本発明は、電解精錬工程用の再利用可能なアノードシステムに関するものであり、アノードシステムは、ステンレス鋼から形成されて真っ直ぐな薄い直方体の形状にされた容器から構成されており、容器は、その前面及び後面上に複数の孔を有し、孔が外部と内部を連通させることにより、電解質が前記容器に入ることができるようになっている。上部部分において、この容器は、電気的接触棒の位置よりも高く突出しており、容器の内部が延びた突出部により、複数の銅棒の抜き取り及び設置区域を形成する。押し出し工程及び線引き工程で形成される銅棒は、容器の内部で群をなし、こうして本発明のアノードシステムが形成される。このシステムにより、従来技術の通常工程の余剰分すなわちスクラップをなくすことが可能となる。
高純度銅の製造工程はいくつかの段階を含み、銅精鉱の受け入れとサンプリングから始まる。銅、鉄、硫黄、シリカ、並びに不純物、例えばヒ素、アンチモン、及び亜鉛の濃度に主に従って、銅精鉱を等級付けすることによりそのサンプリングを行うことが重要である。
等級付け段階に引き続いて、精鉱は乾燥段階に入り、ここで湿度は8%から0.2%に低減され、その後、乾燥精鉱は溶融工程に入るが、この目的は、状態変化を実現し、これにより精鉱を固体状態から液体状態へ通過させて、精鉱を含むその他の元素から銅を分離することができるようにすることである。
銅精鉱の溶融物は、銅精鉱が瞬時に自己発火してできる生成物であり、この発火は高温(1200℃超)で生じる。この工程では、濃縮物は固体状態から液体状態へと通過し、精鉱中に存在する原鉱を含む元素は、それらの重量に従って分離され、精錬物(溶融金属)の上部には軽いものが残留し、これはスラグとよばれ、高含有量の鉄及びシリカを含有する相が主であり、その一方で、硫黄に結びついた銅はさらに重く、反応器の下部に濃縮され、これはバビット金属(Babbitt metal)、又は担持金属と呼ばれる。このようにして、反応器から両部分を、異なる高さに位置する湯出し通路を用いて取り出すことにより分離することができる。
溶融反応器、及び炉は、一定に満たされていて恒久的に湯出しされていなければならず、高含有量の銅を有する材料は、液体の形態でポット又は流路を通じて転換工程に送られ、そこでは粗銅と呼ばれる高銅相が製造される(98.5Cu)。この製造物は引き続き、液体の形態でポット又は流路を通じて精錬工程に送られ、ここでは主に、溶解硫黄、溶解酸素などの不純物、及びヒ素、アンチモン、ビスマス、とりわけ鉛などの不純物が除去されて、平均純度99.5%の銅を有する、アノード銅と呼ばれる生成物を最終的に得ることが可能となる。
アノード銅は、鋳型形成され、矩形の幾何学形状に固化させて、図1に示すとおり、耳部(2)を有するアノード板(1)が形成される。アノード銅を鋳造するのに最も使用される形態は、キャスティング・ホイールによるものであり、これは一定量の銅鋳型を備え、ここで銅が1200℃以下の温度で注がれ、一旦、銅がキャスティング・ホイールに注がれると、ホイールが回転し始め、第1段階では精錬銅が、その上部が固体となるまで周囲温度で冷却され始め、続いてこの銅は、上部の水冷及び下部の水冷を含む冷却段階を通過する。この段階では銅は、完全な固体状態に達するまでその温度を低下させ、99.9%Cu以上の銅含有量を有する高純度カソードを製造するために電解精錬工場に送られることになる。
アノード銅は、鋳型(7)上で形成されるが、この鋳型は、アノード板(1)を形成する液体の銅を入れる中央矩形空洞部(8)を備えている。前記鋳型(7)の上部に、そして中央空洞部(8)の隅に向かって、図6及び7に見られるとおり、耳部(2)を備えた液体の銅を入れる二つの空洞(9)が位置している。
精錬装置内では、アノード(1)は電解槽(3)に導入されるが、この電解槽はカソード(4)を有し、このカソードは、使用することになる技術に従って、パーマネント方式であるか、又は母材でできており、各懸垂棒(5)を有する。図2から5に示すとおり、電解槽(3)は酸溶液で満たされており、アノード(1)からカソード(4)に向け銅の電気めっきが生じるように、電流が接触部(6)に印加される。この工程では、アノード(1)は耳部(2)の連続区域までしか浸っておらず、このため、図3にさらに詳細に示すとおり、アノード(1)の上部は電気分解工程に関与せず、従って耳部(2)は、アノードを持ち運び電気的接触のためだけに使用される。
電気分解サイクルの終了時には、アノードのこの部分は、元のままであり、スクラップと呼ばれる未溶解材料とともに、アノードの残りの重要な部分となる。この材料を再び精錬し新規アノード(1)として、完全なサイクルを継続させる必要がある。この生成物は、既存のあらゆる精製装置において形成されており、市場に存在する様々な技術を用いて行われている再処理工程の費用は高い。
本発明が提案するのは、耳部(2)を有するアノード(1)として溶融及び鋳型形成されている銅を、棒の形状にされた銅に置き換えることにより、余剰のスクラップを全く出さないようにすることであり、棒は、押し出し及び線引きの工程から来るものであって、この工程によって銅棒の面品質及び均一性が保証される。
本発明は、これらの銅棒を電解精錬するために、棒容器を備えたアノードシステムの使用を提案したものであり、容器は、その上部部分に、電気的接触のための、耳部の形態をとる二つの突出部を有し、容器の前面及び後面には、棒が電解質と接触するように、前記容器の外部と内部をつなぐ複数の孔を有している。
鋳造工程で形成された後に電解精錬段階を通るアノードによって発生する残渣すなわちスクラップを、最小限に抑える最先端技術でのいくつかの試みがある。このように、例えば、2000年7月25日に公開された文献である、チリ特許出願公開41874号明細書には、銅アノードからの残渣を、それらを鋳型上で直接、再使用して鋳造により新規アノードを製造することによって回収する工程が開示されている。この文献では、銅母アノードの使い古した残渣を、電解工程の最中に抜き出し、同一工程では再使用せず、銅の鋳造における原材料として、好ましくはすべて使用して新規「銅母アノード」を製造し、次にこれを工程に戻し、銅カソード製造のための新規部品として電解槽内に格納することが示されている。この作業では、再溶融を再び実行する際に追加の費用が発生し、これにより、最終製造物がさらに高価になる。非常に大きな割合を占めるこれらの部品(使い古した銅母アノード)は、上部区域の直上で依然として良好な状態にあり、電解槽内で電気的接触が生じている。部品のこの画分は、材料の点から重要な節約になり、従って、新規「銅アノード」の製造費用において大きな影響を有する。節約は、電解工程において機能するサイクルを終えた後の「使い古された銅母アノード」を、その後、回収及び/又は再使用することによっても生じるが、これは、その銅母アノードすべて又は一部分を、全体として穿孔された及び/若しくは曲がった挿入物、又はその一部分として使用して、「新規の銅母アノード」の構成部分とすることによるものであって、挿入物を鋳型上に置き、挿入物上に液体の金属を注ぎ鋳型を満たして新規部品を完成させ、冷却後に離型して使用することができる場合である。
一方、アノードを有しこれを懸垂させた懸垂棒を使用して、過剰分すなわちスクラップを削減する試みがある。よって、例えば、1988年9月28日に公開された文献である、欧州特許第0284128号明細書には、金属の電解精錬におけるアノード又はカソード板用の懸架棒であって、懸架棒の芯が材料曲げに対する高い耐性及び高い機械的耐性を示す材料からなり、良好な電気伝導特性を有する材料の鞘に囲われている懸架棒が開示されている。良好な電気伝導特性を有するこの材料は、例えば銅であり、懸架棒の少なくとも一端部、そして好ましくは両端部の近傍において、少なくとも3cm、そして最長でも5cmの長さにわたって、この鞘は芯の端部につながっている。加えてこの文献では、懸架棒の製造方法が開示されており、その方法では、銅管から始めて、銅鞘を鋼芯全体で線引きするというものである。銅芯と鋼芯を銅管に導入し、続いて鞘を、さらなる芯を追加しつつ線引きして、線引きの結果生じる銅管の長さ変化に実質的に相当する全長にし、そして、生成した棒を、銅芯がある位置で鋸により切断して所望の棒長にする。棒は、場合によっては、中央に向かって二つの留め具を有しており、これらはアノード又はカソードを懸垂させるためのものである。
ここまでに言及したどの文献にも:棒容器と;b)生成される余剰分すなわちスクラップの発生をなくすことを可能にする一群の又は一組の銅棒とを備えたアノードシステムは開示されていない。
本発明が言及するのは、棒容器と、再使用可能なステンレス銅アノードを形成する一群の又は一組の棒とを備えたアノードシステムであり、その構造が、内部に銅棒を積み重ねた銅棒用の容器となるように製造されたものである。この集合体の一般的形状は、精錬銅アノードの形式に、質量及び構成の両方において類似したものであるが、筒状の中実の棒により形成される場合には、それら一組の棒の全面は、平坦な精錬アノードでの均等物よりも40%大きい。
電解精錬工程における銅は、大量の電気エネルギーを使用して電解質溶液中に溶解させる必要があるので、増大した面は溶解速度において影響があり、その溶解速度は、電解質と接触する銅の面がさらに増大するためさらに高速となるので、この理由から、カソード上に同量の精錬銅を堆積させるために使用しなければならないエネルギーは、高速になるほど少量になる。
本構成の別の利点は、これらの棒が溶解するにつれ、棒の径は減少し、従って棒が緻密に詰まり始め群をなしてまとまり始めることである。システムが、その上部に積み重なった銅棒で満たされた状態である限り、銅棒は重量によりこの集合体を締めつけて密に詰め始め、銅の余剰分すなわちスクラップの存在なしに溶解棒の一定の溶解が生じることになる。このように、この電解精錬工程は、容器に銅棒が再設置されるので連続的に維持することができる。
アノード銅塊として棒を使用する別の利点は、棒の製造工程が、押し出し及び線引きの工程を含み、この工程によって、銅棒の面品質及び均一性が保証されるということである。この面品質は、開放鋳型上でなされる精錬銅の現在の鋳造工程では実現できないものである。
前述の理由により、本発明の目的は、電解精錬槽中で加工されたアノードから生じる余剰分すなわちスクラップを完全になくすことができるシステムを提供することである。
本発明の別の目的は、処理されることになる新規棒を棒容器に再設置することにより、連続的な電解精錬工程を行うことのできるシステムを提供することである。
本発明の別の目的は、従来技術のアノード面に対して40%増加した、電解質と接するアノードの接触面を生み出すことである。
添付図は、本発明のさらに良好な理解を提供するために添付されたものである。それらの図は本記載の一部であり、そして本発明の原理を説明するのに役立つものである。
従来技術によるアノードの斜視図である。
従来技術による電解槽の斜視図であって、電解槽はその中に、アノード及びカソードを有する。
従来技術による電解槽の斜視図であって、電解槽の有するアノード及びカソードは、酸溶液(電解質)より上に持ち上げられている。
従来技術による電解槽の斜視図であって、電解槽の有するアノード及びカソードは、酸溶液(電解質)中に浸されている。
従来技術による電解槽の斜視図であって、電解槽の有するアノード及びカソードは、酸溶液(電解質)中に浸されている。
従来技術によるアノードを形成するための鋳型の正面図である。
従来技術によるアノードを形成するための鋳型の斜視図である。
容器及び銅棒により形成された本発明のシステムの構成要素の分解斜視図である。
本発明のシステムの斜視図であって、銅棒は容器内部にある。
電解槽内の本発明のシステムの概略断面図であり、棒は容器内部にある。
電解槽内の本発明のシステムの概略断面図であり、棒が容器に向け供給されている。
本発明のシステムを有する、銅電解精錬用の槽の斜視図である。
本発明は、ステンレス鋼から形成されまっすぐな薄い直方体の形状にされた容器(10)により構成される再使用可能なアノードシステムに関するものであり、容器は、その前面及び後面に複数の孔(11)を有し、孔が外部と内部を連通させることにより、電解質が前記容器(10)に入ることができるようになっている。
容器(10)は、上部部分では、容器(10)の内部(15)が延びる突出部(16)によって、電気的接触棒(12、13)の位置よりも高く突出し、複数の銅棒(14)の抜き取り及び設置区域を形成する。
押し出し及び線引きの工程から来る銅棒(14)は、容器(10)の内部(15)で群をなし、これによって本発明のアノードシステムを形成する。これらの棒(14)は、円形断面を有する筒の形状にされている。
複数の銅棒(14)の面(17)とともに、それは、複数の半円筒により形成された螺旋形状を有しており、前記面は、従来技術のアノード面よりも40%大きい。
容器(10)と、前記容器(10)の内部(15)に位置する一組の棒(14)とを備えたアノードシステムは、電解槽(3)内の電解質中に浸されている。
電解精錬工程が進むにつれて、棒(14)は、その径を減少させ、そして容器(10)の底部に堆積し、これにより、容器(10)の上部にある棒(14)が、前記容器(10)の底部分に向けて移動する。
これにより、容器(10)は、上部空間上に空き空間を残すことが可能になり、そこにさらなる棒(14)が設置され、電解槽(3)から本発明のアノードシステムを取り出さずに連続工程を生み出すようにすることができる。
径が減少した棒(14)は、消失するまで容器(10)の底部に堆積し、このため余剰分すなわちスクラップは生じない。
本発明は、電解精錬工程用の再利用可能なアノードシステムに関するものであり、アノードシステムは、ステンレス鋼から形成されて真っ直ぐな薄い直方体の形状にされた容器から構成されており、容器は、その前面及び後面上に複数の孔を有し、孔が外部と内部を連通させることにより、電解質が前記容器に入ることができるようになっている。上部部分において、この容器は、電気的接触棒の位置よりも高く突出しており、容器の内部が延びた突出部により、複数の銅棒の抜き取り及び設置区域を形成する。押し出し工程及び線引き工程で形成される銅棒は、容器の内部で群をなし、こうして本発明のアノードシステムが形成される。このシステムにより、従来技術の通常工程の余剰分すなわちスクラップをなくすことが可能となる。
高純度銅の製造工程はいくつかの段階を含み、銅精鉱の受け入れとサンプリングから始まる。銅、鉄、硫黄、シリカ、並びに不純物、例えばヒ素、アンチモン、及び亜鉛の濃度に主に従って、銅精鉱を等級付けすることによりそのサンプリングを行うことが重要である。
等級付け段階に引き続いて、精鉱は乾燥段階に入り、ここで湿度は8%から0.2%に低減され、その後、乾燥精鉱は溶融工程に入るが、この目的は、状態変化を実現し、これにより精鉱を固体状態から液体状態へ通過させて、精鉱を含むその他の元素から銅を分離することができるようにすることである。
銅精鉱の溶融物は、銅精鉱が瞬時に自己発火してできる生成物であり、この発火は高温(1200℃超)で生じる。この工程では、濃縮物は固体状態から液体状態へと通過し、精鉱中に存在する原鉱を含む元素は、それらの重量に従って分離され、精錬物(溶融金属)の上部には軽いものが残留し、これはスラグとよばれ、高含有量の鉄及びシリカを含有する相が主であり、その一方で、硫黄に結びついた銅はさらに重く、反応器の下部に濃縮され、これはバビット金属(Babbitt metal)、又は担持金属と呼ばれる。このようにして、反応器から両部分を、異なる高さに位置する湯出し通路を用いて取り出すことにより分離することができる。
溶融反応器、及び炉は、一定に満たされていて恒久的に湯出しされていなければならず、高含有量の銅を有する材料は、液体の形態でポット又は流路を通じて転換工程に送られ、そこでは粗銅と呼ばれる高銅相が製造される(98.5Cu)。この製造物は引き続き、液体の形態でポット又は流路を通じて精錬工程に送られ、ここでは主に、溶解硫黄、溶解酸素などの不純物、及びヒ素、アンチモン、ビスマス、とりわけ鉛などの不純物が除去されて、平均純度99.5%の銅を有する、アノード銅と呼ばれる生成物を最終的に得ることが可能となる。
アノード銅は、鋳型形成され、矩形の幾何学形状に固化させて、図1に示すとおり、耳部(2)を有するアノード板(1)が形成される。アノード銅を鋳造するのに最も使用される形態は、キャスティング・ホイールによるものであり、これは一定量の銅鋳型を備え、ここで銅が1200℃以下の温度で注がれ、一旦、銅がキャスティング・ホイールに注がれると、ホイールが回転し始め、第1段階では精錬銅が、その上部が固体となるまで周囲温度で冷却され始め、続いてこの銅は、上部の水冷及び下部の水冷を含む冷却段階を通過する。この段階では銅は、完全な固体状態に達するまでその温度を低下させ、99.9%Cu以上の銅含有量を有する高純度カソードを製造するために電解精錬工場に送られることになる。
アノード銅は、鋳型(7)上で形成されるが、この鋳型は、アノード板(1)を形成する液体の銅を入れる中央矩形空洞部(8)を備えている。前記鋳型(7)の上部に、そして中央空洞部(8)の隅に向かって、図6及び7に見られるとおり、耳部(2)を備えた液体の銅を入れる二つの空洞(9)が位置している。
精錬装置内では、アノード(1)は電解槽(3)に導入されるが、この電解槽はカソード(4)を有し、このカソードは、使用することになる技術に従って、パーマネント方式であるか、又は母材でできており、各懸垂棒(5)を有する。図2から5に示すとおり、電解槽(3)は酸溶液で満たされており、アノード(1)からカソード(4)に向け銅の電気めっきが生じるように、電流が接触部(6)に印加される。この工程では、アノード(1)は耳部(2)の連続区域までしか浸っておらず、このため、図3にさらに詳細に示すとおり、アノード(1)の上部は電気分解工程に関与せず、従って耳部(2)は、アノードを持ち運び電気的接触のためだけに使用される。
電気分解サイクルの終了時には、アノードのこの部分は、元のままであり、スクラップと呼ばれる未溶解材料とともに、アノードの残りの重要な部分となる。この材料を再び精錬し新規アノード(1)として、完全なサイクルを継続させる必要がある。この生成物は、既存のあらゆる精製装置において形成されており、市場に存在する様々な技術を用いて行われている再処理工程の費用は高い。
本発明が提案するのは、耳部(2)を有するアノード(1)として溶融及び鋳型形成されている銅を、棒の形状にされた銅に置き換えることにより、余剰のスクラップを全く出さないようにすることであり、棒は、押し出し及び線引きの工程から来るものであって、この工程によって銅棒の面品質及び均一性が保証される。
本発明は、これらの銅棒を電解精錬するために、棒容器を備えたアノードシステムの使用を提案したものであり、容器は、その上部部分に、電気的接触のための、耳部の形態をとる二つの突出部を有し、容器の前面及び後面には、棒が電解質と接触するように、前記容器の外部と内部をつなぐ複数の孔を有している。
鋳造工程で形成された後に電解精錬段階を通るアノードによって発生する残渣すなわちスクラップを、最小限に抑える最先端技術でのいくつかの試みがある。このように、例えば、2000年7月25日に公開された文献である、チリ特許出願公開41874号明細書には、銅アノードからの残渣を、それらを鋳型上で直接、再使用して鋳造により新規アノードを製造することによって回収する工程が開示されている。この文献では、銅母アノードの使い古した残渣を、電解工程の最中に抜き出し、同一工程では再使用せず、銅の鋳造における原材料として、好ましくはすべて使用して新規「銅母アノード」を製造し、次にこれを工程に戻し、銅カソード製造のための新規部品として電解槽内に格納することが示されている。この作業では、再溶融を再び実行する際に追加の費用が発生し、これにより、最終製造物がさらに高価になる。非常に大きな割合を占めるこれらの部品(使い古した銅母アノード)は、上部区域の直上で依然として良好な状態にあり、電解槽内で電気的接触が生じている。部品のこの画分は、材料の点から重要な節約になり、従って、新規「銅アノード」の製造費用において大きな影響を有する。節約は、電解工程において機能するサイクルを終えた後の「使い古された銅母アノード」を、その後、回収及び/又は再使用することによっても生じるが、これは、その銅母アノードすべて又は一部分を、全体として穿孔された及び/若しくは曲がった挿入物、又はその一部分として使用して、「新規の銅母アノード」の構成部分とすることによるものであって、挿入物を鋳型上に置き、挿入物上に液体の金属を注ぎ鋳型を満たして新規部品を完成させ、冷却後に離型して使用することができる場合である。
一方、アノードを有しこれを懸垂させた懸垂棒を使用して、過剰分すなわちスクラップを削減する試みがある。よって、例えば、1988年9月28日に公開された文献である、欧州特許第0284128号明細書には、金属の電解精錬におけるアノード又はカソード板用の懸架棒であって、懸架棒の芯が材料曲げに対する高い耐性及び高い機械的耐性を示す材料からなり、良好な電気伝導特性を有する材料の鞘に囲われている懸架棒が開示されている。良好な電気伝導特性を有するこの材料は、例えば銅であり、懸架棒の少なくとも一端部、そして好ましくは両端部の近傍において、少なくとも3cm、そして最長でも5cmの長さにわたって、この鞘は芯の端部につながっている。加えてこの文献では、懸架棒の製造方法が開示されており、その方法では、銅管から始めて、銅鞘を鋼芯全体で線引きするというものである。銅芯と鋼芯を銅管に導入し、続いて鞘を、さらなる芯を追加しつつ線引きして、線引きの結果生じる銅管の長さ変化に実質的に相当する全長にし、そして、生成した棒を、銅芯がある位置で鋸により切断して所望の棒長にする。棒は、場合によっては、中央に向かって二つの留め具を有しており、これらはアノード又はカソードを懸垂させるためのものである。
ここまでに言及したどの文献にも:棒容器と;b)生成される余剰分すなわちスクラップの発生をなくすことを可能にする一群の又は一組の銅棒とを備えたアノードシステムは開示されていない。
本発明が言及するのは、棒容器と、再使用可能なステンレス銅アノードを形成する一群の又は一組の棒とを備えたアノードシステムであり、その構造が、内部に銅棒を積み重ねた銅棒用の容器となるように製造されたものである。この集合体の一般的形状は、精錬銅アノードの形式に、質量及び構成の両方において類似したものであるが、筒状の中実の棒により形成される場合には、それら一組の棒の全面は、平坦な精錬アノードでの均等物よりも40%大きい。
電解精錬工程における銅は、大量の電気エネルギーを使用して電解質溶液中に溶解させる必要があるので、増大した面は溶解速度において影響があり、その溶解速度は、電解質と接触する銅の面がさらに増大するためさらに高速となるので、この理由から、カソード上に同量の精錬銅を堆積させるために使用しなければならないエネルギーは、高速になるほど少量になる。
本構成の別の利点は、これらの棒が溶解するにつれ、棒の径は減少し、従って棒が緻密に詰まり始め群をなしてまとまり始めることである。システムが、その上部に積み重なった銅棒で満たされた状態である限り、銅棒は重量によりこの集合体を締めつけて密に詰め始め、銅の余剰分すなわちスクラップの存在なしに溶解棒の一定の溶解が生じることになる。このように、この電解精錬工程は、容器に銅棒が再設置されるので連続的に維持することができる。
アノード銅塊として棒を使用する別の利点は、棒の製造工程が、押し出し及び線引きの工程を含み、この工程によって、銅棒の面品質及び均一性が保証されるということである。この面品質は、開放鋳型上でなされる精錬銅の現在の鋳造工程では実現できないものである。
前述の理由により、本発明の目的は、電解精錬槽中で加工されたアノードから生じる余剰分すなわちスクラップを完全になくすことができるシステムを提供することである。
本発明の別の目的は、処理されることになる新規棒を棒容器に再設置することにより、連続的な電解精錬工程を行うことのできるシステムを提供することである。
本発明の別の目的は、従来技術のアノード面に対して40%増加した、電解質と接するアノードの接触面を生み出すことである。
添付図は、本発明のさらに良好な理解を提供するために添付されたものである。それらの図は本記載の一部であり、そして本発明の原理を説明するのに役立つものである。
従来技術によるアノードの斜視図である。
従来技術による電解槽の斜視図であって、電解槽はその中に、アノード及びカソードを有する。
従来技術による電解槽の斜視図であって、電解槽の有するアノード及びカソードは、酸溶液(電解質)より上に持ち上げられている。
従来技術による電解槽の斜視図であって、電解槽の有するアノード及びカソードは、酸溶液(電解質)中に浸されている。
従来技術による電解槽の斜視図であって、電解槽の有するアノード及びカソードは、酸溶液(電解質)中に浸されている。
従来技術によるアノードを形成するための鋳型の正面図である。
従来技術によるアノードを形成するための鋳型の斜視図である。
容器及び銅棒により形成された本発明のシステムの構成要素の分解斜視図である。
本発明のシステムの斜視図であって、銅棒は容器内部にある。
電解槽内の本発明のシステムの概略断面図であり、棒は容器内部にある。
電解槽内の本発明のシステムの概略断面図であり、棒が容器に向け供給されている。
本発明のシステムを有する、銅電解精錬用の槽の斜視図である。
本発明は、ステンレス鋼から形成されまっすぐな薄い直方体の形状にされた容器(10)により構成される再使用可能なアノードシステムに関するものであり、容器は、その前面及び後面に複数の孔(11)を有し、孔が外部と内部を連通させることにより、電解質が前記容器(10)に入ることができるようになっている。
容器(10)は、上部部分では、容器(10)の内部(15)が延びる突出部(16)によって、電気的接触棒(12、13)の位置よりも高く突出し、複数の銅棒(14)の抜き取り及び設置区域を形成する。
押し出し及び線引きの工程から来る銅棒(14)は、容器(10)の内部(15)で群をなし、これによって本発明のアノードシステムを形成する。これらの棒(14)は、円形断面を有する筒の形状にされている。
複数の銅棒(14)の面(17)とともに、それは、複数の半円筒により形成された波形を有しており、前記面は、従来技術のアノード面よりも40%大きい。
容器(10)と、前記容器(10)の内部(15)に位置する一組の棒(14)とを備えたアノードシステムは、電解槽(3)内の電解質中に浸されている。
電解精錬工程が進むにつれて、棒(14)は、その径を減少させ、そして容器(10)の底部に堆積し、これにより、容器(10)の上部にある棒(14)が、前記容器(10)の底部分に向けて移動する。
これにより、容器(10)は、上部空間上に空き空間を残すことが可能になり、そこにさらなる棒(14)が設置され、電解槽(3)から本発明のアノードシステムを取り出さずに連続工程を生み出すようにすることができる。
径が減少した棒(14)は、消失するまで容器(10)の底部に堆積し、このため余剰分すなわちスクラップは生じない。