本開示の原理の理解を促進する目的のため、ここで図面に図示された実施形態に参照が為され、これを記述するために特定の用語が用いられる。しかしながら、本開示の範囲に如何なる限定も意図されないものと理解される。記述された装置、システム、及び方法の如何なる変更及び更なる変更、また本開示の原理の如何なる更なる適用は、本開示が関連する技術分野の当業者に通常に生じるように、十分に検討され、本開示内に含まれる。例えば、本開示は、心臓血管イメージングの観点から超音波イメージングシステムを提供するが、そのような記述は、この用途に限定されることを意図しないものと理解される。幾つかの実施形態においては、超音波イメージングシステムは、血管内イメージングシステムを含む。イメージングシステムは、小さいキャビティー内のイメージングを要求する任意の用途に等しく良く適合される。特には、一つの実施形態に関して記述された特徴、構成要素、及び/又はステップが、本開示の他の実施形態に関して記述した特徴、構成要素、及び/又はステップに組み合わされることが十分に検討される。しかしながら、簡潔さのため、これらの組み合わせの多数の反復が別々に記述されない。
主に2種類の今日汎用されているカテーテルがある:固体(solid-state)及び回転式(rotational)。例示の固体カテーテルは、カテーテルの周囲に分配され、電子マルチプレクサー回路に接続されたトランスデューサーのアレイ(典型的には64)を用いる。マルチプレクサー回路は、超音波信号を送信し、反射した超音波信号を受け取るためアレーからトランスデューサーを選択する。送信−受信トランスデューサーペアのシーケンスを通じて、固体カテーテルが、部品を動かすことなく、機械的にスキャンされたトランスデューサー要素の出力を合成することができる。回転する機械的要素がないため、トランスデューサーアレイは、管損傷の最小リスクで血液及び管組織に直接接触して配置可能であり、固体スキャナーが、単純な電気ケーブル及び標準の取り外し可能な電気コネクターでイメージングシステムに直接的に配線可能である。
例示の回転式カテーテルは、可撓性駆動シャフトの先端に配された単一のトランスデューサーを含み、対象の管内に挿入されたシース内で回転する。トランスデューサーは、典型的には、超音波信号が、概してカテーテルの軸に垂直に伝播するように配向される。典型的な回転式カテーテルにおいては、流体充填済(例えば、生理食塩水充填)シースは、超音波信号がトランスデューサーから組織内へ自由に伝播し、また戻ることを許容しつつ、回転するトランスデューサー及び駆動シャフトから管組織を保護する。駆動シャフトが回転するため(例えば、毎秒30回転)、トランスデューサーは、高電圧パルスで周期的に励起され、短バーストの超音波を出射する。超音波信号は、トランスデューサーから、流体充填シース及びシース壁を透過し、駆動シャフトの回転軸に概して垂直な方向に出射される。同一のトランスデューサーが、次に、様々な組織構造から反射する帰還した超音波信号を聞き取り、イメージングシステムが、トランスデューサーの単一の回転過程で生じるこれらの数百の超音波パルス/エコー取得シーケンスのシーケンスから管断面の2次元イメージを構築する。
図1は、本開示の様々な側面に係る超音波イメージングシステム100の概略図である。幾つかの実施形態においては、超音波イメージングシステム100は、血管内超音波イメージングシステム(IVUS)を含む。IVUSイメージングシステム100は、患者インターフェイスモジュール(PIM)104を介してIVUS制御システム106に結合したIVUSカテーテル102を含む。制御システム106は、(IVUSシステム100により生成されたイメージといった)IVUSイメージをディスプレイ表示するモニター108に結合される。
幾つかの実施形態においては、IVUSカテーテル102は、回転式IVUSカテーテルであり、これは、ヴォルカノ・コーポレーションから入手可能であるRevolution(登録商標) Rotational IVUSイメージングカテーテル及び/又は米国特許No.5,243,988及び米国特許No.5,546,948に開示の回転式IVUSカテーテルであり、これら両方の文献が、その全体において参照により本明細書に組み込まれる。カテーテル102は、血管(不図示)の内腔内への挿入のために形状及び構成された(近位端部114及び遠位端部116を有する)長尺、フレキシブルなカテーテルシース110を含む。カテーテル102の長手軸LAが近位端部114と遠位端部116の間で延びる。カテーテル102は、フレキシブルであり、使用中、血管の湾曲に適用することができる。この点について、図1に図示のカーブ構成は、例示目的のためであり、如何なる場合でも、他の実施形態においてカテーテル102がカーブする態様を限定するものではない。概して、カテーテル102は、使用中、任意の所望の直線又はアーチ状輪郭を取るように構成される。
回転イメージングコア112がシース110内を延びる。イメージングコア112は、シース110の近位端部114内に配置された近位端部118及びシース110の遠位端部116内に配置された遠位端部120を有する。シース110の遠位端部116及びイメージングコア112の遠位端部120は、IVUSイメージングシステム100の動作中、対象の管内に挿入される。カテーテル102(例えば、患者内、特には対象の管内に挿入できる部分)の使用可能な長さは、任意の適切な長さであり、用途に応じて変化し得る。シース110の近位端部114及びイメージングコア112の近位端部118は、インターフェイスモジュール104に結合される。近位端部114、118は、インターフェイスモジュール104に取り外し可能に接続したカテーテルハブ124に適合される。カテーテルハブ124が、カテーテル102及びインターフェイスモジュール104間の電気及び機械結合を提供する回転インターフェイスを促進及び保持する。
イメージングコア112の遠位端部120は、トランスデューサーアセンブリー122を含む。トランスデューサーアセンブリー122は、(モーター又は他の回転装置のいずれかの使用により)回転され、管のイメージを取得するように構成される。トランスデューサーアセンブリー122は、管、特には管の狭窄のビジュアル化のための任意の適切なタイプであり得る。図示の実施形態においては、トランスデューサーアセンブリー122が、圧電マイクロマシーン超音波トランスデューサー(PMUT)トランスデューサー、及び用途特定集積回路(ASIC)といった関連の回路を含む。IVUSカテーテルで用いられる例示のPMUTは、米国特許No.6,641,540に開示のものといったポリマー圧電膜を含み、この文献がその全体において参照により本明細書に組み込まれる。PMUTトランスデューサーは、放射方向において最適な分解能のため100%を超えるバンド幅、及び最適な方位及び仰角分解能のため球形集束開口を提供することができる。
トランスデューサーアセンブリー122は、そこに設けられた本明細書に開示のPMUTトランスデューサー及び関連の回路を有するハウジングも含み、ハウジングが、PMUTトランスデューサーにより生成された超音波信号が透過する開口を有する。代替として、トランスデューサーアセンブリー122が、容量性マイクロマシーン超音波トランスデューサー(CMUT)を含む。また別の代替の実施形態においては、トランスデューサーアセンブリー122が、超音波トランスデューサーアレイを含む(例えば、幾つかの実施形態においては、16、32、64、又は128個の要素を有するアレイが用いられる)。
シース110内のイメージングコア112の回転が、ユーザーにより操作されるユーザーインターフェイス制御部を提供するインターフェイスモジュール104により制御される。インターフェイスモジュール104は、イメージングコア112を通じて、情報を受け取り、分析し、及び/又はディスプレイ表示することができる。任意の適切な機能、制御部、情報処理及び分析、及びディスプレイ表示をインターフェイスモジュール104に組み込むことができるものと理解される。一例においては、インターフェイスモジュール104が、イメージングコア112により検出された超音波信号(エコー)に対応するデータを受け取り、受け取ったエコーデータを制御システム106に転送する。一例においては、インターフェイスモジュール104が、エコーデータを制御システム106に送信する前、エコーデータの前処理を実行する。インターフェイスモジュール104は、エコーデータの増幅、フィルタリング、及び/又は収集を実行し得る。インターフェイスモジュール104は、トランスデューサーアセンブリー122内の回路を含むカテーテル102の動作を支えるべく高及び低電圧DC電源を供給することもできる。
幾つかの実施形態においては、IVUSイメージングシステム100に関連のワイヤーが、制御システム106からインターフェイスモジュール104に延び、制御システム106からの信号がインターフェイスモジュール104に通信され、及び/又は逆も然りである。幾つかの実施形態においては、制御システム106は、インターフェイスモジュール104と無線通信する。同様に、幾つかの実施形態においては、IVUSイメージングシステム100に関連のワイヤーが、制御システム106からモニター108に延び、制御システム106からの信号がモニター108に通信され、及び/又は逆も然りである、ものと理解される。幾つかの実施形態においては、制御システム106は、モニター108と無線通信する。
図2乃至7は、複数の超音波トランスデューサー200が製作されるウェハー150の一部の概略的な断片的な断側面図である。図2乃至7は、本開示の様々な側面に係る製作の異なるステージに対応する。図2乃至7は、本開示の発明的なコンセプトのより良い理解のため明確性のため単純化されている。同一の製作工程が、全ての超音波トランスデューサー200に実行されるため、以降の議論では、単純及び明確さのため、一つのトランスデューサー200が注目される。
超音波トランスデューサー200は、各々、図1のIVUSイメージングシステム100、例えば、トランスデューサーアセンブリー122内に含まれ得る。超音波トランスデューサー200は、小さい大きさを有し、高い分解能を達成し、血管内イメージングに良く適する。幾つかの実施形態においては、超音波トランスデューサー200は、約何十又は何百ミクロンのサイズを有し、1メガヘルツ(MHz)から約135MHzの間の周波数範囲で動作でき、また少なくとも10ミリメートル(mm)の浸透深さを提供しつつ50サブミクロン分解能を提供することができる。更には、超音波トランスデューサー200は、開発者が、トランスデューサー開口の偏向深さに基づいてターゲット集束領域を規定することを許容する態様でも形状付けられ、従って、表面特性を超えた、管形態を規定することに有用なイメージを生成する。超音波トランスデューサー200の様々な側面及びその製作が、以降より詳細に議論される。
図示の実施形態においては、超音波トランスデューサー200は、圧電マイクロマシーン超音波トランスデューサー(PMUT)である。他の実施形態においては、トランスデューサー200が、代替の種類のトランスデューサーを含み得る。追加の特徴を超音波トランスデューサー200に加えることができ、以降に記述の幾つかの特徴が、超音波トランスデューサー200の追加の実施形態のために置換又は除去され得る。
図2に示すように、トランスデューサー200は、基板210を含む。基板210は、表面212と、表面212の反対の表面214を有する。表面212は、表面又は表側面とも呼ばれ、表面214が、裏面又は裏側面とも呼ばれ得る。図示の実施形態においては、基板210は、シリコン微小電気機械システム(MEMS)基板である。代替の実施形態においては、基板210は、PMUTトランスデューサー200の設計要求に依存して、別の適切な材料を含む。図示の実施形態においては、基板210は、「薄濃度ドープシリコン基板」である。換言すれば、基板210は、ドーパントで低濃度にドープされたシリコンウェハーに由来し、結果として、約1オーム/cmから約1000オーム/cmの範囲の抵抗率を有する。「薄濃度ドープシリコン基板」210の一つの利益は、例えば、純シリコン又はアンドープシリコン基板と比較して、相対的に安価なことである。もちろん、コストが重大な関心ではない代替実施形態においては、純シリコン又はアンドープシリコン基板も用いられ得るものと理解される。
基板210は、様々なマイクロ電子要素を含む、結合して電子回路を形成する個別に図示されない様々な層も含み得る。これらのマイクロ電子素子が、トランジスター(例えば、金属酸化膜半導体電界効果型トランジスター(MOSFET)、相補的金属酸化膜半導体(CMOS)トランジスター、バイポーラー接合トランジスター(BJT)、高電圧トランジスター、高周波数トランジスター、pチャネル及び/又はnチャネル電界効果型トランジスター(PFET/NFET));抵抗器、ダイオード;容量器;インダクター;フューズ;及び/又は他の適切な要素を含み得る。様々な層が、高k誘電体層、ゲート層、ハードマスク層、界面層、キャップ層、拡散/バリア層、誘電体層、導電層、他の適切な層、又はこれらの組み合わせを含み得る。マイクロ電子素子が、お互いに相互接続され、ロジック装置、メモリー装置(例えば、スタティック・ランダム・アクセス・メモリー(SRAM))、ラジオ周波数(RF)装置、入力/出力(I/O)装置、システム・オン・チップ(SoC)装置、他の適切な種類の装置、又はこれらの組み合わせといった集積回路の一部を形成することができる。
基板210の初期厚220が、表面212と表面214の間で測定される。幾つかの実施形態においては、初期厚220が、約200ミクロン(μm)から約1000μmの範囲にある。
ここで図3を参照すると、誘電体層230が、基板210の表面212上に形成される。誘電体層230は、熱酸化、低温酸化、化学気相堆積(CVD)、物理気相堆積(PVD)、電子層堆積(ALD)、又はこれらの組み合わせといった、同分野で知られた適切な堆積工程により生成される。誘電体層230は、酸化物材料又は窒化物材料、例えば、シリコン酸化物、リンケイ酸ガラス(PSG)、シリコン窒化物、オキシ窒化物シリコン又はこれらの組み合わせを含み得る。誘電体層230は、その上への層の形成のための支持面を提供する。誘電体層230は、電気絶縁も提供する。より詳細には、図示の実施形態における基板210は、上述のように、やや導電性の「薄濃度ドープシリコン基板」である。この基板210の相対的に高い導電性は、トランスデューサー200が相対的に高い電圧、例えば、約60ボルトから約200ボルトDCの励起電圧でパルス駆動される時に問題を提示する。これは、トランスデューサー200の下部電極(以降により詳細に議論される)のため、シリコン基板210に直接接触することが望ましくないことを意味する。従って、本開示の様々な側面によれば、誘電体層230は、トランスデューサー200の下部電極をシリコン基板210の相対的に導電性の表面から絶縁することに役立つ。
次に、導電層240が、誘電体層230上に形成される。導電層240は、CVD、PVD、ALD等といった適切な堆積工程により形成される。図示の実施形態においては、導電層240は、金属又は多数の金属材料を含む。例えば、金属又は多数の金属材料が、チタニウム、クロム、金、アルミニウム、プラチナ、又はこれらの組み合わせを含む。導電層240は、フォトリソグラフィー工程の技術を用いてパターニングされる。導電層240の不要部分が、フォトリソグラフィー工程の一部として除去される。簡潔さの理由から、図2は、パターニングされた後の導電層240のみを図示する。
圧電フィルム250は、次に、誘電体層230及び導電層240上に形成される。様々な実施形態においては、圧電フィルム250が、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、又はそのコーポリマー、ポリフッ化ビニリデン−三フッ化エチレン(PVDF−TrFE)、又はポリフッ化ビニリデン−テトラフッ化エチレン(PVDF−TFE)といった圧電材料を含む。代替として、PVDF−CTFE及びPVDF−CFEといったポリマー又はゾルゲル形成圧電材料が用いられる。図示の実施形態においては、圧電フィルム250に用いられる圧電材料が、PVDF−TrFEを含む。
圧電フィルム250は、所望の形状、例えば、図2に図示の形状を達成するためにパターニングされる。圧電フィルム250の不要部分が、パターニング工程で除去される。結果として、誘電体層230及び導電層240の部分が露出される。本実施形態においては、圧電フィルム250が、上部電極の形成のため堆積を許容するチャンファ(面取り(chamfer))を形成する態様でエッチングされる。チャンファは、図2の断面図に示される台形サイドウォールとして現れる。幾つかの実施形態においては、接着促進層(不図示)が圧電フィルム250と導電層240の間に形成され、圧電フィルム250がより十分に導電層240に固着し得るものとも理解される。
導電層270(つまり、上部電極)は、同分野で知られた適切な堆積工程を用いて圧電フィルム250上に形成される。図示の実施形態においては、導電層270が、チタニウム、クロム、金、アルミニウム、又はこれらの組み合わせといった金属又は多数の金属材料を含む。その堆積後、導電層270は、フォトリソグラフィー工程の技術を用いてパターニングされる。導電層270の不要部分が、フォトリソグラフィー工程の一部として除去される。簡潔さの理由から、図2は、パターニングされた後の導電層270のみを図示する。
導電層240及び270及び圧電層 250(用いられる実施形態においては、接着促進層)が、総じてトランスデューサー膜と理解される。金属パッドが、導電層240及び270との電気接続を確立するために形成されるものと理解されるが、これらの金属パッドが、簡潔さのため本明細書においては図示されない。
ここで図3を参照すると、複数のトレンチ(又は開口/リセス)300が、表面212から基板210に形成される。各トレンチ300は、トランスデューサーの個別の一つを部分的に周囲又は取り囲む。トレンチ300の平面視が図8〜9に図示されており、以降により詳細に議論される。図2の断面図においては、たった一つのそのようなトレンチ300が図示される。トレンチ300A及び300Bは、図3の断面図において2つのトレンチに見えるが、トランスデューサー200を周囲する単一の連続のトレンチの実に一部であるものと理解される。本実施形態においては、トレンチ300が、約80μm〜約100μmの範囲にあるトレンチ深さ310を有する。もちろん、代替の実施形態においては、深さ310が異なる値を有し得る。
ここで図4を参照すると、複数の開口350が裏面214から基板210に形成される。各開口350は、個別の一つのトランスデューサー200の下に形成される。開口350は、ウェル、空洞(voids)、又はリセスとも呼ばれ得る。開口350は、図示の実施形態においては誘電体層230まで形成される。換言すれば、誘電体層230の一部が、開口350により露出される。しかしながら、他の実施形態においては、開口350が、誘電体層230を通過して導電層240(つまり、下部電極)で停止するものと理解される。幾つかの実施形態においては、開口350が、エッチング工程、例えば、深反応性イオンエッチング(DRIE)工程により形成される。各開口350は、トランスデューサー200のアパチャーを形成する。
本実施形態が、裏面214から開口350を形成する前に表面212からトレンチ300を形成することを伴うが、他の実施形態においては、これらの工程が反転され得るものと理解される。換言すれば、他の実施形態においては、開口350は、トレンチ300よりも前に形成される。
ここで図5を参照すると、開口350が、バッキング物質370で充填される。開口350を充填するバッキング物質370は、膜位置が固定され、圧電フィルム250の裏から到来する音波を消すことを許容する。より詳細には、バッキング物質370は、誘電体層230の裏面(又は裏側面)(又は誘電体層230が開口350内で除去される実施形態においては導電層240の裏面)に物理的に接触する。従って、バッキング物質370の一つの機能は、その形状(例えば、アーチ状形状)が維持されるようにトランスデューサー膜360を定位置に固定することを助けることにある。バッキング物質370が、また、音響的な減衰物質を含み、トランスデューサー膜360により生成され、超音波トランスデューサー200内(例えば、トランスデューサー膜360からバッキング物質370内)に伝搬(伝播)する音響エネルギー(換言すれば、音波)を吸収することができる。そのような音響エネルギーは、例えば、超音波トランスデューサー200が、図1のトランスデューサーアセンブリー122に含まれる時、トランスデューサーアセンブリーの構造及び境界面から反射される音響エネルギーを含む。
音波を十分に消すため、バッキング物質370が、高い音響インピーダンスを有する。本実施形態においては、バッキング物質370が、エポキシ物質を含む。様々な他の実施形態においては、バッキング物質370が、十分な音響減衰及びトランスデューサー膜360の形状を維持するための機械的強度を提供する他の物質を含む。バッキング物質370は、そのような音響及び機械的特性を達成するための物質の組み合わせを含み得る。幾つかの実施形態においては、用いられるエポキシが、EPO−Tek301又はEPO−Tek353NDを含む。しかしながら、エポキシ単独ではバッキング物質370としては十分ではないかもしれない。幾つかの実施形態においては、エポキシが、タングステン、銀、酸化セリウム、又は酸化タングステンといったフィラー物質を加えることにより処理される。これらの物質は、高密度である。音速により乗じられた密度が、音響インピーダンスに等しい。PVDF−TrFEトランスデューサーについて、相対的に高い音響インピーダンスが望まれ、全エポキシが低音響インピーダンスを有するではないにしても、ほとんどである。従って、フィラー物質が、音響インピーダンスを高め、トランスデューサーの裏面から到来する音を反射するために追加され、前方に向けて戻し、信号を増強する。
幾つかの実施形態においては、バッキング物質370が、開口350の全体を実質的に充填するものと理解される。しかしながら、他の実施形態においては、バッキング物質370が、ただ部分的に開口350を充填する。
開口350上に堆積される層(つまり、トランスデューサー膜)は、また、凹面を形成するように反らされる。別の言い方をすれば、開口350により露出される誘電体層230の部分は、誘電体層230の部分上に堆積されるトランスデューサー膜の部分と同様、裏面214に向かって曲げられる。従って、アーチ形状のトランスデューサー膜360が形成される。簡潔さのため、アーチ形状のトランスデューサー膜が、図5の全てのトランスデューサー200について図示されないが、各トランスデューサー200が、図6に図示のトランスデューサー200のように(又は同様に)形状付けられるものと理解される。トランスデューサー膜を形状付ける追加の詳細が、2012年12月21日出願のディラン・ファン・ホーベンの米国仮特許出願61/745,344「トランスデューサー膜を形状付けるための方法及び機器」、アトニー・ドケット44744.1094に開示され、その全体において参照により本明細書に組み込まれる。
アーチ形状のトランスデューサー膜360が、そこから放射された超音波信号を球状集束することに役立つ。異なる実施形態においては、トランスデューサー膜360が、他の形状の構成を提示し、様々な他の集束特徴を達成する。例えば、代替の実施形態においては、トランスデューサー膜360が、よりアーチ形状又はより平坦な形状を有し得る。また、トランスデューサー膜360は、バッキング物質370がウェル350を充填するように適用される前又は間に形状付けられるものと理解される。
ここで図7を参照すると、裏面214から薄化工程400が行われ、基板210の厚みが減じられる。幾つかの実施形態においては、研磨又はエッチング工程又はこれらの組み合わせが用いられ、裏面214から基板210(適用される実施形態においてはバッキング物質370)の一部を除去する。薄化工程400は、基板210が所望の厚み410に到達するまで実行される。厚み410は、(図3に示される)トレンチ300の深さ310よりも大きくない。幾つかの実施形態においては、薄化工程400の実行後の基板210の厚み410が、約80μm未満、例えば、約75μmである。
薄化工程400の一つの理由は、トランスデューサー200を分離することである。図7の断面図から分かるように、薄化工程400は、意図的に、トレンチ深さ310未満まで基板210を薄くする。結果として、トランスデューサー200(下の基板210のそれらの部分を含む)が、トレンチ310の下の基板210の部分により一緒に前もって結合されており、それらはトレンチ310により分離されない。しかしながら、トランスデューサー200は、まだお互いに完全に分離されていない。なぜなら、トレンチ310が、トランスデューサー200を完全に(360度で)周囲又は取り囲んでいないためである。従って、追加のダイシング工程を実行し、分離工程を完結することが必要である。この点が、ウェハー150の一部の単純化された概略的な平面図である図8〜9を参照して以降に議論される。
図8を参照すると、ウェハー150の一部の平面図は、基板210上に形成された複数のトランスデューサー200を含む。基板210は、図8において直接的に視認されない。なぜなら、基板210の大半が、誘電体層230、導電層270、及び圧電フィルム250により被覆されるためである。トランスデューサー200が、複数の横に平行な列に配列される。各トランスデューサー200が、個別の一つのトレンチ300により部分的に周囲又は取り囲まれる。
トレンチ300は、図9により明確に図示される。本実施形態においては、トレンチ300が、ほぼU形状である(墓石状形状とも呼ばれる)。例えば、トレンチ300が、2つの長尺な区分300A及び300Bを含み、これらが上の図2乃至7の断面図に図示される。換言すれば、長尺な区分300A及び300Bは、図2乃至7のトランスデューサー200の反対側に設けられるトレンチ300の図示された部分である。長尺区分300A−300Bが実質的に直線の区分であるように図示されるが、代替の実施形態においては、これらはカーブし、又は他の適切な形状を有するものと理解される。
トレンチ300は、実質的にカーブし、又は丸み付けられた区分300Cも含む。カーブ区分300Cは、長尺な区分300A−300Bを一緒に結合する。本実施形態においては、カーブ区分300Cは、少なくとも90度(360度が完全な一周と理解される場合)、例えば、90度と180度の間でトランスデューサー200を周囲又は取り囲む。区分300Cにより取り囲まれたトランスデューサー200の部分が、また、(必ずしも同一ではないが)同様のカーブ又は丸み付けられた平面視輪郭を呈する。
上述のように、裏面ウェハー薄化工程400(図7)により、トランスデューサー200がトレンチ300によりお互いに実質的に分離される。しかしながら、図9の平面図が図示のように、薄化工程が実行された後も、トランスデューサー200は、まだ平面図でトレンチの「下」の基板210の部分により一緒に結合される。従って、分離工程を完了するため、ダイシング工程が実行される。ダイシング工程は、ウェハー150上での交差切断を伴わない。むしろ、複数の実質的に平行な切断がウェハー上に為される。例えば、図8及び9に図示の切断線412と同様の切断線に沿った切断が、トランスデューサー200の隣接列の各組の間で為される。切断線412は、トレンチ300の長尺な区分300A−300Bの両方を横断する。ダイシング工程により、トランスデューサー200が、個別のトランスデューサー片/ダイに完全に分離される。
トレンチ300の平面視輪郭は、トランスデューサー200が個別片に分離されるや、トランスデューサー200の平面視、詳細には、基板210のエッジを部分的に規定する。基板210又はトランスデューサー200の丸み付けられた又はカーブした輪郭は、トランスデューサー200がある角度で持ち上げられなければならない超音波イメージング用途において有益である。この例示のシナリオが、図10を参照して以降に議論される。
図10は、トランスデューサーアセンブリーの一実施形態を示すイメージングコア415の一実施形態の単純化された概略的な断面図を図示する。特定用途向け集積回路(ASIC)の形態の関連の制御回路を有する基板に関してトランスデューサーを有する基板をある角度に位置付けることができる。トランスデューサーを有する基板が、以降、MEMS438と呼ばれ、ASICを有する基板が、以降、ASIC444と呼ばれる。
イメージングコア415は、そこに形成された(上述のトランスデューサー200の実施形態)トランスデューサー442を有するMEMS438と、MEMS438に電気的に結合したASIC444を含む。この実施形態においては、ASIC444及びMEMS438が、一緒にワイヤーボンドされ、トランスデューサーハウジング416に実装され、エポキシ448又は他の接着剤で定位置に固定され、ASIC/MEMSハイブリッドアセンブリー446を形成する。この実施形態においては、ケーブル434の導線がASIC444に半田付け若しくは他の方法で電気的に直接結合される。
ワイヤーボンディング法の一つの利益は、トランスデューサー442を支持するMEMS438が、ハウジング416及びイメージングコア415の長手軸に関して斜角で実装できることであり、トランスデューサー442により出射された超音波ビーム430が、イメージングコア415の中央長手軸に対する垂線に対して斜角で伝播する。この傾斜角度が、トランスデューサーとカテーテルシース412の間の空間で反響し得るシースエコーを減少することに役立ち、また各々が、2012年3月11に出願され、各々が、その全体において参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願No.61/646,080「イメージング及び血流速度測定のための装置及びシステム」(アトニー・ドケットNo.44755.817/01−0145−US)及び米国仮特許出願No.61/646,074「イメージング及び血流測定のための超音波カテーテル」(アトニー・ドケットNo.44755.961)、及び米国仮特許出願No.61/646,062「回転式血管内超音波(IVUS)装置のための回路アーキテクチャー及び電気インターフェイス」(アトニー・ドケットNo.44755.838)に開示のようにドップラーカラーフローイメージング(Doppler color flow imaging)も促進する。
従来のトランスデューサーについては、典型的には交差切断、例えば、平面視して直交する切断(つまり、水平切断及び垂直切断の両方)によりウェハーから分離される。結果としては、その上のトランスデューサーを有する分離片が実質的に正方形又は長方の形状又は輪郭を有する。そのような正方形又は長方形の輪郭は、図10に図示の実施形態で記述のように、トランスデューサーがある角度で持ち上げられなければならない時に問題を呈する。例えば、トランスデューサー片/ダイの鋭利な長方形又は正方形のエッジが、ある角度で持ち上げられることを阻止し、少なくとも十分な角度で持ち上げられない。換言すれば、従来のウェハー分離工程(交差切断を伴う)の結果としてのトランスデューサー片/ダイの長方形又正方形の輪郭が、トランスデューサーアセンブリー内での間隔問題(spacing issue)を生じさせ得る。
対照的に、本開示は、トランスデューサーの周りに丸み付けられた又はカーブしたトレンチを形成する。ウェハー分離が、上述のように、裏面ウェハー薄化工程を伴い、トランスデューサーがお互いに実質的に分離される。そして最終的に、同一方向の切断を伴うダイシング工程(つまり、交差切断が行われない)が実行され、トランスデューサー片/ダイをお互いに完全に分離する。結果としては、分離されたトランスデューサー片/ダイが、丸み付けられた又はカーブした部分を有する。この丸み付けられた又はカーブした部分により、トランスデューサー片/ダイが、間隔問題なく、ある角度で持ち上げられ、これは、図10に関して上述した実施形態を提案することを適するもの及び簡便にする。
図11は、本開示の様々な側面に係る、ウェハーから複数の小型超音波トランスデューサーを分離するための方法500のフローチャートである。方法は、ウェハーが受け取られるステップ510を含む。複数の小型超音波トランスデューサーがウェハー上に形成されている。小型超音波トランスデューサー各々が、圧電材料を含むトランスデューサー膜を含む。
方法500は、複数のトレンチがウェハーの表面からウェハー内にエッチングされるステップ520を含む。各トレンチが、平面視して小型超音波トランスデューサーの個別の一つを少なくとも部分的に取り囲む。各トレンチが、ほぼ丸み付けられた区分を含む。
方法500は、薄化工程が実行されるステップ530を含む。薄化工程が、表面の反対の裏面からウェハーを薄くすることを伴う。ステップ530は、トレンチが裏面に開口するように実行される。
方法500は、ダイシング工程がウェハーに実行されて小型超音波トランスデューサーをお互いに分離するステップ540を含む。ダイシング工程は、ウェハーに交差切断することなく実行される。
幾つかの実施形態においては、トレンチの丸み付けられた区分が、その個別の小型超音波トランスデューサーの少なくとも90度を取り囲む。
幾つかの実施形態においては、トレンチの丸み付けられた区分により取り囲まれた小型超音波トランスデューサーの部分が、トレンチの丸み付けられた区分の如く丸み付けられた平面視輪郭を有する。
幾つかの実施形態においては、トレンチは、ほぼU形状であり、平面視してトランスデューサーの反対側に配された2つの長尺区分を含む。
幾つかの実施形態においては、ダイシング工程が実行され、ウェハーにおける直線切断が、各トレンチについて長尺な区分の両方を通過する。
幾つかの実施形態においては、ダイシング工程が、ウェハーに複数の実質的に平行な切断を形成することを含む。
幾つかの実施形態においては、トランスデューサー膜が、断面視してアーチ状形状を有する。
幾つかの実施形態においては、各小型超音波トランスデューサーが、ウェハーの裏面からウェハーに形成されたウェルを有し、トランスデューサー膜がウェル上に配される。
幾つかの実施形態においては、圧電材料は、ポリフッ化ビニリデン−三フッ化エチレン(PVDF−TrFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、又はポリフッ化ビニリデン−テトラフッ化エチレン(PVDF−TFE)を含む。
本開示は、分離を実行する代替の実施形態も開示する。例えば、図2乃至9を参照して上述した実施形態が各トランスデューサーの周りに部分的にU形状(又は墓石形状)トレンチを形成し、裏面薄化及び次にダイシング工程が続くが、以降に記述の代替の実施形態が、各トランスデューサーの周りに破壊可能なタブを形成することを伴う(依然として、トレンチの形成及び裏面薄化を伴う)。タブが、各トランスデューサーを放出するように折られ得る。これらの代替の実施形態の詳細が、トランスデューサー周りのダイ領域の単純化された概略的な平面図である図12乃至17を参照して以降に議論される。一貫性及び明確性の理由から、図2乃至17の同様の構成要素が同一にラベル付けされる。
図12を参照すると、トレンチ300は、トランスデューサー200の周りに形成される。トレンチは、平面視してトランスデューサー200の周りを実質的に取り囲み又は周囲する(つまり、360度又はその付近)。図12に図示の実施形態におけるトレンチ300が「ピザパドル(pizza-paddle)」に似ているとも言える。もちろん、上述のU形状又は墓石形状のトレンチ形状も同様に適用可能である。裏面薄化工程が実行される時、薄化が、装置を分離し、ごく小さい部分が元のウェハー又は基板に取り付けられた状態になる。結果は、「破壊可能な」タブであり、これが、次に、折られてトランスデューサー200を解放する。幾つかの例示のタブが図12においてタブ600として図示されている。各タブ600がチップの内部に凹設され、例えば、約25μmで凹設される。図13に図示の実施形態においては、側部タブ600が、チップの側部境界内にある。
図13乃至17は、異なる実施形態に対応するタブ600の様々な場所と、トレンチ及び電極のレイアウトを図示する。しかしながら、特定の実施に拘わらず、タブ600が、裏面薄化工程が完了するやいなや簡単に破壊されるような態様にて設計及び構成されるものと理解される。一度、タブ600が破壊されると、トランスデューサー200が他のトランスデューサーから分離される。図14乃至17に図示の実施形態においては、側部タブが、チップの側部境界の外にあるものと理解される。
追加の製作工程が、トランスデューサーの製作を完了するために実行され得るものと理解される。しかしながら、これらの追加の製作工程は、簡潔さのために本明細書では議論されない。
当業者は、上述の機器、システム、及び方法が、様々な方法で修正できるものと理解する。従って、当業者は、本開示により指南される実施形態は、上述の特定の例示の実施形態に限定されないことを理解する。この点について、例示の実施形態が図示及び記述されたが、上述の開示において広範囲の修正、変更、及び代替が予期される。そのようなバリエーションが、本開示の範囲から逸脱することなく上述のものに為され得るものと理解される。従って、添付請求項が広義及び本開示に即した態様で解釈されることが適切である。