JP2016513145A - インプラント部品洗浄用治療液 - Google Patents

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Abstract

細菌で汚染された骨インプラント部、歯インプラント部の表面、または、バイオフィルムで汚染された他のコンポーネントの表面の的確な洗浄のために治療液が適切に使用される。このために、本発明による治療液は、その基本成分として酸の水溶液を含み、前記水溶液が、少なくとも30mS/cm、好適には少なくとも75mS/cm、特に好適には少なくとも150mS/cmの電気伝導度となるように金属塩を含んでいる。【選択図】図5

Description

本発明は、特に、細菌で汚染された骨インプラント、歯インプラントの表面、または、バイオフィルムで汚染された他のコンポーネントの表面を洗浄するための治療液に関する。本発明はさらに、特に、患者の顎骨に取付けられた歯インプラント部洗浄用治療液の利用に関する。
未公開のドイツ特許出願(出願番号:102012022593.8)には、特にインプラント部とともに使用するための治療要素および歯インプラント部の洗浄方法が開示されている。この開示事項は全範囲に亘って本願に引用される。組織と組織液で取り囲まれたインプラントの固い表面に、細菌が繁殖したバイオフィルムが形成され、これが最終的には、慢性で、再発性の感染を惹き起こすことがある。この症状はインプラント周囲炎と呼ばれる。特に歯科分野では、歯周炎の場合と同様に、なおざりにされた口腔衛生、一般的に微視的には凹凸の多い歯柱表面へのバイオフィルムの付着および他の要因の組合せがインプラント周囲炎を構成する原因であり、その特徴は硬組織および軟組織の負担と破壊が次第に大きくなることである。この場合、硬組織および軟組織が後退する部分は、通常はバイオフィルムで覆われる。
前掲の出願に記載された洗浄方法は、インプラント表面を損傷することなしに、汚染を形成しているバイオフィルムないしインプラント表面に発する病原菌を殺菌し、除去する、というコンセプトに基づく。このために、イオン(陽イオンおよび/または陰イオン)を静電気力によりバイオフィルムを通って搬送するという電解プロセスが用いられる。これらのイオンはインプラント表面で化学的に、または、電気化学的に反応する。これらの反応により新しい物質組成物が得られ、および/または、これらのイオン自身、および/または、これらのイオンの一部が原子状態に移行する。さらにこれに加えて、これらのイオンが表面物質と反応する可能性がある(例えば、酸化物層の形成または物質削除)。
このプロセスの病原菌殺菌効果は複数の異なる作用に基づく。その一つは、電圧を印加することによってイオンがバイオフィルム自体から(細菌からも)陽極または陰極へ搬送されることである。これによって細菌とウイルスを殺菌することが可能となる。さらに、イオンがバイオフィルムを通過する間にこれらのイオンは生物化学的反応を起こすことができ、このことにより同様に細菌、および/または、ウイルスを殺菌することが可能となる。もう一つの殺菌可能性は、インプラント表面で新たに形成された物質組成物が抗菌性、および/または、抗ウイルス性、および/または、抗かび性の作用を有することである。当然ながらこのことは、イオンが原子状態に移行するときにも生じうる。上述した全てのプロセスにおいて基本的には、毒性の、細胞を損傷する、および/または、骨を損傷する物質または物質組成物が形成される、または、放出される危険が存在する。
本発明の課題は、上述した治療システムでの利用に特に適した治療液を提供することにある。特に、歯インプラントシステムのコンポーネント、例えば一般的な骨インプラントのような他のインプラント部のコンポーネント、または、場合によってはバイオフィルムで覆われた他の部品のコンポーネントの治療または洗浄のために格別に、且つ、高い効果を有して適している治療液が提供される。
この課題は本発明により、前記治療液が基本成分として酸の水溶液で構成され、この水溶液が、電気伝導度が少なくとも30mS/cm、好ましくは少なくとも75mS/cm、特に好ましくは少なくとも150mS/cmとなるように金属塩を含むことにより解決される。
本発明の好適な形態は従属請求項の主題である。本発明のその他の、および/または、代替の好適な形態が図に基づいた説明からも明確に示される。
本発明は次の考えに基づく。すなわち、一方では、前述のシステムの電解的な洗浄による効果を的確に利用し促進するために適切な治療液が準備されており、他方では、特に、挿入状態のインプラント部の洗浄のためにもこの液体を使用することを考慮して、毒性物質、細胞を損傷するおよび/または骨を損傷する物質、ないし、一般的に健康に危険を及ぼす物質の形成を徹底的に避けなければならず、あるいは、少なくとも治療で許容されるレベルに低く抑えなければならない。これを可能とするために、一方では、この治療液は的確に上述の電気化学プロセス用の電解質として適するように構成されており、特にこのために適切に選択された電気伝導度を有している。他方、この治療液はその基本成分の選択と組合せについても、人体組織および骨組織にとって取り立てていうほどの損傷または危険を生じさせることなしに、この液体中に存在する物質および電気化学プロセスでの生成物質が、病原菌殺菌と場合によってはバイオフィルムの機械的な剥離をも、特に有利に行うように選ばれている。
好適には、金属塩として、アルミニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、特に、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩が用いられる。特に好適なのはカリウム塩またはナトリウム塩である。さらに好適には、金属塩のための塩形成剤として塩素またはヨウ素が用いられる。これに対して酸は、特に好適には、有機酸であり、特に好適にはα−ヒドロキシカルボン酸、好適には乳酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸またはこれらの成分の組合せである。水酸化物生成の補償が必要になる場合に対するpH値の緩和を考慮して、治療液のpH値が5以下、好ましくは4以下、特に好ましくは約2.7〜2.9であると、基本成分の特に好適な組合せが得られる。
特に好適で、且つ、独立に進歩性を有する方法で、この治療液は、細菌で汚染された骨インプラント、歯インプラントの表面またはバイオフィルムで汚染された他のコンポーネントの表面の洗浄のために、すなわち、基本的にバイオフィルムの除去のために利用される。
本発明により達成される利点は特に次の点にある。すなわち、基本成分である金属塩と酸の組合せと、これから生じる、イオン密度に拠る電気伝導度とにより、洗浄に際しての所望の電解的または電気化学的なプロセスを特に有利に行うことができる。特に、pH値緩衝剤として働く酸により、反応により生じる金属水酸化物の生成の結果としてのpH値の好ましくない上昇を抑えることができる。
本発明の実施例を図に基づき詳細に説明する。
取付状態における2部分構成の歯インプラントシステム 図1の歯インプラントシステムの分解図 図1、2の歯インプラントシステムの柱部の側面図 図3の柱部の長手方向断面図 図3、4の柱部用治療要素の斜視図 図5の治療要素の長手方向断面図 治療要素の代案の斜視図 治療要素の代案の斜視図 図8の治療要素の長手方向断面図 治療システム 全ての図において同一部分には同一符号を付している。
本発明による治療液を、ここでは、歯インプラント用の治療システムにおいて好適と見做される利用に基づいて詳細に説明するが、決してこの利用に限定されるものではない。むしろ、歯インプラントシステムのその他のコンポーネント、例えば一般的な骨インプラントのような他のインプラント部品、または、場合によっては、バイオフィルムで汚染されたコンポーネントや部品の治療もしくは洗浄のための使用も同様に考慮される。
図1の歯インプラントシステム1は、抜歯された、または、抜けた歯の代わりに顎骨に差し込むために設けられたもので、そこで義歯の役をする人工部品、すなわち、歯冠を保持することができる。この歯インプラントシステム1は多数の部品で構成されており、いわゆる柱部として使用される第1インプラント部2と、これに付設され、義歯部を取り付けるために設けられた第2インプラント部4(これは上部構造部またはアバットメントとも呼ばれる)とを含む。第1インプラント部2、すなわち、柱部は外部に外側ねじ6を有し、これは特に尖端部8においてセルフタッピングねじとして形成されている。これによって、第1インプラント部2、すなわち、柱部を、ねじ込みにより顎骨の所定箇所に差し込むことができる。
義歯、すなわち、人工歯を上部構造部、すなわち、第2インプラント部4に適切に取り付けた後で、柱部、すなわち、第1インプラント部2に高い機械的安定度で挿入可能とするために、第2インプラント部4には結合ピン10が一体成形されており、この結合ピンは第1インプラント部2内に付設された受け部12に押し込むことができる。結合ピン10を受け部12内に押し込むことによって、インプラント部2と4とが互いに機械的に結合される。ここで機械的安定度を高くするために、結合ピン10の外部輪郭は受け部12の内部輪郭とピッタリ合っており、両者は長手方向に見て円錐状に成形することができる(図2の実施例)。さらに、特に図3の実施例のように、結合ピン10の外部輪郭とこれに対応して適合された受け部12の内部輪郭とを、断面が多角形の(この実施例では6角形の)対称形に形成することができ、これにより、両方のコンポーネントを互いに組み合わせる際に回転が阻止され、その結果、上部構造部の柱部に対する相対的な回転方向アライメントを確実に調整することができる。図3、4の実施例では、インデックス化するために、または、回転阻止を形成するために、結合ピン10の端部に多角対称形の断面を有するインデックス要素14が設置され、このインデックス要素は組立てられた状態では、これに対応して受け部12内に配置された受け部の終端部16に係合している。
この実施例では歯インプラントシステム1は、インプラント部2、4が互いにねじ結合されている。このために結合ボルト18が設けられており、これが第1インプラント部2の内部に設けられているねじ20に係合する。それらの材料選択に関しては、インプラント部2、4は使用目的に合わせて適切に選ばれ、基本的には、例えば、酸化ジルコニウムまたは酸化アルミニウムのようなセラミック材料、あるいは、チタンのような適切に選ばれた金属で作られている。
一般的に、歯インプラントシステムでは、特に上述した方式の2つの部分で構成されたインプラントシステムでも、挿入箇所近傍の組織領域、特に顎に挿入された外側ねじ6の領域への細菌または病原菌の侵入により、複数の炎症、すなわち、炎症群が生じるという問題がある。この種の、特に、いわゆるインプラント周囲炎の結果として生じる炎症は、これが長期間に亘り進展し決定的になると、挿入箇所領域の組織と骨に重大な損傷をもたらすことになる。適切な処置を施さなければ、この損傷により、インプラントシステム全体、すなわち、特に既に挿入された柱部または第2インプラント部4を、骨から再び摘出し、他の人工物で置き換えねばならないことにもなる。インプラント周囲炎に起因する非常に望ましくないこの結果は、こうして、このインプラントシステム全体を喪失することにつながり、その結果、例えば、顎骨の当該領域の切除と新たなインプラントシステムを提供することが不可欠となる。このような除去により、さらに、骨の損失または他の組織の損失が本質的に生じ、極端な場合には他のインプラントの提供がもはや全く不可能になることがある。インプラント周囲炎に起因するこのような新たなインプラント提供の必要性は、インプラントシステムを最初に挿入してからかなり長い期間の後に、例えば、数年、またはそれどころか数十年という期間の後に現れることがある。
インプラント周囲炎と共に観察される細菌または病原菌は、この場合、基本的には柱部2の内部に住みつくが、通常は主に、顎骨に挿入された柱部2の表面の周囲組織または骨物質との接触領域、すなわち、特に外側ねじ6の領域に直接的に付着する。この領域では、組織または骨の中への食い込みと根付きを特に有利にすべく、また、挿入後の柱部2の治癒を促進すべく、柱部2の表面はざらざらに、または、ざらざら相当にされている。しかし、このような、インプラントシステムにとって本来有利と看做されている表面が粗らされた領域において、細菌または病原菌の侵入と増殖が生じ、この粗さがそこに存在する細菌または病原菌の除去を困難にする。
そこで、初期の、または、既に生じているインプラント周囲炎の場合に、既に挿入されているインプラントシステム、すなわち、特に、既に挿入されている柱部2を維持しつつ、炎症群に有効に対処し、侵入した細菌を殺菌し、それによって、引き続き、外側ねじ6の周囲領域において健全な組織または骨物質を再び形成することができるようにするための、適切な対処策が緊急に求められている。さらに、当該領域において細菌または病原菌を的確に殺菌することに加えて、引き続き当該領域が健全な組織または骨物質で再び満たされ、再び、柱部2の外側表面とこれを取り巻く組織または骨物質との間の内部結合が形成されるように、その物質残渣および断片をこの当該の空間領域から確実に取り除くことが望まれる。このためには、殺菌された細菌の有機的な残渣を含む、細菌層で形成されたバイオフィルムを確実に除去しなければならない。
この目的のために、すなわち、柱部2の挿入領域における病原菌または細菌の殺菌のため、および、特に、組織残渣と殺菌された細菌の残渣を引続いて洗い流し、除去し、搬出するために、図5の斜視図および図6の長手方向断面図に示された治療要素30が設けられている。ここで、この実施例における治療要素30は、インプラントシステム1が2つの部分で構成されているので、治療用アバットメントの様式で実施され、図示された2部分構成のインプラントシステム1の上述の治療を実施するために設けられており、治療用アバットメント30が元々のアバットメントすなわち第2インプラント部4の代わりに柱部2の上に載置される。したがって、以下の詳細説明は、2つの部分で構成されたインプラントシステム1の場合に関するが、当然ながらこれと同様な1体形インプラント用の同等の使用時にも適用可能である。このためには、治療要素30と、治療中においても顎骨に残されているインプラントシステム部品との機械的結合を適切に行いさえすればよく、例えば、義歯の代わりにこの治療要素30を1つの適切な接触面を介してインプラントのアバットメントに載置することができる。代案として、同様に治療要素30をインプラントシステム1の元々のアバットメント4の上部に載置することもでき、これによって、元々のアバットメント4を取り外すことなく、細菌を殺菌し、表面を洗浄することによって、例えば軟組織の炎症(粘膜炎)に対処することができる。
この実施例で用いられている2部分構成のインプラントシステム1では、以下に詳細に説明する治療を実施するために、場合によっては、元々のアバットメント、すなわち、第2インプラント部4の上に載置されていた義歯を取り外した後で、先ず、第1インプラント部2と第2インプラント部4との間のねじ結合が開放され、第2インプラント部4が取り外される。この時、第1インプラント部すなわち柱部2は顎骨に残される。次に、元々のアバットメント4の代わりに治療用アバットメント30が柱部2の上に載置され、柱部とねじ結合される。このために治療用アバットメント30はほぼ平らな接触面32を有し、この接触面を介して柱部2の端面34の上に載置することができる。この接触面32は場合によってはシール面の機能をも果たすことができ、これに応じた形状とすることができる。特にこのためには円錐形とするとよい。
この治療用アバットメント30はその形態と原理的な構成に関して、柱部2の挿入領域に存在する病原菌または細菌を、洗浄剤または消毒剤を的確に供給することによって的確に殺菌するという基本コンセプトに基づいており、この時に、柱部2の表面、特に外側ねじの領域に場合によってはまだ付着している病原菌および/または細菌の残渣または断片は、適切に電流またはパルス電流を流すことによって、柱部2の外側表面から剥離され、その結果、次にこれらを洗い落とすことができる。
したがって、システム構成に関しても、この治療方法の所定の工程ステップに関しても、独立に進歩性を有すると看做される第1の観点では、この治療要素30が、構造的にも機能的/コンセプト的にも、細菌または病原菌を殺菌するために、および/または、挿入されたインプラント部2を洗浄するために、治療液を柱部2の挿入領域、特にその外側ねじ6の領域に的確に供給するように構成されている。
同様にシステムの形態および使用される治療液の基本成分の選択と組合せに関しても、治療方法の所定の工程ステップに関しても、独立に進歩性を有すると見做される第2の観点において、この治療システム30は、殺菌された細菌または病原菌、ないし、その残渣または断片を柱部2の外側表面から確実に剥離するために設計されており、それによって、次にこれらを洗い流すことができ、次いで、健康な組織または骨物質が柱部2の表面に接し、柱部が健康な組織または骨物質の中に再び完全に食い込むことができる。殺菌された細菌または病原菌、ないし、その残渣または断片を表面から剥離するために、電流を、場合によってはパルス状の電流を流しながら外側表面が導電性の治療液で濡らされる。全く驚くべきことに以下のことが明らかになった。すなわち、表面に凹凸があり、その表面構造により有機物質がもともと非常に付着し易い場合であっても、治療液中の適切に選ばれたイオン濃度との組み合わせにおいてこの電流通電が、特に、細菌または病原菌、ないし、それらの残渣または断片をその下の表面から剥離するのに特に確実に作用することが判った。
この驚くべき知見の根拠は、柱部の外側表面領域で、すなわち、特に外側ねじ6の領域で、適切に選ばれた治療液の使用のもとに柱部2に電流を流すことにより、治療液中で電解反応が生じ、その結果、場合によってはこの表面の直近でガス泡が発生することにある。柱部2の表面でのこのガス泡形成により、表面に付着している病原菌または細菌の残存成分または断片は共に残らず剥離され、その結果、この領域においては病原菌が新たに侵入するための基盤および培養地は形成されなくなる。病原菌、細菌またはそれらの残存成分すなわち残渣が取り去られ、凹凸の在る、有孔性の柱部2の表面が残されると、これは再生する骨組織への今後の結合のための良好な基盤として役立つことができる。この場合、この残置された表面は、表面を陽極化した時にも生じるであろう酸化チタン層により形成することもできる。
表面の確実な洗浄という点において、表面に付着しているバイオフィルム残存成分の挿入された柱部2からの望ましい剥離は、電流を流す際の特に適切な方法によりさらに促進される。これは、挿入された表面領域での通電の結果生じる電解による泡の形成が特に強化されるように行うことができる。この場合、柱部2は陽極に接続されても、陰極に接続されても良い。特に、柱部2を少なくとも一時的に陰極に接続すると、電解的に誘導されて水素ガスが発生し、これがガス泡の形成に特に有効に寄与する。これとは異なり、柱部を陽極に接続すると、治療液の成分に応じて塩素ガス、酸素、窒素、一酸化炭素、および/または、二酸化炭素が発生する。こうして生じたガス泡は周りの液体中を上昇してこれによる持ち去り効果を生じ、この持ち去り効果によって、上述した表面残存成分が共に運び去られ、外部へ搬出される。例えば、全く驚くべきことに以下のことが観察された。すなわち、プラスイオンを含む溶液、例えば、水溶性の塩溶液を使用した場合に、柱部2を陰極に接続すると、これらのイオンが柱部で析出し、これによりガス泡の形成が著しく増加することが判った。例えば、柱部2を陰極に接続した時には、Naイオンが存在すると大量のガス泡が形成される。Naが陰極で周囲の水と反応してNaOHを生じ、この時に水素を解放するからである。
同様に、システム構成に関しても、この治療方法の所定の工程ステップに関しても、独立に進歩性を有する第3の観点では、この治療要素30が、前述した複数の観点の特に簡単且つ有効と考えられる組合せのために構成されている。これは、前記洗浄液体の所定の供給も、細菌および病原菌の残渣と断片の的確な剥離も、1つの共通のシステムにおいて前述した電流を流すことにより、したがって、特に簡単な手段により、達成できるというコンセプトに基づく。
本発明による治療液は、これらの観点を考慮して適切に選ばれ、組合される。ここで、この治療液の基本成分の選択と組合せは、特に意図されている作用方法、すなわち、治療を要する表面の空間領域における電流の導入を考慮して行われ、この際に、この目的のための十分に高い電気伝導度をこの治療液が有することが特に守られる。これは特に、治療液中における十分に高く選ばれたイオン濃度によって確保されねばならない。このために、治療液の基本成分として、好ましくは水溶液状の、金属塩が使用される。これは電流搬送のためのイオンを供給し、さらに、その都度の電極反応で生じる置換生成物もなお適切な生物化学的作用を有することができる。十分に高い電気伝導度を的確に選ぶことにより、挿入されたインプラントで本洗浄方法を実施する際に、この電流は治療液を通って、そしてその結果、治療を要する部分とコンポーネントを通って流れるが、患者の人体組織を通っては流れないことが保証され、これによって、軟組織、骨、血液、および/または、その他の人体物質を通る望ましくない電流により患者を危険に曝すことを最小限にとどめることができる。この場合、治療液の電気伝導度は、血液、骨、軟組織、脂肪組織または他の人体物質の電気伝導度の可能な限り何倍も高い値を有するべきである。
したがって、治療液の基本成分の選択と混合に際して、下記の電導度値が考慮される(電気伝導度σは通常の単位mS/cmで表示されている)。
皮膚: 0.03〜0.1mS/cm
骨: 0.06〜0.2mS/cm
脂肪組織: 0.20〜1.0mS/cm
筋肉組織: 0.80〜2.5mS/cm
血液: 約6.7mS/cm
その他の体液: 約15mS/cm
したがって、患者の危険ポテンシャルを適切に低く抑えるために、また、電流を所望の領域に限定するためには、この電気伝導度はその他の体液の電導度の少なくとも2倍、好ましくは5倍、特に好ましくは10倍とする必要がある。そこで、治療液の電気伝導度は少なくとも30mS/cm、好ましくは少なくとも75mS/cm、特に好ましくは少なくとも150mS/cmの値を有するべきである。これは血液と比較すると、治療液の電気伝導度は血液の電導度の少なくとも約5倍、好ましくは少なくとも約10倍、特に好ましくは少なくとも約20倍であることを意味する。測定の結果、このように選ばれた治療液を使用した場合に、人体組織、血液、体液などに掛かる電圧は6V以下、好ましくは3V以下、特に好ましい場合には1.5V以下であることが判った。こうして、患者への害を、電圧が低く抑えられたので、確実に除外することができる。このような電導度を維持するために特に、治療液中の、および、これを形成している基本成分中のイオン濃度は十分に高く選ばれている;このために、複数のアルカリ液、酸、塩および/または複数の他のイオン形成性の物質または物質組成物を使用することが可能である。
治療液の基本成分の選択と組合せに際して特に考慮すべきは、汚染されたインプラント部表面の電解的な治療の洗浄効果またはバイオフィルム剥離効果は、多くの要因の組合せに拠り、これらをできるだけ互いに補い合って利用可能としなければならない、ということである。その1つとして、特に電極領域にある電解質を通って電流が流れると、ガスまたはガス泡が発生し、これらはバイオフィルムに対して(機械的な)剥ぎ取り効果を有する。これらのガスの発生は電極として機能するインプラント部表面の直近で、すなわち、この表面とバイオフィルムとの間で生じる。この時発生する複数のガス泡の成長速度とその最大寸法とが剥離プロセスに影響を及ぼす。
電解プロセスのインプラント部を洗浄する効果またはバイオフィルムを剥離する効果に対する第2の要因として、インプラント部表面のバイオフィルムの元々の付着、すなわち、張り付きメカニズムまたは固着メカニズムに対する、電解的に発生する物質または物質組成物の分解・破壊・剥離効果を挙げることができる。
電解プロセスの洗浄効果または剥離効果に対する第3の要因は、インプラント部材料の材料を剥離する効果に基づくものであり、インプラント部の表面領域における元々のインプラント部の構成成分すなわち粒子がそこから剥離される。
電解プロセスの洗浄効果または剥離効果に対する第4の要因は、金属製インプラントの電解プロセスによる酸化物層形成に基づくものである。この場合、金属製基本材料の金属原子が、印加されている電圧により、場合によっては既にできている酸化物層に浸透し、電解質の物質と反応する(殆どの場合、酸素⇒金属酸化物形成)。酸化物層を形成しない、ないし、機械的に安定な酸化物層を形成しない金属では、非酸化性の物質化合物が生じ(大抵は塩)、これは溶解する。
治療液を形成するために用意される基本成分は、その効果を考慮して適切に選ばれ、組み合わされる。さらに、基本的な設計目的として、治療液を、挿入された歯インプラント部、すなわち、患者の口内で使用するのにも適するように、毒性の、または患者に危険を及ぼす、または、患者に不快を与える作用が生じてはならない、ことが考慮される。この実施例では、基本成分として、一方では少なくとも1つの塩、他方では少なくとも1つの酸が、好ましくは水で希釈されて用いられ、その選択と組成は特に上述した基準に沿っている。この場合、特に好適には、酸として、燐酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、乳酸、炭酸、または、これらの組合せが用いられる。この代わりにまたはこれに加えて、特に好適には、塩として、ナトリウム、カルシウム、アルミニウム、マグネシウムもしくはカリウムのヨウ化物、塩化物、硝酸塩、炭酸塩もしくは炭酸水素塩、および/または、亜塩素酸アンモニウム、硝酸アンモニウムもしくはヨウ化アンモニウム、あるいは、これらの組合せが用いられる。
この時にさらに、予定されている電解プロセスは選択的に、柱部を陽極接続しても、陰極接続してもよいことが考慮される。これにより、以降では、陽極反応と陰極反応に分けて記載する。
陽極反応では、すなわち、柱部2を陽極接続した場合には、陽極で、治療液に含まれている陰イオンが一般的に電子を奪われて酸化される。この時、その材料との直接反応が生じ、特に、酸化物層、および/または、インプラント部材料との塩が形成される。骨のインプラント部、および、これに従い柱部2も大抵はチタン、ジルコニウム、タンタルまたはこれらの金属の合金で作られている。さらに、その他の金属も合金に追加される。これらの金属および金属合金は殆どが高い酸化物層形成度を有する。この酸化物層形成は表面に不動態作用をもたらす。その結果、これらの金属または金属化合物の陽極反応が阻止されるか、少なくとも強く制限される。バイオフィルム中では通常は酸素との化合物質が存在しているので、この不動態化の阻止は通常は不可能である。したがって、柱部が陽極接続されると、剥離、洗浄効果は通常は前記酸化物層形成によって限定される。運転電圧を例えば10V以上に高めると、広範な実験の結果、材料剥離プロセスが可能ではあるが、これには高い温度上昇が伴うことが判った。この温度上昇は好ましくない骨の壊死につながる。さらに、これに伴って生じる材料剥離がやはり好ましくない方法で元々のインプラント部表面の特性を変化させる。
驚くべきことにこの例外として、柱部2の母材に、合金成分としてアルミニウムが存在している場合には(例えば、約6%のアルミニウム成分と約4%のバナジウム成分を含む等級5チタンの場合)、酸化物層の形成によりこのプロセスが著しく損なわれることなしに、柱部2に陽極電流を流すことが可能であることが判った。これにより、治療液の組成に応じて、塩素ガスまたはヨウ素ガスが、または、COも柱部2の表面に直接発生することができ、その結果、目的とするバイオフィルムの剥離に直接的に利用可能となる。このような方法実施形態のために、治療要素30が、例えば、DLC(ダイヤモンド状の炭素)、金属、導電性プラスチックまたは導電性セラミックからなる導電性の表面層を有していると特に有利である。
柱部の母材が等級IVチタンまたは等級Vチタンの場合、治療液にCOを添加することにより、陽極電流を流した際に酸化物層が形成されるにもかかわらず、CO形成、塩素形成、および/または、ヨウ素形成が可能となり、これにより電流のより長時間の通電が可能となることが判った。
前述の理由から、治療液を使う治療において、柱部2は一般的には陰極に接続されると好適である。この場合、プラスに帯電したイオン(カチオン)は柱部2の表面へ移動する。これは、例えばイオンを含む液体からの、特に、Hイオン、金属イオン、または、長鎖の炭化水素イオンである。この場合、治療液の基本成分として用いられる塩は、前述のプロセスを助長し、または、そもそも可能とする、陽イオンの特性を考慮して特に的確に選ばれる。できるだけ高い電気伝導度を生じさせるためには、特に小さいイオン(Hイオン、または、金属イオン)が適しており、これらはこのために、さらに特に有効な方法で、場合により存在しているバイオフィルムに比較的容易に侵入することができる。Hイオンは、柱部2により形成されている陰極において、水素元素Hに還元される。これにより気泡が発生する。
アルカリ金属、アルカリ土類金属および/またはアルミニウムは、陰極で周囲の水と反応して、元素状の水素と、前記金属の金属陽イオンおよびOHイオンを発生する。これは、水素の泡と、使用された金属イオンの水酸化物が形成されることを意味する。こうして、これらのコンポーネントの組合せにより、発生した水素の剥離作用に加えて、金属水酸化物が抗細菌作用を有し、バイオフィルム、ないし、その付着メカニズムを弱めるまたは溶かす作用をする。
人体組織との不適合性を避けるべく、金属陽イオンとしては特に、元々人体に存在するイオン(例えば、カリウムイオン、および/または、ナトリウムイオン)が特に好適である。さらに、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、および/または、アルミニウムイオンも適している。したがって、治療液の基本成分として用いられる塩としては、特に好適にはこれらの金属の塩である。というのは、特に、これらの金属陽イオンがもともと塩の形でのみ例えば水に溶けており、使用することができるからである。
これらの金属塩は、上記金属の適切な塩形成剤、例えば、硫黄、燐、窒素、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素、炭化水素、酸素、ホウ素または他の非金属、との化合物とすることができる。この場合、この塩形成剤は「陰イオンが大きければ大きいほど、電気伝導度は小さくなる」という原則と、基本的には高い電気伝導度が求められていることを考慮して適切に選ぶのが有利である。このために、陰イオンとしては、健康にもインプラント部周辺の組織にも影響を及ぼさない材料のみを選ぶのが好適である。さらに、不快な臭いや味の化合物が望ましくないことも考慮すべきである。これらの理由から、硫黄陰イオン、または、酸素または他の元素と結合した硫黄を含むイオンはむしろ不適切と看做される。このことは、フッ素イオン、窒素イオン、ホウ素イオンについても、場合によっては、他の元素と結合したこれらのイオンについても当てはまる。
それに対して、燐酸塩、燐酸塩イオンおよび燐酸水素塩イオンは大抵は全くあるいは殆ど有害作用を起こさない。塩素イオン、または、塩素含有イオンは大抵は抗細菌作用を有する。しかし、塩素イオンが電解的に酸化され、水中に元素として存在すると、塩酸と次亜塩素酸が形成される。これは陰極に発生する水酸化物と結合して中和されるが、実験の結果、インプラント部に対する対向電極(陽極)で発生する塩素はガスとして電解質から大量に逃げることが判った。この塩素を治療の際に完全に吸引することができなければ、肺、および/または、粘膜に強い腐食が起こる。この場合、これを使用することが、患者のためになるか患者をより危険に曝すかについて熟考すべきである。
アルミニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムまたはマグネシウムの燐酸塩についてはさらに、水への可溶性が小さいので、電解質の十分な電気伝導度が保証されないことに留意すべきである(尤も、これらの燐酸塩はpH値を緩和するための電解質の添加物としては非常に適している)。上に挙げた金属の塩化物は、水への十分な可溶性を有し、また、バイオフィルムに対する良好な洗浄作用と剥離作用を有するが、最適な物質と看做すことはできないであろう。硝酸塩、および/または、亜硝酸塩の場合には、NOガス形成による患者の危険が予期される。この理由から、亜硝酸塩または硝酸塩の使用は思いとどまるべきである。
上述した設計目的を考慮し、特に、患者に対して特に支障を生じないために、有利な実施例では塩形成剤としてヨウ素が用いられる。この場合、特に有利なのは、カリウムとナトリウムのヨウ素塩が人体内においても生まれつき存在することである。陽極でヨウ素イオンが酸化すると、先ずヨウ素元素が発生し、これがヨウ化ナトリウム溶液/ヨウ化カリウム溶液に溶けることができる。この時、ヨウ素‐ヨウ化カリウム溶液ないしヨウ素‐ヨウ化ナトリウム溶液ができる。両方の溶液は、人間の医療で実証済みの強い消毒剤である。
しかし、純粋なヨウ化ナトリウム溶液もしくはヨウ化カリウム溶液または両者の混合液の欠点として、水酸化ナトリウム、および/または、水酸化カリウムを形成し、その結果としてpH値が高くなるということがある。すなわち、上述した金属水酸化物の形成時には、全く一般的に、金属水酸化物が電解質のpH値を高めることが問題であるとされる。このように高められたpH値、および、形成される、溶解した金属水酸化物のアルカリ液もしくは塩基が、患者の口内の周辺組織と特に骨に好ましくない影響を及ぼすであろう。周辺の歯も損傷を受けるであろう。さらに、水酸化物の形成により、その水溶性が非常に小さいので、この水酸化物が柱部2または一般的に治療を要する部品上に沈積し、その結果、それ以降の電気の流れとこれによるこのプロセスを全体的に阻害することが生じるであろう。万一、治療液にカルシウム塩を使用する場合には、生成される水酸化カルシウムが、これは骨物質の構成成分であるので、骨に一体化されることになろう;したがって、カルシウムは塩の特に好ましい成分である。前記の好ましくない影響を補償するために、この治療液は他の基本成分として、pH緩衝剤すなわちpH低下剤の形で、酸を有する。
この場合、この酸は、設計基準として、この酸ができるだけ患者またはインプラント部周辺組織に危険を与えず、一つには水酸化物を中和し(また、pH値を可能な限り7以上に高めない)、二つには生成物質がインプラント体の洗浄とバイオフィルムの剥離という本来の目的に資するように、的確に選ばれる。このために無機酸として好適には燐酸および/またはフォスフェート酸が考慮の対象になる。これらの濃度は、健康を害する、ならびに/または骨および組織を害する理由から、最大で30%または好ましくは10から20%の間に制限されるべきである。これに対して、無機酸とも看做され、殺菌と洗浄という全体目的に対して特に有効な効果を有する特に好適な酸は炭酸である。しかし、この使用可能な量は、水への可溶性が比較的小さいので、限定されている。
これに対して有機酸は、無機酸と同様にpH値を低減し、水酸化物を中和するHイオンを供給する。さらに、これら有機酸は組織における損傷を全くまたはごく僅かしか起こさず、ないし、患者に全体として惹き起こさないので、この種の有機酸は治療液用の基本成分として特に好適である。有機酸としては、例えば、アルカン酸、フルーツ酸、カルボン酸およびヒドロキシカルボン酸がある。特に適した酸はα‐ヒドロキシカルボン酸であることが判った。特に、特に好適な酸である乳酸、クエン酸およびリンゴ酸は患者に対して全体的にまたはインプラント部周辺組織に対して健康を損なう作用を全く示さなかった。バイオフィルムが強く付着して汚染されており、歯石も形成されているインプラント部の場合には特に、比較的僅かな酢酸の添加だけで良好な洗浄効果が得られた。洗浄効果および細菌殺菌効果を有するが、健康上の理由から問題なしとはしない他の酸は、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、サリチル酸、マンデル酸、酒石酸、シュウ酸および蟻酸であろう。
水酸化イオンOHを酸のこれに対応するHイオンで中和する際に、これに対応して使用された金属水酸化物の酸の金属塩が付加的に生成する。すなわち、この酸の予定された使用は、pH値の緩和に有利なだけでなく、その上にさらに、比較的水に溶けにくい水酸化物を比較的水に溶け易い塩に変換するのに役立ち、その結果、治療を要する部分への、好ましくなく、且つ、当該プロセスを阻害する沈積を妨げる。上に挙げられた複数の塩は、特に前述の好適な諸材料を組合わせて、とりわけ、医療においても使用される。カリウム、ナトリウム、および/または、カルシウムの水酸化物を乳酸で中和する際に、(広範な抗微生物作用を有する)乳酸カリウム、乳酸ナトリウムないし乳酸カルシウムが生成される。これに対して、生成される水酸化物をクエン酸で中和すると、カリウム、ナトリウム、ないしカルシウムのクエン酸塩が生成される。これは特にクエン酸ナトリウムにとっては、これが血液凝固を妨げるので、特に好適である。このプロセスの間に出血し、インプラント部の表面に凝固する血液が、インプラント部表面へのイオン移動を阻害し、その結果、この治療プロセスの継続そのものを妨げることになるので、このことは、特に好適である。
これに対して、水酸化物をリンゴ酸で中和する場合には、それぞれの陽イオンのリンゴ酸塩が生成され、これらは同様にこのプロセスに対して有利な作用を有する。水酸化物を酢酸で中和する場合には、カリウム、ナトリウム、および/または、カルシウムの酢酸塩が生成され、これらは同様にこのプロセスに対して有利な作用を有する。
カリウム、ナトリウム、および/または、カルシウムの乳酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、および/または、酢酸塩はすべて、酸調節作用を有し、食料品添加物に対する現在のEU基準によれば、これらを使用しても量的規制を受けないほどに、体に差し障りがない。
電解質中に酸を、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、および/または、カルシウムのヨウ化物、および/または、塩化物と組み合わせて使用すると、この電解質の利用において驚くべきことに次の効果があることが判った。すなわち、Hイオンの直接的な還元により、泡の形成にプラスの影響が与えられ、それによりバイオフィルムが著しく速く、且つ、良好に剥離される、と言う事が判った。この場合、高い発生率で比較的小さい泡が多数発生し、これらの直径が比較的小さいので、バイオフィルムを全体として、局所的にだけでなく、その下の表面から剥離することができる。こうして、バイオフィルムは、多数のより小さな断片としてではなく、好ましいことに全体として、または、複数の比較的大きな繋がった塊りとして、除去され、このことは著しく改善された洗浄効果を惹き起こす。
金属陽イオンの代りにアンモニウム陽イオンを使用することもできる。しかし、この場合には、電解プロセスにおいて他のアンモニウム化合物(例えば、アンモニア)が形成される危険がある。これは患者に危険を与え、不快な味と匂いも生じる。
実験中に、バイオフィルムが部分的に非常に小さな複数の断片で、または、より大きな繋がった複数の部分の形状で剥離されることが観察された。後者は、比較的大きな面積で非常に有利な洗浄効果が得られるので、好適である。調査の結果さらに、剥離されたバイオフィルム、および/または、その断片の搬出がインプラント部表面における泡の形成により有利に行われることが判った。特に殺菌と剥離を行う、上述した金属塩、酸および水からなる電解質を使用した後に、陰極領域において補足的に泡形成作用を有する第2の電解質を使用すると、有利であることが判った。この泡形成は、その電解質に、少なくなくとも3つのCH鎖、または、少なくなくとも1つのCH鎖と少なくなくとも1つの炭素環化合物、を有する物質を付加的に添加することにより得られる。この場合、例えば、油、および/または、クロルヘキシジンを使用することができる。さらに、好適には、Iイオン、Clイオン、および/または、OHイオンを有するイオン化された液体を使用することも可能である。イオン化された液体の有機陽イオン成分が場合によってはインプラント部表面で還元され、そこに留まるので、特に有利な実施例では、骨の成長要素をこの陽イオン成分に関連付けることが可能である。
塩化物とヨウ化物を適正な割合で混合すると、有害な塩素ガスの形成を防ぐことができる。
陽極で、
2J+5Cl+6HO→10HCl+2HIO
という反応が生じる。
これは、陽極で塩酸とヨウ素酸が生じることを意味する。これらは確実に強い抗微生物作用を有し、陰極で生じる水酸化物と出会って再び中和される。
研究室での実験で特に有利な洗浄特性を示した治療液の特に好適な成分は、ヨウ化ナトリウム(NaI)またはヨウ化カリウム(KI)の水溶液を含み、その混合割合は30mlの溶液(すなわち、場合によってはCOを豊富に含ませた水、HO)中に少なくなくとも5g、好適には少なくなくとも10g、特に好適には少なくなくとも20gであり、乳酸を添加してpH値を約2.7から2.9の間に低下してある。
このプロセス実施に際しては、柱部2ないし治療を要する部分での平均電流密度が少なくなくとも50mA/cm、好ましくは少なくなくとも100mA/cm、特に好ましくは少なくなくとも250mA/cmとされるが、ここで、この電流密度は柱部2の外側表面積に基づく(すなわち、例えば、表面粗さや表面構造のような表面積を大きくする特性を考慮しないで)。バイオフィルム剥離のためには、平均電流密度が50mA/cmから300mA/cm、好適には100mA/cmから200mA/cmの範囲にあることが特に有利であることが判った。バイオフィルム搬出のためには、平均電流密度の範囲を好適には300mA/cmから5,000mA/cm、または、特に好適には1,000mA/cm、から2,000mA/cmに高めるべきである。
を添加することによって、陰極での噴き出し作用を強く低減する、または、阻止することができる。これによりHOが非常に多く形成され、これを表面の洗い流しに利用できる。
柱部2での治療を要する空間領域における前述の治療液、これは単独で進歩性を有すると看做されるが、を的確に使用するために治療要素30は、図5の斜視図と図6の長手方向断面図から分かるような構成を有している。ここでは治療要素30は柱部2の上に取付けられた状態で示されている。同様にここでは、柱部2をその外側ねじ6の領域でリング状に取り巻いている空間領域36が顎骨38の中に示されており、この空間領域はインプラント周囲炎に冒されており、したがって細菌が繁殖している。
治療要素30はほぼ円筒外被体として形成された1つの基体40を有し、接触面32を形成する基体の端面42が柱部2の上部端面すなわち端部エッジ34の上に載置されている。機械的安定性を高めるべく、さらに、基体40に1つの結合ピン43が一体形成されている。この結合ピンは輪郭と幾何学的パラメーターが柱部2の受け部12に合わされており、これに差し込むことができる。
基体40の内部空間に、これと同軸に、1つの中央の内部チャネル44が設けられており、この中に結合ボルト46が案内されている。この結合ボルト46はそのねじ48が、柱部2の内部に設けられたねじ20に係合している。元々のアバットメント4を柱部2と結合すべく設けられた結合ボルト18とは異なり、この結合ボルト46は高い機械的負荷と実施されたねじ結合の長寿命のために設計されてはおらず、むしろ、この結合ボルト46のためには異なる設計基準が適用される。この場合、特に、後述する治療工程が考慮され、ここではこの結合ボルト46と、これと共に柱部2は、電気パルス用の電極として使用される。その結果、この結合ボルト46は導電性材料、特にチタンのような金属で作られている。
治療要素30は、特に、細菌または病原菌の殺菌をすることもできる洗浄液体を供給するために前記空間領域36内に設けられる。このために、基体40には複数の媒体チャネル50が備えられており、これらの入口側は治療液用の1つの供給システムないし注入システムと接続されている。この実施例では、これらの媒体チャネル50は,基体40を取り囲んでいる1つのリング体52の中に取り付けられている複数の溝54で形成されている。このリング体52は基体40の上にスライドして載せられているので、これらの溝54は内側に向けて基体40の外被により閉じ込められており、こうして複数の媒体チャネル50からなる1つのチャネルシステムが形成される。代案として、これらの媒体チャネルを他の方法で基体40の中に直接取り付けることもできる。
基体40の端面42が柱部2の端部エッジ34と接触する領域の直近に、複数の媒体チャネル50で形成されたチャネルシステムが複数の出口開口60を有している。見易くするために図6、7ではそれぞれこれらの内の2つだけが示されている。この実施例では各媒体チャネル50は1つの出口開口60を備えている。しかし、これらの出口開口60の断面と数は、個別の基準に適合させることもできる。例えば、端面42と端部エッジ34との間で完全に周回する1つのリングギャップを形成する唯一の出口開口を設けることができる。代案として、特に、基体40の周囲方向に見て、その周囲に均等に配置されている複数の出口開口60を備えることもできる。前記1個の、または複数の媒体チャネル50で形成されたチャネルシステムは、その出口開口60が端面42のすぐ隣に開口する、すなわち、この空間領域36のすぐ上に開口するので、これらの出口開口60から流出する媒体はいずれにしてもその下に在る空間領域36に直接到達する。こうして、それ自体が発明的と看做される基体40のこの形態によって、治療要素30は、治療液が的確、且つ、有効に治療を要する空間領域36に直接に届けられるチャネルシステムを形成する。
これに加えて、この治療要素30はさらに電気システムとして特殊に形成されている。この場合、設計基本原理として特に、媒体チャネル50に導入される媒体、特にその中に導入される治療液へのパルス的な通電を電流パルスを用いて可能とするように構成されている。ここで、治療要素30は、インプラント部2の洗浄のために設けられた電流を、治療を要する空間領域36に的確に局所的にもたらすことができるように設計されている。この場合、この治療要素30は、前記電流が、挿入されたインプラント部2に通電され、これを電極として利用できるという設計原理に基づいて構成されている。このために、この治療要素30は、1つの電流路を形成し、結合ボルト46を介してインプラント部2と電気的に接続された第1の導体要素62を含み、この導体要素は適切に選ばれた電流源または電圧源と接続可能である。
対向極すなわち対向電極を形成するために、媒体チャネル50に案内される洗浄液体の導電性が利用される。このために、媒体チャネル50の内側空間は、電流源または電圧源の他方の極と電気的に接続されている。こうして、複数の媒体チャネル50の出口開口60は電気的に見て、1つの接点64すなわち1つの電気的接触点を形成し、これを介して電流がインプラント部2へ、または、インプラント部2から流れる。治療を要する空間領域36の直近に位置決めされた出口開口60を電気接点64として利用することにより、治療目的または洗浄目的のために印加された電流が、挿入されたインプラント部2の細菌に冒された表面ゾーンを通りぬけ、さらにそこから直接に、すなわち、他の人体組織などを経由する「バイパス」なしに、接触面64ないし接触点へ流れることができる。こうして、その中を案内される導電性の治療液とこれに対応する複数の接続要素とを含むこれらの媒体チャネル50は、この実施例では、端部側に配置された接点64への1つの電流路を形成する第2の導体要素66を形成する。
しかし、代案として、この第2の導体要素は、「在来の」電極の様式で、すなわち、特に、金属製の導電性針状要素として、構成することもできる。これは特に長手方向において基体40の中心軸に対してほぼ平行に変位可能に、この基体に支承することができる。この電極、または、必要に応じ追加設置される、例えば、例えば電界強度を高めるための局所的な電界を発生させるために設けられる、第3の電極を形成するために、場合によっては、適切に成形されたもう1つの金属体68を設けることもできる。この場合には、治療要素30は媒体チャネルなしに構成することもでき、前記対向電極およびこれに関連して第2電流路は専ら前記金属体68を介して形成される。この場合、接点64はそれぞれの電極体の端部側の自由面により形成される。
さらに、出口開口60、および/または、金属体68の端部側の接触面69の前記位置決めにより、これらで形成された第2の導体要素66の接触面64を、横から見て、歯インプラント部2の中心長手方向軸から1mm以上で10mm以下の間隔内に位置決めすることが保証される。
治療要素30の基体40は、例えば、セラミックまたはプラスチックのような絶縁性材料で形成することもできる。しかし、この実施例では、基体40は金属、すなわち、チタン製である。この場合、コンポーネント間の電気絶縁を確実に行うために、この基体は、歯インプラント部2との接触面を形成している端面42に絶縁層70が設けられており、これにより電気絶縁が行われる。さらに、リング体52は、例えばセラミックのような絶縁材料で作られている。
代案実施形態では、図7の斜視図に示されているように、治療要素30’がもう1つのチャネルシステムを有しており、これを、例えば、洗浄液の還流チャネルとして、混合媒体供給用の独立した導入路として、または、吸出しチャネルとしても設けることができる。この実施例ではこのために、リング体52がもう1つのリング体71で取り囲まれており、このもう1つのリング体の内側に、さらに複数の媒体チャネル72を形成すべく、内側に同様に複数の溝74が設けられている。
上述した諸実施形態では、媒体チャネル50、および/または、導体要素60、66は、基本的には一体化された構造で設けられ、基体40ないし、これと結合されたリング体52、71の内側に案内されている。しかし、これに替えて、または、これに加えて、媒体チャネル50、および/または、導体要素60、66の幾つか、または、全部を基体40の外側に配置し、適切な保持システムにより基体と結合することも可能である。この実施形態は図8の斜視図および図9の長手方向断面図による実施例に示されている。ここに示されている治療要素30”は、これまでに説明した複数のコンポーネントに加えて、リング体52の外側に配置され、長手方向に変位可能な複数のチャネル要素80を備えている。これらは媒体チャネル50と同様にカニューレのような様式に設けられ、治療液を吹きつけることができ、さらに導体要素66として使用することができる。しかし、代案として、これらは金属で電極として設けることもでき、電気的に電流源または電圧源と適切に接続することができる。図8の実施例にさらにもう1つの案が示されており、ここでは、外側に配置された複数のチャネル要素80で形成された複数の媒体チャネルに加えて、さらに、リング体52内の複数の溝54で形成された、一体化された複数の媒体チャネル50が備えられている。
治療要素30、30’、30”は、図10に示すように、好ましくは治療システム90において使用される。この治療システム90は挿入された歯インプラント部すなわち柱部2のために設けられたものであり、治療要素30、30’、30”および、これに加えて、これと管パッケージ94との間の接続要素92、これと患者の口の外側に配置された供給・制御ユニット98との間の差し込み接続部96を含む。この供給・制御ユニット98は電源を含み、これは、柱部2における電極と、治療要素30、30’、30”、差し込み接続部96、管パッケージ94、および/または、供給・制御ユニット98の中に設置することができるもう1つの電極との間に電圧を印加することができ、および/または、電流を流すことができる。
この電圧または電流は、両方向の極性を有する直流電圧/電流として、または、交流電圧として、両方の電極に印加することができる。交流電圧の場合には、これは、正弦波、三角波、方形波、または、異なる周波数を有するこれらのあらゆる重畳とすることが可能である。さらに、この交流電圧は直流電圧と重畳することが可能である。パルス状の直流電圧を使用することも可能である。電界を発生するために、電気的に絶縁された第3の電極を好ましくは治療要素30、30’、30”内に設けることも可能である。
上述したように、互いに相異なって組合された多数の電解質を、相前後して、または、同時にインプラント部へ供給することは特に有利である。治療システム90はこのために適切に構成されている。特に、この供給・制御ユニット98は少なくとも2つの液体または電解質のための貯蔵容器を含む。これら液体は、複数のポンプにより、また、1つまたは複数の弁または弁ユニットを介して、同時に(混合されて)または相前後して、管パッケージ94を介して治療要素30、30’、30”に搬送することができる。特に有利なケースでは、供給・制御ユニット98が吸引器をも含み、これによって、治療要素30、30’、30”を介して案内された液体または電解質を使用後に再び吸引することができる。この供給・制御ユニット98は特に有利な形態においてさらに、水または他の液体/電解質のためのCO供給を含む。プロセス最適化のために、この供給・制御ユニット98に媒体の温度調節を組み込むこともできる。
管パッケージ94と差し込み接続部96は、電流と媒体の流れを保証するように設計されている。これはフル装備状態では、特に、3本の電気ケーブルと2本の液体/電解質の導管とで構成される。
前記電極材料は柱部2と同一材料とすることができる。柱部2は有利にはチタンまたはチタン合金で作られているので、他の1つまたは複数の電極は別の金属で作るのが好ましい。チタンおよびチタンと同様な金属は陽極性の電流が流れると、大抵は保護性の酸化物層を形成し、これが絶縁物として働く。柱部2に陰極性の電流を流した時に、この酸化物層による電流制限を防ぐために、対向電極としては酸化物層を形成しないか殆ど形成しない金属を使用するのが有利である。特に有利な場合、この電極は、媒体/電解質との接触時にも、電圧または電流を印加した時にも、腐食しない。好ましくはこの電極は金、プラチナ、パラジウムで構成される。
挿入されたインプラント部/柱部2の内部も汚染され、したがって洗浄しなければならない時には、この内部を別途に、または、一緒に媒体で洗浄し、電流を印加することができる。
前記導体要素はフレキシブルなメンブランの形でも固体メンブランの形でも構成することができ、これは液体は通過させず、電解質中のイオンだけ通過させる。このような構成の場合、好ましくは電流路の1つが柱部2の内部に通じ、さらに、この場合、全く密閉されていないか部分的にしか密閉されていない接触面32を経由して柱部2の外側表面に通じている。
1 歯インプラントシステム
2 第1インプラント部/柱部
4 第2インプラント部
6 外側ねじ
8 尖端部
10 結合ピン
12 受け部
14 インデックス要素
16 受け部の終端部
18 結合ボルト
20 ねじ
30、30’、30” 治療要素/治療用アバットメント
32 接触面
34 端面エッジ
36 空間領域
40 基体
42 端面の表面
43 結合ピン
44 内部チャネル
45 スペーサー
46 結合ボルト
48 ねじ
50 チャネル/媒体チャネル
52 リング部
60 出口開口
62 導体要素
64 接点
66 導体要素
70 絶縁層
71 リング体
72 媒体チャネル
74 溝
90 治療システム
92 接続要素
94 管パッケージ
98 供給・制御ユニット

Claims (8)

  1. 特に、細菌で汚染された骨インプラント部の表面、歯インプラント部の表面またはバイオフィルムで汚染された他のコンポーネントの表面を洗浄するための治療液であって、前記治療液が酸の水溶液を含み、前記水溶液が、電気伝導度が少なくとも30mS/cm、好適には少なくとも75mS/cm、特に好適には少なくとも150mS/cmとなるように金属塩を含んでいる治療液。
  2. 前記金属塩として、アルミニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩が使用される請求項1に記載の治療液。
  3. 前記金属塩として、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩またはアルミニウム塩が使用される請求項1に記載の治療液。
  4. 前記金属塩のための塩形成剤として、塩素またはヨウ素が使用される請求項1から3のいずれか1項に記載の治療液。
  5. 前記酸が有機酸である請求項1から4のいずれか1項に記載の治療液。
  6. 前記酸がα‐ヒドロキシカルボン酸、好適には乳酸、クエン酸、酢酸もしくはリンゴ酸であるか、またはこれらの成分の組合せである請求項1から5のいずれか1項に記載の治療液。
  7. pH値が5以下、好適には4以下、特に好適には約2.7から2.9の間である請求項1から6のいずれか1項に記載の治療液。
  8. 部品、特に、骨インプラント部または歯インプラント部からバイオフィルムを除去するための請求項1から7のいずれか1項に記載の治療液の利用。
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