に緩衝剤で処理し、液体希釈剤は注射前に充分な生理食塩水またはグルコースで最初に等張にしなければならない。直接注射用の高濃縮組成物の調製も企図され、この場合、非常に迅速な浸透をもたらし高濃度の活性剤を小領域に送達するため、溶媒としてのDMSOの使用が想定される。
組成物は製造および貯蔵の条件下で安定状態でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保存されなければならない。エンドトキシン汚染は少なくとも安全なレベル、例えば0.5ng/タンパク質1mg未満に保たれなければならないことは理解される。
詳細な実施形態では、例えばモノステアリン酸アルミニウム、ゼラチンまたはこれらの組合せなどの吸収遅延剤を組成物中に使用することによって、注射用組成物の長期の吸収をもたらすことができる。
G.ワクチンまたは免疫原性組成物の投与
ワクチンまたは免疫原性組成物の投与の形式は広く変わり得る。任意の従来のワクチンまたは免疫原性組成物の投与法が利用可能である。例えば、当業者に知られているように(例えば、参照により本明細書に組み込まれているRemington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Printing Company、1990を参照)、ワクチンを従来どおり、静脈内、真皮内、動脈内、腹腔内、病巣内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜内、くも膜下、鼻腔内、硝子体内、膣内、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、皮下、膀胱内、粘膜、心膜内、経口、直腸、鼻腔、局所、目薬、局部に、エアロゾル、注射、注入、連続注入を使用して、標的細胞を直接浸す局部灌流によって、カテーテルを介して、洗浄を介して、クリームで、脂質組成物(例えばリポソーム)で、または他の方法もしくは前述の任意の組合せによって投与することができる。
ワクチンまたは免疫原性組成物の投与の形式は広く変わり得る。任意の従来のワクチンまたは免疫原性組成物の投与法が利用可能である。例えば、当業者に知られているように(例えば、参照により本明細書に組み込まれているRemington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Printing Company、1990を参照)、ワクチンを従来どおり、静脈内、真皮内、動脈内、腹腔内、病巣内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜内、くも膜下、鼻腔内、硝子体内、膣内、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、皮下、膀胱内、粘膜、心膜内、経口、直腸、鼻腔、局所、目薬、局部に、エアロゾル、注射、注入、連続注入を使用して、標的細胞を直接浸す局部灌流によって、カテーテルを介して、洗浄を介して、クリームで、脂質組成物(例えばリポソーム)で、または他の方法もしくは前述の任意の組合せによって投与することができる。
予防接種または免疫原性組成物の送達スケジュールおよび用量は、当業者によって容易に決定することができる、例えば患者の体重と年齢、治療される疾患のタイプ、疾患状態の重症度、事前または同時治療介入、投与の形式などの要因を考慮して患者毎に変わり得る。
ワクチンまたは免疫原性組成物は用量処方と適合性がある形式で、治療上有効かつ免疫原性があるような量で投与することができる。例えば、in vivoでの半減期が短い毒素の場合、筋肉内経路が好ましい可能性がある。投与される量は、例えば抗体を合成する個体の免疫系の能力、および望ましい防御の程度を含め、治療される対象に依存する。ワクチンの用量は投与の経路に依存し、宿主の大きさに応じて変化する。投与に必要とされる活性成分の正確な量は実践者の判断に依存する。特定実施形態では、医薬組成物は、例えば少なくとも約0.1%の活性化合物を含むことができる。他の実施形態では、活性化合物は、約2%〜約75%、または例えば約25%〜約60%、およびこれらから誘導可能な任意の範囲の重量単位を含むことができる。しかしながら、適切な用量範囲は、例えば予防接種当たり約数百マイクログラムの活性成分であってよい。他の非制限的な例では、用量は予防接種当たり約1マイクログラム/体重1kgから、約5マイクログラム/体重1kg、約10マイクログラム/体重1kg、約50マイクログラム/体重1kg、約100マイクログラム/体重1kg、約200マイクログラム/体重1kg、約350マイクログラム/体重1kg、約500マイクログラム/体重1kg、約1ミリグラム/体重1kg、約5ミリグラム/体重1kg、約10ミリグラム/体重1kg、約50ミリグラム/体重1kg、約100ミリグラム/体重1kg、約200ミリグラム/体重1kg、約350ミリグラム/体重1kg、約500ミリグラム/体重1kg、約1000ミリグラム/体重1kg以上まで、およびこれらから誘導可能な任意の範囲も含むことができる。本明細書中に挙げた数値から誘導可能な範囲の非制限的な例では、約5ミリグラム/体重1kg〜約100ミリグラム/体重1kg、約5マイクログラム/体重1kg〜約500ミリグラム/体重1kgの範囲などを、前に記載した数値に基づき投与することができる。初回投与およびブースター投与(例えば接種)に適したレジメも変わり得るが、初回投与に次いで二次接種(複数可)または他の投与(複数可)が典型的である。
多くの場合、ワクチンまたは免疫原性組成物の複数回投与、通常6回を超えない予防接種、例えばより通常は4回を超えない予防接種、およびいくつかの場合1回または複数回、通常少なくとも約3回の予防接種があることが望ましい。予防接種は2〜12週間間隔、より通常は3〜5週間間隔であってよいが、さらに長い間隔が本明細書に包含される。1〜5年、通常3年間隔での周期的ブースター投与は、抗体の防御レベルを維持するのに望ましい可能性がある。
免疫処置の過程に上清抗原に対する抗体のアッセイを続けることができる。例えば放射性核種、酵素、蛍光などの従来標識を用いた標識によってアッセイを実施することができる。これらの技法はよく知られており、これらのタイプのアッセイを例示する米国特許第3,791,932号、米国特許第4,174,384号および米国特許第3,949,064号などの広く様々な特許において見ることができる。他の免疫アッセイを実施することができ、SARS−CoVのRBDでの攻撃からの防御のアッセイは免疫処置後に実施することができる。
V.本開示のキット
本明細書中に記載する任意の組成物はキット中に含めることができる。非制限的な例では、修飾RBDSARS−CoVスパイク組成物をキット中に含めることができる。非制限的な例では、修飾RBDSARS−CoVスパイク組成物を含む免疫原性組成物をキット中に含めることができる。非制限的な例では、脱グリコシル化を含めた修飾RBDSARS−CoVスパイク組成物を含むワクチンをキット中に含めることができる。
キットの構成要素は、水性媒体または凍結乾燥型のいずれかでパッケージ化することができる。キットの容器手段は、その中に構成要素を配置、および好ましくは適切に等分することができる、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジまたは他の容器手段を一般に含む。キット中に2つ以上の構成要素が存在する場合、キットは、その中に別の構成要素を別々に配置することができる、第2、第3または他の別の容器も一般に含有する。しかしながら、構成要素の様々な組合せがバイアル中に含まれ得る。本発明のキットは、閉鎖領域内に組成物を含有するための手段および任意の他の市販の試薬用容器も典型的に含む。このような容器は、その中に所望のバイアルが保持される、射出成形または吹込成形プラスチック容器を含むことができる。
キットの構成要素(複数可)は乾燥粉末(複数可)として提供することができる。試薬および/または構成要素が乾燥粉末として提供されるとき、適切な溶媒を加えることにより粉末を元に戻すことができる。溶媒を別の容器手段中に提供することも可能であることは想定される。キットは、滅菌済みの、薬学的に許容されるバッファーおよび/または他の希釈剤を含有するための含有手段を含むことができる。
容器の数および/またはタイプと無関係に、本発明のキットは、動物体内の最終組成物の注入/投与および/または配置を支援するための装置も含む、および/またはパッケージ化することができる。このような装置は、シリンジ、ピペット、ピンセット、および/または任意のこのような医療上認められた送達ビヒクルであってよい。いくつかの場合、個体由来のサンプル中のSARSの存在を確認するための1つまたは複数の手段が存在する。
以下の実施例は本発明の好ましい実施形態を実証するために含める。以下の実施例中に開示する技法は、本発明の実践において充分機能することが本発明者によって発見された技法を表し、したがって本発明を実践するのに好ましい形態を構成すると考えられることは、当業者によって理解されるはずである。しかしながら当業者は、本開示に照らして、開示される具体的実施形態に多くの変更を施すことができ、本発明の精神および範囲から逸脱せずに同様または類似の結果をさらに得ることを理解するはずである。
実施例1
例示的な材料および方法
酵母ピキア・パストリスにおけるRBDのクローニングおよび発現
例示的な材料および方法
酵母ピキア・パストリスにおけるRBDのクローニングおよび発現
SARS−CoVRBDの193アミノ酸(RBD193、残基318〜510)および219アミノ酸(RBD219、残基318〜536)をコードするDNAは酵母コドン使用偏位に基づきコドン最適化し、GenScript(Piscataway、NJ)によって合成し、次にEcoRI/XbaI制限部位を使用してピキア分泌発現ベクターpPICZαA(Invitrogen、Grand Island、NY)にサブクローニングした。組換えプラスミドの正確な挿入配列とリーディング・フレームは、ベクター隣接プライマーα−因子と3’AOX−1を使用し二本鎖配列決定によって確認した。次いで組換えプラスミドDNAを、エレクトロポレーションによりピキア・パストリスX−33に形質転換した。組換えRBD193とRBD219の発現を72時間30℃において0.5%メタノールを用いて誘導し、最大発現クローンを選択し以前に記載されたように(He et al.、2005)20%グリセロール中にシード・ストックを作製した。
酵母で発現されるRBD193/RBD219−野生型(WT)の高グリコシル化は収率および再現性の問題を引き起こす可能性があるので、N−グリコシル化を担うRBD配列中の3つのアスパラギンを除去し、または突然変異させ以下の脱グリコシル化型、N1:第1のAsn(N−1)、第1のN−グリコシル化部位の欠失、N2:N1欠失以外に、Serへの第2のN−グリコシル化Asn(N−13)の突然変異、およびN3:N1とN2の欠失/突然変異以外に、Alaへの第3のN−グリコシル化N−40の突然変異を作製した(図1)。組換えRBD193−野生型とRBD219−野生型の発現およびグリコシル化レベル、およびそれらの脱グリコシル化型は、研究室で開発された(Goud et al.、2004)抗RBDモノクローナル抗体(mAb)33G4を用いてSDS−PAGEおよびウエスタンブロットにより確認した。
グリコシダーゼ・アッセイ
発現された組換えRBD193−野生型がグリコシル化状態であるかどうか決定するため、酵母発現系RBD193−野生型をペプチド−N−グリコシダーゼF(PNGaseF)(New England Biolabs(NEB)、Ipswich、MA)で消化した。簡単に言うと、72時間0.5%メタノールで誘導した10μlのRBD193−野生型/pPICZαA/ピキア・パストリス培養物を1.5ml試験管内で1μlの変性バッファー(NEB)と混合し、10分間100℃で変性させた。次いで2μlのG7バッファー、2μlの10%NP40(いずれもPNGaseF由来)、1μlのN−PNGaseF、および5μlの脱イオン水を試験管に加えた。次いで混合物を37℃で1時間インキュベートした。グリカンの除去は、抗RBDモノクローナル抗体33G4を使用しSDS−PAGE、次いでウエスタンブロットにより確認した。
pHおよび洗浄剤による誘導条件の最適化
RBD193−野生型/pPICZαA/ピキア・パストリスX−33のシードを、OD600が2〜6に達するまで一晩30℃において225rpmで、5mlの緩衝液グリセロール複合培地(BMGY)中で増殖させた。組換えRBD193−野生型の発現は、5.2、6.0、7.5および8.0の異なるpHで0.5%メタノールを含有する10mlの緩衝液メタノール複合培地(BMMY)において誘導した(開始OD600=1.0)。EMPIGEN(登録商標)BB洗浄剤を0.01%および0.05%の最終濃度で培養物(pH6.0)に加え、発現した組換えタンパク質のあらゆる考えられる凝集体を洗浄剤が破壊できたかどうか決定した。誘導は72時間続けた。異なる培養培地内で発現した組換えRBD193の発現、収率、および完全性は、抗RBDモノクローナル抗体33G4を使用しウエスタンブロットにより確認した。
発酵および精製
酵母における組換えRBDの発現のスケール−アップのため、pPICZαA/ピキア・パストリスX−33中RBD193−N1、RBD193−N3、RBD219−野生型、およびRBD219−N1の構築物を以前に記載されたように(Du et al.、2009)5L発酵において発酵させた。簡単に言うと、各構築物のシード・ストックを使用して1Lの緩衝液最小グリセロール(BMG)培地に接種し、OD600が約10.0に達するまで225rpmで攪拌しながら37℃において一晩培養した。この培養物110mlを使用して、3.5ml/LのPTM1微量元素および3.5ml/Lの0.02%d−ビオチンを含有する発酵槽中の2.5L滅菌BSMに接種した。発酵は30℃で開始し、開始pHは5.0に設定した。気体と攪拌を調節して溶存酸素(DO)を30%に維持した。バッチ段階中のグリセロールの枯渇によって(DOスパイク)、6〜8時間の間にわたりメタノールを0.8ml/L/時間〜10ml/L/時間流入させ、14%水酸化アンモニウムを使用してpHを6.0に調節し、誘導は75時間26℃で維持した。発酵後、4℃において30分間7,000rpmでの遠心分離によって培養物を採取し、0.22pmのボトルトップ型濾過ユニットを介して濾過した。発酵培養物における組換えRBDの発現収率はSDS−PAGEと濃度測定により決定した。RBD193−N1、RBD219−野生型、およびRBD219−N1を精製するため、1部の発酵上清を2部の30mMトリスおよび3M硫酸アンモニウム、pH8.0で希釈し、次いで1.5ml/分の流速でHiTrap Butyl Sepharose HPに充填し、次に30mMトリスおよび2M硫酸アンモニウムで洗浄し非結合タンパク質を除去した。結合RBDタンパク質は2Mから開始し硫酸アンモニウム勾配で溶出した。標的タンパク質を含有する分画は1つにプールし、濃縮し、Toyopearl HW55Sサイズ排除カラムでさらに精製して残存汚染物質を排除した。RBD193−N3を精製するため、発酵培養上清は、アニオン交換Q Sepharose XLカラムを使用しクロマトグラフィーで処理した。フロースルーを回収し、濃縮し、他のRBDタンパク質と同様に、Toyopearl HW55Sサイズ排除カラムでさらに精製した。組換えRBDの純度は、研究室で開発された(Goud et al.、2004)抗RBDモノクローナル抗体(mAb)33G4、35B5、24H8、および31H12を使用しSDS−PAGEおよびウエスタンブロットにより確認した。
動物
4〜6週齢のメスBALB/cマウスを試験に使用し、ニューヨーク血液センターの動物施設に収容した。動物試験は、ナショナル・インスティテュート・オブ・ヘルスのthe Care and Use of Laboratory Animalsの奨励に従い実施した。動物に関するプロトコールは、ニューヨーク血液センターのthe Committee on the Ethics of Animal Experimentsによって承認された(認可番号:194.14)。
マウスの予防接種および血清回収
免疫処置プロトコールは、いくつかの修正を加え以前に記載されたように実施した(Du et al.、2009;Du et al.、2010;Du et al.、2009)。簡単に言うと、Alhydrogel2%(水酸化アルミニウムゲル、本明細書で以後ミョウバン)アジュバント(InvivoGen、サン・ディエゴ、カリフォルニア)を配合した酵母発現系組換えRBDタンパク質(RBD193−N1、RBD193−N3、RBD219−N1またはRBD219−野生型)(20μg/マウス)でマウスを皮下(s.c.)免疫処置した。SARS−CoVRBDタンパク質(RBD193−野生型)発現哺乳動物細胞293T(Du et al.、2009)およびPBSは、それぞれ陽性対照および陰性対照として使用した。免疫処置したマウスには、21日間隔で同じミョウバン配合免疫原(10μg/マウス)を用いて2回追加抗原刺激した。マウスの血清は免疫処置前および各予防接種後10日で回収し、液性IgG抗体応答および中和抗体を測定した。
ELISA
ELISAを使用して、研究室で開発された(Goud et al.、2004)RBD特異的モノクローナル抗体に対する酵母発現系SARS−CoVRBDタンパク質の立体配座を確認した。簡単に言うと、96ウエルELISAプレートを一晩4℃で各酵母発現系RBDタンパク質(1μg/ml)を用いてそれぞれプレコーティングし、37℃で2時間2%ノンファット・ミルクを用いてブロッキングした。24H8(ConfI)、31H12(ConfII)、35B5(ConfIV)、33G4(ConfV)、19B2(ConfVI)、および直線状立体配座依存的モノクローナル抗体17H9(Goud et al.、2004)を含めた一連の立体配座依存的モノクローナル抗体をプレートに加え、37℃で1時間インキュベートし次に4回洗浄した。結合抗体は、37℃で1時間ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)結合抗マウスIgG(1:3,000、Invitrogen)と反応させた。4回の洗浄後、基質3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)(Zymed)をプレートに加え、1NのH2SO4を加えることにより反応を停止させた。450nmでの吸光度(A450)を、ELISAプレート・リーダー(Tecan、San Jose、CA)を用いて測定した。
さらに、回収したマウス血清における発現RBDに対するポリクローナル抗体の反応性も、いくつかの修正を加え以前に記載されたプロトコールを使用しELISAにより測定した(Du et al.、2009;Du et al.、2010;Du et al.、2009)。簡単に言うと、96ウエルELISAプレートを一晩4℃で酵母発現系RBD219−野生型タンパク質(1μg/ml)を用いてそれぞれプレコーティングし、次いで連続希釈したマウス血清を加えた。結合IgG抗体は、HRP結合抗マウスIgG(1:2,000)、次に前に記載したのと同じプロトコールの使用によって検出した。
プル−ダウン結合アッセイ
細胞結合受容体ACE2または可溶性ACE2(sACE2)(R and D Systems、ミネアポリス、MN)と酵母発現系組換えSARS−CoVRBDタンパク質の結合を、いくつかの修正を加え以前に記載されたプロトコールを使用しプル−ダウンアッセイによって実施した(Du et al.、2013;Du et al.、2013)。簡単に言うと、ACE2(ACE2/293T)またはsACE2を発現する293T細胞の溶解物を、組換えSARS−CoVRBDタンパク質および17H9直線状モノクローナル抗体(Goud et al.、2004)ならびに(細胞結合ACE2に関して)プロテインAおよびGまたは(sACE2に関して)Ni−NTAアフィニティー・カラムとそれぞれインキュベートした。一晩4℃での回転後、混合物の上清は遠心分離によって除去した。PBSで3回洗浄した後、結合タンパク質を含むペレットを10分間煮沸し、上清は以下に記載したようにSDS−PAGEおよびウエスタンブロットに施した。
SDS−PAGEおよびウエスタンブロット
SDS−PAGEおよびウエスタンブロットを、いくつかの修正を加え以前に記載されたプロトコールを使用して実施した(Du et al.、2011;Du et al.、2008;Du et al.、2008)。簡単に言うと、プル−ダウンタンパク質をSDS−PAGEに施し、ニトロセルロース膜に移し、一晩4℃で0.05%Tween−20を含むPBS(PBST)中で5%ノンファット・ミルクを用いてそれをブロッキングし、次に室温で1時間、ヤギ抗ACE2モノクローナル抗体(1μg/ml)およびHRP標識抗ヤギIgG(1:1,000、R and D Systems)と連続的にインキュベートした。ECLウエスタンブロット基質試薬(GE Healthcare、Piscataway、NJ)およびAmersham Hyperfilm(GE Healthcare)でシグナルを可視化した。
偽ウイルス中和アッセイ
組換えRBDで免疫処置したマウス血清の中和抗体力価を、いくつかの修正を加え以前に記載されたように(Du et al.、2009;Du et al.、2009)偽ウイルス中和アッセイを使用して測定した。簡単に言うと、リン酸カルシウム法を使用して、SARS−CoVSタンパク質をコードするプラスミド、およびEnv欠損、ルシフェラーゼ発現HIV−1ゲノムをコードするプラスミド(pNL4−3.luc.RE)と293T細胞をコトランスフェクトした。培養上清をトランスフェクション後72時間で採取し、SARS−CoVの受容体ACE2を発現する293T細胞(ACE2/293T)の1サイクル感染に使用した。細胞は96ウエル培養プレートに104/ウエルで接種し、37℃で4〜6時間インキュベートして単層を形成した。連続2倍希釈したマウス血清を1時間37℃でSARS−CoV偽ウイルスと混合し、次いで単層細胞に移した。72時間のインキュベーション後、相対ルシフェラーゼ活性をUltra384ルミノメーター(Tecan)により測定した。SARS偽ウイルス中和を計算し、50%中和抗体力価(NT50)として表した。
生ウイルス系中和アッセイ
組換えRBDで免疫処置したマウス血清の中和力価を、いくつかの修正を加え以前に記載されたように(Du et al.、2004;Du et al.、2005)生ウイルス系中和アッセイを使用してさらに測定した。簡単に言うと、連続2倍希釈したマウス血清を1時間37℃で約100感染SARS−CoVと混合し、次いで二連でVeroE6細胞の単層に加えた。各ウエルにおける細胞変性効果(CPE)を毎日観察し、感染後第3日で記録した。少なくとも50%のウエルにおいてCPEを完全に妨げた最大希釈血清の逆数(NT50)として中和力価を報告した。
実施例2
酵母ピキア・パストリスにおける組換えRBDの発現
RBD193とRBD219の異なる構築物(野生型、N1、N2およびN3)をピキア・パストリスX−33に形質転換し、各形質転換から20のクローンを、10ml試験管内での組換えタンパク質発現用に0.5%メタノールで誘導した。72時間の誘導後、異なる構築物に関する異なる大きさの組換えRBDを、抗RBDモノクローナル抗体33G4を用いてSDS−PAGEクーマシー染色ゲルおよびウエスタンブロットによって観察した。組換えRBDの見かけの分子量(M.W.)は配列に基づき予想した分子量より大きく、特に野生型(WT)構築物、RBD193とRBD219の両方において高分子量スミアを観察し、組換えRBD−野生型がグリコシル化または凝集状態であったことを示した(図2Aおよび図2B)。RBD193−野生型のグリコシル化の程度は、N−グリコシダーゼPNGaseFでタンパク質を消化することによって確認した。消化後、高分子量スミアは消失し、RBD193−野生型の大きさは予想分子量(23kDa)に戻った(図2C)。このアッセイによって、高分子量スミアは凝集が原因ではなく、酵母発現系RBDの高グリコシル化が原因であったことも確認した。N結合型グリコシル化部位が欠失または突然変異し(N1、N2およびN3)、それに応じて組換えRBDのグリコシル化程度と見かけの分子量の両方が低下したとき(図2Aおよび図2B)、酵母発現系RBDのグリコシル化に関するさらなる証拠を確認した。脱グリコシル化を伴うこれらの構築物は、スケール−アップ生産および品質管理試験中正確で再現性のある制御を可能にした。特に、N結合型グリコシル化部位が欠失/突然変異したとき(収率レベル:野生型>N1>N2>N3;図2Aおよび図2B)、組換えRBDの発現収率の連続的な低下も観察した。これは、発現収率とグリコシル化レベルとの間の調節可能なバランスを製品開発中考慮すべきであることを示唆した。
酵母ピキア・パストリスにおける組換えRBDの発現
RBD193とRBD219の異なる構築物(野生型、N1、N2およびN3)をピキア・パストリスX−33に形質転換し、各形質転換から20のクローンを、10ml試験管内での組換えタンパク質発現用に0.5%メタノールで誘導した。72時間の誘導後、異なる構築物に関する異なる大きさの組換えRBDを、抗RBDモノクローナル抗体33G4を用いてSDS−PAGEクーマシー染色ゲルおよびウエスタンブロットによって観察した。組換えRBDの見かけの分子量(M.W.)は配列に基づき予想した分子量より大きく、特に野生型(WT)構築物、RBD193とRBD219の両方において高分子量スミアを観察し、組換えRBD−野生型がグリコシル化または凝集状態であったことを示した(図2Aおよび図2B)。RBD193−野生型のグリコシル化の程度は、N−グリコシダーゼPNGaseFでタンパク質を消化することによって確認した。消化後、高分子量スミアは消失し、RBD193−野生型の大きさは予想分子量(23kDa)に戻った(図2C)。このアッセイによって、高分子量スミアは凝集が原因ではなく、酵母発現系RBDの高グリコシル化が原因であったことも確認した。N結合型グリコシル化部位が欠失または突然変異し(N1、N2およびN3)、それに応じて組換えRBDのグリコシル化程度と見かけの分子量の両方が低下したとき(図2Aおよび図2B)、酵母発現系RBDのグリコシル化に関するさらなる証拠を確認した。脱グリコシル化を伴うこれらの構築物は、スケール−アップ生産および品質管理試験中正確で再現性のある制御を可能にした。特に、N結合型グリコシル化部位が欠失/突然変異したとき(収率レベル:野生型>N1>N2>N3;図2Aおよび図2B)、組換えRBDの発現収率の連続的な低下も観察した。これは、発現収率とグリコシル化レベルとの間の調節可能なバランスを製品開発中考慮すべきであることを示唆した。
実施例3
発現条件の最適化:pHおよび洗浄剤
ピキア・パストリスX−33における組換えRBDの発現収率を最大にし、それらの考えられる凝集を最小にするため、異なるpHを有する培地および/または異なる濃度のEmpigen洗浄剤を使用し、最適誘導条件を試験するための原型としてRBD193−野生型を使用した。抗RBDモノクローナル抗体33G4を用いたウエスタンブロットに基づくと、RBD193発現に最適なpHはpH6.0であった。pH5.0での培養において標的タンパク質は発現されず、6.0を超えるpHを有する培地ではさらに低いRBD193の発現が見られた。(0.01%または0.05%)Empigen洗浄剤の添加によって発現収率は改善せず、または発現RBDのパターンは変化せず、凝集は発現RBD193−野生型に影響を与えないことが示された(図3)。
発現条件の最適化:pHおよび洗浄剤
ピキア・パストリスX−33における組換えRBDの発現収率を最大にし、それらの考えられる凝集を最小にするため、異なるpHを有する培地および/または異なる濃度のEmpigen洗浄剤を使用し、最適誘導条件を試験するための原型としてRBD193−野生型を使用した。抗RBDモノクローナル抗体33G4を用いたウエスタンブロットに基づくと、RBD193発現に最適なpHはpH6.0であった。pH5.0での培養において標的タンパク質は発現されず、6.0を超えるpHを有する培地ではさらに低いRBD193の発現が見られた。(0.01%または0.05%)Empigen洗浄剤の添加によって発現収率は改善せず、または発現RBDのパターンは変化せず、凝集は発現RBD193−野生型に影響を与えないことが示された(図3)。
実施例4
RBD構築物の発酵および精製
酵母細胞に対する発現RBD193−野生型の考えられる毒性の結果として、メタノール誘導が48時間を超えるとRBD193−野生型酵母構築物は増殖停止した。その結果、異なる脱グリコシル化型を含めた4つの他の構築物(RBD193−N1、RBD193−N3、RBD219−野生型、およびRBD219−N1)を5Lスケールの発酵用に選択して、免疫原性と効能の比較用の組換えタンパク質を得た。5Lの発酵後、Butyl HPおよびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により組換えRBD193−N1、RBD219−野生型およびRBD219−N1を発酵培養物から精製し、組換えRBD193−N3はQ Sepharose XLでの陰性捕捉、次にSECによって精製した。
RBD構築物の発酵および精製
酵母細胞に対する発現RBD193−野生型の考えられる毒性の結果として、メタノール誘導が48時間を超えるとRBD193−野生型酵母構築物は増殖停止した。その結果、異なる脱グリコシル化型を含めた4つの他の構築物(RBD193−N1、RBD193−N3、RBD219−野生型、およびRBD219−N1)を5Lスケールの発酵用に選択して、免疫原性と効能の比較用の組換えタンパク質を得た。5Lの発酵後、Butyl HPおよびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により組換えRBD193−N1、RBD219−野生型およびRBD219−N1を発酵培養物から精製し、組換えRBD193−N3はQ Sepharose XLでの陰性捕捉、次にSECによって精製した。
疎水性相互作用(Butyl HP)クロマトグラフィーおよび次にサイズ排除カラムを使用し発酵培養物からRBD193−N1、RBD219−野生型およびRBD219−N1を精製するための最初の試みによって、抗RBDモノクローナル抗体33G4を用いたSDS−PAGEクーマシー染色ゲルとウエスタンブロットの両方により証明されたように(図4)、95%精製状態のタンパク質を得た。さらに、高グリコシル化RBDおよび宿主タンパク質汚染はこの2ステップ精製手順によって効率よく除去することができ、確かに純粋な可溶性産物をもたらした。他の発現系を使用した他の発現RBDタンパク質(Du et al.、2009;Du et al.、2010;Du et al.、2009)と異なり、これらの酵母発現系RBDは如何なる6×Hisタグまたは他のタグ融合タンパク質も含有せず、したがって人間用のさらなるスケール−アップ製造が可能となる。
実施例5
SARS−COVの酵母発現系RBDの抗原性分析
選択した精製RBD構築物(RBD193−N1、RBD193−N3、RBD219−野生型およびRBD219−N1)が、中和抗体を産生できることが知られている(Du et al.、2009;Du et al.、2010)RBD発現哺乳動物細胞(293T)と同じ抗原性または抗原エピトープを共有するかどうか確認するため、24H8(ConfI)、31H12(ConfII)、35B5(ConfIV)、および33G4(ConfV)を含めた4つの立体配座抗RBDモノクローナル抗体に対してウエスタンブロットを実施した(図5)。特に、RBD発現哺乳動物細胞に関する認識パターンと同様に、モノクローナル抗体33G4は全てのRBD構築物を強く認識し、一方24H8はそれらをごく微弱に認識した。さらに、フィルム露光時間が増大したとき(データ示さず)、RBD193構築物と対照的に(Du et al.、2009;Du et al.、2010)、4つの特異的モノクローナル抗体によって全ての酵母発現系RBD219構築物をより強く認識することができ、以前の結果と一致した。この一連の証拠は、野生型と脱グリコシル化構築物が類似した抗原性を示すことを強く示唆する。
SARS−COVの酵母発現系RBDの抗原性分析
選択した精製RBD構築物(RBD193−N1、RBD193−N3、RBD219−野生型およびRBD219−N1)が、中和抗体を産生できることが知られている(Du et al.、2009;Du et al.、2010)RBD発現哺乳動物細胞(293T)と同じ抗原性または抗原エピトープを共有するかどうか確認するため、24H8(ConfI)、31H12(ConfII)、35B5(ConfIV)、および33G4(ConfV)を含めた4つの立体配座抗RBDモノクローナル抗体に対してウエスタンブロットを実施した(図5)。特に、RBD発現哺乳動物細胞に関する認識パターンと同様に、モノクローナル抗体33G4は全てのRBD構築物を強く認識し、一方24H8はそれらをごく微弱に認識した。さらに、フィルム露光時間が増大したとき(データ示さず)、RBD193構築物と対照的に(Du et al.、2009;Du et al.、2010)、4つの特異的モノクローナル抗体によって全ての酵母発現系RBD219構築物をより強く認識することができ、以前の結果と一致した。この一連の証拠は、野生型と脱グリコシル化構築物が類似した抗原性を示すことを強く示唆する。
これらRBDタンパク質の抗原性をさらに確認するため、5つの立体配座抗RBDモノクローナル抗体(24H8、31H12、35B5、33G4、および19B2(ConfVI))および1つの直線状抗RBDモノクローナル抗体(17H9)(Goud et al.、2004)でELISAを実施した。図6A中に示すように、全ての酵母発現系RBD(1μg/ml)が抗RBDモノクローナル抗体(2.2μg/ml)と反応した一方で、RBD219−野生型およびRBD219−N1は試験した全てのモノクローナル抗体と最も強い結合を示した。ConfIVモノクローナル抗体35B5、ConfIVモノクローナル抗体19B2、および直線状モノクローナル抗体17H9とRBD193−N3の反応性は、他の野生型および突然変異RBDの反応性より相当低かった。0.25μg/mlまでのモノクローナル抗体濃度の低下がRBD219−N1またはRBD219−野生型と5つ全ての立体配座モノクローナル抗体の結合に有意に影響を与えたことはなく、一方で直線状抗RBDモノクローナル抗体17H9とそれらの反応性は有意に低下した(図6B)。これらのデータは、脱グリコシル化RBD219−N1タンパク質は、RBD219−野生型と同様に、N1グリコシル化部位の欠失にもかかわらず立体配座と抗原性を維持することができたことを示唆する。
実施例6
酵母発現系RBDタンパク質の機能性
酵母発現系RBDタンパク質の機能性を、ACE2、細胞結合型または可溶型(sACE2)のいずれかのSARS−CoVの受容体と結合する、これらのタンパク質の能力に基づいてさらに確認した。細胞結合型ACE2とこれらのタンパク質の結合を確定させるため、直線状抗RBDモノクローナル抗体17H9(Goud et al.、2004)およびプロテインA and Gビーズの存在下において試験タンパク質(それぞれ20μg)をACE2/293Tと最初に混合し、次いでACE2に対する特異的抗体を使用しウエスタンブロット処理した。図7A中に示すように、ACE2の大きさに相当する1つの明らかなバンドを、各RBDタンパク質でプル−ダウンした全ての細胞溶解物において観察し、いずれもACE2特異的モノクローナル抗体と強く反応したが、RBD193−N3混合物は弱い反応を示した。これらの結果は、酵母発現系RBDタンパク質が、細胞表面受容体ACE2と効率よく結合することができることを示唆する。予想通り、対照タンパク質(MERS−CoVRBD)のラインにおいてバンド(結合)は見られなかった(図7A)。
酵母発現系RBDタンパク質の機能性
酵母発現系RBDタンパク質の機能性を、ACE2、細胞結合型または可溶型(sACE2)のいずれかのSARS−CoVの受容体と結合する、これらのタンパク質の能力に基づいてさらに確認した。細胞結合型ACE2とこれらのタンパク質の結合を確定させるため、直線状抗RBDモノクローナル抗体17H9(Goud et al.、2004)およびプロテインA and Gビーズの存在下において試験タンパク質(それぞれ20μg)をACE2/293Tと最初に混合し、次いでACE2に対する特異的抗体を使用しウエスタンブロット処理した。図7A中に示すように、ACE2の大きさに相当する1つの明らかなバンドを、各RBDタンパク質でプル−ダウンした全ての細胞溶解物において観察し、いずれもACE2特異的モノクローナル抗体と強く反応したが、RBD193−N3混合物は弱い反応を示した。これらの結果は、酵母発現系RBDタンパク質が、細胞表面受容体ACE2と効率よく結合することができることを示唆する。予想通り、対照タンパク質(MERS−CoVRBD)のラインにおいてバンド(結合)は見られなかった(図7A)。
RBDタンパク質の結合を、等濃度のRBDタンパク質と(6×Hisタグを含有する)sACE2をNi−NTAビーズの存在下で混合し、次に前と同様のウエスタンブロッティングによりsACE2を用いてさらに検出した。図7B〜図C中に示すように、sACE2および各RBDタンパク質の大きさに相当する2つの明らかなバンドがプル−ダウンしたサンプル中で明らかであり、一方sACE2または各RBDタンパク質の大きさに相当するわずか1つのバンドがsACE2またはRBDタンパク質の一方のみを含有するサンプル中で見られ、これらはいずれもACE2またはSARS−CoVRBD(33G4)に対する抗体とそれぞれ強く反応した。しかしながら、sACE2の大きさに相当するわずか1つのバンドは、MERS−CoVのRBDタンパク質およびsACE2、またはsACE2のみを含有する対照中で見られた(図7B〜図C)。これらの結果によってSARS−CoVの受容体ACE2とこれらの酵母発現系RBDの特異的結合を確認し、突然変異有りまたは無しの全てのRBDタンパク質が充分な機能性を維持することを示す。
実施例7
SARS−COVの酵母発現系RBDタンパク質は強い全身液性免疫応答を誘発した
酵母発現系RBDタンパク質の免疫原性を比較するため、これらのタンパク質を使用してマウスを免疫処置し、最終予防接種後10日で回収したマウス血清におけるIgG抗体応答を分析した。図8中に示すように、全ての酵母発現系RBDタンパク質がRBD219−野生型に対する強いIgG抗体応答を誘導することができた。特にRBD219−N1は、RBD193−野生型、RBD193−N1、RBD193−N3およびRBD219−野生型を含めた他のRBDタンパク質よりRBD219−野生型に対して有意に高いIgG抗体応答を誘導し、それぞれ幾何平均力価は1.4×106(RBD219−N1)、3.5×105(RBD193−野生型)、1.8×105(RBD193−N1)、1.9×105(RBD193−N3)、および1.8×105(RBD219−野生型)であった。比較によって、SARS−CoVRBD193−野生型はそれぞれRBD193−N1、RBD193−N3およびRBD219−野生型よりRBD219−野生型に対して有意に高いIgG抗体応答を誘導した。SARS−CoVRBD193−N1、RBD193−N3またはRBD219−野生型の間で有意差は観察されなかった。ミョウバンとPBSで免疫処置した対照マウスはバックグラウンド抗体応答のみを示した(図8)。これらの結果は、RBD219−N1が最高の免疫原性を示し、したがって予防接種マウスにおいて最も強いRBD特異的抗体応答を誘発したことを示す。
SARS−COVの酵母発現系RBDタンパク質は強い全身液性免疫応答を誘発した
酵母発現系RBDタンパク質の免疫原性を比較するため、これらのタンパク質を使用してマウスを免疫処置し、最終予防接種後10日で回収したマウス血清におけるIgG抗体応答を分析した。図8中に示すように、全ての酵母発現系RBDタンパク質がRBD219−野生型に対する強いIgG抗体応答を誘導することができた。特にRBD219−N1は、RBD193−野生型、RBD193−N1、RBD193−N3およびRBD219−野生型を含めた他のRBDタンパク質よりRBD219−野生型に対して有意に高いIgG抗体応答を誘導し、それぞれ幾何平均力価は1.4×106(RBD219−N1)、3.5×105(RBD193−野生型)、1.8×105(RBD193−N1)、1.9×105(RBD193−N3)、および1.8×105(RBD219−野生型)であった。比較によって、SARS−CoVRBD193−野生型はそれぞれRBD193−N1、RBD193−N3およびRBD219−野生型よりRBD219−野生型に対して有意に高いIgG抗体応答を誘導した。SARS−CoVRBD193−N1、RBD193−N3またはRBD219−野生型の間で有意差は観察されなかった。ミョウバンとPBSで免疫処置した対照マウスはバックグラウンド抗体応答のみを示した(図8)。これらの結果は、RBD219−N1が最高の免疫原性を示し、したがって予防接種マウスにおいて最も強いRBD特異的抗体応答を誘発したことを示す。
実施例8
酵母発現系SARS−COVRBDタンパク質は、予防接種マウスにおいて、SARS−COVに対する中和抗体の同等な力価を誘導した
中和抗体を誘発する酵母発現系SARS−CoVRBDタンパク質の能力を比較するため、最終予防接種後10日で予防接種マウスから回収した血清を、SARS偽ウイルス系中和アッセイを使用して試験した。図9A中に示すように、RBD193−野生型、RBD219−野生型、またはRBD219−N1を用いた免疫処置は、それぞれ中和抗体力価約4×104で強力な中和抗体応答を均一に誘発し、これらはそれぞれ4.3×103および1.4×104の中和抗体力価でRBD193−N1またはRBD193−N3のいずれかによって誘導された応答より有意に強力であった。予想通り、ミョウバン・アジュバントとPBS対照はSARS偽ウイルスに対して中和抗体応答を誘導しなかった(図9A)。
酵母発現系SARS−COVRBDタンパク質は、予防接種マウスにおいて、SARS−COVに対する中和抗体の同等な力価を誘導した
中和抗体を誘発する酵母発現系SARS−CoVRBDタンパク質の能力を比較するため、最終予防接種後10日で予防接種マウスから回収した血清を、SARS偽ウイルス系中和アッセイを使用して試験した。図9A中に示すように、RBD193−野生型、RBD219−野生型、またはRBD219−N1を用いた免疫処置は、それぞれ中和抗体力価約4×104で強力な中和抗体応答を均一に誘発し、これらはそれぞれ4.3×103および1.4×104の中和抗体力価でRBD193−N1またはRBD193−N3のいずれかによって誘導された応答より有意に強力であった。予想通り、ミョウバン・アジュバントとPBS対照はSARS偽ウイルスに対して中和抗体応答を誘導しなかった(図9A)。
誘導中和抗体の機能性をさらに確認するため、生SARS−CoV系中和アッセイを次いで実施した。図9B中に示すように、RBD219−N1を用いた免疫処置は、RBD193−野生型、RBD193−N1、RBD193−N3、またはさらにRBD219−野生型により誘発された応答より生SARS−CoV感染に対して有意に高い力価の中和抗体応答をもたらし、中和抗体力価はそれぞれ4.5×103(RBD219−N1)、2.3×103(RBD193−野生型)、2.5×102(RBD193−N1)、1.6×103(RBD193−N3)、および2.2×103(RBD219−野生型)に達した。RBD193−野生型群とRBD219−野生型群のと間で有意差は見られなかったが、RBD193−N1およびRBD193−N3により誘導された生SARS−CoV感染に対する中和抗体の力価はRBD193−野生型により誘導された力価より有意に低く、RBD193におけるN1グリコシル化部位の欠失(RBD193−N1)および/または第2および第3グリコシル化部位の突然変異(RBD193−N3)は、酵母発現系RBD193タンパク質における中和エピトープの立体配座に影響を与えた可能性があることを示唆した。同様に、ミョウバン対照群は生SARS−CoVに対する中和抗体を誘導しなかった(図9B)。前述のデータによって、予防接種済み動物において生SARS−CoVに対する強い中和抗体応答を誘導する際に、RBD219−N1が試験したRBDタンパク質の中で最も強い免疫原性を有していたことがさらに確認される。
実施例9
特定実施形態の有意性
SARS−CoVSタンパク質のRBDは、広範囲のSARS−CoV菌株に対する強い中和抗体応答を誘導し、したがってSARSワクチン開発の重要な標的として働く多数の立体配座依存型エピトープを含有する(Goud et al.、2004;He et al.、2006;Punt et al.、2002;Dean、1999)。Fcタグと融合したRBDドメインの193アミノ酸を含有する組換えタンパク質(RBD193−Fc)が、予防接種済み動物において非常に強い中和抗体応答および防御免疫を誘導したことは以前に実証されている(Du et al.、2009;Du et al.、2010;Du et al.、2009)。おそらくこれらワクチン候補におけるFc断片によって誘導される、ヒトにおいて考えられる悪影響を排除するため、Fcタグを含まない数個のRBDタンパク質を、哺乳動物293TおよびCHO−K1細胞、Sf9昆虫細胞および大腸菌を含めた異なる発現系において連続的に発現させた。Fcタグを含まないこれらRBDタンパク質の大部分が、予防接種済み動物において強力な中和抗体応答およびSARS−CoVS攻撃に対する防御を依然として誘導することができたことが示された(Du et al.、2009;Du et al.、2010;Du et al.、2009)。これらの発見は、RBDタンパク質自体が強い中和抗体応答を誘発し、SARS−CoV感染から動物を、および具体的実施形態では人間も防御することができることを示す。
特定実施形態の有意性
SARS−CoVSタンパク質のRBDは、広範囲のSARS−CoV菌株に対する強い中和抗体応答を誘導し、したがってSARSワクチン開発の重要な標的として働く多数の立体配座依存型エピトープを含有する(Goud et al.、2004;He et al.、2006;Punt et al.、2002;Dean、1999)。Fcタグと融合したRBDドメインの193アミノ酸を含有する組換えタンパク質(RBD193−Fc)が、予防接種済み動物において非常に強い中和抗体応答および防御免疫を誘導したことは以前に実証されている(Du et al.、2009;Du et al.、2010;Du et al.、2009)。おそらくこれらワクチン候補におけるFc断片によって誘導される、ヒトにおいて考えられる悪影響を排除するため、Fcタグを含まない数個のRBDタンパク質を、哺乳動物293TおよびCHO−K1細胞、Sf9昆虫細胞および大腸菌を含めた異なる発現系において連続的に発現させた。Fcタグを含まないこれらRBDタンパク質の大部分が、予防接種済み動物において強力な中和抗体応答およびSARS−CoVS攻撃に対する防御を依然として誘導することができたことが示された(Du et al.、2009;Du et al.、2010;Du et al.、2009)。これらの発見は、RBDタンパク質自体が強い中和抗体応答を誘発し、SARS−CoV感染から動物を、および具体的実施形態では人間も防御することができることを示す。
SARS−CoVS−RBD(残基318〜510)は、N−1、N−13およびN−40位置に3個のN結合型グリコシル化部位を含有する(Wong et al.、2004)。高グリコシル化がある哺乳動物細胞発現系RBDタンパク質が有意な中和活性を誘導した一方で、グリカンを含まない大腸菌発現系RBDタンパク質はRBD特異的、立体配座依存型モノクローナル抗体と反応することができ、予防接種済み動物において相当な中和抗体応答を誘導することもでき(Du et al.、2009)、グリカンを含まない組換えRBDタンパク質は、候補ワクチンとして使用するとき、それらの必須抗原性と免疫原性を依然維持することができることを示唆した。
メタノール資化性酵母ピキア・パストリスは、1)動物由来増殖因子を含まない画定培地中で多量のタンパク質を産生する、および2)低コストでの容易なスケール−アップを可能にする(He et al.、2005;Shibata et al.、1985)その能力のため、医薬およびワクチン用途で異種タンパク質発現に広く使用されている。真核生物発現系として、酵母は、発現タンパク質の機能に必須であり得るタンパク質プロセシング、フォールディング、ジスルフィド結合形成およびグリコシル化などの多くの翻訳後修飾が可能である。しかしながら、哺乳動物細胞とは異なり、ピキア・パストリスは発現タンパク質に単糖を頻繁に付加して過剰グリコシル化状態にする(Hopkins et al.、2011)。過剰グリコシル化グリカン中に存在する残基の程度と結合は酵母菌株および細胞培養条件に応じて変わり(Li et al.、2005)、結果として、発現収率、同種産物の再現性、および品質管理に関する懸念を引き起こす(Prabakaran et al.、2006)。これらの懸念のため、RBD配列中のN末端グリコシル化を担う3個のアスパラギンを除去または突然変異させて脱グリコシルRBD型を作製した。
本開示中、異なる長さを有する2つの野生型RBD(RBD193−野生型とRBD219−野生型)およびそれらの脱グリコシル型(RBD193−N1、RBD193−N2、RBD193−N3、RBD219−N1、RBD219−N2、RBD219−N3)を、対応するグリコシル化部位における残基を突然変異または欠失させることによって発現させた(図1)。次いでそれらの抗原性、機能性および免疫原性を比較した。SDS−PAGE分析によって、酵母発現系RBD193−野生型とRBD219−野生型の両方が、それらの計算上の分子量より大きい見かけの分子量でスミアとして移動したことが明らかになり、これらの組換えRBD−野生型は高グリコシル化または凝集状態であったことが示唆された(図2B)。N−グリコシダーゼPNGaseFでRBD193−野生型を消化した後、高分子量スミアは消失し、RBD193−野生型の大きさは予想分子量に戻り(図2C)、高分子量スミアは、何らかの凝集が原因ではなく、酵母発現系RBDの過剰グリコシル化が原因であったことを確認した。RBD193−野生型およびRBD219−野生型中のN結合型グリコシル化部位のいくつかを欠失または突然変異させたとき(N1、N2およびN3)、それに応じて組換えRBDの見かけの分子量が低下した(図2B)。したがって、これらの脱グリコシル化突然変異体によって、本発明者らはスケール−アップ生産および品質管理試験中正確かつ再現的に発現プロセスを制御できた。特に、欠失または突然変異N結合型グリコシル化部位を有する組換えRBDの発現収率は、それらの対応する野生型RBDの発現収率と比較して低下し(図2B)、したがって製品開発中に発現収率とグリコシル化レベルとの間の調節可能なバランスを見つける必要性を示した。
重要なことに、野生型形と比較したとき、RBD219−N1は発現収率を明らかに害することなく低いグリコシル化レベルを示した(図2B)。疎水性相互作用(Butyl HP)クロマトグラフィーおよびサイズ排除カラムを含めた2ステップ精製後、大部分のグリコシル化種および宿主タンパク質汚染物を除去した(図3および図4)。したがって、さらなる評価のため組換えRBD219−N1タンパク質を選択した。RBD219−N1は、2つの別個の方法、ウエスタンブロット(図5)およびELISA(図6)を使用し立体配座抗RBDモノクローナル抗体によって強く認識され(Goud et al.、2004;Dean、1999)、野生型タンパク質のそれと同等である抗原性を維持する、この脱グリコシル化タンパク質の能力をさらに確認した。さらに野生型RBDと同様に、RBD219−N1は細胞結合および可溶性受容体ACE2と非常によく結合し(図7)、この酵母発現系RBD突然変異体がその機能性を維持することをさらに確認した。
RBD219−N1の免疫原性を野生型RBDおよびいくつかの他の脱グリコシル化タンパク質と比較すると、RBD219−N1は、野生型RBD、RBD219−野生型およびRBD193−野生型、ならびに他の脱グリコシル化タンパク質、RBD193−N1およびRBD193−N3などより著しく高いSARS−CoVRBD特異的IgG抗体応答を誘導したようであり、RBD193−N1およびRBD193−N3はRBD193−野生型より比較的低い抗原性と免疫原性を示した(図6、図8および図9)。試験した全ての酵母発現系RBDの中で、RBD219−N1は偽型化SARS−CoVおよび生SARS−CoV感染に対する中和抗体の最も高い力価を誘発した(図9)。具体的実施形態では、RBD219−N1中のN−1グリコシル化部位の欠失はRBD中の中和エピトープを暴露し、より良い中和抗体応答の誘導をもたらした可能性がある。同様の現象をエボラウイルスにおいて観察した。エボラウイルス糖タンパク質サブユニット1(GP1)における2箇所のN結合部位の突然変異は、おそらくGP1上の防御抗体エピトープの暴露によって高い免疫原性をもたらした(Zakhartchouk et al.、2007)。
in vivo有効性に関してRBD219−N1ワクチン候補をさらに評価するため、SARS−CoV攻撃からの動物の防御を実施した。以前の経験に従うと、生SARS−CoVに対してNT50>1,000の中和抗体力価を誘導することができるRBD系ワクチン候補は、ウイルスによる感染から動物を完全に防御すると予想される(Du et al.、2009;Du et al.、2009)。本発明のデータは、RBD219−N1によって誘導された予防接種マウスにおける生SARS−CoVに対する中和抗体力価が2,000を超えたことを示し(図9B)、SARS−CoV攻撃から免疫処置動物を効率よく防御するその可能性を実証した。
結論として、如何なる余分なタグも含まないが1つの欠失グリコシル化部位がある酵母発現系RBD、RBD219−N1は、低いグリコシル化レベルおよび高い発現収率を示し、偽型化SARS−CoVと生SARS−CoVの両方に対して強力なRBD特異的抗体応答およびより強い中和抗体応答を誘導し、ヒトにおけるSARS−CoVに対する有効かつ安全なサブユニット・ワクチンとしてのその使用を示す可能性がある。
実施例10
発酵プロセスの実施例
SARS−CoVスパイクタンパク質由来の一例のRBD組成物の上流および下流プロセシングに関する手順の実施例を以下に記載する。
発酵プロセスの実施例
SARS−CoVスパイクタンパク質由来の一例のRBD組成物の上流および下流プロセシングに関する手順の実施例を以下に記載する。
上流プロセス−発酵:
BMG中の500mL培養物にクローンRBD219−N1/pPICZaA/ピキア・パストリスX33を接種し、18〜24時間30℃、225rpmでインキュベートした。
その後、一晩培養物を使用して発酵槽中の培地に接種した。発酵は30℃で開始し、開始pHは5.0に設定した。気体と攪拌を調節してDOを30%に維持した。バッチ段階中のグリセロールの枯渇によって(DOスパイク)、培養物は1時間飢餓状態になった(供給なし)。1時間の飢餓状態中、温度は30℃から25℃に移し、pHは5.0から6.5に増大させた。pHおよび温度勾配の後、メタノール誘導を開始した。誘導の最初の6時間(時間0〜時間6)に関して、メタノール供給率を1ml/L/時間から11ml/L/時間に増加させた。6時間の増加後、メタノール供給率は18時間(時間6〜時間24)11ml/L/時間に維持し、18時間の一定供給率11ml/L/時間の後、メタノール流速を6時間かけて(時間24〜時間30)11ml/L/時間から13ml/L/時間に再度増加させ、さらに18時間(時間30〜時間48)13ml/L/時間で維持し、最後に18時間の一定流速13ml/L/時間の後、流速を6時間かけて(時間48〜時間54)13ml/L/時間から15ml/L/時間に増加させ、施用の残り時間15ml/L/時間に維持した。
発酵後、無菌状態で培養物を滅菌採取容器にポンプで送ることによって培養物を採取した。JLA8.1000ローターを使用し、4℃において30分間7,000rpm(約12,500×g)での遠心分離によって細胞を除去した。上清は0.22umのボトルトップ型濾過ユニットを使用して濾過し、濾過した上清は1LのPETGボトルに移し、精製するまで保存した。
下流プロセス−精製:
発酵上清は3〜4倍に濃縮した。水酸化アンモニウムおよび硫酸アンモニウムを濃縮発酵上清に加えて、そのpHおよび伝導度をそれぞれ約8.0±5および220±10ms/cmに調節した。
pHおよび伝導度の調節後、0.22umを介して濃縮発酵上清を濾過し、pH8.0において30mMトリス、2M硫酸アンモニウム(AS)の結合条件でButyl HPカラムに充填した。pH8.0において2カラム体積(CV)の30mMトリス、2MのASでカラムを洗浄して、カラム内の非結合タンパク質を除去し、次にpH8.0において30mMトリス、0.7MのASでの10Vの第1ステップ溶出により結合汚染物質を除去し、最後にpH8.0において30mMトリスでの10CVの第2ステップ溶出により溶出プールを得た。
溶出プールを40±10倍にさらに濃縮し、Superdex75サイズ排除カラムに充填し残りの汚染物質を除去した。
RBD219−N1を特徴付けし、化学的安定性を確定するため、1つまたは複数のタンパク質特異的アッセイを利用することができる:
参照文献
本明細書中に言及する全ての特許および刊行物は、本発明が属する技術分野の当業者のレベルを示す。全ての特許および刊行物は、それぞれ個々の刊行物が参照により組み込まれたことが具体的かつ個別に示される場合と同程度で、参照により本明細書に組み込まれている。
刊行物
本明細書中に言及する全ての特許および刊行物は、本発明が属する技術分野の当業者のレベルを示す。全ての特許および刊行物は、それぞれ個々の刊行物が参照により組み込まれたことが具体的かつ個別に示される場合と同程度で、参照により本明細書に組み込まれている。
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Claims (27)
- 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS−CoV)スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)を含む単離された組成物であって、該ドメインが少なくとも1つのグリコシル化部位を欠く、または正常条件下でグリコシル化されている少なくとも1つの部位で脱グリコシル化されている組成物。
- 前記ドメインが完全長SARSCoVスパイクタンパク質内に含まれる、請求項1に記載の組成物。
- 前記ドメインが前記SARS−CoVスパイクタンパク質の断片である、請求項1に記載の組成物。
- 前記断片が前記SARSCoVスパイクタンパク質のアミノ酸残基318〜510を含む、請求項3に記載の組成物。
- 前記断片が前記SARSCoVスパイクタンパク質のアミノ酸残基318〜536を含む、請求項3に記載の組成物。
- 前記断片が少なくとも190アミノ酸長である、請求項3に記載の組成物。
- 前記断片が少なくとも210アミノ酸長である、請求項3に記載の組成物。
- 前記グリコシル化部位がN−グリコシル化部位である、請求項1または3に記載の組成物。
- 前記N−グリコシル化部位がアスパラギン部位である、請求項8に記載の組成物。
- 前記部位が前記SARS−CoVスパイクタンパク質のアミノ酸318のアスパラギンにある、請求項1または3に記載の組成物。
- 前記部位が前記SARS−CoVスパイクタンパク質のアミノ酸330のアスパラギンにある、請求項1または3に記載の組成物。
- 前記部位が前記SARS−CoVスパイクタンパク質のアミノ酸347のアスパラギンにある、請求項1または3に記載の組成物。
- 前記部位が、前記SARS−CoVスパイクタンパク質のアミノ酸318、アミノ酸330、アミノ酸347およびこれらの組合せからなる群から選択される1つまたは複数のアスパラギンにある、請求項1または3に記載の組成物。
- 前記断片が前記SARSCoVスパイクタンパク質のアミノ酸残基318〜536を含み、前記部位が前記SARS−CoVスパイクタンパク質のアミノ酸318のアスパラギンにある、請求項1または3に記載の組成物。
- 前記部位がアミノ酸欠失を含む、請求項1または3に記載の組成物。
- 前記部位がアミノ酸置換を含む、請求項1または3に記載の組成物。
- 前記アミノ酸置換がセリンまたはアラニンへの置換である、請求項15に記載の組成物。
- 薬学的に許容されるビヒクルに含まれる、請求項1から17のいずれか1項に記載の組成物。
- 個体におけるSARSの発症を予防もしくは遅延する、またはSARSの少なくとも1つの症状を低下する方法であって、該個体に有効量の請求項1から17のいずれかに記載の組成物を提供するステップを含む方法。
- 前記組成物を前記個体に1回提供する、請求項18に記載の方法。
- 前記組成物を前記個体に2回以上提供する、請求項18に記載の方法。
- 前記組成物を前記第1提供ステップの数週間、数ヶ月、または数年以内に前記個体に後で提供する、請求項18に記載の方法。
- 前記個体が1つまたは複数のSARSの症状を示す、請求項18に記載の方法。
- 前記個体が如何なるSARSの症状も欠く、請求項18に記載の方法。
- 前記個体がSARSに曝されている、請求項18に記載の方法。
- 前記個体がSARSを有する個体と接触している、請求項18に記載の方法。
- 前記個体が、生物兵器に曝されているまたはそのリスクがある子供、年輩者である、軍人である、または医療従事者である、請求項18に記載の方法。
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