正常個体(左)及びβグロビン鎖機能障害のある個体(右)における異なるグロビン鎖について、在胎及び生後週齢(x軸)に対する総ヘモグロビンのパーセント(y軸)の例を示す図である。図167−2、167章より改変、修正。Cecil Medicine 23rd ed., Lee W. Goldman, Dennis A. Ausiello, W.B. Saunders Elsevier 2008。
ヒトBCL11Aの3つの主要アイソフォーム(S、L、及びXL)を示す概略図である(一定の縮尺ではない)。エクソンは、各アイソフォームで認められるとおり、5’から3’に表示している。
25μMの濃度の、BCL11Aを標的とする401アンチセンスオリゴヌクレオチドによる、ヒトREH細胞におけるBCL11A−XL mRNA発現の例示的な阻害を示す図である。
0.0064〜20μMの範囲のオリゴヌクレオチド濃度で、BCL11Aを標的とする選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドによる、ヒトREH細胞におけるBCL11A−XL mRNA発現の例示的な阻害を示す図である。
0.0064〜20μMの範囲のオリゴヌクレオチド濃度で、BCL11Aを標的とする選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドによる、ヒトREH細胞におけるBCL11A−XL mRNA発現の例示的な阻害を示す図である。
0.25〜60μMの範囲のオリゴヌクレオチド濃度で、BCL11Aを標的とするオリゴ4(上)及び5(下)から設計された、選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドによる、ヒトREH細胞におけるBCL11A−XL mRNA発現の例示的な阻害を示す図である。
0.25〜60μMの範囲のオリゴヌクレオチド濃度で、BCL11Aを標的とするオリゴ4(上)及び5(下)から設計された、選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドによる、ヒトREH細胞におけるBCL11A−XL mRNA発現の例示的な阻害を示す図である。
0.25〜60μMの範囲の濃度の、選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドによる、ヒトREH細胞におけるBCL11A−XLの主要アイソフォーム(S、L、及びXL)mRNA発現の例示的な阻害を示す図である。BCL11A XL、L及びSアイソフォームのmRNAの測定値を、各々の処置群での各濃度につき左、中央及び右カラムにそれぞれ示す。
0.08〜20μMの範囲の濃度の、選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドによる、マウスMPC−11細胞におけるマウスBCL11A mRNA発現の例示的な阻害を示す図である。マウスBCL11Aの全アイソフォーム(BCL11A−All)及びアイソフォームL(BCL11A−L)の測定値を、各々の処置群での各濃度につき左及び右カラムにそれぞれ示す。
BCL11Aを標的とする選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチド15mg/kgを服用させた雌性NMRIマウスの群の骨髄(上)及び脾臓(下)におけるBCL11A mRNA発現の例示的な阻害を示す図である。骨髄に対する測定には、各々のアンチセンスオリゴヌクレオチド処置群につき全アイソフォーム(左カラム)及びアイソフォームL(右カラム)が含まれる。
BCL11Aを標的とする選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドの25又は15mg/kgを投与後4週の野生型C57BL/6マウスの骨髄におけるBCL11A mRNAの例示的な阻害を示す図である。
BCL11Aを標的とする選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチド25又は15mg/kgを投与後8週の野生型C57BL/6マウスの骨髄におけるBCL11A mRNAの例示的な阻害を示す図である。
BCL11Aを標的とする選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチド15mg/kgを投与後8週のヒトβ−YAC遺伝子導入マウスの骨髄におけるBCL11A mRNAの例示的な阻害を示す図である。
BCL11Aを標的とする選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチド15mg/kgを投与後8週のヒトβ−YAC遺伝子導入マウスのTer119+及びCD19+骨髄細胞集団におけるBCL11A mRNAの例示的な阻害を示す図である。
瀉血(phleb.)及び非瀉血処置群のヒト以外の霊長類動物の、種々の処置日での末梢血中の例示的な総ヘモグロビン(g/L)を示す図である。媒質対照(生理食塩水)及び候補オリゴヌクレオチド4(10及び20mg/kg)処置群が示されている。
瀉血(phleb.)及び非瀉血処置群のヒト以外の霊長類動物の、種々の処置日での末梢血中の例示的な網状赤血球のパーセントを示す図である。媒質対照(生理食塩水)及び候補オリゴヌクレオチド4(10及び20mg/kg)処置群が示されている。
媒質対照(生理食塩水)又は候補オリゴヌクレオチド4を20mg/kg服用させた、ヒト以外の瀉血した霊長類動物の上腕骨骨髄における、研究の第7週での、GAPDHに正規化したBCL11Aの例示的な発現を示す図である。アイソフォームXL(左カラム)及び全アイソフォーム(右カラム)についての測定値を、各々の処置動物に関して示す。
媒質対照(生理食塩水)又は候補オリゴヌクレオチド4を20mg/kg服用させた、ヒト以外の瀉血した霊長類動物の上腕骨骨髄における、研究の第7週での、GAPDHに正規化した例示的なγ−及びβ−グロビンmRNAの発現を示す図である。ヒトγ−グロビン(ガンマ A+G、第1カラム)、アカゲザルγ−グロビン(HBG2、第2カラム)、アカゲザルβ−グロビン(HBB、第3カラム;HBB_mH、第4カラム)の測定値を、各々の処置群の各動物に関して示す。
対照(生理食塩水)及び候補オリゴヌクレオチド4(10及び20mg/kg)処置群に対する、ヒト以外の瀉血した霊長類動物の上腕骨(上)及び大腿骨(下)骨髄における、研究の第17週での、GAPDHに正規化したBCL11A mRNAの例示的な発現を示す図である。アイソフォームXL(左カラム)及び全アイソフォーム(右カラム)の測定値を、各々の処置群の各動物に関して示す。
対照(生理食塩水)及び候補オリゴヌクレオチド4(10及び20mg/kg)処置群に対する、ヒト以外の瀉血した霊長類動物の上腕骨(上)及び大腿骨(下)骨髄における、研究の第17週での、GAPDHに正規化したγ−グロビンmRNAの例示的な発現を示す図である。ヒトγ−グロビン(ガンマ A+G、左カラム)及びアカゲザルγ−グロビン(HBG2、右カラム)の測定値を、各々の処置群の各動物に関して示す。
ヒト以外の瀉血した霊長類動物の対照(生理食塩水)及び候補オリゴヌクレオチド4(10及び20mg/kg)処置群の上腕骨骨髄における、第17週での、GAPDHに正規化したγ−及びβ−グロビンmRNAの例示的な発現を示す図である。カラムの左から右で、各々の処置群の各動物に関して、ヒトγ−グロビン(ガンマ A+G)、アカゲザルγ−グロビン(HBG2)、アカゲザルβ−グロビン(RhHBB)、及びアカゲザルβ−グロビン(RhHBB_mH)の測定値をそれぞれ示す。
ヒト以外の瀉血した霊長類動物の対照(生理食塩水)及び候補オリゴヌクレオチド4(10及び20mg/kg)処置群の大腿骨骨髄における、第17週での、GAPDHに正規化したγ−及びβ−グロビンmRNAの例示的な発現を示す図である。カラムの左から右で、各々の処置群の各動物に関して、ヒトγ−グロビン(ガンマ A+G)、アカゲザルγ−グロビン(HBG2)、アカゲザルβ−グロビン(RhHBB)、及びアカゲザルβ−グロビン(RhHBB_mH)の測定値をそれぞれ示す。
対照(生理食塩水)及び候補オリゴヌクレオチド4(10及び20mg/kg)処置群の、ヒト以外の瀉血した霊長類動物の上腕骨骨髄における、第17週での、GAPDHに正規化したBCL11A(上)及びγ−グロビン(下)mRNAの例示的な平均発現を示す図である。BCL11AのアイソフォームXL(左カラム)及び全アイソフォーム(右カラム)の測定値を、各々の処置群の各動物に関して示す。ヒトγ−グロビン(ガンマ A+G、左カラム)及びアカゲザルγ−グロビン(HBG2、右カラム)の測定値を、各々の処置群の各動物に関して示す。
対照(生理食塩水)及び候補オリゴヌクレオチド4(10及び20mg/kg)処置群の、ヒト以外の瀉血した霊長類動物の大腿骨骨髄における、第17週での、GAPDHに正規化したBCL11A(上)及びγ−グロビン(下)mRNAの例示的な平均発現を示す図である。BCL11AのアイソフォームXL(左カラム)及び全アイソフォーム(右カラム)の測定値を、各々の処置群の各動物に関して示す。ヒトγ−グロビン(ガンマ A+G、左カラム)及びアカゲザルγ−グロビン(HBG2、右カラム)の測定値を、各々の処置群の各動物に関して示す。
ヒト以外の瀉血した霊長類動物に関し、骨髄中のF細胞の例示的な画分(‰)を、フルスケール(左)及び拡大スケール(右)で示す図である。
ヒト以外の瀉血した霊長類動物に関し、骨髄中のF細胞の例示的な画分(‰)を、フルスケール(左)及び拡大スケール(右)で示す図である。
ヒト以外の瀉血した霊長類動物に関し、末梢血中のF細胞の例示的な画分(‰)を、フルスケール(左)及び拡大スケール(右)で示す図である。
ヒト以外の瀉血した霊長類動物に関し、末梢血中のF細胞の例示的な画分(‰)を、フルスケール(左)及び拡大スケール(右)で示す図である。
第1回服用後の様々な週で、対照(上)、10mg/kg(中央)、及び20mg/kg(下)処置群のヒト以外の霊長類動物の末梢血におけるγ−グロビンタンパク質の例示的な測定値を示す図である。
対照処置群のγ−グロビンピーク(「ピーク1」又は「ピーク2」)のそれぞれの時間点での対照に対するパーセントとして、ヒト以外の霊長類動物の末梢血におけるγ−グロビンタンパク質の例示的な測定値を示す図である。
10mg/kg服用群のγ−グロビンピーク(「ピーク1」又は「ピーク2」)のそれぞれの時間点での対照に対するパーセントとして、ヒト以外の霊長類動物の末梢血におけるγ−グロビンタンパク質の測定例を示す図である。
20mg/kg服用群のγ−グロビンピーク(「ピーク1」又は「ピーク2」)のそれぞれの時間点での対照に対するパーセントとして、ヒト以外の霊長類動物の末梢血におけるγ−グロビンタンパク質の例示的な測定値を示す図である。
野生型マウスにおけるアンチセンスオリゴヌクレオチド4の経時的な血漿中濃度の例示的な測定値を示す図である。
野生型マウスからの、アンチセンスオリゴヌクレオチド4の種々の組織中の経時的な濃度の例示的な測定値を示す図である。
野生型マウスからの、アンチセンスオリゴヌクレオチド4の種々の組織中の経時的な組織濃度の例示的な測定値を示す図である。
単回投与での薬物動態の研究に基づく、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの骨髄中の予測濃度の例示的なモデルを示す図である。
定義
本発明がより容易に理解されるように、特定の用語を先ず、以下に定義する。以下の用語のさらなる定義、及び他の用語は、本明細書全体にわたって述べる。
「およそ」又は「約」:本明細書で使用する場合、「およそ」又は「約」の用語は1以上の対象となる数値に適用されると、記載した基準値に類似の数値のことを言う。特定の実施態様では、「およそ」又は「約」の用語は、特に断りない限り、あるいいは文脈から明白でない限り(以下のような数が可能な数値の100%を超えるであろう場合を除いて)、記載した基準値の(上回る、又は下回る)いずれの方向でも、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下のうちに該当する数値の範囲を言う。
生物活性のある(biologically active):本明細書で使用する場合、「生物活性のある」という語句は、生物系、インビトロ又はインビボ(例えば、生物体において)で活性を有するあらゆる薬剤の特性を言う。例えば、ある薬剤が生物体に投与された場合にその生物体に対して生物学的効果を有していれば、生物活性のあるものと考えられる。特定実施態様では、タンパク質又はポリペプチドに生物活性がある場合、そのタンパク質又はポリペプチドの少なくとも1つの生物活性を共有するタンパク質又はポリペプチドの一部は、典型的に「生物活性のある」一部と呼ばれる。
改善、増加(増強)、低下又は阻害する:本明細書で使用する場合、「改善」「増加」「低下」若しくは「阻害」の用語、又は文法的に等価な用語は、本明細書に記載される処置開始前の同一個体における測定値などのベースライン測定値か、又は本明細書に記載される処置がなされていない一の対照個体(又は複数の対照個体)における測定値に対する数値を示す。「対照個体」は、処置を受ける個体と同じ型の疾患に苛まれており処置を受ける個体とほぼ同じ年齢の個体であり、処置される個体と、一または複数の対照個体における疾患のステージは同等であるようにする。
個体、被験者、患者:本明細書で使用する場合、「被験者」「個体」又は「患者」の用語は、ヒト又はヒト以外の哺乳類の被験者を言う。処置を受ける個体(「患者」又は「被験者」とも呼ばれる)は、疾患に罹患している個体(胎児、幼児、小児、青年、又は成人)である。
ロックド核酸(LNA):本明細書で使用する場合、「LNA」又は「ロックド核酸」の用語は、二環式ヌクレオチド類似体、好ましくはリボース環の2’位と4’位との間に架橋を有する二環式ヌクレオチド類似体(2’−4’二環式ヌクレオチド類似体)を言う。文献では、LNAはBNA(架橋化核酸又は二環式核酸)と呼ばれることがある。LNA単量体とも呼ばれ得るものであり、又は「LNAオリゴヌクレオチド」との関連で用いる場合は、1以上のこのような二環式ヌクレオチド類似体を含むオリゴヌクレオチドを言う。
ヌクレオチド:本明細書で使用する場合、「ヌクレオチド」の用語は、糖部分、塩基部分及び共有結合されたリン酸塩基を含むグリコシド(配糖体)を言い、DNA又はRNAなどの天然に存在するヌクレオチド(好ましくはDNA)と、本明細書で「ヌクレオチド類似体」とも呼ばれる修飾された糖及び/又は塩基部分を含む天然に存在しないヌクレオチドとの両方を包含する。いくつかの実施態様では、天然に存在しないヌクレオチドには、二環式ヌクレオチド又は2’置換されたヌクレオチドなどの2’修飾ヌクレオチド等といった、修飾された糖部分を有するヌクレオチドが包含される。いくつかの実施態様では、天然に存在しないヌクレオチドはロックド核酸(LNA)を包含する。
実質的な相同性:本明細書で使用される「実質的な相同性」の語句は、アミノ酸又は核酸の配列間の比較を参照するのに用いられる。当業者により理解されるであろうとおり、2つの配列は通常、対応する位置に相同の残基を含有していれば「実質的に相同」であると考えられる。相同の残基は、同一の残基であり得る。あるいは、相同の残基は、適切に類似した構造及び/又は機能的特性を備えた同一でない残基であり得る。例えば、当業者に周知のとおり、特定のアミノ酸は典型的には、「疎水性」若しくは「親水性」アミノ酸として、及び/又は「極性」若しくは「非極性」側鎖を有するものとして分類される。1つのアミノ酸を同じタイプの別のアミノ酸と置換することは、「相同の」置換と考え得ることが多い。
本技術分野で周知のとおり、アミノ酸又は核酸の配列は、ヌクレオチド配列にはBLASTN、そしてアミノ酸配列にはBLASTP、gapped BLAST、及びPSI−BLASTなどの、市販のコンピュータープログラムで入手可能なものを含めた様々なアルゴリズムのいずれを用いても比較され得る。例示的な係るプログラムは、Altschul, et al., Basic local alignment search tool, J. Mol. Biol., 215(3): 403-410, 1990; Altschul, et al., Methods in Enzymology; Altschul, et al., "Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs", Nucleic Acids Res. 25:3389-3402, 1997; Baxevanis, et al., Bioinformatics : A Practical Guide to the Analysis of Genes and Proteins, Wiley, 1998; and Misener, et al., (eds.), Bioinformatics Methods and Protocols (Methods in Molecular Biology, Vol. 132), Humana Press, 1999に記載されている。相同配列の同定に加えて、前記のプログラムで、典型的には、相同性の程度の同定がもたらされる。いくつかの実施態様では、2つの配列は、それらの対応する残基の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上が残基の関連ストレッチにわたって相同であれば、実質的に相同であると考えられる。いくつかの実施態様では、関連ストレッチは、完全な配列である。いくつかの実施態様では、関連ストレッチは、少なくとも9、10、11、12、13、14、15、16、17以上の残基である。いくつかの実施態様では、関連ストレッチは、完全な配列に沿って連続した残基を含んでいる。いくつかの実施態様では、関連ストレッチは、完全な配列に沿って非連続的な残基を含んでいる。いくつかの実施態様では、関連ストレッチは、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、以上の残基である。
実質的同一性:本明細書で使用される「実質的同一性」の語句は、アミノ酸又は核酸の配列間の比較を参照するのに用いられる。当業者により理解されるであろうとおり、2つの配列は通常、対応する位置に同一である残基を含有していれば「実質的に同一である」であると考えられる。本技術分野で周知のとおり、アミノ酸又は核酸の配列は、ヌクレオチド配列にはBLASTN、そしてアミノ酸配列にはBLASTP、gapped BLAST、及びPSI−BLASTなどの、市販のコンピュータープログラムで入手可能なものを含めた様々なアルゴリズムや、グローバルアラインメント用のEMBOSS needel又はローカルアラインメント用のEMBOSS waterのいずれを用いても比較され得る。例示的な係るプログラムは、Altschul, et al., Basic local alignment search tool, J. Mol. Biol., 215(3): 403-410, 1990; Altschul, et al., Methods in Enzymology; Altschul, et al., Nucleic Acids Res. 25:3389-3402, 1997; Baxevanis, et al., Bioinformatics : A Practical Guide to the Analysis of Genes and Proteins, Wiley, 1998; and Misener, et al., (eds.), Bioinformatics Methods and Protocols (Methods in Molecular Biology, Vol. 132), Humana Press, 1999に記載されている。同一である配列の同定に加えて、前記のプログラムで、典型的には、同一性の程度の同定がもたらされる。いくつかの実施態様では、2つの配列は、それらの対応する残基の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上が残基の関連ストレッチにわたって同一であれば、実質的に同一であると考えられる。いくつかの実施態様では、関連ストレッチは、オリゴヌクレオチドの完全な配列である。いくつかの実施態様では、関連ストレッチは、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、以上の残基である。
標的組織:本明細書で使用する場合、「標的組織」の用語は、とりわけ肝臓、脾臓及び骨髄においてヘモグロビンを構成するグロビン鎖又はタンパク質サブユニットにおける欠陥又は所望の活性低下により影響を受ける何れの組織をも言う。いくつかの実施態様では、標的組織には、例えばアルファ、ベータ又はガンマのグロビン鎖の発現に異常がある組織が含まれる。いくつかの実施態様では、標的組織には、疾患に関係する病理、症候、又は特徴を呈する組織が含まれる。本明細書で使用する場合、標的組織は、肝臓標的組織、脾臓標的組織及び/又は骨髄標的組織であり得る。例示的な標的組織を、以下に詳述する。
治療上有効量:本明細書で使用する場合、「治療上有効量」の用語とは、いずれの医療的処置にも適用可能である妥当な効果/リスク比で、処置される被験者に治療効果を与える治療薬の量を言う。治療効果は、客観的(すなわち、何らかの試験又はマーカーにより測定される)、又は主観的(すなわち、被験者が兆候を発するか、又は効果を感じる)であり得る。特に、「治療上有効量」とは、所望の疾患若しくは状態を処置、緩和、若しくは予防することに対し、又は疾患に関係する症候の改善によって、疾患の発症の防止若しくは遅延によって、及び/又は疾患の症候の重症度若しくは頻度の低減によってなどで、検出可能な治療若しくは予防効果を呈することに対し、有効な治療薬又は組成物の量を言う。治療上有効量は通例、単位用量を複数含み得る投薬計画にて投与される。特定の治療薬のいずれについても、治療上有効量(及び/又は有効な投薬計画での適切な単位用量)は、例えば投与経路に応じて、他の医薬品との組み合わせに応じて、変動し得るものである。また、特定の患者についても、具体的な治療上有効量(及び/又は単位用量)は、処置を受ける障害及び障害の重症度;採用される具体的な医薬品の活性;採用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、全般的な健康状態、性、及び食事;採用される具体的な医薬品の投与の時間、投与経路、及び/又は排泄若しくは代謝の速度;処置の継続期間;並びに医学分野にて周知であるような同様の因子を含む様々な因子に依存し得るものである。
処置:本明細書で使用する場合、「処置(treatment)」(「treat」又は「treating」とも記載)の用語とは、特定の疾患、障害、及び/又は状態(例えば、ヘモグロビン機能障害又は欠損、鎌状赤血球症、サラセミア)の1以上の症候又は特徴を、部分的に又は完全に軽減、寛解、緩和、阻害、発症遅延、重症度低下、及び/若しくは発生率を低下させる、治療薬(例えば、オリゴヌクレオチド)の何らかの投与を言う。このような処置は、関連疾患、障害及び/若しくは状態の徴候を呈しない被験者のもの、並びに/又は当該疾患、障害、及び/若しくは状態の初期徴候のみを呈する被験者のものでもあり得る。それらに代えて又はそれらに加えて、このような処置は関連疾患、障害及び/又は状態の確立された1以上の徴候を呈する被験者のものでもあり得る。本明細書に記載される関連疾患の例示的な徴候として、貧血が挙げられ、これは徴候が顕在している患者に応じ、中程度から重度にまでにわたり得る。
詳細な説明
本発明はとりわけ、B細胞CLL/リンパ腫11A(BCL11A)活性をモデュレーションするため、そしてBCL11Aに関係する疾患、障害又は状態を処置するための、改善された組成物及び方法を提供する。BCL11A活性を低下させること、又は阻害することで、例えば、ガンマグロビンなどのグロビン遺伝子の発現が増加する結果をもたらすことが企図される。それゆえ、本発明は、鎌状赤血球症及びβ−サラセミアなどの異常ヘモグロビン症を処置するために特に有用である。特に、本発明は、BCL11Aの発現をダウンレギュレーション又は減少させることによってBCL11A活性を低下させるか又は阻害する、BCL11Aのアンチセンスオリゴヌクレオチドモデュレーターに基づいている。いくつかの実施態様では、BCL11A遺伝子の発現をダウンレギュレーション又は減少させることができるオリゴヌクレオチドヒトは、ヒトBCL11A遺伝子又はBCL11AのメッセンジャーRNA(mRNA)アイソフォーム(例えば、XL、L、M、S又はXS)の領域を標的とする。いくつかの実施態様では、ヒトBCL11A遺伝子の発現をダウンレギュレーション又は減少させることができるオリゴヌクレオチドは、ヒトBCL11A遺伝子又はBCL11AのメッセンジャーRNA(mRNA)アイソフォームの連続配列の逆相補配列に基づく配列を有する。
本発明の種々の態様を、以下の段落に詳説する。段落の使用は、本発明を限定しようとするものではない。各段落は、本発明のいずれの態様にも適用することができる。本願において、「又は(若しくは)」の使用は、特に断りない限り「及び(並びに)/又は(若しくは)」を意味する。
BCL11A並びに関連疾患及び状態
ヒトBCL11A遺伝子は、マウスBCL11Aタンパク質に類似性を有するC2H2ジンクフィンガータンパク質をコード化する。BCL11Aは、B細胞において機能するリンパ系転写因子であり、赤血球新生に役割を果たすことはつい最近まで知られていなかった。現在では、BCL11Aはグロビン遺伝子調節に役割を果たすことが理解されており、その発現はグロビン遺伝子の発生過程での発現に関連しているように思われる。BCL11Aは、骨髄中の成体赤血球系前駆体細胞で発現し、そして機ガンマグロビン遺伝子と逆相関的に機能する。すなわち、BCL11Aは、ガンマグロビン生成のリプレッサーとして機能する。
BCL11Aは、いくつかのアイソフォームにて表される。図2は、BCL11Aの3つの主要アイソフォームを示すが、これらは2つの潜在的3’末端エクソンの使用において異なっている。BCL11Aは、他のタンパク質と会合して、胎児から成体のヘモグロビン切替を調節する上で機能する複合体を形成することが知られている。BCL11Aは、ヘモグロビン機能障害と関係する疾患に関与している。特に、BCL11Aの阻害はガンマグロビン発現をアップレギュレーションし、その結果、胎児ヘモグロビンが生成して、これが鎌状赤血球症、β−サラセミアなどの異常ヘモグロビン症において見舞われるグロビン遺伝子機能障害を帳消しにすることが可能である。
BCL11Aのモデュレーター
以下の実施例で議論するとおり、本発明者らは、BCL11Aの1以上のアイソフォームを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドモデュレーターの同定に成功している。いくつかの実施態様では、本発明のモデュレーターは、図2に示す3つの主要アイソフォームに共通の領域を標的とする。具体的には、本発明者らは、BCL11Aを非常に効率よくダウンレギュレーションするヒトBCL11A遺伝子のヌクレオチド410〜450由来のエクソン2の内部の特有の領域を同定している。マウスBCL11A遺伝子において対応する領域(例えば、XL、L又はS)は、ヌクレオチド517〜557の範囲に分布している。図3は、エクソン1、2、3及び4の全体からして、この領域は、BCL11Aの発現を減少させることができる一本鎖のオリゴヌクレオチドの設計という点から見ると、ホットスポットであることを明確に示している。このようなホットスポットの知識は、効力が良好で、且つ処置されるべき被験者によって十分に容認されるオリゴヌクレオチドの設計が成功する可能性を増加させる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドの設計
とりわけ、本発明は、ヒトBCL11Aをコード化している核酸分子のモデュレーションに有用なアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。特に、本発明に好適なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、BCL11A発現又は活性をダウンレギュレーションすること又は減少させることができる、低下させること又は阻害することができる、いずれのオリゴヌクレオチドも含むものである。
典型的には、ヒトBCL11A遺伝子の発現をダウンレギュレーション又は減少させることができるオリゴヌクレオチドは、ヒトBCL11A遺伝子又はBCL11AのメッセンジャーRNA(mRNA)アイソフォーム(例えば、XL、L又はS)の配列に基づいて設計され得る。例えば、ヒトBCL11A遺伝子の発現をダウンレギュレーション又は減少させることができるオリゴヌクレオチドは、ヒトBCL11A遺伝子又はBCL11AのメッセンジャーRNA(mRNA)アイソフォームの連続配列の逆相補配列と実質的に同一である配列を有し得る。いくつかの実施態様では、本発明のオリゴヌクレオチドは、ヒトBCL11A遺伝子又はBCL11AのメッセンジャーRNA(mRNA)アイソフォームの連続配列の逆相補配列と少なくとも約50%(例えば、少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%)同一である配列を有する。ヒトBCL11A遺伝子とマウスBCL11A遺伝子とは、高い配列同一性を共有しているので、本発明のオリゴヌクレオチドは、マウスBCL11A遺伝子又はBCL11AのメッセンジャーRNA(mRNA)アイソフォームの配列に基づいても設計され得る。いくつかの実施態様では、本発明のオリゴヌクレオチドは、マウスBCL11A遺伝子又はBCL11AのメッセンジャーRNA(mRNA)アイソフォームの連続配列の逆相補配列と少なくとも約50%(例えば、少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%)同一である配列を有する。
あるいは、ヒトBCL11A遺伝子の発現をダウンレギュレーション又は減少させることができるオリゴヌクレオチドは、BCL11A mRNAの1以上のアイソフォームの標的領域にハイブリダイゼーション又は結合することができる。いくつかの実施態様では、ヒトBCL11A遺伝子の発現を減少させることができるオリゴヌクレオチドは、エクソン(例えば、エクソン1、エクソン2、エクソン3、エクソン4、又はエクソン5)内に見出されるBCL11A mRNAの標的領域にハイブリダイゼーション又は結合することができる。いくつかの実施態様では、ヒトBCL11A遺伝子の発現を減少させることができるオリゴヌクレオチドは、ヒト又はマウスBCL11Aの標的領域にハイブリダイゼーション又は結合することができる。
BCL11A mRNAの標的領域へのアンチセンスオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、インビトロ又はインビボで実施され得るということは理解されるであろう。ハイブリダイゼーションは、当該技術分野で周知のとおりに、低度、中度、及び/又はストリンジェントのハイブリダイゼーション条件下で実施され得る。一般に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件とは、その下でオリゴヌクレオチドを含む核酸分子が、相補性核酸配列を有する分子を同定するのに用いられる標準的なハイブリダイゼーション条件を言う。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は典型的には、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上の核酸配列の同一性がある核酸分子間の結合を許容する。標準条件は、例えば、Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Labs Pressに開示され、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる。ヌクレオチドの50%、40%、30%、20%、10%、5%以下のミスマッチを許容するハイブリダイゼーションを成し遂げるのに適切なハイブリダイゼーション及び洗浄条件を算出するための式を、当該技術分野で入手することができ、その例として、Meinkoth et al., 1984, Anal. Biochem. 138, 267-284(その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる)が挙げられる。オリゴヌクレオチド(14〜20bp)と固定化されたDNAとの間のハイブリッドでは、安定性の低減が示され、それらのハイブリダイゼーションのための最適条件を規定する際には配慮すべきであるということは理解されるであろう。
ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーは、緩衝液のイオン強度、ヌクレオチドの塩基組成、二重鎖のうち最も短い鎖の長さ(n)、及びホルムアミドなどのヘリックス不安定化剤の濃度により影響される可能性がある。例えば、ハイブリダイゼーションストリンジェンシーは、塩及び/若しくはホルムアミド濃度を調整することによって、並びに/又は温度を変えることによって変更できる。ストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーション工程の途中、又はハイブリダイゼーション後の洗浄のいずれかで調整することができる。サザン又はノザンブロットのフィルター上で100を超える相補性残基を有する相補性核酸のハイブリダイゼーションのためのストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例としては、1mgのヘパリンを含む50%ホルムアミドにて42℃でハイブリダイゼーションを一晩実施することが挙げられる。ストリンジェントな洗浄条件の一例は、0.2X SSCにて65℃で15分間の洗浄である。いくつかの実施態様では、高ストリンジェンシー洗浄の前に、低ストリンジェンシー洗浄を行なってバックグラウンドのプローブシグナルを除去する。例えば、100ヌクレオチドを超える二重鎖に対する中度のストリンジェンシーの洗浄の例は、100X SSCにて45℃で15分間である。例えば、100ヌクレオチドを超える二重鎖に対する低度のストリンジェンシーの洗浄の例は、4X SSCにて40℃で15分間である。一般に、特定のハイブリダイゼーションアッセイにおいて、関連のないプローブについて観察されたものよりも2Xの(またはそれよりも高い)ノイズに対するシグナルの比は、特異的なハイブリダイゼーションの検出を示唆する。
BCL11A mRNAアイソフォームの配列
先に記載したように、図2は、3つの主要なヒトBCL11A mRNAアイソフォーム、すなわち、アイソフォームXL、L及びSを示す。同様に、3つの主要なマウスBCL11A mRNAアイソフォーム、すなわち、アイソフォームXL、L及びSがある。マウス及びヒトの両方に関し、他のBCL11A mRNAアイソフォームが同定されている。例えば、ヒトにおいて、選択的スプライスバリアントに基づくいくつかのアイソフォームが、Ensembl genebuild assemblies(European Bioinformatics Institute and Wellcome Trust Sanger Institute)に述べられており、それらは以下の転写物(transcript)識別番号により識別されている:ENST00000358510、ENST00000538214、ENST00000537768、ENST00000477659、ENST00000489516、ENST00000409351、ENST00000479026、ENST00000492272、ENST00000489183。BCL11Aの例示的なヒト及びマウスアイソフォームの配列を、エクソンの表示と共に配列表に示す。
配列番号1=ヒトBCL11A−XL NCBIアクセッション番号 NM_022893
配列番号2=ヒトBCL11A−L NCBIアクセッション番号 NM_018014
配列番号3=ヒトBCL11A−S NCBIアクセッション番号 NM_138559
配列番号4=マウスBCL11A−XL NCBIアクセッション番号 NM_001242934
配列番号5=マウスBCL11A−L NCBIアクセッション番号 NM_016707
配列番号6=マウスBCL11A−S L NCBIアクセッション番号 NM_001159289
配列番号7=マウスBCL11A−XS NCBIアクセッション番号 NM_001159290
いくつかの実施態様では、提供されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1〜7に示されるヒト又はマウスBCL11Aの1以上のアイソフォーム内の領域に結合する。いくつかの実施態様では、提供されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1〜7に示されるヒト又はマウスBCL11Aアイソフォームのエクソン内の領域に結合する。いくつかの実施態様では、提供されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトBCL11A、マウスBCL11A、又はこれらの組み合わせのアイソフォームのエクソン内の領域に結合する。いくつかの実施態様では、提供されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトBCL11Aのヌクレオチド1〜283、284〜613、又は614〜715内の領域に結合する。好ましくは、配列番号1のヌクレオチド1〜283、284〜613、又は614〜715である。いくつかの実施態様では、提供されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトBCL11Aのヌクレオチド250〜500、259〜438、284〜613、415〜445、415〜436、716〜5946、716〜2458、2459〜3958、又はヌクレオチド859〜2358内の領域に結合する。種々の実施態様では、ヒトBCL11Aは、配列番号1〜3に示されるアイソフォームXL、L又はSから選択される。種々の実施態様では、マウスBCL11Aは、配列番号4〜7に示されるアイソフォームXL、L又はSから選択される。
いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒト若しくはマウスBCL11A遺伝子、又はヒト若しくはマウスBCL11AのメッセンジャーRNA(mRNA)アイソフォームの連続配列の逆相補配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一である配列を有する。いくつかの実施態様では、本発明のオリゴヌクレオチドは、ヒト若しくはマウスBCL11A遺伝子、又はヒト若しくはマウスBCL11AのメッセンジャーRNA(mRNA)アイソフォームの連続配列の逆相補配列と同一である配列を有する。
いくつかの実施態様では、本発明の連続配列は、ヒトBCL11A遺伝子のヌクレオチド1〜283(エクソン1)、ヌクレオチド284〜613(エクソン2)、又はヌクレオチド614〜715(エクソン3)から選択される領域内にある。
いくつかの実施態様では、本発明の連続配列は、ヒトBCL11A mRNAアイソフォームXL(配列番号1)のヌクレオチド内にある。いくつかの実施態様では、本発明の連続配列は、ヒトBCL11A mRNAアイソフォームXL(配列番号1)のヌクレオチド200〜620、410〜450、415〜436、415〜446、420〜450内、又はヌクレオチド716〜5946(エクソン4)内にある。
いくつかの実施態様では、本発明の連続配列は、ヒトBCL11A mRNAアイソフォームL(配列番号2)のヌクレオチド内にある。いくつかの実施態様では、本発明の連続配列は、ヒトBCL11A mRNAアイソフォームLのヌクレオチド716〜2458(エクソン4)又はヌクレオチド2459〜3958(エクソン5)内にある。
いくつかの実施態様では、本発明の連続配列は、ヒトBCL11A mRNAアイソフォームS(配列番号3)のヌクレオチド内にある。いくつかの実施態様では、本発明の連続配列は、ヒトBCL11A mRNAアイソフォームSのヌクレオチド716〜858(エクソン4)又はヌクレオチド859〜2358(エクソン5)内にある。
いくつかの実施態様では、提供されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1〜7に示されるヒト又はマウスBCL11Aの対応する領域に実質的に同一の標的領域に結合する。例えば、提供されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1〜7に示されるヒト又はマウスBCL11Aの対応する領域(例えば、エクソン1、2、3、4、又は5)のものと少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一である配列を有する標的領域に結合し得る。例示的な領域が、明細書全体にわたって記載される。
オリゴヌクレオチド
本発明に関して、「オリゴヌクレオチド」の用語は、2つ以上のヌクレオチドの共有結合によって形成される分子を言う。この用語は、オリゴマーの用語とほとんど同義で使用される。本明細書で、単一ヌクレオチド(単位)は、単量体又は単位とも呼ばれ得る。いくつかの実施態様では、「ヌクレオシド」、「ヌクレオチド」、「単位」及び「単量体」の用語は、ほとんど同義で使用される。ヌクレオチド又は単量体の配列を言う場合、参照されるのはA、T、G、C又はUなどの塩基の配列であることが認識されよう。
本発明のオリゴヌクレオチドは、ヒトBCL11A遺伝子又はBCL11AのメッセンジャーRNA(mRNA)アイソフォームのヌクレオチド410〜450から選択される領域内の連続配列の逆相補配列と少なくとも80%同一である配列を含む、ヒトBCL11Aの発現を減少させることができる。
いくつかの実施態様では、本発明のオリゴヌクレオチドは、表1に示される群より選択される配列モチーフを含むか、又は当該配列モチーフからなる。本質的に配列モチーフは、本質的には同じ配列を含むか又は含有するが、例えばヌクレオチド類似体の数、長さ又はヌクレオチド間結合が違うオリゴヌクレオチドを生成する基礎として使用することができるヌクレオチド配列である。
いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチド配列モチーフは、TCCGTTTGTGCTCGATAAA(配列番号75)ではなく、又はTTTGTGCTCGATAAAAATA(配列番号76)ではなく、又はATTGTTTCCGTTTGTGCTC(配列番号77)ではない。
好ましい実施態様では、本発明のオリゴヌクレオチドは、ギャップマーを含むか、又はギャップマーである。
いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドは19ヌクレオチド未満の長さ、好ましくは18未満、より好ましくは17ヌクレオチド未満の長さである。
いくつかの実施態様では、本発明のオリゴヌクレオチドは、親和性強化ヌクレオチド類似体を含む。
いくつかの実施態様では、ヌクレオチド類似体は、2’−O−アルキル−RNA単位、2’−OMe−RNA単位、2’−O−アルキル−DNA、2’−アミノ−DNA単位、2’−フルオロ−DNA単位、LNA単位、アラビノ核酸(ANA)単位、2’−フルオロ−ANA単位、HNA単位、INA単位及び2’MOE単位からなる群より、独立して又は独立せずに選択される、糖修飾ヌクレオチドなどの、糖修飾ヌクレオチドである。
いくつかの実施態様では、ヌクレオチド類似体は、ロックド核酸(LNA)単位を含むか、又はロックド核酸(LNA)単位からなる。
好ましい実施態様では、オリゴマーは、一本鎖の分子である。いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドは、例えば、少なくとも3、4又は5の連続したヌクレオチドの短い領域であって、同じオリゴヌクレオチド内の同等領域に相補的な領域(すなわち、二重鎖又はヘアピン)を含まない。オリゴヌクレオチドは、いくつかの実施態様では、(本質的に)二本鎖であり得ない。いくつかの実施態様でのオリゴヌクレオチドは、siRNAではないなど、本質的に二本鎖ではない。
例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチド
例示的な本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、表2に列挙する。
種々の実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、表2から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチド配列に現れる12以上(例えば、13、14、15、16、17、又は18)の連続したヌクレオチドと少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上)同一である配列を有するものであるオリゴヌクレオチドを含む。
種々の実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、表2から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列と少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上)同一である配列を有するものであるオリゴヌクレオチドを含む。
長さ
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、適切ないずれかの長さにもされ得ることが理解されよう。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、合計10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30の連続したヌクレオチドの長さの連続したヌクレオチド配列を含むか又はそれからなり得る。いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、合計10〜18、10〜17、10〜16、10〜15、10〜14、10〜13、10〜12、11〜17、11〜16、11〜15、11〜14、11〜13、12〜17、12〜16、12〜15、又は12〜14ヌクレオチドの長さの連続したヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、10〜16又は12〜16ヌクレオチドの長さである。いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、20以下のヌクレオチドなど、19以下のヌクレオチドなど、15、16、17又は18ヌクレオチドなどといった、22ヌクレオチド以下からなる。いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、20ヌクレオチド未満を含む。いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、18ヌクレオチド未満の長さである。理論に縛られることを望むものではないが、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は連続したヌクレオチド配列長に範囲を設ける場合、その範囲の上限と下限の長さを含み、例えば10から30(又は10と30の間)では、10及び30の両方が含まれるということを理解されたい。
本明細書で同定されるヌクレオチド配列に関する「核酸配列同一性パーセント(%)」( Percent (%) nucleic acid sequence identity)は、参照配列のヌクレオチドと同一である候補配列のヌクレオチドの百分率であり、それらの配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入して最高の配列同一性パーセントを得た後の百分率として定義される。配列同一性百分率は、整列された核酸の2つの配列の間で同一である数を数え、オリゴマー中の単量体の総数で割り、そして100を乗じることによって算出され得る。このような比較においてギャップが存在すれば、かかるギャップは、例えば本発明のオリゴヌクレオチドと標的領域との間などの整列された配列間でいくつかの核酸が異なるギャップ内の領域であるよりもむしろ、単なるミスマッチであることが好ましい。核酸配列同一性パーセントを求めることを目的としたアラインメントは、当該分野の技術に含まれる種々の方法で、例えば、BLAST、ALIGN又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアや、グローバルアラインメントにはEMBOSS needel、又はローカルアラインメントにはEMBOSS waterなどの、一般に入手できるコンピューターソフトウェアを用いて成し遂げることができる。当業者であれば、比較すべき配列の全長にわたる最高のアラインメントを成し遂げるために必要とされる何らかのアルゴリズムを含め、アラインメント測定のための適切なパラメータを決定することができる。好ましくは、WU−BLAST−2ソフトウェアを使用してアミノ酸配列同一性を求める(Altschul et al., Methods in Enzymology, 266, 460-480 (1996);http://blast.wustl/edu/blast/README.html)。WU−BLAST−2は、いくつかの検索パラメータを用いるが、そのほとんどがデフォルト値に設定されている。調整可能なパラメータは、以下の数値に設定される:オーバーラップスパン(overlap span)=1、オーバーラップフラクション(overlap fraction)=0.125、ワールド閾値(world threshold)(T)=11。HSPスコア(S)及びHSP S2パラメータは動的数値であり、特定の配列の組成に応じて、プログラム自体により確立されるが、最低値は調整され得、上で示したように設定される。
ヌクレオシド及びヌクレオシド類似体
いくつかの実施態様では、「ヌクレオシド類似体」及び「ヌクレオチド類似体」の用語は、ほとんど同義で使用される。
本明細書で使用する場合、「ヌクレオチド」の用語は、糖部分、塩基部分及び共有結合された基(結合基、リン酸塩又はホスホロチオエートヌクレオチド間結合基など)を含むグリコシドを言い、DNA又はRNAなどの天然に存在するヌクレオチドと、本明細書で「ヌクレオチド類似体」とも呼ばれる修飾された糖及び/又は塩基部分を含む天然に存在しないヌクレオチドとの両方を包含する。本明細書で、単一のヌクレオチド(単位)は、単量体又は核酸単位とも呼ばれることがある。
生化学の分野では、「ヌクレオシド」の用語は通例、糖部分及び塩基部分を含むグリコシドを言うのに用いられ、オリゴヌクレオチドのヌクレオチドの間のヌクレオチド間結合によって共有結合される、ヌクレオチド単位を言う場合に用いられ得る。バイオテクノロジーの分野では、「ヌクレオチド」の用語は、核酸単量体又は単位を呼ぶのに用いられることが多く、それ自体は、オリゴヌクレオチドとの関連で塩基を言うものであり(「ヌクレオチド配列」など)、典型的にはヌクレオ塩基配列(すなわち、糖骨格及びヌクレオシド間結合の存在が暗示される)を言う。同様に、特に1以上のヌクレオシド間結合基が修飾されたオリゴヌクレオチドの場合は、「ヌクレオチド」の用語は、「ヌクレオシド」を言うことがあり、ヌクレオシドの間の結合の存在又は性質を明記する際であっても、例えば「ヌクレオチド」の用語が使用され得る。
当業者が認識するように、オリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドは、5’ヌクレオチド間結合基を含まないが、5’末端基を含むことも含まないこともある。
天然に存在しないヌクレオチドとしては、二環式ヌクレオチド、又は、2’置換されたヌクレオチドなどの2’修飾ヌクレオチド等、修飾された糖部分を有するヌクレオチドが挙げられる。
「ヌクレオチド類似体」は、糖及び/又は塩基部分における修飾による、DNA又はRNAヌクレオチドなどの天然のヌクレオチドの変異体である。類似体は、原則として単に「サイレント」であるか、又は当該オリゴヌクレオチドとの関連で天然のヌクレオチドと「等価」であってよく、すなわち、オリゴヌクレオチドが標的遺伝子発現を阻害すべく作用する上で機能的な効果をおよぼさない。このような「等価」の類似体はそれでも、例えば、製造がより容易であるか若しくは費用効率が高いか、又は貯蔵若しくは製造条件に対してより安定であるか、又は、タグ若しくはラベルを表すものであれば有用であり得る。しかしながら、好ましくは、類似体は、例えば、標的への結合親和性の増強、及び/又は細胞内ヌクレアーゼに対する耐性の増強、及び/又は細胞内への輸送容易性の促進をもたらすことによって、前記オリゴヌクレオチドが発現を阻害すべく作用する上で機能的な効果を有するであろう。ヌクレオシド類似体の具体例は、例えばFreier & Altmann; Nucl. Acid Res., 1997, 25, 4429-4443 and Uhlmann; Curr. Opinion in Drug Development, 2000, 3(2), 293-213に、スキーム1に、並びに「ロックド核酸(LNA)」の項目に記載されている。
オリゴヌクレオチドはこのように、天然に存在するヌクレオチドの単純な配列、好ましくは、2’−デオキシヌクレオチド(本明細書で通常、「DNA」と呼ぶ)、あるいはさらにはリボヌクレオチド(本明細書で通常、「RNA」と呼ぶ)、又はこのような天然に存在するヌクレオチドと1以上の天然に存在しないヌクレオチドとの組み合わせ、すなわちヌクレオチド類似体を含み得るか、又はこれからなり得る。このようなヌクレオチド類似体は、標的配列に対するオリゴマーの親和性を適切に増強し得る。適切で好ましいヌクレオチド類似体の例は、国際公開第2007/031091号パンフレットに提供され、又は本明細書に参照される。
LNA又は2’−置換糖などの、親和性を増強するヌクレオチド類似体のオリゴマーへの取り込みによって、特異的に結合するオリゴマーのサイズを低下させることができ、またその上限を、非特異的な又は異常な結合が起こる前のオリゴヌクレオチドのサイズに低下もさせ得る。
いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのヌクレオシド類似体を含む。いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも2つのヌクレオチド類似体を含む。いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、3〜8のヌクレオチド類似体、例えば6又は7のヌクレオチド類似体を含む。いくつかの実施態様では、前記ヌクレオチド類似体のうちの少なくとも1つはロックド核酸(LNA)であり、例えば、ヌクレオチド類似体の少なくとも3つ、又は少なくとも4つ、又は少なくとも5つ、又は少なくとも6つ、又は少なくとも7つ、又は8つが、LNAであり得る。いくつかの実施態様では、すべてのヌクレオチド類似体がLNAであり得る。
当業者であれば本開示を読んで、好ましいヌクレオチド配列モチーフ又はヌクレオチドのみからなるヌクレオチド配列を参照すると、その配列によって規定される本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、前記配列に存在するヌクレオチドの1以上に代えて、LNA単位又は他のヌクレオチド類似体などであって、オリゴマー/標的二重鎖の二重鎖安定性/Tmを高めるもの(すなわち親和性強化ヌクレオチド類似体)である、対応するヌクレオチド類似体を含み得ることを認識するであろう。
いくつかの実施態様では、オリゴマーのヌクレオチド配列と標的配列との間の何らかのミスマッチが見出されるのは、親和性強化ヌクレオチド類似体以外の領域内、例えば「ギャップマー設計」の項目で参照されるような領域B若しくはY、及び/又は「ギャップマー設計」の項目で参照されるような領域D、及び/又はオリゴヌクレオチド内のDNAヌクレオチドなどの修飾されていない部位で、及び/又は連続したヌクレオチド配列に対して5’若しくは3’である領域内などであることが好ましい。
ヌクレオチドのこのような修飾の例として、2’−置換基を与えるか、又は二環式構造を生成して、結合親和性を増強し、且つヌクレアーゼ耐性の増加ももたらし得る、糖部分の修飾が挙げられる。
好ましいヌクレオチド類似体は、オキシ−LNA(ベータ−D−オキシ−LNA、及びアルファ−L−オキシ−LNAなど)、及び/又はアミノ−LNA(ベータ−D−アミノ−LNA及びアルファ−L−アミノ−LNAなど)及び/又はチオ−LNA(ベータ−D−チオ−LNA及びアルファ−L−チオ−LNAなど)及び/又はENA(ベータ−D−ENA及びアルファ−L−ENAなど)などのLNAである。最も好ましいのは、ベータ−D−オキシ−LNAである。
いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド内(「ギャップマー設計」の項目で述べた領域A及びC内など)に存在するヌクレオチド類似体は独立して、例えば、2’−O−アルキル−RNA単位、2’−OMe−RNA単位、2’−O−アルキル−DNA、2’−アミノ−DNA単位、2’−フルオロ−DNA単位、LNA単位、アラビノ核酸(ANA)単位、2’−フルオロ−ANA単位、HNA単位、INA(インターカレーティング核酸(intercalating nucleic acid)Christensen, 2002. Nucl. Acids. Res. 2002 30: 4918-4925、参照により本明細書に組み入れられる)単位及び2’MOE単位から選択される。
いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドに存在するのは前記の型のヌクレオチド類似体のうち1つのみか、又はその連続したヌクレオチド配列である。
いくつかの実施態様では、ヌクレオチド類似体は、2’−O−メトキシエチル−RNA(2’MOE)、2’−フルオロ−DNA単量体又はLNAヌクレオチド類似体であり、それ自体、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、これらの3つの型の類似体から独立して選択されるヌクレオチド類似体を含み得るか、又はこれら3つの型から選択される1つの型の類似体のみを含み得る。いくつかの実施態様では、前記ヌクレオチド類似体のうちの少なくとも1つは、2’−MOE−RNAであり、例えば2、3、4、5、6、7、8、9又は10などの2’−MOE−RNAヌクレオチド単位である。いくつかの実施態様では、前記ヌクレオチド類似体のうちの少なくとも1つは、2’−フルオロDNAであり、例えば2、3、4、5、6、7、8、9又は10などの2’−フルオロ−DNAヌクレオチド単位である。
いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのロックド核酸(LNA)単位を含み、例えば1、2、3、4、5、6、7、若しくは8つなどのLNA単位を含むか、例えば3〜7若しくは4〜8つなどのLNA単位を含むか、又は3、4、5、6若しくは7のLNA単位を含む。いくつかの実施態様では、すべてのヌクレオチド類似体がLNAである。いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ベータ−D−オキシ−LNA、と以下のLNA単位:チオ−LNA、アミノ−LNA、オキシ−LNA、5’−メチル−LNA及び/若しくはENA(ベータ−D又はアルファ−L配置のいずれか)又はこれらの組み合わせ、の1以上との両方を含み得る。いくつかの実施態様では、すべてのLNAシトシン単位が5’−メチル−シトシンである。
いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド類似体(好ましくはLNA)及びDNA単位の両方を含み得る。好ましくは、ヌクレオチド類似体(好ましくはLNA)とDNA単位との組み合わせの合計は、10〜25で、例えば10〜24などであり、好ましくは10〜20で、例えば10〜18などであり、さらにより好ましくは12〜16である。いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列で、前記連続したヌクレオチド配列などは、少なくとも1つのヌクレオチド類似体(好ましくはLNA)からなり、残余のヌクレオチド単位はDNA単位である。いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、LNAヌクレオチド類似体及び天然に存在するヌクレオチド(RNA又はDNA、最も好ましくはDNAヌクレオチドなど)のみを含み、ホスホロチオエートなどの修飾されたヌクレオチド間結合を任意に有する。
「ヌクレオ塩基」の用語は、ヌクレオチドの塩基部分を言い、天然に存在するもの、天然に存在しない変異体の両方を包含する。よって、「ヌクレオ塩基」は、既知のプリン及びピリミジン複素環のみならず複素環式類似体及び互変異性体も包含する。
ヌクレオ塩基の例として、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン、ヒポキサンチン、5−メチルシトシン、イソシトシン、シュードイソシトシン(pseudoisocytosine)、5−ブロモウラシル、5−プロピニルウラシル、6−アミノプリン、2−アミノプリン、イノシン、ジアミノプリン、及び2−クロロ−6−アミノプリンが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様では、オリゴマーに存在するヌクレオ塩基のうちの少なくとも1つは、5−メチルシトシン、イソシトシン、シュードイソシトシン、5−ブロモウラシル、5−プロピニルウラシル、6−アミノプリン、2−アミノプリン、イノシン、ジアミノプリン、及び2−クロロ−6−アミノプリンからなる群より選択される、修飾されたヌクレオ塩基である。
ロックド核酸(LNA)
「LNA」の用語は、二環式ヌクレオシド類似体を言い、「ロックド核酸」として知られている。LNA単量体とも呼ばれ得るものであり、又は「LNAオリゴヌクレオチド」との関連で用いる場合、LNAは1以上のこのような二環式ヌクレオチド類似体を含むオリゴヌクレオチドを言う。LNAヌクレオチドは、リボース糖環のC2’とC4’との間のリンカー基(架橋など、例えば、後述するようなビラジカルR4*−R2*として示すもの)の存在によって特徴付けられる。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドで用いられるLNAは、好ましくは一般式Iの構造を有する。
式中、すべてのキラル中心につき、不斉基はR又はS配向のいずれかで認められ得るものであり、
式中、Xは、−O−、−S−、−N(RN*)−、−C(R6R6*)−から選択され、いくつかの実施態様では−O−などであり、
Bは、水素、任意に置換されたC1−4−アルコキシ、任意に置換されたC1−4−アルキル、任意に置換されたC1−4−アシルオキシ、天然に存在するものとヌクレオ塩基類似体を含むヌクレオ塩基、DNAインターカレーター、光化学的に活性な基、熱化学的に活性な基、キレート性基、レポーター基、及びリガンドから選択され、好ましくは、Bはヌクレオ塩基又はヌクレオ塩基類似体であり、
Pは、隣接した単量体とのヌクレオチド間結合、又は5’末端基を示し、かかるヌクレオチド間結合又は5’末端基は任意に、置換基R5を含むか、又は置換基R5*も同様であり、
P*は、隣接した単量体とのヌクレオチド間結合、又は3’末端基を示し、
R4*及びR2*は共に、−C(RaRb)−、−C(Ra)=C(Rb)−、−C(Ra)=N−、−O−、−Si(Ra)2−、−S−、−SO2−、−N(Ra)−、及び>C=Zから選択される1〜4の基/原子からなる二価のリンカー基を示し、Zは、−O−、−S−、及び−N(Ra)−から選択され、Ra及びRbは各々独立して、水素、任意に置換されたC1−12−アルキル、任意に置換されたC2−12−アルケニル、任意に置換されたC2−12−アルキニル、ヒドロキシ、任意に置換されたC1−12−アルコキシ、C2−12−アルコキシアルキル、C2−12−アルケニルオキシ、カルボキシ、C1−12−アルコキシルカルボニル、C1−12−アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ−カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ−カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ−及びジ(C1−6−アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ−及びジ(C1−6−アルキル)−アミノ−カルボニル、アミノ−C1−6−アルキル−アミノカルボニル、モノ−及びジ(C1−6−アルキル)アミノ−C1−6−アルキル−アミノカルボニル、C1−6−アルキル−カルボニルアミノ、カルバミド、C1−6−アルカノイルオキシ、スルフォノ、C1−6−アルキルスルフォニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C1−6−アルキルチオ、ハロゲン、DNAインターカレーター、光化学的に活性な基、熱化学的に活性な基、キレート性基、レポーター基、並びにリガンドから選択され、アリール及びヘテロアリールは任意に置換され得るものであり、2つのジェミナル置換基Ra及びRbは共に、任意に置換されたメチレン(=CH2)を示し得るものであり、すべてのキラル中心につき、不斉基はR又はS配向のいずれかで認められ得るものであり、
存在する置換基R1*、R2、R3、R5、R5*、R6及びR6*の各々は、独立して水素、任意に置換されたC1−12−アルキル、任意に置換されたC2−12−アルケニル、任意に置換されたC2−12−アルキニル、ヒドロキシ、C1−12−アルコキシ、C2−12−アルコキシアルキル、C2−12−アルケニルオキシ、カルボキシ、C1−12−アルコキシルカルボニル、C1−12−アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ−カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ−カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ−及びジ(C1−6−アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ−及びジ(C1−6−アルキル)−アミノ−カルボニル、アミノ−C1−6−アルキル−アミノカルボニル、モノ−及びジ(C1−6−アルキル)アミノ−C1−6−アルキル−アミノカルボニル、C1−6−アルキル−カルボニルアミノ、カルバミド、C1−6−アルカノイルオキシ、スルフォノ、C1−6−アルキルスルフォニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C1−6−アルキルチオ、ハロゲン、DNAインターカレーター、光化学的に活性な基、熱化学的に活性な基、キレート性基、レポーター基、及びリガンドから選択され、アリール及びヘテロアリールは任意に置換され得るものであり、2つのジェミナル置換基は共に、オキソ、チオキソ、イミノ、又は任意に置換されたメチレンを示し得るものであり、;RNは、水素及びC1−4−アルキルから選択され、2つの隣接した(非ジェミナル)置換基は、二重結合をもたらすさらなる結合を示し得るものであり、RN*は、存在してビラジカルに含まれない場合は、水素及びC1−4−アルキルから選択され、ならびに塩基性塩及びその酸付加塩であり、すべてのキラル中心につき、不斉基はR又はS配向のいずれかで認められ得る。
いくつかの実施態様では、R4*及びR2*は共に、C(RaRb)−C(RaRb)−、C(RaRb)−O−、C(RaRb)−NRa−、C(RaRb)−S−、及びC(RaRb)−C(RaRb)−O−(式中、各々のRa及びRbは独立して任意に選択され得る)からなる群より選択される基からなるビラジカルを示す。いくつかの実施態様では、Ra及びRbは、独立して水素及びC1−6アルキルからなる群より任意に選択される得るものであり、メチルなど、水素などであり得る。
いくつかの実施態様では、R4*及びR2*は共に、ビラジカル、−O−CH(CH2OCH3)−を示し(2’O−メトキシエチル二環式核酸、Seth at al., 2010, J. Org. Chem)、R−又はS−配置のいずれかである。
いくつかの実施態様では、R4*及びR2*は共に、ビラジカル、−O−CH(CH2CH3)−を示し(2’O−エチル二環式核酸、Seth at al., 2010, J. Org. Chem)、R−又はS−配置のいずれかである。
いくつかの実施態様では、R4*及びR2*は共に、ビラジカル、−O−CH(CH3)−を示し、R−又はS−配置のいずれかである。
いくつかの実施態様では、R4*及びR2*は共に、ビラジカル、−O−CH2−O−CH2−を示す(Seth at al., 2010, J. Org. Chem)。
いくつかの実施態様では、R4*及びR2*は共に、ビラジカル、−O−NR−CH3−を示す(Seth at al., 2010, J. Org. Chem)。
いくつかの実施態様では、LNA単位は、以下の群から選択される構造を有する。
いくつかの実施態様では、R1*、R2、R3、R5、R5*は独立して、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、置換されたC1−6アルキル、C2−6アルケニル、置換されたC2−6アルケニル、C2−6アルキニル又は置換されたC2−6アルキニル、C1−6アルコキシル、置換されたC1−6アルコキシル、アシル、置換されたアシル、C1−6アミノアルキル又は置換されたC1−6アミノアルキルからなる群より選択される。すべてのキラル中心につき、不斉基はR又はS配向のいずれかで認められ得る。
いくつかの実施態様では、R1*、R2、R3、R5、R5*は水素である。
いくつかの実施態様では、R1*、R2、R3は独立して、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、置換されたC1−6アルキル、C2−6アルケニル、置換されたC2−6アルケニル、C2−6アルキニル又は置換されたC2−6アルキニル、C1−6アルコキシル、置換されたC1−6アルコキシル、アシル、置換されたアシル、C1−6アミノアルキル又は置換されたC1−6アミノアルキルからなる群より選択される。すべてのキラル中心につき、不斉基はR又はS配向のいずれかで認められ得る。
いくつかの実施態様では、R1*、R2、R3は水素である。
いくつかの実施態様では、R5及びR5*は各々独立して、H、−CH3、−CH2−CH3、−CH2−O−CH3、及び−CH=CH2からなる群より選択される。好適には、いくつかの実施態様では、R5又はR5*のいずれかが水素であって、その他の基(R5又はR5*それぞれ)は、C1−5アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、置換されたC1−6アルキル、置換されたC2−6アルケニル、置換されたC2−6アルキニル又は置換されたアシル(−C(=O)−)からなる群より選択され、各々の置換された基は、ハロゲン、C1−6アルキル、置換されたC1−6アルキル、C2−6アルケニル、置換されたC2−6アルケニル、C2−6アルキニル、置換されたC2−6アルキニル、OJ1、SJ1、NJ1J2、N3、COOJ1、CN、O−C(=O)NJ1J2、N(H)C(=NH)NJ、J2又はN(H)C(=X)N(H)J2から独立して選択される置換基でモノ又はポリ置換されており、XはO又はSであり、各々のJ1及びJ2は独立して、H、C1−6アルキル、置換されたC1−6アルキル、C2−6アルケニル、置換されたC2−6アルケニル、C2−6アルキニル、置換されたC2−6アルキニル、C1−6アミノアルキル、置換されたC1−6アミノアルキル又は保護基である。いくつかの実施態様では、R5又はR5*のいずれかは、置換されたC1−6アルキルである。いくつかの実施態様では、R5又はR5*のいずれかは、置換されたメチレンであり、好ましい置換基として、F、NJ1J2、N3、CN、OJ1、SJ1、O−C(=O)NJ1J2、N(H)C(=NH)NJ、J2又はN(H)C(O)N(H)J2から独立して選択される1以上の基が挙げられる。いくつかの実施態様では、各々のJ1及びJ2は独立して、H又はC1−6アルキルである。いくつかの実施態様では、R5又はR5*のいずれかは、メチル、エチル又はメトキシメチルである。いくつかの実施態様では、R5又はR5*のいずれかはメチルである。さらなる実施態様では、R5又はR5*のいずれかは、エチレニルである。いくつかの実施態様では、R5又はR5*のいずれかは、置換されたアシルである。いくつかの実施態様では、R5又はR5*のいずれかは、C(=O)NJ1J2である。すべてのキラル中心につき、不斉基はR又はS配向のいずれかで認められ得る。かかる5’修飾された二環式ヌクレオチドは、国際公開第2007/134181号パンフレットに開示されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
いくつかの実施態様では、Bはヌクレオ塩基であり、これにはヌクレオ塩基類似体及び天然に存在するヌクレオ塩基が含まれ、プリン若しくはピリミジン、又は置換されたプリン若しくは置換されたピリミジンなどであり、本明細書で言及するヌクレオ塩基など、例えばアデニン、シトシン、チミン、アデニン、ウラシルからなる群より選択されるヌクレオ塩基、並びに/又は5−チアゾロ−ウラシル、2−チオ−ウラシル、5−プロピニル−ウラシル、2’チオ−チミン、5−メチルシトシン、5−チオゾロ−シトシン、5−プロピニル−シトシン、及び2、6−ジアミノプリンなどの修飾若しくは置換されたヌクレオ塩基が挙げられる。
いくつかの実施態様では、R4*及びR2*は共に、−C(RaRb)−O−、−C(RaRb)−C(RcRd)−O−、−C(RaRb)−C(RcRd)−C(ReRf)−O−、−C(RaRb)−O−C(RcRd)−、−C(RaRb)−O−C(RcRd)−O−、−C(RaRb)−C(RcRd)−、−C(RaRb)−C(RcRd)−C(ReRf)−、−C(Ra)=C(Rb)−C(RcRd)−、−C(RaRb)−N(Rc)−、−C(RaRb)−C(RcRd)−N(Re)−、−C(RaRb)−N(Rc)−O−、及び−C(RaRb)−S−、−C(RaRb)−C(RcRd)−S−から選択されるビラジカルを示し、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、及びRfは各々独立して、水素、任意に置換されたC1−12−アルキル、任意に置換されたC2−12−アルケニル、任意に置換されたC2−12−アルキニル、ヒドロキシ、C1−12−アルコキシ、C2−12−アルコキシアルキル、C2−12−アルケニルオキシ、カルボキシ、C1−12−アルコキシルカルボニル、C1−12−アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ−カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ−カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ−及びジ(C1−6−アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ−及びジ(C1−6−アルキル)−アミノ−カルボニル、アミノ−C1−6−アルキル−アミノカルボニル、モノ−及びジ(C1−6−アルキル)アミノ−C1−6−アルキル−アミノカルボニル、C1−6−アルキル−カルボニルアミノ、カルバミド、C1−6−アルカノイルオキシ、スルフォノ、C1−6−アルキルスルフォニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C1−6−アルキルチオ、ハロゲン、DNAインターカレーター、光化学的に活性な基、熱化学的に活性な基、キレート性基、レポーター基、及びリガンドから選択され、アリール及びヘテロアリールは任意に置換され得るものであり、2つのジェミナル置換基Ra及びRbは共に、任意に置換されたメチレン(=CH2)を示し得るものである。すべてのキラル中心につき、不斉基はR又はS配向のいずれかで認められ得る。
いくつかの実施態様では、R4*及びR2*は共に、−CH2−O−、−CH2−S−、−CH2−NH−、−CH2−N(CH3)−、−CH2−CH2−O−、−CH2−CH(CH3)−、−CH2−CH2−S−、−CH2−CH2−NH−、−CH2−CH2−CH2−、−CH2−CH2−CH2−O−、−CH2−CH2−CH(CH3)−、−CH=CH−CH2−、−CH2−O−CH2−O−、−CH2−NH−O−、−CH2−N(CH3)−O−、−CH2−O−CH2−、−CH(CH3)−O−、及び−CH(CH2−O−CH3)−O−、及び/又は、−CH2−CH2−、並びに−CH=CH−から選択されるビラジカル(二価の基)を示し、すべてのキラル中心につき、不斉基はR又はS配向のいずれかで認められ得る。
いくつかの実施態様では、R4*及びR2*は共に、ビラジカル、C(RaRb)−N(Rc)−O−を示し、Ra及びRbは独立して、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、置換されたC1−6アルキル、C2−6アルケニル、置換されたC2−6アルケニル、C2−6アルキニル又は置換されたC2−6アルキニル、C1−6アルコキシル、置換されたC1−6アルコキシル、アシル、置換されたアシル、C1−6アミノアルキル又は置換されたC1−6アミノアルキルからなる群より選択され、水素などであり、Rcは、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、置換されたC1−6アルキル、C2−6アルケニル、置換されたC2−6アルケニル、C2−6アルキニル又は置換されたC2−6アルキニル、C1−6アルコキシル、置換されたC1−6アルコキシル、アシル、置換されたアシル、C1−6アミノアルキル又は置換されたC1−6アミノアルキルからなる群より選択され、水素などである。
いくつかの実施態様では、R4*及びR2*は共に、ビラジカル、C(RaRb)−O−C(RcRd)−O−を示し、Ra、Rb、Rc、及びRdは独立して、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、置換されたC1−6アルキル、C2−6アルケニル、置換されたC2−6アルケニル、C2−6アルキニル又は置換されたC2−6アルキニル、C1−6アルコキシル、置換されたC1−6アルコキシル、アシル、置換されたアシル、C1−6アミノアルキル又は置換されたC1−6アミノアルキルからなる群より選択され、水素などである。
いくつかの実施態様では、R4*及びR2*は、ビラジカル、−CH(Z)−O−を形成し、Zは、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、置換されたC1−6アルキル、置換されたC2−6アルケニル、置換されたC2−6アルキニル、アシル、置換されたアシル、置換されたアミド、チオール又は置換されたチオからなる群より選択され、置換された基の各々は独立して、ハロゲン、オキソ、ヒドロキシル、OJ1、NJ1J2、SJ1、N3、OC(=X)J1、OC(=X)NJ1J2、NJ3C(=X)NJ1J2及びCNから独立して選択される任意に保護された置換基でモノ又はポリ置換されており、各々のJ1、J2及びJ3は独立して、H又はC1−6アルキルであり、XはO、S又はNJ1である。いくつかの実施態様ではZは、C1−6アルキル又は置換されたC1−6アルキルである。いくつかの実施態様ではZは、メチルである。いくつかの実施態様ではZは、置換されたC1−6アルキルである。いくつかの実施態様では前記置換基は、C1−6アルコキシである。いくつかの実施態様では、Zは、CH3OCH2−である。すべてのキラル中心につき、不斉基はR又はS配向のいずれかで認められ得る。このような二環式ヌクレオチドは、米国特許第7,399、845号に開示されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。いくつかの実施態様では、R1*、R2、R3、R5、R5*は、水素である。またいくつかの実施態様では、R1*、R2、R3*は、水素であり、R5、R5*の片方又は両方は、前記及び国際公開第2007/134181号パンフレットで言及されるように水素以外であり得る。
いくつかの実施態様では、R4*及びR2*は共に、ビラジカル、−CH2−N(Rc)−からなるか該ビラジカルを含むなど、置換されたアミノ基を架橋中に含むビラジカルを示し、Rcは、C1〜12アルキルオキシである。いくつかの実施態様では、R4*及びR2*は共に、ビラジカル、−Cq3q4−NOR−を示し、q3及びq4は独立して、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、置換されたC1−6アルキル、C2−6アルケニル、置換されたC2−6アルケニル、C2−6アルキニル若しくは置換されたC2−6アルキニル、C1−6アルコキシル、置換されたC1−6アルコキシル、アシル、置換されたアシル、C1−6アミノアルキル又は置換されたC1−6アミノアルキルからなる群より選択され、各々の置換された基は独立して、ハロゲン、OJ1、SJ1、NJ1J2、COOJ1、CN、O−C(=O)NJ1J2、N(H)C(=NH)NJ1J2又はN(H)C(=X=N(H)J2から独立して選択される置換基でモノ又はポリ置換されており、XはO又はSであり、J1及びJ2の各々は独立して、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アミノアルキル又は保護基である。すべてのキラル中心につき、不斉基はR又はS配向のいずれかで認められ得る。このような二環式ヌクレオチドは、国際公開第2008/150729号パンフレットに開示され、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。いくつかの実施態様では、R1*、R2、R3、R5、R5*は独立して、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、置換されたC1−6アルキル、C2−6アルケニル、置換されたC2−6アルケニル、C2−6アルキニル又は置換されたC2−6アルキニル、C1−6アルコキシル、置換されたC1−6アルコキシル、アシル、置換されたアシル、C1−6アミノアルキル又は置換されたC1−6アミノアルキルからなる群より選択される。いくつかの実施態様では、R1*、R2、R3、R5、R5*は、水素である。いくつかの実施態様では、R1*、R2、R3は、水素であり、R5、R5*の片方又は両方は、前記及び国際公開第2007/134181号パンフレットで言及されるように水素以外であり得る。いくつかの実施態様では、R4*及びR2*は共に、ビラジカル(二価の基)、C(RaRb)−O−を示し、Ra及びRbは、各々独立して、ハロゲン、C1−C12アルキル、置換されたC1−C12アルキル、C2−C12アルケニル、置換されたC2−C12アルケニル、C2−C12アルキニル、置換されたC2−C12アルキニル、C1−C12アルコキシ、置換されたC1−C12アルコキシ、OJ1SJ1、SOJ1、SO2J1、NJ1J2、N3、CN、C(=O)OJ1、C(=O)NJ1J2、C(=O)J1、O−C(=O)NJ1J2、N(H)C(=NH)NJ1J2、N(H)C(=O)NJ1J2若しくはN(H)C(=S)NJ1J2であり、又はRa及びRbは共に、=C(q3)(q4)であり、q3及びq4は各々独立して、H、ハロゲン、C1−C12アルキル又は置換されたC1−C12アルキルであり、各々の置換された基は独立して、ハロゲン、C1−C6アルキル、置換されたC1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換されたC2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換されたC2−C6アルキニル、OJ1、SJ1、NJ1J2、N3、CN、C(=O)OJ1、C(=O)NJ1J2、C(=O)J1、O−C(=O)NJ1J2、N(H)C(=O)NJ1J2又はN(H)C(=S)NJ1J2から独立して選択される置換基でモノ又はポリ置換されており、各々のJ1及びJ2は独立して、H、C1−C6アルキル、置換されたC1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換されたC2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換されたC2−C6アルキニル、C1−C6アミノアルキル、置換されたC1−C6アミノアルキル又は保護基である。このような化合物は、国際公開第2009/006478A号パンフレットに開示され、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
いくつかの実施態様では、R4*及びR2*は、ビラジカル、−Q−を形成し、Qは、C(q1)(q2)C(q3)(q4)、C(q1)=C(q3)、C[=C(q1)(q2)]−C(q3)(q4)又はC(q1)(q2)−C[=C(q3)(q4)]であり、q1、q2、q3、q4は各々独立して、H、ハロゲン、C1−12アルキル、置換されたC1−12アルキル、C2−12アルケニル、置換されたC1−12アルコキシ、OJ1、SJ1、SOJ1、SO2J1、NJ1J2、N3、CN、C(=O)OJ1、C(=O)−NJ1J2、C(=O)J1、−C(=O)NJ1J2、N(H)C(=NH)NJ1J2、N(H)C(=O)NJ1J2又はN(H)C(=S)NJ1J2であり、各々のJ1及びJ2は独立して、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アミノアルキル又は保護基であり、また任意に、QがC(q1)(q2)(q3)(q4)でありq3又はq4のうちの1つがCH3である場合、その他のq3若しくはq4のうちの少なくとも1つ、又はq1及びq2のうちの1つはH以外である。いくつかの実施態様では、R1*、R2、R3、R5、R5*は水素である。すべてのキラル中心につき、不斉基はR又はS配向のいずれかで認められ得る。このような二環式ヌクレオチドは、国際公開第2008/154401号パンフレットに開示され、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。いくつかの実施態様では、R1*、R2、R3、R5、R5*は独立して、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、置換されたC1−6アルキル、C2−6アルケニル、置換されたC2−6アルケニル、C2−6アルキニル又は置換されたC2−6アルキニル、C1−6アルコキシル、置換されたC1−6アルコキシル、アシル、置換されたアシル、C1−6アミノアルキル又は置換されたC1−6アミノアルキルからなる群より選択される。いくつかの実施態様では、R1*、R2、R3、R5、R5*は、水素である。いくつかの実施態様では、R1*、R2、R3は水素であり、R5、R5*の片方又は両方は、前記及び国際公開第2007/134181号パンフレット又は国際公開第2009/067647号パンフレットで言及されるように水素以外であり得る(アルファ−L−二環式核酸類似体)。
さらに、二環式ヌクレオシド類似体及びアンチセンスオリゴヌクレオチドにおけるそれらの使用は、国際公開第2011/115818号パンフレット、国際公開第2011/085102号パンフレット、国際公開第2011/017521号パンフレット、国際公開第09100320、国際公開第2010/036698号パンフレット、国際公開第2009/124295号パンフレット及び国際公開第2009/006478号パンフレットに開示される。このようなヌクレオシド類似体は、いくつかの態様では、本発明の化合物において有用であり得る。
いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドで使用されるLNAは、好ましくは一般式IIの構造を有する。
式中、Yは、−O−、−CH2O−、−S−、−NH−、N(Re)及び/又は−CH2−からなる群より選択され、Z及びZ*は、ヌクレオチド間結合、RH、末端基又は保護基のうちから独立して選択され、Bは、天然の又は非天然のヌクレオチド塩基部分(ヌクレオ塩基)を構成し、RHは、水素及びC1−4−アルキルから選択され、Ra、Rb、Rc、Rd及びReは独立して、水素、任意に置換されたC1−12−アルキル、任意に置換されたC2−12−アルケニル、任意に置換されたC2−12−アルキニル、ヒドロキシ、C1−12−アルコキシ、C2−12−アルコキシアルキル、C2−12−アルケニルオキシ、カルボキシ、C1−12−アルコキシルカルボニル、C1−12−アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ−カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ−カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ−及びジ(C1−6−アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ−及びジ(C1−6−アルキル)−アミノ−カルボニル、アミノ−C1−6−アルキル−アミノカルボニル、モノ−及びジ(C1−6−アルキル)アミノ−C1−6−アルキル−アミノカルボニル、C1−6−アルキル−カルボニルアミノ、カルバミド、C1−6−アルカノイルオキシ、スルフォノ、C1−6−アルキルスルフォニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C1−6−アルキルチオ、ハロゲン、DNAインターカレーター、光化学的に活性な基、熱化学的に活性な基、キレート性基、レポーター基、及びリガンドからなる群より任意に選択され、アリール及びヘテロアリールは任意に置換され得るものであり、2つのジェミナル置換基Ra及びRbは共に、任意に置換されたメチレン(=CH2)を示し得るものであり、RHは、水素及びC1−4−アルキルから選択される。いくつかの実施態様ではRa、RbRc、Rd及びReは任意に独立して、水素及びメチルなどのC1−6アルキルからなる群より選択される。すべてのキラル中心につき、不斉基はR又はS配向のいずれかで認められ得るものであり、例えば、2つの例示的な立体化学的異性体としてベータ−D及びアルファ−Lアイソフォームが挙げられ、これらは以下のように例示され得る。
具体的で例示的なLNA単位を、以下に示す。
「チオ−LNA」の用語は、前記一般式のYが、S又は−CH2−S−から選択されるロックドヌクレオチドを含む。チオ−LNAは、ベータ−D及びアルファ−L−配置の両方であることができる。
「アミノ−LNA」の用語は、前記一般式のYが、−N(H)−、N(R)−、CH2−N(H)−、及び−CH2−N(R)−から選択され、Rは、水素及びC1−4−アルキルから選択される、ロックドヌクレオチドを含む。アミノ−LNAは、ベータ−D及びアルファ−L−配置の両方であることができる。
「オキシ−LNA」の用語は、前記一般式のYが、−O−を表すロックドヌクレオチドを含む。オキシ−LNAは、ベータ−D及びアルファ−L−配置の両方であることができる。
「ENA」の用語は、前記一般式のYが、−CH2−O−であり(−CH2−O−の酸素原子は、塩基Bに対して2’−位に付く)、Reが、水素又はメチルであり、ロックドヌクレオチドを含む。
いくつかの例示的な実施態様では、LNAは、ベータ−D−オキシ−LNA、アルファ−L−オキシ−LNA、ベータ−D−アミノ−LNA及びベータ−D−チオ−LNAから選択され、特にベータ−D−オキシ−LNAである。
ギャップマー設計
本発明のオリゴヌクレオチドは、好ましくはギャップマーである。ギャップマーオリゴヌクレオチドは、RNase HなどのRNaseをリクルートすることができるヌクレオチドの連続したストレッチを含むオリゴヌクレオチドであり、この連続したストレッチとして、少なくとも6又は7つのDNAヌクレオチドの領域が挙げられ、本明細書では領域B又は領域Ybと呼ぶ。RNase Hリクルート領域の長さは、整数bによって示されることができ、5から15の間である。領域B又はYは、親和性強化ヌクレオチド類似体の領域により5’及び3’の両方に隣接されるものであって、RNaseをリクルートすることができるヌクレオチドの連続したストレッチに対して5’及び3’の、1〜6の間のヌクレオチド類似体などである。これらの領域は、それぞれ領域A又はX及びC又はXa’と呼ばれる。ヌクレオチド類似体の数は、a又はa’により示されることができ、1〜6の間、好ましくは1、2、3、4又は5である。
EP 1222309は、RNase H活性を定量するためのインビトロの方法であって、RNase Hをリクルートする能力を定量するのに使用され得る方法を提供する。オリゴマーは、相補性RNA標的が与えられた場合、同じ塩基配列を有するがDNA単量体のみを含み、2’置換がなく、オリゴヌクレオチド中のすべての単量体の間にホスホロチオエート結合基があるというDNAのみのオリゴヌクレオチドを用いて定量した初速度の、少なくとも1%、少なくとも5%など、少なくとも10%など、又は20%を上回る初速度(pmol/l/分で測定)を有していれば、EP 1222309の実施例91〜95に提供された方法論を用い、RNase Hをリクルートすることができる、と判断される。
いくつかの実施態様では、オリゴマーは、相補性RNA標的及びRNase Hが与えられた場合に、pmol/l/分で測定したRNase H初速度は、2’置換がなく、オリゴヌクレオチド中のすべてのヌクレオチドの間にホスホロチオエート結合基があるという等価DNAのみのオリゴヌクレオチドを用いて定量した初速度の、1%未満、5%未満など、10%未満など、又は20%未満などであれば、EP 1222309の実施例91〜95に提供された方法論を用い、RNase Hを本質的にリクルートすることができない、と判断される。
他の実施態様では、オリゴマーは、相補性RNA標的及びRNase Hが与えられた場合に、pmol/l/分で測定したRNase H初速度は、2’置換がなく、オリゴヌクレオチド中のすべてのヌクレオチドの間にホスホロチオエート結合基があるという等価DNAのみのオリゴヌクレオチドを用いて定量した初速度の、少なくとも20%、少なくとも40%など、少なくとも60%など、少なくと80%などであれば、EP 1222309(参照により本明細書に組み入れられる)の実施例91〜95に提供された方法論を用い、RNase Hをリクルートすることができる、と判断される。
いくつかの実施態様では、RNaseをリクルートすることができる単量体は、DNA単量体、アルファ−L−LNA単量体、C4’アルキル化DNA単量体(国際公開第2009/090182号パンフレット及びVester et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 18 (2008) 2296 - 2300(参照により本明細書に組み入れられる)参照のこと)、及びUNA(非連鎖(unlinked)核酸)ヌクレオチド(Fluiter et al., Mol. Biosyst., 2009, 10, 1039(参照により本明細書に組み入れられる)参照)からなる群より選択される。UNAは、アンロックド(unlocked)核酸であり、典型的には、リボースのC2−C3のC−C結合が除去されており、ロックされていない(unlocked)「糖」残基を形成している。
いくつかの実施態様では、ギャップマーは、式(5’−3’)、A−B−C若しくはXa−Yb−Xa’、又は任意にA−B−C−D若しくはD−A−B−C若しくはXa−Yb−Xa’−D若しくはD−Xa−Yb−Xa’の(ポリ)ヌクレオチド配列を含み、ここで領域A又はXa(5’領域)は、少なくとも1のロックド核酸(LNA)単位など、1〜6のヌクレオチド類似体など、LNA単位などといった、少なくとも1つのヌクレオチド類似体からなるか又はこれを含み、領域B又はYは、DNAヌクレオチドなどの、RNaseをリクルートすることができる少なくとも5つの連続した(consecutive)ヌクレオチド(mRNA標的などの相補性RNA分子との二重鎖が形成される場合)からなるか又はこれを含み、領域C又はXa’(3’領域)は、少なくとも1のLNA単位など、1〜6のヌクレオチド類似体など、LNA単位などといった、少なくとも1つのヌクレオチド類似体からなるか又はこれを含み、領域Dは、存在する場合、DNAヌクレオチドなどの、1、2又は3のヌクレオチド単位からなるか又はこれを含む。
いくつかの実施態様では、領域A又はXaは、LNA単位など、2〜5のヌクレオチド類似体など、2〜5のLNA単位など、3又は4のヌクレオチド類似体など、3又は4のLNA単位などといった、1、2、3、4、5又は6のヌクレオチド類似体、を含むか又はこれからなり、且つ/あるいは、領域C又はXa’は、LNA単位など、2〜5のヌクレオチド類似体など、2〜5のLNA単位など、3又は4のヌクレオチド類似体など、3又は4のLNA単位などといった、1、2、3、4、5又は6のヌクレオチド類似体を含むか又はこれからなる。
いくつかの実施態様では、B又はYは、RNaseをリクルートすることができる、5、6、7、8、9、10、11若しくは12の連続したヌクレオチド、又はRNaseをリクルートすることができる、5〜15、若しくは6〜10、若しくは7〜9、8などの、連続したヌクレオチドを含むか(includes)又はこれからなるか又はこれを含む(comprise)。いくつかの実施態様では、領域B又はYは、1〜12のDNA単位などの、少なくとも1つのDNAヌクレオチド単位、好ましくは4〜12のDNA単位、より好ましくは7〜10のDNA単位などの、6〜10のDNA単位、最も好ましくは8、9又は10のDNA単位からなるか又はこれを含む。
いくつかの実施態様では、領域A又はXaは、「ヌクレオシド及びヌクレオシド類似体」の項目に記載されたものなど、3又は4のヌクレオチド類似体を含むか又はこれからなり、好ましくは当該類似体はLNAである。領域Bは、7、8、9又は10のDNA単位を含むか又はこれからなり、領域C又はXa’は、「ヌクレオシド及びヌクレオシド類似体」の項目に記載されたものなど、3又は4のヌクレオチド類似体を含むか又はこれからなり、好ましくは当該類似体はLNAである。このような設計として、例えば、(A−B−C又はXa−Yb−Xa’)2−11−3、2−10−2、2−8−4、2−9−3、2−9−4、3−10−3、3−10−4、4−10−3、3−9−3、3−9−4、4−9−3、3−8−3、3−8−4、4−8−3、3−7−3、3−7−4、4−7−3が挙げられ、さらに、DNA単位など、1又は2のヌクレオチド単位を有し得る領域Dを含み得る。ギャップマー設計の例は、国際公開第2004/046160号パンフレットに示されており、参照により本明細書に組み入れられる。いくつかの実施態様では、本発明のギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドは、米国仮特許出願第60/977,409号に記載されるようなショートマー(shortmer)ギャップマーであり得、これらは参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの実施態様では、本発明のオリゴヌクレオチドは、合計10、11、12、13、14、15、16、17又は18のヌクレオチド単位の連続したヌクレオチド配列を含み、この連続したヌクレオチド配列は、式(5’−3’)、A−B−C若しくはXa−Yb−Xa’のものであり、又は任意にA−B−C−D又はD−A−B−C若しくはXa−Yb−Xa’−D若しくはD−Xa−Yb−Xa’のものであって、A又はXa’は、LNA単位などの、1、2、3又は4のヌクレオチド類似体単位からなり、B又はYは、相補性RNA分子(mRNA標的など)との二重鎖が形成される場合、RNaseをリクルートすることができる、7、8、9、10又は11の連続したヌクレオチド単位からなり、C又はXa’は、LNA単位など、1、2、3又は4のヌクレオチド類似体単位からなる。存在する場合、Dは単一のDNA単位からなる。
いくつかの実施態様では、A又はXaは、1のLNA単位からなる。いくつかの実施態様では、A又はXaは、2のLNA単位からなる。いくつかの実施態様では、A又はXaは、3のLNA単位からなる。いくつかの実施態様では、A又はXaは、4のLNA単位からなる。いくつかの実施態様では、C又はXa’は、1のLNA単位からなる。いくつかの実施態様では、C又はXa’は、2のLNA単位からなる。いくつかの実施態様では、C又はXa’は、3のLNA単位からなる。いくつかの実施態様では、C又はXa’は、4のLNA単位からなる。いくつかの実施態様では、B又はYは、7のヌクレオチド単位からなる。いくつかの実施態様では、B又はYは、8のヌクレオチド単位からなる。いくつかの実施態様では、B又はYは、9のヌクレオチド単位からなる。特定の実施態様では、領域Bは、10のヌクレオシド単量体からなる。特定の実施態様では、領域B又はYは、1〜10のDNA単量体を含む。いくつかの実施態様では、Bは、10のヌクレオチド単位からなる。いくつかの実施態様では、B又はYは、11のヌクレオチド単位からなる。いくつかの実施態様では、B又はYは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11のDNA単位などを含む1〜11のDNA単位を含む。いくつかの実施態様では、B又はYは、DNA単位からなる。いくつかの実施態様では、B又はYは、アルファ−L−配置の、2、3、4、5、6、7、8又は9のLNA単位などといった、アルファ−L配置の、少なくとも1つのLNA単位、を含む。いくつかの実施態様では、B又はYは、少なくとも1つのアルファ−L−オキシLNA単位を含み、又はアルファ−L−配置のすべてのLNA単位が、アルファ−L−オキシLNA単位である。いくつかの実施態様では、A−B−C又はXa−Yb−Xa’に存在するヌクレオチドの数は、1−8−1、1−8−2、2−8−1、2−8−2、3−8−3、2−8−3、3−8−2、4−8−1、4−8−2、1−8−4、2−8−4、又は1−9−1、1−9−2、2−9−1、2−9−2、2−9−3、3−9−2、1−9−3、3−9−1、4−9−1、1−9−4、又は1−10−1、1−10−2、2−10−1、2−10−2、1−10−3、3−10−1、又は1−11−1、1−11−2、2−11−1、2−11−2、2−11−3、3−11−2、4−11−1、1−11−4(ヌクレオチド類似体単位−領域B又はY−ヌクレオチド類似体単位)からなる群より選択される。いくつかの実施態様では、A−B−Cにおけるヌクレオチドの数は、3−8−3、3−10−3、3−9−3、2−8−3、2−11−3、3−9−4、4−9−3、4−8−4、3−8−5、5−8−3、2−10−3、3−10−2、4−9−2、2−9−4、4−8−3、3−8−4、2−10−2、2−9−3、3−9−2、4−8−2、2−8−4及び4−7−4からなる群より選択される。特定の実施態様では、領域A及びC又はXa及びXa’の各々は、3のLNA単量体からなり、領域B又はYは、8又は9又は10のヌクレオシド単量体、好ましくはDNA単量体からなる。いくつかの実施態様では、A及びCの両方は各々、2、3又は4のLNA単位からなり、Bは、8、9、10又は11のヌクレオチド単位、好ましくはDNA単位からなる。
種々の実施態様では、他のギャップマー設計として、領域A及び/又はC又はXa及び/又はXa’が、2’−O−メトキシエチル−リボース糖(2’−MOE)を含む単量体若しくは2’−フルオロ−デオキシリボース糖を含む単量体など、3、4、5又は6のヌクレオシド類似体からなり、領域BはDNA単量体など、8、9、10、11又は12ヌクレオシドからなり、領域A−B−Cは3−9−3、3−10−3、5−10−5又は4−12−4単量体を有するものが挙げられる。さらなるギャップマー設計は、国際公開第2007/146511号パンフレットに開示され、参照により本明細書に組み入れられる。
ヌクレオチド間結合
本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドの単量体は、結合基を介して互いに連結される。好適には、各単量体は、結合基を介して3’の隣接した単量体に連結される。
本開示を読んで、当業者であれば本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの端部の5’単量体は、5’結合基を含まないが、5’末端基を含んでも含まなくてもよいことを理解するであろう。
「結合基」又は「ヌクレオチド間結合」の用語は、2つのヌクレオチドが互いに共有結合することができる群(group)を意味することとする。具体的且つ好ましい例として、リン酸塩基及びホスホロチオエート基が挙げられる。本アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続したヌクレオチド配列は、結合基を介して互いに連結される。好適には、各ヌクレオチドは、結合基を介して3’の隣接したヌクレオチドに連結される。例示的なヌクレオチド間結合には、国際公開第2007/031091号パンフレットに記載のものが含まれ、参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの実施態様では、ヌクレオチド間結合は、その正常ホスホジエステルから、ホスホロチオエート又はボラノホスフェート(これらの2つは、RNase Hにより切断可能)など、ヌクレアーゼによる攻撃に対する耐性がより強いものに修飾され得るものであり、また、標的遺伝子の発現を低下させるのに、アンチセンス阻害の経路を許容する。
本明細書に提示される、好適な硫黄(S)含有ヌクレオチド間結合は、好ましいものであり得る。ホスホロチオエートヌクレオチド間結合も好ましく、特にギャップマーのギャップ領域(B又はY)に対して好ましい。ホスホロチオエート結合はまた、隣接領域に対しても使用され得る(適宜、A/Xa及びC/Xa’、並びにA/Xa又はC/Xa’をDに連結するため、及び領域D内)。
しかしながら、領域A又はXa、B又はY及びC又はXa’は、特に、例えば、領域A又はXa及びC又はXa’がLNAヌクレオチド含む場合など、ヌクレオチド類似体の使用によって、領域A又はXa及びC又はXa内のヌクレオチド間結合がエンドヌクレアーゼ分解から保護される場合に、ホスホジエステル結合など、ホスホロチオエート以外のヌクレオチド間結合を含み得るものである。
標的とされるRNAをRNase Hで切断させるべく、本発明のオリゴヌクレオチドのヌクレオチド間結合は、ホスホジエステル、ホスホロチオエート又はボラノホスフェートとされ得る。ヌクレアーゼ耐性を向上させ、さらに製造を容易にするなど他の理由により、ホスホロチオエートが好ましい。いくつかの実施態様では、本発明のオリゴヌクレオチドのヌクレオチド及び/又はヌクレオチド類似体は、ホスホロチオエート基によって互いに連結されている。本発明の好ましい実施態様ではオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含む。
ホスホジエステル結合(1又は2つの結合など)を、別のホスホロチオエートオリゴヌクレオチドに、特にヌクレオチド類似体単位の間又はそれらに隣接して(典型的には領域A又はXa及び/若しくはC又はXa’内)含ませることで、国際公開第2008/053314号パンフレット(参照により本明細書に組み入れられる)に記載されるように、オリゴヌクレオチドのバイオアベイラビリティー及び/又は成体分布を改変できることが認められる。
いくつかの実施態様では、前記のような実施態様などで、好適且つ具体的に示されない場合、残余の結合基はすべて、ホスホジエステル又はホスホロチオエートのいずれか、又はそれらが混在している。
いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオチド間結合基は、ホスホロチオエートである。本明細書に提示されるものなど、具体的なギャップマーオリゴヌクレオチド配列を参照すると、種々の実施態様では、前記結合がホスホロチオエート結合である場合、本明細書に開示されるものなど、代替結合が使用され得ること、例えばリン酸塩(ホスホジエステル)結合は、特にLNA単位などのヌクレオチド類似体間の結合に対して使用され得ることが理解されよう。同様に、本明細書に提示されるものなど、具体的なギャップマーオリゴヌクレオチド配列を参照すると、Cヌクレオチド残基が、5’メチル修飾されたシトシンとして注釈される場合、種々の実施態様では、オリゴヌクレオチドに存在するCヌクレオチドの1以上は、修飾されないC残基であり得る。
医薬組成物
本発明は、本発明に係る治療活性物(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)、と一緒に1以上の薬学的に許容し得る賦形剤を含む医薬組成物をさらに提供する。このような医薬組成物は、1以上のさらなる、治療上有効な物質を任意に含み得る。
本明細書に提示される医薬組成物の説明は主に、ヒトへの倫理的な投与に好適な医薬組成物に関するものであるが、当業者であれば、このような組成物があらゆる種類の動物への投与に概して好適であることは理解されよう。組成物を種々の動物への投与に好適なものとするために、ヒトへの投与に好適な医薬組成物を改変することは、十分に理解されており、もし必要ならば、通常の知識を有する獣医薬理学者(veterinary pharmacologist)は、このような改変を単に通常の実験法で設計及び/又は実施することができる。
本明細書に記載される医薬組成物の製剤は、薬理学の当該技術分野で既知又は今後開発されるいずれかの方法によって調製され得る。一般に、このような調製方法は、有効成分を希釈剤若しくは別の賦形剤及び/又は1以上の他の副成分と合わせ、次いで、必要及び/又は所望であれば、その産物を所望の単回又は複数用量単位に成形及び/又は包装する工程を含む。
本発明に係る医薬組成物は、調製され、包装され、並びに/又は、ばら(バルク)で、単回単位用量として、及び/若しくは複数の単回単位用量として販売され得る。本明細書で使用する場合、「単位用量」とは所定の量の有効成分含む、個別量の医薬組成物のことである。有効成分の量は概して、被験者に投与されることになる有効成分の服用量、及び/又は例えば、このような服用量の2分の1若しくは3分の1など、かかる服用量の好都合な画分に等しい。
本発明に係る医薬組成物における、有効成分の相対的な量、薬学的に許容し得る 賦形剤、及び/又はいずれかの付加的成分は、処置される被験者のアイデンティティ、大きさ、及び/又は状態に応じて、またさらに、組成物が投与されることになる経路応じて変化するであろう。例として、組成物は、0.1%〜100%(重量/重量)の有効成分を含み得る。
医薬製剤は付加的に、薬学的に許容し得る賦形剤を含み得るものであり、本明細書で使用する場合賦形剤としては、所望の特定剤形に適合するような、あらゆる溶媒、分散媒体、希釈剤、又は他の液体媒質、分散若しくは懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、濃厚化若しくは乳化剤、防腐剤、固形結合剤、滑沢剤などが挙げられる。Remington's The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, A. R. Gennaro (Lippincott, Williams & Wilkins, Baltimore, MD, 2006(参照により本明細書に組み入れられる))は、医薬組成物の製剤化、及びその調製のための公知の技法において使用される種々の賦形剤を開示する。従来の賦形剤媒体のいずれかが、望ましくない何らかの生物学的効果を生じさせたり、あるいは医薬組成物の1種若しくは複数種の、他のいずれかの成分と有害に相互作用を惹き起こすなどにより、物質又はその誘導体と不適合である場合のみを除いては、その使用は本発明の範囲に含まれることが考えられる。
いくつかの実施態様では、薬学的に許容し得る賦形剤は、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の純度である。いくつかの実施態様では、ヒトにおける使用のため、及び獣医学での使用のために認められる。いくつかの実施態様では、賦形剤は、米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)により認可されたものである。いくつかの実施態様では、賦形剤は医薬品等級のものである。いくつかの実施態様では、賦形剤は、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)、英国薬局方、及び/又は国際薬局方の規格に適合する。
医薬組成物の製造に使用される薬学的に許容し得る賦形剤としては、不活性な希釈剤、分散及び/若しくは造粒剤、表面活性剤及び/若しくは乳化剤、崩壊剤、結合剤、防腐剤、緩衝剤、平滑剤、並びに/又は油が挙げられるが、これらに限定されない。このような賦形剤は、医薬製剤に任意に含まれ得る。カカオバター及び坐剤ロウ(suppository wax)などの賦形剤、着色剤、コーティング剤、甘味料、香料、及び/又は付香剤を、調剤者の判断に従い組成物中に存在させることができる。
医薬品の製剤化及び/又は製造における一般的な考慮事項は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 21st ed., Lippincott Williams & Wilkins, 2005(参照により本明細書に組み入れられる)に見出され得る。
いくつかの実施態様では、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを送達するためにリポソームが使用され得る。本明細書で使用する場合、リポソームは、脂質二重層で構成される、人工的に調製されたベシクルである。リポソームは、生体膜を破壊(超音波処理によるなど)することによって調製されることができる。リポソームは、天然のリン脂質、又は界面活性剤特性を備えた混合脂質鎖(例えば、卵ホスファチジルエタノールアミン)を含み得る。リポソーム設計は、所望の標的組織への標的化のため、表面リガンドを採用し得る。
投与
本発明は、有効量の、本明細書に記載される治療活性物(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)を、処置を必要とする被験者に投与する方法を提供する。
本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、静脈内、皮下、筋肉内、非経口、経皮、又は経粘膜(例えば、経口又は鼻内)を含め、種々の投与経路によって投与され得るが、投与経路はこれらに限定されない。いくつかの実施態様では、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、静脈内投与によって投与され得る。いくつかの実施態様では、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、皮下投与によって投与され得る。いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドに対する投与計画は、最初の投与計画の後反復され得るものであり、実際に投与計画は、疾患を処置又はその進行を防止するために、必要に応じて反復され得る。いくつかの実施態様では、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、毎日、週二回、週一回、隔週、毎月、二カ月ごとに1回、三カ月ごとに一回、四カ月ごとに一回、六カ月ごとに一回、又は間隔を変動させて投与され得る。
適用
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、診断、治療及び予防のための研究試薬として利用され得る。
研究で、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞及び実験動物においてBCL11Aタンパク質の合成を特異的に阻害し(典型的には、mRNAを分解又は阻害し、これによりタンパク質形成を妨げることにより)、これによって標的の機能的な分析、又は治療的介入に対する標的としてのその有用性の査定を容易にするために使用され得る。
診断において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ノーザンブロッティング、インサイツハイブリダイゼーション又は同様の技術によって、細胞及び組織におけるBCL11A発現を検出及び定量するために使用され得る。
治療に対しては、BCL11Aの発現をモデュレーションすることにより処置することのできる疾患又は障害があると疑われる動物又はヒトが、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することにより処置される。さらに提供されるのは、治療上又は予防上有効量の、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物の1以上を投与することにより、BCL11Aの発現が関係する疾患又は状態があると疑われるか、又はその傾向にあるヒトを処置することなど、哺乳動物を処置する方法である。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、結合物又は医薬組成物が、典型的には有効量投与される。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、本明細書で言及される障害の処置用の医薬の製造のため、又は本明細書で言及される障害の処置の方法のために好適である。
本明細書で言及される障害を処置するための方法が提供され、この方法は、本明細書に記載されるようなアンチセンスオリゴヌクレオチド、及び/又は結合物、及び/又は医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む。
本発明は、本発明に係るオリゴヌクレオチド又は本発明の医薬組成物を、処置を必要とする被験者に投与することを含む、貧血性疾患、障害又は状態を処置する方法を提供する。
一つの実施態様では貧血性疾患、障害又は状態は、鎌状赤血球症である。
別の実施態様では、貧血性疾患、障害又は状態は、β−サラセミアである。
処置の方法において適用される場合、本発明のオリゴヌクレオチド又は本発明の医薬組成物の投与は結果的に、1以上の標的組織においてBCL11Aの発現低下をもたらす。好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチド又は本発明の医薬組成物の投与は結果的に、1以上の標的組織においてγ−グロビン発現の増加をもたらす。本発明のオリゴヌクレオチド又は本発明の医薬組成物の投与は結果的に、1以上の標的組織において胎児ヘモグロビン生成の増加をもたらし得る。好ましくは、標的組織は、骨髄、肝臓、腎臓、脾臓及び/又は血漿細胞、末梢血B細胞、樹状細胞、赤血球系前駆細胞、多能性幹細胞、胸腺、扁桃上皮から選択される。
治療用途
本明細書に記載されるBCL11Aのアンチセンスオリゴヌクレオチドモデュレーターは、種々のBCL11A関連疾患、障害及び状態を処置するために使用され得る。
鎌状赤血球症(SCD)
鎌状赤血球症、又は鎌状赤血球貧血は、受け継がれる遺伝的障害であり、細胞の柔軟性を低下させる、異常な、硬直した、鎌状の形を有する赤血球細胞により特徴付けられる。これはベータグロビン鎖遺伝子の変異に起因し、超優性を伴い常染色体劣性に顕在化される。SCDは、平均余命の低下など、様々な重度の合併症に関係し、また死に導く可能性がある病態を惹き起こす。しかしながら、変異の遺伝的多形性のため、すべての受け継がれるヘモグロビン変異が有害なわけではない。
SCDは、熱帯及び亜熱帯のサハラ砂漠以南の地域の住民で、通常的に報告されている。これらは、通例、マラリアが観察される領域でもある。興味深いことに、SCDのキャリア(すなわち、変異の1コピーを有している)は、感染への耐性がより強く、感染時に示す重度の症候が少ないことが認められている。
本明細書に記載されるBCL11Aのアンチセンスオリゴヌクレオチドモデュレーターが、SCDを処置するのに使用され得る。本明細書で使用する場合、「処置する」又は「処置」の用語は、疾患に関係する1以上の症候の寛解、疾患の1以上の症候の発症の防止若しくは遅延、及び/又は疾患の1以上の症候の重症度若しくは頻度の低減を言う。
いくつかの実施態様では、処置は、SCD患者の1以上の症候を、部分的に又は完全に軽減、寛解、緩和、阻害、発症を遅延、重症度及び/又は発生率を低下させることを言い、それら症候として、貧血;眼の黄変;皮膚の蒼白、冷え及び/又は黄変;呼吸の短縮;筋力低下;腸内変化(例えば、糞便色の変化);疲労;眩暈;失神;血管への変化(例えば、低血圧);心臓に影響する変化(例えば、心悸亢進、頻脈、胸部疼痛、狭心症、心臓発作)、及び臓器肥大(例えば、脾臓)が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様では、処置は、処置を必要とする被験者における貧血の症候の低下を言う。特定の実施態様では、貧血の症候の程度は、前処置又は非処置の対照(例えば、同様の罹病又は進行段階であるが処置をしていない対照被験者による貧血の症候の程度)と比較して少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、以上低下され得る。
いくつかの実施態様では、処置は、ガンマグロビン発現の増加(例えば、総発現、一週あたり、一カ月、二カ月あたり、六カ月あたりの発現増加パーセントなど)を言う。種々の実施態様では、ガンマグロビン発現の増加は、SCD患者におけるベータグロブリンの発現の欠除または低下を補う。
サラセミア(α、β及びδ)
サラセミアは、SCDと同様、受け継がれる遺伝的障害であり、血液に影響を及ぼす。サラセミアは、常染色体劣性状態として顕在し、赤血球細胞の衰弱及び破壊をもたらす。サラセミアは、酸素の運搬を担う赤血球細胞中のタンパク質であるヘモグロビンがどのように身体で作られるかに影響を及ぼす遺伝子の変異又は欠失によって引き起こされる。サラセミアに罹患している個体は、低ヘモグロビン生成によって特徴付けられ、循環している赤血球細胞が正常よりも少なく、その結果、軽度又は重度の貧血が起こる。サラセミアの起源は、地中海沿岸領域にある。
サラセミアは、肺炎、鉄過剰、骨変形及び心臓血管病を含め、深刻な合併症を起こす可能性がある。しかしながら、本疾患ではSCDと同様、この疾患のキャリアである人々に、マラリアに対するある程度の防御が授けられることが観察されている。
ヘモグロビンは、2つのアルファグロビン鎖及び2つのベータグロビン鎖の、4つのタンパク質鎖で構成されており、これらグロビン鎖はヘテロ二量体として配置されている。ヒトにおいて、ベータグロビン鎖は染色体11上の単一遺伝子によってコード化されており、アルファグロビン鎖は染色体16上の2つの遺伝子によってコード化され、それらは連結されている。これにより、正常個体が2つのベータ鎖遺伝子座及び4つのアルファ鎖遺伝子座を含む遺伝的な状態が成り立つ。サラセミアの患者では、アルファ又はベータ鎖のいずれかの変異があり、低い且つ/又は異常な赤血球細胞の生成を誘発する。その結果、どの鎖に変異があるかによってサラセミアは分類される。アルファ及びベータサラセミアは、アフリカ人、アジア人、ギリシャ人及びイタリア人の民族集団で共通である。
アルファサラセミア(thalassemas)(アルファ鎖での変異)は、HBA1及びHBA2遺伝子に関わり、アルファグロビンの生成の低下を引き起こす。これにより、成人ではベータグロビン生成が増加し、幼児ではガンマグロビン生成が増加するという状態が生まれる。ベータグロビン生成の増加は、不安定な四量体の形成をもたらし、酸素と解離する能力が減弱になる。
ベータサラセミア(ベータ鎖での変異)は、HBB遺伝子に関わり、結果的な疾患の重症度は、その変異に依存している。いくつかの変異は、ベータ鎖の形成を妨げ、疾患の最重症型となるが、その他ではある程度のベータ鎖が、例え低レベルでも形成される。ベータ鎖変異の結果、アルファ鎖生成が過剰になり、アルファサラセミアの場合のように四量体を形成しない。あるいは、過剰のアルファ鎖は赤血球細胞の膜に結合して、その結果膜に損傷を起こし、またアルファ鎖が凝集すれば毒性になる可能性がある。
低頻度ではあるが、デルタサラセミアが起こる可能性がある。それらは同様に、デルタグロビン鎖遺伝子の変異に起因し、これらの鎖の異常生成を引き起こす。成人のヘモグロビンの約3%が、アルファ及びデルタ鎖から構成されると報告されている。
本明細書に記載されるBCL11Aのアンチセンスオリゴヌクレオチドモデュレーターが、サラセミア、例えば、アルファ、ベータ及び/又はデルタサラセミア(thalassemas)を処置するのに使用され得る。「処置する」又は「処置」の用語は、疾患に関係する1以上の症候の寛解、疾患の1以上の症候の発症の防止若しくは遅延、及び/又は疾患の1以上の症候の重症度若しくは頻度の低減を言う。
いくつかの実施態様では、処置は、サラセミア患者の1以上の症候の、部分的又は完全な軽減、寛解、緩和、阻害、発症を遅延、重症度及び/又は発生率低下を言い、それら症候として、肺炎、鉄過剰、骨変形及び心臓血管病が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様では、処置は、サラセミア患者の1以上の症候の、部分的又は完全な軽減、寛解、緩和、阻害、発症を遅延、重症度及び/又は発生率低下を言い、それら症候として、貧血;眼の黄変;皮膚の蒼白、冷え及び/又は黄変;呼吸の短縮;筋力低下;腸内変化(例えば、糞便色の変化);疲労;眩暈;失神;血管への変化(例えば、低血圧);心臓に影響する変化(例えば、心悸亢進、頻脈、胸部疼痛、狭心症、心臓発作)、及び臓器肥大(例えば、脾臓)が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様では、処置は、処置を必要とする被験者における貧血の症候の低下を言う。特定の実施態様では、貧血の症候の程度は、前処置又は非処置の対照(例えば、同様の罹病又は進行段階であるが処置をしていない対照被験者による貧血の症候の程度)と比較して少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、以上低下され得る。
いくつかの実施態様では、処置は、ガンマグロビン発現の増加(例えば、総発現、一週あたり、一カ月、二カ月あたり、六カ月あたりの発現増加パーセントなど)を言う。種々の実施態様では、ガンマグロビン発現の増加は、サラセミア患者におけるアルファ、ベータ又はデルタグロブリンの発現の欠除または低下を補う。
本発明は、以下の実施例を参照することによってさらに十分に理解されよう。しかしながら、本実施例は、本発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。すべての引用文献は、参照により組み入れられる。
実施例
実施例1. BCL11Aを標的とするオリゴヌクレオチドの設計及び合成
本実施例は、BCL11A発現及び活性を有効にダウンレギュレーションすることができるLNAオリゴヌクレオチドの設計及び合成の例示的な方法を示す。本実施例では、主たる標的領域は、XL、L及びSアイソフォーム間の重複領域である(図2)。
ヒトBCL11Aの3つの主要アイソフォーム(すなわち、XL、L又はS;表3)の配列の基づいて、合計401のLNAオリゴヌクレオチドを設計し、7つのライブラリーにて合成して、種々の特異性、長さ(例えば、12〜16マー)及びLNA設計のオリゴヌクレオチドを得た。
LNA単位を設計するための例示的な方法は、Wahlestedt, C. et al. 2000, PNAS 91(10):5633-5638に記載されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。例示的なLNAオリゴヌクレオチドを、表4に示す。
mCは、5−メチルシトシン−1−イル塩基を有するヌクレオチド単量体を示し;添え字「s」が、ホスホロチオエート結合を示し;大文字/太字の塩基はロックド核酸を示し;上付き「o」はオキシ−LNAを示す。
実施例2. BCL11A特有のオリゴヌクレオチドのインビトロスクリーニング及びIC50定量
BCL11A核酸発現に対するオリゴヌクレオチドの効果は、標的核酸が測定可能レベルで存在するならば、様々な細胞タイプのいずれでも試験されることが可能である。BCL11Aは、核酸の一過性又は安定なトランスフェクションによって内在的に発現されることができる。BCL11A核酸の発現レベルは、例えば、ノザンブロット分析、定量的PCR、リボヌクレアーゼプロテクションアッセイを用いて、ルーティンに定量できる。本実施例では、BCL11Aを選択的に標的指向化した、実施例1のとおりに合成したオリゴヌクレオチドを、ヒトREH細胞で試験してBCL11A mRNA発現を測定した。選択された細胞タイプにて標的が発現されるならば、他の細胞タイプをルーティンに使用することができる。細胞は後記の適切な培地で培養し、37℃で湿度95〜98%、5%CO2に保持した。低酸素又は無酸素下に培養する場合、O2レベルはそれぞれ、1〜2%又は0〜0.5%に維持した。細胞は毎週2〜3回、ルーティンに継代した。
手短に説明すると、ヒトREH細胞を使用し、第3日の哺乳類細胞培養実験において、401オリゴヌクレオチドを用いてBCL11A mRNAの発現に対する効果を定量した。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞に5及び25μMで添加し、さらなる試薬又は取り込み賦活薬は用いずにジムノシス(gymnosis)送達技術を用いた(Stein, C.A. et al. 2010, Nucleic Acids Research 38(1):e3)。定量的リアルタイムRT−PCR(RT−qPCR)により、BCL11A mRNAを測定した。実施例1に従って作成されたアンチセンスオリゴヌクレオチドによるBCL11Aの阻害の例示的な結果を図3に示す。
図3に示すとおり、実施例1に従って作成されたアンチセンスオリゴヌクレオチドは、BCL11AアイソフォームXL全体のいくつかの異なる位置に標的とすることによってBCL11A mRNAの発現を阻害することができ、特に、XL、L及びSアイソフォームで重複している位置で、阻害することができた(図2参照)。
別の実験において、選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドに関し、種々の濃度(0.0064〜20μMの範囲)で、IC50値及びBCL11A mRNAの発現に対する効果を、ヒトREH細胞を使用して先に記載したように定量した。例示的な結果を表5(IC50)及び図4(BCL11A mRNA)に示す。オリゴ番号56:BCL11A mRNAを標的としないアンチセンスオリゴヌクレオチド。
同様の実験において、オリゴ4及び5から設計された異なるオリゴヌクレオチドに関し、種々の濃度(0.25〜60μMの範囲)で、IC50値及びBCL11A mRNAの発現に対する効果を、ヒトREH細胞を使用して先に記載したように定量した。例示的な結果を表6(IC50)及び図5(BCL11A mRNA)に示す。オリゴ番号56:BCL11A mRNAを標的としないアンチセンスオリゴヌクレオチド;モック:細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチドは添加せず。
別の実験において、選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドに関し、種々の濃度(0.25〜60μMの範囲)で、IC50値及びBCL11A mRNAの異なるアイソフォームの発現に対する効果を、ヒトREH細胞を使用して先に記載したように定量した。例示的な結果を表7(IC50)及び図6(アイソフォームBCL11A mRNA)に示す。オリゴ番号56:BCL11A mRNAを標的指向化しないアンチセンスオリゴヌクレオチド;モック:細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチドは添加せず。
別の同様の実験において、選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドに関し、種々の濃度(0.08〜20μMの範囲)で、IC50値及びBCL11A mRNAの発現に対する効果を、マウスMPC−11細胞を使用し、ヒトREH細胞に対して先に記載したと同様の実験条件を用いて定量した。例示的な結果を表8(IC50)及び図7(BCL11A mRNA)に示す。オリゴ番号56:BCL11A mRNAを標的としないアンチセンスオリゴヌクレオチド;モック:細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチドは添加せず。
さらに別の実験で、オリゴ8、25及び27から設計された異なるオリゴヌクレオチドに関し、IC50値を、ヒトREH細胞を使用して先に記載したように定量した。典型的には、IC50値は、0.0064〜20μMの範囲で、5倍希釈の6ポイントを用いて定量した。例示的な結果を表9に示す。
まとめると、これらのデータは、実施例1に記載のもののような、本発明によって提供されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、0.25μM〜60μMの間の範囲の典型的なIC50で、BCL11Aを有効に阻害できることを示している。加えて、本発明によって提供される、選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドは、0.10μM〜1.5μMの間の範囲の典型的なIC50で、マウスBCL11Aを有効に阻害することができる。
実施例3. オリゴヌクレオチドのインビボ耐容性(tolerance)
前述の実施例に記載のオリゴヌクレオチドを、それらのインビボ耐容度(tolerability)に関して、NMRIマウスを用いて試験した。
手短に説明すると、雌性NMRIマウス(一群あたり、n=5)に、生理食塩水(対照)又は選択されたLNAオリゴヌクレオチド(15mg/kg)のいずれかを、第0、3、7、10及び14日に静脈内投与によって服用させた。マウスを、最後の服用後48時間に屠殺した。各群の各動物に関し、以下のパラメータ:体重(第0日、第5、6又は7日、及び第10、13、14又は16日)、屠殺時の臓器(肝臓、腎臓及び脾臓)重量、血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)活性、並びに骨髄及び脾臓全体におけるBCL11A mRNA発現を記録した。例示的な結果を図8に示す。
図8に示すように、選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドが、マウスにおけるBCL11A mRNA発現を阻害する能力を、回収された骨髄及び脾臓において確認した。例えば、オリゴ8及び25で、骨髄におけるBCL11A mRNAの約40%の低減が明示され、またオリゴ8及び20で、脾臓におけるBCL11A mRNAの同程度の低減が明示された。概して、骨髄におけるBCL11A mRNA発現の阻害は、平均約10〜50%の範囲であり、脾臓におけるBCL11A mRNA発現の阻害は、平均約10〜40%の範囲であった。典型的には、処置された動物の身体及び臓器重量は影響を受けなかった。
まとめると、これらのデータは、本発明によって提供される、実施例1に記載のものなどのアンチセンスオリゴヌクレオチドが、良好に耐容性を呈し、且つ骨髄、脾臓を含む(これらに限定されない)種々の標的組織におけるBCL11A mRNA発現をインビボで有効に阻害できることを示している。
同様の実験において、選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを、それらのインビボ耐容度に関し、NMRIマウスを使用して先に記載したように試験した。典型的には、BCL11Aを標的とする、選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドが投与されたマウスの身体及び臓器重量は典型的には影響を受けなかった。選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与されたマウスに対する血清ALTレベルは、生理食塩水群と比較して同様の結果を明示した。
同様の実験において、選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを、インビボ耐容度に関し、ウィスターラットを使用して試験した。手短に説明すると、雄性ウィスターラット(一群あたり、n=5)に、生理食塩水(対照)又は選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチド(25mg/kg)のいずれかを、週一回(第0、7、14、21及び28日)皮下投与によって服用させた。ラットを第30日に屠殺した。各群の各動物に関し、以下のパラメータ:試験の間の体重、屠殺時の臓器(肝臓、腎臓及び脾臓)重量、肝臓及び腎臓の組織病理学、及び臨床的血清化学物質(アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパルタートアミノトランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、ビリルビン、尿素及びクレアチニン)を記録した。
BCL11Aを標的とする、選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与されたウィスターラットにおける臓器(例えば、肝臓、腎臓及び脾臓)重量は、典型的には影響を受けなかった。加えて、種々の臨床的血清化学マーカー(例えば、ALT、AST、ALP、ビリルビン、尿素、クレアチン)に対する測定値は、対照群と比較して同様の結果を明示した。
まとめると、これらのデータは、実施例1に記載のもののような、本発明によって提供されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、概して安全であり、良好な耐容性を呈することを明示する。
実施例4. 野生型及びβ−YAC遺伝子導入マウスにおけるインビボの有効性
野生型及び遺伝子導入マウス(ヒトβ−グロビン遺伝子(β−YAC)の遺伝子導入)を使用して、前記の実施例に従って作成された、いくつかのLNAオリゴヌクレオチドの、インビボの有効性を定量した。
手短に説明すると、野生型及びβ−YAC遺伝子導入マウスに、選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを皮下経路で、以下の二種のスケジュール、(1)第0、3、6、13、20及び27日に服用、第29日に剖検(屠殺)を指定、並びに(2)第0、3、6、13、20、27、34、41、48、及び55日に服用、第57日に剖検(屠殺)を指定、に従って服用させた(25又は15mg/kg)。両方の服用スケジュールにつき、第0日の前と、剖検死検時(それぞれ、第29又は57日)に血液を採取した。本試験で使用したエンドポイントは、標的組織(例えば、骨髄)におけるBCL11Aのノックダウン、さらには血液化学物質及びオリゴヌクレオチドの体内分布を含んでいた。
実施例3で示される結果に合致して、野生型及び遺伝子導入マウスの両方につき、種々のアンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置では58日まで、体重に対して悪影響はなかった。処置群間でASTレベルに、有意差は観察されなかった。
野生型マウスの骨髄におけるBCL11A mRNA発現のノックダウンの例示的な結果を、図9(投与後4週)及び10(投与後8週)に示す。β−YAC遺伝子導入マウスにおけるBCL11A mRNA発現のノックダウンに対する例示的な結果を、図11に示す。β−YAC遺伝子導入マウスのTer119+及びCD19+骨髄 細胞における、BCL11A mRNA発現のノックダウンに対する投与後8週の例示的な結果を、図12に示す。
前記結果で示されるように、BCL11A mRNA発現のノックダウンは8週でより大きかったが、候補オリゴ8では、試験されたオリゴヌクレオチドのうち、BCL11Aの減少が最大であることが明示された。15又は25mg/kgで服用した場合、BCL11A発現のノックダウンの、候補オリゴ4との差は観察されなかった。さらに、選択されたオリゴヌクレオチドにつき、8週間投与された場合に、野生型でも遺伝子導入のマウスでも、BCL11A発現のノックダウンの差は観察されなかった。
まとめると、本実施例は、本発明によって提供されるアンチセンスオリゴヌクレオチドが、骨髄、脾臓を含む(これらに限定されない)種々の標的組織におけるBCL11A発現をインビボで有効に阻害できることを明示している。
実施例5. ヒト以外の霊長類における薬理学試験
BCL11Aの1以上のアイソフォームを特異的に標的とする、例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて薬理学的な試験を実施し、インビボ安全性及び有効性をさらに確認した。
手短に説明すると、試験は6〜16週の期間にわたり、この間、皮下注射により雌性カニクイザル(cynomologus monkeys)(年齢2〜4年、及び重量2.5〜4kgの範囲)に、毎週20mg/kgを6回の服用量で、又は毎週10mg/kg及び20mg/kgを12回の服用量で、選択されたBCL11Aに特有のLNAアンチセンスオリゴヌクレオチド又は対照(生理食塩水)を投与した。最後の服用のおよそ7日後、先に記載したような試験の継続期間に応じておよそ第7週又は第17週に、動物を屠殺した。その試験の前段階の間や服用期間の全体にわたって採血を繰り返して赤血球新生を刺激したために、試験が進行するにつれて処置群の半分は中程度に貧血になってしまった。実験計画を、表10に示す。
薬力学的バイオマーカー:末梢血(2週ごと)及び骨髄(剖検時、試験計画に応じて第7週及び第17週)を試料採取して、BCL11A及びγ−グロビンmRNA発現、さらに胎児ヘモグロビン(HbF)及びγ−グロビンタンパク質レベルをELISAアッセイにより定量するのに使用した。骨髄中のHbFレベルは、高性能クロマトグラフィ(HPLC)を用いた分析も行った。F細胞は、Kleihauer法を用いてを測定した。第7週に採取した骨髄試料は、生体骨髄吸引により上腕骨から試料採取された。第17週に採取した骨髄試料は、複数の方法論を用い、上腕骨及び大腿骨から試料採取された。上腕骨からの第17週の試料採取は、生体骨髄吸引により実施された。大腿骨からの第17週の試料採取は、骨髄を緩衝液で洗い流し、その後遠心分離して得られたペレットを分析した。大腿骨からの第17週の試料採取は、凍結大腿骨全体からも実施された。
血液学分析は、2週ごとに試料から測定した、赤血球細胞、網状赤血球の計数、及び総ヘモグロビンを含んでいた。
16週試験計画の後の週群のみで、LNAアンチセンスオリゴヌクレオチドの初回及び第12週服用(17週群のみ)の後、2、4、8、24及び48時間で、末梢血を薬物動態の解析用に試料採取した。
剖検時(7週及び17週)に、分析及び重量測定のために肝臓、腎臓及び骨髄を試料採取した。臨床化学分析も、剖検時に実施した。
末梢血からの例示的な総ヘモグロビン測定値を、図13に示す。末梢血中の網状赤血球の例示的な百分率を図14に示す。第7週の上腕骨骨髄におけるBCL11A mRNAのRT−qPCRによる例示的な測定値を図15に示す。第7週の上腕骨骨髄におけるγ−グロビン及びβ−グロビンmRNAのRT−qPCRによる例示的な測定値を図16に示す。第17週の上腕骨(上)及び大腿骨(下)骨髄におけるBCL11A mRNAのRT−qPCRによる例示的な測定値を図17に示す。第17週の上腕骨(上)及び大腿骨(下)骨髄におけるγ−グロビンmRNAのRT−qPCRによる例示的な測定値を図18に示す。第17週の上腕骨骨髄におけるγ−グロビン及びβ−グロビンmRNAの、RT−qPCRによる例示的な測定値を図19に示す。第17週の大腿骨骨髄におけるγ−グロビン及びβ−グロビンmRNAの、RT−qPCRによる例示的な測定値を図20に示す。第17週の上腕骨骨髄におけるBCL11A(上)及びγ−グロビン(下)mRNAの、RT−qPCRによる例示的な平均測定値を図21に示す。第17週の大腿骨骨髄におけるBCL11A(上)及びγ−グロビン(下)mRNAの、RT−qPCRによる例示的な平均測定値を図22に示す。
選択された瀉血動物に関し、骨髄中のF細胞の画分(‰)の例示的な測定値をフルスケール(左)及び拡大スケール(右)で図23に示す。選択された瀉血動物に関し、末梢血中のF細胞の画分(‰)の例示的な測定値をフルスケール(左)及び拡大スケール(右)で図24に示す。
対照(上)、10mg/kg(中央)、及び20mg/kg(下)服用群における、末梢血中のγ−グロビンの例示的な測定値を、図25に示す。末梢血中のγ−グロビンの例示的な測定値を、γ−グロビンピーク(「ピーク1」又は「ピーク2」)のそれぞれの時間点での対照に対するパーセントとして、対照群、10mg/kg及び20mg/kg服用群につき、図26、27及び28にそれぞれ示す。
前記の結果に示されるように、上腕骨と比較して約2倍高いBCL11Aの発現が、大腿骨からの骨髄試料で観察された。γ−グロビン発現に関しては、大腿骨と比較して2〜3倍高い発現が、上腕骨からの骨髄試料で観察された。最大の差が、後述するような特定の具体的な動物で観察された。
骨髄におけるF細胞の測定に関しては、動物Iが第17週に、対照動物における約0.2‰と比較して約10‰のF細胞を明示した。末梢血中のF細胞の測定に関しては、動物Iが第17週に、対照動物における約0.3‰と比較して約8‰を明示した。さらに、この動物におけるF細胞は、末梢血から得られた試料からの測定では約15週で増加し始めた。
末梢血中のγ−グロビンの測定に関しては、10mg/kg 服用群において動物Iにつき、第15週で増加が観察され、第17週にさらに増加が観察された。同様に、動物Qは20mg/kg 服用群で、第17週に増加を明示した。
非瀉血群では、対照群と比較してBCL11A mRNA発現の低減は観察されなかった。同様に、F細胞又はHbF(γ−グロビン)の増加は、いずれの動物についても観察されなかった。
要約すれば、本実施例に記載の実験結果は、対照動物と比較して動物Iでは85%を上回る、骨髄(上腕骨及び大腿骨)でのBCL11A mRNAのノックダウンで、そして動物Qでは対照動物と比較して約60%の、骨髄(上腕骨及び大腿骨)でのBCL11A mRNAのノックダウンで、有効なターゲットエンゲージメントを明示する。さらに、対照動物と比較して、動物Iの骨髄においてγ−グロビンmRNA発現の80倍を上回る誘導が、そして対照と比較して、動物Iの末梢血においてγ−グロビンタンパク質の7倍の増加が、記録された。動物Qは、対照動物と比較して、末梢血においてγ−グロビンタンパク質の約3倍の増加を明示した。動物Iも、対照動物と比較して、骨髄及び末梢血においてF細胞の増加を明示した。
まとめると、本実施例は、本発明によって提供されるアンチセンスオリゴヌクレオチドが、種々の標的組織におけるBCL11A発現をインビボで有効に阻害することができること、及び媒質対照と比較して少なくとも2倍以上、末梢血中のγ−グロビンタンパク質を増加させることを明示する。
実施例6. インビボ薬物動態
本実施例で、前記の実施例に従って作成された、選択されたLNAオリゴヌクレオチドのインビボ薬物動態を定量する。
手短に説明すると、野生型マウスに、単回投与(20mg/kg)で皮下経路によって、選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを与えた。血漿、肝臓、腎臓及び骨髄の試料採取は、28日まで、いくつかの時間ポイントで行った。試料採取された各組織に対する薬物動態プロファイルを決定した。例示的な結果を図29〜31に示す。
その結果は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの、試料採取された、骨髄を含む組織すべてへの速やかな分布及び観察可能な分布を明示していた。Cmaxは、皮下投与後10分で約21μg/mLであった。肝臓、腎臓及び血漿t1/2βは、約10日であった。骨髄では、t1/2βは約3日であった。
本薬物動態の試験から、骨髄のアンチセンスオリゴヌクレオチドへの暴露に対する予測モデルが決定された(図32)。
まとめると、本実施例は、本発明によって提供されるアンチセンスオリゴヌクレオチドが、投与(例えば、皮下)に伴い有効に且つ安全に、複数の組織によって吸収されることを明示する。さらに、本発明によって提供されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、何らかの悪影響なしに、骨髄を含む複数の標的組織に分布される。
以上、説明した本発明の少なくともの一つの実施態様のいくつかの態様をもってすれば、種々の変更、修飾、及び改良が当業者に容易に想起されようことは理解されるべきである。このような変更、修飾、及び改良は、本開示の一部であることが意図され、また本発明の本質及び範囲に含まれることが意図される。したがって、上記発明の説明及び図面は、例としてのみ示すものであって、本発明は後出の特許請求の範囲によって詳細に記載される。
特許請求の範囲において、請求要素を修飾する「第一、」「第二、」「第三、」などの順序を示す語の使用は、それ自体で一つの請求要素の別の構成要素に対する優先、先行、若しくは順序、又は方法の行為が実施される時間的な順序を何ら暗示するものでなく、単にラベルとして、特定の名前を有する一つの請求要素を、(かかる、順序を示す語の使用がなければ)同じ名前を有する別の要素と区別するのに使用されるに過ぎない。
冠詞「a」及び「an」は、本明細書及び請求項で使用する場合、反するように明らかに示されていなければ、複数の指示対象を含むことは理解されるべきである。あるグループの1以上の構成素の間に「or」を含む請求項又発明の説明は、反するように示されたり、又は文脈から別異であることが明らかでない限り、そのグループの構成素の1つ、複数、又はすべてが、所定の産物又はプロセスに存在、それにおいて使用、あるいはそれに関連するのであれば、その主旨が満たされると考えられる。本発明は、そのグループのまさしく一つの構成素が、特定産物又はプロセスに存在するか、それで用いられるか、あるいはそれに関連するか、である実施態様を含む。本発明はまた、複数の、又は全体のグループの構成素が、所定の産物又はプロセスに存在、それにおいて使用、あるいはそれに関連する実施態様も含む。さらにまた、本発明は、特に断りない限り、又は当業者に矛盾若しくは不整合が想起されるであろうことが明らかと思われない限り、1以上の列挙される請求項から1以上の限定、要素、条項、記述用語などが、同じ基礎の請求項に従属する別の請求項(又は、関連するような他の請求項のいずれか)に導入されてなる、すべての変更、組み合わせ、及び順序を入れ替えたものを包含することを理解されたい。要素がリストとして存在する場合(例えば、マーカッシュグループ又は類似の形式)その要素の各サブグループも開示されており、そしていずれの要素(単数又は複数)も、そのグループから除去できるということを理解されたい。一般に、本発明、又は本発明の態様が、特定の要素、特徴などを含むと称されている場合、本発明の特定の実施態様、又は本発明の態様は、かかる要素、特徴などからなるか、又はそれらから本質的になるということを理解されたい。簡潔にすることを目的として、それらの実施態様は、必ずしもいずれの場合でも明細書に多くの語を用いて具体的に述べるようなことはなされていない。本発明のいずれの実施態様又は態様も、具体的な除外が明細書に述べられているかに関わらず、請求項から明示的に除外されることが可能であることも理解されたい。背景技術を記載するため、及びその実施に関してさらなる詳細を提供するための、本明細書に引用の出版物、ウェブサイト及び他の参照文献は、参照により本明細書に組み入れられる。