次に、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
更に、以下に示す第1及び第2の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質や、それらの形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
なお、本明細書において「上面」「下面」等の「上」「下」の定義は、図示した断面図上の単なる表現上の問題であって、例えば、コンデンサ構造体の方位を90°変えて観察すれば「上」「下」の称呼は、「左」「右」になり、180°変えて観察すれば「上」「下」の称呼の関係は逆になることは勿論である。また、「裏面」とは、図示した断面図上の表現の問題であって、「上」「下」の選択の場合と同様に、具体的なコンデンサ構造体の方位を変えれば、その称呼や定義は変わり得ることは勿論である。
(第1の実施形態)
<第1の実施形態のコンデンサ構造体の構成>
本発明の第1の実施形態に係るコンデンサ構造体は、図1に示すように、第1主面(上面)から第2主面(裏面)に貫通する貫通孔を有する導電性基板1と、導電性基板1の貫通孔の側壁面に設けられた誘電膜2と、誘電膜2を介して導電性基板1の貫通孔に埋め込まれた柱状導電領域4a,4b,4c,4dと、柱状導電領域4a〜4dと電気的に接続した第1主電極端子6と、導電性基板1と電気的に接続した第2主電極端子7とを備え、第1主電極端子6と第2主電極端子7との間に電圧が印加される。
なお、導電性基板1は、図1の断面図上では互いに異なる複数の領域のように示されているが、特定の断面図上の表現であって、図2に例示したように、実際には紙面の奥又は手前で連続した一体の領域でもよい。また、誘電膜2も同様に、図1の断面図上では互いに異なる複数の領域のように示されているが、特定の断面図上の表現であって、実際には紙面の奥又は手前で連続した一体の領域でもよい。
導電性基板1は、例えば不純物密度が2×1018〜1×1019cm−3以上程度のn型の低比抵抗シリコン(Si)からなる。導電性基板1の厚さは数百μm程度である。導電性基板1は、図2から分かるように複数の貫通孔を有しており、梯子型形状をなす。誘電膜2は、例えばシリコン酸化膜(SiO2膜)又はシリコン窒化膜(Si3N4膜)等の絶縁膜からなる。誘電膜2は、導電性基板1の複数の貫通孔の側壁面上にそれぞれ配置されるとともに、貫通孔の開口部から連続するように、導電性基板1のすべての表面、即ち上面、裏面及び側面上にまで延長して配置されている。
図1においては、柱状導電領域4a〜4dは、それぞれの上部を導電膜3で、それぞれの下部を下部接続層4vで互いに接続して電気的に一体的に形成されており、互いに同電位をとる。柱状導電領域4a〜4d、導電膜3及び下部接続層4vは、例えば1×1018〜5×1019cm−3程度の高不純物密度にn型不純物を添加した多結晶Si(ドープドポリSi)からなる。柱状導電領域4a〜4d、導電膜3及び下部接続層4vの材料としては、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、タングステン(W)等の金属も使用可能である。なお、柱状導電領域4a〜4d、導電膜3及び下部接続層4vは同一の部材により一体として形成されていても、個別の部材から形成されていてもよい。柱状導電領域4a〜4d、導電膜3及び下部接続層4vが個別の部材からなる場合でも、互いに同じ材料を使用してもよく、互いに異なる材料を使用してもよい。
柱状導電領域4a〜4dは、導電性基板1に設けられた複数の貫通孔に、誘電膜2を介してそれぞれ埋め込まれている。柱状導電領域4a〜4dは、例えば垂直側壁を有する円柱状や角柱状であってもよく、テーパをなす円錐状や角錐状であってもよい。柱状導電領域4a〜4dは、導電膜3を介して第1主電極端子6に電気的に接続されている。導電膜3は、柱状導電領域4a〜4dの上端及び第1主電極端子6の下部に接するように、導電性基板1の上面及び側面上に誘電膜2を介して配置されている。下部接続層4vは、柱状導電領域4a〜4dの下端に接するように、導電性基板1の裏面上に誘電膜2を介して配置され、導電膜3に接続されている。なお、柱状導電領域4a〜4dの上端と第1主電極端子6の下部との間に導電膜3が配置されておらず、柱状導電領域4a〜4dの上端と第1主電極端子6の下部とが直接接していてもよい。
導電膜3及び下部接続層4vを覆うように、SiO2膜やSi3N4膜等からなる絶縁膜5が配置されている。図1の左側において、導電膜3の上面側の絶縁膜5には開口部(コンタクトホール)が開口している。このコンタクトホールにはT字型をなす第1主電極端子6の下部が導電膜3と接するように埋め込まれ、第1主電極端子6と導電膜3とが互いに同電位をとる。
また、図1の右側において、導電性基板1の上面側の誘電膜2、導電膜3及び絶縁膜5を貫通する複数の開口部(コンタクトホール)が開口している。この複数のコンタクトホールには第2主電極端子7の一部であるランド部7uの下面に設けられた複数のコンタクトプラグ10a,10bが導電性基板1と接するようにそれぞれ埋め込まれ、第2主電極端子7と導電性基板1とが互いに同電位をとる。コンタクトプラグ10a,10bの側壁には、コンタクトプラグ10a,10bと導電膜3とを絶縁するように、SiO2膜やSi3N4膜等からなるプラグ側壁絶縁膜8a,8bが配置されている。
第1主電極端子6、ランド部7u及びコンタクトプラグ10a,10bの材料としては、例えばAl、Cu、Au、W等の金属がそれぞれ使用可能である。第1主電極端子6、ランド部7u及びコンタクトプラグ10a,10bは、互いに同じ材料を使用してもよく、互いに異なる材料を使用してもよい。コンタクトプラグ10a,10bをW、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)等の高融点金属とし、ランド部7uをAl、Cu、Au等としてもよい。
第1の実施形態に係るコンデンサ構造体によれば、導電性基板1の貫通孔の側壁面において、導電性基板1、誘電膜2及び柱状導電領域4a〜4dによりコンデンサが構成される。更に、導電性基板1の上面及び側面側において、導電性基板1、誘電膜2及び導電膜3によりコンデンサが構成され、導電性基板1の裏面側において、導電性基板1、誘電膜2及び下部接続層4vによりコンデンサが構成される。
図2は、図1に示したA−A方向から見た第1の実施形態に係るコンデンサ構造体の水平断面図を示す。なお、図2に示すB−B方向からみた縦方向の断面図が図1に対応する。図2に示すように平面的なレイアウトとしてみた場合、導電性基板1は全体が梯子型形状をなして連続しており同電位をとる。
図2においては、コンタクトプラグ10a,10b,10c,10dはA−A方向に沿った水平断面上には存在しないが、説明の便宜上、コンタクトプラグ10a,10b,10c,10dの位置を2点鎖線で模式的に示している。コンタクトプラグ10c,10dは、コンタクトプラグ10a,10bと同様に図1に示したランド部7uとは金属学的に同一の金属で構成されても、異なる金属で構成されていても構わない。
図2に示すように、図1に示した柱状導電領域4a〜4dの上段側に並列に柱状導電領域4e,4f,4g,4hが配置されている。柱状導電領域4a〜4hは、不連続なパターンであるが、図1に示した導電膜3及び下部接続層4vを介して第1主電極端子6に電気的に接続されており、柱状導電領域4a〜4hは互いに同電位をとる。なお、柱状導電領域4a〜4h及びコンタクトプラグ10a〜10dの個数や配置位置は特に限定されず、適宜設定可能である。
次に、第1の実施形態に係るコンデンサ構造体の動作の一例を説明する。図1に示した第1主電極端子6を基準電位として、第2主電極端子7に正の直流電圧を印加すると、負電荷が第1主電極端子6を介して流れ込み、導電膜3と誘電膜2との界面、柱状導電領域4a〜4dと誘電膜2との界面及び下部接続層4vと誘電膜2との界面に蓄積し、コンデンサとして機能する。一方、正電荷が第2主電極端子7を介して流れ込み、導電性基板1と誘電膜2との界面に蓄積し、コンデンサとして機能する。このようにして、第1主電極端子6と第2主電極端子7との間において、導電膜3、誘電膜2及び導電性基板1で構成されるコンデンサと、柱状導電領域4a〜4d、誘電膜2及び導電性基板1で構成されるコンデンサと、下部接続層4v、誘電膜2及び導電性基板1で構成されるコンデンサとの並列回路が機能する。
これとは逆に、図1に示した第1主電極端子6を基準電位として、第2主電極端子7に負の直流電圧を印加すると、正電荷が第1主電極端子6を介して流れ込み、導電膜3と誘電膜2との界面、柱状導電領域4a〜4dと誘電膜2との界面及び下部接続層4vと誘電膜2との界面に蓄積し、コンデンサとして機能する。一方、負電荷が第2主電極端子7を介して流れ込み、導電性基板1と誘電膜2との界面に蓄積し、コンデンサとして機能する。このようにして、第1主電極端子6と第2主電極端子7との間において、導電膜3、誘電膜2及び導電性基板1で構成されるコンデンサと、柱状導電領域4a〜4d、誘電膜2及び導電性基板1で構成されるコンデンサと、下部接続層4v、誘電膜2及び導電性基板1で構成されるコンデンサとの並列回路が機能する。
また、例えば第2主電極端子7に交流信号を印加した場合、交流信号は第2主電極端子7から導電性基板1に伝達され、誘電膜2を経て、柱状導電領域4a〜4d、下部接続層4v及び導電膜3を経由して第1主電極端子6から出力される。このとき、導電性基板1の厚さに依存して柱状導電領域4a〜4dを経由する電流経路長が決まるので、柱状導電領域4a〜4dの部分で抵抗損失が発生する。この抵抗損失による発熱は、導電性基板1の裏面側に位置する下部接続層4v及び絶縁膜5を介して外部に放出でき、更には、導電性基板1の表面側に位置する導電膜3及び第1主電極端子6を介して外部に放出できる。このように、柱状導電領域4a〜4dにおける発熱を効率よく冷却できるので、コンデンサ構造体の温度上昇を抑制できる。したがって、温度上昇に伴う抵抗の増加、即ちコンデンサの等価直列抵抗(ESR)の増加を抑制し、低損失化できる。
<第1の実施形態のコンデンサ構造体の効果>
以上説明したように、第1の実施形態に係るコンデンサ構造体によれば、第1主電極端子6と第2主電極端子7との間に、上面から裏面に貫通する貫通孔を有する導電性基板1と、導電性基板1の貫通孔の側壁面に設けられた誘電膜2と、誘電膜2に介して貫通孔に埋め込まれた柱状導電領域4a〜4dを構成してコンデンサを構成できる。即ち、第1主電極端子6が柱状導電領域4a〜4dと同電位をとり、第2主電極端子7が導電性基板1と同電位をとることにより、第1及び第2主電極端子6,7の2電極によるコンデンサ動作を実現できる。
そして、導電性基板1及び柱状導電領域4a〜4dは低比抵抗の導電性材料からなり、誘電膜2は高比抵抗の絶縁材料からなる。一般的には導電性材料の熱伝導率が絶縁性材料より高く、熱を逃がし易い。したがって、柱状導電領域4a〜4dの側壁は誘電膜2と接しているが、柱状導電領域4a〜4dの上端及び下端は誘電膜2と接していないので、コンデンサ動作時の柱状導電領域4a〜4dにおける発熱が柱状導電領域4a〜4dの上端及び下端を介して逃げ易く、コンデンサ構造体の温度上昇を抑制できる。したがって、温度上昇に伴うコンデンサのESRの増加を防止でき、低損失化できる。
また、電力変換装置(インバータ装置)の平滑コンデンサには大きい容量が求められ、1台のインバータ装置に対して、例えば6インチウェハが数枚必要となる。この平滑コンデンサとして、Si基板の上面側及び下面側に1つずつ電極端子を有するコンデンサ構造体を適用しようとすると非常に実装しにくく、実装できたとしても熱性能が悪化する。これに対して、第1の実施形態に係るコンデンサ構造体によれば、第1及び第2主電極端子6,7の両方が導電性基板1の上面側に配置されているため、非常に実装し易くなる。例えば、第1及び第2主電極端子6,7上に、図14に示すようにインバータの一相分を構成するパワー半導体素子である上アーム素子51及び下アーム素子52を近接して配置でき、素子間の配線インダクタンスを低減できる。
また、誘電膜2が、導電性基板1の貫通孔の側壁だけでなく、導電性基板1の一方の側面上から導電性基板1の表面及び裏面を経て他方の側面上にまで延長し、導電性基板1のすべての表面を覆うように配置されている。更に、導電膜3が、柱状導電領域4a〜4dの上端及び第1主電極端子6に接するように、導電性基板1の上面及び側面上に誘電膜2を介して配置されている。更に、下部接続層4vが、柱状導電領域4a〜4dの下端に接するように、導電性基板1の裏面上に誘電膜2を介して配置され、導電膜3に接続されている。したがって、導電性基板1の上面及び側面側では、導電膜3、誘電膜2及び導電性基板1によりコンデンサの並列回路を構成でき、導電性基板1の裏面側では、下部接続層4v、誘電膜2及び導電性基板1によりコンデンサの並列回路を構成でき、実効的なコンデンサの電極面積が大きくなるので、コンデンサ構造体全体の容量値を更に増大させることができる。
更には、柱状導電領域4a〜4d、誘電膜2及び導電性基板1により構成されるコンデンサと、下部接続層4v、誘電膜2及び導電性基板1により構成されるコンデンサと、導電膜3、誘電膜2及び導電性基板1により構成されるコンデンサとは、同一の誘電膜2を使用して構成できるため、製造が容易となり、容量のばらつきを低減できる。
なお、導電膜3及び下部接続層4vのいずれか一方又は両方が無い構造であってもよい。導電膜3が無い場合には、第1主電極端子6が柱状導電領域4a〜4dの上端に接するように導電性基板1の上面上に誘電膜2を介して配置されることにより、導電性基板1の上面側で第1主電極端子6、誘電膜2及び導電性基板1によりコンデンサを構成できる。下部接続層4vが無い場合には、例えば柱状導電領域4a〜4dの下端が絶縁膜5と接する。
また、導電性基板1がSiからなる場合には、半導体プロセス(Siプロセス)が適用できるので製造が容易となる。更に、Siからなる導電性基板1を酸化することにより、良質なSiO2膜を誘電膜2として形成できる。このSiO2膜は、導電性基板1の全面に高い均一性で形成できるので、製造が容易となり、容量のばらつきを低減できる。また、導電性基板1として、単結晶Si基板の代わりに多結晶Si(ドープドポリSi)基板を使用してもよい。導電性基板1が多結晶Siからなる場合には、単結晶Siからなる場合と同様のコンデンサ動作及び熱の冷却方法となり、単結晶Siを使用する場合よりも安価に製造できる。また、柱状導電領域4a〜4dが多結晶Siからなる場合には半導体プロセス(Siプロセス)を適用でき、且つ深い貫通孔内にも埋め込み易く、容量のばらつきを低減できる。
<第1の実施形態のコンデンサ構造体の製造方法>
次に、図3〜図13を用いて、第1の実施形態に係るコンデンサ構造体の製造方法の一例を説明する。なお、以下に述べるコンデンサ構造体の製造方法は一例であり、特許請求の範囲に記載した趣旨の範囲であれば、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることは勿論である。
(a)n型の低比抵抗Siからなる導電性基板1を用意し、図3に示すように、ボッシュプロセス等により、導電性基板1の上面から下面に貫通する複数の貫通孔11a,11b,11c,11dを形成する。ボッシュプロセスにおいては、六フッ化硫黄(SF6)ガス等を用いた反応性イオンエッチング(RIE)等の異方性エッチング工程と、オクタフルオロシクロブタン(C4F8)ガスを用いた保護膜の堆積工程とを交互に繰り返すことにより、垂直側壁をなすように導電性基板1を深掘りすることができる。
(b)次に、図4に示すように、熱酸化法等により、導電性基板1のすべての露出面にSiO2膜を誘電膜2として形成する。例えば、導電性基板1を酸素(O2)雰囲気中、1000℃程度で加熱することにより、導電性基板1のO2に触れるすべての表面にSiO2膜を形成することができる。SiO2膜の厚さは必要とされる耐圧に応じて適宜設定可能である。SiO2膜を誘電膜2とする場合は、導電性基板1の露出面に直接形成できるため、高い均一性を実現できる。なお、Si3N4膜を誘電膜2とする場合は、モノシラン(SiH4)ガス又はジクロルシラン(SiH2Cl2)ガス及びアンモニア(NH3)ガス等を用いた減圧気相化学成長(LPCVD)法を用いて均一な誘電膜2を得ることができる。
(c)次に、水素(H2)をキャリアガスとして、SiH4ガス又はSiH2Cl2ガス等を原料ガスとして流すLPCVD法等により、導電性基板1のすべての表面上に位置する誘電膜2上に多結晶Si層を堆積する。多結晶Si層の厚さは、導電性基板1の貫通孔11a〜11dに接する誘電膜2が対向して離間する幅の1/2よりも厚くすることにより、導電性基板1の貫通孔11a〜11dを、誘電膜2を介して多結晶Siで埋めることができる。LPCVDの際、導電性基板1の下面側がサセプタに接する平置きの堆積をする場合は、下部接続層4vが堆積されないので、表裏を換えて2回LPCVDをすればよい。導電性基板1の端部をサセプタの溝に挟んだ縦置きの場合は、導電性基板1の上面及び裏面に同時に堆積できるが、必要に応じてサセプタに挟んだ部分については位置を換えてLPCVDをすればよい。その後、例えば950℃程度、塩化ホスホリル(POCl3)中でアニールすることで、多結晶Si層に燐(P)をドープする等の拡散処理によってn型不純物をドープし、導電性を持たせたドープドポリSi層を形成することができる。或いはLPCVDの際にフォスフィン(PH3)、アルシン(AsH3)のドーピングガスを同時に流すことによりn型のドープドポリSi層を形成できる。この結果、図5に示すように、n型の多結晶Si層4が図1に示した導電膜3、柱状導電領域4a〜4d及び下部接続層4vを一括で形成できる。図1に示したように、柱状導電領域4a〜4dは、導電性基板1の貫通孔に誘電膜2を介して埋め込まれる。導電膜3は、柱状導電領域4a〜4dの上端に接するように、導電性基板1の上面及び側面上に誘電膜2を介して形成される。下部接続層4vは、柱状導電領域4a〜4dの下端に接するように、導電性基板1の裏面上に誘電膜2を介して形成される。なお、必要に応じて、導電膜3の上面及び下部接続層4vの下面を化学的機械研磨(CMP)等で平坦化してもよい。
(d)次に、図6に示すように、LPCVD法等により、多結晶Si層4上にSiO2膜又はSi3N4膜からなる絶縁膜5を堆積する。絶縁膜5の厚さは、必要とされる耐圧に応じて適宜設定可能である。なお、Si3N4膜が厚い場合には堆積し難い場合があるので、SiO2膜との複合膜としてもよい。Si3N4膜を堆積する他の方法としては、プラズマCVD法を採用可能である。プラズマCVD法では一般的にプラズマに対向する表面しか均一に成膜できないため、多結晶Si層4のすべての表面にSi3N4膜を堆積するには、数回に分けて異なる表面をプラズマと対向させてSi3N4膜を堆積すればよい。
(e)次に、図7に示すように、導電性基板1の上面側に位置する絶縁膜5上に、スピンナー等を用いてフォトレジスト膜12を塗布する。このフォトレジスト膜12に対してフォトリソグラフィ技術を用いてパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜12をマスクとして用いて、ドライエッチング法等により、導電性基板1上に位置する絶縁膜5、導電膜3、誘電膜2のそれぞれの一部を順次選択的に除去する。この結果、図8に示すように、導電性基板1の上面を露出するコンタクトホール10x,10yが形成される。その後、残存したフォトレジスト膜12をO2プラズマ等で除去する。
(f)次に、図9に示すように、熱酸化法等により、コンタクトホール10x,10yの側壁部に露出した導電膜3の端部及びコンタクトホール10x,10yの底部に露出した導電性基板1の上面にSiO2膜8a,8bを形成する。その後、指向性の高い異方性ドライエッチング法等により、マスクを用いないでコンタクトホール10x,10yの底面に露出している導電性基板1の上面に形成されたSiO2膜8a,8bを選択的に除去する。この結果、図10に示すように、コンタクトホール10x,10yの側壁部に露出した導電膜3の端部にSiO2膜からなるプラグ側壁絶縁膜8a,8bが形成される。
(g)次に、図11に示すように、導電性基板1の表面側に位置する絶縁膜5上に、スピンナー等を用いてフォトレジスト膜12aを塗布する。このフォトレジスト膜12aに対してフォトリソグラフィ技術を用いてパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜12aをマスクとして用いて、ドライエッチング法等により、絶縁膜5の一部を選択的に除去する。この結果、図12に示すようにコンタクトホール9xが開口する。その後、残存したフォトレジスト膜12aをO2プラズマ等で除去する。
(h)次に、蒸着法、スパッタ法又はCVD法等により、導電性基板1の上面側に位置する絶縁膜5上にAl等の金属膜15を堆積し、CMP等により、図13に示すように金属膜15を平坦化する。この際、有機金属(MO)CVD法を用いることにより、トリメチルアルミニウム(TMA)等の反応ガスと触れるすべての領域にAlを堆積できるため、第1及び第2主電極端子6,7を形成する領域に金属膜15を同時に堆積できる。そして、金属膜15上にスピンナー等を用いてフォトレジスト膜を塗布して、フォトリソグラフィ技術によりフォトレジスト膜をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして用いて、ドライエッチング等により、金属膜15の一部を選択的に除去する。その結果、図1に示した第1及び第2主電極端子6,7が形成され、第1の実施形態に係るコンデンサ構造体が完成する。なお、第1及び第2主電極端子6,7は、Alからなる単層構造の代わりに、図1に示すようにW,Mo,Ti等の高融点金属からなるコンタクトプラグ10a,10bとAl,Cu,Au等からなるランド部7uとの積層構造としてもよい。また、図13に示す構造において、第2主電極端子7をTiとAlとの積層構造としてもよい。
第1の実施形態に係るコンデンサ構造体の製造方法によれば、コンデンサ動作時の発熱による温度上昇を抑制でき、コンデンサ動作時の損失を低減できるコンデンサ構造体を実現可能となる。また、図5に示すようにドープドポリSi層4が図1に示した導電膜3、柱状導電領域4a〜4d及び下部接続層4vを一括して同時に形成することにより、安価で膜ばらつきが少なく、高い信頼性の導電膜3、柱状導電領域4a〜4d及び下部接続層4vが得られる。また、図13に示した金属膜15から第1及び第2主電極端子6,7を同時に形成することにより、安価で膜ばらつきが少なく、高い信頼性の第1及び第2主電極端子6,7が得られる。
<第1の実施形態のコンデンサモジュール>
第1の実施形態に係るコンデンサモジュールは、図14に示すように、第1の実施形態に係るコンデンサ構造体100と、コンデンサ構造体100上に配置された上アーム素子51及び下アーム素子52とを備えて、インバータの一相分を構成するインバータモジュールである。コンデンサ構造体100は平滑コンデンサとして機能する。上アーム素子51及び下アーム素子52は、インバータの一相分のパワー半導体素子であり、三相のインバータであれば他に同様なインバータモジュールが二相分存在する。上アーム素子51及び下アーム素子52を構成するパワー半導体素子としては、IGBTやMOSFET等のスイッチング素子が採用可能である。または、ダイオード素子も可能であるし、ダイオード機能を有するスイッチング素子も可能であるし、ダイオードとスイッチング素子の並列したものも可能である。
例として、上記の上アーム素子51及び下アーム素子52はMOSFETトランジスタである場合、上アーム素子51は、コンデンサ構造体100の第1主電極端子6上に配置され、上アーム素子51の第1電極(例えばドレイン電極)が第1主電極端子6に電気的に接続されている。一方、下アーム素子52は、コンデンサ構造体100の第2主電極端子7上に配置され、下アーム素子52の第1電極(例えばソース電極)が第2主電極端子7に電気的に接続されている。上アーム素子51の第2電極(例えばソース電極)と下アーム素子52の第2電極(例えばドレイン電極)とは、中間電極53を介して互いに電気的に接続されており、これによりインバータモジュールとして動作することが可能となる。
第1の実施形態に係るコンデンサモジュールによれば、コンデンサ動作時には、コンデンサ構造体100を利用して上アーム素子51及び下アーム素子52における発熱を逃がすことができる。また、Si基板の上面側及び裏面側に1つずつ電極を配置したコンデンサ構造体の場合、各電極と接続するために上アーム素子及び下アーム素子をSi基板の上面側及び裏面側にそれぞれ配置することになり、上アーム素子及び下アーム素子を互いに接続することが困難となる。これに対して、第1の実施形態に係るコンデンサモジュールによれば、コンデンサ構造体100の第1及び第2主電極端子6,7の両方が導電性基板1の上面側に配置されているので、上アーム素子51及び下アーム素子52の両方を導電性基板1の上面側に近接して配置でき、上アーム素子51及び下アーム素子52を互いに接続することが容易となる。更に、第1及び第2主電極端子6,7と、上アーム素子51のソース電極及び下アーム素子52のドレイン電極とが直接接続されているため、モジュールの内部寄生インダクタンスを低減でき、パワー半導体素子のスイッチング動作時に発生するサージ成分を低減でき、低損失なコンデンサモジュールを実現可能となる。
なお、図14においては第1主電極端子6上に上アーム素子51を配置し、第2主電極端子7上に下アーム素子52を配置した場合を説明したが、これとは逆に、第1主電極端子6上に下アーム素子52を配置し、第2主電極端子7上に上アーム素子51を配置してもよい。
第1の実施形態に係るコンデンサモジュールの製造方法としては、第1の実施形態に係るコンデンサ構造体100を用意し、コンデンサ構造体100の第1及び第2主電極端子6,7に、上アーム素子51のドレイン電極及び下アーム素子52のソース電極を半田付けやろう付け、圧着等により接着する。その後、上アーム素子51のソース電極と下アーム素子52のドレイン電極とを中間電極53を介して接続することにより第1の実施形態に係るコンデンサモジュールが製造可能である。
(第1の実施形態の第1の変形例)
第1の実施形態の第1の変形例に係るコンデンサ構造体は、図15に示すように、導電性基板1の上面側に位置する導電膜3上に配置された金属膜13aと、導電性基板1の裏面側に位置する下部接続層4v上に配置された金属膜13bとを更に備える点が、図1に示した構造と異なる。金属膜13aは導電膜3とは異なる金属材料からなり、金属膜13bは下部接続層4vとは異なる金属材料からなる。例えば、導電膜3及び下部接続層4vが多結晶Siからなる場合に、金属膜13a,13bをAl又は、W,Mo,Ti等の高融点金属としてもよく、更に金属膜13a,13bをWSi2,MoSi2,TiSi2等の高融点金属のシリサイドとして、下層の多結晶Siとでポリサイドの構成をなしてもよい。
第1の実施形態の第1の変形例に係るコンデンサ構造体によれば、導電性基板1の上面側に位置する導電膜3上に配置された金属膜13aと、導電性基板1の裏面側に位置する下部接続層4v上に配置された金属膜13bとを更に備えることにより、コンデンサのESRを低減でき、コンデンサ動作時の発熱を低減できる。
第1の実施形態の第1の変形例に係るコンデンサ構造体の製造方法としては、図5に示すように、図15の柱状導電領域4a〜4d、導電膜3及び下部接続層4vを実現する多結晶Si層4を形成した後、スパッタ法やMOCVD法等により、導電膜3及び下部接続層4vとなる多結晶Si層4上に金属膜13a,13bを堆積する。更に、図8に示す工程と同様にコンタクトホール10x,10yを開口した後には、熱酸化法を使用する代わりに、LPCVD法等によりSiO2膜又はSi3N4膜からなる絶縁膜を堆積する。その後、エッチバックすることによりコンタクトホール10x,10yの底面に位置する絶縁膜を選択的に除去する。この結果、コンタクトホール10x,10yの側壁部に露出する金属膜13a及び導電膜3の端部上の絶縁膜が残存し、プラグ側壁絶縁膜が形成される。
(第1の実施形態の第2の変形例)
第1の実施形態の第2の変形例に係るコンデンサ構造体は、図16に示すように、導電性基板1の裏面(第2主面)側に配置された冷却機構(第2主面冷却機構)23を更に備える点が、図1に示した第1の実施形態に係るコンデンサ構造体の構成と異なる。冷却機構23としては、例えば銅板や、一般的なパソコンの中央演算処理装置(CPU)用冷却フィン、自動車用の水冷機構等の種々の冷却機構が採用可能であり、特に限定されない。
第1の実施形態の第2の変形例に係るコンデンサ構造体において、コンデンサ動作時の発熱、特に柱状導電領域4a〜4dにおける発熱は、導電性基板1の裏面側に位置する下部接続層4v及び絶縁膜5を介して冷却機構23に逃がすことができるので、効率よく冷却できる。また、冷却機構23は絶縁膜5と接しているので、冷却機構23上に絶縁層等を新たに介在させなくても、冷却機構23を下部接続層4vや柱状導電領域4a〜4dの下端等と絶縁できる。
従来のコンデンサ構造体において、Si基板に設けた穴に第1及び第2の導電体で誘電体を挟んでコンデンサを構成した構造の裏面側に冷却機構を配置した場合には、第1及び第2の導電体での発熱は、誘電膜及びSi基板を介して冷却機構へ逃げる。誘電体は基本的には絶縁体であり、熱伝導率が非常に低いので、冷却機構を用いたとしても高い冷却性能が得られない。これに対して、第1の実施形態の第2の変形例に係るコンデンサ構造体によれば、導電性基板1の裏面側に位置する絶縁膜5上に冷却機構23を配置することにより、コンデンサ動作時の柱状導電領域4a〜4dでの発熱は、柱状導電領域4a〜4dの上端及び下端から誘電膜2を介さずに冷却機構23へ逃がすことができるので、効率的に冷却できる。このため、コンデンサ構造体の冷却性能を向上させることができ、温度上昇を抑制できる。したがって、温度上昇によるESRの上昇を防止でき、低損失化できる。
第1の実施形態の第2の変形例に係るコンデンサ構造体の製造方法としては、第1の実施形態に係るコンデンサ構造体を用意し、導電性基板1の裏面側の絶縁膜5と冷却機構23とを接着材等により接着すればよい。例えば、冷却機構23の表面で半田を溶融させ、溶融した半田上に第1の実施形態に係るコンデンサ構造体を搭載した後、半田を冷却して硬化させればよい。
(第2の実施形態)
<第2の実施形態のコンデンサ構造体の構成>
本発明の第2の実施形態に係るコンデンサ構造体は、図17に示すように、第1主面(上面)から第2主面(裏面)に貫通する貫通孔を有する導電性基板1と、導電性基板1の貫通孔の側壁面に設けられた誘電膜2と、誘電膜2を介して貫通孔に埋め込まれた柱状導電領域4a〜4dと、柱状導電領域4a〜4dと電気的に接続した第1主電極端子6と、導電性基板1と電気的に接続した第2主電極端子7とを備える。第2の実施形態に係るコンデンサ構造体は更に、導電性基板1の裏面側に柱状導電領域4a〜4dと電気的に接続するように配置された第1補助電極端子16と、導電性基板1の裏面側に導電性基板1と電気的に接続するように配置された第2補助電極端子17とを備える点が、図1に示した第1の実施形態に係るコンデンサ構造体と異なる。
第1主電極端子6と第1補助電極端子16とは互いに同一電位で用い、第2主電極端子7と第2補助電極端子17とは互いに同一電位として用いる。なお、第1主電極端子6、第1補助電極端子16、第2主電極端子7及び第2補助電極端子17の名称は単に選択の問題であり、第1主電極端子6と第1補助電極端子16とは等価な電極であり、第2主電極端子7と第2補助電極端子17とは等価な電極である。したがって、第1補助電極端子16を「第1主電極端子」、第1主電極端子6を「第1補助電極端子」と呼び、第2補助電極端子17を「第2主電極端子」、第2主電極端子7を「第2補助電極端子」と呼んでもよい。第1及び第2補助電極端子16,17は、例えばAl等の互いに同一の金属材料を使用してもよく、互いに異なる材料を使用してもよい。第1及び第2補助電極端子16,17は、第1及び第2主電極端子6,7と同一材料を使用してもよく、異なる材料を使用してもよい。
第1補助電極端子16は、第1主電極端子6と導電性基板1を挟んで対向する位置に配置されている。図17においては、第1補助電極端子16の電極面は第1主電極端子6の電極面と対向している。T字型をなす第1補助電極端子16の上部が、導電性基板1の裏面側に位置する絶縁膜5に開口された開口部(コンタクトホール)を埋めて下部接続層4vに接しており、第1補助電極端子16と下部接続層4vとは同電位をとる。
第2補助電極端子17は、第2主電極端子7と導電性基板1を挟んで対向する位置に配置されている。図17においては、第2補助電極端子17の電極面は第2主電極端子7の電極面と対向している。第2補助電極端子17の一部として、第2補助電極端子17から上方に突出したコンタクトプラグ20a,20bが、導電性基板1の裏面側に位置する絶縁膜5、下部接続層4v及び誘電膜2を貫通して開口された開口部(コンタクトホール)を埋めて導電性基板1に接しており、第2補助電極端子17と導電性基板1とは同電位をとる。コンタクトプラグ20a,20bの側壁部分には、コンタクトプラグ20a,20bと導電膜3とを絶縁するためのプラグ側壁絶縁膜18a,18bが配置されている。第2の実施形態に係るコンデンサ構造体の他の構成は、第1の実施形態に係るコンデンサ構造体の構成と同様であるので、重複した説明を省略する。
第2の実施形態に係るコンデンサ構造体の動作方法は、第1主電極端子6と第1補助電極端子16とは互いに同一電位とし、第2主電極端子7と第2補助電極端子17とを互いに同一電位として動作させれば、第1の実施形態に係るコンデンサ構造体の動作方法と同様であるので、重複した説明を省略する。第2の実施形態に係るコンデンサ構造体の動作時の発熱は、導電性基板1の裏面側から高い熱伝導率を有する第1及び第2補助電極端子16,17を介して逃がすことができるので、第1の実施形態に係るコンデンサ構造体よりも効率よく冷却できる。
<第2の実施形態のコンデンサ構造体の効果>
以上説明したように、第2の実施形態に係るコンデンサ構造体によれば、第1主電極端子6と第2主電極端子7との間に、上面から裏面に貫通する貫通孔を有する導電性基板1と、導電性基板1の貫通孔の側壁面に設けられた誘電膜2と、誘電膜2を介して導電性基板1の貫通孔に埋め込まれた柱状導電領域4a〜4dを構成してコンデンサを構成できる。即ち、第1主電極端子6が柱状導電領域4a〜4dと同電位をとり、第2主電極端子7が導電性基板1と同電位をとることにより、第1及び第2主電極端子6,7の2電極によるコンデンサ動作を実現できる。
そして、導電性基板1及び柱状導電領域4a〜4dは低比抵抗の導電性材料からなり、誘電膜2は高比抵抗の絶縁材料からなる。一般的には導電性材料の熱伝導率が絶縁性材料より高く、熱を逃がし易い。したがって、柱状導電領域4a〜4dの垂直側壁は誘電膜2と接しているが、柱状導電領域4a〜4dの上端及び下端は誘電膜2と接していないので、コンデンサ動作時の柱状導電領域4a〜4dにおける発熱は、柱状導電領域4a〜4dの上端及び下端から柱状導電領域4a〜4dの外部へ逃げ易い。このため、コンデンサ構造体の温度上昇を抑制できる。したがって、温度上昇に伴うコンデンサのESRの増加を防止でき、低損失化できる。
また、第1及び第2主電極端子6,7の両方が、導電性基板1の上面側に配置されているため、非常に実装し易くなる。例えば、図24に示すように第1及び第2主電極端子6,7上に、インバータの一相分のパワー半導体素子である上アーム素子51及び下アーム素子52を近接して配置でき、素子間の配線インダクタンスを低減できる。
また、誘電膜2が、導電性基板1の貫通孔の側壁面だけでなく、導電性基板1の一方の側面上から導電性基板1の表面、裏面を経て他方の及び側面上にまで延長し、導電性基板1のすべての表面を覆うように配置されている。更に、導電膜3が、柱状導電領域4a〜4dの上端及び第1主電極端子6に接するように、導電性基板1の上面及び側面上に誘電膜2を介して配置されている。更に、下部接続層4vが、柱状導電領域4a〜4dの下端に接するように、導電性基板1の裏面上に誘電膜2を介して配置され、導電膜3に接続されている。したがって、導電性基板1の上面及び側面側では、導電膜3、誘電膜2及び導電性基板1によりコンデンサの並列回路を構成でき、導電性基板1の裏面側では、下部接続層4v、誘電膜2及び導電性基板1によりコンデンサの並列回路を構成でき、実効的なコンデンサの電極面積が大きくなるので、容量を増大させることができる。なお、導電膜3が無い場合には、第1主電極端子6が柱状導電領域4a〜4dの上端に接するように導電性基板1の上面上に誘電膜2を介して配置されることにより、導電性基板1の上面側で第1主電極端子6、誘電膜2及び導電性基板1によりコンデンサを構成できる。
更には、柱状導電領域4a〜4d、誘電膜2及び導電性基板1により構成されるコンデンサと、導電膜3、誘電膜2及び導電性基板1により構成されるコンデンサと、下部接続層4v、誘電膜2及び導電性基板1により構成されるコンデンサは、同一の誘電膜2を使用してコンデンサを実現できるため、製造が容易となり、容量のばらつきを低減できる。
また、導電性基板1がSiからなる場合には、半導体プロセス(Siプロセス)が適用できるので製造が容易となる。更に、Siからなる導電性基板1を酸化することにより、良質なSiO2膜を誘電膜2として形成できる。このSiO2膜は、導電性基板1の全面に高い均一性で形成できるので、製造が容易となり、容量のばらつきを低減できる。また、導電性基板1として、単結晶Si基板の代わりに多結晶Si(ドープドポリSi)基板を使用してもよい。導電性基板1が多結晶Siからなる場合には、単結晶Siからなる場合と同様のコンデンサ動作及び熱の冷却方法となり、単結晶Siを使用する場合よりも安価に製造できる。また、柱状導電領域4a〜4dが多結晶Siからなる場合には半導体プロセス(Siプロセス)を適用でき、且つ深い貫通孔内にも埋め込み易く、容量のばらつきを低減できる。
また、導電性基板1の裏面側に配置された第1及び第2補助電極端子16,17を更に備えることにより、実装の自由度を向上させることができる。例えば、第2の実施形態に係るコンデンサ構造体をインバータの平滑コンデンサに適用する場合には、導電性基板1の表面側に位置する第1及び第2主電極端子6,7をパワー半導体素子に接続し、導電性基板1の裏面側に位置する第1及び第2補助電極端子16,17をDC電源の正極及び負極に接続できる。
また、特に第1及び第2補助電極端子16,17が熱伝導率の高い金属材料からなる場合には、コンデンサ動作時の柱状導電領域4a〜4dでの発熱を、導電性基板1の表面側に位置する第1及び第2主電極端子6,7と、導電性基板1の裏面側に位置する第1及び第2補助電極端子16,17との両方へ逃がすことができるので、コンデンサの温度上昇を抑制できる。したがって、温度上昇に伴うESRの増加を防止可能となり、低損失化できる。
また、導電性基板1の上面側に位置する第1主電極端子6の電極面の少なくとも一部と導電性基板1の裏面側に位置する第1補助電極端子16の電極面の少なくとも一部とが互いに対向し、導電性基板1の表面側に位置する第2主電極端子7の電極面の少なくとも一部と導電性基板1の裏面側に位置する第2補助電極端子17の電極面の少なくとも一部とが互いに対向していることにより、第2の実施形態に係るコンデンサ構造体を複数個積層したときに、積層方向で隣接する下側のコンデンサ構造体の上面側に配置された第1及び第2主電極端子6,7と、上側のコンデンサ構造体の下面側に配置された第1及び第2補助電極端子16,17とをそれぞれ接続できる。したがって、複数個のコンデンサ構造体を容易に並列接続でき、容量の増設が容易となる。なお、第1主電極端子6の電極面と第1補助電極端子16の電極面とは必ずしも互いに対向していなくてもよく、第2主電極端子7の電極面と第2補助電極端子17の電極面とは必ずしも互いに対向していなくてもよい。
<第2の実施形態のコンデンサ構造体の製造方法>
次に、第2の実施形態に係るコンデンサ構造体の製造方法の一例を説明する。なお、以下に述べるコンデンサ構造体の製造方法は、一例であり、特許請求の範囲に記載した趣旨の範囲であれば、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることは勿論である。
(a)第1の実施形態に係るコンデンサ構造体の製造方法と同様に、図3〜図8に示した工程を経て、導電性基板1の上面を露出するコンタクトホール10x,10yを開口する。そして、コンタクトホール10x,10yの開口工程と同様な工程を繰り返すことにより、図18に示すように、導電性基板1の裏面を露出するコンタクトホール20x,20yを開口する。
(b)次に、図19に示すように、熱酸化法等により、コンタクトホール10x,10yに絶縁膜(SiO2膜)8a,8bを、コンタクトホール20x,20yにも絶縁膜(SiO2膜)18a,18bを同時に形成する。その後、指向性の高いドライエッチング等により、コンタクトホール10x,10yの底部に露出した絶縁膜8a,8bと、コンタクトホール20x,20yの底部に露出した絶縁膜18a,18bとを順次選択的に除去する。この結果、図20に示すように、コンタクトホール10x,10yの側壁部に露出した図17に示した導電膜3となる多結晶Si層4の端部にプラグ側壁絶縁膜8a,8bが形成され、コンタクトホール20x,20yの側壁に露出した図17に示した下部接続層4vとなる多結晶Si層4の端部にプラグ側壁絶縁膜18a,18bが形成される。
(c)次に、図21に示すように、導電性基板1の上面側に位置する絶縁膜5上に、スピンナー等を用いてフォトレジスト膜12bを塗布して、フォトリソグラフィ技術によりフォトレジスト膜12bをパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜12bをマスクとして用いて、ドライエッチング等により絶縁膜5の一部を選択的に除去することにより、図17に示した導電膜3となる多結晶Si層4の上面を露出するようにコンタクトホール9xを開口する。その後、フォトレジスト膜12bをO2プラズマ等で除去する。
(d)次に、図22に示すように、導電性基板1の裏面側に位置する絶縁膜5上に、スピンナー等を用いてフォトレジスト膜12cを塗布して、フォトリソグラフィ技術によりフォトレジスト膜12cをパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜12cをマスクとして用いて、ドライエッチング等により絶縁膜5の一部を選択的に除去することにより、図17に示した下部接続層4vとなる多結晶Si層4の裏面を露出するようにコンタクトホール19xを開口する。その後、フォトレジスト膜12bをO2プラズマ等で除去する。
(e)その後、MOCVD法等により、導電性基板1の上面側及び裏面側に、導電性基板1を露出するコンタクトホール10x,10y,20x,20y及び多結晶Si層4を露出するコンタクトホール9x,19xを埋め込むように、Al等からなる金属膜15a,15bを一括して堆積し、図23に示すように、CMP等により順次平坦化する。その後、図17に示すようにフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術等によるメタライゼーション工程を上面側と裏面側で順次繰り返して金属膜15a,15bの一部を選択的に順次除去する。この結果、図17に示すように、導電性基板1の上面側に第1及び第2主電極端子6,7がパターニングされ、導電性基板1の裏面側に第1及び第2補助電極端子16,17がパターニングされ、第2の実施形態に係るコンデンサ構造体が完成する。
第2の実施形態に係るコンデンサ構造体の製造方法によれば、コンデンサ動作時の発熱による温度上昇を抑制でき、コンデンサ動作時の損失を低減できるコンデンサ構造体を実現可能となる。更に、導電膜3、下部接続層4v及び柱状導電領域4a〜4dを同時に製造することで、安価で膜ばらつきが少なく、高い信頼性の導電膜3、下部接続層4v及び柱状導電領域4a〜4dが得られる。更に、図23に示した金属膜15a,15bから、第1及び第2主電極端子6,7並びに第1及び第2補助電極端子16,17を一括して同時に形成することで、安価で膜ばらつきが少なく、高い信頼性の第1及び第2主電極端子6,7並びに第1及び第2補助電極端子16,17が得られる。
<第2の実施形態のコンデンサモジュール>
第2の実施形態に係るコンデンサモジュールは、図24に示すように、第2の実施形態に係るコンデンサ構造体101と、コンデンサ構造体101上に配置された上アーム素子51及び下アーム素子52とを備えて、インバータの一相分を構成するインバータモジュールである。コンデンサ構造体101は平滑コンデンサとして機能する。上アーム素子51及び下アーム素子52は、インバータの一相分のパワー半導体素子であり、三相のインバータであれば他に同様なインバータモジュールが二相分存在する。上アーム素子51及び下アーム素子52を構成するパワー半導体素子としては、IGBTやMOSFET等のスイッチング素子が採用可能である。または、ダイオード素子も可能であるし、ダイオード機能を有するスイッチング素子も可能であるし、ダイオードとスイッチング素子の並列したものも可能である。
例として、上記の上アーム素子51及び下アーム素子52はMOSFETトランジスタである場合、上アーム素子51は、第1主電極端子6上に配置され、上アーム素子51のドレイン電極が第1主電極端子6に電気的に接続されている。一方、下アーム素子52は、第2主電極端子7上に配置され、下アーム素子52のソース電極が第2主電極端子7に電気的に接続されている。上アーム素子51のソース電極と、下アーム素子52のドレイン電極とは、中間電極53を介して電気的に接続されており、これによりインバータモジュールとして動作することが可能となる。
第2の実施形態に係るコンデンサモジュールによれば、第1の実施形態に係るコンデンサモジュールと同様に、コンデンサ構造体101を利用してパワー半導体素子における発熱を逃がすことができる。また、コンデンサ構造体101の第1及び第2主電極端子6,7と、上アーム素子51及び下アーム素子52の電極が直接接続されているため、モジュールの内部寄生インダクタンスを低減でき、パワー半導体素子のスイッチング動作時に発生するサージ成分が低減でき、低損失なモジュールを実現可能となる。
更に、導電性基板1の裏面側に第1及び第2補助電極端子16,17が配置されているので、第1の実施形態に係るコンデンサモジュールよりも実装し易くなる。例えば、導電性基板1の表面側に位置する第1及び第2主電極端子6,7には上アーム素子51及び下アーム素子52等のパワー半導体素子を接続する一方、導電性基板1の裏面側に位置する第1及び第2補助電極端子16,17にはDC電極の正極及び負極を接続できる。
(第2の実施形態の第1の変形例)
第2の実施形態の第1の変形例に係るコンデンサ構造体は、図25に示すように、導電性基板1の両側面側にそれぞれ配置された第1及び第2電極接続部21,22を更に備える点が、第2の実施形態と異なる。第1及び第2電極接続部21,22の材料としては、Al等の金属材料が使用可能である。
第1電極接続部21は絶縁膜5に沿って配置され、第1電極接続部21の上端が第1主電極端子6に接し、第1電極接続部21の下端が第1補助電極端子16に接する。第1主電極端子6と第1補助電極端子16とは第1電極接続部21を介して電気的に接続し、互いに同電位をとる。
第2電極接続部22は絶縁膜5に沿って配置され、第2電極接続部22の上端が第2主電極端子7に接し、第2電極接続部22の下端が第2補助電極端子17に接する。第2主電極端子7と第2補助電極端子17とは第2電極接続部22を介して電気的に接続し、互いに同電位をとる。
第2の実施形態の第1の変形例に係るコンデンサ構造体によれば、両側面側に第1及び第2電極接続部21,22、導電膜3並びに絶縁膜5により追加のコンデンサを構成するので、コンデンサ構造体全体の容量を増大させることができる。また、コンデンサ動作時の発熱は、第1及び第2電極接続部21,22を介しても逃がすことができ、冷却性能を向上させることができる。したがって、コンデンサの温度上昇を抑制でき、温度上昇によるESRの増加を防止でき、低損失化できる。
また、図17に示すように第1電極接続部21が無い場合には、第1主電極端子6と第1補助電極端子16とは、柱状導電領域4a〜4dを介して接続されている。このため、第1主電極端子6と第1補助電極端子16との間の抵抗成分は、柱状導電領域4a〜4dの並列抵抗になるが、柱状導電領域4a〜4dは細長い柱状であり、特に柱状導電領域4a〜4dが多結晶Siからなる場合には、抵抗値が金属よりも高くなり、ESRが増大する。これに対して、第2の実施形態の第1の変形例に係るコンデンサ構造体によれば、第1主電極端子6と第1補助電極端子16との間に、第1主電極端子6と第1補助電極端子16とを電気的に接続する第1電極接続部21が更に並列接続されるので、特に第1電極接続部21が金属からなる場合には、ESRを低減できる。
また、第2主電極端子7と第2補助電極端子17との間には、第2主電極端子7と第2補助電極端子17とを電気的に接続する導電性基板1及び第2電極接続部22が更に並列接続されるので、並列抵抗を低減できる。したがって、コンデンサのESRを低減でき、損失を低減可能となる。
また、第1主電極端子6及び第1補助電極端子16と、第2主電極端子7及び第2補助電極端子17が、導電性基板1の表面側及び裏面側で対向して配置されており、複数個のコンデンサ構造体を積層することにより並列接続できる。したがって、容易に容量を増大させることができ、実装し易くなる。
第2の実施形態の第1の変形例に係るコンデンサ構造体の製造方法としては、第1及び第2主電極端子6,7並びに第1及び第2補助電極端子16,17の形成工程において、MOCVD法により導電性基板1の全面に金属膜を堆積できる。その後、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術等を用いて金属膜の一部を選択的に除去することにより、第1及び第2主電極端子6,7並びに第1及び第2補助電極端子16,17を形成するとともに、第1主電極端子6と第1補助電極端子16とを接続する第1電極接続部21と、第2主電極端子7と第2補助電極端子17とを接続する第2電極接続部22も共通の金属膜から一括して形成すればよい。
(第2の実施形態の第2の変形例)
第2の実施形態の第2の変形例に係るコンデンサ構造体は、図26に示すように、導電性基板1の裏面(第2主面)側に配置された冷却機構(第2主面冷却機構)23を更に備える点が、図17に示した第2の実施形態に係るコンデンサ構造体と異なる。冷却機構23の上面には絶縁膜24が配置されており、冷却機構23は絶縁膜24を介して第1及び第2補助電極端子16,17に接する。
第2の実施形態の第2の変形例に係るコンデンサ構造体によれば、冷却機構23を更に備えることにより、コンデンサの動作時に柱状導電領域4a〜4dでの発熱を、冷却機構23により効率よく冷却でき、コンデンサ構造体の冷却性能を向上させることができる。したがって、コンデンサ構造体の温度上昇を抑制でき、温度上昇に伴うESRの増大を防止でき、低損失化できる。
なお、図25に示した第2の実施形態の第1の変形例に係るコンデンサ構造体に対しても同様に、導電性基板1の裏面側に、絶縁膜5を介して冷却機構23を配置してもよい。
(第2の実施形態の第3の変形例)
第2の実施形態の第3の変形例に係るコンデンサ構造体は、図27に示すように、導電性基板1の両側面側にそれぞれ配置された冷却機構(側面冷却機構)23a,23bを更に備える点が、図25に示した第2の実施形態の第1の変形例に係るコンデンサ構造体と異なる。冷却機構23a,23bは、第1及び第2電極接続部21,22にそれぞれ接して配置されている。
第2の実施形態の第3の変形例に係るコンデンサ構造体の製造方法及び動作は、第2の実施形態の第2の変形例と同様である。柱状導電領域4a〜4dでの発熱は、導電膜3を介して、第1主電極端子6及び第1補助電極端子16に伝達される。そして、第1主電極端子6及び第1補助電極端子16と接する第1電極接続部21に伝達される熱と、第1主電極端子6及び第1補助電極端子16においてそのまま外気により冷却される熱とに分かれ、第1電極接続部21に伝達された熱は冷却機構23aで冷却される。また、導電性基板1での発熱も同じ原理で、第2電極接続部22と接する冷却機構23bで冷却される。
第2の実施形態の第3の変形例に係るコンデンサ構造体によれば、導電性基板1の側面に冷却機構23a,23bを配置しているので、導電性基板1の上面又は下面側に配置するよりも実装し易い構造となり、コンデンサ構造体を複数個積層して並列接続でき、容量を増設できる。更に、複数個のコンデンサ構造体を積層した場合、積層構造の内側に位置するコンデンサ構造体ほど、積層方向には熱が逃げにくいが、コンデンサ構造体の側面側に冷却機構23a,23bが配置されているため、積層構造の内側に位置するコンデンサ構造体でも側面側から効率よく熱を逃がすことができる。
なお、第2の実施形態の第3の変形例に係るコンデンサ構造体において、第1及び第2電極接続部21,22がなく、冷却機構23aが第1主電極端子6及び第1補助電極端子16に直接接し、冷却機構23bが第2主電極端子7及び第2補助電極端子17に直接接していてもよい。
(第2の実施形態の第4の変形例)
第2の実施形態の第4の変形例に係るコンデンサモジュールは、図28に示すように、複数個(2個)のコンデンサ構造体101,102が積層されたモジュールである。なお、図28においては、2個のコンデンサ構造体101,102の積層構造を説明するが、積層するコンデンサ構造体の個数は特に限定されず、3個以上であってもよい。
上側のコンデンサ構造体(以下、「上側構造体」という。)101は、図17に示した第2の実施形態に係るコンデンサ構造体を用いている。下側のコンデンサ構造体(以下、「下側構造体」という。)102は、上側構造体101と実質的に同様の構造を有しており、第1主面(上面)から第2主面(下面)に貫通する貫通孔を有する導電性基板31と、導電性基板31の貫通孔の側壁面に設けられた誘電膜32と、誘電膜32を介して導電性基板31の貫通孔に埋められた柱状導電領域34a,34b,34c,34dと、導電性基板31の上面側に配置され、柱状導電領域34a〜34dと電気的に接続した第1主電極端子36と、導電性基板31の上面側に配置され、導電性基板31と電気的に接続した第2主電極端子37とを備える。
下側構造体102の誘電膜32は、導電性基板31の上面、裏面及び側面上にも配置されている。柱状導電領域34a〜34dの上端及び第1主電極端子36に接するように、導電性基板31の上面及び側面上に誘電膜2を介して導電膜33が配置されている。柱状導電領域34a〜34dの下端及び第2主電極端子37に接するように、導電性基板31の裏面上に誘電膜2を介して下部接続層34vが配置されている。下部接続層34vの端部は導電膜33に接続されている。導電膜33及び下部接続層34vを覆うように絶縁膜35が配置されている。
第1主電極端子36の下部は、誘電膜32の開口部(コンタクトホール)を介して導電膜33と接する。第2主電極端子37の一部であるコンタクトプラグは、誘電膜32、導電膜33及び絶縁膜35を貫通する開口部(コンタクトホール)を介して導電性基板31と接する。コンタクトプラグの側壁には、コンタクトプラグと導電膜33とを絶縁するプラグ側壁絶縁膜38a,38bが設けられている。
下側構造体102は更に、導電性基板31の裏面側に、下部接続層34vを介して柱状導電領域34a〜34dと電気的に接続するように配置された第1補助電極端子46と、導電性基板31の裏面側に、導電性基板31と電気的に接続するように配置された第2補助電極端子47とを備える。
第1補助電極端子46は、第1主電極端子36と導電性基板31を挟んで対向する位置に配置されている。第1補助電極端子46の上部は、絶縁膜35の開口部(コンタクトホール)を介して下部接続層34vと接する。第2補助電極端子47は、第2主電極端子37と導電性基板31を挟んで対向する位置に配置されている。第2補助電極端子47の一部であるコンタクトプラグは、絶縁膜35、下部接続層34v及び誘電膜32を貫通する開口部(コンタクトホール)を介して導電性基板31と接する。コンタクトプラグの側壁には、コンタクトプラグと導電膜33とを絶縁するプラグ側壁絶縁膜48a,48bが設けられている。
上側構造体101と下側構造体102との接合部においては、上側構造体101の裏面側に位置する第1及び第2補助電極端子16,17と、下側構造体102の上面側に位置する第1及び第2主電極端子36,37とがそれぞれ接続されている。
第2の実施形態の第4の変形例に係るコンデンサモジュールの動作は、第2の実施形態と同様である。コンデンサ動作時において、上側構造体101の柱状導電領域4a〜4dの発熱は、導電性基板1の上面側及び裏面側に位置する導電膜3及び下部接続層4vを介して、第1主電極端子6及び第1補助電極端子16へ伝達される。第1主電極端子6に伝達された熱は、外気に冷却される。一方、第1補助電極端子16に伝達された熱は、第1補助電極端子16の裏面が下側構造体102の第1主電極端子36と接しており外気とは接しないため、第1補助電極端子16の側面側へ逃げる。このとき、上側構造体101の第1補助電極端子16と下側構造体102の第1主電極端子6との両電極が熱を逃がす太い経路となり、効率よく冷却できる。コンデンサ動作時の下側構造体102での発熱は、上側構造体101での発熱と同様に冷却できる。
第2の実施形態の第4の変形例に係るコンデンサモジュールによれば、上側構造体101及び下側構造体102を積層することにより、上側構造体101の裏面側に位置する第1及び第2補助電極端子16,17と、下側構造体102の上面側に位置する第1及び第2主電極端子36,37とが接続される。したがって、上側構造体101及び下側構造体102が並列接続され、容量が容易に増設できる。
第2の実施形態の第4の変形例に係るコンデンサモジュールの製造方法としては、第2の実施形態に係るコンデンサ構造体を複数個用意して、隣接するコンデンサ構造体の電極間を半田付けや圧着等により接着すればよい。
(第2の実施形態の第5の変形例)
第2の実施形態の第5の変形例に係るコンデンサモジュールは、図29に示すように、上側構造体101及び下側構造体102の積層構造の側面側に配置された第1及び第2電極接続部30a,30bを更に備える点が、図28に示した第2の実施形態の第4の変形例に係るコンデンサモジュール構造と異なる。
第1電極接続部30aは、上側構造体101の第1主電極端子6及び第1補助電極端子16と、下側構造体102の第1主電極端子36及び第1補助電極端子46とに共通に接続されている。第2電極接続部30bは、上側構造体101の第2主電極端子7及び第2補助電極端子17と、下側構造体102の第2主電極端子37及び第2補助電極端子47とに共通に接続されている。
第2の実施形態の第5の変形例に係るコンデンサモジュールによれば、コンデンサ動作時に上側構造体101及び下側構造体102で発生した熱を、上側構造体101の第1主電極端子6及び第1補助電極端子16と、下側構造体102の第1主電極端子36及び第1補助電極端子46とを介して、第1電極接続部30aへ逃がすことができる。更に、上側構造体101の第2主電極端子7及び第2補助電極端子17と、下側構造体102の第2主電極端子37及び第2補助電極端子47とを介して、第2電極接続部30bに逃がすことができる。
更に、上側構造体101の第1主電極端子6及び第1補助電極端子16と、下側構造体102の第1主電極端子36及び第1補助電極端子46とが第1電極接続部30aに並列接続され、上側構造体101の第2主電極端子7及び第2補助電極端子17と、下側構造体102の第2主電極端子37及び第2補助電極端子47とが第2電極接続部30bに並列接続されるので、各電極全体の抵抗成分及びインタクダンス成分を低減でき、コンデンサモジュール全体のESRと等価直列インダクタンス(ESL)を低減できる。
なお、図29では2個のコンデンサ構造体101,102の積層構造を示したが、更に多数個(3個以上)のコンデンサ構造体を積層してもよく、積層する個数に応じて第1及び第2電極接続部21,22も積層方向に延長してもよい。
(第2の実施形態の第6の変形例)
第2の実施形態の第6の変形例に係るコンデンサモジュールは、図30に示すように、上側構造体101及び下側構造体102の積層構造の側面側に配置された第1及び第2電極接続部30a,30bの更に外側に配置された冷却機構23a,23bを更に備える点が、図29に示した第2の実施形態の第5の変形例に係るコンデンサモジュール構造と異なる。
第2の実施形態の第6の変形例に係るコンデンサモジュールによれば、上側構造体101及び下側構造体102での発熱を、第1及び第2電極接続部30a,30bを介して冷却機構23a,23bへ逃がすことができ、冷却効果を向上させることができる。
なお、図30では2個のコンデンサ構造体101,102の積層構造を示したが、更に多数個(3個以上)のコンデンサ構造体を積層してもよく、積層する個数に応じて第1及び第2電極接続部21,22並びに冷却機構23a,23bも積層方向に延長してもよい。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は第1及び第2の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、第1の実施形態の第1の変形例として、図15に示すように導電膜3及び下部接続層4v上に金属膜13a,13bを更に備えるコンデンサ構造体を説明したが、第2の実施形態においても同様に、図17に示したコンデンサ構造体の導電膜3及び下部接続層4v上に金属膜を備えていてもよい。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。