JP2016225405A - 酸化亜鉛系バリスタ用焼結体およびこれを用いた多層基板、ならびにそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】希土類元素を用いずに十分な特性を有する酸化亜鉛系バリスタおよびこれを用いた多層基板を提供する。
【解決手段】酸化亜鉛を主成分とし、酸化ビスマスをBi換算で0.6〜1.8mol%、酸化マンガンをMn換算で1.0〜7.0mol%含み、RM(RMは、Sb、希土類元素、Li、V、Ga、Zr、Ta、Cr、Ge、Nb、Te、W、Co、Se、Mo、Cs、Re、Rb、Pd、Ba、Pt、Ti、Ni、Sr、In、Hf、Tl)およびSnの含有量が不純物レベル以下であるバリスタ用焼結体である。
【選択図】図1
【解決手段】酸化亜鉛を主成分とし、酸化ビスマスをBi換算で0.6〜1.8mol%、酸化マンガンをMn換算で1.0〜7.0mol%含み、RM(RMは、Sb、希土類元素、Li、V、Ga、Zr、Ta、Cr、Ge、Nb、Te、W、Co、Se、Mo、Cs、Re、Rb、Pd、Ba、Pt、Ti、Ni、Sr、In、Hf、Tl)およびSnの含有量が不純物レベル以下であるバリスタ用焼結体である。
【選択図】図1
Description
本発明は、酸化亜鉛系バリスタ用焼結体および酸化亜鉛系バリスタ用焼結体を用いた多層基板、ならびに酸化亜鉛系バリスタ用焼結体の製造方法および酸化亜鉛系バリスタ用焼結体を用いた多層基板の製造方法に関する。
コンピュータおよび携帯電話などの電子機器には、それらに含まれる電子回路や素子を静電気およびノイズ等により生ずる異常高電圧から保護するためにバリスタ素子などのESD(静電気放電)保護デバイスが組み込まれている。
バリスタ素子は、印加される電圧が低い場合は大きな電気抵抗値を示し、僅かな電流しか流れないが、印加される電圧が大きくなると顕著に電気抵抗が低下し、多くの電流が流れる非直線性抵抗を示すバリスタ(バリスタ材料)を用いている。このようなバリスタの中でも容易に所望の特性を得られることから、酸化亜鉛を主成分として、酸化亜鉛以外の酸化物等を添加した酸化亜鉛系バリスタ(酸化亜鉛系バリスタ材料)が多く用いられている。
酸化亜鉛系バリスタ材料、特に同材料を焼結して得た酸化亜鉛系バリスタ用焼結体を用いたバリスタ素子を電子回路に組み込むことにより、電子回路の一部分に静電気またはノイズ等による高電圧に起因した電流が流れても、電子回路の所望の部分および所望の素子に、このような大きな電流が流れるのを抑制することができる。
バリスタ素子は、印加される電圧が低い場合は大きな電気抵抗値を示し、僅かな電流しか流れないが、印加される電圧が大きくなると顕著に電気抵抗が低下し、多くの電流が流れる非直線性抵抗を示すバリスタ(バリスタ材料)を用いている。このようなバリスタの中でも容易に所望の特性を得られることから、酸化亜鉛を主成分として、酸化亜鉛以外の酸化物等を添加した酸化亜鉛系バリスタ(酸化亜鉛系バリスタ材料)が多く用いられている。
酸化亜鉛系バリスタ材料、特に同材料を焼結して得た酸化亜鉛系バリスタ用焼結体を用いたバリスタ素子を電子回路に組み込むことにより、電子回路の一部分に静電気またはノイズ等による高電圧に起因した電流が流れても、電子回路の所望の部分および所望の素子に、このような大きな電流が流れるのを抑制することができる。
しかし、一方で、バリスタ素子の占有スペースはこれらの電子機器の小型化を阻害する要因となっている。
この問題を解決するため、ESD(静電気放電)保護デバイスをLTCC(低温同時焼成セラミックス)として多層基板内に電極と一体的に形成することが、例えば特許文献1に開示されている。
この問題を解決するため、ESD(静電気放電)保護デバイスをLTCC(低温同時焼成セラミックス)として多層基板内に電極と一体的に形成することが、例えば特許文献1に開示されている。
LTCCと接触して用いる電極には、電気抵抗の低い銀(Ag)を用いることが望ましい。しかし、銀は、例えば1000℃以上のような高温まで加熱されると酸化等により電極としての性能が低下してしまう。
このため、表面に銀より成る電極材料を形成した、バリスタ材料の混合原料シート(グリーンシート)等を含む積層体を850℃〜950℃程度の範囲の温度で焼成してバリスタ素子(ESD保護デバイス)を含む多層基板を形成する方法が特許文献2〜6に開示されている。
このため、表面に銀より成る電極材料を形成した、バリスタ材料の混合原料シート(グリーンシート)等を含む積層体を850℃〜950℃程度の範囲の温度で焼成してバリスタ素子(ESD保護デバイス)を含む多層基板を形成する方法が特許文献2〜6に開示されている。
これらの従来のバリスタ材料(バリスタ用焼結体)の多くが、添加剤として例えばアンチモン(Sb)、イットリウム(Y)またはプラセオジム(Pr)のような希土類元素、その他、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、インジウム(In)、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)などのレアメタルを用いることで、非直線性抵抗のような、所定のバリスタ特性を得ている。しかし、レアメタル、特に希土類元素は、地球上の存在量が少なかったり、産地が限定されていたり、技術的、経済的に抽出、精製することが困難であったりするため、長期間に亘る安定的な供給に懸念があり、また価格が高くその変動も大きい。更にアンチモン(Sb)は毒性を有する元素である。このため、これらアンチモン(Sb)および希土類元素を用いずに、またその他のレアメタルの使用量や使用する種類も最小限として、十分な特性を有する酸化亜鉛系バリスタ用焼結体およびこれを用いた多層基板が求められていた。
また、製造方法についても以下のことが求められていた。
上述のように、焼成温度を850℃〜950℃程度と1000℃よりも低い焼成温度で焼成してバリスタ用焼結体(以下、単に「焼結体」と言う場合がある)を得ることは知られていた。しかし、これらの従来の方法は、850℃〜950℃程度の温度範囲で焼成を行う前に、熱処理を行う必要があった。この熱処理は、例えば、所望の組成を有するバリスタ用焼結体を形成するために用いる酸化物等の原料のうちの2種類以上を混合した上で300℃以上に加熱するものである。
そして、この混合および熱処理を行った原料と、必要に応じて加える別の種類の原料とを用いて850℃〜950℃程度の温度範囲で焼成を行って焼結体を得ている。
熱処理と焼成の2回の加熱工程を含むことは、工程が複雑になるだけでなく、消費するエネルギーの増大にも繋がるため、熱処理工程省略の要求があった。
上述のように、焼成温度を850℃〜950℃程度と1000℃よりも低い焼成温度で焼成してバリスタ用焼結体(以下、単に「焼結体」と言う場合がある)を得ることは知られていた。しかし、これらの従来の方法は、850℃〜950℃程度の温度範囲で焼成を行う前に、熱処理を行う必要があった。この熱処理は、例えば、所望の組成を有するバリスタ用焼結体を形成するために用いる酸化物等の原料のうちの2種類以上を混合した上で300℃以上に加熱するものである。
そして、この混合および熱処理を行った原料と、必要に応じて加える別の種類の原料とを用いて850℃〜950℃程度の温度範囲で焼成を行って焼結体を得ている。
熱処理と焼成の2回の加熱工程を含むことは、工程が複雑になるだけでなく、消費するエネルギーの増大にも繋がるため、熱処理工程省略の要求があった。
本発明は、レアメタルの使用量や使用する種類を最小限にし、特にアンチモン(Sb)および希土類元素を用いずに十分な特性を有する酸化亜鉛系バリスタ用焼結体およびこれを用いた多層基板を提供することを目的とする。
また、本発明は、レアメタルの使用量や使用する種類を最小限にし、特にアンチモン(Sb)や希土類元素を用いずに、事前に熱処理を行うことなく、1000℃より低い温度で焼成を行うことで十分な特性を有することができる、酸化亜鉛系バリスタの製造方法および酸化物系バリスタを含む多層基板の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、レアメタルの使用量や使用する種類を最小限にし、特にアンチモン(Sb)や希土類元素を用いずに、事前に熱処理を行うことなく、1000℃より低い温度で焼成を行うことで十分な特性を有することができる、酸化亜鉛系バリスタの製造方法および酸化物系バリスタを含む多層基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の態様1は、酸化亜鉛を主成分とし、酸化ビスマスをビスマス(Bi)換算で0.6〜1.8mol%、酸化マンガンをマンガン(Mn)換算で1.0〜7.0mol%含み、RM(RMは、アンチモン(Sb)、希土類元素、リチウム(Li)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、ゲルマニウム(Ge)、ニオブ(Nb)、テルル(Te)、タングステン(W)、コバルト(Co)、セレン(Se)、モリブデン(Mo)、セシウム(Cs)、レニウム(Re)、ルビジウム(Rb)、パラジウム(Pd)、バリウム(Ba)、白金(Pt)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ストロンチウム(Sr)、インジウム(In)、ハフニウム(Hf)、タリウム(Tl))および錫(Sn)の含有量が不純物レベル以下であることを特徴とするバリスタ用焼結体である。
なお、本明細書において、組成を規定する際の金属元素換算とは、「金属元素全体を100mol%とした時の」当該金属の含有量のことを意味し、「金属元素全体を100mol%とする」とは、「Si、BおよびSbなどの半金属を含む金属元素全体を100mol%とする」ことを意味する。また「不純物レベル以下」とは、ゼロまたは不純物レベルとして認識されている量あるいはそれよりも低い量しか含有していないことを意味し、具体的には、例えば金属元素全体を100mol%としたとき0.01mol%以下であり、好ましくは0.005mol%以下である。実用測定上は、例えばICP(誘導結合型プラズマ)湿式分析装置の検出限界(質量比で100ppm)以下であれば、0.01mol%以下の条件を満足する。
本発明の態様2は、順に、第1の絶縁層と、態様1に記載のバリスタ用焼結体であるバリスタ層と、第2の絶縁層と、前記バリスタ層の主面に配置された第1の内部電極および第2の内部電極とを有していることを特徴とする多層基板である。
本発明の態様3は、順に積層されている、第1の絶縁層と、第2の絶縁層と、第3の絶縁層とを有し、前記第2の絶縁層が、その内部に態様1に記載のバリスタ用焼結体であるバリスタ層を備え、前記バリスタ層の主面に配置された第1の内部電極および第2の内部電極とを有していることを特徴とする多層基板である。
本発明の態様4は、1)少なくとも、酸化亜鉛と、酸化ビスマスと、酸化マンガンとを熱処理を施すことなく混合して、酸化亜鉛を主成分とし、酸化ビスマスをビスマス(Bi)換算で0.6〜1.8mol%、酸化マンガンをマンガン(Mn)換算で1.0〜7.0mol%含み、RMおよび錫(Sn)の含有量が不純物レベル以下である混合原料を得る工程と、2)前記混合原料を850℃〜950℃で焼成する工程と、を含むことを特徴とする、バリスタ用焼結体の製造方法である。
本発明の態様5は、1)少なくとも、酸化亜鉛と、酸化ビスマスと、酸化マンガンとを熱処理を施すことなく混合して、酸化亜鉛を主成分とし、酸化ビスマスをビスマス(Bi)換算で0.6〜1.8mol%、酸化マンガンをマンガン(Mn)換算で1.0〜7.0mol%含み、RMおよび錫(Sn)の含有量が不純物レベル以下である混合原料を得る工程と、2)絶縁材料から成る第1の絶縁シートの上に、第1の電極材を配置する工程と、3)前記第1の電極材の上に、前記混合原料を含む混合原料シートを形成する工程と、4)前記混合原料シートの上に、第2の電極材を配置する工程と、5)前記第2の電極材の上に、絶縁材料から成る第2の絶縁シートを形成する工程と、6)前記第1の絶縁シートと、前記混合原料シートと、前記第2の絶縁シートとを850℃〜950℃で焼成する工程と、を含むことを特徴とする多層基板の製造方法である。
本発明に係る酸化亜鉛系バリスタ用焼結体およびこれを用いた多層基板では、レアメタルの使用量や使用する種類を最小限にし、特にアンチモン(Sb)や希土類元素を用いることなく、十分に優れたバリスタ特性を有することができる。
また、本発明に係る製造方法では、事前に熱処理を行うことなく、1000℃より低い温度で焼成を行うことで十分なバリスタ特性を有する、酸化亜鉛系バリスタ用焼結体および酸化亜鉛系バリスタ用焼結体を含む多層基板を製造することができる。
また、本発明に係る製造方法では、事前に熱処理を行うことなく、1000℃より低い温度で焼成を行うことで十分なバリスタ特性を有する、酸化亜鉛系バリスタ用焼結体および酸化亜鉛系バリスタ用焼結体を含む多層基板を製造することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一の部分又は部材を示す。
本発明者らは、アンチモン(Sb)および希土類元素を用いることなく、その他のレアメタルの使用量や使用する種類も最小限におさえ、従来のアンチモン(Sb)および/または希土類元素を用いたバリスタ用焼結体と同等以上のバリスタ特性(バリスタ電圧、絶縁抵抗および/または非線形抵抗)を有するバリスタ用焼結体を得るべく鋭意検討した。その結果、酸化亜鉛系バリスタ用焼結体(酸化亜鉛を主成分(すなわち、酸化亜鉛を亜鉛(Zn)換算で90mol%以上含有する))において、酸化ビスマスの組成を本発明者らが見出した限定された範囲内とすることで、ビスマス(Bi)、マンガン(Mn)以外のレアメタルを使用することなく、更に錫(Sn)を含有させない(不純物レベル以下にする)ことで、アンチモン(Sb)および希土類元素を含有していなくても優れたバリスタ特性を有するバリスタ用焼結体が得られることを見出し、本発明に至ったものである。
より詳細には、バリスタとして用いることができる本発明に係るバリスタ用焼結体は、酸化亜鉛を主成分とし、酸化ビスマスをビスマス(Bi)換算で0.6〜1.8mol%、酸化マンガンをマンガン(Mn)換算で1.0〜7.0mol%含んでいる。
さらに、本発明に係るバリスタ用焼結体は、RMおよび錫(Sn)の含有量が不純物レベル以下である。
さらに、本発明に係るバリスタ用焼結体は、RMおよび錫(Sn)の含有量が不純物レベル以下である。
本発明のバリスタ用焼結体に係る製造方法では、焼成後に得られる焼結体(バリスタ材料)が、酸化亜鉛を主成分とし、酸化ビスマスをビスマス(Bi)換算で0.6〜1.8mol%、酸化マンガンをマンガン(Mn)換算で1.0〜7.0mol%含む組成となるように、混合原料を得た後、この混合原料を850℃〜950℃で焼成する。
また、本発明のバリスタ用焼結体の製造方法に係る好ましい実施形態では、少なくとも、酸化亜鉛と、酸化ビスマスと、酸化マンガンとを熱処理を施すことなく混合して、酸化亜鉛を主成分とし、酸化ビスマスをビスマス(Bi)換算で0.6〜1.8mol%、酸化マンガンをマンガン(Mn)換算で1.0〜7.0mol%含み、RMおよび錫(Sn)の含有量が不純物レベル以下である混合原料を得た後、この混合原料を850℃〜950℃で焼成する。
すなわち、前記好ましい実施形態においては、混合原料を得る前に、用いる複数の種類の酸化物(原料粉末)のうちの2種以上(複数種類の酸化物のうちの一部の種類であって2種類以上)を予め混合し、300℃以上に加熱する熱処理(例えば、「仮焼き」と呼ばれるような熱処理)を行うことなく、得ようとするバリスタ用焼結体と実質的に同じ組成を有する混合原料を得る。そして、この好ましい実施形態に係る混合原料を850℃〜950℃で焼成する。
以下に、本発明に係るバリスタ用焼結体およびバリスタ用焼結体に係る製造方法の詳細を説明する。
1.バリスタ用焼結体
上述のように、本発明に係るバリスタ用焼結体(焼結体)は、酸化亜鉛を主成分とし、酸化ビスマスをビスマス(Bi)換算で0.6〜1.8mol%、酸化マンガンをマンガン(Mn)換算で1.0〜7.0mol%含み、RMおよび錫(Sn)の含有量が不純物レベル以下である。
このように組成を狭い範囲に限定することにより、混合原料を850℃〜950℃で焼成しても得られたバリスタ用焼結体は、高い非線形定数を有する等、十分なバリスタ特性を示す。
そして、このように、1000℃未満の温度で焼成できることは、混合原料粉末を含んで成る混合原料シート層(グリーンシート層)の上に、電極となる銀(Ag)を配置した状態で、混合原料シートを焼成できることを意味している。このため、銀電極とバリスタ用焼結体(混合粉末を焼成して得たバリスタ層)を一体的に形成した多層基板を得ることができる。
1.バリスタ用焼結体
上述のように、本発明に係るバリスタ用焼結体(焼結体)は、酸化亜鉛を主成分とし、酸化ビスマスをビスマス(Bi)換算で0.6〜1.8mol%、酸化マンガンをマンガン(Mn)換算で1.0〜7.0mol%含み、RMおよび錫(Sn)の含有量が不純物レベル以下である。
このように組成を狭い範囲に限定することにより、混合原料を850℃〜950℃で焼成しても得られたバリスタ用焼結体は、高い非線形定数を有する等、十分なバリスタ特性を示す。
そして、このように、1000℃未満の温度で焼成できることは、混合原料粉末を含んで成る混合原料シート層(グリーンシート層)の上に、電極となる銀(Ag)を配置した状態で、混合原料シートを焼成できることを意味している。このため、銀電極とバリスタ用焼結体(混合粉末を焼成して得たバリスタ層)を一体的に形成した多層基板を得ることができる。
1−1.組成
各元素について、このような狭い組成範囲とすべき理由を以下に示す。ただし、これらの理由は、現時点で得られている知見から発明者が合理的であると考えた理由を示すものであって、請求項により規定される、組成等の本発明の技術的範囲をさらに限定することを意図とするものではないことに留意されたい。
なお、本明細書における酸化物の含有量のモル比率は当該酸化物が含有する酸素原子を考慮せず、酸素と結びついている原子(金属元素の原子)のみを考慮して、モル比率を算出し求めたものである。また、前記金属元素は、ボロン、ケイ素、アンチモンなどの半金属を含む。
各元素について、このような狭い組成範囲とすべき理由を以下に示す。ただし、これらの理由は、現時点で得られている知見から発明者が合理的であると考えた理由を示すものであって、請求項により規定される、組成等の本発明の技術的範囲をさらに限定することを意図とするものではないことに留意されたい。
なお、本明細書における酸化物の含有量のモル比率は当該酸化物が含有する酸素原子を考慮せず、酸素と結びついている原子(金属元素の原子)のみを考慮して、モル比率を算出し求めたものである。また、前記金属元素は、ボロン、ケイ素、アンチモンなどの半金属を含む。
(1)酸化亜鉛
酸化亜鉛は、本発明のバリスタ用焼結体(バリスタ層)のベースとなる材料であり、主成分である。すなわち、本発明のバリスタ用焼結体は、酸化亜鉛を亜鉛(Zn)換算で90mol%以上含む。
また、好ましくは、本発明のバリスタ用焼結体は、酸化亜鉛を亜鉛(Zn)換算で95mol%以上含んでいる。
酸化亜鉛は、本発明のバリスタ用焼結体(バリスタ層)のベースとなる材料であり、主成分である。すなわち、本発明のバリスタ用焼結体は、酸化亜鉛を亜鉛(Zn)換算で90mol%以上含む。
また、好ましくは、本発明のバリスタ用焼結体は、酸化亜鉛を亜鉛(Zn)換算で95mol%以上含んでいる。
(2)酸化ビスマス
本発明のバリスタ用焼結体は、酸化ビスマスをビスマス(Bi)換算で0.6〜1.8mol%、好ましくは0.6〜1.2mol%含有している。
酸化ビスマス(ビスマス)は、焼成温度が、850℃〜950℃と比較的低温でも焼結体の緻密化を促進する。また、本発明の材料の微細構造をEDX(エネルギー分散型X線分光法)で観察した結果、酸化ビスマス(ビスマス)は酸化亜鉛の粒界に偏析しており、これにより高抵抗な半導体粒界を形成し、これが2重ショットキー障壁としてバリスタ特性を発現すると考える。酸化ビスマスの含有量がビスマス換算で0.6mol%より少ないと、この効果が充分得られず、1.8mol%を超えると酸化ビスマスを主組成とする厚い絶縁層を形成してしまうという問題がある。また、好ましい範囲の0.6〜1.2mol%であれば、この効果をより充分に得ることができる。
本発明のバリスタ用焼結体は、酸化ビスマスをビスマス(Bi)換算で0.6〜1.8mol%、好ましくは0.6〜1.2mol%含有している。
酸化ビスマス(ビスマス)は、焼成温度が、850℃〜950℃と比較的低温でも焼結体の緻密化を促進する。また、本発明の材料の微細構造をEDX(エネルギー分散型X線分光法)で観察した結果、酸化ビスマス(ビスマス)は酸化亜鉛の粒界に偏析しており、これにより高抵抗な半導体粒界を形成し、これが2重ショットキー障壁としてバリスタ特性を発現すると考える。酸化ビスマスの含有量がビスマス換算で0.6mol%より少ないと、この効果が充分得られず、1.8mol%を超えると酸化ビスマスを主組成とする厚い絶縁層を形成してしまうという問題がある。また、好ましい範囲の0.6〜1.2mol%であれば、この効果をより充分に得ることができる。
(3)酸化マンガン
本発明のバリスタ用焼結体は、酸化マンガンをマンガン(Mn)換算で1.0〜7.0mol%含有している。
本発明のバリスタ焼結体中の元素分布をEDX(エネルギー分散型X線分光法)で観察した結果、マンガンは酸化亜鉛の粒界に偏析しており、焼結により酸化亜鉛の結晶粒界や粒界三重点に化合物として析出することが確認できた。一般的な半導体セラミックスの粒界特性として、不純物が粒界に存在することにより粒界準位と呼ばれる電子のトラップ準位が形成されると考えられている。酸化亜鉛系バリスタのバリスタ特性発現と関わる二重ショットキー障壁は、酸化亜鉛の結晶粒界に存在すると考えられている粒界準位の密度と粒内の正イオンの密度とのバランスで決まるとされている。酸化ビスマスの含有量が前述の範囲である場合、酸化マンガンの含有量がマンガン換算で1.0mol%〜7.0mol%の時にこのバランスが適したものになることにより、本発明のバリスタ焼結体の非線形定数を高くする効果をもたらすと考えられる。
本発明のバリスタ用焼結体は、酸化マンガンをマンガン(Mn)換算で1.0〜7.0mol%含有している。
本発明のバリスタ焼結体中の元素分布をEDX(エネルギー分散型X線分光法)で観察した結果、マンガンは酸化亜鉛の粒界に偏析しており、焼結により酸化亜鉛の結晶粒界や粒界三重点に化合物として析出することが確認できた。一般的な半導体セラミックスの粒界特性として、不純物が粒界に存在することにより粒界準位と呼ばれる電子のトラップ準位が形成されると考えられている。酸化亜鉛系バリスタのバリスタ特性発現と関わる二重ショットキー障壁は、酸化亜鉛の結晶粒界に存在すると考えられている粒界準位の密度と粒内の正イオンの密度とのバランスで決まるとされている。酸化ビスマスの含有量が前述の範囲である場合、酸化マンガンの含有量がマンガン換算で1.0mol%〜7.0mol%の時にこのバランスが適したものになることにより、本発明のバリスタ焼結体の非線形定数を高くする効果をもたらすと考えられる。
(4)RM
本発明のバリスタ用焼結体は、RM(RMは、アンチモン(Sb)、希土類元素、リチウム(Li)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、ゲルマニウム(Ge)、ニオブ(Nb)、テルル(Te)、タングステン(W)、コバルト(Co)、セレン(Se)、モリブデン(Mo)、セシウム(Cs)、レニウム(Re)、ルビジウム(Rb)、パラジウム(Pd)、バリウム(Ba)、白金(Pt)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ストロンチウム(Sr)、インジウム(In)、ハフニウム(Hf)、タリウム(Tl))の含有量が不純物レベル以下、すなわち、それぞれの元素の含有量が金属元素全体を100mol%としたとき0.01mol%以下であり、好ましくは0.005mol%以下である。以下、RMのそれぞれの元素について、アンチモン(Sb)、希土類元素を中心に詳細に述べる。
本発明のバリスタ用焼結体は、RM(RMは、アンチモン(Sb)、希土類元素、リチウム(Li)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、ゲルマニウム(Ge)、ニオブ(Nb)、テルル(Te)、タングステン(W)、コバルト(Co)、セレン(Se)、モリブデン(Mo)、セシウム(Cs)、レニウム(Re)、ルビジウム(Rb)、パラジウム(Pd)、バリウム(Ba)、白金(Pt)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ストロンチウム(Sr)、インジウム(In)、ハフニウム(Hf)、タリウム(Tl))の含有量が不純物レベル以下、すなわち、それぞれの元素の含有量が金属元素全体を100mol%としたとき0.01mol%以下であり、好ましくは0.005mol%以下である。以下、RMのそれぞれの元素について、アンチモン(Sb)、希土類元素を中心に詳細に述べる。
・アンチモン(Sb)
多くの従来の酸化亜鉛系バリスタ用焼結体において、アンチモン(Sb)は良好なバリスタ特性を得るために積極的に添加されていた。これは、アンチモン(Sb)を用いることにより、他の添加剤の添加効果を良好に制御できるからである。しかしながら、アンチモン(Sb)は上述のように毒性を有するという問題を有している。
本発明にかかるバリスタ用焼結体はアンチモン(Sb)を不純物レベル以下でしか含有していない。
多くの従来の酸化亜鉛系バリスタ用焼結体において、アンチモン(Sb)は良好なバリスタ特性を得るために積極的に添加されていた。これは、アンチモン(Sb)を用いることにより、他の添加剤の添加効果を良好に制御できるからである。しかしながら、アンチモン(Sb)は上述のように毒性を有するという問題を有している。
本発明にかかるバリスタ用焼結体はアンチモン(Sb)を不純物レベル以下でしか含有していない。
・希土類元素
多くの従来の酸化亜鉛系バリスタ用焼結体において、希土類元素はバリスタ特性向上のために意図的に添加されていた。
しかし、本発明に係るバリスタ用焼結体では、希土類元素をゼロまたは不純物レベル以下しか含有していない。すなわち、希土類元素の各々について、金属元素全体を100mol%としたとき0.01mol%以下程度であり、希土類元素合計で0.05mol%以下程度である。好ましくは、希土類元素の各々について0.005mol%以下であり、希土類元素合計で0.025mol%以下である。
多くの従来の酸化亜鉛系バリスタ用焼結体において、希土類元素はバリスタ特性向上のために意図的に添加されていた。
しかし、本発明に係るバリスタ用焼結体では、希土類元素をゼロまたは不純物レベル以下しか含有していない。すなわち、希土類元素の各々について、金属元素全体を100mol%としたとき0.01mol%以下程度であり、希土類元素合計で0.05mol%以下程度である。好ましくは、希土類元素の各々について0.005mol%以下であり、希土類元素合計で0.025mol%以下である。
なお、希土類元素が、如何なる元素を含むかについては、科学的および工業的な見地から複数の定義が存在する。
しかし、本発明においては、「希土類元素」は、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)を意味する。
すなわち、本明細書における「希土類元素」にスカンジウム(Sc)は含まれない。
しかし、本発明においては、「希土類元素」は、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)を意味する。
すなわち、本明細書における「希土類元素」にスカンジウム(Sc)は含まれない。
本発明に係るバリスタ用焼結体では、産地が限定され、長期間に亘る安定的な供給に懸念があり、また価格が高く、その変動も大きい希土類元素を用いる必要がない。
また、希土類元素の中でもプラセオジム(Pr)およびイットリウム(Y)は、焼成時に焼結体の緻密化を妨げるという問題がある。しかし、本発明では、このような問題を生じない。
また、希土類元素の中でもプラセオジム(Pr)およびイットリウム(Y)は、焼成時に焼結体の緻密化を妨げるという問題がある。しかし、本発明では、このような問題を生じない。
・その他のレアメタル
本発明のバリスタ用焼結体は、アンチモン(Sb)や希土類元素以外のレアメタルに関しても、使用量や、その種類が最小限に抑えられている。アンチモン(Sb)や希土類元素以外のRM、すなわち、リチウム(Li)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、ゲルマニウム(Ge)、ニオブ(Nb)、テルル(Te)、タングステン(W)、コバルト(Co)、セレン(Se)、モリブデン(Mo)、セシウム(Cs)、レニウム(Re)、ルビジウム(Rb)、パラジウム(Pd)、バリウム(Ba)、白金(Pt)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ストロンチウム(Sr)、インジウム(In)、ハフニウム(Hf)、タリウム(Tl)のそれぞれの元素の含有量が金属元素全体を100mol%としたとき0.01mol%以下であり、好ましくは0.005mol%以下である。
本発明のバリスタ用焼結体は、アンチモン(Sb)や希土類元素以外のレアメタルに関しても、使用量や、その種類が最小限に抑えられている。アンチモン(Sb)や希土類元素以外のRM、すなわち、リチウム(Li)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、ゲルマニウム(Ge)、ニオブ(Nb)、テルル(Te)、タングステン(W)、コバルト(Co)、セレン(Se)、モリブデン(Mo)、セシウム(Cs)、レニウム(Re)、ルビジウム(Rb)、パラジウム(Pd)、バリウム(Ba)、白金(Pt)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ストロンチウム(Sr)、インジウム(In)、ハフニウム(Hf)、タリウム(Tl)のそれぞれの元素の含有量が金属元素全体を100mol%としたとき0.01mol%以下であり、好ましくは0.005mol%以下である。
(5)錫(Sn)
多くの従来の酸化亜鉛系バリスタ用焼結体において、錫(Sn)は例えば酸化錫の状態で意図的に添加され、積極的に用いられていた。これは、錫(Sn)を用いることにより、焼成時に液相を形成でき、得られる焼結体の緻密化が図れるからと考えられる。
しかし、本発明者らは、鋭意検討した結果、酸化亜鉛を主成分とし、酸化ビスマスをビスマス(Bi)換算で0.6〜1.8mol%、酸化マンガンをマンガン(Mn)換算で1.0〜7.0mol%含む成分系においては、錫(Sn)を添加しなくても、850〜950℃内で充分に焼成でき、高いバリスタ特性が得られることを見出した。それどころか、この組成に錫が0.5mol%添加されていると、絶縁性は高いものの、非線形定数が2以下のバリスタ特性とは言えない特性まで悪化すること見出したものである。
多くの従来の酸化亜鉛系バリスタ用焼結体において、錫(Sn)は例えば酸化錫の状態で意図的に添加され、積極的に用いられていた。これは、錫(Sn)を用いることにより、焼成時に液相を形成でき、得られる焼結体の緻密化が図れるからと考えられる。
しかし、本発明者らは、鋭意検討した結果、酸化亜鉛を主成分とし、酸化ビスマスをビスマス(Bi)換算で0.6〜1.8mol%、酸化マンガンをマンガン(Mn)換算で1.0〜7.0mol%含む成分系においては、錫(Sn)を添加しなくても、850〜950℃内で充分に焼成でき、高いバリスタ特性が得られることを見出した。それどころか、この組成に錫が0.5mol%添加されていると、絶縁性は高いものの、非線形定数が2以下のバリスタ特性とは言えない特性まで悪化すること見出したものである。
このため、本発明に係るバリスタ用焼結体は、錫(Sn)をゼロまたは不純物レベル以下しか含有していない。不純物としての錫(Sn)の一般的な含有量(不純物レベル)は、例えば、金属元素全体を100mol%としたとき0.01mol%以下であり、好ましくは0.005mol%以下である。
(6)その他の元素
本発明の好ましい実施形態の1つでは、本発明のバリスタ用焼結体は、ビスマス(Bi)換算で0.6〜1.8mol%の酸化ビスマスと、マンガン(Mn)換算で1.0〜7.0mol%の酸化マンガンと、残部である酸化亜鉛および不可避的不純物とから成る。
このような、不可避的不純物のレベルとして、1種類の元素あたり0.01mol%以下であり、不可避的不純物全体で0.1mol%以下であることを例示できる。
なお、「不可避不純物」は、通常、製造工程およびハンドリング時等において意図せずに含有された不純物を意味する。しかし、たとえ、意図的に添加を行った場合であっても上述した「不純物レベル」以下の含有量であれば、添加による技術的効果を充分に得ることができるものではない。すなわち、本明細書においては、「不可避的不純物」とは、意図して添加したか、意図せずに含有するものかを問わず、含有量が上述の「不純物レベル」以下であることを意味する。従って、本発明では、上述のように、RMと錫(Sn)とを不純物レベル以下しか含んでいないことからRMおよび錫(Sn)は、「不可避的不純物」に含まれる。
本発明の好ましい実施形態の1つでは、本発明のバリスタ用焼結体は、ビスマス(Bi)換算で0.6〜1.8mol%の酸化ビスマスと、マンガン(Mn)換算で1.0〜7.0mol%の酸化マンガンと、残部である酸化亜鉛および不可避的不純物とから成る。
このような、不可避的不純物のレベルとして、1種類の元素あたり0.01mol%以下であり、不可避的不純物全体で0.1mol%以下であることを例示できる。
なお、「不可避不純物」は、通常、製造工程およびハンドリング時等において意図せずに含有された不純物を意味する。しかし、たとえ、意図的に添加を行った場合であっても上述した「不純物レベル」以下の含有量であれば、添加による技術的効果を充分に得ることができるものではない。すなわち、本明細書においては、「不可避的不純物」とは、意図して添加したか、意図せずに含有するものかを問わず、含有量が上述の「不純物レベル」以下であることを意味する。従って、本発明では、上述のように、RMと錫(Sn)とを不純物レベル以下しか含んでいないことからRMおよび錫(Sn)は、「不可避的不純物」に含まれる。
しかし、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の別の好ましい実施形態においては、所望のバリスタ特性を得るためにRM、錫(Sn)以外の任意の元素またはその化合物を1種または2種以上含んでよい。
このような、元素または化合物は、合計で例えば5mol%以下、好ましくは3mol%以下含まれてよい。この程度であれば、十分なバリスタ特性を確保することが可能である。
このような、元素または化合物は、合計で例えば5mol%以下、好ましくは3mol%以下含まれてよい。この程度であれば、十分なバリスタ特性を確保することが可能である。
1−2.特性
このような組成を有し、850℃〜950℃で焼成されて得た、本発明のバリスタ用焼結体が有する特性を例示する。
本発明のバリスタ用焼結体は、上述したように優れたバリスタ特性を有する。そこで、以下にバリスタ特性について詳述する。
主なバリスタ特性として、バリスタ電圧、絶縁抵抗および非線形抵抗が知られている。これらについて説明する。
このような組成を有し、850℃〜950℃で焼成されて得た、本発明のバリスタ用焼結体が有する特性を例示する。
本発明のバリスタ用焼結体は、上述したように優れたバリスタ特性を有する。そこで、以下にバリスタ特性について詳述する。
主なバリスタ特性として、バリスタ電圧、絶縁抵抗および非線形抵抗が知られている。これらについて説明する。
・バリスタ電圧
バリスタ(バリスタ用焼結体)は印加する電圧に応じて、抵抗値が急変する特性を有する。すなわち、印加電圧が所定の大きさ以上になると、電気抵抗が急激に低下し、それまでほとんど流れなかった電流が急に流れ出すという性質を持っている。
バリスタ用焼結体に1mAの電流が流れたときのバリスタ端子間電圧(印加電圧)をバリスタ電圧という。バリスタ電圧はバリスタ(バリスタ材料)の粒径と電極間距離に依存するため、これらを制御することである程度の範囲で制御できる。また、ある程度のバリスタ電圧を得るためには後述する非線形定数が高いことが必要となる。
本発明に係るバリスタ用焼結体では、上述した組成範囲内で適正な組成を選択することにより、200μmの電極間距離に対してバリスタ電圧を90〜250Vと幅広い範囲で制御できる。
バリスタ(バリスタ用焼結体)は印加する電圧に応じて、抵抗値が急変する特性を有する。すなわち、印加電圧が所定の大きさ以上になると、電気抵抗が急激に低下し、それまでほとんど流れなかった電流が急に流れ出すという性質を持っている。
バリスタ用焼結体に1mAの電流が流れたときのバリスタ端子間電圧(印加電圧)をバリスタ電圧という。バリスタ電圧はバリスタ(バリスタ材料)の粒径と電極間距離に依存するため、これらを制御することである程度の範囲で制御できる。また、ある程度のバリスタ電圧を得るためには後述する非線形定数が高いことが必要となる。
本発明に係るバリスタ用焼結体では、上述した組成範囲内で適正な組成を選択することにより、200μmの電極間距離に対してバリスタ電圧を90〜250Vと幅広い範囲で制御できる。
・絶縁抵抗
絶縁抵抗値は、バリスタ電圧の10分の1電圧での抵抗値を意味する。
絶縁抵抗値が低いと多くの電流が流れ、リーク電流を生ずることとなる。このため、素子では、10MΩ以上の絶縁抵抗を有することが目安とされている。そして、この10MΩを確実に達成できるように、より高い抵抗値を有している場合、設計の自由度が高く好ましい。本発明に係るバリスタ用焼結体では、例えば10GΩと高い絶縁抵抗値を得ることができる。
絶縁抵抗値は、バリスタ電圧の10分の1電圧での抵抗値を意味する。
絶縁抵抗値が低いと多くの電流が流れ、リーク電流を生ずることとなる。このため、素子では、10MΩ以上の絶縁抵抗を有することが目安とされている。そして、この10MΩを確実に達成できるように、より高い抵抗値を有している場合、設計の自由度が高く好ましい。本発明に係るバリスタ用焼結体では、例えば10GΩと高い絶縁抵抗値を得ることができる。
・非線形定数
非線形定数は、下記の(1)式により求めることができる。
非線形定数=log10(I1/I2)/log(V1/V2) (1)
ここで、I1は1mAとし、V1はI1=1mAの電流が流れるときのバリスタ端子間電圧であり、I2は0.01mAとし、V2はI2=0.01mAの電流が流れるときのバリスタ端子間電圧である。
非線形定数は、下記の(1)式により求めることができる。
非線形定数=log10(I1/I2)/log(V1/V2) (1)
ここで、I1は1mAとし、V1はI1=1mAの電流が流れるときのバリスタ端子間電圧であり、I2は0.01mAとし、V2はI2=0.01mAの電流が流れるときのバリスタ端子間電圧である。
非線形定数が1より大きい時非直線性抵抗を有すると言うことができ、この値が高いほど、異常電流に対して、応答制御が正確であり好ましいとされている。現在一般的に使用されている酸化亜鉛系バリスタ用焼結体の多くが、その非線形定数が20以上であるため、20以上であることが1つの目安となる。本発明に係るバリスタ用焼結体では、例えば20以上、さらには25以上の非線形定数を得ることができる。
また、このような優れたバリスタ特性を得るためには、結晶粒の粒径を制御することも重要となる。上述のように、本発明では、組成を適正に選択することにより、850℃〜950℃と比較的低い温度での焼成が可能となる。
このため、結晶粒の粒径を例えば、1μm〜10μmとすることができる。
なお、粒径は切片法により求めることができる。より具体的には、バリスタ用焼結体の研磨面を焼結温度よりも低い温度でサーマルエッチングすることにより、粒界を明瞭にした後、倍率1000倍の顕微鏡写真を得る。次に、この顕微鏡写真上に長さ100μmの直線を引き、この直線と交差する粒界数を数え、直線長さ(100μm)を交差する粒界数で除して粒径値を求める。この作業を複数回行って平均値を計算値し粒径とする。
このため、結晶粒の粒径を例えば、1μm〜10μmとすることができる。
なお、粒径は切片法により求めることができる。より具体的には、バリスタ用焼結体の研磨面を焼結温度よりも低い温度でサーマルエッチングすることにより、粒界を明瞭にした後、倍率1000倍の顕微鏡写真を得る。次に、この顕微鏡写真上に長さ100μmの直線を引き、この直線と交差する粒界数を数え、直線長さ(100μm)を交差する粒界数で除して粒径値を求める。この作業を複数回行って平均値を計算値し粒径とする。
2.バリスタ用焼結体の製造方法
次に上述したバリスタ用焼結体の製造方法を説明する。
(1)混合原料(混合粉末)の作製
まず、得ようとするバリスタ用焼結体と実質的に同じ組成を有する混合原料(混合粉末)を準備する。ここで「実質的に同じ組成」とは、焼成工程等において成分の一部が蒸発等により変化することを考慮し、得られたバリスタ用焼結体との間に若干の組成の違いがあることを許容するという意味である。
なお、混合原料(混合粉末)の組成という場合、混合を促進するため、または混合した混合粉末をスラリー状に保持するために用い、そのほとんどが焼成工程において蒸発してしまう、例えばエタノールおよびPVB(ポリビニルブチラール)等の分散媒ならびに、シート成型時の形状の維持のために用いる、例えばフタル酸ジオクチルのような可塑剤を含まない。
同様の趣旨から、混合原料(混合粉末)の組成という場合、混合原料をシート状等の所望の形状にするために用い、そのほとんどが焼成工程において蒸発してしまう、有機溶剤、可塑剤、バインダ、およびこれらより得たビヒクルを含まない。
次に上述したバリスタ用焼結体の製造方法を説明する。
(1)混合原料(混合粉末)の作製
まず、得ようとするバリスタ用焼結体と実質的に同じ組成を有する混合原料(混合粉末)を準備する。ここで「実質的に同じ組成」とは、焼成工程等において成分の一部が蒸発等により変化することを考慮し、得られたバリスタ用焼結体との間に若干の組成の違いがあることを許容するという意味である。
なお、混合原料(混合粉末)の組成という場合、混合を促進するため、または混合した混合粉末をスラリー状に保持するために用い、そのほとんどが焼成工程において蒸発してしまう、例えばエタノールおよびPVB(ポリビニルブチラール)等の分散媒ならびに、シート成型時の形状の維持のために用いる、例えばフタル酸ジオクチルのような可塑剤を含まない。
同様の趣旨から、混合原料(混合粉末)の組成という場合、混合原料をシート状等の所望の形状にするために用い、そのほとんどが焼成工程において蒸発してしまう、有機溶剤、可塑剤、バインダ、およびこれらより得たビヒクルを含まない。
混合原料は、例えば、酸化亜鉛、酸化ビスマスおよび酸化マンガンのような酸化物等の粗原料を、得ようとするバリスタ用焼結体の組成と実質的に同じになるように秤量後、これらの粗原料を混合することで得ることができる。
混合には、湿式および乾式を問わず既知の各種の方法を用いてよい。
混合の方法として、ボールミルを用いることを例示できる。例えば、ボールミル容器中にエタノールのような分散媒と、ジルコニアボールのようなボールとともに秤量した粗原料とを投入してボールミル混合を行って混合原料を得てよい。
混合の方法として、ボールミルを用いることを例示できる。例えば、ボールミル容器中にエタノールのような分散媒と、ジルコニアボールのようなボールとともに秤量した粗原料とを投入してボールミル混合を行って混合原料を得てよい。
従来、混合原料を得るために熱処理(仮焼き)を行われる場合が多い。
例えば、特許文献3には、混合原料を得る際に、用いる複数種類の粗原料の一部である酸化ビスマスと酸化アンチモンと酸化銅を予め混合して350〜750℃の温度で仮焼した後、混合原料を得て焼成を行っている。特許文献4〜6も同様に、用いる複数種類の粗原料の一部(2種類以上)を予め混合し、300℃以上の温度で熱処理することを開示している。
例えば、特許文献3には、混合原料を得る際に、用いる複数種類の粗原料の一部である酸化ビスマスと酸化アンチモンと酸化銅を予め混合して350〜750℃の温度で仮焼した後、混合原料を得て焼成を行っている。特許文献4〜6も同様に、用いる複数種類の粗原料の一部(2種類以上)を予め混合し、300℃以上の温度で熱処理することを開示している。
これらの熱処理は、焼成後の焼結体内で組成が均一になるように、予め粗原料の一部を混合し、相互の成分を拡散させておくために行うものである。
しかし、本発明では、好ましくはこのような熱処理を行うことなく、混合原料を得る。これにより、製造工程がシンプルになり、より低いコストでバリスタ用焼結体を製造することが可能となる。
さらに、本発明者は、このように熱処理を行わずに混合原料を得て、この混合原料を用いて、850℃〜950℃で焼成を行うことで、熱処理を経た混合原料を用いて同じ条件で焼成を行った場合と比べて、得られたバリスタ用焼結体のバリスタ特性、とりわけ非線形定数を20%以上向上できることを見出した。
しかし、本発明では、好ましくはこのような熱処理を行うことなく、混合原料を得る。これにより、製造工程がシンプルになり、より低いコストでバリスタ用焼結体を製造することが可能となる。
さらに、本発明者は、このように熱処理を行わずに混合原料を得て、この混合原料を用いて、850℃〜950℃で焼成を行うことで、熱処理を経た混合原料を用いて同じ条件で焼成を行った場合と比べて、得られたバリスタ用焼結体のバリスタ特性、とりわけ非線形定数を20%以上向上できることを見出した。
本発明では、RMおよび錫(Sn)を不純物レベル以下でしか含有していないこと、すなわち、必須の成分が、主成分の酸化亜鉛と、酸化ビスマスと、酸化マンガンであり、比較的焼成時の拡散が容易である成分が主体となることから、焼成前に熱処理を行う必要がなく、むしろ熱処理を行わない方が優れた特性が得られるという従来の常識を覆す結果に繋がったと考えられる。
なお、本明細書でいう「熱処理」とは、所望の組成を得るために用いる、複数種類の粗原料(粉末原料)のうちの一部である2種類以上の粗原料を混合して、例えば300℃以上に加熱することをいい、単一の酸化物等である、各々の粗原料を得ることを目的に行う加熱処理、または得られた単一の粗原料に対して脱水などの目的で行う加熱処理を含まない。
なお、本明細書でいう「熱処理」とは、所望の組成を得るために用いる、複数種類の粗原料(粉末原料)のうちの一部である2種類以上の粗原料を混合して、例えば300℃以上に加熱することをいい、単一の酸化物等である、各々の粗原料を得ることを目的に行う加熱処理、または得られた単一の粗原料に対して脱水などの目的で行う加熱処理を含まない。
(2)バリスタ用焼結体および電極を有するバリスタ積層体の作製
得られた混合原料を用いて、乾式、湿式を問わず既知の任意の手段を用いて成型し、所定の条件で焼成をして焼結体を得てよい。
例えば、混合原料を乾燥した状態で使用し、成形体(圧粉体)を得て、この成形体を焼成することにより、焼結体を得てよい。
また、混合原料を、エタノール等の有機分散媒または無機分散媒に分散させたスラリー(スラリー状の混合原料、ペースト)を得て、これを焼成して焼結体を得てもよい。
また、有機溶剤、可塑剤およびバインダを混合して得たビヒクル内に混合原料を攪拌混合した後、真空脱泡等を行いながら100℃以下程度に加熱し粘度調整を行って、シート形状等の任意の形状の混合原料成形体を得、これらを必要に応じて積層し、焼成して焼結体を得てもよい。
得られた混合原料を用いて、乾式、湿式を問わず既知の任意の手段を用いて成型し、所定の条件で焼成をして焼結体を得てよい。
例えば、混合原料を乾燥した状態で使用し、成形体(圧粉体)を得て、この成形体を焼成することにより、焼結体を得てよい。
また、混合原料を、エタノール等の有機分散媒または無機分散媒に分散させたスラリー(スラリー状の混合原料、ペースト)を得て、これを焼成して焼結体を得てもよい。
また、有機溶剤、可塑剤およびバインダを混合して得たビヒクル内に混合原料を攪拌混合した後、真空脱泡等を行いながら100℃以下程度に加熱し粘度調整を行って、シート形状等の任意の形状の混合原料成形体を得、これらを必要に応じて積層し、焼成して焼結体を得てもよい。
図1は、スラリー状の混合原料を用いて焼結体を得る方法を例示する模式斜視図である。図1(a)は、スラリーから混合原料シートを得る方法を示し、図1(b)は混合原料シートを所望の形状に打ち抜いた状態を示し、図1(c)は、打ち抜いた混合原料シートを積層し、電極材料を配置した状態を示す。なお、図1(a)〜(c)のように図の数字が同じで数字以降の符号(「(a)」等の部分)が異なる図が複数ある場合、これらを総称して「図1」のように図の番号で呼ぶことがある。
以下に図1に例示する方法を説明する。
混合原料に、分散媒と、必要に応じてPVBおよび/または可塑剤とを加えて、スラリー(混合原料スラリー)を得た後、図1(a)に示すように、このスラリーをPET等の樹脂フィルム8に塗布し、乾燥させることで、樹脂フィルム8上に混合原料シート2を得ることができる。
これを図1(a)の線Aに沿って打ち抜くことで、図1(b)に示すように、樹脂シート8上の混合原料シート2を所定の形状(図1(b)ではディスク形状)にすることができる。
混合原料に、分散媒と、必要に応じてPVBおよび/または可塑剤とを加えて、スラリー(混合原料スラリー)を得た後、図1(a)に示すように、このスラリーをPET等の樹脂フィルム8に塗布し、乾燥させることで、樹脂フィルム8上に混合原料シート2を得ることができる。
これを図1(a)の線Aに沿って打ち抜くことで、図1(b)に示すように、樹脂シート8上の混合原料シート2を所定の形状(図1(b)ではディスク形状)にすることができる。
この混合原料シート2を樹脂フィルム8から剥離し、図1(c)に示すように、複数(図1(c)では3つ)の混合原料シート2を積層し、混合原料シート積層体22を形成する。そして、混合原料シート積層体22の下面に第1の電極シート6A(例えば、銀(Ag)電極シート)を積層し、混合原料シート積層体22の上面に第2の電極シート6B(銀(Ag)電極シート)を積層する。
その後、第1の電極シート6A(電極シート6)と第2の電極シート6B(電極シート6)とが短絡しないように、プレスし、混合原料シート2同士の間、混合原料シート2と第1の電極シート6Aとの間、および混合原料シート2と第2の電極シート6Bの間を圧接(圧着)する。プレスは好ましくは100℃以下に加熱して行う。
その後、第1の電極シート6A(電極シート6)と第2の電極シート6B(電極シート6)とが短絡しないように、プレスし、混合原料シート2同士の間、混合原料シート2と第1の電極シート6Aとの間、および混合原料シート2と第2の電極シート6Bの間を圧接(圧着)する。プレスは好ましくは100℃以下に加熱して行う。
そして、下面に第1の電極シート6Aが配置され、上面に第2の電極シート6Bが配置された混合原料シート積層体22を焼成する。
焼成は焼成温度850℃〜950℃で行う。
焼成は空気中で行ってもよく、必要に応じて酸素雰囲気下で行ってもよい。
焼成は焼成温度850℃〜950℃で行う。
焼成は空気中で行ってもよく、必要に応じて酸素雰囲気下で行ってもよい。
このような焼成を行うことで、下面に第1の電極6A(例えば、銀電極)を有し、上面に第2の電極6B(例えば、銀電極)を有する、バリスタ積層体22(焼結体)を得ることができる。
なお、図1に示す実施形態では、混合原料シート2を複数枚積層したが、これに代えて1枚の混合原料シート2の下面に第1の電極シート6Aを上面に第2の電極シート6Bを形成し、焼成を行って焼結体を得てもよい。
なお、図1に示す実施形態では、混合原料シート2を複数枚積層したが、これに代えて1枚の混合原料シート2の下面に第1の電極シート6Aを上面に第2の電極シート6Bを形成し、焼成を行って焼結体を得てもよい。
3.多層基板およびその製造方法
(1)多層基板(バリスタ内蔵多層基板の基本構造)およびその製造方法
次に、上述したバリスタ焼結体の用途の一例である多層基板(バリスタ内蔵多層基板の基本構造)について説明する。
図2(a)は、本発明の多層基板の基本構造である多層基板100を示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)のXIVb-XIVb断面を示す断面図である。
多層基板100は、順に(図2(a)に示す実施形態では上から順に)第1の絶縁層10A(絶縁層10)と、第2の絶縁層10B(絶縁層10)と、第3の絶縁層10C(絶縁層)とが積層している。第2の絶縁層10Bの内部にバリスタ層2が配置されている。図2(b)に示す実施形態では、第2の絶縁層10Bを貫通する貫通孔内部にバリスタ層2が配置されている。
(1)多層基板(バリスタ内蔵多層基板の基本構造)およびその製造方法
次に、上述したバリスタ焼結体の用途の一例である多層基板(バリスタ内蔵多層基板の基本構造)について説明する。
図2(a)は、本発明の多層基板の基本構造である多層基板100を示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)のXIVb-XIVb断面を示す断面図である。
多層基板100は、順に(図2(a)に示す実施形態では上から順に)第1の絶縁層10A(絶縁層10)と、第2の絶縁層10B(絶縁層10)と、第3の絶縁層10C(絶縁層)とが積層している。第2の絶縁層10Bの内部にバリスタ層2が配置されている。図2(b)に示す実施形態では、第2の絶縁層10Bを貫通する貫通孔内部にバリスタ層2が配置されている。
バリスタ層2の上面(第1の主面)と下面(第2の主面)のそれぞれに内部電極6Cが配置されている。
バリスタ層2の上面に配置された内部電極6Cは、第1の絶縁層10Aを貫通する貫通電極6Dと接続され、電極6を形成している。この電極6により第1絶縁層10Aの上面(貫通電極6Dの第1絶縁層10Aの上面から露出した部分)とバリスタ層2とが電気的に接続できる。
同様に、バリスタ層2の下面に配置された内部電極6Cは、第3の絶縁層10Cを貫通する貫通電極6Dと接続され、電極6を形成している。この電極6により第3絶縁層10Cの下面(貫通電極6Dの第3絶縁層10Cの下面から露出した部分)とバリスタ層2とが電気的に接続できる。
2つの内部電極6Cは、互いに対向した対向電極となっており、その間にバリスタ層2が配置されている。この部分の構成により、ノイズ等により異常高電圧(高電流)が2つの内部電極6Cの間に発生するとバリスタ層2に電流が流れる。この基本構造を利用してインターポーザなどの多層基板の構造を形成することにより、異常高電圧が発生した場合に半導体チップ等の保護対象のデバイスにはほとんど電流が流れず、これらデバイスを保護することができる。また高速通信モジュールやインターポーザ等に対して多層基板100のような部分的にバリスタ層を絶縁層中に内装した基本構造を適用することにより、電極で形成される電気配線がほぼ絶縁層中に配置されるため、絶縁層の優れた伝送特性を活かした多層基板の実現が可能となる。
バリスタ層2の上面に配置された内部電極6Cは、第1の絶縁層10Aを貫通する貫通電極6Dと接続され、電極6を形成している。この電極6により第1絶縁層10Aの上面(貫通電極6Dの第1絶縁層10Aの上面から露出した部分)とバリスタ層2とが電気的に接続できる。
同様に、バリスタ層2の下面に配置された内部電極6Cは、第3の絶縁層10Cを貫通する貫通電極6Dと接続され、電極6を形成している。この電極6により第3絶縁層10Cの下面(貫通電極6Dの第3絶縁層10Cの下面から露出した部分)とバリスタ層2とが電気的に接続できる。
2つの内部電極6Cは、互いに対向した対向電極となっており、その間にバリスタ層2が配置されている。この部分の構成により、ノイズ等により異常高電圧(高電流)が2つの内部電極6Cの間に発生するとバリスタ層2に電流が流れる。この基本構造を利用してインターポーザなどの多層基板の構造を形成することにより、異常高電圧が発生した場合に半導体チップ等の保護対象のデバイスにはほとんど電流が流れず、これらデバイスを保護することができる。また高速通信モジュールやインターポーザ等に対して多層基板100のような部分的にバリスタ層を絶縁層中に内装した基本構造を適用することにより、電極で形成される電気配線がほぼ絶縁層中に配置されるため、絶縁層の優れた伝送特性を活かした多層基板の実現が可能となる。
次に、多層基板100の製造方法を説明する。
図3(a)〜図3(d)は、積層体150の製造方法を示す斜視図である。まず、積層体150を作製する。
図3(a)に示すように、焼成により絶縁層となる絶縁シート10を準備し、次に図3(b)に示すように、絶縁シート10に貫通孔14を形成する。絶縁シート10は、例えば絶縁シート用混合原料をバインダと混合してスラリー状にしたものを、シート成型機を用いてドクターブレード法により樹脂シート上に塗布し乾燥させた後、樹脂シートを剥がす、等の方法で作製すればよい。
絶縁シート10の貫通孔14に銀電極ペーストを充填し乾燥させることにより、焼成後に貫通電極6Dとなる電極ペースト層6Dを形成する。
次に図3(d)に示すように、絶縁シート10の表面に、スクリーン印刷法を用いて、銀電極ペーストを塗布した後、乾燥させる等の方法により、絶縁シート10の上面に、電極ペースト層6Dと接触するように、電極ペースト層6Cを形成する。
これにより積層体150を得ることができる。積層体150は2つ作製する。
図3(a)〜図3(d)は、積層体150の製造方法を示す斜視図である。まず、積層体150を作製する。
図3(a)に示すように、焼成により絶縁層となる絶縁シート10を準備し、次に図3(b)に示すように、絶縁シート10に貫通孔14を形成する。絶縁シート10は、例えば絶縁シート用混合原料をバインダと混合してスラリー状にしたものを、シート成型機を用いてドクターブレード法により樹脂シート上に塗布し乾燥させた後、樹脂シートを剥がす、等の方法で作製すればよい。
絶縁シート10の貫通孔14に銀電極ペーストを充填し乾燥させることにより、焼成後に貫通電極6Dとなる電極ペースト層6Dを形成する。
次に図3(d)に示すように、絶縁シート10の表面に、スクリーン印刷法を用いて、銀電極ペーストを塗布した後、乾燥させる等の方法により、絶縁シート10の上面に、電極ペースト層6Dと接触するように、電極ペースト層6Cを形成する。
これにより積層体150を得ることができる。積層体150は2つ作製する。
次に、積層体160を形成する。図4は、積層体160を示す斜視図である。積層体160は、積層体150の電極ペースト層6Cの表面(少なくとも主面)をバリスタスラリー層2により覆ったものである。
2つの積層体150のうちの1つを用いて、以下に示す方法により積層体160を形成できる。
素原料をボールミル等で混合後、乾燥、解砕し、上述した所定の成分を有する混合原料(混合乾燥粉)を得る。混合原料を、エタノール等の有機分散媒(ビヒクル)または無機分散媒に分散させた混合原料スラリーを得る。
積層体150の電極ペースト層6Cの露出した表面のうち、少なくとも主面を例えばスクリーン印刷等の方法を用いて、得られた混合原料スラリーにより覆った後、乾燥させることにより絶縁シート2、貫通電極6D、電極ペースト層6C、およびバリスタスラリー層2を有する積層体160を得ることができる。
2つの積層体150のうちの1つを用いて、以下に示す方法により積層体160を形成できる。
素原料をボールミル等で混合後、乾燥、解砕し、上述した所定の成分を有する混合原料(混合乾燥粉)を得る。混合原料を、エタノール等の有機分散媒(ビヒクル)または無機分散媒に分散させた混合原料スラリーを得る。
積層体150の電極ペースト層6Cの露出した表面のうち、少なくとも主面を例えばスクリーン印刷等の方法を用いて、得られた混合原料スラリーにより覆った後、乾燥させることにより絶縁シート2、貫通電極6D、電極ペースト層6C、およびバリスタスラリー層2を有する積層体160を得ることができる。
図5は、多層基板100の製造方法を示す図である。
図5を用いて複合積層体を得るためのプレス工程を説明する。
上から順に、バリスタスラリー層2が下面側となるように配置した積層体160(電極ペースト層6Cは不図示)と、積層体160のバリスタスラリー層2および積層体150の電極ペースト層6Cが収容可能な貫通孔14Aを有する絶縁シート10と、電極ペースト層6Cが上面側になるように配置した積層体150とを、図5に示すようにバリスタスラリー層2と貫通孔14Aと電極ペースト層6Cとを整列させて配置する。
そして、積層体150および160それぞれの絶縁シート10を、貫通孔14Aを有する絶縁シート10と接触させることにより、積層体160の電極ペースト層6Cおよびバリスタスラリー層2と、積層体150の電極ペースト層6Cとが貫通孔14A内で積層される。
この状態でプレスすることで,複合積層体を得ることができる。
図5を用いて複合積層体を得るためのプレス工程を説明する。
上から順に、バリスタスラリー層2が下面側となるように配置した積層体160(電極ペースト層6Cは不図示)と、積層体160のバリスタスラリー層2および積層体150の電極ペースト層6Cが収容可能な貫通孔14Aを有する絶縁シート10と、電極ペースト層6Cが上面側になるように配置した積層体150とを、図5に示すようにバリスタスラリー層2と貫通孔14Aと電極ペースト層6Cとを整列させて配置する。
そして、積層体150および160それぞれの絶縁シート10を、貫通孔14Aを有する絶縁シート10と接触させることにより、積層体160の電極ペースト層6Cおよびバリスタスラリー層2と、積層体150の電極ペースト層6Cとが貫通孔14A内で積層される。
この状態でプレスすることで,複合積層体を得ることができる。
得られた複合積層体を850℃〜950℃間の温度で焼成する。これにより、多層基板100を得ることができる。
(2)多層基板(バリスタ内蔵多層基板の基本構造の変形例)およびその製造方法
図6(a)は、変形例に係る多層基板200を示す斜視図であり、図6(b)は、図6(a)のXVIIIb-XVIIIb断面を示す断面図である。
多層基板200は、多層基板100と同様の構成を有している。すなわち、多層基板200は、順に(図6(a)に示す実施形態では上から順に)第1の絶縁層10A(絶縁層10)と、第2の絶縁層10B(絶縁層10)と、第3の絶縁層10C(絶縁層10)を有する。第2の絶縁層10Bの内部にバリスタ層2が配置されている。図6(b)に示す実施形態では、第2の絶縁層10Bを貫通する貫通孔内部にバリスタ層2が配置されている。
図6(a)は、変形例に係る多層基板200を示す斜視図であり、図6(b)は、図6(a)のXVIIIb-XVIIIb断面を示す断面図である。
多層基板200は、多層基板100と同様の構成を有している。すなわち、多層基板200は、順に(図6(a)に示す実施形態では上から順に)第1の絶縁層10A(絶縁層10)と、第2の絶縁層10B(絶縁層10)と、第3の絶縁層10C(絶縁層10)を有する。第2の絶縁層10Bの内部にバリスタ層2が配置されている。図6(b)に示す実施形態では、第2の絶縁層10Bを貫通する貫通孔内部にバリスタ層2が配置されている。
多層基板100では、バリスタ層2はバリスタスラリー層2を焼成して形成するが、多層基板200では、バリスタ層2を図1(a)に示した混合原料シート2を用いて形成する。混合原料シート2は、通常、バリスタスラリー層2と比べて剛性が高いため、プレス工程における変形が少ない。このため、得られるバリスタ層2内での厚みのばらつきが小さく、とりわけ中心部と端部との厚みの差が小さいという利点を有する。
なお、多層基板200の製造方法は、積層体160を形成する際に、電極ペースト層6Dの表面(少なくとも主面)をバリスタスラリー層2により覆うことに代えて、電極ペースト層6Dの表面(少なくとも主面)を覆うように混合原料シート2を配置する以外は、積層体100と同じ製造方法を用いてよい。
また、図2〜図6の例では、2つの内部電極6Cがそれぞれバリスタ層2の上面および下面に配置されている例を説明したが、2つの内部電極6Cはバリスタ層2の同じ主面(上面または下面)に互いに離間して配置されていてもよい。すなわち、内部電極6Cはバリスタ層2のいずれかの主面に互いに離間して配置されていればよい。
1.実施例1
表1に示す粗原料を同表の組成と成るように秤量し、ボールミル容器中にエタノール、ジルコニアボールとともに投入して、100rpmで20時間ボールミル混合した。なお本実施例における組成は金属元素換算のmol%で示している。すなわち、それぞれの酸化物が含有する酸素原子を考慮せず、酸素と結びついている金属原子のみを考慮して、モル比率を算出し求めたものであり、表1では、Zn、Bi、Co、Mn、Crのそれぞれの金属元素のmol%を示している。
また、表1に示す全てのサンプル(乾燥後の混合原料)について、ICP(誘導結合型プラズマ)湿式分析を行った。その結果、RMおよび錫(Sn)は何れも検出限界以下(検出限界:質量比で100ppm)であった。このことは、質量比からモル比に換算することで得られるRMおよび錫(Sn)のそれぞれの含有量が0.01mol%未満であることを意味する。
表1に示す粗原料を同表の組成と成るように秤量し、ボールミル容器中にエタノール、ジルコニアボールとともに投入して、100rpmで20時間ボールミル混合した。なお本実施例における組成は金属元素換算のmol%で示している。すなわち、それぞれの酸化物が含有する酸素原子を考慮せず、酸素と結びついている金属原子のみを考慮して、モル比率を算出し求めたものであり、表1では、Zn、Bi、Co、Mn、Crのそれぞれの金属元素のmol%を示している。
また、表1に示す全てのサンプル(乾燥後の混合原料)について、ICP(誘導結合型プラズマ)湿式分析を行った。その結果、RMおよび錫(Sn)は何れも検出限界以下(検出限界:質量比で100ppm)であった。このことは、質量比からモル比に換算することで得られるRMおよび錫(Sn)のそれぞれの含有量が0.01mol%未満であることを意味する。
得られた混合原料を取り出して乾燥後、エタノール、PVBおよび可塑剤と混合してスラリー状の混合原料を作製した。このとき、スラリーに占めるPVBの含有率は10体積%とした。
このスラリー状の混合原料を用い、図1に示す方法でバリスタ積層体を得た。
具体的には、このスラリー状の混合原料をPETフィルム8上に厚さ0.07mmで塗布した後、乾燥させて混合原料シート2を得た。
同様に銀(Ag)粉末をエタノール、PVB(ポリビニルブチラール)および可塑剤と混合してスラリーを作製し、このスラリーをPETフィルム上に厚さ0.08mm厚みに塗布後、乾燥させて銀電極シート6を得た。
このスラリー状の混合原料を用い、図1に示す方法でバリスタ積層体を得た。
具体的には、このスラリー状の混合原料をPETフィルム8上に厚さ0.07mmで塗布した後、乾燥させて混合原料シート2を得た。
同様に銀(Ag)粉末をエタノール、PVB(ポリビニルブチラール)および可塑剤と混合してスラリーを作製し、このスラリーをPETフィルム上に厚さ0.08mm厚みに塗布後、乾燥させて銀電極シート6を得た。
上記のスラリーを塗布したPETフィルム8を打ち抜いた後、PETフィルム8を剥離して、ディスク状の混合原料シート2(直径14mm×厚さ0.07mm)を得た。この混合原料シート2を3枚積層し、混合原料シート積層体22を得た。
混合原料シート積層体の両面それぞれに、銀電極シート6(直径6mm×厚さ0.05mm)を積層して電極とし、電極が短絡しないように注意して85℃でプレスして圧接した。
混合原料シート積層体の両面それぞれに、銀電極シート6(直径6mm×厚さ0.05mm)を積層して電極とし、電極が短絡しないように注意して85℃でプレスして圧接した。
この両面に銀電極6を備えた、混合原料シート積層体22を、昇温速度200℃/時間で昇温し、900℃で2時間焼成してバリスタ積層体22を得た。
バリスタ積層体22のサンプル1〜12に対して、アドバンテスト社製絶縁抵抗計R8340を用いて、電極間に流れる電流を、電圧を掃引しながら測定し、この測定結果からバリスタ特性(絶縁抵抗値、非線形定数、バリスタ電圧)を求めた。絶縁抵抗値は、バリスタ電圧の10分の1での抵抗値である。非線形定数は上述の(1)式により求めた。
結果を表2に示す。
結果を表2に示す。
EDX(エネルギー分散型X線分光法)によってサンプル4〜9の組織の組成分析を行ったところ、マンガンが酸化亜鉛の結晶粒界や粒界三重点に化合物として析出していることが確認できた。上述の通り、酸化亜鉛系バリスタのバリスタ特性発現と関わる二重ショットキー障壁は、酸化亜鉛の結晶粒界に存在すると考えられている粒界準位の密度と粒内の正イオンの密度のバランスで決まるとされており、サンプル4〜9ではこのバランスが適したものになったためこのように高い非線形定数が得られたと推察される。またマンガンが不足した場合(サンプル1〜3)は十分な粒界準位が形成されず、マンガンが過剰な場合(サンプル10)は析出物が多くなり理由は不明であるが粒界の特性が好ましくない状態になったと推察される。また、ビスマスが過剰なサンプル11、コバルトを添加したサンプル12は、理由は不明であるが粒界の特性が好ましくない状態になったと推察される。
2:バリスタ層(焼成前は混合原料シートまたはペースト層)
6:電極
6A:第1の電極
6B:第2の電極
6C:第1の内部電極
6D:第2の内部電極
8:樹脂フィルム
10:絶縁層
10A:第1の絶縁層
10B:第2の絶縁層
10C:第3の絶縁層
22:バリスタ積層体(焼成前は混合原料シート積層体)
6:電極
6A:第1の電極
6B:第2の電極
6C:第1の内部電極
6D:第2の内部電極
8:樹脂フィルム
10:絶縁層
10A:第1の絶縁層
10B:第2の絶縁層
10C:第3の絶縁層
22:バリスタ積層体(焼成前は混合原料シート積層体)
Claims (5)
- 酸化亜鉛を主成分とし、
酸化ビスマスをビスマス(Bi)換算で0.6〜1.8mol%、酸化マンガンをマンガン(Mn)換算で1.0〜7.0mol%含み、RM(RMは、アンチモン(Sb)、希土類元素、リチウム(Li)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、ゲルマニウム(Ge)、ニオブ(Nb)、テルル(Te)、タングステン(W)、コバルト(Co)、セレン(Se)、モリブデン(Mo)、セシウム(Cs)、レニウム(Re)、ルビジウム(Rb)、パラジウム(Pd)、バリウム(Ba)、白金(Pt)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ストロンチウム(Sr)、インジウム(In)、ハフニウム(Hf)、タリウム(Tl))および錫(Sn)の含有量が不純物レベル以下であることを特徴とするバリスタ用焼結体。 - 順に、第1の絶縁層と、請求項1に記載のバリスタ用焼結体であるバリスタ層と、第2の絶縁層と、前記バリスタ層の主面に配置された第1の内部電極および第2の内部電極を有していることを特徴とする多層基板。
- 順に積層されている、第1の絶縁層と、第2の絶縁層と、第3の絶縁層とを有し、
前記第2の絶縁層が、その内部に請求項1に記載のバリスタ用焼結体であるバリスタ層を備え、
前記バリスタ層の主面に配置された第1の内部電極および第2の内部電極とを有していることを特徴とする多層基板。 - 1)少なくとも、酸化亜鉛と、酸化ビスマスと、酸化マンガンとを熱処理を施すことなく混合して、酸化亜鉛を主成分とし、酸化ビスマスをビスマス(Bi)換算で0.8〜1.8mol%、酸化マンガンをマンガン(Mn)換算で1.0〜7.0mol%含み、RM(RMは、アンチモン(Sb)、希土類元素、リチウム(Li)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、ゲルマニウム(Ge)、ニオブ(Nb)、テルル(Te)、タングステン(W)、コバルト(Co)、セレン(Se)、モリブデン(Mo)、セシウム(Cs)、レニウム(Re)、ルビジウム(Rb)、パラジウム(Pd)、バリウム(Ba)、白金(Pt)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ストロンチウム(Sr)、インジウム(In)、ハフニウム(Hf)、タリウム(Tl))および錫(Sn)の含有量が不純物レベル以下である混合原料を得る工程と、
2)前記混合原料を850℃〜950℃で焼成する工程と、
を含むことを特徴とする、バリスタ用焼結体の製造方法。 - 1)少なくとも、酸化亜鉛と、酸化ビスマスと、酸化マンガンとを熱処理を施すことなく混合して、酸化亜鉛を主成分とし、酸化ビスマスをビスマス(Bi)換算で0.6〜1.8mol%、酸化マンガンをマンガン(Mn)換算で1.0〜7.0mol%含み、RM(RMは、アンチモン(Sb)、希土類元素、リチウム(Li)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、ゲルマニウム(Ge)、ニオブ(Nb)、テルル(Te)、タングステン(W)、コバルト(Co)、セレン(Se)、モリブデン(Mo)、セシウム(Cs)、レニウム(Re)、ルビジウム(Rb)、パラジウム(Pd)、バリウム(Ba)、白金(Pt)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ストロンチウム(Sr)、インジウム(In)、ハフニウム(Hf)、タリウム(Tl))および錫(Sn)の含有量が不純物レベル以下である混合原料を得る工程と、
2)絶縁材料から成る第1の絶縁シートの上に、第1の電極材を配置する工程と、
3)前記第1の電極材の上に、前記混合原料を含む混合原料シートを形成する工程と、
4)前記混合原料シートの上に、第2の電極材を配置する工程と、
5)前記第2の電極材の上に、絶縁材料から成る第2の絶縁シートを形成する工程と、
6)前記第1の絶縁シートと、前記混合原料シートと、前記第2の絶縁シートとを850℃〜950℃で焼成する工程と、
を含むことを特徴とする多層基板の製造方法。
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