JP2016539646A - 改良された植物性脂肪 - Google Patents

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Abstract

本発明は、植物性脂肪またはその分別油の主吸熱溶融ピーク位置を、開始値と比較して増加した値に増加させる方法であって、前記増加した値は、約40℃以上であり、前記植物性脂肪またはその分別油の10±1mgのサンプルを3℃/分の速度で20℃から50℃に加熱して、前記主吸熱溶融ピーク位置を定める溶融サーモグラムを作製することにより、示差走査熱量測定によって前記主吸熱溶融ピーク位置を測定し、前記方法は、a)植物性脂肪またはその分別油を加熱して溶融する工程、b)少なくとも5時間、前記主吸熱溶融ピーク位置の前記増加した値以下の温度で、植物性脂肪またはその分別油を貯蔵し、それによって、前記開始値と比較して前記植物性脂肪またはその分別油の前記主吸熱溶融ピーク位置の増加が得られ、前記植物性脂肪またはその分別油が、40〜95重量%のSatOSat−トリグリセリドを含み、前記植物性脂肪またはその分別油が、30〜85重量%のStOSt−トリグリセリドを含み、前記Satは飽和脂肪酸を示し、Stはステアリン酸を示し、Oはオレイン酸を示す、工程、を含む方法に関する。

Description

本発明は、植物性脂肪の分野に関する。特に、本発明は、高融点植物性脂肪結晶を得るための方法に関する。また、本発明は、このような改良された植物性脂肪を含んでなるチョコレート製品にも関する。
植物性脂肪は、広範な食料品の一部であり、化粧品および医薬品にも使用されている。
植物性脂肪は、トリグリセリドと少量の他の物質との混合物として見なすことができる。トリグリセリドの化学組成は、植物性脂肪または植物性油の供給源に依存し、植物性脂肪を処理することにより変更することができる。
特定の温度での植物性脂肪の固体部分は、トリグリセリドで作られた脂肪結晶を含んでいる。トリグリセリドの混合物の結晶化挙動は複雑であり、完全には理解されていない。安定性を変化させる異なる結晶形態は、脂肪が固化する間に形成されることが知られている。最も安定した結晶形態は、最も高い融点を有する。
多くの用途において、これらの特性は、植物性脂肪の感覚的パラメータ、および全体的な耐熱性の両方に影響するため、植物性脂肪の良好な溶融特性を得ることが重要である。
チョコレートを製造する間、ココアバターのように植物性脂肪を含むチョコレート組成物は、通常、いわゆるテンパリング工程(tempering process)へ供されることにより、所望の量の安定した脂肪結晶の形成を促進し、この安定した脂肪結晶は、良好な食感および保存可能期間のために重要である。
テンパリング工程はテンパリング装置内で行われ、テンパリング装置内では、チョコレートが慎重に予めプログラミングされた温度プロファイルに供される。
その後、チョコレートは、チョコレート菓子を製造するために用いられ、得られた菓子類は所定の冷却プログラムに従って冷却される。
テンパリング工程は、十分な量の所望の種類の種結晶を作製する目的を果たし、次に、固形脂肪の結晶組成物中において変化する傾向のほとんど無い非常に安定したチョコレート製品を得るために重要である。
テンパリング工程に加えてまたはその変わりとして、所望の形態に予め形成した種結晶を、製造プロセスの間にチョコレート中に混合することがある。
Sato et al.,JAOCS,Vol.66,no.12,1989は、ココアバター及びダークチョコレートの固化の際に結晶化の進行を促進するための結晶種の使用を記載している。
特開2008−206490号公報は、式中、Satは炭素原子が20以上の飽和脂肪酸であり、Uはオレイン酸などの不飽和脂肪酸である、SatUSat−型トリグリセリドの形態のテンパリング促進剤を開示している。
欧州特許出願公開第0294974号明細書は、50〜56個の構造脂肪酸残基の総炭素原子数を有するSatUSat−型トリグリセリドにも基づく粉末状テンパリング促進剤を記載している。テンパリング促進剤は、例えば、懸濁媒体中の懸濁物として、チョコレート製品を製造する間にチョコレートへの所望の結晶形態のためのシードとして、添加される。
植物性脂肪中の結晶化挙動を改良するための方法は、依然として必要である。
特開2008−206490号公報 欧州特許出願公開第0294974号明細書
Sato et al.,JAOCS,Vol.66,no.12,1989
本発明は、植物性脂肪またはその分別油の主吸熱溶融ピーク位置を開始値と比較して増加した値(an increased value)に増加させる方法に関し、前記増加した値は約40℃以上であり、10±1mgの前記植物性脂肪またはその分別油のサンプルを、3℃/分の速度で20℃から50℃に加熱して、前記主吸熱溶融ピーク位置を定める溶融サーモグラムを作製することにより、示差走査熱量測定(DSC)によって前記主吸熱溶融ピーク位置を測定し、
前記方法は、
a)植物性脂肪またはその分別油を加熱して溶融する工程、
b)少なくとも5時間、前記主吸熱溶融ピーク位置の前記増加した値以下の温度で、植物性脂肪またはその分別油を貯蔵し、
それによって、前記開始値と比較して、前記植物性脂肪またはその分別油の前記主吸熱溶融ピーク位置を増加させ、
前記植物性脂肪またはその分別油は、40〜95重量%のSatOSat−トリグリセリドを含み、
前記植物性脂肪またはその分別油は、30〜85重量%のStOSt−トリグリセリドを含み、
式中、Satは飽和脂肪酸を示し、Stはステアリン酸を示し、Oはオレイン酸を示す、工程、
を含む。
本実施形態において、工程b)において適用される前記温度は、例えば、約27℃〜約39℃、約30℃〜約39℃、または約33℃〜約38℃などの、約25℃〜約39℃である。
本実施形態においては、方法は、工程a)の後、工程b)の前に工程a1)を更に含み、前記工程a1)は、植物性脂肪またはその分別油を、例えば、約−10℃〜約38℃、または約0℃〜約37℃などの約−30℃〜約39℃の温度に冷却している。
本実施形態においては、前記植物性脂肪またはその分別油は、例えば、60〜90重量%など、50〜93重量%の量でSatOSatを含んでいる。
本実施形態においては、前記植物性脂肪またはその分別油は、例えば、45〜75重量%、または50〜70重量%など、40〜80重量%の量でStOStを含んでいる。
本実施形態においては、前記植物性脂肪またはその分別油は、シア、サル、マンゴ、モーラー(mowra)、コクム、イリッペ、クプアス、およびこれらの組合せからなる群から選択される。
本実施形態においては、前記植物性脂肪またはその分別油は、シアステアリンを含む、またはシアステアリンからなるものである。
本実施形態においては、前記主吸熱溶融ピーク位置の前記増加した値は、例えば、約42℃以上、または約43℃以上などの約41℃以上である。
本実施形態においては、前記主吸熱溶融ピーク位置の前記増加した値は、例えば、前記開始値よりも少なくとも約3℃、または少なくとも約4℃上など、前記開始値よりも少なくとも約2℃上である。
本実施形態においては、工程b)を、例えば、少なくとも約14時間、または少なくとも約18時間など、少なくとも約10時間行う。
更に、本発明は、上記実施形態の方法により製造された植物性脂肪またはその分別油を含むチョコレート製品に関するものである。
また、本発明は、チョコレート製品の製造について記載したいずれかの実施形態の方法により製造された植物性脂肪またはその分別油の使用に関するものである。
更に、本発明は、チョコレート製品を製造するために記載されたいずれかの実施形態の方法により製造された植物性脂肪またはその分別油の使用に関し、前記植物性脂肪またはその分別油は、シードとして使用される。
詳細な説明
本発明を以下により詳細に記載し、本発明の特定の実施形態を例示によって記載する。
以下の定義および省略形を、本明細書全体に適用する。
Sat=飽和脂肪酸/アシル基
U=不飽和脂肪酸/アシル基
St=ステアリン酸/ステアレート
O=オレイン酸/オレエート
DSC=示差走査熱量測定
CBE=ココアバター代用脂
CBI=ココアバター改良剤
本明細書において、用語「高融点」は、高い温度で溶融することを意味する。
本明細書において、パーセンテージ(%)として与えられる量は、特に断りのない限り、重量(w/w、wt%、wt.%)である。
チョコレート製品において、これらの特性は、植物性脂肪の感覚的パラメータおよび全体的な耐熱性に影響するため、チョコレート中に含まれる植物性脂肪の良好な溶融特性を得ることが重要でありうる。多くの場合、植物性脂肪をチョコレート中のココアバターに加えて、所望の方法でチョコレートの特性を調整することが有効である。
本発明は、植物性脂肪またはその分別油の主吸熱溶融ピーク位置を、開始値と比較して増加した値まで増加させる方法に関し、前記増加した値は約40℃以上であり、10±1mgの前記植物性脂肪またはその分別油のサンプルを3℃/分の速度で20℃から50℃に加熱して、測定して前記主吸熱溶融ピーク位置を定める溶融サーモグラムを作製することにより、示差走査熱量測定(DSC)により前記主吸熱溶融ピーク位置を測定し、
前記方法は、
a)植物性脂肪またはその分別油を加熱して、溶融する工程、
b)少なくとも5時間、前記主吸熱溶融ピーク位置の前記増加した値以下の温度で、植物性脂肪またはその分別油を貯蔵し、
それによって、前記開始値と比較して、前記植物性脂肪またはその分別油の前記主吸熱溶融ピーク位置を増加させ、
前記植物性脂肪またはその分別油は、40〜95重量%のSatOSat−トリグリセリドを含み、
前記植物性脂肪またはその分別油は、30〜85重量%のStOSt−トリグリセリドを含み、
式中、Satは飽和脂肪酸を示し、Stはステアリン酸を示し、Oはオレイン酸を示す、工程、
を含む。
主吸熱溶融ピーク位置は、植物性脂肪の溶融特性の優れた測定である。DSCは、植物性脂肪の溶融特性を特徴付けるために広範に使用されている。
サンプルを、HUBER社のTC45投げ込み冷却装置(immersion cooling system)を備える、METTLER社のTOLEDO DSC823により分析した。
参照として空の鍋(pan)を用いて、10±1mgのサンプルを40μLのアルミニウム製鍋中に密封した。最初に、サンプルを2分間20℃で保持した。次に、サンプルを、3℃/分の速度で50.0℃まで加熱し、溶融サーモグラムを作製した。
特に、対称な一価不飽和トリグリセリドは、多数の異なる結晶形態で固化する可能性を有する。
トリグリセリド混合体(triglyceride blend)の主吸熱溶融ピーク位置が高いほど、混合体中に存在する結晶形態はより安定である。
驚くべきことに、SatOSat−トリグリセリド中に豊富にあり、StOSt−トリグリセリドの実質的な含有量を有する植物性脂肪またはその分別油の高溶融点結晶形態は、制御された温度条件下における溶融工程および貯蔵を含む方法により迅速に得ることができることを見出した。
本明細書に記載の開始値は、貯蔵工程の前に、すなわち、前記主吸熱溶融ピーク位置の前記増加した値以下の温度で、植物性脂肪またはその分別油を貯蔵する0時間目で採取した、DSC測定値に相当する。
更に、本実施形態において、工程b)に適用される温度は、例えば、約27℃〜約39℃、約30℃〜約39℃、または約33℃〜約38℃などの、約25℃〜約39℃である。
更に、本実施形態によれば、工程b)に適用される貯蔵温度は、周囲よりも高い。周囲よりも高い温度、例えば、26℃、28℃、29℃、31℃、32℃、34℃、35℃、36℃、37℃、またはこれらの間のさまざまな温度で、植物性脂肪を貯蔵することにより、高融点脂肪結晶の形成が、驚くほど高い割合にまで促進される。
本実施形態においては、方法は、工程a)の後であって工程b)の前に、工程a1)を更に含み、前記工程a1)は、植物性脂肪またはその分別油を、例えば、約−10℃〜約38℃、または約0℃〜約37℃などの約−30℃〜約39℃の温度に冷却することからなる。
前記冷却工程は、例えば、溶融物を噴霧乾燥させる場合など、能動的冷却を含んでもよい。冷却方法は、本発明のこれらの実施形態においてそれほど重要ではなく、また、例えば、19℃〜25℃など、周囲温度〜周囲温度と近い温度で溶融した脂肪酸を冷却することを含んでもよい。
本実施形態においては、前記植物性脂肪またはその分別油は、60〜90%など50〜93%の量でSatOSatを含んでいる。驚くべきことに、SatOSat−トリグリセリド中に豊富な植物性脂肪またはその分別油の高融点結晶形態を急速に得ることができることが見出された。
本実施形態においては、前記植物性脂肪またはその分別油は、例えば、45〜75%、または50〜70%など、40〜80重量%の量でStOStを含んでいる。
更に、本実施形態によれば、驚くべきことに、相当な量のStOSt−トリグリセリドは、植物性脂肪またはその分別油に高融点結晶の迅速な形成を促進する。
本実施形態においては、前記植物性脂肪またはその分別油は、シア、サル、マンゴ、モーラー、コクム、イリッペ、クプアスおよびこれらの組合せからなる群から選択される。
さらに、本実施形態によれば、前記方法は、さまざまな天然供給源からの植物性脂肪またはその分別油に適用可能である。
さらに、本実施形態においては、前記植物性脂肪またはその分別油は、シアステアリンを含む、またはシアステアリンからなる。
シアステアリンは、シアカーネルから得られる脂肪画分であり、本実施形態による良好な処理を行うのに適した脂肪組成物を有する。
更に、本実施形態においては、前記主吸熱溶融ピーク位置の増加した値は、例えば、約42℃以上、または約43℃以上などの約41℃以上である。
本実施形態によれば、主吸熱溶融ピーク位置は、多量の安定性高融点脂肪結晶を反映することが望ましい。このように、高温は、比較的多量の高融点脂肪結晶を含む高融点脂肪酸を反映する。主吸熱溶融ピーク位置の所望の増加した値を達成するために必要な貯蔵時間および貯蔵温度は、植物性脂肪組成物にも依存しうる。
本実施形態においては、シアステアリンを本発明の方法へ供する。シアステアリンは、例えば、50℃または60℃などの約40℃以上の温度へ供することにより完全に溶融する。溶融物を40℃未満の温度へ冷却し、33℃〜39℃の温度で、15、16、17、または18時間保存すると、例えば、約42℃以上などの約41℃以上の主吸熱溶融ピーク位置が得られる。この主吸熱溶融ピーク位置は、貯蔵0時間目での主吸熱溶融ピーク位置の開始値の少なくとも約4℃上の増加に相当する。
本実施形態においては、前記主吸熱溶融ピーク位置の前記増加した値は、例えば、少なくとも約3℃、または少なくとも約4℃などの少なくとも約2℃前記開始値よりも上である。
本実施形態によれば、主吸熱溶融ピーク位置は、植物性脂肪の貯蔵前に測定した開始値と比較すると、少なくとも2℃以上増加する。チョコレートの製造などの用途において、本実施形態による植物性脂肪の組み込みによって、最終的なチョコレートの溶融特性および感覚的特性を改良することができる。
本実施形態においては、方法の工程b)は、例えば、少なくとも約14時間、または少なくとも約18時間など少なくとも約10時間行われる。工程b)の後の主吸熱溶融ピーク位置は、約40℃以上であるべきである。脂肪組成物および貯蔵温度に依存して、これは、驚くべきことに、例えば、38℃、35℃、34℃、またはこれらの間の温度など39℃以下で、少なくとも12時間または少なくとも15時間、少なくとも20時間または少なくとも25時間などの数時間の貯蔵後には、すでに得られている。主吸熱溶融ピーク位置の早い増加は、非常に驚くべきことである。例えば、23℃、28℃、30℃またはこれらの間の温度などの僅かに低い貯蔵温度では、約40℃以上の主吸熱溶融ピーク位置を得るために僅かに長い貯蔵時間を必要とし、これもまた植物性脂肪組成物に依存する。
更なる実施形態では、実施形態中の前記方法は、即ち、上記方法の工程b1)において、増加した主吸熱溶融ピーク位置を有する貯蔵した植物性脂肪またはその分別油をすりつぶして、粉末にすることを更に含む。本明細書に記載の、すりつぶしは、粉砕、やすりかけ、みじん切り、切断、破砕、および細断することのいずれかの方法により粉末にすることを含む。
また、更なる実施形態は、実施形態の前記方法は、即ち、上記方法の工程b1)において、増加した主吸熱溶融ピーク位置を有する貯蔵した植物性脂肪またはその分別油をすりつぶして、スラリーにすることを更に含む。本明細書で使用されるスラリーは、結晶などの固体粒子を、液体または粉末状固体と液体との液状混合物中の懸濁液を意味する。本明細書のスラリーは、部分的に溶融した植物性脂肪またはその分別油を含む。
また、本発明は、上記実施形態のいずれかの方法により製造した植物性脂肪またはその分別油を含むチョコレート製品に関する。
チョコレート製品は、本発明の方法を植物性脂肪またはその分別油に適用し、このようにして処理された脂肪をチョコレート製品中へ組み込むことにより相当改良することができる。
本発明は、チョコレート製品の製造について記載された実施形態のいずれかの方法により製造された植物性脂肪またはその分別油の使用にも関する。
本発明の方法を植物性脂肪またはその分別油へ適用し、処理された脂肪をチョコレートの製造において成分として使用することにより、チョコレート製品の製造プロセスを単純にすることができ、および/または、チョコレート製品は、例えば、特に高温での感覚パラメータおよび保存期間について改良された特性を得ることができる。
更に、本発明は、チョコレート製品の製造について記載された実施形態のいずれかの方法により製造された植物性脂肪またはその分別油の使用に関し、前記植物性脂肪またはその分別油は、シードとして使用される。
本発明の方法により処理された植物性脂肪またはその分別油は、チョコレート製品の製造におけるシーディング(seeding)の目的にとって特に有用である。本発明の方法により得られた高融点結晶を用いたシーディングは、テンパリングの間のチョコレート中の高融点結晶の形成を補助することができ、またはテンパリング工程の省略すら可能にすることができ、それによってチョコレートの品質を改良し、その製造を単純化することができる。
さらに、任意の実施形態における前記使用に関する実施形態は、前記植物性脂肪またはその分別油を、粉末またはスラリーとして使用する場合も含む。このように、特定の実施形態では、本明細書に記載の実施形態の方法により製造された植物性脂肪またはその分別油の使用は、チョコレート製品の製造のためであり、植物性脂肪またはその分別油は、前記シードとして使用され、前記シードは粉末またはスラリーとして使用される。
図1および図2は、主吸熱溶融ピーク位置の貯蔵温度および貯蔵時間への影響を示す。
図1は、それぞれ20℃および37℃での5時間の恒温貯蔵後の主吸熱溶融ピーク位置への影響を示し、開始値は約36.5℃である。実線は、20℃で5時間であり、破線は、37℃で5時間である。 図2は、それぞれ20℃および37℃での29時間の恒温貯蔵後の主吸熱溶融ピーク位置への影響を示し、開始値は約36.5℃である。実線は、20℃で29時間であり、破線は、37℃で29時間である。
(実施例1)
貯蔵時間および貯蔵温度の関数で表されるシアステアリンの主吸熱溶融ピーク位置
DSC分析
サンプルを、フーバー(HUBER)社製のTC45の投げ込み冷却装置を備えるメトラー・トレド(METTLER TOLEDO)社製のDSC823により分析した。
参照として空の鍋を用いて、10±1mgのサンプルを40μLのアルミニウム製鍋中に密封した。最初に、サンプルを、2分間、20.0℃で保持した。次に、サンプルを、3℃/分の速度で50.0℃に加熱し、溶融サーモグラムを作製した。実験は二回行った。
DSCデータ
手順:
シアステアリンの50gのサンプルを60℃から25℃に冷却し、その後、それぞれ20±0.5℃、25±0.5℃、30±0.5℃、33±0.5℃、35±0.5℃、および37±0.5℃で恒温貯蔵キャビネットに配置した。
恒温キャビネット中に、0時間(恒温キャビネットへ入れる前)〜317時間の貯蔵の間隔をおいて非−恒温DSCサーモグラムを得た。
0時間での測定値は、本明細書における開始値に相当する。
表1は、異なる温度で異なる貯蔵時間の間、貯蔵した後の、非−恒温DSCサーモグラム溶融ピーク位置を示す。
Figure 2016539646
図1および図2には、それぞれ、20℃および37℃での5時間および29時間後の結果を示している。
結果は、主吸熱溶融ピーク位置が、示した温度で数時間または数日の貯蔵以内に急激に増加したことを示している。
図1から図2に変化した時、20℃を示すピークの拡がりは、脂肪結晶がより安定した形状に変化し始まていることを示している。
便宜のために表に示した実験中に恒温貯蔵を使用したが、20〜39℃などさまざまな温度での貯蔵も、植物性脂肪中の高融点結晶の形成を促進することによって、t=0時間での開始値と比較して、主吸熱溶融ピーク位置が増加した。

Claims (16)

  1. 植物性脂肪またはその分別油の主吸熱溶融ピーク位置を、開始値と比較して増加した値に増加させる方法であって、
    前記増加した値は、約40℃以上であり、
    前記植物性脂肪またはその分別油の10±1mgのサンプルを3℃/分の速度で20℃から50℃に加熱して、前記主吸熱溶融ピーク位置を定める溶融サーモグラムを作製することにより、示差走査熱量測定によって前記主吸熱溶融ピーク位置を測定し、
    前記方法は、
    a)植物性脂肪またはその分別油を加熱して溶融する工程、
    b)少なくとも5時間、前記主吸熱溶融ピーク位置の前記増加した値以下の温度で、植物性脂肪またはその分別油を貯蔵し、
    それによって、前記開始値と比較して前記植物性脂肪またはその分別油の前記主吸熱溶融ピーク位置の増加が得られ、
    前記植物性脂肪またはその分別油が、40〜95重量%のSatOSat−トリグリセリドを含み、
    前記植物性脂肪またはその分別油が、30〜85重量%のStOSt−トリグリセリドを含み、
    前記Satは飽和脂肪酸を示し、Stはステアリン酸を示し、Oはオレイン酸を示す、
    工程、
    を含む、方法。
  2. 前記工程b)において適用した温度は、例えば、約27℃〜約39℃、約30℃〜約39℃または約33℃〜約38℃などの約25℃〜約39℃である、請求項1に記載の方法。
  3. 工程a)の後、かつ工程b)の前に工程a1)を更に含み、
    前記工程a1)は植物性脂肪またはその分別油を、例えば、約−10℃〜約38℃または約0℃〜約37℃などの約−30℃〜約39℃の温度に冷却する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記植物性脂肪またはその分別油が、例えば、60〜90%などの50〜93重量%の量でSatOSatを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記植物性脂肪またはその分別油が、例えば、45〜75%または50〜70%などの40〜80重量%の量でStOStを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記植物性脂肪またはその分別油が、シア、サル、マンゴ、モーラー、コクム、イリッペ、クプアス、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記植物性脂肪またはその分別油が、シアステアリンを含む、またはシアステアリンからなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記主吸熱ピーク位置の前記増加した値が、例えば、約42℃以上または約43℃以上などの約41℃以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記主吸熱溶融ピーク画分の前記増加した値が、前記開始値よりも、例えば、少なくとも約3℃または少なくとも約4℃などの少なくとも約2℃以上である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記工程b)が、例えば、少なくとも約14時間または少なくとも約18時間など、少なくとも約10時間に30回行われる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 上記1b)の増加された主吸熱溶融ピーク位置を有する貯蔵された植物性脂肪またはその分別油を粉末へ粉砕する工程を更に含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 上記1b)の増加された主吸熱溶融ピーク位置を有する貯蔵された植物性油脂またはその分別油をスラリーへ溶融する工程を更に含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法により製造された植物性脂肪またはその分別油を含む、チョコレート製品。
  14. チョコレート製品を製造するための、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法により製造された植物性脂肪またはその分別油の使用。
  15. 前記植物性油またはその分別油をシードとして使用する、請求項14に記載の使用。
  16. 前記植物性脂肪またはその分別油が粉末またはスラリーとして用いられる、請求項14または15に記載の使用。
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