JP2016512438A - 圧力カフ又はガーメント - Google Patents

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Abstract

深部静脈血栓の予防的治療用の圧力カフ又はガーメント(10)は、直列に配置され、ブリードチューブ又はチョーク(32、34)によって互いに流体連通するように結合された一連の3つのチャンバ(24〜28)を備える。チャンバ(24〜28)は、互いに重複するように湾曲形状である。カフ又はガーメント(24〜28)は、従来技術の構造よりも有効な脈動加圧治療を提供する。【選択図】図5

Description

本発明は、特に深部静脈血栓予防に適した圧力カフ又はガーメントに関する。
深部静脈血栓(以降、DVTと呼ぶ)予防の1つの重要な一般に認められた原理は、患者の四肢、特にDVTが最も頻繁に起こる脚に対して間欠的な圧縮を行うことである。このような間欠的な圧縮の目的は、血栓の形成を引き起こし得るうっ血を防止することである。特に、処置は、静脈を圧縮することによって患者の血管を一時的に閉塞させ、次いで圧縮圧力の解除により血管を開けて、血液を静脈に一気に流し、長期のうっ血を回避する。従って、一般に、適用されるDVT治療プロフィールには2つの異なる段階が存在する。患者の解剖学的構造に圧力が加えられる第1の膨張期間、続いて、この圧力が低下又は除去されて静脈に血流が再開する第2の(待機)期間が存在する。次いで、患者の血流速度の増大を維持し、従って静脈うっ血を防止するためにこのサイクルが繰り返される。
ガーメントの最大の性能を引き出すために、圧力が加えられる第1の期間に最大の臨床効果を得ると共に、第2の期間に臨床効果を最大にすることが重要である。これらの2つの期間は、適用される全治療及び得られる臨床効果を最適化するために様々な効用及び特徴を必要とする。
本出願人の先の米国特許出願公開第2005/070,828号明細書に、1つのチューブの入口を介して連続DVT予防治療を行うように設計されたガーメントが開示されている。このガーメントは、複数の膨張可能かつ収縮可能なチャンバを備え、中間チャンバ及び近位チャンバの正確な圧力を維持するためにブリード弁又は排出弁によって収縮が行われる。しかしながら、ブリード弁は、状況によっては、ガーメントが漏れている印象を与え、使用者の不安及び効果のない使用のリスクを引き起こす。この先の出願の装置は、次の変数の管理を必要とする:個々のチャンバの体積;相互接続するブリードチューブの寸法;及びマッシュルーム型ブリードグロメットの寸法。
既知の装置はまた、分離壁によって分離された整合した膨張チャンバを備え、この分離壁は、処置のために患者の四肢又は体の一部を別個のゾーンに分離するように所与の長手方向の位置に亘って配置される。
本発明は、患者の処置用、特に深部静脈血栓の予防用の改善されたガーメント又はカフを提供することを目的とする。
本発明の一態様によると、患者に当てられる膨張可能なガーメントが提供され、このガーメントは、長手方向の次元で使用される管状又は部分管状の形態を有し、かつ第1の分離壁によって互いに分離され、並んで配置された第1及び第2の膨張可能なチャンバを備える膨張装置を有し、第1の分離壁が、ガーメントの管状の形態の周りの異なる長手方向位置に延在するように湾曲し、第1と第2のチャンバが、ガーメントが前記管状又は部分管状の形態を有するときに長手方向に重複する。
この構造は、既知の要領で膨張させることができる多チャンバ膨張装置を実現し、この装置には、既知の装置で発生し得るデッド領域のような加圧治療の効果が得られない部分が患者の体に残らないように、隣接するチャンバ間に長手方向の重複が存在する。分離する壁は、従来技術の構造とは異なり、使用中は共通の長手方向の平面に延在しないと言える。
分離壁は、好ましくは、ガーメントが平らな状態にあるときにも湾曲形状を有する。
好ましい実施形態では、ガーメントは、第2のチャンバと並んで配置された少なくとも1つの第3のチャンバを備え、第2と第3のチャンバが、第2の分離壁によって互いに分離され、第2の分離壁が、ガーメントの管状の形態の周りの異なる長手方向位置に延在するように湾曲し、第2と第3のチャンバが、ガーメントが前記管状又は部分管状の形態を有するときに長手方向に重複する。
有利なことに、第1の壁と第2の壁は異なる曲率を有する。第2の分離壁は、第1の分離壁よりも大きい曲率を有することができ、これにより、第1のチャンバと第2のチャンバとの間の重複よりも大きい第2のチャンバと第3のチャンバとの間の重複が得られる。
実用的な一実施形態では、第1のチャンバは、第1の分離壁の反対側に湾曲壁を有する。第3のチャンバは、第2の分離壁の反対側に湾曲壁を有することができる。有利なことに、膨張装置は、丸い又は湾曲した縁を有する。縁は、好ましくは、膨張チャンバの縁である。このような丸みにより、患者に対する装置の適合性及び快適さが改善される。
好ましくは、隣接するチャンバを互いに接続するチョークが設けられ、特定の又は各チョークは、所定の寸法を有する。特定の又は各チョークは、接続チューブの形態とすることができる。膨張装置は、複数のチョークを有し、チョークは、好ましくは、同じ所定の寸法を有する。別の実施態様では、1つ又は複数のチョークは、チャンバの膨張率及び収縮率を異なるようにするサイズである。
特定の又は各チョークは、約40mmの長さ及び約0.8mmの内孔直径を有することができる。
膨張可能なガーメントは、好ましくは、直列に配置された少なくとも3つのチャンバを有する。
一部の実施では、好ましくは、第1のチャンバが、第2及び他のチャンバよりも大きい。例えば、第2のチャンバは、第1のチャンバのサイズの約70%とすることができ;特定の又は第3のチャンバは、第1のチャンバのサイズの約55%とすることができる。
ガーメントは、編み又は織り層を含む接触部材を備えることができる。
ガーメントは、患者の解剖学的構造の一部の周りに適合するように形成された又は適合するように成形可能なカフ、スリーブ、又は他のガーメントとすることができる。ガーメントという語は、患者の体の一部に配置可能なパッド又は他の要素を含め、その最も広い形で解釈されることを理解されたい。
本発明の別の態様によると、患者に当てられる膨張可能なガーメントが提供され、このガーメントは、第1及び第2の膨張可能なチャンバ、前記第1のチャンバが入口及び出口を有し、第2のチャンバはチョークを有し、前記チョークは、第1のチャンバを第2のチャンバに接続し、第2のチャンバは、前記チョークを除いて密閉されている。
好ましくは、前記第1のチャンバと第2のチャンバとの間に配置される少なくとも1つの中間チャンバが設けられ、前記第1のチャンバから中間チャンバ又は第1の中間チャンバまで延びたチョーク、及び前記中間チャンバ又は最後の中間チャンバから前記第2のチャンバまで延びたチョークが設けられ、特定の又はそれぞれの前記中間チャンバが、前記チョークを除いて密閉されている。
1つ又は複数の中間チャンバは、好ましくは、前記チョークを除いて永久的に密閉され、第1のチャンバの場合は、前記入口、前記出口、及びこの第1のチャンバに接続された全てのチョークを除いて密閉される。従って、第2及び全ての中間チャンバも、別個の排気管を設けずに、チョークを介して充填され、かつ排出される。
大気につながったベントを第3又は中間チャンバに設けることができる。このベントは、チャンバ又はチョークチューブの孔とすることができる。
本構造は、膨張用流体を第1のチャンバに供給することができるような構造であり、この流体は、第1のチャンバを膨張させるだけではなく、第2のチャンバ及び全ての第3のチャンバも膨張させることができる。第2及び第3又は中間チャンバは、チョークを除くその他の供給源によって膨張されないのは好ましくない。
チャンバは、好ましくは、チャンバの縁の一体突出部が形成されるように互いに離間している。周囲は、有利なように、均一な形状ではなく一連の曲線である。従って、異なる領域に当てられる中間チャンバ及び遠位チャンバを有する、脚の周りに配置される周囲領域が存在する。ガーメントの遠位端部から測定される距離において、各チャンバは、考慮する周方向位置によって決まる可変値を有する。
好ましい実施形態では、最も遠位側に位置するチャンバは、体積が最も大きく、次の(中間)チャンバは、遠位チャンバよりも小さく、最も近位のチャンバはさらに小さい。チャンバの寸法は、概ね次の通りである:第2又は中間チャンバは、第1又は遠位チャンバのサイズの約70%であり、第3のチャンバは、第1又は遠位チャンバのサイズの約55%である。個々のチャンバの膨張体積は、ほぼ同じ相対的比率である。
ガーメントは、典型的には、柔軟な材料から形成され、従って、患者の形状に適合可能であることを理解されたい。
本明細書に開示される様々な実施形態及び態様の様々な特徴は、互いに組み合わせることができ、特徴が1つの実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。
添付の図面を参照して、ほんの一例として本発明の実施形態が説明される。
図1は、深部静脈血栓の予防処置用の典型的な圧力デューティサイクルのグラフである。 図2は、患者のふくらはぎに取り付けられるように設計されたガーメントの一例の外面の図である。 図3は、患者のふくらはぎに取り付けられるように設計されたガーメントの一例の内面の図である。 図4は、患者のふくらはぎに取り付けられるように設計されたふくらはぎガーメントの好ましい実施形態の概略図である。 図5は、ガーメントのさらなる特徴を示す図4のガーメントを示している。 図6は、米国特許出願公開第2005/070,828号明細書の教示に従って形成されたガーメントと比較する図2〜図5のガーメントの圧力プロフィールを示す比較のグラフである。 図7は、米国特許出願公開第2005/070,828号明細書の教示に従って形成されたガーメントと比較する図2〜図5のガーメントの圧力プロフィールを示す比較のグラフである。 図8は、米国特許出願公開第2005/070,828号明細書の教示に従って形成されたガーメントと比較する図2〜図5のガーメントの圧力プロフィールのさらなる詳細を示す比較のグラフである。 図9は、米国特許出願公開第2005/070,828号明細書の教示に従って形成されたガーメントと比較する図2〜図5のガーメントの圧力プロフィールのさらなる詳細を示す比較のグラフである。 図10は、本明細書に開示されるタイプのガーメントのスペーサ層の一実施形態の分解図である。
以下に開示される実施形態では、説明されるガーメントは、患者のふくらはぎの周りに装着されるように設計されている。しかしながら、ガーメントは、患者の解剖学的構造の様々な部分の周りに適合するように設計された様々な形状を有し得ることを理解されたい。典型的には、ガーメントは、患者の脚の一部又は全体の周りに適合するように設計されるが、患者の腕又は他の体の部分の周りに適合するように設計することもできる。このために、以下に説明されるガーメントの実施形態は、3つの膨張可能なチャンバを有するが、主にガーメントの全体の寸法、チャンバのサイズ、及びガーメント全体に亘って生じる圧力プロフィールによって決まる異なる数のチャンバを有しても良い。従って、場合によっては、ガーメントは、2つのチャンバのみを有しても良く、他の実施形態では、ガーメントは、4つ以上、例えば、4つ、又は5つ以上のチャンバを有しても良い。
統合DVT予防システムの一部として、ガーメントは、システムと患者との間の物理的な治療送達界面となる。以下に説明されるガーメントの動作原理は、患者の脚のふくらはぎ又はふくらはぎと腿の領域に十分な接触圧力を加えて、ふくらはぎ内部の深部静脈を一時的に閉塞させ、従って圧力が加えられる期間、心臓に戻る静脈を停止させる。所定期間後、一般的には膨張の開始から約12秒後に、ガーメントの圧力を解放して静脈血が再環流できるようにする。約48秒の待機期間後、12秒の膨張サイクルが繰り返されて、再び静脈が閉塞させられる。このサイクルは、ガーメントが患者のふくらはぎに装着されてポンプが運転している限り繰り返される。治療サイクルのこの例のイメージが図1に示されている。これは、ガーメントの遠位チャンバのデューティサイクルであり、以下に説明されるように、この遠位チャンバから、中間チャンバ及び近位チャンバで生じる圧力が伝達される。
ここで図2及び図3を参照すると、図2及び図3はそれぞれ、ガーメント10の実施態様の外面12及び内面14の図を示している。ガーメントは、ふくらはぎカフ10の形態である。ガーメント10は、2層又は多層体からなる適合性かつ柔軟な不浸透性ポリマー材料、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)又はポリウレタン/オレフィン膜から形成される。当業者であれば、様々な適切な材料は既知であろう。この多層体は、この実施形態では、以下に詳細に説明されるようにチョークによって相互連結された3つのチャンバを形成するために互いに密閉されている。
ガーメント10は、カフ10を患者のふくらはぎの周りの所定の位置に固定するために使用される複数の固定タブ16、この実施形態では3つの固定タブ16も備える。このために、タブ16は、接着剤、フック及び/又はアイ固定具、例えば、Velcro(商標)又は他の適切な固定具を備えることができる。フック及び/又はアイ固定具は、ガーメント10のカバーの布とすることができる適切な受容材料と協働し得ることを理解されたい。
図2及び図3から明らかなように、カフ10は、平らに広げることができ、使用時は、スリーブの形態で患者のふくらはぎ又は下脚を取り囲むことができる。
ガーメントの形状は、患者の解剖学的構造の特定の部分に対して設計することができ、従って、図面に示されている例とは異なり得ることを理解されたい。
図4は、カフ10の構造、特にカフの膨張可能なチャンバを詳細に示している。カフ10は、このカフ10の多層体が典型的には互いに結合されている外縁20を有するが、これは必ずしも必要ではない。カフ10の多層体は、線に沿って結合されており、この線は、この実施態様では、第1又は遠位チャンバ24、少なくとも1つの第2又は中間チャンバ26、及び第3又は近位チャンバ28から形成された3チャンババッグ22を画定している。
チャンバ24〜28は、直列に流体連通して配置され、この流体連通のために、遠位チャンバ24は、入口/出口ポート又はチューブ30、及び中間チャンバ26に挿入された第1のブリードチューブ又はチョーク32を備える。第2のブリードチューブ又はチョーク34は、中間チャンバ26を近位チャンバ28に接続している。ブリードチューブ32及び34を除くと、中間チャンバは完全に密閉される、即ち、他のポート又は弁が一切存在しない。遠位チャンバ28は、好ましくは、大気につながったベントを有する(図面には示されていないが、チョーク32及び34と同様とすることができる)。大気につながったベントは、治療のために正確な圧力を達成するのに役立ち得る。このようなベントは、第3又は近位チャンバのチャンバ壁に直接レーザー穿孔されたベント孔、又は第3のチャンバ内の大気につながったチョークチューブによって達成することができる。
従って、図示されている実施形態では、入口30に送られた空気は、遠位チャンバ24に入り、次いで第1のブリードチューブ32を介して中間チャンバ26を通り、そして中間チャンバ26から第2のブリードチューブ34を介して近位チャンバ28に達する。流体は、同様の要領であるが、チャンバ及びブリードチューブを通る方向とは反対方向に順次チャンバから排出される。
図示されている実施形態では、ブリードチューブは、同じ寸法、好ましくは、40mmの長さ、0.8mmの内径又は口径を有する。別の実施形態では、遠位チャンバ24と中間チャンバ26との間の第1のブリードチューブ32は、80mmの長さであり、0.8mmの内孔直径を有し;中間チャンバ26と近位チャンバ28との間の第2のブリードチューブ34は、20mmの長さであり、0.5mmの内孔直径を有する。
ブリードチューブ32及び34のこれらの構造は、1つのチャンバから次のチャンバに流れる流体の速度、従って一連のチャンバの圧力の増加率、結果として圧力の変化率、並びに患者のカフ10のチャンバ24〜28によって生成される全圧力を制御するように設計されている。遠位チャンバ28のベントにより、ガーメントの使用中のチャンバ間の圧力勾配を確実に維持することができる。これについては、以下にさらに詳細に説明される。
ここで図5を参照されたい。図5は、図4のバッグ又はカフ10の概略図であり、好ましい実施形態の構造の多数の他の特徴を示している。
より具体的には、ガーメント10の性能のさらなる改善は、チャンバ24〜28の形状、特にチャンバがガーメント10内で重複するようにして達成することができる。チャンバ24〜26は、患者の脚に装着されたときに長手方向に重複するように設計されている。従来技術のカフは、ガーメントの膨張可能なチャンバのそれぞれに対して明確な界面を使用し、容易に認識可能な分離が各チャンバ間に設けられている。結果として、患者の脚の周囲で、チャンバの周辺が、はっきりと異なるチャンバゾーンを有する均一な形状を形成する。カフ10の長さ又は長手方向の範囲として表すことができる、ガーメントの遠位端部から測定される距離においては、各チャンバは、考慮する円周位置に関係なく明確な圧力値を有する。
図示されている実施形態の構造では、図4及び図5に詳細に示されているように、チャンバ24〜28は、チャンバの縁が互いに離間して一体突出部を形成している。周囲は、均一な形状ではなく一連の曲線である。従って、異なる領域に当てられる中間チャンバ及び遠位チャンバを有する、脚の周りに配置される周囲領域が存在する。ガーメントの遠位端部から測定される距離において、各チャンバは、考慮する周方向位置及び長手方向位置によって決まる可変値を有する。
好ましい実施形態では、最も遠位側に位置するチャンバ24は、体積が最も大きく、次の(中間)チャンバ26は、遠位チャンバ24よりも小さく、最も近位のチャンバ28はさらに小さい。チャンバの寸法は、概ね次の通りである:中間チャンバ26は、遠位チャンバ24のサイズの約70%であり、近位チャンバ28は、遠位チャンバ24のサイズの約55%である。個々のチャンバの膨張体積は、ほぼ同じ相対的比率である。個々のチャンバ24〜28のサイズの関係は、患者の脚の形状に基づいており、結果として生じるチャンバの圧力は、この構造及びポンプによって制御される選択される治療圧力によって決まる。
チャンバの設計により、従来技術よりも高い中間チャンバの圧力を達成することが可能である。
チャンバ24〜28の一体化又は重複の効果は、快適さ、適合性、向き、性能、及び効率の点でさらなる利点を有する。
快適さ及び適合について
個々のチャンバ24〜28の設計は、ガーメント10が膨張したときの快適性を改善するために直線の縁の使用を回避している。これにより、個々の膨張可能なチャンバ24〜28間の、患者が知覚可能な明らかな差異が減少する。これは、様々なチャンバに異なる圧力が存在するため特に有利である。従来技術は、個々のチャンバ間に線形の境界を有する。
チャンバの縁の外側に連続的な曲線を有するチャンバ24〜26のさらなる使用は、チャンバ領域と患者の脚との間の界面を一体化する。これにより、膨張可能な多チャンバ領域とガーメントの膨張しない領域との間の、患者が知覚可能な明らかな差異が減少する。従来技術では、チャンバが直交形状を有するため、多チャンバ領域とガーメントの残りの領域との間に線形の境界が存在する。
多チャンバ構成の外周縁では、線形の境界の使用と比較すると、膨張したときに異なる3D形態になる多数の曲線領域が存在する。従来技術は、これらの領域間に空間が存在しない直交の多い形状を有する。従って、脚に他の人よりも多くの組織を有する患者(例えば、脂肪の多い肥満患者)では、締まりすぎを防止するために最初のガーメントの装着時及び継続的な治療での使用時の両方で組織が入り込むことができる領域がガーメントに存在する。
多チャンバガーメントの近位縁で曲線のチャンバ形状を使用することにより、上脚/太腿、及び/又は下脚/足首に対する適合性が改善される。
向きの特徴
カフ10の中心線は、チャンバ24〜28を、ふくらはぎ領域における脚の後部の中心に整合させるための線である。この中心線により、柔軟な組織の最大の圧縮を達成することができる。カフが明確な形状を有するため、カフをまず整合させること、及びガーメント10が正確に整合したままであるかを看護スタッフが常にチェックすることが容易である。これは、このためにガーメント10の外面14に設けられるマークに加えてとすることができる。
性能の改善
カフ10の好ましい実施形態はまた、空気圧効率の向上によって改善された性能を有する。特に、好ましい設計は、空気圧効率の優れた構造を提供する。チャンバ24〜28の挟み込み配置により、密度の高い多チャンバ構成となり、個々のチャンバ領域間の空間に配置されたときに圧縮されない患者の表面積が少なくなる。
膨張するチャンバ24〜26により最初に加えられる力は、チャンバの形状の中心領域が最も膨張できるため、この中心領域で生じる。この領域は、最も多くの組織が存在する患者のふくらはぎの中心領域に整合し、従って改善された圧縮治療を行うことができる。
使用者の経験を向上させ、結果として適合性を向上させるために、中間チャンバ26及び近位チャンバ26の圧力を、ブリードチューブ32及び34によって維持する。このブリードチューブ32及び34は、治療期間中に伝達圧力を低下させ、ガーメント10及びポンプを介して治療を行う部分の端部の空気を逆流させるように設計されている。
使用の際は、本明細書で説明されるDVT予防ガーメント10の実施形態は、3つのチャンバ24〜28(上記説明されたように3つでも良いが、2つのみ又は4つ以上のチャンバでも良い)を含む2層バッグ又はカフ10を介して連続的な圧力勾配(遠位から近位へ)を形成するように設計されている。ガーメント10の空気圧は、標準的なDVTポンプによってカフの入口/出口チューブ30を介してカフの遠位チャンバ24に供給することができる。典型的には、45mmHgの圧力を加えることができる。中間チャンバ26及び近位チャンバ28の圧力は、このポンプ圧力から伝達される。中間チャンバ26及び近位チャンバ28に対する空気圧は、相互接続チューブ32及び34によって制御され、これらのチューブ32及び34は、続くチャンバ26、28内への空気を「チョークする」ように設計されている。「チョーク」によって生じる1つのチャンバから次のチャンバへの圧力低下は、チューブ32、34の長さ及び内孔直径によって決まる。一例では、35mmHgの中心バッグ圧力及び25mmHgの近位バッグ圧力が達成される。この解決策は、ふくらはぎガーメント又はふくらはぎと腿のガーメントに等しく適用することができ、チューブの長さ及び内径は、ガーメントの総体積に一致するように変更される。
教示される構成では、バッグの圧力を制御するために(ガーメントで)常に空気を大気に排出する必要はないが、加圧空気の入口から数えて最後になる連続したチャンバの最後のチャンバに1つのベントを設けることが望ましい。
圧力の上昇及び保持期間(例えば、12秒間)が終了すると、バッグ又はカフ10が収縮される。ポンプは、収縮させてから次の治療サイクルまで、静止期間、例えば、48秒間待機するように構成されている。この収縮により、静脈の血流の再開が可能となり、続く治療サイクルのためにガーメント10を準備することができる。この収縮及び保持期間の間に、3つのチャンバ24〜28のそれぞれの圧力が、「チョーク」チューブ32、34を介して近位チャンバから中間チャンバ26及び遠位チャンバ28を通り、そして入口/出口チューブ10及びポンプ内部の回転弁(存在する場合)を介して逆方向に大気に戻される。
教示される構造では、設計の範囲に2つの主な独立変数:(a)個々のチャンバ体積、及び(b)相互接続ブリードチューブの寸法が存在する。独立変数の数を減らすことにより、製造プロセスの再現性が向上し、従って、大量生産によって生じる誤差のリスクが低下する。
追加のブリード弁を構造から除去することにより:(a)ガーメントの製造コストの削減;(b)ブリード弁の物理的な隆起のない改善されたガーメント表面;及び(c)ブリード弁での大気への多数回のベントに関連したノイズの除去を含む、多数の改善点が見られる。
試験用ふくらはぎガーメント10をFlowtronポンプ(513003)に接続し、治療の送達の再現性及び精度を確認するために長期間作動させた。図6は、試験用ガーメントでの試験のためだけに設けられたブリードグロメットを介してガーメント入口チューブ30、中間チャンバ26、及び近位チャンバ28で測定されるガーメント10の圧力プロフィールを示している。図7は、米国特許出願公開第2005/070,828号明細書の教示に従って形成されたガーメントの圧力プロフィールを示している。
上記説明されたように、最大の性能を得るために、ガーメント10は、圧力が加えられる第1の期間中に最大の臨床効果を果たし、しかも第2の静止期間中も臨床効果を最大にする。これらの2つの期間は、施される全治療及び得られる臨床効果を最適化するために様々な効用及び特徴を必要とする。ガーメント10は、改善された膨張特性と改善された収縮特性との組み合わせを使用することによってこれを達成する。
全サイクルの膨張部分は、異なる部分、即ち:ランプ(上昇)、保持、及びベントからなる。
図6と図7の比較は、カフ10と従来技術とを比較したときの異なる初期膨張ランプを示している。従来技術の装置では、遠位チャンバ24の膨張の開始を他の2つのチャンバ26、28と比較すると、ランプ期間で識別可能な2秒を超える遅延が存在する。本明細書で教示されるカフ10は、この初期遅延を示さず、ランプ期間及び保持期間中に圧力が上昇するときに個々のチャンバ24〜28間の差圧勾配を維持することができる。また、図6及び図7に示されているランプ部分及び保持部分における対応する点では、図6に示されている好ましいカフ10は、図7に示されている従来技術よりも高い中間チャンバの圧力を実現できることが分かる。
遅延の減少および高い中間チャンバ26圧力の両方の結果として、カフ10は、サイクル中により長時間に亘ってより強い圧縮力を加えることができる。これにより、従来技術の構造と比較して、カフ10の様々なチャンバ24〜28でより高い圧力がより長く存在し、しかも膨張及び収縮の連続性がなお維持される。これは、加えられる力が曲線の下の領域で等しいという原理に類似している。
個々のチャンバ24〜28の物理的形状及び個々のチャンバ24〜28の空間的関係もこの効果に加えられ、これについては以下に詳述される。
図6では、カフ10は、図7を参照すると分かるように、従来技術と比較して遅い近位チャンバ28及び中間チャンバ26の収縮を示すことも分かる。これは、図8(カフ10)及び図9(従来技術)に詳細に示されている。この遅い収縮により、たとえ遠位チャンバ24の収縮が始まっても圧力の印加が延びる。これは、全ての気流がチューブ30〜34を介してポンプに戻らなければならず、かつ大気への排出がないためである。近位チャンバ28の空気圧は、中間チャンバ26の圧力が低下するまで低下することができず、中間チャンバ26の空気圧は、遠位チャンバ24の圧力が低下するまで低下することができない。
チャンバに直列の接続を有することにより、直列に関連した圧力プロフィールが形成される。従って、中間チャンバ26及び近位チャンバ28は、時間に対する圧力の低下が遅く、従って、従来技術よりも圧力が長時間持続される。
圧力レベルは、収縮期間の保持部分の際の圧力レベルよりも低いが、この圧力レベルは、現に存在し、永久圧縮力(例えば、圧縮ストッキング)によって生じる圧力とほぼ同等であると見なすことができる。これは、以前は当技術分野に存在しなかったガーメント10の性能に関するさらなる利点を与える。
従って、サイクルの収縮部分の圧力の時間に対するプロフィールは、伸縮性のある圧縮靴下によって与えられ得る圧縮効果と同じ圧縮効果の部分も有することができる。これにより、間欠圧縮ガーメントとなり、このガーメントは、典型的には圧縮ストッキングのみに見られる追加の性能特性も有するが、肢の一定の圧縮に関連した臨床上の問題がない。
得られる効果により、圧縮の持続期間が長くなる。これは、図6及び図8に示されており、実際の空気源は、60秒のサイクル時間のうちの12秒間しか供給されなくても、60秒のサイクル時間に対して約18秒間、8mmHgを超える圧力が足首/近位に存在する。従って、たとえ空気源からの空気圧が停止されたとしても、下脚/足首にかかる残留圧縮力が存在する。これにより、間欠圧縮サイクルに関連した既存の治療効果がさらに強化される。
各チャンバ24〜28の圧力対時間及び長引く低い残留圧力に関するこの時差収縮特性の結果として、ガーメント10の好ましい構造は、血流促進に対してより持続的な効果を与える。
また、静脈の弁の機能が低下した患者、例えば、表在静脈逆流に苦しんでいる患者では、この改善された性能は、特有であるが著しい利点を与えることができる、即ち、血液の逆流の防止に役立ち得る。従って、IPCシステムの有効性が、この種の患者では向上し得る。
チャンバは、以下に説明される実施形態と同様に、直列に流体連通して配置されるのが好ましいが、他の実施形態では、チャンバは、並列に配置することができ、これにより、異なる圧力プロフィールが得られる。同様に、順序通り、実際にはガーメントの同じ長手方向位置で第1のチャンバ又は前のチャンバに直接結合された2つ以上のチャンバを設けることができ、これらのチャンバは、ガーメントの異なる角度位置(側面)で異なる圧力プロフィールを得るために同じ又は異なるチョークを有する。
ここで図10を参照すると、この図は、本明細書で考えられるタイプのDVTガーメントに特に適したスペーサ層の一実施形態を示している。このスペーサ層は、ガーメントの患者接触側に配置することができ、従って、患者に直接接触する。このようなスペーサ層は、通気性を改善すると共に、DVT予防ガーメントに快適性を与えることを目的とする。また、改善された絶縁性、圧縮強度、耐久性、リサイクル性、圧力の再分配、及び高い水蒸気透過率(MVTR)も実現することができる。
特に、既知のDVTガーメントは、3層又は4層の材料を用いて製造され:2層が内部バッグ用、即ち治療を施す要素であり、外側の2層は、ガーメントの審美性領域及び取り付け領域となる。一部のガーメントは、皮膚接触材料として発砲積層材料を使用する。ポリウレタンフォームは、クッションの快適さを与える。しかしながら、ポリウレタンフォームは、接着剤又は火炎融着プロセスのいずれかを用いて積層しなければならず、接着剤及び火炎融着プロセスは共に、このポリウレタンフォーム中の気泡孔の少なくとも一部を塞ぎ、その通気性を低下させる傾向にある。ポリウレタンフォームはまた、UV光による影響を受けやすく、典型的には変色する。さらに、積層プロセスは、コストを増大させ、しかもガーメントがリサイクルできなくなる。
ここで図10を参照すると、この図は、スペーサ層の一実施形態を示し、このスペーサ層は、気液透過性接触層52、3次元編み又は織り層54、及び支持層56を備え、バッグ層の1つとすることができる。支持層56は、ガーメントの独立した層として設けられる場合は、気液透過性とすることもできる。3次元編み又は織り層54は、接触層52を通過した水蒸気及び空気の収集を可能にする空間を層52と56との間に形成し、かつ層54の繊維間の間隙を通る、層54に亘る気液通路も画定し、層54を通るチャネルを形成すると見なすことができる。この空間は絶縁も行う。
層54は、1回の編み又は織りプロセスで形成することができ、このため、従来技術の構造に関連した追加のプロセスなしで、発砲又は織物積層体の利点を達成することができる。層54の3D構造の構造中の繊維によって付与される強度は、圧縮強度を与え、これにより、クッション性、快適性、及びガーメントにおける圧力再分配が実現される。層54の織物構造は、その構造及び使用される糸により耐久性を付与する。対照的に、従来技術の積層体で使用される発泡体は、弱い材料であり、装置の全体の強度を低下させる。
編み又は織り層54は、24時間当たり35g/m以上の水蒸気透過率を可能にし、この水蒸気透過率は、一部の従来技術のガーメントよりも格段に高い。
本出願が優先権を主張する英国特許出願第1219496.5号明細書及びこの出願に添付の要約書の開示は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (20)

  1. 患者に当てられる膨張可能なガーメントにおいて、長手方向の次元で使用される管状又は部分管状の形態を有し、かつ第1の分離壁によって互いに分離された、並んで配置された第1及び第2の膨張可能なチャンバを備える膨張装置を有し、前記第1の分離壁が、前記ガーメントの管状の形態の周りの異なる長手方向位置に延在するように湾曲し、前記第1と第2のチャンバが、前記ガーメントが前記管状又は部分管状の形態を有するときに長手方向に重複することを特徴とする、膨張可能なガーメント。
  2. 請求項1に記載の膨張可能なガーメントにおいて、前記分離壁が、前記ガーメントが平らな状態にあるときにも湾曲形状を有することを特徴とするガーメント。
  3. 請求項1又は2に記載の膨張可能なガーメントにおいて、前記第2のチャンバと並んで配置された少なくとも1つの第3のチャンバを備え、前記第2と第3のチャンバが、第2の分離壁によって互いに分離され、前記第2の分離壁が、前記ガーメントの管状の形態の周りの異なる長手方向位置に延在するように湾曲し、前記第2と第3のチャンバが、前記ガーメントが前記管状又は部分管状の形態を有するときに長手方向に重複することを特徴とするガーメント。
  4. 請求項3に記載の膨張可能なガーメントにおいて、前記第1の分離壁と前記第2の分離壁が、異なる曲率を有することを特徴とするガーメント。
  5. 請求項3又は4に記載の膨張可能なガーメントにおいて、前記第2の分離壁が、前記第1の分離壁よりも大きい曲率を有し、これにより、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間の重複よりも大きい前記第2のチャンバと前記第3のチャンバとの間の重複が得られることを特徴とするガーメント。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の膨張可能なガーメントにおいて、前記第1のチャンバが、前記第1の分離壁の反対側に湾曲壁を有することを特徴とするガーメント。
  7. 請求項1乃至6の何れか1項に記載の膨張可能なガーメントにおいて、前記第3のチャンバが、前記第2の分離壁の反対側に湾曲壁を有することを特徴とするガーメント。
  8. 請求項1乃至7の何れか1項に記載の膨張可能なガーメントにおいて、前記膨張装置が、丸い又は湾曲した縁を有することを特徴とするガーメント。
  9. 請求項1乃至8の何れか1項に記載の膨張可能なガーメントにおいて、前記縁が、前記膨張可能なチャンバの縁であることを特徴とするガーメント。
  10. 請求項1乃至9の何れか1項に記載の膨張可能なガーメントにおいて、隣接するチャンバを互いに接続するチョークを備え、特定の又は各チョークが、所定の寸法を有することを特徴とするガーメント。
  11. 請求項10に記載の膨張可能なガーメントにおいて、特定の又は各チョークが、接続チューブの形態であることを特徴とするガーメント。
  12. 請求項10又は11に記載の膨張可能なガーメントにおいて、前記膨張装置が、複数のチョークを有し、前記チョークが、同じ所定の寸法を有することを特徴とするガーメント。
  13. 請求項10又は11に記載の膨張可能なガーメントにおいて、1つ又は複数の前記チョークが、前記チャンバの膨張率及び収縮率を異なるようにするサイズであることを特徴とするガーメント。
  14. 請求項10、11、又は12に記載の膨張可能なガーメントにおいて、特定の又は各チョークが、約40mmの長さ及び約0.8mmの内孔直径を有することを特徴とするガーメント。
  15. 請求項1乃至14の何れか1項に記載の膨張可能なガーメントにおいて、直列に配置された少なくとも3つのチャンバが設けられていることを特徴とするガーメント。
  16. 請求項1乃至15の何れか1項に記載の膨張可能なガーメントにおいて、前記第1のチャンバが、前記第2及び他のチャンバよりも大きいことを特徴とするガーメント。
  17. 請求項16に記載の膨張可能なガーメントにおいて、前記第2のチャンバが、前記第1のチャンバのサイズの約70%であることを特徴とするガーメント。
  18. 請求項17に記載の膨張可能なガーメントにおいて、特定の又は第3のチャンバが、前記第1のチャンバのサイズの約55%であることを特徴とするガーメント。
  19. 請求項1乃至18の何れか1項に記載の膨張可能なガーメントにおいて、編み又は織り層を有する接触部材を備えることを特徴とするガーメント。
  20. 請求項1乃至19の何れか1項に記載の膨張可能なガーメントにおいて、患者の解剖学的構造の一部の周りに適合するように形成された又は適合するように成形可能なカフ、スリーブ、又は他のガーメントであることを特徴とするガーメント。
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