JP2016509831A - 卵母細胞コンピテンスのマーカー遺伝子 - Google Patents

卵母細胞コンピテンスのマーカー遺伝子 Download PDF

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Abstract

卵丘細胞(CC)遺伝子発現が、妊娠可能性が最も高い胚を選ぶ形態学的スコアリングの付加的な方法として探求されている。本発明は、潜在的バイオマーカー遺伝子のエクソンレベル分析に使用される卵母細胞のエンドポイント基準としての出産及び胚発生の使用に基づいて、受精後に正常妊娠を生じさせる哺乳動物卵母細胞のコンピテンスの評価のためにバイオマーカー遺伝子を特定する新規の方法に関する。本発明は、このようにして特定されたCC発現バイオマーカー遺伝子、及び本発明の方法を用いて特定されたバイオマーカー遺伝子に基づく予後モデルを更に提供する。【選択図】なし

Description

卵丘細胞(CC)遺伝子発現は、妊娠可能性が最も高い胚を選ぶ形態学的スコアリングの付加的な方法として探求されている。本発明は、潜在的バイオマーカー遺伝子のエクソンレベル分析に使用される卵母細胞のエンドポイント基準としての出産及び胚発生の使用に基づいて、受精後に正常妊娠を生じさせる哺乳動物卵母細胞のコンピテンスの評価のためにバイオマーカー遺伝子を特定する新規の方法に関する。本発明は、このようにして特定されたCC発現バイオマーカー遺伝子、及び本発明の方法を用いて特定されたバイオマーカー遺伝子に基づく予後モデルを更に提供する。
単一胚移植(SET)はART後に多胎妊娠を制限する好ましい治療である。出産成功率(carry home baby rate)を損なわないように、初回周期で移植する胚の選択は更により重要となっている。形態に基づく既存の基準とは別の他の方法が現在調査されている。成長及び成熟中に卵母細胞と密着する卵丘細胞(CC)における定量的遺伝子発現測定の使用は有望な方法のように思われる(非特許文献1)。CC発現が胚発生に関連し得るという主題について初めて公表された研究(非特許文献2)以来、幾つかの他の研究でこの可能性が探求されており、CC発現と種々のエンドポイントとの関連付けが試みられている。探求されているエンドポイントの例は、胚発生(非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8)、卵母細胞の異数体段階(非特許文献9)、卵母細胞核成熟段階(非特許文献10)、及び患者の視点からおそらく最も重要な妊娠転帰(非特許文献11、非特許文献12、非特許文献13、非特許文献14、非特許文献15)である。異なる研究間の結果の確認はCC遺伝子発現の分析では明らかでないようである。最新の文献では、異なる研究に共通して見られた遺伝子は多くない。例えば、ヒアルロン酸合成酵素2(HAS2)は、2つの研究(非特許文献4、非特許文献2)では不十分な胚形態と比較して良好な品質の胚においてより高度に発現されるが、2つの他の研究(非特許文献3、非特許文献13)では胚形態に関連付けることができなかった。相違は異なるエンドポイントを有する異なる実験設計に起因し得るが、遺伝子発現は患者刺激プロトコル等の既知の因子(非特許文献16、非特許文献17、非特許文献18)、又は異なるIVF研究所で使用される培養培地等の未だ評定されていない因子に影響を受ける可能性がある。
本研究では、47人の卵細胞質内精子注入法(ICSI)患者に由来する47個の個々の卵丘複合体を、定量リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(QPCR)を用いてレトロスペクティブに分析した。本サンプルセットを用いることで、以前の研究(非特許文献14)の妊娠予測モデルをその予測力について検証した。次の工程では、予測力がより強い新たな遺伝子を検索するために、卵母細胞コンピテンスを予測する数学的モデルにおいて以前に記載の3つの遺伝子(エフリン-B2(EFNB2)、カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼID(CAMK1D)、スタニオカルシン1(STC1))、並びに複数の新規の遺伝子及び該遺伝子のスプライス変異体を考慮して新たな多変量モデルを構築した(表を参照されたい)。
本患者サンプルセットにより、これまで文献に報告されていない分析が可能となった。新規の移植周期での妊娠をもたらさなかった卵母細胞に由来するCC、及び凍結胚移植(FRET)周期後に妊娠をもたらしたその同胞卵母細胞に由来するCCを分析した(患者内分析)。本発明者らの知る限りでは、これは最終臨床用途で行われているようなSET状況で同じ回収周期の妊娠及び非妊娠CCを比較する最初の研究である。
Huang and Wells 2010 McKenzie et al. 2004 Anderson et al. 2009 Cillo et al. 2007 Feuerstein et al. 2007 Hasegawa et al. 2005 van Montfoort et al. 2008 Zhang et al. 2005 Fragouli et al. 2012b Ouandaogo et al. 2011 Assidi et al. 2011 Assou et al. 2008 Gebhardt et al. 2011 Wathlet et al. 2012 Wathlet et al. 2011 Adriaenssens et al. 2009 Adriaenssens et al. 2010 Grondahl et al. 2009
本発明は、分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす哺乳動物卵母細胞のコンピテンスの評価用のバイオマーカー遺伝子又はそのスプライス変異体を検出する方法であって、
使用する前記卵母細胞の選択エンドポイントとして出産及び胚発生を用いることと、
前記卵母細胞に関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルのマイクロアレイ実験における遺伝子発現のエクソンレベル分析を行うことと、
前記遺伝子発現のエクソンレベル分析の患者内ベースの比較を行うことと、
対応t検定において0.05未満のp値のみを分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす哺乳動物卵母細胞のコンピテンスを評価することが可能なバイオマーカー遺伝子に関して有意とみなすことと、
を含む、方法に関する。
代替的な実施の形態では、遺伝子は上記エクソンレベル遺伝子分析の差次的発現の卵母細胞のコンピテンスの評価におけるバイオマーカー遺伝子とみなされ、該差次的発現は対照又は参照標準における該遺伝子のエクソンレベルの発現と少なくとも20 %異なる。
既存の方法と比較すると、本発明の方法は卵母細胞の選択エンドポイント、遺伝子のエクソンレベル分析及び患者内ベースの比較という点で異なる。出産及び胚発生をバイオマーカー遺伝子の特定に使用される卵母細胞の選択エンドポイントとして用いることで、実際に本所見の結果は受精、形態ベースの胚品質又は胚盤胞発達のような「中間エンドポイント」とも称される他のエンドポイントが使用されている当該技術分野とは異なる。全卵母細胞コンピテンスに対する中間エンドポイントの関連性は、例えば3日目に良好な(形態ベースの)胚発生能を有する卵母細胞が症例の33 %の妊娠しかもたらさないために限られている。したがって、適切なエンドポイントの選択は、少なくとも60 %の正の予測値(PPV)及び負の予測値(NPV)を与えることが示された本バイオマーカー遺伝子セットを得る鍵となっている。
更なる差別化特徴は遺伝子の選択が患者内の比較によるものであったという事実に基づく。例えば妊娠した又は妊娠していない患者のレトロスペクティブ卵丘細胞分析を行うことで、データは遺伝子の発現に影響を及ぼす患者間の差異によるバイアスを受ける。卵丘細胞遺伝子発現レベルは、患者特異的特徴(例えば年齢、BMI、前処置)、卵母細胞品質及び他の遺伝子の発現(非特許文献17)によって影響を受ける。卵母細胞のコンピテンスは種々のプロセスに成功する能力によっても決まる。代わりに患者内サンプルを使用することで、種々の前処置を受けた患者の出産予測に使用することができる適用可能な遺伝子であることが示された本発明のバイオマーカー遺伝子の特定に加えて、上記患者間の差異が抑制される。
最後に、卵母細胞遺伝子発現分析はエクソンレベル分析として行われる。以下の実施例に実証されるように、これにより予測モデルの分解能が増大した。これらの遺伝子内のエクソンの発現レベルが予測値を有することが示されたことを考えると、一部の遺伝子の全発現は予測的ではないことが分かる。遺伝子の全発現を考えると、エクソンレベルで関連した一部のシグナルは均一化され、興味深いマーカーが失われる可能性がある。
上述の方法を使用することで最小限の予測的バイオマーカー遺伝子のリストが得られ、これを本明細書の下記表13に提示する。したがって更なる態様では、本発明は表13の遺伝子に対して遺伝子発現のエクソンレベル分析を行う、上述の方法を提供する。この遺伝子リストは、最も強い出産予測能を有する独立した遺伝子の組合せを選択する多変量分析に使用することができる卵母細胞コンピテンスマーカー遺伝子の宝庫と考えられる。本明細書の下記実施例に実証されるように、本発明者らは、これらの遺伝子の組合せを異なるタイプの生殖補助医療(ART)治療後の卵母細胞コンピテンスの予測モデルに首尾よく適用した。
したがって、別の実施の形態では、本発明はスクリーニング実験における卵母細胞の卵丘細胞遺伝子発現を用いて遺伝子又はスプライス変異体のバイオマーカー遺伝子組合せモデルを検出する方法であって、
a.上述の方法を用いて特定された少なくとも2つのバイオマーカー遺伝子を検出することと、
b.前記少なくとも2つのバイオマーカー遺伝子のバイオマーカー遺伝子発現の組合せと卵母細胞の出産能との相関関係を評定する両側t検定を用いるとともに、0.05未満のタイプI p値というカットオフ値を有する前記少なくとも2つのバイオマーカー遺伝子の組合せを、出産が可能な哺乳動物卵母細胞のコンピテンスを予測する又は胚若しくは未分化胚芽細胞のin vitro発生を評価するモデルとして残すことと、
c.前記少なくとも2つのバイオマーカーのスプライス変異体が0.3未満のタイプIII p値を有するか否かを確立する段階的多変量回帰分析を行うとともに、該スプライス変異体を工程bで残された前記モデルに加えることと、
d.工程cのスプライス変異体を含む前記モデルの全p値を決定するとともに、該全p値が更に低減している場合に該スプライス変異体を該モデルに残すことと、
を含む、方法を提供する。
以下の実施例から明らかなように、一実施の形態では上述のスクリーニング実験はマイクロアレイ実験又はQPCR実験である。
代替アプローチでは、代わりに表13に提示される遺伝子の少なくとも2つのバイオマーカー遺伝子の組合せが除外される。特定の実施の形態では、バイオマーカー遺伝子発現モデルを確立するために使用される遺伝子は、下記表8に挙げられる11遺伝子から選択される。このようにして特定されたバイオマーカー遺伝子及びバイオマーカー遺伝子の組合せを使用することで、本発明は分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす哺乳動物卵母細胞のコンピテンスを評価するin vitro方法における上記遺伝子及び遺伝子の組合せの使用を更に提供する。
したがって、更なる実施の形態では、本発明は分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす哺乳動物卵母細胞のコンピテンスを評価するin vitro方法であって、
前記卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおいて遺伝子のバイオマーカー遺伝子組合せモデルを検出するために上述の方法を用いて特定されたバイオマーカー遺伝子発現のレベル、又は上述の方法を用いて特定されたバイオマーカーの組合せのバイオマーカー遺伝子発現のレベルを決定する工程と、
前記発現レベル(複数の場合もあり)に基づいて分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす前記卵母細胞のコンピテンスを評価する工程と、
を含む、in vitro方法を提供する。
上述の方法では、卵母細胞のコンピテンスの評価は本発明の方法を用いて決定されたバイオマーカー遺伝子組合せモデルを使用して、特に本明細書に記載のバイオマーカー遺伝子組合せモデルの1つを使用して行われる。上記モデルでは、遺伝子の発現レベルを上記卵母細胞の妊娠確率(P)を与える数式(以下)に用いる。一実施の形態では、卵母細胞のコンピテンスの評価に用いられる発現レベルは正規化発現レベルである。このため一実施の形態では、本明細書に提示される哺乳動物卵母細胞のコンピテンスを評価するin vitro方法は、発現レベルを正規化する工程を更に含む。別の実施の形態では、invitro方法は発現レベルを正規化する工程であって、上記マーカーの絶対発現レベルを、その発現とマーカーではない遺伝子、例えば構成的に発現されたハウスキーピング遺伝子の発現とを比較することで補正することによってバイオマーカー遺伝子の発現レベルを正規化する、工程を含む。一実施の形態では、バイオマーカー遺伝子発現レベルの正規化に使用されるハウスキーピング遺伝子はUBC、B2M、アクチン、GAPDH、HPRT、CPB、G6PD、ヒストンH2A、及びミトコンドリアリボソームタンパク質S 18C遺伝子(RNA18S5としても知られる)、特にUBC又はB2Mからなる(consisting of)群から選択される。
代替方法では、哺乳動物卵母細胞のコンピテンスは、マーカー遺伝子発現のレベルをコンピテンスが既知の対照と比較することによって評価される。発現レベルに少なくとも20 %の差が存在する場合、上記遺伝子の差次的発現は卵母細胞のコンピテンスの指標である。このため一実施の形態では、哺乳動物卵母細胞のコンピテンスは本明細書に記載のバイオマーカー遺伝子組合せモデルの1つを用いて評価される。上記実施の形態では、in vitro方法は、上記遺伝子のエクソンレベルの遺伝子発現を正規化する工程と、上記正規化発現レベルに基づいて分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす卵母細胞のコンピテンスを評価する工程とを更に含み得る。別の実施の形態では、卵母細胞は任意に正規化発現レベルを用いてマーカー遺伝子発現のレベルをコンピテンスが既知の対照と比較することによって評価され、上記遺伝子の発現レベルに少なくとも20 %の差が存在する場合に該卵母細胞は分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらすことが可能である。
当業者は、上記1つ又は複数のバイオマーカー遺伝子のマーカー遺伝子発現のレベルの決定に利用可能な方法を十分承知している。一実施の形態では、この方法は、ポリヌクレオチド又は該ポリヌクレオチド内の1つ又は複数の領域に特異的にハイブリダイズすることが可能なプライマー及び/又はプローブを使用する生物学的アッセイを用いて上記遺伝子のポリヌクレオチドレベルを測定することを含む。別の実施の形態では、この方法はタンパク質、そのプロフォーム、その基質又はその代謝産物の結合剤、抗体又はそのフラグメントを使用する生物学的アッセイを用いて関連遺伝子産物のタンパク質レベルを測定することを含む。
上述の方法は哺乳動物卵母細胞、特にヒト卵母細胞のコンピテンスを決定するように構成されるが、これはサンプルがそれらに限定されることを意味するものではない。本発明に使用されるサンプルは明らかに卵母細胞に由来する顆粒膜又は卵丘を含むが、卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含む、卵胞液をベースとする又は培地に由来するものであってもよい。対照又は参照サンプルでは卵母細胞のコンピテンスは既知であり、既知のコンピテント又は既知の非コンピテント卵母細胞を含むサンプルを使用することができ、該サンプルは試験対象のサンプルと同じ又は異なる被験体から得ることができる。特定の実施の形態では、対照又は参照サンプルは、試験対象のサンプルと同じ被験体から得た又は得ていない既知の非コンピテント卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含む。
以下の実施例によると、以下の遺伝子、すなわちCAMK1D、PTGS2、EFNB2、VCAN、STC1、STC2、PGR及びGPX3のエクソンレベル分析から、サンプルにおける卵母細胞のコンピテンスを予測するバイオマーカー遺伝子発現モデルを確立することができることが見出された。特に、本発明によるin vitro方法に使用されるバイオマーカー遺伝子は、SASH1、MROH9、NCOA7、DNAH3、HSPH1エクソン2、HSPH1エクソン6、GALNTL6、SPTBN5、CAMK1Dエクソン1、CAMK1Dエクソン9及びEFNB2を含む群から選択される。したがって、本発明は分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす哺乳動物卵母細胞のコンピテンスを評価するin vitro方法であって、
卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるCAMK1D、PTGS2、EFNB2、VCAN、STC1、STC2、PGR及びGPX3からなる群から選択される1つ又は複数のバイオマーカー遺伝子のエクソンレベルの遺伝子発現を決定する工程と、
バイオマーカー遺伝子発現のレベルをコンピテンスが既知の対照と比較する工程と、
上記比較に基づいて分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす卵母細胞のコンピテンスを評価する工程と、
を含む、in vitro方法を提供する。
特定の実施の形態では、遺伝子発現のエクソンレベル分析をSASH1、MROH9、NCOA7、DNAH3、HSPH1エクソン2、HSPH1エクソン6、GALNTL6、SPTBN5、CAMK1Dエクソン1、CAMK1Dエクソン9及びEFNB2から選択される1つ又は複数の遺伝子のスプライス変異体に対して行う。上述の遺伝子セットのバイオマーカーの好ましい組合せは、
EFNB2及びNCOA7、
CAMK1Dエクソン9及びHSPH1エクソン2及びNCOA7、
CAMK1Dエクソン9及びHSPH1エクソン6及びNCOA7、
CAMK1Dエクソン1及びSASH1、並びに、
EFBN2及びSASH1、
を含むリストから、最終的には表13に挙げられる遺伝子から選択される1つ又は複数の付加的な遺伝子、特に表8に挙げられる遺伝子から選択される1つ又は(or)複数の付加的な更なる遺伝子、特にCAMK1D、PTGS2、EFNB2、VCAN、STC1、STC2、PGR及びGPX3からなる群から選択される1つ又は複数の付加的な遺伝子、より具体的にはEFNB2、CAMK1Dエクソン1、CAMK1Dエクソン9、HSPH1エクソン2、HSPH1エクソン6、NCOA7及びSASH1から選択される遺伝子、更により具体的にはHSPH1エクソン2、HSPH1エクソン6、NCOA7及びSASH1から選択される遺伝子と組み合わせて選択される。
このため更なる実施の形態では、本発明は分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす哺乳動物卵母細胞のコンピテンスを評価するin vitro方法であって、
卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるCAMK1D、PTGS2、EFNB2、VCAN、STC1、STC2、PGR及びGPX3からなる群から選択される2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ又は8つのバイオマーカー遺伝子のエクソンレベルの遺伝子発現を決定する工程と、
上記遺伝子のエクソンレベルの遺伝子発現を正規化する工程と、
上記正規化発現レベルに基づいて分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす卵母細胞のコンピテンスを評価する工程と、
を含む、in vitro方法を提供する。
別の実施の形態では、本発明は分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす哺乳動物卵母細胞のコンピテンスを評価するin vitro方法であって、
卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおける表13に挙げられる遺伝子から選択される1つ又は複数の遺伝子、特に表8に挙げられる遺伝子から選択される1つ又は複数の付加的な遺伝子、特にHSPH1エクソン2、HSPH1エクソン6、NCOA7及びSASH1からなる群から選択される1つ又は複数の付加的な遺伝子と組み合わせたCAMK1Dエクソン1、CAMK1Dエクソン9又はEFNB2のエクソンレベルの遺伝子発現を決定する工程と、
上記遺伝子のエクソンレベルの遺伝子発現を正規化する工程と、
上記正規化発現レベルに基づいて分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす卵母細胞のコンピテンスを評価する工程と、
を含む、in vitro方法を提供する。
更なる態様では、本発明は任意に別のin vitro卵母細胞、精子又は胚評価方法と組み合わせた、受精後に正常妊娠を生じさせることが可能な卵母細胞を特定する本発明によるin vitro方法の使用を提供する。
更なる態様では、本発明は本発明によるin vitro方法に従ってスコアリングされた哺乳動物卵母細胞を含む卵母細胞バンク、及び本発明によるin vitro方法に従ってスコアリングされた卵母細胞の使用を含む胚を調製する方法を提供する。
更なる番号が付けられた本発明の実施の形態として以下のものが挙げられる:
1. 分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす哺乳動物卵母細胞のコンピテンスを評価するin vitro方法であって、
卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるHSPH1のマーカー遺伝子発現のレベルを決定する工程と、
マーカー遺伝子発現のレベルをコンピテンスが既知の対照と比較するか、又は上記遺伝子のエクソンレベルの遺伝子発現を正規化する工程と、
上記比較に基づいて又は上記正規化発現レベルを用いて分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす卵母細胞のコンピテンスを評価する工程と、
を含む、in vitro方法。
2. 卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるPGR、GSTA4、GSTA3、GPX3、EFNB2、CAMK1D、PTGS2、STC1、STC2、SASH1、MROH9、SPTBN5、GALNTL6、NCOA7、DNAH3又はVCANを含むリストから選択される1つ又は複数の付加的な遺伝子、特にEFNB2、CAMK1Dエクソン1、CAMK1Dエクソン9、HSPH1エクソン2、HSPH1エクソン6、NCOA7及びSASH1を含むリストから選択される1つ又は複数の付加的な遺伝子のマーカー遺伝子発現のレベルを決定することを更に含む、請求項1に記載のin vitro方法。
3. 卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるHSPH1、並びにCAMK1D、PTGS2、EFNB2、GSTA4、STC1、STC2及びVCANを含むリストから選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又は7つの遺伝子、特にHSPH1、並びにCAMK1Dエクソン1、CAMK1Dエクソン9、EFNB2、NCOA7及びSASH1から選択される1つ、2つ、3つ、4つ又は5つの遺伝子のマーカー遺伝子発現のレベルを決定することを含む、請求項2に記載のin vitro方法。
4. 卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるHSPH1、CAMK1D、PTGS2、EFNB2、GSTA4、STC1、STC2及びVCANのマーカー遺伝子発現のレベルを決定すること、特にHSPH1、CAMK1Dエクソン1、CAMK1Dエクソン9、EFNB2、NCOA7及びSASH1のマーカー遺伝子発現のレベルを決定することを含む、請求項3に記載のinvitro方法。
5. 卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるHSPH1、並びにSASH1、CAMK1D、MROH9、SPTBN5、GALNTL6、NCOA7、DNAH3及びEFBN2を含むリストから選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又は7つの遺伝子のマーカー遺伝子発現のレベルを決定することを含む、請求項2に記載のinvitro方法。
6. 卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるHSPH1、SASH1、CAMK1D、MROH9、SPTBN5、GALNTL6、NCOA7、DNAH3及びEFBN2のマーカー遺伝子発現のレベルを決定することを含む、請求項5に記載のin vitro方法。
7. 卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるRABGAP1L、SLC7A11、ALDH1L2、ASNS、BTNL3、TICRR、CHTOP、CDC42EP3、CEBPG、DOCK9、GATS、GOT1、HINT3、KLF10、MBD3、MOCOS、MSR1、NPHP4、NPR1、PAK7、PHGDH、RNF166、ROBO2、SLC6A9、SLIT2、TSC22D3、TUB1及びUNC80を含むリストから選択される1つ又は複数の付加的な遺伝子のマーカー遺伝子発現のレベルを決定することを更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のin vitro方法。
8. HSPH1のエクソン2及び/又はエクソン6の発現レベルを決定することによってHSPH1のマーカー遺伝子発現のレベルを決定する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のin vitro方法。
9. 分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす哺乳動物卵母細胞のコンピテンスを評価するin vitro方法であって、
卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるCAMK1Dのエクソン1及び/又はエクソン9のマーカー遺伝子発現のレベルを決定する工程と、
マーカー遺伝子発現のレベルをコンピテンスが既知の対照と比較する工程と、
上記比較に基づいて分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす卵母細胞のコンピテンスを評価する工程と、
代替的には、卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるCAMK1Dのエクソン1及び/又はエクソン9のマーカー遺伝子発現のレベルを決定する工程と、
上記遺伝子のエクソンレベルの遺伝子発現を正規化する工程と、
上記正規化発現レベルに基づいて分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす卵母細胞のコンピテンスを評価する工程と、
を含む、in vitro方法。
10. 卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるPGR、GSTA4、GSTA3、GPX3、EFNB2、HSPH1、PTGS2、STC1、STC2、SASH1、MROH9、SPTBN5、GALNTL6、NCOA7、DNAH3又はVCANを含むリストから選択される1つ又は複数の付加的な遺伝子、特にHSPH1エクソン2、HSPH1エクソン6、EFNB2、NCOA7及びSASH1から選択される1つ、2つ、3つ、4つ又は5つの付加的な遺伝子のマーカー遺伝子発現のレベルを決定することを更に含む、請求項9に記載のin vitro方法。
11. 卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるCAMK1Dのエクソン1及び/又はエクソン9並びにHSPH1、PTGS2、EFNB2、GSTA4、STC1、STC2及びVCANを含むリストから選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又は7つの遺伝子、特にCAMK1Dのエクソン1及び/又はエクソン9並びにHSPH1エクソン2、HSPH1エクソン6、EFNB2、NCOA7及びSASH1から選択される1つ、2つ、3つ、4つ又は5つの遺伝子のマーカー遺伝子発現のレベルを決定することを含む、請求項10記載のinvitro方法。
12. 卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるHSPH1、CAMK1D、PTGS2、EFNB2、GSTA4、STC1、STC2及びVCANの遺伝子のマーカー遺伝子発現のレベル、特にCAMK1Dのエクソン1及び/又はエクソン9並びにHSPH1エクソン2、HSPH1エクソン6、EFNB2、NCOA7及びSASH1の発現を決定することを含む、請求項11に記載のin vitro方法。
13. 卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるRABGAP1L、SLC7A11、ALDH1L2、ASNS、BTNL3、TICRR、CHTOP、CDC42EP3、CEBPG、DOCK9、GATS、GOT1、HINT3、KLF10、MBD3、MOCOS、MSR1、NPHP4、NPR1、PAK7、PHGDH、RNF166、ROBO2、SLC6A9、SLIT2、TSC22D3、TUB1及びUNC80を含むリストから選択される1つ又は複数の付加的な遺伝子のマーカー遺伝子発現のレベルを決定することを更に含む、請求項9〜12のいずれか一項に記載のin vitro方法。
14. 分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす哺乳動物卵母細胞のコンピテンスを評価するin vitro方法であって、
卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるSASH1のマーカー遺伝子発現のレベルを決定する工程と、
マーカー遺伝子発現のレベルをコンピテンスが既知の対照と比較するか、又は上記遺伝子のエクソンレベルの遺伝子発現を正規化する工程と、
上記比較に基づいて又は上記正規化発現レベルを用いて分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす卵母細胞のコンピテンスを評価する工程と、
を含む、in vitro方法。
15. 卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるPGR、GSTA4、GSTA3、GPX3、EFNB2、CAMK1D、PTGS2、STC1、STC2、HSPH1、MROH9、SPTBN5、GALNTL6、NCOA7、DNAH3又はVCANを含むリストから選択される1つ又は複数の付加的な遺伝子、特にEFNB2、CAMK1Dエクソン1、CAMK1Dエクソン9、HSPH1エクソン2、HSPH1エクソン6、NCOA7及びSASH1を含むリストから選択される1つ又は複数の付加的な遺伝子のマーカー遺伝子発現のレベルを決定することを更に含む、請求項14に記載のin vitro方法。
16. 卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるHSPH1、並びにCAMK1D、PTGS2、EFNB2、GSTA4、STC1、STC2及びVCANを含むリストから選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又は7つの遺伝子、特にHSPH1、並びにCAMK1Dエクソン1、CAMK1Dエクソン9、EFNB2、NCOA7、HSPH1エクソン2及びHSPH1エクソン6から選択される1つ、2つ、3つ、4つ又は5つの遺伝子のマーカー遺伝子発現のレベルを決定することを含む、請求項15に記載のin vitro方法。
17. 卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるHSPH1、CAMK1D、PTGS2、EFNB2、GSTA4、STC1、STC2及びVCANのマーカー遺伝子発現のレベルを決定すること、特にHSPH1、CAMK1Dエクソン1、CAMK1Dエクソン9、EFNB2、NCOA7及びSASH1のマーカー遺伝子発現のレベルを決定することを含む、請求項16に記載のinvitro方法。
18. 卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるSASH1、並びにHSPH1、CAMK1D、MROH9、SPTBN5、GALNTL6、NCOA7、DNAH3及びEFBN2を含むリストから選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又は7つの遺伝子のマーカー遺伝子発現のレベルを決定することを含む、請求項15に記載のinvitro方法。
19. 卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるHSPH1、SASH1、CAMK1D、MROH9、SPTBN5、GALNTL6、NCOA7、DNAH3及びEFBN2のマーカー遺伝子発現のレベルを決定することを含む、請求項18に記載のin vitro方法。
20. 卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるRABGAP1L、SLC7A11、ALDH1L2、ASNS、BTNL3、TICRR、CHTOP、CDC42EP3、CEBPG、DOCK9、GATS、GOT1、HINT3、KLF10、MBD3、MOCOS、MSR1、NPHP4、NPR1、PAK7、PHGDH、RNF166、ROBO2、SLC6A9、SLIT2、TSC22D3、TUB1及びUNC80を含むリストから選択される1つ又は複数の付加的な遺伝子のマーカー遺伝子発現のレベルを決定することを更に含む、請求項14〜19のいずれか一項に記載のin vitro方法。
21. SASH1のエクソン12の発現レベルを決定することによってSASH1のマーカー遺伝子発現のレベルを決定する、請求項14〜20のいずれか一項に記載のin vitro方法。
本研究に使用するサンプルの概要を示す図である。図1は本研究で行われる異なる分析に使用されるサンプルの分布を示す。灰色の背景領域は領域の左側に表示した特定の分析に使用したサンプルの範囲を定めるものである。SET:単一胚移植、FRET:凍結胚移植周期、rFSH:組み換え卵胞刺激ホルモン。a:(非特許文献14)。A:妊娠分析(患者間) 以前の研究aによる妊娠モデル(EFNB2、CAMK1D及びSTC1)の検証 妊娠対非妊娠のt検定分析 新たな遺伝子を用いた新たな妊娠モデルの構築B:妊娠分析(患者内) 妊娠対非妊娠の対応t検定 患者間分析に見られる多変量(multiparametric)モデルの試験 非妊娠対出産に関連する卵丘細胞サンプルの正規化遺伝子発現値のt検定を示す図である。グラフは、体外受精処置後に出産をもたらした(n=19)又はもたらさなかった(n=28)卵母細胞に関連する卵丘細胞サンプル間の遺伝子発現の差を示す。正規化はB2M及びUBCの平均に対して行った。複数の遺伝子を試験したため、ボンフェローニ補正では0.0042未満のP値のみを有意とみなした。見られる発現の全範囲を、それぞれ中央値を中心にした2つの内側四分位点及び2つの外側四分位点を表す箱髭図で示す。 同上 3つの妊娠モデルの受信者動作特性(ROC)曲線を示す図である。体外受精処置後に出産をもたらした又はもたらさなかった卵母細胞に関連する卵丘細胞サンプルにおいて測定される遺伝子発現レベルを含む妊娠可能性を予測するために、多変量モデルを構築した。モデル3には患者及び周期特徴も加えた(表3)。モデル1は3つの遺伝子に限定され、EFNB2、PGR及びGSTA4から構成される。モデル2では、モデルを改善することができる限り全ての遺伝子をモデルに加えた。EFNB2、PGR、GSTA4、GTSA3、GPX3の5つの遺伝子がモデル2に残っていた。モデル2を改善するために、モデルのP値を改善することができる限りにおいて以下の患者及び周期特徴をモデル3に加えた:EFNB2、PGR、GSTA4、GTSA3、GPX3、年齢、相対E2及び卵巣刺激日数。それぞれの曲線下面積は0.79、0.89及び0.90である。相対E2:卵丘複合体の数に対するhCG日に測定されたE2値。 妊娠対非妊娠の患者内分析の対応t検定を示す図である。グラフは、各々の患者について妊娠をもたらさなかった卵母細胞と、後続の単一胚凍結移植周期で妊娠をもたらしたものとに対応する卵丘複合体の遺伝子発現を比較するものである。患者毎に卵母細胞は1回の回収周期に由来するものである。1人の患者は2回の連続凍結周期を有し、第1の周期は妊娠をもたらさなかった。1つの色が1人の患者を表す。破線(主要傾向を有するグラフについてのみ:P<0.1での非妊娠対妊娠の変動)は、主要傾向に従わない対を示す。これらの対は表7にも「a」として表示する。 同上 同上 同上 妊娠について予測的な患者内分析で得られる最も有力なモデルを示す図である。AUC=曲線下面積。式:妊娠可能性の予測=3.23+2.57*EFNB2+1.87*NCOA7。p=0.0127(少なくとも0.5の値は妊娠を表し、より低い値が非妊娠を表す)。 妊娠について予測的なGnRHアンタゴニスト及びrFSHによる前処置後の患者間分析で得られる最も有力なモデルの1つを示す図である。AUC=曲線下面積。式:妊娠=-1.36999+1.79393*CAMK1Dエクソン9+0.89385*HSPH1エクソン2-0.73763*NCOA7(正の値は妊娠を表し、負の値は非妊娠を表す)。 妊娠について予測的なGnRHアンタゴニスト及びHP-hMGによる前処置後の患者間分析で得られる最も有力なモデルの1つを示す図である。AUC=曲線下面積。式:妊娠=0.46786+0.90886*SASH1-0.2264*CAMK1Dエクソン1(正の値は妊娠を表し、負の値は非妊娠を表す)。
本発明において、「卵母細胞コンピテンス」又は「コンピテンス」という用語は減数分裂を再開する、受精後に開裂する、胚発生及び妊娠成立の促進を助ける、並びに良好な健康状態で妊娠に至らせる卵母細胞の能力を意味する。言い換えると、該用語は分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす哺乳動物卵母細胞の能力を表す。
本発明によると、卵母細胞は自然周期、修正自然周期、又は例えば体外受精(IVF)若しくは卵細胞質内精子注入法(ICSI)を含むART(生殖補助医療)の刺激周期によって生じ得る。本発明の方法に使用される卵母細胞は通例、排卵誘発の20時間〜44時間後に得られ、排卵誘発は自然又は修正自然周期で得ることができる。「自然周期」という用語は、雌又は女性が卵母細胞を生成する自然周期を指す。「刺激周期」とも称される「修正自然周期」という用語は、多発性卵胞成長及び/又は卵母細胞の排卵を雌又は女性の処置によって誘導するプロセスを指す。かかる刺激周期に用いることができる排卵誘発としては、例えば黄体形成ホルモン又は類似体、絨毛性ゴナドトロピン及び類似体、FSH及びアゴニスト、GnRH及び類似体、上皮成長因子(EGF)及び類似体、EGF様タンパク質(ペプチド)アンフィレグリン、エピレグリン、ベタセルリン及びその類似体、インターロイキン-6、インターロイキン-1、白血病抑制因子(LIF)ホスホジエステラーゼ4型阻害剤、上記のいずれかを活性化する低分子量化合物、並びに上記の任意の組合せを挙げることができる。特定の処置としては、組み換えFSH及び/又はhMG、又はクエン酸クロミフェン、タモキシフェン、レトロゾール等と関連するGnRH類似体(アゴニスト又はアンタゴニスト)による卵巣刺激が挙げられる。
一実施形態では、本発明の方法に使用される卵母細胞は排卵誘発の20時間〜40時間後に得られる及び/又は採取される。別の実施形態では、本発明の方法に使用される卵母細胞は排卵誘発の34時間〜38時間後、特に排卵誘発の36時間後に得られる及び/又は採取される。当業者には明らかなように、卵母細胞への排卵誘発はin vitro又はin vivoで行うことができる。
「濾胞細胞」とも称される「顆粒膜細胞」は、哺乳動物の卵巣内の発生中の雌性配偶子(卵母細胞)と密接に関連する性索の体細胞である。
「卵丘細胞」は、卵胞内及び排卵後の卵母細胞周囲の卵丘(discus proligerus)(細胞塊)に存在する細胞である。
本発明の方法において、「卵母細胞」への言及は成熟卵母細胞及び/又は排卵により誘導された卵母細胞と関連する顆粒膜細胞及び/又は卵丘細胞を含むことを意味する。このため本発明の一実施形態では、使用される卵母細胞は卵丘細胞を指し、該卵丘細胞は排卵誘発の前又は後に本発明の方法を用いて分析することができる。
「マーカー発現のレベルを決定する」という表現は、十分な任意のマーカー発現生成物(核酸及びタンパク質を含む)を検出するのに当業者が利用可能な技術を用いたサンプルにおける核酸又はタンパク質レベルでのマーカー発現の程度の評定を意味する。「マーカー遺伝子発現レベル」は、例えば核酸マイクロアレイ、ノーザンブロット法、逆転写PCR、ウエスタンブロット法、酵素結合免疫吸着法、タンパク質マイクロアレイ又はFACS分析を用いて決定することができる。「マーカー遺伝子発現」という用語は完全長遺伝子又はその変異体、特に特定のエクソンを含有するスプライス変異体の発現を含むことを意味する。
本発明に関して特に興味深いスプライス変異体は、
HSPH1のエクソン2及び/又はエクソン6、
CAMK1Dのエクソン1及び/又はエクソン9、
NCOA7のエクソン1及び/又はエクソン2、
SASH1のエクソン12、
MROH9のエクソン14、
SPTBN5のエクソン8、
GALNTL6のエクソン16、及び/又は、
DNAH3のエクソン21、
を含むスプライス変異体のいずれか又はそれらの組合せである。
特定の実施形態では、本発明の方法で使用したスプライス変異体の組合せは、HSPH1のエクソン2及びHSPH1のエクソン6、HSPH1のエクソン2及びCAMK1Dのエクソン1又はエクソン9、HSPH1のエクソン2及びNCOA7のエクソン1又はエクソン2;HSPH1のエクソン2及びSASH1のエクソン12、HSPH1のエクソン2及びMROH9の(of)エクソン14、HSPH1のエクソン2及びSPTBN5のエクソン8、HSPH1のエクソン2及びGALNTL6、HSPH1のエクソン2及びDNAH3のエクソン21、HSPH1のエクソン6及びCAMK1Dのエクソン1又はエクソン9、HSPH1のエクソン6及びNCOA7のエクソン1又はエクソン2;HSPH1のエクソン6及びSASH1のエクソン12、HSPH1のエクソン6及びMROH9のエクソン14、HSPH1のエクソン6及びSPTBN5のエクソン8、HSPH1のエクソン6及びGALNTL6、HSPH1のエクソン6及びDNAH3のエクソン21、HSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにCAMK1Dのエクソン1、HSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにCAMK1Dのエクソン9、HSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにNCOA7のエクソン1、HSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにNCOA7のエクソン2;HSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにSASH1のエクソン12、HSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにMROH9のエクソン14、HSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにSPTBN5のエクソン8、HSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにGALNTL6、HSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにDNAH3のエクソン21、HSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにCAMK1Dのエクソン1及びエクソン9、HSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにCAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにNCOA7のエクソン1及びエクソン2、HSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにCAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにNCOA7のエクソン1及びエクソン2並びにSASH1のエクソン12、HSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにCAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにNCOA7のエクソン1及びエクソン2並びにSASH1のエクソン12並びにMROH9のエクソン14、HSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにCAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにNCOA7のエクソン1及びエクソン2並びにSASH1のエクソン12並びにMROH9のエクソン14並びにSPTBN5のエクソン8、HSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにCAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにNCOA7のエクソン1及びエクソン2並びにSASH1のエクソン12並びにMROH9のエクソン14並びにSPTBN5のエクソン8並びにGALNTL6のエクソン16、HSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにCAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにNCOA7のエクソン1及びエクソン2並びにSASH1のエクソン12並びにMROH9のエクソン14並びにSPTBN5のエクソン8並びにGALNTL6のエクソン16並びにDNAH3のエクソン21を含むリストから選択される。
更なる特定の実施形態では、本発明の方法で使用したスプライス変異体の組合せは、CAMK1Dのエクソン1及びCAMK1Dのエクソン9、CAMK1Dのエクソン1及びHSPH1のエクソン2又はエクソン6、CAMK1Dのエクソン1及びNCOA7のエクソン1又はエクソン2、CAMK1Dのエクソン1及びSASH1のエクソン12、CAMK1Dのエクソン1及びMROH9のエクソン14、CAMK1Dのエクソン1及びSPTBN5のエクソン8、CAMK1Dのエクソン1及びGALNTL6のエクソン16、CAMK1Dのエクソン1及びDNAH3のエクソン21、CAMK1Dのエクソン9及びHSPH1のエクソン2又はエクソン6、CAMK1Dのエクソン9及びNCOA7のエクソン1又はエクソン2、CAMK1Dのエクソン9及びSASH1のエクソン12、CAMK1Dのエクソン9及びMROH9のエクソン14、CAMK1Dのエクソン9及びSPTBN5のエクソン8、CAMK1Dのエクソン9及びGALNTL6、CAMK1Dのエクソン9及びDNAH3のエクソン21、CAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにHSPH1のエクソン2、CAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにHSPH1のエクソン6、CAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにNCOA7のエクソン1、CAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにNCOA7のエクソン2、CAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにSASH1のエクソン12、CAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにMROH9のエクソン14、CAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにSPTBN5のエクソン8、CAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにGALNTL6のエクソン16、CAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにDNAH3のエクソン21、CAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにHSPH1のエクソン2及びエクソン6、CAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにHSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにNCOA7のエクソン1、CAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにHSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにNCOA7のエクソン1及びエクソン2、CAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにHSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにNCOA7のエクソン1及びエクソン2並びにSASH1のエクソン12、CAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにHSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにNCOA7のエクソン1及びエクソン2並びにSASH1のエクソン12並びにMROH9のエクソン14、CAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにHSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにNCOA7のエクソン1及びエクソン2並びにSASH1のエクソン12並びにMROH9及びSPTBN5のエクソン14、CAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにHSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにNCOA7のエクソン1及びエクソン2並びにSASH1のエクソン12並びにMROH9及びSPTBN5のエクソン14並びにGALNTL6のエクソン16、CAMK1Dのエクソン1及びエクソン9並びにHSPH1のエクソン2及びエクソン6並びにNCOA7のエクソン1及びエクソン2並びにSASH1のエクソン12並びにMROH9及びSPTBN5のエクソン14並びにGALNTL6のエクソン16並びにDNAH3のエクソン21、CAMK1Dのエクソン1及びSASH1、CAMK1Dのエクソン9及びHSPH1及びNCOA7のエクソン2、CAMK1Dのエクソン9及びHSPH1のエクソン2及びNCOA7のエクソン1又はエクソン2、CAMK1Dのエクソン1及びSASH1のエクソン12、CAMK1Dのエクソン9及びHSPH1のエクソン6及びSASH1のエクソン12、CAMK1Dのエクソン9及びHSPH1及びSASH1のエクソン6を含むリストから選択される。
別の実施形態では、本発明の方法で使用したスプライス変異体の組合せは、EFNB2及びCAMK1Dのエクソン9又はエクソン1、EFNB2及びHSPH1のエクソン2又はエクソン6、EFNB2及びNCOA7のエクソン1又はエクソン2、EFNB2及びSASH1のエクソン12、EFNB2及びMROH9のエクソン14、EFNB2及びSPTBN5のエクソン8、EFNB2及びGALNTL6のエクソン16、EFNB2及びDNAH3のエクソン21、EFNB2及びCAMK1Dのエクソン9又はエクソン1及びHSPH1のエクソン2又はエクソン6、EFNB2及びCAMK1Dのエクソン9又はエクソン1及びNCOA7のエクソン1又はエクソン2、EFNB2及びCAMK1Dのエクソン9又はエクソン1及びSASH1のエクソン12、EFNB2及びHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びNCOA7のエクソン1又はエクソン2、EFNB2及びHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びSASH1のエクソン12、EFNB2及びNCOA7のエクソン1又はエクソン2及びCAMK1Dのエクソン9又はエクソン1、EFNB2及びNCOA7のエクソン1又はエクソン2及びHSPH1のエクソン2又はエクソン6、EFNB2及びNCOA7のエクソン1又はエクソン2及びSASH1のエクソン12、EFNB2及びSASH1のエクソン12及びNCOA7のエクソン1又はエクソン2及びHSPH1のエクソン2又はエクソン6、EFNB2及びCAMK1Dのエクソン9又はエクソン1及びHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びNCOA7のエクソン1又はエクソン2、EFNB2及びNCOA7、EFNB2及びSASH1、EFNB2及びNCOA7のエクソン1又はエクソン2、EFNB2及びSASH1のエクソン12を含むリストから選択される。
別の実施形態では、本発明の方法で使用したスプライス変異体の組合せは、SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6;SASH1のエクソン12及びMROH9又はMROH9のエクソン14;SASH1のエクソン12及びSPTBN5又はSPTBN5のエクソン8;SASH1のエクソン12及びCAMK1D又はCAMK1Dのエクソン1又はエクソン9;SASH1のエクソン12及びGALNTL6又はGALNTL6のエクソン16;SASH1のエクソン12及びNCOA7又はNCOA7のエクソン1又はエクソン2;SASH1のエクソン12及びDNAH3又はDNAH3のエクソン21;SASH1のエクソン12及びEFNB2;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びSPTBN5又はSPTBN5のエクソン8;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びCAMK1D又はCAMK1Dのエクソン1又はエクソン9;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びGALNTL6又はGALNTL6のエクソン16;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びNCOA7又はNCOA7のエクソン1又はエクソン2;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びDNAH3又はDNAH3のエクソン21;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びEFNB2;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14及びSPTBN5又はSPTBN5のエクソン8;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14及びCAMK1D又はCAMK1Dのエクソン1又はエクソン9;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14及びGALNTL6又はGALNTL6のエクソン16;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14及びNCOA7又はNCOA7のエクソン1又はエクソン2;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14及びDNAH3又はDNAH3のエクソン21;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14及びEFNB2;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14及びSPTBN5又はSPTBN5のエクソン8及びCAMK1D又はCAMK1Dのエクソン1又はエクソン9;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14及びSPTBN5又はSPTBN5のエクソン8及びGALNTL6又はGALNTL6のエクソン16;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14及びSPTBN5又はSPTBN5のエクソン8及びNCOA7又はNCOA7のエクソン1又はエクソン2;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14及びSPTBN5又はSPTBN5のエクソン8及びDNAH3又はDNAH3のエクソン21;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14及びSPTBN5又はSPTBN5のエクソン8及びEFNB2;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14及びSPTBN5又はSPTBN5のエクソン8及びCAMK1D又はCAMK1Dのエクソン1又はエクソン9及びGALNTL6又はGALNTL6のエクソン16;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14及びSPTBN5又はSPTBN5のエクソン8及びCAMK1D又はCAMK1Dのエクソン1又はエクソン9及びNCOA7又はNCOA7のエクソン1又はエクソン2;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14及びSPTBN5又はSPTBN5のエクソン8及びCAMK1D又はCAMK1Dのエクソン1又はエクソン9及びDNAH3又はDNAH3のエクソン21;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14及びSPTBN5又はSPTBN5のエクソン8及びCAMK1D又はCAMK1Dのエクソン1又はエクソン9及びEFNB2;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14及びSPTBN5又はSPTBN5のエクソン8及びCAMK1D又はCAMK1Dのエクソン1又はエクソン9及びGALNTL6又はGALNTL6のエクソン16及びNCOA7又はNCOA7のエクソン1又はエクソン2;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14及びSPTBN5又はSPTBN5のエクソン8及びCAMK1D又はCAMK1Dのエクソン1又はエクソン9及びGALNTL6又はGALNTL6のエクソン16及びDNAH3又はDNAH3のエクソン21;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14及びSPTBN5又はSPTBN5のエクソン8及びCAMK1D又はCAMK1Dのエクソン1又はエクソン9及びGALNTL6又はGALNTL6のエクソン16及びEFNB2;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14及びSPTBN5又はSPTBN5のエクソン8及びCAMK1D又はCAMK1Dのエクソン1又はエクソン9及びGALNTL6又はGALNTL6のエクソン16及びNCOA7又はNCOA7のエクソン1又はエクソン2及びDNAH3又はDNAH3のエクソン21;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14及びSPTBN5又はSPTBN5のエクソン8及びCAMK1D又はCAMK1Dのエクソン1又はエクソン9及びGALNTL6又はGALNTL6のエクソン16及びNCOA7又はNCOA7のエクソン1又はエクソン2及びEFNB2;SASH1のエクソン12及びHSPH1又はHSPH1のエクソン2又はエクソン6及びMROH9又はMROH9のエクソン14及びSPTBN5又はSPTBN5のエクソン8及びCAMK1D又はCAMK1Dのエクソン1又はエクソン9及びGALNTL6又はGALNTL6のエクソン16及びNCOA7又はNCOA7のエクソン1又はエクソン2及びDNAH3又はDNAH3のエクソン21及びEFNB2を含むリストから選択される。
別の実施形態では、本発明によるin vitroモデルで使用したモデルは、STC1、SASH1、PGR、GSTA4、GSTA3、GPX、NCOA7、HSPH1、MROH9、DNAH3、GALNTL6及びSPTBN5から選択される1つ又は複数のマーカー遺伝子、特にSTC1、SASH1、PGR、GSTA4、GSTA3、GPX、NCOA7、及びHSPH1から選択される1つ又は複数の遺伝子と組み合わせたEFNB2、又はCAMK1Dのエクソン1又はエクソン9の決定に基づいている。更なる実施形態では、使用したモデルは、SASH1のエクソン12、NCOA7のエクソン1、NCOA7のエクソン2、HSPH1のエクソン2、HSPH1のエクソン6、MROH9のエクソン14、DNAH3のエクソン21、GALNTL6のエクソン16及びSPTBN5のエクソン8から選択される1つ又は複数のスプライス変異体、特にSASH1のエクソン12、NCOA7のエクソン1、NCOA7のエクソン2、HSPH1のエクソン2、及びHSPH1のエクソン6から選択される1つ又は複数のスプライス変異体と組み合わせたEFNB2、又はCAMK1Dのエクソン1又はエクソン9の決定に基づいている。
対照は、コンピテンスが既知の卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞である。この点において、陽性対照は分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらすコンピテント卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞である。別の実施形態では、陽性対照は染色体的に正常な卵母細胞であり得る。
幾つかの実施形態では、表13の少なくとも2つのマーカー遺伝子の発現レベルを決定する。特定の実施形態では、以下の組合せのうちの1つのバイオマーカー遺伝子発現レベルを決定する:
EFNB2、GSTA4及びPGR、
EFNB2、GSTA4、PGR、GPX3及びGSTA3、
EFNB2、及びNCOA7、
EFNB2、及びSASH1、
EFNB2、CAMK1Dエクソン1、CAMK1Dエクソン9、SASH1、MROH9、NCOA7、DNAH3、HSPH1エクソン2、HSPH1エクソン6、GALNTL6、及びSPTBN5、
EFNB2、CAMK1Dエクソン1、CAMK1Dエクソン9、HSPH1エクソン2、HSPH1エクソン6、NCOA7、及びSASH1、
CAMK1Dエクソン9、HSPH1エクソン2及びNCOA7、
CAMK1Dエクソン9、HSPH1エクソン6及びNCOA7、
CAMK1Dエクソン1、及びSASH1。
これらの新たなモデルは、妊娠及び出産の潜在性について卵母細胞をランク付けすることが可能な判明した。上述のモデルから明らかなように、CAMK1Dエクソン1又はエクソン9及びEFNB2は患者内及び患者間分析の陽性対照遺伝子として確認されており、これらのマーカーとGSTA4、GSTA3、PGR、GPX3、NCOA7、SASH1、MROH9、DNAH3、HSPH1エクソン2、HSPH1エクソン6、GALNTL6及びSPTBN5から選択される更なる遺伝子とを組み合わせることで、妊娠及び出産に対する卵母細胞コンピテンスの決定において予測的なモデルが得られる。以下の実施例から(from)明らかなように、これらの遺伝子の組合せを使用することでPPV、NPV及び予測精度は60%を上回った。別の実施形態では、本発明のin vitroモデル(例えば下記表6のモデル3を参照されたい)は例えば年齢、刺激日数及び相対エストラジオール(E2)、抗ミュラー管ホルモンレベル(AMH)、3日目の卵胞刺激ホルモンレベル(Day 3 FSH)等の患者及び/又は周期パラメーターを更に含み得る。特定の実施形態では、本発明のin vitroモデルに使用される患者及び周期パラメーターは刺激日数、相対E2及び年齢である。
上述の遺伝子セットから離れた一実施形態では、本発明は、妊娠(pregnancy)及び出産をもたらす哺乳動物卵母細胞のコンピテンスを予測するin vitroモデルであって、上記方法が、
卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおいてEFNB2、GSTA4及びPGRのマーカー遺伝子発現のレベルを決定する工程と、
マーカー遺伝子発現のレベルをコンピテンスが既知の対照と比較するか、又は上記遺伝子のエクソンレベルの遺伝子発現を正規化する工程と、
上記比較又は上記正規化発現レベルに基づいて妊娠及び出産をもたらす卵母細胞のコンピテンスを評価する工程と、
を含む、in vitroモデルを提供する。
上述の方法の一実施形態では、卵母細胞のコンピテンスは、方程式P=-a+b*EFNB2+c*GSTA4-d*PGR(式中、aは1.00〜4.00の数であり、bは0.00〜2.00の数であり、cは0.00〜2.00の数であり、dは0.00〜2.00の数であり、EFNB2はEFNB2の正規化発現レベルであり、GSTA4はGSTA4の正規化発現レベルであり、PGRはPGRの正規化発現レベルである)で与えられる妊娠確率(P)の決定に基づく。特定の実施形態では、上述の方程式におけるaは2.00〜3.00の数であり、bは0.00〜1.00の数であり、cは0.00〜1.00の数であり、dは0.00〜1.00の数である。また更なる実施形態では、上述の方程式におけるaは2.26であり、bは0.79であり、cは0.095であり、dは0.096である。
EFNB2、GSTA4及びPGRに基づく上述のモデルの一実施形態では、in vitro方法は、卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおけるGPX3及びGSTA3のマーカー遺伝子発現のレベルを決定することと、上記更なるマーカー遺伝子発現を卵母細胞のコンピテンスの評価に使用することとを更に含む。EFNB2、GSTA4及びPGRに基づく上述のモデルの更なる実施形態では、卵母細胞のコンピテンスは方程式P=-a+b*EFNB2+c*GSTA4-d*PGR-e*GPX3-f*GSTA3(式中、aは1.00〜4.00の数であり、bは0.00〜2.00の数であり、cは0.00〜2.00の数であり、dは0.00〜2.00の数であり、eは0.00〜2.00の数であり、fは0.00〜2.00の数であり、EFNB2はEFNB2の正規化発現レベルであり、GSTA4はGSTA4の正規化発現レベルであり、PGRはPGRの正規化発現レベルであり、GPX3はGPX3の正規化発現レベルであり、GSTA3はGSTA3の正規化発現レベルである)で与えられる妊娠確率(P)の決定に基づく。特定の実施形態では、上述の方程式におけるaは1.00〜2.00の数であり、bは0.00〜1.00の数であり、cは0.00〜1.00の数であり、dは0.00〜1.00の数であり、eは0.00〜1.00の数であり、fは0.00〜1.00の数である。より具体的には、上述の方程式におけるaは1.02であり、bは0.63であり、cは0.27であり、dは0.11であり、eは0.43であり、fは0.51である。
EFNB2、GSTA4及びPGRに基づく上述のモデルの一実施形態では、in vitro方法は、患者及び周期の特徴、すなわち年齢、刺激日数及びRel E2(相対E2)を決定することと、上記更なる患者及び周期の特徴を卵母細胞のコンピテンスの評価に使用することとを更に含む。EFNB2、GSTA4及びPGRに基づく上述のモデルの更なる実施形態では、卵母細胞のコンピテンスは方程式P=-a+b*EFNB2+c*GSTA4-d*PGR-e*GPX3-f*GSTA3+g*刺激日数+h*Rel E2+i*年齢(式中、aは5.00〜15.00の数であり、bは0.00〜2.00の数であり、cは0.00〜2.00の数であり、dは0.00〜2.00の数であり、eは0.00〜2.00の数であり、fは0.00〜2.00の数であり、gは0.00〜2.00の数であり、hは0.00〜2.00の数であり、iは0.00〜2.00の数であり、EFNB2はEFNB2の正規化発現レベルであり、GSTA4はGSTA4の正規化発現レベルであり、PGRはPGRの正規化発現レベルであり、GPX3はGPX3の正規化発現であり、GSTA3はGSTA3の正規化発現レベルである)で与えられる妊娠確率(P)の決定に基づく。特定の実施形態では、上述の方程式におけるaは9.00〜13.00の数であり、bは1.00〜2.00の数であり、cは0.00〜1.00の数であり、dは0.00〜1.00の数であり、eは0.00〜1.00の数であり、fは0.00〜1.00の数であり、gは0.00〜1.00の数であり、hは0.00〜1.00の数であり、iは0.00〜1.00の数である。より具体的には、上述の方程式におけるaは11.27であり、bは1.35であり、cは0.46であり、dは0.24であり、eは0.66であり、fは0.86であり、gは0.0.50であり、hは0.009であり、iは0.14である。
上述の遺伝子セットから離れた一実施形態では、本発明は、妊娠及び出産をもたらす哺乳動物卵母細胞のコンピテンスを予測するin vitroモデルであって、上記方法が、
卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおいてEFNB2及びNCOA7のマーカー遺伝子発現のレベルを決定する工程と、
マーカー遺伝子発現のレベルをコンピテンスが既知の対照と比較するか、又は上記遺伝子のエクソンレベルの遺伝子発現を正規化する工程と、
上記比較又は上記正規化発現レベルに基づいて妊娠及び出産をもたらす卵母細胞のコンピテンスを評価する工程と、
を含む、in vitroモデルを提供する。
上述の方法の一実施形態では、卵母細胞のコンピテンスは方程式P=a+b*EFNB2+c*NCOA7(式中、aは2.00〜5.00の数であり、bは2.00〜4.00の数であり、cは1.00〜3.00の数であり、EFNB2はEFNB2の正規化発現レベルであり、NCOA7はNCOA7の正規化発現レベルである)で与えられる妊娠確率(P)の決定に基づく。特定の実施形態では、妊娠確率(P)は方程式P=a+b*EFNB2+c*NCOA7(式中、aは3.00〜4.00の数であり、bは2.00〜3.00の数であり、cは1.00〜2.00の数である)で与えられる。また更なる実施形態では、上述の方程式におけるaは3.23であり、bは2.57であり、cは1.87である。
上述の遺伝子セットから離れた一実施形態では、本発明は、GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)アンタゴニスト及びrFSH(組み換え卵胞刺激ホルモン)で前処置した被験体において妊娠及び出産をもたらす哺乳動物卵母細胞のコンピテンスを予測するin vitroモデルであって、上記方法が、
卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおいてCAMK1Dエクソン9、HSPH1エクソン2及びNCOA7のマーカー遺伝子発現のレベルを決定する工程と、
マーカー遺伝子発現のレベルをコンピテンスが既知の対照と比較するか、又は上記遺伝子のエクソンレベルの遺伝子発現を正規化する工程と、
上記比較又は上記正規化発現レベルに基づいて妊娠をもたらす卵母細胞のコンピテンスを評価する工程と、
を含む、in vitroモデルを提供する。
上述の方法の一実施形態では、卵母細胞のコンピテンスは方程式P=a+b*CAMK1Dエクソン9+c*HSPH1エクソン2+d*NCOA7(式中、aは-3.00〜-1.00の数であり、bは2.00〜4.00の数であり、cは0.00〜3.00の数であり、dは0.00〜2.00の数であり、CAMK1Dエクソン9はCAMK1Dエクソン9の正規化発現レベルであり、HSPH1エクソン2はHSPH1エクソン2の正規化発現レベルであり、NCOA7はNCOA7の正規化発現レベルである)で与えられる妊娠確率(P)の決定に基づき、正の値は妊娠を表し、負の値は非妊娠を表す。特定の実施形態では、妊娠確率(P)は方程式P=a+b*CAMK1Dエクソン9+c*HSPH1エクソン2+d*NCOA7(式中、aは-2.00〜-1.00の数であり、bは1.00〜2.00の数であり、cは0.00〜1.00の数であり、dは0.00〜1.00の数である)で与えられる。また更なる実施形態では、aは-1.37であり、bは1.79であり、cは0.89であり、dは0.74である。
上述の遺伝子セットから離れた一実施形態では、本発明は、GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)アンタゴニスト及びHP-hMG(高純度ヒト閉経期尿性ゴナドトロピン)で前処置した被験体において妊娠及び出産をもたらす哺乳動物卵母細胞のコンピテンスを予測するin vitroモデルであって、上記方法が、
卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおいてCAMK1Dエクソン1及びSASH1のマーカー遺伝子発現のレベルを決定する工程と、
マーカー遺伝子発現のレベルをコンピテンスが既知の対照と比較するか、又は上記遺伝子のエクソンレベルの遺伝子発現を正規化する工程と、
上記比較又は上記正規化発現レベルに基づいて妊娠をもたらす卵母細胞のコンピテンスを評価する工程と、
を含む、in vitroモデルを提供する。
上述の方法の一実施形態では、卵母細胞のコンピテンスは、方程式P=a+b*SASH1-c*CAMK1Dエクソン1(式中、aは0.00〜2.00の数であり、bは0.00〜2.00の数であり、cは0.00〜2.00の数であり、CAMK1Dエクソン1はCAMK1Dエクソン1の正規化発現レベルであり、SASH1はSASH1の正規化発現レベルである)で与えられる妊娠確率(P)の決定に基づき、正の値は妊娠を表し、負の値は非妊娠を表す。特定の実施形態では、妊娠確率(P)は方程式P=a+b*SASH1-c*CAMK1Dエクソン1(式中、aは0.00〜1.00の数であり、bは0.00〜1.00の数であり、cは0.00〜1.00の数である)で与えられる。また更なる実施形態では、aは0.47であり、bは0.91であり、cは0.0.23である。
本発明の方法による遺伝子発現レベルの比較は、得られた遺伝子発現レベルを、アッセイしたサンプルの量の差及び使用したサンプルの品質(例えば試験したmRNAの量及び品質)の変動性の両方について補正した後に行うのが好ましい。同じサンプル中の参照遺伝子に対するレベルの正規化によって補正を行うことができる。通例、UBC、B2M、アクチン、GAPDH、HPRT、CPB、G6PD、ヒストンH2A又はミトコンドリアリボソームタンパク質S 18C遺伝子、特にUBC又はB2M等の「ハウスキーピング遺伝子」をこの正規化に使用する。マーカー遺伝子の発現レベルは、マーカーの絶対発現レベルをその発現とマーカーではない遺伝子、例えば構成的に発現されたハウスキーピング遺伝子の発現とを比較することで補正することによって正規化することができる。正規化に好適な遺伝子としては、UBC、B2M、アクチン、GAPDH、HPRT、CPB、G6PD、ヒストンH2A又はミトコンドリアリボソームタンパク質S18C遺伝子等のハウスキーピング遺伝子が挙げられる。この正規化により、とりわけ対照サンプルに対する或るサンプル、例えば試験サンプルにおける発現レベルの比較が可能となる。
群内の他の卵母細胞と関連する卵丘又は顆粒膜細胞の発現レベルと比較した、所与の卵母細胞と関連する卵丘細胞又は顆粒膜細胞におけるマーカー遺伝子発現の差により、相対品質による卵母細胞群における卵母細胞のランク付けが可能となる。このため本発明の一実施形態では、個体又は個体群に由来する複数の卵母細胞を単一アッセイでグループ分け及びスクリーニングした後、受精及び/又は着床のために最高の品質可能性スコアを特徴とする卵母細胞を選択する。
マーカーの特定、及び卵丘細胞におけるマーカー遺伝子発現の変化と付随する卵母細胞の品質との関連性の決定は、mRNA又はタンパク質発現に基づく臨床診断キットの基礎を与える。本発明による卵母細胞品質の決定に必要とされる基本的な材料及び試薬はキットにすることができる。幾つかの実施形態では、キットは、本明細書に開示の少なくとも1つの遺伝子の発現レベルを特異的に検出する少なくとも1つの試薬と、1つ又は複数の本発明の方法によるキットの使用説明書とを含む。各々のキットは必然的に手法を特異的にする試薬を含む。このため、セットの少なくとも1つのマーカー遺伝子が発現するmRNAの検出については、試薬は例えばcDNA又はオリゴヌクレオチド等のmRNAに相補的な核酸プローブを含む。核酸プローブは基質表面(例えばマイクロアレイ)に固定化されていても又は固定化されていなくてもよい。セットの少なくとも1つの遺伝子にコードされるポリペプチド産物の検出については、試薬はポリペプチドに特異的に結合する抗体を含む。手法に応じて、キットは抽出バッファー及び/又は試薬、増幅バッファー及び/又は試薬、ハイブリダイゼーションバッファー及び/又は試薬、免疫検出バッファー及び/又は試薬、標識化バッファー及び/又は試薬、並びに検出手段の1つ又は複数を更に含み得る。手法の種々の工程を行うためにこれらのバッファー及び試薬を使用するプロトコルがキットに含まれ得る。試薬は固体(例えば凍結乾燥)形態又は液体形態で供給することができる。本発明のキットは、各々個々のバッファー及び/又は試薬について異なる容器(例えばバイアル、アンプル、試験管、フラスコ又はボトル)を任意に含み得る。開示の方法の幾つかの工程を行うのに好適な他の容器も提供され得る。幾つかの実施形態では、本発明のキットは対照サンプルを更に含む。1つ又は複数の本発明の方法によるキットの使用説明書は、卵丘細胞又は顆粒膜細胞サンプルをプロセシングする及び/又は試験を行うための説明書、並びに結果を解釈する、すなわち分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす卵母細胞のコンピテンスを決定するための説明書を更に含む。一実施形態では、定量RT-PCRによりマーカー遺伝子のmRNA発現を決定するキットは、標準的なプライマー及び定量RT-PCRを行うための他の試薬を、アッセイ対象の各遺伝子の最適な検出の成功のために配合された反応成分とともに含み得る。増幅プライマーは、評定される哺乳動物卵母細胞の種に応じた関連マーカー遺伝子(複数の場合もあり)のヌクレオチド配列に基づいて選択することができる。任意の単一のマーカー遺伝子又はマーカー遺伝子の組合せをキットに組み込むことができる。ユーザーにカバレージとコストとのバランスを選ぶ選択肢を与えるために、異なるキットが分析の対象となるマーカー遺伝子に対する異なるプライマー群を与えることができる。
本発明による方法の適用可能性
好ましい実施形態では、本発明の方法を用いて、差次的に発現される遺伝子セットの発現レベルに基づいて妊娠コンピテント卵母細胞を生成する又は生成しない女性被験体を特定することもできる。しかしながら、本発明の方法は非ヒト動物、例えば他の哺乳動物、鳥類、両生類、爬虫類等にも適用可能である。例えば、本発明を用いて推定女性不妊治療の研究用の動物モデルを得ることができる。
さらに、本発明を用いて、妊娠コンピテント卵母細胞を生成する能力を妨げる又は阻害する異常、例えば薬剤への曝露、毒物への曝露、環境因子、卵巣機能不全、卵巣嚢胞、閉経前又は閉経期の病態、癌、自己免疫障害、ホルモン機能障害、細胞増殖障害、又は妊娠コンピテント卵母細胞の発生を阻害する若しくは妨げる別の健康状態を有する雌性被験体を特定することができる。例えば、特定の妊娠シグネチャー遺伝子を特徴的な発現レベルで発現する被験体をスクリーニングして、被験体が妊娠コンピテント卵母細胞の生成を妨げる基礎健康状態を有するか否かを評定することができる。特に、かかる被験体をスクリーニングして被験体が更年期の兆候を示すか否か、被験体が癌、自己免疫疾患若しくは卵巣異常、例えば卵巣嚢胞を有するか否か、又は被験体が「妊娠コンピテント」卵母細胞の発生を妨げ得る別の健康状態、例えばホルモン障害、アレルギー性障害等を有するか否かを評定することができる。
さらに、本方法を用いてヒト又は非ヒト雌性被験体における推定女性不妊治療の有効性を評定することができる。基本的に、かかる方法は雌性被験体、好ましくは女性を推定不妊治療で治療することと、少なくとも1つの卵母細胞及び関連する周囲の卵胞又は顆粒膜細胞を治療後に上記女性から単離することと、任意に少なくとも1つの卵母細胞及び関連する周囲の細胞を治療前に更に単離することと、少なくとも1つの卵丘細胞を上記単離された卵母細胞の各々から単離することと、(周囲の)妊娠コンピテント卵母細胞と関連する卵丘細胞が特徴的なレベルで発現する又は発現しない少なくとも1つの遺伝子の発現レベルを検出することと、少なくとも1つの妊娠シグネチャー遺伝子を妊娠コンピテント卵母細胞の周囲の卵丘細胞に(治療しない場合よりも)特徴的なレベルで発現する卵丘細胞を生じるか否かに基づいて、上記推定不妊治療の有効性を評定することとを含み得る。上述のようにヒト女性被験体が好ましいが、本方法を雌の非ヒト動物、例えば雌の非ヒト霊長類、又は推定ヒト不妊治療の評価用の他の好適な動物モデルにおいて推定不妊治療の有効性を評定するために用いることができる。
また、本発明を用いてin vitro又はin vivo不妊治療の有効性を高めることができる。特に、「妊娠インコンピテント」であることが見出された又は未熟な卵母細胞は、体内又は体外受精の前、その最中又はその後に「妊娠シグネチャー」遺伝子、例えばホルモン、成長因子、分化因子等であることが特定された遺伝子にコードされた1つ又は複数の遺伝子産物を含有する培地中で培養することができる。基本的に、これらの遺伝子産物の存在は、「妊娠コンピテント」卵母細胞の周囲の卵丘及び/又は顆粒膜細胞により通常発現され、通常は卵母細胞に栄養を与え、それによりこれらの卵母細胞が受精時に正常妊娠をもたらす能力を高める栄養遺伝子産物の欠乏を補うものである。
代替的には、上記妊娠シグネチャー遺伝子がコードする1つ又は複数の遺伝子産物を、本発明の方法により妊娠コンピテント卵母細胞を生成しないことが発覚した被験体に投与することができる。かかる投与は非経口投与、例えば静脈内投与、筋肉内投与、膣内投与、皮下注射又は経口投与若しくは経皮投与であり得る。代替的には、これらの遺伝子産物は標的部位、例えば雌の卵巣又は子宮環境に局所的に投与することができる。例えば、雌性被験体の子宮又は卵巣に「妊娠シグネチャー」遺伝子がコードする1つ又は複数の遺伝子産物の持続送達をもたらす薬物送達デバイスを埋め込んでもよい。
上記に詳述したように、群内の他の卵母細胞と関連する卵丘又は顆粒膜細胞の発現レベルと比較した、所与の卵母細胞と関連する卵丘細胞又は顆粒膜細胞におけるマーカー遺伝子発現の差により、相対品質による卵母細胞群における卵母細胞のランク付けが可能となる。このため本発明の一実施形態では、個体又はヒト若しくは非ヒト雌性被験体に由来する複数の卵母細胞を単一アッセイでグループ分け及びスクリーニングした後、最高の品質可能性スコアを特徴とする卵母細胞を受精及び/又は着床のために選択する。
実施例1−QPCR分析
材料及び方法
患者集団
この研究はUZBrusselの倫理委員会により認可され、患者の同意書を得た。47人のICSI患者を胚移植方針(単一胚移植)及び規定の卵巣刺激プロトコル:組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)と組み合わせたGnRHアンタゴニスト(Gonal-f, Merck-Serono,Geneva,Switzerland;n=4又はPuregon,MSD,Oss,TheNetherlands;n=43)に基づいて選択した。不妊の原因は男性因子のみ(n=19)、女性因子のみ(排卵障害n=3及び卵管性不妊n=2)、男性因子及び女性因子の組合せ(OAT及び子宮内膜症n=3)並びに特発性(n=20)であった。20人の患者に培養3日目に単一胚移植を行い、これらのうち10人が妊娠した。27人の患者に5日目に移植を行うと、これらのうち9人が妊娠した。
ヒト卵丘細胞の採取及び胚培養
経膣超音波を用いて卵胞発達をモニタリングした。内分泌プロファイルを、感度がそれぞれ5 ng/l、0.03 μg/l、0.1 IU/l未満、0.1 IU/l、全不正確性(%CV)がそれぞれ6未満、7未満、6未満及び6未満の検証アッセイを用いたCOBAS6001免疫分析装置(Roche,Roche Diagnostics,Mannheim,Germany)での電気化学発光による血清17β-エストラジオール(E2)、プロゲステロン、FSH及びLHの分析によってモニタリングした。直径17 mmの少なくとも3つの卵胞が経膣超音波で観察された場合に、最終卵胞成熟を10000 IU用量のhCGにより誘導した。36時間後に卵母細胞回収を行った。CC採取を非特許文献15に記載のように行った。簡潔に述べると、個々の卵母細胞剥離を80 IU/mlのCumulase(MediCult, Lyon, France)を含有する40 μl滴のHTF-SSSによって30秒以内に行い、酵素を含まない液滴で順次洗浄した。いずれの場合にも、卵母細胞毎のCCのレトロスペクティブ分析を可能にするためにこの時点から卵母細胞を個別に扱った。剥離後にCCを直接液体窒素に浸漬した。ICSIを以前に記載のように(Van Landuyt et al. 2005)行い、SAGE連続培地(CooperSurgical,Leisegang Medical,Berlin)中で胚を培養した。胚培養の3日目又は5/6日目に胚を以前に記載のように(Van Landuyt et al. 2011)ガラス化し、その後のFRET周期に使用した。
47人全ての患者について、28人の非妊娠患者のうち7人を除いて移植に選択される胚を生じる卵母細胞に関連するCCのみを分析し、凍結単一胚移植周期後に妊娠をもたらしたガラス化胚に関連する1つの追加のCCサンプル(1人の患者、2つのCCサンプルを除く)を分析した(7人の患者から合計で8つの追加のCC)。図1に各分析に使用した異なるサンプルを示す。
遺伝子の選択
本研究は、QPCRを用いて卵母細胞品質についてCC遺伝子発現の予測値を評価する順序の3番目である。3つの研究にわたって正確な戦略に従い、ICSI患者における卵母細胞品質に関して分析する遺伝子を選んだ。第1の研究では、胚形態について予測的な2つ(イノシトール三リン酸3-キナーゼA(ITPKA)及び一過性受容体潜在的カチオンチャネル、サブファミリーM、メンバー7(TRPM7))及び妊娠転帰について2つ(シンデカン4(SDC4)及びバーシカン(VCAN))の上位4つの遺伝子を特定した。これら4つの遺伝子を次の研究に加えることとした(非特許文献14)。ITPKA及びTRPM7は胚発生にも関連するが、SDC4及びVCANは今回妊娠モデルに残らず、段階的重回帰分析に使用する場合にEFNB2、CAMK1D及びSTC1に置き換えられた。幾つかの研究から胚発生及び妊娠転帰について予測的な遺伝子間の関連性が示されないため(非特許文献13、非特許文献14)、この第3の研究では3つの妊娠関連遺伝子のみについて繰り返すこととした。本発明者らの仮定は、この「カスケード」試験戦略により、最も強い妊娠予測的遺伝子が連続研究から除外されることである(表2)。本研究で分析される他の9つの遺伝子はGSTA3、GSTA4、GPX3、GSR、ITPR1、SLC2A1、THBS1、TGFB1及びPGRであった(表1)。
Figure 2016509831
Figure 2016509831
表1:妊娠予測のために卵丘細胞において分析した遺伝子。
(A)「一般的機能」の欄の情報を指す;(B)「ヒトCCにおける卵母細胞品質マーカーとして以前に記載されている」の欄の情報を指す;CC:卵丘細胞;FSH:卵胞刺激ホルモン;ICSI:卵細胞質内精子注入法
Figure 2016509831
表2:ICSI患者に由来する保存卵丘細胞に対する最も強い品質関連遺伝子を得るための3つの研究の戦略
ICSIにおける対応する卵母細胞の種々の胚形態又は妊娠転帰に関連する卵丘細胞(CC)の遺伝子発現を、3つの異なるサンプルセットの3つの遺伝子パネルについて評定した。各サンプルセットにおいて最も予測的であることが見出された遺伝子を、その後の独立した患者サンプルセットにおいて試験した。太字で表示した遺伝子を以前の研究による最良の予測的遺伝子として残した。MII:第二中期卵母細胞;COC:卵丘複合体;rFSH:組み換え卵胞刺激ホルモン;HP-hMG:高純度ヒト閉経期尿性ゴナドトロピン
RNA抽出及びcDNA合成
全RNAを、DNase工程及び抽出前の5ng/μlポリ(dA)(Roche Applied Science,Mannheim,Germany)の添加を含むRNeasy Micro Kit(Qiagen,Westburg,Leusden,The Netherlands)を用いて以前に記載されているように(非特許文献17)抽出した。抽出に続いて第2のDNase処理(RQ1RNase-Free DNase,Promega,Leiden,The Netherlands)を行った。
逆転写酵素(RT)を、iScript cDNA Synthesis Kit(Bio-Rad Laboratories,Ghent,Belgium)を用いて以前に記載されているように(非特許文献17)行った。RT反応において酵素又はRNAを除外することで陰性対照を生成した。
リアルタイムPCR
CAMK1D、STC1及びEFNB2のプライマー配列は非特許文献14に挙げられる。GPX3、GSTA3、GSTA4、PGR、THB1、ITPRA、SLC2A1、GSR及びTGFb1のプライマーは表3に見ることができる。β-2-ミクログロブリン(B2M)及びユビキチンC(UBC)の両方を検証したが、これらは以前に正規化因子として使用されている(非特許文献15)。サイクリング条件、陰性対照、標準曲線及び正規化(B2M及びUBCによる)は以前に記載されている通りであるが(非特許文献15)、全PCR反応を10 μl反応に適合させた。以下に言及する全ての値は、各サンプルのB2M及びUBCの両方の平均に対して正規化した値である。
Figure 2016509831
表3:プライマー配列。
統計
患者間分析
第1の分析では、両側t検定(GraphPadPrism version 4.01 for Windows登録商標,GraphPad Software,San Diego California USA)を用いて、妊娠をもたらす又はもたらさない(19出産、28非妊娠)卵母細胞の卵丘複合体を比較した。全データをLOG変換して正規分布を得た。複数の遺伝子を試験したため、ボンフェローニ補正では0.0042未満のP値のみを有意とみなした。
第2の分析では、以前に記載されているように(非特許文献15)段階的重回帰分析を用いてモデルを構築した。簡潔に述べると、「y=a+bx+cz+ds+et+fu+gv+hw」の出力方程式を有する線形回帰モデルを、応答変数(x、z、s、t、u、v、w)遺伝子発現及び/又は患者及び周期特徴(全てに表3に挙げられる)を用いて構築した。「b-h」は含まれる変数のそれぞれの指数であり、「a」は方程式の切片である。変数のタイプIII P値が0.3未満であり、モデルのP値が改善される場合に変数をモデルに加えた。モデルの最後に逆回帰工程を行い、余剰の変数を除外した。4つの異なるモデルを妊娠予測のために構築した。2つのモデルで遺伝子発現値のみが許容される(初めにモデルを3つの遺伝子に制限し、次にモデルのP値を改善する限りにおいて全ての遺伝子をモデルに入れた)。他の2つのモデルでは、全ての患者及び周期特徴を、これらの追加の変数がモデルを改善することができる場合に遺伝子のみから構成されるモデルに入れることによって患者及び周期特徴による補正の必要性を評定した。これらの追加の因子を導入することで、遺伝子発現に生じ得る患者間の変動性を均一化し、卵母細胞品質に関連する差を増大させることができた。
全てのモデルについて、精度((真陽性+真陰性)/(真陽性+偽陽性+偽陰性+真陰性))並びに陽性及び陰性の予測値(PPV=真陽性/(真陽性+偽陰性)及びNPV=真陰性/(真陰性+偽陽性))を算出した。全てのモデルの能力は受信者動作特性(ROC)によって表され、曲線下面積(AUC)を算出した。
患者内分析
最後に、全ての胚を連続周期で個別に移植したため、研究により1回の卵母細胞回収周期に由来する2つ(又は3つ)の卵母細胞を卵母細胞毎の既知の妊娠転帰と比較することが可能になった。この目的で、新規の周期で妊娠しなかった28人の患者のうち7人について、妊娠をもたらす後続の凍結単一胚移植周期で置き換えた胚のCCを新規の周期で移植したものと比較した。1人の患者について、最初の胚が妊娠をもたらさなかったため2回の連続した凍結胚置換周期を分析した。7つの遺伝子を、上述のモデルの1つにおけるその存在又は最初に妊娠モデルに加えた場合のその付加P値に基づきこの分析に選んだ。対応t検定を各々の遺伝子について行い、遺伝子のみを含有し、47 CCサンプル(19出産)について構築したが、凍結周期の8 CCサンプルを除外した患者間分析による以前の規定のモデルを用いて妊娠可能性を算出した。
結果
患者集団
妊娠群及び非妊娠群の患者及び周期特徴の間に統計学的差異は見られなかった(表3)。両患者群の平均年齢及びBMIは低いが同等であった。プロゲステロンレベルは両方の群で低かった。平均周期試行数は両群で異ならなかった。妊娠群及び非妊娠群のそれぞれで12人及び17人の患者がその初回周期を受け、6人及び10人がその第2周期を受け、両群で1人がその第3周期を受けた。卵母細胞成熟度及び受精のパーセンテージは両群で正常であり、3日目の良好な品質の胚のパーセンテージは50 %超であった。移植時の胚品質スコアは両群で異ならなかった。19の新規のSET周期が出産をもたらした。
Figure 2016509831
表3:患者及び周期特徴。
COC:卵丘卵母細胞複合体;相対E2:E2/回収されたCOC;卵巣応答:(回収されたCOC/ゴナドトロピン用量)×100;卵母細胞成熟度:MII/回収されたCOCの割合;2PN:2PN/ICSI後に無傷の卵母細胞の割合;3日目に7細胞以上=3日目に少なくとも7細胞を有する胚/2PNの割合;低フラグメンテーション:3日目のフラグメンテーションが10 %未満の胚/2PNの割合;良好な品質の胚:3日目のフラグメンテーションが10 %未満であり、少なくとも7細胞を有する胚/2PNの割合;ahCG日に測定される血清値;ns:P>0.05;SD=標準偏差。
妊娠予測
以前のサンプルセットで構築したモデルを用いた予測的遺伝子(CAMK1D、EFNB2及びSTC1)の検証
以前の研究(非特許文献14)で検討された3つの遺伝子から構成される妊娠予測モデルを、独立した本患者群において試験した。47人の患者のCCのCAMK1D、EFNB2及びSTC1の遺伝子発現値を上で得られた方程式に代入し、47個の卵母細胞の各々について妊娠可能性を予測する値を得た。本研究の47個のサンプルを用いた算出により得られたPPV及びNPVは62 %及び86 %であり、精度は72 %であった。
患者間分析:本サンプルセットの全12遺伝子のt検定
妊娠をもたらさない28個の卵母細胞の卵丘複合体を、出産をもたらした卵母細胞の19 CCと比較した。EFNB2のみが妊娠群で統計的に高かった。CAMK1D、GSTA4及びGSRのみが妊娠群でより高度な発現の傾向を示した(それぞれのP値:0.0068、0.0123及び0.0507)。全遺伝子のグラフは図2に見ることができる。
患者間分析:段階的重回帰分析
妊娠モデルを構築する第1の工程では、第1の変数として加えた場合の付加P値を全遺伝子について算出したが、これは表4に見ることができる。
Figure 2016509831
表4:試験した種々の遺伝子についての付加P値。
付加P値は各々の遺伝子を第1の変数として妊娠モデルに挿入することで得られる。遺伝子をP値の増大により順序化する。
初めに、モデルを12遺伝子のうち3つの算入に限定した(モデル1)。EFNB2、GSTA4及びPGRが残り、P値が0.0015、PPVが68 %、NPVが79 %、精度が73 %、AUCが0.82のモデルが得られた。更に患者及び周期特徴(表3)を加えることによりこのモデルの改善を試みた場合、以前のモデルの改善は見られなかった(モデル1 bis)。
次の工程では、P値が改善される場合に3つを超える遺伝子をモデルに入れた(モデル2)。12遺伝子のうち5つがこのモデルに残り(すなわちEFNB2、GSTA4、PGR、GPX3及びGSTA3)、0.0001未満のP値、78 %のPPV、83 %のNPV、81 %の精度、0.93のAUCが得られた。患者及び周期特徴を加えることでモデルが改善された(モデル3)。残ったパラメーターは刺激日数、相対E2及び年齢であった。拡張モデルのPPV、NPV及び精度は全て93 %に増大し、AUCは0.95に増大した(表5)。完全数学的モデルは表6に見ることができる。ROC曲線を図3に示す。
Figure 2016509831

少なくとも1度残った遺伝子及び因子のみを挙げる。モデル1では、モデルの完成までに最大3つの遺伝子が残った。モデル2では、モデルのP値を改善することができる場合に無制限数の遺伝子がモデルに入れられた。モデル1及びモデル2の改善を試みるために、表3の患者及び周期特徴をモデルに入れた。モデル2のみを改善することができ、モデル3が得られた。x:モデルを顕著に改善する因子;#:数;「無制限」とはモデルを改善することができる場合に12遺伝子の全てがモデルに入れられることを表す;stim:卵巣刺激;PPV:陽性予測値;NPV:陰性予測値;AUC:曲線下面積;a:モデルにおける0.01未満の最終タイプIII P値;*hCG日のE2値が5人の患者で失われていることから42人の患者のみがこのモデルを構築するために加えられた。
Figure 2016509831
表6:妊娠予測の数学的モデル。
完全数学的モデルを、卵丘細胞遺伝子発現値並びに患者及び周期特徴を用いた妊娠転帰の予測に使用した。#:数
患者内妊娠予測
7人の患者について、後続の移植周期における移植後に臨床妊娠をもたらした凍結保存胚に関連する凍結貯蔵CCサンプルを分析した。この材料を使用して、上記で得られた多変量モデル(表6)に存在する遺伝子及び/又は最小の付加P値を有する5遺伝子(表4)、すなわちCAMK1D、EFNB2、GPX3、GSR、GSAT4、GSTA3及びPGRを分析した。第1の探索的方法としてこれら7つの遺伝子に対する対応t検定を行い、これは図4に見ることができる。5つの遺伝子は妊娠をもたらす卵母細胞のCCにおいて上昇傾向を有していた(0.05未満のP値;0.07未満のP値のみが多重比較のボンフェローニ補正後に有意である):EFNB2(妊娠及び非妊娠の有意差のみ)、CAMK1D、GSR及びPGR。GSTA4、GPX3及びGSTA3は全てP値が0.05未満であった。同じ患者のCC間の倍率変化を算出し、遺伝子当たりの平均を得た(1.1〜2.5)(表7)。対応t検定でP値が0.1未満の5つの遺伝子について、予想レベルに基づいて正確に推定されたCCのパーセンテージは対応t検定から71 %〜88 %であった(例えば、非妊娠関連CCと比較してより高度な発現が妊娠の場合に予想される)。次の工程では、患者間分析(47CCサンプル)で得られた多変量モデル(3遺伝子モデル(=モデル1)及び5遺伝子モデル(=モデル2))の予測力を用いて、各患者のCCをその妊娠可能性についてランク付けした(表6)。全患者及び周期特徴が単一回収周期内の卵母細胞で同一であるため、これらの変数を含有するモデルを使用することは明らかに無意味である。患者4を除く全てのCCがその妊娠可能性について正確にランク付けされた(表7)。
Figure 2016509831
表7:妊娠をもたらさない新規の周期の遺伝子発現レベルと、妊娠をもたらす凍結移植周期との比較(患者内分析)。
この表に患者内分析の概要を示す。各列に1つの卵丘複合体について示す。1人の患者当たり1回の回収周期による2つ又は3つ卵丘複合体を分析した。遺伝子発現レベルの比率は常に妊娠が非妊娠を上回る。患者6については、妊娠FRET周期の卵丘複合体を新規及びFRET非妊娠周期の卵丘複合体と比較した。モデル1及び2はそれぞれ表5の3つ及び5つの遺伝子を用いて構築したモデルである。発現値を表6の数学的モデルに挿入することによってランク付けが得られた。ランク番号「1」は妊娠を達成する可能性が最も高い卵母細胞である。ns:有意でない;na:適用可能でない;nlr:直線関係なし。a:以前の結果に基づいて予想されるように発現値は妊娠及び非妊娠間で上下しない。b:ランク付けは多変量モデルを用いて補正されない。FRET:凍結胚移植周期。
論考
CCにおける12遺伝子の発現及び周囲の卵母細胞の妊娠可能性を予測するその能力を本研究で分析した。3つの遺伝子(CAMK1D、EFNB2及びSTC1)を以前の研究(非特許文献14)により加えたが、これらが妊娠予測に最も予測的であることが分かった。EFNB2は本研究でも妊娠をもたらした卵母細胞のCCにおいて顕著に上方調節され、CAMK1Dは同じ傾向を示した(P=0.0068)。CAMK1D、EFNB2及びSTC1を用いて以前の患者データセットによる遺伝子のみから構成されるモデルをこの独立した患者群で検証したが、同様のモデルの全体的性能が得られ、精度は本研究で72 %、以前の研究で79 %であった。
本発明者らの以前の研究によるEFNB2及びCAMK1Dに加えて、2つの新たに研究された遺伝子GSTA4及びGSRも妊娠群のCCにおいて上方調節傾向を示した。
多変量アプローチでは、本サンプルセットにおける12の試験遺伝子のうち3つのみを使用することで出産を予測することが可能であるか否かを試験した(患者間分析)。3つの最も予測的な遺伝子はGSTA4、PGR及びEFNB2であり、EFNB2、CAMK1D及びSTC1を有する以前のモデルと同様の精度で得られた(73 %対72 %)。3つの遺伝子を使用する場合、患者又は周期特徴によりモデルを改善することができず、3つの遺伝子の発現が患者及び周期因子によって僅かに影響を受けることが示唆された。出産モデルは2つの更なる遺伝子(GPX3及びGSTA3)を加えることで改善することができ、精度を最大で81 %に増大し、0.93のAUCが得られた。この5遺伝子モデルは3つの患者及び周期特徴(年齢、相対E2及び刺激日数)で改善され、PPV、NPV及び精度が93%の最適化モデルが得られたが、遺伝子のみを含有するモデルと同様のAUCであった。理想的には、遺伝子発現に基づく妊娠予測は分析時間及びコストを減らすために限られた遺伝子セットで可能であるものとする。この患者集団で試験した12遺伝子のうち、2つの最も反復性の遺伝子はGSTA4及びEFNB2である(表5を参照されたい)。これら2つの遺伝子は3つ全ての妊娠モデルに存在し、それぞれ3つのうち3つの及び3つのうち2つの予測モデルで0.01未満のタイプIIIP値を有する。モデルのタイプIII P値が患者及び周期特徴についてではなく遺伝子についてのみ有意であることから、モデルにより遺伝子発現値が常に患者及び周期特徴よりも重要であることも示された。さらに、AUC結果は遺伝子のみを含有するモデルと遺伝子と患者及び周期特徴とを組み合わせたモデルとで同等である。
7人の患者について、良好な形態の胚を生じ、連続的に移植される卵母細胞の2(又は3)CCを分析した(患者内分析)。全ての卵母細胞について、全胚移植が後続のSET周期に行われるため妊娠転帰が既知である。7つの遺伝子(EFNB2、CAMK1D、GSR、PGR、GSTA4、GSTA3及びGPX3)の発現を評定することで、モデルの単一遺伝子又はそれらの組合せに基づき、2つの卵母細胞のいずれを妊娠可能性が最も高いものと考えるかを推定することが容易である。各々の遺伝子を個別に考えた場合、最良の予測は補正推定値が71 %〜86 %のCAMK1D、GSR、EFNB2、PGR及びGSTA4に見ることができた。以前のモデルに従って3つ又は5つの遺伝子を組み合わせることで、7人の患者のうち6人が妊娠可能性を正確に予測する卵丘複合体を有していた。この予測は3又は5遺伝子モデルを使用する場合と同じであった。驚くべきことに、多変量モデルは単一遺伝子分析とは異なる患者で失敗していた。全遺伝子により患者6の第2の比較の妊娠転帰が誤って予測されたが、多変量モデルでは予測に成功したため、とりわけ妊娠をもたらす卵母細胞のCCが予測モデルの構築に考慮されないために多変量アプローチは個々の遺伝子よりも強力であるようである。個々の遺伝子を5つのうち4つで補正した患者4の多変量アプローチの予測の失敗は、他の因子(例えば移植時の子宮内膜状態)に起因し得る。この分析では依然として患者数が限られているが、これらの結果は期待の持てるものである。これは、患者間で妊娠を予測する一部の遺伝子により多変量アプローチを用いて患者における卵母細胞の品質をランク付けし、各々の卵母細胞に妊娠可能性をもたらすことも可能であることを確認した最初の研究である。CC遺伝子発現分析はART研究所における有用なツールとなり得るが、明らかに低い精子品質及び異相(out-of-phase)子宮内膜の最終的影響を考慮していない。
本研究では、同じ刺激プロトコルを有するが、培養培地が異なる新たな患者集団への以前に見出された予測的遺伝子の使用を確認することができた。このデータから、2つの異なる培養培地を用いる2つの研究において分析した唯一の遺伝子であるEFNB2及びCAMK1Dが培養培地に影響されないことが示唆される。本モデルの有効性を試験するために、今後の分析では異なる刺激プロトコル及び異なる培養培地を有する患者が加えられる。本研究の特定の遺伝子が妊娠予測に重要であることの理由は推測の域を出ていない。以前に言及されているように(非特許文献14)、他の経路の中でもCAMK1Dはステロイド関連遺伝子(CYP11A1、STC2及びHSD3B1)との強い相関からステロイド産生に関連し得る。このデータセットでは、CAMK1Dはステロイド関連遺伝子、すなわちEFNB2及びGSTA4とは別にPGRとも強く相関し(全てピアソン相関分析によるP<0.0001)、依然としてCAMK1Dが2つ以上の経路と関連する可能性を残している。妊娠モデルにおけるPGRの存在及び患者におけるその予測力は、ステロイド関連遺伝子が妊娠予測に有用であり得ることを示している。PGRは以前に記載されているが、妊娠及び非妊娠の差は定量PCRでは確認することができなかった(Hamel et al. 2010b)。一部の妊娠モデルに存在するGSTA3はプロゲステロン産生と関係し(Raffalli-Mathieu et al. 2008)、ステロイド産生経路の重要性が繰り返し述べられる。卵巣におけるEFNB2の機能は未だ知られていないが、B型エフリンが黄体化プロセスに関連することが提唱され(Egawa et al. 2003)、エフリンB2受容体は異数性卵母細胞と比較して正常卵母細胞に由来するCCで異なって発現されることが見出されている(非特許文献9)。試験した他の遺伝子の中でも、グルタチオンファミリーのメンバーのみがモデルに残されるか又はt検定で有意であった。グルタチオン酵素は、グルタチオンを用いた細胞における(フリーラジカルの)解毒作用に重要である。低酸素症は活性酸素種(ROS)の形成をもたらし、これが脂質過酸化、酵素不活性化及び細胞損傷を引き起こし、CCだけでなく、卵母細胞においても(Tatemoto et al. 2000)アポトーシスをもたらす(Buttke and Sandstrom1994)。酸化的ストレスは卵母細胞品質を評定するための潜在的標的として他のグループにより既に報告されている(Leeet al. 2010、非特許文献7)。これらの経路の一部の転写産物が妊娠をもたらす卵母細胞に由来するCCにおいて高いことの理由の1つは、これらの卵母細胞が必要に応じてストレス環境からより良好に保護されることであり得る。
結論
重要であると推定される遺伝子を、卵丘複合体を卵母細胞毎に個別に凍結した異なる患者群に対する3連続研究においてバッチで試験することで、妊娠に最も予測的な遺伝子を残し、毎回これらを新たな候補遺伝子と対比させた。この「カスケード」戦略は、CC遺伝子発現をARTにおける卵母細胞の品質マーカーとして用いた妊娠予測力の増大を試みるものであった。第2の研究の(非特許文献14)EFNB2、CAMK1D及びSTC1によるモデルとして効果的であることが判明した戦略を、独立した患者サンプルセットに対して確認することができた。出産予測モデルを更に改善するために、EFNB2をPGR及びグルタチオン代謝に関連する遺伝子とともに残したままでモデルを構築した(患者間分析)。この新たなモデルは卵母細胞をその妊娠可能性についてランク付けすることが可能であることが判明した(患者内分析)。本モデルの日常用途への妥当性は、依然として患者内分析を可能にする、より大きく多様な患者集団でプロスペクティブ評定する必要がある。
実施例2−エクソンレベル分析
3回のマイクロアレイ実験を行い、得られたデータを4回のマイクロアレイ分析に供した。マイクロアレイ分析1、2、3又は4をそれぞれ下記に指定した(下記表14を参照されたい)。アレイ実験1及び2をデータマイニング(卵母細胞コンピテンスについて予測的な遺伝子又は遺伝子のエクソンを見出す)に用い、アレイ実験3を反復性の予測的遺伝子のフィルタリング(異なる不妊治療センターで僅かに異なる治療の後に予測的な、より一般に適用可能な遺伝子又はエクソンを見出す)に用いた。最も新しい分析は、出産の患者内及び周期内(同じ刺激コホートに由来する卵母細胞)分析を含むマイクロアレイ実験2に基づくものである。
材料:
3回のマイクロアレイ実験のために、卵丘細胞を以前に記載されているように(非特許文献15)採取した。RNAを、Qiagen Rneasyマイクロキットを用いて非特許文献15に記載のように抽出した。RNAの品質及び量をBioanalyzer(Agilent)及びNanodrop(Thermo Scientific)を用いて検証した。
マイクロアレイについて、100 ngの全RNA及び1ラウンドのT7ベース増幅(Message Amp II-Biotin Enhanced,Ambion)から開始して一次増幅を行った。良好な品質のaRNA(サイズ分布、3'/5'比及び%プレゼントコール)を検証し、Affymetrix Human Genome U133 Plus 2.0 ArrayをSalkInstitute(USA,San Diego)で行った。遺伝子読み取り値の更なる分析をGenesifter(Perkin Elmer)を用いて行った。アレイ実験2及び3についてはRNAを上述のように抽出、測定及び評価したが、増幅はNugen V2キットを用いて行った。アレイ実験2及び3の両方でアレイはAffymetrix Human Gene STアレイとした。データは主にMicrosoft Excelで分析した。
方法:
患者内比較は、同じ患者及び同じ刺激及びピックアップ周期に由来する陽性サンプル(単一胚移植における妊娠をもたらす卵母細胞のCC)及び陰性サンプル(単一胚移植後に妊娠をもたらさない卵母細胞のCC)の両方を含むものであった。
比較又は分析は、標準又は対応t検定による1パラメーター及び段階的重回帰分析を用いた多変量で行った。多変量アプローチにより予測力を増大させる遺伝子又はエクソンの組合せが得られた。
目的:
ART治療後の出産について予測的な遺伝子又は遺伝子(エクソン)のスプライス変異体を見出す。これは患者内比較で行った。
設定及び第1の結果(アレイ分析1及び2):
2006年に行われたアレイ実験1は、出産の患者間比較及び胚発生の患者内比較を含むものであった。患者の前処置はHP-hMGと組み合わせたGnRHアゴニストであった。これにより500を超える遺伝子を含む2つの品質リストが得られた(「Q1」=卵母細胞及び胚発生の成功について予測的な遺伝子、「Q3」=出産について予測的な遺伝子)。
アレイ分析2は2012年1月に行われ、5人の患者及び15個のアレイに対する出産及び発生遅延の患者内分析からなるものであり、差次的に調節される遺伝子を含む幾つかのリストが得られた。この場合、患者をGnRHアンタゴニスト及び組み換えFSHで前処置した。
アレイ実験3のみをマイクロアレイ分析4の確認データセットとして使用したが、これを下記に更に記載する。
表14:FOBIのマイクロアレイ実験
Figure 2016509831
アレイ分析4:エクソンレベルでのアレイ実験2+3のマイクロアレイデータの再分析
妊娠について予測的な卵丘細胞において発現される遺伝子の検索において、驚くべきことに、一部の遺伝子についてこれらの遺伝子のスプライス変異体の特定の組合せが予測的であることが見出された。この所見は、下記に説明されるように現在研究所で利用可能な2つの最も標準的な分析法であるマイクロアレイ及びQ RT-PCRでは明らかでない。
この研究分野では、最も一般的に適用されるマイクロアレイ分析(Affymetrix Human Genome U133 Plus 2及びAffymetrixHuman Gene STアレイ)は、特定の遺伝子に関連するコーディング及び非コーディングRNAの一部を認識する4つ以上のプローブに基づき、遺伝子毎に得られる1つの一般化(平均)発現値を評価/考慮するものである。この数値は特定の遺伝子に関連するRNA分子の大部分の存在量又は欠如を反映するが、特定のスプライス変異体の調節に関する情報を与えるものではない。
一方、代替的な「標準」分析技法である逆転写後の定量PCR(RT-QPCR)では通常、この特定の遺伝子のスプライス変異体の特定の画分のみを評価するための遺伝子の大半に相当する1エクソンの存在量のみが分析される。
具体的には、2つ以上のスプライス変異体の探求は、特定のスプライス変異体が組織特異的に(例えば卵丘細胞特異的に)コードされ得るか又は1つ以上のタンパク質の活性型を分泌するため適切である。代替スプライス変異体(多くの場合、より短い形態)も調節機能を有し、実際にタンパク質の量又は効果を下方調節する。したがって、特定の遺伝子の種々のスプライス変異体の情報の組合せはより多くの情報を有するが、探求にはより多くの時間及び資源も必要とされ、一般的に行われていない。
それにもかかわらず、本研究では上述のアレイ実験をエクソンレベルで再分析した。この実験では、エクソンレベルで受精、胚発生及び着床の成功について予測的な遺伝子を下記のアレイ実験2で選択した。
サンプル:
15個のAffymetrixマイクロアレイを、5人のICSI患者に由来する15個の卵丘サンプルに対して行った。CCは以下の3つの転帰カテゴリーをもたらした卵母細胞に由来するものであった:1.移植され、妊娠をもたらした高い形態学的スコア(胚品質1)を有する胚(P-CC)、2.移植されたが妊娠をもたらさなかった高い形態学的スコア(胚品質1)を有する胚(NP-CC)、及び3.移植を検討するには発生が遅過ぎた胚(NT-CC)。
本研究の候補の患者をGnRHアンタゴニスト及びrFSHで刺激したが、第1の単一胚移植では妊娠せず、単一凍結胚移植に戻し、妊娠がもたらされた。カテゴリー1、2又は3のかかるCCサンプルは、1回のピックアップ周期に由来するため、患者内分析が可能であった。
分析:
この分析をエクソンレベルで行った。4回の比較を行い、3つの条件を比較する3回のANOVA、P-CC対NP-CC及びP-CC対NT-CCの最良の条件を比較する1回の2 t検定を行った。患者の変数はt検定比較の確率変数とみなし、5人の患者に対するANOVA分析において1度ランダム、1度固定として、5人の患者のうち3人のANOVA比較ではランダムとみなした(5日目に移植した患者のみを考慮し、3日目に移植した2人の患者は考慮しなかった)。
遺伝子は、a)P-CCとNP-CC及びNT-CCとの両方とで差次的に発現される、b)同方向に異なる(例えば2つの陰性対照サンプルで低い)、c)差の少なくとも1つが1.5未満であり、q<0.1(誤発見率)である、並びにd)遺伝子の2つ以上のエクソンが残された場合に潜在的に興味深いとみなした。
結果:
これにより本特許出願の主題である34遺伝子リストが得られた。次いで(then)、これらに以前のリストによるこれまでの11の最も強い遺伝子(Q1+2+1.246、上記表14)を追加し、45のリスト(表13)にした。これらを、段階的重回帰分析を用いるアレイ実験3においてエクソンレベルでフィルタリングした。簡潔に述べると、アレイ実験3では、112個のマイクロアレイが単一胚移植周期(SET周期)後に妊娠した又は妊娠しなかった112人の患者の個々のCCから利用可能であった。これら112人の患者における表13の遺伝子の全てのエクソン値を、段階的重回帰分析を用いて構築する予測モデルに検討した。これは極めて多数の変数を相殺するために複数のラウンドで行い、過剰適合を防ぐために相互検証を用いて行った。これにより最も強力な遺伝子の組合せが残り、「11遺伝子リスト」(SASH1、MROH9、NCOA7、DNAH3、HSPH1エクソン2、HSPH1エクソン6、GALNTL6、SPTBN5、CAMK1Dエクソン1、CAMK1Dエクソン9、EFNB2)が得られた(表8)。
「11遺伝子リスト」は最も予測的なエクソンレベルの遺伝子の組合せからなり、したがって本願の中核となる。元の「45遺伝子リスト」はそれらに関連する他の遺伝子を含有し、最終的には必要に応じて11遺伝子の1つ又は複数を置き換えることができた。この例は下記に与えられ、表11により詳細に論考される。簡潔に述べると、GnRHアンタゴニスト及びrFSH刺激患者の強力な卵母細胞コンピテンス予測モデルがCAMK1Dエクソン9、HSPH1エクソン2及びNCOA7を含有することが見出されたが(精度=73 % ROC-AUC=0.733)、同じ患者でCAMK1Dエクソン9、HSPH1エクソン6及びNCOA7を有するモデルも僅かに劣るが卵母細胞コンピテンスの予測であった(精度=68 %ROC-AUC=0.714)。
表8
Figure 2016509831
NCOA7*も遺伝子レベルである。エクソンのいずれかを使用することができる。
結論:
幾つかの遺伝子及び遺伝子の特定のエクソンを、種々の前処置を受けた患者を含むアレイ実験において出産及び胚発生に関連付けることができ、これらを独立したアレイデータセットにおいても確認した(アレイ実験3)。アレイ実験3の強度は、3つの異なる欧州地区からのサンプルに対して行われたことによる。このようにして、残された遺伝子の最終サブセットは、これまで既知の任意の遺伝子の組合せよりも普遍的に適用可能である。これを試験するために、この11遺伝子のサブセットを除く2回の確認実験を行い、卵母細胞コンピテンスを予測する上述の遺伝子の能力を実証した。第1の確認実験は患者内及び患者間分析を含むレトロスペクティブ研究であり、第2の研究は3つの患者群におけるプロスペクティブ研究であった。
実施例3−レトロスペクティブ研究
2つの臨床現場で107人の患者から採取されたサンプルを用いてレトロスペクティブ研究を行った。QPCRを11遺伝子リストの7つの卵母細胞品質マーカー(HSPH1エクソン2、HSPH1エクソン6、CAMK1Dエクソン1、CAMK1Dエクソン9、EFNB2、NCOA7、SASH1)及び2つの内在性対照(UBC及びB2M)について3つの異なるバッチでエクソン特異的に行った(表9)。
表9:概念実証研究に利用可能なサンプル。B1/2/3=バッチ1/2/3、場所1+2=欧州及び米国の不妊治療センター、患者の前処置=rFSH又はHP-hMGと組み合わせたGnRHアンタゴニスト、妊娠転帰=移植の少なくとも2週間後の妊娠、非妊娠=移植後に妊娠せず、遅延=発生が遅く、移植に検討されない胚
Figure 2016509831
卵丘細胞の採取:
卵丘細胞サンプルを1つの欧州及び1つの米国の不妊治療センターで採取したが(表9)、これらは1回に1つの胚を移植した(SET=単一胚移植)患者に由来し、妊娠又は非妊娠が判明した。これによりコンピテント及び低コンピテント卵母細胞のCCのレトロスペクティブ比較が可能となった。これは最も明らかなアプローチであるが、卵母細胞は異なる患者に由来し(=患者間分析)、制御されない幾らかの患者間の差異が生じる。妊娠をもたらす又はもたらさず、CCの患者内比較のレトロスペクティブ研究も可能にする単一卵母細胞採取手法(ピックアップ)による2回以上の連続した単一胚移植を受けた患者サブセットも存在していた。
以下の3つのタイプの卵丘細胞サンプルを採取した:胚が移植され、妊娠をもたらした卵母細胞のサンプル、移植されたが、妊娠をもたらさなかった良好な品質の胚のサンプル、及び遅延胚の卵丘サンプル。遅延胚はより遅く発生し、低卵母細胞コンピテンスの指標とみなされる胚であり、これらの胚はしたがって移植に検討されない。遅延胚の卵丘細胞を、妊娠をもたらす卵母細胞を有する患者の患者内陰性対照として使用した。妊娠をもたらす及びもたらさない形態学的に同一の胚のCC間の区別(下記で妊娠対非妊娠と称する)は、妊娠をもたらす卵母細胞又はin vitro発生が遅延した胚のCC間の区別(下記で「妊娠対胚発生の遅延」と称される)よりも重要であると考えられ、これは後者の情報が長期胚培養を行う研究所で既に利用可能であるためである。
全ての患者がGnRHアンタゴニスト及びrFSH又はHP-hMGによる卵巣刺激を受け、初めに治療群毎に分析された。
統計:
統計分析においては、第1の1パラメーターアプローチをスチューデントt検定(対応及び独立)により用いた。第2に、相互検証多変量モデルを二値応答に段階的重回帰分析を用いて構築した。
結果1:患者内分析
a)1パラメーター:妊娠対胚発生の遅延
妊娠又は胚成長の遅延をもたらす卵母細胞のCC間の1パラメーター分析(対応t検定)(n=8)において7つの遺伝子を研究したが、7つのうち4つの遺伝子で一貫した上方調節が見出された(表10)。CAMK1Dエクソン1及びNCOA7は症例の88 %で上方調節され、CAMK1Dエクソン9及びSASH1は患者の75 %で上方調節された。しかしながら、患者間の差異が大きいことから有意差には達しなかった(対応t検定のp値は0.14〜0.24の範囲であった)。
b)1パラメーター:妊娠対非妊娠
同じ患者(n=7)の妊娠をもたらす又はもたらさない卵母細胞のCC間の比較において、7つの遺伝子のうち以下の3つを研究したが、71 %〜86 %の患者において一貫した上方調節が示された:EFNB2、CAMK1Dエクソン1及びCAMK1Dエクソン9。CAMK1Dエクソン1(p 0.021)では有意性に達した。1つの遺伝子HSPH1エクソン6は71 %の患者において一貫した下方調節を示した。
したがって、この第1の患者内分析では、妊娠をもたらさない良好な形態の胚を生じる卵母細胞又は同じ患者の遅延胚のCCと比較した、妊娠をもたらす卵母細胞のCCにおける既知の卵母細胞品質マーカー遺伝子CAMK1Dの上方調節が確認される。これらの結果から3つの新たな遺伝子:NCOA7、SASH1及びHSPH1の関連性も確認される。
表10:n=患者数、#ok=上方又は下方調節を有する患者の%、妊娠中=妊娠患者において遺伝子が上方又は下方調節される
Figure 2016509831
同様の状況での以前の結果から、多変量アプローチにより正確に予測されたサンプルの数が増大することが示されている(Wathlet et al., 2013)。したがって、同じサンプルに対する多変量患者内分析も行った。
c)多変量:妊娠対胚発生の遅延又は非妊娠
より洗練された多変量分析から、EFNB2及びNCOA7を用いる強力な妊娠予測モデルが得られ、73 %の精度及び0.772のROC-AUCが得られた。より詳細な結果を下記に提示する(表11及び図5)。これにより卵母細胞品質マーカーとしての既知の新規のCC遺伝子の予測的品質が更に確認された。
結果2:患者間分析
サンプルサイズを増大させるために、2つの場所からのサンプルの患者間分析も行った。この追加の分析はより一般的な適用可能モデルを提供する。
GnRHアンタゴニスト及びrFSH又はHP-hMG刺激患者において同じ遺伝子が卵母細胞コンピテンスについて予測的であり、一部の遺伝子で逆相関である(例えば図6及び図7のCAMK1D)。解釈を容易にするために、前処置特異的モデルを構築し、本明細書に記載した。これらは後に治療特異的な指標を用いる或る数学的モデル(以前に非特許文献17で適用された)と組み合わせられる。
a)GnRHアンタゴニスト及びrFSH刺激患者の妊娠対胚発生の遅延
患者内分析から、本明細書で分析された7つの遺伝子のうち4つを用いて、妊娠又は胚発生の遅延をもたらす卵母細胞のCCを区別することができることが示された。
しかしながら、このGnRHアンタゴニスト及びrFSH刺激患者では患者間の差異により強力な数学的モデルの構築が妨げられるようである。45のリストの追加の遺伝子を加えることで、これを回避することができた。
b)GnRHアンタゴニスト及びrFSH刺激患者の妊娠対非妊娠
バッチ1、2及び3のGnRHアンタゴニスト及びrFSH刺激患者(n=34人の妊娠及び29人の非妊娠患者)について、3つの遺伝子を含有する強力な卵母細胞品質予測モデルが得られた。2つの遺伝子CAMK1Dエクソン9及びHSPH1エクソン2は妊娠と正に相関し、NCOA7は負に相関していた。より詳細な結果を下記に提示する(表11及び図6)。このモデルの精度は73%、AUCは0.733であった。このモデルを今回GnRHアンタゴニスト及びrFSH刺激患者のプロスペクティブ研究に使用する。
c)GnRHアンタゴニスト及びHP-hMG刺激患者の妊娠対胚発生の遅延
妊娠をもたらす卵母細胞のCCと胚発生の遅延をもたらす卵母細胞のCCとを区別するアンタゴニストHP-hMG患者の多変量モデル(n=20)は、高い精度(80%)及びAUC(0.8081)を有していることが見出された。SASH1は妊娠と正に相関し、CAMK1Dエクソン1は妊娠と負に相関した。より詳細な結果を下記に提示する(表11及び図7)。SASH1発現はCAMK1Dエクソン9、NCOA7発現とも相関していた。CAMK1Dエクソン1発現はCAMK1Dエクソン9発現と相関していた。
d)GnRHアンタゴニスト及びHP-hMG刺激患者の妊娠対非妊娠
GnRHアゴニスト及びHP-HMG患者(n=24)における妊娠対非妊娠の多変量モデルも強力であり(精度=75 %及びAUC=0.8392)、またSASH1発現と卵母細胞発生コンピテンスとの正の相関に大きく依存していた(詳細な図面は示さない)。
表11:レトロスペクティブQPCR研究における種々の亜集団の遺伝子モデル(適切な場合にエクソンレベル)及びその予測値の図式的概要
Figure 2016509831
*相関遺伝子はモデル内の遺伝子と強い相関を示し、したがって重回帰分析によって選択されなかった遺伝子である。これらの一部はまた、強い予測力を有し、「付加的な」遺伝子として試験に使用することができた。これは、HSPH1エクソン2をHSPH1エクソン6で置き換えた代替アンタゴニスト/rFSH患者間妊娠対非妊娠モデルにより実証される。
レトロスペクティブ研究の結論:
どちらも陽性対照遺伝子として選ばれたCAMK1Dエクソン9及びEFNB2は、患者内及び患者間分析において確認した本データセットに含まれる。
卵母細胞コンピテンスと特許可能な遺伝子の発現との関係性も、異なるタイプのART前処置後の予測モデルとの関連で確認した。HSPH1エクソン2及びNCOA7はアンタゴニスト/rFSH刺激患者の最終モデルに残される。SASH1はアンタゴニスト/HP-hMG刺激患者の強力な予測的遺伝子である。HSPH1エクソン6及びEFNB2が最終モデルに残されないことは、これらのマーカーが卵母細胞コンピテンスに関連しないことを意味するものではない。これは、これらが他のマーカーと相関し(HSPH1エクソン6はHSPH1エクソン2と相関し、EFNB2はCAMK1D発現と相関する)、したがって回帰分析から排除されるためである。
実施例4−プロスペクティブ研究
ケースコントロール評定者盲検プロスペクティブ研究を、先に(higher)記載の卵母細胞コンピテンス予測モデルの2つを用いるFOBIによって行った(図6及び図7)。研究は以下の3つの患者群を含んでいた:形態学的胚選別(非特許文献14に記載)並びに3日目の胚のCC遺伝子分析及び移植による実験群、並びに形態学的胚選別単独及び3日目又は5日目の胚の移植による2つの対照群。2つの対照は妊娠率が2つの移植計画で異なることから加える。5日目の移植により初回周期における臨床妊娠率が僅かに増大するが、累積妊娠率は3日目の移植周期の方が高い(Glujovsky et al. Cochrane review 2012)。
目的:
目的は、各々の患者から得られる卵母細胞のプールにおいて、各卵母細胞の周囲のCCにおける特定の遺伝子の発現を比較することによってコンピテンスが最も高い卵母細胞を特定することである。この卵母細胞に由来する胚を患者に移植し戻した。形態学的(morphological)選別と組み合わせたCC遺伝子発現分析は、CC評価を行わない適合患者(すなわち、移植する胚の選択は日常形態学的胚選別のみによって決まる)と比較してこれらの患者で妊娠可能性を増大することが予想される。
患者集団及び分析される遺伝子:
この研究は17人の患者を含んでいた。含まれる患者は、胚培養の3日後(概して8細胞期の胚)の卵細胞質内精子注入法(ICSI)及び単一胚移植による不妊治療を予定するART診療所の患者である。許容される患者の前処置はGnRHアンタゴニスト+rFSH又はHP-hMGであり、図5及び図6に記載の遺伝子発現モデルをそれぞれこれらの患者に使用する。
分析される遺伝子(CAMK1Dエクソン9、CAMK1Dエクソン1、HSPH1エクソン2、NCOA7、SASH1)は本特許出願に提示される11及び45遺伝子リストからのものであった。
手法の種々の工程:
この研究は以下の工程を含んでいた:
1.患者に情報を与え、インフォームドコンセントに署名した場合に加えた
2.卵母細胞をこれらの患者から通常通り採取した
3.卵母細胞をその卵丘細胞からcumulaseを用いて通常通り個別に単離した
4.卵丘細胞を即座にプロセシング又は凍結した
5.卵母細胞を不妊治療(本研究ではICSI及び胚培養)に更に使用した*
6.卵丘細胞における特定の遺伝子の発現を評定した
7.得られるCCスコアは最もコンピテントな卵母細胞(出産可能性が最も高い)を潜在的に示し、これを使用して各患者に利用可能な最良の形態学的グレードを有する胚から最も有望な胚を選択した
8.この単一胚を患者に移植し戻した**
9.CC遺伝子発現に基づく胚移植を受けた各々の患者について、CC遺伝子発現分析を行わない3日目(概して8細胞胚)及び5日目(概して膨張胚盤胞)に胚移植した適合患者(同じ年齢区分、同様の前処置及び同じ量の移植に利用可能な良好な品質の胚を有する)を、評定者盲検的に選択した
10.3つの患者群(実験群及び2つの対照群)について着床及び妊娠率を評価する
注釈:*この工程は後の使用のための、最終的にはCC遺伝子発現結果に観察された欠陥を補うための栄養素を添加した特定の培地での卵母細胞凍結を含み得る
**CCスコアを独立して、又は形態学的若しくは他の卵母細胞、精子若しくは胚評価方法と組み合わせて使用することができる
卵丘細胞遺伝子発現評価:
特定の遺伝子の発現を各卵母細胞のCCにおいて定量化した。各遺伝子の絶対発現を同じCCサンプルにおける2つの内因性遺伝子の発現に対して正規化し、サンプル間の細胞数差及び技術的誤差を相殺した。次いで、正規化発現値を図6及び図7に記載の数式に用い、各卵母細胞のスコアを得た。このスコアが高いほど、この卵母細胞が出産をもたらす可能性が高くなる。
結果:CC遺伝子発現ベースの卵母細胞評価を使用した場合の妊娠率
17人の患者のうち8人にGnRHアンタゴニストrFSH前処置を行い、9人にGnRHアンタゴニストHP-hMG前処置を行った。CC評価の有益な効果は3日目の移植計画で明らかである(図7)。妊娠可能性は3日目に胚移植し、CC試験を行わなかった患者と比較して3日目の胚移植及びCC試験を行った患者で2倍高かった。患者数は今回、5日目に胚移植した患者と比較した増大の有意性を確認するには限られていた。
表12:プロスペクティブ研究の中間結果
灰色=実験アームの17人の患者、白色=2つの対照群、有意性=実験群と各対照群とを比較するカイ二乗検定に基づく、ns=p>0.05、妊娠=少なくとも2週間の妊娠(2回の連続した陽性hCG検出)。
Figure 2016509831
プロスペクティブ研究の結論:
上記のように診療所においてCC試験分析を実行することで、研究に関与する患者の妊娠可能性が顕著に増大し、したがって本特許出願の主題である遺伝子の関連性が証明される。
この原理証明実験に使用したモデルは2つ及び3つの遺伝子を含有していた。以前のマイクロアレイ実験(より多くの遺伝子及びより多くの患者が分析された)から、より多くの遺伝子(最大で少なくとも5つ又は6つ)を加えることでモデルの予測力が更に改善されることが分かる。この研究は、本特許のリストのより多くの遺伝子を用いて現在進行中である。
一般的結論:
45卵母細胞品質マーカー遺伝子リストはUZBrussel患者を用いた2アレイ実験によるものであり、3つの異なる欧州不妊治療センターからの100人を超える患者を含む3番目の独立アレイ実験によるデータを用いて相互検証した。このアプローチは、治療結果を予測する確かなマーカー遺伝子及び遺伝子組合せ/モデルを提供する。
概念実証として、4つの新規の遺伝子を含有する7遺伝子サブセットを、2つの不妊治療センターで採取された新たな患者のCCサンプルに対する代替技法(QPCR)を用いて試験した。4つの遺伝子が有用な卵母細胞品質マーカーであることが確認された。これにより、提案された遺伝子リストが有効な卵母細胞品質予測的遺伝子を含有することが確認される。
最後に、遺伝子モデルをプロスペクティブ研究において試験したが、胚を上記の卵母細胞品質マーカー遺伝子のCCにおける発現に基づいて選択した患者で妊娠率が増大した。
ICSIによる標準治療を受けたART診療所の患者について後者の研究を行い、これにより臨床状況への卵母細胞品質マーカーの適用性が確認される。
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表13:遺伝子リスト
Figure 2016509831

NCBI遺伝子ID
熱ショック105kDa/110kDaタンパク質1
カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼID
プロスタグランジン-エンドペルオキシドシンターゼ2(プロスタグランジンG/Hシンターゼ及びシクロオキシゲナーゼ)
エフリン-B2
グルタチオンS-トランスフェラーゼα4
スタニオカルシン
バーシカン
プロゲステロン受容体
グルタチオンS-トランスフェラーゼα3
グルタチオンペルオキシダーゼ3(血漿)
マエストロ熱様リピートファミリーメンバー9
RAB GTPアーゼ活性化タンパク質1様
溶質輸送体ファミリー7(アニオン性アミノ酸輸送体軽鎖、xc系)、メンバー11
アルデヒドデヒドロゲナーゼ1ファミリー、メンバーL2
アスパラギンシンテターゼ(グルタミン加水分解性)
ブチロフィリン様3
TOPBP1相互作用チェックポイント及び複製調節因子
PRMT1のクロマチン標的
CDC42エフェクタータンパク質(Rho GTPアーゼ結合)3
CCAAT/エンハンサー結合タンパク質(C/EBP)、γ
ダイニン、軸糸、重鎖3
細胞質分裂デディケーター9
UDP-N-アセチル-α-D-ガラクトサミン:ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ様6
GATS、ストローマ抗原3逆鎖
グルタミン酸−オキサロ酢酸トランスアミナーゼ1、可溶性(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ1)
ヒスチジントライアドヌクレオチド結合タンパク質3
クルッペル様因子10
メチル-CpG結合ドメインタンパク質3
モリブデン補酵素硫化酵素
マクロファージスカベンジャー受容体1
核内受容体活性化補助因子7
ネフロン癆4
ナトリウム利尿ペプチド受容体A/グアニル酸シクラーゼA(心房性ナトリウム利尿ペプチド受容体A)
p21タンパク質(Cdc42/Rac)活性化キナーゼ7
ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ
リングフィンガータンパク質166
ラウンドアバウト、軸索誘導受容体、ホモログ2(ショウジョウバエ)
SAM及びSH3ドメイン含有1
溶質輸送体ファミリー6(神経伝達物質輸送体、グリシン)、メンバー9
スリットホモログ2(ショウジョウバエ)
スペクトリン、β、非赤血球5
TSC22ドメインファミリー、メンバー3
チューブリン、α1a
unc-80ホモログ(シノラブディス・エレガンス(C. elegans))
図1
47 rFSH ICSISET patients 47人のrFSH ICSI SET患者
19 pregnantpatients with 19 transferred embryos 19個の移植胚による19人の妊娠患者
28 non-pregnantpatients with 28 transferred embryos 28個の移植胚による28人の非妊娠患者
7 non-pregnantSET patients had a FRET cycle 7人の非妊娠SET患者にFRET周期を行った
7 COC from thefresh cycle not resulting in pregnancy from 7 patients 7人の患者に由来する妊娠をもたらさない新規の周期による7つのCOC
6 patients had1 frozen/thawed embryo replaced which resulted in pregnancy (6 COC) 6人の患者に1凍結融解胚置換を行うと、妊娠がもたらされた(6つのCOC)
1 patient had 2times 1 frozen/thawed embryo replaced which did give pregnancy in the 2ndattempt (2 COC) 1人の患者に2回の1凍結融解胚置換を行うと、2回目の試みで妊娠がもたらされた(2つのCOC)

図2
Not pregnant 非妊娠
Pregnant 妊娠

図3
Sensitivity 感度
Specificity 特異性
Model モデル

図4
NormalizedEFNB2 expression 正規化EFNB2発現
non-pregnant 非妊娠
pregnant 妊娠
Normalized GSRexpression 正規化GSR発現
NormalizedGSTA4 expression 正規化GSTA4発現
NormalizedGSTA3 expression 正規化GSTA3発現
NormalizedCAMK1D expression 正規化CAMK1D発現
Normalized PGRexpression 正規化PGR発現
Normalized GPX3expression 正規化GPX3発現

図5
A ROC-Curve ROC曲線
Sensitivity 感度
Specificity 特異性
Relation Geneexpression to predicted pregnancy 遺伝子発現と予測妊娠との関係性
Pregnancy aspredicted by model モデルにより予測された妊娠

図6
ROC-Curve ROC曲線
Sensitivity 感度
Specificity 特異性
Relation Geneexpression to predicted pregnancy 遺伝子発現と予測妊娠との関係性
Pregnancy aspredicted by model モデルにより予測された妊娠

図7
ROC-Curve ROC曲線
Sensitivity 感度
Specificity 特異性
Relation Geneexpression to predicted pregnancy 遺伝子発現と予測妊娠との関係性
Pregnancy aspredicted by model モデルにより予測された妊娠

Claims (19)

  1. 分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす哺乳動物卵母細胞のコンピテンスの評価用のバイオマーカー遺伝子又はそのスプライス変異体を検出する方法であって、
    使用する前記卵母細胞の選択エンドポイントとして出産及び胚発生を用いることと、
    前記卵母細胞に関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおける遺伝子発現のエクソンレベル分析を行うことと、
    前記遺伝子発現のエクソンレベル分析の患者内ベースの比較を行うことと、
    対応t検定において0.05未満のp値のみを分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす哺乳動物卵母細胞のコンピテンスの評価用のバイオマーカー遺伝子に関して有意とみなすことと、
    を含む、方法。
  2. 前記遺伝子発現のエクソンレベル分析を表13の遺伝子を含む実験で行う、請求項1に記載の方法。
  3. 実験における卵母細胞の卵丘細胞遺伝子発現を用いて遺伝子又はスプライス変異体のバイオマーカー遺伝子組合せモデルを検出する方法であって、
    a.請求項1又は2に記載の方法を用いて少なくとも2つのバイオマーカー遺伝子を検出することと、
    b.妊娠をもたらす又はもたらさない前記少なくとも2つのバイオマーカー遺伝子の卵丘バイオマーカー遺伝子発現の組合せを比較する両側t検定を用いるとともに、0.05未満のタイプI p値というカットオフ値を有する前記少なくとも2つのバイオマーカー遺伝子の組合せを、出産が可能な哺乳動物卵母細胞のコンピテンスを予測する又は胚若しくは未分化胚芽細胞のin vitro発生を評価するモデルとして残すことと、
    c.前記少なくとも2つのバイオマーカーのスプライス変異体が0.3未満のタイプIII p値を有するか否かを確立する段階的多変量回帰分析を行うとともに、該スプライス変異体を工程bで残された前記モデルに加えることと、
    d.工程cのスプライス変異体を含む前記モデルの全p値を決定するとともに、該全p値が更に低減している場合に該スプライス変異体を該モデルに残すことと、
    を含む、方法。
  4. 分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす哺乳動物卵母細胞のコンピテンスを評価するin vitro方法であって、
    前記卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおいて請求項1若しくは2に記載の方法を用いて特定されたバイオマーカー遺伝子発現のレベル、又は請求項3に記載の方法を用いて特定されたバイオマーカーの組合せのバイオマーカー遺伝子発現のレベルを決定する工程と、
    前記発現レベル(複数の場合もあり)に基づいて分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす前記卵母細胞のコンピテンスを評価する工程と、
    を含む、in vitro方法。
  5. 前記遺伝子発現のエクソンレベル分析をCAMK1D、PTGS2、EFNB2、VCAN、STC1、STC2、PGR及びGPX3から選択される遺伝子のスプライス変異体に対して行う、請求項2又は4に記載のin vitro方法。
  6. 前記1つ又は複数のバイオマーカー遺伝子がSASH1、MROH9、NCOA7、DNAH3、HSPH1エクソン2、HSPH1エクソン6、GALNTL6、SPTBN5、CAMK1Dエクソン1、CAMK1Dエクソン9及びEFNB2を含む群から選択される、請求項4に記載のin vitro方法。
  7. 前記バイオマーカーの組合せが、
    EFNB2及びNCOA7、
    CAMK1Dエクソン9及びHSPH1エクソン2及びNCOA7、
    CAMK1Dエクソン9及びHSPH1エクソン6及びNCOA7、
    CAMK1Dエクソン1及びSASH1、並びに、
    EFBN2及びSASH1、
    を含むリストから選択される、請求項4に記載のin vitro方法。
  8. 分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす哺乳動物卵母細胞のコンピテンスを評価するin vitro方法であって、
    前記卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルにおける表13に挙げられる遺伝子から選択される1つ又は複数の遺伝子、特に表8に挙げられる遺伝子から選択される1つ又は複数の付加的な遺伝子、特にHSPH1エクソン2、HSPH1エクソン6、NCOA7及びSASH1からなる群から選択される1つ又は複数の付加的な遺伝子と組み合わせたCAMK1Dエクソン1、CAMK1Dエクソン9又はEFNB2のいずれかのエクソンレベルの遺伝子発現を決定する工程と、
    前記発現レベルに基づいて分娩、着床をもたらす、着床前胚盤胞若しくは胚を形成する、及び/又は受精をもたらす前記卵母細胞のコンピテンスを評価する工程と、
    を含む、in vitro方法。
  9. 前記遺伝子のエクソンレベルの遺伝子発現を正規化する工程を更に含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のinvitro方法。
  10. 前記1つ又は複数のバイオマーカー遺伝子のマーカー遺伝子発現のレベルの決定が、前記ポリヌクレオチド又は該ポリヌクレオチド内の1つ若しくは複数の領域に特異的にハイブリダイズすることが可能なプライマー及び/又はプローブを使用する生物学的アッセイを用いて前記遺伝子のポリヌクレオチドレベルを測定することを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のinvitro方法。
  11. 前記1つ又は複数の遺伝子のマーカー遺伝子発現のレベルの決定が、タンパク質、そのプロフォーム又はその代謝産物の結合剤、抗体又はそのフラグメントを使用する生物学的アッセイを用いて関連遺伝子産物のタンパク質レベルを測定することを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のinvitro方法。
  12. 前記哺乳動物卵母細胞がヒト卵母細胞である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のinvitro方法。
  13. 前記対照又は参照標準が、試験対象のサンプルと同じ被験体から得た又は得ていない既知のコンピテント又は非コンピテント卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のin vitro方法。
  14. 前記対照又は参照標準が、試験対象のサンプルと同じ被験体から得た又は得ていない既知の非コンピテント卵母細胞と関連する少なくとも1つの顆粒膜又は卵丘細胞を含むサンプルである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のin vitro方法。
  15. 前記サンプルが顆粒膜及び/又は卵丘細胞を含む卵母細胞、卵胞液又は培地に由来する、請求項9又は10に記載のin vitro方法。
  16. 受精後に正常妊娠を生じさせることが可能な卵母細胞の特定への請求項4〜15のいずれか一項に記載のinvitro方法の使用。
  17. 別のin vitro卵母細胞、精子又は胚評価方法と組み合わせた請求項4〜15のいずれか一項に記載のin vitro方法の使用。
  18. 請求項4〜15のいずれか一項に記載のinvitro方法に従ってスコアリングされた哺乳動物卵母細胞を含む卵母細胞バンク。
  19. 請求項4〜15のいずれか一項に記載のinvitro方法に従ってスコアリングされた卵母細胞の使用を含む、胚を調製する方法。
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Class et al. Patent application title: METHODS AND DEVICES FOR ASSESSING RISK OF FEMALE INFERTILITY Inventors: Piraye Yurttas Beim (New York, NY, US) Piraye Yurttas Beim (New York, NY, US) Assignees: Celmatix, Inc.

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