JP2016536360A - パントテン酸キナーゼ関連神経変性症(pkan)の治療のための安定なパンテテイン誘導体およびそのような化合物の合成方法 - Google Patents

パントテン酸キナーゼ関連神経変性症(pkan)の治療のための安定なパンテテイン誘導体およびそのような化合物の合成方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、(S) - アシル - 4'- ホスホパンテテイン誘導体、その合成方法、およびそのような化合物の関連する医療利用に関連している。望ましい医療利用は、PKANなどの神経変性症の治療に関連している。

Description

発明の分野
本発明は、パンテテイン誘導体、その合成、およびその医療用途に関連する。
発明の背景
パントテン酸キナーゼ関連神経変性症(PKAN)はまれな遺伝性神経変性疾患とされている。この病気は、パントテン酸キナーゼ 2(PANK2) をコードする遺伝子における突然変異を原因として発生する。パントテン酸キナーゼ 2 は、コエンザイム A の新規生合成経路で、パントテン酸を4'-ホスホパントテン酸にリン酸化する。PKAN 患者では、 PANK2(ヒトにおいて知られている4 つの PANK アイソフォームの内の1つであり、ミトコンドリアに局部集中している)が冒され、重篤な神経変性と早死にに繋がっている (Zhou, B. et al.Nat. Genet., 2001, 28, 345(非特許文献1)) 。
パントテン酸、 4'- ホスホパントテン酸、パンテテイン、および 4'- ホスホパンテテインは、全てPKAN 治療の潜在的な物質として示唆されている。例えば、 4'- ホスホパントテン酸および 4'- ホスホパンテテインは、双方ともパントテン酸キナーゼステップの下流のCoA 代謝経路中間体であり、 PKANの潜在的な治療オプションと考えられていた( Zhou, B. et al. Nat. Genet., 2001, 28, 345(非特許文献1)、WO 2003/008626(特許文献1))。パンテチン (パンテテインのジスルフィド) は、 PKAN の ショウジョウバエモデルを治療することが示されている(Rana, A. et al., PNAS, 2010, 107, 6988(非特許文献2))。
パントテン酸およびパンテテインのリン酸化誘導体の利用および試験は、調製と精製手順の適切な方法がないことが妨げとなっている。様々なリン酸化されたパントテン酸誘導体の合成についてのほとんどの研究は、分析技術の利用可能性が限られていた、かなり昔に実施されている。そのため、多くの場合、生成物の構造と純度は仮定されていただけであり、確証されていなかった。更に、ほとんどの場合、その手順は十分に説明されておらず、その再現性に疑問がある (King, T.E. et al.J. Biol.Chem., 1951, 191, 515(非特許文献3); King, T.E. Science, 1950, 112, 562(非特許文献4); J. Baddiley and E. M. Thain, J. Chem.Soc., 1953, 1610(非特許文献5); Kopelevich, V. M., Khim.Farm.Zh., 1967, 11, 26(非特許文献6); Hashimoto, Chem.Lett., 1972, 595(非特許文献7)) 。
最近、 4'‐ホスホパントテン酸の化学合成が説明された。説明されている合成法は、冗長な 6 ステップの合成手順(Strauss et al., Biochemistry, 2004, 43, 15520(非特許文献8))である。同文献の中で、 4'‐ホスホパンテテインおよび 4'- ホスホパントテノイルシステインの古い合成方法が公開されている。
パンテチンは、ショウジョウバエ PKAN モデルを治療する有力な化合物であるが、血清中のパンテチンは、パンテテイナーゼにより急速にビタミン B 5 とシステアミンへ変換され (Wittwer et al., J. Clin.Invest., 1985, 76, 1665(非特許文献9)) 、 それゆえ、化合物パンテチンは、 PKAN の効果的な治療法とはなりそうにない。これは本発明者ら自身の未発表の知見によって確認されている。
4'‐ホスホパンテテインの医療利用は、既に検討されている一方で、(S) - アシル - 4'- ホスホパンテテイン誘導体の医療利用は、これまでのところ構想されていない。特に、このような化合物が PKAN などの神経変性疾患の治療に有用であることは示唆されていない。
(S) - アシル - 4'- ホスホパンテテイン誘導体群のメンバーとして、(S) - アセチル- 4'- ホスホパンテテインは、構造的に説明されている(Lee, C-H. and Sarma, R.H., JACS, 1975, 97, 1225(非特許文献10)) 。しかしながら、経済的に実行可能な化学合成法や潜在的な医療用途は、この化合物に関して報告されていない。
(S) - ベンゾイル - 4'- ホスホパンテテインは、CoA 誘導体の合成における中間体として説明されている(WO 2012/17400(特許文献2))。しかしながら、この化合物の薬学的利用は、構想されなかった。
医療における化合物の効能を高める方法、特に薬学的化合物が膜あるいは血液脳関門を透過する能力を高める方法が知られている。リン酸化化合物の医療利用には、その化合物の細胞膜透過性が乏しいことにより、限界があることがしばしば発見された。これは、細胞膜を容易に透過できないリン酸基の負電荷が原因であるとされている。それゆえ、リン酸基をマスクして、中和形態を生成し、マスクされた化合物をプロドラッグとして使用することは、細胞内部への医薬の送達を可能とし、続いてそこで、細胞内に存在するエステラーゼがリン酸基から保護基を開裂して、薬物の活性体を放出する。これにより、生物学的に活性なリン酸化化合物の生物学的利用能を増加させることができる (Schultz, K. Bioorg.Med.Chem., 2003, 11, 885(非特許文献11)) 。この目的で一般的に使用されているマスキング基は、ピバロイルオキシメチル (POM)やアセトキシメチル(AM)などのアシルオキシアルキル基である。POM 誘導体は特に、緩衝液および血漿中で安定していることが示されている。
WO 2003/008626 WO 2012/17400
Zhou, B. et al.Nat. Genet., 2001, 28, 345 Rana, A. et al., PNAS, 2010, 107, 6988 King, T.E. et al.J. Biol.Chem., 1951, 191, 515 King, T.E. Science, 1950, 112, 562 J. Baddiley and E. M. Thain, J. Chem.Soc., 1953, 1610 Kopelevich, V. M., Khim.Farm.Zh., 1967, 11, 26 Hashimoto, Chem.Lett., 1972, 595 Strauss et al., Biochemistry, 2004, 43, 15520 Wittwer et al., J. Clin.Invest., 1985, 76, 1665 Lee, C-H. and Sarma, R.H., JACS, 1975, 97, 1225 Schultz, K. Bioorg.Med.Chem., 2003, 11, 885
この背景に対して、 本発明の目的は、PKAN などの神経変性疾患の治療に有用な構造的に新しい化合物をもたらすことである。本発明のもう一つの目的は、治療に一層効果的な、PKAN などの神経変性疾患の治療に有用な新しい化合物をもたらすことである。本発明のもう一つの目的は、治療の際により一層副作用の少ない(例えば、低い毒性を示す)、PKAN などの神経変性疾患の治療に有用な新しい化合物をもたらすことである。本発明の更なる目的は、ヒトの血清中でより一層安定な、神経変性疾患の治療に有用な新しい化合物をもたらすことである。
本発明のもう一つの目的は、コエンザイム A 生合成経路の中間体から派生する化合物の新しい医療用途をもたらすことである。本発明はまた、本発明の化合物を用いた治療方法、およびPKAN などの神経変性疾患の治療に有用な医薬に関連している。本発明はまた、本発明の化合物の効果的な合成方法、および本発明の治療方法において有用な化合物に関連している。
1 つの態様では、本発明は(S) - アシル - 4'- ホスホパンテテインなどの 4'- ホスホパンテテインのチオエステル誘導体、すなわち、(S) - アシル - 4'- ホスホパンテテイン誘導体、およびPKAN などの神経変性疾患の治療へのその利用に関連する。
本発明はまた、(S) - アシル - 4'- ホスホパンテテインおよび 様々な他の4'- ホスホパンテテイン誘導体の合成方法に関連している。
従って、本発明は、以下の構造式を持つ化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物に関連している。
Figure 2016536360
式中、
R1 は、 -H 、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換アルケニル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アリールアルキル、置換もしくは非置換非芳香族ヘテロシクリル、置換もしくは非置換芳香族ヘテロシクリル、置換もしくは非置換ヘテロシクリルアルキル、-COR11、-C(O)OR11、 -C(O)NR11R12、-C=NR11、-CN、-OR11、-OC(O)R11、 -NR11R12、-NR11C(O)R12、 -NO2、-N=CR11R12、または -ハロゲン、 望ましくは C1-C10 アルキル、 更に望ましくは-メチル、-エチル、-プロピル、または t-ブチル などの -ブチル、最も望ましくは -メチルであり;
R2 および R3 は、以下:-メチル、-エチル、-フェニル、アセトキシメチル( AM )、 ピバロイルオキシメチル( POM )、
Figure 2016536360
からなる群より独立に選択されるか、または
R2 および R3 は、以下:
Figure 2016536360
からなる群より選択される構造を一緒に形成し、
式中、
R4 は -H または -アルキル、望ましくは - メチルであり;
R5 は -H または -アルキル、 望ましくはC1-C4アルキル、最も望ましくは、-メチルまたは t- ブチルであり;
R6 は -H、-アルキル、または -CH2(CO)OCH3であり;
R7 は -H、-アルキル、または -ハロゲンであり;
R8 は -H または -アルキル、望ましくは t-ブチルであり;
R9 は -H または -アルキル、望ましくは C1-C4 アルキルであり;
R10 は -H または -アルキル、望ましくは C1-C4 アルキルであり;
R11 および R12 は、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリールオキシ、またはハロゲンよりそれぞれ独立に選択され;
但し、この化合物は(S)- アセチル - 4'-ホスホパンテテインまたは(S) - ベンゾイル- 4'- ホスホパンテテインではない。
上記の定義における望ましいアルキル基は、-メチル、-エチル、-プロピル、-ブチル、望ましくは t-ブチルである。
構造 I の D 立体異性体が一般的に望ましい。
本発明の構造では、波線が重ねられた直線は、構造 I へのそれぞれの残基の共有結合を示す。
望ましい態様では、 R2 と R3 は同一の残基である。ビス - POM および ビス - AM 構造は特に望ましい。
本発明のもう一つの局面は、医薬として使用するための、以下の構造式を持つ化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物に関連している:
Figure 2016536360
式中、
R1 は、 -H 、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換アルケニル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アリールアルキル、置換もしくは非置換非芳香族ヘテロシクリル、置換もしくは非置換芳香族ヘテロシクリル、置換もしくは非置換ヘテロシクリルアルキル、-COR11、-C(O)OR11、 -C(O)NR11R12、-C=NR11、-CN、-OR11、-OC(O)R11、 -NR11R12、-NR11C(O)R12、 -NO2、-N=CR11R12、または -ハロゲン、 望ましくは C1-C10 アルキル、 更に望ましくは-メチル、-エチル、-プロピル、またはt-ブチルなどの -ブチル、最も望ましくは -メチルであり;
R2 および R3 は、以下:-H、-メチル、-エチル、-フェニル、アセトキシメチル(AM)、ピバロイルオキシメチル(POM)、
Figure 2016536360
からからなる群より独立に選択されるか、または
R2 および R3 は、以下:
Figure 2016536360
からなる群より選択される構造を一緒に形成し、
式中、
R4 は -H または -アルキル、望ましくは - メチルであり;
R5 は -H または -アルキル、 望ましくはC1-C4アルキル、最も望ましくは、-メチルまたは t- ブチルであり;
R6 は -H、-アルキル または -CH2(CO)OCH3であり;
R7 は -H、-アルキル または -ハロゲンであり;
R8 は -H、または -アルキル、望ましくは t-ブチルであり;
R9 は -H または -アルキル、望ましくは C1-C4 アルキルであり;
R10 は -H または -アルキル、望ましくは C1-C4 アルキルであり;
R11 および R12 は、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリールオキシ、またはハロゲンよりそれぞれ独立に選択される。
本発明の任意の局面の特に望ましい態様において、R2 および R3 は双方とも -エチルまたは -フェニルである。その他の望ましい態様においては、R2 が -エチルで R3 が -フェニルであるか、または R3 が -エチルで R2 が -フェニルである。
第二の望ましい態様では、 R2 と R3 は双方とも
Figure 2016536360
であり、
式中、R4 は -H、メチルであり; R5 はメチルまたはt-ブチルなどのアルキルである。望ましくは、R4 が -H で R5 が -メチルである。従って、R2 および R3 は双方ともアセトキシメチル (AM) でもよい。別の態様においては、R4 が -H で R5 が t-ブチルである。従って、R2 および R3 は双方ともピバロイルオキシメチル (POM) でもよい。
第三の望ましい態様では、 R2 と R3 は双方とも
Figure 2016536360
である。
第四の望ましい態様では、 R2 と R3 は双方とも
Figure 2016536360
であり、
式中、R6 は -H、-アルキル または -CH2(CO)OCH3である。
第五の望ましい態様においては、リン酸基は以下の構造に従う環状リン酸エステルを形成し:
Figure 2016536360
式中、R7 はアルキル、ハロゲン、または以下を含む環状リン酸エステルであり:
Figure 2016536360
式中、R8 は t-ブチルである。
第六の態様においては、R2 および R3 は双方とも S-[(2- ヒドロキシエチル)スルフィジル]-2-チオエチル(DTE)、または
Figure 2016536360
であり、
式中、R9 はアルキル、望ましくは -メチル、-エチル、-プロピル、または t-ブチルなどの -ブチルである。
第七の態様においては、R2 および R3 は双方とも S-アシル-2-チオエチル (SATE)、または
Figure 2016536360
であり、
式中、R10 はアルキル、望ましくは -メチル、-エチル、-プロピル、または t-ブチルなどの -ブチルである。
望ましいアルキル基は、-メチル、-エチル、-プロピル、-ブチル、望ましくは t-ブチルである。
構造 I の D 立体異性体が一般的に望ましい。
望ましい態様においては、前述の医薬は、神経変性疾患、癲癇、または癌;望ましくは神経変性疾患または癲癇;更に望ましくは、神経変性疾患の治療に有用である。特に望ましい態様においては、神経変性疾患は、パントテン酸キナーゼ関連神経変性症 (PKAN) である。
それゆえ、本発明の一つの局面は、上記に説明される本発明に従った化合物の治療的有効量を、それを必要としている対象に投与することによる、神経変性疾患、癲癇、または癌(望ましくは、神経変性疾患または癲癇;更に望ましくは、神経変性疾患)の治療方法に関連している。特に望ましい態様においては、神経変性疾患は、パントテン酸キナーゼ関連神経変性症 (PKAN) である。
本発明はまた、4'ホスホパントテン酸を(S) - 置換メルカプトエチルアミンと反応させて(S) - 置換 - 4'- ホスホパンテテインを生成するステップを含む、上記に説明される本発明の化合物の製造方法に関連する。
望ましい態様において、方法は、4'ホスホパントテン酸を(S) - 置換メルカプトエチルアミン(例:(S) - トリチル - メルカプトエチルアミン)と反応させて(S) - 置換 - 4'- ホスホパンテテイン(例:(S) - トリチル - 4'-ホスホパンテテイン)を生成するステップの前に、パントテン酸から4'- ホスホパントテン酸への酵素的変換を含む。
望ましい態様において、方法は更に、(S) - 置換 - 4'- ホスホパンテテイン(例:(S) - トリチル - 4'- ホスホパンテテイン)から4'- ホスホパンテテインへの変換を含む。
望ましい態様において、方法は更に、4'- ホスホパンテテインのチオエステル化による (S) - アシル - 4'- ホスホパンテテイン (例:(S) - アセチル - 4'-ホスホパンテテイン)への変換を含む。
望ましい態様において、方法は更に、前述の(S)-アシル-4'-ホスホパンテテインとカルボン酸のクロロメチルエステルまたはヨードメチルエステルとのリン酸エステル形成を含む。
本発明はまた、a) パントテン酸を (S) - 置換メルカプトエチルアミンを反応させて (S) - 置換パンテテインを生成するステップ、b) S - 置換パンテテインをジベンジルクロロホスフェートなどのリン酸化剤と反応させて、S - トリチル - 4'- ジベンジルホスホパンテテインなどの S - 置換 4'- ホスホパンテテインのリン酸エステルを得るステップ、およびc) (S) - 置換 - 4'- ホスホパンテテインのリン酸エステル(例:(S) - トリチル - 4'- ジベンジルホスホパンテテイン)を4'- ホスホパンテテインへ変換するステップを含む、上記に説明される本発明の化合物の製造方法に関連している。
(S)-置換基は、チオエーテルまたはチオエステル結合を通常もたらす公知のチオール保護基、例えば、トリチルベンジル基、ベンゾイル基、ステアロイル基、またはパルミトイル基などのいずれであってもよい。
望ましい態様において、方法は更に、チオエステル化による4'- ホスホパンテテインの(S) - アシル - 4'- ホスホパンテテイン (例:(S) - アセチル - 4'-ホスホパンテテイン)への変換を含む。
望ましい態様において、方法は更に、(S) -アシル- 4'- ホスホパンテテインとカルボン酸のクロロメチルエステルまたはヨードメチルエステルとのリン酸エステルの形成を含む。
更に、本発明は、(S) - アシルパンテテインなどの (S) - 置換パンテテインをビス[(ピバロイルオキシ)メチルクロロホスフェートなどのリン酸化剤と反応させて、S - アシル - 4'- ホスホパンテテインのビス(ピバロイルオキシメチル)エステルなどのS - 置換 - 4'ホスホパンテテインのリン酸エステルを得るステップを含む、上記に説明される本発明の化合物の製造方法に関連している。
(S) - 置換基は一般式 R1(C=O)- を有し、式中、R1 は、 -H 、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換アルケニル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アリールアルキル、置換もしくは非置換非芳香族ヘテロシクリル、置換もしくは非置換芳香族ヘテロシクリル、置換もしくは非置換ヘテロシクリルアルキル、-COR11、-C(O)OR11、 -C(O)NR11R12、-C=NR11、-CN、-OR11、-OC(O)R11、 -NR11R12、-NR11C(O)R12、 -NO2、-N=CR11R12、または -ハロゲン、 望ましくは C1-C10 アルキル、 更に望ましくは-メチル、-エチル、-プロピル、またはt-ブチル などの -ブチル、最も望ましくは -メチルである。
本発明による(S) - アシル - 4'- ホスホパンテテイン誘導体への化学酵素的経路を示す。PANK = パントテン酸キナーゼ; R1、R3、R4は、請求項に定義されるR1、R3、R4と必ずしも同じであるとは限らない。 パンテチンと比較した、血清中の 4'- ホスホパンテテインおよび (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインの改善された安定性を示す(実施例2)。PBS、リン酸緩衝生理食塩水;FCS、ウシ胎仔血清。 PKAN細胞モデルにおいてパンテチンと比較した 4'- ホスホパンテテインおよび (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインの治療可能性を示す(実施例3)。(S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインが、最も効果的である。 HOPANで処理された細胞における、パンテチン、 4'- ホスホパンテテインおよび (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインの治療可能性を示す(実施例4)。(S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインが、最も効果的である。 HOPANで処理されたヒト PKAN 細胞モデルにおける、4'- ホスホパンテテインおよび (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインの治療を示す(実施例5)。4'- ホスホパンテテインおよび (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインは有力な治療分子である。 ヒトHEK293細胞に対する、パンテチン、4'-ホスホパンテテインおよび (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインの細胞毒性の比較を示す(実施例6)。パンテチンは、4'- ホスホパンテテインおよび (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインに比べてより毒性が強い。
本発明の詳細な説明
本発明に従って、「神経変性疾患」という用語は、当該分野で一般的に理解される意味を持つものとして解釈される。望ましい態様において、「神経変性疾患」は以下からなる群より選択される:パントテン酸キナーゼ関連神経変性症 (PKAN)、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、痴呆症毛細血管拡張性運動失調、常染色体優性小脳性運動失調症、バッテン病、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、致死性家族性不眠症、近位筋優位遺伝性運動感覚ニューロパチー、乳児型レフサム病、JUNQおよびIPOD、歩行性運動失調、ライム病、マチャド・ジョセフ病、知能発育不全並びに脳橋および小脳形成不全を伴う小頭症、多系統萎縮症、神経有棘赤血球症、ニーマン・ピック病、橋小脳形成不全、レフサム病、サンドホフ病、シャイ・ドレーガー症候群、脊髄小脳失調、亜急性脊髄連合変性症、亜急性硬化性全脳炎、脊髄癆、テイ・サックス病、中毒性脳症およびハリネズミふらつき症候群。本発明の文脈における望ましい神経変性疾患は、パントテン酸キナーゼ関連神経変性症(PKAN)、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、痴呆症、最も望ましくは、パントテン酸キナーゼ関連神経変性症(PKAN)である。
本発明の文脈内で「アルキル」とは、炭素および水素原子からなる直線または分岐した炭化水素鎖ラジカルを指し、飽和を含まず、1個から8個の炭素原子を持ち、残りの分子に単結合によって結合している、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、n-ペニルである。アルキルラジカルは、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、シアノ、カルボニル、アシル、アルコキシカルボニル、アミノ、ニトロ、メルカルプト、アルキルチオなどの 1つ以上の置換基で置換されていてもよい。アリールによって置換される場合には、ベンジルおよびフェネチルなどの「アラルキル」ラジカルがある。
「アルケニル」とは、少なくとも2つの炭素原子が二重結合により共有結合したアルキルラジカルを指す。
「シクロアルキル」とは、シクロヘキシルあるいはアダマンチルなどの、専ら炭素および水素原子のみからなる、飽和あるいは部分飽和した、安定な3から10員環を持つ単環式あるいは二環式のラジカルを指す。他に定義されない限り、「シクロアルキル」という用語は、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、アルコキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニルなどの1つ以上の置換基で置換されていてもよい、シクロアルキルラジカルを含むことを意味する。
「アリール」とは、分離したおよび / または融合したアリール基を含む複数環のラジカルを含む単一および複数環のラジカルを指す。典型的なアリール基は、フェニル、ナフチル、インデニル、フェナントリル、またはアントラシルラジカルなど、1つから3つの分離したあるいは融合した環と6つから約18個の炭素環原子を含む。アリールラジカルは、ヒドロキシ、メルカプト、ハロ、アルキル、フェニル、アルコキシ、ハロアルキル、ニトロ、シアノ、ジアルキルアミノ、 アミノアルキル、アシル、アルコキシカルボニルなどの1つ以上の置換基で置換されてもよい。
「ヘテロシクリル」とは、炭素原子と窒素、酸素、および硫黄からなる群より選択される1から5個のヘテロ原子とからなる安定した3から15員環のラジカル、望ましくは1つ以上のヘテロ原子を持つ4から8員環、更に望ましくは、1つ以上のヘテロ原子を持つ5または6員環を指す。それは芳香族であっても、なくてもよい。本発明の目的のために、ヘテロ環は、単環式、二環式あるいは三環式環系であってよく、そしてそれは融合環系を含んでもよく、ヘテロシクリルラジカルにおける窒素、炭素あるいは硫黄原子は、酸化されていてもよく、窒素原子は四級化されていてもよく、ヘテロシクリルラジカルは、部分的に、あるいは完全に飽和されるか、あるいは芳香族であってよい。そのようなヘテロ環の例には、これだけに限定されないが、アゼピン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、フラン、イソチアゾール、イミダゾール、インドール、ピペリジン、ピペラジン、プリン、キノリン、チアジアゾール、テトラヒドロフラン、クマリン、モルホリン、ピロール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、イミダゾールなどが含まれる。
「アルコキシ」とは、化学式-ORaのラジカルを指し、式中、Raは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシなどのような上に定義されるアルキルラジカルである。
本明細書中における、本発明の化合物における「置換」基という記載は、1つ以上の可能な位置が、1つ以上の適した基:例えば、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードなどのハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、アジド、アシルを含む C 1-6 アルカノイル基などのアルカノイル、カルボキシアミド、 1 から約 12 個の炭素原子を持つか、1 から約 6 個の炭素原子を持つか、更に望ましくは、1 から 3 個の炭素原子を持つ基を含むアルキル基、1 つ以上の不飽和結合と 2 から約 12 個の炭素原子または 2 から約 6 個の炭素原子とを持つ基を含むアルケニルおよびアルキニル基、1 つ以上の酸素結合と 1 から約 12 個炭素原子または 1 から約 6 個の炭素原子とを持つアルコキシ基、フェノキシなどのアリールオキシ、1 つ以上のチオエーテル結合と 1 から約 12 個の炭素原子または 1 から約 6 個の炭素原子とを持つ部分を含むアルキルチオ基、1 つ以上のスルフィニル結合と 1 から約 12 個の炭素原子または1 から約 6 個の炭素原子とを持つ部分を含むアルキルスルフィニル基、1 つ以上のスルホニル結合と 1 から約 12 個の炭素原子または1 から約 6 個の炭素原子とを持つ部分を含むアルキルスルホニル基、1つ以上の窒素原子と 1 から約 12 個の炭素原子または 1 から約 6 個の炭素原子とを持つ基などのアミノアルキル基、6 個以上の炭素を持つ炭素環アリール、特にフェニルまたはナフチル、そしてベンジルなどのアラルキル、により置換された特定の部分を指す。特に明記されていない場合は、置換されていてもよい基は、その基の置換可能なそれぞれの位置に置換基を持っていてよく、それぞれの置換は他とは独立している。
「薬学的に許容可能な塩または溶媒和物」という用語は、任意の薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、または受容者への投与に際しここに記載された化合物を(直接または間接的に) 提供できる他の任意の化合物を指す。しかしながら、薬学的に許容できない塩も本発明の範囲内に当てはまると解釈される。なぜなら、それらは薬学的に許容可能な塩の調製に有用でありうるからである。塩、プロドラッグ、および誘導体の調製は、この分野で知られている方法によって、実施することができる。例えば、ここに提供される薬学的に許容可能な化合物の塩は、塩基性あるいは酸性部分を含む親化合物から従来の化学的手法により合成される。通常、そのような塩は、例えばこれらの化合物の遊離酸または塩基形を、水、有機溶媒、あるいはその2つの混合物中で適切な化学量論量の塩基あるいは酸と反応させることにより調製される。通常、エーテル、エチルアセテート、エタノール、イソプロパノール、あるいはアセトニトリルなどの非水性媒体が望ましい。酸付加塩の例には、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸付加塩、および例えば、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩およびp-トルエンスルホン酸塩などの有機酸付加塩が含まれる。アルカリ付加塩の例には、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、マグネシウム、アルミニウム、リチウム塩などの無機塩、および例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン、N, N -ジアルキルエタノールアミン 、トリエタノールアミン、グルカミンおよび塩基性アミノ酸塩などの有機アルカリ塩が含まれる。
本発明は概して、神経変性疾患の治療およびそのような治療に有用な化合物に関連している。望ましい態様において、神経変性疾患は、パントテン酸キナーゼ関連神経変性症 (PKAN) である。
PKANは、酵素パントテン酸キナーゼ 2 の機能障害により引き起こされると考えられている。パントテン酸キナーゼは、コエンザイム A の合成に必要である(Rana, A. et al., PNAS, 2010, 107, 6988) 。PKANのハエモデルにおいて、化合物パンテチンはコエンザイム A のレベルを回復し、それにより、PKANの全ての疾病特性を治療することが実証されている (Rana, A. et al., PNAS, 2010, 107, 6988) 。しかしながら、ヒト対象をパンテチンで治療するためのパンテチンの利用は、パンテチンがヒトの血清中およびヒトの腸内で安定ではなく、急速にビタミン B5 とシステアミンへ変換される(Wittwer etal., J Clin Invest, 1985, 76, 1665) 、およびパンテチンは野生種のハエにとって有毒である(Rana, A. et al., PNAS, 2010, 107, 6988) という事実によって制限されている。本発明は、血清中の安定性が改善され、パンテチンよりも毒性の低い化合物に基づく治療法を提供することにより、この欠陥を克服する。
第一の局面において、本発明は、(S) - アシル - 4'- ホスホパンテテインとして本明細書に示される、神経変性症 (望ましくはPKAN) 治療に利用される新規の医薬群に関連している。化合物のこの群からは、(S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテイン (Lee, C-H. and Sarma, R.H., JACS, 1975, 97, 1225) および(S) - ベンゾイル - 4'- ホスホパンテテイン (WO 2012/017400) のみが構造的に知られている。この群の化合物(特に既知の物質(S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインおよび(S) - ベンゾイル - 4'- ホスホパンテテイン)の薬学的可能性は、本発明以前には認識されていない。
第二の局面において、本発明は、生物学的に活性な(S) - アシル - 4'- ホスホパンテテインを哺乳類細胞中で遊離させるプロドラッグに関連している。これらのプロドラッグにおいて、リン酸基は、細胞膜および血液脳関門を通るこれらの化合物の移送を促進する部分によってマスクされる。そのようなプロドラッグは以下のような化学構造を持つ:
Figure 2016536360
式中、 R1 は添付の請求項に定義されるとおりであるか、あるいは R1は -CH3、-C2H5、 -C3H7、-C4H9であり、そして R2 および R3 は添付の請求に定義されるとおりであるか、あるいは R2 および R3 は-CH2O(CO)tBu、-CH2O(CO)Meである。D異性体が望ましい。
リン酸エステル化合物は、膜や例えば血液脳関門を透過する能力が高められているために望ましい。S - アシル - ホスホパンテテインのそのようなリン酸エステルを製造する適切な方法は、当該分野においてよく知られている。例示的な合成方法は、実施例 7 に提供されている。薬学的に有効な成分のリン酸基のエステル化によるプロドラッグのその他の適切な形成方法の総説が、Schultz (2003, "Prodrugs of biologically active phosphate esters", Bioorg Med Chem 11:885)、本明細書になされる具体的な参照、および許容される範囲で参照によりここに組み入れられる内容により提供される。
本発明の第三の局面は、マスクされたリン酸基を持つプロドラッグを含む、請求項に定義される(S) - アシル - 4'- ホスホパンテテイン誘導体の、新規かつ経済的に実行可能な製造方法に関連している。リン酸基のマスキングは、望ましくはリン酸基のエステル化である。
本発明は、2つの新しいパンテチン誘導体、すなわち 4'- ホスホパンテテインおよび (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインが、パンテチンと比較して、ヒトの血清中で安定性の増加および毒性の低下を示すという観察に基づいている。更に、PKANのショウジョウバエ疾患モデルでは、(S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインがパンテチン(および 4'- ホスホパンテテイン)よりも効果的であることが驚くべきことに見出された。
4'- ホスホパンテテインおよび (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインによる神経疾患モデルにおける細胞の効果的な治療、2 つの化合物の血清中での安定性の増加、および化合物の毒性の低下に基づき、本発明者らは、請求項に定義される一般構造 I に当てはまる化合物群は、現在知られている全ての PKAN 療法、提案されている PKAN 療法、および/または開発中の PKAN 療法よりも優れていると結論付けている。要注意:現在、PKAN の症状を停止、あるいは反転させるために利用できる認可された療法は存在していない。一般構造 I の化合物は、本発明の神経変性疾患、特に PKAN に対して有用な治療法である。
PKANのハエおよび細胞モデルにおいて、タンパク質のアセチル化のレベルが減少することが知られている (Siudeja et al., EMBO Mol Med 2011, 3, 755) 。本発明者らは、トリコスタチン A (TSA) やバルプロ酸などのヒストン脱アセチル化酵素 (HDAC) 阻害剤が PKAN モデルのタンパク質アセチル化の欠陥を治療することを示している。パンテチンもまたPKANモデルのアセチル化欠陥を治療する。タンパク質のアセチル化に必要なアセチル基の供給源は、アセチル-コエンザイム A である。本発明者らは、(S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインは、急速にアセチル-コエンザイム A に変換され、これによりタンパク質のアセチル化を増加させる化合物であると考えている。様々な疾患に対してHDAC阻害剤が使用され、特にバルプロ酸は、癌から癲癇、神経変性症に至るまでの疾患の範囲にわたり現在使用されている。欠点は、バルプロ酸は重篤な副作用があることである。本発明者らは、本発明による(S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインおよびその誘導体は、重篤な副作用を生ずることなく、タンパク質のアセチル化を回復するあるいは増加させる上でのバルプロ酸の代替物質として作用できると考えている。(S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインなどの構造 I の化合物は、様々な治療においてバルプロ酸の代替物質として作用できる。それゆえ、(S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテイン誘導体などの (S) - アシル - 4'- ホスホパンテテイン誘導体は、現在バルプロ酸が使用されている疾患への治療に使用できる。具体的な例としては、癌、癲癇、アルツハイマー病がある。
このように、本発明の文脈における、特に望ましい医療用途は、先に定義されるような神経変性症、特にPKANであるが、癲癇および癌もそうである。
本発明の化合物が、血清中で例えばパンテチンと比べて優れた安定性を示すという驚くべき発見は、パンテテイナーゼに対するその感受性が低いことにより事後的に説明されうる。4'-ホスホパンテテインよりも (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインなどの本発明の(S) - アシル化化合物の治療可能性が増加することは、現在あまりよく分かっていない。なぜなら、いずれの分子もコエンザイム A へと同様によく変換され、そしてそれは、PKAN において不足しており、PKANをもたらす可能性が最も高い分子であるからである。本発明者らの結果は、(S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインおよびその誘導体などの本発明の化合物が、より効率的にコエンザイム A へと変換され、あるいはアセチル - コエンザイムAへと直接変換され、そしてこれは有益であることを示唆し、より高い治療可能性を持つことを示している。しかしながら、これは単なる推論である。上に言及した疾患の治療における、本発明の化合物の、観察された優れた潜在能力の理由は、本当にあまりよく分かっていない。
本発明の範囲内において、本発明者らは 4'- ホスホパントテン酸、4'- ホスホパンテテインおよび (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインを合成し、PKAN細胞系モデルにおいて細胞を治療する能力を試験した。本発明者らは、 (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインが、先に提案した 4'- ホスホパンテテイン(遊離スルフヒドリル基を持つ)、ホスホパントテン酸およびパンテチンよりも、パントテン酸キナーゼ活性が損なわれたPKAN 細胞モデルの正常な増殖の回復において優れていることを実証した。
本発明者らはまた、(S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインなどの (S) - アシル - 4'- ホスホパンテテインおよびその誘導体は、遊離スルフヒドリル基を持つパンテチンよりも血清中で安定であると判断している。
望ましい態様においては、ピバロイルオキシメチル (POM) およびアセトキシメチル (AM) などのアシルオキシアルキル基を持つ (S) - アシル - 4'- ホスホパンテテインのリン酸基の誘導体化は、更に有利な性質を提供する。なぜなら、そのようなプロドラッグ誘導体は、哺乳類の血液脳関門をより容易に透過するからである。これは、神経変性疾患の効果的な治療にとって特に重要である。
リン酸基の誘導体化は、 (S) - アシル - 4'- ホスホパンテテインを用いる場合、化学的に容易に達成されるが、一方、4'- ホスホパンテテインの場合にそのような誘導体化を達成するのは、不可能ではないにしてもかなり困難である。これは、必要とされる化学反応における遊離スルフヒドリル基の干渉によるものである。
商業的に入手可能なパントテン酸 (ビタミン B5) から (S) - アシル - 4'- ホスホパンテテインへの実行可能な合成経路の設計は、本発明の重要な局面を形成している。この合成経路の利用可能性を通してのみ、後者の化合物の生物活性の改善を判断することが可能となる。
簡潔に言えば、パントテン酸を、酵素的に 4'- ホスホパントテン酸へ変換する。単離された4'- ホスホパントテン酸をその後、溶媒中のカップリング試薬および活性化剤の存在下で、(S) - 置換メルカプトエチルアミンと反応させる。このようにして得られる (S) - トリチル - 4'- ホスホパンテテインを、反応混合物から単離し、続いて4'- ホスホパンテテインへ変換する。最後に 4'-ホスホパンテテインを、チオ酢酸などの対応するチオ酸とのチオエステル化により、(S) - アシル - 4'- ホスホパンテテインへ変換する。
あるいは、パントテン酸を、溶媒中のカップリング試薬および活性化剤の存在下で、事前に調製された (S) - 置換メルカプトエチルアミンと反応させる。このようにして得られた(S) - トリチル - 4'- パンテテインを、反応混合物から単離し、続いて溶媒中の塩基の存在下で、ジベンジルクロロホスフェートによりリン酸化する。ベンジルおよびトリチル保護基を除去すると、 4'- ホスホパンテテインが得られる。最後に 4'-ホスホパンテテインを、チオ酢酸などの対応するチオ酸とのチオエステル化により、(S) - アシル - 4'- ホスホパンテテインへ変換する。
リン酸基をマスクすることは、クロロメチルピバレートおよびクロロメチルアセテートなどの、カルボン酸の対応するクロロメチルエステルによる(S)-アシル-4'-ホスホパンテテインからのリン酸エステルの形成を含む。
あるいは、リン酸基をマスクすることは、(S) - アセチル - 4'- パンテテインなどの S - 置換パンテテインを、ビス[(ピバロイルオキシ)メチルクロロホスフェートなどの適切なリン酸化剤により、溶媒中の塩基の存在下でリン酸化して、S - アシル - 4'- ホスホパンテテインのビス(ピバロイルオキシメチル)エステルを得ることにより、実施される。
本発明は更に、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を、望ましくは薬学的に許容可能な担体、アジュバント、またはビヒクルと共に含む薬学的組成物を提供する。
本発明の薬学的組成物の例には、経口、局所、非経口、または舌下投与のための任意の固体(錠剤、ピル、カプセル、顆粒など)または液体(溶液、懸濁液、または乳剤)の組成物が含まれる。
望ましい態様において、薬学的組成物は経口様式の固体あるいは液体のいずれかである。経口投与(舌下投与を含む)の適切な投与形態は、錠剤、カプセル、シロップ、もしくは溶液であり、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、もしくはポリビニルピロリドンなどの結合剤;ラクトース、砂糖、コーンスターチ、リン酸カルシウム、ソルビトール、もしくはグリシンなどの増量剤;ステアリン酸マグネシウムなどの錠剤化滑剤;スターチ、ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム、もしくは微結晶性セルロースなどの崩壊剤;またはラウリル硫酸ナトリウムなどの薬学的に許容可能な湿潤剤などの当該分野で知られた従来の賦形剤を含んでもよい。
本発明の化合物または組成物の投与は、静脈注入、経口剤、腹腔内、筋肉内、皮下、舌下、局所、および静脈内投与などの任意の適切な方法による。患者の利便性と治療される疾患の慢性的な性質により、経口投与(特に舌下投与)が望ましい。
本発明の化合物または組成物は、併用療法を提供するために他の薬剤と共に使用される場合がある。他の薬剤は、同じ組成物の一部を形成するか、あるいは、同時にまたは異なる時に投与される別々の組成物として提供される場合がある。
本発明の化合物の適切な用量は、0.1から1000mg/kg 体重/日であり、望ましくは、0.1から100mg/kg 体重/日であり、更に望ましくは、1から50mg/kg 体重/日である。投与は、望ましくは1日当たり1回、2回、3回、または 4回であり、望ましくは1日当たり1回または2回である。
以下の構造式は、本発明の文脈に関連している。
Figure 2016536360
実施例1:(S) - アシル - 4'- ホスホパンテテインの合成
パントテン酸を、酵素的に 4'- ホスホパントテン酸へ変換した。単離した 4'- ホスホパントテン酸をその後、溶媒中のカップリング試薬および活性化剤の存在下で、(S) - 置換メルカプトエチルアミンと反応させた。このようにして得られる (S) - トリチル - 4'- ホスホパンテテインを、反応混合物から単離し、続いて 4'- ホスホパンテテインへ変換した。最後に、4'-ホスホパンテテインを、チオ酢酸などの対応するチオ酸によるチオエステル化により、(S) - アシル - 4'- ホスホパンテテインへ変換した。1 つの例においてリン酸基は、化合物の膜透過能力を高めるため、エステル化によりマスクされた。リン酸基をマスクすることは、クロロメチルピバレート、ヨードメチルピバレート、クロロメチルアセテート、およびヨードメチルアセテートなどの、カルボン酸の対応するハロメチルエステルによる (S) - アシル - 4'-ホスホパンテテインからのリン酸エステルの形成により達成された。
実施例2:パンテチンと比較した、血清中の 4'- ホスホパンテテインおよび (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインの増加した安定性
この例では、パンテチンと比較した、ウシ胎仔血清 (FCS) 中の(S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインおよび 4'- ホスホパンテテインの優れた安定性を示す。
パンテチンは、パンテテイナーゼにより、血清中でビタミン B5 およびシステアミンへ迅速に変換されることが示されている (Wittwer et al., 1985, 76, 1665) 。本発明者らは、実施例1に説明されるように、(S)-アセチル-4'-ホスホパンテテインおよび4'- ホスホパンテテインを合成し、続いて、FCS中でのこれらの化合物の安定性を評価した。
材料および方法:パンテチン(シグマから購入)、(S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインおよび 4'- ホスホパンテテインを、FCSおよびPBS中の最終濃度1 mMで37℃で30分間インキュベートした。インキュベーションの後、タンパク質を取り除くために試料を処理し、各化合物の安定性を示す残留化合物量を評価するためにHPLC分析を用いた。
結果:パンテチンは、おそらくパンテテイナーゼにより有意に分解され(60%)、他方、(S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインおよび 4'- ホスホパンテテインは安定であり、10%未満が分解された。実験は3重に実施され、図2におけるエラーバーは標準偏差を示す。
実施例3:細胞PKAN疾病モデルにおける4'-ホスホパンテテインおよび(S)-アセチル-4'-ホスホパンテテインの治療可能性
ショウジョウバエS2細胞における RNAi アプローチを用いた dPANK/fbl (ショウジョウバエにおける PANK 相同分子種)下方制御は、確立されたインビトロPKAN疾病モデルである(Rana, A. et al., PNAS, 2010, 107, 6988; Siudja et al., EMBO Mol med. 2011, 3, 755; Siudeja et al., PLoS One 2012, 7, e443145)。RNAi による dPANK/fbl の下方制御は、細胞生存の低下を生ずる。パンテチン、4'- ホスホパンテテインあるいは (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインなどの治療化合物は、細胞生存を回復する。以下の例は、そのようなモデルシステムにおけるパンテチンの治療効率と(S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインおよび 4'- ホスホパンテテインの治療効率とを比較するために含める。
材料および方法:ショウジョウバエのシュナイダーS2細胞を培養し、先に説明されたRNAi処理に供した (Rana, A. et al., 2010, 107, 6988) 。100 μMのパンテチン、(S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインおよび 4'- ホスホパンテテインを細胞に加え、細胞生存を測定することにより治療可能性を評価した。
結果:その結果は図3に示す。図は (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインおよび 4'- ホスホパンテテインの双方が、dPANK/fbl下方制御ショウジョウバエ - S2 細胞において、細胞数の欠損を有意に治癒したことを示す。驚くべきことに、(S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインは、パンテチンおよび 4'- ホスホパンテテインと比較して、優れた治療可能性を持つことが分かった。実験は3重に実施され、エラーバーは標準偏差を示す。
実施例4:HOPAN分析における治療可能性
更なる実験において、ショウジョウバエ - S2 細胞を、化学阻害剤 HOPAN (ホパンテナート、CAS 17097-76-6、IUPAC:カルシウム 4 - [[(2R) - 2, 4 - ジヒドロキシ - 3, 3 - ジメチルブタノイル] アミノ] ブタン酸)で処理した。HOPAN で処理された細胞は、PKAN のモデルとしても使用される。HOPAN で処理された細胞はまた、細胞生存能力の低下を示す。この結果は、そのようなモデルシステムにおけるパンテチンの治療効率と(S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインおよび 4'- ホスホパンテテインの治療効率とを比較するためにここに含める。
材料および方法:ショウジョウバエのシュナイダー S2 細胞を培養し、 (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインおよび 4'- ホスホパンテテインと共に、あるいは伴わずに、2日間 HOPAN (0.5mM) 処理に供した(Siudeja.K. et al., EMBO Mol Med.2011, 3, 755) 。100 μM の (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインおよび 4'- ホスホパンテテインを、その治療効率について比較した。
結果:以下に示される結果は、(S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインが、4'- ホスホパンテテインと比較して、HOPAN (0.5mM) 誘導細胞数欠損を有意に治癒したことを示す。実験は3重に実施され、図4におけるエラーバーは標準偏差を示す。
実施例5:HOPAN モデルにおける HEK 細胞の治癒
ショウジョウバエ - S2 細胞と同様に、PKAN 疾病モデルは、哺乳類細胞系に HOPAN を使用して誘導することもできる。(S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインおよび 4'- ホスホパンテテインの治療効率を、HOPAN 誘導 PKAN モデルシステム、すなわち哺乳類 HEK293 細胞において調べた。
材料および方法:HEK293 細胞を、HOPAN (0.5mM)並びに (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインおよび 4'- ホスホパンテテインと共に、あるいは伴わずに、10%調製FCS (Thermo Scientific) を補足したビタミン B5 欠損 DMEM (Thermo Scientific) 中で4日間培養した。100 μM の (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインおよび 4'- ホスホパンテテインを、その治療効率について比較した。
結果:以下に示す結果は、(S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインおよび 4'- ホスホパンテテインが、哺乳類 HEK293 細胞系においても HOPAN 誘導細胞数欠損を有意に治癒したことを示す。実験は3重に実施され、図5におけるエラーバーは標準偏差を示す。
実施例6:毒性
ヒト HEK293 細胞を、化合物の毒性を判断し比較するために、漸増濃度のパンテチン、4'- ホスホパンテテインおよび (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインで処理した。細胞数の低下は毒性を示す。パンテチンは、4'- ホスホパンテテインおよび (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインと比較して、低濃度で毒性を誘導し、これは、4'- ホスホパンテテインおよび (S) - アセチル - 4'- ホスホパンテテインがパンテチンと比較して毒性が低いことを証明している。図6参照。
実施例7:S-アシル-4'-ホスホパンテテインのビス(ピバロイルオキシメチル)エステルの調製
本発明によるリン酸エステル誘導体は、以下の手順を用いて合成される:窒素雰囲気下、アセトニトリル(1 mL) 中で、クロロメチルピバレート (0.151 g, 1 mmol) をヨウ化ナトリウム (0.3 g, 2 mmol) と30℃で5時間反応させることにより、ヨードメチルピバレートを新たに調製する。反応混合物にジクロロメタン (5 mL) および水 (5 mL) を加え、攪拌する。相分離後の有機層を、2% チオ硫酸ナトリウム (Na2S2O3) 水溶液で洗浄し、真空下で濃縮して黄色油状物 0.194 g (0.8 mmol, 80 %) としてクロロメチルピバレートを得た。S - アセチル - 4'- ホスホパンテテイン (0.04 g, 0.1 mmol) を、DMF (1 mL) 中で懸濁する。トリエチルアミン (0.042 mL, 0.3 mmol) およびヨードメチルピバレート (0.073 g, 0.3 mmol) を加える。混合物を約40℃で一晩攪拌し、その後溶媒を取り除き、その残渣をエチルアセテートに溶解した。混合物を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濾過して濃縮する。粗生成物の精製の後、カラムクロマトグラフィーに供して0.016 g の S - アセチル - 4'- ホスホパンテテイン (0.025 mmol, 25 %) のビス(ピバロイルオキシメチル)エステルを得る。
本発明のリン酸エステル誘導体は、その細胞膜透過性の向上により、改善された生物学的利用能を有する。
実施例8:S-アシル-4'-ホスホパンテテインのビス(ピバロイルオキシメチル)エステル調製の代替方法
リン酸化試薬の調製
S-アセチル-パンテテインのリン酸化のためのビス(POM) クロロホスフェートを、発表されている文献に従い調製した (Hwang Y et al., Organic Letters.2004, 6, 1555; Ruda, GF et al., ChemMedChem.2007, 2, 1169)。
トリス(POM)ホスフェートの調製
Figure 2016536360
乾燥したCH3CN (42 mL) 中のトリメチルホスフェート溶液 (7.01 g, 50 mmol) にクロロメチルピバレート (29.35 g, 195 mmol) および NaI (22.52 g, 150 mmol) を順番に加えた。反応混合物を還流(80℃)で72時間加熱し、周囲温度に冷却し、Et2O (400 mL) で希釈した。有機相を、水 (2 x 100 ml)、飽和 Na2S2O3 溶液 (2 x 100 mL) で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。シリカゲルのヘキサン/EtOAc 4:1 溶出による精製により、粘性の黄色油状物 (14.6 g, 66 %) を得た。
Figure 2016536360
ビス(POM)リン酸水素の調製
Figure 2016536360
トリス (POM) ホスフェート (1 g, 2.3 mmol) を、ピペリジン (7 mL) に溶解し、室温で 12 時間攪拌した。溶液を濃縮し、更に恒量になるまで真空中で蒸発させた(935 mg, 収率99.0%)。粗油状物 (935 mg, 2.28 mmol) を水 (20 ml) に溶解し、Dowex W50X2 H+ 型樹脂 (19.2 g, 11,4 mmol, 0.6 mmol/g) で処理した。懸濁液を周囲温度で1時間攪拌した。樹脂を濾過し、水で洗浄した。濾液を濃縮し、真空中で乾燥し、白色固体 (613 mg, 収率82%) を得た。
Figure 2016536360
ビス(POM)クロロホスフェートの調製
Figure 2016536360

DCM (7.5 mL) 中のビス (POM) リン酸水素 (613 mg, 1.88 mmol) および DMF (7.3 μL, 0.094 mmol) 溶液を、周囲温度、アルゴン雰囲気下、DCM (7.5 mL) 中の塩化オキサリル (889 μL, 9.38 mmol) 攪拌溶液に滴下した。反応混合物を2時間攪拌した。溶媒をアルゴン雰囲気下で蒸発させ、次のステップで直接利用される粗黄色油状物(671 mg, 1.86 mmol) を得た。
S - アセチルホスホパンテテインビス [(ピバロイルオキシ)メチル] エステルの調製
Figure 2016536360
S - アセチル - パンテテインを [E. Walton et al., J. Am. Chem.Soc.1954, 76, 1146] に説明されるように調製した。0 ℃ の 10 ml DCM 中の S - アセチル - パンテテイン (463 mg, 1.45 mmol)、N,N - イソプロピルエチルアミン (308 μL, 1.77 mmol) および 4 - ジメチルアミノピリジン (10.9 mg, 0.09 mmol)攪拌溶液に、アルゴン雰囲気下で、10 ml DCM 中の ビス (POM) クロロホスフェート溶液 (590 mg, 1.88 mmol) を滴下した。反応混合物を、室温まで温め、12時間攪拌した。反応を水 (10 ml) で急冷し、DCM (2 x 20 ml) で抽出した。有機相を、NH4Cl の飽和溶液で洗浄し、Na2SO4 で乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲルの DCM/MeOH 92:8 溶出による精製により、生成物を黄色油状物 (401 mg, 収率44%) として得た。
Figure 2016536360
実施例9:4'- ホスホパンテテイン合成の代替方法
D - パントテン酸を、そのヘミカルシウム塩 (Aldrich, ≧99.0 %) をシュウ酸と反応させて、調製した。S - トリチルシステアミンを、Mandel らにより報告されるように、システアミン塩酸塩およびトリチルクロリドから合成した[A. L. Mandel, et al., Org.Lett.2004, 6, 26, 4801-4803]。ジベンジルクロロホスフェートを、Itoh らにより説明されるように[K. Itoh et al., Org.Lett.2007, 9, 5, 879-882] 、トルエンを溶媒として、ジベンジルホスファイトを N - クロロスクシンイミドと反応させることにより調製した。その他全ての化学物質は、商業的供給源から取得され、更に精製することなく利用された;システアミン塩酸塩 (Aldrich,≧98.0 %)、トリチルクロリド (Aldrich, 97.0 %)、N - (3 - ジメチルアミノプロピル) - N'- エチルカルボジイミド (Aldrich, ≧97.0 %)、 1 - ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物 (Aldrich, ≧97.0 %)、ジベンジルホスファイト (Aldrich, 工業等級)、N - クロロスクシンイミド (Aldrich, 98 %)。カラムクロマトグラフィーを、シリカゲル 60 Å、60〜100 メッシュ (Aldrich)を用いて実施した。陽イオン交換クロマトグラフィーを、DOWEX 50WX2、水素型、100〜200 メッシュ (Aldrich)を用いて実施した。1H および 13C NMR を、25℃ で Varian Unity Inova 300 MHz スペクトロメータ (300 MHz/75 MHz) により記録した。化学シフト (δ) は、CDCl3 で記録されるスペクトルの内部基準としてのTMSに相対して、あるいはD2O を使用した場合の残留溶媒シグナルに相対して、ppm 単位で報告されている。高分解能の質量スペクトルを、ネガティブエレクトロスプレーイオン化によるAutospecQ質量分析器で得た。
a) カップリング反応、S - トリチルパンテテインの合成
Figure 2016536360
乾燥アセトニトリル (100 mL) 中で、(A) D - パントテン酸 (2.19 g, 10.0 mmol)、(B) S - トリチルシステアミン (3.19 g, 10.0 mmol) および (C) N - (3 - ジメチルアミノプロピル) - N'- エチルカルボジイミド (1.55 g, 10.0 mmol) を、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物 (1.35 g, 10.0 mmol) と共に、個別に調製した。(A)、(B)および(C)を混合する際、トリエチルアミン (10.4 mL, 75 mmol) を加えた。混合物を、室温で24時間攪拌し、水を加えて急冷した。生成物を、ジエチルエーテルにより抽出した。合わされた有機相を、1 M の塩酸、NaHCO3 の飽和水溶液および塩水で洗浄した。有機層は、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で濃縮し、淡黄色の結晶として S - トリチルパンテテイン (3.53 g, 68 %) を得た。
Figure 2016536360
b) リン酸化、S - トリチル - 4'- ジベンジルホスホパンテテインの合成
Figure 2016536360
トルエン (40 mL) 中でジベンジルホスファイト (2.16 g, 8.24 mmol) を N - クロロスクシンイミド (1.21 g, 9.06 mmol) と室温で2時間反応させることにより、ジベンジルクロロホスフェートを新たに調製した。混合物を濾過し、濾液を真空下で蒸発させ、乾燥アセトニトリル中の S - トリチルパンテテイン (2.86 g, 5.49 mmol)、ジイソプロピルエチルアミン (3.06 mL)、4 - ジメチルアミノピリジン (0.067 g, 0.55 mmol) 溶液に加えた。混合物を室温で2時間攪拌した。生成物を、ジクロロメタン - NaHCO3 水溶液系中の有機相に抽出した。有機抽出物を、水と塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。溶媒の蒸発により、暗褐色油状物 (4.69 g) として粗 S - トリチル - 4'- ジベンジルホスホパンテテインが得られ、これをフラッシュクロマトグラフィーにより更に精製し、淡黄色の半結晶生成物 (0.640 g, 0.82 mmol) を得た。S - トリチル - 4'- ジベンジルホスホパンテテインの合成および精製の収率は15 % であった。
Figure 2016536360
c) 脱保護、4'- ホスホパンテテインの合成
Figure 2016536360
テトラヒドロフラン (70 mL) 中に溶解しているナフタレン (12.9 g, 100.6 mmol) を、テトラヒドロフラン (50 mL) 中のナトリウム金属 (2.21 g, 96.1 mmol) に加えた。2時間後、溶液を -(35±5) ℃に冷却し、テトラヒドロフラン (70 mL) 中に溶解している S - トリチル - 4'- ジベンジルホスホパンテテイン (1.85 g, 2.37 mmol) を徐々に加えた。温度を -30 ℃ 以下に維持したまま、混合物を2時間攪拌した。反応を水を加えることにより、急冷し、その後ジクロロメタンを加えた。水相を、ジクロロメタンおよびジエチルエーテルで洗浄し、真空下で濃縮し、陽イオン交換カラム (DOWEX 50WX2) に通過させた。画分をLCMS により分析し、生成物を含むものを、真空中でプールし、濃縮した。4'-ホスホパンテテインを、Ca(OH)2 の添加により、カルシウム塩 (332 mg, 0.838 mmol, 35 %) として沈殿させた。生成物の構造を、NMR データと文献 [Lee, C-H. et al., J. Am. Chem.Soc.1975, 1225-1236] との比較および HRMS により確認した。
Figure 2016536360
C11H22N2O7SP[M-H]-のHRMS 質量は 357.0880 であり、予想質量 357.0885 に対応していた。

Claims (17)

  1. 以下の構造式を持つ化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物:
    Figure 2016536360
    式中、
    R1 は、 -H 、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換アルケニル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アリールアルキル、置換もしくは非置換非芳香族ヘテロシクリル、置換もしくは非置換芳香族ヘテロシクリル、置換もしくは非置換ヘテロシクリルアルキル、-COR11、-C(O)OR11、 -C(O)NR11R12、-C=NR11、-CN、-OR11、-OC(O)R11、 -NR11R12、-NR11C(O)R12、 -NO2、-N=CR11R12、または -ハロゲン、 望ましくは C1-C10 アルキル、 更に望ましくは-メチル、-エチル、-プロピル、またはt-ブチルなどの-ブチル、最も望ましくは -メチルであり;
    R2 および R3 は、以下:-メチル、-エチル、-フェニル、アセトキシメチル( AM )、ピバロイルオキシメチル( POM )、
    Figure 2016536360
    からなる群より独立に選択されるか、または
    R2 および R3 は、以下:
    Figure 2016536360
    からなる群より選択される構造を一緒に形成し、
    式中、
    R4 は -H または -アルキル、望ましくは -メチルであり;
    R5 は -H または -アルキル、望ましくは -メチルまたはt-ブチルであり;
    R6 は -H、-アルキル、または -CH2(CO)OCH3であり;
    R7 は -H、-アルキル、または -ハロゲンであり;
    R8 は -H または -アルキル、望ましくは t-ブチルであり;
    R9 は -H または -アルキル、望ましくは -メチルまたはt-ブチルであり;
    R10 は -H または -アルキル、望ましくは -メチルまたはt-ブチルであり;
    R11 および R12 は、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリールオキシ、またはハロゲンよりそれぞれ独立に選択され、
    但し、前記化合物は(S)- アセチル - 4'-ホスホパンテテインまたは(S) - ベンゾイル- 4'- ホスホパンテテインではない。
  2. R2 およびR3 が同一の残基である、請求項1記載の化合物。
  3. 医薬として使用するための、以下の構造式を持つ化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物:
    Figure 2016536360
    式中、
    R1 は、 -H 、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換アルケニル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アリールアルキル、置換もしくは非置換非芳香族ヘテロシクリル、置換もしくは非置換芳香族ヘテロシクリル、置換もしくは非置換ヘテロシクリルアルキル、-COR11、-C(O)OR11、 -C(O)NR11R12、-C=NR11、-CN、-OR11、-OC(O)R11、 -NR11R12、-NR11C(O)R12、 -NO2、-N=CR11R12、または -ハロゲン、 望ましくは C1-C10 アルキル、 更に望ましくは-メチル、-エチル、-プロピル、またはt-ブチルなどの-ブチル、最も望ましくは -メチルであり;
    R2 および R3 は、以下:-H、-メチル、-エチル、-フェニル、アセトキシメチル(AM)、 ピバロイルオキシメチル(POM)、
    Figure 2016536360
    からなる群より独立に選択されるか、または
    R2 および R3 は、以下:
    Figure 2016536360
    からなる群より選択される構造を一緒に形成し、
    式中、
    R4 は -H または -アルキル、望ましくは -メチルまたはt-ブチルであり;
    R5 は -H または -アルキル、 望ましくはC1-C4アルキル、最も望ましくは-メチルまたは t-ブチルであり;
    R6 は -H、-アルキル、または -CH2(CO)OCH3であり;
    R7 は -H、-アルキル または -ハロゲンであり;
    R8 は -H または -アルキル、望ましくは t-ブチルであり;
    R9 は -H または -アルキル、望ましくは C1-C4 アルキルであり;
    R10 は -H または -アルキル、望ましくは C1-C4 アルキルであり;
    R11 および R12 は、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリールオキシ、またはハロゲンよりそれぞれ独立に選択される。
  4. 請求項3記載の医薬として使用するための化合物であって、該医薬が、神経変性症、癲癇、または癌の治療に有用である、化合物。
  5. 神経変性症がパントテン酸キナーゼ関連神経変性症(PKAN)である、請求項4記載の医薬として使用するための化合物。
  6. (S) - 置換 - 4'- ホスホパンテテインを生成するために、4'ホスホパントテン酸を(S) - 置換メルカプトエチルアミンと反応させるステップを含む、請求項1または3記載の化合物を製造する方法。
  7. (S) - 置換メルカプトエチルアミンが、(S)- トリチルメルカプトエチルアミンまたは(S)- ベンジルメルカプトエチルアミンであり、かつ(S) - 置換 -4'- ホスホパンテテインが、(S)- トリチル - 4'- ホスホパンテテインまたは(S)- ベンジル - 4'- ホスホパンテテインである、請求項6記載の方法。
  8. (S) - 置換 - 4' - ホスホパンテテインを生成するために、4'ホスホパントテン酸を(S) - 置換メルカプトエチルアミンと反応させるステップの前に、パントテン酸の4'- ホスホパントテン酸への酵素的変換を含む、請求項6または7記載の方法。
  9. (S) - 置換 - 4'- ホスホパンテテインを 4'- ホスホパンテテインへ変換することを更に含む、請求項8記載の方法。
  10. 4'- ホスホパンテテインを、チオエステル化により (S) - アシル - 4'- ホスホパンテテインへ変換することを更に含む、請求項9記載の方法。
  11. カルボン酸のハロメチルエステルにより、(S) - アシル - 4'-ホスホパンテテインのリン酸エステルを形成することを更に含む、請求項10記載の方法。
  12. (a)(S) - 置換パンテテインを生成するために、パントテン酸を (S) - 置換メルカプトエチルアミンと反応させるステップ、
    (b)S - 置換 4'- ホスホパンテテインのリン酸エステルを得るために、S - 置換パンテテインをリン酸化剤と反応させるステップ、および
    (c)(S) - 置換 - 4'- ホスホパンテテインのリン酸エステルを 4'- ホスホパンテテインへ変換するステップ
    を含む、請求項1または3記載の化合物を製造する方法。
  13. (S) - 置換メルカプトエチルアミンが、(S)- トリチルメルカプトエチルアミンまたは(S)- ベンジルメルカプトエチルアミンであり、かつ(S) - 置換 -4'- ホスホパンテテインのリン酸エステルが、(S)- トリチル - 4'- ジベンジルホスホパンテテインまたは(S)- ベンジル - 4'- ジベンジルホスホパンテテインである、請求項12記載の方法。
  14. (S) - 置換 - 4'- ホスホパンテテインを4'- ホスホパンテテインへ変換することを更に含み、かつ、4'- ホスホパンテテインを、チオエステル化により(S) - アシル - 4'- ホスホパンテテインへ変換することを更に含む、請求項13記載の方法。
  15. カルボン酸のハロメチルエステルにより(S) - アシル - 4'-ホスホパンテテインのリン酸エステルを形成することを更に含む、請求項14記載の方法。
  16. S - 置換 - 4'- ホスホパンテテインのリン酸エステルを得るために、(S)-置換パンテテインをリン酸化剤と反応させるステップを含む、請求項1または3記載の化合物を製造する方法。
  17. (S) - 置換パンテテインが、(S)- アシルパンテテインであり、かつ(S)-置換-4'-ホスホパンテテインのリン酸エステルが、(S)- アシル-4'-ホスホパンテテインのビス(ピバロイルオキシメチル)エステルである、請求項16記載の方法。
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