本開示は、半電池を介してターゲットへ、またはそこから治療のために電子及びイオンを移動するための装置、システム、及び方法に関する。電子移動は、ターゲットに電気的かつイオン的に結合されたガルバニ半電池を介して、またはターゲットに電気的に結合された電源を介して達成され得る。ターゲットは、通常は生体である。生体は、たとえば、人間、哺乳動物(たとえば、家畜及びペット)、昆虫、植物、菌類、及び微生物を含む。生体に結合された半電池を介した生体への、またはそこからの電子移動は、生体内で、または死亡後に生じさせてもよい。面を含む対象物は、半電池に電気的に結合されて、対象物と接触している生体に対する所望の効果、たとえば滅菌または有害生体防除を達成し得る。バイオリアクタ媒体、微生物学的媒体、発酵媒体、園芸用媒体、キノコ栽培媒体等の媒体、及び貯水槽(たとえば、給水設備、水生庭園、水泳プール、温水浴槽)は、半電池に電気的に結合されて、媒体内での生体の増殖を促進または遅延させることができる。
ターゲットからの、またはそこへの電子移動は、ターゲットに半電池または電源を電気的に結合することによって達成される。半電池は、導電性電極、活物質を含み、電解質とともに用いられることを含むかまたはそのために構成される。すなわち、本明細書で用いられる場合、半電池は、電解質を含む「湿式」半電池であるか、または、電解質が加えられるかまたは動作のために接触している「乾式」半電池であり得る。本明細書で用いられる場合、「電解質」一般的に好適なイオン化溶剤、たとえば水に溶解されるとイオン化する物質、またはイオン化する物質が好適なイオン化溶剤内に入れられると形成される電解質溶液を指す。好適なイオン化可能物質は、たとえば塩化ナトリウム及び塩化カリウム等の塩化物塩、硫化塩、硝酸塩、及びイオノマーを含む。一般的に、塩のイオンが腐食生成物と交換されたときに電極腐食生成物の溶解性を増大させる任意の塩が、電解質塩として好適である。腐食生成物は、半電池内の活物質の還元または酸化によって発生するイオンの塩のいずれかを含む。動作中、電極は、ターゲットと接触しているか、またはターゲットと接触している導電媒体である。一例では、ターゲットは水生生物であり、電極は、水生生物が収容されている海水と接触している。
電極は、半電池とターゲットとの間の導電経路を提供する導電体であり、それによって半電池からターゲットへの、またはその逆の電子の移動が可能になる。活物質及び導電体は、同じであってもよく、または異なっていてもよい。場合によっては、活物質及び導電体は、複合体の形状である。活物質が還元剤である場合、電極は陽極として機能する。好適な還元剤は、金属、有機化合物、及びそれらの組み合わせを含む。好適な金属は、鉛、アルミニウム、銅、亜鉛、ベリリウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、カリウム、及びリチウムを含む。活物質が酸化剤である場合、電極は陰極として機能する。好適な酸化剤は、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、酸化鉛、過炭酸ナトリウム及びペルオキソ一硫酸カリウムを含むがこれらに限定されない。
場合によっては、半電池は、電解質を収容するための容器を含む。容器は、開放されているか、密閉されているか、または水密であってもよく、及び任意のサイズまたは形状であってもよい。いくつかの容器は、堅固かつ拡張不可能であり、他は柔軟かつ拡張可能である。場合によっては、活物質は、電解質を収容するための容器として機能する開口を画定する。特定のケースでは、ターゲットからの流体は、使用中の半電池に接触し、電解質として機能する。この流体は、アイオノマー物質と接触して、ターゲットと半電池の活物質との間のイオン伝導経路を完成させることができる。
半電池は、電極を介してターゲットに直接または間接的に電気結合され、それによってターゲットと電極との間の導電経路を形成する。一例では、半電池の電極と接触しているターゲットの体液は、電解質の役割を果たし、また電極とターゲットとの間で電子を移動させるための導電性材料として機能する。
イオン伝導経路は、半電池とターゲットとの間のイオンの流れを可能にする。イオン伝導経路は、塩橋である。場合によっては、「塩橋」は、ガルバニ電池の酸化及び還元半電池(または、それぞれ陰極及び陽極半電池)をイオン結合させるために用いられる装置を指す。特定のケースでは、イオン伝導経路は、電解質または他の流体によって形成され、別個の明示的に設計された装置を必要としない。特定のケースでは、導電経路及びイオン伝導経路は、同じ材料であるか、またはイオン伝導体及び導電体の複合体(たとえば、混合伝導体)であってもよい。塩橋は、通常は、電気の流れを制限し、かつイオン流を最大にするように構築される。これらは、往々にしてゲル化または固体材料で作られ、半電池間で特定のイオンが流れることを可能にする。従来は、塩橋は、バッテリにおける適合しない化学的性質を分離させるために用いられ、バッテリからの電気の流れにおけるボトルネックとならないように作られていた。塩橋は、たいていは、塩橋内部の材料の乾燥を防止する支持体内部に収容されたセラミックスまたはゲルで構成されている。最新のバッテリは、一般的な電解質で動作するか、または装置内部の膜と化した塩橋を有する。塩橋は、生体に接触する水または体液の連続的な経路によって実現されることができる。
イオン伝導経路または塩橋の断面積の増減は、ターゲットに流入するイオンの侵入深さ及び量に依存した異なる効果につながる可能性がある。生体とのイオン結合部位を選択し、イオン伝導経路を活物質から離れたところへ延伸させることによって、ターゲットに接触する塩橋の端で、特定のイオン、緩衝体、または化学的性質が電解質に装填されることを可能にすることができる。
半電池または電源の一方の端子が、ターゲットに電気的に結合されると、半電池または電源は、第1の半電池として機能し、ターゲットは、ガルバニ電池の第2の半電池として機能する。一例では、陽極を有する陽極半電池(「陽極半電池」)がターゲットに電気的に結合されると、ターゲットは、陰極を有する半電池(「陰極半電池」)として機能し、陽極半電池から電子を受け取る(「陽極効果」)。別の例では、陰極半電池がターゲットに電気的に結合されると、ターゲットは陽極半電池として機能し、陰極半電池に電子を与える(「陰極効果」)。電源にターゲットを選択的に結合させることによって、電源は、陽極半電池かあるいは陰極半電池として機能し得る。本明細書で用いられる場合、「陽極半電池」は、一般的に、ターゲットに電子を与えることによって陽極半電池として機能するようにターゲットに結合された電源を含み、「陰極半電池」は、一般的に、ターゲットから電子を引き出すことによって陰極半電池として機能するようにターゲットに結合された電源を含む。
電子は、ターゲットに電気的に結合された陽極半電池を介して、ターゲットに自発的に移動される。陽極半電池は、導電体と、活物質として1以上の還元剤とを含む。還元剤の例は、金属、有機化合物、及びターゲットの電気化学的電位よりも大きな還元電位(より負である)を有する他のエレメントまたは物質を含む。生体に陽極半電池を電気的に結合することは、生体の電子供給を補い、有益な抗酸化剤機能の役割を果たす。場合によっては、陽極半電池は、犠牲陽極として機能する。
電子は、ターゲットに電気的に結合された陰極半電池を介して、ターゲットから自発的に移動される。陰極半電池は、導電体と、1以上の酸化剤を含む活物質とを含む。酸化剤の例は、ターゲットの電気化学的電位よりも低い(より負ではない)還元電位を有する化合物を含む。生体に陽極半電池を電気的に結合することによって提供される電子補充とは対照的に、生体に陰極半電池を電気的に結合することは、陰極半電池が電気的に結合された領域に近接した生体の部分に悪影響を与える場合がある。一例では、生体から電子を移動することは、生体の特定の領域での遊離基連鎖反応を促進し、それによって酸化促進機能をもたらす。別の例では、生体の特定の領域から電子を移動することは、生体のその領域に与えられた治療用物質の酸化を促進する。さらに別の例では、陰極半電池に電気的に結合された表面から電子を移動することは、表面上の微生物から電子を引き出すことによって、表面滅菌を促進する。
本明細書で用いられる場合、「治療用電子移動装置」または「治療装置」は、電子源またはシンクと、電子源またはシンクとターゲットとの間の導電経路と、ターゲットと電解質との間のイオンの流れを可能にするように構成されたイオン伝導経路とを含む。場合によっては、治療用電子移動装置または治療装置は、半電池または電極を生体の特定の領域(たとえば、人間の頭部、腕、脚、または胴)に近接して位置付けるか、または生体に対する電子流を、半電池から生体へ、または生体から半電池へ向けるように構成された構造を含む。治療装置または治療用電子移動装置の使用は、結果として電子を実移動させる。
場合によっては、治療用電子移動装置は、単一の電子源または単一の電子シンク(たとえば、単一の陽極半電池または単一の陰極半電池)を含む。場合によっては、2以上の半電池は、同時または交互に使用するためにターゲットに電気的に結合される。一例では、2つの陽極半電池または2つの陰極半電池が、ターゲットに結合されて、電子の送達または除去率を増大させるかまたはターゲットの異なるエリアを処置するために同時に用いられる。別の例では、陽極半電池及び陰極半電池は、ターゲットの異なるエリアに適用され、交互に(たとえば、同調せずに)用いられて、所望の効果を達成する。本明細書に記載される場合、陽極半電池及び陰極半電池は、共通のターゲットに対して同時には作動しない。
半電池は、ターゲットによって摂取されるか、ターゲットに植え込まれるか、ターゲットと接触するか、またはそれらの組み合わせのために設計されてもよい。摂取用半電池は、ターゲット内への放出を遅らせるための物質でコーティングされた活物質を含んでもよい。一例では、摂取可能な半電池は、消化管内での選択的な作動のために、ワックスまたは油にコーティングされる。場合によっては、半電池からターゲットへのより高い電子移動は、ターゲットとの半電池の面接触によるよりも、ターゲット内への半電池の植え込みを介して達成される場合がある。生体内の流体は、埋め込まれたかまたは生体内の半電池のための電解質の役割を果たす場合がある。場合によっては、植え込み及び面接触は、相加効果のために組み合わせられてもよい。
場合によっては、半電池は、電解質と接触している電極を含み、その一方または両方がターゲットに直接接触し得る。他のケースでは、半電池は、電極を収容し、ターゲットと活物質か、ターゲットと電解質か、または両方の直接接触を抑止する容器を含む。容器は、密閉されていてもよい。場合によっては、容器は、防イオン性かつ水密であり、イオン伝導経路に流体結合されて、半電池とターゲットとの間のイオンの移動を可能にする。容器の一部またはすべてが電気絶縁性であってもよく、ターゲットへの、またはそこからの電子移動が、容器自体を介してではなく、ターゲットと電極との間の選択された導電経路を介して生じるようにされる。同様に、容器は、非イオン伝導性であり、ターゲットに対してイオンを送達するための開口を画定してもよい。
一例では、半電池は、ターゲットに電気的に及びイオン的に結合されるように構成された容器(たとえば、筐体)内に密閉された電極の形状である。筐体は、接着パッチの形状であってもよい。半電池とターゲットとの間の電気的結合は、ターゲットの目的のエリアの洗浄、半電池の対象とするエリア内のターゲットの表面からの絶縁物質(たとえば、毛髪、垢等)の除去、ターゲットの対象とするエリアへの電解質または電解質ゲル等の導電物質の適用、またはそれらの組み合わせによって増大され得る。電解質は、通常は、いくつかの水の成分及びいくつかの溶解している塩類を含有し、生体と接触しているより大きなイオン伝導性エリアを提供する。市販のEEGゲル及びペーストは、この目的のために一般に用いられる。場合によっては、面接触は、着用可能型装置、たとえばブレスレット内に、半電池の少なくとも一部を形成することによって達成される。
本明細書に記載される場合、電極は、通常は、活物質に結合(たとえば、電気的に、物理的に、または両方)しているか、またはそれと接触している導電性固体である。電極は、大幅な変形なく固体活物質コーティングの重量を保持するように選択され得る。活物質が流体である場合、電極は、触媒面と、所望の電子流を増進するために十分な表面積とを有し得る。電極または活物質のチャネルまたは細孔は、半電池への、またはそこからの電子流を高め得る。電極は、骨組、メッシュ、布地、棒、またはワイヤの形状であってもよい。骨組は、規則的または不規則であってもよい。ワイヤは、任意の構成であってもよい。場合によっては、電極は、融合粒子、または規則的または不規則な固体の形状である。
陽極半電池に対しては、還元剤は、ターゲット生体よりも負の還元電位を有するように選択される。マグネシウムは、典型的な還元剤である。マグネシウムは、他の生物還元剤と比較してコンパクトかつ軽量で、安価であり、栄養的に有益で、エネルギ密度が高く、その低毒性及び使いやすさに起因して、人間の使用の1つの候補である。
さらに、電源を用いて、ターゲットへの電子の流れを起こさせてもよい。電源が継続的に利用可能である固定型の用途では、最低限の保全で、かつ化学的処理なしで、一定の電子源を設けることができる。電力供給源は、イオン伝導経路を介してターゲットに結合された電解質に、一方のリード線を結合し、一方で反対の端子からのリード線がターゲットに直接または間接的に結合されることによって実施され得る。一例では、電力供給源によって電子を提供するために、電力供給源の正極は、イオン伝導経路を介してターゲットに結合される電解質溶液と接触している電極に結合される。負極は、直接または間接的にターゲットに電気結合されて、ターゲット内に電子が移動されることを可能にする。
本明細書に記載される場合、陰極半電池は、導電体及び酸化剤を含む。酸化剤は、固体、液体、または気体の形状であってもよい。好適な酸化剤の一例は、過酸化水素である。腐食性状況は、通常は陰極半電池内部で生じ、導電体の腐食は、白金または炭素繊維を含む導電体を用いることによって緩和され得る。ターゲットの大部分に陰極効果を送達するために、酸化剤を透過させない導電性プラスチックを用いて、使用者を皮膚の損傷から守ると同時に電子の引き出しが均等に分散することを可能にし、かつ皮膚が酸化剤に直接接触することによって生じる毒性を回避し得る。他の好適な酸化剤は、過マンガン酸カリウムと、別の塩に結合された過酸化水素の固形とを含む。例として、過炭酸ナトリウム及びペルオキソ一硫酸カリウムを含む。電力供給源は、ターゲットから電子を引き出すために用いてもよく、またはその部位に酸化剤を作り出すために用いられてもよい。
場合によっては、反応生成物は、電解質内の反応物質を介して半電池から除去されてもよく、または電解質は、電子移動を加速させるために補充されてもよい。飽和したかまたは劣化した電解質を除去することは、電極面を反応生成物が取り除かれた状態に保ち、それによって面が反応を継続することを可能にすることの助けとなり得る。一例では、電解質溶液に塩化ナトリウムを補充し、それとともに水酸化ナトリウム及び塩化マグネシウム等の生成物を除去することによって、システムが、最初に作動したときのその活動と同じように再度機能することを可能にし、反応物質Mg(OH)2及びNaClから塩化マグネシウム及び水酸化ナトリウムの生成に向けて均衡をシフトし得る。半電池容器は、半電池に電解質を提供するか、半電池から電解質を除去するか、または両方のための1以上のポートを含み得る。
添加剤は、半電池に含まれるかまたは設けられて、半電池の性能(たとえば、電子流、イオン流または電極使用寿命にわたる調和性)を改善させ得る。添加物は、たとえば、触媒、反応物質、吸収剤、及び吸着剤を含む。二酸化マンガン(MnO2)は、水素を発生させる半電池に含まれて、水素ガスを消耗させ、半電池内での圧力の増大を抑止し得る。二酸化マンガンは、密閉された半電池で用いられてもよく、または酸素に曝露することによって再充填され得る。このように、二酸化マンガンは、半電池内に生成された水素と反応するために十分な酸素を確保することによって、減極機能の働きをする。
特定のケースでは、半電池内に形成された生成物は、その機能を妨げる場合がある。気体、たとえば水素は、半電池からの電子流の損失につながる可能性があり、この水素を吸収する二酸化マンガン等の材料を有することは、性能を向上させる場合がある。同様に、硫化水素等の有毒または汚染化合物は、半電池に近接した吸収剤材料によって、半電池から吸収され得る。活性炭素等の物質が半電池に含まれて、気体、たとえば硫化水素を吸収してもよい。
生物学的有機体または酵素が、半電池にさらに含まれてもよい。一例では、酸を発生させる生物学的有機体を用いて、電極の活動を維持し得る。
活物質として過酸化水素を有する陰極半電池では、二酸化マンガンは、過酸化水素の酸素への転換を引き起こすために用いることができ、陰極の活動を促進し得る。陰極を作動させるときまで待機して、その後二酸化マンガンをドープした電極を過酸化水素の中に入れることにより、触媒処理された面が過酸化水素から除去されたときに、使用、運搬、及び非活性化の容易さを促進し得る。二酸化マンガンは、半電池反応の質、量、または生成物を改善するために添加され得る反応物質または触媒の単なる一例である。別の例では、銀を用いて、マグネシウムを有する陽極半電池からの水素ガスを消耗させる二酸化マンガンの能力を向上させ得る。
半電池で活物質として用いるためにマグネシウムまたは他の固体物質を鋳込むとき、溶解可能成分がマグネシウムまたは他の固体物質ともに含まれる場合がある。この徐溶成分、たとえば塩等は、金型内で鋳込まれたマグネシウムまたは固体物質と混合される場合がある。半電池の動作中、当該成分の溶解は、鋳込み中の当該成分の配置によって決定されたように成形される可能性がある空隙につながる場合がある。溶剤トンネル面の面積量は、電極の所望の活動レベルに合わせて調整され得る。
塩の溶媒和は、陽極の表面近傍の電解質内に高濃度で溶解されたイオン交換塩を供給するというさらなる恩恵を提供する。溶解された塩は、電解質密度を高め、それによって電極の表面をわたって下に向かう流体の対流が促進される。これらの塩の溶液は、流下すると電極の面に接触して、腐食させる恐れがある。カリウム及び塩化物等の可溶性イオンは、不溶性の表面金属酸化物とイオンを交換する。本例では、水酸化マグネシウムは、塩イオンと結合して、イオン交換を介した生成物として可溶性塩を作る。本例では、塩化カリウムを用いて、2つの可溶性生成物、塩化マグネシウム及び水酸化カリウムを作り出し、それによって酸化生成物の外層を除去する。マグネシウムの面の内側から溶解する塩の可溶性対イオンは、酸化生成物、たとえば不溶性の水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を剥離することによって、電極の活動を維持する。また、これらの塩混入は、電極起動のために用いられる水の不足及び不純物を調整する助けとなり得る。この塩混入は、電解質に代えて水を用いて、半電池を湿潤させることができることを意味する。水道水が半電池に対して用いられ、問題のある品質である可能性がある場合、半電池内でゆっくりと溶解する塩類は、電解質に加えて、不動態化合物、たとえば水道水に存在するかもしれない鉄に対する防護を提供する。陽極が不動態化された場合であっても、溶媒和は、速いペースで継続するための電極活動に依存しない。すなわち、導入された塩類または他の溶解性物質の自己除覆性は、新たな面を曝露させることによって、電極を再度作動させ得る。
1以上の添加物は、活物質と結合し得る(たとえば、活物質が鋳込まれた場合)。これらの添加物は、半電池の構造的または触媒機能を向上させて、半電池の構造的な完全性を変化させるか、環境条件に対する半電池の応答を変化させるか、またはそれらの組み合わせを行うように選択され得る。吸湿性材料、たとえば粘土または塩類は、マグネシウムが鋳込まれるときにその間に、または金型上の面コーティングとして配置されることができる。一例では、粘土は、水が存在する状態で拡張することによって、面破断物質として用いられ、それによって反応のための新しい面を曝露する。他の拡張する吸湿性材料、たとえば塩類は、ひとたび濡れると水による作用に対して新しい活物質面を曝露する、同様の「露出効果」を表すことがある。活物質内への塩類の溶解と同じように、活物質と混合させた吸湿性塩の使用を用いて、水を電解質に転換させることができる。塩化カリウム溶液で湿らせて、真空パルスを印加された後乾燥させた粘土は、溶解性の塩化カリウムと、拡張するが不溶性である粘土との両方の有益な作動性を兼ねる。さらに、陽極の構造を弱めると同時に、陽極物質の外への電気経路をさらに提供するために、炭素をさらに含むことができる。
電極内部の混入は、熱膨張による伸縮周期をさらに有する可能性がある。より大きな熱膨張係数を有する物質は、活物質の表面を縮小及び膨張させるための加熱及び冷却周期を与えて、面が不動態化された場合であっても、面を再生することを可能にし得る。この膨張は、凍結融解周期に起因する場合があり、ガリウム、ケイ素、ゲルマニウム、ビスマス、及び水等のいくつかの材料は、固体形状に凍結すると膨張する能力を共有する。固体化すると同時に縮小する他の添加物をさらに用いて、活物質の表面を分断させてもよい。半電池の通常の稼働周期中に、この氷点/融点/沸点を通過すると、物質はその後、活物質の面を弱めることに有用であり得る。液体は、断裂によって形成された細孔またはチャネルから流れ出ることができ、気体は、昇華を介して固体から、または煮沸によって液体から放出されることができる。
場合によっては、気体の気泡を用いて、形成中または鋳造中の活物質の構造をハニカム状にすることができる。気体、たとえば二酸化炭素は、構造内部の反応物質として含むために有用であり得る。同じように、液体は、鋳造工程に導入されて、後で流出させることができる活物質内部に液体チャネルを残すようにされてもよい。ガリウム等の材料を用いて、高温鋳型陽極物質内部に液体充填管を作成することができ、これは破裂して流出すると電解質のための容器として機能する空隙を画定する中空管を残す。このように、金属、たとえばマグネシウムは、導電材料(たとえば、導電性骨組)の周囲に鋳造されるが、後で電解質で充填されるいくつかの液体充填内部空間を保有してもよい。
活物質構造の内部での物理的断裂によって、温度、水分、分解、吸収、膨張、及び収縮等の要因が活物質面に作用して、活物質を再生して新しくすることができるようにすることが可能になる。このように、活物質自体の固体構造において、物理的に断裂する、非電気化学的特徴の混合は、たとえば活物質面上に鉄の不動態被膜を形成させる不動態化する水における金属機器を、可溶性硫化鉄から保護するための半電池設計に適用可能である。
活物質の物理的断裂を促進する別の方法は、面の規則的な機械的断裂を組み込むことである。これは、陽極が摩擦される、たとえば酸化物被膜をこすって地金を露出させるように作製されることによって達成され得る。さらに、摩擦は、半電池の動作に、本明細書に記載される場合は、咀嚼によって、活物質を解体して新しい反応面を露出させる活物質の周期が可能になるチュアブル型陽極半電池に対して、組み込まれてもよい。
非腐食性導電性材料が、活物質とともに含まれてもよい。活物質が鋳造され、その後導電ワイヤに結合されて、電子を半電池の外に、及びターゲットに向けさせることを助けることができる。場合によっては、活物質は、混合された導電繊維とともに形成され、それによって活物質の活動を促進すると同時に、活物質に対する強化補強を提供し得る。
場合によっては、電極は、添加物として鋳造時に、または成型面に対する添加剤として鋳造前に、活物質内部に位置付けられる。溶融マグネシウムに添加された炭素繊維またはカーボンブラックを用いることによって、活物質の表面で絶縁する水酸化マグネシウムの発生率を低減させ得る。炭素繊維のウィスカが面の外に突出しており、活物質全体にわたって埋め込まれるために流されて新しくされた場合、そのときは抵抗コーティングの問題が低減される。また、電極は、半電池の酸化生成物の電気抵抗コーティングが付されていない活物質の構造内部に置かれてもよい。炭素繊維は、比較的不活性かつ有毒ではなく、活物質内部に組み込まれて、複合体導電性材料を得ることができる。一例では、複合体導電性材料は、骨組の形状である。短く重なり合うより線の直線性は、活性炭素と比較して課せられた導電性/グラムの両方を改善することができ、活物質の強度及び物理的性質を向上させ得る。
分解性内部導電材料は、摂取可能な半電池のための好適な持続放出性をもたらし得る。活物質は、反応物質及び触媒とともに、炭素を構成する物理的構造で鋳造され得る。鋳造後の材料の注入のための内部チャネル及びマクロ組織は、感温度成分及び電解質塩類、栄養素等が、摂取可能な半電池に加えられることを可能にする。また、マグネシウム粉末を他の粉末材料とともに鋳造して、高圧及びまたは高速でプレスされて焼結された粉末ベースの生成物を製作することも可能である。
分解性コーティングを用いて半電池をコーティングし、ターゲット部位での適切な放出を達成し得る。コーティングは、たとえば、ポリマーまたは油分であってもよい。一例では、油分でコーティングされた摂取可能な半電池は、半電池が小腸に進入したときに、胆汁によって作動し得る。胆汁の乳化作用により油分のコーティングがはがされて活性面を提供するが、これは半電池が胃の酸性環境を通過した後のみである。
場合によっては、半電池は、水密の容器を含む。容器のすべてまたは一部が電気絶縁性であってもよい。一例では、容器は、プラスチックである。容器は、電荷が有効となる特定の位置に向けられる必要がある電源装置で用いるために特に好適であり得る。いくつかの実施では、活物質は、ターゲットまたはターゲットの環境(たとえば、ターゲットが位置する塩水プール)と直接接触している。一例では、ターゲットが消化管である場合、容器は、放出を遅らせることが要求される場合には組み込まれるが、そうでなければ組み込まれなくてもよい。
容器は、半電池が他の乾燥した環境で用いられる場合に、容積を増大させ、電解質のより自由な流れを可能にし得る。電気絶縁容器は、生成された電位が、意図しないターゲットまたはターゲットの意図しない部分に向かって逸脱することを抑止し得る。さらに、この容器は、半電池内の触媒及び生成物を収容し得る。場合によっては、容器は、気体、たとえば水素を逃がすことが可能である通気型筐体である。特定のケースでは、Mg(OH)2等の反応生成物の物理的膨張は、アコーディオン状のスリーブ及びピストン、または物理的に膨張を収容する他の構造によって収容されることができる。
通気は、気体を発生させるが、他に隔離させるかまたは後退させない電極に好適である。たとえば、半電池に十分な量のMnO2を加えることは、通期の必要性を取り除く場合がある。さらに、能動的に半電池を通気させることに対する要望があるかもしれない。半電池内部に十分な量よりも少ないMnO2が含まれた場合、電極を乾燥させることによって、大気酸素が、水素との反応によって作り出されたMnO(OH)からMnO2を再生成することが可能になる。このことは、コスト及び電極の大きさを低減させ得る。場合によっては、半透過性フィルムまたは半電池の能動的な撹拌によって、使用中であっても、半電池に空気を押し込んだり押し出したりすることが実施される。この撹拌は、呼吸、歩行等の活動を介して、またはターゲットまたは提供者による能動的なポンプ作用によって、達成され得る。
陰極半電池については、大気酸素は、適切な触媒を有する活物質として好適であるかもしれない。場合によっては、空気の交換は、陰極を有効に維持するために適当であるかもしれない。通気は、過酸化水素を活物質として含む陰極半電池に有益であるが、これは過酸化水素の還元によって、気体酸素を得るためである。
導電経路は、半電池と、半電池が電気的に結合されたターゲットとの間に確立される。容器を有する半電池については、導電経路は、電極及びターゲットに電気的に結合される。この導電経路は、電極に加えて導電性材料を含んでもよい。この導電性材料は、電荷が半電池からターゲットに流れることを可能にする、ワイヤ等の固体材料、導電性の液体もしくはゲル、または導電性の布地であってもよい。いくつかの半電池は、既存のポスト(たとえば、ピアスポスト)に組み込まれるかまたは直接取り付けられてもよく、別個のまたは広範囲の伝導経路を必要としないかもしれない。場合によっては、ワイヤは、半電池の非腐食面を介した半電池へ、またはそこから電子を移動させるのに好適である。半電池への、またはそこからの電子流は、導電経路に沿った腐食を低減するかまたは抑止するかもしれない。
場合によっては、電子の移動は、電解質の役割を果たすことを提供する体液とともに挿入されるかまたは組み込まれる導電経路(たとえば、ワイヤ)を介して達成される。場合によっては、導電経路は、長さ10フィートまたはそれ以上であるかもしれない。陰極半電池については、より短い導電経路をより選択的に配置することが好適である場合がある。すなわち、陰極効果は、ターゲットにとって有害であるかもしれないため、より精密な方向が適切である。一般的に、半電池が、ターゲットの特定の領域を処置するために用いられる場合、より短い導電経路が有利であり得る。
導電経路は、ターゲットの面で終端させることができ、または電極を組み込んで、ターゲットの特定の領域への流れを増大させることができる。ターゲットが生体である場合、植え込みは、口等の体腔、消化系、生殖器、洞、外耳、内耳、尿路、膀胱等への挿入を含む。経路は、外科的に、さらには導電経路または半電池を切開部内部に直接植え込むために作られることができる。導電経路は、非導電材料によってさらに遮蔽されてもよく、それによって導電経路の一部のみがターゲットと接触しているようにされる。
場合によっては、半電池への導電経路は、ターゲット外面を介する。この接続は、電解質ゲル等の電解質によって強化され得る。ターゲットが人間または他の哺乳動物である場合、皮膚面での電子移動の工程は、洗浄するか、剃毛するか、そうでなければ、接続がなされる前に非導電性材料を除去することによって強化されることができる。この境界面では、導電経路は、表面積及び皮膚接触が最大になるように設計されて、それによって、皮膚と半電池の導電経路との間の境界面で、電子移動がボトルネックされないようにし得る。
人間または哺乳動物ターゲットへの導電経路は、体液及び分泌物の天然の電解質性質によって強化され得る。いくつかの半電池は、電解質としての体液に含浸されると稼働する。一例では、導電経路または半電池は、オリフィスまたはターゲットに挿入される。別の例では、半電池は、医療行為中に静脈内針に結合される。針は、血流内に直接到達し、このことは、一般組織を通してより高い抵抗を作り出す細胞膜のない身体全体を通して電気経路を提供する。
場合によっては、陽極半電池と陰極半電池とを、静脈内処置に対して交互に作動させる。陽極半電池は、針の自己洗浄、及び嫌気性生物による針またはカテーテルの細菌汚損の予防を促進し得る。静脈内針の陰極的処置は、付着している細菌を死滅させる役割を果たし得る。これらの2つの効果を交互に実施して、望まない微生物を駆除し得る。このことは、中央植込み型ライン、たとえばPICC(末梢挿入中央カテーテル)ラインが用いられる場合に特に重要であることがある。これらは、現在敗血症を有する患者には現在は設置することができないが、これはライン上での細菌性播種に関する懸念のためである。
細菌による汚損は、陽極及び陰極半電池を交代に用いることによって緩和される場合がある。この陽極半電池、そして陰極半電池を時間的に、また多くの場合空間的に分離して交代させることは、「交代性陽極及び陰極低温殺菌法」(AACP)と称される場合がある。この方法は、植え込まれたアイテムを殺菌するために好適である場合がある。陽極半電池及び陰極半電池が三方中継器によって切り替えられる場合、導電経路に沿って、及びカテーテル内部の流体を通して、電圧の変化が生じる。この陽極から陰極帯電電位への転換は、医療装置とのイオン及び共有結合接触を解体させ、面の「清掃」及びバイオフィルムの解体につながる。そのような環境の根本的な遷移を許容することが可能ではない微生物は、電位がすばやく変化すると消滅することがある。この交代性は、カテーテル上の超音波または可聴下音響振動と組み合わせられて、処置中に生体を取り払うことができる。
陰極及び陽極半電池の交代性が、導電面または水塊(たとえば、床、カウンター、塩水プール)に適用された場合、同様の滅菌工程が生じる。本処置を自動化して、使用者がいるときの、たとえば、使用者がいることによって陽極活動を起こさせることによる、陰極活動を回避させてもよい。本実施は、陰極及び陽極機能を交代させることが可能である電源及び制御部の使用を含み得る。
本明細書に記載された設計についての考察は、さまざまな用途に好適な半電池の構築のための案内を提供する。最適化された設計についての各々の考察においては、意図される使用に依存して、異なる選択肢が選ばれてもよい。いったん設計が選択されて実施されると、保守作業及び使用に対する命令によって、所望の結果が促進される。
設計を越えて、半電池を十分に機能させることを促進する使用者の命令及び保守作業のレベルがある。場合によっては、電解質の交換、補充、または刷新が、半電池を効率的に機能させることを促進する場合がある。活物質が、電解質の体積と比較して化学量論的に過度である場合、そのときは、電解質を空にして新しくする必要があるかもしれない。たとえば、活物質がリング状である場合、銀の中空管を構造に組み入れてもよい。管は、リングの表面上に2つのポートを有してもよく、一方は新しい電解質の入口であり、他方は出口である。場合によっては、これらのポートの役割を交替させてもよく、または一方向の流れがあってもよい。シリンジを用いて、新しい電解質溶液または水の通過を提供し、通過する飽和電解質を流してもよい。ポートは、たとえば、リング内の石の下に隠されていてもよく、またはリングの内側に面する2つの開口を含んでもよい。ポートは、開放したままであってもよく、または漏れや活動の損失を抑止するために使用間は塞がれていてもよい。
場合によっては、本明細書に記載される場合、いくつかの活物質は、活物質の全量を低下させるために要される電解質のための塩類を含み得る。半電池が電解質を排出されて再度充填される場合、そのときは、活物質の空間内部の低溶解性塩の電荷によって、すべての塩類が溶解する前に、新鮮な水を複数回注入することが可能になり得る。
他のケースでは、いくつかの活物質は、電解質機能のための塩類を含まない。電解質は、電解質を再注入するために、水中に塩類を溶解することによって、使用可能状態で得られるかまたは調製され得る。半電池を保持する容器は、電解質が補充される前に流されてもよい。精製水によって開始することは、整合性のある結果を促進する助けとなり得る。、だ液は、許容可能な電解質であり、容易に入手可能であるという利点を有する。液体活物質、たとえば過酸化水素を有する半電池については、電解質は活物質を収容し、及び電解質を補充することは、さらなる活物質もまた導入することを含む。過酸化水素活物質の例では、電解質塩が過酸化水素溶液と混合されて、所望の導電性を達成し得る。
半電池を、活物質の欠乏について監視してもよい。費やされた活物質は、新しい量の活物質と交換されてもよく、または半電池全体が交換されてもよい。活物質欠乏の視覚的及び他の標示が監視され得る。マグネシウムの例では、導電担体の出現が、担体上にコーティングされたマグネシウムの欠乏を示し得る。硫化水素の臭気は、露出したマグネシウム陽極が有効である場合に検出されることがある。この「嗅覚試験」は、電極の不動態化を検出することにおいても利点を有する。加えて、活物質面の出現は、不動態化されると変化する場合がある。マグネシウムについては、通常の銀白色またはグレーからの色の変化は、陽極が不動態化されていることを示している場合がある。
半電池は、それらが発生させる電圧を、電圧計またはLEDライト等の他のインジケータ、または半電池の電気的活動を検出する増幅器を介して試験されてもよい。水素を発生させるように設計された半電池では、水素の生成は、酸性溶液内で水素の気泡の出現によって視覚的に査定され得る。これらは集められて、単位時間当たりで発生した水素の量によって、陽極活動レベルの指標となることができる。
過酸化水素を含有する半電池については、1つの試験において、過酸化水素溶液の試料を取り、それを二酸化マンガンに曝露する。マンガンは、過酸化水素からの酸素及び水の形成に触媒作用を及ぼす。このことは、過酸化水素溶液が、二酸化マンガンで処置された面上に与えられると、小さな酸素の気泡として示される。
不動態化面は、半電池内の触媒または活物質から除去され得る。機能の損失は、触媒面上または活物質面上に不動態化物質を配置することによって生じる場合がある。このことは、時に、活物質全体にわたる保護コーティングを形成する水酸化マグネシウム等の材料の堆積である。他の場合では、このことは、電解質内の、または環境内の不純物による活物質の汚染に起因する場合がある。マグネシウムがもはや活性ではない場合、クエン酸の溶液を用いて、マグネシウムから堆積物を剥離し、鮮やかな白色の活性面を残すことができる。活物質の洗浄の他の方法は、機械的振動(たとえば、超音波洗浄)、電解質溶液を勢いよく流すこと、または水素等の活物質を露出して汚損の堆積を可溶化することを含む。
陽極半電池については、ターゲットの意図された領域外のエリアに電荷を向けることには、ほぼ害がない。一対の陽極半電池を対称的に組み込むことによって、または単一の陽極半電池の接点を定期的に切り替えることによって、対称的な結果が促進され得る。着用可能型(たとえば、ネックレスまたは各々の手のリング)の構成における単一の中央設置型の陽極は、有利であり得る。
装置から使用者へのポートは、イオンで処置される組織の形状及び深さに一致するようにパターン化されてもよい。電気化学半電池から流れるイオンが、皮膚の下の血管をターゲットとしている場合、そのときは、穿孔パターンは、血管系を反映するパターンに切り込まれる可能性がある。これらの血管が表面に現れると、塩橋用ポートをより幅広くすることができるが、これは、それらのイオンがターゲットに到達する程度まで深く進む必要がないためである。これらの血管が体内でより深くに走ると、それらの上方のポートが狭められて、ターゲット組織へのイオンのより深い侵入を提供し得る。
所望のイオン送達のエリアは、アパーチャを変更することのみならず、装置を通した電解質交換用ポートの間隔及びパターニングを変更することによって変化させることができる。ターゲットが皮膚である場合、そのときは、塩橋位置または流れの方向に対する特定の制御は必要とされず、電解質は、皮膚に向かう妨害のないイオン流経路によって、人物に面する活性のマグネシウム金属を備える皮膚と継続的に接触することができる。
イオノマーは、電解質系内の1つまたはすべての塩橋を遮るように組み込まれることができる。正荷電ポリマー、たとえばポリジアリルジメチルアンモニウム塩化物(ポリダドマック)は、負イオンが動くことのみを可能にする。ナフィオン等の負荷電イオノマーは、正イオンが動くことのみを可能にする。
加えて、動くことを可能とされるイオンのタイプは、一方向または双方向の流れのいずれかを可能にするサイズ選択ポリマーを使用することによって、選択されることもできる。サイズ選択性のために、双方向流のイオノマーが所望される場合、非選択的なイオノマーと重ねられて、特定の電荷のイオンと特定のサイズのイオンとの両方の流れを実現することができる。
塩橋材料に対する所望のイオン輸送のための方法の選択ガイド
より詳細には、塩橋の以下の特徴は、使用されるポリマーまたはゲルを伝導するイオンのタイプによって決定されることができる。以下は、使用者側での所望の効果のために、塩橋をもっとも効果的に使用するための材料及び方法の簡易な選択ガイドである。
場合によっては、塩橋は、イオノマー、すなわち、ナフィオンを含む。これは、正イオンの動きを可能にする。H+等の非常に小さなイオンを通過させることができ、より大きいものは、巻き上げられた管の面に沿って進むことが可能である(たとえばMg++)。負イオンは、膜に沿って、またはそれを通って動くことができない。これにより、イオン的な「一方向路」が設けられる。負荷電イオノマー、たとえばナフィオンを用いて、陽極からの塩橋を作る場合、これはもはや、生体外にいかなる負イオンも引き出さないが、正イオン(治療用剤)が先端から押し込まれる場合がある。イオノマーの使用によって、体内に導入される薬物分子上の正電荷の数は、電子上の負電荷の数と等しい。
塩橋が中性または双性イオン性ゲルを含み、荷電イオノマーがない場合、そのときは、負イオンは、生体を去ることができ、正イオンは、生体に進入することができる。どちらが優位であるかを知るための方法はなく、このことは、電子流とイオン流との間に安定した関係がないことを意味する。
イオノマーを用いることによって(1つの電荷は動くことができない)正確な投与が可能になる。同等に、イオン導入は、安定性のない薬品送達を有し得るが、これは他の溶解された循環分子があるべきでるためである。
双方向の非選択的なゲル及びイオン導入
陽極では、塩橋は、生体内に+を押し込み、−を引き出すことができる。
陰極では、塩橋は、生体内に−を押し込み、+を引き出すことができる。
イオン伝導ポリマーがイオノマータイプの荷電イオンである場合、反対の電荷が流動可能である。
−荷電イオノマー(ナフィオン)
陽極では、−塩橋が、生体内に+イオンを押し込むことができる。
陰極では、−荷電塩橋が、生体外に+イオンを押し出すことができる。
+荷電イオノマー(ポリジアリルジメチルアンモニウム塩化物(ポリダドマック))
陽極では、+荷電塩橋は、生体外に−イオンを引き出すことができる。
陰極では、+荷電塩橋は、生体内に−イオンを押し込むことができる。
使用者の接地接続は、装置の塩橋が離れた後のイオントラフィックの流速及び方向に影響を与える。効果は、横風のようなものであり、ひとたびイオン及び電子流が装置から生体に移動すると、イオン及び電子流に方向性を与えるために用いることができる。一例では、指先と接触している接地線は、陽極が脚に接続されている場合に足と接続するのとは異なる方法で、イオン及び電子流を引き出す。同様に、装置配置と同側の足を接地することは、装置配置とは対側の接地配置とは異なる効果を有する。
陰極半電池については、ターゲットと精密に接触させることによって、ターゲットの意図された領域上で結果として生じる酸化的損傷(たとえば、局所的感染または腫瘍)に焦点を合わせ、構造体(たとえば、組織)の近くに限られた損傷を可能にする。導電経路の範囲及び数は、ターゲットの意図された領域を通過し、及びその周囲に電子流を案内するように選択され得る。たとえば、薬品送達が同時に生じている場合、導電経路の位置付けは、薬品がターゲットの意図された領域の中に向かって進められるか、またはそこから離れさせられるかに影響する場合がある。陽極及び陰極半電池を交代に用いることにおいて、陰極半電池がターゲットに電気的に結合されていないときに、陽極半電池がターゲットに電気的に結合されると、改善された結果となる場合がある。このことは、より局所的な効果を可能にし、場合によっては、イオン移動及び細胞膜の完全性に対する、電流の流れによる望まない効果を取り除く。たとえば、ターゲットががん性腫瘍であったとすると、陰極半電池は、相当期間の間、ターゲットの意図された領域で組み込まれて、その後陰極半電池のターゲットの意図された領域から離れた地点に陽極半電池を組み込んでもよい。場合によっては、陽極半電池は、血液が腫瘍の酸化状態を全身に広めることを防止するために組み込まれてもよい。血液は、静脈を通って戻る道程で陽極半電池によって処置されて、放射線によって、または陰極半電池によって誘発された酸化状態が、体内で伝えられてさらなる全身的症状を発生させることを防止し得る。
陰極及び陽極半電池を同時に用いることは、プラスの影響(望ましくない細胞を死滅させる)と、マイナスの影響(陽極及び陰極半電池間の経路に沿って望ましい細胞を死滅させる)とを有し得る。
図1Aは、接着パッチの形状の治療用電子移動装置100の1つの実施形態の、図1DのXX’に沿った断面図を図示する。治療用電子移動装置100は、半電池102を含む。半電池102は、電極104、活物質106、及び電解質108を含む。電極104は、導電性材料、たとえば硝酸銀から形成される。活物質106は、たとえばマグネシウムであってもよい。活物質106は、隆起110及びくぼみ112を含む。電極104は、活物質106の隆起110上に形成される。電解質108は、たとえば、電解質ゲルであってもよい。裏当て114は、電気絶縁層116とともに、電解質108を少なくとも部分的に収容する役割を果たす。隆起110及び電極104は、電気絶縁層116の開口118を通って延伸する。粘着剤120は、治療用電子移動装置100がターゲットに付着することを可能にする。裏当て114及び電気絶縁層116は、電解質108を収容し、治療用電子移動装置100とターゲットとの間のイオン流が開口118を介して生じる。
活物質106がマグネシウムである場合、電極104は、陽極として機能する。電極104は、治療用電子移動装置100とターゲットとの間の導電経路を形成し、電子が電極104を介してターゲットに流れるようにする。イオン(たとえば、マグネシウムイオン)は、電極104に近接した電気絶縁層116の開口118を介して、治療用電子移動装置100からターゲットに流れる。開口118は、治療用電子移動装置100とターゲットとの間を流れるイオン用の押し込み路の役割を果たし、イオン伝導性流体または電解質が存在する状態でイオン伝導経路を形成する。
開口118の面積は、ターゲットへのイオンの流れを増大させるように増大させるか、またはターゲットへのイオンの流れを減少させるように減少させてもよい。開口118が比較的小さい場合、治療装置100からの電子及びイオン流は、ターゲットに対して精密かつ深く誘導され得る。代替的に、開口118が大きい場合、より大きな接触面積にわたって、結果として増大されたレベルのイオンの流れによって、イオンはターゲットに対してより拡散的かつあまり深くなく進められ得る。
選択された領域以外での電気絶縁型治療用電子移動装置100は、電子または電流の送達がターゲットの選択されたエリアに案内される一方で、ターゲットの他のエリアがシールドされることを可能にする。イオン流が誘導されることが所望される場合、開口118の面積を低減させることによって「ボトルネック」が作り出されて、特定のイオンが負荷されて、電解質108を介してターゲットに送達されるようにされ得る。
図1Bは、治療用電子移動装置100のものと同様の、治療用電子移動装置130の1つの実施形態の断面図を図示し、ここでは開口148は、図1Aに示された治療用電子移動装置100の開口118のものの半分の直径を有する。このように、治療用電子移動装置130からのイオン流は、治療用電子移動装置100のものよりもより精密かつ深く誘導される。
治療用電子移動装置130は、1以上のイオン伝導経路のうち少なくとも1つに近接した薬品または栄養補助剤132を含み、それによって治療装置は、1以上のイオン伝導経路のうち少なくとも1つを介して、生体に薬品または栄養補助剤を送達するように構成される。
図1A及び1Bに図示されるように、治療用電子移動装置100及び130は、生体に接触するように構成された面を有する筐体を有し、1以上のイオン伝導経路は、生体に接触するように構成された筐体の面を通って形成される。場合によっては、筐体の面の1以上のイオン伝導経路を通したイオンの流動率は、筐体の面の1以上のイオン伝導経路の総面積の、生体に接触するように構成された面の総面積と、筐体の面の1以上のイオン伝導経路の総面積との合計に対する割合に反比例する。
図1Cは、治療用電子移動装置100の平面図を図示する。図1Dは、治療用電子移動装置100の底面図を図示し、電極104は、電気絶縁層116の開口118を通って突出する。粘着剤120は、治療用電子移動装置100の周辺に位置付けられる。図1Eは、電極104を介してターゲット150に電気的に結合され、開口118を介してターゲットにイオン的に結合された、図1Dの治療装置100のYY’に沿った断面図を図示する。図1Eに図示されるように、ターゲット150は手である。
1以上の添加物、たとえば触媒、吸着剤、吸収剤、及び微生物が(たとえば、活物質106に近接して設けられるか、または活物質または電解質108と組み合わせられて)半電池102内に存在させて、望まない反応生成物を分解または吸着するか、またはターゲットへの、またはそこからの電子移動を促進し得る。陽極半電池の一例では、二酸化マンガンは、銀触媒が存在する状態で、陽極に生成された水素ガス及び硫化水素を消費する。陽極半電池の別の例では、活性炭素は、陽極に生成された硫化水素を吸着する。陽極半電池のさらに別の例では、陽極半電池に酸生成菌を投入することによって、陽極の活動を維持する助けとなる。陰極半電池の一例では、二酸化マンガンは、銀触媒が存在する状態で、過酸化水素の分解を支援し、それによって、陰極半電池によってターゲットから電子を引き出すことが加速される。
半電池102の実施は、1以上のさらなる特徴を含み得る。本明細書に記載される場合、半電池の動作中に溶解する固体は、活物質と混合されて、活物質内に細孔を作り出すことがある。活物質の面は、構造的な断裂によって曝露され得る。伝導性材料、たとえば炭素繊維は、活物質と混合されて、内部から外部への電子の通り道を与えることによって不動態化面の腐食をなくし得る。
場合によっては、2以上の半電池が、同時または交代に用いられるように、ターゲットに電気的に結合されてもよい。一例では、2つの陽極半電池または2つの陰極半電池が、ターゲットに結合されて同時に用いられ、電子の送達もしくは除去を増大させるか、またはターゲットの異なるエリアを処置する。別の例では、陽極半電池及び陰極半電池は、ターゲットの異なるエリアに適用され、交互に用いられて所望の効果を達成する。
活物質の劣化は、伝導性材料の出現、硫化水素等からの臭気の存在、色の変化、またはマルチメータによって測定されるような電圧損失を監視することによって観測され得る。酸化剤として過酸化水素を有する陰極半電池については、二酸化マンガンでコーティングされた試験片を挿入した場合に気泡があることが、活物質の有効性を示す。非活動状態の半電池は、補充されるかまたは交換されてもよい。場合によっては、不動態化物質は、活動を回復させるために、半電池から除去されてもよい。一例では、クエン酸を用いて、反応面を曝露させる。別の例では、摩擦を用いて、反応面を曝露させる。
図2は、接着パッチの形状の治療用電子移動装置200の1つの実施形態の断面図を図示する。電子移動装置200は、半電池202を含む。半電池は、電極204、活物質(たとえば、マグネシウム)206、及び電解質208を含む。電解質208は、たとえば、電解質ゲルであってもよい。電解質ゲル208は、電極204とターゲットとの間の導電経路の役割を果たし、さらに活物質206とターゲットとの間のイオン伝導経路の役割を果たす。裏当て210は、電解質208を少なくとも部分的に収容する。粘着剤212は、治療用電子移動装置200がターゲットに結合されることを可能にする。電解質208は、治療用電子移動装置200とターゲットとの間の電子及びイオンの移動のための導電性及びイオン伝導性層を提供する。このように、イオン及び電子の流れは、図1A及び1Bにそれぞれ図示された治療用電子移動装置100及び130のものよりも拡散する。
図3は、ターゲット302に結合された電源300を図示する。図示されるように、電源300は、12Vのバッテリであり、ターゲット302は、細菌306が培養された電解質304を含むペトリ皿である。ターゲット302は、電極308を介して電源300に電気的に結合され、塩橋310を介して電源にイオン的に結合される。電源300の正極312は、電極308を介してターゲット302に電気的に結合される。塩橋310は、電解質304及び電源300の電解質溶液を結合する。図示されるように、電源300は、細菌306の酸化を誘発するように構成される。
図4は、ターゲット404に結合された電源400及び半電池402を図示する。図示されるように、電源400は、12Vのバッテリであり、ターゲット404は、哺乳動物である。ターゲット404は、導電体408を介して電源400の負極406に電気的に結合され、塩橋410を介して半電池402にイオン的に結合される。半電池402は、容器416内の電極412及び電解質414を含む。電解質414は、電源400が電解質に電気的に結合されると酸化する活物質(たとえば、細菌細胞、真菌病原体、有毒な生体分子等)を含む。電源の正極418は、リード線420を介して電極412に結合される。図示されるように、ターゲット404は、リード線408を介して電子の正味の追加を受ける。
図5Aは、構造504を介してターゲット502に電気的に結合された半電池500の分解図を図示する。構造504は、ターゲット502に接触して、半電池500とターゲット502との間の電子移動を達成するように構成される。半電池500は、電極506と、容器512内の活物質508及び電解質510(たとえば、1M NaCl溶液)とを含む。電極506は、構造502に電気的に結合される。塩橋514は、半電池500とターゲット504との間のイオン伝導経路を形成するように構成される。場合によっては、構造502は、電解質ゲル516を介してターゲット504に電気的に結合される。
図5Bは、構造504に結合された電極506を介してターゲット502に電気的に結合され、塩橋514を介してターゲット502にイオン的に結合された半電池500を図示する。電解質ゲル516は、半電池500とターゲット502との間の電子の移動を容易にする。イオンは、塩橋514を介して、ターゲット502と半電池500との間を流れる。
図5A及び5Bに図示されるように、構造504はヘルメットであり、ターゲット502は人間である。構造504は、半電池500とターゲット502との間の電子の流れを容易にする。半電池500が陽極半電池である場合、電子は、半電池からターゲット502に流れる。半電池500が陰極半電池である場合、電子は、ターゲット502から半電池に流れる。マグネシウムから作られた活物質、または電力供給部は、システムを機能させるために必要とされる電子を提供することができる。
図6に図示されるように、治療装置600は、ターゲットにイオン的に結合されるように構成された、導電体602、活物質604、及びイオン伝導経路606を含む穿刺針である。導電体602は針である。活物質604は、針の一端にコーティングされている。イオン伝導経路606は、たとえば電解質に含浸された吸収剤糸を含んでもよい。イオン伝導経路606は、活物質604と接触しているかまたはそれに巻き付けられて、それによって活物質を湿ったままに維持し得る。活物質604が還元剤、たとえばマグネシウムまたは亜鉛である場合、治療装置600は、陽極半電池として機能し、導電体602を介して電子をターゲットに移動させる。治療装置600は、電子が皮膚層の下の、体内のより深くのターゲットまで移動することを可能にする。活物質604が酸化剤である場合、治療装置600は、望まれないターゲット、たとえば感染菌または新生物からの電子を除去し、それを攻撃することが可能である陰極半電池として機能する。
いくつかの実施では、1以上の陰極半電池針(「酸化」針)は、望まれないターゲットの近くに挿入され、陽極半電池針(「還元」針)は、酸化針の周辺部に挿入される。還元針は、バリヤとして働き、身体の他の部位に対して外側に広がる酸化効果に対する保護を提供する。特定の実施では、活物質によるコーティングではなく、導電体602は、電力供給部に電気的に(たとえば、導電ワイヤを介して)結合してもよく、導電体はターゲットへの、またはそこからの電子の移動を可能にする。
図7は、治療用電子移動装置をターゲットに結合させるための治療用電子移動装置702及び命令704を含むキット700を図示する。治療用電子移動装置702は、たとえば本明細書に記載された、治療用電子移動装置の任意の実施形態であってもよい。図示されるように、治療用電子移動装置702は、たとえば図1A、1B、及び2に記載された、接着パッチの上面図である。命令704は、治療用電子移動装置702を交換するかまたは保守するための命令を含み得る。場合によっては、治療用電子移動装置702は、電解質を含む。特定のケースでは、電解質706または電解質前駆物質は、キット700に含まれ、命令704は、電解質を調製するか、治療用電子移動装置702に電解質を送達するか、または両方のための命令を含む。
陽極半電池を製造するための配合、形状、及び方法の例が、以下により詳細に記載される。
導電担体を中心として溶融マグネシウムを固体化することによって、マグネシウムを伝導性材料上で固体化することができる。一例では、ワイヤを螺旋形に巻いて、環状の型内に収める。2以上のワイヤより線を、後にクリップ及び電気接点として用いるためにトーラスの穴の中央を通して交差させる。この型は閉じられており、溶融マグネシウムをキャビティ内に注ぎ、ここでこれがワイヤと型の外面とをコーティングする。マグネシウムが完全に冷める前に、溶融マグネシウムを型からデカントして、ワイヤの経路によって形成された、マグネシウムのコーティングで覆われていない中空の内部チャンバを残す。
マグネシウムの融点は、華氏1,202度(摂氏650度)であり、一方で銅の融点は、華氏1,984度(摂氏1,085度)である。銀でコーティングされた陽極ワイヤを用いる場合、そのときはマグネシウムの温度を華氏1,763度(摂氏961.8度)まで上昇させて、マグネシウム及び銀を焼結させる必要がある。溶融マグネシウムをワイヤ金属の融点付近の温度まで上昇させて、その後ワイヤフレーム構造全体に注ぐことができる。マグネシウムは、摂氏1090度で気化するため、煮沸することなくこの点を超えて加熱することができない。溶融塩化マグネシウム(MgCl2)による電解法を用いることによって、ワイヤをマグネシウムでコーティングしてもよい。さらに、マグネシウムを、蒸留と同様の方法によって、気体としてワイヤ上に蒸着させてもよい。このことは、マグネシウムの再融解のエネルギコストを回避するために、マグネシウムの生成中にピジョンプロセスを用いて遂行されてもよい。
中空の内部チャンバは、キャビティを形成する。このキャビティに、硫化カリウムか、または人間の皮膚と親和性があり、好ましくは有毒でないいくつかの他の可溶性塩を含有する水ベースの流体を注入することができる。電解質ゲルは、開放型半電池における漏出を防止する助けとなり得る。さらに、流動する希薄な電解質を使用してもよく、移動に起因する撹拌によって有利となり得る。
一例では、ワイヤは、流体がマグネシウムを通して流れかつ通過することを可能にする螺旋形状を有する。水素気泡は、マグネシウム面で流体を撹拌し、マグネシウムを取り囲む流体の動きを促進し得る。
陽極半電池に電解質を導入して混合し、そのうちのいくつかが以下に記載される手段の1つまたは組み合わせで、陽極面での活動を促進してもよい。
一例では、半電池を作動させる前に、塩を水または他の流体と混合する。このことは、電解質の注入のために実際的な選択肢であり、この場合半電池は、付加的な電解質で作動する乾式半電池である。これらの乾式半電池は、複数の電解質使用装置である場合があり、単一の陽極半電池が、それを通して(たとえば、別個のチャネルを通して)押し込まれる新しい電解質の一部を有する。
別の例では、陽極半電池は、乾燥(塩)成分を含み、半電池に水を加えて塩を溶解し、それによって必要に応じて半電池内に電解質を形成する。半電池は、電解質前駆物質を収容することができ、電池に水を加えて、電解質を形成してもよい。塩のゆっくりとした溶解と、電解質のウィッキングとによって、陽極が作動状態である期間を延ばし、活動をより安定させることの助けとなり得る。たとえば、マグネシウムを鋳造する前に、伝導性材料上に塩の結晶を沈殿させると、その後陽極内部上の塩の表面に接触する水が、活物質面のより深くまでチャネルを溶解させる。このことは、活物質の新しい面を提供し、長期にわたってより安定した効果を生み出し得る。
さらに別の例では、陽極半電池に乾燥(塩)及び湿潤成分を予め充填し、バリヤによって分離する。バリヤの穿刺によって、乾燥及び湿潤成分を混合し、それによってその部位に電解質を形成することが可能になる。塩をゲルから分離することは、半電池の早すぎる作動を防止する助けとなる。それらの間でバリヤが破断すると、半電池が活動可能になる。
さらに別の例では、半電池は、活物質と接触している流体を収容し、半電池に必要とされるすべての成分が存在しているが、ある成分は半電池内の流体と混合されて、半電池の作動を開始させる必要がある。
さらに別の例では、半電池を機能させるために必要とされるすべての成分が、予め混合されて半電池内に含まれるが、製造中にマグネシウムを不動態化させて、その活動を抑止する。半電池は、陽極にいくつかの材料、たとえば面上のバリヤコーティングを除去して反応が行われることを可能にするクエン酸を混入することによって、作動し得る。
いったん電解質と接触した塩類が、マグネシウムの面を活性化させると、一連の化学反応が生じ、結果としてマグネシウムイオンを形成する。
Mg(s)→2e−+Mg2+
さらに、マグネシウムを蒸気と直接反応させて、水素ガス及び水酸化マグネシウムを作り出すこともできる。
Mg(s)+2H2O(g)→Mg(OH)2(aq)+H2(g)
マグネシウムを、溶液内の酸と反応させて、水素を作り出すこともできる。この反応によって生体に電子を与えることはなく、代わりに、酸H+が電子受容体であり、水素ガスが放出される。以下の式では、例においてクエン酸を用いているが、可溶性の対イオンを有する任意の酸を利用することができる。本例ではクエン酸を利用しているが、これはマグネシウムイオンをキレートしたときに、危険性が低く、固体形状で、かつ溶解性が高いためである。
Mg(s)+H3C6H5O7(aq)+→Mg2+(aq)+HC6H5O7 2−(aq)+H2(g)
加えて、電解質にキレート剤を添加して、マグネシウムイオンの溶解性を増大させることができる。このことは、マグネシウムイオンと水酸化物または炭酸塩との非生産的な相互作用を防止することができ、これによって陽極の面に不溶性の沈殿剤が形成される。
沈殿剤が堆積した後、沈殿剤が堆積していないエリアにおいて、さらに急速な陽極の浸食があるかもしれない。このことは、穿掘による陽極の消耗につながる。各分域で汚損した沈殿剤を洗い流すように陽極を構築することは、反応の安定性を維持する助けとなり得る。半電池が向きを変えられるかまたは撹拌されると、機能が向上する場合がある。
イオン流の経路及びMg2+堆積イオンの除去は、そのうちのいくつかが以下に記載される手段の1つまたは組み合わせで、達成され得る。
一例では、マグネシウムは、ターゲットに向かって半電池の外に移行することが可能である。硫酸塩または塩化物が電解質内に存在する場合、マグネシウムは、可溶性Mg2+として容易に動く。このことは、固体源としての元素Mgを有するイオンと、作り出されて陽極から離れるように動く正荷電Mg2+イオンとの密集を生じさせる場合がある。これらのマグネシウムイオンは、電流の流れの方向(電子の流れとは反対)に移行する。結果として、ターゲットにおいて、マグネシウムイオンのイオン導入がなされる。マグネシウム塩は、局所に適用される場合に顕著な安全性を有し、塩化マグネシウム及び硫酸マグネシウムを局所に適用することは安全であると考えられ、皮膚及び傷の表面に湿潤した塩を直接適用するために用いられてきた。特段の痛みまたは反応は確認されておらず、ほとんどの使用者が、筋緊張の弛緩及び緩和を経験している。マグネシウムイオンを非常に高濃度で(飽和)皮膚と接触させることに、何ら明らかに否定的な結果はない。マグネシウムの直接吸収が許容可能であれば、その場合は、このMg2+をイオンにして、塩橋を下ってターゲットに進入させ、変化のバランスを取ることができる。このMg2+の移行は、そうでなければ反応をさらに抑止する、溶液内でのマグネシウムイオンの堆積を抑止する。負イオンは、陽極に向かう取り付け部位に向かって引き出される。陽極に塩ペーストを付与して、ターゲットから離れて陽極内に向かって移行させるための負イオンの貯蔵部を提供してもよい。
別の例では、マグネシウムイオンは、電解質に蓄積されることが可能であり、その後新しい電解質を添加して、古い電解質は、半電池の陽極機能を新しくするために、元素マグネシウムのすべてまたはほぼすべてがイオンに転換されるまで廃棄される。これは、マグネシウムが電解質内に堆積するにつれ陽極性能が低下し、電解質が新しくされると即時に性能が上がることにつながる。
陽極の設計によって、大きな内部気泡を抑止し、水素ガスの気泡が上に向かって流れて、陽極表面を「スクラブする」ことに関与させることができる。大過剰の電解質における対流型の流れによって、小さな陽極の効果的な機能性を促進することができる。場合によっては、活物質は、流体が活物質を通って流れることを可能にし、反応面として働く中空またはクラムシェル形を有していてもよい。加えて、面の形状寸法の改善によって、動作全体にわたってより均一な陽極の活動を促進する。一例では、活物質は、自身をともに保持するために十分な強度を有するが、Mg(OH)2及びMgCO3の層を持続させるために十分な強度を有してはいない。これらの浸食特性を有する配合によって、陽極による自己洗浄が促進される。面の形状寸法及び内部空間は、いかにして、そしていつ陽極が活動に入るかを決定する。水の添加は、活物質の内部チャンバに溶解可能な栓を入れることによって遅くすることができ、栓の溶解は、新しい新鮮なマグネシウムのネットワークが、反応及び溶解を開始することにつながる。溶解する栓は、低溶解性塩で形成されてもよく、したがって電解質導電性であってもよい。
マグネシウムが水と反応すると水素が作られ、分裂して水素ガス(H2)及び水酸化マグネシウムMg(OH)2に変わる。この反応では、ターゲットへの導電経路を介して伝達されることができる電子は得られない。マグネシウムによって失われた電子は、水素ガスに与えられる。
陽極面での水素の生成によって、気泡が逃げるように陽極の周囲の電解質の流れが撹拌される。これによって、陽極を発生させる水素に、より活発かつ清涼な電解質の流れが与えられる。また、水素の生成によって不溶性の水酸化マグネシウムが発生して、陽極の面を汚染するかもしれず、これが陽極の反応速度を制限する。
半電池によって生成された水素は、そのうちのいくつかが以下に記載される手段の1つまたは組み合わせで除去され得る。一例では、水素燃料電池を用いて、発生した水素を利用し得る。別の例では、フェイルセーフベントを介して、水素を廃棄してもよい。電解質内に酸がどれだけ存在しているとしても、マグネシウム陽極は、導電経路を介して、使用者に直接電子を提供することが予想される。水素及び燃料電池におけるその利用は、マグネシウムと同程度に活性である成分を用いる興味深い「副作用」となる。犠牲陽極として亜鉛が用いられた場合、水の分裂はほとんどなく、温度が煮沸に到達するまで、水素の生成がない。
別の例では、MnO2との反応を介して水素を除去する。
MnO2+1/2H2→MnO(OH)+e−
この反応は、酸素を空気に曝露することによって逆にすることができ、及び陽極半電池を乾燥させ、大気の循環を可能にすることによって再生させることを可能にし得る。
場合によっては、生成された水素は利用しないが、それよりも環境内にベントされるか、または通気の開口で触媒を用いて水に酸化される。使い捨て半電池については、通気は好適な装備である。半電池内に水素が蓄積されると、増大する体積の気体を内部に収容するために、電池がフェイルセーフに変形することができる。このことは、ポップアップボタン、陽極の一部のスライド部、または水素透過膜を介して達成され得る。
水素透過膜が酸素及び二酸化炭素透過性であれば、これらは、システムにとって有益な反応物質を提供することができる。管形状の膜は、陽極電解質キャビティに挿入されることができる。一端では、キャビティ内部の奥深くで、管を閉塞させ得る。陽極の面では、陽極の蓋によって適所にクリップ止めされる。「ガス抜き」システムを作るにあたって効果的にするために膜に対して必要とされる表面積の長さ及び量は、実験的に決定されることができる。折りたたまれた管状膜は、好ましくは、内部にスペーサを有する空隙を有し、空気の自由な循環を可能にするが、電解質に必要とされる空間の占有はほぼない。膜の電解質側に炭酸マグネシウム結晶を播種して、沈殿トラップを作ることができる。
効率的な機能を助長するために、陽極は、活物質(たとえば、マグネシウムまたは陽極の役割を果たす他の材料)イオンを移行させることができる面を有する。マグネシウム面が乾燥している場合、マグネシウムイオンの堆積によって、酸化反応がすばやく抑止される。表面積がごく少量である場合、陽極は、多量の電流を発生させることが可能ではない場合がある。場合によっては、陽極内部の長い連続したチャネルをもたらす螺旋構造を用いてもよい。金属は、迷路状の骨組に高温注入されるか、蒸着されるか、または電気めっきされてもよい。陽極の内部は、電解質溶液と接触して、反応及びイオン移動のために表面積を増大させる。陰極では、増大された表面積によって、引き出されることができる電子の量におけるボトルネックが抑止される。
陰極半電池がターゲットに電気的に結合されると、ターゲットは、陽極半電池として機能し、電子がターゲットから陰極半電池に移動する。この構成は、治療用用途、たとえばがん処置に好適である。陽極半電池は、腫瘍のエリアに結合されることによって放射線の悪影響を緩和する一方で、陰極半電池は、放射線治療との相乗効果を呈し、さらなるストレスを導入するストレスを受けた細胞を破壊することを助けることができる。陰極半電池は、半電池パッチ、またはがん性エリア上のピアシングに電気的に結合された半電池に置かれることによって実施されてもよく、これらは処置中に当該エリアから電子を引き出して、酸化による損傷及びがん性細胞の突然変異を促進してこれらを死滅させる。このことは、目標とされた効果である利点を有し、処置部位からの距離が増大するにしたがって、電子引き出しの影響力ますます少なくなる。より低い作用効果(低い電圧)を有する陰極物質を選定することを用いて、電子引き出しによる二次的な損傷を低減させ得る。ターゲットと酸化剤との間の電圧の差が増大すると、組織に電子を引き出させた位置の距離もまた同様に増大する。より弱い酸化剤は、より強力なものよりも短い範囲にわたってその衝撃を与える。
また、陰極半電池を電源とともに組み込んで、侵入有機物またはがんによって生じた問題を対象とした局所用医療ツールとして機能させてもよい。精度及び効力は、電気絶縁導体と、球面状のパターンで減衰する効果と、さらには抵抗材料を通る通路とを有する、1つの位置で電子を引き出す植え込みプローブを用いることによって達成されることができる。
陰極半電池は、本明細書に記載された陽極半電池のものと同様の構造を有していてもよい。陰極半電池のより腐食性の環境を考えると、異なる材料の選定が有利であるかもしれない。好適な伝導性材料は、炭素繊維織物及び白金ワイヤを含む。プラスチックに添加された伝導性材料を用いて、適切な導電性を有する水密の非腐食性バリヤを作り出してもよい。好適な活物質の一例は、過酸化水素である。過酸化水素は、安定性のある酸化剤であり、充電または交換して活動を維持することができる。皮膚上にあふれた後すばやく水洗いしたとしても、処理が安全であり、決定的な損傷を与えない。導電経路は、過酸化水素に接続され、使用者に固定されて組織における酸化ストレスを誘発する。
要約すると、炭素繊維ケーブルは、ターゲットに接触する。非導電性の水密な筐体は、プラスチックケースである。酸化剤は、過酸化水素である。導電骨組は、炭素繊維である。使用者は、これらが動き回るときに、これらとともに半電池を輸送することが可能である。この半電池は、電流を身体を通るように向けさせることはないが、身体から電気を引き出す。
正しく処方された電解質と、酸化コーティングを落とすように設計されたマグネシウム等の元素の合金とを用いることによって、電極面の汚損を緩和することができる。電極は、テクスチャ面を有するように設計され、反応のために増大された表面積を提供し、効果を高めることができる。また、ターゲットと電気的に接触する伝導性材料をテクスチャリングすることによって、使用者内への電子移動のための表面積を増大させ得る。面をごくわずかにテクスチャリングまたはエッチングすることによって、電子移動を何倍にも向上させることができ、より滑らかな面と比較した場合に、電解質ペーストまたはゲルが容易に固着する面を提供することができる。
がん処置のための陰極半電池は、摂取型化学療法/抗生物質と比較して局所化された、特異的に標的化された処置を提供する利点を有する。いくつかの治療、たとえば放射線は、標的化の度合を有するが、ビームが身体を通って直進するために、多くの目的としない組織を損傷させる。また、放射線は、有効な直接の酸化剤であり、往々にして放射線による損傷を、抗酸化剤作用によって完全に元に戻すことはできない。すなわち、正常な細胞のDNAがガンマ線に当てられると、修復または元に戻すことが不可能である損傷ができるかもしれない。これとは反対に、陰極は電気的に作用して、電子の全般的な欠乏を作り出す。陰極半電池は、ターゲットの意図された領域に対する効果を誘発する放射線の選択的な適用を可能にする。
陰極半電池は、腐食性薬用粒子、たとえばコロイド状銀からのイオン放出を促進し得る。コロイド状銀ナノ粒子は、感染部位に伝達されることができ、組織内の陽極半電池の近くに吸収されることが可能である。いったん銀が感染エリア全体に浸透すると、陰極半電池を用いて「作動させ」て非常にすばやく腐食させ、感染部を破壊するために必要とされるイオン化銀を送達することができる。ナノ粒子は、中性である(腐食性でない)場合、さまざまに拡散する。陽極から体内への電子の流れによって、組織内に銀ナノ粒子をイオン導入して「押し込む」ことができる。いったんそうなると、陰極を切り替えることで銀ナノ粒子を腐食させることができ、銀イオン(Ag+)を所望の部位で放出させる。このように陽極及び陰極半電池を交互に用いることによって、迅速な起動と、目的とは外れた効果を抑止する不動態化とにより、銀等のナノ粒子を迅速に送達することが可能になる。
陽極及び陰極半電池は、反対の効果を有する。ターゲット上で陽極及び陰極半電池を交代させることを用いて、治療用処置中に陰極によって生じる損傷を低減させ得る。図8Aは、ターゲット800であり、がん性腫瘍802を有する人間の脚を図示する。陰極半電池804は、酸化剤として過酸化水素を含む半電池であるか、または電源であってもよく、シリンジ806に結合され、陰極半電池から腫瘍802への電極の役割を果たす導電針先端808を有する。放射によって生じる損傷の直円錐に代えて、腫瘍802と接触している先端808は、導電先端の点から外側に向かって、酸化による損傷の大まかな球面を作り出す。球面性は、効力球面内部で異なる導電性の材料によって乱れることがあるが、ほとんどの部分では、効果は、その高い導電性のために血管内部により遠くに到達する、分岐を有する球面である。心拍周期中に、血液の動きにおける中断がある。場合によっては、血液が動いていないときに、陰極半電池804を作動させ、腫瘍802から電子を引き出す。そして、血液が動いているときは、陰極半電池804を停止させてもよい。血液が動いていないときは、陽極半電池810は非活動状態である。
図8Bに図示されるように、血液が動いているときは、陽極半電池810を作動させ(たとえば、静脈内針を介してターゲットに電気的に結合され)、それによって血液に電子を与えて、血液上で陰極によって引き出された電子のマイナスの影響を緩和する。この脚の腫瘍の例では、血液は酸化されると同時に脚では動かなくなるが、脚から移動して戻ると、陽極の効果を呈する電子に遭遇し、これによって、酸化による多くの悪影響を元に戻し、血液が、脚内の陰極によって誘発される遊離基鎖反応を広めることを抑止する。そのような節約的効果は、放射線等の他の技術とともに実践されてもよく、血液が穏やかであるときには放射線を適用し、血液が動いているときには陽極を血流に直接適用する。放射線は、陰極半電池よりも方向付けがより困難であり、通常はより幅広い損傷の痕を有するが、一方陰極は、ターゲットの意図された領域に選択的に向けられる球状の現象である。
また、陽極及び陰極の交代を、面またはプールの衛生のために用いてもよいが、これは電子の余剰から電子の欠乏への迅速かつ頻繁な交代が、表面に付着した微生物を死滅させる傾向があるためである。
実施例
実施例1.経口陽極半電池。チュアブル型陽極半電池は、口腔ターゲットに対する電子のすばやい放出を提供する。チュアブル型陽極半電池の形成は、ガム基礎剤を選択することと、ガム基礎剤を導電物質と組み合わせて伝導性材料を得ることとを含む。好適なガム基礎剤は、チクル及び1,3−ブタジエンを含む。活性炭素は、生体適合性のあるチュアブル型の導電物質として選択される。マグネシウム粒子は、活物質として伝導性材料と組み合わせられる。場合によっては、活性炭素は、形成中にマグネシウム粒子に混和され、それによって使用中に絶縁用水酸化マグネシウムを形成することにより、マグネシウムの絶縁が低減される。マグネシウムイオンの毒性及び栄養価が欠如することによって、元素マグネシウムが、陽極半電池の経口用途に好適な選択肢となる。カルシウムを添加して、栄養的価値を向上させ、マグネシウムの緩下効果を低減させてもよい。使用中に溶解するように選択された固体または塩を添加して、風味、電解質特性を与えるか、電子の放出を向上させるか、またはそれらの組み合わせを行ってもよい。コーティング、たとえばキャンディコーティングを陽極半電池の外側に施して、半電池を絶縁し、かつ使用前の電子の排出を抑止してもよい。
使用中、だ液は、チュアブル型陽極半電池のための電解質として機能する。電解質は、チュアブル型陽極半電池を浸し、分泌及び嚥下によって補充される。咀嚼は、マグネシウムの固体粒子の断裂を与えて粉砕し、それによって粒子の面を新しくして新しい面を曝露することにより、水酸化マグネシウム不動態化の影響を低減させる。電子は、咀嚼エネルギによって加速されるかまたは減速されることができる速さですばやく放出され、水素ガス及び硫化水素が解放される。水素ガスは、口を介して放出されるか、または摂取されてもよい。活性炭素は、いくらかの硫化水素を吸着し、付随する臭気を最小限にする。
ターゲットへの電子移動は、口の内部に陽極半電池を位置させることによって強化される。導電性活性炭素によって、電子がマグネシウム粒子から陽極半電池の面に、そしてターゲットの内部に移行することが可能になる。ターゲットへの導電経路は、だ液、及びチュアブル型陽極半電池に存在する他の電解質を通過する。歯とガムとの接触により、ターゲット内部への湿り気があり油分のない経路が提供される。
実施例2.経口陰極半電池。経口陰極半電池は、経口ターゲットから電子を効果的に引き出す。陰極半電池は、袋等の筐体内の過酸化水素と電解質溶液とを混合することによって調製される。伝導性材料を筐体内に位置させて、酸化剤/電解質溶液が伝導性材料に接触するようにされる。銀ワイヤ(たとえば、骨組の形状)は、伝導性材料として選択される。銀は、優れた導電性を有し、抗菌性銀イオンが得られる。触媒、たとえば二酸化マンガンを筐体内に位置させて、過酸化水素の分解を引き起こさせてもよい。場合によっては、たとえば狭い範囲での効果、低電圧、低活動性、またはそれらの組み合わせが所望される場合、触媒が除外される。陰極半電池の動作のために撹拌または断裂は必要とされないが、これは少なくとも電解質及び酸化剤が混合されているためである。
陰極半電池は、処置される口内のエリア、たとえば感染した歯に近接して位置される。銀担体及び電解質は、ターゲットから陰極に電子を輸送するための伝導性材料として機能し得る。場合によっては、導電ワイヤまたは金属箔を用いて、銀担体を、処置されるエリアと導電結合し得る。陰極半電池をマウスピース内に位置させて、処置されるエリアが陰極半電池に電気的に結合される一方で、ターゲットの他のエリアが、陰極半電池の電子引き出し性から守られるようにされてもよい。処置されるエリアからの電子流は、マウスピースに導電ペーストを塗布して、処置されるエリアに導電ペーストが接触するようにすることによって強化され得る。マウスピースの他のエリアに、非導電ペーストを塗布してもよい。マウスピースは、処置されるエリアを取り囲む正常な組織を傷つける恐れのある強くかつ短期の処置ではなく、比較的低い効力で長期の処置を可能にするための夜通しの処置のために用いられることができる。場合によっては、伝導性材料、たとえば塩類または活性炭素を非導電ペーストに添加して、導電ペーストを得てもよい。
実施例3.経口陽極半電池及び経口陰極半電池の交代。場合によっては、実施例1及び2にそれぞれ記載されたような経口陽極半電池及び経口陰極半電池の使用は、交互であってもよい。一例では、経口陽極半電池を日中に用い、経口陰極半電池を夜間に用いる。経口陽極半電池は、経口陰極半電池によって処置される側とは反対の口側で実施されてもよい。経口陽極半電池及び経口陰極半電池を交互に用いることによって、経口陽極が、歯及び処置エリアを取り囲む他の組織に対する経口陰極半電池の影響を緩和することが可能になる。
実施例4.感染または腫瘍部位付近の陰極半電池。感染または腫瘍部位付近のターゲットに電気的に結合された陰極半電池は、血液が心臓のポンプ作用の休止段階で中断すると作動する。血液が動き出すと、陰極半電池はオフに切り替えられて、陽極半電池が静脈血流を通して「下流に」作動する。血液を陰極効果からさらに保護するために、陰極半電池は、毛細血管のみを有し、主幹動脈及び静脈付近ではない組織に実施される場合がある。反対に、陽極半電池は、主幹動脈または静脈付近に、またはその中に位置させて、陽極効果の分布及び有効性を増大させる。場合によっては、動脈または静脈上に、磁石を位置させて、外部に適用された陽極であっても、血液により効果的に適用されるようにされ得る。
実施例5.内的に実施された活物質。活物質、たとえばマグネシウムは、ターゲット内部に挿入されることができる。これにより、作用部位を、ターゲットにおける所望の位置のより近くにすることができる。陽極は、シールドワイヤを介して、作用の所望の部位に処方されて取り付けられてもよく、これは、たとえば、先端で曝露されてもよい。このことは、陰極に対する目標とする効果を可能にすることができ、この場合効果のターゲットは、非常に小さなエリアであってもよい。同じように、陽極は、体腔内に挿入され、続いて陽極が消耗すると除去されることによって実施され得る。内蔵の炎症性疾患のための治療は、たとえば、ターゲット組織内への電子透過を可能にする導電性の外面を有するマグネシウム陽極を用いて設計されてもよい。クローン病では、嚥下されて消化管を通過する陽極の使用によって、体内循環抗酸化剤の多くを消耗させる炎症反応を低減させ得る。
実施例6.露出された金属骨組を有するマグネシウム陽極。インジケータ機能においては、導電担体は、マグネシウム陽極が溶解すると明らかになる場合がある。これを用いるために、陽極は、透明な目視窓を有するか、または単に可視面上にマグネシウムを露出させてもよい。陽極内部のマグネシウムは、劣化すると、真下に異なった色の腐食していない骨組を露出し始める。マグネシウム用に好適な骨組材料は、銅、金、及び炭素繊維を含み、これらはマグネシウムとは異なるように着色される。銀及びその他すべての銀色の金属物質は、マグネシウムと対をなすことにおいて、インジケータ機能のためにはあまり有利ではないが、それらの面に刻まれたいくつかの特定のテクスチャまたはパターンを有して、これがもはや単なるマグネシウム面ではないことを使用者に明らかにすることができる。同様に、骨組は、露出されると、使用者に対して明らかにされるような方法でパターニングされてもよい。実施例は、「陽極を新しくする」または「陽極を交換する」等の文言による成形がなされた骨組を含む。
1つの実施は、ワイヤ面上にめっきされた銀線細工パターンを有するツイスト銅線のメッシュを用いることである。このワイヤを網状形状に撚り、3D迷路を作り出して、型の中に置く。マグネシウムは、ワイヤ面上に蒸着させるかまたは電気分解によりめっきされてもよく、または溶融マグネシウムを型に注入してもよく、余剰分は、すべて硬化して電解質に内部キャビティを残す前に吐き出される。銅線は銀の縞状面を有し、ここで陽極は、使用者が保持するリード線上にクリッピングされる。この接点は、陽極全体にわたる電気接触を促進する。マグネシウムが吐き出された後に残されたキャビティに、電解質溶液を注入して、空気を排除してキャップをする。
一例は、電気化学的に活性のイヤリングバックである。シールを突き通してイヤリングポストを貫入すると、耳たぶがエタノールに、続いて導電ゲルに浸される。マグネシウムは分解し始める。マグネシウムイオンが電解質溶液中に遊離すると、銅の骨組が露出される。マグネシウムがイオンに酸化されると、銅及び銀の骨組にマグネシウムを再度コーティングすることによって、電解質ワイヤ及びゲルを廃棄するかまたは充電し得る。消耗した半電池は、回復させるか、廃棄されるか、または非活性状態で用いられてもよい。
実施例7.流動型電解質。使用者の活動を用いて、電解質を、清潔なゲルのタンクから、活物質を通して、その後Mg2+飽和したゲル「廃物」側に汲み出してもよい。この廃物電解質は、植物の栄養分として庭に廃棄されてもよく、または電解質ペーストとして装置によって継続的に排出されて、皮膚との電気接触を維持する助けとしてもよい。
実施例8.鏡面を用いて陽極寿命を明らかにする。札を作成してもよく、上記のイヤリングバックと同様ではあるが、マグネシウム(または他の陽極物質)でネックレスの透過側を充填する。電気接触は、札がかけられる鎖を介し、また、札の金属を介して達成されてもよい。この場合、電解質の穿刺はないが、小型の圧縮ディスペンサの継管及び入口が、札を通す電解質周期を定期的に維持し得る。このことは、電解質内でマグネシウムイオンが自己抑止的に堆積することを抑止し、最初のパッケージ内の電解質に対してはるかに大量のマグネシウムを与える。このゲルは、防腐剤としていくつかのコロイド状銀及びエチルアルコールとともに処方されてもよく、これは手指消毒剤の役割をさらに果たし得る。
ゲル処方の一例は、基材としてカラゲナンを含み、ローション、潤滑剤に好適であり、または摂取可能である。このタイプの装置は、かなり大きく、より多くのマグネシウム電荷を収容し得るが、電解質ゲルの規則的な変化によって、最終的には溶解し、鏡面は古く腐食した銀鏡のように縁部でグレーに変わり始める。使用者は、この場合露出される骨組ではなく、鏡様面のくもりを探し、ここで銀色のマグネシウムが劣化する。これには、メタリックシルバーに色付けされたワイヤを用いてもよいが、異なる色が付けられた金属によって支えられてもよい。
実施例9.ピアシングを介した取り付け。ピアシングは、いくらかの陽極性を有するが、これらは小型であり、冶金の進歩によって、ほぼ腐食のないピアシングが作られてきた。半電池は、ピアシングを介して身体に結合され得る。
実施例10.タブ及びプールのための陽極防食。浴槽、プール及びスパを、陽極半電池に電気的に結合してもよい。いくつかの実施では、ハニカム状のマグネシウム構造を水に導入してもよい。
実施例11.電源を介した陰極防食印加。陰極半電池に電気的に結合されたプールまたはスパは、入浴者がプールに入るときはスイッチをオンにし、出た後はスイッチをオフにしてもよい。陰極半電池機能は、電源によって達成され得る。治療用の設定では、電圧は、処置の積極性と、効果に対する利用者の耐性とに従って調整され得る。
実施例12.電子の引き出しのための正電荷印加。電源を介した電子の引き出しによって、がんまたは侵入有機物を死滅させるための遊離基を生成する他の処置の有効性を向上させ得る。また、このことは、コロイド状銀が外傷消毒のために用いられる場合に、銀粒子を腐食させるために用いられることもできる。正電荷を印加することによって、外傷の銀ナノ粒子を勢いよく腐食させ、銀の正イオンを解放させ、これらを組織を通して進ませる。この効果は、組織全体に電流を一方向に付与し(イオンを右に向かわせ)、その後リード線を反転させ(イオンを左に向かわせ)、イオン導入と呼ばれる手法によって外傷内部のすべての組織を完全に飽和させることによって強化され得る。銀イオンは、微生物を死滅させ、人間組織を温存するのに非常に効果的である。電子の引き出しによって、他の処置と組み合わせる必要なく、がん細胞及び感染性の有機体を破壊させ得る。
実施例13.電流の社会的/肉体感覚的使用。陽極半電池を用いて、社会的/肉体感覚的刺激のための印加電流を作り出してもよい。一例では、パートナー同士が体液を交換しており、第1のパートナーがマグネシウム陽極イヤリングを装着している場合、電流が、イヤリングから第1のパートナーを通して、両者間の電解質接続を介して第2のパートナーに流入する。別の例では、陽極半電池は、導電コンドームに電気結合されてもよい。他の例は、電荷を切り替えることと、電源制御部を介して、パートナーを通して流れる電流を交番させることとを含む。
実施例14.治療用個人対個人接触。治療者が陽極マット上に立つかまたは陽極イヤリングを装着すると、これらは電荷のための導管の役割を果たすことができ、電荷をもっとも有用な場所に向かわせる。これらの効果は、患者が単なる終端となることに代えて、電子のための経路の役割を果たすことを可能にすることによって強化されることができる。電荷の流れは新規の事項ではないが、専門家にとって、特定の処置のための電荷のフロー図を理解して利用するために有用である。陽極または陰極半電池を用いて、特に身体の異なる点で接続された陽極及び陰極の対(すなわち、バッテリ)として用いられた場合に、電荷の流れを誘発し得る。陽極(電子供与装置)は、外部陰極をさらに取り付けることなく取り付けられ得る。これによって、生体がシステムのための陰極となる。同様に、陰極は、対応する陽極をさらに取り付けることなく取り付けられ得る。
実施例15.心理療法及びEMDR療法における陽極の治療的使用。眼球運動による脱感作及び再処理法(EMDR)療法は、被験者がそのトラウマとなった事象を詳述している間に左右で交代する感覚または動きを活用する。これによって、大脳半球間での情報の処理をより完璧にすることが可能になり、特に心的外傷後ストレス障害(PTSD)に伴うものにおいて顕著な成功をおさめた。腰部または脚部で接地され、2つの電極を手に持つ人物は、左側で、その後右側で電荷の流れを受けることができる。左足と右足との接地を交互に切り替えるか、手を通って入ってくる陽電荷と調和させる能力を与えられることによって、治療者に、側方の刺激を交代させるEMDRの目立たない方法を提供し得る。本技術が最初に考え出されたとき、交代は眼の動きによるものであった。EMDRに依然として冠されているイニシャルEMは、眼の動き(Eye Movement)からのものである。それ以来、人物の手に保持される振動型プローブが用いられている。これらは、あまり気を散らさず、メトロノーム様の元来の眼の動きを拙劣に追うよりも良好に動作した。
電気結合された陽極半電池の効果は、任意の設定で付与され得る。EMDRでは、相違点は、陽極の側性を交代させることで、すでにEMDR療法の一部である、側方の刺激を交代させることの効果を向上させ得る。
実施例16.導電面の衛生のための陽極及び陰極の交代。陽極から陰極システムへの流体の面及び体を交代させることによって、微生物の生存能力を減衰させ得る。この交代が迅速に行われると、微生物の変化に適応する能力を減衰し得る。電圧変化の振幅がより大きいほど、効果がより有害になり、プロセスによる殺菌がより迅速になる。これは、床、カウンター、調理器具、プール等に適用してもよい。使用者が電子による健康上のプラスの利益を提供するために存在する場合、これらの面を負帯電状況に維持し、使用者が存在せず面をタッチしない場合は、陰極のみを交代させてもよい。
実施例17.インプラントでの陽極の使用。医療装置インプラントの部位で、またはその近くで陽極半電池または送達される電子の他のソースを使用することによって、その腐食を大幅に遅らせるかまたは停止させることができる。マグネシウム及び亜鉛インプラントについては、マグネシウム陽極の作用が、インプラント内の亜鉛を陰極的に保護し得る。インプラントは、マグネシウム陽極が取り付けられている間は劣化せずに維持され得る。半電池を用いて、インプラントに対する骨の内部成長を補完する早さで、腐食を段階的にし得る。
インプラントは、ゆっくりと劣化するマグネシウム合金の骨組と、かなり迅速かつ制御不可能に劣化するように設計された純マグネシウムのフィラー材料とで構築され得る。フィラーマグネシウムが構造的に有意でないため、より臨界のMg−Zn合金(他の合金も可能である)に直接かつ密接に結合された「時間遅延」犠牲陽極として用いられ得る。これにより、使用者がこの純Mgフィラー材料が腐食するまで外部陽極を装着しないことが可能になる。このとき、医師は、骨の内部成長の速さを検査することができ、骨が依然として、耐荷重性Mg−Zn合金のメッシュ構造を通してそれ自体を組織化していない場合には、外側に装着する犠牲陽極を処方するかもしれない。
実施例18.金属インプラントの劣化を防止するための外側に適用される陽極の使用。金属インプラントは、関節が摩耗するかまたは壊滅的に壊れた場合に、関節の役割を担うように設計される。金属は、酸化の影響を受けやすい。腐食によって、耐荷重面が粗くなり、関節機能が損なわれて、さらに金属面から材料が削り取られて、さらなる摩耗がさらなる腐食を意味する、正のフィードバック周期につながる。場合によっては、外部陽極または電源を付加して、インプラントの部位の近くに電子を提供することによって、酸化が止められるかもしれない。
実施例19.外傷性負傷後の陽極の使用。多くのタイプの外傷性負傷の直後に酸化カスケードが続き、この場合、電池から酸化剤がまかれて、細胞死の連鎖反応につながる。
実施例20.酸化性/興奮毒性カスケードの負傷後の予防。戦いの場で、または多くのスポーツにおいて、もっともよくある負傷の1つが、外傷性脳損傷(TBI)である。TBI被害者の頭部に陽極半電池を適用することによって、脳内の死滅した細胞による酸化汚染に起因する連鎖反応による死亡を減らすことができる。これらの放出される有毒な酸化剤は、最初の外傷的事象によって損傷していない隣接する細胞を死滅させる機会を得る前に、電子によって中性化させることができる。意識不明の患者にも陰極を速やかに適用することができるため、静脈内注入よりもはやい反応時間が可能になる。発作等で血流が中断されている場合、陽極半電池が有益であろう。
実施例21.調理中の食品の酸化を抑止するための陽極半電池の使用。導電鍋がワイヤを介して電子源に接続された場合、温度が上昇し、水による活動が高まったとしても、鍋の腐食及び食品の酸化を遅らせるかまたは止めることができる。これによって、商品が、たいていは調理中に生じる酸化による損傷から保護されることを可能にし、通常は調理後に酸化を引き起こす金属イオンによる雑菌混入を抑止し得る。
実施例22.解体直後の動物または収穫直後の生産物に対する陽極半電池の使用。動物が屠殺されるかまたは果物が摘み取られると、肉を通して一連の死亡信号が送信される。多くの酸化剤は、細胞区画内のベイで保持されて放出され、及び結果として得られた組織酸化によって、栄養的な質及び風味が低減する。赤身肉等のいくつかの生産物では、生産物を風味よく、柔らかく、かつ消化を助けるものにするために必要とされるさらなる発酵段階がある。微生物の作用及びその酵素が望ましいが、酸化はより長い発酵と対抗する。陽極半電池を発酵工程の前に食肉に接続させて、酸化を抑止することができる。陽極半電池は、収穫後の生産物に接続されてもよく、それによって出荷中の酸化に対する損失が低減し、栄養的な質が向上する。
実施例23.缶詰製品における金属腐食を抑止するための陽極の使用。生産中、出荷中、及び販売中に缶詰製品の外側に陽極を適用することによって、金属の酸化を低減し、内部をプラスチックコーティングする必要性を取り除き得る。缶の外側に装着された陽極半電池は、高圧密封の問題を解決し、生成物の安全性の外的に目視可能な指標を提供し得る。場合によっては、陽極半電池は、缶詰製品の内側に電気的に結合されてもよい。
実施例24.埋葬に関する使用。陽極半電池及び陽極陰極半電池の交代は、死体を劣化から保護するために実施されてもよい。半電池は、死体防腐処理まで死体を保存するための非侵襲的な方法を提供することができ、死体防腐処理工程で用いられる抗酸化剤の代わりとなり得る。
実施例25.イオンによる薬品送達。生体に治療性イオンを送達することに装置を合わせることができる。これらのイオンは、薬品であってもよく、またはこれらは、栄養になるミネラル及びビタミンであってもよい。マグネシウムイオン等のいくつかの栄養素は、通常よりも高い組織濃度で生じた場合に、薬品様の効果を有する。イオンによって皮膚面をターゲットとすると、その場合、電解質接触を最大にすることができる。イオンの送達は、表皮の下のいくつかの組織をターゲットとし、図1Aに図示されるような本装置の穿孔によって、生体と半電池との間の塩橋のアパーチャが狭いために、穴の中のイオンが組織内深くに送られる。マグネシウムイオンは、筋肉けいれんを和らげることが周知である。皮膚は、マグネシウムイオンを筋肉及び血液に送達するための唯一のバリヤである。送達されたイオンの絶対数は、それらが送達された深さよりも重要ではない。図1Aに示されたものよりも大きな開口は、より広くかつあまり集中的でない浸透を提供し、筋肉の状況よりも皮膚の状況を処置するために適切であろう。
さらに、皮膚面下の特定の組織に電子及びイオンを送達するように本装置を適合することができる。本装置における浸透のパターンは、穿孔口に装填されるイオンが、どの程度の量、またどの程度深く移行するかを決定することができる。たとえば血管をターゲットとする場合、浅い部分の血管のエリア、及びこれらの血管が皮膚の下の深くに進むエリアがあるかもしれない。狭いアパーチャは、より深い組織をターゲットとするために好都合であり、一方でより大きなアパーチャは、浅い組織への浸透のために利用されることができる。
マグネシウムの電気化学性が、生体へのイオン移動の点から分離したエリアで生じた場合に、本装置がさらに最適となる。塩橋は、陽極または陰極材料からある程度離れた距離でイオンを移動させるように働く。これによって、生体界面の電解質が、陽極の腐食のために理想的である実質的に異なる化学的性質で構成されることが可能になる。この距離によって、塩橋の端が、たとえば有益な薬品化合物を、電解質が生体と接触した塩橋の端に装填することに特化されることが可能になる。薬品は、酸性のゲルの内部に装填されてもよく、薬品が体内に入った後のある時点で、マグネシウムの作用のために酸性状況が塩基性に変化し、これによって酸(H+)が水素ガスになる。このことは、薬品の溶出におけるpH勾配を許容し、最大限の送達、効率、及び有効性を促進し得る。
本装置は、同時に陽極または陰極イオン送達装置として生体に接続する接地接続の使用によって、さらに最適化されることができる。このことは、イオン流の方向に影響して、薬品が骨の周囲に流れるようにされるか、またはパッチに完全に直交する以外の方向性を提供することが期待され、このことは、接地を追加することなく期待される。
実施例26.衣服との一体化。衣服の袋に入れられた薄板または金属箔のインサートを使用するか、あるいは陽極に接続された衣服に導電繊維を用いることによって、使用者は、全身の、または導電糸があるところならどこでも保護を得ることができる。このことは、太陽及び外宇宙からの高いレベルの放射線に曝される宇宙飛行士または民間の航空機パイロットのために有用であり得る。還元技術は、副作用を最小限にする助けとなるか、もしくは遊離基が形成されてDNA及び細胞を損傷することを防止することができる。
装置は、固体またはゲル化マトリックス内のイオノマーの使用を介して、特定のタイプのイオン電荷(+または−)を送達または除去するように改変されることができる。このイオノマーは、同じ荷電イオンの流れを妨害し、1つのタイプのみのイオン(それぞれ−または+)の流れを可能にする。このことの一例は、負に帯電したイオノマー、ナフィオンによって示されることができ、これは、正イオンのみがその面をわたって、または通って動くことを可能にする。水平方向のイオンの流れの場合、サイズは選択基準ではなく、膜を通って流れるイオンの場合、サイズ及び電荷の両方が、移動のタイプについての要因である。水で充填され、端部が閉じられ、中間でイオン的に接続されたナフィオンチューブは、H+イオンを蓄積させることが予想されるが、膜を通って移動するために十分に小さなイオンのみである。2枚のシート膜が挟まれてイオン伝導経路として用いられると、その後、膜の面に沿って任意のサイズのイオンを移動させることができる。反対に、正帯電ポリマー、たとえばポリジアリルジメチルアンモニウム塩化物(ポリダドマック)によって、負イオンのみが動くことを可能にする同じ一連の可能性が存在する。イオノマーの表面をわたるイオンの移動は、サイズを選ぶものではないが、イオノマーは、サイズに基づいた本質的な阻害性を有することができるか、または二層系にかけ合わせて、イオン接続を下って動くイオンのサイズを制限する第2の材料にすることができる。
この「一方向イオン流」は、イオン伝導経路を通って流れる選択されたイオンについてのイオン流量及び速度を、非選択的な「双方向流」と比較して増大させることが予想される。イオンが生体に到達したときのイオンの量及び速度の増大は、薬品/栄養成分の作用の送達深さ及び速度に影響を与える。
当業者においては、本明細書に鑑み、種々の態様のさらなる改変及び代替の実施形態が明らかであろう。したがって、本記載は、例示にすぎないとして解釈されるものである。本明細書に示されかつ記載された形状は、実施形態の例として解釈されるものであることが理解されるべきである。エレメント及び材料をもって、本明細書に図示され記載されたものに代えてもよく、部品及び工程を逆にしてもよく、特定の特徴を独立して使用してもよく、すべては本記載の利益を得た後の当業者においては明らかであろう。以下に続く特許請求の範囲に記載された本質及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されたエレメントにおける変更がなされてもよい。