図1は、MEMS光スイッチ100の例である。MEMS光スイッチ100は、フェルール102内に保持される複数の光ファイバ、レンズ104、およびMEMSミラー106を含む。
複数の光ファイバは、N×Mの長方形アレイ内に配列されるファイバピグテイルであり得る。ファイバピグテイルは、2つの群に分割され得る。ファイバピグテイルの第1の群が入力ファイバとして使用される一方で、ファイバピグテイルの第2の群は出力ファイバに対応する。いくつかの実現形態では、複数の光ファイバのうちの1つ以上は、未使用のファイバであり得る。
レンズ104は、入力ファイバから受信された光信号をコリメートし、MEMSミラー106から反射された光信号をコリメートし、反射された光信号を特定の出力ファイバに方向付ける。入力ファイバからの光は、1×Lの光スイッチを形成する任意の出力ファイバに選択的に方向付けられ得、LはN×Mアレイにおける出力ファイバの数である。同様に、同じ構造を使用して、複数の入力ファイバからの光が出力ファイバに経路付けされる、L×1MEMS光スイッチを形成することができる。
MEMSミラー106は、制御信号(例えば、下記により詳細に記載される特定の印加電圧)に応答して、具体的な位置に回転し得る。例えば、MEMSミラー106は、指定された角度範囲で、独立してxおよびy軸に沿うミラー表面の回転を駆動するために使用されるアクチュエータを含む。ミラー表面に入射する入力光ビームは、MEMSミラー106のxおよびy角度位置に応じてそれが特定の出力ファイバに集束される、レンズ104を通して反射される。
図2は、ファイバアレイ200の例である。ファイバアレイ200は、4×4の長方形配列である。ファイバは、フェルール内に位置付けられるピグテイルであり得る。各ファイバは、1〜16に番号付けされる。概して、ファイバのうちの1つ以上が入力ファイバであり得る一方で、他のファイバは出力ファイバである。例えば、ファイバ1〜12は、選択可能な出力ファイバであり得る。さらに、いくつかの実現形態では、ファイバアレイ200内に1つ以上の未使用ファイバがあり得る。
この例では、ファイバは、入力ファイバ202および第1の出力ファイバ204を含む。よって、ファイバ202からの入力光ビームがMEMSミラー表面(図1)によって反射され、第1の出力ファイバ204に方向付けられる。さらに、ファイバアレイの例200は、第2の出力ファイバ206を示す。コマンドに応答して、入力ファイバ202からの入力光ビームは、第1の出力ファイバ204から第2の出力ファイバ206に切り替えられ得る。切り替えを実施するために、MEMSミラーのxおよびy角度位置は、入力光ビームが第1の出力ファイバ204の位置ではなく第2の出力ファイバ206の位置に集束されるように、修正される。
いくつかの実現形態では、切り替えは、光ビームを目標の出力ファイバに移すのに必要なミラー表面への角度動作の最短量を使用し、MEMSミラーのxおよびy角度位置を直接的に変化させることによって実施される。例えば、反射された光ビームは、MEMSミラーが調整されると、第1の出力ファイバ204から第2の出力ファイバ206への直線を横断し得る。しかしながら、かかる実現形態は、多くの場合意図されない光ファイバの「ヒット」を生じさせる。ヒットは、光ビームの少なくとも一部が、直接的にまたは屈折により、目標の出力ファイバではない光ファイバに漏出することを指す。例えば、ファイバアレイ200を参照すると、第1の出力ファイバ204から第2の出力ファイバ206への1つの切り替え軌道が、破線208によって示される。しかしながら、この切り替え軌道は、光ビームが第1の出力ファイバ204に方向付けられることから、第2の出力ファイバ206に方向付けられることへ横断するときに、光ビームに出力ファイバ210を通過させる。意図されない光ファイバへの光ビームのこの漏出により、ファイバ210は「ヒット」と称される。
いくつかの他の実現形態では、第1の出力ポート204から第2の出力ポート206へのパスは、意図されない光ファイバへの光の漏出を避けるように制御される。光ビームの切り替え軌道は、任意の2つのファイバ間の隙間空間(クリアランス・スペース)および/または任意のファイバの範囲の完全に外側を通過し、それ故に任意の意図されないポートへのヒットを避けるように制御される。具体的には、パス212によって示されるように、MEMSミラーのxおよびy角度回転位置は、第1の出力ファイバ204から第2の出力ファイバ206への切り替え軌道に沿う他の光ファイバを避ける、いくつかの個別のパスセグメントを有する切り替え軌道に従うように制御される。
図3は、切り替え軌道を決定するための制御点を含む、ファイバアレイ300の例である。ファイバアレイ300は、例えば図2のファイバピグテイル配列に類似する、4×4の長方形配列を含む。各ファイバは1〜16に番号付けされる。一般に、ファイバのうちの1つ以上が入力ファイバであり得る一方で、他のファイバは出力ファイバである。さらに、いくつかの実現形態では、ファイバアレイ内に1つ以上の未使用ファイバがあり得る。
ファイバアレイ300において、1×12のスイッチの軌道選択が示される。入力ファイバ302がファイバ番号14に位置する一方で、ファイバ1〜12は出力ファイバ304である。ファイバ13、15、および16は、未使用ファイバまたは代替の入力ファイバであり得る。
MEMSスイッチは、MEMSミラーに印加される特定の電圧値、例えばx、y電圧対が、MEMSミラーを、反射された入力光ビームを出力ファイバ304のうちの対応する出力ファイバに方向付ける座標に位置付けさせることができるように較正され得る。よって、12の出力ファイバ304には、12の対応する電圧対がある。各出力ファイバ位置のためのx、y電圧対は、MEMSスイッチについて予め較正され得、出力ファイバ間の切り替えにおける使用のために記憶され得る。異なるファイバ入力が使用される場合、追加の較正がx、y電圧対になされ得る。
対応する出力ファイバ304のための12の電圧対に加えて、出力ファイバ304に対する他の点に対応するように、4つの追加の電圧対が較正され得る。具体的には、ファイバアレイ300は、出力ファイバの4つの群の間の中心にある4つの点である、ファイバ1、2、7、および8の間の中心点306と、ファイバ3、4、5、および6の間の中心点308と、ファイバ7、8、9、および10の間の中心点310と、ファイバ5、6、11、および12の間の中心点312とを示す。点306、308、310、および312の位置もまた、予め較正され得、記憶され得る。
これらの4つの点306、308、310、および312を使用して、ヒットレス切り替え軌道が、12の出力ファイバ304のうちのいずれか2つの間の切り替えのために決定され得る。例えば、ファイバ1からファイバ6への切り替えは、個別のパスセグメントである、ファイバ1から点306へのパスセグメント、点306から点308へのパスセグメント、および点308からファイバ6へのパスセグメントを有する、切り替え軌道に従い得る。切り替え軌道における各パスセグメントは、ファイバ間の隙間空間を使用し得る。切り替え軌道は、切り替え軌道上の各パスセグメント終点に対応する一連の電圧対によって画定され得る。いくつかの実現形態では、所与のファイバアレイについての各可能な切り替え軌道は、例えばMEMSスイッチのための制御回路との関連で、予め決定され得、記憶され得る。出力ファイバ間で切り替えるとき、適切な切り替え軌道は、MEMSミラーへの一連の電圧コマンドとして特定および実行され得る。
図4は、MEMS切り替えシステム400の例である。MEMS切り替えシステム400は、入力および出力ファイバ402、MEMS光スイッチ404、ならびに制御回路406を含む。MEMS光スイッチ404は、図1〜3に関して上記されるように実装され得る。入力および出力ファイバ402は、MEMS光スイッチ404のファイバピグテイルのために、それぞれ入力および出力パスを提供する。制御回路406は、MEMS光スイッチ404におけるファイバアレイの点についての、電圧較正データおよび切り替え軌道データを含み得る。出力ファイバ間に位置付けられた中間点を含む、較正および切り替え軌道データ。よって、制御回路406は、出力ポート間を正確に切り替えるために、MEMSミラーに適切な切り替え信号を提供することができる。
図5は、光切り替えのための方法500の例の流れを示す図である。光切り替えは、例えば上記図1〜4に記載されるように、MEMS光切り替えシステムによって実施され得る。
MEMSミラーは、入力光ビームを第1の出力ファイバに方向付けるように位置付けられる(505)。特定の電圧が、入力ビームの反射を第1の出力ファイバの位置に方向付けるように、MEMSミラーのxおよびy軸をそれぞれ制御するために印加され得る。
入力光ビームを第2の出力ファイバに切り替える入力が受信される(510)。入力は、例えば光通信ネットワークのためのコンピュータシステムから受信され得る。
第1の出力ファイバから第2の出力ファイバへのヒットレス切り替え軌道が決定される(515)。いくつかの実現形態では、ヒットレス切り替え軌道は、較正された点を使用して予め決定されている。あるいは、いくつかの他の実現形態では、ヒットレス切り替え軌道は、記憶された較正データに基づいて切り替え時に計算される。例えば、出力ファイバならびに出力ファイバ間の1つ以上の中間点の位置を指定する較正データを使用して、出力ファイバ間の切り替え軌道のためのパスセグメントが決定され得る。パスセグメントは、どのパスセグメントも光ファイバを交差しないように、ファイバ間の隙間空間を追従する。1対の出力ファイバの間のパスセグメントの集合は、切り替え軌道を形成する。具体的なファイバの間の所定の切り替え軌道は、出力ファイバを切り替える入力の際の回復のために記憶され得る。
MEMSミラーは、光ビームが第2の出力ファイバに方向付けられるまで、切り替え軌道のパスセグメントに従って連続して動かされる(520)。いくつかの実現形態では、制御回路は、各パスセグメント終点と関連付けられた、特定のMEMSミラー位置に対応する一連の電圧対を送信する。
図6は、ファイバアレイ600におけるファイバ間の空間距離の例の図示である。入力ファイバと出力ファイバとの間の分離距離が規制されない場合、信号干渉が発生し得る。例えば、スイッチがL×1スイッチである場合、ファイバアレイ内にはLの入力ファイバがある。Lの入力ファイバの各々は、光信号を放出したことがあり得る。いくつかのスイッチ状態では、1つ以上の入力ファイバが反射された光を受信することが可能である。これは、入力ファイバからの光信号を別の入力ファイバに逆に伝送させ、信号干渉を生じさせる。
潜在的な信号干渉を避けるために、入力ファイバと出力ファイバとの間の距離は、かかる干渉を実質的に減少または排除するように指定され得る。アレイ600は、COMファイバ602および12の入力ファイバ604を含む。具体的には、COMファイバと最も近くの入力ファイバとの間の距離を、2つの最も外側の入力ファイバ間の距離よりも大きくなるように確立することによって、信号干渉を避けることができる。よって、アレイ600において示されるように、距離「A」は、例えばファイバ中心からファイバ中心への、COMファイバ602と最も近い入力ファイバ606との間の距離に対応する。距離「B」は、例えばファイバ中心からファイバ中心への、最も外側の入力ファイバ608間の距離に対応する。AがBよりも大きい場合、信号干渉を避けることができる。いくつかの実現形態では、A>B+20mの場合、干渉を避けることがさらに改良される。
特定の距離は、フェルール構造を使用して確立され得る。図7は、12×1の光スイッチの実装における使用のための、4×6のガラスフェルール700の例を図示する。図7に示されるように、第1の点線702の内側の12のファイバが入力ポートとして選択的に使用される一方で、第2の点線704の内側の4つのファイバのうちのいずれか1つが選択的にCOMポートであり得る。第1の点線702の内側のファイバは、例えば未使用のファイバによって、第2の点線704内のファイバから分離される。配列は、第2の点線704のファイバから第1の点線702内のファイバの第1の行への距離が、第1の点線702内の最も外側の入力ファイバ間の距離よりも大きくなるように、構造化される。
図8は、12×1の光スイッチの実装における使用のための、4×6のガラスフェルール800の例を図示する。図8に示されるように、第1の点線802の内側の12のファイバが入力ポートとして選択的に使用される一方で、第2の点線804の内側の4つのファイバのうちのいずれか1つが選択的にCOMポートであり得る。第1の点線802の内側のファイバは、例えば未使用のファイバによって、第2の点線804内のファイバから分離される。配列は、第2の点線804のファイバから第1の点線802内のファイバの第1の行への距離が、第1の点線802内の最も外側の入力ファイバ間の距離よりも大きくなるように、構造化される。
図9は、別々のファイバ孔を有するフェルール900の別の例である。フェルール900は、2つの別々の孔を含む。第1の孔902はCOMファイバのために使用され、第2の孔904は入力ファイバのために使用される。例えば、図7のフェルールと同様に、第2の孔904は、入力ポートとして選択的に使用される12の入力ファイバを含み得、第2の孔902は、COMポートとして選択的に使用され得る4つのファイバを含み得る。2つの孔間の距離が十分に大きい、例えばA>Bの上記条件を満たす場合、フェルール900は、12×1MEMSスイッチにおいて、入力ファイバポート交差干渉の問題なく使用され得る。
図10はスイッチパッケージ1000の例である。スイッチパッケージ1000は、ファイバ束1002と、ガラスフェルール1006を含むファイバピグテイルと、光学レンズ1008と、MEMSミラー1010と、を含む。スイッチパッケージ1000は、光通信システムにおいて光ファイバ束に結合され得る。
本明細書が多くの具体的な実装の詳細を含むが、これらは、任意の発明または特許請求の範囲の限定として解釈されるべきでなく、特定の発明の特定の実施形態に特異的であり得る特徴の説明として解釈されるべきである。別々の実施形態の文脈で本明細書に記載される特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせでも実装されてもよい。反対に、単一の実施形態の文脈で記載される様々な特徴は、別々にまたは任意の好適な部分的組み合わせで、複数の実施形態においても実装されてもよい。さらに、特徴は、特定の組み合わせで作用すると上述され得、さらにはそのように最初に特許請求され得るが、特許請求される組み合わせからの1つ以上の特徴は、いくつかの場合では組み合わせから削除されてもよく、特許請求される組み合わせは部分的組み合わせまたは部分的組み合わせの変形に向けられてもよい。
同様に、動作が図面において特定の順序で描写されるが、これは、所望の結果を達成するために、かかる動作が示される特定の順序でもしくは連続した順序で実施されること、または図示された全ての動作が実施されることを必要とすると理解されるべきではない。特定の状況では、多重タスク処理および並行処理が有利であり得る。さらに、上述される実施形態における様々なシステムモジュールおよび構成要素の分離は、全ての実施形態においてかかる分離を必要とすると理解されるべきでなく、記載されるプログラム構成要素およびシステムは、概して、単一のソフトウェア製品に一緒に統合され得るか、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることが理解されるべきである。
主題の特定の実施形態が説明されてきた。他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内である。例えば、特許請求の範囲において列挙される行為は、異なる順序で実施されてもよく、それでもなお所望の結果を達成し得る。一例として、添付の図面において描写されるプロセスは、所望の結果を達成するために、示される特定の順序または連続した順序を必ずしも必要としない。特定の実現形態では、多重タスク処理および並行処理が有利であり得る。