本明細書に実証されるとおり、CXCL13活性を阻害する因子(例えば、抗CXCL13抗体またはその結合フラグメント)は、細菌負荷を低減し、かつ胃感染動物モデル(すなわち、Helicobacter細菌で感染させたマウス(Nobutaniら、(2010)を参照のこと))において、粘膜組織の感染性因子に特異的な免疫グロブリンA(IgA)のレベルを増大し得る。また、抗CXCL13抗体の投与は、感染していないマウスの胃において、IgAレベルの増加に関与するTGF−βおよびIL−6の発現レベルを増大した。従って、CXCL13活性を阻害する因子はまた、一般に、IgA欠損被験体においてIgAレベルを増加させるのに有用である。
「免疫グロブリンA」または「IgA」という用語は、その重鎖中にアルファ(α)定常領域を有している免疫グロブリンを指す。「免疫グロブリンA」および「IgA」という用語は、単量体のIgA(すなわち、単一分子)および多量体のIgA(2つ以上の分子から構成される)を包含し、これには限定するものではないが、二量体のIgA(2分子からなる)および三量体のIgA(3つの分子から構成される)が挙げられる。IgA単量体は、多量体(例えば、二量体)として、それらの重鎖の定常領域でJ鎖によって一緒に連結される。IgAポリマー中のJ鎖の存在によって、IgA多量体は、上皮細胞によって生成されたタンパク質である分泌成分に結合することが可能になる。
「免疫グロブリンA」および「IgA」という用語は、IgA、IgA1およびIgA2の両方のサブクラスを指す。IgA1の軽鎖は、その重鎖に共有結合される。しかし、IgA2の軽鎖は、ジスルフィド結合を通じてお互いに、そして非共有結合的相互作用によってその重鎖に対して結合される。IgA1は血清中に顕著に存在し、ここではそのほとんどが単量体として存在する。分泌型のリンパ組織は、非分泌型のリンパ組織よりも多くのIgA2を産生する。
またIgAは、その存在場所に基づいて分類されてもよい。「免疫グロブリンA」および「IgA」という用語は、血清IgA(すなわち、血清に存在)および分泌型IgA(粘膜分泌物(例えば、涙、唾液、初乳、汗、ならびに泌尿生殖器管、消化管、前立腺および呼吸器上皮からの分泌物)に存在)の両方を指す。分泌型IgAは一般には、J鎖によって連結され、かつ分泌成分を含んでいる二量体または三量体として存在する。分泌型IgAの分泌成分は、免疫グロブリンが消化管環境に存在する酵素のようなタンパク質分解性の酵素で分解されることを妨げる。「分泌型免疫グロブリンA」および「分泌型IgA」という用語は、粘膜分泌物に存在するIgAを指す。従って、「分泌型IgA」および「分泌型免疫グロブリンA」という用語は、IgA多量体、単量体を連結するJ鎖、および分泌成分を指す場合がある。
ナイーブB細胞は最初、それらの表面上でIgMおよび/またはIgDを発現し、一旦活性化されれば、最初に産生される抗体は主にIgMアイソタイプである。これらの活性化されたB細胞が特定のシグナル伝達分子に遭遇する場合、B細胞は「クラススイッチ」を受けて、IgG、IgA、またはIgEレセプターを発現する細胞に分化し得る。クラススイッチの間、免疫グロブリン重鎖の定常領域は変化するが、可変領域は変化せず、従って、抗原特異性は同じままである。
多数の研究によって、トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)が、IgAクラススイッチを誘導し、かつインターロイキン−6(IL−6)がIgA合成を刺激することが示されている(Sonodaら、(1989)J Exp Med 170:1415−1420;Beagleyら、(1989)J Exp Med 169:2133−2148(各々のその全体が参照によって本明細書に援用される))。いかなる理論にも作用機序にも束縛されるものではないが、CXCL13活性を阻害する因子は、TGF−βおよびIL−6のレベルを増大することによってIgAのレベルを増大する。
本明細書に実証されるとおり、CXCL13活性の阻害は、TGF−βおよびIL−6の発現レベル、ならびにIgAのレベルの増大をもたらし、したがってIgAを欠乏している被験体においてIgAレベルを増大するために有用である。本明細書において用いる場合、「IgA欠損症」とは、コントロール被験体と比較した場合、免疫グロブリンAのレベルの低下を指す。IgA欠損症がある被験体は、適切なコントロール被験体と比較した場合、血清IgAのレベル、分泌型IgAのレベル、またはその両方が低下していることがあり得る。その被験体は、全ての分泌物および全ての粘膜表面で分泌型IgAのレベルが低下していてもよく、または1種以上の粘膜表面および/もしくは分泌物においてのみ分泌型IgAのレベルが低下していてもよい。いくつかの実施形態では、IgA欠損症を有する被験体では、適切なコントロールと比較して、胃のIgAのレベルが低下している。
いくつかの実施形態では、IgA欠損症を有している被験体のIgA(血清、分泌または全IgA)は、コントロール被験体の約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%、約50%、約45%、約40%、約35%、約30%、約25%、約20%、約15%、約10%、またはそれ未満である。
当業者は、IgA欠損症を有すると考えられる被験体と比べて適切なコントロール被験体を選択する方法を理解している。適切なコントロール被験体の非限定的な例としては、健常な個体である被験体、活動性の感染(例えば、粘膜感染)もしくは炎症性障害を有さないか、または有していないと考えられる個体、およびIgA欠損症の遺伝的素因または家族歴を有さない被験体が挙げられる。
被験体が血清IgA欠損症を有するこれらの実施形態では、血清IgAレベルは、約0.1g/L未満、約0.09g/L未満、約0.08g/L未満、約0.07g/L未満、約0.06g/L未満、約0.05g/L未満、約0.04g/L未満、約0.03g/L未満、約0.02g/L未満、約0.01g/L未満、またはそれ未満である。
「IgA欠損症」という用語は、コントロール被験体と比べて、IgAのレベルが低下している全ての個体を包含するが、IgA欠損症を有している多くの個体は、その他の点では、正常なレベルのIgMおよびIgGを有する。
IgA欠損症は、原発性(遺伝性)である場合もあるし、または二次性(後天性)である場合もある。原発性のIgA欠損症は、ほとんどの型の選択性IgA欠損のように、遺伝的に決定され、かつ主に先天性である。選択性IgA欠損症は、免疫不全に関するパンアメリカングループ(Pan−American Group for Immunodeficiency)および欧州免疫不全学会(European Society for Immunodeficiencies)によって、4歳以上の個体であってIgMおよびIgGのレベルは正常で、血清IgAレベルが0.07g/L未満と定義された(Notarangeloら、(2009)J Allergy Clin Immunol 124:1161−1178(これはその全体が参照によって本明細書に援用される))。
特定の感染または免疫系を抑制する特定の種類の薬物もしくは他の因子、一般的には一過性である二次的なIgA欠損症を生じ得る。例えば、免疫抑制剤、D−ペニシラミン、スルファサラジン、オーロチオグルコース、フェンクロフェナク、金、カプトプリル、ゾニサミド、フェニトイン、バルプロ酸、チロキシン、クロロキン、カラバマゼピン、ヒダントイン、レバミゾール、イブプロフェン、サリチル酸、ベンゼンおよびサイクロスポリンAが、一過性のIgA欠損症を引き起こす可能性があり、これはこの薬物のクリアランスによって解消する。二次性のIgA欠損症を生じ得る感染の非限定的な例としては、風疹、サイトメガロウイルス、Toxoplasma gondii、およびエプスタイン・バーウイルスが挙げられる。
いくつかの実施形態では、この被験体は、粘膜感染に二次性のIgA欠損症を有する。これらの実施形態のうちいくつかでは、粘膜感染は細菌感染である。特定の実施形態では、二次性の欠損症を生じる細菌感染は、Heliobacter感染、例えば、H.pylori、H.heilmannii、またはH.suisである。
今回開示される方法のいくつかの実施形態では、IgAが欠損している被験体に対するCXCL13活性を阻害する因子の投与は、全IgA(血清および分泌型)の増大を生じる。他の実施形態では、CXCL13阻害剤の投与は、分泌型IgAの増大を生じる。特定の実施形態では、CXCL13阻害性因子を投与された被験体では、IgAの胃でのレベルが増大する。被験体が感染性因子による攻撃を受けているこれらの実施形態では、CXCL13阻害性因子の投与によって、感染性因子に特異的なIgAのレベルを増大することができ、これによりいくつかの実施形態では、この感染性因子のクリアランスの増大がもたらされ得る。
特定の実施形態では、CXCL13活性を阻害する因子の投与は、被験体において、血清、分泌型、または全IgAのレベルを約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、またはそれを超えて増大する。
CXCL13活性のインヒビターが、IgAレベルを増大し得るならば、CXCL13活性を阻害する因子を、IgAが欠損している被験体において炎症性障害を治療するのに用いることができる。炎症性疾患は、炎症および組織破壊、またはそれらの組み合わせによって特徴づけられる。「抗炎症性活性」とは、炎症の低減または予防を意図する。「炎症性疾患」または「炎症性障害」としては、開始事象または免疫応答の標的が例えば同種抗原、異種抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、自己抗原、未知抗原またはアレルゲンを含む非自己抗原が関与する任意の炎症性免疫媒介性プロセスが挙げられる。いくつかの実施形態では、炎症性障害は感染性疾患である。いくつかの実施形態では、炎症性障害は、粘膜感染(例えば、細菌、ウイルス)に関連するか、および/または粘膜感染によって生じる。いくつかの実施形態では、炎症性疾患は、細菌感染、例えば、E.coliまたはHelicobacterの感染、例えば、H.pylori、H.heilmannii、H.acinonychis、H.anseris、H.aurati、H.baculiformis、H.bilis、H.bizzozeronii、H.brantae、H.candadensis、H.canis、H.cholecystus、H.cinaedi、H.cynogastricus、H.equorum、H.felis、H.fenelliae、H.ganmani、H.hepaticus、H.mesocricetorum、H.marmotae、H.muridarum、H.mustelae、H.pametensis、H.pullorum、H.rappini、H.rodentium、H.salomonis、H.suis、H.trogontum、H.typhlonius、およびH.winghamensisの感染に関連するか、および/またはそれらによって生じる。特定の実施形態では、Helicobacter感染は、H.pylori、H.heilmannii、またはH.suisの感染である。
さらなる実施形態では、ヘリコバクター(Helicobacter)関連炎症性疾患は、MALTリンパ腫(例えば、胃MALTリンパ腫)、胃癌(例えば食道または胃の癌)、胃もしくは十二指腸の潰瘍、胃炎(胃の内壁の炎症)、または胃病変である(例えばChenら、J Clin Pathol 55(2):133〜7頁(2002);Gentaら、Hum Pathol 24(6):577〜83頁(1993);Okiyamaら、Pathol Int55(7):398〜404頁(2005)を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、CXCL13活性を阻害する因子の投与は、被験体における感染性因子(例えば、細菌)の負荷の低減を生じる。これらの実施形態のいくつかでは、抗CXCL13因子の投与は、粘膜における感染性因子(例えば、細菌)の負荷を低減し、かつこれらの実施形態のいくつかでは、少なくとも1つの粘膜分泌物における感染性因子(例えば、細菌)のレベルが減少する。これらの実施形態のいくつかでは、感染を有する被験体に対する抗CXCL13因子の投与は、被験体において感染性因子(例えば、細菌)のレベルを、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれより多く低下させる。
CXCL13阻害性因子がIgA欠損症を有している被験体に投与されるこれらの実施形態のいくつかでは、CXCL13阻害性因子は、このような被験体の粘膜組織におけるIgA抗体応答を増大する。これらの実施形態では、抗原特異的IgA(例えば、感染性因子を特異的に認識するIgA)レベルのレベルは増大し、いくつかの実施形態では、感染性因子のさらに効果的なクリアランスを生じる。「炎症性障害」または「炎症性疾患」という用語は、限定するものではないが、アレルゲンに対するアレルギー反応を包含する。アレルギー反応は、免疫グロブリンE(IgE)によって媒介される。IgAは、アレルゲン物質に結合することができ、それによってアレルゲンがIgEに結合したり、遅延型過敏症を引き起こすT細胞を活性化したりすることを妨げる。従って、CXCL13活性を阻害することによりIgAレベルを増大する因子の投与は、限定するものではないが、特定の食品、薬物、昆虫穿刺、花粉、ラテックスおよび植物毒素を含む種々のアレルゲンに対して応答したアレルギー反応(限定するものではないが、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、接触性皮膚炎、皮膚炎、じんま疹、呼吸困難、嘔吐、膨満、および下痢を含む)を治療または予防するために用いられ得る。
さらに、本発明の目的のためには、「炎症性疾患」という用語は、限定するものではないが、本明細書においては「自己免疫障害」とも呼ばれる「自己免疫疾患」を包含する。本明細書において用いる場合、「自己免疫」という用語は、「自己」抗原に関わる炎症性免疫媒介プロセスを包含すると一般的に理解される。自己免疫疾患において、自己抗原は、宿主免疫応答を引き起こす。
いくつかの実施形態では、この炎症性疾患は、感染性因子のクリアランスを妨げたり、限定するものではないが、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、グレーブス病、1型糖尿病、重症筋無力症、シェーグレン症候群、多発性硬化症、またはセリアック病を含む自己免疫疾患を誘発したりする、遺伝的に決定された選択的IgA欠損症の結果である(Wangら、(2011)Mol Med 17(11−12):1383−1396(これはその全体が参照によって本明細書に援用される))。いくつかの実施形態では、この炎症性疾患は、B細胞媒介性の炎症性疾患である。本明細書において用いる場合、「B細胞媒介性の炎症性疾患」という用語は、本明細書に記載するように、疾患の病因、進行、または病因と進行の両方が主にB細胞の活性に依存する炎症性疾患である。B細胞媒介性の炎症性疾患の非限定的な例としては、自己抗体の産生によって特徴づけられる疾患が挙げられる。
「B細胞」は、骨髄内で成熟するリンパ球であって、これにはナイーブB細胞、記憶B細胞、またはエフェクターB細胞(形質細胞)が挙げられる。B細胞とは本明細書においては、正常なB細胞であっても、または非悪性のB細胞であってもよい。
「B細胞表面マーカー」または「B細胞表面抗原」とは、本明細書において、B細胞の表面上で発現される抗原であって、それに対して結合するアンタゴニストの標的となり得る抗原である。例示的なB細胞表面マーカーとしては、例えば、CD10、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD37、CD40、CD53、CD72、CD73、CD74、CDw75、CDw76、CD77、CDw78、CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CDw84、CD85およびCD86ならびにCXCR5が挙げられる。特に目的となるB細胞表面マーカーは、哺乳動物の他の非B細胞組織と比較してB細胞上で優先的に発現され、前駆B細胞および成熟B細胞の両方で発現される場合がある。本明細書において好ましいB細胞表面マーカーは、CD19およびCXCR5である。本発明の目的に関して、「炎症性疾患」という用語は、限定するものではないが、「自己免疫疾患」を包含する。
今回開示される方法によれば、CXCL13活性を阻害する因子は、IgA欠損症を有している被験体に投与される。特定の実施形態では、ある因子が、炎症性障害の治療のためにそれを必要とする被験体に投与される。
いくつかの実施形態では、治療としては、CXCL13活性を阻害する因子(例えば、抗CXCL13または抗CXCR5結合分子)の被験体に対する適用もしくは投与、または被験体から単離された組織もしくは細胞株に対するこの因子の適用もしくは投与が挙げられる(ここでこの被験体は、炎症性障害、炎症性障害の症状、または炎症性障害になり易い素因を有する)。別の実施形態では、治療とはまた、CXCL13活性を阻害する因子(例えば、抗CXCL13または抗CXCR5結合分子)を含む薬学的組成物の被験体に対する適用もしくは投与、または被験体から単離された組織もしくは細胞株に対するこの因子を含む薬学的組成物の適用もしくは投与を包含するものとする(この被験体は、炎症性障害、炎症性障害の症状、または炎症性障害になり易い素因を有する)。
本発明の方法によれば、CXCL13活性を阻害する少なくとも1つの因子(例えば、抗CXCL13または抗CXCR5結合分子)を用いて、IgA欠損症および/または炎症性障害の治療または予防に対する正の治療応答を促進する。炎症性疾患に関する「正の治療応答」とは、この投与された因子の抗炎症活性、抗血管新生活性、抗アポトーシス活性などに関連する疾患の改善および/またはこの疾患に関連する症状の改善を意図する。すなわち、抗増殖効果、CXCL13発現細胞のさらなる増殖の防止、限定するものではないが、炎症性サイトカイン、接着分子、プロテアーゼ、免疫グロブリン(例えばCXCL13保有細胞がB細胞である場合)、それらの組み合わせなどの分泌の低下を含む炎症性応答の低減、抗炎症性タンパク質の生成の増大、自己反応性細胞数の低下、免疫寛容の増大、自己反応性細胞生存の阻害、アポトーシスの低下、内皮細胞移動の低下、自発的単球遊走の増大、異所性リンパ濾胞の数の減少、罹患組織に存在するB細胞数の減少、罹患組織へのB細胞の遊走の減少、CXCL13発現細胞の刺激によって媒介される1つ以上の症状の低下および/または減少が観察できる。感染性疾患に関する「正の治療応答」とは、感染性因子、例えば、細菌のクリアランス、および感染に関連する疾患症状の改善を意図する。
このような正の治療応答は、投与経路に限定されず、ドナー、ドナー組織(例えば臓器灌流)、ホスト、それらの任意の組み合わせなどへの投与を包含し得る。臨床応答は、磁気共鳴イメージング(MRI)スキャン、X線撮影イメージング、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、フローサイトメトリーまたは蛍光標示式細胞分取(FACS)分析、組織学的検査、肉眼所見、および限定するものではないが、ELISA、RIA、クロマトグラフィーなどにより検出可能な変化を含む血液化学のようなスクリーニング技術を用いて評価できる。これらの正の治療応答に加えて、CXCL13活性を阻害する因子(例えば、抗CXCL13または抗CXCR5結合分子)を用いる治療を受けている被験体では、炎症性障害に関連する症状が改善する有益な効果がみられることがある。
本明細書において用いる場合、「治療する」または「治療」という用語は、治療的処置および予防的または予防的措置の両方のことを指し、ここで、この目的は、炎症性障害の進行のような望ましくない生理的変化または障害を妨げるかまたは遅くする(少なくする)か、増悪を低減するか、再発を防止することである。有益なまたは所望の臨床的結果としては、限定するものではないが、検出可能であろうと、または検出不能であろうと、症状の軽減、疾患の程度の軽減、疾患の状態の安定化(すなわち悪化しない)、疾患進行の遅延または減速、疾患状態の改善もしくは一次的緩和、および(部分または完全)寛解が挙げられる。また「治療」とは、治療を受けない場合に予期される生存と比較して延長された生存も意味し得る。治療を必要とするものとしては、その病態または障害を既に有するもの、およびその病態もしくは障害を有する傾向にあるもの、またはその病態もしくは障害が予防されるべきものが挙げられる。
「被験体」または「個体」または「動物」または「患者」または「哺乳動物」とは、それについての診断、予後または治療が所望される任意の被験体、特に哺乳動物被験体を意味する。哺乳動物被験体としては、ヒト、家畜、畜産動物ならびに動物園、スポーツまたはペットの動物、例えばイヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシなどが挙げられる。
本明細書において用いる場合、「CXCL13活性を阻害する因子の投与により利益を受け得る被験体」および「治療を必要とする動物」のような句は、治療、すなわち、炎症性障害の緩和または予防のためにCXCL13活性を阻害する因子(例えば、抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体)の投与から利益を受け得る哺乳動物被験体のような被験体を包含する。本明細書でより詳細に記載するように、抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体は、非コンジュゲート形態で用いられてもよいし、または例えば薬物、プロドラッグもしくは同位体にコンジュゲートされてもよい。
ここで開示される方法は、CXCL13活性を阻害する因子を利用する。CXCL13(他には恒常性B細胞誘引性ケモカイン1(BCA−1)またはANGIE、BLC、BLR1L、ANGIE2もしくはScyb13として公知である)は、二次リンパ器官(例えば脾臓、リンパ節およびパイエル板)において濾胞樹状細胞(FDC)およびマクロファージにより構成的に発現される。Gunnら、Nature391:799〜803頁(1998)およびCarlsenら、Blood 104(10):3021〜3027頁(2004)を参照のこと。CXCL13は、主に、Gタンパク質共役型CXCR5レセプター(バーキットリンパ腫レセプター1)を介して作用する。CXCR5は、例えば成熟Bリンパ球、CD4+濾胞ヘルパーT細胞(Thf細胞)、CD8+T細胞のわずかなサブセットおよび活性化扁桃腺Treg細胞上で発現される。Leglerら、J.Exp.Med.187:655〜660頁(1998);Foersterら、Blood 84:830〜840頁(1994);Fazilleauら、Immunity 30:324〜335頁(2009);Anselら、J.Exp.Med.190:1123〜1134頁(1999);Limら、J.Clin.Invest.114(11):1640〜1649頁(2004);およびR.Foerster、Chapter in Academic Press Cytokine Reference、2000年8月を参照のこと。
本明細書において用いる場合、「CXCL13」および「CXCL13ポリペプチド」という用語は、相互に交換可能なものとして用いられる。特定の実施形態では、CXCL13とは、完全サイズのCXCL13もしくはそのフラグメント、またはCXCL13改変体ポリペプチドを包含していてもよく、ここで、CXCL13のフラグメントまたはCXCL13改変体ポリペプチドは、完全サイズのCXCL13のいくらかまたは全ての機能的特性を保持する。ヒトCXCL13ポリペプチドおよびポリヌクレオチド配列(それぞれ配列番号1および2)は記載されており、例えばLeglerら、J.Exp.Med.187(4):655〜660頁(1998)を参照のこと。マウスCXCL13ポリペプチドおよびポリヌクレオチド配列(それぞれ配列番号3および4)は記載されており、例えばGunnら、Nature391(6669):799〜803頁(1998)を参照のこと。さらに、カニクイザルCXCL13ポリペプチド配列は、配列番号5に示すように、記載されている。
本明細書において用いる場合、「CXCR5」および「CXCR5ポリペプチド」という用語は、相互に交換可能なものとして用いられる。特定の実施形態では、CXCR5とは、完全サイズのCXCR5もしくはそのフラグメント、またはCXCR5改変体ポリペプチドを包含していてもよく、ここで、CXCR5のフラグメントまたはCXCR5改変体ポリペプチドは、完全サイズのCXCR5のいくらかまたは全ての機能的特性を保持する。「CXCR5」および「CXCR5ポリペプチド」という用語は、可溶型のCXCR5も包含する。本明細書において用いる場合、「可溶型のCXCR5」という用語は、細胞膜と結合していない形態のCXCR5である。全長CXCR5は、7回膜貫通型レセプターである。したがって、可溶型のCXCR5の非限定的な例としては、細胞外ドメイン(例えば最初の約60個のアミノ酸)から本質的になるCXCR5のフラグメントが挙げられる。ヒトCXCR5ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、当技術分野において公知であり、本明細書においてそれぞれ配列番号6および7として示される。マウスCXCR5ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの配列は、当技術分野において公知であり、本明細書においてそれぞれ配列番号8および9として示される。
CXCL13活性の阻害のために有用な因子としては、低分子、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドが挙げられる。特定の実施形態では、この因子は、CXCL13がそのレセプターに結合することをブロックする。いくつかの実施形態では、この因子は、CXCL13とCXCR5との間の相互作用をブロックする。特別な実施形態では、この因子は、CXCL13またはCXCR5に対して特異的に結合する特異的結合分子である。これらの実施形態のいくつかでは、この因子は、抗CXCL13抗体もしくは抗CXCR5抗体、またはそれらの抗原結合フラグメントである。他の実施形態では、この因子は、可溶型のCXCR5である。
本明細書において用いる場合、用語「ポリペプチド」とは、単数の「ポリペプチド」および複数の「ポリペプチド」を包含することを意図しており、アミド結合(ペプチド結合としても公知である)により直鎖状に連結された単量体(アミノ酸)で構成される分子のことをいう。「ポリペプチド」という用語は、アミノ酸2個以上の任意の鎖のことを指し、特定の長さの生成物のことを指すのではない。したがって、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」またはアミノ酸2個以上の鎖のことを指すために用いられる任意の他の用語は、「ポリペプチド」の定義の中に含まれ、「ポリペプチド」という用語は、任意のこれらの用語の代わりに用いてもよいし、または交換可能に用いてもよい。また「ポリペプチド」という用語は、限定はしないがグリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解切断、または非天然アミノ酸による修飾を含むポリペプチドの発現後修飾の生成物のことを指すことも意図する。ポリペプチドは、自然の生物学的起源に由来してもよいし、または組み換え技術により生成されてもよいが、指定する核酸配列から翻訳される必要はない。これは、化学合成を含む任意の方法で作製されてもよい。
今回開示される方法で有用なポリペプチドは、約3以上、5以上、10以上、20以上、25以上、50以上、75以上、100以上、200以上、500以上、1,000以上または2,000以上のアミノ酸のサイズのものであってもよい。ポリペプチドは、規定された3次元構造を有してよいが、必ずしもそのような構造を有する必要はない。規定された3次元構造を有するポリペプチドは、折り畳まれたと言われ、規定された3次元構造を有さないがむしろ多数の異なる高次構造を採用できるポリペプチドは、折り畳まれていないと言われる。本明細書において用いる場合、糖タンパク質という用語は、少なくとも1つの炭水化物部分(これは、タンパク質に、アミノ酸残基、例えばセリン残基またはアスパラギン残基の酸素含有または窒素含有側鎖を介して結合される)に結合したタンパク質のことを指す。
「単離された」ポリペプチドまたはそのフラグメント、改変体もしくは誘導体とは、その自然環境にないポリペプチドを意図する。特別なレベルの精製は必要とされない。例えば、単離ポリペプチドは、その天然または自然の環境から取り出すことができる。宿主細胞中で発現された組換え生成ポリペプチドおよびタンパク質は、任意の適切な技術により分離、分画、または部分的もしくは実質的に精製された天然または組換えポリペプチドと同様に、本発明の目的のために単離されたとみなされる。
今回開示される方法において有用なポリペプチドとして、ポリペプチドのフラグメント、誘導体、類似体または改変体、およびそれらの任意の組み合わせも含まれる。「フラグメント」、「改変体」、「誘導体」および「類似体」という用語は、抗CXCL13抗体もしくは抗CXCR5抗体または抗体ポリペプチドのことを指す場合、対応する抗体または抗体ポリペプチドの少なくともいくらかの抗原結合特性を保持する任意のポリペプチドを包含する。ポリペプチドのフラグメントとしては、タンパク質分解フラグメントおよび欠失フラグメントが、本明細書の他のいずれか箇所で考察する特異的抗体フラグメントに加えて挙げられる。抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体の改変体は、上記のフラグメント、またアミノ酸置換、欠失または挿入に起因するアミノ酸配列の改変を有するポリペプチドを含む。改変体は、天然に存在するものであっても、または天然に存在しないものであってよい。天然に存在しない改変体は、当技術分野において公知の突然変異誘発技術を用いて生成できる。改変体ポリペプチドは、保存的もしくは非保存的なアミノ酸置換、欠失または付加を含んでもよい。また改変体ポリペプチドは、本明細書において「ポリペプチド類似体」と呼ばれることもある。本明細書において用いる場合、抗CXCL13抗体もしくは抗CXCR5抗体または抗体ポリペプチドの「誘導体」とは、官能性側基の反応により化学的に誘導体化した1つ以上の残基を有する本発明のポリペプチドのことをいう。「誘導体」としては、20の標準アミノ酸の1つ以上の天然に存在するアミノ酸誘導体を含有するペプチドも含まれる。例えば、4−ヒドロキシプロリンが、プロリンを置換してもよく;5−ヒドロキシリシンが、リシンを置換してもよく;3−メチルヒスチジンが、ヒスチジンを置換してもよく;ホモセリンが、セリンを置換してもよく;オルニチンが、リシンを置換してもよい。抗CXCL13抗体および抗CXCR5抗体、ならびに抗体ポリペプチドの誘導体は、参照抗体または抗体ポリペプチドにおいて見られないさらなる特徴を示すように改変されたポリペプチドを含んでもよい。
ポリペプチドに関して「直鎖状配列」または「配列」とは、アミノからカルボキシル末端方向でのポリペプチド中のアミノ酸の順序であり、ここで、配列中で互いに隣にある残基は、ポリペプチドの1次構造において連続的である。
「ポリヌクレオチド」という用語は、単数の核酸および複数の核酸を包含することを意図し、単離核酸分子または構築物、例えばメッセンジャーRNA(mRNA)またはプラスミドDNA(pDNA)のことを指す。ポリヌクレオチドは、通常のホスホジエステル結合または通常でない結合(例えばペプチド核酸(PNA)において見られるようなアミド結合)を含んでもよい。「核酸」という用語は、ポリヌクレオチド中に存在する任意の1つ以上の核酸セグメント、例えばDNAまたはRNAフラグメントのことをいう。「単離」核酸またはポリヌクレオチドとは、その天然の環境から取り出された核酸分子、DNAまたはRNAを意図する。例えば、ベクターに含まれる、抗CXCL13または抗CXCR5結合分子、例えば抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする組換えポリヌクレオチドは、本発明の目的のために単離されたとみなされる。単離ポリヌクレオチドのさらなる例としては、異種宿主細胞において維持される組換えポリヌクレオチドまたは溶液中の(部分的または実質的に)精製されたポリヌクレオチドが挙げられる。単離RNA分子は、本発明のポリヌクレオチドのインビボまたはインビトロでのRNA転写産物を含む。本発明による単離ポリヌクレオチドまたは核酸は、合成的に生成されたこのような分子をさらに含む。さらに、ポリヌクレオチドまたは核酸は、プロモーター、リボソーム結合部位または転写ターミネーターのような調節エレメントであってもよいし、またはそれらを含んでもよい。
本明細書において用いる場合、「コード領域」とは、アミノ酸に翻訳されるコドンからなる核酸の一部である。「終止コドン」(TAG、TGAまたはTAA)はアミノ酸に翻訳されないが、これは、コード領域の一部とみなしてもよく、ただし、任意の隣接する配列、例えばプロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロンなどは、コード領域の一部ではない。今回開示される方法で有用な2つ以上のコード領域が、単一のポリヌクレオチド構築物、例えば単一のベクター上または別々のポリヌクレオチド構築物、例えば別々の(異なる)ベクター上に存在してもよい。さらに、ベクターはいずれも単一のコード領域を含んでもよいし、または2つ以上のコード領域を含んでよく、例えば単一のベクターが、免疫グロブリン重鎖可変領域および免疫グロブリン軽鎖可変領域を別々にコードしてよい。さらに、今回開示される方法において有用なベクター、ポリヌクレオチドまたは核酸は、抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体またはそのフラグメント、改変体もしくは誘導体をコードする核酸と融合しているかまたは融合していない異種コード領域をコードしてもよい。異種コード領域は、限定されないが、分泌シグナルペプチドまたは異種機能性ドメインのような特殊なエレメントまたはモチーフを含む。
特定の実施形態では、今回開示される方法において有用なポリヌクレオチドまたは核酸は、DNAである。DNAの場合、ポリペプチドをコードする核酸を含むポリヌクレオチドは、通常、1つ以上のコード領域に作動可能に連結したプロモーターおよび/またはその他の転写もしくは翻訳制御エレメントを含んでもよい。作動可能な連結とは、遺伝子生成物、例えばポリペプチドのコード領域が、遺伝子生成物の発現を調節配列の影響または制御の下におくような様式で1つ以上の調節配列と連結する場合である。2つのDNAフラグメント(例えばポリペプチドコード領域とそれと連結するプロモーター)は、プロモーター機能の誘導が所望の遺伝子生成物をコードするmRNAの転写をもたらし、2つのDNAフラグメント間の結合の性質が遺伝子生成物の発現を誘導する発現調節配列の能力に干渉しないか、転写されるDNAテンプレートの能力にも干渉しないならば、「作動可能に連結」している。したがって、プロモーター領域は、そのプロモーターが核酸の転写を可能にできるならば、ポリペプチドをコードする核酸と作動可能に連結されている。プロモーターは、所定の細胞においてのみDNAの実質的な転写を誘導する細胞特異的プロモーターであってもよい。プロモーター以外の他の転写制御エレメント、例えばエンハンサー、オペレーター、リプレッサーおよび転写終結シグナルは、ポリヌクレオチドに作動可能に連結して、細胞特異的転写を誘導できる。適切なプロモーターおよび他の転写制御領域は、本明細書に開示されている。
様々な転写制御領域が当業者に公知である。これらとしては、限定はしないが、脊椎動物細胞において機能する転写制御領域、例えば限定するものではないが、サイトメガロウイルス(イントロンAを連結した最初期プロモーター)、サルウイルス40(初期プロモーター)、およびレトロウイルス(例えばラウス肉腫ウイルス)由来のプロモーターおよびエンハンサーのセグメントが挙げられる。他の転写制御領域としては、脊椎動物遺伝子に由来するもの、例えばアクチン、熱ショックタンパク質、ウシ成長ホルモンおよびウサギβグロビン、ならびに真核細胞における遺伝子発現を制御できる他の配列が挙げられる。さらなる適切な転写制御領域としては、組織特異的プロモーターおよびエンハンサー、ならびにリンホカイン誘導性プロモーター(例えばインターフェロンまたはインターロイキンにより誘導できるプロモーター)が挙げられる。
同様に、様々な翻訳制御エレメントが当業者に公知である。これらとしては、限定するものではないが、リボソーム結合部位、翻訳開始および終止コドン、ならびにピコルナウイルスに由来するエレメント(特に配列内リボソーム進入部位またはIRES、CITE配列ともよばれる)が挙げられる。
他の実施形態では、今回開示される方法で有用なポリヌクレオチドは、例えばメッセンジャーRNA(mRNA)の形態のRNAである。
今回開示される方法において有用なポリヌクレオチドおよび核酸コード領域は、本発明のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの分泌を誘導する分泌ペプチドまたはシグナルペプチドをコードするさらなるコード領域と連結されてもよい。シグナル仮説によると、哺乳動物細胞により分泌されるタンパク質は、伸長するタンパク質鎖が粗面小胞体を横切って一旦輸送され始めると、成熟タンパク質から切断されるシグナルペプチドまたは分泌リーダー配列を有する。当業者は、脊椎動物細胞により分泌されるポリペプチドが、通常、ポリペプチドのN末端に融合したシグナルペプチドを有しており、これは、完全または「全長」ポリペプチドから切断されて分泌型または「成熟」型のポリペプチドを生成することを理解している。特定の実施形態では、天然シグナルペプチド、例えば免疫グロブリン重鎖もしくは軽鎖シグナルペプチド、または作動可能に連結されているポリペプチドの分泌を誘導する能力を保持するその配列の機能的誘導体を用いる。代わりに、異種哺乳動物シグナルペプチドまたはその機能的誘導体を用いてもよい。例えば、野生型リーダー配列は、ヒト組織プラスミノゲン活性化因子(TPA)またはマウスβ−グルクロニダーゼのリーダー配列で置換されてもよい。
「発現」という用語は、本明細書において用いる場合、ある遺伝子が生化学的物質、例えばポリペプチドを生成するプロセスのことをいう。このプロセスは、限定するものではないが、遺伝子ノックダウンならびに一過性発現および安定的発現の両方を含む、細胞内での遺伝子の機能的存在の任意の顕在化を含む。これは、限定するものではないが、メッセンジャーRNA(mRNA)への遺伝子の転写、およびポリペプチドへのそのようなmRNAの翻訳を含む。所望の最終生成物が生化学的物質であるならば、発現とは、その生化学的物質および任意の前駆体の生成を含む。遺伝子の発現は「遺伝子生成物」を生成する。本明細書において用いる場合、遺伝子生成物は、核酸、例えば、ある遺伝子の転写により生成されるメッセンジャーRNA、またはある転写産物から翻訳されるポリペプチドのいずれであってもよい。本明細書で記載する遺伝子生成物としては、転写後修飾、例えばポリアデニル化された核酸、または翻訳後修飾、例えばメチル化、グリコシル化、脂質付加、他のタンパク質サブユニットとの会合、タンパク質分解切断などを受けたポリペプチドがさらに挙げられる。
「結合分子」または「抗原結合分子」とは、その広い意味において、抗原決定基に特異的に結合する分子のことを指す。一実施形態では、結合分子は、CXCL13(BCA−1ともよばれる)に特異的に結合する。別の実施形態では、この結合分子は、CXCR5に特異的に結合する。別の実施形態では、今回開示される方法において有用な結合分子は、抗体またはその抗原結合フラグメント、例えば抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体である。別の実施形態では、結合分子は、抗体分子の少なくとも1つの重鎖または軽鎖CDRを含む。別の実施形態では、結合分子は、1つ以上の抗体分子からの少なくとも2つのCDRを含む。別の実施形態では、結合分子は、1つ以上の抗体分子からの少なくとも3つのCDRを含む。別の実施形態では、結合分子は、1つ以上の抗体分子からの少なくとも4つのCDRを含む。別の実施形態では、結合分子は、1つ以上の抗体分子からの少なくとも5つのCDRを含む。別の実施形態では、結合分子は、1つ以上の抗体分子からの少なくとも6つのCDRを含む。特定の実施形態では、1つ以上のCDRは、MAb5261、MAb5378、MAb5080、MAb1476、または3D2由来である。
いくつかの実施形態では、今回開示される方法は、特定の抗CXCL13抗体もしくは抗CXCR5抗体、またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体を包含する。天然に存在する抗体のような完全サイズ抗体と特に言及しない限り、「抗CXCL13抗体」および「抗CXCR5抗体」という用語は、完全サイズ抗体およびそのような抗体、例えば天然に存在する抗体もしくは免疫グロブリン分子の抗原結合フラグメント、改変体、類似体または誘導体、あるいは抗体分子と同様の様式で抗原に結合する改変抗体分子またはフラグメントを包含する。
本明細書において用いる場合、「ヒト」または「完全ヒト」抗体としては、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体が挙げられ、ヒト免疫グロブリンライブラリーから単離された抗体、または1つ以上のヒト免疫グロブリンを導入した、内因性免疫グロブリンを発現しない動物から単離された抗体(以下に、そして例えばKucherlapatiらによる米国特許第5,939,598号に記載されるような抗体)が挙げられる。「ヒト」または「完全ヒト」抗体としては、少なくとも重鎖の可変ドメインまたは少なくとも重鎖および軽鎖の可変ドメインを含む抗体も挙げられ、ここで、該可変ドメインは、ヒト免疫グロブリン可変ドメインのアミノ酸配列を有する。
「ヒト」または「完全ヒト」抗体とは、公知の抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体分子(例えばVH領域および/またはVL領域)の(誘導体を含む)改変体(この抗体またはそのフラグメントは、CXCL13またはCXCR5ポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは改変体に免疫特異的に結合する)を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる上記の「ヒト」または「完全ヒト」抗体も包含する。限定するものではないが、アミノ酸置換をもたらす部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介突然変異誘発を含む、当業者に公知の標準的な技術を用いて、ヒト抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体をコードするヌクレオチド配列に変異を導入してもよい。好ましくは、(誘導体を含む)改変体は、参照のVH領域、VHCDR1、VHCDR2、VHCDR3、VL領域、VLCDR1、VLCDR2またはVLCDR3に対して50未満のアミノ酸置換、40未満のアミノ酸置換、30未満のアミノ酸置換、25未満のアミノ酸置換、20未満のアミノ酸置換、15未満のアミノ酸置換、10未満のアミノ酸置換、5未満のアミノ酸置換、4未満のアミノ酸置換、3未満のアミノ酸置換または2未満のアミノ酸置換をコードする。
特定の実施形態では、アミノ酸置換は、以下にさらに考察される保存的アミノ酸置換である。代わりに、例えば飽和突然変異誘発によりコード配列の全体または一部にわたって無作為に変異を導入されてもよく、得られた変異体を、生物活性についてスクリーニングして、活性(例えばCXCL13ポリペプチドまたはCXCR5ポリペプチド、例えばヒト、マウスまたはヒトおよびマウス両方のCXCL13またはCXCR5に結合する能力)を保持する変異を同定してもよい。「ヒト」または「完全ヒト」抗体のこのような改変体(またはその誘導体)は、「最適化された」または「抗原結合に最適化された」ヒトまたは完全ヒト抗体といってもよく、これには抗原に対する親和性が改善された抗体を包含する。
「抗体」および「免疫グロブリン」という用語は、本明細書において交換可能に用いられる。抗体または免疫グロブリンは、少なくとも重鎖の可変ドメインを含み、通常、少なくとも重鎖および軽鎖の可変ドメインを含む。脊椎動物系における基本的な免疫グロブリン構造は、比較的よく理解されている。例えばHarlowら(1988)Antibodies:A Laboratory Manual(第2版;Cold Spring Harbor Laboratory Press)を参照のこと。
以下により詳細に考察されるように、「免疫グロブリン」という用語は、生化学的に区別できる様々な広いクラスのポリペプチドを含む。当業者は、重鎖が、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタまたはイプシロン(γ、μ、α、δ、ε)に、それらのうちのいくつかのサブクラス(例えばγ1〜γ4)とともに分類されることを認識する。抗体の「クラス」をそれぞれIgG、IgM、IgA IgGまたはIgEとして決定するのが、この鎖の性質である。免疫グロブリンサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1などは、十分に特徴づけられ、機能的に特化されていることが公知である。これらのクラスおよびアイソタイプのそれぞれの改変型は、当業者にとって本開示の観点で容易に認識できるものであり、よって、本発明の範囲内である。全ての免疫グロブリンクラスの使用は、明らかに本開示の方法の範囲内であるが、しかし以下の考察は一般に、免疫グロブリン分子のIgGクラスに関する。IgGに関して、標準的な免疫グロブリン分子は、およそ23,000ダルトンの分子量の2つの同一の軽鎖ポリペプチドと、53,000〜70,000の分子量の2つの同一の重鎖ポリペプチドとを含む。4つの鎖は、典型的に、ジスルフィド結合により「Y」形状につながれ、軽鎖が、「Y」の口から開始して可変領域全体につながる重鎖を囲む。
軽鎖は、カッパまたはラムダ(κ、λ)のいずれかとして分類される。各重鎖クラスは、カッパまたはラムダ軽鎖のいずれかと結合できる。一般的に、軽鎖および重鎖は、互いに共有結合しており、2つの重鎖の「テール」部分は、共有ジスルフィド結合または非共有結合(免疫グロブリンがハイブリドーマ、B細胞または遺伝子工学で作製された宿主細胞のいずれかにより作製される場合)によって互いに結合する。重鎖において、アミノ酸配列は、Y形状の分かれた端のN末端から、各鎖の底部のC末端までに及ぶ。
軽鎖および重鎖は両方とも、構造的および機能的相同な領域に分けられる。「定常」および「可変」という用語は、機能的に用いられる。この点に関して、軽鎖(VLまたはVK)および重鎖(VH)部分の両方の可変ドメインが抗原認識および特異性を決定することが認識される。逆に、軽鎖(CL)および重鎖(CH1、CH2またはCH3)の定常ドメインは、分泌、経胎盤移行性、Fcレセプター結合、補体結合などのような重要な生物学的特性を付与する。慣例的に、定常領域ドメインの番号付けは、それらが抗体の抗原結合部位またはアミノ末端から遠ざかるにつれて増加する。N末端部分は可変領域であり、C末端部分は定常領域である;CH3およびCLドメインは、実際に、それぞれ重鎖および軽鎖のカルボキシ末端を含む。
上述したように、可変領域は、抗体が抗原上のエピトープを選択的に認識してそれに特異的に結合することを可能にする。すなわち、抗体のVLドメインおよびVHドメイン、またはこれらの可変ドメイン内の相補性決定領域(CDR)のサブセットは、組み合わされて、3次元抗原結合部分を規定する可変領域を形成する。この4次の抗体構造は、Yの各腕の端に存在する抗原結合部位を形成する。より具体的には、抗原結合部位は、VHおよびVL各鎖上の3つのCDRにより規定される。いくつかの場合、例えばラクダ種に由来する特定の免疫グロブリン分子かまたはラクダ免疫グロブリンに基づいて遺伝子工学的に作製された特定の免疫グロブリン分子において、完全免疫グロブリン分子は、軽鎖を有さず重鎖のみからなってもよい。例えばHamers−Castermanら、Nature363:446〜448頁(1993)を参照のこと。
天然に存在する抗体において、各々の抗原結合ドメインに存在する6つの「相補性決定領域」または「CDR」とは、抗体が水性環境中でその3次元形状をとるように抗原結合ドメインを形成するために特異的に配置されているアミノ酸の短い不連続配列である。「フレームワーク」領域とよばれる抗原結合ドメイン中の残りのアミノ酸は、分子間変動性がより低い。フレームワーク領域は、大部分がβシート高次構造を採用し、CDRは、βシート構造をつなぎ、その一部を形成する場合もあるループを形成する。すなわち、フレームワーク領域は、鎖間非共有相互作用によってCDRを正しい向きに配置するための足場を形成するように作用する。配置されたCDRにより形成される抗原結合ドメインは、免疫反応性抗原上のエピトープに対する表面相補性を規定する。この相補的表面は、抗体のその同族エピトープへの非共有結合を促進する。任意の与えられた重鎖または軽鎖の可変ドメインについて、当業者は、CDRおよびフレームワーク領域それぞれを含むアミノ酸を容易に同定できる。なぜなら、これらは精密に定義されているからである(以下を参照のこと)。
ある用語について当技術分野において用いられ、かつ/または受け入れられている2つ以上の定義がある場合、本明細書で用いるその用語の定義は、そうでないと明示的に述べない限り、全てのそのような意味を含むものとする。具体例は、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内で見られる、不連続抗原結合部位を記載するための「相補性決定領域」(「CDR」)という用語の使用である。この特定の領域は、Kabatら(1983)U.S.Dept.of Health and Human Services、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」ならびにChothiaおよびLesk、J.Mol.Biol.196:901〜917頁(1987)(これらは本明細書に参照により組み込まれている)により記載され、ここで、これらの定義は、互いに比較した場合にアミノ酸残基のオーバーラップまたはサブセットを含む。それにもかかわらず、抗体またはその改変体のCDRに言及するためにどちらの定義を適用することも、本明細書で定義され用いられる用語の範囲内であることを意図する。上記の引用した参考文献のそれぞれにより定義されるCDRを包含する適切なアミノ酸残基を、比較のために以下の表1に示す。特定のCDRを包含する正確な残基数は、CDRの配列およびサイズに応じて変動する。当業者は、抗体の可変領域アミノ酸配列を考慮して、特定のCDRがどの残基を含むかを慣例的に決定できる。
またKabatらは、いずれの抗体にも適用できる可変ドメイン配列についての番号付けシステムを定義した。当業者は、「Kabat番号付け」のこのシステムを、任意の可変ドメイン配列に、配列自体を超えるいずれの実験データにも依存することなく、明確に割り当てることができる。本明細書において用いる場合、「Kabat番号付け」とは、Kabatら(1983)U.S.Dept.of Health and Human Services、「Sequence of Proteins of Immunological Interest」に示される番号付けシステムのことを指す。そうでないと明記しない限り、本発明の抗CXCL13抗体またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体中の特定のアミノ酸残基の位置の番号付けについての言及は、Kabat番号付けシステムに従う。
今回開示される方法において有用な抗体またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体としては、限定するものではないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体またはキメラ抗体、単鎖抗体、エピトープ結合フラグメント、例えばFab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、Fv、単鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、VLもしくはVHドメインのいずれかを含むフラグメント、Fab発現ライブラリーにより生成されるフラグメント、および抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体に対する抗Id抗体を含む)が挙げられる。ScFv分子は、当技術分野において公知であり、例えば米国特許第5,892,019号に記載されている。今回開示される方法において用いられる免疫グロブリンまたは抗体分子は、任意のタイプ(例えばIgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2など)またはサブクラスの免疫グロブリン分子であってもよい。
本明細書において用いる場合、「重鎖部分」という用語は、免疫グロブリン重鎖に由来するアミノ酸配列を含む。重鎖部分を含むポリペプチドは、CH1ドメイン、ヒンジ(例えば上部、中間および/または下部ヒンジ領域)ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメインまたはその改変体もしくはフラグメントの少なくとも1つを含む。例えば、今回開示される方法で用いるための結合ポリペプチドは、CH1ドメインを含むポリペプチド鎖;CH1ドメインとヒンジドメインの少なくとも一部分とCH2ドメインとを含むポリペプチド鎖;CH1ドメインとCH3ドメインとを含むポリペプチド鎖;CH1ドメインとヒンジドメインの少なくとも一部分とCH3ドメインとを含むポリペプチド鎖またはCH1ドメインとヒンジドメインの少なくとも一部分とCH2ドメインとCH3ドメインとを含むポリペプチド鎖を含んでもよい。別の実施形態では、今回開示される方法において有用なポリペプチドは、CH3ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。さらに、今回開示される方法で用いるための結合ポリペプチドは、CH2ドメインの少なくとも一部分(例えばCH2ドメインの全てまたは一部)を欠いてよい。上述したように、当業者は、天然に存在する免疫グロブリン分子からアミノ酸配列が変化するようにこれらのドメイン(例えば重鎖部分)を改変できることを理解する。
本明細書で開示される特定の抗CXCL13抗体もしくは抗CXCR5抗体、またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体において、多量体の1つのポリペプチド鎖の重鎖部分は、該多量体の第2のポリペプチド鎖上のものと同一である。あるいは、今回開示される方法において有用な重鎖部分を含有する単量体は、同一でない。例えば、各々の単量体は、例えば二重特異性抗体を形成する異なる標的結合部分を含んでもよい。
本明細書で開示される方法における使用のための結合分子の重鎖部分は、異なる免疫グロブリン分子に由来してよい。例えば、ポリペプチドの重鎖部分は、IgG1分子に由来するCH1ドメインと、IgG3分子に由来するヒンジ領域とを含んでもよい。別の例では、重鎖部分は、部分的にIgG1分子と部分的にIgG3分子とに由来するヒンジ領域を含んでもよい。別の例では、重鎖部分は、部分的にIgG1分子と部分的にIgG4分子とに由来するキメラヒンジを含んでもよい。
本明細書において用いる場合、「軽鎖部分」という用語は、免疫グロブリン軽鎖、例えばカッパまたはラムダ軽鎖に由来するアミノ酸配列を含む。好ましくは、軽鎖部分は、VLまたはCLドメインの少なくとも1つを含む。
今回開示される方法で有用な抗CXCL13抗体もしくは抗CXCR5抗体、またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体は、抗原(例えばそれらが認識または特異的に結合する本明細書で開示される標的ポリペプチド(例えばCXCL13またはCXCR5))のエピトープまたは該抗原の一部分の観点から記載されても、特定されてもよい。抗体の抗原結合ドメインと特異的に相互作用する標的ポリペプチドの一部分が、「エピトープ」または「抗原決定基」である。標的ポリペプチドは、単一のエピトープを含んでもよいが、典型的に、少なくとも2つのエピトープを含み、かつ抗原のサイズ、高次構造およびタイプに応じて、任意の数のエピトープを含んでもよい。さらに、標的ポリペプチド上の「エピトープ」は、非ポリペプチド要素であってよいし、またはそれを含んでよく、例えばエピトープは、炭水化物側鎖を含んでもよいことに注意すべきである。
抗体についてのペプチドまたはポリペプチドエピトープの最小サイズは、約4〜5アミノ酸であると考えられる。ペプチドまたはポリペプチドエピトープは、好ましくは、少なくとも7、より好ましくは少なくとも9、最も好ましくは少なくとも約15から約30の間のアミノ酸を含有する。CDRは、抗原性ペプチドまたはポリペプチドをその3次形態で認識できるので、エピトープを含むアミノ酸は連続的である必要はなく、同じペプチド鎖上にない場合さえある。今回開示される方法において有用な抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体が認識するペプチドまたはポリペプチドエピトープは、CXCL13またはCXCR5の少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、より好ましくは少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25または約15から約30の間の連続または不連続アミノ酸の配列を含んでもよい。
「特異的に結合する」とは、一般的に、抗体がエピトープに対してその抗原結合ドメインを介して結合し、この結合が抗原結合ドメインとエピトープとの間のいくらかの相補性を必然的に伴うことを意味する。この定義に従って、抗体が抗原結合ドメインを介してエピトープに、無作為で無関係のエピトープに結合するよりも容易に結合する場合に、この抗体はエピトープに「特異的に結合する」という。「特異性」という用語は、本明細書において、ある特定の抗体がある特定のエピトープに結合する相対的親和性を述べるために用いられる。例えば、抗体「A」は、抗体「B」よりも所定のエピトープについてより高い特異性を有するとみなしてもよいし、または抗体「A」は、関連するエピトープ「D」についてそれが有するよりも高い特異性でエピトープ「C」に結合するといってもよい。
「優先的に結合する」とは、抗体がエピトープに対して、その抗体が関連する、同様の、相同のまたは類似のエピトープに結合するよりも容易に、特異的に結合することを意味する。したがって、所定のエピトープに「優先的に結合する」抗体は、そのエピトープに対して、関連するエピトープ対してよりも結合する可能性が高いが、それでもそのような抗体は、関連するエピトープと交差反応し得る。
非限定的な例として、第2のエピトープについての抗体の解離定数(KD)未満のKDで、ある抗体が第1のエピトープに結合するならば、その抗体はその第1のエピトープに優先的に結合すると考えてよい。別の非限定的な例では、第2のエピトープについての抗体のKDより少なくとも1桁小さいKDで、ある抗体が第1のエピトープに結合するならば、その抗体はその第1の抗原に優先的に結合すると考えてよい。別の非限定的な例では、第2のエピトープについての抗体のKDよりも少なくとも2桁小さいKDで抗体が第1のエピトープに結合するならば、抗体はその第1のエピトープに優先的に結合すると考えてよい。
別の非限定的な例では、第2のエピトープについての抗体のオフレート(k(off))未満のk(off)で、ある抗体が第1のエピトープに結合するならば、その抗体はその第1のエピトープに優先的に結合すると考えてよい。別の非限定的な例では、第2のエピトープについての抗体のk(off)より少なくとも1桁小さいk(off)で抗体が第1のエピトープに結合するならば、抗体はその第1のエピトープに優先的に結合すると考えてよい。別の非限定的な例では、第2のエピトープについての抗体のk(off)より少なくとも2桁小さいk(off)で抗体が第1のエピトープに結合するならば、抗体はその第1のエピトープに優先的に結合すると考えてよい。本明細書で開示される方法において有用な抗体または抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体は、本明細書で開示される標的ポリペプチド(例えばCXCL13またはCXCR5、例えばヒト、マウスまたはヒトおよびマウス両方のCXCL13またはCXCR5)またはそのフラグメントもしくは改変体に、5×10−2sec−1、10−2sec−1または5×l0−3sec−1以下のオフレート(k(off))で結合するということができる。特定の実施形態では、k(off)は、約3×10−2以下であり、例えばここで抗体は3D2であり、CXCL13はヒトまたはマウスである。別の実施形態では、k(off)は、約3×10−3以下であり、例えばここで抗体はMAb5261であり、CXCL13はヒトまたはマウスである。別の実施形態では、k(off)は、約4×10−3以下であり、例えばここで抗体はMAb5378であり、CXCL13はヒトまたはマウスである。一実施形態では、今回開示される方法において有用な抗体は、本明細書で開示される標的ポリペプチド(例えばCXCL13、例えばヒト、マウスまたはヒトおよびマウス両方のCXCL13)またはそのフラグメントもしくは改変体に、5×10−4sec−1、10−4sec−1、5×10−5sec−1または10−5sec−1、5×10−6sec−1、10−6sec−1、5×10−7sec−1または10−7sec−1以下のオフレート(k(off))で結合するといってもよい。
本明細書で開示される方法において有用な抗体または抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体は、本明細書で開示される標的ポリペプチド(例えばCXCL13またはCXCR5、例えばヒト、マウスまたはヒトおよびマウス両方のCXCL13またはCXCR5)またはそのフラグメントもしくは改変体に対して、103M−1sec−1、5×103M−1sec−1、104M−1sec−1、5×104M−1sec−1、105M−1sec−1、5×105M−1sec−1、106M−1sec−1または5×106M−1sec−1以上のオンレート(k(on))で結合するといってもよい。特定の実施形態では、k(on)は、約5×105以上であり、例えばここで抗体は3D2であり、CXCL13はヒトであるか;またはk(on)は、約1×105以上であり、例えばここで抗体は3D2であり、CXCL13はマウスである。別の実施形態では、k(on)は、約1×106以上であり、例えばここで抗体はMAb5261であり、CXCL13はヒトまたはマウスである。別の実施形態では、k(on)は約1×106以上であり、例えばここで抗体はMAb5378であり、CXCL13はヒトまたはマウスである。一実施形態では、今回開示される方法において有用な抗体は、本明細書で開示される標的ポリペプチド(例えばCXCL13、例えばヒト、マウスまたはヒトおよびマウス両方のCXCL13)またはそのフラグメントもしくは改変体に対して、105M−1sec−1、5×105M−1sec−1、106M−1sec−1または5×106M−1sec−1または107M−1sec−1以上のオンレート(k(on))で結合するということができる。
ある抗体が、参照抗体、例えば抗CXCL3抗体または抗CXCR5抗体のエピトープへの結合をある程度ブロックする程度までエピトープに優先的に結合するならば、この抗体は、所定のエピトープへの参照抗体の結合を、競合的に阻害するという。競合阻害は、当技術分野において公知の任意の方法、例えば競合ELISAアッセイにより決定してもよい。抗体は、所定のエピトープへの参照抗体の結合を、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%または少なくとも50%競合的に阻害するといってもよい。
本明細書において用いる場合、「親和性」という用語は、免疫グロブリン分子のCDRとの各エピトープの結合強度の尺度のことを指す。例えば、Harlowら(1988)Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版)27〜28頁を参照のこと。本明細書において用いる場合、「結合活性」という用語は、免疫グロブリン集団と抗原との間の複合体の全体的な安定性、すなわち抗原と免疫グロブリン混合物とが機能的に結合する強度のことをいう。例えば、Harlowの29〜34頁を参照のこと。結合活性は、特定のエピトープとの集団中の各免疫グロブリン分子の親和性と、免疫グロブリンおよび抗原の価数との両方に関連する。例えば、二価モノクローナル抗体と、高反復性エピトープ構造を有する抗原、例えばポリマーとの間の相互作用は、高い結合活性の1つである。
今回開示される方法において有用な抗CXCL13抗体もしくは抗CXCR5抗体またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体は、それらの交差反応性の観点で記載または特定してもよい。本明細書において用いる場合、「交差反応性」という用語は、ある抗原に特異的な抗体が第2の抗原と反応する能力のことであって;2つの異なる抗原性物質の間の関係性の尺度を指す。したがって、その形成を誘発したエピトープ以外のエピトープに、ある抗体が結合するならば、その抗体は交差反応性である。交差反応性エピトープは、通常、誘導エピトープと同じ相補性構造特徴の多くを含有し、いくつかの場合では、元のものよりも実際によりうまく適合することもある。
例えば、特定の抗体は、関連するが同一でないエピトープ、例えば参照エピトープと少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%および少なくとも50%の同一性(当技術分野において公知であり、本明細書で記載する方法を用いて算出される)を有するエピトープとこの抗体が結合するという点で、ある程度の交差反応性を有する。ある抗体は、参照エピトープと95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満および50%未満の同一性(当技術分野において公知であり、かつ本明細書で記載する方法を用いて算出される)を有するエピトープとその抗体が結合しないならば、ほとんどまたは全く交差反応性を有さないということができる。ある抗体が、ある特定のエピトープの任意の他の類似体、オルソログまたはホモログに結合しないならば、その抗体はそのエピトープについて「高度に特異的」であるとみなしてもよい。
今回開示される方法において有用な抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子、例えば抗体またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体は、あるポリペプチド、例えばCXCL13またはCXCR5、例えばヒト、マウスまたはヒトおよびマウス両方のCXCL13またはCXCR5に対するそれらの結合親和性の観点で記載しても、または特定してもよい。特定の実施形態では、今回開示される方法において有用な抗体またはその抗原結合フラグメントの結合親和性は、5×10−2M、10−2M、5×10−3M、10−3M、5×10−4M、10−4M、5×10−5M、10−5M、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15Mまたは10−15M未満または以下の解離定数Kdを有するものを含む。一実施形態では、今回開示される方法において有用な抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子、例えば抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトCXCL13またはCXCR5に、約5×10−9M未満〜約5×10−10MのKdで結合し、例えばここでこの抗体はMAb5261であり、Kdは約5×10−9M以下である。別の実施形態では、抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子、例えば抗体またはその抗原結合フラグメントは、マウスCXCL13またはCXCR5に、約5×10−7M未満〜約9×10−9MのKdで結合し、例えばここで抗体はMAb5261であり、Kdは約8×10−9M以下である。
今回開示される方法において有用な抗CXCL13抗体もしくは抗CXCR5抗体またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体は、「多重特異性」、例えば二重特異性、三重特異性またはそれより多い多重特異性であってよく、これは、これが1つ以上の異なる抗原(例えばタンパク質)上に同時に存在する2つ以上の異なるエピトープを認識し、かつそれに結合することを意味する。したがって、抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体が「単一特異性」または「多重特異性」、例えば「二重特異性」であるか否かは、結合ポリペプチドが反応する異なるエピトープの数のことを指す。多重特異的抗体は、本明細書で記載する標的ポリペプチドの異なるエピトープに特異的であってもよいし、または標的ポリペプチドおよび異種エピトープ、例えば異種ポリペプチドもしくは固体支持体材料に特異的であってもよい。
本明細書において用いる場合、「価数」という用語は、結合ポリペプチドまたはCXCL13結合分子もしくはCXCR5結合分子、例えば抗体もしくはその抗原結合フラグメント中に存在する、可能性のある結合ドメイン、例えば抗原結合ドメインの数のことを指す。各々の結合ドメインは、1つのエピトープに特異的に結合する。結合ポリペプチドまたはCXCL13結合分子もしくはCXCR5結合分子が2つ以上の結合ドメインを含む場合、各々の結合ドメインは、同じエピトープ(2つの結合ドメインを有する抗体について「二価単一特異性」と称する)または異なるエピトープ(2つの結合ドメインを有する抗体について「二価二重特異性」と称する)に特異的に結合し得る。抗体またはその抗原結合フラグメントはまた、二重特異性で、各特異性について二価であってもよい(「二重特異性四価抗体」と称する)。別の実施形態では、四価ミニボディまたはドメイン欠失抗体を作製してもよい。
二重特異性二価抗体およびそれらを作製する方法は、例えば米国特許第5,731,168号;第5,807,706号;第5,821,333号;ならびに米国特許出願公開第2003/020734号および第2002/0155537号(これらすべての開示は、本明細書に参照により組み込まれている)に記載される。二重特異性四価抗体およびそれらを作製する方法は、例えば国際公開第02/096948号および国際公開第00/44788号(これらの開示はともに、本明細書に参照により組み込まれる)に記載される。全般的に、国際公開第93/17715号;国際公開第92/08802号;国際公開第91/00360号;国際公開第92/05793号;Tuttら、J.Immunol.147:60〜69頁(1991);米国特許第4,474,893号;第4,714,681号;第4,925,648号;第5,573,920号;第5,601,819号;Kostelnyら、J.Immunol.148:1547〜1553頁(1992)を参照のこと。
以前に示したように、様々な免疫グロブリンクラスの定常領域のサブユニット構造および3次元形状は、周知である。本明細書において用いる場合、「VHドメイン」という用語は、免疫グロブリン重鎖のアミノ末端可変ドメインを含み、「CH1ドメイン」という用語は、免疫グロブリン重鎖の最初(最もアミノ末端側)の定常領域ドメインを含む。CH1ドメインは、VHドメインに隣接し、免疫グロブリン重鎖分子のヒンジ領域に対してアミノ末端側である。
本明細書において用いる場合、「CH2ドメイン」という用語は、従来の番号付けスキームを用いて、抗体の例えば約244残基〜360残基(残基244〜360、Kabat番号付けシステム;および残基231〜340、EU番号付けシステム;Kabat EAらを参照のこと)にわたる重鎖分子の一部分を包含する。CH2ドメインは、別のドメインと密接に対形成しない点で、独特である。むしろ、2つのN連結分岐炭水化物鎖が、インタクトな天然IgG分子の2つのCH2ドメインの間に介在する。CH3ドメインが、CH2ドメインからIgG分子のC末端まで広がり、およそ108残基を含むことも十分に実証されている。
本明細書において用いる場合、「ヒンジ領域」という用語は、CH1ドメインとCH2ドメインとをつなぐ重鎖分子の一部分を含む。このヒンジ領域は、およそ25残基を含み、フレキシブルであり、よって、2つのN末端抗原結合領域が独立して動くことを可能にする。ヒンジ領域は、3つの別個のドメイン:上部、中間および下部のヒンジドメインに細分化できる(Rouxら、J.Immunol.161:4083頁(1998))。
本明細書において用いる場合、「ジスルフィド結合」という用語は、2つの硫黄原子の間に形成される共有結合を含む。アミノ酸システインは、第2のチオール基とジスルフィド結合またはブリッジを形成できるチオール基を含む。最も多く天然に存在するIgG分子において、CH1領域とCL領域とは、ジスルフィド結合により連結され、2つの重鎖は、Kabat番号付けシステムを用いて239および242に相当する位置(226位または229位、EU番号付けシステム)にて2つのジスルフィド結合により連結される。
本明細書において用いる場合、「キメラ抗体」という用語は、免疫反応性の領域または部位が第1の種から得られるかまたはそれに由来し、定常領域(これは、インタクトであっても、部分的であっても、または本発明に従って改変されていてもよい)が第2の種から得られる任意の抗体を意味するために用いられる。特定の実施形態では、標的結合の領域または部位は、非ヒト起源(例えばマウスまたは霊長類)由来であり、定常領域はヒト(例えば、モノクローナル抗体(MAb)1476)である。
本明細書において用いる場合、「改変抗体」という用語は、重鎖もしくは軽鎖または両方のいずれかにおける可変ドメインが、特異性が公知の抗体からの1つ以上のCDRの少なくとも部分的な置換により、そして必要であれば、部分的なフレームワーク領域の置換および配列変化により改変された抗体のことをいう。CDRは、フレームワーク領域が由来する抗体と同じクラスまたはサブクラスの抗体由来であってよいが、CDRは、異なるクラスの抗体、そして好ましくは異なる種由来の抗体に由来することが構想される。特異性が公知の非ヒト抗体由来の1つ以上の「ドナー」CDRが、ヒト重鎖または軽鎖フレームワーク領域中にグラフトされている改変抗体は、本明細書において「ヒト化抗体」と呼ばれる。ある可変ドメインの抗原結合能力を別のものに移すために、ドナー可変ドメインの完全CDRで全てのCDRを置き換える必要はない場合がある。むしろ、標的結合部位の活性を維持するために必要な残基を移すことだけが必要になる場合がある。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、ドナー可変重鎖ドメイン由来の1、2または3つのCDRを含む。別の実施形態では、ヒト化抗体は、ドナー可変軽鎖ドメイン由来の1、2または3つのCDRを含む。
ヒト化抗体の重鎖もしくは軽鎖または両方における可変ドメイン中のフレームワーク領域が、ヒト起源の残基のみを含み得ることがさらに認識され、この場合、ヒト化抗体のこれらのフレームワーク領域は、「完全ヒトフレームワーク領域」と呼ばれる。代わりに、ドナー可変ドメインのフレームワーク領域の1つ以上の残基を、ヒト化抗体の重鎖もしくは軽鎖または両方における可変ドメインのヒトフレームワーク領域の対応する位置内で必要に応じて改変して、CXCL13抗原またはCXCR5抗原との適切な結合を維持するかまたは促進してもよい。この様式で改変されたヒトフレームワーク領域は、したがって、ヒトおよびドナーのフレームワーク残基が混合されており、本明細書において「部分的ヒトフレームワーク領域」と呼ばれる。
例えば、抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体のヒト化は、Winterおよび共同研究者(その各々が全体として参照によって本明細書に援用される、Jonesら、Nature321:522〜525頁(1986);Riechmann、Nature332:323〜327頁(1988);Verhoeyenら、Science239:1534〜1536頁(1988))の方法に従って、げっ歯類もしくは変異したげっ歯類のCDRまたはCDR配列をヒト抗CXCL13抗体の対応する配列に置換することにより、本質的に行うことができる。米国特許第5,225,539号;第5,585,089号;第5,693,761号;第5,693,762号;および第5,859,205号(参照により本明細書に組み込まれる)も参照のこと。得られるヒト化抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体は、ヒト化抗体の重鎖および/または軽鎖の可変ドメインの完全ヒトフレームワーク領域内に、少なくとも1つのげっ歯類または変異したげっ歯類のCDRを含む。いくつかの場合では、ヒト化抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体の1つ以上の可変ドメインのフレームワーク領域内の残基は、対応する非ヒト(例えばげっ歯類)残基で置き換えられ(例えば、その全体が参照によって本明細書に援用される、米国特許第5,585,089号;第5,693,761号;第5,693,762号;および第6,180,370号を参照のこと)、この場合、得られるヒト化抗CXCL13抗体は、重鎖および/または軽鎖の可変ドメイン内に部分的ヒトフレームワーク領域を含む。
さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体においてもドナー抗体においても見られない残基を含んでもよい。これらの改変は、抗体性能をさらに改良するため(例えば所望の親和性を得るため)に作製される。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、ここで、全てまたは実質的に全てのCDRが、非ヒトヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てのまたは実質的に全てのフレームワーク領域が、ヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、必要に応じて、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部分も含む。さらなる詳細について、Jonesら、Nature331:522〜525頁(1986);Riechmannら、Nature332:323〜329頁(1988);およびPresta、Curr.Op.Struct.Biol.2:593〜596頁(1992)(参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。したがって、このような「ヒト化」抗体は、インタクトなヒト可変ドメインより実質的に少ないものが非ヒト種からの対応する配列で置換された抗体を含んでもよい。実際上、ヒト化抗体は、典型的に、いくつかまたは全てのCDR残基およびおそらくいくつかのフレームワーク残基が、げっ歯類抗体の類似部位からの残基で置換されているヒト抗体である。例えば米国特許第5,225,539号;第5,585,089号;第5,693,761号;第5,693,762号;および第5,859,205号を参照のこと。また、米国特許第6,180,370号および国際公開番号WO01/27160も参照のこと(ここでは、ヒト化抗体および所定の抗原に関して親和性が改善されたヒト化抗体を生成する技術が開示されている)。
CXCL13に結合する市販の抗体、例えばラット抗マウスMAb470(R&D Systems)およびマウス抗ヒトMAb801(R&D Systems)は、当技術分野において開示されている。さらに、マウス抗CXCL13抗体は、米国特許出願公開第2008/0227704(A1)号(これは、全体として参照によって本明細書に援用される)に開示されている。モノクローナル抗CXCL13抗体MAb5261、MAb5378、MAb5080、MAb1476および3D2は、国際公開番号WO2013/031099(これは、全体として参照によって本明細書に援用される)に開示されている。
モノクローナル抗体5261は、配列番号14に示される配列を有する可変重鎖(VH)ドメインと、配列番号19に示される配列を有する可変軽鎖(VL)ドメインとを含む。MAb5261は、その重鎖内にヒトIgガンマ1−Fアロタイプ定常領域と、その軽鎖内にヒトカッパ定常領域とを含む。モノクローナル抗体5378は、配列番号14に示される配列を有する可変重鎖(VH)ドメインと、配列番号19に示される配列を有する可変軽鎖(VL)ドメインとを含む。MAb5378は、その重鎖内にマウスIgG2a定常領域と、その軽鎖内にマウスカッパ定常領域とを含む。MAb5080は、配列番号14に示される配列を有するVHドメインと、配列番号21に示される配列を有するVLドメインとを含む。MAb5080は、その重鎖内にヒトIgG1定常領域と、その軽鎖内にヒトカッパ定常領域とを含む。モノクローナル抗体1476は、配列番号10に示される配列を有するVHドメインと、配列番号15に示される配列を有するVLドメインとを含む。MAb1476は、その重鎖内にヒトIgG1定常領域と、その軽鎖内にヒトカッパ定常領域とを含む。モノクローナル抗体3D2は、配列番号10に示される配列を有するVHドメインと、配列番号15に示される配列を有するVLドメインとを含む。MAb 3D2は、その重鎖内にマウスIgG1定常領域と、その軽鎖内にマウスカッパ定常領域とを含む。
いくつかの実施形態では、今回開示される方法は、MAb5261、MAb5378、MAb5080、MAb1476または3D2抗CXCL13モノクローナル抗体を利用する。
いくつかの実施形態では、今回開示される方法において用いられる抗体は、抗CXCL13抗体、またはCXCL13に結合するその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体を含む。特定の実施形態では、抗CXCL13抗体は、ヒト、霊長類、マウスまたはヒトおよびマウス両方のCXCL13に結合する。特定の実施形態では、今回開示される方法において有用な抗CXCL13抗体は、ヒト化されている。他の実施形態では、抗CXCL13抗体は、そのレセプター、例えばCXCR5へのCXCL13の結合をブロックする。特定の実施形態では、今回開示される方法において有用な抗CXCL13抗体は、MAb5261、MAb5378、MAb5080、MAb1476もしくは3D2、またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体である。一実施形態では、今回開示される方法は、参照抗体、例えばMAb5261、MAb5378、MAb5080、MAb1476または3D2と同じCXCL13またはCXCR5エピトープに特異的に結合する単離された結合分子、例えば抗体またはその抗原結合フラグメント、改変体および誘導体を利用する。別の実施形態では、今回開示される方法は、CXCL13に特異的に結合し、かつ参照抗体、例えばMAb5261、MAb5378、MAb5080、MAb1476または3D2が、CXCL13、例えばヒト、霊長類、マウスまたはヒトおよびマウス両方のCXCL13に特異的に結合することを競合的に阻害する、単離された結合分子、例えば抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。
特定の実施形態では、今回開示される方法において有用な結合分子は、参照の抗CXCL13抗体分子についてのアミノ酸配列の少なくとも約80%、約85%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%または約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。さらなる実施形態では、結合分子は、参照抗体と少なくとも約96%、約97%、約98%、約99%または100%の配列同一性を共有する。特定の実施形態では、参照抗体は、MAb5261、MAb5378、MAb5080、MAb1476または3D2である。
別の実施形態では、今回開示される方法は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VHドメイン)を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる抗体またはその抗原結合フラグメントを利用し、ここで、VHドメインのCDRの少なくとも1つは、配列番号10または14のCDR1、CDR2またはCDR3と少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または同一であるアミノ酸配列を有する。
別の実施形態では、今回開示される方法は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VHドメイン)を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる単離された抗体またはその抗原結合フラグメントを利用し、ここで、VHドメインのCDRの少なくとも1つは、配列番号11、12または13と少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または同一であるアミノ酸配列を有する。
別の実施形態では、今回開示される方法は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VHドメイン)を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる単離された抗体またはその抗原結合フラグメントを利用し、ここで、VHドメインは、配列番号10または14と少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または同一のアミノ酸配列を有する。
別の実施形態では、今回開示される方法は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VHドメイン)を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる抗体またはその抗原結合フラグメントを利用し、ここで、VHドメインのCDRの少なくとも1つは、配列番号10または14のCDR1、CDR2またはCDR3と1、2、3、4または5つの保存的アミノ酸置換を除いて同一であるアミノ酸配列を有する。
別の実施形態では、今回開示される方法は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VHドメイン)を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる抗体またはその抗原結合フラグメントを利用し、ここで、VHドメインのCDRの少なくとも1つは、配列番号11、12または13と1、2、3、4または5つの保存的アミノ酸置換を除いて同一であるアミノ酸配列を有する。
別の実施形態では、今回開示される方法は、免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる抗体またはその抗原結合フラグメントを利用し、ここで、VLドメインのCDRの少なくとも1つは、配列番号15、19または21のCDR1、CDR2またはCDR3と少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または同一であるアミノ酸配列を有する。
別の実施形態では、今回開示される方法は、免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる抗体またはその抗原結合フラグメントを利用し、ここで、VLドメインのCDRの少なくとも1つは、配列番号16、17、18または20と少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または同一であるアミノ酸配列を有する。
別の実施形態では、今回開示される方法は、免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる抗体またはその抗原結合フラグメントを利用し、ここで、VLドメインは、配列番号15、19または21と少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または同一であるアミノ酸配列を有する。
別の実施形態では、今回開示される方法は、免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる抗体またはその抗原結合フラグメントを利用し、ここで、VLドメインのCDRの少なくとも1つは、配列番号15、19または21のCDR1、CDR2またはCDR3と1、2、3、4または5つの保存的アミノ酸置換を除いて同一であるアミノ酸配列を有する。
別の実施形態では、今回開示される方法は、免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる抗体またはその抗原結合フラグメントを利用し、ここで、VLドメインのCDRの少なくとも1つは、配列番号16、17、18または20と1、2、3、4または5つの保存的アミノ酸置換を除いて同一であるアミノ酸配列を有する。
さらなる実施形態では、今回開示される方法は、配列番号15、19または21と少なくとも約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または100%同一であるアミノ酸配列を有するVLドメインを含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる抗体またはその抗原結合フラグメントを利用し、ここで、コードされるVLドメインを含む抗CXCL13抗体は、CXCL13に特異的または優先的に結合する。
特定の実施形態では、今回開示される方法は、配列番号14に示すアミノ酸配列を有するVHドメインと、配列番号19に示すアミノ酸配列を有するVLドメインとを含むか、本質的にそれらからなるかまたはそれらからなる抗体またはその抗原結合フラグメントを利用する。これらの実施形態のいくつかでは、抗体は、その重鎖内にヒトIgG1定常領域と、その軽鎖内にヒトカッパ定常領域とを含む。
特定の実施形態では、今回開示される方法は、配列番号11に示すアミノ酸配列を有するCDR1と、配列番号12に示すアミノ酸配列を有するCDR2と、配列番号13に示すアミノ酸配列を有するCDR3とを含むVHドメインと、配列番号20に示すアミノ酸配列を有するCDR1と、配列番号17に示すアミノ酸配列を有するCDR2と、配列番号18に示すアミノ酸配列を有するCDR3とを含むVLドメインとを含むか、本質的にそれらからなるかまたはそれらからなる抗体またはその抗原結合フラグメントを利用する。これらの実施形態のいくつかでは、抗体は、その重鎖内にヒトIgG1定常領域と、その軽鎖内にヒトカッパ定常領域とを含む。
参照の抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体の適切な生物活性改変体を、今回開示される方法において用いてもよい。このような改変体は、親の抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体の所望の結合特性を保持する。抗体改変体を作製する方法は、当技術分野において一般的に利用可能である。
突然変異誘発およびヌクレオチド配列改変の方法は、当技術分野において周知である。例えば、WalkerおよびGaastra編(1983)Techniques in Molecular Biology(MacMillan Publishing Company、New York);Kunkel、Proc.Natl.Acad.Sci.USA82:488〜492頁(1985);Kunkelら、Methods Enzymol.154:367〜382頁(1987);Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor、N.Y.);米国特許第4,873,192号;およびその中で引用される参考文献(参照によって本明細書に援用される)を参照のこと。目的とするポリペプチドの生物活性に影響しない適切なアミノ酸置換についての手引きは、Atlas of Protein Sequence and Structure(Natl.Biomed.Res.Found.、Washington,D.C.)、345〜352頁(全体として参照によって本明細書に援用される)中のDayhoffら(1978)のモデルで見出すことができる。Dayhoffらのモデルは、点許容変異(Point Accepted Mutation)(PAM)アミノ酸相似マトリクス(PAM250マトリクス)を用いて、適切な保存的アミノ酸置換を決定する。あるアミノ酸を同様の特性を有する別のアミノ酸に交換するような保存的置換が好ましい場合がある。DayhoffらのモデルのPAM250マトリクスによって教示される保存的アミノ酸置換の例としては、限定するものではないが、Gly←→Ala、Val←→Ile←→Leu、Asp←→Glu、Lys←→Arg、Asn←→GlnおよびPhe←→Trp←→Tyrが挙げられる。
抗CXCL13もしくは抗CXCR5結合分子、例えば抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または目的のポリペプチドの改変体の構築において、改変体が継続して所望の特性を有するように、例えばCXCL13またはCXCR5、例えばヒト、霊長類、マウスまたはヒトおよびマウス両方のCXCL13またはCXCR5に特異的に結合できるように改変を行う。明らかに、改変体ポリペプチドをコードするDNA中に作製されるいずれの変異も、リーディングフレームから外れて配列を配置してはならず、好ましくは、mRNA二次構造を生成し得る相補領域を形成しない。例えば欧州特許第EP0075444B1号を参照のこと。
抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子、例えば抗体またはその抗原結合フラグメントの結合特異性を測定する方法としては、限定するものではないが、標準的競合結合アッセイ、T細胞またはB細胞による免疫グロブリン分泌をモニタリングするアッセイ、T細胞増殖アッセイ、アポトーシスアッセイ、ELISAアッセイなどが挙げられる。例えばWO93/14125;Shiら、Immunity 13:633〜642頁(2000);Kumanogohら、J Immunol 169:1175〜1181頁(2002);Watanabeら、J Immunol 167:4321〜4328頁(2001);Wangら、Blood97:3498〜3504頁(2001);およびGiraudonら、J Immunol 172(2):1246〜1255頁(2004)(これらは全体として参照によって本明細書に援用される)に開示されるようなアッセイを参照のこと。
様々な免疫細胞(例えばB細胞、濾胞ヘルパーT細胞および最近活性化されたT細胞)上で見られるそのレセプターであるCXCR5を通じて、CXCL13は、免疫系恒常性の維持、リンパ器官形成、白血球動員および走化性遊走ならびに二次リンパ組織(例えば胚中心)の発達に必要な細胞内変化を誘発する。したがって、「抗CXCL13活性」または「CXCL13ブロック活性」とは、CXCL13と関連する以下の活性のうちの1つ以上を調節する活性を含み得る:そのレセプターとのCXCL13の相互作用の遮断、B細胞および濾胞BヘルパーT細胞が炎症性組織に遊走することの阻害、胚中心形成の阻害(例えば自己免疫疾患の場合)、二次もしくは異所性リンパ系濾胞の阻害;がん細胞増殖および腫瘍学的障害における伝播の能力の阻害;またはCXCL13発現細胞に関連する任意の他の活性。抗CXCL13活性は、限定するものではないが、特定の型の自己免疫疾患(例えば多発性硬化症、関節炎(例えば関節リウマチ)、慢性胃炎、胃リンパ腫、移植片拒絶、シェーグレン症候群(SS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、C型肝炎ウイルス感染における活動性混合型クリオグロブリン血症(MC)血管炎、若年性皮膚筋炎および重症筋無力症)および特定の癌(例えばバーキットリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、MALTリンパ腫(例えば胃MALTリンパ腫)、癌腫(例えば結腸、前立腺、乳、胃、食道および膵臓)および慢性リンパ性白血病(CLL))ならびに他の炎症性疾患、例えばHelicobacter感染誘発性炎症性疾患、例えば胃炎、潰瘍および胃粘膜病変を含むCXCL13発現に関連する疾患の発生率または重症度の低減に起因し得る。
参照ポリペプチドの定常領域、CDR、VHドメインまたはVLドメインを含む任意の特定のポリペプチドが、別のポリペプチドと少なくとも約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%またはさらに約100%同一であるかを本明細書で考察する場合、同一性%は、限定するものではないが、BESTFITプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package、Unix(登録商標)用バージョン8、Genetics Computer Group、University Research Park,575 Science Drive,Madison,Wis.53711)のような当技術分野において公知の方法およびコンピュータプログラム/ソフトウェアを用いて決定できる。BESTFITは、SmithおよびWaterman(1981)Adv.Appl.Math.2:482〜489頁の局所的相同性アルゴリズムを用いて、2つの配列間の相同性の最良のセグメントを見出す。BESTFITまたは任意の他の配列アラインメントプログラムを用いて特定の配列が、本発明による参照配列と例えば95%同一であるかを決定する場合、パラメータは、当然ながら、同一性のパーセンテージが参照ポリペプチド配列の全長にわたって算出され、参照配列中のアミノ酸の総数の5%までの相同性におけるギャップが許容されるように設定される。
本発明の目的のために、配列同一性パーセントは、12のギャップ開始ペナルティ、2のギャップ伸長ペナルティ、62のBLOSUMマトリクスでアフィンギャップ検索を用いるSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムを用いて決定してよい。Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムは、SmithおよびWaterman(1981)Adv.Appl.Math.2:482〜489頁に教示されている。改変体は、例えば、わずか1〜15のアミノ酸残基、1〜10、例えばわずか6〜10のアミノ酸残基、わずか5、わずか4、3、2またはわずか1のアミノ酸残基だけ、参照の抗CXCL13抗体(例えばMAb5261、MAb5378、MAb5080、MAb1476または3D2)、または抗CXCR5抗体と異なってもよい。
CXCL13またはCXCR5に特異的に結合可能であり、所望のCXCL13ブロック活性を保持するポリペプチドの精密な化学構造は、多数の要因に依存する。イオン化可能なアミノおよびカルボキシル基が分子中に存在するので、特定のポリペプチドを、酸性もしくは塩基性の塩としてまたは中性の形態で得てもよい。適切な環境条件においた場合にそれらの生物活性を保持する全てのこのような調製物は、本明細書において用いる場合の抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体の定義に含まれる。さらに、ポリペプチドの1次アミノ酸配列は、糖部分(グリコシル化)を用いる誘導体化、または脂質、リン酸塩、アセチル基などの他の補助分子を用いる誘導体化により増強してよい。これは、糖類とのコンジュゲーションにより増強してもよい。このような増強の特定の態様は、生成宿主の翻訳後プロセシングシステムにより達成される。その他のこのような改変を、インビトロで導入してもよい。いずれの場合でも、このような改変は、抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体の所望の特性が損なわれない限り、本明細書で用いる抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体の定義に含まれる。このような改変は、様々なアッセイにおいて、ポリペプチドの活性を増強または減少させることにより、活性に量的または質的に影響し得ることが予期される。さらに、鎖中の各アミノ酸残基は、酸化、還元または他の誘導体化により改変してもよく、ポリペプチドは、活性を保持するフラグメントを得るために切断されてもよい。所望の特性(例えばCXCL13またはCXCR5についての結合特異性、結合親和性および/またはCXCL13ブロック活性)を損なわないこのような改変では、ポリペプチド配列が、本明細書で用いる目的の抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体の定義から除かれることはない。
当技術分野は、ポリペプチド改変体の調製および使用に関して実質的な手引きを提供する。抗CXCL13結合分子またはCXCR5結合分子、例えば抗体またはその抗原結合フラグメント、改変体の調製において、当業者は、天然タンパク質のヌクレオチドまたはアミノ酸配列に対するどの改変が、本発明の方法において用いられる薬学的組成物の治療有効成分として用いるために適切な改変体をもたらすかを容易に決定できる。
参照の抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体の定常領域は、いくつかの様式で、エフェクター機能を変更するために変異させてよい。例えば、米国特許第6,737,056B1号および米国特許出願公開第2004/0132101A1号(これらは、Fcレセプターとの抗体結合を最適化するFc変異を開示する)を参照のこと。
特定の抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体では、Fc部分は、当技術分野において公知の技術を用いて、エフェクター機能を減少させるために変異させてよい。例えば、定常領域ドメインの欠失または不活性化(点突然変異または他の手段による)は、循環改変抗体のFcレセプター結合を低下させ、そのことにより腫瘍局在化を増加させる場合がある。他の場合では、これは、本発明と一貫する定常領域改変が、補体結合を和らげ、それによって血清半減期およびコンジュゲートした細胞毒の非特異的連結を低減することであり得る。定常領域のさらに別の改変を用いてジスルフィド結合またはオリゴ糖部分を改変してよく、このことは、抗原特異性または抗体フレキシビリティの増加により局在化の促進を可能にする。改変の結果として得られる生理的プロフィール、バイオアベイラビリティーならびに腫瘍局在化、生体分布および血清半減期のような修飾の他の生化学的影響は、過度の実験を行うことなく、周知の免疫学的技術を用いて容易に測定および定量できる。
全般的に、今回開示される方法において有用なCXCR5結合分子は、CXCR5レセプターを活性化しない(すなわちこのレセプターのアゴニストでない)。
「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、同様の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられるものである。同様の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野において定義されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖(例えばリシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えばトレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が挙げられる。代わりに、飽和突然変異誘発によるようにコード配列の全体または一部にわたって変異を無作為に導入してもよく、得られた変異体を生物活性についてスクリーニングして、活性(例えばCXCL13またはCXCR5についての結合特異性、結合親和性および/またはCXCL13ブロック活性)を保持する変異体を同定してもよい。
例えば、抗体分子のフレームワーク領域のみまたはCDR領域のみに変異を導入することが可能である。導入された変異は、サイレントであってもまたは中立ミスセンス変異であってよく、すなわち抗原と結合する抗体の能力に対して全くまたはほとんど影響しなくてもよい。これらの型の変異は、コドン用法を最適化するため、またはハイブリドーマの抗体生成を改善するために有用であり得る。代わりに、非中立ミスセンス変異は、抗原と結合する抗体の能力を変更し得る。ほとんどのサイレントおよび中立ミスセンス変異の場所は、フレームワーク領域内であることが多いが、ほとんどの非中立ミスセンス変異の場所は、CDR内であることが多い(しかし、これは絶対的な要件でない)。当業者は、抗原結合活性に変更がないか、または結合活性に変更がある(例えば抗原結合活性の改善または抗体特異性の変化)ことのような所望の特性を有する変異体分子を設計して試験することが可能である。突然変異誘発の後に、コードされるタンパク質を慣例的に発現させ、コードされたタンパク質の機能的および/または生物学的な活性(例えばCXCL13またはCXCR5ポリペプチドの少なくとも1つのエピトープに免疫特異的に結合する能力)を、本明細書に記載される技術を用いて、または当技術分野において公知の技術を慣例的に改変することによって決定してもよい。
特定の実施形態では、今回開示される方法において有用な抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体は、参照の抗CXCL13抗体、または抗CXCR5抗体と比較して、少なくとも1つの最適化相補性決定領域(CDR)を含む。「最適化CDR」とは、CDRが改変されていること、かつ最適化CDRを含む抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体に対して付与される持続性のまたは改善された結合親和性および/もしくは抗CXCL13活性に基づいて選択される最適化配列を意図する。
本明細書の他の場所でより詳細に考察されるように、抗CXCL13もしくは抗CXCR5結合分子、または可溶性CXCR5は、さらに、N末端もしくはC末端にて異種ポリペプチドと組換えにより融合できるか、またはポリペプチドもしくは他の組成物と化学的にコンジュゲート(共有および非共有コンジュゲーションを含む)されてもよい。例えば、抗CXCL13抗体もしくは抗CXCR5抗体、または可溶性CXCR5は、検出アッセイにおいて標識として有用な分子、および異種ポリペプチド、薬物、放射性核種もしくは毒素のようなエフェクター分子と組換えにより融合またはコンジュゲートされてもよい。例えば、PCT公報WO92/08495;WO91/14438;WO89/12624;米国特許第5,314,995号;および欧州特許第396,387号を参照のこと。
本明細書において用いる場合、用語「連結された」、「融合された」または「融合」とは、相互に交換可能なものとして用いられる。これらの用語は、2つ以上の要素または構成要素を、化学的コンジュゲーションまたは組換え手段を含むいずれかの手段により連結することをいう。「インフレーム融合」とは、元のオープンリーディングフレーム(ORF)の正しい翻訳リーディングフレームを維持する様式で、2つ以上のポリヌクレオチドオープンリーディングフレーム(ORF)を連結して、連続するさらに長いORFを形成することをいう。したがって、組換え融合タンパク質は、元のORFによりコードされるポリペプチドに対応する2つ以上のセグメント(これらのセグメントは、自然では、通常、そのようにつながれていない)を含有する単一のタンパク質である。リーディングフレームは、このようにして、融合されたセグメント全体を通して連続的にされるが、このセグメントは、例えばインフレームリンカー配列により物理的または空間的に分けられてもよい。例えば、免疫グロブリン可変領域のCDRをコードするポリヌクレオチドは、インフレームで融合されてもよいが、「融合された」CDRが連続的ポリペプチドの一部として同時翻訳される限り、少なくとも1つの免疫グロブリンフレームワーク領域またはさらなるCDR領域をコードするポリヌクレオチドによって分けられてもよい。
今回開示される方法において有用な抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体は、改変されている誘導体、すなわちCXCL13またはCXCR5に対する抗体の結合を共有結合が妨げないような抗体への任意の種類の分子の共有結合によって改変された誘導体を含んでもよい。例えば、限定するものではないが、抗体誘導体としては、例えばグリコシル化、アセチル化、ペグ化(pegylation)、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞性リガンドまたは他のタンパク質との結合などにより改変された抗体が挙げられる。任意の多数の化学的修飾は、限定するものではないが、特異的化学的切断、アセチル化、ホルミル化などを含む公知の技術により行ってもよい。さらに、誘導体は、1つ以上の非伝統的アミノ酸を含んでもよい。
抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子、例えば抗体またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体は、ペプチド結合または改変ペプチド結合により互いにつながれたアミノ酸、すなわちペプチドイソスターで構成されてもよく、遺伝子によりコードされる20種のアミノ酸以外のアミノ酸を含んでもよい。例えば抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体は、翻訳後プロセシングのような自然のプロセスにより、または当技術分野において周知の化学改変技術により改変されてもよい。このような改変は、基本的な参考書およびより詳細な研究論文ならびに多数の研究文献に十分に記載されている。改変は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびアミノもしくはカルボキシル末端を含む抗CXCL13または抗CXCR5結合分子の任意の場所または炭水化物のような部分で生じ得る。所定の抗CXCL13または抗CXCR5結合分子中のいくつかの部位にて同程度または異なる程度の同じ種類の改変が存在してもよいことが認識される。また、所定の抗CXCL13または抗CXCR5結合分子は、多くの種類の改変を含んでもよい。抗CXCL13または抗CXCR5結合分子は、例えばユビキチン化の結果として分岐されてもよく、これらは、分岐または非分岐の環状であってもよい。環状、分岐状、および、分岐した環状の抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子は、翻訳後の自然のプロセスの結果であってもよいし、または合成法により作製されてもよい。改変としては、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドもしくはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質もしくは脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有的架橋の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニン化のようなタンパク質へのアミノ酸のトランスファーRNA媒介付加、ならびにユビキチン化が挙げられる(例えば、Proteins−Structure and Molecular Properties、T.E.Creighton、W.H.Freeman and Company、NY;第2版(1993);Johnson編(1983)Posttranslational Covalent Modification of Proteins(Academic Press、NY)、1〜12頁;Seifterら、Meth.Enzymol.182:626〜646頁(1990);Rattanら、Ann.NY Acad.Sci.663:48〜62頁(1992)を参照のこと)。
今回開示される方法は、抗CXCL13抗体もしくは抗CXCR5抗体またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体と、異種ポリペプチドとを含む融合タンパク質の使用を包含する。抗体と融合する異種ポリペプチドは、機能のために有用であり得るか、または抗CXCL13もしくは抗CXCR5ポリペプチド発現細胞を標的にするために有用である。
一実施形態では、今回開示される方法において有用な融合タンパク質は、抗CXCL13抗体もしくは抗CXCR5抗体の任意の1つ以上のVHドメインのアミノ酸配列、または抗CXCL13抗体もしくは抗CXCR5抗体の任意の1つ以上のVLドメインのアミノ酸配列あるいはそのフラグメントもしくは改変体と、異種ポリペプチド配列とを有するポリペプチドを含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる。
別の実施形態では、本明細書で開示される治療方法において用いるための融合タンパク質は、抗CXCL13抗体もしくは抗CXCR5抗体のVHドメインの任意の1、2、3つのCDRのアミノ酸配列またはそのフラグメント、改変体もしくは誘導体および/あるいは抗CXCL13抗体もしくは抗CXCR5抗体のVLドメインの任意の1、2、3つのCDRのアミノ酸配列またはそのフラグメント、改変体もしくは誘導体と、異種ポリペプチド配列とを有するポリペプチドを含むか、本質的にそれらからなるかまたはそれらからなる。いくつかの実施形態では、融合タンパク質のVHおよびVLドメインは、CXCL13またはCXCR5の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する、単一起源の抗体(またはscFvもしくはFabフラグメント)に相当する。いくつかの実施形態では、VHドメインまたはVLドメインの2、3、4、5、6つ以上のCDRは、単一起源の抗体(またはscFvもしくはFabフラグメント)に相当する。
文献において報告されている例示的な融合タンパク質としては、T細胞レセプター(Gascoigneら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA84:2936〜2940頁(1987));CD4(Caponら、Nature337:525〜531頁(1989);Trauneckerら、Nature339:68〜70頁(1989);Zettmeisslら、DNA Cell Biol.USA9:347〜353頁(1990);およびByrnら、Nature344:667〜670頁(1990));L−セレクチン(ホーミングレセプター)(Watsonら、J.Cell.Biol.110:2221〜2229頁(1990);およびWatsonら、Nature349:164〜167頁(1991));CD44(Aruffoら、Cell61:1303〜1313頁(1990));CD28およびB7(Linsleyら、J.Exp.Med.173:721〜730頁(1991));CTLA−4(Lisleyら、J.Exp.Med.174:561〜569頁(1991));CD22(Stamenkovicら、Cell66:1133〜1144頁(1991));TNFレセプター(Ashkenaziら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA88:10535〜10539頁(1991);Lesslauerら、Eur.J.Immunol.27:2883〜2886頁(1991);およびPeppelら、J.Exp.Med.174:1483〜1489頁(1991));およびIgEレセプターa(RidgwayおよびGorman、J.Cell.Biol.第115巻、アブストラクト第1448号(1991))の融合体が挙げられる。
本明細書の他の場所で考察されるように、抗CXCL13または抗CXCR5結合分子、例えば抗体またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体は、異種ポリペプチドと融合させて、ポリペプチドのインビボ半減期を増加させるか、または当技術分野において公知の方法を用いるイムノアッセイにおいて用いてもよい。例えば、一実施形態では、PEGを抗CXCL13抗体または抗CXCR5抗体にコンジュゲートして、それらの半減期をインビボにおいて増加させてもよい。Leongら、Cytokine16:106頁(2001);Adv.in Drug Deliv.Rev.54:531頁(2002);またはWeirら、Biochem.Soc.Transactions30:512頁(2002)を参照のこと。
さらに、抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子、例えば抗体またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体は、それらの精製または検出を容易にするためにペプチドのようなマーカー配列と融合してもよい。特定の実施形態では、マーカーアミノ酸配列は、とりわけ、pQEベクター(QIAGEN,Inc.、9259 Eton Avenue,Chatsworth,Calif.,91311)において提供されるタグのようなヘキサヒスチジンペプチドである(これらの多くは市販で入手可能である)。Gentzら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA86:821〜824頁(1989)に記載されるように、例えば、ヘキサヒスチジンは、融合タンパク質の簡便な精製をもたらす。精製に有用な他のペプチドタグとしては、限定するものではないが、「HA」タグ(これは、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質に由来するエピトープに相当する(Wilsonら、Cell37:767頁(1984)))および「フラッグ」タグが挙げられる。
融合タンパク質は、当技術分野において周知の方法を用いて調製してもよい(例えば米国特許第5,116,964号および第5,225,538号を参照のこと)。融合の精密な部位は、融合タンパク質の分泌または結合の特徴を最適化するために経験的に選択できる。融合タンパク質をコードするDNAを、次いで、発現のために宿主細胞にトランスフェクトする。
抗CXCL13結合分子および抗CXCR5結合分子、例えば抗体またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体は、コンジュゲートされていない形態で用いてもよいし、あるいは例えば分子の治療特性を改善するため、標的検出を容易にするためまたは患者のイメージングもしくは治療のために様々な分子の少なくとも1つとコンジュゲートしてもよい。抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子、例えば抗体またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体は、精製の前もしくは後または精製を行うときに標識しても、またはコンジュゲートしてもよい。
具体的には、抗CXCL13抗体もしくは抗CXCR5抗体、またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体は、治療剤、プロドラッグ、ペプチド、タンパク質、酵素、ウイルス、脂質、生物学的応答修飾物質、薬剤またはPEGとコンジュゲートしてもよい。
当業者はまたコンジュゲートさせる選択された物質に応じた様々な技術を用いてコンジュゲートを形成し得ることも認識している。例えば、ビオチンとのコンジュゲートは、例えば、結合ポリペプチドをビオチンN−ヒドロキシスクシンイミドエステルのようなビオチンの活性化エステルと反応させることにより調製される。同様に、蛍光マーカーとのコンジュゲートは、カップリング剤、例えば本明細書で列挙するものの存在下で、またはイソチオシアネート、好ましくはフルオレセイン−イソチオシアネートとの反応により調製してもよい。抗CXCL13抗体もしくは抗CXCR5抗体またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体のコンジュゲートは、類似の様式で調製される。
抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子、例えば抗体またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体を、細胞毒、治療剤または放射活性金属イオンのような治療部分とコンジュゲートしてもよい。細胞毒または細胞傷害作用物質としては、細胞にとって有害な任意の物質が挙げられる。
様々な部分を抗体、例えば抗CXCL13抗体もしくは抗CXCR5抗体またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体にコンジュゲートするための技術は周知であり、例えば、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Reisfeldら編(Alan R.Liss,Inc.)、243〜56頁の中のAmonら(1985)「Monoclonal Antibodies for Immunotargeting of Drugs in Cancer Therapy」;Controlled Drug Delivery、Robinsonら編(第2版;Marcel Dekker,Inc.)、623〜53頁の中のHellstromら(1987)「Antibodies for Drug Delivery」;Monoclonal Antibodies ’84:Biological and Clinical Applications、Pincheraら編、475〜506頁の中のThorpe(1985)「Antibody Carriers of Cytotoxic Agents in Cancer Therapy:A Review」;Monoclonal Antibodies for Cancer Detection and Therapy、Baldwinら編、Academic Press、303〜16頁(1985)の中の「Analysis,Results,and Future Prospective of the Therapeutic Use of Radiolabeled Antibody in Cancer Therapy」;およびThorpeら、Immunol.Rev.62:119〜58頁(1982)を参照のこと。
必要とする被験体にCXCL13活性を阻害する因子(例えば抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子)を調製して投与する方法は、当業者に周知であるかまたは当業者により容易に決定される。CXCL13活性を阻害する因子(例えば抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子)の投与経路は、例えば、経口、非経口、吸入によっても、または局所的であってもよい。非経口という用語は、本明細書において用いる場合、例えば静脈内、動脈内、腹腔内、筋内、皮下、直腸または経膣投与を包含する。これらの全ての投与の形態は本発明の範囲内であると明確に考えられるが、投与の形態の例は、注射用、特に静脈内もしくは動脈内注射または点滴用の液剤である。通常、注射用の適切な薬学的組成物は、緩衝液(例えば酢酸塩、リン酸塩またはクエン酸塩緩衝液)、界面活性剤(例えばポリソルベート)、場合によって安定化剤(例えばヒトアルブミン)などを含んでもよい。しかし、本明細書における教示に適合する他の方法において、CXCL13活性を阻害する因子(例えば抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子)を、有害な細胞集団の部位に直接送達し、それによって疾患組織を治療剤に対してより多く曝露させてもよい。
本明細書で考察されるように、CXCL13活性を阻害する因子(例えば抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子)は、炎症性障害のインビボ治療のため、およびIgAのレベルの増大のために薬学的に有効な量で投与されてもよい。この点について、CXCL13活性を阻害する因子は、投与を容易にし、かつ活性因子の安定性を促進するように処方されると評価される。特定の実施形態では、本発明に従う薬学的組成物は、生理食塩水、非毒性緩衝剤、防腐剤などのような薬学的に許容される非毒性の滅菌担体を含む。本出願の目的のために、CXCL13活性を阻害する因子(例えば抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子)の薬学的有効量は、標的との有効な結合を達成するため、および利益を得るため、例えば疾患もしくは障害の症状を改善するか、または物質もしくは細胞を検出するために十分な量を意味するものとする。
本発明で用いられる薬学的組成物は、例えばイオン交換物質、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩もしくは電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛の塩、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂を含む薬学的に許容される担体を含む。
非経口投与用の調製物としては、滅菌水性または非水性の液剤、懸濁剤および乳剤が挙げられる。非水性溶剤の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えばオリーブ油および注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。水性担体としては、例えば食塩水および緩衝溶媒を含む、水、アルコール性/水性溶液、乳化物、懸濁物が挙げられる。本発明において、薬学的に許容される担体としては、限定するものではないが、0.01〜0.1M、例えば0.05Mのリン酸塩緩衝液または0.8%食塩水が挙げられる。他の通常の非経口媒体としては、リン酸ナトリウム溶液、リンゲルブドウ糖、ブドウ糖および塩化ナトリウム、乳酸加リンゲルまたは不揮発性油が挙げられる。静脈内用の媒体としては、流体および栄養補充剤、電解質補充剤、例えばリンゲルブドウ糖に基づくものなどが挙げられる。例えば抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤および不活性ガスなどのような防腐剤および他の添加物も存在してもよい。
より具体的には、注射用に適切な薬学的組成物としては、滅菌水性液剤(水溶性の場合)または分散剤、および滅菌注射用液剤または分散剤の即時調製用の滅菌散剤が挙げられる。このような場合、組成物は滅菌でなければならず、容易に注射可能である程度に流動性であるべきである。これは、製造および貯蔵の条件下で安定であるべきであり、好ましくは、細菌および真菌のような微生物の汚染作用に備えて保存される。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であってもよい。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングを用いることにより、分散剤の場合には要求される粒径を維持することにより、および界面活性剤を用いることにより維持できる。本明細書で開示される治療方法で用いるための適切な製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.)第16版(1980)に記載されている。
微生物の作用の防止は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成し得る。特定の場合には、等張剤、例えば糖類、ポリアルコール類、例えばマンニトール、ソルビトールまたは塩化ナトリウムを組成物中に含めることが好ましい。注射用組成物の持続吸収性は、吸収を遅らせる物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含めることにより得ることができる。
いずれの場合でも、滅菌注射用液剤は、活性化合物(例えば抗CXCL13抗体もしくは抗CXCR5抗体またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体をそれ自体または他の活性薬剤との組み合わせで)を必要量で、適切な溶剤中に、必要であれば本明細書で列挙する成分の1つまたはその組み合わせとともに組み込み、その後、ろ過滅菌することにより調製できる。一般的に、分散剤は、活性化合物を、塩基性分散媒および上で列挙したものからの必要な他の成分を含有する滅菌媒体中に組み込むことにより調製される。滅菌注射用液剤の調製のための滅菌散剤の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これにより、予めろ過滅菌された溶液から有効成分に加えて任意のさらなる所望の成分との粉末が得られる。注射用の調製物は、加工され、アンプル、バッグ、瓶、シリンジまたはバイアルのような容器に充填され、当技術分野において公知の方法に従って無菌的条件下で密閉される。さらに、調製物は、米国特許出願第09/259,337号に記載されるもののようなキットの形態で包装および販売されてもよい。このような製品は、好ましくは、関連する組成物が、疾患もしくは障害に罹患しているかまたはその素因がある被験体を治療するために有用であることを示すラベルまたは添付文書を有する。
非経口製剤は、単回ボーラス用量、注入または次いで維持用量で続けられる負荷ボーラス用量であってもよい。これらの組成物は、特定の固定もしくは変動性の間隔で、例えば1日1回、または「必要に応じて」投与されてもよい。
本発明で用いられる特定の薬学的組成物は、例えばカプセル剤、錠剤、水性懸濁剤または液剤を含む許容される剤形で経口投与されてもよい。また特定の薬学的組成物は、鼻エアロゾルまたは吸入により投与されてもよい。このような組成物は、ベンジルアルコールもしくは他の適切な防腐剤、バイオアベイラビリティーを増大するための吸収促進剤および/または他の従来の可溶化もしくは分散化剤を使用する食塩水中の溶液として調製されてもよい。
単一剤形を生成するために担体材料と組み合わされてもよいCXCL13活性を阻害する因子(例えば抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子)の量は、治療されるホストおよび具体的な投与形態に応じて変動する。組成物は、単回用量、複数回用量または注入で確立された期間にわたって投与してよい。投与計画も、最適な所望の応答(例えば治療または予防応答)を提供するように調整されてもよい。
本開示の範囲と一致して、CXCL13活性を阻害する因子(例えば抗CXCL13抗体またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体)は、ヒトまたは他の動物に、上記の治療の方法に従って、治療効果をもたらすために十分な量で投与されてもよい。CXCL13活性を阻害する因子(例えば抗CXCL13抗体もしくは抗CXCR5抗体またはその抗原結合フラグメント、改変体もしくは誘導体)は、そのようなヒトまたは他の動物に、活性薬剤を従来の薬学的に許容される担体または希釈剤と公知の技術に従って組み合わせることにより調製される従来の剤形で投与され得る。薬学的に許容される担体または希釈剤の形態および特徴は、それが組み合わされる有効成分の量、投与経路および他の周知の変数により決定されることが当業者により認識される。当業者は、さらに、1つ以上の種のCXCL13活性を阻害する因子(例えば抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子)を含む多剤併用(cocktail)が特に効果的であると証明され得ることを認識する。
「治療有効用量または治療有効量」または「有効量」とは、投与されたときに、治療される疾患を有する患者の治療に関して正の治療応答をもたらすCXCL13活性を阻害する因子(例えば抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子)の量を意図する。
炎症性障害の治療のため、およびIgAレベルの増大のためにCXCL13活性を阻害する因子の治療有効用量は、投与の手段、標的部位、患者の生理的状態、患者がヒトであるかまたは動物であるか、投与される他の薬物療法および治療が予防的であるかまたは治療的であるかを含む多くの異なる因子に応じて変動する。通常、患者はヒトであるが、トランスジェニック哺乳動物を含む非ヒト哺乳動物も治療され得る。治療投与量は、安全性および効力を最適化するために、当業者に公知の慣用的な方法を用いて漸増してもよい。
投与すべき少なくとも1つのCXCL13活性を阻害する因子(例えば抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子)の量は、本発明の開示に鑑みて、過度の実験を行うことなく当業者により容易に決定される。少なくとも1つのCXCL13活性を阻害する因子(例えば抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子)の投与形態およびそれぞれの量に影響する要因としては、限定するものではないが、疾患の重症度、疾患の履歴、ならびに治療を受ける個体の年齢、身長、体重、健康状態および身体状態が挙げられる。同様に、投与されるCXCL13活性を阻害する因子(例えば抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子)の量は、投与の形態および被験体がこの因子の単回用量または複数回用量を投与されるかに依存する。
いくつかの実施形態では、投与されるCXCL13活性を阻害する因子(例えば抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子)の用量は、限定するものではないが約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、約2.5mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約5.5mg/kg、約6mg/kg、約6.5mg/kg、約7mg/kg、約7.5mg/kg、約8mg/kg、約8.5mg/kg、約9mg/kg、約9.5mg/kgおよび約10mg/kgを含む約0.1mg/kgから約100mg/kgまでの範囲である。ある実施形態では、投与される用量は、約1mg/kgから約10mg/kgである。特定の実施形態では、約4mg/kgから約5mg/kgのCXCL13活性を阻害する因子(例えば抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子)が、それを必要とする被験体に投与される。これらの実施形態のいくつかでは、その因子は、腹腔内注射により投与される。
また本発明は、炎症性障害を治療するため、およびIgAレベルを増大するための医薬品の製造における、CXCL13活性を阻害する因子(例えば抗CXCL13結合分子または抗CXCR5結合分子)の使用も提供する。
本発明の実施は、そうでないと記載しない限り、当業者の技術の範囲内である細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNAおよび免疫学の従来の技術を採用する。このような技術は、文献に完全に説明されている。例えば、Sambrookら編(1989)Molecular Cloning A Laboratory Manual(第2版;Cold Spring Harbor Laboratory Press);Sambrookら編(1992)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Springs Harbor Laboratory、NY);D.N.Glover編(1985)DNA Cloning、第IおよびII巻;Gait編(1984)Oligonucleotide Synthesis;Mullisら、米国特許第4,683,195号;HamesおよびHiggins編(1984)Nucleic Acid Hybridization;HamesおよびHiggins編(1984)Transcription And Translation;Freshney(1987)Culture Of Animal Cells(Alan R.Liss,Inc.);Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press)(1986);Perbal(1984)A Practical Guide To Molecular Cloning;the treatise、Methods In Enzymology(Academic Press,Inc.、N.Y.);MillerおよびCalos編(1987)Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells(Cold Spring Harbor Laboratory);Wuら編、Methods In Enzymology、第154および155巻;MayerおよびWalker編(1987)Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(Academic Press、London);WeirおよびBlackwell編、(1986)Handbook Of Experimental Immunology、第I〜IV巻;Manipulating the Mouse Embryo、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、(1986);ならびにAusubelら(1989)Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons、Baltimore,Md.)を参照のこと。
抗体工学の全般的な原理は、Borrebaeck編(1995)Antibody Engineering(第2版;Oxford Univ.Press)に示されている。タンパク質工学の全般的な原理は、Rickwoodら編(1995)Protein Engineering,A Practical Approach(IRL Press at Oxford Univ.Press、Oxford,Eng.)に示されている。抗体および抗体−ハプテン結合の全般的な原理は、Nisonoff(1984)Molecular Immunology(第2版;Sinauer Associates、Sunderland,Mass.);およびSteward(1984)Antibodies,Their Structure and Function(Chapman and Hall、New York,N.Y.)に示されている。さらに、当技術分野において公知であり具体的に記載されない免疫学における標準的な方法は、Current Protocols in Immunology、John Wiley&Sons、New York;Stitesら編(1994)Basic and Clinical Immunology(第8版;Appleton&Lange、Norwalk,Conn.)ならびにMishellおよびShiigi(編)(1980)Selected Methods in Cellular Immunology(W.H.Freeman and Co.,NY)に全般的に従う。
免疫学の全般的な原理を示す標準的な参照研究としては、Current Protocols in Immunology,John Wiley&Sons、New York;Klein(1982)J.Immunology:The Science of Self−Nonself Discrimination(John Wiley& Sons、NY);Kennettら編(1980)Monoclonal Antibodies,Hybridoma:A New Dimension in Biological Analyses(Plenum Press,NY);Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,Burdenら編,(Elsevere,Amsterdam)中のCampbell(1984)「Monoclonal Antibody Technology」;Goldsbyら編(2000)Kuby Immunnology(第4版;H.Freemand&Co.);Roittら(2001)Immunology(第6版;London:Mosby);Abbasら(2005)Cellular and Molecular Immunology(第5版;Elsevier Health Sciences Division);KontermannおよびDubel(2001)Antibody Engineering(Springer Verlan);SambrookおよびRussell(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Press);Lewin(2003)Genes VIII(Prentice Hall2003);HarlowおよびLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Press);DieffenbachおよびDveksler(2003)PCR Primer(Cold Spring Harbor Press)が挙げられる。
「1つの(a:不定冠詞)」または「1つの(an:不定冠詞)」の実体という用語は、1つ以上のその実体を指すことに注意されたい。例えば、「抗CXCL13抗体」とは、1つ以上の抗CXCL13抗体を表すと理解される。したがって、「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、「1つ以上の」および「少なくとも1つの」という用語は、本明細書において相互に交換可能なものとして用いてもよい。
本明細書で用いる全ての技術的および科学的用語は、同じ意味を有する。用いる数(例えば量、温度など)に関して正確を期するようにしているが、ある程度の実験誤差および偏差が想定されるべきである。
本明細書および特許請求の範囲を通して、「含む、包含する(comprise)」、「含む、包含する(comprises)」および「含んでいる(comprising)」という用語は、文脈がそうでないことを要求する場合以外は非排他的な意味で用いられる。
本明細書において用いる場合、ある数値を言及する場合の「約」という用語は、いくつかの実施形態では明記する量から±50%、いくつかの実施形態では±20%、いくつかの実施形態では±10%、いくつかの実施形態では±5%、いくつかの実施形態では±1%、いくつかの実施形態では±0.5%およびいくつかの実施形態では±0.1%の変動を包含することを意味する(そのような変動は、開示する方法を行うかまたは開示する組成物を採用するために適切であるためである)。
ある範囲の値を示す場合、その範囲内の上限と下限との間の、下限の単位の10分の1までのそれぞれの介在する値(文脈がそうでないことを明らかに指図しない限り)、およびその言及される範囲の任意の他の言及される値または介在する値は、本明細書に包含されると理解される。より小さい範囲内に独立して含まれ得るこれらの小範囲の上限および下限も、言及する範囲内の任意の具体的に除外される限界に依存して、本発明に包含される。言及する範囲が一方または両方の限界を含む場合、これらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外する範囲も、本発明に包含される。
以下の実施例は、限定のためではなく説明のために提供される。
<実験>
実施例1.Helicobacter感染についてのマウスモデルにおける抗CXCL13抗体の評価
Helicobacter感染のマウスモデル。Heliobacter種、例えば、H.heilmanniiおよびH.Pyloriは、患者において胃のMALTリンパ腫を誘発する。Heliobacter誘発性胃リンパ濾胞のマウスモデルは、Nobutaniら(2010)FEMS Immunol Med Microbiol60:156〜164頁(これは、その全体が参照により本明細書に援用される)に記載された。Nobutaniらのマウスモデルは、本明細書において、感染負荷(その組織における細菌の力価を意味する)を低減することにおける抗CXCL13抗体の影響を試験するために用いられた。C57BL/6Jマウス(n=5)をH.suisに経口感染させた。感染後1週目に開始して、マウスにアイソタイプ抗体コントロール(MAb2510)または抗CXCL13抗体(MAb5378)のいずれかを毎週、12週間にわたって0.6mg(i.p.)投与した。
H.suis感染の12週後、マウスを屠殺した。マウスからの胃サンプルを、H.suisでの感染の相対レベルの指標として、H.suis特異的16s−rRNA遺伝子の発現についてPCRによって評価した。H.suis特異的16s−rRNA遺伝子PCRプライマーを下に示す:
F:5’−TTGGGAGGCTTTGTCTTTCCA−3’(配列番号22)
R:5’−GATTAGCTCTGCCTCGCGGCT−3’(配列番号23)
PCR増幅反応は、1単位のTaq DNAポリメラーゼ(日本、大阪、東洋紡)を含有する1×反応緩衝液[20mMのTris/HCl(pH8.0)、100mMのKCl、0.1mMのEDTA、1mMのDTT、0.5%Tween−20、0.5%Nonidet P40および50%グリセロール];10nmolの各デオキシヌクレオチド三リン酸;10pmolの各オリゴヌクレオチドプライマー;ならびに1μlの希釈DNA(これは、およそ20〜100ng/μlのDNA濃度の元のサンプルの1:10希釈により調製した)を50μlの最終容量中に含んだ。16s rRNA反応についてのサイクル条件は、94℃にて30秒間、56℃にて30秒間および72℃にて30秒間を35サイクル含んだ。
抗CXCL13抗体は、Helicobacterに感染したマウスの力価を低下する。CXCL13抗体またはアイソタイプコントロール抗体で治療したH.suis感染マウスの胃粘膜中のH.suisの相対数を、リアルタイム定量的PCRによって決定した。図1のこれらの結果によって、抗CXCL13抗体で治療した感染マウスの胃におけるH.suisの力価の低下が示される。
抗CXCL13抗体は、H.suisに感染したマウスの胃のリンパ濾胞中でTGF−βおよびIL−6を誘発する。アイソタイプコントロールまたは抗CXCL13抗体(mAb5378)による治療後のH.suis感染マウスの胃粘膜中のTGF−βおよびIL−6のmRNAのmRNA発現レベルを、逆転写PCRによって決定した。胃の粘膜および粘膜下層を、筋層および漿膜から取り外し、次いで、1mlのTRIZOL試薬(Invitrogen)とともにホモジナイズした。RNAを、製造業者の使用説明に従ってホモジネートから抽出した。RNAを、製造業者のプロトコールに従ってHigh Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems、Foster City,CA)を用いる逆転写反応に供し、定量的PCRは、製造業者の指示に従って、Power SYBR Green PCR Master Mix (Applied Biosystems)を用いて行った。RNA発現レベルの相対的な比較を可能にするために、定量的PCR由来のデータを、内因性コントロールとしてβアクチンcDNAの量に対して正規化した。定量的PCRについて用いられた特定のプライマー対(日本、札幌、北海道システムサイエンス株式会社)は以下のとおりであった。
TGF−βセンス5’−TCTTGGTCCAGATCACAACTTCA−3’(配列番号24)
TGF−βアンチセンス5’−CACTGATACGCCTGAGTGR−3’(配列番号25)
IL−6センス 5’−GTGAGCGCTGAATCGAAA−3’(配列番号26)
IL−6アンチセンス5’−GAGGATACCACTCCCAACAGACC−3’(配列番号27)
β−アクチンセンス5’−ATCACTGACGCTGATTGCAC−3’
(配列番号28)
β−アクチンアンチセンス5’−AAGGCCAACCGTGAAAAGAT−3’(配列番号29)。
定量的リアルタイムPCRは、製造業者の指示に従って、1mlのTRIZOL試薬(Invitrogen)を用いて胃の粘膜および粘膜下層をホモジナイズすること、およびそのホモジネートからRNAを抽出することを包含した。次いで、RNAを、製造業者の指示に従って、High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosciences,Foster City,CA)を用いて逆転写反応に供し、定量的リアルタイムPCRを、製造業者の指示に従って、Power SYBR Green PCR Master Mix(Applied Biosciences,Foster City,CA)およびABI Prism 7500 Real Time PCR System(Applied Biosciences,Foster City,CA)を用いて行った。RNA発現レベルの相対的比較を可能にするために、リアルタイムPCR由来のデータを内因性コントロールとしてβアクチンcDNAの量に対して正規化した。
図2Aおよび図2Bは、アイソタイプコントロールまたは抗CXCL13抗体(Mab5378)で治療後のH.suis感染マウスの胃における、それぞれ、TGF−βおよびIL−6のmRNAの発現を示す。これらの結果によって、アイソタイプコントロールで治療したマウスおよび未感染のマウスと比較して、抗CXCL13抗体で治療したH.suis感染マウスにおける、TGF−βおよびIL−6のmRNAの両方の発現が有意に増大していることが示される。興味深いことに、未感染のマウスの胃におけるTGF−βおよびIL−6の発現レベルはまた、抗CXCL13抗体(MAb5378)(データ示さず)での治療によって有意に誘導された。
TGF−βおよびIL−6は、IgAの発現レベルを増大し得るので、これらの結果により、H.suis特異的なIgAがH.suis感染のマウスの胃において抗CXCL13抗体治療で増加され得ることが示唆された。従って、抗CXCL13抗体を用いるH.suis感染マウスの治療は、TGF−βおよびIL−6依存性経路の活性化を通じてH.suis特異的なIgAを誘導することを介して、H.suisコロニー形成の阻害をもたらしたのかもしれない。
抗CXCL13抗体治療は、Helicobacterに感染したマウスにおける胃のリンパ濾胞中でIgA分泌を増大する。H.suis感染の3か月後のマウスの胃を大弯で切除して開口した。感染していない野性型マウス、アイソタイプコントロールおよび抗CXCL13抗体(MAb5378)治療マウス由来の胃のサンプルの免疫蛍光染色によって、IgAおよびアクチンについて(データ示さず)、コントロール治療に比較して抗CXCL13抗体で治療したH.suis感染マウスでの胃のリンパ濾胞におけるIgA分泌の増大が示された。
H.suis感染後のマウスの血清および胃液中の抗H.suis特異的IgGおよびIgAのレベル。血清および胃液中のH.suis特異的IgGを検出するために、胃液を、16,000×gで、5分間4℃で遠心分離して、得られた上清を収集した。血清を、15,000×gで10分間4℃で遠心分離することによって血液から分離した。96ウェルプレートを100μg/mlのH.pylori溶解液を含有する100μlの重炭酸溶液(pH9.6)を用いて4℃で一晩コーティングして、BSAの1.5%(重量/容積)PBS溶液の添加によって1時間37℃でブロックした。血清および胃液(それぞれ、1:200および1:15に希釈)を、プレートに添加し、続いて、0.2%(重量/容積)BSAおよび抗マウスIgAを含有するPBST中で1:5.000希釈した100μlのHRPコンジュゲートヤギ抗マウスIgG抗体(Bio−Rad Laboratories,Hercules,CA)を添加した。結合した抗体を、o−フェニレンジアミン基質の添加によって検出し、490nmでの吸光度の測定を行った。
H.suis感染したマウスの血清および胃液中の抗H.suis特異的IgGおよびIgAのレベルを測定した。図3Aおよび図4Aは、抗H.suis特異的IgGはH.suis感染によって血清および胃液中で誘導されるが、抗CXCL13抗体(MAb5378)およびアイソタイプコントロール抗体で治療したマウスの血清または胃液における抗H.suis特異的IgGのレベルには相違がなかったことを示す。図3Bおよび図4Bは、抗H.suis特異的なIgAが、H.suis感染によって血清および胃液中で誘導されることを示す。抗CXCL13抗体およびアイソタイプコントロール抗体で治療したマウスの血清中の抗H.suis種特異的IgAのレベルには相違がなかったが、抗H.suis特異的なIgAのレベルは、アイソタイプコントロール抗体で治療したマウスに比較して、抗CXCL13抗体の胃液中で有意に高い。これらの結果によって、感染した組織の炎症細胞によって産生されるCXCL13の阻害は、感染性因子に特異的なIgAの増大を生じ、かつ細菌感染のクリアランス向上に関連することが実証される。
具体的な実施形態についての前述の記載は、本発明の全般的な性質を完全に明らかにするので、他者は、当技術分野における技術の範囲内の知識を用いることにより、過度の実験を行うことなく、本発明の全般的な概念から逸脱することなく、このような具体的な実施形態の様々な応用のために容易に改変および/または適合できる。したがって、このような適合および改変は、本明細書で示す教示および手引きに基づいて、開示される実施形態の等価物の意味および範囲内であるものとする。本明細書における言葉使いおよび術語は、説明を目的としており、限定を目的とはしないので、本明細書の術語または言葉使いは、教示および手引きに鑑みて当業者により解釈されると理解されるべきである。
本明細書に示される本発明の多くの改変および他の実施形態は、前述の詳細な説明および関連の図面に示される教示の利点を有する、これらの発明が属する当該分野の当業者に思い浮かぶ。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されないこと、ならびにその改変および他の実施形態は添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解されるべきである。本明細書においては特定の用語を使用しているが、それらの用語は、一般的かつ記述的な意味で用いられるに過ぎず、限定の目的ではない。
本明細書で言及される全ての刊行物および特許出願は、本発明が属する当該技術における当業者の水準を示す。全ての刊行物および特許出願は、あたかも各々の個々の刊行物または特許出願が具体的かつ個別に参照により援用されるように示されるのと同じ程度に、参照によって本明細書に援用される。