JP2016512326A - 内部較正を伴うアッセイ - Google Patents

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Abstract

本明細書において内部較正を伴うアッセイためのキットおよび方法を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2013年3月15日に出願された米国特許出願第13/833,365号の継続出願である。該米国特許出願は参照によりこの全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
本明細書において内部較正を伴うアッセイのためのキットおよび方法を提供する。
過去数十年間、アッセイは、蛍光、化学発光、または被検物に応答してシグナルを生成させる他の手段を用いて行われている。現在、多くのアッセイは、反応混合物の全容量において生成した光シグナルの強度の測定によって行われている。生成した光シグナルは光学的手段によって測定され得、この場合、生成する光シグナルは多数の分子によって放射されているものである。典型的な一実施形態では、このようなアッセイは、抗原を含んでいることが疑われる試料を、固相支持体、例えば微粒子に結合した第1の抗体を含む試薬と合わせ、反応混合物を形成することにより行われ得る。抗原が試料中に存在している場合、これは第1の抗体に特異的に結合する。標識と結合した第2の抗体を含むコンジュゲートを反応混合物に導入すると、これは、先に記載のように固相支持体に結合した第1の抗体に特異的に結合している抗原に特異的に結合する。かかるアッセイはサンドイッチアッセイまたはイムノメトリックアッセイと称される。この型のアッセイを図1に模式的に示す。次いで、未結合コンジュゲートを反応混合物から除去(典型的には洗浄工程を行うことにより)した後、標識に起因するシグナルが測定される。反応混合物の全容量で得られたシグナルを測定し、次いで較正曲線と比較し、試料中に存在する抗原の濃度が確定される。
アッセイが未結合試料被検物からの結合試料被検物の分離を含まない場合、これは「1ステップ」アッセイとみなされる。アッセイが未結合試料被検物からの結合試料被検物の分離を含む場合、これは、一般的に「2ステップアッセイ」(またはどのようにして分離が行われるかによっては遅延型1ステップアッセイ)とみなされる。
標準的なサンドイッチアッセイにおいて、最初の工程は、既知濃度の一組の較正用被検物試料を用いて較正曲線を作成することである。次いで、この較正曲線を用いて未知試料の濃度を決定する。
アッセイ、例えばイムノアッセイの内部較正のためのキットおよび方法を提供する。本明細書において提供する内部較正の方法およびキットにより較正曲線を作成する必要性が排除され、数多くの試験試料の被検物の存在および/または濃度を、内部較正された単一の基準点に基づいて調べることが可能になる。
従って、一態様において、キットが提供される。一部の実施形態では、キットは、第1の標識を含むトレーサー被検物、被検物結合性捕捉分子、および第2の標識を含む被検物結合性検出分子を備え、当該被検物結合性捕捉分子と当該被検物結合性検出分子が当該トレーサー被検物に同時に結合し得る。さまざまな実施形態において、当該被検物結合性捕捉分子が固相支持体に結合されている。一部の実施形態では、当該固相支持体が、粒子、微粒子、ビーズ、電極およびマルチウェルプレートからなる群より選択される。一部の実施形態では、当該被検物結合性捕捉分子および/または当該被検物結合性検出分子のうち一方または両方が抗体またはこの断片である。一部の実施形態では、当該第1の標識および当該第2の標識の一方または両方が発色団である。一部の実施形態では、当該第1の標識および当該第2の標識の一方または両方がフルオロフォアである。
さらなる一態様において、アッセイの内部較正方法が提供される。一部の実施形態では、該アッセイは、
a)被検物結合性捕捉分子を、第1の標識で標識された所定の濃度のトレーサー被検物および第2の標識で標識された所定の濃度の被検物結合性検出分子と接触させること、ここで、当該被検物結合性捕捉分子と当該被検物結合性検出分子は当該トレーサー被検物に同時に結合する;
b)得られた当該第1の標識のシグナル強度(I1)および得られた当該第2の標識のシグナル強度(I2)を測定すること;
c)当該第1の標識の強度(I1)に対する当該第2の標識の強度(I2)の比として補正係数(F)を求めること;このとき、当該補正係数を求めることによりアッセイの内部較正が可能である、
を含む。一般的に、この方法は試験試料の非存在下で行われる。
さらなる一態様において、1種類以上の試験試料中の被検物の濃度を求める方法が提供される。一部の実施形態では、該方法は、
a)被検物結合性捕捉分子を、第1の標識で標識された所定の濃度のトレーサー被検物および第2の標識で標識された所定の濃度の被検物結合性検出分子と、試験被検物を含んでいるかもしれない1種類以上の試験試料の非存在下または存在下のいずれかで接触させること、ここで、当該被検物結合性捕捉分子と当該被検物結合性検出分子は当該トレーサー被検物に、および存在する場合は前記1種類以上の試験試料中の試験被検物に同時に結合する;
b)前記1種類以上の試験試料の非存在下での当該第1の標識の得られたシグナル強度(I1)および当該第2の標識の得られたシグナル強度(I2)を測定すること;
c)当該第1の標識の強度(I1)に対する当該第2の標識の強度(I2)の比として補正係数(F)を求めること;
d)前記1種類以上の試験試料の存在下での当該第1の標識の得られたシグナル強度(I1)および当該第2の標識の得られたシグナル強度(I2)を測定すること;ならびに
e)当該第1の標識の強度(I1)に対する当該第2の標識の強度(I2)の比を当該補正係数(F)で除算し、トレーサー被検物の当該所定の濃度を減算することにより前記1種類以上の試験試料中の試験被検物の濃度を求めること
を含む。さまざまな実施形態において、工程b)とd)が同時に、または任意の順序で行われ得る。一部の実施形態では、工程d)とe)が1回以上反復される。一部の実施形態では、工程a)からc)が1回しか行われない。一部の実施形態では、トレーサー被検物の当該所定の濃度が、予測される試験被検物濃度より低い濃度から予測される目標試験被検物濃度より約5倍高い濃度の範囲である。
内部較正方法および被検物濃度の測定方法のさらなる実施形態に関して、一部の実施形態では、トレーサー被検物の当該所定の濃度が当該被検物結合性捕捉分子の結合能の飽和未満である。一部の実施形態では、2ステップアッセイ形式が使用される。一部の実施形態では、1ステップアッセイ形式が使用される。さまざまな実施形態において、2ステップアッセイ形式が使用される場合、被検物結合性検出分子の当該所定の濃度が、最初の工程で捕捉される被検物およびトレーサー被検物の濃度以上である。さまざまな実施形態において、1ステップアッセイ形式が使用される場合、被検物結合性検出分子の当該所定の濃度が、被検物およびトレーサー被検物の濃度より高い。一部の実施形態では、該方法が自動化または半自動化システムを用いて行われる。一部の実施形態では、当該被検物結合性捕捉分子が固相支持体に結合されている。一部の実施形態では、当該固相支持体が、粒子、微粒子、ビーズ、電極およびマルチウェルプレートからなる群より選択される。一部の実施形態では、当該被検物結合性捕捉分子および/または当該被検物結合性検出分子のうち一方または両方が抗体またはこの断片である。一部の実施形態では、当該第1の標識が第1の発色団であり、当該第2の標識が第2の発色団である。一部の実施形態では、当該第1の標識が第1のフルオロフォアであり、当該第2の標識が第2のフルオロフォアである。
図1は、サンドイッチアッセイの模式図を示す。 図2は、単独のトレーサー被検物を用いて内部較正されるアッセイを行うための一実施形態を示す模式図を示す。 図3は、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)滴定のフローチャートを示す。 図4は、単独のトレーサー被検物を用いたアッセイ条件の差異の内部補正を示す。
本開示により、一部において、アッセイ条件の差異が補正され、アッセイ精度を向上させ得る内部較正標準が使用されるアッセイおよび方法を見出し、設計することに関して記載している。さらに、較正標準セットを単独の較正標準と置き換えることにより較正操作の回数を減らすことができる、例えば、1回の較正操作で、逐次操作される数多くの試験試料の被検物濃度を測定するための正確なパラメータを設定することができる。
定義
以下の用語は本開示に関連するものである。
「アッセイ」は、多くの場合、物質の複雑な混合物を含む溶液中の物質の存在または濃度を調べる生化学的試験である。血清または尿などの生体液中の被検物は、多くの場合、アッセイ法を用いてアッセイされる。かかるアッセイは、被検物結合性分子(例えば、抗体またはこの抗原反応性断片)が高い特異性で1つまたは非常に限定的な一群の分子に結合する固有の能力に基づいたものである。被検物結合性分子(例えば、抗体またはこの抗原反応性断片)に結合する分子は被検物または抗原と称される。分離工程を必要とするアッセイは、しばしば分離アッセイまたは不均一系アッセイと称され、設計が容易であるため普及しているが、多くの場合、標識された試薬が結合した表面を注意深く洗浄することを含む多くの工程が必要とされる。一部のアッセイは分離工程なしで実施され得る。かかるアッセイは、多くの場合、単純に試薬と試料を混合し、物理的測定を行うことにより行われ得る。かかるアッセイは、均一系アッセイまたは頻度は低いが非分離アッセイと称される。
本明細書で用いる場合、表現「サンドイッチアッセイ」は、同時に(例えば、同じ工程または別々の工程で)同じ被検物に結合する2種類の被検物結合性分子を使用するアッセイを意味する。被検物結合性分子の一方は固相支持体に直接または間接的に結合させ、被検物をこの固相支持体(例えば、微粒子または電極など)に直接または間接的に結合させる。他方の被検物結合性分子は標識と直接または間接的に結合させ、被検物をこの標識と直接または間接的に結合させ、被検物を検出するためのシグナルを得る。例えば、被検物結合性分子の一方は、試料中の被検物(例えば、抗原)に特異的に結合させるための被検物結合性捕捉分子(例えば、抗体またはこの抗原反応性断片)であり得、この場合、被検物(例えば、抗原)は固相支持体(例えば、電極または微粒子など)に直接または間接的に結合され、他方の被検物結合性分子は、試料中の被検物(例えば、抗原)に特異的に結合させるための被検物結合性検出分子(例えば、抗体またはこの抗原反応性断片)であり得、この場合、被検物(例えば、抗原)は抗原を検出するための標識と直接または間接的に結合される。比較的量が多い被検物が試料中に存在する場合、生成されるシグナルは多い。比較的量が少ない被検物が試料中に存在する場合、生成されるシグナルは少ない。図1は、サンドイッチアッセイの代表例を示す模式図である。
本明細書で用いる場合、用語「複合体」は、少なくとも2つの分子が互いに特異的に結合しているものを意味する。複合体の例としては、限定されないが、被検物が被検物結合性分子に結合しているもの、被検物が複数の被検物結合性分子に結合しているもの、例えば、被検物が2つの被検物結合性分子に結合しているもの、被検物結合性分子が複数の被検物に結合しているもの、例えば、被検物結合性分子が2つの被検物に結合しているものが挙げられる。
本明細書で用いる場合、表現「固相支持体」は、被検物結合性分子(例えば、抗体またはこの抗原反応性断片)が、該被検物結合性分子が液状媒体中の固相支持体から切断されて遊離し得ないように結合され得る任意の固相表面を意味する。固相支持体は該固相支持体が接触している液体から容易に分離され得る。さまざまな実施形態において、固相支持体は、例えばプラスチック、誘導体化プラスチック、磁性もしくは非磁性金属、ガラスまたはシリコンであり得る。固相支持体の代表例としては、限定されないが、電極、テストチューブ、ビーズ、微粒子、ナノ粒子、マイクロ−またはマルチ−ウェルプレートのウェル、ゲル、コロイド、生体細胞、シート、チップ、および当業者に知られた他の構成体が挙げられる。被検物結合性分子(例えば、抗体またはこの抗原反応性断片)が結合され得る対象物の一例は微粒子、例えば磁性微粒子などである。微粒子は、典型的には1000ミクロン未満の平均直径を有するものである。微粒子は、分散している液体から容易に分離され得る。微粒子は水性媒体中に容易に分散されるものである。さらに、場合により固相支持体は、被検物結合性タンパク質の回収手段、即ち、被検物結合性分子を該表面から、アッセイを実施した条件とは相違する制御された条件下で放出または離脱させる手段をもたらすものである。例えば、被検物結合性分子は固相支持体に切断可能なリンカーによって結合され得る。
本明細書で用いる場合、表現「被検物結合性捕捉分子」は、被検物(例えば、抗原)を固相支持体に結合させる被検物結合性分子、例えば、抗体またはこの抗原反応性断片を意味し、該抗体が被検物を固相支持体に結合させるという結果を伴い、この場合、被検物は固相支持体に直接または介在部分を介して間接的のいずれかによって結合される。
本明細書で用いる場合、表現「被検物結合性検出分子」は、化学的または生物学的反応において検出可能なシグナルをもたらす部分、またはもたらすように作製されたものであり得る部分に結合した被検物結合性分子(例えば、抗体またはこの抗原反応性断片)を意味する。
用語「1ステップ」アッセイは、未結合試料被検物からの結合試料被検物の分離を含むまないアッセイをいう。
用語「2ステップ」アッセイは、未結合試料被検物からの結合試料被検物の分離を含むアッセイをいう。
「約」は、記載の値からのおよそ+/−10%の変動をいう。かかる変動は、この語が具体的に示されているかいないかにかかわらず、本明細書において示す任意の所与の値に常に包含されていることを理解されたい。
「被検物」は、本明細書においてさらに説明するように測定対象の化合物または組成物を意味し、これはリガンドであってもよく、これは、単エピトープ型または多エピトープ型、抗原性またはハプテン性、少なくとも1つの共通するエピトープ部位または受容体を共有する単一または複数の化合物である。実例の目的の被検物としては、限定されないが、例えば、一般的にはタンパク質、糖タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、ならびにより具体的には例えば、抗体、抗原、ハプテン、ホルモン、薬物、酵素または受容体が挙げられる。
「抗体(「antibody」および「antibodies」)」は、モノクローナル抗体、多重特異性抗体、二機能性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体(完全または一部ヒト化)、動物の抗体(例えば限定されないが、トリ(例えば、アヒルもしくはガチョウ)、サメ、クジラ、および哺乳動物、例えば、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、リャマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、マウスなど)または非ヒト霊長類(例えば、サル、チンパンジーなど)、組換え抗体、キメラ抗体、単鎖Fv(「scFv」)、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)断片、F(ab’)2断片、ジスルフィド結合Fv(「sdFv」)、ならびに抗イディオタイプ(「抗Id」)抗体、二重ドメイン抗体、二重可変ドメイン(DVD)または三重可変ドメイン(TVD)抗体(二重可変ドメイン免疫グロブリンおよびこの作製方法は、Wu,C.,et al.,Nature Biotechnology,25(11):1290−1297(2007)および国際公開第2001/058956号パンフレットに記載されており、各々の内容は参照により本明細書に組み込まれる。)、ならびに上記の任意のものの機能的に活性なエピトープ結合断片をいう。特に、抗体としては、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に反応性の断片、即ち被検物結合性部位を含む分子が挙げられる。免疫グロブリン分子は、任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであり得る。簡潔性のため、被検物に対する抗体は、多くの場合、本明細書において「抗被検物抗体」または単に「被検物抗体」のいずれかで記載している。用語「二機能性抗体」は、本明細書で用いる場合、ある抗原部位に対する特異性を有する第1のアームと、異なる抗原部位に対する特異性を有する第2のアームとを含む抗体をいう、即ち、二機能性抗体二重特異性を有するものである。
「抗体断片(「antibody fragment」および「antibody fragments」)」は、インタクトな抗体の抗原結合部位または可変領域を含む一部分をいう。この部分には、インタクトな抗体のFc領域の重鎖定常ドメイン(即ち、抗体のアイソタイプに応じてCH2、CH3またはCH4)は含まれない。抗体断片の例としては、限定されないが、Fab断片、Fab’断片、Fab’−SH断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、ダイアボディ、単鎖Fv(scFv)分子、軽鎖可変ドメインを1つだけ含む一本鎖ポリペプチド、軽鎖可変ドメインの3つのCDRを含む一本鎖ポリペプチド、重鎖可変領域を1つだけ含むを含む一本鎖ポリペプチド、および重鎖可変領域の3つのCDRを含む一本鎖ポリペプチドが挙げられる。
「結合定数」は本明細書において説明してとおりである。用語「会合速度定数」、「kon」または「k」は、本明細書において互換的に用いており、以下の式によって示されるような、特異的結合ペアの第1の構成員(SBP1;例えば、被検物結合性分子、抗体(Ab)もしくはこの被検物反応性断片)と特異的結合ペアの第2の構成員(SBP2;例えば、被検物(例えば、抗原(Ag))の結合速度を示す値、または特異的結合ペアの第1の構成員と特異的結合ペアの第2の構成員間の複合体形成の速度を示す値をいう:
SBP1+SBP2→SBP1−SBP2
Ab+Ag→Ab−Ag。
用語「解離速度定数」、「koff」または「k」は、本明細書において互換的に用いており、以下の式によって示されるような、SBP1(例えば、被検物結合性分子、Abもしくはこの被検物反応性断片)のSBP2(例えば、Ag)からの解離速度を示す値またはSBP1−SBP2複合体(例えば、Ab−Ag複合体)の経時的な遊離のSBP1(例えば、被検物結合性分子、Abもしくはこの被検物反応性断片)とSBP2(例えば、Ag)への分離を示す値をいう:
SBP1+SBP2←SBP1−SBP2
Ab+Ag←Ab−Ag。
会合速度定数および解離速度定数の測定方法は当該技術分野でよく知られている。蛍光系手法の使用により、高い感度および平衡状態の生理学的バッファー中での試料中での検査できる可能性がもたらされる。他の実験アプローチおよび機器、例えばBIAcore(R)(生体分子相互作用解析)アッセイを使用してもよい(例えば、BIAcore International AB、GE Healthcare社(Uppsala,Sweden)から入手可能な機器)。さらに、KinExA(R)(結合平衡除外法(Kinetic Exclusion Assay))アッセイ(Sapidyne Instruments(Boise,Idaho)から入手可能)を使用してもよい。
用語「平衡解離定数」または「KD」は、本明細書において互換的に用いており、解離速度(koff)を会合速度(kon)で除算することにより得られる値をいう。会合速度、解離速度および平衡解離定数は、抗原に対する被検物結合性分子(例えば、抗体またはこの被検物反応性断片)の結合親和性を表すために用いられる。これは以下の反応および式:
A+B→AB
Figure 2016512326
によって示され得る。
考えられる限りにおいて、これらの結合定数のいずれか1つ、即ちk、kまたはKが「結合親和性」、即ち結合の傾向または強度を評価または比較するために使用され得る。しかしながら、一般的に本明細書で記載している場合は、結合親和性はKをいう。
「CDR」は、本明細書において、被検物結合性分子または抗体の可変配列内の「相補性決定領域」を示すために用いている。抗体には重鎖および軽鎖の可変領域の各々に3つのCDRが存在し、これらは、各可変領域について「CDR1」、「CDR2」および「CDR3」と表示される。用語「CDRセット」は、本明細書で用いる場合、抗原に結合する1つの可変領域に存在する3つのCDR群をいう。これらのCDRの厳密な境界は、種々のシステムに応じて種々に確定されている。Kabat(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1987)および(1991))によって示されたシステムは、抗体の任意の可変領域に適用可能な明確な残基番号付けシステムを示すだけでなく、3つのCDRを画定する正確な残基の境界も示す。このようなCDRは「Kabat CDR」と称されることがあり得る。Chothiaおよび共同研究者ら(ChothiaおよびLesk,J.Mol.Biol.,196:901−917(1987);ならびにChothia et al.,Nature,342:877−883(1989))により、Kabat CDR内の特定の下位部分は、アミノ酸配列レベルで大きな多様性を有するにもかかわらず、ほぼ同一のペプチド主鎖コンホメーションが採用されていることが見出された。このような下位部分は「L1」、「L2」および「L3」または「H1」、「H2」および「H3」と表示され、ここで、「L」および「H」は、それぞれ軽鎖領域および重鎖領域を表す。このような領域は「Chothia CDR」と称されることがあり得、Kabat CDRと重複する境界を有する。Kabat CDRと重複するCDRを画定する他の境界は、Padlan,FASEB J.,9:133−139(1995)およびMacCallum,J.Mol.Biol.,262(5):732−745(1996)により記載されている。さらに他のCDR境界の定義は、本明細書におけるシステムの1つに厳密に従うものではない場合があり得るがKabat CDRと重複している(が、特定の残基または残基群またはさらには全CDRが被検物(例えば、抗原)結合に有意に影響しないという予測または実験所見に鑑みて短かったり長かったりし得る。)。本明細書で使用される方法において、このようなシステムのいずれかに従って画定されるCDRを使用してもよいが、一部の特定の実施形態ではKabatまたはChothiaによって確定されるCDRが使用される。
「成分/構成要素(「component」、「components」)」および「少なくとも1つの成分/構成要素」は、一般的に、捕捉抗体、検出抗体またはコンジュゲート抗体、較正標準、対照、感度測定パネル、容器、バッファー、希釈剤、塩、酵素、酵素の補因子、検出試薬、前処理試薬/溶液、基質(例えば、溶液として)、停止液などの、本明細書に記載の方法および当該技術分野で知られた他の方法による試験試料(患者の血清試料など)のアッセイのためのキットに含めることができるものをいう。一部の成分は、溶液状であってもよく、アッセイにおける使用のために再構成するために凍結乾燥させてもよい。
本明細書で用いる場合、用語「コンジュゲート」は、結合ペアの構成員と標識を含む存在体を意味する。
「対照」は、被検物を含んでいないこと(「陰性対照」)、または被検物を含んでいること(「陽性対照」)がわかっている組成物をいう。陽性対照は既知濃度の被検物を含むものであり得る。「対照」、「陽性対照」および「較正標準」は本明細書において互換的に用いている場合があり得、既知濃度の被検物を含む組成物をいう。「陽性対照」は、アッセイの性能特性を確立するために使用され得、試薬(例えば、被検物)の完全性の有用な指標である。
「補正係数」または「F」は、本明細書において互換的に用いており、抗原結合性検出分子の標識により生成されたシグナルを示す値を算術演算において相関させる数値をいう。特に、試験試料の非存在下で得られるシグナル強度を第1の標識(I1)と第2の標識(I2)について測定し、補正係数(F)を第1の標識の強度(I1)に対する第2の標識の強度(I2)の比として求める。
「エピトープ(「epitope」、「epitopes」)」または「目的のエピトープ」は、特異的結合パートナー(例えば、被検物結合性分子、例えば、抗体またはこの断片)によって認識され、この相補性部位(1つまたは複数)に結合し得る任意の被検物上の部位(1つまたは複数)をいう。被検物と抗原結合性分子は特異的結合ペアの一部である。例えば、エピトープはポリペプチド、タンパク質、ハプテン、糖鎖抗原(例えば限定されないが、糖脂質、糖タンパク質もしくはリポ多糖)または多糖上に存在し得る。この特異的結合パートナーは、限定されないが、被検物結合性分子(例えば、抗体またはこの被検物反応性断片)であり得る。
本明細書で用いる場合、用語「強度」は、単位面積または単位容積あたりの電気、光、熱または音の強度の量または度合いを意味する。さまざまな実施形態において、用語「強度」は、単位時間あたり単位面積あたりに計測された光子の数をいう。例えば、単位面積あたり1000個の光子は単一ピクセル内に500個と記録され得、一方、単位面積あたり80個の光子は単一ピクセル内に40個と記録される。具体的な変換は、使用されるカメラシステムに依存する。強度は計測された光子の数に比例する。
「標識」および「検出可能な標識」は、被検物結合性分子(例えば、抗体もしくはこの被検物反応性断片)または被検物に直接または間接的に結合されて被検物結合性分子(例えば、抗体またはこの被検物反応性断片)と被検物間の反応を検出可能にする部分を意味し、このように標識された被検物結合性分子(例えば、抗体もしくはこの被検物反応性断片)または被検物は「検出可能に標識された」と称される。標識は、例えば視認可能な手段または機器による手段によって検出可能なシグナルをもたらすものであり得る。この態様において、標識は任意のシグナル生成部分であり得る。本明細書で用いる場合、標識(またはシグナル生成部分)は外部手段によって、例えば電磁放射線の測定によって検出可能な測定可能なシグナルをもたらすものであり、使用されるシステムに応じてシグナルのレベルは、標識が固相支持体、例えば電極、微粒子またはビーズの環境内に存在する範囲内で異なり得る。種々の標識としては、シグナル生成物質、例えば、酵素(ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アルカリペルオキシダーゼ、グルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼなど)、発色団または色原体(例えば、紫外または可視領域の光を吸収する色素、りん光体、蛍光剤、フルオロフォア(例えば、蛍光タンパク質(緑色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質);フィコビリン(フィコエリトリン、R−フィコエリトリン、B−フィコエリトリン);キサンテン誘導体(フルオレセイン、ローダミン、オレゴングリーン、エオシン、テキサスレッド);シアニン誘導体(シアニン、Cy色素、インドカルボシアニン、オキサカルボシアニン、チアカルボシアニン、メロシアニン);ナフタレン誘導体(ダンシルおよびプロダン誘導体);クマリン誘導体;オキサジアゾール誘導体(ピリジルオキサゾール、ニトロベンゾオキサジアゾール、ベンゾオキサジアゾール);ピレン誘導体(カスケードブルー);オキサジン誘導体(ナイルレッド、ナイルブルー、クレシルバイオレット、オキサジン170);アクリジン誘導体(プロフラビン、アクリジンオレンジ、アクリジンイエロー);アリールメチン誘導体(オーラミン、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン);テトラピロール誘導体(ポルフィン、フタロシアニン、ビリルビン))、発光団、化学発光化合物、放射性化合物など)が挙げられる。標識の代表例は、光を生成する部分を含むもの(例えば、アクリジニウム化合物)、および蛍光を生成する部分を含むもの(例えば、フルオレセイン)である。他の標識は本明細書に記載している。これに関して、該部分は、これ自体は検出可能なものでなくてもよいが、また別の部分と反応すると検出可能となり得る。例えば、酵素が、シグナルを生成させるため、またはシグナルを増幅させるため、または前述の両方のために使用され得る。別の例として、該部分は、いわゆるクエンチャーまたはクエンチャーが作用する存在体であってもよい。用語「検出可能に標識たされた」という用語は、かかる標識のこれらおよび他の手段を包含していることを意図する。
「患者」および「被検体」は本明細書において互換的に用いている場合があり得、動物、例えば、トリ(例えば、アヒルまたはガチョウ)、サメ、クジラ、ならびに哺乳動物、例えば非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、リャマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、およびマウス)ならびに霊長類(例えば、サル、チンパンジー、およびヒト)をいう。好ましくは、患者または被検体はヒト、例えば、被検物欠損または被検物の存在もしくは過剰を有することが疑われるヒト、これらを有すると診断されたヒト、またはこれらの予防的もしくは治療的処置を受けているヒトである。
「患者の試料」、「試験試料」、および「試料」は本明細書において互換的に用いている。試料、例えば尿、血清、血漿、羊水、脳脊髄液、胎盤の細胞もしくは組織、内皮細胞、白血球または単球の試料が、患者から得て直接使用され得るか、または例えば、濾過、蒸留、抽出、濃縮、遠心分離、干渉成分の失活、試薬の添加などによって前処理され、試料の特性が、本明細書に論考しているようななんらかの様式もしくは当該技術分野で知られた他の様式で改良され得る。本開示との関連において、試料は好ましくは血清または血漿であり、最も好ましくは血清である。
「前処理試薬」、例えば、溶解、沈殿および/または可溶化試薬は、本明細書に記載の診断アッセイにおいて用いる場合、試験試料中に存在する細胞(あれば)を溶解させるもの、および/または被検物(あれば)を可溶化させるものである。前処理は、本明細書においてさらに説明するように、すべての試料に必要であるとは限らない。とりわけ、被検物の可溶化は、試料中に存在する内在結合性タンパク質(あれば)からの被検物の放出を伴う。前処理試薬は均一系(分離工程を必要としない。)であっても不均一系(分離工程を必要とする。)であってもよい。不均一系前処理試薬を使用する際は、アッセイの次の工程に進む前に、沈殿した被検物結合性タンパク質(あれば)を試験試料から除去する。前処理試薬は、場合により:細胞の溶解および/または被検物の可溶化に適切な(a)1種類以上の溶媒と塩、(b)1種類以上の溶媒、塩およびデタージェント、(c)デタージェント、(d)デタージェントと塩、または(e)任意の試薬もしくは試薬の組合せを含むものであり得る。
本明細書に記載のアッセイおよびキットとの関連における「品質管理試薬」としては、限定されないが、較正標準、対照および感度測定パネルが挙げられる。「較正標準」または「標準」が、被検物、例えば抗体または被検物の濃度の内挿のための較正(標準)曲線を作成するために典型的に使用される(例えば、1種類以上、例えば複数)。または、ほぼ所定の陽性/陰性カットオフである単独の較正標準を使用してもよい。多数の較正標準(即ち、1種類以上の較正標準または種々の量の較正標準(1つもしくは複数))を合わせて「感度測定パネル」が構成されるように使用してもよい。
「特異的結合パートナー」は特異的結合ペアの構成員である。特異的結合ペアは、化学的または物理的手段によって互いに特異的に結合する2つの異なる分子で構成される。従って、被検物/被検物結合性分子および一般的なアッセイの抗原/抗体特異的結合ペアに加え、他の特異的結合ペアとしては、ビオチンとアビジン(またはストレプトアビジン)、糖鎖とレクチン、相補的なヌクレオチド配列、エフェクター分子と受容体分子、補因子と酵素、酵素と酵素インヒビターなどが挙げられ得る。さらに、特異的結合ペアとしては、オリジナルの特異的結合構成員の類似体である構成員、例えば、被検物−類似体が挙げられ得る。免疫反応性の特異的結合構成員としては、抗原、抗原断片、および抗体、例えばモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体ならびに複合体およびこの断片(単離されたもの、または組換作製したもののいずれであれ)が挙げられる。
特異的結合ペア(例えば、抗原(またはこの断片)と抗体(またはこの抗原反応性断片))の構成員間の相互作用との関連における「特異的な」および「特異性」は相互作用の選択的反応性をいう。語句「〜に特異的に結合する」および同様の語句は、特異的結合ペアの第1の構成員(例えば、抗体またはこの抗原反応性断片)が特異的結合ペアの第2の構成員(例えば、抗原)に結合するが、他の抗原(またはこの断片)には特異的に結合しない能力をいう。本開示との関連において、被検物に特異的に結合する抗体は被検物に特異的であるとみなす。
「トレーサー」は標識と結合した被検物または被検物の断片をいい、この場合、標識と結合した被検物は被検物と、被検物に特異的な被検物結合性分子上の部位に対して有効に競合し得る。
上記の専門用語は具体的な実施形態を説明する目的で示したものである。これらの専門用語は限定を意図するものではない。
1.序論
本明細書において提供する内部較正キットおよびアッセイ法はサンドイッチアッセイ形式に特に適切である。較正標準セットを単独のトレーサー(即ち、標識またはレポーター分子と結合したトレーサー被検物)と置き換える。また、所定の濃度の同じトレーサーを、内部較正標準としての機能を果たす各被検試料にも添加する。トレーサー被検物の使用により、1つ以上のデータセットの測定および解析に適用することができる1つだけの内部較正標準の使用が可能になる。例えば、内部較正標準は1日に1回、操作または測定され、その後の読取り値の解析に使用され得る、1週間に1回、操作または測定され、その後の読取り値の解析に使用され得る、または1ヶ月に1回、操作または測定され、その後の読取り値の解析に使用され得る。較正標準を設定時間内に再度操作または測定する必要があるか否かは、アッセイの条件および状況に依存し、当業者なら自明であろう。しかしながら、本開示により提供するものは、較正曲線での作業の必要がないような一組の較正標準の単独の内部較正標準での置き換えである。従って、このアプローチの利点は少なくとも2倍である:第1に、アッセイの較正を得るのに必要とされるアッセイ操作の回数が少なくなる;第2に、内部較正標準はアッセイ条件の差異に適応して補正し得、これによりアッセイ精度が改善される。
較正標準セット全体を単独のトレーサー被検物と置き換えることにより較正手順が簡素化され、試薬の使用およびアッセイの実施時間が低減される。また、単独のトレーサー被検物は、内部較正標準としての機能も果たす。一般的に、単独のトレーサー被検物を試料と予備混合し、試験被検物との競合において被検物結合性捕捉分子および被検物結合性検出分子に同時に結合する3部構成の「サンドイッチ」複合体を形成する。結合トレーサー被検物のシグナル強度はアッセイ条件の差異(あれば)(例えば、マトリックス、温度、反応時間、微粒子の減少、試薬の安定性など)を反映する。結合トレーサー被検物と結合被検物結合性検出分子のシグナル強度の比により反応条件の差異が自動的に補正される。
本明細書に記載のアッセイおよび方法により、多数の外部較正標準を使用する必要性または較正曲線を作成する必要性が排除される。内部較正標準によってアッセイ条件の差異が考慮され、これにより機器の精度および試薬の安定性に対する要件が軽減される。内部較正標準の使用によりさらに、較正曲線の安定性に関する問題が低減または排除される。
一般的に、標識されたトレーサー被検物を内部較正標準として使用するためには、飽和濃度の被検物結合性検出分子の存在下での所定の濃度のトレーサー被検物のシグナル強度が測定され、次いで、標識されたトレーサー被検物のシグナル強度の測定値が、試験被検物を含んでいることが疑われる試験試料の存在下で得られた強度値に対して評価される。このようにして、逐次評価される数多くの試験試料の被検物濃度の測定に使用され得る単一の点の較正値が得られる。
単一の点の較正値を得るための具体的な一実施形態において、該方法は:
a)被検物結合性捕捉分子を、第1の標識で標識された所定の濃度のトレーサー被検物および第2の標識で標識された所定の濃度の被検物結合性検出分子と接触させること、ここで、被検物結合性捕捉分子と被検物結合性検出分子はトレーサー被検物に同時に結合する;
b)第1の標識の得られたシグナル強度(I1)および第2の標識(I2)の得られたシグナル強度を測定すること;ならびに
c)第1の標識の強度(I1)に対する第2の標識の強度(I2)の比として補正係数(F)
Figure 2016512326
を求めること
を含む。
また、本明細書において、1種類以上の試験試料中の被検物の濃度を求める方法を提供する。一実施形態では、該方法は:
a)被検物結合性捕捉分子を、第1の標識で標識された所定の濃度のトレーサー被検物および第2の標識で標識された所定の濃度の被検物結合性検出分子と、試験被検物を含んでいるかもしれない1種類以上の試験試料の非存在下または存在下のいずれかで接触させること、ここで、被検物結合性捕捉分子と被検物結合性検出分子はトレーサー被検物に、および存在する場合は前記1種類以上の試験試料中の試験被検物に同時に結合する;
b)前記1種類以上の試験試料の非存在下での第1の標識の得られたシグナル強度(I1)および第2の標識の得られたシグナル強度(I2)を測定すること;
c)第1の標識の強度(I1)に対する第2の標識の強度(I2)の比として補正係数(F)を求めること;
d)前記1種類以上の試験試料の存在下での第1の標識の得られたシグナル強度(I1)および第2の標識の得られたシグナル強度(I2)を測定すること;ならびに
e)第1の標識の強度(I1)に対する第2の標識の強度(I2)の比を補正係数(F)で除算し、トレーサー被検物の所定の濃度を減算すること;
Figure 2016512326
により前記1種類以上の試験試料中の試験被検物の濃度を求めること
を含む。
前述の方法を使用すると、数多くの試験試料(例えば、約2から約200,000、約2から約20,000、約2から約2,000、約2から約200、または約2から約20)を単一の較正値を用いて、較正曲線を作成する必要なく評価することができる。
2.トレーサー被検物
さまざまな実施形態において、内部較正に使用されるトレーサー被検物は、サンドイッチアッセイにおいて被検物結合性捕捉分子および被検物結合性検出分子と複合体を形成し得る目的の被検物またはこの断片もしくは模倣物である。適宜、タンパク質被検物は天然供給源から精製したものであってもよく、本明細書に記載のような当該技術分野で知られた組換え手段もしくは合成手段によって作製されたものであってもよい。非タンパク質被検物は、当業者に知られた化学的手段および合成手段(生合成手段を含む。)によって作製されたものであり得る。トレーサー被検物は標識と直接または間接的に結合され得る。
標識は、本明細書に記載のような任意の検出可能な標識であり得る。実例としての標識としては、例えば、フルオロフォア、放射性部分、酵素、ビオチン/アビジン標識、発色団、化学発光性標識などが挙げられる。当該技術分野で知られているような任意の適切な検出可能な標識が使用され得る。例えば、検出可能な標識は、放射性標識(H、125I、35S、14C、32Pおよび33Pなど)、酵素標識(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アルカリペルオキシダーゼ、グルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼなど)、化学発光性標識(例えば、アクリジニウムエステル、チオエステルもしくはスルホンアミド;ルミノール、イソルミノール、フェナントリジニウムエステルなど)、1種類以上の発色団、例えば、紫外もしくは可視領域の光を放射する1種類以上の色素、りん光体、蛍光剤、フルオロフォア(例えば、蛍光タンパク質(緑色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質);フィコビリン(フィコエリトリン、R−フィコエリトリン、B−フィコエリトリン);キサンテン誘導体(フルオレセイン、ローダミン、オレゴングリーン、エオシン、テキサスレッド);シアニン誘導体(シアニン、Cy色素、インドカルボシアニン、オキサカルボシアニン、チアカルボシアニン、メロシアニン);ナフタレン誘導体(ダンシルおよびプロダン誘導体);クマリン誘導体;オキサジアゾール誘導体(ピリジルオキサゾール、ニトロベンゾオキサジアゾール、ベンゾオキサジアゾール);ピレン誘導体(カスケードブルー);オキサジン誘導体(ナイルレッド、ナイルブルー、クレシルバイオレット、オキサジン170);アクリジン誘導体(プロフラビン、アクリジンオレンジ、アクリジンイエロー);アリールメチン誘導体(オーラミン、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン);テトラピロール誘導体(ポルフィン、フタロシアニン、ビリルビン))、発光団、化学発光体、蛍光標識(例えば、フルオレセイン(例えば、5−フルオレセイン、6−カルボキシフルオレセイン、3’6−カルボキシフルオレセイン、5(6)−カルボキシフルオレセイン、6−ヘキサクロロ−フルオレセイン、6−テトラクロロフルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネートなど))、ローダミン、量子ドット(例えば、硫化亜鉛キャッピングセレン化カドミウム)、サーモメトリック標識またはイムノ−ポリメラーゼ連鎖反応標識であり得る。さまざまな実施形態において、トレーサー被検物はフィコビリン(例えば、フィコエリトリン、R−フィコエリトリン、B−フィコエリトリン)で標識される。一部の実施形態では、トレーサー被検物はアクリジニウム化合物、例えば、アクリジニウム−9−カルボキサミド、少なくとも1種類のアクリジニウム−9−カルボン酸アリールエステルまたはこの任意の組合せで標識される。
3.被検物
本明細書において提供するキットおよび方法は目的の任意の被検物を検出するのに有用である。実例としての目的の被検物としては、限定されないが、例えば、一般的にはタンパク質、ペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、ならびにより具体的には、例えば、抗体、抗原、ハプテン、ホルモン、薬物、酵素または受容体が挙げられる。適宜、市販の被検物結合性分子(例えば、抗体またはこの抗原反応性断片)を本発明において記載のキットおよびアッセイに使用してもよく、被検物結合性分子(例えば、抗体またはこの抗原反応性断片)を当該技術分野で知られた方法を用いて作製してもよい。一般的に、本明細書に記載のキットおよび方法を用いて検出された被検物はサンドイッチアッセイによって検出され得る。
本発明のキットおよびアッセイ法を用いて検出される実例としての目的の被検物としては、限定されないが、例えば、サイトカイン、免疫抑制薬、心血管疾患抗原、癌抗原、感染性疾患抗原、薬理学的薬剤、ホルモン、血漿、血清および/または血液抗原、バイオマーカー(例えば、腎臓障害の)、ビタミンならびに自己免疫抗原が挙げられる。かかる被検物としては、限定されないが、例えば:サイトカイン、免疫抑制薬(例えば、シロリムス、タクロリムス、エベロリムス、テムシロリムス(temsorolimus)、ゾタロリムス、シクロスポリン、またはこれらの化合物いずれかの類似体);心血管疾患抗原(例えば、トロポニンI、心筋トロポニンI(cTnI)、血清クレアチンキナーゼMBアイソザイム(CKMB)、塩基性またはB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、ガレクチン−3、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、ミオグロビン、D−ダイマーフィブリン分解生成物(またはFDP)、高感度C−反応性タンパク質);癌抗原(例えば、前立腺特異抗原(PSA)、α−フェトタンパク質(AFP)、CA 125、CA 15−3、CA 19−9、癌胎児性抗原(CEA)、サイトケラチン19、サイトケラチン断片21−1(CYFRA.21−1)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、プロガストリン放出ペプチド(ProGRP)、有棘細胞癌抗原(SCC−Ag));感染性疾患抗原(例えば、サイトメガロウイルス(CMV)IgG、CMV IgM、ルベラIgG、ルベラIgM、トキソプラズマIgG、トキソプラズマIgM、A型肝炎ウイルス(HAV)IgG、HAV IgM、B型肝炎コアタンパク質(HBc)、HBc IgM、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、B型肝炎e抗原(HBeAg)、C型肝炎ウイルス(HCV、ヒト免疫不全ウイルス(HIV))、シャーガス、エプスタインバールウイルス(EBV)、梅毒、ヒトT−リンパ好性ウイルス(HTLV)、抗ストレプトリジンO(ASO));薬理学的薬剤(例えば、アセトアミノフェン、アンフェタミン/メタンフェタミン、バルビツレート、ベンゾジアゼピン、カンナビノイド、コカイン、麻薬、エタノール、メタドン、アヘン剤、フェンシクリジン(PCP)、プロポキシフェン、サリチラート、三環系抗鬱薬、アミカシン、カルバマゼピン、ジギトキシン、ジゴキシン、ゲンタマイシン、リチウム、フェノバルビタール、フェニトイン、キニジン、テオフィリン、トブラマイシン、バルプロ酸、バンコマイシン);ホルモン(例えば、デヒドロエピアンドロステロンサルフェート(DHEA−S)、エストラジオール、卵胞刺激ホルモン(FSH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、黄体形成ホルモン(LH)、プロゲステロン、プロラクチン、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)、テストステロン、コルチゾール、インスリン、ペプシノゲンI、ペプシノゲンII、C−ペプチド、副甲状腺ホルモン(PTH)、甲状腺ホルモンT3、甲状腺ホルモンT4、甲状腺刺激ホルモン)、酵素(例えば、酸性ホスファターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、アミラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、クレアチンキナーゼ、γ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、αヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ(αHBDH)、リパーゼ;コリンエステラーゼ、セルロプラスミン);血漿、血清および/または血液抗原(例えば、アルブミン、微量アルブミン、プレアルブミン、クレアチニン、シスタチンC、ビリルビン、リポタンパク質(a)[Lp(a)]、低密度リポタンパク質(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、補体C3、補体C4、ハプトグロビン、免疫グロブリンA(IgA)、免疫グロブリンE(IgE)、免疫グロブリンG(IgG)、免疫グロブリンM(IgM)、κ軽鎖、λ軽鎖、β2ミクログロブリン、ヘモグロビン、ホモシステイン、C−反応性タンパク質(CRP));バイオマーカー(例えば、腎臓障害のもの、例えば、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL));ビタミン(例えば、ビタミンB12、葉酸、ビタミンD);抗環状シトルリン化ペプチド(抗CCP)抗体、α−1アンチトリプシン(AAT)、α−1糖タンパク質、自己免疫抗原(例えば、リウマチ因子(RF)、抗サイログロブリン(抗Tg)、ならびに抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗TPO抗体))が挙げられる。
4.被検物結合性分子
一般的に、本明細書に記載のキットおよびアッセイでは2種類の被検物結合性分子が使用され、ここで、被検物結合性分子が被検物および/またはトレーサー被検物と複合体をする。被検物および/またはトレーサー被検物との複合体を形成する2つの被検物結合性分子は、被検物に、同じかまたは異なる親和性、例えば約3倍から約5倍、約5倍から約100倍、約5倍から約10倍、約10倍から約25倍、約25倍から約50倍、約50倍から約100倍の親和性で結合し得る。被検物に対する結合の親和性は約3倍、約5倍、約10倍、約25倍、約50倍、約100倍、またはこれ以上の倍数異なる。さまざまな実施形態において、被検物結合性分子のうち一方または両方の標識と直接または間接的に結合させる。さまざまな実施形態において、被検物結合性分子のうち一方または両方が抗体またはこの抗原反応性(即ち、被検物に結合する)断片である。
一部の実施形態では、被検物結合性捕捉分子および被検物結合性検出分子のうち一方または両方が、抗体でない被検物結合性分子である。抗体と同様の様式で標的を標的化して結合する他の化合物が開発されている。このような「抗体模倣物」の一部のものでは、非免疫グロブリンタンパク質骨格が抗体の可変領域の代替タンパク質フレームワークとして使用される。
例えば、Ladner et al.(米国特許第5,260,203号明細書)には、凝集しているが分子としては分離している抗体の軽鎖と重鎖の可変領域のものと同様の結合特異性を有する単一ポリペプチド鎖結合性分子が記載されている。この一本鎖結合性分子は、抗体の重鎖と軽鎖の両方の可変領域の抗原結合部位がペプチドリンカーによって連結された抗原結合部位を含むものであり、二ペプチド抗体と同様の構造にフォールディングされる。この一本鎖結合性分子は、慣用的な抗体と比べて例えばサイズが小さい、安定性が大きい、修飾が容易である、などの幾つかの利点を示す。
Ku et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.92(14):6552−6556(1995))には、シトクロムb562ベースの抗体の代替品が開示されている。Ku et al.(1995)は、シトクロムb562のループのうち2つを無作為抽出し、ウシ血清アルブミンに対する結合に選択したライブラリーを作製した。個々の変異型は、抗BSA抗体と同様にBSAと選択的に結合することがわかった。
Lipovsek et al.(米国特許第6,818,418号明細書および同第7,115,396号明細書)には、フィブロネクチンまたはフィブロネクチン様タンパク質骨格と少なくとも1種類の可変ループを特長とする抗体模倣物が開示されている。アドネクチンとして知られるこのようなフィブロネクチン系抗体模倣物は、天然または改変抗体と多くの同じ特徴(例えば、任意の標的化被検物に対する高い親和性および特異性)を示す。新たな、または改善された結合性タンパク質を進化させるための任意の手法がこのような抗体模倣物に使用され得る。
このようなフィブロネクチン系抗体模倣物の構造は、IgG重鎖の可変領域の構造と類似している。従って、このような模倣物は、性質および親和性が天然抗体のものと類似した抗原結合特性を示す。さらに、このようなフィブロネクチン系抗体模倣物は、抗体および抗体断片と比べて特定の有益性を示す。例えば、このような抗体模倣物は、天然のフォールディング安定性のためにジスルフィド結合に依存せず、従って、通常は抗体が分解するであろう条件下で安定である。また、このようなフィブロネクチン系抗体模倣物の構造はIgG重鎖のものと類似しているため、インビボでの抗体の親和性成熟過程と同様のループの無作為抽出およびシャッフリングの方法がインビトロで使用され得る。
Beste et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.96(5):1898−1903(1999))には、リポカリン骨格ベースの抗体模倣物が開示されている(Anticalin(R))。リポカリンは、タンパク質の末端に4つの超可変ループを有するβ−バレルで構成されている。Beste(1999)は、これらのループをランダム変異誘発に供し、例えばフルオレセインとの結合に選択した。3つのバリアントがフルオレセインとの特異的結合を示し、1つのバリアントは抗フルオレセイン抗体のものと同様の結合を示した。さらなる解析により、無作為抽出したすべての位置が可変であることが明らかになり、Anticalin(R)を抗体の代替品として使用することは適切であろうことを示す。Anticalin(R)は小型の一本鎖ペプチド(典型的には160から180残基)であり、抗体と比べて生産コストが低い、保存安定性が高い、および免疫反応が少ない、などの幾つかの利点を示す。
Hamilton et al.(米国特許第5,770,380号明細書)には、結合部位として使用される多数の可変ペプチドループが結合しているカリックスアレーンの剛直な非ペプチド有機骨格を有する合成の抗体模倣物が開示されている。ペプチドループはすべて、カリックスアレーンから幾何学的に互いに同じ側に突出している。この幾何学的コンホメーション(confirmation)のため、すべてのループが結合に利用可能であり、被検物に対する結合親和性が大きくなる。しかしながら、他の抗体模倣物と比較すると、カリックスアレーン系抗体模倣物は排他的にペプチドからなるものではなく、従って、プロテアーゼ酵素による攻撃を受けにくい。骨格は純粋にペプチドからなるものでもDNAからなるものでもRNAからなるものでもなく、この抗体模倣物が極端な環境条件で比較的安定であり、長い寿命を有することを意味する。さらに、このカリックスアレーン系抗体模倣物は比較的小型であるため、免疫原性応答が生じにくい。
Murali et al.(Cell.Mol.Biol.49(2):209−216(2003))には、抗体をより小さなペプチド模倣物に縮小する方法論が論考されており、これは、「抗体様結合性ペプチド模倣物(peptidomemetic)」(ABiP)と称され、同様に抗体の代替品として有用であり得る。
Silverman et al.(Nat.Biotechnol.,23:1556−1561(2005))には、「アビマー」と称する多数のドメインを含む一本鎖ポリペプチドである融合タンパク質が開示されている。ヒト細胞外受容体ドメインからインビトロエキソンシャッフリングおよびファージディスプレイによって開発されたアビマーは、種々の標的分子に対するこの親和性および特異性がいくぶん抗体と類似している結合性タンパク質の一類型である。得られたマルチドメインタンパク質は多数の独立した結合ドメインを含むものであり得、該結合ドメインは単一エピトープ結合性タンパク質と比べて改善された親和性(一部の場合ではサブナノモル濃度)および特異性を示し得る。アビマーの構築方法および使用方法に関するさらなる詳細は、例えば、米国特許出願公開第2004−0175756号明細書、同第2005−0048512号明細書、同第2005−0053973号明細書、同第2005−0089932号明細書および同第2005−0221384号明細書に開示されている。
たいてい、市販の抗体または被検物結合性分子は本発明のアッセイに使用することができる。さまざまな実施形態において、被検物結合性捕捉分子および被検物結合性検出分子のうちの一方または両方は、例えば、既知の組換え手法および/またはモノクローナル抗体作製手法を用いて作製される。
モノクローナル抗体は、当該技術分野で知られた方法に従って作製および修飾(例えば、同類置換)され得る。修飾された抗体またはこの抗原反応性断片が被検物を検出する能力は、抗原結合特異性を評価するための当該技術分野で知られた任意の標準的な方法、例えば本明細書に記載および例示した方法などを用いて測定され得る。かかる方法としては、限定されないが、ELISA、ウエスタンブロット、表面プラズモン共鳴(例えば、BIAcore(R))、KinExA(R)(結合平衡除外法(Kinetic Exclusion Assay))アッセイ、およびラジオイムノアッセイが挙げられる。好ましくは、修飾された抗体または抗原反応性断片は、対応する非修飾抗体と少なくとも同等に良好な、好ましくは(さらに望ましくは)より良好な被検物結合特性を示すものである。
a.合成による作製
配列決定されたら、被検物に特異的に結合するポリペプチド、例えばモノクローナル抗体(またはこの断片)が当該技術分野で知られた方法、例えば排他的固相合成、部分固相合成、断片縮合および古典的な液相合成を用いて合成され得る。例えば、Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85:2149(1963)を参照のこと。固相では、合成は、典型的にはペプチドのC末端からα−アミノ保護樹脂を用いて開始する。適切な出発物質は、例えば、必要とされるα−アミノ酸をクロロメチル化樹脂、ヒドロキシメチル樹脂またはベンズヒドリルアミン樹脂に結合させることにより調製され得る。かかるクロロメチル化樹脂の一例は、商標名BIO−BEADS SX−1 by Bio Rad Laboratories(Richmond,CA)で販売されており、ヒドロキシメチル樹脂の調製はBodonszky et al.,Chem.Ind.(London)38:1597(1966)に記載されている。ベンズヒドリルアミン(BHA)樹脂はPietta and Marshall,Chem.Comm.650(1970)に報告されており、Beckman Instruments,Inc.(Palo Alto,CA)から塩酸塩の形態で市販されている。自動ペプチド合成装置が市販されており、ペプチドを特注で作製する市販のサービスもある。
従って、ポリペプチドは、α−アミノ保護アミノ酸とクロロメチル化樹脂とのカップリングにより、例えば重炭酸セシウム触媒の補助を伴って、Gisin,Helv.Chim.Acta.56:1467(1973)に記載の方法に従って調製され得る。最初のカップリング後、α−アミノ保護基は、選択した試薬、例えばトリフルオロ酢酸(TFA)または塩酸(HCl)の有機溶媒中の溶液により室温にて除去する。
適切なα−アミノ保護基としては、ペプチドの段階的合成の技術分野で有用であることが知られているものが挙げられる。α−アミノ保護基の例は:アシル型保護基(例えば、ホルミル、トリフルオロアセチルおよびアセチル)、芳香族ウレタン型保護基(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および置換型Cbz)、脂肪族ウレタン保護基(例えば、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、イソプロピルオキシカルボニルおよびシクロヘキシルオキシカルボニル)、ならびにアルキル型保護基(例えば、ベンジルおよびトリフェニルメチル)である。BocおよびFmocは有用な保護基である。側鎖保護基はカップリング中はインタクトなままであり、アミノ末端保護基の脱保護中またはカップリング中は切れない。側鎖保護基は、最終ペプチドの合成が終了したら目的のペプチドを改変させない反応条件下で除去可能なものでなければならない。
α−アミノ保護基の除去後、残りの保護アミノ酸を所望の順序で段階的にカップリングさせる。一般的に、各保護アミノ酸は過剰で、適切なカルボキシル基活性化剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の例えば塩化メチレン/ジメチルホルムアミド(DMF)混合物の溶液とともに使用される。
所望のアミノ酸配列が完成したら、所望のペプチドを樹脂支持体から、ペプチドを樹脂から切り離すだけでなく、残存しているすべての側鎖保護基も切り離す試薬、例えばTFAまたはフッ化水素(HF)での処理によってデカップリングさせる。クロロメチル化樹脂を使用すると、HF処理により遊離ペプチド酸の形成がもたらされる。ベンズヒドリルアミン樹脂を使用すると、HF処理により直接、遊離ペプチドアミドがもたらされる。または、クロロメチル化樹脂を使用する場合、側鎖保護ペプチドを、ペプチド樹脂をアンモニアで処理することによってデカップリングすると所望の側鎖保護アミドが得られ得、またはアルキルアミンで処理することによってデカップリングすると側鎖保護されたアルキルアミドもしくはジアルキルアミドが得られ得る。次いで、側鎖保護部を通常の様式で、フッ化水素で処理することによって除去すると遊離のアミド、アルキルアミドまたはジアルキルアミドが得られる。
これらおよび他の固相ペプチド合成手順は当該技術分野でよく知られている。かかる手順はまた、Stewart and Young in Solid support Peptide Syntheses(第2版,Pierce Chemical Company,1984)にも記載されている。
b.組換えによる作製
被検物(またはこの断片)に特異的に結合するポリペプチド、例えばモノクローナル抗体(またはこの断片)は、当該技術分野で知られた方法を用いて組換え生産することができる。例えば、抗体(またはこの断片)をコードしているヌクレオチド配列を含む単離核酸を宿主細胞内で発現させ得、抗体が単離され得る。単離核酸は、被検物に対する抗体のアミノ酸配列をコードしているヌクレオチド配列を含むものである。単離核酸は、例えばオリゴヌクレオチド合成装置で合成され得る。当業者には、遺伝コードの縮重のため、1種類より多くのヌクレオチド配列に所与のアミノ酸配列がコードされ得ることが容易に認識されよう。これに関して、被検物に対する抗体のものと実質的に同一であるアミノ酸配列をコードしているヌクレオチド配列が使用され得るが、発現させたバリアント抗体は被検物に対する該抗体と競合するものであるものとする。所与の宿主細胞に好まれるコドンが好ましくは組換え生産に選択される。被検物に対する抗体のアミノ酸配列をコードしているヌクレオチド配列を他のヌクレオチド配列と、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ライゲーションまたはライゲーション連鎖反応(LCR)を用いて結合し、抗被検物抗体またはこの抗原反応性断片をコードするようにしてもよい。個々のオリゴヌクレオチドは、典型的には相補的会合のための5’または3’突出端を含むものである。会合したら、抗被検物抗体またはこの抗原反応性断片をコードしているヌクレオチド配列は、ベクター内に挿入され、所与の宿主細胞内での発現に必要な制御配列に作動可能に連結され、(形質転換またはトランスフェクションなどによって)宿主細胞内に導入され得る。ヌクレオチド配列を、宿主細胞内でさらに操作(例えば、さらなる免疫グロブリンドメイン、例えば、さらなる定常領域をコードしている1種類以上のヌクレオチド配列に連結)し、および/または発現させてもよい。
すべてのベクターおよび発現制御配列が等しく良好に機能して目的のポリヌクレオチド配列を発現させ得る得るわけではなく、すべての宿主が同じ発現系で等しく良好に機能するわけではないが、当業者は、本開示における使用のためのこのようなベクター、発現制御配列、最適化コドンおよび宿主の中からなんら必要以上に実験を行うことなく選択を行うことができるであろうと考えられる。例えば、ベクターの選択の際には宿主が検討されなければならず、これは、該ベクターがこの内部で複製できるものでなければならない、または染色体に組み込まれ得るものでなければならないためである。また、ベクターのコピー数、該コピー数の制御能および該ベクターにコードされた他のタンパク質(あれば)(抗生物質マーカーなど)の発現も検討すべきである。また、発現制御配列の選択の際もさまざまな要素が検討され得る。このような要素としては、限定されないが、配列の相対強度、制御可能性および抗被検物抗体をコードしているヌクレオチド配列との適合性(特に、潜在的二次構造に関して)が挙げられる。宿主は、選択したベクターとの適合性、コドン使用頻度、分泌特性、ポリペプチドを正確にフォールディングする能力、発酵または培養要件、タンパク質をグリコシル化する能力(またはこの欠如)およびヌクレオチド配列にコードされた生成物の精製のし易さなどを検討して選択すべきである。
組換えベクターは自律複製ベクター、即ち、染色体外存在体として存在し、この複製が染色体の複製と独立しているベクター(プラスミドなど)であってもよい。または、ベクターは、宿主細胞内に導入されると宿主細胞のゲノムに組み込まれ、組み込まれた染色体(1つまたは複数)と一緒に複製されるものであってもよい。
ベクターは、好ましくは、抗被検物抗体をコードしているポリヌクレオチド配列が該ポリヌクレオチド配列の転写に必要とされるさらなるセグメントに作動可能に連結された発現ベクターである。ベクターは、典型的にはプラスミドまたはウイルスDNAに由来するものである。本明細書に記載の宿主細胞での発現のための幾つかの適切な発現ベクターが市販されており、または文献に記載されている。真核生物宿主に有用な発現ベクターとしては、限定されないが、SV40、ウシパピローマウイルス、アデノウイルスおよびサイトメガロウイルス由来の発現制御配列を含むベクターが挙げられる。具体的なベクターとしては、pCDNA3.1(+)\Hyg(Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA)およびpCI−neo(Stratagene,La Jolla,CA)が挙げられる。酵母細胞における使用のための発現ベクターの例としては、限定されないが、2μプラスミドおよびこの誘導体、POT1ベクター(例えば、米国特許第4,931,373号明細書参照)、pJSO37ベクター(Okkels,Ann.New York Acad.Sci.782:202−207(1996)に記載)およびpPICZ A、BまたはC(Invitrogen)が挙げられる。昆虫細胞における使用のための発現ベクターの例としては、限定されないが、pVL941、pBG311(Cate et al.,Cell 45:685−698(1986))、ならびにpBluebac 4.5およびpMelbac(どちらもInvitrogenから入手可能である。)が挙げられる。
使用され得る他のベクターは、抗被検物抗体をコードしているヌクレオチド配列がコピー数で増幅されることを可能にするものである。かかる増幅可能なベクターは当該技術分野でよく知られている。このようなベクターとしては、限定されないが、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)増幅(例えば、Kaufinan,米国特許第4,470,461号明細書;およびKaufinan et al.,Mol.Cell.Biol.2:1304−1319(1982)参照)ならびにグルタミンシンテターゼ(GS)増幅(例えば、米国特許第5,122,464号明細書および欧州特許出願公開第0338841号明細書参照)によって増幅され得るベクターが挙げられる。
組換えベクターにさらに、該ベクターが対象の宿主細胞内で複製されることを可能にするヌクレオチド配列を含んでもよい。哺乳動物宿主細胞における使用のためのかかる配列の一例はSV40複製起点である。ベクターが酵母細胞内で複製されることを可能にする適切な配列は酵母プラスミド2μ複製遺伝子REP1から3および複製起点である。
また、ベクターに選択可能マーカー、即ち、産物が宿主細胞の欠陥を補う遺伝子もしくはポリヌクレオチド、例えば、DHFRをコードしている遺伝子もしくはスキゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)TPI遺伝子(例えば、Russell,Gene 40:125−130(1985)参照)、または薬物、例えばアンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、ハイグロマイシンもしくはメトトレキサートに対する耐性を付与する遺伝子もしくはポリヌクレオチドを含めてもよい。糸状菌では、選択可能なマーカーとしては、限定されないがamdS、pyrG、arcB、niaDおよびsCが挙げられる。
また、ベクター内に、抗被検物抗体の発現に必要または好都合な任意の成分である「制御配列」を存在させてもよい。各制御配列は天然であってもよく、抗被検物抗体をコードしているヌクレオチド配列とって外来であってもよい。かかる制御配列としては、限定されないが、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、エンハンサーまたは上流活性化配列、シグナルペプチド配列、および転写ターミネーターが挙げられる。少なくとも、制御配列は、抗被検物抗体をコードしているポリヌクレオチド配列に作動可能に連結された少なくとも1種類のプロモーターを含むものである。
「作動可能に連結されている」とは、2つ以上のヌクレオチド配列が互いの配列の通常の機能が行われ得るような構成体に、酵素的ライゲーションまたは他の様式によって共有結合されていることを意味する。例えば、プレ配列または分泌リーダー配列をコードしているヌクレオチド配列はポリペプチドのヌクレオチド配列に、該ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、作動可能に連結されており;プロモーターまたはエンハンサーはコード配列に、該配列の転写に影響を及ぼす場合、作動可能に連結されており;リボソーム結合部位はコード配列に、翻訳が促進されるように配置されている場合、作動可能に連結されている。一般的に、「作動可能に連結されている」とは、連結されているヌクレオチド配列同士が連続していること、分泌リーダー配列の場合は、連続しており、同じリーディングフレーム内に存在することを意味する。連結は簡便な制限部位でのライゲーションによって行われる。かかる部位が存在しないならば、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが標準的な組換えDNA法とともに使用され得る。
多種多様な発現制御配列が本開示との関連において使用され得る。かかる有用な発現制御配列としては、前述の発現ベクターの構造遺伝子と関連している発現制御配列ならびに原核生物細胞もしくは真核生物細胞またはこのウイルスの遺伝子の発現を制御することが知られている任意の配列、ならびにこの種々の組合せが挙げられる。哺乳動物細胞における転写を指令するための適切な制御配列の例としては、SV40の初期および後期プロモーターならびにアデノウイルス、例えば、アデノウイルス2主要後期プロモーター、MT−1(メタロチオネイン遺伝子)プロモーター、ヒトサイトメガロウイルス前初期遺伝子プロモーター(CMV)、ヒト伸長因子1α(EF−1α)プロモーター、ショウジョウバエの最小限のヒートショックタンパク質70プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、ヒトユビキチンC(UbC)プロモーター、ヒト成長ホルモンターミネーター、SV40またはアデノウイルスE1b領域ポリアデニル化シグナルならびにコザックコンセンサス配列(Kozak,J.Mol.Biol.196:947−50(1987))が挙げられる。
哺乳動物細胞における発現を改善するため、合成イントロンを、抗体またはこの断片をコードしているポリヌクレオチド配列の5’非翻訳領域に挿入してもよい。合成イントロンの一例はプラスミドpCI−Neo(Promega Corporation(Madison,WI)から入手可能)由来の合成イントロンである。
昆虫細胞における転写を指令するための適切な制御配列の例としては、限定されないが、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーター、バキュロウイルス前初期遺伝子1プロモーター、バキュロウイルス39Kのこの後の初期遺伝子プロモーター、およびSV40ポリアデニル化配列が挙げられる。
酵母宿主細胞における使用のための適切な制御配列の例としては、酵母α−交配系のプロモーター、酵母トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)プロモーター、酵母解糖遺伝子またはアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子由来のプロモーター、ADH2−4cプロモーターおよびGAL誘導性プロモーターが挙げられる。
糸状菌宿主細胞における使用のための適切な制御配列の例としては、ADH3プロモーターおよびターミネーター、アスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼトリオースリン酸イソメラーゼまたはアルカリプロテアーゼ、A.ニガー(niger)α−アミラーゼ、A.ニガー(niger)またはA.ニデュランス(nidulas)グルコアミラーゼ、A.ニデュランス(nidulans)アセトアミダーゼ、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼまたはリパーゼをコードしている遺伝子由来のプロモーター、TPI1ターミネーター、およびADH3ターミネーターが挙げられる。
目的の抗体をコードしているポリヌクレオチド配列は、シグナルペプチドをコードしているポリヌクレオチド配列もまた含むものであってもよく、含まないものであってもよい。シグナルペプチドは、抗被検物抗体がこれを発現させる細胞から分泌される場合に存在させる。かかるシグナルペプチドは、存在させる場合、該ポリペプチドの発現のために選択した細胞によって認識されるものであるべきである。シグナルペプチドは、抗被検物モノクローナル抗体に同種または異種のものであってもよく、宿主細胞に同種または異種のものであってもよい、即ち、シグナルペプチドは宿主細胞で通常発現されるもの、または宿主細胞で通常発現されないものである。従って、シグナルペプチドは、例えば細菌に由来する原核生物系であってもよく、例えば哺乳動物、昆虫、糸状菌または酵母の細胞に由来する真核生物系であってもよい。
シグナルペプチドの有無は、例えば、抗被検物抗体の作製に使用される発現宿主細胞に依存する。糸状菌における使用のためには、シグナルペプチドは、簡便には、アスペルギルス属の種のアミラーゼもしくはグルコアミラーゼをコードしている遺伝子、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼもしくはプロテアーゼまたはフミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)リパーゼをコードしている遺伝子に由来するものであり得る。昆虫細胞における使用のためには、シグナルペプチドは昆虫の遺伝子に由来するもの(例えば、国際公開第90/05783号パンフレット参照)、例えば、鱗翅類タバコスズメガ(Manduca sexta)脂質動員ホルモン前駆体(例えば、米国特許第5,023,328号明細書参照)、ミツバチのメリチン(Invitrogen)、エクジステロイドUDPグルコシルトランスフェラーゼ(egt)(Murphy et al.,Protein Expression and Purification 4:349−357(1993)、またはヒト膵臓リパーゼ(hpl)(Methods in Enzymology 284:262−272(1997))に由来するものであり得る。
哺乳動物細胞における使用のためのシグナルペプチドの具体例としては、マウスIg κ軽鎖シグナルペプチド(Coloma,J.Imm.Methods 152:89−104(1992))が挙げられる。酵母細胞における使用のための適切なシグナルペプチドとしては、S.セレビシエ(cerevisiae)由来のα−因子シグナルペプチド(例えば、米国特許第4,870,008号明細書参照)、マウス唾液アミラーゼのシグナルペプチド(例えば、Hagenbuchle et al.,Nature 289:643−646(1981)参照)、修飾カルボキシペプチダーゼシグナルペプチド(例えば、Valls et al.,Cell 48:887−897(1987)参照)、酵母BAR1シグナルペプチド(例えば、国際公開第87/02670号パンフレット参照)、および酵母アスパラギン酸プロテアーゼ3(YAP3)シグナルペプチド(例えば、Egel−Mitani et al.,Yeast 6:127−137(1990)参照)が挙げられる。
任意の適切な宿主、例えば、細菌、真菌(酵母を含む。)、植物、昆虫、哺乳動物または他の適切な動物細胞もしくは細胞株ならびにトランスジェニック動物または植物が抗被検物抗体の作製に使用され得る。細菌の宿主細胞の例としては、限定されないが、グラム陽性菌、例えば、バチルス属菌株、例えば、B.ブレビス(brevis)もしくはB.サブチリス(subtilis)、シュードモナス属もしくはストレプトマイセス属、またはグラム陰性菌、例えば、大腸菌株が挙げられる。細菌宿主細胞へのベクターの導入は、例えばプロトプラスト形質転換(例えば、Chang et al.,Molec.Gen.Genet.168:111−115(1979)参照)、コンピテント細胞の使用(例えば、Young et al.,J.of Bacteriology 81:823−829(1961)もしくはDubnau et al.,J.of Molec.Biol.56:209−221(1971)参照)、エレクトロポレーション(例えば、Shigekawa et al.,Biotechniques 6:742−751(1988)参照)、またはコンジュゲーション(例えば、Koehler et al.,J.of Bacteriology 169:5771−5278(1987)参照)によって行われ得る。
適切な糸状菌宿主細胞の例としては、限定されないが、アスペルギルス属菌株、例えば、A.オリーゼ(oryzae)、A.ニガー(niger)もしくはA.ニデュランス(nidulans)、フザリウム属またはトリコデルマ属が挙げられる。真菌細胞は、当業者に知られた手法を用いたプロトプラスト形成、プロトプラストの形質転換および細胞壁の再生を伴う方法によって形質転換させ得る。アスペルギルス属宿主細胞形質転換のための適切な手順は欧州特許出願公開第238023号明細書および米国特許第5,679,543号明細書に記載されている。フザリウム属の種の形質転換のための適切な方法はMalardier et al.,Gene 78:147−156(1989)および国際公開第96/00787号パンフレットに記載されている。酵母は、Becker and Guarente,In Abelson,J.N.and Simon,M.I.編,Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology,Methods in Enzymology 194:182−187,Academic Press,Inc.,New York;Ito et al,J.of Bacteriology 153:163(1983);およびHinnen et al.,PNAS USA 75:1920(1978)に記載の手順を用いて形質転換させ得る。
適切な酵母宿主細胞の例としては、サッカロミセス属菌株、例えば、S.セレビシエ(cerevisiae)、スキゾサッカロミセス属、クリベロミセス属、ピキア属、例えば、P.パストリス(pastoris)もしくはP.メタノリカ(methanolica)、ハンセヌラ属、例えば、H.ポリモルファ(polymorpha)またはヤロウィア属(yarrowia)が挙げられる。異種ポリヌクレオチドでの酵母細胞の形質転換方法およびこれによる異種ポリペプチドの作製方法は、Clontech Laboratories,Inc,Palo Alto,CA,USA(Yeastmaker(商標)Yeast Tranformation System Kitの製品プロトコル)ならびにReeves et al.,FEMS Microbiology Letters 99:193−198(1992)、Manivasakam et al.,Nucleic Acids Research 21:4414−4415(1993)およびGaneva et al.,FEMS Microbiology Letters 121:159−164(1994)に開示されている。
適切な昆虫宿主細胞の例としては、限定されないが、鱗翅類(Lepidoptora)細胞株、例えば、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(Sf9もしくはSf21)またはトリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni)細胞(High Five)(例えば、米国特許第5,077,214号明細書参照)が挙げられる。昆虫細胞の形質転換および異種ポリペプチドの作製は当業者によく知られている。
適切な哺乳動物宿主細胞の例としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、サル(例えば、グリーンモンキー)細胞株(COS)、マウス細胞(例えば、NS/O)、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞株、ヒト細胞(例えば、ヒト胚性腎臓(HEK)細胞(例えば、HEK293細胞(A.T.C.C.受託番号CRL−1573)))、本来は免疫グロブリンタンパク質を産生しない骨髄腫細胞、および組織培養状態の植物細胞が挙げられる。好ましくは、哺乳動物宿主細胞はCHO細胞株およびHEK293細胞株である。別の宿主細胞はB3.2細胞株(例えば,Abbott Laboratories,Abbott Bioresearch Center)、または別のジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損(DHFR−)CHO細胞株(例えば、Invitrogenから入手可能)である。
外来ポリヌクレオチドを哺乳動物宿主細胞に導入するための方法としては、リン酸カルシウム媒介性トランスフェクション、エレクトロポレーション、DEAE−デキストラン媒介性トランスフェクション、リポソーム媒介性トランスフェクション、ウイルスベクターおよびLife Technologies Ltd、Paisley,UKに記載のLipofectamineTM 2000を用いたトランスフェクション法が挙げられる。このような方法は当該技術分野でよく知られており、例えば、Ausbel et al.(編),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons、New York,USA(1996)に記載されている。哺乳動物細胞の培養は、例えばJenkins編,Animal Cell Biotechnology,Methods and Protocols,Human Press Inc.Totowa,N.J.,USA(1999)およびHarrison and Rae,General Techniques of Cell Culture,Cambridge University Press(1997)に開示されているような確立された方法に従って行われる。
作製方法において、細胞は抗被検物抗体の生成に適切な栄養培地中で、当該技術分野で知られた方法を用いて培養する。例えば、細胞は、振盪フラスコ培養、実験室内もしくは工業用発酵槽内で適切な培地中および抗ヒト被検物モノクローナル抗体の発現および/または単離が可能な条件下で行われる小規模または大規模発酵(例えば、連続式、バッチ式、フェッドバッチ式もしくは固相発酵)によって培養する。培養は、炭素源と窒素源および無機塩を含む適切な栄養培地中で、当該技術分野で知られた手順を用いて行う。適切な培地は市販の供給元から入手可能であるか、または公表された組成(例えば、American Type Culture Collectionのカタログ)に従って調製され得る。抗被検物抗体が栄養培地中に分泌される場合は、培地から直接回収され得る。抗被検物抗体が分泌されない場合は、細胞溶解物から回収され得る。
得られた抗被検物抗体は当該技術分野で知られた方法によって回収され得る。例えば、抗被検物抗体は、栄養培地から慣用的な手順によって、例えば限定されないが、遠心分離、濾過、抽出、噴霧乾燥、エバポレーションまたは沈殿によって回収され得る。
抗被検物抗体は当該技術分野で知られたさまざまな手順によって、例えば限定されないが、クロマトグラフィー(例えば限定されないが、イオン交換、親和性、疎水性、クロマトフォーカシングおよびサイズ排除)、電気泳動による手順(例えば限定されないが、分取用等電点電気泳動法)、溶解度の差(例えば限定されないが、硫酸アンモニウム沈殿)、SDS−PAGEまたは抽出(例えば、Janson and Ryden編,Protein Purification,VCH Publishers,New York(1989)参照)によって精製され得る。
c.免疫処置、ハイブリドーマまたは他の手段による抗体の作製
被検物(またはこの断片)に特異的に結合する他の抗体(またはこの断片)は、当該技術分野で知られたさまざまな異なる手法を用いて作製され得る。例えば、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は、適切な被検体(例えば限定されないが、ウサギ、ヤギ、マウスまたは他の哺乳動物)を、適切な免疫原を含む免疫原性調製物で免疫処置することにより生成させることができる。免疫原は、これを産生する細胞から親和性クロマトグラフィー、免疫沈降または当該技術分野でよく知られた他の手法を用いて富化/精製し、単離したものであり得る。または、免疫原は、化学合成を使用し、当該技術分野で知られた常套的な手法(例えば限定されないが、合成装置)を用いて調製したものであってもよい。被検体内で生成した抗体は次いで、該抗体が免疫原(またはこの断片)に結合するかどうかを調べるためにスクリーニングされ得る。
免疫原(即ち、精製タンパク質、タンパク質を発現している腫瘍細胞もしくは組換え発現免疫原(またはこの断片もしくはバリアント(またはこの断片))の単位用量および免疫処置レジメンは、免疫処置対象の被検体、この免疫状態および被検体の体重に依存する。被検体における免疫応答を向上させるため、免疫原をアジュバント、例えば、フロイントの完全または不完全アジュバントとともに投与してもよい。
上記のような免疫原での被検体の免疫処置によりポリクローナル抗体応答が誘導される。免疫処置した被検体における抗体力価は経時的に、固定化抗原が使用されるELISAなどの標準的な手法によってモニタリングされ得る。
他の抗体生成方法としては、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現するトランスジェニックマウスの使用(例えば、国際公開第91/00906号パンフレット、同第91/10741号パンフレットおよび同第92/03918号パンフレット参照)が挙げられる。または、ヒトモノクローナル抗体は、抗原を、ヒト抗体産生細胞または組織(例えば、ヒト骨髄細胞、末梢血リンパ球(PBL)、ヒト胎児リンパ節組織または造血幹細胞)を移植した免疫不全マウスに導入することにより作製され得る。かかる方法としては、SCID−huマウスでの抗体生成(例えば、国際公開第93/05796号パンフレット;米国特許第5,411,749号明細書;もしくはMcCune et al.,Science 241:1632−1639(1988)参照)またはRag−1/Rag−2欠損マウスでの抗体生成が挙げられる。また、ヒト抗体−免疫不全マウスは市販もされている。例えば、Rag−2欠損マウスはTaconic Farms(Germantown,NY)から入手可能である。
モノクローナル抗体は被検体を免疫原で免疫処置することにより生成させ得る。免疫処置後、適切な時点、例えば抗体力価が充分に高レベルになったら、抗体産生細胞が、免疫処置した動物から収集され、標準的な手法を用いてモノクローナル抗体を調製するために使用され得る。例えば、抗体産生細胞を標準的な体細胞融合手順によって不死化細胞(ミエローマ細胞など)と融合させるとハイブリドーマ細胞が得られ得る。かかる手法は当該技術分野でよく知られており、例えば、KohlerおよびMilsteinによって最初に開発されたハイブリドーマ手法(Nature 256:495−497(1975))、ヒトB細胞ハイブリドーマ手法(Kozbar et al.,Immunology Today 4:72(1983))、ならびにヒトモノクローナル抗体を作製するためのエプスタイン・バールウイルス(EBV)−ハイブリドーマ手法(Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.pp.77−96(1985))が挙げられる。モノクローナル抗体用ハイブリドーマを作製するための技術は当業者によく知られている。
また、モノクローナル抗体は、抗体産生細胞、例えば脾細胞を、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現し、免疫原で免疫処置したトランスジェニックマウスから収集することによっても作製され得る。脾細胞は、ヒトミエローマ細胞との融合またはEBVでの形質転換によって不死化され得る。このようなハイブリドーマは、当該技術分野で報告されているヒトB細胞−またはEBV−ハイブリドーマ手法を用いて作製され得る(例えば、Boyle et al.,欧州特許出願公開第0614984号明細書を参照のこと)。
免疫原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、ハイブリドーマの培養上清を、例えば、固定化した免疫原(またはこの断片)に特異的に結合する抗体を選択するためのスクリーニングによってスクリーニングすること、または本明細書に記載の抗体を、該抗体が所望の特徴、即ち免疫原(またはこの断片)に対する結合能を有するかどうかを調べるために試験することにより検出される。所望の特異性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンが、例えば限界希釈手順、例えばWands et al.(Gastroenterology 80:225−232(1981))に記載の手順によってサブクローニングされ、標準的な方法によって培養され得る。
本明細書に記載のスクリーニングアッセイにおける試験で陽性であったモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞は栄養培地中で、ハイブリドーマ細胞がモノクローナル抗体を培養培地中に分泌し、これにより完全抗体が得られることが可能であるのに充分な条件下および時間で培養され得る。ハイブリドーマ細胞に適した組織培養手法および培養培地は、一般的に当該技術分野で報告されている(例えば、R.H.Kenneth,Monoclonal Antibodies:A New Dimension In Biological Analyses,Plenum Publishing Corp.,New York,N.Y.(1980)を参照のこと)。次いで、抗体を含む馴化ハイブリドーマ培養上清が回収され得る。サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、場合により、培養培地から慣用的な免疫グロブリン精製手順によって、例えば、プロテインAクロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析またはアフィニティクロマトグラフィーなどによって単離され得る。
モノクローナル抗体は、組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリーを構築し、このライブラリーを免疫原またはこの断片を用いてスクリーニングすることにより改変したものであってもよい。ファージディスプレイライブラリーを作製およびスクリーニングするためのキットは市販されている(例えば、Pharmacia Recombinant Phage Antibody System,カタログ番号27−9400−01;およびStratagene SurfZAP Phage Display Kit,カタログ番号240612を参照のこと)。同様に、酵母ディスプレイベクターも当該技術分野で知られており、市販されている(例えば、Invitrogenから入手可能なpYD1)。簡単には、抗体ライブラリーをスクリーニングし、免疫原またはこの断片に特異的に結合する抗体を発現するファージまたは酵母細胞を同定して単離する。好ましくは、ライブラリーの一次スクリーニングは固定化した免疫原またはこの断片を用いたスクリーニングを伴う。
スクリーニング後、ディスプレイファージまたは酵母を単離し、選択した抗体をコードしているポリヌクレオチドがディスプレイファージまたは酵母から(例えば、ファージまたは酵母のゲノムから)回収され、他の発現ベクター内に(例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevesiae)細胞、例えばEBY100細胞(Invitrogen)内で)よく知られた組換えDNA手法によってサブクローニングされ得る。ポリヌクレオチドを宿主細胞内でさらに操作(例えば、さらなる免疫グロブリンドメイン、例えばさらなる定常領域をコードしている核酸に連結)および/または発現させてもよい。
被検物に特異的に結合するモノクローナル抗体が上記の方法に従って得られたら、当該技術分野で知られた方法に従って配列決定され得る。次いで、抗体が上記の組換えDNA技術、化学合成または化学合成と組換えDNA技術の組合せを用いて作製され得る。
さらに、本開示の一部の態様では、市販の抗被検物抗体または文献に記載の抗被検物抗体の作製方法を使用することが可能な場合があり得る。または、抗被検物抗体は、文献に記載の方法を用いて作製することができる。
d.抗体断片
また、被検物に結合する抗体の抗原反応性断片も本明細書に記載のとおりに使用され得る。抗体断片はFab、Fab’、Fab’−SH断片、ジスルフィド結合Fv、単鎖Fv(scFv)、F(ab’)2断片などであり得る。抗体断片の作製のための種々の手法が当業者に知られている。例えば、かかる断片は、インタクトな抗体のタンパク質分解的消化によって得られ得るか(例えば、Morimoto et al.,J.Biochem.Biophys.Methods 24:107−117(1992)およびBrennan et al.,Science 229:81(1985)参照)または組換え宿主細胞により直接生成させ得る。例えば、Fab’−SH断片を大腸菌から直接回収し、化学カップリングさせるとF(ab’)2断片が形成され得る(例えば、Carter et al.,Bio/Technology 10:163−167(1992)参照)。別の実施形態では、F(ab’)2は、F(ab’)2分子の会合を促進させるロイシンジッパーGCN4を用いて形成される。または、Fv、FabまたはF(ab’)2断片を組換え宿主細胞倍溶液から直接単離してもよい。単鎖可変領域断片(scFv)は、軽鎖および/または重鎖の可変領域を短鎖連結ペプチドまたは配列の使用によって連結することにより作製される(例えば、Bird et al.,Science 242:423−426(1998)参照)。一本鎖バリアントは組換えまたは合成のいずれかによって作製され得る。scFvの合成による作製では、自動化合成装置が使用され得る。scFvの組換え生産では、scFvをコードしているポリヌクレオチドを含む適切なプラスミドが真核生物系(酵母、植物、昆虫または哺乳動物細胞など)または原核生物系(大腸菌など)のいずれかの適切な宿主細胞に導入され得る。目的のscFvをコードしているポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドのライゲーションなどの常套的な操作によって作製され得る。得られたscFvは、当該技術分野で知られた標準的なタンパク質精製手法を用いて単離され得る。さらに、他の形態の一本鎖抗体、例えばダイアボディもまた本開示によって想定される。ダイアボディは、二価の二重特異性抗体であって、VHおよびVLドメインが単一のポリペプチド鎖上で発現されているが、同じ鎖上で2つのドメイン間の対合形成を可能にするには短すぎるリンカーが使用されており、これにより該ドメインが強制的に別の鎖の相補的なドメインと対合形成され、2つの抗原結合部位が作出されているものである(例えば、Holliger et al.,PNAS USA 90:6444−6448(1993);およびPoljak et al.,Structure 2:1121−1123(1994)参照)。
抗体およびこの抗原反応性断片はさまざまな用途を有する。一態様において、抗体(またはこの断片)は1種類以上の免疫診断用試薬として使用され得る。例えば、抗体は、試験試料中の被検物の存在を検出するための1種類以上の方法における1種類以上の免疫診断用試薬として使用され得る。より具体的には、抗体(またはこの抗原反応性断片)は、試験試料中の被検物の存在を検出するためのアッセイにおける捕捉抗体または検出抗体として使用され得る。
5.キット
試験試料を被検物(またはこの断片)についてアッセイするためのキットを本明細書において示す。一般的に、キットは、トレーサー被検物(即ち、本明細書に記載の内部較正標準として使用される。)、一緒に試験試料を目的の被検物についてアッセイするために有用な被検物結合性捕捉分子、および被検物結合性検出分子ならびに試験試料を被検物についてアッセイするための使用説明書を備えている。さまざまな実施形態において、キットは、第1の標識を含むトレーサー被検物、被検物結合性捕捉分子、および第2の標識を含む被検物結合性検出分子を備え、当該被検物結合性捕捉分子と当該被検物結合性検出分子が当該トレーサー被検物および/または試験被検物に同時に結合し得る。
当業者には理解されるように、キットに関して以下に記載する構成要素はまた、本明細書に記載の方法にも有用である。従って、固相支持体および標識の以下の説明は本明細書に記載のキットおよび方法に等しく適用される。
さまざまな実施形態において、キットは、本明細書に記載のアッセイ、例えば微粒子アッセイまたはポイントオブケアデバイスにおける使用のためのアッセイによって試験試料を被検物(またはこの断片)についてアッセイするための使用説明書を備えたものであり得る。使用説明書は紙形態であってもよく、コンピュータ可読形態、例えばディスク、CD、DVDなどであってもよい。択一的または付加的に、キットは、較正標準または対照、例えば、精製および場合により凍結乾燥させた被検物(またはこの断片)および/またはアッセイを実施するための少なくとも1つの容器(例えば、チューブ、マイクロタイタープレートもしくはストリップ、これらは既に1種類以上の被検物結合性分子でコートされたものであってもよい。)および/またはバッファー、例えばアッセイバッファーもしくは洗浄バッファー(これらのいずれか一方を濃縮液、検出可能な標識(例えば、酵素標識)のための基質溶液もしくは停止液として提供してもよい。)を備えたものであり得る。好ましくは、キットは、アッセイを行うために必要であるすべての構成要素、即ち、試薬、標準、バッファー、希釈剤などを備えたものである。また、使用説明書には、標準曲線の作成または被検物を定量する目的のための参照標準の作製のための使用説明書も包含され得る。
適宜、または所望により、キットは例えば被検物結合性分子と結合する固相支持体を含み得る。例示的な固相支持体は、例えば、電極、微粒子、磁性粒子、ビーズ、テストチューブ、マイクロタイタープレート、キュベット、膜、骨格分子、フィルム、濾紙、ディスクまたはチップを含む。実例としての固相支持体としては、限定されないが例えば、電極、マイクロタイタープレートなどのプレートのウェル、テストチューブ、多孔質ゲル(例えば、シリカゲル、アガロース、デキストランもしくはゼラチン)、ポリマーフィルム(例えば、ポリアクリルアミド)、ビーズ(例えば、ポリスチレンビーズもしくは磁性ビーズ)、フィルター/膜(例えば、ニトロセルロースもしくはナイロン)ストリップ、微粒子(例えば、ラテックス粒子もしくは磁化性微粒子(例えば、酸化第二鉄もしくは酸化クロムのコアとホモ−もしくはヘテロ−ポリマーコートを有し、約1から10ミクロンの半径を有する微粒子))が挙げられる。基材は、捕捉剤と結合するのに適切な表面親和性および検出剤の到達が可能であるのに充分な多孔度を有する適切な多孔質材料で構成されたものであり得る。微多孔質材料が一般的に好ましいが、水和状態のゼラチン質材料を使用してもよい。かかる多孔質基材は好ましくは、約0.01から約0.5mm、好ましくは約0.1mmの厚さを有するシートの形態であり得る。孔径はかなりさまざまであり得るが、好ましくは、孔径は約0.025から約15ミクロン、より好ましくは約0.15から約15ミクロンである。かかる基材の表面は、被検物結合性分子の基材との共有結合を引き起こす化学的工程によって活性化され得る。一般的には疎水性の力による吸着によって捕捉剤の基材との不可逆結合が得られる;または、化学的カップリング剤または他の手段が捕捉剤を基材に共有結合させるのに使用され得るが、かかる結合は捕捉剤が被検物に結合する能力に支障をきたさないものとする。
本明細書における使用に適切な支持体の一例は微粒子である。本明細書に記載の方法での使用に適切な微粒子としては、限定されないが磁性微粒子が挙げられる。微粒子のサイズは典型的には約0.1から約100μmの範囲である。市販の微粒子は多種多様な材料のもの、例えばセラミック、ガラス、ポリマーおよび金属で作製されたものが入手可能である。本明細書に記載の方法における使用に適切な磁性微粒子は、例えばAgilent Technologies,Santa Clara,CAから市販されている。0.1から100μmという一般的に認識されている定義をナノ粒子のサイズの定義として補足するが、他にもサイズの他の定義様式が存在する。一般的な認識では、100nmより小さい微粒子はナノ粒子とみなされる。0.5μmより大きい微粒子(あれば)および0.5mmより小さいものはいずれも微粒子であるとみなす。一般に、本明細書に記載の方法での使用に適切な微粒子のサイズは、選択された画像システムによって2個の微粒子が解像され得るように充分に大きくなければならない。本明細書に記載の方法での使用に適切な微粒子の特性、例えば色などは選択事項である。当業者は、該方法の適切なバリエーションによって課される要件が満たされるように微粒子の特性を選択することができよう。
本明細書に記載のキットおよび方法での使用に適切な反応槽としては、マイクロ−ウェルプレートおよびポイントオブケアデバイスのリザーバが挙げられる。さまざまな実施形態において、反応槽は、被検物結合性捕捉分子−被検物−被検物結合性検出分子複合体の画像が作成され得るような特質のものであり得る。一実施形態では、反応槽は、電磁放射線、典型的には紫外および可視範囲のスペクトルに対して透過性のものである。反応槽の構成に適切な材質としては、ガラスおよびポリマー材料が挙げられる。一実施形態では、反応槽の材質は自己蛍光性でないものである。しかしながら、一般的に、反応槽の具体的な形態および形状は重要でない。
一部の実施形態では、被検物結合性捕捉分子および/または被検物結合性検出分子を、ストレプトアビジンまたはビオチンで事前にコートした微粒子(例えば、Power−Bind(商標)−SA−MPストレプトアビジンコート微粒子(Seradyn,Indianapolis,IN)を使用)または抗種特異的モノクローナル抗体で事前にコートした微粒子に結合させる。必要であれば、基材を、捕捉剤の種々の官能基との反応性が可能になるように誘導体化させてもよい。かかる誘導体化には特定のカップリング剤の使用が必要とされ、この例としては、限定されないが、無水マレイン酸、N−ヒドロキシスクシンイミド、および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドが挙げられる。所望により、1種類以上の捕捉剤(例えば、被検物結合性分子(例えば、抗体または抗原に活性なこの断片))(各々は被検物に特異的である。)を、固相支持体の異なる物理的位置またはアドレス指定可能な位置に結合させてもよい(例えば、バイオチップ構成体の場合など(例えば、米国特許第6,225,047号明細書、国際公開第99/51773号パンフレット;米国特許第6,329,209号明細書;国際公開第00/56934号パンフレットおよび米国特許第5,242,828号明細書参照)。
トレーサー被検物は第1の標識と直接または間接的に結合され、被検物結合性検出分子は第2の標識と直接または間接的に結合される。実例としての標識としては、例えば、フルオロフォア、放射性部分、酵素、ビオチン/アビジン標識、発色団、化学発光性標識などが挙げられる。当該技術分野で知られているような任意の適切な検出可能な標識が使用され得る。例えば、検出可能な標識は放射性標識(H、125I、35S、14C、32Pおよび33Pなど)、酵素標識(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アルカリペルオキシダーゼ、グルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼなど)、化学発光性標識(例えば、アクリジニウムエステル、チオエステルもしくはスルホンアミド;ルミノール、イソルミノール、フェナントリジニウムエステルなど)、1種類以上の発色団、例えば、紫外もしくは可視領域の光を放射する1種類以上の色素、りん光体、蛍光剤、フルオロフォア(例えば、蛍光タンパク質(緑色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質);フィコビリン(フィコエリトリン、R−フィコエリトリン、B−フィコエリトリン);キサンテン誘導体(フルオレセイン、ローダミン、オレゴングリーン、エオシン、テキサスレッド);シアニン誘導体(シアニン、Cy色素、インドカルボシアニン、オキサカルボシアニン、チアカルボシアニン、メロシアニン);ナフタレン誘導体(ダンシルおよびプロダン誘導体);クマリン誘導体;オキサジアゾール誘導体(ピリジルオキサゾール、ニトロベンゾオキサジアゾール、ベンゾオキサジアゾール);ピレン誘導体(カスケードブルー);オキサジン誘導体(ナイルレッド、ナイルブルー、クレシルバイオレット、オキサジン170);アクリジン誘導体(プロフラビン、アクリジンオレンジ、アクリジンイエロー);アリールメチン誘導体(オーラミン、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン);テトラピロール誘導体(ポルフィン、フタロシアニン、ビリルビン))、発光団、化学発光体、蛍光標識(例えば、フルオレセイン(例えば、5−フルオレセイン、6−カルボキシフルオレセイン、3’6−カルボキシフルオレセイン、5(6)−カルボキシフルオレセイン、6−ヘキサクロロ−フルオレセイン、6−テトラクロロフルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネートなど))、ローダミン、量子ドット(例えば、硫化亜鉛キャッピングセレン化カドミウム)、サーモメトリック標識またはイムノ−ポリメラーゼ連鎖反応標識であり得る。標識の導入、標識手順および標識の検出は、PolakおよびVan Noorden,Introduction to Immunocytochemistry,第2版,Springer Verlag,N.Y.(1997)ならびにHaugland,Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(1996)(これはMolecular Probes,Inc.(Eugene,Oregon)によって発行されたハンドブックとカタログの合体版である。)において知得される。 蛍光標識はFPIAにおいて使用され得る(例えば、米国特許第5,593,896号明細書、同第5,573,904号明細書、同第5,496,925号明細書、同第5,359,093号明細書および同第5,352,803号明細書(これらは参照によりこの全体が本明細書組み込まれる。)参照)。アクリジニウム化合物は均一系化学発光アッセイにおける検出可能な標識として使用され得る(例えば、Adamczyk et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.16:1324−1328(2006);Adamczyk et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.4:2313−2317(2004);Adamczyk et al.,Biorg.Med.Chem.Lett.14:3917−3921(2004);およびAdamczyk et al.,Org.Lett.5:3779−3782(2003)参照)。
さまざまな実施形態において、第1の標識または第2の標識はフィコビリン(例えば、フィコエリトリン、R−フィコエリトリン、B−フィコエリトリン)である。R−フィコエリトリンまたはPEは被検物結合性分子または他の分子を標識するための蛍光系指標としてさまざまな用途に有用である。R−フィコエリトリンは約566nmにおける吸収が強く、第2のピークは496および545nmであり、575nmにおける発光が強い。R−フィコエリトリンは、これまでに同定された蛍光色素の中で最も明るい。例えば、フィコエリトリンのウィキペディア(en.wikipedia.org/wiki/Phycoerythrinのインターネット上の無料の百科事典)およびR−PHYCOERYTHRIN(PB31),ProZyme Inc.,Hayward,CA(これらはどちらも参照により本明細書に組み込まれる。)を参照のこと。
検出可能な標識が少なくとも1種類のアクリジニウム化合物である実施形態では、キットは、少なくとも1種類のアクリジニウム−9−カルボキサミド、少なくとも1種類のアクリジニウム−9−カルボン酸アリールエステルまたはこの任意の組合せを備えたものであり得る。検出可能な標識が少なくとも1種類のアクリジニウム化合物である場合、キットはまた、過酸化水素源、例えばバッファー、溶液および/または少なくとも1種類の塩基性溶液も備えたものであり得る。
第1および第2の標識またはレポーター分子は、互いに識別され得る限り、任意のシグナル生成分子(例えば、上記または本明細書に記載のようなもの)であり得る。さまざまな実施形態において、これらは独立して、フルオロフォアまたは化学発光性プローブであり得る。さまざまな実施形態において、これらはスペクトルの差、寿命の差、シーケンシャルトリガーまたは他の識別特性によって識別され得る。
一部の実施形態では、キットは、被検物結合性分子を標識するための試薬または被検物結合性分子(例えば、被検物結合性検出分子)を検出するための試薬および/または被検物もしくは被検物を検出するための試薬を標識するための試薬を含むものであり得る、または該方法が該試薬を使用するものであり得る。被検物結合性分子、較正標準および/または対照は別々の容器にて提供してもよく、適切なアッセイ形式、例えばマイクロタイタープレート内に事前に分注しておいてもよい。
場合により、キットに品質管理構成要素(例えば、感度測定パネル、較正標準および陽性対照)を含める。品質管理試薬の調製は当該技術分野でよく知られており、さまざまな免疫診断製剤品の添付文書に記載されている。感度測定パネルの構成員は、場合によりアッセイの性能特性を確立するために使用され、さらに場合によりアッセイキット試薬の完全性およびアッセイの標準化の有用な指標となる。
また、場合によりキットに診断アッセイを行うため、または品質管理評価を容易にするために必要とされる他の試薬、例えばバッファー、塩、酵素、酵素補因子、基質、検出試薬などを含めてもよい。また、他の構成要素、例えばバッファーならびに試験試料(例えば、前処理試薬)の単離および/または処理のための溶液をキットに含めてもよい。キットにさらに1種類以上の他の対照を含めてもよい。キットの構成要素の1つ以上を凍結乾燥させてもよく、この場合、キットはさらに、凍結乾燥構成要素の再構成に適切な試薬を備えたものであり得る。
キットの種々の構成要素は場合により、必要に応じて適切な容器、例えばマイクロタイタープレート内に提供される。キットにさらに、試料を保持または保存するための容器(例えば、尿試料用の容器またはカートリッジ)を含めてもよい。適切な場合はまた、キットに、場合により反応槽、混合槽、および試薬または試験試料の調製を容易にする他の構成要素を含めてもよい。また、キットに試験試料の採取を補助するための1種類以上の器具、例えばシリンジ、ピペット、ピンセット、計量スプーンなどを含めてもよい。
特定の実施形態において、キットは第1の標識を含むトレーサー被検物、被検物結合性捕捉分子、および第2の標識を含む被検物結合性検出分子を備え、当該被検物結合性捕捉分子と当該被検物結合性検出分子が当該トレーサー被検物に同時に結合し得る。
6.アッセイ形式
本開示により、試験試料中の被検物(またはこの断片)の存在、量または濃度を調べるための方法を提供する。当該技術分野で知られているような任意の適切なアッセイがこの方法に使用され得る。例としては、限定されないが、例えば、サンドイッチアッセイ(例えば、放射性同位体検出(ラジオイムノアッセイ(RIA)など)および酵素検出(酵素アッセイ(EIA)または酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)(例えば、Quantikine ELISAアッセイ,R&D Systems,Minneapolis,MN))、均一系化学発光アッセイなどのアッセイが挙げられる。SELDI系アッセイでは、被検物に特異的に結合する捕捉試薬(例えば、1種類以上の被検物結合性分子を質量分析プローブ、例えば予備活性化タンパク質チップアレイの表面に結合させる。化学発光微粒子アッセイ、特に、ARCHITECT(R)自動解析装置(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)を使用するものは、有用なアッセイの一例である。有用なアッセイの別の例は、Abbott Point of Care機器(i−STAT(R),Abbott Laboratories)で行われるものである。有用なアッセイのさらに別の例は、適切な固相支持体(例えば、マイクロタイタープレート)で、例えば蛍光顕微鏡を用いて行われるものである。
尿、血液、血清および血漿ならびに他の体液を採取し、取り扱い、処理するための当該技術分野でよく知られた方法が本開示の実施において、例えば、本開示による被検物結合性分子が免疫診断用試薬として使用される場合、および/または被検物のアッセイのためのキットに使用される。試験試料は、被検物に加えてさらなる部分、目的の他の被検物、例えば、一般的にはタンパク質、ペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドなど、ならびにより具体的には、例えば抗体、抗原、ハプテン、ホルモン、薬物、酵素または受容体を、本明細書に記載の実例としての被検物および任意の他の目的の被検物とともに含むものであってもよい。例えば、試料は被検体から採取した全血試料であり得る。試験試料を、特に全血は本明細書に記載のアッセイの前に、例えば前処理試薬で処理することが必要な場合または所望される場合があり得る。前処理が必要でない場合(例えば、ほとんどの尿試料)であっても、前処理は、場合により単に便宜上(例えば、市販のプラットフォームでのレジメンの一部として)行われる場合があり得る。好ましくは、試験試料は血清である。
前処理試薬は、本明細書に記載のアッセイおよびキットでの使用に適切な任意の試薬であり得る。例えば、Sackrison et al.により、被検物を被検物結合性タンパク質から解離させるために試料のpHを5.5以下に下げることが開示されている(例えば、米国特許出願公開第2004/0132104号明細書参照)。前処理は場合により:(a)1種類以上の溶媒(例えば、メタノールおよびエチレングリコール)および塩、(b)1種類以上の溶媒、塩およびデタージェント、(c)デタージェントまたは(d)デタージェントおよび塩を含むものである。前処理試薬は当該技術分野で知られており、かかる前処理は、例えば、Abbott TDx、AxSYM(R)およびARCHITECT(R)解析装置(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)でのアッセイで使用されるようにして、文献に記載のとおりに(例えば、Yatscoff et al.,Abbott TDx Monoclonal Antibody Assay Evaluated for Measuring Cyclosporine in Whole Blood,Clin.Chem.36:1969−1973(1990)、およびWallemacq et al.,Evaluation of the New AxSYM Cyclosporine Assay:Comparison with TDx Monoclonal Whole Blood and EMIT Cyclosporine Assays,Clin.Chem.45:432−435(1999)参照)および/または市販のとおりに使用され得る。さらに、前処理は、Abbottの米国特許第5,135,875号明細書、欧州特許出願公開第0471293号明細書、米国特許仮出願第60/878,017号明細書(2006年12月29日出願)および米国特許出願公開第2008/0020401号明細書(参照により、前処理に関するこの教示の全体が組み込まれる。)に記載のようにして行ってもよい。前処理試薬は不均一系薬剤であっても均一系薬剤であってもよい。
不均一系前処理試薬を使用する場合は、前処理試薬によって場合により試料中に存在する抗体が沈殿する。かかる前処理工程には、沈殿した抗体から、試料への前処理薬剤の添加によって形成された混合物の上清を分離することにより抗体(あれば)を除去することが含まれる。かかるアッセイでは、結合性タンパク質が全く存在しない混合物の上清がアッセイに使用され、直接、捕捉工程へと進められる。
均一系前処理試薬を使用する場合は、かかる分離工程はない。試験試料と前処理試薬の混合物全体を、被検物(またはこの断片)に特異的な標識被検物結合性分子、例えば、被検物に特異的に結合する標識抗体またはこの抗原反応性断片と接触させる。かかるアッセイに使用される前処理試薬は、典型的には前処理された試験試料混合物中で、第1の被検物結合性分子による捕捉の前または捕捉の際のいずれかにおいて希釈される。かかる希釈にもかかわらず、一定量の前処理試薬(例えば、5Mメタノールおよび/または0.6Mエチレングリコール)が依然として捕捉の際に試験試料混合物中に存在(または残存)する。
不均一系形式では、試験試料を被検体から採取した後、第1の混合物を調製する。混合物は、被検物(またはこの断片)について評価対象の試験試料と、第1の被検物結合性分子または被検物結合性捕捉分子(例えば、抗体または抗原に活性なこの断片)を含むものであり、ここで、被検物結合性分子と試験試料中に含まれた被検物(あれば)またはトレーサー被検物が、被検物結合性分子−被検物複合体または被検物結合性分子−トレーサー被検物複合体を形成する。さまざまな実施形態において、第1の被検物結合性分子または被検物結合性捕捉分子は、被検物に特異的に結合する抗体(またはこの断片)、例えば、本明細書に記載の抗体または他の市販の抗体であり得る。試験試料およびトレーサー被検物は他の被検物結合性分子に同時に導入するのがよい。さまざまな実施形態において、第1の被検物結合性分子または被検物結合性捕捉分子は固相支持体上に固定化させる。アッセイ(第1の被検物結合性分子)に使用される固相支持体は、技術分野で知られた任意の固相支持体、例えば限定されないが、電極、磁性粒子、微粒子、ビーズ、テストチューブ、マイクロタイタープレート、キュベット、膜、骨格分子、フィルム、濾紙、ディスクおよびチップであり得る。
第1または捕捉の被検物結合性分子−被検物複合体を含む混合物を形成した後、未結合の被検物(あれば)を複合体から当該技術分野で知られた任意の手法を用いて除去する。例えば、未結合の被検物は、洗浄することにより除去され得る。しかしながら、望ましくは、被検物結合性分子を試験試料中に存在する被検物(あれば)に対して過剰に存在させ、試験試料中に存在するすべての被検物が被検物結合性分子によって結合されるようにする。
未結合の被検物(あれば)を除去したら、第2の被検物結合性分子または被検物結合性検出分子を混合物に添加し、第1の被検物結合性分子または被検物結合性捕捉分子−被検物−第2の被検物結合性分子または被検物結合性検出分子複合体を形成する。さまざまな実施形態において、被検物結合性検出分子は、被検物に特異的に結合する抗体(またはこの断片)である。一般的に、被検物結合性検出分子は、本明細書に記載のような検出可能な標識で標識されているか、または該標識を含む。
被検物のアッセイは一般的に、技術分野で知られた任意の形式で、例えば限定されないがサンドイッチ形式(これは米国特許出願公開第2009−0269777号明細書(2009年10月29日に公開,参照により本明細書に組み込まれる。)にさらに記載されている。)を用いて行われ得る。具体的には、形式の一例では、被検物に特異的に結合する被検物結合性分子(例えば、抗体またはこの抗原反応性断片)は、試料中の被検物(またはこの断片)の総量を調べるために使用される。より具体的には、被検物結合性分子(例えば、抗体またはこの抗原反応性断片)は被検物に結合して各々と免疫複合体(これは「サンドイッチ」と称される。)を形成する。一般的に、試験試料中の被検物(またはこの断片)を捕捉するために使用される被検物結合性分子(例えば、抗体またはこの抗原反応性断片)は「捕捉剤」、例えば抗体の場合は「捕捉抗体」と称される。検出可能で定量可能な標識をサンドイッチに結合させるために使用される被検物結合性分子(例えば、抗体またはこの抗原反応性断片)は「検出剤」、例えば抗体の場合は「検出抗体」、または「コンジュゲート」と称される。
一般的に、被検物(またはこの断片)について試験される(例えば、含んでいることが疑われる)試料は、少なくとも1種類の捕捉剤(例えば、被検物結合性分子(例えば、捕捉抗体またはこの抗原反応性断片))と少なくとも1種類の検出剤(例えば、被検物結合性検出分子(例えば、抗体またはこの抗原反応性断片))に、同時またはいずれかの順序で逐次のいずれかで接触させ得る。例えば、試験試料をまず少なくとも1種類の捕捉剤と、次いで(逐次)少なくとも1種類の検出剤と接触させ得る。または、試験試料をまず少なくとも1種類の検出剤と、次いで(逐次)少なくとも1種類の捕捉剤と接触させ得る。また別の択一例では、試験試料を捕捉剤および検出剤と同時に接触させ得る。
サンドイッチアッセイ形式では、被検物(またはこの断片)を含んでいることが疑われる試料をまず、少なくとも1種類の捕捉剤と、捕捉剤/被検物複合体の形成が可能である条件下で接触させる。1種類より多くの捕捉剤を使用すると、多数の捕捉剤/被検物複合体が形成される。
場合により、試験試料を少なくとも1種類の捕捉剤と接触させる前に、捕捉剤/被検物複合体の分離を容易にするために該少なくとも1種類の捕捉剤を基材に結合させてもよい。捕捉剤を結合させる基材は、捕捉剤/被検物複合体の試料からの分離を容易にする上記または本明細書に記載のような任意の適切な固相支持体であり得る。
被検物(またはこの断片)についてアッセイ対象の試験試料を少なくとも1種類の捕捉剤と接触させた後、捕捉剤/被検物複合体の形成を可能にするために混合物をインキュベートする。試験試料を1種類より多くの捕捉剤と接触させると、多数の捕捉剤/被検物複合体が形成される。インキュベーションは、約4.5から約10.0のpH、約2℃から約45℃の温度、および少なくとも約1分間から約18時間、好ましくは約1から約24分間、最も好ましくは約4から約18分間の時間で行われ得る。本明細書に記載のアッセイは、1ステップ(試験試料、少なくとも1種類の捕捉剤および少なくとも1種類の検出剤をすべて、逐次または同時に反応槽に添加することを意味する。)で行ってもよく、1ステップより多くで、例えば2ステップ、3ステップなどで行ってもよい。
捕捉剤/被検物複合体の形成後、次いで該複合体を少なくとも1種類の検出剤と(捕捉剤/被検物/検出剤複合体の形成が可能である条件下で)接触させる。捕捉剤/被検物複合体を1種類より多くの検出剤と接触させると、多種類の捕捉剤/被検物/検出剤複合体が形成される。捕捉剤の場合と同様、少なくとも1種類の検出剤を捕捉剤/被検物複合体と接触させる場合、捕捉剤/被検物/検出剤複合体(1種類または複数種)の形成のためには上記のもの同様の条件下でのインキュベーション時間が必要とされる。好ましくは、少なくとも1種類の検出剤は検出可能な標識を含むものである。検出可能な標識は少なくとも1種類の検出剤に、捕捉剤/被検物/検出剤複合体(1種類または複数種)の形成の前に結合させても、該形成と同時に結合させても、該形成の後に結合させてもよい。当該技術分野で知られた任意の検出可能な標識が使用され得る(上記の論考、例えば、PolakおよびVan Noorden(1997)ならびにHaugland(1996)を参照されたい。)。
検出可能な標識は検出剤に直接またはカップリング剤を介してのいずれかで結合され得る。使用され得るカップリング剤の一例はEDAC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド,塩酸塩)であり、これはSigma−Aldrich,St.Louis,MOから市販されている。使用され得る他のカップリング剤は当該技術分野で知られている。検出可能な標識を検出剤に結合させるための方法は当該技術分野で知られている。さらに、検出可能な標識の被検物結合性分子に対するカップリングを助長する末端基を既に含んでいる多くの検出可能な標識、例えば、CPSP−アクリジニウムエステル(即ち、9−[N−トシル−N−(3−カルボキシプロピル)]−10−(3−スルホプロピル)アクリジニウムカルボキサミド)またはSPSP−アクリジニウムエステル(即ち、N10−(3−スルホプロピル)−N−(3−スルホプロピル)−アクリジニウム−9−カルボキサミド)が購入または合成できる。
捕捉剤/被検物/検出剤複合体(1種類または複数種)を、標識の定量の前に残りの試験試料から分離してもよいが、その必要はない。例えば、少なくとも1種類の捕捉剤をウェルまたはビーズなどの固相支持体に結合させている場合、分離は、(試験試料の)液を固相支持体との接触から解除することにより行われ得る。または、少なくとも1種類の捕捉剤を固相支持体に結合させている場合、これを同時に試験試料および少なくとも1種類の検出剤と接触させ、捕捉剤/被検物/検出剤複合体(1種類または複数種)を形成させた後、試験試料を固相支持体との接触から解除してもよい。少なくとも1種類の捕捉剤を固相支持体に結合させていないならば、標識の量の定量のために捕捉剤/被検物/検出剤複合体(1種類または複数種)を試験試料から除去しなくてもよい。アッセイが未結合試料被検物からの結合試料被検物の分離を含まない場合、これは「1ステップ」アッセイとみなされる。アッセイが未結合試料被検物からの結合試料被検物の分離を含む場合、これは一般的に「2ステップアッセイ」(またはどのようにして分離が行われるかによっては遅延型1ステップアッセイ)とみなされる。
標識された捕捉剤/被検物/検出剤複合体(1種類または複数種)の形成後、複合体(1種類または複数種)中の標識の量が、当該技術分野で知られた手法を用いて定量される。生成したシグナル(例えば、色、光、放射能、反応性酸素種)が、当業者に知られた常套的な手法を用いて検出され得る。生成したシグナルの強度に基づいて、試料中の被検物の量が定量され得る。具体的には、試料中の被検物の量は生成したシグナル強度に比例する。存在する被検物の量は、生成したシグナルの量を被検物の参照標準との比較により定量され得る。
例えば、酵素標識が使用される場合、標識された複合体を、発色などの定量可能な反応をもたらす該標識の基質と反応させる。標識が放射性標識である場合、標識はシンチレーションカウンターを用いて定量される。標識が蛍光標識である場合、標識は、標識をある色(これは「励起波長」として知られる。)の光で刺激し、この刺激に応答した標識が発する別の色(これは「発光波長」として知られる。)で検出することにより定量される。標識が化学発光性標識である場合、標識は、発光を目視または照度計、x線フィルム、高速写真フィルム、CCDカメラなどの使用のいずれかによって検出することにより定量される。複合体中の標識の量が定量されたら、試験試料中の被検物の濃度を、既知濃度の被検物の連続希釈物を用いて作成しておいた較正曲線の使用によって求める。
さまざまな実施形態において、該方法では微粒子固相支持体を使用し、自動化または半自動化システムを用いて行われる。本明細書に記載の方法における使用に適切なイメージングシステムは、個々の微粒子が解像され得るように画像が取得できる任意のシステムであり得る。本明細書に記載の方法での使用に適切なイメージングデバイスとしては、限定されないが、光学顕微鏡、蛍光イメージングスキャナーなどが挙げられる。イメージングシステムのかかる使用は、例えば米国特許出願公開第2012−0308997号(該使用に関するこの教示は参照により組み込まれる。)に記載されている。本明細書に記載の方法での使用に適切な画像ファイルの種類としては、限定されないが、JPEG/JFIF、GIF、BMP、TIFFおよびFITSが挙げられる。画像ファイル形式は画像ファイル形式のウィキペディア(ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコルによってアクセス可能なウェブサイトen.wikipedia.org/wiki/image_file_formatsの無料の百科事典)(参照により本明細書に組み込まれる。)に記載されており、FITSは、FITSのウィキペディア(ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコルによってアクセス可能なウェブサイトen.wikipedia.org/wiki/FITSの無料の百科事典)(参照により本明細書に組み込まれる。)に記載されている。
画像取得の際の露光時間は重要でない。本明細書に記載の方法での使用に適切な露光時間は、画像の該当する詳細部を識別するのに充分な解像がもたらされる任意の露光時間であり得る。
対象領域の選択は重要である。適切なコンピュータプログラムの使用により、個々の微粒子の位置が、対比またはなんらかの択一的な基準によって決定される。微粒子または他の固相支持体と関連するピクセルを対象領域とみなしてもよい。試料中の被検物の有意義な濃度値を得るためには、典型的には少なくとも約100個の微粒子、例えば少なくとも約200個の微粒子を画像内に存在させる。本明細書に記載の方法における使用に適切な市販のコンピュータプログラムとしては、限定されないが、商標「SLIDEBOOK」(Intelligent Imaging Innovations,Inc.,Denver,CO;インターネット上のslidebook.com)および「METAMORPH」(Molecular Devices,LLC,Sunnyvale,CA)を有するプログラムまたはパブリックドメインのソフトウェア、例えばImageJ(インターネット上のrsbweb.nih.gov/ij/)などが挙げられる。
該方法の一形態の実施において、市販の蛍光顕微鏡、例えば落射蛍光顕微鏡が使用され、複合体は、これを支持している透明な表面を介してイメージングされ得る。標準的な落射蛍光顕微鏡、共焦点またはTIRF(全反射照明蛍光)顕微鏡が使用され得る。さまざまな実施形態においてTIRF顕微鏡が使用され、これは、この型の顕微鏡がより良好なz軸平面の解像を有しており、これにより微粒子が配置された焦点面より上からのシグナルが排除され、これによりバックグラウンドシグナルが低減され得るためである。かかる顕微鏡の代表例は高解像度CCDカメラ(例えば、Hamamatsu Model C4742−80−12AG;インターネット上のlearn.hamamatsu.com/products)と連動させた電動式倒立蛍光顕微鏡(OLYMPUS「IX81」;インターネット上のolympusamerica.com/)である。有用な他の同等の顕微鏡およびカメラが市販されている。
該方法のこの基本形態では、全容量の反応混合物からの光シグナルが使用される慣用的なアッセイより高い感度を得るために単色アプローチが使用され得る。このより高い感度は、一次関数のプロットが、慣用的なアッセイで較正曲線として使用される線形プロットのものと比べて低濃度において大きな傾きを有することによって明示され得る。
被検物結合性捕捉分子を有する微粒子、フルオロフォアに結合した被検物結合性検出分子、および被検物を含んでいることが疑われる試料を、アッセイが行われるのに適切な条件下で合わせる。アッセイを行った後、被検物結合性捕捉分子と結合している微粒子、被検物、およびフルオロフォアに結合した被検物結合性検出分子を含むコンジュゲートで構成された複合体からのものでない蛍光性の光シグナル(あれば)を排除する。次いで、残存している複合体を、コンジュゲートのフルオロフォアが発する蛍光に基づいてさらに定量する。この後者の工程により、微粒子の表面上の選択基準を満たさないセクション(あれば)が排除される。例えば標準偏差などの統計パラメータに基づいて、選択基準の典型的な例は、測定に使用される微粒子が実質的に均一なコーティングを有することであり、これにより、高度の非特異的結合に起因し得るコンジュゲートの過剰な凝集が本質的に排除される。一般に、選択基準は具体的なアッセイに応じてさまざまである。具体的なアッセイの当業者は該具体的なアッセイの有意義な選択基準を設定することができるはずである。最後に、強度を被検物の濃度が強度の関数として作成された較正曲線と比較するため、定量した粒子のピクセルあたりの強度の平均値を測定する。定量した粒子のピクセルあたりの強度の平均値は、CCDカメラ(これにより光の強度が測定され得る。)によって求めることができる。強度の測定値を、計数の単位で表示されるパラメータに変換する。各ピクセルは、該ピクセルにおいて測定された光の強度に対応する数値を有する。
別の実施形態では、反応混合物の白色光画像を得る。白色光画像は、各固相支持体、例えば微粒子の位置を確認するために使用される。白色光画像は、照光と検出の両方で全電磁スペクトルを使用することにより形成される。この工程は必要ではないが、微粒子から生じたものでないシグナルが排除されるため有用である。次いで蛍光画像を取得し、微粒子に結合された被検物結合性検出分子の位置と強度を調べる。蛍光画像には色、例えば赤、緑が使用される。ピクセルあたりの計数を計算し、ピクセルあたりの計数の平均と標準偏差を記録する。例えば前述の標準偏差の2倍より大きいか、または小さい計数を有するピクセルを解析から除外する。残りのピクセルのピクセルあたりの平均計測数を計算する。被検物結合性検出分子の標識から測定されたシグナルの量により被検物の濃度が求められる。
より高度な感度が得られる測定を行うためには、市販の落射蛍光顕微鏡が使用され、複合体は、これを支持している透明な表面を介してイメージングされ得る。かかる顕微鏡の代表例は、高解像度CCDカメラ(Hamamatsu Model C4742−80−12AG)(これは数多くの供給元から市販されている。)と連動させた電動式倒立蛍光顕微鏡(OLYMPUS「IX81」)である。
この高感度測定では、二色アプローチが、全容量の反応混合物からの光シグナルが使用される慣用的なアッセイおよび先に記載の単色アプローチによって行われる測定のどちらよりも高い感度を得るために使用される。このより高い感度は、一次関数のプロットが、慣用的なアッセイまたは単色アプローチが使用されるアッセイで較正曲線として使用される線形プロットのものと比べて低濃度において大きな傾きを有することによって明示される。本発明の方法を行うために、市販の機器類を、第1の標識によって同定される第1の3部構成複合体を検出するための第2の検出チャネルおよび第2の標識によって同定される第2の3部構成複合体を検出するための第2のチャネルを追加して適合させる。蛍光チャネルは、励起フィルターと発光フィルターを含む一組のフィルターで画定され、これにより、特定の波長を有する光が試料に達し、特定の波長を有するシグナルがCCDカメラに達することが可能になる。例えば、フルオロフォアPEはPEチャネル内でのみ検出され得、任意の他の蛍光チャネル内では検出され得ない。同様に、フルオロフォアCy5はCy5チャネル内でのみ検出され得、任意の他の蛍光チャネル内では検出され得ない。第2の検出チャネルを含むように容易に適合させ得る代表的な自動化および半自動化システムとしては、例えば、ARCHITECT(R)、AxSYM(R)、IMx(R)PRISM(R)、EIA(ビーズ)、Quantum(商標)II、およびAbbott Point of Care(i−STAT(R),Abbott Laboratories)が挙げられる。
被検物結合性捕捉分子を有する微粒子、フルオロフォアに結合した被検物結合性検出分子、および被検物を含んでいることが疑われる試料を、アッセイが行われるのに適切な条件下で合わせる。アッセイを行った後、被検物結合性捕捉分子に結合している微粒子、被検物、および第1のフルオロフォアに結合した被検物結合性検出分子を含むコンジュゲートで構成された複合体からのものでない蛍光性の光シグナル(あれば)を排除する。次に、被検物結合性捕捉分子(第1のフルオロフォアと異なる第2のフルオロフォアを特徴とする。)の画像を得る。この画像では、被検物結合性捕捉分子で均一な様式でコートされていない微粒子(あれば)に対応するピクセル(あれば)が排除される。微粒子が一様にコートされていない場合、該部分のピクセルを除外する。次いで複合体を、コンジュゲートが発する蛍光に基づいてさらに定量する。この後者工程により、複合体上の選択基準を満たさないセクション(あれば)が除外される。選択基準の典型的な例は均一なコーティングであり、これにより、高度の非特異的結合に起因し得るコンジュゲートの過剰な凝集が本質的に排除される。先に記載のように、選択基準は具体的なアッセイに応じてさまざまである。最後に強度を、被検物の濃度を確立した較正曲線と比較するため、定量した粒子のピクセルあたりの強度の平均値を測定する。
別の実施形態では、試料の白色光画像を得る。白色光画像は、微粒子の位置を調べるために使用される。この工程は必要ではないが、各固相支持体、例えば微粒子の位置を確認することが望ましい場合があり得るため有用である。次いで第1の蛍光画像を取得し、微粒子に結合された被検物結合性捕捉分子の位置を調べる。第1の蛍光画像には色、例えば赤、緑が使用される。第2の蛍光画像を取得し、コンジュゲートの成分として存在している被検物結合性分子の位置を調べる。第2の蛍光画像にも色、例えば赤、緑が使用されるが、第2の蛍光画像の色は第1の蛍光画像の色と区別する。微粒子上の被検物結合性捕捉分子とコンジュゲート上の被検物結合性分子の両方に由来するピクセルをさらなる解析に選択する。ピクセルあたりの計数を計算し、ピクセルあたりの計数の平均と標準偏差を記録する。例えば計算された標準偏差の2倍より大きいか、または小さい計数を有するピクセルを解析から除外する。残りのピクセルのピクセルあたりの平均計測数を計算する。被検物結合性検出分子の標識から測定されたシグナルの量により被検物の濃度が求められる。
7.具体的な機器へのキットおよび方法の適合
本明細書に記載の概念、キットおよび方法は、任意のシステムまたは機器、例えば任意の手動、自動化または半自動化システムにおいて実行され得る。以下の適合例は単なる例示として含めている。本明細書に記載のアッセイによって試験試料中の被検物の濃度を求めるキット(またはこの構成要素)ならびに方法は、さまざまな自動化および半自動化システム(例えば、固相支持体が電極または微粒子を含むもの)における使用のために適合させ得る。実例としての自動化および半自動化システムは、例えば、米国特許第5,089,424号明細書および同第5,006,309号明細書に記載されており、例えばAbbott Laboratories(Abbott Park,IL)によってARCHITECT(R)として市販されている。
自動化または半自動化システムを非自動化システム(例えば、ELISA)と比べたときの違いの一例としては、被検物結合性捕捉分子(1つまたは複数)(例えば、被検物結合性捕捉分子、例えば、抗体または抗原に活性なこの断片)を結合させる基材(これはサンドイッチ形成および被検物の反応性に影響を及ぼし得る。)、ならびに捕捉、検出および/または場合により洗浄工程(あれば)の長さおよびタイミングが挙げられる。ELISAなどの非自動化形式では、試料および捕捉試薬との比較的長いインキュベーション時間(例えば、約2時間)が必要とされ得るが、自動化または半自動化され形式(例えば、ARCHITECT(R),Abbott Laboratories)では比較的短いインキュベーション時間(例えば、ARCHITECT(R)ではおよそ18分間)でよい。同様に、ELISAなどの非自動化形式では、被検物結合性検出分子(1つまたは複数)(例えば、被検物結合性検出分子、例えば、抗体またはこの抗原に活性な断片)、例えばコンジュゲート試薬は比較的長いインキュベーション時間(例えば、約2時間)でインキュベートされ得るが、自動化または半自動化され形式(例えば、ARCHITECT(R))では比較的短いインキュベーション時間(例えば、ARCHITECT(R)ではおよそ4分間)でよい。
Abbott Laboratoriesから入手可能な他のプラットフォームとしては、限定されないが、AxSYM(R)、IMx(R)(例えば、米国特許第5,294,404号明細書(これは参照によりこの全体が明細書に組み込まれる。)参照)、PRISM(R)、EIA(ビーズ)およびQuantum(商標)II、ならびに他のプラットフォームが挙げられる。さらに、アッセイ、キットおよびキットの構成要素は他の形式でも、例えば、電気化学的または他の携帯型もしくはポイントオブケアアッセイシステムにおいて使用され得る。本開示は、例えば、サンドイッチアッセイを行う市販のAbbott Point of Care(i−STAT(R),Abbott Laboratories)電気化学的アッセイシステムに適用可能である。免疫センサーならびにこの製造方法および単回使用試験デバイスにおける動作方法は、例えば、米国特許第5,063,081号明細書、米国特許出願公開第2003/0170881号明細書、米国特許出願公開第2004/0018577号明細書、米国特許出願公開第2005/0054078号明細書、および米国特許出願公開第2006/0160164号明細書(これらの該センサーならびに方法に関するこの教示は参照によりこの全体が組み込まれる。)に記載されている。
特に、アッセイのI−STAT(R)システムへの適合に関して、以下の構成体が有用である。一対のアンペロメトリック金作用電極と銀−塩化銀参照電極を有する微細加工シリコンチップを製造する。一方の作用電極の上面において、高親和性被検物結合性捕捉分子(1つまたは複数)を固定化したポリスチレンビーズ(0.2mm直径)を、該電極上のパターン化ポリビニルアルコールのポリマーコーティングに接着させる。親和性が低い方の固定化被検物結合性捕捉分子(1つまたは複数)を第2の電極に接着させる。典型的なI−STAT(R)アッセイでは、他方の電極を、抗ヒト血清アルブミンまたは目的の被検物に結合しない別のタンパク質でコートした参照ビーズまたは微粒子でコートする。このチップをアッセイに適切な流体工学形式を有するI−STAT(R)カートリッジにする。カートリッジの試料収容チャンバの壁面の一部には、アルカリホスファターゼ(または他の標識)で標識された被検物結合性検出分子(1つまたは複数)を含む層が存在する。カートリッジの流体パウチ内には、p−アミノフェノールホスフェートを含む水性試薬が存在する。
動作時は、被検物を含む試料を試験カートリッジの収容チャンバに添加し、このカートリッジをI−STAT(R)リーダー内に挿入する。被検物結合性検出分子(1つまたは複数)(例えば、被検物結合性検出分子、例えば、抗体または抗原に活性なこの断片)が試料中に溶解したら、カートリッジ内のポンプエレメントが試料を、該チップを内包するコンジット内に押し込む。ここでは、被検物結合性捕捉分子(1つまたは複数)、被検物および標識された被検物結合性検出分子(1つまたは複数)間のサンドイッチの形成が促進されるように振動される。アッセイの最後から2番目の工程では、流体がパウチから押し出されてコンジット内に入り、試料がチップから洗い流され、廃棄物チャンバ内に入る。アッセイの最終工程では、アルカリホスファターゼ標識がp−アミノフェノールホスフェートと反応してリン酸基が切断され、遊離したp−アミノフェノールが作用電極において電気化学的に酸化されることが可能になる。測定された電流に基づき、リーダーにより、組み込まれたアルゴリズムおよび工場測定値の較正曲線によって試料中の被検物の量が計算され得る。
さらに、本明細書に記載の方法およびキットは、アッセイを行うための他の試薬および方法を必然的に包含することは言うまでもない。例えば、種々のバッファー、例えば、当該技術分野で知られているものおよび/または例えば、洗浄のため、コンジュゲート希釈剤として、および/または較正標準希釈剤として使用するために容易に調製もしくは最適化され得るものが包含される。例示的なコンジュゲート希釈剤はARCHITECT(R)コンジュゲート希釈剤であり、これは特定のキット(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)に使用されており、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、塩、タンパク質ブロッカー、抗菌剤およびデタージェントを含むものである。例示的な較正標準希釈剤はARCHITECT(R)較正用ヒト試料希釈剤であり、これは特定のキット(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)に使用されており、MES、他の塩、タンパク質ブロッカーおよび抗菌剤を含有しているバッファーを含むものである。さらに、米国特許出願第61/142,048号(2008年12月31日出願)に記載のように、例えばI−STAT(R)カートリッジ形式において、シグナルまたは被検物結合性検出分子と関連する核酸配列をシグナル増幅因子として使用するとシグナル生成の改善が得られ得る。
一般的に、本発明のキットおよび方法での使用のため、自動化および半自動化システムを、第1の標識によって同定される第1の3部構成複合体を検出するための第1のチャネルと第2の標識によって同定される第2の3部構成複合体を検出するための第2のチャネルの2つの異なるチャネルを用いて試料が解析されるように適合させる。
一般的に、本発明のキットおよび方法は任意の目的に、例えば、数ある用途の中でも、患者を診断、予後診断またはこの治療的/予防的処置の有効性を評価するために使用され得る。
以下の実施例は本開示を例示するために示している。本実施例はなんら請求項に記載の発明の範囲を限定することを意図するものではない。
[実施例1]
好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)の滴定
この実施例では、単独のトレーサー被検物を内部較正標準として使用することの機能性および有用性を、代表的な被検物NGALを用いて示す。
この試験は、ATCC受託番号PTA−8024を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって生成させた抗体(以下、本明細書において「mAb2322」)およびATCC受託番号PTA−8026を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−903−430によって生成させた抗体(以下、本明細書において「mAb903」)を用いて行った。マウスハイブリドーマ細胞株1−903−430および1−2322−455は各々、American Type Culture Collection(以下、本明細書において「ATCC」と称する。),10801 University Blvd.,Manassas,VA.20110−2209に、2006年11月21日に寄託されたものである。細胞株1−903−430にはATCC受託番号PTA−8026が割り当てられた。細胞株1−2322−455にはATCC受託番号PTA−8024が割り当てられた。微粒子を抗NGAL抗体mAb2322でコートした。抗NGALマウスモノクローナル抗体および組換えヒトNGALは、既報(Olejniczak,E.T.,Ruan,Q.,Ziemann,R.N.,Birkenmeyer,L.G.,Saldana,S.C.およびTetin,S.Y.Biopolymers(2010)93(7):657−67)のとおりに作製し、精製した。抗ヒトモノクローナル抗体でコートした微粒子はmAb2322に直接結合し得る。
抗NGAL抗体mAb903をCy5で標識した(「Ab−Cy5」)。Cy3で標識したNGAL(NGAL−Cy3)を被検物トレーサー/内部較正標準として使用した。Cy3およびCy5は、シアニン色素ファミリーの反応性の水溶性蛍光色素である。Cy3は電磁スペクトルの黄色領域(およそ570nm)で蛍光性であるが、電磁スペクトルの緑色領域(およそ550nm)で吸収がみられる。Cy5は電磁スペクトルの赤色領域(およそ650nmまたは670nm)で蛍光性であるが電磁スペクトルのオレンジ色の領域(およそ649nm)で吸収がみられる。例えば、「Technical Information on Probes Conjugated to Affinity−Purified Antibodies and to Other Proteins:Cyanine Dyes(Cy2,Cy3,and Cy5)」(これは、ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコルによりワールドワイドウェブ上のウェブサイトjacsonimmuno.com/technical/f−cy3−5.aspにおいてアクセス可能であり、参照により本明細書に組み込まれる。)を参照のこと。
1種類の較正標準と7種類の試料を表1のとおりに調製し、図3に示すようにして処理した。一般的には、既知濃度を有する試料を試験試料であるかのようにして処理した。
Figure 2016512326
表2は、各試料Cy5/Cy3の強度の比、および式:
Figure 2016512326
(式中、トレーサー被検物濃度(即ち、[トレーサー])は40pMであり、補正係数Fは2.0であり、Cy5/Cy3は表2の2列目に示した強度の比である。)を用いて測定したNGAL(即ち、[被検物])の濃度を示す。
Figure 2016512326
表2からわかるように、既知(調製)試料濃度(1列目)と被検物濃度の測定値(3列目)との間に良好な整合性がみられる。
[実施例2]
NGALアッセイ
この実施例では、ARCHITECT(R)NGALアッセイおよび較正標準キット(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)を使用して行ったNGALアッセイを示す。NGALトレーサー被検物(NGAL−Cy3)および抗体コンジュゲート(mAb903−Cy5)を別々に調製し、キットの構成要素(例えば、NGAL微粒子およびNGAL較正標準)とともに使用した。
キットの6つのNGAL較正標準のうち5つ(即ち、10、100、500、1000および1500ng/mLの較正標準)を試験試料であるかのようにして加工し、処理した。0ng/mLの較正標準を内部較正標準を調製するための希釈剤として使用した。6つの各々に対して、以下の工程を行った。
1.10μLの62.5ng/ml NGAL−Cy3+10μLの各NGAL試料+2μLの800nM Abコンジュゲートを混合する。
2.5分間インキュベートする。
3.2μLのNGAL 0.1%微粒子を添加する。
4.5分間インキュベートする。
5.HBS−EPバッファー(GE Healthcare,Inc.,カタログ番号BR−1001−88;10mM HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸),150mM NaCl,3mM EDTAおよび0.005%Tween−20)で2回洗浄する。
工程1から5を行った後、試料の蛍光画像を顕微鏡上で取得した。
Cy3およびCy5チャネル内の粒子の蛍光強度を各試料について測定した。値を以下の表3の2列目と3列目に示す。Cy5/Cy3の比(4列目)を使用し、各試料NGAL被検物濃度(6列目)を同じ式:
Figure 2016512326
(式中、[トレーサー]は62.5ng/mLであり、Fは0.57であり、Cy5/Cy3は表3の4列目に示した強度の比である。)
を用いて計算した。
Figure 2016512326
NGALの測定値と実際のNGAL値との間の相関性は100%であった(データをプロットし、線にフィットさせることにより得られた値;データ示さず)。この結果により、本明細書に記載のアプローチを用いてアッセイを行うために必要とされるのは内部較正標準となる1種類の較正標準だけであることが確認される。NGAL測定値はすべて、この較正標準を基準にして求められた。
本発明者らはさらにNGALアッセイ条件を、例えば、図4に示すように異なる量の微粒子を使用し、異なる時間でインキュベートすることにより変更した。この結果により、コンジュゲートまたは検出抗体(Cy5)とトレーサー(Cy3)の強度の比は所与の被検物濃度で一定のままであることが確認された。これにより、この内部較正標準によって実験の差異が自動的に補正され得ることがさらに確認される。
本明細書に記載の実施例および実施形態は実例を示す目的のためにすぎないこと、ならびにこれらの鑑みて種々の修正および変更が当業者に示唆され、本出願の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲の範囲に包含されることは理解されよう。
共同所有の係属中の出願である米国特許非仮出願第13/833,655号明細書(発明の名称「広いダイナミックレンジを有するアッセイ」,2013年3月15日出願)は参照により、「フック効果」を回避し、アッセイのダイナミックレンジを拡大するためのキットおよび方法に関するこの教示の全体が明示的に組み込まれる。
本明細書において挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、参照によりこの全体があらゆる目的のための本明細書に組み込まれる。

Claims (23)

  1. 第1の標識を含むトレーサー被検物、被検物結合性捕捉分子、および第2の標識を含む被検物結合性検出分子を備えたキットであって、当該被検物結合性捕捉分子と当該被検物結合性検出分子が当該トレーサー被検物と同時に結合し得るキット。
  2. 当該被検物結合性捕捉分子が、固相支持体に結合されている、請求項1に記載のキット。
  3. 当該固相支持体が、粒子、微粒子、ビーズ、電極およびマルチウェルプレートからなる群より選択される、請求項2に記載のキット。
  4. 当該被検物結合性捕捉分子および/または当該被検物結合性検出分子のうち一方または両方が、抗体またはこの断片である、請求項1から3のいずれか一項に記載のキット。
  5. 当該第1の標識および当該第2の標識の一方または両方が発色団である、請求項1から4のいずれか一項に記載のキット。
  6. 当該第1の標識および当該第2の標識の一方または両方がフルオロフォアである、請求項5に記載のキット。
  7. アッセイの内部較正方法であって、
    a)被検物結合性捕捉分子を、第1の標識で標識された所定の濃度のトレーサー被検物および第2の標識で標識された所定の濃度の被検物結合性検出分子と接触させる工程、ここで、当該被検物結合性捕捉分子と当該被検物結合性検出分子は当該トレーサー被検物に同時に結合する;
    b)得られた当該第1の標識のシグナル強度(I1)および得られた当該第2の標識のシグナル強度(I2)を測定する工程;
    c)当該第1の標識の強度(I1)に対する当該第2の標識の強度(I2)の比として補正係数(F)を求める工程であって;当該補正係数を求めることによりアッセイの内部較正が可能である、
    を含む、前記方法。
  8. 1種類以上の試験試料中の被検物の濃度を求める方法であって、
    a)被検物結合性捕捉分子を、第1の標識で標識された所定の濃度のトレーサー被検物および第2の標識で標識された所定の濃度の被検物結合性検出分子と、試験被検物を含んでいるかもしれない1種類以上の試験試料の非存在下または存在下のいずれかで接触させる工程、ここで、当該被検物結合性捕捉分子と当該被検物結合性検出分子は当該トレーサー被検物に、および存在する場合は前記1種類以上の試験試料中の試験被検物に同時に結合する;
    b)前記1種類以上の試験試料の非存在下で得られた当該第1の標識のシグナル強度(I1)および当該第2の標識のシグナル強度(I2)を測定する工程;
    c)当該第1の標識の強度(I1)に対する当該第2の標識の強度(I2)の比として補正係数(F)を求める工程;
    d)前記1種類以上の試験試料の存在下で得られた当該第1の標識のシグナル強度(I1)および当該第2の標識のシグナル強度(I2)を測定する工程;ならびに
    e)当該第1の標識の強度(I1)に対する当該第2の標識の強度(I2)の比を当該補正係数(F)で除算し、トレーサー被検物の当該所定の濃度を減算することにより前記1種類以上の試験試料中の試験被検物の濃度を求める工程
    を含む、前記方法。
  9. トレーサー被検物の当該所定の濃度が、当該被検物結合性捕捉分子の結合能の飽和未満である、請求項7から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. トレーサー被検物の当該所定の濃度が、予測される試験被検物の濃度より低い濃度から予測される目標試験被検物の濃度より約5倍高い濃度の範囲である、請求項8から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 2ステップアッセイ形式が使用される、請求項7から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 2ステップアッセイ形式が使用される場合、被検物結合性検出分子の当該所定の濃度が、最初の工程で捕捉される被検物およびトレーサー被検物の濃度以上である、請求項11に記載の方法。
  13. 1ステップアッセイ形式が使用される、請求項7から10のいずれか一項に記載の方法。
  14. 1ステップアッセイ形式が使用される場合、被検物結合性検出分子の当該所定の濃度が、被検物およびトレーサー被検物の濃度より高い、請求項13に記載の方法。
  15. 自動化または半自動化システムを用いて行われる、請求項7から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 当該被検物結合性捕捉分子が固相支持体に結合されている、請求項7から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 当該固相支持体が、粒子、微粒子、ビーズ、電極およびマルチウェルプレートからなる群より選択される、請求項16に記載の方法。
  18. 当該被検物結合性捕捉分子および/または当該被検物結合性検出分子のうち一方または両方が、抗体またはこの断片である、請求項7から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 当該第1の標識が第1の発色団であり、当該第2の標識が第2の発色団である、請求項7から18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 当該第1の標識が第1のフルオロフォアであり、当該第2の標識が第2のフルオロフォアである、請求項19に記載の方法。
  21. 工程b)と工程d)が同時に、または任意の順序で行われ得る、請求項8から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 工程d)と工程e)が1回以上反復される、請求項8から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 工程a)から工程c)が1回しか行われない、請求項8から22のいずれか一項に記載の方法。
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