JP2016538865A - 微生物に対する新規ゲノム改変システム - Google Patents

微生物に対する新規ゲノム改変システム Download PDF

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Abstract

本発明は、エンドヌクレアーゼの認識部位、微生物の標的ゲノムと相同性を有する第1領域、および選択マーカーの第1部分を備える第1コンストラクトと、上記選択マーカーの第2部分、上記微生物の上記標的ゲノムと相同性を有する第2領域、および上記エンドヌクレアーゼの認識部位のコピーを備える第2コンストラクトとを備えるターゲッティングコンストラクトのセットに関し、本発明はさらに、微生物における標的遺伝子を改変する方法と、微生物を生産する方法と、本発明の方法により生産される微生物とに関する。【選択図】なし

Description

本発明は、微生物、特に酵母の分子生物学および遺伝子工学に関する。
酵母等の微生物における相同組換えは、DNA断片を接合する二本鎖切断修復メカニズムに基づいている。二本鎖DNAの切断が検知されると、エキソヌクレアーゼが両鎖の5’末端を分解し、その後、相同的なテンプレート鎖の侵入が起こる。DNA合成メカニズムは両鎖を修復し、DNA連結により欠失なくこの過程は完了する(Storici et al., (2003). PNAS USA 100: 14994-9; Haber, (2000). Trends Genet 16: 259-264)。相同組換え修復はわずか30bpの相同性でも起こり得るが、200-400bpの場合の方がはるかに効率がよい(Sugawara et al., (2000). Mol Cell Biol 20: 5300-5309)。
二本鎖切断を修復するその他の方法は、非相同末端結合に基づいている。非相同末端結合では、いわゆるKuタンパク質のヘテロ二量体が損傷した染色体末端をつかみ、それにより付加的なタンパク質の結合を促進する。これらの付加的なタンパク質はDNA末端を処理して連結するが、一般的にいくつかのヌクレオチドの欠失を伴う(Storici et al., (2003). PNAS USA 100: 14994-9)。
相同組換え修復の経路は、共に形質転換され、相同的な領域を含む2つのDNA断片からプラスミドを構築することに有用である(Ma et al., (1987). Gene, 58: 201-16.26)。微生物、特に出芽酵母(S.cerevisiae;S.セレビシエ)の種は、新しい技術を開発するのに扱いやすい生物である(Kumar and Snyder, (2001). Nat Rev Genet 2: 302-312)。S.セレビシエでは、遺伝子改変が二本鎖DNAでも一本鎖DNAでも行われる(Orr-Weaver et al., (1981). PNAS USA 78: 6354-6358; Moerschell et al., (1988). PNAS USA 85: 524-528)。S.セレビシエは少なくとも38本の、互いに重なり合いのある一本鎖オリゴヌクレオチドと、線形の二本鎖ベクターとを一度の形質転換の事象で取り込んで集合することができ、オリゴヌクレオチドの重なり合いはわずか20ベースペアでも可能であり、200ヌクレオチドの長さでも可能である(Gibson, (2009). Nucleic Acids Res 37: 6984-6990)。
不明な遺伝子産物の機能的な特徴づけを行うのに最も有力なツールの一つが染色体上の遺伝子を完全に欠失させることである。S.セレビシエにおける高効率の相同組換えにより、35-40bpほどの短い相同配列にはさまれたPCR断片を用いて直接的な形質転換を起こす遺伝子ターゲッティングが確立されている(Baudin et al., (1993). Nucleic Acids Res 21: 3329-3330; Klinner and Schafer, (2004). FEMS Microbiol Rev 28: 201-223)。しかし、S.pastorianus(S.パストリアヌス)のラガー醸造においては、遺伝的に複雑なため相同組換えの効率は低くなる。従って、ラガー醸造株はより長い両側の相同的な重なり合い(>400bp)が、有効な二本鎖切断の修復または欠失カセットのゲノムDNAへの挿入に必要である。
複数の遺伝子をノックアウトするためには、マーカーのリサイクルも必要である。遺伝子を欠失させその後のマーカーの切除を成功するための従来のシステムは細菌性のhisG配列の直列反復配列(direct repeats)にはさまれたマーカー(Akada et al., (2002). Yeast 19: 393-402)や、部位特異的リコンビナーゼの2つのターゲット部位にはさまれたマーカー(McNabb et al., (1997). Biotechniques, 22: 1134-1139; Storici et al., (1999). Yeast 15: 271-283; Gueldener et al., (2002). Nucleic Acids Res 30: e23; Iwaki and Takegawa, (2004). Biosci Biotechnol Biochem 68: 545-550)を含んでいた。この方法では、繰り返しのうちの1コピーはターゲットされた染色体に残る。しかしながら、複数の残存配列がゲノムに存在すると、その後のカウンターセレクションが可能な(counter-selectable)カセットによる形質転換の確率は劇的に減少する(Davidson and Schiestl, (2000). Curr Genet 38: 188-190)。複数のターゲット部位は染色体の再構成を引き起こし得る。例えば、4セットのloxPリピートが同時にゲノムに配置されているときは、CREリコンビナーゼの発現により染色体の再構成は50%の頻度で起こる。これは、同じ微生物の連続的ターゲッティングでは、正しくノックアウトされたものを同定するためには、各回においてより多くのスクリーニングを行う必要があることを意味している(Delneri et al., (2000). Gene 252: 127-135)。
この問題を乗り越えるため、継ぎ目のない遺伝子の欠失のためのシステムにおいて、ターゲットされた遺伝子座に由来する重複する40ベースペアの配列が付されたURA3マーカーを含むPCRにより増幅されたカセットが、ゲノムに傷をつけずにHIS3の削除とマーカーのリサイクルを行うために使用された(Akada et al., (2006). Yeast 23: 399-405)。コロニーは5−フルオロオロチン酸を用いてカウンターセレクションされ、重複する40ベースペア配列の間で組換えが起きてURA3を失ったコロニーが同定される。この結果として、外来の配列が残らずにHIS3の欠失が起きる(Akada et al., (2006). Yeast 23: 399-405)。また、966ベースペアの長い列が遺伝子の正しいターゲッティングのために必要であることが示された。この列を短い40bpの相同的な配列に置き換えると形質転換体は生じなかった(Akada et al., (2006). Yeast 23: 399-405)。
ターゲッティングの効率は、ターゲッティングコンストラクトに存在する長い相同的な配列に一部依存している(Davidson and Schiestl, (2000). Curr Genet 38: 188-190)。しかしながら、例えばラガー醸造を行う酵母のサッカロマイセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)等のいくつかの微生物においては、相同的な組換えは難しく、たとえターゲッティングコンストラクトに長い相同的な配列が存在しても難しい。
相同組換えの効率が低いときには、偽陽性の結果を得る可能性も増加する。偽陽性は通常、ランダムな一度の乗り換え事象の結果である。
本発明は、効率的なターゲッティングの問題の解決を、選択マーカーの正常な発現がターゲッティングコンストラクト間の組換え事象に依存するターゲッティングコンストラクトのセットを提供することにより達成する。ターゲッティングコンストラクト間の組換え事象の発生は、ターゲッティングコンストラクトが正しいターゲッティング遺伝子座に組み込まれると顕著に増加することが見いだされた。従って、1つのベクターによるターゲットシステムに比べて、ターゲッティングコンストラクトのセットを備える本発明のターゲットシステムは、選択マーカーを発現する微生物においてコンストラクトが正しく組み込まれる確率を非常に高める。マーカーを2つに分離することで、1度の交差の事象による偽陽性の発生を抑制する。この分離マーカーアプローチは偽陽性に対する真陽性の割合を改善する(Nielsen et al., 2006. Fungal Gen Biol 43: 54-64)。
本発明はターゲッティングコンストラクトのセットを提供し、ターゲッティングコンストラクトは第1コンストラクトと第2コンストラクトを備え、第1コンストラクトは、微生物の標的ゲノムと相同性を有する第1領域と、エンドヌクレアーゼの認識部位と、選択マーカーの第1部分とを備え、第2コンストラクトは、上記選択マーカーの第2部分と、上記エンドヌクレアーゼの認識部位のコピーと、微生物の標的ゲノムと相同性を有する第2領域とを備え、選択マーカーの第1部分の断片と選択マーカーの第2部分に存在する断片とは重なり合い、選択マーカーの第1部分と第2部分との組換えを可能にする。上記エンドヌクレアーゼをコードし誘導可能なプロモーターと対になっているコーディング配列は第1または第2のコンストラクトに存在する。第1コンストラクトにある標的ゲノムと相同性を有する第1領域の一部分は、第2コンストラクトにある、エンドヌクレアーゼ認識部位のコピーおよび標的ゲノムと相同性を有する第2領域との間で重複する。または、第2コンストラクトにある標的ゲノムと相同性を有する第2領域の一部分は、第1コンストラクトにある、標的ゲノムと相同性を有する第1領域およびエンドヌクレアーゼ認識部位との間で重複する。
上記ターゲットゲノムと相同性を有する第1および第2領域のそれぞれは少なくとも20ベースペア(bp)からなる。上記相同性を有する第1および第2領域の長さには原則的に上限は無い。しかしながら、第1および第2のコンストラクトの生成を容易で効率的なものにするため等の実用的な理由により、上記相同性を有する第1および第2領域は20bpと100kbとの間で構成されることが好ましく、40bpと10kbとの間で構成されることがより好ましく、50bpと5kbとの間で構成されることがより好ましく、100bpと1kbとの間で構成されることがより好ましい。
第1および第2ターゲッティングコンストラクトにある上記標的ゲノムとの相同性を有する重複領域は、20bpと500bpとの間が好ましく、20bpと200bpとの間が好ましく、40bpと100bpとの間が好ましく、約80bpが好ましい。第1および第2ターゲッティングコンストラクトにある上記標的ゲノムとの相同性を有する重複領域は、相同組換えにより、ターゲットゲノムから傷をつけずにマーカーを取り除くことができる。
第1コンストラクトは、好ましくは以下の順に、微生物の標的遺伝子と相同性を有する第1領域、エンドヌクレアーゼの認識部位、および選択マーカーの第1部分を備えて構成される。第2コンストラクトは、好ましくは以下の順に、上記選択マーカーの第2部分、上記エンドヌクレアーゼをコードし誘導可能なプロモーターと対になっているコーディング配列、上記エンドヌクレアーゼ認識部位のコピー、第1コンストラクトに存在する標的遺伝子と相同性を有する第1領域の一部分のコピー、および微生物の標的遺伝子と相同性を有する第2領域を備えて構成される。この構成は図1に描かれている。
本明細書において用いられるように、コンストラクトという用語は、人工的に構築された核酸のセグメントを指す。コンストラクトはベクターが好ましく、細菌での成長に対する細菌耐性遺伝子を備えるベクターが好ましい。最も好ましいコンストラクトはプラスミドであり、線状または環状の二本鎖DNAで染色体DNAとは独立に細菌内で複製され得るものが好ましい。
標的遺伝子は、ゲノム配列を改変しようとする微生物、好ましくは酵母のいかなる遺伝子でもよい。本明細書において用いられるように、遺伝子という用語は、微生物のゲノムの一部であり、遺伝子のイントロンおよびエクソンの部分、上記遺伝子のプロモーター領域、および例えばエンハンサー配列のような上記遺伝子の発現を調整するゲノム配列を備える。
ターゲッティングコンストラクトは微生物の遺伝子を改変することに好適に用いられることが当業者に理解されるだろう。従って、本発明はさらに以下のターゲッティングコンストラクトのセットを提供する。当該ターゲッティングコンストラクトのセットは、第1コンストラクトと第2コンストラクトを備え、第1のコンストラクトは、微生物の標的遺伝子と相同性を有する第1領域と、エンドヌクレアーゼの認識部位と、選択マーカーの第1部分とを備え、第2コンストラクトは、上記選択マーカーの第2部分と、エンドヌクレアーゼ認識部位のコピーと、微生物の標的遺伝子と相同性を有する第2領域とを備え、選択マーカーの第1部分の断片と選択マーカーの第2部分に存在する断片とは重なり合い、選択マーカーの第1部分と第2部分との組換えを可能にする。上記エンドヌクレアーゼをコードし誘導可能なプロモーターと対になっているコーディング配列は第1または第2のコンストラクトに存在する。第1コンストラクトにある標的遺伝子と相同性を有する第1領域の一部分は、第2コンストラクトにある、エンドヌクレアーゼ認識部位のコピーおよび標的遺伝子と相同性を有する第2領域との間で重複する。または、第2コンストラクトにある標的遺伝子と相同性を有する第2領域の一部分は、第1コンストラクトにある、標的遺伝子と相同性を有する第1領域およびエンドヌクレアーゼ認識部位との間で重複する。第1および第2ターゲッティングコンストラクトにある上記標的遺伝子との相同性を有する重複領域は、20bpと200bpとの間が好ましく、40bpと100bpとの間が好ましく、約80bpが好ましい。
ゲノム配列の改変という用語は、1以上のヌクレオチドの置換、1以上のヌクレオチドの挿入、および/または1以上のヌクレオチドのゲノム上、好ましくは遺伝子上のいかなる位置での欠失を含む。
例えば、もし標的遺伝子と相同性を有する第1および第2領域がその遺伝子と隣接するゲノム配列を備えるとすると、相同性を有する第1領域および/または相同性を有する第2領域における1以上のヌクレオチドの置換は、本発明におけるターゲッティングコンストラクトのセットによる相同的なターゲッティングの後にその遺伝子の改変という結果をもたらす。上記1以上のヌクレオチドの置換は第1および第2コンストラクトに存在する標的遺伝子と相同性を有する領域にあることが好ましい。
上記ゲノム配列の改変は、1以上のヌクレオチドの欠失であることが好ましく、遺伝子のどこかであることが好ましい。例えば、もし標的遺伝子と相同性を有する第1および第2領域が、生物のゲノム上で離れた位置にある遺伝子のゲノム配列を備えるとすると、本発明におけるターゲッティングコンストラクトのセットによる相同的なターゲッティングの後の遺伝子の改変は、親染色体(parental chromosome)において、相同性を有する第1および第2領域の間に位置している領域の欠失をもたらす。
微生物は異数性の微生物であることが好ましく、異数性の酵母であることが好ましい。本明細書において用いられるように、異数性という用語は、その生物の通常の染色体の数とは異なった、異常な数の染色体が細胞または生物に存在することを指す。異数性の微生物は1以上の染色体を余分に有するかまたは失っている。異数性の微生物という用語は倍数体の微生物を含む。菌類においては、異数性は抗真菌薬剤耐性をもたらし、素早い適応進化を可能にすることが知られている(Calo et al., (2013). PLoS Pathog 9(3): el003181)。
上記の微生物は、異数体の微生物が好ましく、子嚢菌門(Ascomycota)が好ましく、サッカロマイセス亜門(Saccharomycotina)が好ましく、サッカロマイセス・センス・ストリクト(Saccharomyces sensu stricto)(サッカロマイセス・パラドクサス(Saccharomyces paradoxus)、S.ミカテ(S. mikatae)、S.バヤヌス(S. bayanus)、S.ユーバヤヌス(S. eubayanus)、S.クドリアブゼビイ(S. kudriavzevii)、S.パラドクサス(S. paradoxus)、S.アルボリコルス(S. arboricolus))、カザツタニア(Kazachstania)、ナウモボジマ(Naumovozyma)、ナカセオミケス(Nakaseomyces)、バンデルワルトジマ(Vanderwaltozyma)、ジゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)、ラチャンセア(Lachancea)、クルイウェロマイセス(Kluyveromyces)、エレモテシウム(Eremothecium)、トルラスポラ(Torulaspora)、オガテア(Ogataea)、デバリオマイセス(Debaryomyces)、クラビスポラ(Clavispora)、カンジダ(Candida)、コマガテラ(Komagataella)、および/またはヤロウィア(Yarrowia)種が好ましい。好ましい生物は、ラガー醸造酵母のサッカロマイセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)である。
S.パストリアヌスはS.セレビシエとS.ユーバヤヌスの雑種であると考えられている。S.パストリアヌスのゲノムのサイズはS.セレビシエのゲノムのサイズの最大60%増しの大きさであり、上記2つのゲノムの大部分を含んでいる。S.セレビシエは、200kbから2200kbの範囲のサイズの16の染色体の一倍体のセットを含んでいる。S.パストリアヌスのゲノムのサイズは24-50Mbである。さらに報告される異数性のサッカロマイセス種はS.モナセンシス(S. monacensis)とS.ウバルム( S. uvarum)である。倍数体の菌類の概観は、Albertin and Marullo, (2012). Proc R Soc B 279: 2497-2509において提供されている。
上記の選択マーカーは、当業者に知られている、栄養要求性の選択マーカーまたは優性選択マーカーが好ましい。好ましい栄養要求性マーカーには、URA3、KlURA3、CaURA3、HIS3、his5、LEU2、KlLEU2、LYS2、TRP1、ADE1、ADE2、およびMET15が含まれる。好ましい優性マーカーには、KanMX、Sh ble、hph、CUP1、SFA1、dehH1、PDR3-9、 AUR1-C、nat、pat、ARO4-OFP、SMR1、FZF1-4および DsdAが含まれる。酵母の生物において日常的に用いられる好ましいマーカーの概観が表1に示される。
上記の第1コンストラクトは、好ましくは最初の3分の2の部分または最初の半分において、選択マーカーをコードする領域の第1部分を備える。例えば、YEL021Wとも呼ばれるURA3は、ピリミジンのデノボ生合成における6番目の酵素反応ステップであるOMPのウリジン一リン酸(UMP)への変換を触媒するオロチジン‐5’−リン酸(OMP)デカルボキシラーゼをコードする。このコードされたタンパク質は267アミノ酸を有し、801ベースペア(bp)の核酸配列によりコードされる。上記の第1コンストラクトは、URA3のコード領域の200bpから600bpを備えることが好ましく、300bpから500bpを備えることがより好ましい。第2コンストラクトはURA3のコード領域の200bpから600bpを備えることが好ましく、300bpから500bpを備えることがより好ましい。
選択マーカーの第1および第2部分で重なり合う領域はおおよそ20bpから800bpの間であることが好ましく、おおよそ50bpからおおよそ600bpの間であることが好ましく、おおよそ200bpであることが好ましい。
選択マーカーはURA3が好ましい。URA3は、酵母のRNAにおいてピリミジンリボヌクレオチドの合成に関与する反応を触媒する酵素であるオロチジン5−リン酸デカルボキシラーゼ(ODCase)をコードする。ODCase活性を喪失した場合、ウラシルまたはウリジンを培地に添加しないと細胞が成長しなくなる。機能的なURA3遺伝子が存在すると、栄養要求性の微生物は、ウラシルおよび/またはウリジンが無くても成長することができる。対照的に、機能的なURA3遺伝子が存在する場合に5−フルオロオロチン酸を添加すると、毒性の化合物が形成され、微生物の死を引き起こす。従って、URA3はポジティブ選択とネガティブ選択の両方を可能にする。
さらに好ましい選択マーカーは、アグマチンウレオヒドロラーゼ(アグマチナーゼ)(EC.3.5.3.11)またはグアニジノ酸ヒドロラーゼ(guanidino-acid hydrolase)(グアニジノブチラーゼ(guranidinobutyrase、EC3.5.3.7)をコードする核酸配列により提供される。微生物、好ましくはS.セレビシエ株を含むサッカロマイセス科(Saccharomytacea)のファミリーは、グアニジノブチレートおよび/またはアグマチンのみを窒素源として成長することはできない。グアニジノ酸ヒドロラーゼとアグマチナーゼの両方が、S.セレビシエのような微生物により共通に同化される窒素源である尿素の形成を触媒する。従って、グアニジノブチレートおよび/またはアグマチンのみを窒素源として成長する場合、S.セレビシエのような微生物においては、アグマチナーゼとグアニジノブチラーゼは、優性の機能獲得型(gain of function)選択マーカーとなり得る本質的な特性を示す。グアニジノブチラーゼ遺伝子は、GenBank XP_456325.1のアミノ酸配列か、その酵素活性のある部分を備えるタンパク質をコードすることが好ましい。アグマチンウレオヒドロラーゼ遺伝子はGenBank AAC75974.1のアミノ酸配列か、その酵素活性のある部分を備えるタンパク質をコードすることが好ましい。
上記の選択マーカーは、微生物の選択マーカーの発現を指令するするプロモーターと、mRNAの3’末端の効率よい形成を調節するターミネーターとに連結(couple)している。上記のプロモーターは、酵母のプロモーターであることが好ましく、解糖系遺伝子のPGI1, PFK1, PFK2, FBA1, TPI1, TDH1, TDH3, PGK1, GPM1, ENOl, ENO2から選択されるか、 ACT1, TEF1, AgTEF2, PMA1プロモーターから選択される酵母のプロモーターが好ましい。上記のプロモーターは優性選択マーカーを発現するように用いることもできる。多くの遺伝子からのターミネーターが当業者に知られており、例えば発現ベクターに用いられており、CYC1, TRP1, ADH1, MFl, FLPおよびD遺伝子ターミネーター(Romanos et al., 1992. Yeast 8: 423-488)が含まれる。
第1または第2のターゲッティングコンストラクトは、誘導可能なプロモーターと連結され、エンドヌクレアーゼをコードするコード配列を備える。エンドヌクレアーゼは、例えば、PacI(標的認識配列5’-TTAATTAA)、AscI(標的認識配列5’-GGCGCGCC)およびAsiSI(標的認識配列5’-GCGATCGC)のような切断頻度の低いエンドヌクレアーゼが好ましい。PacI、AscI、AsiSIはNew England Biolabs社より入手することができる。エンドヌクレアーゼは、ホーミングエンドヌクレアーゼがより好ましい。ホーミングエンドヌクレアーゼの用語は、イントロンの中に独立した遺伝子としてか、ホストのタンパク質との融合体としてか、または自己スプライシングするインテインとしてコードされるエンドヌクレアーゼを指す。好ましいホーミングヌクレアーゼのリストが表2に示される。ホーミングヌクレアーゼの追加の例は、I-DirI, I-NjaI, I-NanI, I-NitI, F-TevI, F-TevII, F-CphI, PI-MgaI, I-CsmIであり、全て当業者に公知である。ホーミングヌクレアーゼのさらなる例は、ベンジャミンKにより提供され(米国特許出願公開US2012/052582)、引用により本明細書において参照される。
ホーミングヌクレアーゼは、PI-PspI(New England Biolabs社、認識配列5’-TGGCAAACAGCTATTATGGGTATTATGGGT)またはPI-SceI(New England Biolabs社、認識配列5’-ATCTATGTCGGGTGCGGAGAAAGAGGTAAT)が好ましい。多くのホーミングエンドヌクレアーゼのコード配列は公知である。例えば、Pi-SceIおよびPI-PspIのコード配列は公開されたデータベースから入手することができる(それぞれGenBank 登録番号(accession number)Z74233.1およびGenBank登録番号U00707.1)。当業者には、ヌクレアーゼの公開され入手可能な配列から異なる配列であっても、そのヌクレアーゼをコードするかもしれないことが理解される。例えば、PI-PspIコード領域という用語は、例えばコドン最適化により公開され入手可能な配列から逸脱した配列を含むが、それでもなお示された標的認識配列を認識し、切断する活性のあるエンドヌクレアーゼを発現する。
上記のエンドヌクレアーゼは、誘導可能なプロモーターの制御下にある。誘導可能なプロモーターの用語は、本明細書で用いられているように、発現が調整され得るプロモーターを指す。誘導可能なプロモーターは当業者に公知である。酵母で用いられる誘導可能なプロモーターの例としては、両方ともガラクトースにより誘導可能なGAL1プロモーターとGAL10プロモーターや、スクロースにより誘導可能なSUC2プロモーターや、マルトースにより誘導可能なMAL12プロモーターや、銅により誘導可能なCUP1プロモーターや、テトラサイクリンにより誘導可能なtetO7プロモーターおよびtetO2プロモーターがある(Gari et al., (1997). Yeast 13: 837-48; Yen et al., (2003). Yeast 20 1255-62)。誘導可能なプロモーターはGAL1プロモーターが好ましい。
エンドヌクレアーゼの標的認識配列を備える認識部位の一つは、第1コンストラクトにある微生物の標的遺伝子と相同性を有する第1領域に隣接して(後ろに)位置している。この認識部位のコピーは、第2コンストラクトにある微生物の標的遺伝子と相同性を有する第2領域に隣接して(前に)位置している。当業者の理解するだろうところでは、第1コンストラクトにある標的遺伝子と相同性を有する第1領域の一部分が、エンドヌクレアーゼの認識部位のコピーと、第2コンストラクトにある標的遺伝子と相同性を有する第2領域との間で重複しているとき、当該認識部位のコピーは、第2コンストラクトにある、標的遺伝子と相同性を有する第1領域の重複部位に隣接して(前に)位置している。あるいは、第2コンストラクトにある標的遺伝子と相同性を有する第2領域の一部分が第1コンストラクトにおいて重複しているとき、当該認識部位は、第1コンストラクトにある、標的遺伝子と相同性を有する第2領域の重複部分に隣接して(後ろに)位置している。プロモーターとターミネーターとの配列を含む選択マーカーおよび、誘導可能なプロモーターを含むエンドヌクレアーゼのコード領域は、第1コンストラクトにある認識部位と第2コンストラクトにある当該認識部位のコピーとの間にある。
本発明はさらに、微生物のゲノム、好ましくは標的遺伝子を改変する方法であって、本発明によるターゲッティングコンストラクトのセットを上記の微生物に提供することと、ゲノムが改変された微生物を選択することと、を備える方法を提供する。上記のゲノムが改変された微生物の選択は、組み換えられた選択マーカーを機能的に発現する微生物を選択することにより達成される。
本明細書で上述したように、ターゲッティングコンストラクトが正しいターゲッティング遺伝子座に組み込まれたあと、ターゲッティングコンストラクトの間の組み換え事象の頻度は著しく増加する。従って、機能的に組み換えられた選択マーカーの存在は、標的ゲノムに正しく組み込まれたターゲッティングコンストラクトの存在と、それゆえの微生物におけるゲノムの改変とを強く示唆するものである。
本明細書で上述したように、改変する、改変、改変されるの用語は、標的遺伝子のいずれかの位置における、一以上のヌクレオチドの置換、一以上のヌクレオチドの挿入、および/または一以上のヌクレオチドの欠失を指す。
一以上のヌクレオチドの置換は、相同性を有する第1領域、および/または、相同性を有する第2領域における一以上のヌクレオチドの改変により達成される。相同性を有する第1部分と相同性を有する第2部分とがゲノム、好ましくは標的遺伝子の隣接する領域にまで広がっているとき、ターゲッティングベクターの組み込みはゲノムの改変をもたらす。上記の一以上のヌクレオチドの置換がある場合、この置換は、第1および第2コンストラクトに存在する、ゲノムと相同性を有する重複領域における一以上のヌクレオチドの改変により達成されることが好ましい。
上記のゲノム配列の改変は、ゲノム、好ましくは遺伝子のいずれかの位置における一以上のヌクレオチドの欠失が好ましい。例えば、もし標的ゲノムと相同性を有する第1および第2領域がその生物の当該ゲノムの離れた位置にあるゲノム配列を備える場合、本発明によるターゲッティングコンストラクトのセットを用いた相同的ターゲッティングの後のゲノムの改変は、親染色体にある相同性を有する第1および第2領域の間に位置する領域の欠失をもたらす。
本発明はさらに、改変されたゲノム、好ましくは改変された遺伝子を備える微生物を生産する方法であって、本発明によるターゲッティングコンストラクトのセットを上記の微生物に提供することと、ゲノムが改変された微生物を選択することと、組み換えられた選択マーカーを機能的に発現することと、を備える方法を提供する。
改変されたゲノムを備える微生物を生産する方法は、エンドヌクレアーゼの発現を誘導可能なプロモーターを誘導することを備えることが好ましく、これにより選択マーカーと、上記誘導可能なプロモーターを含むエンドヌクレアーゼのコード領域とを標的ゲノムから除去することができる。
本発明はさらに、本発明の方法により生産される、ゲノムの改変を備える微生物を提供する。第1および第2ターゲッティングコンストラクトに、標的ゲノムに相同性を有する重複領域がある場合、相同組換えにより、切れ目が無く標的ゲノムからマーカーを除去されることが保証される。結果として得られる微生物は、第1および/または第2ターゲッティングコンストラクトに存在したか、または標的ゲノムへの挿入や標的ゲノムからの欠失のような、標的ゲノムへのターゲッティングコンストラクトの組換えにより誘導された一以上の改変のみを備える。
本発明はさらに、ゲノムの改変、好ましくは標的遺伝子の改変、を備える微生物を提供し、当該微生物において、上記の改変は機能的に組み換えられた選択マーカーと、誘導可能なプロモーターに連結されたエンドヌクレアーゼのコード領域との挿入を備え、それにより、標的ゲノムは上記挿入の両方の部位にエンドヌクレアーゼの認識配列の1コピーを備える。
本発明はさらに、改変されたゲノムを備える微生物を生産する方法を提供し、上記方法は、ゲノム、好ましくは標的遺伝子の改変を備える微生物を提供することを備え、上記改変は、機能的に組み換えられた選択マーカーと、誘導可能なプロモーターに連結されたエンドヌクレアーゼのコード配列との挿入を備え、そして、標的ゲノムは上記挿入の両方の部位に1コピーの認識配列を備えることと、エンドヌクレアーゼの認識配列の間の核酸配列を除去するために誘導可能なプロモータを誘導することとを備える。ここでも、損傷したDNA鎖を効率よく再結合させるための短い相同的な箇所を有するゲノムDNAを提供することで、第1および第2ターゲッティングコンストラクトに、標的ゲノムに相同性を有する重複領域がある場合、相同組換えにより、切れ目が無く標的ゲノムからマーカーを除去されることが保証される。結果として得られる微生物は、第1および/または第2ターゲッティングコンストラクトに存在したか、または標的ゲノムへの挿入や当該ゲノムからの欠失、好ましくは標的遺伝子への挿入や標的遺伝子の欠失または標的遺伝子の内部での欠失のような、標的ゲノムへのターゲッティングコンストラクトの組換えにより誘導された一以上の改変のみを備える。
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ベクター1および2と標準的な欠失カセットの全ての本質的な部分を示す図である。選択マーカーamDs(X印で示されている)における400残基の重なり合いは、相同性により組み換えられるように設計されている。 ベクター1および2によるプラスミドの構築に用いられる無方向性のTOPO Bluntクローニングベクターを示す図である。 ベクター1および2によるプラスミドの構築に用いられるpUC19を示す図である。 ScARO10をノックアウトするための500bpの相同的隣接領域を有するamdS-I-I-SceIカセットを用いた標的遺伝子の欠失を示す図である。 I-SceIのGAL1pを用いて活性のあるエンドヌクレアーゼI-SceIタンパク質を得、継ぎ目なくマーカーを除去することを示す図である。I-SceIタンパク質は、カセットにより導入されたSceI認識部位においてゲノムDNAを制限する。 グアニジノブチラーゼをコードする選択マーカーKlGBU1の重なり合う断片を備えるベクター1および2を示す図である。
(実施例)
(実施例1)
材料および方法
菌株と培養条件
本研究で用いられた全てのサッカロマイセス株は表Iにリストとして示した。液体培地での成長では、振とうフラスコは振とう培養器に200rpm、30℃の条件で置かれた。プレート上での成長では、CBS1483を除くすべての株は30℃で生育された。CBS1483は20℃で生育された。これらの株は異なる培地で生育された。非選択的な条件では、酵母の生育は、10g/Lの酵母抽出物、20g/Lペプトン、22g/Lグルコース一水和物を含むpH6の酵母・ペプトン・ブドウ糖(Yeast Peptone Dextrose)(YPD)培地、5.0g/L (NH4)2SO4、3.0g/L KH2PO4、0.5g/L MgSO4・7H2O、1mL/L トレースエレメント溶液(Trace elements solution)および1mL/Lのビタミン溶液(Verduyn et al., 1992)を含む合成培地(SM)が用いられた(Verduyn et al. (1990). J General Microbiology 136: 395-403)。
マーカーとしてamdSYM(AgTEF2-amdS-AgTEF2ter)が用いられたときは、(NH4)2SO4の代わりに、0.6 g/L アセトアミドを窒素源として、6.6 g/L_1K2SO4を硫酸の供給源の補填分として置き換えた(SM-Ac)。リサイクルされたマーカーの無い細胞は2.3 g/L フルオロアセトアミドを含むSM(SM-Fac)において選択された。SM、SM-Ac、およびSM-Facは、必要に応じて20mg/L アデニンと15mg/L L-カナバニン硫酸塩が付加された。全ての実験において、20g/L グルコースが炭素源として用いられた。全ての培地のpHはKOHにより6.0に調整された。固体培地は、上記の培地に2%の寒天を加えて調整された。
GAL1pの誘導に際しては、炭素源のグルコースは、20g/Lの濃度の別の炭素源のガラクトースに置き換えられた。液体ガラクトース培地が用いられたとき、0.0125%グルコースを付加することにより生育を刺激した。保存目的のため、形質転換の断片を正しくゲノムDNAに組み込んだ酵母は液体YPDまたはMM培養中で生育された。プラスミドを正しく組み込んだ酵母は、MM培地中で選択的な環境で生育された。十分なOD660が得られたら、グリセロールを30%の濃度になるまで加え、細胞は-80℃で保存した。
DNA技術
重合連鎖反応(PCR)
2つの異なるPCR法が行われた。配列決定およびクローニングの目的のため、Phusion High Fidelity DNAポリメラーゼ(Finnzymes社、ヴァンター、フィンランド)がより正確な読み出しのために適用された。なぜなら、このポリメラーゼは3’から5’へのエクソヌクレアーゼ校正活性を有するからである。選択の手順(酵母のコロニーPCR)においては、3’から5’へのエクソヌクレアーゼ校正活性の無い、Dream Taq PCR master mix(Fermentas GmbH、ザンクト・レオン=ロート、ドイツ)が用いられた。
Figure 2016538865
酵母のコロニーPCRを行うときに適切なDNAテンプレートを生成するために、単一コロニーの小部分を15μLの0.02N NaOHに再懸濁し、その酵母のコロニー懸濁液を100℃で10分加熱した。その後、製造者の推奨に従いながら、この細胞懸濁液2μLをDream Taq PCR master mix(Fermentas GmbH、ザンクト・レオン=ロート、ドイツ)を用いたPCRのためのテンプレートとして用いた。
ゲノムDNAに遺伝子欠失カセットが挿入されたことを確認するために高信頼性のコロニーPCRを用いた。液体酵母培養(200μL)は遠心により沈降され、100μLの0.2M LiAcを含む1%のSDS溶液に再懸濁させ、70℃で5分間培養した。96%のエタノールを追加し、粗くボルテックスした後、15000gで3分間遠心沈降した。沈殿物は70%のエタノールで洗浄し、再び遠心沈降した。エタノールを除去し、沈殿物は最高温度30℃で乾燥させ、その後100μLのTEバッファを沈殿物に追加し溶解させた。細胞の破片は15000gで30秒遠心沈降させ、取り出した5μLの上澄みを高信頼性コロニーPCRに用いた。
PCRに用いた全てのプライマーは表IIに記載した。
Figure 2016538865
切断(restriction)
このプロジェクトに用いた制限酵素は、Fermentas社により供給された。消化混合液(digestion mix)は、最終的に望ましい量に応じて、総体積が20μLまたは30μLで調製された。多くの混合液は1μLのそれぞれの制限酵素(1 FastDigest 単位/μL)と、2または3μLの10x FastDigestバッファと、ヌクレアーゼを含まない脱塩水とを包含した。総量が20μLの混合液にはおおよそ50-200ngのDNAが用いられ、総量が30μLの混合液にはおおよそ100ng-2μgのDNAが用いられた。消化混合液は37℃の温度でインキュベートされた。
ゲル電気泳動
異なるDNA技術を分析するため、核酸分子は1x TAE バッファ(40mM Tris acetate および1mM EDTA)とともに1%アガロースゲル(0.001% SybrSafeで前もって染色したもの)に投入された。全てのDNA分子は100Vで30分間の電場を適用されることにより分離された。ゲルの画像は紫外線に露出することにより撮影された。
ゲルからの取戻し
ゲルからDNAを精製するため、ゲル抽出キット(Sigma-Aldricch社、ズウェインドレヒト、オランダ)を用いた。関心をもったDNA断片は、刃を用いてアガロースゲルから切り抜かれた。製造者の推奨するところに沿ってDNAは抽出された。
ライゲーション
付着末端または平滑末端のDNA断片は、T4 DNA リガーゼ(Life Technologies Europe BV社、ブレイスウェイク、オランダ)を用いて接合された。ライゲーション混合液は標準的な製造者のプロトコルに応じて調製され、16℃で20時間インキュベートされた。ライゲーション後の生成されたプラスミドは、E.coliへの形質転換にすぐに用いることが可能な状態である。
E.coli の形質転換
小体積のプラスミド(5μL)が、50μLのOne Shot TOP10 化学的コンピテント細胞(Life Technologies社)に加えられ、E.coliを化学的に形質転換する供給者からのプロトコルに従って形質転換が行われた。形質転換された細胞は37℃で振とうしながら1時間インキュベートされ、これにより細胞を回復させ、用いる抗生物質への耐性を獲得させた。細胞の懸濁液は予め温めておいた選択プレートに播かれ、37℃で一夜インキュベートした。無方向性のBlunt End TOPOクローニング(Life Technologies社)の結果として得られたプラスミドを有する細胞は、50μg/mLカナマイシン(125μL)または100μg/mL アンピシリン(125μL)を含有するLB-寒天プレート(10g トリプトン、5g 酵母抽出物、10g NaCl、15g/L寒天)に播かれた。pUC19における切断とライゲーションの結果として得られたプラスミドを有する細胞は、100 μg/mLのアンピシリン(250μL)を有するLBにストリーク(streak)(画線播種)された。一夜インキュベーションした後、単一コロニーは、予め温められた新しい選択プレートに再ストリークされ、再び一夜生育された。再ストリークの後、単一のE.coliの選択はバックグラウンド無しで可能であった。単一のコロニーは5mL LB培地に適切な抗生物質と共に植菌され、一夜生育された。プラスミドの単離の前に、200μLのグリセロール溶液が800μLの培養物に加えられ、その後、試料は-80℃のフリーザーで保管された。
プラスミドの単離
プラスミドの単離では、所望のプラスミドを含むE.coli 培養がLB培地において一夜生育された。1-5mLの試料がペレット化された後は、Gen Elute Plasmid Miniprepキット(Sigma-Aldrich社)のプロトコルに従って単離を行った。最後のステップでは、100μLの代わりに50μLの、ヌクレアーゼを含まない脱塩水を用いて、カラムから精製されたプラスミドを溶出させた。
酵母の形質転換
酵母の形質転換では、分光光度計により660nmの波長を測定して得た吸収から吸光度(OD)が導出された。OD660が0.6-0.8の間にあるとき(2×107 細胞/mL、10回の形質転換)、または個々の形質転換の必要に応じた細胞の量により補正された値にあるとき、酢酸リチウム・一本鎖キャリアDNA・ポリエチレングリコール法(Gietz and Woods, (2002). Methods in Enzymology 350: 87-96)に従って形質転換を行った。酵母の細胞は対応する選択プレートにストリークされた。
プラスミドの構築
amdS-ISceIと呼ぶ、完全な遺伝子欠失カセットの中心的な部分は、2つのSceI認識部位にはさまれた、コドン最適化されたamdS遺伝子と、ガラクトース1プロモーター(GAL1p)下にあるI-SCEIとを備える。欠失カセットamdS-ISceIは2つの断片に分離され、当該2つの断片はamdS遺伝子の中の400ベースペアの重なり合いを包含することで、当該カセットの生体内での組み込みにおいて、相同組換えのステップを本質的な部分にすることができる。プライマー配列は表IIに示される。
ベクター1と呼ぶ第1断片は、AgTEF2プロモーターのamdSYMカセットの起点に結合し、SceI認識部位とSacI制限部位とを含むことになるリバースプライマーRv V1 SceI SacI、および、amdSの中の意図された400のベースペアの重なり合いの末端に結合し、NdeI制限部位を5’末端に含むことになるフォワードプライマーFw V1 NdeIを用いて構築された(図1)。pUGamdSがベクター1構築のテンプレートとして用いられた。
プラスミドの構築には、上記のPCR断片ベクター1がpCR4Blunt-TOPOにクローンされ、プラスミドpUD266が生み出された。
amdSの最後の部分は、意図された400ベースペアの重なり合いの始点に結合しNdeI制限部位をPCR産物に含むフォワードプライマーFw V2 NdeI、pUGamdS(Solis-Escalante, D. et al. (2013). FEMS Yeast Research, 13: 126-39)と、リバースプライマーRv V2-重なり部位-ISceIとを用いてpUGamdS(Solis- Escalante, D. et al. (2013). FEMS Yeast Research, 13: 126-39)から増幅され、I-SCEIの発現を制御するGAL1プロモーターとの60ベースペアの重なり合いを作り出した。この断片は、ベクター2Aと名付けた。GAL1p-I-SCEI発現カセットは、カセットの反対側のSceI部位と、EcoRI部位を含む、フォワードプライマーFw V2 ISceIおよびリバースプライマーRv V2 SceI EcoRIと用いてpUDC073(Kuijpers et al., 2013. FEMS Yeast Research. 13:769-81)から増幅される。この断片はベクター2Bと名付けた。PCR産物、ベクター2Aおよび2BはPCRによりFw V2 NdeIおよびRv V2 SceI EcoRIと融合された。PCRでは、等しいモル量の両方の断片を混合し、結果として融合断片を得、ベクター2と名付けた(図1)。PCR断片ベクター2はpCR4Blunt-TOPOにクローンされ、プラスミドpUD267が生み出された。プラスミドは制限酵素の分析でチェックされ、クローンされた断片の方向性が確認された。
遺伝子欠失カセット
最終的な遺伝子欠失断片の構築には、エールリッヒ経路において関与するフェニルピルビン酸デカルボキシラーゼをコードする遺伝子ScAro10(Vuralhan. et al., (2005). Appl Environ Microbiol 71 3276-3284)の5’および3’末端からの500ベースペアの配列がCBS1483ゲノムDNAから増幅された。
Figure 2016538865
pUD268およびpUD269プラスミドにおいては、遺伝子欠失のための2つの完全な断片は、M13フォワードおよびリバースプライマーの間に位置し、欠失カセットamdS-ISceIを増幅するのに用いられた。
異なる株の形質転換において、酵母の形質転換混合液には、モル当量の2つの断片が総量で837ngのDNAとなるように適用され、5’ScARO10を含むベクター1が337ngであり、3’ScARO10を含むベクター2が500ngである。S.パストリアヌスCBS1483には、形質転換はそれぞれ両方の一片に対し、3.37μgと5μgで繰り返された。
結果
pUDC114の生体内での組み込み・組み換え
CEN.PK113-7Dにおける形質転換の効率に関する多くのデータが見出されるが、この研究に用いられる株に適用可能な60ベースペアの相同組換えの比較データは無い。倍数性と染色体の再構成は細胞の相同組換えを行う能力に影響するため、異なる倍数関係の3つのS.セレビシエの種は表IIにリストされた重なり合う断片を用いて形質転換され、pUDC114プラスミドが生成された。一倍体のCEN.PK113-7DはIMC067を生成し、二倍体のCEN.PK122はIMC076を生成し、倍数体のPRG410はIMC077を生成した。さらに、倍数体のS.パストリアヌス株CMBS33およびCBS1483、ならびに最近発見された二倍体S.ユーバヤヌスCBS12357(Libkind et al., (2011). PNAS USA 108: 14539-14544)がpUDC114プラスミドの生産能力を有するか、CBS12357についてはIMC064、CMBS33についてはIMC066が生成されるかを研究した。CBS1483については、相同性配列の短さにより組み込みが起きないと予見されていた。
株IMC067、IMC076、IMC077、IMC066およびIMC064はpUDCプラスミドを組換え可能でありamdS遺伝子を作り出しアセトアミドのみを窒素源としながら生育可能であった。予想されたように、CBS1483は、pUDC114プラスミドを形成する60ベースペアの重なり合う配列を組み換えることができなかった。1μgDNAあたりの形質転換細胞数が算出された。結果は表VIに示された。
Figure 2016538865
1μgDNAあたり2*104以上の形質転換細胞が一倍体IMC067において形成された。1μgのDNAあたりおおよそ6*103の形質転換細胞が二倍体IMC076において形成され、IMC077では1μgDNAあたりわずか19の形質転換細胞が倍数体のエール株PRG410から作られた。従って、異なるS.セレビシエ株で倍数関係が増加すると、1μgDNAあたりの形質転換細胞は、表VIに表されたデータにならって顕著に減少する。二倍体の野生型S.ユーバヤヌスCBS12357においても、1μgDNAあたりの形質転換細胞の量は二倍体の実験室株CEN.PK122(表VI)よりも10倍以上少なかった。ラガー醸造株S.パストリアヌスCMBS33は二倍体S.セレビシエの実験室株と比べてそれほど効率的でなく、もう一つの親株S.ユーバヤヌスCBS12357よりわずかに効率が低いのみであった。
標準ベクターの構築
2つに分かれた選択マーカーを生成するために、amdSマーカーは、amdSのORFにおいて400ベースペアの重なり合いを共に有する2つの部分に分離された。第1部分は、アッシビヤ・ゴシッピー(Ashbya gossipii)TEF2プロモーターと、pUGamdSYからのamdSのオープンリーディングフレームにおける最初の1138ヌクレオチドとを増幅して得られた。結果として得られた1569ベースペアの断片はその5’末端にSceI エンドヌクレアーゼの制限部位を有していた。この断片のpCR4Blunt-TOPOプラスミドでのクローニングの結果、pUD266が得られた。2つに分かれたマーカーシステムの第2部分は二段階のステップで構築された。1)マーカーの第2部分はamdS選択可能マーカーの最後の908ベースペアとAgTEF2ターミネーターを含んでいた。このカセットはその3’末端にSCEIカセットに相補的な60bpの伸長が配置された。2)GAL1プロモーターの制御の下にSCEI遺伝子を保持しているエンドヌクレアーゼSCEIカセットがpUDC073から増幅された。この断片はその3’末端に追加のエンドヌクレアーゼSceI制限部位を有していた。その後、2つの断片はフュージョンPCR(fusion PCR)により結合され、結果として得られた融合断片はpCR4Blunt-TOPOベクターにクローニングされ、pUDC267が得られた。
組み込みの方向を制御するため、pUDC266に対しNotIおよびBamH1の二重切断を行った。Not1はpCR4Blunt-TOPOプラスミドの内部を切断し、BamHIはベクター1の内部のみを切断し、438と5087bpの特徴的なバンドパターンを結果として得た。pUD267における組み込み制御の方向については、制限酵素の分析がNotIおよびHindIIIによる切断で行われ、結果として特徴的なバンドパターンの815ベースペアと5732ベースペアが得られた。
pUDC266に包含された、2つに分かれた断片は配列決定され変異が無いことが明らかとなった。
制限酵素の分析と配列分析により、プラスミドが適切で設計された配列に変異が起こっていないことが確認された。しかし、pUDC267の分析と得られたコンセンサス配列によると、いくつかの一塩基変異多型(SNP’s)が示された。一つのSNPはamdSからのコドンの最初のヌクレオチドを実際に変化させ、アミノ酸をトリプトファンからアルギニンに変化させていた。このことは、疎水性のアミノ酸が正の電荷の(つまり親水性の)アミノ酸に変化したことを意味しているが、アセトアミダーゼの生育の効果には変化が発見されなかった。その他のSNP’sも、7ヌクレオチドの追加さえも、amdSおよびI-SceIの両方の配列の外側であった。
欠失カセットの獲得
標準ベクターpUD266およびpUD267に遺伝子欠失カセットの中心的部分が連結されたが、相同組換えの配列は欠失カセットに組み込まれていなかった。相同組換え断片を生産するために、CBS1483のゲノムDNAは、Fw 5’ScAro10 NotIおよびRv 5’ScARO10 SacIでScARO10の上流部分が増幅され、Fw 3’ScARO10 BamHI 80bpおよびRv 3’ScARO10 PstIで下流部分が増幅された。pUDC266およびpUD267はそれぞれNotI/SacIおよびPstI/PmeIで切断され、5’断片(NotI/SacI)および3’断片(調整されたPstI)と連結された。これらのライゲーションにより、ScARO10遺伝子座の5’側にターゲッティングする第1の選択可能なカセット要素を保持するpUD268ベクターと、ScARO10遺伝子座の3’側にターゲッティングする第2の選択可能なカセット要素を保持するpUD269との2つの新しいベクターが生成された。
ScARO10アレル(対立遺伝子)の欠失
500ベースペアの相同性をもつ側部を有するamdS-ISceIカセットによる、この新しい方法を用いた遺伝子の欠失とマーカーの取り出しの原理を証明するための第1のステップは、いくつかの株において遺伝子の欠失を成功させることである。2つのこれまでに生成したカセットを用いた標的遺伝子の欠失は、相同性に基づいた3つの本質的な組換えステップからなる(図3A)。
アセトアミドの存在下で生育するためには、両方の標準ベクターに位置する機能しないamdSの部分が組み換えられて、機能的で選択可能なamdS遺伝子を形成する必要がある。その他の2つのステップは、5’ScARO10および3’ScARO10断片の、カセット上とゲノムDNAにおけるそれらの部位との間の組換えである。
遺伝子の欠失とマーカーの取り出しのためのこの新しい方法がS.パストリアヌスに適用できるかどうかを評価するため、いくつかの株を試験した。統制群として、実験室株の一倍体MATa株CEN.PK113-7D、実験室株の二倍体MATa/MATa株CEN.PK122、および工業用エール株PRG410の3つのサッカロマイセス・セレビシエ株が形質転換された。これらの酵母の株に並行して、CBS1483およびCMBS33の2つのサッカロマイセス・パストリアヌス株も形質転換された。
二分するアプローチを用いたCEN.PKファミリーの株におけるScARO10アレルの欠失では1μgDNAあたり200個以上の形質転換細胞が得られた。対照的に、工業用エール株PRG410でははるかに少ない形質転換細胞しか得られなかった(1μgDNAあたり0.4個の形質転換細胞)。
S.パストリアヌスのCBS1483株では、短い側方部のPCRにより生成された欠失カセットによる欠失は成功しなかったが、二分するアプローチを適用すると正しく欠失した変異体が同定された。しかしながら、形質転換細胞は少ない数に留まっていた(1μgDNAあたり0.5個の形質転換細胞(表VII)。ScARO10遺伝子座にターゲッティングする、8.37μgの二分するamdSマーカーによるCBS1483の代表的な形質転換では、30mMのアセトアミド培地プレートの上で2個から9個の形質転換細胞の生育が導かれた。
結果として得られた9個のCBS1483形質転換細胞のうち、2つの陽性なコロニーは真陽性コロニーを得るため再ストリークされた。その他の7つのコロニーは、外側‐内側(outside-inside)プライマーFw 5’ScARO10/amdS check およびKanB rを用いて高信頼性コロニーPCRによりチェックされ、2851ベースペアの断片が生成された。これらの全ては、5’ScARO10部分とamdSにおける400ベースペアの重なり合いとの間の相同組換えが陽性であり、欠失カセットの組み込みは全て成功だったことが示唆された。得られた単離単一コロニーはIMK490と再命名された(CBS1483では一箇所の欠失遺伝子座Scaro10Δ::amdSがあった)
同様に、単離単一コロニーがCEN.PK113-7D、CEN.PK122、PRG410、CMBS33から得られ、IMK386、IMK487、IMK488、IMK489とそれぞれ再命名された。
Figure 2016538865
標的ゲノムDNAへの欠失カセットの組み込みが成功したことを完全に確信するため、amdSにおける重なり合いの相同組換えをamdSプライマーKanA fおよびKanB r(2164bp)を用いて、3’ScARO10の相同組換えを外側‐内側プライマーFK072およびRv 3’ScARO10/amdS check(1081bp)を用いて検査した。CEN.PK113-7Dを除いて、それぞれの株は1コピーよりも多いScARO10を包含するため、ScARO10の他のコピーの存在はScARO10-Fw insideとScARO10-Rv inside(959bp)のプライマーを用いて検査された。
結果によると、このプロジェクトで用いた全ての株は、少なくとも1コピーのScARO10をノックアウトできた。CEN.PK113-7D scaro10△::amdS、IMK490についてチェックされた両方のコロニーを含むその他の株においては、それらのゲノムになお少なくとも1コピーScARO10を有していた。IMK486-IMK490のコロニーは全て保管され、それぞれの試料はYPDに再接種され第二段階のマーカー除去へと生育された。
継ぎ目ないマーカーの除去
誘導可能なエンドヌクレアーゼSCEIを用いて、組み込まれた二分したコンストラクトを標的遺伝子座から容易に取り出せることを検証するため、IMK490株(一箇所の欠失遺伝子座Scaro10Δ::amdSがあったCBS1483)が、SCEIの発現を制御するGAL1プロモーターを誘導するガラクトース培地で生育された。IMK490株はガラクトースを含む合成培地で48時間生育された。誘導後、エンドヌクレアーゼは欠失カセットをはさむSceI部位を切断し、そしてコード領域を染色体から除去し、ゲノムを編集するコンストラクトのリサイクルを可能にする。
IMK386、IMK487、IMK488、IMK489株は同様に処理された。
カウンターセレクションマーカーを用いた株の選択は、2つの異なる方法を用いて行われた。
1.ガラクトースへの配置
ガラクトースで生育されたIMK490細胞はガラクトースを炭素源として包含するプレートにストリークされ30℃で3時間インキュベートされた。単離単一コロニーは100μlの滅菌水で懸濁させ、アンモニウムまたはアセトアミドのみを窒素源として包含する合成培地プレートに5μlトランスファーされた。これらのプレートは30℃で二日間生育された。同様に、IMK386、IMK487、IMK488、IMK489の単離単一コロニーは、アンモニウムまたはアセトアミドのみを窒素源として包含する合成培地プレートに配置された。
IMK486については、5つの取り出したコロニーのうちすべてがamdSマーカーをリサイクルしていなかった。IMK487については、5つのクローンのうち1つがamdSマーカーをリサイクルしていた。IMK489については、5つ全ての取り出したクローンがamdSマーカーを失っていた。IMK490については、11のコロニーがチェックされ、10がamdS選択可能マーカーを切り出していた。マーカーが染色体から除去されたことを調べるため、1426ベースペアの断片を産する、外側‐外側プライマーFw 5’ScARO10/amdS checkおよびRV 3’ScARO10/amdS checkを用いて代表的なクローンのゲノムDNAにおけるコロニーPCRが行われた。これによりカセットamdS-ISceIはゲノムから除去されたことが確認された。
2.液体培地での植菌とフルオロアセトアミドでのカウンターセレクション
マーカーを除去するための第2の方法は、amdS-ISceIカセットを包含するそれぞれの株から1mLの培養物を、主要な炭素源として2%ガラクトースと、0.05%グルコースとを含む液体培地に接種することを備え、これにより異なる酵母株の生育を高めた。この液体培地で4時間生育させた後、試料が取り出され滅菌水で200倍に希釈し、100μlがガラクトースとフルオロアセトアミドのプレートの液体培地に配置された。amdS遺伝子を発現するコロニーはフルオロアセトアミドをアンモニウムと毒性のあるフルオロアセテートに加水分解する。amdS選択可能マーカーを失った細胞のみが生育することができる。
このプロジェクトでは、60ベースペアの重なり合いを有する4つの二本鎖DNA断片からのpUDC114プラスミドの生体内での組み込みにより、相同組換えが調査された。pUDC114はカロテン遺伝子crtYBEIを包含するため、陽性コロニーはオレンジ色になり、これが素早く同定するための手段となっている。形質転換の結果として以下が示された。異なるS.セレビシエの株において、倍数関係が増加すると、1μgDNAあたりの形質転換細胞の量は顕著に減少し、半数体CEN.PK113-7Dにおいて1μgDNAあたり2*104個の形質転換細胞であったが、二倍体CEN.PK122において1μgDNAあたり6*103個の形質転換細胞であり、最終的に、倍数体のエール醸造株PRG410においては1μgDNAあたり19個の形質転換細胞であった。最近発見された二倍体の野生型S.ユーバヤヌスCBS12357では、1μgDNAあたりの形質転換細胞の量は二倍体の実験室株CEN.PK122よりも10倍以上少なかった。
複雑なラガー醸造株の相同組換えの効率は以前に調査されていなかった。S.パストリアヌスCMBS33は二倍体のCEN.PK122よりも20倍効率が低かったが、その他の親株S.ユーバヤヌスCBS12357よりもわずかに効率が低いのみであった。ラガー醸造株CMBS33におけるpUDC114断片の形質転換の効率と相同組換えは、1μgDNAあたり±300個の形質転換細胞だったが、CBS1483ではゼロであった。これによると、全てのラガー醸造株が同じというわけではなく、それらが選択された醸造過程の特殊性により、遺伝的な違いがあるということが示された。
エンドヌクレアーゼI-SceIによるamdSマーカーの除去を用いた遺伝子欠失システムは、ラガー醸造株とS.セレビシエ実験室株において遺伝子の改変と欠失を行うための新規な方法である。amdS-ISceIカセットを用いたS.パストリアヌスCBS1483における遺伝子の改変および/または欠失とその後のマーカー除去の可能性は、醸造業界における研究者のツールの一つとして貢献する。
(実施例2)
クルイウェロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)株ATCC8585のゲノムDNAが文献の記載のように調製された(Burke et al., 2000. Cold Spring Harbor Laboratory. Methods in yeast genetics: a Cold Spring Harbor Laboratory course manual)。KlGBU1をコードするORFのKLLA0F27995gは、Phusion Hot-Start polymerase(Finnzymes社)と、GBU1 フォワードプライマー(5'-CATCCGAACATAAACAACCATGAA GGTTGCAGGATTTATATTG)およびGBU1 リバースプライマー(5'-CAAGAAT CTTTTTATTGTCAGTACTGATCAGGCTTGCAAAACAAATTGTTC)を用いて増幅された。K. lactis GBU遺伝子のコード配列が得られた。
選択マーカーKlGBU1を備えるターゲッティングコンストラクトのセットと、標準欠失カセットの本質的な部分とが図4に示される。相同性による組換えのため、選択マーカーKlGBU1(X印で示した)における400残基の重なり合いが設計されている。

Claims (15)

  1. ターゲッティングコンストラクトのセットであって、
    微生物の標的ゲノムと相同性を有する第1領域、エンドヌクレアーゼの認識部位、および選択マーカーの第1部分を備える第1コンストラクトと、
    前記選択マーカーの第2部分、前記エンドヌクレアーゼの認識部位のコピー、および前記微生物の前記標的ゲノムと相同性を有する第2領域を備える第2コンストラクトと、
    を備え、
    前記標的ゲノムと相同性を有する前記第1および第2領域のそれぞれは少なくとも20ベースペア(bp)を備え、
    前記選択マーカーの前記第1部分の断片と、前記選択マーカーの前記第2部分に存在する断片とは重なり合い、前記選択マーカーの前記第1および第2部分の間の組換えを可能にし、
    前記断片は50から600bpの間であることが好ましく、
    誘導可能なプロモーターと連結された前記エンドヌクレアーゼをコードするコード配列が前記第1または第2コンストラクトに存在し、
    前記第1コンストラクトにある前記標的ゲノムと相同性を有する前記第1領域の一部分は、前記第2コンストラクトにある、前記エンドヌクレアーゼの認識部位の前記コピーと前記標的ゲノムと相同性を有する前記第2領域との間で重複するか、または、前記第2コンストラクトにある前記標的ゲノムと相同性を有する前記第2領域の一部分は、前記第1コンストラクトにある、前記標的ゲノムと相同性を有する第1領域と前記エンドヌクレアーゼの認識部位との間で重複し、
    前記重複する領域は、20bpから200bpの間であることが好ましいターゲッティングコンストラクトのセット。
  2. 請求項1に記載のターゲッティングコンストラクトのセットにおいて、
    前記選択マーカーの重なり合う前記断片はおおよそ200ベースペア(bp)であるターゲティングコンストラクトのセット。
  3. 請求項1または2に記載のターゲッティングコンストラクトのセットにおいて、
    前記第1および第2ターゲッティングコンストラクトにある前記標的ゲノムと相同性を有する前記重複する領域は、おおよそ80bpであることが好ましいターゲティングコンストラクトのセット。
  4. 請求項1から3までのいずれか一項に記載のターゲッティングコンストラクトのセットにおいて、
    前記エンドヌクレアーゼはホーミングエンドヌクレアーゼであるターゲッティングコンストラクトのセット。
  5. 請求項1から4までのいずれか一項に記載のターゲッティングコンストラクトにおいて、
    前記選択可能なマーカーは栄養要求性のマーカーおよび/または優性マーカーであるターゲッティングコンストラクトのセット。
  6. 請求項1から5までのいずれか一項に記載のターゲッティングコンストラクトのセットにおいて、
    前記誘導可能なプロモーターは、GAL1プロモーター、GAL10プロモーター、SUC2プロモーター、MAL12プロモーター、CUP1、およびテトラサイクリンにより調節可能なプロモーター、から選択されるターゲッティングコンストラクトのセット。
  7. 請求項1から6までのいずれか一項に記載のターゲッティングコンストラクトのセットにおいて、
    前記微生物は、異数性の微生物であるターゲッティングコンストラクトのセット。
  8. 請求項1から7までのいずれか一項に記載のターゲッティングコンストラクトのセットにおいて、
    前記微生物は、子嚢菌門であり、好ましくはサッカロマイセス亜門であるターゲッティングコンストラクトのセット。
  9. 請求項1から8までのいずれか一項に記載のターゲッティングコンストラクトのセットにおいて、
    前記微生物は、サッカロマイセス・パストリアヌスであるターゲッティングコンストラクトのセット。
  10. 微生物のゲノムを改変する方法であって、
    請求項1から9までのいずれか一項に記載のターゲッティングコンストラクトのセットを前記微生物に提供することと、
    前記ゲノムが改変された微生物を選択することと、
    を備える微生物のゲノムを改変する方法。
  11. ゲノムの改変を備える微生物の生産方法であって、
    請求項1から9までのいずれか一項に記載のターゲッティングコンストラクトのセットを前記微生物に提供することと、
    前記ゲノムが改変され、組み換えられた前記選択マーカーを機能的に発現する微生物を選択する微生物の生産方法。
  12. 請求項11に記載の方法において、
    前記エンドヌクレアーゼの発現のための誘導可能なプロモーターを誘導することをさらに備える微生物の生産方法。
  13. ゲノム改変を備え、請求項11または12に記載の方法により生産された微生物。
  14. ゲノムの改変を備える微生物であって、
    前記改変は、機能的で組み換えられた選択マーカーと、誘導可能なプロモーターに連結されたエンドヌクレアーゼのコード配列との挿入を備え、前記挿入の部位は、前記挿入の両方の部位に前記エンドヌクレアーゼの1コピーの認識配列を備える微生物。
  15. 改変された染色体の領域を備える微生物の生産方法であって、
    請求項14に記載の微生物を提供することと、
    前記誘導可能なプロモーターを誘導して前記エンドヌクレアーゼの前記認識配列における前記核酸配列を除去することと、
    を備える微生物の生産方法。
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