JP2016510608A - 大環状トリエンラクトン薬物および最少量の抗酸化安定剤を含む埋込型医療機器ならびに製造方法 - Google Patents

大環状トリエンラクトン薬物および最少量の抗酸化安定剤を含む埋込型医療機器ならびに製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】パッケージする時に最少量の抗酸化剤を有する、抗酸化剤で安定化した大環状トリエンラクトンDES、およびそれを実現する方法を提供する。【解決手段】本発明は、大環状トリエンラクトンを含む埋込型医療機器の製造中に、抗酸化安定剤の適切な量の添加により保護されている酸素感受性大環状トリエンラクトンであって、ここで抗酸化安定剤の量は、最終的にパッケージされた製品において最少レベルに、好ましくは検出されないレベルまでに減じられている、酸素感受性大環状トリエンラクトンに関する。【選択図】図1

Description

本発明は、酸素感受性大環状トリエンラクトン薬物を含む埋込型医療機器(implantable medical device: IMD)であって、該大環状トリエンラクトン薬物は、抗酸化安定剤の添加により酸化的分解から保護されており、抗酸化安定剤の量が、IMDが製造され、滅菌され、不活性雰囲気下で遮光容器にパッケージされる時までに、初期有効濃度から最少量または検出されない量で減じられている、埋込型医療機器に関する。抗酸化剤が最少量の最終製品を得る方法も提示される。
1980年代半ばまで、アテローム性動脈硬化症、すなわち冠動脈の狭窄に許容された治療法は、冠動脈バイパス術であった。バイパス術は、侵襲的手技として、きわめて効果的であり、かつ比較的高い安全性までに進化したものの、なおも深刻な合併症を併発する可能性があり、一般には回復期間が長くなる。
経皮経管冠動脈形成術(PTCA)が1977年に登場すると、状況は劇的に変化した。当初は心臓の調査用として開発されたカテーテル技術を用いて、動脈内の閉塞領域を再開通するのに拡張性バルーンが採用された。この手技は比較的非侵襲的であり、バイパス術と比較して短時間で済み、回復時間は最小限であった。しかし、PTCAは、血管けいれん、伸長した動脈壁の弾性反跳および再狭窄、処置近傍における新内膜過形成による治療済み動脈の再閉塞などのPTCA自身の問題を呼び寄せ、そのいずれかによっては達成されたことの多くが無効となり得る。
1980年代半ばに進歩した次の改良は、PTCAを用いて再確立した管腔直径を維持するためのステントの使用であった。この改良は、事実上血管けいれんと弾性反跳を克服したが、再狭窄の問題は解決しなかった。すなわち、ステント導入前、PTCAを受けた患者の約30〜50%で再狭窄が発生した。ステント留置により、再狭窄は約15〜30%まで減じ、実質上改善したものの、なおも望ましい割合よりも高い。
2003年に、薬剤溶出ステント(DES)が導入された。DESで当初使用された薬物は、細胞増殖抑制化合物、すなわち、再狭窄を促進する細胞増殖を抑制する化合物であった。DESにより、再狭窄の発生が、比較的許容可能な数値である約5〜7%まで減じた。しかし、DESの使用により、他の合併症、すなわちステントを所定位置に留めてからある程度時間がたって血餅が形成される遅発性ステント血栓症がなお発生した。血餅の形成は、治癒の遅れ、細胞増殖抑制薬物の使用による副作用によるものと考えられるとの仮説がたてられた。したがって、遅発性ステント血栓症とともに細胞増殖抑制剤の使用に関連した他の合併症の発生を減じるため、他のタイプの薬物が探し求められた。抗増殖系の化合物、特に、驚くほどの効果がみられたラパマイシンなどの大環状トリエンラクトンに有力な解決策が見いだされた。各種ラパマシン系化合物を含むDESが鋭意研究されており、いくつかが市販製品となった。しかし、大環状トリエンラクトン系化合物には3つの共役二重結合があるという事実に少なくとも部分的に起因して、その種類全体が酸化およびフリーラジカル誘導分解を受けやすいことがわかった。すなわち、大環状トリエンラクトンを含有するDES中のおよび周辺の酸素が、トリエン部分の自動酸化を開始するラジカル種の形成を促進する。それら化合物のこの負の特性に対する対応は当業者にとって自明であった。それは、薬学的に許容される(pharmaceutically acceptable)抗酸化剤を、どちらも合成および精製された単離固形物として、大環状トリエンラクトン薬物と一緒に含め、かつDESにおいても大環状トリエンラクトンを含有する薬物リザーバー層(drug reservoir layer)中に含めることにより、大環状トリエンラクトンを保護することであった。
DESで使用するのに適した抗酸化剤など多くの抗酸化剤は、患者にとって健康にあまりよくないという問題がある。これは、光から保護された本質的に無酸素の雰囲気下で製造およびパッケージすると、大環状トリエンラクトンは実際に適度に安定であるという事実とともに、抗酸化剤は、大環状トリエンラクトン含有DESの製造中には存在するが、DESがキャリアー媒体に搭載され、滅菌され、遮光した不活性雰囲気の容器にパッケージされたら、またはDESが患者に埋め込まれたら、残存する抗酸化剤を可能な限り少なくすることが有益であることを示唆している。本発明は、パッケージする時に最少量の抗酸化剤を有する、抗酸化剤で安定化した大環状トリエンラクトンDES、およびそれを実現する方法を提供する。
したがって、本発明の一態様は、薬物リザーバー層を備える、埋込型医療機器であって、当該薬物リザーバー層は、大環状トリエンラクトン薬物と、当該薬物リザーバー層中に存在する前記大環状トリエンラクトン薬物の重量に基づき約0.001〜約0.01重量%の薬学的に許容される抗酸化安定剤と、を含む。
本発明の1つの態様では、大環状トリエンラクトン薬物は、ラパマイシン、40−O−置換ラパマイシン、16−O−置換ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、32−デオキソラパマイシン、ゾタロリムス、エベロリムス、テムシロリムス、デフォロリムス、リダフォロリムス、メリリムス、バイオリムス、ウミロリムス、ノボリムスおよびマイオリムスからなる群から選択される。
本発明の1つの態様では、大環状トリエンラクトン薬物は非晶質固体である。
本発明の1つの態様では、大環状トリエンラクトン薬物はエベロリムスである。
本発明の1つの態様では、薬学的に許容される抗酸化安定剤は、ブチル化フェノール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール、t−ブチルヒドロキノン、キノン、没食子酸アルキル、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル、レスベラトロール、システイン、n−アセチルシステイン、ブシラミン、グルタチオン、7−ヒドロキシエチルルトシド、カルベジロール、ビタミンC、パルミチン酸アスコルビル、フマル酸、トコフェロール、α−トコフェロール、D,L−α−トコフェロール、α−酢酸トコフェロール、トコトリエノール、ビタミンE、リコペン、フラボノイド、カロテノイドおよびカロテンからなる群から選択される。
本発明の1つの態様では、薬学的に許容される抗酸化安定剤はBHTである。
本発明の1つの態様では、埋込型医療機器はステントである。
本発明の1つの態様は、大環状トリエンラクトン薬物と、前記大環状トリエンラクトン薬物の重量に基づき0.01重量%未満の薬学的に許容される抗酸化安定剤と、を含む薬物リザーバー層を備える埋込型医療機器を製造する方法であって、
埋込型医療機器を用意する工程であって、前記埋込型医療機器は機器本体、または、1つ若しくは複数の材料の層ですでにコーティングされている機器本体である、工程と、
本質的に純粋な大環状トリエンラクトン薬物を用意する工程と、
機器本体上に配置される大環状トリエンラクトン薬物の重量に基づき0.02〜0.1重量%の量で、薬学的に許容される抗酸化安定剤を用意する工程と、
大環状トリエンラクトン薬物と薬学的に許容される抗酸化安定剤とを組み合わせる工程と、
組み合わせた大環状トリエンラクトン薬物および薬学的に許容される抗酸化安定剤を、コーティング溶媒に溶解または分散させる工程と、
前記薬物/安定剤を含有する溶媒を埋込型医療機器上にスプレーコーティングする工程と、
大環状トリエンラクトン薬物に悪影響を及ぼさないことが確認済みの高い温度で、スプレーコーティングした埋込型医療機器を乾燥する工程と、
乾燥したスプレーコーティングされた埋込型医療機器を、キャリアー媒体に搭載する工程と、
前記埋込型医療機器が搭載されたキャリアー媒体を滅菌する工程と
を含む方法である。
本発明の1つの態様では、上記方法において、溶解または分散させる工程において、マトリックスポリマーが、大環状トリエンラクトンおよび抗酸化安定剤に添加される。
本発明の1つの態様では、上記方法において、搭載する工程の後かつ滅菌する工程の前に、搭載済みの埋込型医療機器/キャリアー媒体が、ガス透過性容器にパッケージされる。
本発明の1つの態様では、上記方法において、前記滅菌する工程に、酸化エチレンを用いる。
本発明の1つの態様では、上記方法において、滅菌埋込型医療機器/キャリアー媒体/ガス透過性容器は、不活性雰囲気下で遮光容器にさらにパッケージされる。
本発明の1つの態様では、上記方法において、大環状トリエンラクトンと薬学的に許容される抗酸化安定剤とを組み合わせる工程は、固体状態にある各物質の粒子サイズを機械的に小さくし、マイクロスケールもしくはナノスケールの粉末を別個に形成し、この後に粉末を互いに混合することで、実質的に均一な混合粉末を形成する工程、または粒子サイズを機械的に小さくする前に、両方の固体物質を互いに混合する工程を含む。
本発明の1つの態様では、上記方法において、大環状トリエンラクトンと薬学的に許容される抗酸化安定剤とを組み合わせる工程は、両物質を水混和性溶媒に溶解させる工程と、次にその溶液を所定量の水に加え、大環状トリエンラクトンおよび抗酸化安定剤を共沈澱させ、次いでその共沈澱物を溶解/分散させる工程で使用する工程とを含む。
本発明の1つの態様では、上記方法において、埋込型医療機器はステントである。
本発明の1つの態様では、上記方法において、大環状トリエンラクトン薬物は、ラパマイシン、40−O−置換ラパマイシン、16−O−置換ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、32−デオキソラパマイシン、ゾタロリムス、エベロリムス、テムシロリムス、デフォロリムス、リダフォロリムス、メリリムス、バイオリムス、ウミロリムス、ノボリムスおよびマイオリムスからなる群から選択される。
本発明の1つの態様では、上記方法において、薬学的に許容される抗酸化安定剤は、ブチル化フェノール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール、t−ブチルヒドロキノン、キノン、没食子酸アルキル、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル、レスベラトロール、システイン、n−アセチルシステイン、ブシラミン、グルタチオン、7−ヒドロキシエチルルトシド、カルベジロール、ビタミンC、パルミチン酸アスコルビル、フマル酸、トコフェロール、α−トコフェロール、D,L−α−トコフェロール、α−酢酸トコフェロール、トコトリエノール、ビタミンE、リコペン、フラボノイド、カロテノイドおよびカロテンからなる群から選択される。
本発明の1つの態様では、上記方法において、薬学的に許容される抗酸化安定剤はBHTである。
本発明の1つの態様では、上記方法において、大環状トリエンラクトン薬物とBHTとを組み合わせる工程は、マイクロもしくはナノスケールの粉末に粉砕されている大環状トリエンラクトン固形物と、BHTとを、減圧下の容器中で混合する工程と、その混合物を、その減圧下におけるBHTの昇華温度を超える温度に加熱する工程を含む。
本発明の1つの態様では、上記方法において、大環状トリエンラクトンは、エベロリムスおよびゾタロリムスからなる群から選択される。
本発明の1つの態様では、乾燥埋込型医療機器の滅菌は、酸化エチレン滅菌、電子線滅菌またはガンマ線滅菌を含む。
大環状トリエンラクトンおよびBHTが存在する場合の、製造方法の各工程による、ステント上のBHT含量の減少を示すグラフである。
論議
本明細書で単数形を使用する場合、別途明記しない限り複数形が含まれ、またその逆も同様である。すなわち、「1つの(a)」、および「その(the)」とは、これらの語が修飾するあらゆるものの1つまたは複数を意味する。例えば、「1つの薬学的に許容される抗酸化剤」は、かかる抗酸化剤の1つ、かかる抗酸化剤の2つ、あるいは適切な条件下ではそれ以上の数の抗酸化剤を含む。同様の理由から、「コーティング」および「層」などの単語は、これらに限定されないが、ここでも、他に明示されている場合を除き、またはそれが意図されていないことが文脈から明らかである場合を除き、1つのコーティングまたは1つの層とともに複数のコーティングまたは複数の層を意味する。
本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、「約」、「実質的に」、「本質的に」、および「ほぼ」など、近似を表す単語は、かかる単語で修飾された特徴は、明示されているものに完全に一致する必要はなく、記載された記述とある程度異なってもよい。記述が異なることができる程度は、変更がどれほど大きく実施され得るかということにかかり、かつその程度によって、当業者は、修飾された特徴は、所定の特色および修飾されてない特徴の可能性をなお有することを理解するであろう。一般に、しかし前記論議を基にして、「約」などの近似を表す単語によって修飾されている、本明細書における数値は、記述された値の±15%で変動し得る。
本明細書では、多くの場合、「大環状トリエンラクトン」は、「MTL」と略される。
「埋込型医療機器」とは、本明細書において使用する場合、全部または一部が外科的または内科的に患者の身体に導入され、あるいは医学的介入によって自然開口部に導入され、処置後その位置に留まるよう意図された任意のタイプの器具を意味する。埋込期間は本質的に永久、すなわち、患者の生存期間中所定位置に留まるよう意図されることもあれば、機器が物理的に除去されるまで、または、通常、機器が予め設定された期間にわたり分解するように、機器の製造中に生分解性物質を意図的に使用するように、機器が生分解するまで、所定位置に留まるよう意図されることもある。埋込型医療機器の例としては、これらに限定されないが、埋込型心臓ペースメーカーおよび除細動器、それらのためのリード線および電極、神経刺激装置や膀胱刺激装置、括約筋刺激装置および横隔膜刺激装置などの埋込型臓器刺激装置、蝸牛インプラント、プロテーゼ、血管グラフト、自己拡張型ステント、バルーン拡張ステント、ステント−グラフト、グラフト、人工心臓弁、ならびに髄液シャントが挙げられる。
本発明の現在好ましい埋込型医療機器は、ステントである。
ステントとは、患者の身体において組織を所定位置に保持するのに使用する機器を、一般に意味する。ただし、特に有用なステントは、これらに限定されないが、腫瘍(例えば、胆管、食道、気管/気管支などにおける)、良性膵疾患、冠動脈疾患、頸動脈疾患、ならびにアテローム性動脈硬化症、動脈再狭窄および不安定プラークなどの末梢動脈疾患などを含む、疾患または障害によって血管が狭くなったり詰まったりした場合に、患者の身体において、血管の開存性を維持するために用いられる。不安定プラーク(VP)とは、炎症およびアテローム性動脈硬化症によって生じると考えられる動脈壁での脂質蓄積物を意味する。VPは薄い繊維性皮膜で覆われ、これが破裂すると血餅の形成を誘発する。ステントは、VP近傍の血管壁を補強するために用いることができ、こうした破裂を防ぐ遮蔽物として機能する。ステントは、これらに限定されないが、神経血管系、頸動脈血管系、冠血管系、肺血管系、腎臓血管系、腸骨血管系、大腿骨内血管系、膝窩血管系および脛骨血管系に加え、胆管での適用および他の末梢血管系に用いることができる。ステントは、これらに限定されないが、血栓症、動脈再狭窄、出血、血管解離または穿孔、動脈瘤、慢性完全閉塞、跛行、吻合部増殖、胆管閉塞、および尿管閉塞などの、障害の治療または予防にも用いることができる。
上の使用に加え、患者身体の特定の治療部位への治療薬の局所送達にステントを用いることもできる。実際に、治療薬の送達をステントの唯一の目的としてもよいし、またはステントは、付随的な利益をもたらす薬物送達を備えた上で上記のような別の用途を主目的としてもよい。本発明のDES、すなわち「薬剤溶出性ステント」は、埋込型医療機器の非限定的例である。DESの主目的は血管の開存性を維持することで、一方でステント上の薬物が、ステントの埋込への補助として病状を緩和する働きをする。
開存性維持に使用されるステントは、標的部位に圧縮状態で通常は送達され、次いで膨張して、ステントが挿入された血管に取り付けられる。標的場所に至ると、ステントは自己拡張型でもあるし、またはバルーン拡張型でもあり得る。いずれの場合も、ステントが拡張するので、ステント上の任意のコーティングは、可橈性で、かつ伸長が可能でなければならない。
「機器本体」とは、本明細書において使用する場合、完全に形成された埋込型医療であって、その外面には、機器自身の製造に用いられた材料とは異なる材料のコーティングまたは層が塗布されていない埋込型医療機器を意味する。機器本体の一般的な例は、ベアメタルステント(BMS)であるが、このステントは、名前が示す通り、ステントが作製された金属とは異なる任意の材料の層でコーティングされていない、身体の組織または体液と接触する任意の表面上に完全に形成された、利用可能なステントである。もちろん、機器本体とは、BMSだけではなく、何でできているかに関係なく、コーティングされていない任意の機器も意味する。機器本体が生体再吸収性ポリマーおよび腐食性金属で構成されることも知られている。
事実上任意の材料からできている、すなわち、埋込型医療機器の製造に有用であると現在知られている材料からできている埋込型医療機器が、および将来有用であると見いだされる可能性のある材料からできている埋込型医療機器が、本発明の方法で使用し得る。例えば、本発明で有用な埋込型医療機器を、これらに限定されないが、コバルトクロム合金(ELGILOY、L−605)、コバルトニッケル合金(MP−35N)、316Lステンレス鋼、例えばBIODUR108など高窒素ステンレス鋼、ニッケルチタン合金(NITINOL)、鉄白金クロム合金、タンタル、白金、白金イリジウム合金、鉄白金クロム合金、金およびそれらの組合せを含めて、1種または複数種の生体適合性金属またはそれらの合金で作製することが可能であるが、限定はされない。
埋込型医療機器は、また生体適合性および生体安定性または生分解性のポリマーで作製することも可能で、後者の用語には、生体吸収性、生体再吸収性および/または生体侵食性であることが含まれる。
「生体適合性」ポリマーとは、本明細書において使用する場合、その合成されたままの状態およびその分解した状態の双方の状態で、すなわち、その分解生成物は、生体組織にとって毒性を有さない、または少なくとも最低限度で毒性を有する;生体組織に傷害を与えない、または少なくとも最低限度で、および回復可能に傷害を与える;および/または、生体組織において、免疫反応を引き起こさない、または少なくとも最低限度で、および/または制御可能に免疫反応を引き起こすような、ポリマーを意味する。本発明の生体適合ポリマーは、生体安定性または生分解性であることができ、ここで、「生分解性」とは、生理的周囲に晒される時間にわたって、すなわち、pH、酵素の存在、体温などのような患者身体に存在する条件に晒される時間にわたって、ポリマーが分解していくことを、単に意味する。一方、「生体安定性」とは、そのポリマーが患者の身体中に留まる、本質的に全期間の間、生理的条件下では著しく分解することないポリマーを意味する。
本発明の埋込型医療機器で使用可能な、生体適合性で比較的生体安定性なポリマーの例として、これらに限定されないが、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリビニルハライド、ポリビニリデンハライド、ポリビニルエーテル、ポリビニル芳香族、ポリビニルエステル、ポリアクリロニトリル、ポリシロキサン、アルキド樹脂およびエポキシ樹脂が挙げられる。
生体適合性、生分解性ポリマーには、これらに限定されないが、コラーゲン、キトサン、アルジネート、フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース類、デンプン、デキストラン、デキストリン、ヒアルロン酸、ヘパリン、グリコサミノグリカン、ポリサッカライドおよびエラスチンなどの、天然起源のポリマーが含まれる。
本発明の埋込型医療機器本体を製造するのに、1種もしくは複数種の合成または半合成の生体適合性、生分解性ポリマーを使用することも可能である。合成ポリマーとは、本明細書において使用する場合、実験室にて完全に生成されるポリマーを意味し、一方、半合成ポリマーとは、実験室にて化学的修飾を受けた天然起源のポリマーを意味する。合成ポリマーの例として、これらに限定されないが、ポリホスファジン、ポリフォスフォエステル、ポリフォスフォエステルウレタン、ポリヒドロキシ酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリアンヒドリド、ポリエステル、ポリオルトエステル、ポリアミノ酸、ポリオキシメチレン、ポリ(エステルアミド)およびポリイミドなどが挙げられる。
本発明の、大環状トリエンラクトン薬物/抗酸化安定剤の薬物リザーバー層でコーティングされる機器を製造するのに使用可能な他の生体適合性ポリマーには、これらに限定されないが、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、任意選択によりアルキル、アミノ酸、PEGおよび/またはアルコール基を含有していてもよいポリ(エステルアミド)、ポリカプロラクトン、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−PEG)ブロックコポリマー、ポリ(D,L−ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリオルトエステル、ポリアンヒドリド、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、ポリフォスフォエステル、ポリフォスフォエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリカーボネート、ポリウレタン、co−ポリ(エーテル−エステル)(例えば、PEO/PLA)、ポリアルキレンオキサレート、ポリホスファゼン、PHA−PEG、ならびにそれらの組合せが含まれる。PHAとしては、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(PHB)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−バルレート)(PHBV)、ポリ(3−ヒドロキシプロピオネート)(PHP)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート)(PHH)などのポリ(β-ヒドロキシ酸)、または、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(4−ヒドロキシバルレート)、ポリ(4−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(ヒドロキシバルレート)などのポリ(4−ヒドロキシ酸)、ポリ(チロシンカーボネート)、ポリ(チロシンアリレート)、ポリ(エステルアミド)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ(3−ヒドロキシプロパノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバルレート)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシヘプタノエート)およびポリ(3−ヒドロキシオクタノエート)などのポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(4−ヒドロキシバルレート)、ポリ(4−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(4−ヒドロキシヘプタノエート)、ポリ(4−ヒドロキシオクタノエート)などのポリ(4−ヒドロキシアルカノエート)、ならびに、本明細書に記載の任意の3−ヒドロキシアルカノエートモノマーもしくは4−ヒドロキシアルカノエートモノマーまたはそれらの混合物、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド)、ポリグリコリド、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−co−カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(アンヒドリド)、ポリ(チロシンカルボネート)およびそれらの誘導体、ポリ(チロシンエステル)およびそれらの誘導体、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、ポリフォスフォエステル、ポリフォスフォエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリホスファゼン、シリコン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレンを含むコポリマー、ならびにエチレン−アルファオレフィンコポリマー、アクリルポリマーおよびコポリマー、ポリビニルクロライドなどのビニルハライドポリマーおよびコポリマー、ポリビニルメチルエーテルなどのポリビニルエーテル、ポリビニリデンクロライドなどのポリビニリデンハライド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリスチレンなどのポリビニル芳香族、ポリビニルアセテートなどのポリビニルエステル、エチレン−メチルメタクリレートコポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ABS樹脂、およびエチレン−ビニルアセテートコポリマーなどの相互およびオレフィンとビニルモノマーとのコポリマー、ナイロン66およびポリカプロラクタムなどのポリアミド、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリ(グリセリルセバケート)、ポリ(プロピレンフマレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(sec−ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルブチルメタクリレート)、ポリ(tert−ブチルメタクリレート)、ポリ(n−プロピルメタクリレート)、ポリ(イソプロピルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、エポキシ樹脂、ポリウレタン、レーヨン、レーヨントリアセテート、セルロースアセテート、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、セロファン、ニトロセルロース、セルロースプロピオネート、セルロースエーテル、カルボキシメチルセルロース、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、co−ポリ(エーテルエステル)(例えば、ポリ(エチレンオキシド−co−乳酸)(PEO/PLA))などのポリエーテル、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)などのポリアルキレンオキシド、ポリ(エーテルエステル)、ポリアルキレンオキサレート、ホスホリルコリン含有ポリマー、コリン、ポリ(アスピリン)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ヒドロキシプロピルメタクリルアミドなどのヒドロキシ保有モノマーのポリマーおよびコポリマー、PEGアクリレート(PEGA)、PEGメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)およびn−ビニルピロリドン(VP)を含有するメタクリレートポリマー、メタクリル酸(MA)、アクリル酸(AA)、アルコキシメタクリレート、アルコキシアクリレート、および3−トリメチルシリルプロピルメタクリレート(TMSPMA)などのカルボン酸保有モノマー、ポリ(スチレン−イソプレン−スチレン)PEG(SIS-PEG)、ポリスチレンPEG、ポリイソブチレンPEG、ポリカプロラクトンPEG(PCL-PEG)、PLA−PEG、ポリ(メチルメタクリレート)PEG(PMMA-PEG)、ポリジメチルシロキサン−co−PEG(PDMS-PEG)、ポリ(ビニリデンフロリド)PEG(PVDF-PEG)、プルロニック(PLURONIC)(商標)界面活性剤(ポリプロピレンオキシド−co−ポリエチレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)、ヒドロキシ官能性ポリ(ビニルピロリドン)、コラーゲン、キトサン、アルジネート、フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、デンプン、デキストラン、デキストリン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の断片および誘導体、ヘパリン、ヘパリンの断片および誘導体、グリコサミノグリカン(GAG)、GAG誘導体、ポリサッカライド、エラスチン、エラスチンタンパク質の模倣体、あるいはそれらの組合せなどの生体分子を挙げることができる。エラスチンタンパク質の模倣体のいくつかの例として、(LGGVG)、(VPGVG)、Val−Pro−Gly−Val−Gly、または合成の生物模倣型ポリ(L−グルタメート)−b−ポリ(2−アクリロイルオキシエチルラクトシド)−b−ポリ(l−グルタメート)トリブロックコポリマーが挙げられる。
本発明のいくつかの実施形態では、機器でおよび本発明の方法で使用されるポリマーは、ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)、ポリ(メトキシエチルメタクリレート)、ポリ(ジヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリメタクリルアミド、脂肪族ポリウレタン、芳香族ポリウレタン、ニトロセルロース、ポリ(エステルアミドベンジル)、co−ポリ{[N,N’−セバコイル−bis−(L−ロイシン)−1,6−ヘキシレンジエステル]0.75−[N,N’−セバコイル−L−リジンベンジルエステル]0.25}(PEA-Bz)、co−ポリ{[N,N’−セバコイル−bis−(L−ロイシン)−1,6−ヘキシレンジエステル]0.75−[N,N’−セバコイル−L−リジン−4−アミノ−TEMPOアミド]0.25}(PEA-TEMPO)、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリ(ビニリデンフルオリド−co−ヘキサフルオロピレン)、ポリ(ビニレデンフルオリド)(PVDF)、ポリ(ビニリデンフルオリド−co−ヘキサフルオロピレン−co−テトラフルオロエチレン)およびテフロン(Teflon)(商標)(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素化ポリマー、エラスチン模倣性タンパク質ポリマーなどの生体ポリマー、星形もしくは多分岐SIBS(スチレンブロック−イソブチレンブロック−スチレン)、またはそれらの組合せでもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーがコポリマーである場合、コポリマーは、例えば、ジ、トリ、テトラ、もしくはオリゴブロックコポリマーであるブロックコポリマー、またはランダムコポリマーであり得る。いくつかの実施形態では、ポリマーは、星形ポリマーなどの分岐ポリマーでもあり得る。
本発明で使用する現在好ましいポリマーとしては、これらに限定されないが、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(メソ−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(D−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(メソ−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−co−カプロラクトン)、ポリ(D,L−ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシバルレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(エチレングリコール−co−ブチレンテレフタレート)などの、ポリエステルを挙げることができる。
本発明の他の現在好ましいポリマーは、ポリ(ビニリデンフルオリド−co−ヘキサフルオロプロピレン)などのフルオロポリマーである。使用時、現在好ましいポリ(ビニリデンフルオリド−co−ヘキサフルオロプロピレン)は、約85:15の構成単位重量/重量比(Wt/Wt)を有する。「構成単位」とは、ポリマー内に現れるモノマーの組成を意味する。例えば、これらに限定されないが、モノマーアクリル酸、CH=CHC(O)OHの構成単位は−CH−CH(C(O)O)−である。現在好ましいポリ(ビニリデンフルオリド−co−ヘキサフルオロプロピレン)ポリマーの平均分子量は約50,000から約500,000ダルトンまでである。さらに、本明細書で薬物リザーバー層を形成するのに使用するポリ(ビニリデンフルオリド−co−ヘキサフルオロプロピレン)ポリマーは半結晶性であることが、現在好ましい。ポリ(ビニリデンフルオリド−co−ヘキサフルオロプロピレン)薬物リザーバー層の現在好ましいコーティング厚さは、約1μmから約20μmまでである。
上記ポリマーの混合物およびコポリマーも使用可能で、かつ本発明の範囲内にある。本明細書の開示に基づき、当業者は、こうした埋込型医療機器およびこれら機器を構成することが可能なこうした材料が、本発明のコーティングで有用となることを理解するであろう。
「プライマー層」とは、本明細書において使用する場合、機器本体を製造する材料に対して良好な接着特性を示し、かつ機器本体上にコーティングされるあらゆるその他の材料に対しても良好な接着特性を示す、ポリマーまたはポリマー混合物から構成されるコーティング物を意味する。したがって、プライマー層は、機器本体と機器本体に貼着される材料との間の仲介層としての機能を果たし、したがって、機器本体に直接塗布される。プライマーの、非限定的な例としては、アクリレートおよびメタクリレートポリマーが挙げられ、ポリ(n−ブチルメタクリレート)が現在好ましいプライマーである。プライマーのいくつかのさらなる例としては、これらに限定されないが、ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアセテート−co−ビニルアルコール)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(アクリレート)、ポリエチレンアミン、ポリアリルアミン、キトサン、ポリ(エチレン−co−ビニルアセテート)、およびパリレンCなどが挙げられる。
「薬物リザーバー層」とは、本明細書において使用する場合、すでにプライマー層を有していてもよい機器本体に、適切に塗布された治療薬の層、または、次いでIMDに塗布される、ポリマーマトリックスに溶解したもしくは分散した治療薬の層のいずれかを意味する。ポリマー性薬物リザーバーマトリックスは、1つのメカニズムでまたは他のメカニズムで、例えば、これに限定されないが、溶出でまたはポリマーの生分解性の結果として、治療物質がその薬物リザーバー層から周囲の環境に放出されるように設計されている。薬物リザーバー層は、放出速度制御層として作用する可能性もある。
任意選択のプライマー層および薬物リザーバー層に加えて、本発明の埋込型医療機器はトップコート層を備えることができる。「トップコート層」とは、本明細書において使用する場合、トップコート層が機器上のポリマーの最外層を含むように、本発明の埋込型医療機器の上面に配置されたポリマー層を意味し、すなわちトップコート層は、機器が埋め込まれてある環境と直接接する層である。トップコート層は、生体安定性または生分解性であってもよい。トップコート層が、機器からの大環状トリエンラクトン薬物の放出に関する、速度制御層としても機能する場合、生分解は比較的緩慢に生じることができ、あるいは、トップコート層が、下の層に対して保護層としてのみ機能する場合、生分解は速やかに生じることができる。トップコート層は、身体による異物除去メカニズムによる反応に対して、機器をより不活性とする、適合性誘導層としても機能し得る。
本明細書において使用する場合、機器本体または別の層であり得るある特定の基材の「上に配置された」層として記載される材料とは、その基材の露出表面に直接塗布される材料のコーティング物を意味する。「露出表面」とは、機器の立体構造に関連するその物理的位置にかかわらず、使用時に身体の組織または体液と接触することになる任意の面を意味する。しかし、「上に配置された」はさらに、ステント本体に塗布されてあった介在層上に層が塗布されることも意味し、その場合このような層は、介在層が存在していなかったかのように塗布されて、このような層が基材の露出表面に塗布されることになる。介在層の一例はプライマー層である。
本明細書において使用する場合、用語「薬物」、「治療薬」、「活性薬剤」などは交換可能で、かつ、任意の動物種の、特にヒトの疾患および障害の治療で使用するため、食品医薬品局(FDA)、海外監督機関、通知機関またはUSDAで認可された物質を意味する。一般に、薬物、治療薬または活性薬剤とは、疾患に罹患した患者に治療上有効な量で投与された場合、患者の健康および満足のいく状態に対して治療上有益な効果を有する任意の物質を意味する。患者の健康および満足のいく状態に対して治療上有益な効果とは、これらに限定されないが、(1)疾患の治癒、(2)疾患の進行の遅延、(3)疾患を退化させること、または(4)疾患の1つまたは複数の症状の緩和が含まれる。本明細書において使用する場合、治療薬には、ある疾患に特に罹患しやすいことが既知の、または疑われる患者に対して、予防上有効な量で投与した時に、患者の健康および満足のいく状態に対して予防上有益な効果を有する任意の物質も含まれる。患者の健康および満足のいく状態に対する予防上有益な効果には、これらに限定されないが、(1)まず、疾患の発症を予防する、または遅延させること、(2)予防上有効な量で用いられる物質と同一であってもまたは異なっていてもよい治療上有効な量の物質により、疾患が退化したレベルに至ったら、そのようなレベルに維持すること、または、(3)予防上有効な量で用いられる物質と同一であってもまたは異なっていてもよい治療上有効な量の物質を用いた治療のコースが完了した後に、疾患の再発を予防することまたは遅延することが含まれる。
「治療上有効な量」とは、有益な効果を有することになるそのような治療薬の量を意味し、この量は、患者が罹患しやすいことが既知の、または疑われる疾患または障害に関連して患者の健康および福祉上、治癒的または緩和的であり得る。治療上有効な量は、単一ボーラスとして、間欠性ボーラスチャージとして、短期、中期もしくは長期の持続性放出製剤として、またはこれらの任意の組合せとして投与し得る。短期持続性放出とは、本明細書において使用する場合、約数時間から約3日までの期間にわたり治療薬の治療上有効量を投与することを意味する。中期持続性放出とは、約3日から約14日までの期間にわたり治療薬の治療上有効量を投与することを意味し、および長期持続性放出とは、約14日を超える任意の期間にわたり治療薬の治療上有効量を投与することを意味する。埋込型医療薬機器上での治療薬の存在または本発明の方法におけるその治療薬の使用に関する、その治療薬への任意の言及は、当該治療薬の治療上有効量を参照しながら理解されるべきである。
「薬学的に許容される」は、本明細書において使用する場合、動物種における使用について、ここでも、特にヒトにおける使用について、適切な機関により認可された物質を意味する。このような物質には、もちろん、薬物が含まれるが、それ自体薬物ではないが他の目的のため動物種で実用性を有する他の材料も含まれる。「薬学的に許容される」には、広範な薬理学的試験を受けていないが、安全性について試験され、かつ動物種において「一般に安全と認められる」(GRAS)であると判明している物質が含まれる。
「薬学的に許容される抗酸化安定剤」とは、本明細書において使用する場合、化学物質であって、少なくとも十分な低用量で、その化学物質が投与された患者の生理状態に悪影響を及ぼさない化学物質で、かつ治療薬と酸素の反応によるまたは他の実体と酸素の反応で放出されたフリーラジカルによる治療薬の損傷を防止することが可能な化学物質を意味する。本発明の目的に関して、薬学的に許容される抗酸化剤の例としては、これらに限定されないが、ブチル化フェノール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、t−ブチルヒドロキノン、キノン、没食子酸アルキル、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル、レスベラトロール、システイン、n−アセチルシステイン、ブシラミン、グルタチオン、7−ヒドロキシエチルルトシド、カルベジロール、ビタミンC、パルミチン酸アスコルビル、フマル酸、トコフェロール、α−トコフェロール、D,L−α−トコフェロール、α−酢酸トコフェロール、トコトリエノール、ビタミンE、リコペン、フラボノイド、カロテノイドおよびカロテンなどが挙げられる。本明細書で機器および方法で使用する現在の好ましい薬学的に許容される抗酸化安定剤はブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)である。
上述の通り、本明細書で薬物の安定化に使用する抗酸化剤のタイプは、患者に対して特に有益ではない。明らかに、このことは、理論的に大きな問題ではない。埋込型医療機器が製造され、保護されたパッケージに収められたら、またはその機器が患者身体に埋め込まれたら、抗酸化安定剤はなおさら必要ない。例えば、薬物リザーバー層が、大環状トリエンラクトン薬物としてエベロリムスを、および抗酸化安定剤としてBHTを含んでいるステントであって、かつそのステントがアルゴン雰囲気下で遮光パッケージにパッケージされている、ザイエンスV(Xience V)(登録商標)(XV)ステント(Abbot Vascular)では、保存可能期間に関する研究において、長期間の保存条件下(25℃、相対湿度60%)または中間の保存条件下(30℃、相対湿度65%)で、製品の安定性にBHTを必要としないことが示された。総含有量、薬物放出および分解産物などの、コーティング済み機器の重要な属性は、機器上にBHTが存在しなくても影響されないことがわかった。上記のことは、仕上げられた、すなわち、完全に製造された埋込型医療機器上の抗酸化安定剤の量を最小限とすることは、患者に有益であり、かつ大環状トリエンラクトン薬物に有害ではないことを示唆している。
したがって、本発明の一実施形態では、薬学的に許容される抗酸化安定剤は、機器上に存在する大環状トリエンラクトンの、総計の約0.0001〜約0.01重量%となる重量で、埋込型医療機器上に含めることができる。
埋込型医療機器上に上記量の抗酸化安定剤を残留させることを実現するためには、薬物リザーバー層を機器上にコーティングする方法に関連して、特定の大環状トリエンラクトン薬物のフリーラジカルに対する相対的感受性および選択された抗酸化安定剤の有効性について考慮しなければならない。このアプローチは経験に基づくものである。すなわち、コーティング技術、大環状トリエンラクトン薬物および抗酸化安定剤が選択されると、抗酸化安定剤に及ぼす製造工程の影響を決定する研究が実施され、そのゴールとは、コーティング溶液中の十分な抗酸化安定剤で開始すること、製造方法の終了時には望ましい量となることである。
例えば、上に記載のザイエンスV(登録商標)ステントに関連して、ステントをコーティングする方法工程には、エベロリムスおよびBHTを含む薬物リザーバー層溶液を、プライマー層を含むステント上にスプレーコーティングする工程と、次いで高い温度でコーティングされたステントを乾燥する工程と、乾燥ステントを送達カテーテルに搭載する工程と、搭載したステント/カテーテルを最終的に滅菌する工程とが含まれる。図1でみられるように、薬物リザーバー層に存在するBHTの量は、スプレーコーティングする工程中で約61%、乾燥する工程中で約9%、カテーテルに搭載する工程中で約1%、および酸化エチレンで滅菌する工程中で約64%減じることがわかった。図1は、大環状トリエンラクトンとしてエベロリムスを、および抗酸化安定剤としてBHTを含むステントに関するが、もし異なる大環状トリエンラクトンがBHTとともに使用されたとすると、同一ではなくても類似の結果が観察されることが理解される。同様に、異なる抗酸化安定剤が使用されたとすると、各工程での影響の大きさに関して、類似の結果が得られるであろうことが期待される。BHTに及ぼす滅菌の大きな影響を確認するため、滅菌済みカテーテル/ステントに関して継続的な酸化エチレン滅菌を実施したところ、BHTが、付加的に30%減じることがわかった。
所望された残留BHT量、すなわち、ステント上のエベロリムスの重量に基づいて約0.001%〜約0.01%w/wを有する、完成したカテーテル/ステント製品とするのに、ステント上のエベロリムスに含めるBHTの適量は、2つの方法で算出することができる。製造工程が進むにつれて、ステント上のBHTの量は化学量論的に低下するというのが、1つの極端な方法である。このアプローチでは、BHTの量は、存在するBHTの開始量にかかわらず、各製造工程で一定量だけ低下する。もう一方の極端な方法は百分率低下であり、この場合、BHTの量は、同様に存在するBHTの開始量にかかわらず、各製造工程で同じ百分率だけ減少する。表1に、このような両極端の方法と、エベロリムスの重量に基づいてBHT0.20%(w/w)を含有する現行のザイエンスV(登録商標)ステントおよびエベロリムスを用いている、BHTの既知の消失との比較が例示されている。
Figure 2016510608
このように、図1に示した製造方法により、開始材料における0.2%から完成製品における約0.044%までに至るBHT量の低下が得られる。現在のところ好ましい0.0001%と0.01%との間にあるBHTの最終量を実現するために、BHTの量が同一比率で減少すると仮定すると、コーティング溶液中の出発量は約0.0455%(w/w)以下ということになる。一方、完成製品に存在するBHTの量が同一の絶対量で減少する(化学量論的減少)と仮定すると、コーティング溶液中に約0.166%(w/w)未満のBHTがある量必要ということになる。もちろん、化学量論的でも、比率的でもどちらでもないBHTの減少方法が可能であり、この場合、ステント上のBHTの出発量は、それら極端な2つの方法の間にあることになる。しかし、エベロリムスに基づき約0.0166%(w/w)のBHTで開始することは、あらゆる場合において、0.01%(w/w)未満のBHTを有する完成製品をもたらし、このBHT量は、事実上患者にとってわずかな抗酸化剤暴露量にしかならないことは明白である。
大環状トリエンラクトン薬物は、本質的に結晶性である場合もあり、本質的に非結晶性である場合もあり、または結晶性と非結晶性との間でもあり得る。「本質的に結晶性」または「本質的に非結晶性」とは、大環状トリエンラクトン薬物の試料の大半が、結晶質または非結晶質の特徴を呈す一方で、少量の他の粒子形態が試料においてまだ検出し得ることを意味する。特にエベロリムスに関し、大環状トリエンラクトン薬物は、本質的に非結晶性であることが現在好ましく、大環状トリエンラクトン薬物は、例えば、示差走査熱量測定によって結晶形態を検出する適切な方法の検出限界内で、非結晶性であることがなおより好ましい。
「大環状トリエンラクトン」または「MTL」とは、本明細書において使用する場合、環系に12個以上の原子、少なくとも3つの共役二重結合およびラクトン部分を含有する、環構造を有する化合物を一般に意味する。特に、「大環状トリエンラクトン」とは、現在、通常シロリムスとして知られているラパマイシンそれ自身、40−O−置換ラパマイシン、16−O−置換ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、32−デオキソラパマイシン、ゾタロリムス、エベロリムス、テムシロリムス、デフォロリムス、リダフォロリムス、メリリムス、バイオリムス、ウミロリムス、ノボリムスならびにマイオリムスを含めて、ラパマイシンおよびそれらの誘導体を意味する。これらの化合物は、本明細書に記載の「活性薬剤」であり、かつ血管病に対する、PTCAなどの治療に一般には伴うような損傷内皮を有する、患者の治療に有用なすべてのmTOR阻害剤である。
エベロリムスが、大環状トリエンラクトンの中で、現在好ましい。
ラパマイシン大環状トリエンラクトンは、共役トリエン、すなわち、第1の二重結合と第2の二重結合との間の単結合、および第2の二重結合と第3の二重結合との間の単結合で互いに結合している、3つの二重結合が存在するので、酸素感受性である。投与方法にかかわらず、患者に投与される活性薬剤の組成および量について正確にわかっていることは、絶対必要なことだとは言わないまでも、望ましいことなので、活性薬剤を投与する前に、活性薬剤に悪影響を与えるおそれのある任意のメカニズムを制御することが、非常に望まれるとともに、可能でもある。化合物の酸化は、活性薬剤に及ぼすこのような悪影響を有することがしばしばあり、制御すべきものである。ステントなどの埋込型医療機器を用いる、本発明の大環状トリエンラクトン活性薬剤の送達に関して、この問題の解決は、薬学的に許容される抗酸化化合物を機器上に含有させることにある。前記のように、「薬学的に許容される」とは、本明細書において使用する場合、本発明において有用な抗酸化剤が、食品医薬品局(米国のFDA、各国においてかかる認可に責任のある外国の同等の機関)によって、ヒトにおける使用について認可されると判明したことを意味する。もちろん、将来、FDAによってヒトにおける使用に認可されると判明し得る抗酸化剤は、明らかに本発明の範囲内にある。抗酸化剤は、フリーラジカルの除去および酸化促進金属種との錯体化などのいくつかの良く知られたメカニズムによって、大環状トリエンラクトン酸化を抑制する。BHTは、本発明の埋込型医療機器で使用する、現在好ましい抗酸化剤であるが、前者のタイプであり、すなわち、BHTは、フリーラジカルスカベンジャーとして機能する。
もし望むなら、本明細書の埋込型医療機器上の大環状トリエンとともに別の治療薬または複数の治療薬を含めることは、おおいにあり得ることであり、実際に本発明の一態様である。他の薬剤が酸素感受性ではないと知られている場合、使用する抗酸化剤の量に関する本明細書における開示に対して、変更を行う必要はない。一方、任意の別途の治療薬が酸素感受性であることがわかっている場合、使用される抗酸化剤の総量は、上記で説明したように決定できるが、製造の各工程の間に消費された抗酸化安定剤の量に及ぼす製造工程の影響を決定するために実施した実験においては、大環状トリエンラクトンの総量に任意の他の酸素感受性治療薬の量を加えた和が使用される。
本発明で使用するのに適切であり得る他の治療薬のうち、抗炎症化合物がとくに現在好ましい。本明細書の大環状トリエンラクトンと組み合わせて使用可能な適切な抗炎症薬としては、これらに限定されないが、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、クロベタゾール、アルクロフェナク、アルクロメタゾンジプロピオネート、アルゲストンアセトニド、α−アミラーゼ、アムシナファル、アムシナフィド、アムフェナクナトリウム、アミプリローズ塩酸、アナキンラ、アニロラク、アニトラザフェン、アパゾン、バルサラジド二ナトリウム、ベンダザク、ベノキサプロフェン、塩酸ベンジダミン、ブロメライン、ブロペラモール、ブデソニド、カルプロフェン、シクロプロフェン、シンタゾン、クリプロフェン、プロピオン酸クロベタゾール、酪酸クロベタゾン、クロピラク、プロピオン酸クロチカゾン、酢酸コルメタゾン、コルトドキソン、デフラザコルト、デソニド、デソキシメタゾン、二プロピオン酸デキサメタゾン、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、二酢酸ジフロラゾン、ジフルミドンナトリウム、ジフルニサル、ジフルプレドネート、ジフタロン、ジメチルスルホキシド、ドロシノニド、エンドリゾン、エンリモマブ、エノリカムナトリウム、エピリゾール、エトドラク、エトフェナメート、フェルビナク、フェナモール、フェンブフェン、フェンクロフェナク、フェンクロラク、フェンドサール、フェンピパロン、フェンチアザク、フラザロン、フルアザコルト、フルフェナム酸、フルミゾール、酢酸フルニソリド、フルニキシン、フルニキシンメグルミン、フルオコルチンブチル、酢酸フルオロメトロン、フルクアゾン、フルルビプロフェン、フルレトフェン、プロピオン酸フルチカゾン、フラプロフェン、フロブフェン、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、酢酸ハロプレドン、イブフェナク、イブプロフェン、イブプロフェンアルミニウム、イブプロフェンピコノール、イロニダプ、インドメタシン、インドメタシンナトリウム、インドプロフェン、インドキソール、イントラゾール、酢酸イソフルプレドン、イソキセパク、イソキシカム、ケトプロフェン、塩酸ロフェミゾール、ロモキシカム、エタボン酸ロテプレドノール、メクロフェナム酸ナトリウム、メクロフェナム酸、二酪酸メクロリゾン、メフェナム酸、メサラミン、メセクラゾン、スレプタン酸メチルプレドニゾロン、モミフルメート、ナブメトン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、ナプロキソール、ニマゾン、オルサラジンナトリウム、オルゴテイン、オルパノキシン、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、塩酸パラニリン、ペントサンポリ硫酸ナトリウム、フェンブタゾンナトリウムグリセレート、ピルフェニドン、ピロキシカム、ケイ皮酸ピロキシカム、ピロキシカムオラミン、ピルプロフェン、プレドナゼート、プリフェロン、プロドリン酸、プロクアゾン、プロキサゾール、クエン酸プロキサゾール、リメキソロン、ロマザリト、サルコレックス、サルナセジン、サルサレート、塩化サンギナリウム、セクラゾン、セルメタシン、スドキシカム、スリンダク、スプロフェン、タルメタシン、タルニフルメート、タロサレート、テブフェロン、テニダップ、テニダップナトリウム、テノキシカム、テシカム、テシミド、テトリダミン、チオピナク、ピバル酸チキソコルトール、トルメチン、トルメチンナトリウム、トリクロニド、トリフルミデート、ジドメタシン、ゾメピラクナトリウム、アスピリン(アセチルサリチル酸)、サリチル酸、コルチコステロイド、糖質コルチコイド、タクロリムス、ピメクロリムス、これらのプロドラッグ、これらのコドラッグ、およびこれらの組合せが挙げられる。
本明細書の方法で使用するのに適切であり得る他の治療薬としては、抗腫瘍性、抗有糸分裂性、抗血小板性、抗フェブリン性、抗トロンビン性、細胞増殖抑制性および抗増殖性薬剤などが含まれる。
抗腫瘍または抗有糸分裂薬剤として、これらに限定されないが、パクリタキセル、ドセタキセル、メトトレキサート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、ドキソルビシン塩酸塩、およびマイトマイシンが挙げられる。
抗血小板性、抗凝固性、抗フィブリン性および抗トロンビン性薬剤としては、限定されないが、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリン、プロスタサイクリンデキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa血小板膜受容体拮抗薬抗体、組換えヒルジンおよびトロンビン、アンジオマックスaなどのトロンビン阻害剤、ニフェジピンなどのカルシウムチャンネル遮断薬、コルヒチン、魚油(オメガ3−脂肪酸)、ヒスタミン拮抗薬、ロバスタチン、モノクローナル抗体(血小板由来増殖因子(PDGF)受容体に特異的なものなど)、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、スラミン、セロトニン遮断薬、ステロイド、チオプロテアーゼ阻害剤、トリアゾロピリミジン(PDGF拮抗薬)、一酸化窒素または一酸化窒素供与体、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣体、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)およびエストラジオールが挙げられる。
細胞増殖抑制性または抗増殖性薬剤としては、これらに限定されないが、アンジオペプチン、カプトプリルなどのアンジオテンシン転換酵素阻害剤、シラザプリルまたはリシノプリル、ニフェジピンなどのカルシウムチャンネル遮断薬、コルヒチン、線維芽細胞増殖因子(FGF)拮抗薬、魚油(オメガ3−脂肪酸)、ヒスタミン拮抗薬、ロバスタチン、これに限定されないが血小板由来増殖因子(PDGF)受容体に特異的なものなどのモノクローナル抗体、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、スラミン、セロトニン遮断薬、ステロイド、チオプロテアーゼ阻害剤、トリアゾロピリミジン(PDGF拮抗薬)、および一酸化窒素などが挙げられる。
潜在的に有用な他の治療薬として、これらに限定されないが、α−インターフェロン、遺伝子工学による上皮細胞、DNAおよびRNA核酸配列、アンチセンス分子、およびリボザイム、抗体、受容体リガンド、酵素、接着性ペプチド、血液凝固因子、ストレプトキナーゼおよび組織プラスミノゲン活性化因子などの阻害剤または血栓溶解剤、予防接種用抗原、ホルモンおよび成長因子、オリゴヌクレオチド、レトロウイルスベクター、抗ウィルス薬、鎮痛薬、食欲減退薬、駆虫薬、抗関節炎薬、抗ぜんそく薬、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗利尿薬、抗下痢薬、抗ヒスタミン薬、抗片頭痛製剤、制嘔吐薬、抗パーキンソン病薬、かゆみ止め薬、抗精神薬、解熱剤、抗けいれん薬、抗コリン薬、交感神経様作用薬、キサンチン誘導体、カルシウムチャンネル遮断薬を含む循環器官用製剤、ピンドールなどのβ遮断薬、抗不整脈薬、抗高血圧薬、利尿薬、一般冠動脈を含む血管拡張薬、末梢および脳、大脳神経系刺激薬、充血除去剤を含む咳止め薬および風邪製剤、睡眠薬、免疫抑制剤、筋肉弛緩剤、副交感神経遮断薬、精神刺激薬、鎮痛薬、トランキライザー、天然由来または遺伝子工学によるリポタンパク質、および再狭窄低減薬が挙げられる。
本発明の薬物リザーバー層は、次の方法で調製し、埋込型医療機器に塗布することができる。まず、埋込型医療機器を用意する。「用意する」とは、機器が、方法を実行しているヒトではなく、論じられている方法に用意されることを意味する。すなわち、オペレーターは、方法を実施するのに必要なすべての要素、機器、薬物、抗酸化剤などを、「用意する」。当該用語は、請求された方法を実際に実施することに関与しない任意の第三者を含むことは意図しておらず、またはそのように解釈されるべきではない。
次に、大環状トリエンラクトンおよび薬学的に許容される抗酸化安定剤が、上記の同一条件の下で用意される。すなわち、大環状トリエンラクトンおよび薬学的に許容される抗酸化安定剤は、同一のことを実施するヒトにより、方法に対して「用意され」、そしてこれら2つの化合物が組み合わせられる。大環状トリエンラクトン薬物および抗酸化安定剤は、乾燥状態で組合せが可能である。薬物と抗酸化剤を「組み合わせる工程」は、両物質を互いに単に混合することで達成し得る。または、大環状トリエンラクトンおよび抗酸化剤を、水混和性溶媒に溶解し、次いでその溶液を過剰の水に添加することにより2つの化合物を共沈殿することもでき、このことにより、大環状トリエンラクトンおよび抗酸化剤が、分子レベルで十分に混合することが可能となる。共沈殿物は乾燥し、次いでコーティング溶媒に溶解もしくは分散することができ、または、選択したコーティング溶媒が水混和性の場合、共沈殿物は水でなお湿潤したままで使用することができる。かわりに、個別に供給する場合、薬物および抗酸化剤を順番にコーティング溶媒に添加することもできる。薬物放出を制御し、かつ薬物をステントにしっかりと固着させる手段を提供するポリマーを添加し、かつコーティング溶媒に溶解または分散させることができる。コーティング溶媒とは、一方のもしくは双方の化合物を溶解することができる液体、または分散状態にある双方の化合物に対してキャリアーとして単に働くことができる液体、ならびに十分に揮発性で、比較的温和な条件下で、および大環状トリエンラクトン薬物もしくは抗酸化安定剤のいずれにも悪影響を及ぼさない温度で、コーティング層を乾燥することを可能とする、液体を単に意味する。多くの適切なコーティング溶媒が当業者に周知である。任意の既知の溶媒および将来既知となる任意の溶媒が、本発明の方法で使用するのに適切となり、かつすべてが本発明の方法の範囲内にある。一方、両物質を組み合わせる工程には、個別にまたはまとめて、すなわち、化合物を互いに混合する工程の後、これに限定されないが、物理的粉砕によるように、両物質の粒子サイズをマイクロまたはナノスケールの粒子へと、機械的に小さくする工程が含まれてもよい。「マイクロスケール」とは、約0.1マイクロメートル〜約100マイクロメートルの平均粒子サイズを意味する。「ナノスケール」とは、約1ナノメートル〜約100ナノメートルの平均粒子サイズを意味する。個別に粉砕した場合、結果として得られる両物質の粉末は互いに混合され、次いでコーティング溶媒に溶解または分散される。抗酸化安定剤がBHTの場合、薬物とBHTとを組み合わせる工程には、大環状トリエンラクトン薬物の粒子サイズをマイクロまたはナノスケールの粒子へと小さくする工程と、結果として得られる粉末をBHTと混合する工程と、その混合物を、減圧に順応できる容器に入れる工程と、その容器内の圧力を、薬物に悪影響を及ぼさないと確認されている温度で、BHTが昇華することになる圧力に減じる工程と、その混合物を連続撹拌中にその容器を適切な温度に加熱する工程とを、また含むことができる。すべてのBHTが昇華し、かつ薬物上に沈着したことが確認されると、温度を室温へ減じ、真空を解除し、次いで結果として得られた粉末をコーティング溶媒に溶解または分散させる。
大環状トリエンラクトンおよび抗酸化安定剤がどのように組み合わせられているかにかかわらず、抗酸化安定剤の量は、大環状トリエンラクトンの量に基づいて約0.02%(w/w)〜約0.1%(w/w)である。
溶解または分散した粉末を、次いで埋込型医療機器上にスプレーコーティングし、当業者に周知の任意のいくつかの方法で、薬物リザーバー層を形成する。スプレーコーティングの工程は、埋込型機器上に薬物の所望のコーティング厚さおよび量を実現する、ワンパスコーティングの工程または複数パスコーティングの工程を含むことが可能である。
スプレーコーティングされた埋込型機器は、次いで高い温度で乾燥し、上記のように、この温度は、大環状トリエンラクトン薬物による実験で経験的に確認されている温度で、大環状トリエンラクトン薬物に悪影響を及ぼさないように選択されている。
少なくとも薬物リザーバー層を備えた埋込型医療機器は、次いで送達媒体に搭載され、パッケージされ、次いでこの搭載埋込型機器が滅菌される。DESの場合、ステントは、送達機器としてカテーテル上に通常搭載される。
搭載機器の滅菌は、酸化エチレン滅菌、電子線滅菌またはガンマ線滅菌により行うことができ、これら滅菌のすべては当業者に周知であり、詳細に記載する必要はない。酸化エチレン滅菌が選択される場合、搭載埋込型医療機器は、ガス透過性容器にパッケージして、次いで滅菌手順に付すことができる。酸化エチレン滅菌に続いて、ガス透過性容器は、これに限定されないが、アルゴンガスなどの不活性雰囲気下で、さらに遮光容器にパッケージされる。
この滅菌機器/送達媒体は、次いで使用できるまたは保存できる状態となる。
埋込型医療機器はステントであり、大環状トリエンラクトン薬物はエベロリムスであり、抗酸化安定剤はBHTであり、かつ送達媒体はカテーテルであることが、本発明の現在好ましい実施形態である。

Claims (21)

  1. 大環状トリエンラクトン薬物と、前記大環状トリエンラクトン薬物の重量に基づき約0.001〜約0.01重量%の薬学的に許容される抗酸化安定剤と、を含む薬物リザーバー層を備える、埋込型医療機器。
  2. 大環状トリエンラクトン薬物が、ラパマイシン、40−O−置換ラパマイシン、16−O−置換ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、32−デオキソラパマイシン、ゾタロリムス、エベロリムス、テムシロリムス、デフォロリムス、リダフォロリムス、メリリムス、バイオリムス、ウミロリムス、ノボリムスおよびマイオリムスからなる群から選択される、請求項1に記載の埋込型医療機器。
  3. 大環状トリエンラクトン薬物が非晶質固体である、請求項2に記載の埋込型医療機器。
  4. 大環状トリエンラクトン薬物がエベロリムスである、請求項3に記載の埋込型医療機器。
  5. 薬学的に許容される抗酸化安定剤が、ブチル化フェノール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール、t−ブチルヒドロキノン、キノン、没食子酸アルキル、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル、レスベラトロール、システイン、n−アセチルシステイン、ブシラミン、グルタチオン、7−ヒドロキシエチルルトシド、カルベジロール、ビタミンC、パルミチン酸アスコルビル、フマル酸、トコフェロール、α−トコフェロール、D,L−α−トコフェロール、α−酢酸トコフェロール、トコトリエノール、ビタミンE、リコペン、フラボノイド、カロテノイドおよびカロテンからなる群から選択される、請求項1に記載の埋込型医療機器。
  6. 薬学的に許容される抗酸化安定剤がBHTである、請求項5に記載の埋込型医療機器。
  7. 前記機器がステントである、請求項1に記載の埋込型医療機器。
  8. 大環状トリエンラクトン薬物と、前記大環状トリエンラクトンの重量に基づき0.01重量%未満の薬学的に許容される抗酸化安定剤と、を含む薬物リザーバー層を備える埋込型医療機器を製造する方法であって、
    埋込型医療機器を用意する工程であって、前記埋込型医療機器は機器本体、または、1つまたは複数の材料の層ですでにコーティングされている機器本体である、工程と、
    本質的に純粋な大環状トリエンラクトン薬物を用意する工程と、
    機器本体上に配置される大環状トリエンラクトン薬物の重量に基づき0.02〜0.1重量%の量で、薬学的に許容される抗酸化安定剤を用意する工程と、
    大環状トリエンラクトン薬物と薬学的に許容される抗酸化安定剤とを組み合わせる工程と、
    組み合わせた大環状トリエンラクトン薬物および薬学的に許容される抗酸化安定剤を、コーティング溶媒に溶解または分散させる工程と、
    前記薬物/安定剤を含有する溶媒を埋込型医療機器上にスプレーコーティングする工程と、
    大環状トリエンラクトン薬物に悪影響を及ぼさないことが確認済みの高い温度で、スプレーコーティングした埋込型医療機器を乾燥する工程と、
    乾燥したスプレーコーティングされた埋込型医療機器を、キャリアー媒体に搭載する工程と、
    搭載済みの前記埋込型医療機器/キャリアー媒体を滅菌する工程と、
    を含む、方法。
  9. 溶解または分散させる工程において、マトリックスポリマーが、大環状トリエンラクトンおよび抗酸化安定剤に添加される、請求項8に記載の方法。
  10. 搭載する工程の後かつ滅菌する工程の前に、搭載済みの埋込型医療機器/キャリアー媒体が、ガス透過性容器にパッケージされる、請求項8に記載の方法。
  11. 前記滅菌する工程に、酸化エチレンを用いる、請求項10に記載の方法。
  12. 滅菌埋込型医療機器/キャリアー媒体/ガス透過性容器が、不活性雰囲気下で遮光容器にさらにパッケージされる、請求項11に記載の方法。
  13. 大環状トリエンラクトンと薬学的に許容される抗酸化安定剤とを組み合わせる工程が、固体状態にある各物質の粒子サイズを機械的に小さくし、マイクロスケールもしくはナノスケールの粉末を別個に形成し、この後に粉末を互いに混合することで、実質的に均一な混合粉末を形成する工程、または粒子サイズを機械的に小さくする前に、固体物質を互いに混合する工程を含む、請求項8に記載の方法。
  14. 大環状トリエンラクトンと薬学的に許容される抗酸化安定剤とを組み合わせる工程が、両物質を水混和性溶媒に溶解させる工程と、次にその溶液を所定量の水に加え、大環状トリエンラクトンおよび抗酸化安定剤を共沈澱させ、次いでその共沈澱物を溶解/分散させる工程で使用する工程とを含む、請求項8に記載の方法。
  15. 埋込型医療機器がステントである、請求項8に記載の方法。
  16. 大環状トリエンラクトン薬物が、ラパマイシン、40−O−置換ラパマイシン、16−O−置換ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、32−デオキソラパマイシン、ゾタロリムス、エベロリムス、テムシロリムス、デフォロリムス、リダフォロリムス、メリリムス、バイオリムス、ウミロリムス、ノボリムスおよびマイオリムスからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
  17. 薬学的に許容される抗酸化安定剤が、ブチル化フェノール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール、t−ブチルヒドロキノン、キノン、没食子酸アルキル、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル、レスベラトロール、システイン、n−アセチルシステイン、ブシラミン、グルタチオン、7−ヒドロキシエチルルトシド、カルベジロール、ビタミンC、パルミチン酸アスコルビル、フマル酸、トコフェロール、α−トコフェロール、D,L−α−トコフェロール、α−酢酸トコフェロール、トコトリエノール、ビタミンE、リコペン、フラボノイド、カロテノイドおよびカロテンからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
  18. 薬学的に許容される抗酸化安定剤がBHTである、請求項17に記載の方法。
  19. 大環状トリエンラクトン薬物をBHTと組み合わせる工程が、マイクロもしくはナノスケールの粉末に粉砕されている大環状トリエンラクトン固形物と、BHTとを、減圧下の容器中で混合する工程と、その混合物を、当該減圧下におけるBHTの昇華温度を超える温度に加熱する工程を含む、請求項18に記載の方法。
  20. 大環状トリエンラクトンが、ラパマイシン、ノボリムス、エベロリムスおよびゾタロリムスからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
  21. 乾燥埋込型医療機器の滅菌が、酸化エチレン滅菌、電子線滅菌またはガンマ線滅菌を含む、請求項8に記載の方法。
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