JP2016526657A - 多層冷却パネル及びアーク炉 - Google Patents

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Abstract

本発明は、アーク炉のような工業用炉のための多層冷却パネルに関する。

Description

本発明は、アーク炉のような工業用炉のための多層冷却パネル及び炉そのものに関する。従来技術のパネルと、本発明によるパネルとが例えばアーク炉(EAF)に関してここに記載されるが、本発明がこの炉のタイプに限定されるわけではない。
EAFのような炉の全体的な設計は典型的には、
‐その通常の使用位置において炉の下部を画定するいわゆるハースであって、このハース内で処理される高温の金属媒体(metal medium)に対する保護カバーとしての内部耐火セラミックを有するハース壁を備えるハースと、
‐その通常の使用位置において炉の上部を画定する、ハース壁の上に配置されている上部シェルと、
‐電極を備える、取り外し可能な屋根部と、
を備える。
上部シェルは、炉の外側壁として作用する。
一方で、金属の溢流に対して炉の周囲領域を保護しなければならず、他方で、炉の全体的なエネルギー消費の観点から実現し得る最高の断熱特性を提供する、炉の上部シェルに関して夥しい提案がなされた。
1つの一般的な設計は、下部シェル(ハース壁)の上端の実質的に頂部に配置された外側パネルの列によって特徴づけられている。
特許文献1によれば、これらパネルは冷却装置を提供し、冷却管からなる1つの外層及び少なくとも1つの内層によって特徴づけられており、これら層は隙間によって離間されている。この隙間は、溶融プロセス中にスラグが進入し、その隙間内に保持されるのを可能にする。
この理由のために、外層は互いに隣接する冷却管で設計されており、一方でパネルの内層は互いから離間した冷却管を含んで、スラグが隙間を介して冷却管の間に進入するのを可能にしている。
この設計の目的は、凝固したスラグの断熱特性を使用することであるが、スラグは低い融点を有し、その組成は多かれ少なかれ金属製冷却管に対して攻撃的である。
この点において、この隙間をモノリシックな耐火材料で少なくとも部分的に充填することが実践から知られている。耐火性充填物は、耐火性モノリシック材料がこの役割を果たすことができなくなるまで、所定期間に亘って、スラグと冷却管との間の直接的接触を回避する。
冷却管に接着した、吹付けられた塩基性の耐火材料を使用することの問題は、そのようなMgOベースの吹付け材料と、金属製冷却管との、剥離をもたらす異なる熱膨張係数である。アルミナ(Al)のような非塩基性の材料による塩基性の耐火性材料の置き換えは、炉中の塩基性のプロセススラグに対して不安定なので好適ではない。
欧州特許第0790473 号明細書
したがって、本発明の目的は、上述した従来技術の設計を凌駕する改善された特性の冷却装置を提供することであり、特に、工業用炉に対してエネルギーを節約する可能性を提供する冷却装置を提供することである。
本発明は、以下の研究成果に基づいている。
‐EAFの上部シェルに沿った効率的な冷却は、EAFの上部の信頼性のある長期間の安定性及び入手可能性を達成するための重要な要因である。水冷式システムは、今のところその価値を証明してきたが、使用期間中に多くの応力に曝される。
‐試用中に、冷却装置の保護が冷却流体への熱流を減少させてEAFのエネルギー損失を減少させるために重要な役割を果たすということが、この知識から引き出された。
‐さらなる試用中に、耐火性のモノリシック材料のようなライニング材料、又は金属学的スラグを直接、管の表面に適用することによって冷却管を保護する必要はないが、熱的、化学的、及び金属学的バリアをその前に(すなわち、炉のチャンバと冷却管との間に)設けることが必要であることが見いだされた。
‐このことは、予備形成された耐火性セラミックのプレートからなるバリアを有する構造をもたらした。
それらプレートからなるバリアは、より大きく、又は比較的小さなユニットに設計することができ、それによって、クラックの形成のリスクを減少させることができ、かつ、それらは他のいずれかの構成要素上にライニング材料として適用されるのではなく、他のいずれかの手段によって、単に対応する構成部品にクランプされるか、吊り下げられるか、又は固定されるので、いずれの耐火性混合物から作ることができる。取り外し可能な/吊り下げられた固定具が好ましい。
これら耐火性プレートは、対応するパネル構造の内層として、外側パネル層を、すなわち冷却構造を、非常に効率的に保護する。プレートは、熱放射、遮蔽されていない電気アーク又はアーク放電に対してさえ、効果的な遮蔽壁を提供する。それらは、耐火プレートと冷却管との間に、任意のサイズの空間が断熱空間として設けられるのをさらに可能にする。
耐火性プレートは、このプレートに対するいかなるスラグのしぶきも吸収する機能をさらに果たし、ここでもまた冷却装置をいかなる金属学的攻撃から保護する。
対応する固定手段(一例が添付の図面に示されている)によって、1つ以上のクラックでさえ、構造を崩壊させることがない。最悪の場合でも、プレートは容易に交換することができる。
その最も一般的な実施形態で、本発明は工業用炉のための多層冷却プレートに関し、
‐1つ以上の冷却管から作られ、工業用炉に取り付けられた際に、冷却パネルの多層の外層を提供する第1の層、及び
‐少なくとも1つの耐火性プレートから作られ、工業用炉に取り付けられた際に、冷却パネルの内層を提供する第2の層、
を備え、
‐第1の層及び第2の層は、互いに対して規定された位置に配置されている。
耐火性プレート及び冷却管の形状に依存して、冷却管に面するプレートの外側は、冷却管の形状にならうことができるが、冷却管と耐火性プレートとの間に隙間を提供すること、及び/又は事実上、その設計が(円形状断面の下で)耐火プレートの外面と対応する冷却管の面区画との間に対応する隙間をすぐにもたらす平らな外面を有する耐火プレートを使用すること、のいずれかが好ましい。
第1の層の冷却管を、曲がりくねった態様に配置して、実質的に連続した冷却層を提供することができる。言い換えると、冷却管の隣接する区画間には、隙間が全くないか、又はほんの少しの隙間しかない
設計は、炉の上部シェル及びそのパネルそれぞれの一部として、いずれかのさらなる外壁区画のさらなる欠損がある場合はこの設計が好ましい。
また別の実施形態では、上部シェルは、冷却パネルを取り付けられることができる、別の閉止された外壁によって、特徴づけられる。
第3の実施形態では、パネルの隣接する管区画はフィンによって隙間が埋められて、事実上、閉止された層を提供している。
比較的小さな耐火性プレート(ベース領域が1m未満、<0.5m、<0.3m、又は、さらに<0.1m)を使用することは利点を有するが、本発明は、より大きな耐火性プレートにも、又はさらに1パネルあたり1つの耐火性プレートにも適用可能である。
耐火性プレートの数及びサイズによって、第2の層のための、タイル張りの壁と同様の実質的に連続した層設計を提供することが可能であり、この場合、隣接するプレート間の接合はむき出しで(open)あってもよい。
耐火性セラミックプレート(内層)と、冷却管(外層)との間のスペースは、空のままであってもよく、又は高温耐性を有する繊維材料(セラミック繊維、鉱物繊維)のような好適な材料によって充填することもでき、ここで高温とは800℃以上の温度を参照している。
典型的には、第1の層と、第2の層とは、上述のように互いに対して所定の距離に配置されているが、本発明は、第1の層と第2の層とが少なくとも部分的に互いに接触している実施形態を包含する。
これは、少なくとも1つの耐火性プレートが、好ましくは取り外し可能な態様で、第1の層に固定されている実施形態を含む。このことは、耐火性プレートがそれに吊り下げられている、耐火性プレートがその上に配置されている、又はその間に耐火性プレートが例えばクランプによって配置されている、冷却管の内面から、耐火性プレートに向かって突出するフック、アンカーによって達成することができる。
また、耐火性プレートの配置及び固定を、第1の層まで所定の距離に配置された第3の層を備えるとともに、第2の層を、第1の層と第3の層との間に格納する実施形態において達成することができる。
第3の層は、第2の層の一部だけ、例えば第2の層の表面積の<10%、<20%、又は<30%だけを覆うことができる。
このことは、さらなる冷却管又は、第1の層に堅固に固定されているか又は機能的に取り付けられている対応するレールによって達成することができる。少なくとも1つの可能性のある実施形態が、図面に示されている。
この設計は、第2の層の耐火性プレートを、第1の層と第3の層との間にクランプすることを可能にして、必要に応じてそのプレートを取り付ける、及び交換するというさらなる利点を有している。
隣接する耐火性プレート間の全ての応力を回避するために、本発明は、隣接する耐火性プレート間にわずかな隙間を有する配置を含む。
高い融点及び塩基性のプロセススラグに対する耐性を考慮して、塩基性の耐火材料が非塩基性の組成を凌駕する利点を有する。
マグネシア(MgO)又はドロマ(doloma:MgOCaO)に基づく耐火性材料が推奨される。
これら耐火性バッチ内が低炭素濃度である場合、又は炭素を含まない場合には、低い熱伝導度を達成することができるとともに、酸化に対する良好な安定性を、高いエネルギー効率と高い金属学的安定性との利点を有しつつ達成することができる。
耐火性プレートは、平坦であるか、又はプロファイルされた表面構造を有することができる。第1の層に対向する(すなわち、炉のチャンバに向かう)面のプロファイルされた構造は、スラグがより良好に耐火性プレートに接着することを可能にし、それによってさらなる耐火層を提供することができる。
プロファイルされた表面構造は、以下の特徴、すなわち突起、窪み、舌部、溝、格子構造、ボルト、アンカーのうちの少なくとも1つによって達成することができる。
炉、特にアーク炉の全体的な作動モードは、これらプレートを、上部シェル全体を取り外すことなく、いつでも部分的に(1つ以上のプレートだけを)、又は完全に交換することができるので、決して新しい多層冷却パネルの寿命によって影響されることはない。従来技術の構造におけるような大規模な修復作業を回避することができる。第1の層(水冷管)は、第2の層(耐火性プレート)が損傷し、交換されなければならない場合においても、無傷な/機能可能な状態に維持される。
耐火性プレートは、典型的には長方形又は六角形/多角形の形状であり、簡単かつ安価に生産される。
耐火性プレートを、固有の炭素勾配、すなわち炭素が無い側(低い熱伝導度を有する冷たい側)と、スラグ抵抗が増加する、炭素を含有する側(厚い側)とを有して提供することですら可能である。
典型的には、耐火性プレートの寸法(L=長さ、W=幅、T=厚み)は、
L:200〜1000mm、特に250〜600mm
W:200〜1000mm、特に250〜600mm
T:5〜100mm、特に20〜70mm
である。
本発明は、その上部シェルに沿って少なくとも1つの前記冷却パネルを含むEAFをさらに備える。これに関して、上部シェルの一部だけを、記載されたパネルを有して構成することができることが理解されるべきである。
本発明のさらなる特徴は、従属請求項並びに、図面及びその説明を含む他の出願書面から明らかとなる。
多層冷却パネルの第1の実施形態の長手方向断面図である。 多層冷却パネルの第2の実施形態の長手方向断面図である。 多層冷却パネルの第3の実施形態の長手方向断面図である。 炉のハース及び図2によるパネルを有する上部シェルの下部壁区画上への炉の内部チャンバから見た斜視図である。 炉のハース及び図3によるパネルを有する上部シェルの下部壁区画上への炉の内部チャンバから見た斜視図である。
図1は、アーク炉のための多層冷却パネルの第1の実施形態を開示している。このパネルは、一本の冷却管12から構築された第1の層10を備え、この層10はEAFに取り付けられた際に、冷却パネルの外層を提供する。
冷却パネル12は、図4の左側部分において矢印12によって示されているように、曲がりくねった態様に設計されている。この冷却管12の隣接する区画12.1、12.2、・・・は互いに接触して、実質的に閉止された外層10が提供されている。
図1から最も良くわかるように、L字状レール18.1、18.2が、冷却管12の最上部及び最下部に溶接されて、互いまで所定の距離に配置されて、その間に耐火性プレート16を提供している。レール18.1、18.2は、中空とすることができ、水冷することができる。選択肢としては、高い熱伝導を有する材料、例えば銅からなるレールが挙げられる。
これらプレート16を望ましい方向に配置するために、下部レール18.2の自由脚部は、上部レール18.1の自由脚部よりも短い。
耐火性プレート16は、パネルが取り付けられた状態においてパネルの第2の層である内層14を提供し、この内層は図4に、異なる実施形態に関連して図示されている。
図2による実施形態は、図1による実施形態と、特に以下の手段、すなわち第2の層14がより小さな耐火性プレート16からなっていることによって異なっている。
図2のパネルは、互いに対して所定の距離で鉛直方向に配置された曲がりくねった冷却管26の冷却管区画26.1、26.2によって提供されるとともに、第1の層10の冷却管12と流体接続状態にある第3の(鉛直)層24を備える。
これら冷却管区画26.1、26.2は、第1の層10に対して所定の距離に配置され、それによって耐火性プレート16が、第1の層10と第2の層24との間の空間内に配置されるのを可能にしている。
図2の実施形態は、冷却管区画12.1、12.2/26.1、26.2と、耐火性プレート16との間の線形の接触線によって特徴づけられている。それにもかかわらず、耐火性プレート16は、冷却管区画12.1、12.2/26.1、26.2まで所定の距離にあるほとんどの表面領域上に配置されている。
図3の実施形態は、図2の実施形態と機能的に同等であり、耐火性プレートが、冷却管12の対応する区画12.3、12.4上のボルト28上に吊り下げられている。
図4は、炉のチャンバの内部から対応する壁領域に向かって見た図である。
Hは、炉の耐火煉瓦で作られたハースの上端部を示しており、それに続いて上方に、本発明によるパネル10を備える、いわゆる炉の上部シェルがある。
より良い理解のために、これらパネルのうちの1つだけ(図4の中央)が、本発明による設計に、すなわち図2の実施形態によって示されており、一方で左右のパネルは従来のパネル又は本発明の第1の層10をそれぞれ示している。
冷却媒体、特に水への接続は図示されていない。
図4の左側に、スラグ排出ドア(D)を見ることができる。
図4によれば、内面全体のパネル10の約90%が耐火性プレート16によって覆われており、これらパネルは互いに対して所定の小さな距離に配置されて、使用中における熱膨張の下でのすべての割れを回避している。
管区画26.1、26.2が、耐火プレート16のためのクランプ手段として作用していることを見て取ることができる。
スラグは、第1の層10の冷却管12の代わりに、耐火性プレート16又は冷却管区画26.1、26.2のいずれかに衝突し、それによってパネルの全体的な寿命を増加させる。
耐火性プレート16は、上述の一般的な記載に従って、MgOベースのセラミック材料からなる。このこともまた、その描かれた表面に関して同様である。
図5は、図3に開示された冷却パネルを有する、図4と同様の図を示している。
12 冷却管
10 第1の層
18.1、18.2 L字状レール
16 耐火性プレート
14 第2の層、内層
26 冷却管
26.1、26.2 冷却管区画
24 第3の層
28 ボルト
H ハースの上端部
D スラグ排出ドア

Claims (14)

  1. 工業用炉のための多層冷却パネルであって、
    a)1つ以上の冷却管(12)から構築されているとともに、前記工業用炉に取り付けられた際に前記冷却パネルの外層を提供する、第1の層(10)と、
    b)少なくとも1つの耐火性プレート(16)から構築されているとともに、前記工業用炉に取り付けられた際に前記冷却パネルの内層を提供する、第2の層(14)と、
    を備え、
    c)前記第1の層(10)と、前記第2の層(14)と、は互いに対して規定された位置に配置されている、
    ことを特徴とする、多層冷却パネル。
  2. 前記第1の層(10)の前記冷却管(12)は曲がりくねった態様で配置されて、略連続的な層設計を提供することを特徴とする請求項1に記載の多層冷却パネル。
  3. 隣接する管区画はフィンによって隙間が埋められていることを特徴とする請求項1に記載の多層冷却パネル。
  4. 略連続的な層設計を提供するように配置された複数の耐火性プレート(16)からなる第2の層(14)を有する請求項1に記載の多層冷却パネル。
  5. 前記第1の層(10)と、前記第2の層(14)と、は互いに対して所定の距離に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の多層冷却パネル。
  6. 前記第1の層(10)と、前記第2の層(14)と、は少なくとも部分的に互いに接触していることを特徴とする請求項1に記載の多層冷却パネル。
  7. 前記第1の層(10)は、前記第2の層(14)に対向する前記1つ以上の冷却管を覆う壁を備えることを特徴とする請求項1に記載の多層冷却パネル。
  8. 前記少なくとも1つの耐火性プレート(16)は、取り外し可能な態様で前記第1の層(10)に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の多層冷却パネル。
  9. 前記第1の層まで所定の距離に配置された第3の層(24)を備えるとともに、前記第2の層(14)を、前記第1の層(10)と、前記第3の層(24)と、の間に格納することを特徴とする請求項1に記載の多層冷却パネル。
  10. 前記第1の層(10)と、前記第3の層(24)と、の間にクランプされた前記第2の層(14)の前記耐火性プレート(16)を有することを特徴とする請求項9に記載の多層冷却パネル。
  11. 前記第3の層(24)は、前記第2の層(14)の一部だけを覆うことを特徴とする請求項9に記載の多層冷却パネル。
  12. 少なくとも1つの耐火性プレート(16)が、前記耐火性プレート(16)の、前記第1の層(10)に対向する面にプロファイルされた構造を有することを特徴とする請求項1に記載の多層冷却パネル。
  13. 前記プロファイルされた構造は、以下の特徴、すなわち突起、窪み、舌部、溝、格子構造、ボルト、アンカーのうちの少なくとも1つによって達成されることを特徴とする請求項12に記載の多層冷却パネル。
  14. アーク炉であって、
    該アーク炉の上部シェルに沿って、少なくとも1つの請求項1〜13のいずれか一項に記載の多層冷却パネルを有する、アーク炉。
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