以下,本発明を具体化した最良の形態について,図面を参照しつつ詳細に説明する。
[第1の形態]
図1に,本形態に係る測定装置100の正面図を示す。また,図2には,測定装置100の平面図を示している。測定装置100は,電極板10の厚みを測定する装置である。また,測定装置100は,第1センサー110,第2センサー120,センサー取付部130,ブラケット140,スライダー150を有している。
本形態の第1センサー110および第2センサー120はともに,発光部と受光部とを有するレーザー式の変位センサーである。本形態では,第1センサー110および第2センサー120として,同一のものを用いている。また,第1センサー110および第2センサー120はともに,センサー取付部130に固定されている。
図1に示すように,第1センサー110および第2センサー120はそれぞれ,発光部および受光部が設けられている測定面111,121が互いに向き合った状態で固定されている。具体的には,図1に示すように,第1センサー110は,測定面111を下側に向けた状態で,センサー取付部130に固定されている。また,第2センサー120は,測定面121を,上側に向けた状態で,センサー取付部130に固定されている。
センサー取付部130は,図1に示すように左向きに突出するアーチ形状の部材であり,その突出している左側の部分において,ブラケット140に固定されている。なお,センサー取付部130の右端の2箇所にはそれぞれ,上記のように第1センサー110および第2センサー120が取り付けられている。
本形態では,センサー取付部130がアーチ形状をしていることにより,振動が発生した場合に,その振動が第1センサー110および第2センサー120にそれぞれ均等に伝わるようにされている。また,本形態では,第1センサー110および第2センサー120が,1つのセンサー取付部130に固定されている。これにより,センサー取付部130の環境温度の変化に伴う熱膨張が生じた場合にも,第1センサー110および第2センサー120の,検出対象面までの距離の変化が小さいものとなるようにされている。つまり,環境温度の変化による第1センサー110および第2センサー120の検出値への影響が少なくなるようにされている。なお,センサー取付部130の材質としては,熱膨張率の低いものが好ましい。熱膨張率が大きすぎる場合には,環境温度の変化により,第1センサー110および第2センサー120の,検出対象面までの距離が大きく変化してしまうからである。
ブラケット140は,図1に示すようにL字形状の部材であり,センサー取付部130とスライダー150とを接続するものである。
スライダー150は,可動部151と固定部152とを有するものであり,可動部151が図1において左右方向に移動することのできるものである。また,ブラケット140は,スライダー150の可動部151に取り付けられている。このため,可動部151を移動させることにより,ブラケット140,センサー取付部130,第1センサー110,第2センサー120を移動させることができる。スライダー150としては,例えば,ボールねじを有するスライドユニット等を用いることができる。
また,本形態における厚み測定の対象物である電極板10は,図1に示すように,集電箔20の上下の両面にそれぞれ,活物質層30,31を形成してなるものである。つまり,厚みの測定対象である電極板10は,測定装置100の位置に搬送されてくる前に,すでに活物質層30,31が形成されているものである。
電極板10は,測定装置100内において,図1に示すように,第1面11を上側に,第2面12を下側に向けた状態で搬送される。すなわち,電極板10は,図1において,厚さ方向を上下方向とし,幅方向を左右方向とした状態で搬送される。なお,電極板10の搬送方向は,図2において矢印で示すように下向きである。電極板10は,例えば,リチウムイオン二次電池に用いられる正極板等である。
また,電極板10の搬送経路の左側には,基準材50が設けられている。基準材50は,図1に示すように,第1基準面51を上側に,第2基準面52を下側に向けた状態で固定されている。基準材50としては,温度変化や時間の経過に伴う厚みの変化が小さいものが好ましい。さらに,基準材50は,第1センサー110および第2センサー120により照射されるレーザー光に対する反射に係る光学特性についても,温度変化や時間の経過に伴う変化が小さいものが好ましい。本形態では,基準材50として,黒色のPET(ポリエチレンテレフタレート)よりなるものを用いている。
図1および図2には,測定装置100の第1センサー110および第2センサー120の検出位置がそれぞれ,基準材50の第1基準面51および第2基準面52である状態を示している。本形態の測定装置100では,スライダー150の可動部151の移動により,第1センサー110および第2センサー120の検出位置をそれぞれ,電極板10の第1面11および第2面12に移動させることができる。
つまり,測定装置100は,第1センサー110および第2センサー120により,基準材50と電極板10とを検出することができる。また,測定装置100における第1センサー110および第2センサー120は,基準材50または電極板10の表裏の同じ位置が検出位置となるように設けられている。
また,第1センサー110の検出値は,基準材50の第1基準面51または電極板10の第1面11の,電極板10の厚み方向(図1において上下方向)における位置を指標する値である。第2センサー120の検出値は,基準材50の第2基準面52または電極板10の第2面12の,電極板10の厚み方向における位置を指標する値である。なお,本形態の第1センサー110および第2センサー120はともに,検出対象面との距離が近いほど,大きな値を出力するものである。
さらに,本形態の測定装置100は,電極板10の厚みの測定値を算出するための演算を行う演算部160を有している。演算部160は,第1センサー110および第2センサー120が検出して出力する出力値に基づいて,後に詳述する方法により,電極板10の厚みの測定値を求めることのできるものである。すなわち,測定装置100は,電極板10の厚みの測定値を,第1センサー110および第2センサー120により基準材50と電極板10との変位量を求め,その変位量を用いて求めることのできるものである。
次に,本形態に係る測定装置100による電極板10の厚みの測定方法について説明する。本形態では,電極板10の厚みの測定値を,次の手順で求める。
1.基準検出工程
2.基準平均算出工程
3.電極検出工程
4.電極板の厚みの測定値の算出工程
まず,「1.基準検出工程」では,基準材50についての検出を行う。そのため,第1センサー110および第2センサー120の検出位置がそれぞれ,図1および図2に示すように,基準材50の第1基準面51および第2基準面52となるようにスライダー150を移動させる。さらに,本工程では,第1センサー110および第2センサー120により,基準材50の第1基準面51および第2基準面52のそれぞれの複数の箇所について検出を行う。
具体的には,まず,第1センサー110の検出位置を,図3に示す基準材50の第1基準面51上に予め定めた基準検出点A1へと移動させる。ここで,前述したように,第1センサー110および第2センサー120は,基準材50または電極板10の表裏の同じ位置が検出位置となるように設けられている。このため,第1センサー110の検出位置を基準検出点A1へ移動させたときの第2センサー120の検出位置は,第2基準面52上の,基準検出点A1の基準材50の裏側に位置する基準検出点A2である。
そして,本形態では,第1センサー110の検出位置を基準検出点A1,第2センサー120の検出位置を基準検出点A2とした状態で,第1センサー110および第2センサー120のキャリブレーションを行う。具体的には,キャリブレーションを,第1センサー110および第2センサー120の検出値をともにゼロとすることにより行う。
また,本形態では,キャリブレーション時の基準検出点A1と基準検出点A2との距離を,図4に示すように,基準材取得厚みTBaとする。またここで,基準材取得厚みTBaの具体的な値として,基準検出工程を行う前に予め基準材50について測定した,信頼性の高い基準材50の厚みである基準材信頼厚みTB1を用いる。なお,基準材信頼厚みTB1の値としては,例えば,接触式センサーを用いて測定する膜厚計,基準材50の断面を光学顕微鏡や電子顕微鏡を用いて観察する断面形状計測などにより得られた基準材50の平均厚みを用いることができる。
さらに,本工程では,キャリブレーション後の第1センサー110および第2センサー120を図3に示すように右側に移動させつつ,その移動中の第1センサー110および第2センサー120によりそれぞれ検出を行う。具体的には,第1センサー110により,基準検出点B1,C1,D1,E1についての検出を行う。また,第2センサー120により,基準検出点B2,C2,D2,E2についての検出を行う。
なお,第1センサー110および第2センサー120の移動は,スライダー150により行う。また,第2センサー120の基準検出点B2,C2,D2,E2はそれぞれ,第1センサー110の基準検出点B1,C1,D1,E1の基準材50の裏側に位置する点である。
また,図4に示すように,基準材50の第1基準面51および第2基準面52はともに,完全な平面ではない。このため,第1センサー110による基準検出点B1,C1,D1,E1の検出値および第2センサー120による基準検出点B2,C2,D2,E2の検出値はそれぞれ,基準検出点A1および基準検出点A2についての値とは異なる値となることがある。
次に,「2.基準平均算出工程」を行う。本工程では,第1センサー110による基準検出点B1,C1,D1,E1の検出値および第2センサー120による基準検出点B2,C2,D2,E2の検出値より,基準材平均厚みTB2を算出する。基準材平均厚みTB2は,基準材取得厚みTBaと,基準検出点B1,C1,D1,E1の基準検出点A1からの変位量および基準検出点B2,C2,D2,E2の基準検出点A2からの変位量とにより算出することができる。
具体的には,まず,図4に示す,基準材取得厚みTBb,TBc,TDb,TBeを求める。基準材取得厚みTBbは,基準検出点B1,B2の距離である。基準材取得厚みTBcは,基準検出点C1,C2の距離である。基準材取得厚みTDbは,基準検出点D1,D2の距離である。基準材取得厚みTBeは,基準検出点E1,E2の距離である。
基準材取得厚みTBbの値は,基準材取得厚みTBaの値と,基準検出点B1の基準検出点A1からの変位量および基準検出点B2の基準検出点A2からの変位量とにより求めることができる。その他の基準材取得厚みTBc,TDb,TBeについても,基準材取得厚みTBbと同様に求めることができる。そして,本形態では,基準材平均厚みTB2の値を,基準材取得厚みTBa,TBb,TBc,TDb,TBeの各値の算術平均により求めている。
また本形態では,基準材平均厚みTB2を算出後,基準材取得差TB3を算出する。基準材取得差TB3の値は,基準材取得厚みTBaの値より,基準材平均厚みTB2の値を減ずることにより求める。このため,基準材取得差TB3は,図4に示すX1とX2との和である。また,図4には,基準材平均厚みTB2に係る仮想の平面である第1基準平均面S1と第2基準平均面S2とを示している。第1基準平均面S1および第2基準平均面S2とはそれぞれ,基準材50の第1基準面51および第2基準面52を電極板10の厚み方向と直交する平面に更生した仮想の平面である。
なお,図4は,基準材取得厚みTBaの値が基準材平均厚みTB2の値よりも大きい場合を例示したものである。このため,図4の例において,基準材取得差TB3の値は,正の値である。一方,図4の例とは異なり,基準材取得厚みTBaの値が基準材平均厚みTB2の値よりも小さい場合には,基準材取得差TB3の値は,負の値となる。
次に,「3.電極検出工程」を行う。本工程では,まず,第1センサー110および第2センサー120を,スライダー150により,基準材50から電極板10へと移動させる。図5には,第1センサー110および第2センサー120の検出位置をそれぞれ,電極板10の第1面11の電極検出点F1および第2面12の電極検出点F2に移動させたときを示している。本形態では,電極検出点F1,F2を,電極板10の幅方向の中央位置としている。
なお,電極検出点F1,F2は,電極板10の中央位置に限らず,その他の位置としてもよい。例えば,電極検出点F1,F2は,電極板10の性能を適切に発揮させるために,電極板10の厚みが重要となる位置とすることができる。あるいは,形成された活物質層30,31の厚みの変化による不良の発生頻度が高い位置とすることもできる。
そして,第1センサー110および第2センサー120により,電極検出点F1,F2の検出を行う。また,図5に示す,電極板10の電極検出点F1,F2の,それぞれ基準材50の基準検出点A1,A2からの変位量である基準電極差Y1,Y2を求める。
さらには,基準電極差Y1,Y2,基準材取得差TB3,基準材信頼厚みTB1により,電極板取得厚みTE1を算出する。具体的に,電極板取得厚みTE1は,次の式(1)により算出する。
TE1=Y1+Y2+TB3+TB1 (1)
なお,図5は,電極板10の厚み方向について,電極検出点F1が基準検出点A1よりも第1センサー110に近い位置である場合を例示したものである。そして,本形態では,図5の例において,基準電極差Y1の値は,正の値となる。一方,電極板10の厚み方向について,電極検出点F1が基準検出点A1よりも第1センサー110から遠い位置である場合には,基準電極差Y1の値は,負の値となる。
また同様に,図5は,電極板10の厚み方向について,電極検出点F2が基準検出点A2よりも第2センサー120に近い位置である場合を例示したものである。そして,本形態では,図5の例において,基準電極差Y2の値は,正の値となる。一方,電極板10の厚み方向について,電極検出点F2が基準検出点A2よりも第2センサー120から遠い位置である場合には,基準電極差Y2の値は,負の値となる。
ここで,前述したように,基準材取得差TB3は,X1とX2との和である。すなわち,上記の式(1)中の基準電極差Y1,Y2と基準材取得差TB3との和は,電極検出点F1の第1基準平均面S1からの変位量と電極検出点F2の第2基準平均面S2からの変位量との和である。すなわち,本形態では,上記の式(1)に示すように,電極板取得厚みTE1を,基準材信頼厚みTB1に,電極検出点F1の第1基準平均面S1からの変位量と電極検出点F2の第2基準平均面S2からの変位量との和を加えることで算出している。
さらに本形態では,「4.電極板の厚みの測定値の算出工程」を行う。本工程は,より信頼性の高い電極板10の厚みの測定値を得るために行う工程である。本工程では,図6に示す検量線を用いて,電極板10の厚みの測定値を求める。
検量線は,図6に示すように,電極板取得厚みと電極板信頼厚みとの関係を示すものである。図6では,縦軸に電極板取得厚みを,横軸に電極板信頼厚みを示している。図6に示す検量線は,製造された電極板10についての測定を行う前に,厚みの異なる複数の試験電極板を作製するとともに,その複数の試験電極板についてそれぞれ電極板取得厚みと電極板信頼厚みとを得ることにより予め作成したものである。試験電極板は,その検出対象となる面については,電極板10と同じ活物質層30,31が形成されたものである。
具体的に,縦軸の電極板取得厚みは,厚みの異なる複数の試験電極板のそれぞれについて上記の「1.基準検出工程」,「2.基準平均算出工程」,「3.電極検出工程」を行うことにより求めた,複数の試験電極板ごとの電極板取得厚みTE1の値を用いている。試験電極板の電極板取得厚みの取得の際にも,製造された電極板10の厚みの測定値を求める際と同じ基準材50を用いている。また,試験電極板の電極板取得厚みの取得の際にも,製造された電極板10の厚みの測定値を求める際と同じ第1センサー110および第2センサー120を用いた。
一方,横軸の電極板信頼厚みは,厚みの異なる複数の試験電極板のそれぞれについて接触式センサーによる膜厚計を使用して測定した,複数の試験電極板ごとの測定値を用いている。なお,接触式センサーによる膜厚計の測定値に限らず,複数の試験電極板ごとの断面を光学顕微鏡や電子顕微鏡を用いて観察する断面形状計測により得られた測定値を用いてもよい。このため,横軸に示す複数の電極板ごとの電極板信頼厚みは,縦軸の複数の電極板ごとの電極板取得厚みよりも信頼性の高い値である。
さらに,図6に示す検量線は,得られた厚みの異なる複数の試験電極板ごとに電極板取得厚みと電極板信頼厚みとの関係をプロットし,そのプロットされた複数の点の近似曲線により作成したものである。
そして,「4.電極板の厚みの測定値の算出工程」では,「3.電極検出工程」により得られた電極板取得厚みTE1の値を図6の縦軸に定め,その定めた値に対応する横軸の電極板信頼厚みの値を,電極板10の厚みの測定値として出力する。これにより,本形態の測定装置100は,電極板10の厚みの測定値を高精度で求めることができるとともに,その高い精度で求めた電極板10の厚みの測定値を出力することができる。
また,本形態では,「3.電極検出工程」において第1センサー110および第2センサー120を電極板10へと移動させた後,電極板10を搬送しつつ,電極板10の厚みの測定値を連続して求める。すなわち,搬送により第1センサー110および第2センサー120の検出位置を通過する電極板10の厚みの測定値を,電極板10の搬送方向について連続して求めることができる。これにより,例えば,電極板10の搬送方向の一部に規格外の厚みの箇所があるときには,その部分を不良箇所として検出することができる。
ここで,本発明の効果について説明する。図7は,測定装置100により,搬送される電極板10の厚みの測定を連続して行った結果を示すものである。ただし,図7は,上記の本形態とは異なる方法により電極板10の厚みを測定した結果である。具体的には,第1センサー110および第2センサー120によりそれぞれ基準材50の1つの基準検出点を検出し,その基準検出点からの電極板10の電極検出点の変位量に,基準材信頼厚みTB1を加えた値を,電極板10の電極板取得厚みとしたものである。
また,図7には,同じ電極板10について3回,測定を行った結果を示している。図7では,3回の測定毎に,基準材50の1つの基準検出点の検出を行い,その基準検出点からの電極検出点の変位量により電極板取得厚みを求めている。
そして,図7に示すように,1回目,2回目,3回目の電極板取得厚みのグラフはそれぞれ,大きく異なる値をとっている。具体的には,2回目,3回目の電極板取得厚みを示すグラフは,1回目の電極板取得厚みを示すグラフを,下側にシフトさせたような推移を示している。これは,基準材50の1つの基準検出点の検出を行い,その基準検出点からの電極検出点の変位量により電極板取得厚みを求めているからである。
すなわち,前述したように,基準材50の第1基準面51および第2基準面52は,完全な平面ではない。そして,3回の測定毎に基準材50の1つの基準検出点の検出を行う第1センサー110および第2センサー120が,その3回の測定毎に,基準材50の異なる点を基準検出点として検出しているからである。つまり,第1センサー110および第2センサー120により検出される3回の測定毎の基準検出点の検出値が一定でないことにより,図7に示す1回目,2回目,3回目の電極板取得厚みのグラフが,大きく異なる値となっている。
これに対し,図8は,上記の本形態に係る方法により電極板10の厚みを測定した結果である。図8についても,図7と同じ電極板10について,3回の測定を行ったときの電極板取得厚みを示している。また,図8では,3回の測定毎に,第1センサー110および第2センサー120により基準材50の複数の検出基準点を検出し,その検出値により基準材平均厚みTB2を求めている。そして,3回の測定毎に求めた基準材平均厚みTB2により,電極板取得厚みを求めている。
図8に示すように,本形態に係る方法による電極板取得厚みのグラフは,3回とも,ほぼ同じである。これは,本形態に係る方法では,前述したように,電極板取得厚みTE1を,基準材信頼厚みTB1に,電極検出点F1の第1基準平均面S1からの変位量と電極検出点F2の第2基準平均面S2からの変位量との和を加えて算出しているからである。
すなわち,本形態に係る方法では,基準材平均厚みTB2を,基準材50の複数の基準検出点により求めている。このため,各回ごとに検出される複数の基準検出点の値が,各回ごとにそれぞれ異なる値であっても,各回ごとに求まる基準材平均厚みTB2は,それほど異なる値とはならずに,ほぼ一定の値となる。これにより,本形態に係る方法では,図8に示すように,電極板10の厚みの測定値を,高い繰り返し精度において求めることができる。よって,本形態に係る方法により,電極板10の厚みの測定値を,高い精度で求めることができる。
なお,上記の本形態においては,基準材50として,黒色のPETを用いている。しかし,その他の材料のものを用いても良い。例えば,基準材50としては,予め作製した電極板10や,活物質層30,31を形成する前の集電箔20を用いてもよい。
また,本形態では,基準材50と電極板10とを,同一の変位センサーにより検出している。具体的には,基準材50の第1基準面51と電極板10の第1面11との検出を,第1センサー110により行っている。また,基準材50の第2基準面52と電極板10の第2面12との検出を,第2センサー120により行っている。このため,本形態では,基準材50と電極板10との検出をそれぞれ異なる変位センサーを用いて行った場合と比較して,継続的に,高い精度で電極板10の厚みの測定値を求めることができる。
基準材50と電極板10とを異なる変位センサーで検出した場合には,基準材50を検出する変位センサーと電極板10を検出する変位センサーとの検出値に,外乱による影響や長期使用に伴う劣化の程度など,センサー個体差によるバラつきが含まれてしまう。そのため,異なる変位センサーを用いた場合には,継続的に,高い精度で電極板10の厚みの測定値を求めることができないからである。
また,基準材50と電極板10とを異なる変位センサーで検出した場合には,それらの変位センサーが故障したときの取り替えが容易ではない。基準材50を検出する変位センサーと電極板10を検出する変位センサーとの取付差を,できるだけ小さくする調整を行う必要があるからである。
これに対し,基準材50と電極板10との検出を同一の変位センサーで行う本形態では,そのような変位センサーの取り替え時における調整が不要である。このため,本形態の測定装置100では,第1センサー110および第2センサー120の取り替えを,容易に行うことができる。
また,本形態では,電極板10を第1面11および第2面12の両面から検出した検出値を用いていることにより,搬送中の電極板10の厚みを適切に測定することができる。例えば,電極板10の厚みの測定値を,第1面11のみからの検出値により求めた場合,求めた電極板10の厚みの測定値には,電極板10の搬送による厚み方向の振動等が加わってしまうからである。すなわち,電極板10の両面から検出を行うことで,搬送に伴う電極板10の振動等に影響されることなく,電極板10の厚みの測定値を,高い精度で求めることができる。
また,本形態では,「4.電極板の厚みの測定値の算出工程」を行っていることにより,極めて高い精度で電極板10の厚みの測定値を求めることができる。前述したように,本形態では,基準材50として,電極板10とは異なる黒色のPETのものを用いている。そして,黒色のPETの光学特性は,電極板10の光学特性とは異なるものである。
つまり,第1センサー110および第2センサー120が検出する検出値は,検出対象面が黒色のPETのときと電極板10のときとでは,実際の距離が全く同じであっても,わずかに異なることがあることがある。このため,「3.電極検出工程」で求めた電極板取得厚みTE1は,その黒色のPETと電極板10との光学特性による検出値の差の影響を受けていることがある。
しかし,「4.電極板の厚みの測定値の算出工程」において検量線を用いることにより,その黒色のPETと電極板10との光学特性による検出値の差を補正することができる。よって,「4.電極板の厚みの測定値の算出工程」を実施することにより,より高い精度で電極板10の厚みの測定値を求めることができる。
なお,「4.電極板の厚みの測定値の算出工程」については,必ずしも実施する必要はない。例えば,必要とされる電極板10の厚みの測定値の精度が,黒色のPETと電極板10との光学特性による検出値の差を考慮するほどではない場合には,不要である。また例えば,基準材50として,光学特性が電極板10と同じものを用いた場合にも不要である。
そして,これらの場合には,「3.電極検出工程」で求めた電極板取得厚みTE1を,電極板10の厚みの測定値として用いることとすればよい。
以上詳細に説明したように,本実施の形態に係る方法では,電極板10の厚みの測定値を,第1センサー110および第2センサー120により基準面50と電極板10との変位量を求め,その変位量を用いて求める。つまり,基準検出工程では,基準材50の第1基準面51および第2基準面52の複数の基準検出点について検出を行う。また,基準平均算出工程では,検出した複数の基準検出点より基準材平均厚みTB2と第1基準平均面S1,第2基準平均面S2を求めるとともに,基準材取得差TB3を求める。さらに,電極検出工程では,電極板10の電極検出点F1,F2を検出するとともに,電極検出点F1の第1基準平均面S1からの変位量と電極検出点F2の第2基準平均面S2からの変位量とを求める。そして,その電極検出点F1の第1基準平均面S1からの変位量と電極検出点F2の第2基準平均面S2からの変位量との和を基準材信頼厚みTB1に加えることにより,電極板取得厚みTE1を算出している。
すなわち,本実施の形態に係る方法は,変位センサーの一方である第1センサー110についてみたときには,第1基準面51の複数の検出基準点についての検出を行い,その検出値により,基準材平均厚みTB2に係る一方の第1基準平均面S1を求めている。さらに,その第1基準平均面S1と電極検出点F1との差により,変位量(X1+Y1)を求めている。また,変位センサーの他方である第2センサー120についてみたときには,第2基準面52の複数の検出基準点についての検出を行い,その検出値により,基準材平均厚みTB2に係る他方の第2基準平均面S2を求めている。さらに,その第2基準平均面S2と電極検出点F2との差により,変位量(X2+Y2)を求めている。
そして,これら第1センサー110を用いて求めた変位量(X1+Y1)と第2センサー120用いて求めた変位量(X2+Y2)とをともに,基準材信頼厚みTB1に加えることにより,電極板取得厚みTE1を算出している。これにより,電極板の厚みを高い精度で測定することができる電極板厚み測定方法が実現されている。
[第2の形態]
次に,第2の形態について説明する。本形態では,第1の形態とは異なり,基準面として,電極板を搬送する搬送ローラーの外周面を用いる。なお,本形態においても,厚みの測定対象である電極板については,第1の形態と同じものである。
図9に,本形態に係る測定装置200を示す。測定装置200は,電極板10の厚みを測定する装置である。また,測定装置200は,第1センサー210,第1搬送ローラー230,第2搬送ローラー240,第3搬送ローラー250を有している。
本形態においても,第1センサー210は,第1の形態と同じ,発光部と受光部とを有するレーザー式の変位センサーである。なお,本形態では,第1の形態とは異なり,第1センサー210が,図9の状態で固定されている。
第1搬送ローラー230,第2搬送ローラー240,第3搬送ローラー250はいずれも,電極板10を,測定装置200内を図9において左向きに搬送するための搬送ローラーである。具体的に,図9に示すように,電極板10は,第1搬送ローラー230の外周面231,第2搬送ローラー240の外周面241,第3搬送ローラー250の外周面251に巻き掛けられている。
そして,図9の右側より測定装置200内へと搬送されてきた電極板10は,測定装置200内を,第1搬送ローラー230の下側,第2搬送ローラー240の上側,第3搬送ローラー250の下側を通って,図9の左側より測定装置200の外へと搬送される。また,電極板10は,第1面11を上側に,第2面12を下側に向けた状態で搬送されるものである。
また,図9に示すように,第1センサー210は,第2搬送ローラー240の上方に固定されている。また,第1センサー210は,測定面211を,第2搬送ローラー240に向けた状態で固定されている。
ここで,前述したように,第2搬送ローラー240の外周面241のうちの上側は,電極板10が巻き掛けられている。このため,第1センサー210は,第2搬送ローラー240上を搬送されている電極板10を検出することができる。なお,第1センサー210は,後に詳述するように,第2搬送ローラー240の外周面241を検出することもある。
さらに,本形態の測定装置200は,電極板10の厚みの測定値を算出するための演算を行う演算部260を有している。演算部260は,第1センサー210が検出して出力する出力値に基づいて,後に詳述する方法により,電極板10の厚みの測定値を求める。そして,本形態の測定装置200は,電極板10の厚みの測定値を,第1センサー210により第2搬送ローラー240の外周面241と電極板10の第1面11との変位量を求め,その変位量を用いて求めることのできるものである。
次に,本形態に係る測定装置200による電極板10の厚みの測定方法について説明する。本形態では,電極板10の厚みの測定値を,次の手順で求める。
1.基準検出工程
2.基準平均算出工程
3.電極検出工程
まず,「1.基準検出工程」では,第2搬送ローラー240の外周面241についての検出を行う。また,本工程における第2搬送ローラー240の外周面241の検出には,第1センサー210を用いる。
そのため,本工程では,図10に示すキャリブレーションシート270を用いる。図10は,キャリブレーションシート270の平面図である。図10に示すように,キャリブレーションシート270は,幅方向の長さが電極板10と同じ長さのシートであり,矢印で示す搬送方向について,電極板10の先端側に接続されているものである。
また,キャリブレーションシート270には,図10に示すように,その厚み方向に貫通する長穴271が形成されている。長穴271の搬送方向における長さ272は,第2搬送ローラー240の外周面241の周方向における長さの1周分である。また,長穴271は,キャリブレーションシート270の幅方向について,第1センサー210の検出位置を通過する位置に形成されている。
そして,本工程では,接続されたキャリブレーションシート270と電極板10とを搬送しつつ,長穴271が第1センサー210の検出位置を通過している間において,第1センサー210による検出を複数回,行う。つまり,長穴271が第1センサー210の検出位置を通過している間,第1センサー210は,第2搬送ローラー240の外周面241を検出することができる。
具体的には,まず,長穴271の搬送方向の先端が第1センサー210の検出位置に到達した時に,第1センサー210のキャリブレーションを行う。具体的には,キャリブレーションを,第1センサー210の検出値をゼロとすることにより行う。
さらに,第1センサー210のキャリブレーション後,キャリブレーションシート270を搬送しつつ,長穴271の搬送方向の後端が第1センサー210の検出位置に到達するまでの間に,第1センサー210による検出を複数回,行う。これにより,第1センサー210によって第2搬送ローラー240の外周面241について1周,複数回の検出を行う。すなわち,本形態では,第2搬送ローラー240の外周面241を基準面とし,その外周面241上の複数の検出点をそれぞれ基準検出点とする。
ここで,第1センサー210と第2搬送ローラー240の外周面241との距離は,第2搬送ローラー240が回転している間,常に一定ではない。外周面241には,凹凸が存在することがあるからである。また,第2搬送ローラー240の回転軸は,偏心していることがあるからである。このため,第1センサー210により検出した外周面241上の複数の基準検出点の検出値は,それぞれ異なる値となることがある。
次に,「2.基準平均算出工程」を行う。本工程では,第1センサー210による複数の基準検出点の検出値より,基準平均値Uを算出する。本形態では,基準材平均値Uを,複数の基準検出点の検出値の算術平均により求めている。図11には,キャリブレーション時の基準検出点Gと,基準平均値Uに係る平均外周面S3とを示している。
なお,図11には,平均外周面S3を曲面により示している。しかし,第1センサー210の検出値より算出された基準平均値Uより求まる平均外周面S3は,数値上は,第2搬送ローラー240の外周面241を展開し,平面に更生した仮想の面である。また,その仮想の平均外周面S3は,電極板10の厚み方向と直交する面である。
また本形態では,基準平均値Uを算出後,基準材取得差X3を算出する。基準材取得差X3の値は,基準検出点Gの値より,基準平均値Uの値を減ずることにより求める。図4に示すように,基準材取得差X3は,基準検出点Gと平均外周面S3との差である。
なお,図11は,基準検出点Gが平均外周面S3よりも径方向の外側に出っ張っている場合を例示したものである。このため,図11の例において,基準平均値Uの値は負の値であり,基準材取得差X3の値は正の値である。一方,図11の例とは異なり,基準検出点Gが平均外周面S3よりも径方向の内側に凹んでいる場合には,基準平均値Uの値は正の値であり,基準材取得差X3の値は負の値となる。
次に,「3.電極検出工程」を行う。本工程は,搬送によりキャリブレーションシート270が第1センサー210の検出位置を通過し,電極板10の先端が第1センサー210の検出位置に到達したときに開始する。
そして,本工程では,第1センサー210により,電極板10の第1面11を検出する。そして,第1センサー210により,図12に示す,電極板10の第1面11上の電極検出点Hの基準検出点Gからの変位量である基準電極差Y3を求める。
さらには,基準電極差Y3,基準材取得差X3により,電極板取得厚みTE2を算出する。具体的に,電極板取得厚みTE2は,次の式(2)により算出する。
TE2=Y3+X3 (2)
ここで,上記の式(2)中の基準電極差Y3と基準材取得差X3との和は,第1センサー210を用いて求められた,電極板10の電極検出点Hと平均外周面S3との差であり,電極検出点Hの平均外周面S3からの変位量である。すなわち,本形態では,上記の式(2)に示すように,電極板取得厚みTE2を,電極板10の電極検出点Hの平均外周面S3からの変位量を加えることで算出している。
そして,本形態では,「3.電極検出工程」により得られた電極板取得厚みTE2の値を,電極板10の厚みの測定値として出力する。これにより,本形態の測定装置200は,電極板10の厚みの測定値を高精度で求めることができるとともに,その高い精度で求めた電極板10の厚みの測定値を出力することができる。
また,本形態においても,電極板10を搬送しつつ,電極板10の厚みの測定値を連続して求める。すなわち,搬送により第1センサー210の検出位置を通過する電極板10の厚みの測定値を,電極板10の搬送方向について連続して求めることができる。これにより,例えば,電極板10の搬送方向の一部に規格外の厚みの箇所があるときには,その部分を不良箇所として検出することができる。
ここで,本発明の効果について説明する。図13は,測定装置200により,搬送される電極板10の厚みの測定を連続して行った結果を示すものである。ただし,図13は,上記の本形態とは異なる方法により電極板10の厚みを測定した結果である。具体的には,第1センサー210により第2搬送ローラー240の外周面241の1つの基準検出点を検出し,その基準検出点からの電極板10の電極検出点の変位量を,電極板取得厚みとしたものである。
また,図13には,同じ電極板10について3回,測定を行った結果を示している。図13では,3回の測定毎に,第2搬送ローラー240の外周面241の1つの基準検出点の検出を行い,その基準検出点からの電極検出点の変位量により電極板取得厚みを求めている。
そして,図13に示すように,1回目,2回目,3回目の電極板取得厚みのグラフはそれぞれ,大きく異なる値をとっている。具体的には,2回目,3回目の電極板取得厚みを示すグラフは,1回目の電極板取得厚みを示すグラフを,下側にシフトさせたような推移を示している。これは,第2搬送ローラー240の外周面241の1つの基準検出点の検出を行い,その基準検出点からの電極検出点の変位量により電極板取得厚みを求めているからである。
すなわち,前述したように,第2搬送ローラー240は,外周面241には凹凸が存在し,回転軸は偏心していることがある。そして,3回の測定毎に第2搬送ローラー240の外周面241の1つの基準検出点の検出を行う第1センサー210が,その3回の測定毎に,外周面241の異なる点を基準検出点として検出しているからである。つまり,第1センサー210により検出される3回の測定毎の基準検出点の検出値が一定でないことにより,図13に示す1回目,2回目,3回目の電極板取得厚みのグラフが,大きく異なる値となっている。
これに対し,図14は,上記の本形態に係る方法により電極板10の厚みを測定した結果である。図14についても,図13と同じ電極板10について,3回の測定を行ったときの電極板取得厚みを示している。また,図14では,3回の測定毎に,第1センサー210により第2搬送ローラー240の外周面241の複数の検出基準点を検出し,その検出値により基準材取得差X3を求めている。そして,3回の測定毎に求めた基準材取得差X3により,電極板取得厚みを求めている。
図14に示すように,本形態に係る方法による電極板取得厚みのグラフは,3回とも,ほぼ同じである。これは,本形態に係る方法では,前述したように,電極板取得厚みTE2を,電極板10の電極検出点の平均外周面S3からの変位量により求めているからである。
すなわち,本形態に係る方法では,平均外周面S3に係る基準平均値Uを,第2搬送ローラー240の外周面241の複数の基準検出点により求めている。このため,各回ごとに検出される複数の基準検出点の値が,各回ごとにそれぞれ異なる値であっても,各回ごとに求まる基準平均値Uは,それほど異なる値とはならずに,ほぼ一定の値となる。これにより,本形態に係る方法では,図14に示すように,電極板10の厚みの測定値を,高い繰り返し精度において求めることができる。よって,本形態に係る方法により,電極板10の厚みの測定値を,高い精度で求めることができる。
なお,上記の本形態においては,電極板取得厚みTE2を,基準電極差Y3と基準材取得差X3とにより求めている。しかし,さらに,電極板10の搬送に伴って移動する第2搬送ローラー240の図9における上下方向についての位置ズレ量や,環境温度の変化によって膨張または収縮する第2搬送ローラー240の変形量を考慮することが好ましい。
この搬送中の第2搬送ローラー240の位置ズレ量や変形量の検出には,例えば,図9に2点鎖線で示す第2センサー220を用いることができる。第2センサー220は,第2搬送ローラー240の下に,測定面221を,第2搬送ローラー240に向けた状態で固定されている。また,第2搬送ローラー240の外周面241のうちの下側には電極板10が巻き掛けられておらず,第2センサー220により,第2搬送ローラー240の外周面241を検出することができる。
そして,「3.電極検出工程」において,第2センサー220により,第2搬送ローラー240の外周面241の,基準変位量Y4を求め,その基準変位量Y4を用いることで,搬送中における第2搬送ローラー240の位置ズレ量や変形量を測定することができる。すなわち,第2センサー220により得られた基準変位量Y4を上記の式(2)に加えることで,搬送中の第2搬送ローラー240の位置ズレ量や変形量を考慮した電極板取得厚みTE2を求めることができる。これにより,より正確に,電極板10の厚みの測定値を求めることができる。
また,本形態においても,基準面である第2搬送ローラー240と電極板10とを,同一の変位センサーにより検出している。具体的には,第2搬送ローラー240の外周面241と電極板10の第1面11との検出を,第1センサー210により行っている。このため,本形態においても,第2搬送ローラー240と電極板10との検出をそれぞれ異なる変位センサーを用いて行った場合と比較して,継続的に,高い精度で電極板10の厚みの測定値を求めることができる。また,第2搬送ローラー240と電極板10との検出を同一の変位センサーで行う本形態の測定装置200においても,第1センサー210の取り替えを,容易に行うことができる。
また,本形態においても,第1の形態で説明した「4.電極板の厚みの測定値の算出工程」と同様の工程を行うことが好ましい。検量線を用いることにより,第2搬送ローラー240と電極板10との光学特性による検出値の差を補正することができるからである。すなわち,より高い精度で電極板10の厚みの測定値を求めることができるからである。
また,本形態では,第1センサー210による第2搬送ローラー240の外周面241上の基準検出点の検出を,図10に示すキャリブレーションシート270の長穴272内において行っている。第2搬送ローラー240は,何も巻き掛けられていない自由状態のときと,電極板10を搬送しているときとでは,わずかに形状などが異なるものである。
第2搬送ローラー240は,電極板10を搬送しているときにおいて,電極板10による張力が掛けられた状態となる。その張力により,第2搬送ローラー240は,わずかに変形等するからである。そして,本形態では,第1センサー210による第2搬送ローラー240の基準検出点の検出を,キャリブレーションシート270を用いることにより,電極板10を搬送している状態と同じ状態の第2搬送ローラー240について行っている。これにより,電極板10の厚みの測定値を,より高い精度で求めることができる。
なお,それほど高い精度を必要としない場合には,第1センサー210による第2搬送ローラー240の基準検出点の検出を,何も巻き掛けられていない自由状態の第2搬送ローラー240について行っても良い。
以上詳細に説明したように,本実施の形態に係る方法では,電極板10の厚みの測定値を,第1センサー210により第2搬送ローラー240と電極板10との変位量を求め,その変位量を用いて求める。つまり,基準検出工程では,第2搬送ローラー240の外周面241について検出を行う。また,基準平均算出工程では,検出した複数の基準検出点より平均外周面S3に係る基準平均値Uを求めるとともに,基準材取得差X3を求める。さらに,電極検出工程では,電極板10の電極検出点を検出するとともに,電極検出点の平均外周面S3からの変位量を求める。そして,その変位量を電極板取得厚みTE2として求めている。これにより,本形態においても,電極板の厚みを高い精度で測定することができる電極板厚み測定方法が実現されている。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,上記の実施形態では,電極板10の厚みの測定値を求めている。そして,その電極板10の厚みの測定値より,さらに,電極板10の活物質層30,31の厚みの測定値を求めることも可能である。活物質層30,31の厚みの測定値は,電極板10の厚みの測定値より,電極板10の集電箔20の厚みを減ずることで求めることができる。
また例えば,上記の実施形態では,集電箔20の両面に活物質層30,31を形成してなる電極板10の厚みの測定値を求める例について説明している。しかし,本発明により,集電箔の片面にのみ活物質層を形成した状態の電極板についても,その厚みの測定値を求めることができる。また例えば,上記の実施形態では,変位センサーとして,検出対象面との距離が近いほど,大きな値を出力するものを用いた例について説明している。しかし,検出対象面との距離が近いほど,小さな値を出力する変位センサーを用いることもできる。
また例えば,上記の第2の形態では,キャリブレーションシート270の長穴271の長さ272を,第2搬送ローラー240の外周面241の周方向における長さの1周分として説明したが,これに限定されるものではない。長穴271の長さ272は,第2搬送ローラー240の平均外周面S3を適切に定めるため,少なくとも第2搬送ローラー240の1周分の長さ以上であることが好ましく,例えば,10周分の長さとしてもよい。さらには,例えば,長穴271の長さ272を第2搬送ローラー240の10周分の長さとし,その10周分の検出値を用いることで,より安定した平均外周面S3を求めることができる。