JP2016525548A - Β−3アドレナリン受容体刺激薬と組み合わせたデスモプレシンを含む方法及び組成物 - Google Patents

Β−3アドレナリン受容体刺激薬と組み合わせたデスモプレシンを含む方法及び組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、β−3アドレナリン受容体刺激薬と組み合わせたデスモプレシンの使用のための方法及び組成物を提供する。本方法の一態様は、成人ヒト対象における排尿の衝動を約2時間〜約8時間以下の間隔にわたって抑制する方法であって、それを必要とする成人ヒト対象に有効な低用量のデスモプレシン及びβ−3アドレナリン受容体刺激薬を投与して、重複期間中にそれらの両方が生理学的活性を発揮するようにすることを含む方法である。本方法及び組成物は、夜間頻尿及び他の頻尿障害の治療に有用である。【選択図】なし

Description

本発明は、β−3アドレナリン受容体刺激薬(アゴニスト)と組み合わせたデスモプレシンの使用のための方法及び組成物を提供する。本方法及び組成物は、夜間頻尿及び他の頻尿障害の治療に有用である。
夜間頻尿及び他の頻尿障害は、人口のかなりの部分に影響を及ぼす。夜間頻尿を有する患者は、夜間に排尿のために起きる必要があるため、睡眠の中断を経験する。過活動膀胱に罹患している患者は、切迫性失禁、排尿の逼迫、及び高頻尿を経験することが多い。過活動膀胱は、膀胱の充填段階中の膀胱(排尿筋)の筋層を形成する平滑筋線維の束の無制御収縮によって引き起こされ得、高齢者により多く見られる。
夜間頻尿及び他の頻尿障害を治療するための組成物及び方法が、説明されている。例えば、米国特許第7,579,321号、同第7,799,761号、及び同第8,143,225号は、低投薬量のデスモプレシンを使用した薬学的組成物及び方法を説明している。米国特許出願公開第2009/0042970号は、例えば、デスモプレシンの経皮投与を使用した夜間頻尿及び他の頻尿障害の治療を説明している。また、米国特許出願公開第2012/0015880号は、例えば、デスモプレシンの鼻腔内投与を使用した夜間頻尿及び他の頻尿障害の治療を説明している。
デスモプレシンを使用した夜間頻尿及び他の頻尿障害の治療の課題の1つは、治療的ではあるが非毒性であるデスモプレシンの血漿濃度を達成することである。過多用量のデスモプレシンの投与は、患者の発作または死亡をもたらし得る低ナトリウム血症などの深刻な副作用を有し得る。したがって、より低投薬量のデスモプレシンを使用した、改善された安全性プロファイル及び/または改善された有効性を有する組成物及び方法の必要が存在する。本発明は、この必要性に対処し、また他の関連した利点を提供する。
本発明は、β−3アドレナリン受容体刺激薬と組み合わせたデスモプレシンの使用のための方法及び組成物を提供する。この併用療法は、対象の膀胱の望ましくない排泄または頻繁な排泄の衝動に関連付けられるか、またはそれを特徴とする障害に罹患しているヒト対象、特に成人男性に利益を提供する。そのような人は、尿の過生成、尿濃度不良、低尿浸透圧、過度の排尿頻数(例えば、中枢性尿崩症に関連付けられる過度の排尿頻数)、成人一次性夜尿症、夜間頻尿、過活動膀胱症候群(OAB)、覚醒中の尿意逼迫及び頻尿、失禁、あるいは安静時におけるか、または労作もしくはストレスによる尿漏れをもたらす尿の不必要な生成に罹患している場合がある。デスモプレシン及びβ−3アドレナリン受容体刺激薬は、重複期間中にそれらの両方が生理学的活性を発揮するように対象に投与される。例示的なβ−3アドレナリン受容体刺激薬には、例えば、アミベグロン、ファソベグロン、ミラベグロン、リトベグロン、ソラベグロン、BRL−37344、CL−316,243、GS−332、KRP−204、L−796568、及びそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
したがって、本発明の一態様は、ヒト対象における排尿の衝動を約2時間〜約7時間以下の間隔にわたって抑制する方法を提供する。本方法は、それを必要とするヒト対象に有効量のデスモプレシン及びβ−3アドレナリン受容体刺激薬を投与して、重複期間中にそれらの両方が生理学的活性を発揮するようにすることを含む。デスモプレシン及び/もしくはβ−3アドレナリン受容体刺激薬の投薬量、ならびに/または投薬計画は、本方法が、ヒト対象における排尿の衝動を約4時間〜約7時間の間隔にわたって抑制するように調整され得る。デスモプレシンは、対象が、高ナトリウム血症、対象の血漿中のナトリウム濃度が例えば、約135mmol/L未満など過度に低い有害な状態を経験しないような投薬量で投与される。低ナトリウム血症は、血中のデスモプレシンの最大用量が10pg/ml未満、好ましくは5pg/ml未満、及び最も好ましくは5pg/ml未満、例えば、2または3pg/mlであれば、回避される。重度の低ナトリウム血症は、不整脈、心臓発作、発作、及び/または脳卒中を引き起こし得る電解質異常をもたらし得る。
本発明の別の態様は、ヒト対象における抗利尿効果を誘発する方法を提供する。本方法は、それを必要とするヒト対象に有効量のデスモプレシン及びβ−3アドレナリン受容体刺激薬を投与して、重複期間中にそれらの両方が生理学的活性を発揮するようにすることを含む。
本発明の別の態様は、デスモプレシン、β−3アドレナリン受容体刺激薬、及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。特定の実施形態では、本薬学的組成物は、経粘膜投与、例えば、ヒト対象への口腔内または経鼻投与用に製剤化される。他の実施形態では、本組成物は、経皮または皮内パッチとして製剤化される。他の実施形態では、β−3アドレナリン受容体刺激薬は、経口摂取され、一方デスモプレシンは、経粘膜的に、例えば、舌下または鼻腔内摂取される。
デバイス及び方法の7時間の動作を例示する、時間に対するデスモプレシン血中濃度及び多様な流動速度のグラフである。 代替的実施形態によるデバイス及び方法の7時間の動作を例示する、時間に対するデスモプレシン血中濃度及び一定の流動速度のグラフである。
本発明は、β−3アドレナリン受容体刺激薬と組み合わせたデスモプレシンの使用のための方法及び組成物を提供する。この併用療法は、対象の膀胱の望ましくない排泄または頻繁な排泄の衝動に関連付けられるか、またはそれを特徴とする障害に罹患している対象に利益を提供する。そのような対象は、尿の過生成、尿濃度不良、低尿浸透圧、過度の排尿頻数(例えば、中枢性尿崩症に関連付けられる過度の排尿頻数)、成人性一次性夜尿症、夜間頻尿、覚醒中の尿意逼迫及び頻尿、過活動膀胱症候群(OAB)、失禁、あるいは安静時におけるか、または労作もしくはストレスによる尿漏れをもたらす尿の不必要な生成に罹患している場合がある。デスモプレシン及びβ−3アドレナリン受容体刺激薬は、重複期間中にそれらの両方が生理学的活性を発揮するように対象に投与される。刺激薬は、BPHの治療に関して現在臨床実践にて使用されているものを下回る用量で投与され得る。
本発明の種々の態様が下記の章に記載されるが、しかしながら、ある特定の章に説明される本発明の態様は、いずれの特定の章にも限定されるものではない。
定義
本発明の理解を促進するために、多数の用語及び語句を下記に定義する。
本明細書で使用されるとき、用語「a」、「an」、及び「the」は、「1つ以上」を意味し、文脈が不適切でない限り複数形を含む。
本明細書で使用されるとき、用語「有効量」は、有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な化合物(例えば、本発明の化合物)の量を指す。有効量は、1つ以上の投与、適用、または投薬量で投与することができ、特定の製剤または投与経路に限定されることを意図されない。本明細書で使用されるとき、用語「治療する」は、病態、疾患、障害などの改善をもたらす、例えば、低下、低減、調節、改良、もしくは排除などの任意の効果、またはそれらの症状の改良を含む。
本明細書で使用されるとき、用語「薬学的組成物」は、活性薬剤と、その組成物をインビボまたはエキソビボの治療的使用に本質的に好適にする不活性または活性な担体との組み合わせを指す。
本明細書で使用されるとき、用語「薬学的に許容される塩」は、本発明の化合物の任意の薬学的に許容される塩(例えば、酸または塩基)を指し、対象への投与後に本発明の化合物またはその活性代謝産物もしくは残基を提供することができる。当業者に知られる通り、本発明の化合物の「塩」は、無機または有機酸及び塩基に由来し得る。酸の例としては、限定されるものではないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などが挙げられる。シュウ酸などの他の酸は、それ自体は薬学的に許容されないが、本発明の化合物及びそれらの薬学的に許容される酸付加塩の獲得における中間体として有用な塩の調製に用いることができる。
塩基の例としては、限定されるものではないが、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、水酸化物、アンモニア、及び式NW4 +の化合物などが挙げられ、式中、WはC1〜4アルキルである。
塩の例としては、限定されるものではないが、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、フルコヘプタンサン塩(flucoheptanoate)、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモエート(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、ウンデカン酸塩などが挙げられる。塩の他の例としては、Na+、NH4 +、及びNW4 +(式中、WはC1〜4アルキル基である)などの好適なカチオンと化合した本発明の化合物のアニオンなどが挙げられる。
治療的使用に関して、本発明の化合物の塩は、薬学的に許容されるものとして企図される。しかしながら、薬学的に許容されない酸及び塩基の塩もまた、例えば、薬学的に許容される化合物の調製または精製における使用を見出し得る。
用語「対象」及び「患者」は、互換的に使用され、ヒト、特に成人男性を指す。
この説明を通して、組成物及びキットが特定の構成要素を有する、含む、もしくは備えると説明されるか、またはプロセス及び方法が特定のステップを有する、含む、もしくは備えると説明される場合、それに加えて、記載される構成要素から本質的になるか、もしくはそれからなる本発明の組成物及びキットが存在すること、ならびに記載されるプロセスステップから本質的になるか、もしくはそれからなる本発明によるプロセス及び方法が存在することが企図される。
I.治療法
本発明は、β−3アドレナリン受容体刺激薬と組み合わせてデスモプレシンを使用する治療法を提供する。この併用療法は、対象の膀胱の排泄の望ましくない頻繁な衝動に関連付けられるか、またはそれを特徴とする障害に罹患している対象に利益を提供する。上述の通り、そのような対象は、尿の過生成、尿濃度不良、低尿浸透圧、OAB、過度の排尿頻数(例えば、中枢性尿崩症に関連付けられる過度の排尿頻数)、成人性一次性夜尿症、夜間頻尿、覚醒中の尿意逼迫及び頻尿、失禁、あるいは安静時におけるか、または労作もしくはストレスによる尿漏れをもたらす尿の不必要な生成に罹患している場合がある。デスモプレシン及びβ−3アドレナリン受容体刺激薬は、重複期間中にそれらの両方が生理学的活性を発揮するように対象に投与される。望ましくは、デスモプレシン及びβ−3アドレナリン受容体刺激薬の投与は、相乗効果をもたらす。かかる相乗効果による代表的な利益としては、対象の排尿の衝動の改善された低減及び/または治療的効果を達成するために必要とされるデスモプレシンの量の低減が挙げられる。さらに、BPHを治療するために臨床的に使用される用量と比較して低減された量のβ−3アドレナリン受容体刺激薬の投与は、これらの薬物の副作用が低減されることを意味する。
本発明の一態様は、ヒト対象における排尿の衝動を約2時間〜約8時間以下の間隔にわたって抑制する方法を提供する。本方法は、それを必要とするヒト対象に有効量のデスモプレシン及びβ−3アドレナリン受容体刺激薬を投与して、重複期間中にそれらの両方が生理学的活性を発揮するようにすることを含む。デスモプレシン及び/もしくはβ−3アドレナリン受容体刺激薬の投薬量、ならびに/または投薬計画は、本方法が、ヒト対象における排尿の衝動を特定の間隔にわたって抑制するように調整され得る。例えば、特定の実施形態では、本方法は、ヒト対象における排尿の衝動を約4時間〜約6または7時間の間隔の間、抑制する。本方法の種々の実施形態(例えば、デスモプレシンの投薬量及び投与の経路、β−3アドレナリン受容体刺激薬、標的患者集団、ならびに併用療法の代表的な利益)は、下記の章に説明される。
本発明の別の態様は、ヒト対象における抗利尿効果を誘発する方法を提供する。本方法は、それを必要とするヒト対象、例えば、成人男性に有効量のデスモプレシン及びβ−3アドレナリン受容体刺激薬を投与して、重複期間中にそれらの両方が生理学的活性を発揮するようにすることを含む。本方法は、抗利尿効果が提供される間隔に従ってさらに特徴付けられ得る。例えば、特定の実施形態では、抗利尿効果は、約2時間〜約7または8時間以下の間隔にわたって達成される。特定の他の実施形態では、抗利尿効果は、約4時間〜約6時間の間隔にわたって達成される。本方法の種々の実施形態(例えば、デスモプレシンの投薬量及び投与の経路、β−3アドレナリン受容体刺激薬の投薬量及び投与の経路、患者集団、ならびに併用療法の代表的な利益)は、下記の章に説明される。
特定の実施形態では、本方法は、対象に、β−3アドレナリン受容体刺激薬を少なくとも1ヶ月の期間毎日投与することと、対象が就寝する前にデスモプレシンを投与することと、を含む。特定の他の実施形態では、本方法は、対象に、β−3アドレナリン受容体刺激薬を、薬物ラベルに推奨されるBPHの治療のためのその最小用量よりも低い用量レベルで投与することと、対象が就寝する前にデスモプレシンを投与することと、を含む。さらに他の実施形態では、本方法は、対象に、混合物として、対象が就寝する前に、デスモプレシン及びβ−3アドレナリン受容体刺激薬を、薬物ラベルに推奨されるBPHの治療のための該刺激薬の最小用量よりも低い用量レベルで投与することを含む。
デスモプレシン
用語「デスモプレシン」は、1−デスアミノ−8−D−アルギニンバソプレシンを指し、その遊離塩基形態ならびにその薬学的に許容される塩及び水和物を含む。1つの代表的な塩形態は、酢酸塩である。デスモプレシン、DDAVPとしても知られる1−デスアミノ−8−D−アルギニンバソプレシンモノアセテートは、例えば、米国特許第3,497,491号に説明されており、例えば、DesmoMelt、Stimate、Minirin(登録商標)、及びDESMOSPRAY(登録商標)の名で販売されている処方薬として市販されている。活性薬学的成分としてのデスモプレシンはまた、新しい薬物用量形態及び組成物内への製剤のために市販されている。ヒト対象に投与されるデスモプレシンの投薬量は、対象の重量及び治療的効果が所望される所望の持続時間に基づいて選択され得る。投薬量は、達成されるデスモプレシンの血漿濃度に従って特徴付けられ得る。
したがって、本明細書に説明される治療法は、達成されるデスモプレシンの血漿濃度に従って特徴付けられ得る。特定の実施形態では、投与することは、ヒト対象において15pg/mLを超えないデスモプレシンの血漿濃度を達成する。特定の他の実施形態では、投与することは、ヒト対象において約0.2pg/mL〜約5pg/mLの範囲のデスモプレシンの血漿濃度を達成する。また他の実施形態では、投与することは、ヒト対象において約0.5pg/mL〜約2.5pg/mLの範囲のデスモプレシンの血漿濃度を達成する。また他の実施形態では、投与することは、ヒト対象において約0.5pg/mL〜約1.5pg/mLの範囲のデスモプレシンの血漿濃度を達成する。概して、所与の特定の用量形態の投与から血流に到達するデスモプレシンの量は、2ng/kg体重を超えるべきではなく、また0.5ng/kg、1.0ng/kg、または1.5ng/kg程に低くあり得る。
デスモプレシンは、従来の投与の経路を使用して投与され得る。例えば、特定の実施形態では、デスモプレシンは、経皮的に、皮内に、経粘膜的に、またはさらには場合により経口的に投与されるが、経口用量の生体利用性は極めて変動が大きく、一貫した非常に低い血中濃度は、制限可能に達成することが困難であるか、または不可能である。特定の他の実施形態では、デスモプレシンは、経皮的に、皮内に、または経粘膜的に投与される。また他の実施形態では、デスモプレシンは、経皮的に投与される。また他の実施形態では、デスモプレシンは、鼻腔内に投与される。
デスモプレシンが経皮的または皮内に投与される場合、本方法は、デスモプレシンがヒト対象の皮膚を通過する速度に従って特徴付けられ得る。例えば、特定の実施形態では、デスモプレシンは、例えば、5pg/ml未満、好ましくは2pg/ml未満などの所望のデスモプレシンの血漿濃度を迅速に達成するのに十分な第1の流動速度で、次に、第1の到達された血漿濃度を、例えば、6時間などの所望の間隔の間維持するのに十分な第2のより低い流動速度で投与される。特定の実施形態では、本方法は、デスモプレシンが約5ng/時間〜約35ng/時間の範囲の流動速度で投与される範囲などの流動範囲によってさらに特徴付けられる。また他の実施形態では、デスモプレシンは、約5ng/時間〜約35ng/時間の範囲の流動速度で投与される。また他の実施形態では、デスモプレシンは、約5ng/時間〜約15ng/時間の範囲の流動速度で投与される。
デスモプレシンを投与するための種々のデバイス及び方法は、これまでに説明されており、また本発明における使用のために企図される。例えば、その各々が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2009/0042970号及び同第2012/0015880号を参照されたい。デスモプレシンを投与するために使用され得る1つのデバイスは、薬学的に許容される担体内にデスモプレシンの溶液を含有するデポーを有する。患者の皮膚への適用のための境界面部材、例えば、皮膚への取付けのための透過性パッド、または1つもしくは一連の極微針などは、デポーと流体連通している。デバイスは、デスモプレシン溶液を、デポーから境界面部材へ、及び下流に患者の血液へ皮内または経皮的に送達するための種々の手段を備える。デスモプレシンの流動速度は、デポー中のデスモプレシンの濃度を、デポーからの溶液の流れの速度、境界面部材への溶液の流れの速度、境界面部材から患者の体内への溶液の流れの速度のいずれかの制御と組み合わせて設定することによって、またはこれらの制御点のいくつかの組合せの活用によって制御される。いずれの場合においても、流入速度は、水チャネル活性化閾値の直ぐ上、例えば、0.1〜約2.5pg/mlの範囲、有利には1、1.5、2、または2.5pg/ml以下の患者の血液中のデスモプレシン濃度を確立するのに十分であるように制御される。いずれの場合においても、流動速度は、患者の血液中のデスモプレシン濃度を約10pg/mlを超えるレベルまで誘発するのには十分ではない。流動速度は、患者またはデバイスがデスモプレシンの流れを停止する前に、妥当な所定の時間の間所望の血中濃度を確立するために、約5、10、15、20、25、または30〜35ng/時間(即ち、5000、10,000、15,000、20,000、25,000、または30,000〜35,000pg/時間)、有利には約10〜20ng/時間または20〜35ng/時間、より有利には約5〜15ng/時間であってもよい。
治療的効果を達成するために必要なデスモプレシンの投薬量及び/またはデスモプレシンの治療的血漿濃度の持続時間は、望ましくは、デスモプレシンがβ−3アドレナリン受容体刺激薬と一緒に使用される場合にデスモプレシンが単独で投与される場合よりも少なく、また排泄の衝動は、β−3アドレナリン受容体刺激薬が単独で投与される場合と比較して低減される。例えば、特定の実施形態では、β−3アドレナリン受容体刺激薬は、一定期間の間排尿の衝動を低減させることができ、その後、デスモプレシン血漿濃度は、抗利尿(腎臓内の水チャネルの活性化)を達成するために必要な閾値未満に降下する。別の例として、β−3アドレナリン受容体刺激薬の生理学的効果は、誘発された抗利尿の間隔の間に膀胱を満たすより少ない尿と併せて、患者の排尿の衝動を減少させる効果を有する。
デスモプレシンの流動速度は、好ましくは、所望の血中濃度及び既知のデスモプレシンのクリアランス速度(約1.5〜2.0時間の半減期)を前提として、患者が、妥当な時間、例えば、1時間未満(または概して、早ければ早い方がよい)、所望の低いが閾値を上回る血中濃度に到達し、また所望の期間(例えば、ワークアウトに関しては2時間、または夜間頻尿の治療に関しては4〜6時間もしくは5〜8時間)、活性化閾値(概ね0.5〜1.5pg/mlの範囲内)の直ぐ上の低用量の範囲内に維持されるように、設定され得る。デバイス内に構築された自動もしくは手動作動メカニズムによる、または皮膚との接点からのデバイスの除去による流動の終了は、患者の身体の正常な薬物クリアランスメカニズムをもたらし、その低い濃度を活性化閾値未満のさらに低い濃度へと迅速に低減する。
デバイスの境界面部材は、患者の皮膚との接触のための表面を画定するデスモプレシン溶液透過性膜を備え得る。デスモプレシン溶液透過性表面は、デポーから患者の皮膚を通るかまたは患者の皮膚へのデスモプレシンの送達を可能にする。最大の生体利用性及び送達の正確さのために、皮内送達が好ましい。皮内送達は、血管新生した区画への直接送達を可能にし、体循環への迅速な吸収、及びそれに対応して迅速なオン/オフ効果をもたらす。経皮的送達は企図されるが、その使用は、表皮に到達する薬物及び表皮内での薬物のデポーの作成に対する物理的障壁として機能する角質層のため、多様な生体利用性の影響をより受けやすい。
したがって、経皮的送達方法及びデバイスは、薬物侵入に対する障壁としての角質層の有効性を低減する技術によって利益を得ることができる。これらとしては、例えば、経皮的デスモプレシン送達デバイスを適用する前に角質層の一部を除去するための機械的方法が挙げられる。皮膚はまた、その後の経皮的送達を促進するために、例えば、下記に説明される1つ以上の極微針によって、「微小経路」または「微小亀裂」を角質層に導入するために「微小穿刺」され得る。
角質層の透過性はまた、化学的透過性促進剤、例えば、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、レシチン(例えば、その教示が参照により本明細書に援用される米国特許第4,783,450号を参照)、1−n−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン(例えば、その教示が参照により本明細書に援用される米国特許第3,989,816号、同第4,316,893号、同第4,405,616号、及び同第4,557,934号を参照)、エタノール、プロパノール、オクタノール、ベンジルアルコール、ラウリン酸、オレイン酸、吉草酸、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、オレイン酸エチル、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、尿素、水酸化物(例えば、その教示が参照により本明細書に援用される米国特許第6,558,695号を参照)、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、サリチル、クエン酸、コハク酸、及び透過性促進ペプチド(例えば、その教示が参照により本明細書に援用される米国特許第5,534,496号を参照)を用いた治療によっても促進され得る。
デポーから皮膚へのデスモプレシン送達の効率的な手段は、患者の角質層を貫通し、デポーと表皮との間の流体連通またはデスモプレシンでコーティングされるかまたはそれを含有する極微針の表面もしくは空洞との直接接触を可能にする1つ以上の極微針を備える、境界面部材を介した皮内投与である。極微針の長さ及び大きさは、角質層を貫通するのに適切であるが、患者に対して、たとえあったとしても、知覚をほとんど生成しないように十分に小さい。例えば、好適な長さは、約0.3〜1.5mm、有利には約0.8〜1.1mmである。単針デバイスの例は、その教示が参照により本明細書に援用される米国特許第6,939,324号に提供される。
複数の、例えば、整列された極微針は、送達のためのより多くの表面積、またはより柔軟なパッチが所望される場合に、望ましい場合がある。極微針は、デポーから針端部に流体を輸送するチャネルを各々有してもよく、または極微針は、例えば、穿孔を有するかもしくは多孔性の壁を用いて、デポーからの流体送達を別の方法で可能にしてもよい。別法として、極微針は、その適用に際してデスモプレシンの破裂を提供して、閾値活性化濃度の迅速な達成を助けるために、任意に、デスモプレシン溶液が針を通過して、所望の濃度の達成を助けるかまたはそれを維持する状態で、デスモプレシン調製物でコーティングされるか、または極微針自体の空洞もしくは材料構造内にデスモプレシンのフィルムもしくはマトリックスを含有してもよい。
溶解性極微針の使用もまた、それらの使用は、場合により、金属針また貫通要素によって引き起こされる痛み及び/または刺激を回避するため、企図される。例えば、米国特許第7,182,747号は、「固溶体穿孔機(solid solution perforators)」を開示しており、それは、本明細書に開示される本発明における使用に適合され得る。従来の中空針技術とは対照的に、これらの極微針は、溶解性または生分解性材料の固体マトリックスから作製され、それは任意に、1つ以上の選択された薬物を保持し、1つ以上の穿孔機内に形成される。
デスモプレシンを送達するための別のデバイスは、使用者が、睡眠前か、または患者が尿生成の中断を所望するなんらかの他の活動の間隔の前に適用するパッチである。パッチは、必ずしもではないが、活性溶液流れ制御メカニズムを含むことができ、例えば、使用者選択可能な時間調整機能を用いて、使用者が、正常な尿生成が抑制されることを望む時間の長さ、即ち、睡眠時の場合、所望の睡眠時間とほぼ等しいか、またはそれより短い時間の長さを選択し得る。患者は、そのパッケージからパッチを取り外し、必要に応じて送達時間を設定して、パッチを皮膚領域に適用する。次に、本明細書に説明されるレベル及び速度のデスモプレシン送達が開始し、尿生成が、所望の時間の間抑制される。流れ制御装置が停止すると、パッチが取り外されるか、またはデスモプレシンデポーが枯渇され、正常な尿生成が直ぐに戻る。デバイスの好ましい単純な変形形態では、デポー中のデスモプレシンの量及びデポーの枯渇を通じて設計されるその流動速度は、例えば、5〜7時間などの送達時間を決定し、流動の終了は、パッチ送達の枯渇に単純に対応する。したがって、患者は、睡眠時間中におそらくは繰り返し起きる必要なく眠るか、または不本意な排泄を心配することなく他の活動に従事することができる。
図面に戻ると、代表的なデバイスの動作が説明される。
図1は、尿生成の停止が所望される患者の治療、例えば、夜間頻尿の治療における、本発明の代表的な実施形態の動作を例示する。本発明による低投薬量/低変動流動のデスモプレシンを患者に送達するデバイスが患者の皮膚に装着され、患者は排尿し、デバイスは午後10時に起動される。図1は、デバイスの適用または起動後の種々の時間における、この患者の例示的及び代表的な血中デスモプレシン濃度及び流動速度を示す。1時間(午後11時)で、デスモプレシン流動速度は、約20ng/時間でピークに達し、患者の血中デスモプレシン濃度を約1.0pg/mlより上、即ち、腎臓水チャネルを活性化し、抗利尿効果を誘発するのに十分な濃度より上まで上昇させた(ここでは、約0.8pg/mlの血中濃度であるものとして例示される)。2時間(午前0時)で、流動速度は、僅かに減少しているが、依然20ng/時間の範囲内であり、血中デスモプレシン濃度は、約1.5pg/mlに上昇している。これらの値は、ゆっくりと減少するが、その後の2.5〜3時間の間、比較的一定である。約5時間後(午前3時)、流動速度は、デスモプレシンの活性化濃度が維持され得ないレベルまで減少した。流動速度が降下し続けるのに伴い、血中デスモプレシン濃度は、水チャネル活性化レベルを下回り、尿生成が、開始する(ここでは、およそ午前3時45分)。午前5時までに、血中濃度は約0.5pg/mlを下回り、流動速度はゼロに降下した。午前6時までに、患者は覚醒し、尿が睡眠の残り1時間または30分間程の間生成されているため、正常な排泄の衝動を感じる。睡眠中は、抗利尿間隔が維持され、尿生成がほとんどまたは全くなく、厄介なまたは睡眠を中断する排泄の衝動がない。デスモプレシンの流動速度及びデスモプレシンの血中濃度は、患者に投与されるβ−3アドレナリン受容体刺激薬の投薬量に応じて、より多いまたはより少なくてもよい。デスモプレシン及びβ−3アドレナリン受容体刺激薬は、別々の製剤で患者に投与されてもよく、またはデスモプレシン及びβ−3アドレナリン受容体刺激薬は、一緒に混合されて、患者に投与される単一の製剤を形成してもよいことが理解される。
図2は、尿生成を停止するように患者を治療する、例えば、夜間頻尿を治療するための、本発明の別の代表的な実施形態を例示する。本発明による低投薬量、一定流動のデスモプレシンを送達するデバイスが、患者の皮膚に装着される。デバイスは、(必要に応じて)起動され、患者は、午後10時に排尿する。図2は、デスモプレシンの抗利尿効果に関する閾値血中濃度に対する、午後10時から午前3時までの約5時間の点滴にわたる約10ng/時間の流動から得られる例示的及び代表的な血中デスモプレシン濃度を示す。流動の開始から約1時間以内、血中デスモプレシン濃度は、閾値レベルを超え、抗利尿効果を発揮する。血中濃度は、約2〜3時間(約1.0〜1.5pg/ml)以内で多かれ少なかれ安定した範囲に近付き、それは、午前3時までの5時間の流動の残りの間、維持される。この時点で、流動は終了する(例えば、タイムアウトになるか、または枯渇される)。この時、血中デスモプレシン濃度は、薬物の排出半減期に従ってクリアランスメカニズムよって減少し、概ね2時間後(午前5時)に閾値を下回る。午前7時までに、患者は、尿を生成しており、排泄のために覚醒する。デスモプレシンの流動速度及びデスモプレシンの血中濃度は、患者に投与されるβ−3アドレナリン受容体刺激薬の投薬量に応じて、より多いまたはより少なくてもよい。
前述の例は、単に例示の目的のためのものである。活性化濃度は勿論、個人間で変動するであろうし、また血液量でも変動するであろう。本デバイスの動作の重要な原理は、利尿作用は、連続的な薬物の低流入によって低デスモプレシン濃度を維持することによって維持されるため、抗利尿効果を安全に制御することができ、また流入の遮断は、身体が迅速に薬物を排除して、正常な尿生成を再確立することを可能にするということである。これは、本パッチデバイスが、指示通りに使用されるときに、水中毒の発症の危険性をほとんどまたは全く伴わずに、デスモプレシン投与の安全性を促進することを意味する。
本発明によると、β−3アドレナリン受容体刺激薬は、上記に説明されるパッチデバイス内にデスモプレシンと共に、または下記に説明される鼻腔内用量形態と共に混合剤中に存在してもよいが、好ましくは1日経口用量として供給され、デスモプレシンが存在する間、活性であり、血漿中に存在する。
デスモプレシンの鼻腔内投与のための代表的なデバイスは、標的患者集団の構成員において、該集団の構成員が低ナトリウム血症を発症し得る危険性を低減しながら、抗利尿効果を誘発するための安全払出装置である。払出装置は、その中に配置された複数回の薬物用量を構成するのに十分な量でデスモプレシンの調製物及び鼻粘膜透過促進剤を含む組成物を有する容器を備える。容器は、出口と連通しており、ポンプ、好ましくは使い捨てポンプ、また好ましくは、スクイズボトル作動払出装置またはガラス瓶上に取り付けられたプランジャーポンプなどの手動で作動され得るものが取り付けられている。ポンプは、複数の計量された用量を、容器から出口を通して噴霧の形態で患者の鼻孔(単数または複数)内に連続的に払い出して、一貫した大きさの用量を鼻腔内粘膜または他の表面に堆積させることが可能である。
各噴霧は、非常に多数の液滴を含み、好ましくはD10に関して20μm〜D90に関して約300μmの範囲の平均体積分布を有する。これは、液滴の約10%は、直径約20μmよりも小さく、90%は、直径300μmよりも小さいことを意味する。各噴霧用量は、好ましくは、それが患者の体重1キログラム当たり0.5ngのデスモプレシン〜患者の体重1キログラム当たり75ngのデスモプレシンを含むような重量及びデスモプレシン濃度のものである。噴霧は、約5%超のデスモプレシン生体利用性によって特徴付けられ、即ち、組成物中の活性物質の約5%〜25%が実際に患者の血流に入り、薬物効果に寄与し、残りは、典型的には消化によって、分解される。概して、噴霧の生体利用性が高ければ高いほど、鼻腔内に送達される必要がある1噴霧当たりのデスモプレシンは少なく、逆もまた同様であり、目的は、患者集団の構成員において標的デスモプレシン最大血中濃度(Cmax)をより一貫して達成することである。
噴霧払出装置とそれが含有する組成物との特性の組合せは、噴霧の各用量が、患者の血流中に生成される1キログラム当たりのデスモプレシンの濃度を比較的狭い範囲に限定するのに効果を発揮し、それによって比較的一貫した、時間が限られた抗利尿の持続時間を達成することを可能にする。換言すれば、各連続的な噴霧用量は、患者において、鼻腔内粘膜を介した薬物輸送によって比較的一貫したデスモプレシンのCmaxを確立する。同一の払出装置から同一の人物へと反復用量で血流に送達される薬物の量は、好ましくは100%以下、また好ましくは50%未満異なっているべきである。払出装置の変動係数は、同一の標的Cmaxを達成するように設計される連続的なデスモプレシンの皮下用量によって生成されるCmaxの変動係数に類似である。好ましくは、各連続的な噴霧用量は、患者において、鼻腔内送達によって、同一の標的Cmaxを達成するように設計されるデスモプレシンの皮下用量によって生成されるCmaxの変動係数の約50%、より好ましくは約25%以内の変動係数を有するデスモプレシンのCmaxを確立するのに十分である。
標的Cmaxの値は、払い出される組成物が誘発するように設計される抗利尿間隔の持続時間及びβ−3アドレナリン受容体刺激薬の投薬量に応じて、変動され得る。例えば、7〜8時間の尿生成抑制の間隔のために設計される製品は、15+/−3pg/ml以下のCmaxを送達するように設計され得る。したがって、例えば、7時間製品は、10%の生体利用性、及び0.75μgまたは750ngの1噴霧当たりのデスモプレシン負荷を有し得る。これは、薬物の約75ngが患者の血流に到達するであろうこと、また70kg(約155lb.)の成人は、その血流中に約1.0ng/kgの用量を受け、約5pg/ml未満の標的Cmaxを達成するであろうことを意味する。同一の製品の別の実施形態は、8%の生体利用性及び2.0μgまたは2000ngの1噴霧当たりのデスモプレシン負荷を有し、約160ngの薬物を160ng/75kgまたは2ng/kgより僅かに多い有効用量及び約10pg/ml未満の標的Cmaxとして、患者の血流に送達することができる。別の代表的な製品は、3〜4時間の尿中断のために設計されてもよく、約3pg/ml以下のCmaxを送達することができる。
別法として、添付文書または医師の指示に従って使用した場合に、例えば、1噴霧当たり200ngまたは500ngを送達する単一の払出装置は、単純に1回の投与事象当たりに送達される噴霧の回数を変動させることによって、例えば、同一の人物における異なる抗利尿持続時間、または異なる体重の成人における同一の抗利尿持続時間を達成するように機能し得る。典型的には、本発明の薬学的組成物の投与の約20分〜1時間後、治療される個人における1分当たりの平均尿出力は、約4ml/分未満、好ましくは約1ml/分未満に減少し、所望の期間、例えば、180分、240分、300分、360分、または420分間、この低い範囲に留まる。投与の約20分後、平均尿浸透圧は、約300mOsmol/kg超であり、最大180分、240分、300分、360分、または420分の範囲の期間の間、高い濃度のままである。
鼻腔内投与の1つの重要な特性は、それが噴霧毎に比較的狭い時間及び用量範囲内の最大血中濃度を一貫して送達し、したがって予想を上回る長さの抗利尿効果及び低ナトリウム血症の誘発の可能性をもたらす、より大きい用量の偶発的な送達を回避または最小化するということである。一貫した送達は、その語句が本明細書において使用されるとき、非常に低用量のデスモプレシンを皮下注射によって投与するときに観察される範囲と同様か、またはそれよりいくらか大きい範囲内で反復可能であることを意味するように解釈されるべきである。かかる一貫性は、概して、より高い生体利用性を有する製剤の活用によってより容易に達成され、したがって、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、また好ましくはさらにより高い生体利用性が好ましい。より高い生体利用性は、製剤技術、特に透過促進剤の使用を活用することによって、また本明細書に開示される噴霧組成物の化学的設計によって達成される。
一実施形態では、払出装置は、第1の用量の払出の後、所定の時間間隔の間、特定の用量を上回る、例えば、約10〜12pg/mlを上回る血中濃度を生成するのに十分である用量をほぼ上回る第2のデスモプレシン噴霧または一連の噴霧の払出を遮断するための手段を、さらに備え得る。これは、例えば、その開示が参照により本明細書に援用される米国特許第7,335,186号に開示されるように、噴霧メカニズムの設計の結果として受動的に達成され得る。別法として、電池、機械ばね、または払出装置内の圧縮ガスによって動く能動的タイマーが、所定の間隔、例えば、8時間、または6〜24時間の間のいずれか経過するまで第2の払出を防止するように設計される、それ自体既知であるメカニズムと共に含まれてもよい。かかるメカニズムは、製品の濫用を阻止し、さらに患者が不注意または意図的に抗利尿を過度に長く自己誘発する機会を最小化し得る。
製剤における使用のための代表的な透過促進剤は、Exeter,New HampshireのCPEX Pharmaceuticals(旧Bentley)から市販されている「Hsieh促進剤」(US5,023,252を参照)である。製品に有用なHsieh促進剤の種類の中で好ましいものは、US7,112,561及びUS7,112,561に開示されるものであり、また現在最も好ましいものは、CPE−215の商品名で知られるシクロペンタデカノリドなどのUS7,244,703に開示されるものである。多数の他の促進剤が使用され得る。
いくつかの実施形態では、本発明は、抗利尿効果を誘発するための安全払出装置の使用を提供する。払出装置及びデスモプレシン製剤は、本明細書に説明される特性のいずれかを備え得る。例えば、一実施形態では、デスモプレシンCmaxは、約0.5pg/mL〜約10.0pg/mlの範囲のCmaxにわたって経鼻的に投与されるデスモプレシンの量に直接比例する。標的Cmaxの値は、払い出される組成物が誘発するように設計される抗利尿間隔の持続時間及びβ−3アドレナリン受容体刺激薬の投薬量に応じて、変動され得る。例えば、本明細書に説明される安全払出装置の使用は、約8時間未満、約6時間未満、約2〜4時間、または約4〜7時間の間、抗利尿を生成し得る。別の代表的な製品の使用は、患者における約15pg/ml以下、10pg/ml、7pg/ml、または3pg/mlのCmaxを送達するように設計され得る。
β−3アドレナリン受容体刺激薬
β−3アドレナリン受容体刺激薬は、β−3アドレナリン受容体の刺激薬である薬剤の種類である。例示的なβ−3アドレナリン受容体刺激薬には、例えば、アミベグロン、ファソベグロン、ミラベグロン、リトベグロン、ソラベグロン、BRL−37344、CL−316,243、GS−332、KRP−204、L−796568、及びそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。これらの潜在的に好適なβ−3アドレナリン受容体刺激薬の簡単な説明は、下記に提供される。
アミベグロン
アミベグロンは、化学名(((7S)−7−(((2R)−2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル)アミノ)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)オキシ)酢酸エチルを有する。アミベグロンの薬学的に許容される塩(例えば、塩酸アミベグロン)が、使用されてもよい。アミベグロンは、例えば、経口投与によってなど、当該技術分野において既知である経路を介して投与され得る。患者に投与されるアミベグロンまたはそれらの薬学的に許容される塩の量は、例えば、1日当たり約1mg〜約500mgの範囲であり得る。特定の実施形態では、アミベグロンは、約1mg〜5mg、約5mg〜約10mg、約10mg〜約25mg、約20mg〜約30mg、約30mg〜約50mg、約50mg〜約100mg、約100mg〜約150mg、約150mg〜約200mg、約200mg〜約250mg、約250mg〜約300mg、約300mg〜約350mg、約350mg〜約400mg、約400mg〜約450mg、または約450mg〜約500mgの範囲の1日投薬量で(例えば、経口的に)投与される。
ファソベグロン
ファソベグロンは、化学名4−[4−[2−[[(2R)−2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]アミノ]エチル]フェニル]−2−メトキシ−安息香酸を有する。ファソベグロンの薬学的に許容される塩(例えば、塩酸ファソベグロン)が、使用されてもよい。ファソベグロンは、例えば、経口投与によってなど、当該技術分野で既知である経路を介して投与され得る。患者に投与されるファソベグロンまたはそれらの薬学的に許容される塩の量は、例えば、1日当たり約1mg〜約1000mgの範囲であり得る。特定の他の実施形態では、ファソベグロンは、例えば、約1mg〜5mg、約5mg〜約10mg、約10mg〜約25mg、約25mg〜約50mg、約50mg〜約100mg、約100mg〜約200mg、約200mg〜約300mg、約300mg〜約400mg、約400mg〜約500mg、約500mg〜約600mg、約600mg〜約700mg、約700mg〜約800mg、約800mg〜約900mg、または約900mg〜約1000mgの範囲の1日投薬量で(例えば、経口的に)投与される。
ミラベグロン
ミラベグロンは、化学名2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−4’−(2−((2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)アミノ)エチル)アセトアニリドを有し、Myrbetriq(商標)の商品名で市販されている。ミラベグロンの薬学的に許容される塩(例えば、塩酸ミラベグロン)が、使用されてもよい。ミラベグロンは、例えば、経口投与によってなど、当該技術分野において既知である経路を介して投与され得る。患者に投与されるミラベグロンまたはそれらの薬学的に許容される塩の量は、例えば、1日当たり約1mg〜約500mgの範囲であり得る。特定の実施形態では、ミラベグロンは、約1mg〜5mg、約5mg〜約10mg、約10mg〜約20mg、約20mg〜約30mg、約30mg〜約50mg、約50mg〜約100mg、約100mg〜約150mg、約150mg〜約200mg、約200mg〜約250mg、約250mg〜約300mg、約300mg〜約350mg、約350mg〜約400mg、約400mg〜約450mg、または約450mg〜約500mgの範囲の1日投薬量で(例えば、経口的に)投与される。
リトベグロン
リトベグロンは、化学名(4−(2−(((1R,2S)−1−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−2−イル)アミノ)エチル)−2,5−ジメチルフェノキシ)酢酸を有する。リトベグロンの薬学的に許容される塩(例えば、塩酸リトベグロン)が、使用されてもよい。リトベグロンは、例えば、経口投与によってなど、当該技術分野で既知である経路を介して投与され得る。患者に投与されるリトベグロンまたはそれらの薬学的に許容される塩の量は、例えば、1日当たり約1mg〜約1000mgの範囲であり得る。特定の実施形態では、リトベグロンは、約1mg〜5mg、約5mg〜約10mg、約10mg〜約25mg、約25mg〜約50mg、約50mg〜約100mg、約100mg〜約200mg、約200mg〜約300mg、約300mg〜約400mg、約400mg〜約500mg、約500mg〜約600mg、約600mg〜約700mg、約700mg〜約800mg、約800mg〜約900mg、または約900mg〜約1000mgの範囲の1日投薬量で(例えば、経口的に)投与される。
ソラベグロン
ソラベグロンは、化学名3’−((2−((2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル)アミノ)エチル)アミノ)−(1,1’−ビフェニル)−3−カルボン酸を有する。ソラベグロンの薬学的に許容される塩(例えば、塩酸ソラベグロン)が、使用されてもよい。ソラベグロンは、例えば、経口投与によってなど、当該技術分野で既知である経路を介して投与され得る。患者に投与されるソラベグロンまたはそれらの薬学的に許容される塩の量は、例えば、1日当たり約1mg〜約500mgの範囲であり得る。特定の実施形態では、ソラベグロンは、約1mg〜5mg、約5mg〜約10mg、約10mg〜約20mg、約20mg〜約30mg、約30mg〜約50mg、約50mg〜約100mg、約100mg〜約150mg、約150mg〜約200mg、約200mg〜約250mg、約250mg〜約300mg、約300mg〜約350mg、約350mg〜約400mg、約400mg〜約450mg、または約450mg〜約500mgの範囲の1日投薬量で(例えば、経口的に)投与される。
BRL−37344
BRL−37344は、化学名(4−(2−((2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル)アミノ)プロピル)フェノキシ)酢酸を有する。BRL−37344の薬学的に許容される塩が、使用されてもよい。BRL−37344は、例えば、経口投与または皮下投与によってなど、当該技術分野において既知である経路を介して投与され得る。患者に投与されるBRL−37344またはそれらの薬学的に許容される塩の量は、例えば、経口的に投与される場合は1日当たり約1mg〜約1000mgの範囲であり得、皮下に投与される場合は1日当たり約0.1mg/kg体重〜約50mg/kg体重の範囲であり得る。特定の実施形態では、BRL−37344は、例えば、約1mg〜5mg、約5mg〜約10mg、約10mg〜約20mg、約20mg〜約50mg、約50mg〜約100mg、約100mg〜約200mg、約200mg〜約300mg、約300mg〜約400mg、約400mg〜約500mg、約500mg〜約600mg、約600mg〜約700mg、約700mg〜約800mg、約800mg〜約900mg、または約900mg〜約1000mgの範囲の1日投薬量で経口的に投与される。特定の他の実施形態では、BRL−37344は、例えば、約0.1mg/kg体重〜約0.5mg/kg体重、約0.5mg/kg体重〜約1.0mg/kg体重、約1.0mg/kg体重〜約2.5mg/kg体重、約2.5mg/kg体重〜約5.0mg/kg体重、約5.0mg/kg体重〜約7.5mg/kg体重、約7.5mg/kg体重〜約10.0mg/kg体重、約10mg/kg体重〜約20mg/kg体重、約20mg/kg体重〜約30mg/kg体重、約30mg/kg体重〜約40mg/kg体重、または約40mg/kg体重〜約50mg/kg体重の範囲の1日投薬量で皮下に投与される。
CL−316,243
CL−316,243は、化学名5−[(2R)−2−[[(2R)−2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル]アミノ]プロピル]−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸二ナトリウムを有する。CL−316,243の薬学的に許容される塩が、使用されてもよい。患者に投与されるCL−316,243またはそれらの薬学的に許容される塩の量は、例えば、1日当たり約1mg〜約1000mgの範囲であり得る。特定の実施形態では、CL−316,243は、約1mg〜5mg、約5mg〜約10mg、約10mg〜約25mg、約25mg〜約50mg、約50mg〜約100mg、約100mg〜約200mg、約200mg〜約300mg、約300mg〜約400mg、約400mg〜約500mg、約500mg〜約600mg、約600mg〜約700mg、約700mg〜約800mg、約800mg〜約900mg、または約900mg〜約1000mgの範囲の1日投薬量で(例えば、経口的または皮下に)投与される。
GS−332
GS−332は、化学名(2R)−[3−[3−[2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチルアミノ]シクロヘキシル]フェノキシ]酢酸ナトリウムを有する。GS−332の薬学的に許容される塩が、使用されてもよい。患者に投与されるGS−332またはそれらの薬学的に許容される塩の量は、例えば、1日当たり約1mg〜約1000mgの範囲であり得る。特定の実施形態では、GS−332は、約1mg〜5mg、約5mg〜約10mg、約10mg〜約25mg、約25mg〜約50mg、約50mg〜約100mg、約100mg〜約200mg、約200mg〜約300mg、約300mg〜約400mg、約400mg〜約500mg、約500mg〜約600mg、約600mg〜約700mg、約700mg〜約800mg、約800mg〜約900mg、または約900mg〜約1000mgの範囲の1日投薬量で経口的に投与される。
KRP−204
KRP−204は、化学名6−[2−(R)−[[2−(R)−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル]アミノ]プロピル]−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−(R)−カルボン酸を有する。KRP−204の薬学的に許容される塩が、使用されてもよい。KRP−204は、例えば、経口的投与または眼への投与によってなど、当該技術分野において既知である経路を介して投与され得る。患者に投与されるKRP−204またはそれらの薬学的に許容される塩の量は、例えば、1日当たり経口投与される約1mg〜約1000mgの範囲であり得る。特定の実施形態では、KRP−204は、約1mg〜5mg、約5mg〜約10mg、約10mg〜約25mg、約25mg〜約50mg、約50mg〜約100mg、約100mg〜約200mg、約200mg〜約300mg、約300mg〜約400mg、約400mg〜約500mg、約500mg〜約600mg、約600mg〜約700mg、約700mg〜約800mg、約800mg〜約900mg、または約900mg〜約1000mgの範囲の1日投薬量で経口的に投与される。
L−796568
L−796568は、化学名(R)−N−[4−[2−[[2−ヒドロキシ−2−(3−ピリジニル)エチル]アミノ]エチル]フェニル]−4−[4−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド二塩酸塩を有する。L−796568の薬学的に許容される塩が、使用されてもよい。L−796568は、例えば、経口投与によってなど、当該技術分野において既知である経路を介して投与され得る。患者に投与されるL−796568またはそれらの薬学的に許容される塩の量は、例えば、1日当たり約1mg〜約1000mgの範囲であり得る。特定の実施形態では、L−796568は、約1mg〜100mg、約100mg〜約200mg、約200mg〜約300mg、約300mg〜約400mg、約400mg〜約500mg、約500mg〜約600mg、約600mg〜約700mg、約700mg〜約800mg、約800mg〜約900mg、または約900mg〜約1000mgの範囲の1日投薬量で(例えば、経口的に)投与される。
β−3アドレナリン受容体刺激薬は、当該技術分野において既知である従来の投与の経路によって投与され得ることが理解される。特定の投与の経路は、特定の治療剤に好ましい場合があり、例えば、特定の投与の経路は、初回通過代謝を低減するか、または改善された生体利用性を有する。特定の実施形態では、β−3アドレナリン受容体刺激薬は、単独でまたは混合剤中でデスモプレシンと一緒に、経口的に、経皮的に、皮内に、または経粘膜投与によって投与される。また他の実施形態では、β−3アドレナリン受容体刺激薬は、経口的に投与される。
本方法はまた、デスモプレシンの投与の開始とβ−3アドレナリン受容体刺激薬の投与との間の期間に従って特徴付けられ得る。特定の実施形態では、デスモプレシンの初回投与は、β−3アドレナリン受容体刺激薬の投与と同時であり得る。別法として、デスモプレシンの投与の開始は、β−3アドレナリン受容体刺激薬の投与の開始の前または後であり得る。特定の実施形態では、β−3アドレナリン受容体刺激薬は、デスモプレシン投与の開始の1時間以内に投与される。特定の実施形態では、β−3アドレナリン受容体刺激薬は、デスモプレシン投与の開始の0.5時間、1時間、1.5時間、または2時間以内に投与される。
患者集団
本方法は、患者の膀胱の望ましくない排泄に関付けられるか、またはそれを特徴とする障害に罹患しているヒト対象、好ましくは成人男性に治療的利益を提供するように企図される。代表的な障害としては、夜間頻尿、失禁、遺尿症、及び尿崩症が挙げられる。特定の実施形態では、ヒト対象は、夜間頻尿に罹患している。ヒト対象は、成人または小児であり得る。
尿生成の回復
本方法はさらに、デスモプレシン及びβ−3アドレナリン受容体刺激薬の投与の終了後、正常な尿生成を再開するために対象に必要な期間に従って特徴付けられ得る。対象にとって、適正な体液平衡が維持され、老廃物が排尿を通じて排出され得るように、正常な尿生成を毎日再開することは重要である。したがって、特定の実施形態では、本方法はさらに、ヒト対象における尿生成が、デスモプレシンの投与が終了した後に約2時間以内に回復されるということによって特徴付けられる。特定の他の実施形態では、本方法はさらに、ヒト対象における尿生成が、デスモプレシンの投与が終了した後に約1時間以内に回復されるということによって特徴付けられる。
併用療法の代表的な利益
本方法及び組成物は、種々の利益を提供するように企図される。1つの企図される利益は、デスモプレシンが単独で投与されるときに見られる有効性と比較して、デスモプレシンがβ−3アドレナリン受容体刺激薬と共に投与されるときのヒト対象における排尿の衝動の抑制の改善された有効性である。特定の実施形態では、改善は、デスモプレシンが単独で投与されるときに見られる有効性と比較して、デスモプレシンがβ−3アドレナリン受容体刺激薬と共に投与されるときのヒト対象における排尿の衝動の抑制での5%、10%、20%、30%、50%、75%、100%、またはそれ以上の改善であり得る。
別の企図される利益は、デスモプレシンの投与に関連付けられる副作用の低減である。特定の実施形態では、副作用の低減は、デスモプレシンが、同様の治療的効果を達成するために必要な投薬量で単独で投与されるときに見られる副作用と比較して、デスモプレシンがβ−3アドレナリン受容体刺激薬と共に投与されるときのヒト対象における副作用での5%、10%、20%、30%、50%、75%、100%、またはそれ以上の低減であり得る。
デスモプレシン及びβ−3アドレナリン受容体刺激薬の投与は、相乗効果、例えば、ヒト対象における排尿の衝動の抑制の有効性の相乗的な改善をもたらし得る。特定の実施形態では、有効性の相乗的な改善は、デスモプレシン及びβ−3アドレナリン受容体刺激薬の投与に関連付けられる有効性を合わせた加法的な改善と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、またはそれ以上の有効性の改善である。
II.薬学的組成物及び投薬上の留意事項
本発明の別の態様は、1つ以上の本明細書に説明される治療剤と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物を提供する。本薬学的組成物は、特に固体または液体形態での投与のために製剤化することができ、以下のものに適したものを含む:(1)経口投与、例えば、ドレンチ(drench)(水性または非水性溶液または懸濁液)、錠剤(例えば、口腔内、舌下、及び/または全身性吸収を標的とするもの)、ボーラス、粉末、顆粒、舌に適用するためのペーストなど、(2)非経口投与、例えば、無菌水溶液もしくは懸濁液、または持続放出性製剤としての、例えば、皮下、筋肉内、静脈内、または硬膜外注射によるもの、(3)局所適用、例えば、皮膚に適用されるクリーム、軟膏、または制御放出性パッチもしくは噴霧としてのもの、(4)膣内または直腸内、例えば、ペッサリー、クリーム、または泡としてのもの、(5)舌下投与、(6)眼への投与、(7)経皮的投与、または(8)経鼻的投与。特定の投与の経路のために設計される代表的な賦形剤及び製剤のさらなる説明は、下記に説明される。
特定の実施形態では、本発明は、デスモプレシン、β−3アドレナリン受容体刺激薬、及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。β−3アドレナリン受容体刺激薬は、例えば、アミベグロン、ファソベグロン、ミラベグロン、リトベグロン、ソラベグロン、BRL−37344、CL−316,243、GS−332、KRP−204、L−796568、またはそれらの薬学的に許容される塩であり得る。特定の実施形態では、本薬学的組成物は、ヒト対象への経鼻投与のために製剤化される。
語句「薬学的に許容される担体」は、薬学的に許容される材料、組成物、またはビヒクル、例えば、液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、製造用助剤(例えば、滑沢剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、カルシウム、もしくはステアリン酸亜鉛、またはステアリン酸(stericacid))、または、ある臓器もしくは身体の部分から別の臓器もしくは身体の部分への対象化合物の担持もしくは輸送に関わる溶媒カプセル化材料を意味する。各担体は、製剤の他の成分に適合するという意味で「許容され」なければならず、また患者に有害であってはならない。薬学的に許容される担体として機能し得る材料のいくつかの例としては、(1)糖、例えば、ラクトース、グルコース、及びスクロース、(2)澱粉、例えば、トウモロコシ澱粉及び馬鈴薯澱粉、(3)セルロース、及びその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロース、(4)粉末トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)賦形剤、例えば、カカオバター及び坐剤用ワックス、(9)油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油、(10)グリコール、例えば、プロピレングリコール、(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール、(12)エステル、例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル、(13)寒天、(14)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム、(15)アルギン酸、(16)無発熱物質水、(17)等張食塩水、(18)リンガー液、(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝液、(21)ポリエステル、ポリカーボネート、及び/またはポリ無水物、ならびに(22)薬学的製剤に用いられる他の非毒性で適合性の物体が挙げられる。
湿潤剤、乳化剤、ならびに滑沢剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなど、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、及び芳香剤、防腐剤、ならびに酸化防止剤もまた、組成物中に存在し得る。薬学的に許容される酸化防止剤の例としては、(1)水溶性酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど(2)油溶性酸化防止剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなど、及び(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが挙げられる。
本発明の製剤は、経口、経鼻、局所(口腔内及び舌下を含む)、直腸、膣、及び/または非経口投与に好適なものを含む。本製剤は、好都合にも単位剤形で提供することができ、薬学の分野において周知である任意の方法によって調製することができる。単一剤形を生成するために担体材料と組み合わせられ得る活性成分の量は、治療される宿主及び特定の投与様式に依存して変動するであろう。単一剤形を生成するために担体材料と組み合わせられ得る活性成分の量は、概して治療的効果を生成する化合物の量であろう。
経口投与に好適な本発明の製剤は、所定の量の本発明の化合物を活性成分として各々含有する、カプセル、カシェー、丸剤、錠剤、甘味入り錠剤(風味付けされた基剤、通常はスクロース及びアカシアまたはトラガカントを使用する)、粉末、顆粒の形態、または水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液、または水中油型もしくは油中水型液体乳剤、またはエリキシル剤もしくはシロップ、またはパスティル(ゼラチン及びグリセリン、もしくはスクロース及びアカシアなどの不活性ベースを使用する)、及び/または洗口液などであり得る。本発明の化合物はまた、ボーラス、舐剤、またはペーストとして投与されてもよい。
経口投与のための本発明の固体剤形(カプセル、錠剤、丸剤、ドラジェ、粉末、顆粒、トローチなど)において、活性成分は、クエン酸ナトリウムもしくは第二リン酸カルシウムなどの1つ以上の薬学的に許容される担体、及び/または以下のいずれかと混合される:(1)充填剤または増量剤、例えば、澱粉、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及び/またはケイ酸、(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及び/またはアカシア、(3)保湿剤、例えば、グリセロール、(4)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、馬鈴薯またはタピオカ澱粉、アルギン酸、特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム、(5)溶液地延在、例えば、パラフィン、(6)吸収促進剤、例えば、四級アンモニウム化合物、ならびに界面活性剤、例えば、ポロキサマ及びラウリル硫酸ナトリウム、(7)湿潤剤、例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール、及び非イオン性界面活性剤、(8)吸収剤、例えば、カオリン及びベントナイト粘土、(9)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、及びそれらの混合物、(10)着色剤、ならびに(11)制御放出剤、例えば、クロスポピドンまたはエチルセルロース。カプセル、錠剤、及び丸剤の場合、本薬学的組成物はまた、緩衝剤も含み得る。同様のタイプの固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、及び高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、軟質及び硬質シェルゼラチンカプセル中の充填剤として用いることもできる。
錠剤は、圧縮または成形によって、任意に1つ以上の補助成分と共に、作製され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、澱粉グリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤、または分散剤を使用して調製され得る。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末の化合物の混合物を好適な機械で成形することによって作製され得る。
本発明の化合物の経口投与のための液体剤形としては、薬学的に許容される乳剤、マイクロ乳剤、溶液、懸濁液、シロップ、及びエリキシル剤が挙げられる。活性成分に加えて、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒などの当該技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物などの可溶化剤及び乳化剤を含有し得る。
不活性希釈剤に加えて、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤、及び懸濁剤、甘味剤、香味剤、着色剤、芳香剤、及び防腐剤などのアジュバントを含むこともできる。
懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微晶質セルロース、メタ水酸化アルミニウム(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、寒天、及びトラガカント、ならびにそれらの混合物を含有してもよい。
本発明の薬学的組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、患者に対して毒性であることなく、特定の患者、組成物、及び投与様式に関して所望の治療的応答を達成するのに有効な活性成分の量を得るように、変化され得る。選択される投薬量レベルは、用いられる特定の本発明の化合物またはその塩の活性、投与の経路、投与の時間、用いられる特定の化合物の排出または代謝の速度、吸収の速度及び範囲、治療の持続時間、用いられる特定の化合物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物、及び/または材料、治療されている患者の年齢、性別、体重、病態、一般的健康、及び病歴、ならびに医療分野において周知である同様の要因を含む、多様な要因に依存するであろう。
当該技術分野の通常の知識を有する医師は、有効量の必要とされる薬学的組成物を容易に決定し、処方し得る。例えば、医師は、薬学的組成物中に用いられる本発明の化合物の用量を、所望の治療的効果を達成するために必要とされるレベルよりも低いレベルで開始し、所望の効果が達成されるまで投薬量を徐々に増加させ得る。
本開示の態様はまた、以下の通り説明され得る。
1.成人ヒト対象における排尿の衝動を約2時間〜約8時間以下の間隔にわたって抑制する方法であって、それを必要とする成人ヒト対象に有効な低用量のデスモプレシン及びβ−3アドレナリン受容体刺激薬を投与して、重複期間中にそれらの両方が生理学的活性を発揮するようにすることを含む、方法。
2.該方法は、ヒト対象における排尿の衝動を約4時間〜約7時間の間隔にわたって抑制する、1の方法。
3.抗利尿効果は、約2時間〜約6時間以下の間隔にわたって達成される、1の方法。
4.抗利尿効果は、約4時間〜約7時間以下の間隔にわたって達成される、1の方法。
5.該投与することは、該対象において10または15pg/mLを超えないデスモプレシンの血漿濃度を達成する、1〜4のいずれか1つの方法。
6.該投与することは、該対象において約0.5pg/mL〜約5pg/mLの範囲のデスモプレシン血漿濃度を達成する、1〜4のいずれか1つの方法。
7.該投与することは、該ヒト対象において約0.5pg/mL〜約2.5pg/mLの範囲のデスモプレシン血漿濃度を達成する、1〜4のいずれか1つの方法。
8.デスモプレシンは、経皮的に、皮内に、または口腔もしくは鼻粘膜を介して経粘膜的に投与される、1〜7のいずれか1つの方法。
9.デスモプレシンは、経皮的にまたは皮内に投与される、1〜7のいずれか1つの方法。
10.デスモプレシンは、鼻腔内に投与される、1〜7のいずれか1つの方法。
11.デスモプレシンは、口腔粘膜を介して舌下に投与される、1〜7のいずれか1つの方法。
12.デスモプレシンは、約5ng/時間〜約35ng/時間の範囲の流動速度で投与される、9の方法。
13.デスモプレシンは、約5ng/時間〜約15ng/時間の範囲の流動速度で投与される、9の方法。
14.該β−3アドレナリン受容体刺激薬は、アミベグロン、ファソベグロン、ミラベグロン、リトベグロン、ソラベグロン、BRL−37344、CL−316,243、GS−332、KRP−204、L−796568、またはそれらの薬学的に許容される塩である、1〜13のいずれか1つの方法。
15.該β−3アドレナリン受容体刺激薬は、アミベグロン、ファソベグロン、またはソラベグロンである、1〜13のいずれか1つの方法。
16.該β−3アドレナリン受容体刺激薬は、ミラベグロンである、1〜13のいずれか1つの方法。
17.該β−3アドレナリン受容体刺激薬は、経口的に、経皮的に、比内に、または鼻もしくは口腔粘膜を介して投与される、1〜16のいずれか1つの方法。
18.該β−3アドレナリン受容体刺激薬は、経口的に投与される、1〜16のいずれか1つの方法。
19.該β−3アドレナリン受容体刺激薬は、デスモプレシン投与の開始の前または後1時間以内に投与される、1〜18のいずれか1つの方法。
20.該対象は、夜間頻尿、失禁、遺尿症、または尿崩症に罹患している、1〜19のいずれか1つの方法。
21.該対象は、夜間頻尿に罹患している、1〜19のいずれか1つの方法。
22.該ヒト対象における尿生成は、デスモプレシンの投与が終了した後、約2時間以内に回復される、1〜21のいずれか1つの方法。
23.該方法は、該成人ヒト対象に、β−3アドレナリン受容体刺激薬を少なくとも1ヶ月の期間毎日投与することと、該対象が就寝する前にデスモプレシンを投与することと、を含む、1の方法。
24.該方法は、該成人ヒト対象に、β−3アドレナリン受容体刺激薬を、薬物ラベルに推奨されるBPHの治療のためのその最小用量よりも低い用量レベルで投与することと、該対象が就寝する前にデスモプレシンを投与することと、を含む、1の方法。
25.該方法は、該成人ヒト対象に、混合物として、該対象が就寝する前に、デスモプレシン及びβ−3アドレナリン受容体刺激薬を、薬物ラベルに推奨されるBPHの治療のための該刺激薬の最小用量よりも低い用量レベルで投与することを含む、1の方法。
26.デスモプレシン、β−3アドレナリン受容体刺激薬、及び薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
27.該薬学的組成物は、ヒト対象への鼻腔内または舌下投与用に製剤化される、26の薬学的組成物。
28.該β−3アドレナリン受容体刺激薬は、アミベグロン、ファソベグロン、ミラベグロン、リトベグロン、ソラベグロン、BRL−37344、CL−316,243、GS−332、KRP−204、L−796568、またはそれらの薬学的に許容される塩である、26または27の薬学的組成物。
ここに概して説明される本発明は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解され、それらは、単に本発明の特定の態様及び実施形態の例示の目的のために含まれ、本発明を限定することを意図するものではない。
実施例1.
パートI−実験手順
臨床研究の患者は以下の基準を満たした:(a)少なくとも50歳であり、少なくとも6ヶ月の間、平均して一晩につき少なくとも2回の夜間排泄を経験している男性または女性、(b)次のいずれにも罹患していない:鬱血性心不全、尿崩症、腎不全、肝不全、失禁、ステロイドの全身投与を必要とする病気、過去5年以内の悪性腫瘍、睡眠時無呼吸、ネフローゼ症候群、原因不明の骨盤腔内腫瘤、膀胱神経機能障害、膀胱外科手術もしくは放射線治療を受けている、妊娠中もしくは授乳中である。
患者は、鼻腔用噴霧として(i)1.5μgの投薬量のデスモプレシンか、または(ii)偽薬かのいずれかを受けた。デスモプレシン鼻腔用噴霧(または偽薬)は、毎日就寝時間の直前に12週間の間、投与した。デスモプレシン鼻腔用噴霧は、下記に説明される通り、乳剤原液及び緩衝液のアリコートを組み合わせることによって調製した。
乳剤原液:乳剤原液を生成するために、以下の重量部の成分を、攪拌棒を備えた容器に添加し、60〜65℃で15分間混合する:(i)180部のモノラウリン酸ソルビタン(Span−20)水溶液(12mg/mL)、(ii)30部のポリソルベート20(Tween−20)水溶液(2mg/mL)、(iii)400部の綿実油水性乳剤(26.6mg/mL)、(iv)600部のシクロペンタデカノリド(CPE−215)水性乳剤(40mg/mL)、及び(v)1,500グラムの総バッチサイズを生成するための水。混合後、調製物を、高速混合物を6500RPM+で20〜25分間使用して均質化して、微細な乳剤を生成する。この溶液を、加圧減菌処理して、無菌状態を確実にする。
緩衝液:クエン酸緩衝原液を生成するために、以下の重量部の成分を、攪拌棒を備えた容器に添加し、60〜65℃で5分間混合する:(i)6200部の水、(ii)16部の無水クエン酸水溶液(1.85mg/mL)、(iii)76部のクエン酸ナトリウム、二水和物水溶液(8.9mg/mL)、(iv)104部のポリソルベート20(Tween−20)水溶液(12mg/mL)、及び(v)8,500グラムの総バッチサイズを生成するための水。
デスモプレシン原液:デスモプレシン原液を生成するために、0.111部のデスモプレシンアセテート三水和物を十分な緩衝原液に添加して100.0mLの溶液を生成し、すべてのデスモプレシンが溶解されるまで攪拌して、100μgデスモプレシン/mLの濃度を有する原液を生成する。この原液から、30μg/mLの溶液を希釈によって調製した。
デスモプレシ鼻腔用噴霧:デスモプレシン鼻腔用噴霧を生成するために、30μg/mLの溶液のアリコートを、細菌汚染を排除するために濾過し、等体積の乳剤原液で希釈して、pH5.5、2%のシクロペンタデカノリドを含有し15μg/mLのデスモプレシンを含む、無菌の防腐剤を含まない用量形態を生成した。これらを、計量した噴霧毎に100μL(即ち、1噴霧当たり1.5μgのデスモプレシン(即ち、1500ngのデスモプレシン))を送達するPfeiffer APFポンプ噴霧器を取り付けた無菌ポンプ噴霧瓶に瓶詰めする。その液体は、検出可能な微生物を含有しない。
ミラベグロンと組み合わせたデスモプレシン療法:
閉経後の女性患者に、ミラベグロン(商品名Myrbetriq(登録商標))の持続放出錠剤と組み合わせて、上述のようにデスモプレシン療法の鼻腔用噴霧を受けさせる。治療前、この患者は、1日当たり2回を上回る夜間頻尿の発症を報告していた。治療法開始後29日目及び43日目に、患者は、2日に1回未満の夜間頻尿の発症を報告した。
III.医療キット
本発明の別の態様は、ヒト対象における排尿の衝動を抑制するか、またはヒト対象における抗利尿効果を誘発するためのキットを提供する。本キットは、(i)取扱説明書、(ii)デスモプレシン、ならびに(iii)混合物中にかまたは別々に存在し、別々の場合、例えば、刺激薬に関しては経口的に、そしてデスモプレシンに関しては軽粘膜的もしくは皮膚パッチによってなど、異なって投与される、β−3アドレナリン受容体刺激薬を備える。
上記の説明は、治療法、薬学的組成物、及び医療キットを含む、本発明の複数の態様及び実施形態を説明する。本特許出願は、態様及び実施形態のすべての組合せ及び順列を明確に企図する。
参照による援用
本明細書において参照される特許資料及び科学論文の各々のすべての開示は、あらゆる目的のために参照により援用される。
均等物
本発明は、その精神または本質的特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化され得る。したがって、前述の実施形態は、本明細書に説明される本発明を限定するものではなく、あらゆる点において例示的であると見なされるべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明によってではなく添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び均等の範囲内に入るすべての変更は、その中に含まれることが意図される。

Claims (15)

  1. 成人ヒト対象における排尿の衝動を約2時間〜約8時間以下の間隔にわたって抑制する方法であって、それを必要とする成人ヒト対象に有効な低用量のデスモプレシン及びβ−3アドレナリン受容体刺激薬を投与して、重複期間中にそれらの両方が生理学的活性を発揮するようにすることを含む、前記方法。
  2. 前記方法は、ヒト対象における排尿の前記衝動を約4時間〜約7時間の間隔にわたって抑制する、請求項1に記載の前記方法。
  3. 抗利尿効果は、約2時間〜約6時間以下の間隔にわたって達成される、請求項1に記載の前記方法。
  4. 抗利尿効果は、約4時間〜約7時間以下の間隔にわたって達成される、請求項1に記載の前記方法。
  5. 前記投与することは、前記対象において10または15pg/mLを超えないデスモプレシンの血漿濃度を達成する、請求項1に記載の前記方法。
  6. 前記投与することは、前記対象において約0.5pg/mL〜約5pg/mLの範囲のデスモプレシンの血漿濃度を達成する、請求項1に記載の前記方法。
  7. 前記投与することは、前記ヒト対象において約0.5pg/mL〜約2.5pg/mLの範囲のデスモプレシンの血漿濃度を達成する、請求項1に記載の前記方法。
  8. デスモプレシンは、経皮的に、皮内に、または口腔もしくは鼻粘膜を介して経粘膜的に投与される、請求項1に記載の前記方法。
  9. デスモプレシンは、経皮的にまたは皮内に投与される、請求項1に記載の前記方法。
  10. デスモプレシンは、鼻腔内に投与される、請求項1に記載の前記方法。
  11. デスモプレシンは、口腔粘膜を介して舌下に投与される、請求項1に記載の前記方法。
  12. デスモプレシンは、約5ng/時間〜約35ng/時間の範囲の流動速度で投与される、請求項9に記載の前記方法。
  13. デスモプレシンは、約5ng/時間〜約15ng/時間の範囲の流動速度で投与される、請求項9に記載の前記方法。
  14. 前記β−3アドレナリン受容体刺激薬は、アミベグロン、ファソベグロン、ミラベグロン、リトベグロン、ソラベグロン、BRL−37344、CL−316,243、GS−332、KRP−204、L−796568、またはそれらの薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の前記方法。
  15. 前記β−3アドレナリン受容体刺激薬は、ミラベグロンである、請求項1に記載の前記方法。
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