JP2012113086A - 波長選択スイッチとその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポートを切り替える際に、切替元のポートと切替先のポートとの間に存在するポートへのクロストークを抑える。
【解決手段】出力ポート202−Aに結合した状態から出力ポート202−Bに結合した状態に遷移する際に、最初に、出力ポート202−Aのあらかじめ定められたヒットレスポイントに対応する電圧をミラー装置の電極に印加し(S1102)、次に、あらかじめ定められた中継ポイントに対応する電圧を印加し(S1103)、次に、出力ポート202−Bのあらかじめ定められたヒットレスポイントに対応する電圧を印加し(S1104)、最後に、出力ポート202−Bと結合状態になる電圧を印加する(S1105)。ヒットレスポイントと中継ポイントは、ポートを切り替えるときに、要求されるクロストークを下回るように設定される。
【選択図】 図3

Description

本発明は、通信用光伝送装置、波長ルーティング装置などに使用される、光路の切り替えのための波長選択スイッチに関するものである。
近年の光通信では光信号を電気信号に変換することなく、光のままで通信先に送ることにより、通信速度を落とさない高速通信を実現している。また、一つの波長に一つの光信号を対応させて波長多重するWDM(Wavelength Division Multiplexing)技術により、一本の光ファイバを使って大容量の光伝送が行えるようになっている。このような光通信技術の発展に伴い、光信号のままで経路を切り替える光スイッチの役割が重要性を増している。
光通信ネットワークの大規模化に伴い、光信号の波長数も増え、数十もの波長の光信号から任意の波長の光信号を選択し複数の出力ファイバのどれかから出力する波長選択スイッチの小型化、高機能化が進んでいる。このような高機能な波長選択スイッチをコンパクトに実現できるとして、MEMSマイクロミラーを用いた空間光学系光スイッチが注目されている。
空間光学系光スイッチは、光ファイバのほかにレンズやミラーなどの空間光学部品から構成され、3次元的に配置することができるので、空間利用効率の高い大規模スイッチを構成できる。空間光学系光スイッチで利用される可動素子として、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術で作成された二軸可動ミラーアレー(例えば、特許文献1参照)がよく用いられる。MEMS可動ミラーアレーは、光路の切り替えを実現する回動軸の他に、直交するもう一つの回動軸を有している。MEMS可動ミラーアレーは、信号を別のポートに切替える際に、直交する回動軸方向に回動することで、途中に存在するポートを横切らない動作、すなわちヒットレス動作が実現できる。
MEMSミラーを使った波長選択スイッチの場合、ポート切替え時間は数十msecと短い。しかし、信号速度が10Gbpsを越えているため、msecオーダの短い時間でも大量の情報が伝達されており、また、混線した同じ波長の異なる信号を光レベルで分離するのは困難である。したがって、ヒットレス動作は波長選択スイッチに欠かせないものとなっている。
本発明が対象としている光スイッチとして、図11に一つの入力ポートから入力された波長の異なる複数(最大m波)の光信号を、複数の出力ポートに分波して出力するDrop型波長選択スイッチの構成例を示す。波長選択スイッチは、1つの入力ポート101と、N本の出力ポート102(102−1〜102−N)と、入力ポート101からの複数の光信号を分波する分散空間光学系103と、分波された光信号を出力ポート102と任意の結合率で結合させるための二軸MEMSミラー装置104(104−1〜104−m)とを有する。
図11に示した波長選択スイッチは、入力ポート101からの光信号を分散空間光学系103により波長毎に分波して、二軸MEMSミラー装置104の波長毎に設けられたミラーに入射させ、ミラーの少なくとも一方の軸周りの回動を制御することで所望の方向に光信号の向きを変えて、この光信号を分散空間光学系103を通して出力ポート102に出力することで、出力ポート102の選択を行う。
図11に示した構成は光学的な対称性があるので、図11に示した構成のまま、入出力を逆にすれば、複数の入力ポートから入力された複数の光信号を、一つの出力ポートに合波して出力するAdd型波長選択スイッチの構成になる。本発明はヒットレス動作に着目したものであるので、波長の異なる複数の光信号を用いることは説明上、必須ではない。そこで、図12に一つのMEMSミラーに着目して波長選択スイッチを簡略化した構成を示す。
図12に示す波長選択スイッチを例に、波長選択スイッチの動作について説明する。この場合、波長選択スイッチは、1本の入力ポート201と、N本の出力ポート202(202−1〜202−N)と、入力ポート201からの光信号をMEMSミラーに導く光学系203と、入射した光信号を出力ポート202と任意の結合率で結合させるための二軸MEMSミラー装置204とからなる。図12の例では、光信号を入力ポート201からMEMSミラーに入射させる場合に光信号を光学系203に通し、さらに光信号をMEMSミラーから出力ポート202に結合させる場合に、光信号を光学系203に再び通している。光信号を光学系203に再び通す理由は部品の共有化を進めるためであるが、別の光学系を出力側に設けても構わない。
二軸MEMSミラー装置204のミラーは、図12に示す二つの回動軸のうち主軸周りについては、1本の入力ポート201とN本の出力ポート202との結合が合うように(主軸周りの回動方向に関して光が最小損失になるように)回動することで、ポートの切替えを行う。すなわち、二軸MEMSミラー装置204のミラーは、出力ポート202が並んだ方向に光信号の経路を動かすように回動する。
また、二軸MEMSミラー装置204のミラーは、副軸周りに回動するとき、主軸に対して直交方向に回動することになるので、出力ポート202が並んだ方向と直交する方向に光信号の経路を動かすように回動する。入力ポート201から出力ポート202への光信号の結合率、すなわち光損失を制御するには、二軸MEMSミラー装置204のミラーを主軸、副軸どちらの軸周りで回しても可能である。そこで、以降の説明では、出力ポート202の並び方向に光信号の経路を動かすことができる主軸周りの回動を、主にポート選択に用いる。また、出力ポート202の並び方向と直交する方向に光信号の経路を動かすことができる副軸周りの回動を、主に光損失の制御に用いる。
図13(A)〜図13(D)を用いて、前述のヒットレス動作の概念を説明する。図13(A)はヒットレス動作をしない場合の波長選択スイッチの動作を示す図、図13(B)はヒットレス動作をしない場合の光出力の変化を示す図、図13(C)はヒットレス動作をする場合の波長選択スイッチの動作を示す図、図13(D)はヒットレス動作をする場合の光出力の変化を示す図である。ここでは、出力ポート202−1から出力ポート202−Nへ切り替える場合を示している。また、図13(B)、図13(D)は、全出力ポートからの光出力を合算した出力の時間変化を示している。
波長選択スイッチがヒットレス動作をしない場合、二軸MEMSミラー装置204のミラーによって反射された光信号が出力ポート202−1から出力ポート202−Nまでの間の全ての出力ポートを通る(図13(A))。このため、光信号が1つの出力ポートを通る時点で、その出力ポートへの光結合が発生するために、全出力ポートからの光出力を合算した結果には、光信号が経路上に存在する各出力ポートを通ったことを示すスパイク状の光出力が現れる(図13(B))。
図13(B)の例では、t1,t2,t3,t4,t5,・・・・,tNの時点において、それぞれ出力ポート202−1,202−2,202−3,202−4,202−5,・・・・,202−Nへ光信号が出力されていることになる。このように途中の出力ポート202−2〜202−(N−1)に光信号が出力されるので、これらの出力ポートが繋がる経路に、同じ波長の異なる光信号が流れていれば、混線が生じ、エラーが発生するおそれがある。
一方、波長選択スイッチがヒットレス動作をする場合、最初に光信号が出力ポート202−1に入射している時点で、二軸MEMSミラー装置204のミラーを副軸周りに回動させて、出力ポート202が並んだ方向と直交する方向に光信号を移動させる。その後、ミラーを主軸周りに回動させて、出力ポート202が並んだ方向に沿って光信号を移動させる。最後に、ミラーを副軸周りに回動させて、最初の移動と逆方向に光信号を移動させて出力ポート202−Nと結合させる(図13(C))。
このように、波長選択スイッチがヒットレス動作をすると、途中の出力ポート202−2〜202−(N−1)で光結合が発生することがない。したがって、図13(B)の場合と比べて、途中の出力ポート202−2〜202−(N−1)からの光出力が大幅に減少する(図13(D))。以上のようなヒットレス動作により、混線によりエラーが発生する可能性を回避することができる。
波長選択スイッチなどで用いられる静電駆動型の二軸MEMSミラー装置204の構造例を図14に示す。この例では、二軸動作を実現するためにジンバル構造を採用している。トーションばね303a,303bは、図示しない枠状の台座と、この台座の開口内に配設されたジンバルリング302とを連結している。ジンバルリング302は、一対のトーションばね303a,303bを通る主軸を回動軸として回動することができる。
トーションばね304a,304bは、ジンバルリング302と、ジンバルリング302の開口内に配設されたミラー301とを連結している。ミラー301は、一対のトーションばね304a,304bを通る副軸を回動軸として回動することができる。結果として、ミラー301は、直交する2軸で回動する。ミラー301とジンバルリング302とトーションばね303a,303b,304a,304bとは、例えばシリコンプロセスにより一体形成される。
ミラー301とジンバルリング302とトーションばね303a,303b,304a,304bとからなる上部構造に対して、この上部構造と対向する図示しない基板上には、主軸回動用の二つの電極305a,305bおよび副軸回動用の二つの電極305c,305dがミラー301と対向するように配置されている。ミラー301の電位はグランド電位と同じになるように設定されるため、電極305a〜305dに電圧を印加すると、電極305a〜305dとミラー301間に静電引力が生じ、静電引力とトーションばね303a,303b,304a,304bによる復元力とが釣り合う角度までミラー301が回動する。
例えば、ミラー301を主軸周りに回動させる場合には、電極305a,305bに電圧Va,Vbを印加し、ミラー301を副軸周りに回動させる場合には、電極305c,305dに電圧Vc,Vdを印加する。
論理的には、ミラー301の回動方向は主軸周りと副軸周りの二つなので、ミラー301の回動を制御する電圧も二つあれば、ミラー301の二軸の角度を任意に制御することができる。また、たくさんの変数を扱うよりも、必要最小限に変数の数を絞ったほうがミラーの制御方法を構築し易い。そこで、4つの電極305a,305b,305c,305dに印加する電圧Va,Vb,Vc,Vdを、以下のように二つの電圧Vx,Vyで表すこととする。
Va=Vx+Vbias ・・・(1)
Vb=−Vx+Vbias ・・・(2)
Vc=Vy+Vbias ・・・(3)
Vd=−Vy+Vbias ・・・(4)
式(1)〜式(4)中のVbiasは、電極305a〜305dに定常的に印加するバイアス電圧である。ただし、電極305a,305bに印加するバイアス電圧と電極305c,305dに印加するバイアス電圧とは、必ずしも同じ値である必要はない。式(1)〜式(4)を使うことで、ミラー301の主軸周りの回動を制御する電圧をVx、副軸周りの回動を制御する電圧をVyとして扱うことができる。そこで、これらの電圧Vx,Vyを制御電圧と呼ぶこととする。
図14の例で示したジンバル構造の二軸ミラー以外でも、通常、二軸ミラーの場合、電極電圧ではなく、変数を絞った制御電圧を使って制御を構築する場合が多い。ただし、電極電圧とVx、Vyとの関係式は、必ずしも上記に示した式(1)〜式(4)で表されるわけではなく、ミラーの特性などを考慮して他の関係式を採用する場合もある。本発明は、この制御電圧を使ったヒットレスの方法を述べたもので、直接的に電極電圧の印加方法を定めたものではない。よって、以降の説明では、電極電圧ではなく、制御電圧を使って進めることとする。
制御電圧Vとミラーの回動角度θとの関係は、図15に示すように線形(直線)ではない。このような非線形なV−θ特性は、静電引力が電極に印加される電圧の二乗に比例することに関係する。このような非線形性なV−θ特性は、ミラーの主軸周りの回動を制御する制御電圧Vxとミラーの主軸周りの回動角度θxとの関係において生じると共に、ミラーの副軸周りの回動を制御する制御電圧Vyとミラーの副軸周りの回動角度θyとの関係においても生じる。
また、ミラーの二軸周りの動作は完全に独立ではなく、一方の軸周りの動作の状態で他方の軸に関係するV−θ特性が変化する。例えば、ミラーが主軸周りにほとんど回動しておらず副軸周りのみに大きく回動している場合と、ミラーが主軸周りと副軸周りに大きく回動している場合とでは、ミラーと電極とのギャップが異なるので、V−θ特性が変わってしまう。
特開2003−57575号公報
以下に、MEMSミラーのV−θ特性が非線形の場合に発生する問題について説明する。図16に、出力ポート202の数をN=10とした場合の、回動角度θx−θy平面上の光損失等高線を示す。400−1〜400−10は、それぞれ出力ポート202−1〜202−10の光損失等高線である。主軸周りの回動角度θx方向には出力ポート数分の結合点があるので、各出力ポート202の光損失等高線の集まりである同心楕円が回動角度θx方向に沿って10個並んでいる。各同心楕円は、楕円の中心に向かうほど、対応する出力ポート202の光損失が小さくなることを表している。また、各同心楕円の中心座標は、対応する出力ポート202の光損失が最小となる回動角度θx,θyを表している。
特に意図的な設計をしない限り、各出力ポート202に対応する同心楕円の形はほぼ同様であり、同心楕円間の間隔も等しい。また、θy=0と同心楕円の中心座標とのずれを示すオフセットが意図的もしくは自然に存在していたとしても、どの出力ポートも同じオフセット量となる。図16の例では、各同心楕円の中心を通る線をオフセットライン401として示しており、このオフセットライン401とθy=0との差がオフセット量である。
一方、同じ光損失等高線を、制御電圧Vx−Vy平面上で示すと、図17のようになる。500−1〜500−10は、それぞれ出力ポート202−1〜202−10の光損失等高線である。図16の場合と同様に、各同心楕円は、その中心に向かうほど、対応する出力ポート202の光損失が小さくなることを表しており、各同心楕円の中心座標は、対応する出力ポート202の光損失が最小となる制御電圧Vx,Vyを表している。ここでは、各同心楕円の中心を通る線をオフセットライン501として示している。
図17から明らかなように、光損失等高線を制御電圧Vx−Vy平面上で示すと、同心楕円の大きさ及びオフセット量が各出力ポートで異なっている。一般的に、Vx=0に近い中心の出力ポート202ほど楕円が大きく、端の出力ポート202ほど楕円が小さくなる。以上の図17に示した特性は、先に述べたミラーのV−θ特性が非線形性なために起きる。
図18に、波長選択スイッチがヒットレス動作をした場合の、回動角度θx−θy平面上での角度の軌跡と光出力の変化とを示す。ここでは、出力ポート202−1から出力ポート202−10へ切り替える場合を示している。また、図13(B)、図13(D)の場合と同様に、光パワーのグラフは、全出力ポートからの光出力を合算した出力の時間変化を示している。
図16で説明したとおり、回動角度θx−θy平面上では各出力ポートの同心楕円の大きさが等しく、各同心楕円が整然と並んでいる。そこで、最初に光信号が出力ポート202−1に入射している時刻t1において二軸MEMSミラー装置204のミラーを副軸周りに回動させて、回動角度θx−θy平面上のヒットレスポイント402で表される位置まで光信号を移動させ、次にミラーを主軸周りに回動させて、ヒットレスポイント403で表される位置まで光信号を移動させ、最後に出力ポート202−10と結合状態になるまで副軸周りの回動角度θyを元に戻せば、途中の出力ポート202−2〜202−9に出力しないヒットレス動作を実現することができる。
途中の出力ポート202−2〜202−9からの光出力を、例えば−20dB以下に抑えたい場合、各同心楕円の最外殻楕円が最小損失状態から−20dBだけ減衰することを示すラインと仮定すれば、ミラーが主軸周りに回動するときの角度の軌跡およびヒットレスポイント402,403が、−20dBのラインを横切らないように設定すればよい。
しかし、このヒットレス動作は現実的ではない。その理由は、我々はミラーを直接角度ではなく、電圧を介して制御するからである。図18に示したように回動角度θx−θy平面上で任意の軌跡を通るためには、角度センサを設けて、ミラーの回動角度をモニタしながら、電極に印加する電圧を制御する必要がある。このような制御方法では、非常にコストがかかってしまう。
現実的には、回動角度θx−θy平面上ではなく、図17に示した制御電圧Vx−Vy平面上でヒットレス動作を行う。図19に、波長選択スイッチがヒットレス動作をした場合の、制御電圧Vx−Vy平面上での電圧の軌跡と光出力の変化とを示す。前述の通り、制御電圧Vx−Vy平面では、中央の出力ポート202ほど楕円が大きくなる。
このため、前述の回転角度平面上のヒットレス動作と同様に、最初にミラーを+Vy方向に移動させて、次に制御電圧Vx−Vy平面上のヒットレスポイント502で表される位置まで光信号を移動させ、次にミラーを+Vx方向に移動させて、ヒットレスポイント503で表される位置まで光信号を移動させ、最後に出力ポート202−10と結合状態になるまで−Vy方向に戻すと、図19のように電圧の軌跡が途中の出力ポート202−2〜202−9の楕円の一部を横切ってしまう。
回動角度θx−θy平面上でのヒットレス動作の場合と同様に、途中の出力ポート202−2〜202−9からの光出力を−20dB以下に抑えるために、出力ポート202−1および202−10において、光損失等高線の最外殻楕円をわずかに外れる程度にヒットレスポイント502,503を設定すると、途中の出力ポート202−2〜202−9で光出力が−20dBを上回るポートが発生する。
したがって、途中の出力ポート202−2〜202−9で光出力が−20dB以下になるようにするには、出力ポート202−1,202−10と結合状態になる制御電圧Vx上の位置において、光損失等高線の最外殻楕円から大きく外れるようにヒットレスポイント502,503を設定しなければならない。
しかしながら、このようなヒットレスポイント502,503の設定にすると、端の出力ポート202ではミラーが主軸周りに大きく傾いている状態で、さらにミラーを副軸周りに大きく回すことになるので、ばねの復元力を静電力が上回ってしまい、ミラーが電極に吸引されて離れなくなるプルイン現象が発生する恐れがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ポートを切り替える際に、切替元のポートと切替先のポートとの間に存在するポートへのクロストークを抑えることができる波長選択スイッチとその制御方法を提供することを目的とする。
本発明は、少なくとも1つの入力ポートから入力された波長の異なる複数の入力光を分波して複数の出力ポートのうち所望の出力ポートから出力するDrop型の波長選択スイッチ、または複数の入力ポートから入力された波長の異なる複数の入力光を合波して所望の出力ポートから出力するAdd型の波長選択スイッチにおいて、入力光を入力する前記入力ポートと、出力光を出力する前記出力ポートと、入力光の波長毎に設けられ、前記入力ポートを出射した入力光を偏向させて前記出力ポートに入射させる二軸ミラー装置と、前記入力ポートからの入力光を所望の前記出力ポートに光パス接続すべく前記二軸ミラー装置を制御する制御装置とを備え、Drop型の波長選択スイッチの場合は前記出力ポートを選択ポートとし、Add型の波長選択スイッチの場合は前記入力ポートを選択ポートとし、前記二軸ミラー装置は、前記選択ポートが並ぶ方向と直交する主軸および前記選択ポートが並ぶ方向と平行な副軸の二つの回動軸周りに回動可能なミラーと、このミラーから離間して配置された複数の電極とを有し、前記制御装置は、切替元の選択ポートに結合した状態から切替先の選択ポートに結合した状態に遷移する際に、最初に、前記切替元の選択ポートのあらかじめ定められたヒットレスポイントに対応する電圧を前記電極に印加し、次に、あらかじめ定められた中継ポイントに対応する電圧を前記電極に印加し、次に、前記切替先の選択ポートのあらかじめ定められたヒットレスポイントに対応する電圧を前記電極に印加し、最後に、前記切替先の選択ポートと結合状態になる電圧を前記電極に印加し、前記ヒットレスポイントと中継ポイントは、選択ポートを切り替えるときに、要求されるクロストークを下回るように設定されることを特徴とするものである。
また、本発明の波長選択スイッチの1構成例において、前記中継ポイントは、前記ミラーの主軸周りの回動角度が略零となる位置に設定されることを特徴とするものである。
また、本発明の波長選択スイッチの1構成例において、前記制御装置は、切替元の選択ポートに結合した状態から切替先の選択ポートに結合した状態に遷移する際に、最初に、前記切替元の選択ポートのあらかじめ定められたヒットレスポイントに対応する制御電圧と前記切替元の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧とを加算した電圧を前記電極に印加し、次に、前記切替元の選択ポートのヒットレスポイントに対応する制御電圧を維持したまま、バイアス電圧をポート切替動作時用のバイアス電圧に変更し、次に、前記ポート切替動作時用のバイアス電圧を維持したまま、制御電圧をあらかじめ定められた中継ポイントに対応する制御電圧に変更し、次に、前記ポート切替動作時用のバイアス電圧を維持したまま、制御電圧を前記切替先の選択ポートのあらかじめ定められたヒットレスポイントに対応する制御電圧に変更し、次に、前記切替先の選択ポートのヒットレスポイントに対応する制御電圧を維持したまま、バイアス電圧を前記切替先の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧に変更し、最後に、前記切替先の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧を維持したまま、制御電圧を前記切替先の選択ポートと結合状態になる制御電圧に変更することを特徴とするものである。
また、本発明の波長選択スイッチの1構成例において、前記制御装置は、切替元の選択ポートに結合した状態から切替先の選択ポートに結合した状態に遷移する際に、最初に、前記切替元の選択ポートのあらかじめ定められた結合動作時用のヒットレスポイントに対応する制御電圧と前記切替元の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧とを加算した電圧を前記電極に印加し、次に、制御電圧を前記切替元の選択ポートのあらかじめ定められたポート切替動作時用のヒットレスポイントに対応する制御電圧に変更すると共に、バイアス電圧をポート切替動作時用のバイアス電圧に変更し、次に、前記ポート切替動作時用のバイアス電圧を維持したまま、制御電圧をあらかじめ定められた中継ポイントに対応する制御電圧に変更し、次に、前記ポート切替動作時用のバイアス電圧を維持したまま、制御電圧を前記切替先の選択ポートのあらかじめ定められた切替動作時用のヒットレスポイントに対応する制御電圧に変更し、次に、制御電圧を前記切替先の選択ポートに対応するあらかじめ定められた結合動作時用のヒットレスポイントに対応する制御電圧に変更すると共に、バイアス電圧を前記切替先の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧に変更し、最後に、前記切替先の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧を維持したまま、制御電圧を前記切替先の選択ポートと結合状態になる制御電圧に変更することを特徴とするものである。
また、本発明の波長選択スイッチの1構成例において、前記制御装置は、切替元の選択ポートに結合した状態から切替先の選択ポートに結合した状態に遷移する際に、前記中継ポイントを経由しなくても各選択ポートに要求されるクロストーク以下で切り替えが可能な場合は、前記中継ポイントを経由せずに、前記切替元の選択ポートのヒットレスポイントと前記切替先の選択ポートのヒットレスポイントとの間を移動するように制御することを特徴とするものである。
また、本発明の波長選択スイッチの制御方法は、Drop型の波長選択スイッチの場合は前記出力ポートを選択ポートとし、Add型の波長選択スイッチの場合は前記入力ポートを選択ポートとし、前記入力ポートを出射した入力光を偏向させて前記出力ポートに入射させる二軸ミラー装置は、前記選択ポートが並ぶ方向と直交する主軸および前記選択ポートが並ぶ方向と平行な副軸の二つの回動軸周りに回動可能なミラーと、このミラーから離間して配置された複数の電極とを有し、切替元の選択ポートに結合した状態から切替先の選択ポートに結合した状態に遷移する際に、最初に、前記切替元の選択ポートのあらかじめ定められたヒットレスポイントに対応する電圧を前記電極に印加するステップと、あらかじめ定められた中継ポイントに対応する電圧を前記電極に印加するステップと、前記切替先の選択ポートのあらかじめ定められたヒットレスポイントに対応する電圧を前記電極に印加するステップと、前記切替先の選択ポートと結合状態になる電圧を前記電極に印加するステップとを備え、前記ヒットレスポイントと中継ポイントは、選択ポートを切り替えるときに、要求されるクロストークを下回るように設定されることを特徴とするものである。
本発明によれば、切替元の選択ポートに結合した状態から切替先の選択ポートに結合した状態に遷移する際に、最初に、切替元の選択ポートのヒットレスポイントに対応する電圧を電極に印加し、次に、中継ポイントに対応する電圧を印加し、次に、切替先の選択ポートのヒットレスポイントに対応する電圧印加し、最後に、切替先の選択ポートと結合状態になる電圧を印加し、さらにヒットレスポイントと中継ポイントを、要求されるクロストークを下回るように設定することにより、電圧と回動角度との関係が非線形な二軸ミラー装置を使った波長選択スイッチにおいて、切替元の選択ポートと切替先の選択ポートとの間に存在するポートへのクロストークを、ヒットレスポイントおよび中継ポイントを設定する際に考慮した所定のクロストーク以下に抑えることができる。
また、本発明では、切替元の選択ポートに結合した状態から切替先の選択ポートに結合した状態に遷移する際に、最初に、切替元の選択ポートのヒットレスポイントに対応する制御電圧と切替元の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧とを加算した電圧を電極に印加し、次に、制御電圧を維持したまま、バイアス電圧をポート切替動作時用のバイアス電圧に変更し、次に、バイアス電圧を維持したまま、制御電圧を中継ポイントに対応する制御電圧に変更し、次に、バイアス電圧を維持したまま、制御電圧を切替先の選択ポートのヒットレスポイントに対応する制御電圧に変更し、次に、制御電圧を維持したまま、バイアス電圧を切替先の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧に変更し、最後に、バイアス電圧を維持したまま、制御電圧を切替先の選択ポートと結合状態になる制御電圧に変更することにより、電圧と回動角度との関係が非線形な二軸ミラー装置を使った波長選択スイッチにおいて、切替元の選択ポートと切替先の選択ポートとの間に存在するポートへのクロストークを所定のクロストーク以下に抑えることができる。本発明では、電圧と回動角度との関係がバイアス電圧によって変わる二軸ミラー装置を用いた波長選択スイッチにおいてクロストークの抑制効果を得ることができる。
また、本発明では、切替元の選択ポートに結合した状態から切替先の選択ポートに結合した状態に遷移する際に、最初に、切替元の選択ポートの結合動作時用のヒットレスポイントに対応する制御電圧と切替元の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧とを加算した電圧を電極に印加し、次に、制御電圧を切替元の選択ポートのポート切替動作時用のヒットレスポイントに対応する制御電圧に変更すると共に、バイアス電圧をポート切替動作時用のバイアス電圧に変更し、次に、バイアス電圧を維持したまま、制御電圧を中継ポイントに対応する制御電圧に変更し、次に、バイアス電圧を維持したまま、制御電圧を切替先の選択ポートの切替動作時用のヒットレスポイントに対応する制御電圧に変更し、次に、制御電圧を切替先の選択ポートに対応する結合動作時用のヒットレスポイントに対応する制御電圧に変更すると共に、バイアス電圧を切替先の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧に変更し、最後に、バイアス電圧を維持したまま、制御電圧を切替先の選択ポートと結合状態になる制御電圧に変更することにより、電圧と回動角度との関係が非線形な二軸ミラー装置を使った波長選択スイッチにおいて、切替元の選択ポートと切替先の選択ポートとの間に存在するポートへのクロストークを所定のクロストーク以下に抑えることができる。本発明では、電圧と回動角度との関係がバイアス電圧によって変わる二軸ミラー装置を用いた波長選択スイッチにおいてクロストークの抑制効果を得ることができる。
また、本発明では、切替元の選択ポートに結合した状態から切替先の選択ポートに結合した状態に遷移する際に、中継ポイントを経由しなくても各選択ポートに要求されるクロストーク以下で切り替えが可能な場合は、中継ポイントを経由せずに、切替元の選択ポートのヒットレスポイントと切替先の選択ポートのヒットレスポイントとの間を移動するように制御することにより、不要な動作を省き、波長選択スイッチの切替時間を短縮することが可能となる。
本発明のヒットレス動作による、制御電圧Vx−Vy平面上での電圧の軌跡と光出力の変化とを示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る波長選択スイッチの制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態に係る波長選択スイッチのヒットレス動作を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施の形態に係る二軸MEMSミラー装置の構造例を示す斜視図である。 本発明の第3の実施の形態に係る二軸MEMSミラー装置における電圧とミラーの回動角度との関係を示す図である。 本発明の第3の実施の形態における制御電圧Vx−Vy平面上の光損失等高線を示す図である。 本発明の第3の実施の形態の結合動作時およびポート切替動作時における制御電圧Vx−Vy平面上の光損失等高線を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る波長選択スイッチの制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施の形態に係る波長選択スイッチのヒットレス動作を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施の形態に係る波長選択スイッチのヒットレス動作を示すフローチャートである。 波長選択スイッチの構成例を示す図である。 波長選択スイッチを簡略化した構成例を示す図である。 波長選択スイッチのヒットレス動作の概念を説明する図である。 二軸MEMSミラー装置の構造例を示す斜視図である。 二軸MEMSミラー装置における制御電圧とミラーの回動角度との関係を示す図である。 回動角度θx−θy平面上の光損失等高線を示す図である。 制御電圧Vx−Vy平面上の光損失等高線を示す図である。 波長選択スイッチがヒットレス動作をした場合の、回動角度θx−θy平面上での角度の軌跡と光出力の変化とを示す図である。 波長選択スイッチがヒットレス動作をした場合の、制御電圧Vx−Vy平面上での電圧の軌跡と光出力の変化とを示す図である。
[発明の原理]
図1に、本発明のヒットレス動作による、制御電圧Vx−Vy平面上での電圧の軌跡と光出力の変化とを示す。ここでは、出力ポート202−1から出力ポート202−10へ切り替える場合を示している。また、図13(B)、図13(D)の場合と同様に、光パワーのグラフは、全出力ポートからの光出力を合算した出力の時間変化を示している。504−1〜505−10は、それぞれ出力ポート202−1〜202−10に対応するヒットレスポイントである。
本発明のヒットレス動作で用いる、各出力ポートの光損失等高線は、あらかじめ実測によって求められるものとする。制御電圧Vx=0、Vy=0のときに、出力ポート202−5と202−6との中間にミラーからの反射光が到達するように、入出力ポートおよびミラーを含む光学系を設計した場合、図1の光損失等高線のように、制御電圧Vxの絶対値が大きくなるに従って、楕円の長径および短径が短くなるように変化する。
本発明では、図1に示すように、電圧の軌跡が切替元の出力ポート202−1のヒットレスポイント504−1から切替先の出力ポート202−10のヒットレスポイント504−10を通る過程に、中継ポイント505を設ける。途中の出力ポート202−2〜202−9の光出力が所望の減衰量になるように、適切に中継ポイント505を設定すれば、この中継ポイント505と各出力ポートのヒットレスポイント504−1〜505−10とを結ぶ電圧の軌跡は、途中の出力ポート202−2〜202−9の楕円を横切らない。すなわち、途中の出力ポート202−2〜202−9から規定以上のパワーが出力されることはない。
途中の出力ポート202−2〜202−9からの光出力を例えば−20dB以下に抑えるようにするには、各同心楕円の最外殻楕円が最小損失状態から−20dBだけ減衰することを示すラインと仮定すれば、中継ポイント505と各出力ポートのヒットレスポイント504−1〜505−10とを結ぶ線がどの出力ポートの最外殻楕円も横切らないように、中継ポイント505を設ければよい。このように中継ポイント505を設定したヒットレス動作によれば、図1に示すように、途中の出力ポート202−2〜202−9からの光出力は−20dB以下となる。
より一般的に説明すれば、各出力ポートの光損失等高線上において所望の光損失(例えば−20dB)を表す点のうち、Vx方向に極大値となる点を結んだ線よりも光損失が大きくなる側に、中継ポイント505と各出力ポートのヒットレスポイント504−1〜505−10とを結ぶ線が位置するように、中継ポイント505とヒットレスポイント504−1〜505−10とを設定すればよい。
なお、ミラーと電極とが接触して離れなくなるプルイン現象が発生する電圧領域を、制御電圧Vx−Vy平面上で実測から求め、その電圧領域内にはヒットレスポイント504や中継ポイント505を設定しないようにする必要がある。
中継ポイント505は、基本的には上記の条件を満たせばどこに設定しても構わないが、実用的には、ミラーを副軸周りに大きく回動できるように主軸周りの回動がほとんど零となる位置に中継ポイント505を設定することが好ましい。特に平行平板を使った静電駆動型の二軸MEMSミラーの場合、主軸周りと副軸周りに共に大きく回動させると、ミラーが電極と接触して離れなくなるプルイン状態に陥り易くなる。そこで、安定な動作を実現するには、ミラーを主軸周りにほぼ回動させない状態で副軸周りに大きく回動させた位置に中継ポイント505を設定すればよい。
[第1の実施の形態]
以下に、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明するが、本発明は以下で示す実施の形態の具体的な構成に限定されるものではない。
図2は本発明の第1の実施の形態に係る波長選択スイッチの制御装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係わる波長選択スイッチにおいては、図12、図14を参照して説明した従来の構成要素と同等の構成要素については同じ名称および符号を付し、適宜説明を省略する。
制御装置1の制御電圧生成部3は、ミラー301の所望の回動角度に応じて制御電圧Vx,Vyを設定する。バイアス電圧生成部4は、所定のバイアス電圧Vbiasを提示する。その方法として、例えば、ミラー毎、もしくはミラーとポート毎にバイアス電圧を定めたテーブルデータを制御装置1内のメモリに記録しておき、必要に応じて、要求されたミラー、ポートのバイアス電圧を呼び出す方法がある。
電極電圧演算部5は、制御電圧生成部3から提示されたVx,Vyとバイアス電圧生成部4から提示されたバイアス電圧Vbiasを基に、電極305a,305b,305c,305dに印加する電極電圧を算出して、算出後の電極電圧を対応する電極305a,305b,305c,305dに印加する。
4つの電極305a,305b,305c,305dに印加される電圧Va,Vb,Vc,Vdは、式(1)〜式(4)のように表される。電極305a,305bに印加するバイアス電圧と電極305c,305dに印加するバイアス電圧とは、必ずしも同じ値である必要はない。
図3は本実施の形態の波長選択スイッチのヒットレス動作を示すフローチャートである。ここでは、出力ポート202−Aから出力ポート202−Bへ切り替える場合について説明する。なお、A,Bは、1から出力ポート数Nまでの任意の整数をとることは言うまでもない。
最初に、二軸MEMSミラー装置204のミラー301によって反射された光信号は出力ポート202−Aに入射しており、出力ポート202−Aと結合状態になっていると仮定する(図3ステップS1100)。
この結合状態の最中に、出力ポート202−Aから出力ポート202−Bへのスイッチ命令を外部から受信すると(ステップS1101)、波長選択スイッチの制御装置1は、以下のようなヒットレス動作を行う。
制御装置1の制御電圧生成部3、バイアス電圧生成部4および電極電圧演算部5は、出力ポート202−Aのヒットレスポイント504−Aに対応する電圧を生成して二軸MEMSミラー装置204の電極305a,305b,305c,305dに印加する。この電圧印加により、二軸MEMSミラー装置204のミラー301が主軸周りおよび副軸周りに回動し、制御電圧Vx−Vy平面上であらかじめ定められた、出力ポート202−Aのヒットレスポイント504−Aに電圧の軌跡が移動する(ステップS1102)。
続いて、制御電圧生成部3、バイアス電圧生成部4および電極電圧演算部5は、中継ポイント505に対応する電圧を生成して電極305a,305b,305c,305dに印加する。この電圧印加により、ミラー301が回動し、制御電圧Vx−Vy平面上であらかじめ定められた中継ポイント505に電圧の軌跡が移動する(ステップS1103)。
次に、制御電圧生成部3、バイアス電圧生成部4および電極電圧演算部5は、出力ポート202−Bのヒットレスポイント504−Bに対応する電圧を生成して電極305a,305b,305c,305dに印加する。この電圧印加により、ミラー301が回動し、制御電圧Vx−Vy平面上であらかじめ定められた、出力ポート202−Bのヒットレスポイント504−Bに電圧の軌跡が移動する(ステップS1104)。
最後に、制御電圧生成部3、バイアス電圧生成部4および電極電圧演算部5は、出力ポート202−Bと結合状態になる電極電圧を算出して電極305a,305b,305c,305dに印加する。この電圧印加により、ミラー301が回動し、出力ポート202−Bと適切な結合状態になるポイントに電圧の軌跡が移動する(ステップS1105)。
ヒットレスポイントおよび中継ポイントは、発明の原理で説明したように設定しておけばよい。
本実施の形態では、以上の手順でミラー301を制御することにより、出力ポート202−Aと出力ポート202−Bとの間に存在する出力ポートへの光出力の漏れ(クロストーク)を、ヒットレスポイントおよび中継ポイントを設定する際に考慮した所定のクロストーク以下に抑えることができる。
なお、ステップS1102〜S1105の制御においては、電極305a,305b,305c,305dに印加する制御電圧とバイアス電圧のうち、制御電圧のみを変更する場合を想定している。制御電圧とバイアス電圧の両方を変更する場合については、後で述べる第3の実施の形態で説明する。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態では、出力ポート202−Aから出力ポート202−Bに切り替える場合に、電圧の軌跡が中継ポイントを通らなくても、各出力ポートに要求されるクロストーク以下で切り替えが可能な場合は、中継ポイントを通らずに、電圧の軌跡が出力ポート202−Aのヒットレスポイントと出力ポート202−Bのヒットレスポイント間を移動するように制御する。すなわち、図3のステップS1103の処理を省き、ステップS1102の処理から直接ステップS1104の処理へ進むようにすればよい。こうして、本実施の形態では、不要な動作を省き、波長選択スイッチの切替時間を短縮することが可能となる。
中継ポイントを通過する必要のない出力ポート間のスイッチング例としては、切替元の出力ポートと切替先の出力ポートとの間にスイッチングに関係しないポートが存在しない場合、すなわち隣接ポート間のスイッチングがある。例えば図1の例の場合、出力ポート201−1から出力ポート201−2に切り替える場合が該当する。また、中継ポイントを通過する必要のない出力ポート間のスイッチングの別の例として、電圧平面上において、切替元の出力ポートのヒットレスポイントと切替先の出力ポートのヒットレスポイントの両方が、正の制御電圧Vx側にある場合、あるいは負の制御電圧Vx側にある場合がある。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態では、波長選択スイッチの二軸MEMSミラー装置204として、バイアス電圧によってV−θ特性が変わるミラー装置を用いた場合のヒットレス動作を説明する。
図4は本実施の形態に係る二軸MEMSミラー装置204の構造例を示す斜視図である。ミラー601は、トーションばね603a,603bを介して板ばね602a,602bの一端に接続されている。板ばね602a,602bの他端は、固定されている外周部604a,604bにそれぞれ接続されている。ミラー601と板ばね602a,602bとトーションばね603a,603bと外周部604a,604bとは、例えばシリコンプロセスにより一体形成される。
ミラー601と板ばね602a,602bとトーションばね603a,603bと外周部604a,604bとからなる上部構造に対して、この上部構造と対向する図示しない基板上には、電極605a,605bが板ばね602a,602bと対向するように配置されている。
例えば、電極605aに電圧を印加すると、グランドに接続されている板ばね602aと電極605aとの間に静電引力が発生し、板ばね602aは電極605aの方向に引き付けられる。板ばね602aは、片端が外周部604aに固定されているため、トーションばね603a側が電極605aの方向に引き付けられるように変位する。この結果、ミラー601は、トーションばね304bを支点としてトーションばね603a側が電極605aの方向に引き付けられるようにして回動する。これは、主軸周りにミラー601が回動していることになる。
また、ミラー601と板ばね602a,602bとトーションばね603a,603bと外周部604a,604bとからなる上部構造に対して、この上部構造と対向する図示しない基板上には、電極605c,605dがミラー601と対向するように配置されている。例えば、電極605cに電圧を印加すると、ミラー601は、電極605cとの間に発生した静電引力により電極605c側に傾くようにして回動する。これは、副軸周りにミラー601が回動していることになる。
図4に示したような二軸MEMSミラー装置204は、例えば国際公開公報WO/2008/129988に開示されている。
このミラー装置の特徴として、板ばね602a,602bの一端が固定されているため、電極605a,605b,605c,605dにバイアス電圧を印加すると、ミラー601が回動すると共に静電引力によりミラー601の中心位置が電極側に変位する。すなわち、ミラー601と電極605c,605d間のギャップ(距離)がバイアス電圧に依存する。
静電引力はギャップの2乗に反比例するので、ギャップが変わると、V−θ特性が大きく変わる。図4に示した二軸MEMSミラー装置204においてバイアス電圧が大きいときのV−θ特性を図5(A)に示し、バイアス電圧が小さいときのV−θ特性を図5(B)に示す。なお、ここではバイアス電圧と制御電圧とを加算した電圧を電極への印加電圧Vとしている。図5(A)、図5(B)から分かるように、バイアス電圧が大きい方が電圧Vに対するミラー601の角度変化量が大きくなる。
図6(A)、図6(B)に、出力ポート202の数をN=10とし、図4に示した二軸MEMSミラー装置204を用いた場合の、制御電圧Vx−Vy平面上の光損失等高線を示す。図6(A)はバイアス電圧が大きいときの光損失等高線を示し、図6(B)はバイアス電圧が小さいときの光損失等高線を示している。700−1〜700−10は、それぞれ出力ポート202−1〜202−10の光損失等高線である。図17の場合と同様に、各同心楕円は、その中心に向かうほど、対応する出力ポート202の光損失が小さくなることを表しており、各同心楕円の中心座標は、対応する出力ポート202の光損失が最小となる制御電圧Vx,Vyを表している。ここでは、各同心楕円の中心を通る線をオフセットライン701として示している。
電極に同じ電圧を加えても、バイアス電圧が大きいほどミラー601の回動角度も大きくなるため、光損失等高線は縮まって見える。図6(A)、図6(B)はミラー601の副軸周りの回動を制御する電極605c,605dに印加するバイアス電圧を変えた例であるが、バイアス電圧を小さくすると、光損失等高線がVy方向に沿って伸びることが分かる。
定性的には、バイアス電圧が大きいと、光損失等高線が広い範囲にわたって観測できるようになるうえ、ミラーのV−θ特性の線形性が向上して制御が容易になる反面、ミラーを回動させない状態でも大きなバイアス電圧を加えておかなければならないというデメリットがある。逆に、バイアス電圧が小さいと、ミラーのV−θ特性の非線形性が大きい反面、ミラーの回動角度が小さい状態では電極に低いバイアス電圧を印加するだけで済むこと、および電圧当たりの光損失変化量が小さいために微小な光損失制御が可能になることなどのメリットがある。
このような性質から、ある出力ポートとの結合動作時には、低電圧動作かつ微小損失制御性を狙ってバイアス電圧を小さくし、ヒットレス動作を行うポート切替動作時には、光損失が十分大きなヒットレス経路の確保および直線的な移動でも途中ポートを横切りにくいV−θの線形性向上を狙って、バイアス電圧を大きくするという制御方法が考えられる。
図7(A)に結合動作時における制御電圧Vx−Vy平面上の光損失等高線を示す。702−1〜702−10は、それぞれ出力ポート202−1〜202−10に対応するヒットレスポイントである。また、703−1〜703−10は、それぞれ出力ポート202−1〜202−10との結合動作時の損失制御に用いる電圧の軌跡である。
つまり、出力ポート202−1〜202−10との結合動作時には、それぞれ軌跡703−1〜703−10上のどこかに制御電圧Vx,Vyを設定することで、出力ポート202−1〜202−10との結合状態を調整し、光の減衰率の調整を行う。なお、電圧の軌跡703−1〜703−10は、同心楕円の中心と必要な光損失を示す同心楕円上の任意の点とを結ぶ線であればよく、直線である必要はない。
図7(B)にポート切替動作時における制御電圧Vx−Vy平面上の光損失等高線を示す。704−1〜704−10はそれぞれ出力ポート202−1〜202−10に対応するヒットレスポイント、705は中継ポイントである。ヒットレスポイント704−1〜704−10の制御電圧Vx,Vyの値は、結合動作時におけるヒットレスポイント702−1〜702−10の制御電圧Vx,Vyの値と変わらない。図7(A)との違いはバイアス電圧が異なることである。ヒットレスポイント704−1〜704−10および中継ポイント705は、ポート切替動作時における制御電圧Vx−Vy平面上の光損失等高線を対象として、上記発明の原理および第1の実施の形態で説明したように設定すればよい。
図8は本実施の形態に係る波長選択スイッチの制御装置の構成を示すブロック図である。制御装置10の制御電圧生成部12は、ミラー601の所望の回動角度に応じて制御電圧Vx,Vyを設定する。
バイアス電圧生成部13は、バイアス電圧Vbiasを提示する。その方法については前述した。
電極電圧演算部14は、制御電圧生成部12が算出した制御電圧Vx,Vyとバイアス電圧生成部13が提示したバイアス電圧Vbiasを基に、電極毎の電極電圧を算出して、算出後の電極電圧を対応する電極605a,605b,605c,605dに印加する。4つの電極605a,605b,605c,605dに印加される電圧Va,Vb,Vc,Vdは、式(5)〜式(8)のように表される。
Va=Vx+Vxbias ・・・(5)
Vb=−Vx+Vxbias ・・・(6)
Vc=Vy+Vybias ・・・(7)
Vd=−Vy+Vybias ・・・(8)
Vxbiasはミラー601の主軸周りの回動に関係するバイアス電圧、Vybiasはミラー601の副軸周りの回動に関係するバイアス電圧である。
図9は本実施の形態の波長選択スイッチのヒットレス動作を示すフローチャートである。図3と同様に、出力ポート202−Aから出力ポート202−Bへ切り替える場合について説明する。
最初に、二軸MEMSミラー装置204のミラー601によって反射された光信号は出力ポート202−Aに入射しており、出力ポート202−Aと結合状態になっていると仮定する(図9ステップS1600)。このとき、バイアス電圧生成部13は、出力ポート202−Aに対応する、結合動作時用のバイアス電圧Vxbias_ope,Vybias_opeを出力している。そして、光損失等高線は図7(A)のようになっており、制御電圧Vx−Vy平面上での電圧は軌跡703−A上に設定されている。
この結合状態の最中に、出力ポート202−Aから出力ポート202−Bへのスイッチ命令を外部から受信すると(ステップS1601)、波長選択スイッチの制御装置10は、以下のようなヒットレス動作を行う。
制御装置10の制御電圧生成部12は、出力ポート202−Aのヒットレスポイント702−Aに対応する制御電圧Vx,Vyを算出し、バイアス電圧生成部13は、出力ポート202−Aに対応する、結合動作時用のバイアス電圧Vxbias_ope,Vybias_opeを提示する。これらの値を基に電極電圧演算部14で算出された電極電圧を各電極に出力することにより、二軸MEMSミラー装置204のミラー601が主軸周りおよび副軸周りに回動する。その結果として、制御電圧Vx−Vy平面上であらかじめ定められた、出力ポート202−Aのヒットレスポイント702−Aに電圧の軌跡が移動する(ステップS1602)。なお、このときの状態では、バイアス電圧Vxbias_ope,Vybias_opeが結合動作時用の電圧になっているので、光損失等高線は図7(A)のようになっている。
次に、制御電圧生成部12が出力ポート202−Aのヒットレスポイント702−Aに対応した制御電圧±Vx,±Vyを維持したまま、バイアス電圧生成部13は、バイアス電圧Vbiasをポート切替動作時用のバイアス電圧Vxbias_switch,Vybias_switchに変更する(ステップS1603)。これにより、光損失等高線は図7(B)のように変わる。
続いて、バイアス電圧生成部13がポート切替動作時用のバイアス電圧Vxbias_switch,Vybias_switchを維持したまま、制御電圧生成部12は、中継ポイント705に対応する制御電圧Vx,Vyを算出する。この電圧出力により、ミラー601が回動し、制御電圧Vx−Vy平面上であらかじめ定められた中継ポイント705に電圧の軌跡が移動する(ステップS1604)。
次に、バイアス電圧生成部13がポート切替動作時用のバイアス電圧Vxbias_switch,Vybias_switchを維持したまま、制御電圧生成部12は、出力ポート202−Bのヒットレスポイント704−Bに対応する制御電圧Vx,Vyを算出する。この電圧出力により、ミラー601が回動し、制御電圧Vx−Vy平面上であらかじめ定められた、出力ポート202−Bのヒットレスポイント704−Bに電圧の軌跡が移動する(ステップS1605)。
続いて、制御電圧生成部12が出力ポート202−Bのヒットレスポイント704−Bに対応した制御電圧Vx,Vyを維持したまま、バイアス電圧生成部13は、バイアス電圧を、出力ポート202−Bに対応する、結合動作時用のバイアス電圧Vxbias_ope,Vybias_opeに変更する(ステップS1606)。これにより、光損失等高線は図7(A)のように変わる。
最後に、バイアス電圧生成部13が出力ポート202−Bに対応する、結合動作時用のバイアス電圧Vxbias_ope,Vybias_opeを維持したまま、制御電圧生成部12は、出力ポート202−Bと結合状態になる制御電圧Vx,Vyを算出する。この電圧出力により、ミラー601が回動し、出力ポート202−Bと適切な結合状態になるポイントに電圧の軌跡が移動する(ステップS1607)。このとき、制御電圧Vx−Vy平面上での電圧は軌跡703−B上に設定される。
本実施の形態では、以上の手順でミラー601を制御することにより、出力ポート202−Aと出力ポート202−Bとの間に存在する出力ポートへのクロストークを、ヒットレスポイントおよび中継ポイントを設定する際に考慮した所定のクロストーク以下に抑えることができる。本実施の形態では、バイアス電圧によってV−θ特性が変わる二軸MEMSミラー装置を用いた波長選択スイッチにおいて、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第3の実施の形態と別の制御例を示すものである。本実施の形態においても、波長選択スイッチの制御装置の構成は第3の実施の形態と同様であるので、図8の符号を用いて説明する。
図10は本実施の形態の波長選択スイッチのヒットレス動作を示すフローチャートである。図9と同様に、出力ポート202−Aから出力ポート202−Bへ切り替える場合について説明する。
最初に、二軸MEMSミラー装置204のミラー601によって反射された光信号は出力ポート202−Aに入射しており、出力ポート202−Aと結合状態になっていると仮定する(図10ステップS1700)。このとき、バイアス電圧生成部13は、出力ポート202−Aに対応する、結合動作時用のバイアス電圧Vxbias_ope,Vybias_opeを出力している。そして、光損失等高線は図7(A)のようになっており、制御電圧Vx−Vy平面上での電圧は軌跡703−A上に設定されている。
この結合状態の最中に、出力ポート202−Aから出力ポート202−Bへのスイッチ命令を外部から受信すると(ステップS1701)、波長選択スイッチの制御装置10は、以下のようなヒットレス動作を行う。
制御装置10の制御電圧生成部12は、出力ポート202−Aの結合動作時用のヒットレスポイント702−Aに対応する制御電圧Vx_ope,Vy_opeを出力し、バイアス電圧生成部13は、出力ポート202−Aに対応する、結合動作時用のバイアス電圧Vxbias_ope,Vybias_opeを出力する。この電圧出力により、二軸MEMSミラー装置204のミラー601が主軸周りおよび副軸周りに回動するので、ミラー601によって反射される光信号が移動する。その結果として、制御電圧Vx−Vy平面上であらかじめ定められた、出力ポート202−Aのヒットレスポイント702−Aに電圧の軌跡が移動する(ステップS1702)。なお、このときの状態では、バイアス電圧Vxbias_ope,Vybias_opeが出力ポート202−Aに対応する、結合動作時用の電圧になっているので、光損失等高線は図7(A)のようになっている。
次に、バイアス電圧生成部13は、バイアス電圧をポート切替動作時用のバイアス電圧Vxbias_switch,Vybias_switchに変更する。制御電圧生成部12は、出力ポート202−Aに対応する、結合動作時用のバイアス電圧Vxbias_ope,Vybias_opeがかかっているときのヒットレスポイント702−Aに対応する制御電圧Vx_ope,Vy_opeから、ポート切替動作時用のバイアス電圧Vxbias_switch,Vybias_switchがかかっているときのヒットレスポイント704−Aに対応する制御電圧Vx_switch,Vy_switchに変更する(ステップS1703)。これにより、光損失等高線は図7(B)のように変わる。
本実施の形態と第3の実施の形態との大きな違いは、第3の実施の形態ではヒットレスポイントへ移動するときには制御電圧の値は変えずに、バイアス電圧だけを変えていたのに対して、本実施の形態では、制御電圧もバイアス電圧変更時に一度に変えてしまうところにある。ミラーの角度状態がバイアス電圧を変える前後で大きく変わらなければ、このように同時に、制御電圧とバイアス電圧を変えても、ミラーが不測の挙動を示すことはない。
次に、バイアス電圧生成部13がポート切替動作時用のバイアス電圧Vxbias_switch,Vybias_switchを維持したまま、制御電圧生成部12は、中継ポイント705に対応する制御電圧Vx,Vyを出力する。この電圧出力により、ミラー601が回動し、制御電圧Vx−Vy平面上であらかじめ定められた中継ポイント705に電圧の軌跡が移動する(ステップS1704)。
次に、バイアス電圧生成部13がポート切替動作時用のバイアス電圧Vxbias_switch,Vybias_switchを維持したまま、制御電圧生成部12は、出力ポート202−Bの切替動作時用のヒットレスポイント704−Bに対応する制御電圧Vx_switch,Vy_switchを出力する。このような電圧出力により、ミラー601が回動し、制御電圧Vx−Vy平面上であらかじめ定められた、出力ポート202−Bのヒットレスポイント704−Bに電圧の軌跡が移動する(ステップS1705)。
続いて、バイアス電圧生成部13は、バイアス電圧を出力ポート202−Bに対応する、結合動作時用のバイアス電圧Vxbias_ope,Vybias_opeに変更する。制御電圧生成部12は、ポート切替動作時用のバイアス電圧Vxbias_switch,Vybias_switchがかかっているときのヒットレスポイント704−Bに対応する制御電圧Vx_switch,Vy_switchから、出力ポート202−Bに対応する、結合動作時用のバイアス電圧Vxbias_ope,Vybias_opeがかかっているときのヒットレスポイント702−Bに対応する制御電圧Vx_ope,Vy_opeに変更する(ステップS1706)。これにより、光損失等高線は図7(A)のように変わる。
最後に、バイアス電圧生成部13が出力ポート202−Bに対応する、結合動作時用のバイアス電圧Vxbias_ope,Vybias_opeを維持したまま、制御電圧生成部12は、出力ポート202−Bと結合状態になる制御電圧Vx,Vyを出力する。この電圧出力により、ミラー601が回動し、出力ポート202−Bと適切な結合状態になるポイントに電圧の軌跡が移動する(ステップS1707)。このとき、制御電圧Vx−Vy平面上での電圧は軌跡703−B上に設定される。
本実施の形態では、以上の手順でミラー601を制御することにより、出力ポート202−Aと出力ポート202−Bとの間に存在する出力ポートへのクロストークを、ヒットレスポイントおよび中継ポイントを設定する際に考慮した所定のクロストーク以下に抑えることができ、第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
[第5の実施の形態]
第3、第4の実施の形態において、出力ポート202−Aから出力ポート202−Bに切り替える場合に、電圧の軌跡が中継ポイントを通らなくても、各出力ポートに要求されるクロストーク以下で切り替えが可能な場合は、中継ポイントを通らずに、電圧の軌跡が出力ポート202−Aのヒットレスポイントと出力ポート202−Bのヒットレスポイント間を移動するように制御してもよい。
すなわち、第3の実施の形態においては図9のステップS1604の処理を省き、ステップS1603の処理から直接ステップS1605の処理へ進むようにすればよく、第4の実施の形態においては図10のステップS1703の処理から直接ステップS1705の処理へ進むようにすればよい。こうして、第2の実施の形態と同様に、不要な動作を省き、波長選択スイッチの切替時間を短縮することが可能となる。
これまで説明してきた、制御電圧、バイアス電圧、ヒットレスポイント、中継ポイントなどの制御に必要な値は、事前にV−θ特性や光損失等高線を調査することにより、適切に決めることができる。これらの値を波長選択スイッチの制御装置に記録しておけば、スイッチするときなどの必要な時にこれらを呼び出すことで、所望の性能を有するヒットレス動作を実現することができる。
なお、第1〜第5の実施の形態では、波長の異なる複数の光信号を分波して任意の出力ポートから出力するDrop型の波長選択スイッチを対象として説明してきたが、これに限るものではなく、波長の異なる複数の光信号を合波して1つの出力ポートから出力するAdd型の波長選択スイッチを対象としてもよい。Add型の波長選択スイッチを対象とする場合は、上記発明の原理および第1〜第5の実施の形態における出力ポートに関する説明を、入力ポートに関する説明に置き換えればよい。
本発明は、二軸ミラー装置を用いた波長選択スイッチに適用することができる。
1,10…制御装置、3,12…制御電圧生成部、4,13…バイアス電圧生成部、5,14…電極電圧演算部、101,201…入力ポート、102,202…出力ポート、103…分散空間光学系、104,204…二軸MEMSミラー装置、203…光学系、301,601…ミラー、302…ジンバルリング、303a,303b,304a,304b,603a,603b…トーションばね、305a〜305d,605a〜605d…電極、602a,602b…板ばね、604a,604b…外周部。

Claims (10)

  1. 少なくとも1つの入力ポートから入力された波長の異なる複数の入力光を分波して複数の出力ポートのうち所望の出力ポートから出力するDrop型の波長選択スイッチ、または複数の入力ポートから入力された波長の異なる複数の入力光を合波して所望の出力ポートから出力するAdd型の波長選択スイッチにおいて、
    入力光を入力する前記入力ポートと、
    出力光を出力する前記出力ポートと、
    入力光の波長毎に設けられ、前記入力ポートを出射した入力光を偏向させて前記出力ポートに入射させる二軸ミラー装置と、
    前記入力ポートからの入力光を所望の前記出力ポートに光パス接続すべく前記二軸ミラー装置を制御する制御装置とを備え、
    Drop型の波長選択スイッチの場合は前記出力ポートを選択ポートとし、Add型の波長選択スイッチの場合は前記入力ポートを選択ポートとし、
    前記二軸ミラー装置は、
    前記選択ポートが並ぶ方向と直交する主軸および前記選択ポートが並ぶ方向と平行な副軸の二つの回動軸周りに回動可能なミラーと、
    このミラーから離間して配置された複数の電極とを有し、
    前記制御装置は、切替元の選択ポートに結合した状態から切替先の選択ポートに結合した状態に遷移する際に、最初に、前記切替元の選択ポートのあらかじめ定められたヒットレスポイントに対応する電圧を前記電極に印加し、次に、あらかじめ定められた中継ポイントに対応する電圧を前記電極に印加し、次に、前記切替先の選択ポートのあらかじめ定められたヒットレスポイントに対応する電圧を前記電極に印加し、最後に、前記切替先の選択ポートと結合状態になる電圧を前記電極に印加し、
    前記ヒットレスポイントと中継ポイントは、選択ポートを切り替えるときに、要求されるクロストークを下回るように設定されることを特徴とする波長選択スイッチ。
  2. 請求項1記載の波長選択スイッチにおいて、
    前記中継ポイントは、前記ミラーの主軸周りの回動角度が略零となる位置に設定されることを特徴とする波長選択スイッチ。
  3. 請求項1または2記載の波長選択スイッチにおいて、
    前記制御装置は、切替元の選択ポートに結合した状態から切替先の選択ポートに結合した状態に遷移する際に、最初に、前記切替元の選択ポートのあらかじめ定められたヒットレスポイントに対応する制御電圧と前記切替元の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧とを加算した電圧を前記電極に印加し、次に、前記切替元の選択ポートのヒットレスポイントに対応する制御電圧を維持したまま、バイアス電圧をポート切替動作時用のバイアス電圧に変更し、次に、前記ポート切替動作時用のバイアス電圧を維持したまま、制御電圧をあらかじめ定められた中継ポイントに対応する制御電圧に変更し、次に、前記ポート切替動作時用のバイアス電圧を維持したまま、制御電圧を前記切替先の選択ポートのあらかじめ定められたヒットレスポイントに対応する制御電圧に変更し、次に、前記切替先の選択ポートのヒットレスポイントに対応する制御電圧を維持したまま、バイアス電圧を前記切替先の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧に変更し、最後に、前記切替先の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧を維持したまま、制御電圧を前記切替先の選択ポートと結合状態になる制御電圧に変更することを特徴とする波長選択スイッチ。
  4. 請求項1または2記載の波長選択スイッチにおいて、
    前記制御装置は、切替元の選択ポートに結合した状態から切替先の選択ポートに結合した状態に遷移する際に、最初に、前記切替元の選択ポートのあらかじめ定められた結合動作時用のヒットレスポイントに対応する制御電圧と前記切替元の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧とを加算した電圧を前記電極に印加し、次に、制御電圧を前記切替元の選択ポートのあらかじめ定められたポート切替動作時用のヒットレスポイントに対応する制御電圧に変更すると共に、バイアス電圧をポート切替動作時用のバイアス電圧に変更し、次に、前記ポート切替動作時用のバイアス電圧を維持したまま、制御電圧をあらかじめ定められた中継ポイントに対応する制御電圧に変更し、次に、前記ポート切替動作時用のバイアス電圧を維持したまま、制御電圧を前記切替先の選択ポートのあらかじめ定められた切替動作時用のヒットレスポイントに対応する制御電圧に変更し、次に、制御電圧を前記切替先の選択ポートに対応するあらかじめ定められた結合動作時用のヒットレスポイントに対応する制御電圧に変更すると共に、バイアス電圧を前記切替先の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧に変更し、最後に、前記切替先の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧を維持したまま、制御電圧を前記切替先の選択ポートと結合状態になる制御電圧に変更することを特徴とする波長選択スイッチ。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の波長選択スイッチにおいて、
    前記制御装置は、切替元の選択ポートに結合した状態から切替先の選択ポートに結合した状態に遷移する際に、前記中継ポイントを経由しなくても各選択ポートに要求されるクロストーク以下で切り替えが可能な場合は、前記中継ポイントを経由せずに、前記切替元の選択ポートのヒットレスポイントと前記切替先の選択ポートのヒットレスポイントとの間を移動するように制御することを特徴とする波長選択スイッチ。
  6. 少なくとも1つの入力ポートから入力された波長の異なる複数の入力光を分波して複数の出力ポートのうち所望の出力ポートから出力するDrop型の波長選択スイッチ、または複数の入力ポートから入力された波長の異なる複数の入力光を合波して所望の出力ポートから出力するAdd型の波長選択スイッチの制御方法において、
    Drop型の波長選択スイッチの場合は前記出力ポートを選択ポートとし、Add型の波長選択スイッチの場合は前記入力ポートを選択ポートとし、
    前記入力ポートを出射した入力光を偏向させて前記出力ポートに入射させる二軸ミラー装置は、
    前記選択ポートが並ぶ方向と直交する主軸および前記選択ポートが並ぶ方向と平行な副軸の二つの回動軸周りに回動可能なミラーと、
    このミラーから離間して配置された複数の電極とを有し、
    切替元の選択ポートに結合した状態から切替先の選択ポートに結合した状態に遷移する際に、最初に、前記切替元の選択ポートのあらかじめ定められたヒットレスポイントに対応する電圧を前記電極に印加するステップと、
    あらかじめ定められた中継ポイントに対応する電圧を前記電極に印加するステップと、
    前記切替先の選択ポートのあらかじめ定められたヒットレスポイントに対応する電圧を前記電極に印加するステップと、
    前記切替先の選択ポートと結合状態になる電圧を前記電極に印加するステップとを備え、
    前記ヒットレスポイントと中継ポイントは、選択ポートを切り替えるときに、要求されるクロストークを下回るように設定されることを特徴とする波長選択スイッチの制御方法。
  7. 請求項6記載の波長選択スイッチの制御方法において、
    前記中継ポイントは、前記ミラーの主軸周りの回動角度が略零となる位置に設定されることを特徴とする波長選択スイッチの制御方法。
  8. 請求項6または7記載の波長選択スイッチの制御方法において、
    切替元の選択ポートに結合した状態から切替先の選択ポートに結合した状態に遷移する際に、最初に、前記切替元の選択ポートのあらかじめ定められたヒットレスポイントに対応する制御電圧と前記切替元の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧とを加算した電圧を前記電極に印加するステップと、
    前記切替元の選択ポートのヒットレスポイントに対応する制御電圧を維持したまま、バイアス電圧をポート切替動作時用のバイアス電圧に変更するステップと、
    前記ポート切替動作時用のバイアス電圧を維持したまま、制御電圧をあらかじめ定められた中継ポイントに対応する制御電圧に変更するステップと、
    前記ポート切替動作時用のバイアス電圧を維持したまま、制御電圧を前記切替先の選択ポートのあらかじめ定められたヒットレスポイントに対応する制御電圧に変更するステップと、
    前記切替先の選択ポートのヒットレスポイントに対応する制御電圧を維持したまま、バイアス電圧を前記切替先の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧に変更するステップと、
    前記切替先の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧を維持したまま、制御電圧を前記切替先の選択ポートと結合状態になる制御電圧に変更するステップとを備えることを特徴とする波長選択スイッチの制御方法。
  9. 請求項6または7記載の波長選択スイッチの制御方法において、
    切替元の選択ポートに結合した状態から切替先の選択ポートに結合した状態に遷移する際に、最初に、前記切替元の選択ポートのあらかじめ定められた結合動作時用のヒットレスポイントに対応する制御電圧と前記切替元の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧とを加算した電圧を前記電極に印加するステップと、
    制御電圧を前記切替元の選択ポートのあらかじめ定められたポート切替動作時用のヒットレスポイントに対応する制御電圧に変更すると共に、バイアス電圧をポート切替動作時用のバイアス電圧に変更するステップと、
    前記ポート切替動作時用のバイアス電圧を維持したまま、制御電圧をあらかじめ定められた中継ポイントに対応する制御電圧に変更するステップと、
    前記ポート切替動作時用のバイアス電圧を維持したまま、制御電圧を前記切替先の選択ポートのあらかじめ定められた切替動作時用のヒットレスポイントに対応する制御電圧に変更するステップと、
    制御電圧を前記切替先の選択ポートに対応するあらかじめ定められた結合動作時用のヒットレスポイントに対応する制御電圧に変更すると共に、バイアス電圧を前記切替先の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧に変更するステップと、
    前記切替先の選択ポートに対応する結合動作時用のバイアス電圧を維持したまま、制御電圧を前記切替先の選択ポートと結合状態になる制御電圧に変更するステップとを備えることを特徴とする波長選択スイッチの制御方法。
  10. 請求項6乃至9のいずれか1項に記載の波長選択スイッチの制御方法において、
    切替元の選択ポートに結合した状態から切替先の選択ポートに結合した状態に遷移する際に、前記中継ポイントを経由しなくても各選択ポートに要求されるクロストーク以下で切り替えが可能な場合は、前記中継ポイントを経由せずに、前記切替元の選択ポートのヒットレスポイントと前記切替先の選択ポートのヒットレスポイントとの間を移動するように制御することを特徴とする波長選択スイッチの制御方法。
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