JP2016224274A - 積層体、窓および積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】遮光モードおよび透過モードを切り換えた場合に調光層が存在する領域と調光層が存在しない領域の光の透過状態が異なり、かつ、調光層が存在する領域のコントラストが高い積層体の提供。
【解決手段】1対の偏光子と、1対の偏光子の間に配置された少なくとも2枚のパターン光学異方性層と、1対の偏光子の間に配置された調光層とを有し、パターン光学異方性層が互いに偏光能が異なる第1位相差領域および第2位相差領域を面内に交互にストライプ状に有し、調光層の面内方向のレターデーションRe(550)が10nm以上である積層体;窓;積層体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層体、窓および積層体の製造方法に関する。より詳しくは、遮光モードおよび透過モードを切り換えた場合に調光層が存在する領域と調光層が存在しない領域の光の透過状態が異なり、かつ、調光層が存在する領域のコントラストが高い積層体、この積層体を有する窓およびこの積層体の製造方法に関する。
近年、窓、部屋の隔壁、写真立て、手帳の表紙、カーポートなどに文字や模様を表示することが求められてきており、例えばショーウィンドウ等の商業用建物の窓に広告を掲載することが求められてきている。
一方、特許文献1には、少なくとも1種類のフィルム、偏光子、及び光透過性基板を含む積層体からなり、波長λnmにおける単板透過率T1(λ)%及び直交透過率T2(λ)%が、下記式(1)〜(4)を満足する調光用偏光板が記載されている。
(1) 55%≧T1(430)≧38%
(2) 60%≧T1(590)≧42.5%
(3) 1.0≧T1(430)/T1(590)≧0.9
(4) T2(430)>0.02%
特許文献1によれば、このような調光用偏光板により、色味付きが少なく、種々の用途に利用可能な、調光用偏光板、及びこの調光用偏光板を少なくとも2枚有するシャッター用偏光板を提供することができると記載されている。
特開2013−92707号公報
特許文献1にはシャッター用偏光板を調光窓に用いることに関する記載はあるが、全面透明の透過モードまたは全面暗い遮光モード、の2パターンの表示のみ実現されていた。つまり特許文献1に記載の調光用偏光板を少なくとも2枚有するシャッター用偏光板では、部分的に光を透過させたり、文字や広告を表示させたりすることができなかった。
本発明者らが特許文献1に記載のシャッター用偏光板の性能を検討したところ、例えば、特許文献1に記載のシャッター用偏光板中の隣り合う2つの位相差領域の繰り返しをもつパターン光学異方性層に文字や画像を印刷しても、遮光モード(黒表示)時に文字や画像の部分が見えないという問題点があった。
本発明が解決しようとする課題は、遮光モードおよび透過モードを切り換えた場合に調光層が存在する領域と調光層が存在しない領域の光の透過状態が異なり、かつ、調光層が存在する領域のコントラストが高い積層体を提供することである。
上記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討した結果、1対の偏光子と、1対の偏光子の間に配置された少なくとも2枚のパターン光学異方性層を有する態様において、さらに1対の偏光子の間に面内方向のレターデーションRe(550)が特定の範囲である調光層を配置することで、遮光モードと透過モードのいずれの場合にも調光層部分は常に調光層を配置していない部分に対して十分に異なる偏光状態をとり、調光層を模様や文字として表示させることができることを見出すに至った。
上記課題を解決するための手段である本発明および本発明の好ましい態様は以下のとおりである。
[1] 1対の偏光子と、
1対の偏光子の間に配置された少なくとも2枚のパターン光学異方性層と、
1対の偏光子の間に配置された調光層とを有し、
パターン光学異方性層が互いに偏光能が異なる第1位相差領域および第2位相差領域を面内に交互にストライプ状に有し、
調光層の面内方向のレターデーションRe(550)が10nm以上である積層体。
[2] [1]に記載の積層体は、パターン光学異方性層のうち少なくとも一層について、
第1位相差領域の遅相軸方位とその上に配置された調光層のうち第1位相差領域と重なる領域の遅相軸方位とのなす角が−10°以上10°以下であり、かつ、
第2位相差領域の遅相軸方位とその上に配置された調光層のうち第2位相差領域と重なる領域の遅相軸方位とのなす角が−10°以上10°以下であることが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の積層体は、調光層の少なくとも一方の表面が、パターン光学異方性層の少なくとも1つに直接接触して隣接することが好ましい。
[4] [3]に記載の積層体は、調光層と直接接触して隣接するパターン光学異方性層について、
第1位相差領域の遅相軸方位とその上に配置された調光層のうち第1位相差領域と重なる領域の遅相軸方位とのなす角が−10°以上10°以下であり、かつ、
第2位相差領域の遅相軸方位とその上に隣接する調光層のうち第2位相差領域と重なる領域の遅相軸方位とのなす角が−10°以上10°以下であることが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれか一つに記載の積層体は、第1位相差領域の遅相軸と第1位相差領域または第2位相差領域の長手方向とのなす角度が30°以上60°以下であり、かつ、
第2位相差領域の遅相軸と第1位相差領域または第2位相差領域の長手方向とのなす角度が−30°以上−60°以下であることが好ましい。
[6] [1]〜[5]のいずれか一つに記載の積層体は、パターン光学異方性層のうち少なくとも一層について、第1位相差領域および第2位相差領域の面内方向のレターデーションRe(550)の絶対値が100〜160nmであることが好ましい。
[7] [1]〜[6]のいずれか一つに記載の積層体は、調光層の面内方向のレターデーションRe(550)が100nm以上300nm未満であり、
調光層が白・灰・黒表示をすることが好ましい。
[8] [1]〜[6]のいずれか一つに記載の積層体は、調光層の面内方向のレターデーションRe(550)が300nm以上800nm以下であり、
調光層が任意の色表示をすることが好ましい。
[9] [1]〜[8]のいずれか一つに記載の積層体は、パターン光学異方性層のうち少なくとも一層について、第1位相差領域および第2位相差領域が円盤状液晶性化合物を垂直配向状態で含むことが好ましい。
[10] [1]〜[9]のいずれか一つに記載の積層体は、パターン光学異方性層のうち少なくとも一層について、第1位相差領域および第2位相差領域が液晶性化合物の重合体を含むことが好ましい。
[11] [1]〜[10]のいずれか一つに記載の積層体は、調光層が液晶性化合物を含むことが好ましい。
[12] [1]〜[11]のいずれか一つのいずれか一項に記載の積層体を有する窓。
[13] 1対の偏光子の間に少なくとも2枚のパターン光学異方性層を配置する工程と、
1対の偏光子の間に調光層をする配置する工程を含み、
パターン光学異方性層が互いに偏光能が異なる第1位相差領域および第2位相差領域を面内に交互にストライプ状に有し、
調光層の面内方向のレターデーションRe(550)が10nm以上である積層体の製造方法。
[14] [13]に記載の積層体の製造方法は、調光層の少なくとも一方の表面がパターン光学異方性層上に直接接触するように調光層を形成することが好ましい。
本発明によれば、遮光モードおよび透過モードを切り換えた場合に調光層が存在する領域と調光層が存在しない領域の光の透過状態が異なり、かつ、調光層が存在する領域のコントラストが高い積層体を提供することができる。
本発明の積層体の一例の断面模式図である。 本発明の積層体に利用可能な調光層の一例の上面模式図である。 パターン光学異方性層の第1位相差領域および第2位相差領域の遅相軸方位と、調光層の遅相軸方位との組み合わせの一例を説明するための上面模式図である。 本発明に利用可能なパターン光学異方性層の一例の上面模式図である。 本発明に利用可能なパターン光学異方性層の一例の断面模式図である。 偏光子の吸収軸とパターン光学異方性層の遅相軸との組み合わせの一例を説明するための上面模式図である。 本発明の積層体の他の一例の断面模式図である。 本発明の積層体の一例の機能を説明するために用いた模式図である。 実施例で用いたゴム状フレキソ版の断面模式図である。 実施例で用いたフレキソ印刷装置の模式図である。 パターン光学異方性層の第1位相差領域および第2位相差領域と、調光層との組み合わせの一例を説明するための断面模式図である。 本発明の積層体(実施例1の積層体)の一例を遮光モードにした場合の写真である。 本発明の積層体(実施例1の積層体)の一例を透過モードにした場合の写真である。 本発明の積層体(実施例11の積層体)の他の一例を透過モードにした場合の写真である。 本発明の積層体に利用可能な調光層の他の一例の上面模式図である。 パターン光学異方性層の第1位相差領域および第2位相差領域の遅相軸方位と、調光層の遅相軸方位との組み合わせの他の一例を説明するための上面模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書では、測定波長について特に付記がない場合は、測定波長は550nmである。
また、本明細書において、角度(例えば「90°」等の角度)、及びその関係(例えば「直交」、「平行」及び「45°で交差」等)については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、厳密な角度±10°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
円盤状液晶性化合物の垂直配向とは、円盤状液晶性化合物の平面が基材に対して極角0度の状態で配向することを意味する。垂直配向している円盤状液晶性化合物のダイレクタの方向は、基材に対して水平方向である。
円盤状液晶性化合物の水平配向とは、円盤状液晶性化合物の平面が支持体に対して水平の状態で配向することを意味する。水平配向している円盤状液晶性化合物のダイレクタの方向は、鉛直方向である。
本発明においては、少なくとも2枚のパターン光学異方性層が円盤状液晶性化合物の垂直配向で形成されることが好ましく、その角度はプラスマイナス15度の幅で揺らいでいてもよい。本発明における配向状態は、Axo Scan(OPMF−1、Axometrics社製)を用いて確認することができる。
[積層体]
本発明の積層体は、1対の偏光子と、
1対の偏光子の間に配置された少なくとも2枚のパターン光学異方性層と、
1対の偏光子の間に配置された調光層とを有し、
パターン光学異方性層が互いに偏光能が異なる第1位相差領域および第2位相差領域を面内に交互にストライプ状に有し、
調光層の面内方向のレターデーションRe(550)が10nm以上である。
このような構成により、本発明の積層体は、遮光モードおよび透過モードを切り換えた場合に調光層が存在する領域と調光層が存在しない領域の光の透過状態が異なり、かつ、調光層が存在する領域のコントラストが高い。詳しくは、本発明の積層体は、各パターン光学異方性層を移動させて、少なくとも2枚のパターン光学異方性層第1位相差領域および第2位相差領域の積層の組み合わせを変えることができる。これにより少なくとも2枚のパターン光学異方性層の位相差(または旋光性)の総和が変化し、積層体の一方の偏光子から入射してもう一方の偏光子から出射する光の透過率を制御することができる。本発明の積層体では、さらに、位相差(特定の面内方向のレターデーション)をもつ調光層を付与することで、常に位相差を付与していない部分に比べ偏光状態が十分に異なる領域ができる。そのため遮光モード(黒表示時)、透過モード(白表示時)のいずれの場合にも調光層部分は常に調光層を配置していない部分(位相差を付与していない部分)に対して十分に異なる偏光状態をとり、調光層を模様や文字として表示させることができる。このように調光層の形状にあわせて文字や模様を表示できるメカニズムの詳細についてこれ以上は不明である。なお、本発明者らが鋭意検討した結果、後述のとおり調光層のレターデーションの大きさを変えることで調光層の色味を変えることもできることが判明した。この理由も含めてメカニズムの詳細は不明であるが、レターデーションを有する調光層により偏光解消することが一つの原因であると本発明者らは推定している。
<構成>
図1および図7に、本発明の積層体の一例の断面模式図を示す。
図1および図7に示す積層体は、1対の偏光子12と、1対の偏光子12の間に配置された少なくとも2枚のパターン光学異方性層16と、1対の偏光子12の間に配置された調光層17とを含む。
図1に示す実施形態では、パターン光学異方性層付き偏光板21、ならびに、パターン光学異方性層および調光層付き偏光板22が、パターン光学異方性層16を対向させ、調光層17の一方の表面と一方のパターン光学異方性層16の表面が直接接触して隣接して積層されている。調光層17の他の一方の表面と、パターン光学異方性層付き偏光板21に含まれるもう一方のパターン光学異方性層16の表面は、直接接触しておらず、空気界面または任意の接着層や粘着材を介して積層されている。図1に示す実施形態では、パターン光学異方性層付き偏光板21は、光透過性基板10、偏光板保護フィルム14a、偏光子12およびパターン光学異方性層16を有する。パターン光学異方性層および調光層付き偏光板22は、光透過性基板10、偏光板保護フィルム14a、偏光子12、パターン光学異方性層16および調光層17を有する。偏光子12およびパターン光学異方性層16との間に、不図示のパターン光学異方性層の支持体、不図示の配向膜などを有していてもよい。
図7に示す実施形態では、2枚のパターン光学異方性層付き偏光板21が、パターン光学異方性層16を対向させ、かつ調光層17と離間されて積層されている。
図1および図7に示す実施形態では、それぞれの積層体に含まれるパターン光学異方性層16の各位相差領域の面内遅相軸と、偏光子12の吸収軸との関係は、図6に示す様に、互いに±45°になっていて、且つそれぞれの偏光板に含まれる偏光子の吸収軸は互いに直交している。例えば、一方の偏光子12の吸収軸は、パターン光学異方性層16のストライプに対し直交するように設定され、且つ他方の偏光子12の吸収軸は、パターン光学異方性層16のストライプに対し、平行となるように設定されている。
透過モードから遮光モードへの切り替えは、例えば、いずれか一方のパターン光学異方性層付き偏光板を、パターン光学異方性層の位相差領域の幅だけスライドさせる操作により実施することが好ましい。本発明の積層体は、このようなスライド機構を備えていてもよい。
図8(A)および図8(B)では、視認側の偏光子およびパターン光学異方性層を有する部材を説明のため偏光板Iとし、もう一方の偏光子およびパターン光学異方性層を有する部材を説明のため偏光板IIとした。図8(A)および図8(B)では、パターン光学異方性層16の各位相差領域の面内遅相軸と、偏光子12の吸収軸との関係は、図6に示す様に、互いに±45°になっていて、且つそれぞれの偏光板に含まれる偏光子の吸収軸は互いに直交している態様について説明する。ただし、本発明の積層体では、さらに図8(A)および図8(B)に不図示の調光層を有し、遮光モードおよび透過モードのいずれの場合も調光層が存在する領域と調光層が存在しない領域の光の透過状態が異なり、調光層が視認できる。
図8(A)に示す通り、少なくとも2つのパターン光学異方性層16のパターンが一致している状態では、一方の偏光子12を通過した直線偏光は、遅相軸方向が同一でλ/4の位相差である、2つの第1位相差領域又は2つの第2位相差領域を通過するので、90°回転した直線偏光に変換される。偏光板I及びIIにそれぞれ含まれる偏光子12の吸収軸は互いに直交しているので、この直線偏光は、偏光板IIの偏光子12を透過する(透過モード)。
一方、図8(B)に示す通り、偏光板Iを各位相差領域の幅分だけスライドさせて、パターンが不一致の状態では、偏光板Iの偏光子12を通過した直線偏光は、遅相軸方向が互いに直交し且つλ/4の位相差である第1位相差領域と第2位相差領域とを通過するので、なんら位相差の影響を受けず、その偏光状態を維持する。偏光板I及びIIにそれぞれ含まれる偏光子12の吸収軸は互いに直交しているので、この直線偏光は、偏光板IIの偏光子12によって吸収される(遮光モード)。
なお、図中の層の厚みの相対的関係は、実際の相対的関係を反映しているわけではない。いずれの図についても同様である。
図1に示す積層体は、パターン光学異方性層付き偏光板21、ならびに、パターン光学異方性層および調光層付き偏光板22は、ガラス板又はプラスチック基板等からなる光透過性基板10と、その表面上に偏光子12とを有する。図7に示す積層体は、パターン光学異方性層付き偏光板21は、ガラス板又はプラスチック基板等からなる光透過性基板10と、その表面上に偏光子12とを有する。
偏光子12の双方の表面には、偏光板保護フィルム14a、パターン光学異方性層16が積層されている。図1または図7に示す積層体を、例えば窓に利用する際は、光透過性基板10を外側にして配置するのが好ましい。なお、パターン光学異方性層16が支持体として別の偏光板保護フィルム(不図示)を含む場合、調光機能を持たせるためには、別の偏光板保護フィルムの面内遅相軸を偏光子12の吸収軸もしくは、吸収軸に直交する軸に対して、35〜55°に調整するのが好ましく、40〜50°に調整するのがさらに好ましい。なお、偏光板保護フィルム14aの面内遅相軸は、偏光子12の吸収軸もしくは、吸収軸に直交する軸に対して、−25〜25°であるのが好ましい。
また、2枚のパターン光学異方性層16を、調光層17を挟んで対向させて、(所望により調光層17と離間させて)積層するのが好ましい。ただし、調光層17は、2枚のパターン光学異方性層16で挟まずに、2枚のパターン光学異方性層16を対向させた外側に配置してもよい。また、組み合わせる2つの偏光子12の吸収軸は互いに直行または互いに平行であることが好ましく、互いに直交していることがより好ましい。
図1または図7に示す積層体は、偏光子12の双方の表面に、偏光板保護フィルム14a、パターン光学異方性層16を貼合した積層体を、光透過性基板10に粘着剤を用いて貼合して作製することができる。粘着剤については特に制限はなく、接着剤を用いてもよい。使用可能な粘着剤の例には、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤などが含まれる。
図面には示していないが、光透過性基板10の偏光子が配置された側の裏面に、パターン光学異方性層16が積層された構成であってもよい。
<光透過性基板>
本発明の積層体は、光透過性基板を含んでいてもよい。
光透過性基板は、ガラス板、又はアクリル板等のプラスチック基板であり、これに、例えば、互いに直交する吸収軸を有する、直線偏光能を示す偏光子を2枚積層した偏光板を用いると、光の入射角度に応じて、透過光の透過率を調整、即ち調光することができる。また、後述するパターン光学異方性層でも、調光することができる。ここでいう偏光能とは、非偏光や円偏光から直線偏光を作り出したり、直線偏光を円偏光にしたりする能力を指し、位相差を付与することで変えることができる。
本明細書において、偏光能が異なるとは、第一位相差領域と第二位相差領域の遅相軸方向が異なることにより2枚のパターン光学異方性層を重ねた時に、第一位相差領域と第二位相差領域において、一方の位相差領域では位相差重ね合わせが発生し、他方の位相差領域では位相差の打ち消しが発生し、各領域のトータルの位相差が異なることを指す。
ここで、単板透過率(λ)%とは、波長λの光が、1枚の偏光板を透過する割合を意味し、また直交透過率(λ)%とは、波長λの光の直交位の透過率を意味する。これらは、分光光度計により測定することができ、具体的には、自動偏光フィルム測定装置「VAP−7070」(日本分光株式会社)により測定することができる。
光透過性基板としては、通常の窓に用いられるガラス板、及びアクリル板、ポリカーボネート板、ポリスチレン板等のプラスチック基板を用いることができる。光透過性基板の厚みの好ましい範囲は、用途によって異なるが、建物用の窓では、一般的には、0.1〜20mmであり、自動車等の乗り物用の窓では、一般的には、1〜10mmである。
<偏光子>
本発明の積層体は、1対の偏光子を有する。
本発明の積層体が有する偏光子についても特に制限はない。従来使用されている直線偏光膜を広く利用することができる。偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜があり、本発明にはいずれを使用してもよい。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の製造方法は、例えば、特開2011−128584号公報の記載を参酌することができる。また、偏光子は、塗布によって形成される層であってもよい。
偏光子は、一様に形成されていても、パターン状に形成されていてもよい。一例では、吸収軸を互いに異なる方向に有する2以上の領域が所定のパターンに配置されたパターン偏光子である。パターン偏光子を利用することで、窓用偏光板に調光機能やシャッター機能を持たせることができる。パターン偏光子は、例えば、液晶性を示す二色性色素を用いることで簡易に形成可能である。使用可能な液晶性二色性色素の例には、WO2010/123090A1号公報等に記載のアゾ色素が含まれる。パターン偏光子の一例は、吸収軸が互いに直交する2つの領域が、所定のパターンに配置されたパターン偏光子である。この態様では、パターン偏光子の一方の領域の吸収軸と直交する方向であり、且つ他方の領域の吸収軸と平行な方向に吸収軸を有する一様な偏光子と組み合わせることで、又はパターン偏光子を2枚組み合わせることで、調光機能又はシャッター機能を有する本発明の偏光板を構成することができる。
<偏光板保護フィルム>
本発明の積層体は、偏光子の少なくとも一方の表面上に、偏光子を保護するための偏光板保護フィルムを有していてもよい。また偏光子が塗布によって形成される層である態様では、偏光板保護フィルムが、偏光子の支持体として利用されていてもよい。偏光板保護フィルムは、パターン光学異方性層の支持体として利用されてもよい。偏光板保護フィルムとしては、特に制限はなく、種々の高分子材料(重合体及び樹脂の双方を含む意味で用いる)を主成分として含む高分子フィルムを用いることができる。光透過性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れる重合体や樹脂を主成分とするフィルムが好ましい。例えば、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、又はこれらのポリマーを混合したポリマーも例としてあげられる。また本発明の高分子フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の紫外線硬化型、熱硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
偏光板保護フィルムとしては、セルロースアシレート、環状オレフィン、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、及びポリカーボネート樹脂から選択される少なくとも1種を主成分として含むフィルムを用いるのが好ましい。
また、市販品を用いてもよく、例えば、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製のアートン等を用いることができる。また、種々の市販のセルロースアシレートフィルムを用いることもできる。
また、フィルムとしては、溶液製膜法及び溶融製膜法のいずれの方法で製膜されたフィルムも用いることもできる。フィルムの厚みは、10〜1000μmであることが好ましく、40〜500μmであることがより好ましく、40〜200μmであることが特に好ましい。
フィルムの光学特性については特に制限はない。斜め方向から観察した際の光漏れの軽減の観点では、光学等方性のフィルムであるのが好ましいが、ただし、この態様に限定されるものではない。具体的には、Re(550)が0〜10nmであり、且つRthの絶対値が20nm以下のフィルムが好ましい。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。たとえば、Re(550)であれば、550nmにおいての面内レターデーションのことである。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)はRe(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の数式(21)及び数式(22)よりRthを算出することもできる。
上記式中、Re(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。また、上記式中、nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dはフィルムの膜厚を表す。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)はRe(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
なお、本明細書において、Re、Rth及び屈折率について特に測定波長が付記されていない場合は、測定波長550nmであるものとする。
本発明の積層体は、太陽光による劣化を防止するため、いずれかの層が、紫外線吸収剤を含有していてもよい。紫外線吸収剤は、いずれの層中に添加されていてもよい。一例は、偏光板保護フィルムが紫外線吸収剤を含む態様である。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、且つ光透過性の点より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものを用いることが好ましい。特に、波長370nmでの透過率が、20%以下であることが望ましく、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。このような紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、上記のような紫外線吸収性基を含有する高分子紫外線吸収化合物等があげられるが、これらに限定されない。紫外線吸収剤は2種以上用いてもよい。
溶液製膜法で紫外線吸収剤含有フィルムを製造する場合は、紫外線吸収剤を主成分ポリマーの溶液であるドープに添加するが、紫外線吸収剤のドープへの添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶媒に溶解してから添加してもよいし、また直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶媒に溶解しないものは、有機溶媒と主成分ポリマー中にデゾルバやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
なお、セルロースアシレートフィルムについては、特に、紫外線吸収剤を添加して、耐光性を改善するのが好ましい。
紫外線吸収剤の使用量は、偏光板保護フィルムの主成分100質量部に対し0.1〜5.0質量部、好ましくは0.5〜2.0質量部、より好ましくは0.8〜2.0質量部である。
偏光子の偏光度を波長430nmの光を入射した際に99.8%以下にするのが好ましい。この偏光度を示す偏光子は、通常の偏光板作製工程において、ヨウ素染色量を低減させるか、ポリビニルアルコールの総合延伸倍率を低減させる等により作製することができる。また、光透過性基板や、所望により使用される偏光板保護フィルムとして、フィルム単板での透過率が90%以上の光学特性を示すものを使用するのが好ましい。
<パターン光学異方性層>
本発明の積層体は、1対の偏光子の間に配置された少なくとも2枚のパターン光学異方性層を有し、パターン光学異方性層が互いに偏光能が異なる第1位相差領域および第2位相差領域を面内に交互にストライプ状に有する。
本発明の積層体に含まれるパターン光学異方性層を3枚以上とすることで調光を段階的に変えることができるが、透過率を高めて調光層のコントラストを高める観点からは本発明の積層体に含まれるパターン光学異方性層を2枚とすることが好ましい。
パターン光学異方性層16の一例は、面内遅相軸方向及び面内レターデーションの少なくとも一方が互いに異なる第1位相差領域及び第2位相差領域を含むとともに、第1及び第2位相差領域が、面内の任意の方向において幅Lが1mm〜50mmのパターンで面内に配置されたパターン光学異方性層である。図4は、パターン光学異方性層16の一例を示す上面図であって、1は第1位相差領域を、2は第2位相差領域を、3は第1位相差領域と第2位相差領域の境界である境界線を示している。矢印は、第1位相差領域の遅相軸方位および第2位相差領域の遅相軸方位を示している。尚、図中の符号は、特に述べない限り、以下の図面についても共通するものとする。
また、図4は、概略図であり、第1位相差領域1と、第2位相差領域と、境界線3の関係を分かりやすく説明するため、寸法比としてはこれが最も適切なものではない。これらの寸法比の好ましい範囲については後述する。
図4において、Lは各位相差領域の幅であって、具体的には、第1位相差領域と第2位相差領域の境界である境界線3であって隣接する2つの境界線3・3間の距離を示している。ここで、境界線間3・3の距離は、1つの位相差領域の一方の端の膜の厚み方向の平均面と、隣接する位相差領域の前述の位相差領域に近い側の端の膜の厚み方向の平均面の間の最短距離をいう。ここで、平均面とは、位相差領域の端の厚み方向の面が凸凹な面となっている場合に、凸凹面を平坦な平面と仮定したときの、基準面をいう。
Lは1mm〜50mmであるのが好ましい。Lがこの範囲であると、調光機能の観点で好ましい。各位相差領域の幅Lは、0.5inch(約1.27cm。1inchは約2.54cm)以上であることが第1位相差領域と第2位相差領域の間の境界における遅相軸のずれをブラインドする効果を考えるとよく、一方で大き過ぎない方が遮光モードと透過モードを切り替える際にFPRを各位相差領域の幅だけ動かすためのデッドスペースが増えなくてよい。
L1は、境界線の幅を意味する。境界線の幅は、1つの位相差領域の一方の端の厚み方向の平均面と、この位相差領域と隣接する位相差領域の前述の位相差領域に近い側の端の厚みに方向の平均面の間の最短距離をいう。本発明では、隣接する2つの境界線の距離Lと、この境界線の幅L1が下記式(a)を満たすことが好ましい。
式(a) 100≦L/L1≦5,000
さらには、200≦L/L1≦5,000であることが好ましく、400≦L/L1≦5,000であることがより好ましく、500≦L/L1≦5,000であることがさらに好ましい。
第1位相差領域と第2位相差領域は、互いに、等しい形状であるのが好ましい。また、それぞれの配置は、均等であることが好ましい。本実施形態におけるパターン光学異方性層は、第1位相差領域および第2位相差領域が、それぞれ、この順にストライプ状に交互に配置された構造となっているが、ストライプ状に限るものではない。また、本実施形態では、ストライプは、光学フィルムの長手方向に形成されていてもよいし、長手方向に垂直な方向に形成されていてもよい。
本発明では、第1位相差領域および第2位相差領域は、面内遅相軸方向および面内レターデーションの少なくとも一方が互いに異なる。
本態様では、少なくとも、第1位相差領域および第2位相差領域の面内遅相軸方向は、互いに異なる態様が好ましく、任意の辺(好ましくは位相差領域によって形成されるストライプ、すなわち第1位相差領域または第2位相差領域の長手方向)に対して異なることがより好ましい。本発明の積層体は、第1位相差領域の遅相軸と第1位相差領域または第2位相差領域の長手方向とのなす角度が30°以上60°以下であることが好ましく、かつ、第2位相差領域の遅相軸と第1位相差領域または第2位相差領域の長手方向とのなす角度が−30°以上−60°以下であることが好ましい。第1位相差領域の遅相軸と第1位相差領域または第2位相差領域の長手方向とのなす角度が45°であることがより好ましく、かつ、第2位相差領域の遅相軸と第1位相差領域または第2位相差領域の長手方向とのなす角度が−45°であることがより好ましい。
第1位相差領域の遅相軸方位と第2位相差領域の遅相軸方位(面内遅相軸方向)とのなす角度は、70〜110°が好ましく、80〜100°がより好ましく、90°のがさらに好ましい。
本発明の積層体は、パターン光学異方性層のうち少なくとも一層について、第1位相差領域および第2位相差領域の面内方向のレターデーションRe(550)の絶対値が100〜160nmであることが好ましい。
第1位相差領域および第2位相差領域の波長550nmの面内レターデーションRe(550)は、それぞれ、110〜160nmであることがより好ましく、120〜170nmであることが特に好ましく、125〜140nmであることがより特に好ましい。
パターン光学異方性層の上層及び下層の少なくとも一方には、境界線に対応する位置に配置された色素部分を有するのが好ましい。図5は、色素部分を設けた実施態様を示す断面模式図の一例であって、色素部分4が光学異方性層10の境界線3をカバーするように設けられている。色素部分を設けることにより、境界部の光漏れによる調光機能の乱れを抑制することができる。なお、色素部分は、色素を含有することによって光透過性が低下した部分であり、1種又は2種以上の色素を含むことにより、ブラック又はそれに類似する色相であることが好ましい。
色素部分の幅は、透過状態での面内輝度均一性の観点で適切に設定され、境界線の距離Lの0.1〜0.7倍であることが好ましく、0.3〜0.5倍であることがより好ましい。
パターン光学異方性層は、高分子フィルム等からなる支持体の表面に形成し、支持体とともに、偏光板に組み込まれてもよい。特に、図1の態様では、パターン光学異方性層の支持体を、偏光板保護フィルムとしても利用できるので好ましい。支持体としては、光透過性の高分子フィルムが好ましく、支持体として使用可能な高分子フィルムは、偏光板保護フィルムとして使用可能なポリマーフィルムの例と同様である。なお、支持体のRthとパターン光学異方性層のRthの合計が|Rth|≦20nmを満たすことが好ましく、そのためには、透明支持体は、−150nm≦Rth(630)≦100nmを満たすことが好ましい。
パターン光学異方性層が、互いに隣り合う第1位相差領域及び第2位相差領域の間に存在する幅L1の境界線を含む場合は、光漏れ等を軽減することを目的として、境界線に対応する位置に配置された色素部分(好ましくはブラックストライプ)を有しているのが好ましい。
色素部分は、パターン光学異方性層の上層及び下層の少なくとも一方に有しているのが好ましい。色素部分は、光漏れの軽減の観点から、黒又は黒に類似する色相を有しているのが好ましく、1種又は2種以上の色素を含むことによりこの色相になっているのが好ましい。使用可能な色素としては、従来、カラーフィルタのブラックマトリックスの形成に利用されている色素等が挙げられる。
色素部分は、例えば印刷法を利用して、パターン光学異方性層上等に形成することができ、印刷法の一例は、フレキソ印刷法である。
(パターン光学異方性層の製造方法)
以下に、本発明に利用可能なパターン光学異方性層の製造方法について詳細に説明する。
本発明におけるパターン光学異方性層は、液晶組成物(好ましくは、円盤状液晶性化合物を含む組成物)を利用して、各位相差領域を形成するのが好ましく、液晶を主成分とする同一の硬化性液晶組成物を利用して、各位相差領域を形成するのが好ましく、パターン露光により各位相差領域を形成するのが好ましい。
より具体的には、パターン光学異方性層を形成する第1の態様は、液晶の配向制御に影響を与える複数の作用を利用し、その後、外部刺激(熱処理等)によりいずれかの作用を消失させて、所定の配向制御作用を支配的にする方法である。例えば、配向膜による配向制御能と、液晶組成物中に添加される配向制御剤の配向制御能との複合作用により、液晶を、所定の配向状態とし、それを固定して一の位相差領域を形成した後、外部刺激(熱処理等)により、いずれかの作用(例えば配向制御剤による作用)を消失させて、他の配向制御作用(配向膜による作用)を支配的にし、それによって他の配向状態を実現し、それを固定して他の位相差領域を形成する。例えば、所定のピリジニウム化合物又はイミダゾリウム化合物は、ピリジニウム基又はイミダリウム基が親水的であるため親水的なポリビニルアルコール配向膜表面に偏在する。特に、ピリジニウム基が、さらに、水素原子のアクセプターの置換基であるアミノ基が置換されていると、ポリビニルアルコールとの間に分子間水素結合が発生し、より高密度に配向膜表面に偏在すると共に、水素結合の効果により、ピリジニウム誘導体がポリビニルアルコールの主鎖と直交する方向に配向するため、ラビング方向に対して液晶の直交配向を促進する。ピリジニウム誘導体は、分子内に複数個の芳香環を有しているため、前述した、液晶、特に円盤状液晶性化合物との間に強い分子間π−π相互作用が起こり、円盤状液晶性化合物の配向膜界面近傍における直交配向を誘起する。特に、親水的なピリジニウム基に疎水的な芳香環が連結されていると、その疎水性の効果により垂直配向を誘起する効果も有する。しかし、その効果は、ある温度を超えて加熱すると、水素結合が切断され、ピリジニウム化合物等の配向膜表面における密度が低下し、その作用を消失する。その結果、ラビング配向膜そのものの規制力により液晶が配向し、液晶は平行配向状態になる。この方法の詳細については、特開2012−8170号公報の[0014]〜[0132]に記載があり、その内容は本明細書に参照として取り込まれる。
パターン光学異方性層を形成する第2の態様は、パターン配向膜を利用する態様である。この態様では、互いに異なる配向制御能を有するパターン配向膜を形成し、その上に、液晶組成物を配置し、液晶を配向させる。液晶は、パターン配向膜のそれぞれの配向制御能によって配向規制され、互いに異なる配向状態を達成する。それぞれの配向状態を固定することで、配向膜のパターンに応じた位相差領域のパターンが形成される。パターン配向膜は、印刷法、ラビング配向膜に対するマスクラビング、光配向膜に対するマスク露光等を利用して形成することができる。また、配向膜を一様に形成し、配向制御能に影響を与える添加剤(例えば、上記オニウム塩等)を別途所定のパターンで印刷することによって、パターン配向膜を形成することもできる。大掛かりな設備が不要である点や製造容易な点で、印刷法を利用する方法が好ましい。この方法の詳細については、特開2012−32661号公報の[0013]〜[0116]、[0166]〜[0181]に記載があり、その内容は本明細書に参照として取り込まれる。
また、上記第1及び第2の態様を併用してもよい。一例は、配向膜中に光酸発生剤を添加する例である。この例では、配向膜中に光酸発生剤を添加し、露光量(露光強度)のオン・オフによって、2種類以上の位相差領域を形成することができる。
すなわち、パターン露光により、光酸発生剤が分解して酸性化合物が発生した領域と、光酸発生剤が分解せず、酸性化合物が発生していない領域とを形成する。光未照射部分では光酸発生剤はほぼ未分解のままであり、配向膜材料、液晶、及び所望により添加される配向制御剤の相互作用が配向状態を支配し、液晶を、その遅相軸がラビング方向と直交する方向に配向させる。配向膜へ光照射し、酸性化合物が発生すると、その相互作用はもはや支配的ではなくなり、ラビング配向膜のラビング方向が配向状態を支配し、液晶は、その遅相軸をラビング方向と平行にして平行配向する。配向膜に用いられる光酸発生剤としては、水溶性の化合物が好ましく用いられる。この方法の詳細については、特開2012−150428号公報の[0013]〜[0175]に記載があり、その内容は本明細書に参照として取り込まれる。
パターン光学異方性層の製造方法として、特に好ましくは、
1)透明支持体上に、少なくとも一種の光酸発生剤を含む組成物からなる配向膜を形成する工程、
2)フォトマスク下、配向膜を光照射して、光照射領域の光酸発生剤を分解し、光照射領域に酸性化合物を発生させる工程、
3)配向膜上に、重合性基を有する液晶を主成分とする一種の組成物を塗布して塗膜を形成する工程、
4)温度T1℃で配向膜の光照射領域上の液晶の遅相軸を第一の方向に配向させ、配向膜の未照射領域上の液晶の遅相軸を第一の方向とは異なる第二の方向に配向させる工程
5)温度T2(但し、T1>T2)℃で重合反応を進行させて配向状態を固定化し、互いに面内遅相軸方向が異なる第1相差領域及び第2位相差領域を含むパターン光学異方性層を形成する工程、
をこの順で含むパターン光学異方性層の製造方法である。
この方法では、パターン光学異方性層の形成に、一方向に配向処理された配向膜を利用することが好ましく、ラビング処理又は光配向処理された配向膜を利用することが特に好ましく、ラビング処理されたラビング配向膜を利用することが最も好ましい。なお、配向処理は、1)工程と2)工程との間に、又は2)工程と3)工程との間に、実施することができる。1)工程と2)工程との間に実施するのが好ましい。
ラビング配向膜は、ラビング処理によって配向制御能を発現する。通常、一方向にラビング処理された配向膜上で液晶を配向させると、液晶は、ラビング方向に対して、その遅相軸を平行にして、又は直交にして配向する。いずれの配向状態になるかは、配向膜材料、液晶、及び配向制御剤の1以上の種類等によって決定される。後述するように、本発明では、配向膜への紫外線照射によって発生する酸性化合物の効果により、配向膜材料を分解、及び/又は、配向制御剤の配向膜界面偏在性を変化させて、ラビング方向に対して液晶の遅相軸が直交配向した配向状態、及びラビング方向に対して液晶の遅相軸が平行配向した配向状態を、それぞれ実現している。第1位相差領域及び第2位相差領域の形状及び配置は、2)工程に用いられるフォトマスクを選択することで、所望の形状及び配置のパターンにすることができる。立体画像表示用の画像表示装置に用いられる態様では、第1位相差領域及び第2位相差領域が、互いの短辺の長さがほぼ等しい帯状であり、かつ交互に繰り返しパターニングされていることが好ましい。
本発明における方法では、配向膜の光照射領域上の液晶の遅相軸を第一の方向に配向させ、配向膜の未照射領域上の液晶の遅相軸を第一の方向とは異なる第二の方向に配向させる。光照射により、少なくとも一種の光酸発生剤が分解し、光照射部と光未照射部とでは、分解によって生じる酸性化合物の割合に差が生じ、それによって配向膜の配向制御能にも差を持たせることができる。一例は、以下の通りである。
未照射部分では光酸発生剤はほぼ未分解のままであり、配向膜材料、液晶、及び所望により添加される配向制御剤の相互作用が配向状態を支配し、液晶を、その遅相軸がラビング方向と直交する方向に配向させる。配向膜へ紫外線照射し酸性化合物が発生すると、その相互作用はもはや支配的ではなくなり、ラビング配向膜のラビング方向が配向状態を支配し、液晶は、その遅相軸をラビング方向と平行にして平行配向する。これらの状態を達成する条件は、使用する各材料/量及び照射条件によって変動し、一概に決めることはできない。本発明では、酸性化合物の生成及び拡散が起こるため、温湿度等の環境条件や照射量がパターン精度に寄与する。例えば、ラビング処理や液晶の塗布配向工程は高湿条件で行われることが好ましく、具体的には、湿度は40%以上であることが特に好ましく、60%以上であることがより好ましい。光学異方性層形成に利用される液晶組成物に少量の水を添加しておくことも好ましい態様である。
上記例では、3)工程に用いられる塗布液が配向膜界面配向制御剤を含有し、2)工程で配向膜の光照射領域に発生した酸性化合物もしくはその構成イオンが、配向膜界面配向制御剤の配向膜界面偏在性を減少させることによって、配向膜の光照射領域と光未照射領域とに配向制御能の差をもたせてもよい。配向膜界面配向制御剤としてオニウム塩を用いると、円盤状液晶性化合物を、ラビング軸に対して円盤面を直交にして且つ円盤面を層面に対して垂直にして配向(即ち直交垂直配向)させることができる。配向膜の光未照射領域上では、配向膜界面配向制御剤が配向膜界面に偏在し、円盤状液晶性化合物を直交垂直配向させるが、配向膜の光照射領域上では、配向膜界面制御剤の配向膜界面偏在性が、光酸発生剤が分解することによって生じた酸性化合物又はそれを構成するイオンによって軽減され、配向膜界面配向制御剤の作用は弱められる。その結果、ラビング処理によって発現された配向制御能が支配的になり、円盤状液晶性化合物は、ラビング軸に対して円盤面を平行にして且つ円盤面を層面に対して垂直にして配向、即ち平行垂直配向状態に転移する。
この態様では、配向膜界面配向制御剤の配向膜界面偏在性の減少は、配向膜界面配向制御剤を構成しているイオンと、光照射領域に発生した酸性化合物の構成イオンとのイオン交換により生じてもよい。例えば、配向膜界面配向制御剤としてピリジニウム化合物及びイミダゾリウム化合物等のオニウム塩を用いた例では、オニウム塩と、光照射領域に発生した酸性化合物とのアニオン交換により、オニウム塩の配向膜界面偏在性が減少してもよい。
2)工程では、フォトマスク下、紫外線照射して、酸性化合物を発生させる。前述の通り、光酸発生剤の分解とともに酸性化合物の生成及び拡散が起こるため、フォトマスク下での照射には、紫外線を用いるのが好ましく、非偏光紫外線を用いるのがより好ましい。照射波長としては200〜250nmにピークを有することが好ましく、UV−C光源を用いることが好ましく、その露光量は、5〜1000mJ/cm2程度であることが好ましく、5〜100mJ/cm2程度であることがさらに好ましく、5〜50mJ/cm2程度であることが特に好ましい。露光量が少なすぎるとパターンが形成できない。一方、露光量が多すぎると酸性化合物の拡散によりパターン解像度が低下する。パターン解像度を向上させるためには、室温で露光することが好ましい。
なお、光照射の条件は、配向膜組成物の組成等に応じて適宜設定することができ、上記条件に限定されるものではない。
5)工程における、配向状態の固定も、光照射(例えば、紫外線照射)により、重合性液晶の重合反応を進行させることで達成するのが好ましい。照射エネルギーは、10mJ/cm2〜10J/cm2であることが好ましく、25〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。照度は10〜1000mW/cm2であることが好ましく、20〜500mW/cm2であることがより好ましく、40〜350mW/cm2であることがさらに好ましい。照射波長としては250〜450nmにピークを有することが好ましく、300〜410nmにピークを有することがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは加熱条件下で光照射を実施してもよい。光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)あるいはショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)が好ましく用いられる。
なお、配向状態の固定のための重合反応は、迅速に進行するので、5)工程において全面に光照射され、その段階で光酸発生剤が分解しても、光学異方性層の配向状態への影響はない。
5)工程における配向状態の固定は、温度T2℃であって、4)工程の液晶の配向温度T1℃との関係で、T1>T2を満足する温度で行う。この条件を満足すると、配向状態の乱れを抑制しつつ、配向状態の固定が可能となる。T1℃及びT2℃それぞれの好ましい温度範囲は、選択する材料等に応じて変動する。一般的には、T1℃は約50〜約150℃であり、T2℃は約20〜約120℃である。またT1とT2との差は、約10〜約100℃であるのが好ましい。
−配向膜−
上記1)及び2)工程により、パターン光学異方性層を実現できる配向膜を形成する。さらに、1)工程と2)工程との間に、又は2)工程と3)工程との間に、一方向に配向処理することが好ましい。1)工程と2)工程との間に実施するのが好ましい。配向処理は、ラビング処理が好ましい。即ち、ラビング配向膜を利用するのが好ましい。
本発明に利用可能な「ラビング配向膜」とは、ラビングによって、液晶分子の配向規制能を有するように処理された膜を意味する。ラビング配向膜には、液晶分子を配向規制する配向軸があり、この配向軸に従って、液晶分子は配向する。本発明では、液晶分子は、配向膜への紫外線照射部分でラビング方向に対して液晶の遅相軸が平行になるように配向し、未照射部分で液晶分子の遅相軸がラビング方向に対して直交配向するように、配向膜の材料、酸発生剤、液晶、及び配向制御剤を選択する。
ラビング配向膜は、一般的にはポリマーを主成分とする。配向膜用ポリマー材料としては、多数の文献に記載があり、多数の市販品を入手することができる。本発明において利用されるポリマー材料は、ポリビニルアルコール又はポリイミド、及びその誘導体が好ましい。特に変性又は未変性のポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールは、種々の鹸化度のものが存在する。本発明では、鹸化度85〜99程度のものを用いるのが好ましい。市販品を用いてもよく、例えば、「PVA103」、「PVA203」(クラレ社製)等は、上記鹸化度のPVAである。ラビング配向膜については、WO01/88574A1号公報の43頁24行〜49頁8行、特許第3907735号公報の段落番号[0071]〜[0095]に記載の変性ポリビニルアルコールを参照することができる。ラビング配向膜の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましく、0.01〜1μmであることがさらに好ましい。
ラビング処理は、一般にはポリマーを主成分とする膜の表面を、紙や布で一定方向に数回擦ることにより実施することができる。ラビング処理の一般的な方法については、例えば、「液晶便覧」(丸善社発行、平成12年10月30日)に記載されている。
ラビング密度を変える方法としては、「液晶便覧」(丸善社発行)に記載されている方法を用いることができる。ラビング密度(L)は、下記式(A)で定量化されている。
式(A) L=Nl(1+2πrn/60v)
式(A)中、Nはラビング回数、lはラビングローラーの接触長、rはローラーの半径、nはローラーの回転数(rpm)、vはステージ移動速度(秒速)である。
ラビング密度を高くするためには、ラビング回数を増やす、ラビングローラーの接触長を長く、ローラーの半径を大きく、ローラーの回転数を大きく、ステージ移動速度を遅くすればよく、一方、ラビング密度を低くするためには、この逆にすればよい。
ラビング密度と配向膜のプレチルト角との間には、ラビング密度を高くするとプレチルト角は小さくなり、ラビング密度を低くするとプレチルト角は大きくなる関係がある。
長尺状の偏光膜であって、吸収軸が長手方向の偏光膜と貼り合わせるには、長尺のポリマーフィルムからなる支持体上に配向膜を形成し、長手方向に対して45°の方向に連続的にラビング処理して、ラビング配向膜を形成するのが好ましい。
可能であれば(例えば、光酸発生剤の分解のための光照射と、光配向機能発現のための光照射を分離して実行できる場合は)、光配向膜を利用してもよい。
−光酸発生剤−
配向膜は、少なくとも一種の光酸発生剤を含有することが好ましい。光酸発生剤とは、紫外線等の光照射により分解し酸性化合物を発生する化合物である。光酸発生剤が、光照射により分解して酸性化合物を発生すると、配向膜の配向制御能に変化が生じる。ここでいう配向制御能の変化は、配向膜単独の配向制御能の変化として特定されるものであっても、配向膜とその上に配置される光学異方性層形成用組成物中に含まれる添加剤等とによって達成される配向制御能の変化として特定されるものであってもよいし、またこれらの組み合わせとして特定されるものであってもよい。
後述する円盤状液晶性化合物は、オニウム塩を添加することで、直交垂直配向状態になる場合がある。分解により発生した酸と、オニウム塩とが、アニオン交換すると、オニウム塩の配向膜界面における偏在性が低下し、直交垂直配向効果を低下させ、平行垂直配向状態を形成させてもよい。また、例えば、配向膜がポリビニルアルコール系配向膜である場合には、そのエステル部分が発生した酸により分解し、その結果、オニウム塩の配向膜界面偏在性を変化させてもよい。
配向膜に用いられる光酸発生剤としては、水溶性の化合物が好ましく用いられる。使用可能な光酸発生剤の例には、Prog. Polym. Sci., 23巻、1485頁(1998年)に記載の化合物が含まれる。
光酸発生剤としては、ピリジニウム塩、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩が特に好ましく用いられる。ピリジニウム塩、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩の好ましい例としては、下記の一般式で表される塩をそれぞれ挙げることができる。
式中、Rはそれぞれ水素原子、炭素原子数1〜6の直鎖アルキル基もしくは分岐アルキル基、炭素原子数1〜6の直鎖アルコキシ基もしくは分岐アルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、又はハロゲン原子である。Yは、炭素原子数1〜6の直鎖アルキル基もしくは分岐アルキル基、炭素原子数1〜6の直鎖アルコキシ基もしくは分岐アルコキシ基である。X―は、ピリジニウム塩、ヨードニウム塩又はスルホニウム塩の対アニオンを表し、分解により生じる酸性化合物のアニオンになる。好ましくはPF6 -又はBF4 -である。例えば、X―がBF4 -である光酸発生剤からは、分解により酸HBF4が発生し、X―がPF6 -である光酸発生剤からは、HPF6が発生する。
式中、Rはそれぞれ水素原子、炭素原子数1〜6の直鎖アルキル基もしくは分岐アルキル基、炭素原子数1〜6の直鎖アルコキシ基もしくは分岐アルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、又はハロゲン原子である。Yは、炭素原子数1〜6の直鎖アルキル基もしくは分岐アルキル基、炭素原子数1〜6の直鎖アルコキシ基もしくは分岐アルコキシ基である。X―は、ピリジニウム塩、ヨードニウム塩又はスルホニウム塩の対アニオンを表し、分解により生じる酸性化合物のアニオンになる。好ましくはPF6 -又はBF4 -である。例えば、X―がBF4 -である光酸発生剤からは、分解により酸HBF4が発生し、X―がPF6 -である光酸発生剤からは、HPF6が発生する。
以下に、本発明に利用可能な光酸発生剤の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
配向膜の形成に利用される組成物は、塗布液として調製するのが好ましい。塗布の調製に用いられる溶媒は、水を含有しているのが好ましく、より好ましくは水を20質量%以上、さらに好ましくは50〜80質量%含む。含水溶媒により調製した塗布液を使用することで、支持体上に塗布する際、溶媒による支持体の溶出を抑制または制御することができる。
配向膜組成物中の各成分の含有量は、安定な配向膜を形成できるように適宜設定することができる。例えば、主成分である配向膜用ポリマー材料の含有量は、組成物(溶媒を含む)の合計量に対して2.0〜10.0質量%、好ましくは2.0〜5.0質量%とすることができる。光酸発生剤の添加量は、前述のオニウム塩の対アニオンとイオン交換し得る範囲で適宜設定することができ、例えば、配向膜用ポリマー材料に対して0.1〜10.0質量%、好ましくは0.5〜5.0質量%とすることができる。また、組成物における溶媒量は、例えば、組成物の合計量に対して80〜98質量%、好ましくは90〜97質量%とすることができる。
また、パターン光学異方性層の形成に利用されるパターン配向膜の他の好ましい例として、水平配向膜と直交配向膜とが、所望のパターン光学異方性層と同様にパターン形成されたパターン配向膜が挙げられる。パターン配向膜は、例えば、第一の組成物からなる第一の配向制御領域を透明支持体上に形成する第一の配向制御領域形成工程と、第一の組成物と組成が異なる第二の組成物からなる第二の配向制御領域をパターン状に印刷する第二の配向制御領域形成工程とを、少なくとも含む方法により製造することができる。なお、上記方法において、第一及び第二の配向制御領域の一方が平行配向膜を意味し、他方が直交配向膜を意味する。第一の配向制御領を、透明支持体の全面上に形成してもよいし、第一の配向制御領域を透明支持体の一部の領域上に形成してもよい。前者の態様では、第二の配向制御領域は、第一の配向制御領域上の一部にパターン状に印刷され、後者の態様では、第二の配向制御領域は、第一の配向制御領域が形成されていない透明支持体表面上にパターン状に印刷される。印刷には、例えば、フレキソ印刷法を利用することができる。本方法により製造されるパターン配向膜を、一方向に配向処理(例えばラビング処理)することによって、一方の配向制御領域においては、液晶の長軸を配向処理方向に対して平行に、他方の配向制御領域においては、液晶の長軸を配向処理方向に対して直交に配向制御可能である。本方法及び本方法によって製造されるパターン配向膜の詳細については、特開2012−32661号公報の[0013]〜[0116]、[0166]〜[0181]に詳細な記載があり、参照することができる。
上記3)工程で、配向膜のラビング処理面等の表面に、塗布液として調製された、重合性基を有する液晶を主成分とする一種の組成物を塗布する。塗布方法としては特に制限はく、カーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法等の公知の塗布方法が挙げられる。
4)工程では、例えば、液晶の遅相軸をラビング方向に対して直交及び平行にしてそれぞれ配向させる。これにより、第1及び第2の面内遅相軸の方向が決定され、互いに直交した面内遅相軸を有する第1位相差領域及び第2位相差領域が形成される。さらに、これらの工程における液晶の配向状態によって、光学異方性層の光学特性(Re及びRth)が決定される。パターン光学異方性層は、λ/4板、即ち直線偏光を円偏光に変換する機能を有する光学異方性層であるのが好ましい。例えば、パターン光学異方性層の第1位相差領域および第2位相差領域の波長550nmにおける面内方向のレターデーションRe(550)はそれぞれ120〜160nmであることが好ましく、130〜150nmであることがより好ましく、135〜145nmであることが特に好ましい。λ/4板としての機能を有する光学異方性層の形成には種々の方法がある。一例は、重合性基を有する棒状液晶化合物の遅相軸を層面に水平配向させた状態に固定化する方法である、又は、円盤状液晶性化合物の円盤面を層面に対して垂直配向させた状態に固定化する方法である。より好ましくは、円盤状液晶性化合物を垂直配向させた状態に固定する方法である。
光学異方性層の形成に用いられる組成物の一例は、重合性基を有する液晶性化合物の少なくとも1種、及び配向制御剤の少なくとも1種を含有する液晶組成物である。その他、重合開始剤及び増感剤を含有していてもよい。
以下、各材料について詳細に説明する。
−液晶性化合物−
パターン光学異方性層の主原料として使用可能な液晶性化合物としては、棒状液晶化合物及び円盤状液晶性化合物を挙げることができ、円盤状液晶性化合物が好ましく、前述のとおり重合性基を有する円盤状液晶性化合物がより好ましい。
本発明の積層体は、パターン光学異方性層のうち少なくとも一層について、第1位相差領域および第2位相差領域が円盤状液晶性化合物を垂直配向状態で含むことが好ましい。パターン光学異方性層のうち調光層と直接接触して隣接しているパターン光学異方性層について、第1位相差領域および第2位相差領域が円盤状液晶性化合物を垂直配向状態で含むことが、調光層の遅相軸を制御しやすくする観点からより好ましい。さらに、すべてのパターン光学異方性層について、第1位相差領域および第2位相差領域が円盤状液晶性化合物を垂直配向状態で含むことが特に好ましい。
また、本発明の積層体は、パターン光学異方性層のうち少なくとも一層について、第1位相差領域および第2位相差領域が液晶性化合物の重合体を含むことが好ましい。パターン光学異方性層のうち調光層と直接接触して隣接しているパターン光学異方性層について、第1位相差領域および第2位相差領域が液晶性化合物の重合体を含むことがより好ましい。さらに、すべてのパターン光学異方性層について、第1位相差領域および第2位相差領域が液晶性化合物の重合体を含むことが特に好ましい。
棒状液晶化合物としては、例えば、Makromol. Chem., 190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、世界特許(WO)95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号、同11−513019号及び特開2001−328973号などの各公報及び明細書に記載の化合物の中から選んで用いることができる。これらの公報に記載の内容は本明細書に組み込まれる。
低分子棒状液晶化合物としては、下記一般式(X)で表される化合物が好ましい。
一般式(X)
1−L1−Cy1−L2−(Cy2−L3n−Cy3−L4−Q2
式中、Q1及びQ2はそれぞれ独立に重合性基を表し、L1及びL4はそれぞれ独立に二価の連結基を表し、L2及びL3はそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表し、Cy1、Cy2及びCy3はそれぞれ独立に二価の環状基を表し、nは0、1又は2である。
式中、Q1及びQ2はそれぞれ独立に重合性基である。重合性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)又は縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応又は縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。
光学異方性層の主原料として使用可能な円盤状液晶性化合物としては、前述のとおり重合性基を有する化合物が好ましい。
円盤状液晶性化合物には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
円盤状液晶性化合物には、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、又は置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造の、液晶性を示す化合物も含まれる。分子又は分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。
円盤状液晶性化合物から光学異方性層を形成した場合、最終的に光学異方性層に含まれる化合物は、もはや液晶性を示す必要はない。例えば、低分子の円盤状液晶性化合物が熱、又は光で反応する基を有しており、熱又は光によってこの基が反応して、重合又は架橋し、高分子量化することによって、光学異方性層が形成される場合などは、光学異方性層中に含まれる化合物は、もはや液晶性を失っていてもよい。
円盤状液晶性化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報、特開2006−76992号公報明細書中の段落番号[0052]、特開2007−2220号公報明細書中の段落番号[0040]〜[0063]に記載されている。例えば下記一般式(DI)、(DII)で表される化合物が高い複屈折性を示すので好ましい。さらに下記一般式(DI)、(DII)表される化合物の中でも、液晶性を示す化合物が好ましく、特に、ディスコティックネマチック相を示す化合物が好ましい。下記化合物の詳細(式中の符号の定義、及びその好ましい範囲)については、上記公報に具体的記載がある。下記一般式(DI)の範囲は、特開2006−76992号公報の一般式(DI)の範囲と同様である。
下記一般式(DII)の範囲は、特開平8−50206号公報の一般式TE−8の好ましい範囲と同様である。
また、円盤状液晶性化合物の好ましい例には、特開2005−301206号公報に記載の化合物も含まれる。
本発明ではこれらの中でも以下の円盤状液晶性化合物を用いることが好ましい。
−オニウム塩化合物(配向膜側配向制御剤)−
本発明では、前述のように、重合性基を有する液晶性化合物、特に、重合性基を有する円盤状液晶性化合物の垂直配向を実現するために、オニウム塩を添加することが好ましい。オニウム塩は配向膜界面に偏在し、液晶分子の配向膜界面近傍におけるチルト角を増加させる作用をする。
オニウム塩としては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
一般式(1)
Z−(Y−L−)nCy+・X-
式中、Cyは5又は6員環のオニウム基であり、L、Y、Z、Xは、後述する一般式(II)におけるL23、L24、Y22、Y23、Z21、Xに同義であり、その好ましい範囲も同一であり、nは2以上の整数を表す。
5又は6員環のオニウム基(Cy)は、ピラゾリウム環、イミダゾリウム環、トリアゾリウム環、テトラゾリウム環、ピリジニウム環、ピラジニウム環、ピリミジニウム環、トリアジニウム環が好ましく、イミダゾリウム環、ピリジニウム環が特に好ましい。
5又は6員環のオニウム基(Cy)は、配向膜材料と親和性のある基を有するのが好ましい。オニウム塩化合物は、酸発生剤が分解していない部分(未露光部分)では配向膜材料との親和性が高く配向膜界面に偏在している。一方、酸発生剤が分解し酸性化合物が発生している部分(露光部分)では、オニウム塩のアニオンがイオン交換し親和性が低下し配向膜界面における偏在性が低下している。水素結合は、液晶を配向させる実際の温度範囲内(室温〜150℃程度)において、結合状態にも、その結合が消失した状態にもなり得るので、水素結合による親和性を利用するのが好ましい。但し、この例に限定されるものではない。
例えば、配向膜材料としてポリビニルアルコールを利用する態様では、ポリビニルアルコールの水酸基と水素結合を形成するために、水素結合性基を有しているのが好ましい。水素結合の理論的な解釈としては、例えば、H.Uneyama and K.Morokuma、Journal of American Chemical Society、第99巻、第1316〜1332頁、1977年に報告がある。具体的な水素結合の様式としては、例えば、J.N.イスラエスアチヴィリ著、近藤保、大島広行訳、分子間力と表面力、マグロウヒル社、1991年の第98頁、図17に記載の様式が挙げられる。具体的な水素結合の例としては、例えば、G.R.Desiraju、Angewante Chemistry International Edition English、第34巻、第2311頁、1995年に記載のものが挙げられる。
水素結合性基を有する5又は6員環のオニウム基は、オニウム基の親水性の効果に加え、ポリビニルアルコールと水素結合することによって、配向膜界面の表面偏在性を高めるとともに、ポリビニルアルコール主鎖に対する直交配向性を付与する機能を促進する。好ましい水素結合性基としては、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、酸アミド基、ウレイド基、カルバモイル基、カルボキシル基、スルホ基、含窒素複素環基(例えば、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、1,3,5−トリアジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、キノリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、コハクイミド基、フタルイミド基、マレイミド基、ウラシル基、チオウラシル基、バルビツール酸基、ヒダントイン基、マレイン酸ヒドラジド基、イサチン基、ウラミル基などが挙げられる)を挙げることができる。更に好ましい水素結合性基としては、アミノ基、ピリジル基を挙げることができる。
例えば、イミダゾリウム環の窒素原子ように、5又は6員環のオニウム環に、水素結合性基を有する原子を含有していることも好ましい。
nは、2〜5の整数が好ましく、3又は4であるのがより好ましく、3であるのが特に好ましい。複数のL及びYは、互いに同一であっても異なっていてもよい。nが3以上である場合、一般式(1)で表されるオニウム塩は、3つ以上の5又は6員環を有しているため、円盤状液晶性化合物と強い分子間π−π相互作用が働くため、円盤状液晶性化合物の垂直配向、特に、ポリビニルアルコール配向膜上では、ポリビニルアルコール主鎖に対する直交垂直配向を実現することができる。
一般式(1)で表されるオニウム塩は、下記一般式(2a)で表されるピリジニウム化合物又は下記一般式(2b)で表されるイミダゾリウム化合物であることが特に好ましい。
一般式(2a)及び(2b)で表される化合物は、主に、一般式(I)〜(IV)で表される円盤状液晶性化合物の配向膜界面における配向を制御することを目的として添加され、円盤状液晶性化合物の分子の配向膜界面近傍におけるチルト角を増加させる作用がある。
式中、L23及びL24はそれぞれ二価の連結基を表す。
23は、単結合、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−O−AL−O−、−O−AL−O−CO−、−O−AL−CO−O−、−CO−O−AL−O−、−CO−O−AL−O−CO−、−CO−O−AL−CO−O−、−O−CO−AL−O−、−O−CO−AL−O−CO−又は−O−CO−AL−CO−O−であるのが好ましく、ALは、炭素原子数が1〜10のアルキレン基である。L23は、単結合、−O−、−O−AL−O−、−O−AL−O−CO−、−O−AL−CO−O−、−CO−O−AL−O−、−CO−O−AL−O−CO−、−CO−O−AL−CO−O−、−O−CO−AL−O−、−O−CO−AL−O−CO−または−O−CO−AL−CO−O−が好ましく、単結合または−O−がさらに好ましく、−O−が最も好ましい。
24は、単結合、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH=N−、−N=CH−または−N=N−であるのが好ましく、−O−CO−又は−CO−O−がより好ましい。mが2以上のとき、複数のL24が交互に、−O−CO−及び−CO−O−であるのがさらに好ましい。
22は水素原子、無置換アミノ基、又は炭素原子数が1〜20の置換アミノ基である。
22が、ジアルキル置換アミノ基である場合、2つのアルキル基が互いに結合して含窒素複素環を形成してもよい。このとき形成される含窒素複素環は、5員環または6員環が好ましい。R23は水素原子、無置換アミノ基、または炭素原子数が2〜12のジアルキル置換アミノ基であるのがさらに好ましく、水素原子、無置換アミノ基、または炭素原子数が2〜8のジアルキル置換アミノ基であるのがよりさらに好ましい。R23が無置換アミノ基及び置換アミノ基である場合、ピリジニウム環の4位が置換されていることが好ましい。
Xはアニオンである。
Xは、一価のアニオンであることが好ましい。アニオンの例には、ハライドイオン(フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン)およびスルホン酸イオン(例、メタンスルホネートイオン、パラ−トルエンスルホネートイオン、ベンゼンスルホネートイオン)が含まれる。
22及びY23はそれぞれ、5又は6員環を部分構造として有する2価の連結基である。
5又は6員環が置換基を有していてもよい。好ましくは、Y22及びY23のうち少なくとも1つは、置換基を有する5又は6員環を部分構造として有する2価の連結基である。Y22およびY23は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい6員環を部分構造として有する2価の連結基であるのが好ましい。6員環は、脂肪族環、芳香族環(ベンゼン環)および複素環を含む。6員脂肪族環の例は、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環およびシクロヘキサジエン環を含む。6員複素環の例は、ピラン環、ジオキサン環、ジチアン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環およびトリアジン環を含む。6員環に、他の6員環または5員環が縮合していてもよい。
置換基の例は、ハロゲン原子、シアノ、炭素原子数が1〜12のアルキル基および炭素原子数が1〜12のアルコキシ基を含む。アルキル基およびアルコキシ基は、炭素原子数が2〜12のアシル基または炭素原子数が2〜12のアシルオキシ基で置換されていてもよい。置換基は、炭素原子数が1〜12(より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜3)のアルキル基であるのが好ましい。置換基は2以上であってもよく、例えば、Y22及びY23がフェニレン基である場合は、1〜4の炭素原子数が1〜12(より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜3)のアルキル基で置換されていてもよい。
なお、mは1又は2であり、2であるのが好ましい。mが2のとき、複数のY23及びL24は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
21は、ハロゲン置換フェニル、ニトロ置換フェニル、シアノ置換フェニル、炭素原子数が1〜10のアルキル基で置換されたフェニル、炭素原子数が2〜10のアルコキシ基で置換されたフェニル、炭素原子数が1〜12のアルキル基、炭素原子数が2〜20のアルキニル基、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基、炭素原子数が2〜13のアルコキシカルボニル基、炭素原子数が7〜26のアリールオキシカルボニル基および炭素原子数が7〜26のアリールカルボニルオキシ基からなる群より選ばれる一価の基である。
mが2の場合、Z21は、シアノ、炭素原子数が1〜10のアルキル基または炭素原子数が1〜10のアルコキシ基であることが好ましく、炭素原子数4〜10のアルコキシ基であるのがさらに好ましい。
mが1の場合、Z21は、炭素原子数が7〜12のアルキル基、炭素原子数が7〜12のアルコキシ基、炭素原子数が7〜12のアシル置換アルキル基、炭素原子数が7〜12のアシル置換アルコキシ基、炭素原子数が7〜12のアシルオキシ置換アルキル基または炭素原子数が7〜12のアシルオキシ置換アルコキシ基であることが好ましい。
アシル基は−CO−R、アシルオキシ基は−O−CO−Rで表され、Rは脂肪族基(アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基)または芳香族基(アリール基、置換アリール基)である。Rは、脂肪族基であることが好ましく、アルキル基またはアルケニル基であることがさらに好ましい。
pは、1〜10の整数である。pは、1または2であることが特に好ましい。Cp2pは、分岐構造を有していてもよい鎖状アルキレン基を意味する。Cp2pは、直鎖状アルキレン基(−(CH2p−)であることが好ましい。
式(2b)中、R30は、水素原子又は炭素原子数が1〜12(より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜3)のアルキル基である。
式(2a)又は(2b)で表される化合物の中でも、下記式(2a’)又は(2b’)で表される化合物が好ましい。
式(2a’)及び(2b’)中、式(2)と同一の符号は同一の意義であり、好ましい範囲も同様である。L25はL24と同義であり、好ましい範囲も同様である。L24及びL25は、−O−CO−又は−CO−O−であるのが好ましく、L24が−O−CO−で、且つL25が−CO−O−であるのが好ましい。
23、R24及びR25はそれぞれ、炭素原子数が1〜12(より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜3)のアルキル基である。n23は0〜4、n24は1〜4、及びn25は0〜4を表す。n23及びn25が0で、n24が1〜4(より好ましくは1〜3)であるのが好ましい。
30は、炭素原子数が1〜12(より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜3)のアルキル基であるのが好ましい。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、特開2006−113500号公報明細書中[0058]〜[0061]に記載の化合物が挙げられる。
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を示す。但し、下記式中、アニオン(X-)は省略した。
式(2a)及び(2b)の化合物は、一般的な方法で製造することができる。例えば、式(2a)のピリジニウム誘導体は、一般にピリジン環をアルキル化(メンシュトキン反応)して得られる。
オニウム塩は、その添加量が、液晶性化合物に対して5質量%を超えることはなく、0.1〜2質量%程度であるのが好ましい。
一般式(2a)及び(2b)で表されるオニウム塩は、ピリジニウム基又はイミダリウム基が親水的であるため親水的なポリビニルアルコール配向膜表面に偏在する。特に、ピリジニウム基に、さらに、水素原子のアクセプターの置換基であるアミノ基(一般式(2a)及び(2a’)において、R22が無置換のアミノ基又は炭素原子数が1〜20の置換アミノ基)が置換されていると、ポリビニルアルコールとの間に分子間水素結合が発生し、より高密度に配向膜表面に偏在すると共に、水素結合の効果により、ピリジニウム誘導体がポリビニルアルコールの主鎖と直交する方向に配向するため、ラビング方向に対して液晶の直交配向を促進する。ピリジニウム誘導体は、分子内に複数個の芳香環を有しているため、前述した、液晶、特に円盤状液晶性化合物との間に強い分子間π−π相互作用が起こり、円盤状液晶性化合物の配向膜界面近傍における直交配向を誘起する。特に、一般式(2a’)で表されるように、親水的なピリジニウム基に疎水的な芳香環が連結されていると、その疎水性の効果により垂直配向を誘起する効果も有する。
さらに、一般式(2a)及び(2b)で表されるオニウム塩を併用すると、光分解により光酸発生剤から放出された酸性化合物とアニオン交換し、オニウム塩の水素結合力及び親水性が変化することにより配向膜界面における偏在性が低下し、液晶が、その遅相軸を、ラビング方向に対して平行にして配向する、平行配向を促進するようになる。これは、塩交換により、オニウム塩が配向膜に均一に分散され配向膜表面における密度が低下し、ラビング配向膜そのものの規制力により液晶が配向するためである。
−フルオロ脂肪族基含有共重合体(空気界面配向制御剤)−
フルオロ脂肪族基含有共重合体は、液晶の空気界面における配向を制御することを目的として添加され、液晶の分子の空気界面近傍におけるチルト角を増加させる作用がある。さらに、ムラ、ハジキなどの塗布性も改善される。
本発明に使用可能なフルオロ脂肪族基含有共重合体としては、特開2004−333852号、同2004−333861号、同2005−134884号、同2005−179636号、及び同2005−181977号などの各公報及び明細書に記載の化合物の中から選んで用いることができる。特に好ましくは、特開2005−179636号、及び同2005−181977号の各公報及び明細書に記載の、フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ{−OP(=O)(OH)2}}及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを側鎖に含むポリマーである。
フルオロ脂肪族基含有共重合体は、その添加量が、液晶性化合物に対して2質量%を超えることはなく、0.1〜1質量%程度であるのが好ましい。
フルオロ脂肪族基含有共重合体は、フルオロ脂肪族基の疎水性効果により空気界面への偏在性を高めると共に、空気界面側に低表面エネルギーの場を提供し、液晶、特に円盤状液晶性化合物のチルト角を増加させることができる。さらに、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ{−OP(=O)(OH)2}}及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基を側鎖に含む共重合成分を有すると、これらのアニオンと液晶のπ電子との電荷反発により液晶性化合物の垂直配向を実現することができる。
−溶媒−
パターン光学異方性層の形成用組成物は塗布液として調製するのが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
−重合開始剤−
重合性基を有する液晶性化合物を含有する組成物(例えば塗布液)を、所望の液晶相を示す配向状態とした後、重合反応を進行させて、この配向状態を固定する(上記方法の5)工程)。固定化は、液晶性化合物に導入した反応性基の重合反応により実施することが好ましい。紫外線照射による、光重合反応により固定化するのが好ましい。光重合反応としては、ラジカル重合、カチオン重合のいずれでも構わない。ラジカル光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとパラ−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。カチオン光重合開始剤の例には、有機スルホニウム塩系、ヨードニウム塩系、フォスフォニウム塩系等を例示する事ができ、有機スルホニウム塩系、が好ましく、トリフェニルスルフォニウム塩が特に好ましい。これら化合物の対イオンとしては、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロフォスフェートなどが好ましく用いられる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
−増感剤−
また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、及びチオキサントン等が含まれる。光重合開始剤は複数種を組み合わせてもよく、使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。液晶性化合物の重合のための光照射は紫外線を用いることが好ましい。
−その他の添加剤−
パターン光学異方性層の形成用組成物は、重合性液晶性化合物とは別に、非液晶性の重合性モノマーを含有していてもよい。重合性モノマーとしては、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物が好ましい。なお、重合性の反応性官能基数が2以上の多官能モノマー、例えば、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレートを用いると、耐久性が改善されるので好ましい。非液晶性の重合性モノマーは、非液晶性成分であるので、その添加量が、液晶性化合物に対して40質量%を超えることはなく、0〜20質量%程度であるのが好ましい。
この様にして形成するパターン光学異方性層の厚みについては特に制限されないが、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜5μmであるのがより好ましい。
<配向膜>
また、本発明の積層体は、配向膜を有していてもよい。例えば、パターン光学異方性層に隣接する配向膜を有していてもよい。この配向膜は、パターン光学異方性層を形成する際に、液晶分子の配向を制御する機能を有する。配向膜の一例は、一方向に配向処理された配向膜であり、また一方向にラビング処理されたラビング配向膜である。この配向膜を利用したパターン光学異方性層の形成方法については、後述する。
なお、パターン光学異方性層、又はパターン光学異方性層と支持体との積層体は、粘着剤又は接着剤を利用して、光透過性基板又は偏光子に貼合することができ、使用可能な粘着剤の例は、上記偏光板保護フィルムを光透過性基板に貼合するのに使用可能な粘着剤の例と同様である。
本態様の一例では、第1位相差領域および第2位相差領域の面内遅相軸と、偏光膜12の吸収軸とがそれぞれ±45°の角度をなす。図6は、偏光子12の吸収軸と、光学異方性層16の面内遅相軸の関係を示したものであって、偏光子12の吸収軸と、光学異方性層16の面内遅相軸がそれぞれ±45°の角度をなしている。
また、本態様の偏光板を2枚組み合わせて用いる場合、一方の偏光板の偏光子の吸収軸は、上記ストライプと直交し、他方の偏光板の偏光子の吸収軸は上記ストライプと平行となるように設定することが好ましい。
<調光層>
本発明の積層体は、1対の偏光子の間に配置された調光層を有し、調光層の面内方向のレターデーションRe(550)が10nm以上である。
(レターデーション)
図2に、本発明の積層体に利用可能な調光層の一例の上面模式図を示した。図2に示した調光層は、本発明の積層体に利用可能な調光層17が、パターン光学異方性層の第1位相差領域と重なる領域17aと、パターン光学異方性層の第2位相差領域と重なる領域17bを有する。図2に示した調光層では、第1位相差領域と重なる領域の遅相軸方位17Aと、第2位相差領域と重なる領域の遅相軸方位17Bが異なる。第1位相差領域と重なる領域の遅相軸方位17Aと、第2位相差領域と重なる領域の遅相軸方位17Bとのなす角度の好ましい範囲は、パターン光学異方性層の第1位相差領域の遅相軸と第2位相差領域の遅相軸とのなす角度の好ましい範囲と同様である。
図15に本発明の積層体に利用可能な調光層の他の一例の上面模式図を示した。図15に示した調光層は、本発明の積層体に利用可能な調光層17が、パターン光学異方性層の第1位相差領域と重なる領域17aと、パターン光学異方性層の第2位相差領域と重なる領域17bを有し、パターン光学異方性層の第1位相差領域と重なる領域17aとパターン光学異方性層の第2位相差領域と重なる領域17bはほぼ均一な層である。図15に示した調光層では、第1位相差領域と重なる領域の遅相軸方位17Aと、第2位相差領域と重なる領域の遅相軸方位17Bが同じ(面内で均一)となっている。
調光層の面内方向のレターデーションRe(550)が10nm以上であり、100nm以上であることが好ましく、100〜5000nmであることがより好ましく、用途に応じて特に好ましい範囲は異なる。
本発明の積層体は、例えば、調光層の面内方向のレターデーションRe(550)が100nm以上300nm未満であり、調光層が白・灰・黒表示をすることが特に好ましい。この場合、調光層のRe(550)はλ/2近傍であることがより特に好ましく、260〜290nmであることがさらにより特に好ましい。
本発明の積層体は、例えば、調光層の面内方向のレターデーションRe(550)が300nm以上800nm以下であり、調光層が任意の色表示をすることが特に好ましい。
(素材)
調光層の形成に用いる素材としては、所望のレターデーションを発現できれば特に制限はなく、液晶性化合物を含む液晶組成物、セルロースアシレートフィルムなどが挙げられる。調光層の形成に用いる素材は液晶性化合物を含む液晶組成物であることが好ましく、液晶性化合物は重合性液晶性化合物であることが好ましい。
重合性液晶性化合物を含む液晶組成物はさらに界面活性剤を含むことが好ましい。液晶組成物は、さらに重合開始剤を含んでいてもよい。なお、調光層は液晶相を固定してなる層であってもよく、ネマチックの液晶相を固定してなる層であることが好ましい。
−液晶性化合物−
液晶性化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶性化合物であってもよいが、棒状液晶化合物であることが好ましい。
棒状液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶性化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
重合性液晶性化合物は、重合性基を液晶性化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、およびアジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基が特に好ましい。重合性基は種々の方法で、液晶性化合物の分子中に導入できる。重合性液晶性化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個である。重合性液晶性化合物の例は、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586号公報、同95/24455号公報、同97/00600号公報、同98/23580号公報、同98/52905号公報、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報、特開2014−198815号公報、特開2014−198814号公報などに記載の化合物が含まれる。2種類以上の重合性液晶性化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性液晶性化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。
棒状の液晶性化合物の具体例としては、下記式(1)〜(11)に示す化合物が挙げられる。
[化合物(11)において、X1は2〜5(整数)である。]
調光層に用いられる円盤状液晶性化合物の例は、パターン光学異方性層に用いられる円盤状液晶性化合物の例と同様である。
本発明では以下の円盤状液晶性化合物を調光層に用いることが好ましい。
また、液晶組成物中の液晶性化合物の添加量は、液晶組成物の固形分質量(溶媒を除いた質量)に対して、75〜99.9質量%であることが好ましく、80〜99質量%であることがより好ましく、85〜90質量%であることが特に好ましい。
−界面活性剤−
調光層に用いられる界面活性剤は、打滴面との相性により界面活性剤の種類を変えることがより好ましい。
界面活性剤としては、例えば、シリコ−ン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤が挙げられ、フッ素系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤の具体例としては、特開2014−119605の[0082]〜[0090]に記載の化合物、特開2012−203237号公報の段落〔0031〕〜〔0034〕に記載の化合物、特開2005−99248号公報の[0092]及び[0093]中に例示されている化合物、特開2002−129162号公報の[0076]〜[0078]及び[0082]〜[0085]中に例示されている化合物、特開2007−272185号公報の段落[0018]〜[0043]等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、などが挙げられる。
なお、界面活性剤としては1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明では調光層に用いられる界面活性剤として、特開2007−272185号公報の段落[0018]〜[0043]に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマーを好ましく用いることができ、この明細書の記載は本発明に組み込まれる。その中でも、以下のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマーがより好ましい。
フッ素系界面活性剤として、特開2014−119605の[0082]〜[0090]に記載の下記一般式(I)で表される化合物も好ましい。
一般式(I)において、L11、L12、L13、L14、L15、L16はおのおの独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−、−NRCO−、−CONR−(一般式(I)中におけるRは水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基を表す)を表し、−NRCO−、−CONR−は溶解性を減ずる効果があり、調光層の作製時にヘイズが上昇する傾向があることからより好ましくは−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−であり、化合物の安定性の観点からさらに好ましくは−O−、−CO−、−COO−、−OCO−である。上記のRがとりうるアルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。炭素数は1〜3であることがより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基を例示することができる。
Sp11、Sp12、Sp13、Sp14はそれぞれ独立して単結合または炭素数1〜10のアルキレン基を表し、より好ましくは単結合または炭素数1〜7のアルキレン基であり、さらに好ましくは単結合または炭素数1〜4のアルキレン基である。但し、アルキレン基の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。アルキレン基には、分枝があっても無くてもよいが、好ましいのは分枝がない直鎖のアルキレン基である。合成上の観点からは、Sp11とSp14が同一であり、かつ、Sp12とSp13が同一であることが好ましい。
11、A12は1〜4価の芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基の炭素数は6〜22であることが好ましく、6〜14であることがより好ましく、6〜10であることがさらに好ましく、6であることがさらにより好ましい。A11、A12で表される芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよい。そのような置換基の例として、炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基またはエステル基を挙げることができる。これらの基の説明と好ましい範囲については、下記のTの対応する記載を参照することができる。A11、A12で表される芳香族炭化水素基に対する置換基としては、例えばメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、臭素原子、塩素原子、シアノ基などを挙げることができる。パーフルオロアルキル部分を分子内に多く有する分子は、少ない添加量で液晶を配向させることができ、ヘイズ低下につながることから、分子内にパーフルオロアルキル基を多く有するようにA11、A12は4価であることが好ましい。合成上の観点からは、A11とA12は同一であることが好ましい。
11
で表される二価の基または二価の芳香族複素環基を表す(上記T11中に含まれるXは炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基またはエステル基を表し、Ya、Yb、Yc、Ydはおのおの独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す)ことが好ましく、より好ましくは、
であり、さらに好ましくは
であり、よりさらに好ましくは、
である。
上記T11中に含まれるXがとりうるアルキル基の炭素数は1〜8であり、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。アルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分枝状であることが好ましい。好ましいアルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などを例示することができ、その中でもメチル基が好ましい。上記T11中に含まれるXがとりうるアルコキシ基のアルキル部分については、上記T11中に含まれるXがとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲を参照することができる。上記T11中に含まれるXがとりうるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、塩素原子、臭素原子が好ましい。上記T11中に含まれるXがとりうるエステル基としては、R’COO−で表される基を例示することができる。R’としては炭素数1〜8のアルキル基を挙げることができる。R’がとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲については、上記T11中に含まれるXがとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲を参照することができる。エステルの具体例として、CH3COO−、C25COO−を挙げることができる。Ya、Yb、Yc、Ydがとりうる炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などを例示することができる。
二価の芳香族複素環基は、5員、6員または7員の複素環を有することが好ましい。5員環または6員環がさらに好ましく、6員環が最も好ましい。複素環を構成する複素原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましい。複素環は、芳香族性複素環であることが好ましい。芳香族性複素環は、一般に不飽和複素環である。最多二重結合を有する不飽和複素環がさらに好ましい。複素環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、フラザン環、テトラゾール環、ピラン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環およびトリアジン環が含まれる。二価の複素環基は置換基を有していてもよい。そのような置換基の例の説明と好ましい範囲については、上記のA1とA2の1〜4価の芳香族炭化水素が取り得る置換基に関する説明と記載を参照することができる。
Hb11は炭素数2〜30のパーフルオロアルキル基を表し、より好ましくは炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基であり、さらに好ましくは3〜10のパーフルオロアルキル基である。パーフルオロアルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状または分枝状であるものが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
m11、n11はそれぞれ独立に0から3であり、かつm11+n11≧1である。このとき複数存在する括弧内の構造は互いに同一であっても異なっていてもよいが、互いに同一であることが好ましい。一般式(I)のm11、n11は、A11、A12の価数によって定まり、好ましい範囲もA11、A12の価数の好ましい範囲によって定まる。
11中に含まれるoおよびpはそれぞれ独立に0以上の整数であり、oおよびpが2以上であるとき複数のXは互いに同一であっても異なっていてもよい。T11中に含まれるoは1または2であることが好ましい。T11中に含まれるpは1〜4のいずれかの整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましい。
一般式(I)で表される化合物は、分子構造が対称性を有するものであってもよいし、対称性を有しないものであってもよい。なお、ここでいう対称性とは、点対称、線対称、回転対称のいずれかひとつに少なくとも当たるものを意味し、非対称とは点対称、線対称、回転対称のいずれにも当たらないものを意味する。
一般式(I)で表される化合物は、以上述べたパーフルオロアルキル基(Hb11)、連結基−(−Sp11−L11−Sp12−L12m11−A11−L13−および−L14−A12−(L15−Sp13−L16−Sp14−)n11−、ならびに好ましくは排除体積効果を持つ2価の基であるTを組み合わせた化合物である。分子内に2つ存在するパーフルオロアルキル基(Hb11)は互いに同一であることが好ましく、分子内に存在する連結基−(−Sp11−L11−Sp12−L12m11−A11−L13−および−L14−A12−(L15−Sp13−L16−Sp14−)n11−も互いに同一であることが好ましい。末端のHb11−Sp11−L11−Sp12−および−Sp13−L16−Sp14−Hb11は、以下のいずれかの一般式で表される基であることが好ましい。
(Ca2a+1)−(Cb2b)−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−O−(Cr2r)−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−COO−(Cr2r)−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−OCO−(Cr2r)−
上式において、aは2〜30であることが好ましく、3〜20であることがより好ましく、3〜10であることがさらに好ましい。bは0〜20であることが好ましく、0〜10であることがより好ましく、0〜5であることがさらに好ましい。a+bは3〜30である。rは1〜10であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
また、一般式(I)の末端のHb11−Sp11−L11−Sp12−L12−および−L15−Sp13−L16−Sp14−Hb11は、以下のいずれかの一般式で表される基であることが好ましい。
(Ca2a+1)−(Cb2b)−O−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−COO−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−O−(Cr2r)−O−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−COO−(Cr2r)−COO−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−OCO−(Cr2r)−COO−
上式におけるa、bおよびrの定義は直上の定義と同じである。
液晶組成物中における、界面活性剤の添加量は、重合性液晶性化合物の全質量に対して0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜5質量%がより好ましく、0.02質量%〜1質量%が特に好ましい。
−重合開始剤−
液晶組成物に重合性化合物を含む場合は、重合開始剤を含有していることが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であることが好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとパラ−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。
液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、重合性液晶性化合物の含有量に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜12質量%であることがさらに好ましい。
−オニウム塩化合物(配向膜側配向制御剤)−
調光層の形成に用いる液晶組成物は、オニウム塩化合物(配向膜側配向制御剤)を有することが好ましい。調光層に用いられるオニウム塩化合物の好ましい範囲は、パターン光学異方性層に用いられるオニウム塩化合物の好ましい範囲と同様であり、特にピリジニウム塩を好ましく用いることができる。
−その他の添加剤−
調光層の形成方法として、後述のインクジェット法を用いる場合には、一般的に求められるインク物性を得るために、単官能重合性モノマーを使用してもよい。単官能重合性モノマーとしては、2−メトキシエチルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソデシルアクリレート、オクチル/デシルアクリレート、後述の実施例で用いるエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられる。
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
また、液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、金属酸化物微粒子等を、光学的性能等を低下させない範囲で添加することができる。
液晶組成物は溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましく用いられる。
有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、エーテル類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が特に好ましい。上述の単官能重合性モノマーなどの上述の成分が溶媒として機能していてもよい。
(パターン光学異方性層と調光層の関係)
パターン光学異方性層と調光層の関係の好ましい範囲を説明する。
調光層は、表示させたい文字や模様と同じ形状とすることが好ましい。
図11は、パターン光学異方性層の第1位相差領域および第2位相差領域と、調光層との組み合わせの一例を説明するための断面模式図である。図11では、色素部分4が光学異方性層の境界線3をカバーするように設けられており、一部の調光層17がパターン光学異方性層の第1位相差領域1、第2位相差領域2、境界線3および色素部分4にまたがって配置されており、調光層が存在する領域31が形成されている。さらに図11では、一部の調光層17がパターン光学異方性層の第1位相差領域1の上のみに配置されており、別の調光層が存在する領域31が形成されている。これらの調光層が存在する領域31を組み合わせて、表示させたい文字や模様と同じ形状とすることができる。
調光層が存在する領域31以外の部分は、調光層が存在しない領域32となる。
本発明の積層体は、パターン光学異方性層のうち少なくとも一層について、第1位相差領域の遅相軸方位とその上に配置された調光層のうち第1位相差領域と重なる領域の遅相軸方位とのなす角が−10°以上10°以下であることが好ましく、かつ、第2位相差領域の遅相軸方位とその上に配置された調光層のうち第2位相差領域と重なる領域の遅相軸方位とのなす角が−10°以上10°以下であることが好ましい。
第1位相差領域の遅相軸方位とその上に配置された調光層のうち第1位相差領域と重なる領域の遅相軸方位とのなす角が−5°以上5°以下であることがより好ましく、かつ、第2位相差領域の遅相軸方位とその上に配置された調光層のうち第2位相差領域と重なる領域の遅相軸方位とのなす角が−5°以上5°以下であることがより好ましい。
第1位相差領域の遅相軸方位とその上に配置された調光層のうち第1位相差領域と重なる領域の遅相軸方位とのなす角が−3°以上3°以下であることが特に好ましく、かつ、第2位相差領域の遅相軸方位とその上に配置された調光層のうち第2位相差領域と重なる領域の遅相軸方位とのなす角が−3°以上3°以下であることが特に好ましい。
第1位相差領域の遅相軸方位とその上に配置された調光層のうち第1位相差領域と重なる領域の遅相軸方位が同じ(平行)であることがより特に好ましく、かつ、第2位相差領域の遅相軸方位とその上に配置された調光層のうち第2位相差領域と重なる領域の遅相軸方位が同じ(平行)であることがより特に好ましい。
図3に、パターン光学異方性層の第1位相差領域および第2位相差領域の遅相軸方位と、調光層の遅相軸方位との組み合わせの一例を説明するための上面模式図を示した。図3では、図2に示した調光層17を用いており、第1位相差領域の遅相軸方位1Aとその上に配置された調光層のうち第1位相差領域と重なる領域の遅相軸方位17Aとのなす角がほぼ同じ(平行)であり、かつ、第2位相差領域の遅相軸方位2Bとその上に配置された調光層のうち第2位相差領域と重なる領域の遅相軸方位17Bが同じ(平行)である。図3のように、パターン光学異方性層とその上に配置された調光層の遅相軸が揃っている(第1位相差領域の遅相軸方位とその上に配置された調光層のうち第1位相差領域と重なる領域の遅相軸方位とのなす角が−10°以上10°以下、かつ、第2位相差領域の遅相軸方位とその上に配置された調光層のうち第2位相差領域と重なる領域の遅相軸方位とのなす角が−10°以上10°以下)場合は、調光層のうち第1位相差領域と重なる領域17aも第2位相差領域と重なる領域17bの色味が同じになりやすく、好ましい。
図16に、パターン光学異方性層の第1位相差領域および第2位相差領域の遅相軸方位と、調光層の遅相軸方位との組み合わせの他の一例を説明するための上面模式図を示した。図16では、図15に示した調光層17を用いており、第1位相差領域の遅相軸方位1Aとその上に配置された調光層のうち第1位相差領域と重なる領域の遅相軸方位17Aとのなす角がほぼ同じ(平行)であるが、第2位相差領域の遅相軸方位2Bとその上に配置された調光層のうち第2位相差領域と重なる領域の遅相軸方位17Bが約90°である。図16のように、パターン光学異方性層と調光層の遅相軸が揃っていない場合は、調光層のうち第1位相差領域と重なる領域17aと第2位相差領域と重なる領域17bの色味が異なることがある。
調光層のパターン光学異方性層との間は、反射防止の観点から空気界面を有さないように直接接触して隣接するか、接着層や粘着材や潤滑剤を介して積層されていることが好ましく、直接接触して隣接することがより好ましい。調光層のパターン光学異方性層との間に空気界面を有する場合は公知の方法で反射防止層を設けるなどして、反射防止することも好ましい。
本発明の積層体は、調光層の少なくとも一方の表面が、パターン光学異方性層の少なくとも1つに直接接触して隣接することが好ましい。
本発明の積層体は、調光層と直接接触して隣接するパターン光学異方性層について、第1位相差領域の遅相軸方位とその上に配置された調光層のうち第1位相差領域と重なる領域の遅相軸方位とのなす角が−10°以上10°以下であることが好ましく、かつ、第2位相差領域の遅相軸方位とその上に隣接する調光層のうち第2位相差領域と重なる領域の遅相軸方位とのなす角が−10°以上10°以下であることが好ましい。調光層と直接接触して隣接するパターン光学異方性層における第1位相差領域の遅相軸方位とその上に配置された調光層のうち第1位相差領域と重なる領域の遅相軸方位とのなす角のより好ましい範囲も、上述の好ましい範囲と同様である。
<用途>
本発明の積層体は、調光性又は遮光性を要求される種々の用途に用いることができる。具体的には、例えば、カメラやVTR、プロジェクター用の撮影レンズやファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズなどの映像分野、CDプレイヤーやDVDプレイヤー、MDプレイヤーなどの光ディスク用ピックアップレンズなどのレンズ分野、CDプレイヤーやDVDプレイヤー、MDプレイヤーなどの光ディスク用の光記録分野、液晶用導光板、偏光板保護フィルムや位相差フィルムなどの液晶ディスプレイ用フィルム、表面保護フィルムなどの情報機器分野、光ファイバ、光スイッチ、光コネクターなどの光通信分野、自動車ヘッドライトやテールランプレンズ、インナーレンズ、計器カバー、サンルーフなどの車両分野、眼鏡やコンタクトレンズ、内視境用レンズ、滅菌処理の必要な医療用品などの医療機器分野、道路透光板、ペアガラス用レンズ、採光窓やカーポート、照明用レンズや照明カバー、部屋の隔壁、建材用サイジングボードなどの建築・建材分野、電子レンジ調理容器(食器)等に好適に用いることができる。また、一般住宅及び集合住宅等の住宅用建物、並びにオフィスビル等の商業用建物等、種々の建物用の窓に利用することができる。また建物のみならず、自動車等の乗り物用の窓に利用することもできる。さらに写真立て、手帳の表紙などの日用品分野にも用いることができる。
これらの中でも本発明の積層体は、窓、部屋の隔壁、写真立て、手帳の表紙、カーポートなどの用途に好ましく用いることができ、窓に特に好ましく用いることができる。
[窓]
本発明の窓は、本発明の積層体を有する。
本発明の積層体はそのまま窓として用いてもよいし、窓用の枠などの他の公知の部材と組み合わせて用いてもよい。本発明の窓は、本発明の積層体の用途に記載した態様で用いるように、公知の方法で適宜変更することができる。
[積層体の製造方法]
本発明の積層体の製造方法は、1対の偏光子の間に少なくとも2枚のパターン光学異方性層を配置する工程と、
1対の偏光子の間に調光層をする配置する工程を含み、
パターン光学異方性層が互いに偏光能が異なる第1位相差領域および第2位相差領域を面内に交互にストライプ状に有し、
調光層の面内方向のレターデーションRe(550)が10nm以上である。
<パターン光学異方性層を配置する工程>
1対の偏光子の間に少なくとも2枚のパターン光学異方性層を配置する工程は特に制限はない。例えば、前述のパターン光学異方性層の製造方法を用いて形成したパターン光学異方性層を用いて、公知の方法で1対の偏光子の間に少なくとも2枚のパターン光学異方性層を配置することができる。
<調光層をする配置する工程>
本発明の積層体の製造方法は、調光層の少なくとも一方の表面がパターン光学異方性層上に直接接触するように調光層を形成することが好ましい。調光層の少なくとも一方の表面がパターン光学異方性層上に直接接触するように調光層を形成する方法としては特に制限はないが、パターン光学異方性層上に調光層の形成用組成物を直接接触させる方法を挙げることができ、パターン光学異方性層上に調光層の形成用塗布液を塗布する方法が好ましい。
さらに、偏光能が異なる第1位相差領域および第2位相差領域が遅相軸方位に応じた配向規制力を有する(例えば、垂直配向した円盤状液晶性化合物が、面内方向にも遅相軸をもって並んでいる)パターン光学異方性層を用い、そのパターン光学異方性層の上に液晶組成物をインクジェット等の印刷をして調光層を形成する方法がより好ましい。この方法により、調光層のうち、パターン光学異方性層の第1位相差領域と重なる領域17Aおよび第2位相差領域と重なる領域17Bの遅相軸方位を、それぞれ第1位相差領域および第2位相差領域の遅相軸方位と「同じ」方向(平行)と同じとなるようにパターン化することができる。
パターン光学異方性層または他の基板上への液晶組成物の適用は、好ましくは打滴により行われる。複数(通常多数)の調光層を基板上に適用する際には、液晶組成物をインクとした印刷を行えばよい。印刷法としては特に限定されず、インクジェット法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法などを用いることができるが、インクジェット法が特に好ましい。調光層の形成も、公知の印刷技術を応用して形成することができる。
パターン光学異方性層または他の基板上に適用後の液晶組成物は必要に応じて乾燥または加熱され、その後硬化されることが好ましい。乾燥または加熱の工程で液晶組成物中の重合性液晶性化合物が配向することが好ましい。加熱を行う場合、加熱温度は、200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。
配向させた液晶性化合物は、更に重合させることが好ましい。重合は、熱重合、光照射による光重合のいずれでもよいが、光重合が好ましい。光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2が好ましく、100mJ/cm2〜1,500mJ/cm2がより好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下または窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。照射紫外線波長は250nm〜430nmが好ましい。重合反応率は安定性の観点から、高いことが好ましく70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
重合反応率は、重合性の官能基の消費割合を、IR吸収スペクトルを用いて決定することができる。
1対の偏光子の間に調光層を配置する工程は、調光層として表示させたい文字や画像の形に調光層用塗布液を塗布することができるマスクを用いてその部分だけに塗布する作製方法を用い、塗布膜を乾燥、紫外線照射して作製する工程であってもよい。
1対の偏光子の間に調光層をする配置する工程は、第1位相差領域と重なる領域の遅相軸方位17Aと第2位相差領域と重なる領域の遅相軸方位17Bが異なるように調光層パターン化するために、調光層をパターン光学異方性層の第1位相差領域の幅と第2位相差領域の幅ごとに切り貼りして、第1位相差領域の遅相軸方位とその上に配置された調光層のうち第1位相差領域と重なる領域の遅相軸方位と、第2位相差領域の遅相軸方位とその上に配置された調光層のうち第2位相差領域と重なる領域の遅相軸方位を揃える工程であってもよい。
これらの中でも1対の偏光子の間に調光層をする配置する工程は、前述の調光層の少なくとも一方の表面がパターン光学異方性層上に直接接触するように調光層を形成する方法であることが、生産性が高い観点から好ましく、その中でも塗布法あるいはインクジェット法を用いる方法がより好ましく、インクジェット法が特に好ましい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
(1)光透過性基板、偏光子および偏光板保護フィルムの準備
<光透過性基板>
光透過性基板としてガラス板を用意した。
<偏光子の作製>
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子を得た。
<偏光板保護フィルムの準備>
市販のセルロースアシレート系フィルム「TD80UL」(富士フイルム社製)を準備し、1.5モル/リットルで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。
その後、0.005モル/リットルで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
(2)パターン配向膜の形成方法
(2)−1 平行配向膜(第一の配向膜)の形成方法
上記偏光板保護フィルムとして用意したTD80ULを支持体として利用した。支持体上にクラレ社製ポリビニルアルコール「PVA103」の4%水/メタノール溶液(PVA−103(4.0g)を、水72g及びメタノール24gに溶解させて調製した。粘度4.35cP(4.35mPa・s)、表面張力44.8dyne/cm(44.8mN/m))を、12番バーで塗布を行い、120℃で2分間乾燥させて、支持体/第一の配向膜の積層体を得た。得られた第一の配向膜の膜厚は、0.9μmであった。この第一の配向膜は平行配向膜として作用する。
(2)−2 直交配向膜(第二の配向膜)の形成方法
下記直交配向膜用の化合物2.646gをトリエチルアミン0.658gとテトラフルオロプロパノール12gに溶解させ、パターン印刷用直交配向膜液1を調製した。
直交配向膜用の化合物(a=40mol%、b=60mol%、数平均分子量Mn=9298、重量平均分子量Mw=24249、Mw/Mn=2.608)
フレキソ版として、図9に記載の寸法の凹凸を有する合成ゴム状フレキソ版を準備した。図10に記載のフレキソ印刷装置50として、フレキシプルーフ100(RK Print Coat Instruments Ltd. UK)を使用した。アニロックスローラ53はセル400線/cm(容積3cm3/m2)を使用した。図9に示すゴム状フレキソ版61をフレキシプルーフ100の圧胴51に感圧テープ(図示せず)をつけて貼り合わせた。印圧ローラー52に、支持体と第一の配向膜の積層体(図10中の符号62)を貼り付けた後、パターン印刷用直交配向膜液1(図10中の符号63)をドクターブレード54に入れ、印刷速度30m/min(アニロックスローラ圧が40、印圧ローラー圧が42、いずれも単位なし)で直交配向膜を第一の配向膜(平行配向膜)の上にパターン印刷した。
得られた直交配向膜(第二の配向膜)の幅は、3mmであった。このようにして、支持体/第一の配向膜/パターン状の第二の配向膜の積層体を得た。
(3)色素部分(ブラックストライプ)の形成方法
第二の配向膜(直交配向膜)の形成と同様の方法にて、黒色染料組成物(大日本精化社製、ハイドリックFCG)をフレキソ印刷した。このとき、形成したブラックストライプの幅は300μmであった。ブラックストライプの長手方向は、直交配向膜の長手方向に対して平行方向となるように印刷した。また、ブラックストライプは第二の配向膜(直交配向膜)と第一の配向膜(平行配向膜)の境界上に印刷した。このようにして、支持体/第一の配向膜/パターン状の第二の配向膜/パターン状のブラックストライプの積層体である、ブラックストライプ付パターン配向膜を得た。
(4)ブラックストライプ付パターン配向膜のラビング処理方法
ブラックストライプの長手方向に対して45°の方向に1往復、1000rpm(round per minute)でラビング処理を行い、ラビング処理したブラックストライプ付パターン配向膜を作製した。
(5)パターン光学異方性層の形成方法
下記組成の円盤状液晶性組成物1の0.35mLを、ラビング処理したブラックストライプ付パターン配向膜の第一の配向膜(平行配向膜)、バラックストライプおよび第二の配向膜(直交配向膜)がパターン状に形成されている表面上に、スピンコート塗布し(2500rpm、10秒間)、90℃で加熱しながらUV照射(10秒間)して硬化させた。その後に、対物10倍、接眼20倍のニコン製偏光顕微鏡(LV100POL)で硬化した塗布膜を確認した。
・円盤状液晶組成物1
下記重合性液晶3/下記重合開始剤2/下記増感剤1/下記ピリジニウム化合物1/下記空気界面配向剤2/下記空気界面配向剤3(=100:3:1:2:0.3:0.5(質量比))の固形分20%MEK(メチルエチルケトン)溶液
前述の偏光顕微鏡による観察の結果、平行配向膜(第一の配向膜)上に第1位相差領域が形成されており、直交配向膜(第二の配向膜)上に第2位相差領域が形成されていた。第1位相差領域および第2位相差領域の幅は3mmであった。第1位相差領域と第2位相差領域の境界部はブラックストライプで遮蔽されているため位相差は観察できなかったが、第1位相差領域、第2位相差領域およびブラックマトリックス上の領域が連続膜の面内に形成されたパターン光学異方性層が得られた。また、ブラックストライプの幅は300μmであった。
第1位相差領域および第2位相差領域の面内遅相軸は第1位相差領域および第2位相差領域(ならびにブラックストライプの長手方向)に対してそれぞれ±45°であり、第1位相差領域の面内遅相軸はその下層の平行配向膜(第一の配向膜)のラビング方向と平行であり、第2位相差領域の面内遅相軸はその下層の直交配向膜(第二の配向膜)のラビング方向と直交する方向であった。パターン光学異方性層の第1位相差領域の遅相軸と第2位相差領域の遅相軸とのなす角度を下記表1に記載した。
パターン光学異方性層に用いた素材である円盤状液晶性化合物(DLCとも言う)の配向方向を、本明細書中に記載の方法で測定したところ、第1位相差領域および第2位相差領域において垂直配向していたことがわかった。得られた結果を、パターン光学異方性層に用いた素材および配向方向として、下記表1に記載した。
第1位相差領域および第2位相差領域の550nmにおける面内方向のレターデーションRe(550)はいずれも137nmであったことを確認した。このようにして、支持体/第一の配向膜/パターン状の第二の配向膜/パターン状のブラックストライプ/パターン光学異方性層の積層体を得た。
(6)調光層の作製方法
下記に示す組成物を、25℃に保温された容器中にて、攪拌、溶解させ、調光層形成液(A)を調製した。
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調光層用塗布液(A)の組成
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・下記の円盤状液晶性化合物−1 80質量部
・下記の円盤状液晶性化合物−2 20質量部
・エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートA−1
5質量部
・光重合開始剤(イルガキュアー907、BASF社製) 4質量部
・下記のピリジニウム塩 2質量部
・下記のフッ素系ポリマーFP1 0.21質量部
・下記のフッ素系ポリマーFP2 0.1質量部
・下記のフッ素系ポリマーFP3 0.05質量部
・メチルエチルケトン 209質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
(円盤状液晶性化合物−1)
(円盤状液晶性化合物−2)
(エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートA−1)
(ピリジニウム塩)
(フッ素系ポリマーFP1)
(フッ素系ポリマーFP2)
(フッ素系ポリマーFP3)
上記の組成の円盤状液晶性化合物(下記表1中にはDLCと記載)を含む調光層用塗布液(A)を上記作製した支持体/第一の配向膜/パターン状の第二の配向膜/パターン状のブラックストライプ/パターン光学異方性層の積層体のパターン光学異方性層上にインクジェットプリンター(DMP−2831、FUJIFILM Dimatix社製)を用いて、表示させたい文字の領域に打滴し、120℃、90秒間乾燥した。
なお、実施例1では下記表1に記載はしていないが、図13に示したとおり調光層のうち表示させたい文字の一部の色を変えたい部分(図13ではFujifilmの「i」の上部)を、別の組成の円盤状液晶性化合物をインクジェットプリンターで打滴して、Re(550)を450nmとした。その後に、紫外線照射装置により、500mJ/cm2の紫外線を80℃にて照射した。
調光層(すなわち液晶性化合物層)の厚さが2μmになるように調節し、調光層を得た。このようにして、支持体/第一の配向膜/パターン状の第二の配向膜/パターン状のブラックストライプ/パターン光学異方性層/調光層の積層体を得た。
調光層のRe(550)を本明細書中に記載の方法で測定したところ、270nmであった。得られた結果を下記表1に記載した。
調光層の素材が円盤状液晶性化合物であることを下記表1にDLCと記載した。
調光層に用いた素材(DLC)の遅相軸方位と配向方向を、本明細書中に記載の方法で測定したところ、調光層のうち第1位相差領域と重なる領域17Aと、第2位相差領域と重なる領域17Bで異なることがわかった(図2参照)。図3に示すとおり、調光層のうち第1位相差領域と重なる領域の遅相軸方位17aはパターン光学異方性層の第1位相差領域1の遅相軸方位1Aとほぼ平行な+45°であり、第1位相差領域と重なる領域17AでDLCは垂直配向していた。調光層のうち第2位相差領域と重なる領域の遅相軸方位17bはパターン光学異方性層の第2位相差領域の遅相軸方位2Aとほぼ平行な−45°であり、第2位相差領域と重なる領域17BでDLCは垂直配向していた。すなわち、調光層形成液(A)を、パターン光学異方性層の上に直接塗布するだけで、第1位相差領域と重なる領域17Aおよび第2位相差領域と重なる領域17Bの遅相軸方位を、それぞれ第1位相差領域および第2位相差領域の遅相軸方位と「同じ」方向(平行)に調節できたことがわかった。得られた結果を、下記表1のパターン光学異方性層と調光層の関係の「遅相軸方向」欄に記載した。
(7)パターン光学異方性層付き偏光板の作製
まず、上記(1)で準備した偏光板保護フィルムと、偏光板保護フィルムと同一のフィルムを支持体として上記(2)〜(5)まで行って作製した支持体/第一の配向膜/パターン状の第二の配向膜/パターン状のブラックストライプ/パターン光学異方性層の積層体とを、上記(1)で作製した偏光子の双方の表面にPVA系接着剤を用いて貼合して、偏光板保護フィルム/偏光子/支持体/第一の配向膜/パターン状の第二の配向膜/パターン状のブラックストライプ/パターン光学異方性層の積層体を作製した。
この上に、粘着材(総研化学社製SK2057)を用いて、上記(1)で準備した光透過性基板(ガラス板)の表面に貼合し、配向膜や粘着材などの部材を一部省略している以外は図1に示す構成と同様のパターン光学異方性層付き偏光板21を作製した。なお、パターン光学異方性層の支持体を偏光子に貼合する際は、偏光子の表面と支持体の裏面とを貼合した。
さらに、パターン光学異方性層付き偏光板の外枠として、パターン光学異方性層の第1位相差領域または第2位相差領域の幅だけスライドさせる操作が可能なスライド機構を有する外枠を3辺に設けた(図12および図13参照)。
(8)パターン光学異方性層および調光層付き偏光板の作製
次に、上記(1)で準備した偏光板保護フィルムと、偏光板保護フィルムと同一のフィルムを支持体として上記(2)〜(6)まで行って作製した支持体/第一の配向膜/パターン状の第二の配向膜/パターン状のブラックストライプ/パターン光学異方性層/調光層の積層体とを、上記(1)で作製した偏光子の双方の表面にPVA系接着剤を用いて貼合して、偏光板保護フィルム/偏光子/支持体/第一の配向膜/パターン状の第二の配向膜/パターン状のブラックストライプ/パターン光学異方性層/調光層の積層体を作製した。このとき、パターン光学異方性層付き偏光板21の偏光子の吸収軸に対して、パターン光学異方性層および調光層付き偏光板22用の偏光子の吸収軸がクロスニコル配置となるようにした。各偏光子の吸収軸の配置を下記表1に記載した。
この上に、粘着材(総研化学社製SK2057)を用いて、上記(1)で準備した光透過性基板(ガラス板)の表面に貼合し、配向膜や粘着材などの部材を一部省略している以外は図1に示す構成と同様のパターン光学異方性層および調光層付き偏光板22を作製した。なお、パターン光学異方性層の支持体を偏光子に貼合する際は、偏光子の表面と支持体の裏面とを貼合した。
(9)実施例1の積層体の作製
得られたパターン光学異方性層付き偏光板21のパターン光学異方性層と、パターン光学異方性層および調光層付き偏光板22の調光層とを、粘着材(総研化学社製SK2057)を用いて貼合し、配向膜や粘着材などの部材を一部省略している以外は図1に示す構成と同様の実施例1の積層体を作製した。後述の評価では便宜上、スライド機構を有するパターン光学異方性層付き偏光板21を視認側に配置して観察したが、本発明の積層体は裏側から観察しても同じ遮光モードおよび透過モードとなる。
パターン光学異方性層および調光層付き偏光板22の調光層は、上述のとおり第1位相差領域と重なる領域17Aおよび第2位相差領域と重なる領域17Bの遅相軸方位を、それぞれ第1位相差領域および第2位相差領域の遅相軸方位と「同じ」方向(平行)であった。一方、スライド機構を有する視認側のパターン光学異方性層付き偏光板21は、遮光モードでは第1位相差領域と重なる領域17Aおよび第2位相差領域と重なる領域17Bの遅相軸方位がそれぞれ第1位相差領域および第2位相差領域の遅相軸方位と90°をなすようにし、透過モードにスライドした場合に第1位相差領域と重なる領域17Aおよび第2位相差領域と重なる領域17Bの遅相軸方位がそれぞれ第1位相差領域および第2位相差領域の遅相軸方位と「同じ」方向(平行)となるようにした。
得られた実施例1の積層体に含まれるパターン光学異方性層の枚数が2枚であることを、下記表1に記載した。
得られた実施例1の積層体では、調光層の一方の表面はパターン光学異方性層および調光層付き偏光板22のパターン光学異方性層と直接隣接しており、調光層の他の一方の表面はパターン光学異方性層付き偏光板21のパターン光学異方性層は粘着材を介して積層されていた。すなわち、調光層の一方の表面はパターン光学異方性層と隣接していることを、下記表1のパターン光学異方性層と調光層の関係の「位置」欄に記載した。
[実施例2]
実施例1において、調光層形成液(A)の円盤状液晶性化合物−1および円盤状液晶性化合物−2の代わりに下記の棒状液晶化合物を含む調光層形成液を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2の積層体を作製した。
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実施例2で用いた調光層用塗布液の組成
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棒状液晶化合物201 83質量部
棒状液晶化合物202 15質量部
棒状液晶化合物203 2質量部
多官能モノマーA−TMMT(新中村化学工業(株)社製 1質量部
重合開始剤IRGACURE819(BASF社製) 4質量部
界面活性剤2 0.05質量部
界面活性剤3 0.01質量部
メチルエチルケトン 165質量部
シクロヘキサノン 10質量部
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棒状液晶化合物201
棒状液晶化合物202
棒状液晶化合物203
界面活性剤2
界面活性剤3
[実施例3]
実施例1において、調光層形成液(A)の円盤状液晶性化合物−1および円盤状液晶性化合物−2の代わりに実施例2と同様の棒状液晶化合物を含む調光層形成液を用い、さらに調光層のRe(550)が下記表1に記載の値となるように調光層厚みを調整した以外は実施例1と同様にして、実施例3の積層体を作製した。
[実施例4]
実施例1において、調光層形成液(A)の円盤状液晶性化合物−1および円盤状液晶性化合物−2の代わりに実施例2と同様の棒状液晶化合物を含む調光層形成液を用い、さらに調光層のRe(550)が下記表1に記載の値となるように調光層厚みを調整した以外は実施例1と同様にして、実施例4の積層体を作製した。
[実施例5]
実施例1において、パターン光学異方性層および調光層付き偏光板の代わりに、以下の方法で作製した位相差フィルムである調光層の表面に実施例1の(5)で作製したパターン光学異方性層付き偏光板を粘着材(総研化学社製SK2057)を介して一体化した部材を用いて、実施例5の積層体を作製した。
<セルロースアシレートフィルムの作製>
(1)−1 ドープ調製
セルロースアシレート溶液Aの調製:
下記セルロースアセテート、添加剤、及び溶媒をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、さらに90℃に約10分間加熱した後、平均孔径34μmのろ紙および平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過した。
なお、添加剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対する質量部で表した。
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セルロースアシレート溶液Aの組成
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・セルロースアセテート(アセチル置換度2.42) 100質量部
・トリフェニルフォスフェート 7.6質量部
・ビフェニルジフェニルフォスフェート 3.8質量部
・メチレンクロライド 320質量部
・メタノール 83質量部
・ブタノール 3質量部
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マット剤分散液Mの調製:
次に上記方法で調製した各セルロースアシレート溶液を含む、下記成分を分散機に投入し、マット剤分散液Mを調製した。
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マット剤分散液Mの組成
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・無機微粒子(アエロジルR972 日本アエロジル株式会社製)
0.2質量部
・メチレンクロライド 72.4質量部
・メタノール 10.8質量部
・各セルロースアシレート溶液 10.3質量部
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調製したセルロースアシレート溶液Aを含む下記の組成物を別のミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、紫外線吸収剤溶液U−1を調製した。
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紫外線吸収剤溶液Uの組成
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・紫外線吸収剤(下記UV−1) 10質量部
・紫外線吸収剤(下記UV−2) 10質量部
・メチレンクロライド 55.7質量部
・メタノール 10質量部
・ブタノール 1.3質量部
・セルロースアシレート溶液A 12.9質量部
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紫外線吸収剤化合物(UV−1)および紫外線吸収剤化合物(UV−2)の詳細を以下に示す。
セルロースアシレート溶液Aを94.6質量部、マット剤分散液Mを1.3質量部とした混合物に、セルロースアシレート100質量部当たり、紫外線吸収剤化合物(UV−1)および紫外線吸収剤化合物(UV−2)がそれぞれ1.0質量部となるように、紫外線吸収剤溶液Uを加え、加熱しながら充分に攪拌して各成分を溶解し、ドープを調製した。
各セルロースアシレート溶液を100質量部、及び上記微粒子分散液を、セルロースアシレートに対して無機微粒子が0.02質量部となる量で混合し、製膜用ドープを調製した。
(1)−2 流延
上述のドープを、バンド流延機を用いて流延した。なお、バンドはステンレス製であった。
(1)−3 乾燥
流延されて得られたウェブ(フィルム)を、バンドから剥離後、パスロールを搬送させ、乾燥温度120℃で20分間乾燥した。なお、ここでいう乾燥温度とは、フィルムの膜面温度のことを意味する。
(1)−4 延伸
得られたウェブ(フィルム)をバンドから剥離し、クリップに挟み、固定端一軸延伸の条件で、テンターを用いてフィルム搬送方向(MD)に直交する方向(TD)に188℃で100%延伸した。
<セルロースアシレートフィルムの鹸化処理>
上記で得られたセルロースアシレートフィルム1を、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、フィルムの片面に下記に示す組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて塗布量14mL/m2で塗布し、110℃に加熱したスチーム式遠赤外ヒーター((株)ノリタケカンパニーリミテド製)の下に10秒間滞留させた。
次いで、同じくバーコーターを用いて、純水を3mL/m2塗布した。
次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に、70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理したセルロースアシレートフィルムを作製した。
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アルカリ溶液の組成
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・水酸化カリウム 4.7質量部
・水 15.7質量部
・イソプロパノール 64.8質量部
・界面活性剤(C1633O(CH2CH2O)10H) 1.0質量部
・プロピレングリコール 14.9質量部
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<配向膜の形成>
上記で得られた鹸化処理したセルロースアシレートフィルムの鹸化処理面に、下記に示す組成の配向膜形成用塗布液を、ワイヤーバーコーターで24mL/m2塗布し、100℃の温風で120秒乾燥した。
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配向膜形成用塗布液の組成
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・下記に示す変性ポリビニルアルコール 28質量部
・クエン酸エステル(AS3、三共化学(株)製) 1.2質量部
・光開始剤(イルガキュア2959、BASF社製) 0.84質量部
・グルタルアルデヒド 2.8質量部
・水 699質量部
・メタノール 226質量部
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(変性ポリビニルアルコール)
<調光層の形成>
上記作製した配向膜に連続的にラビング処理を施した。
このとき、長尺状のフィルムの長手方向と搬送方向は平行であり、フィルム長手方向とラビングローラーの回転軸とのなす角が−45°となるように調節した。
上記実施例1の(6)で調製した調光層塗布液(A)を上記作製した配向膜のラビング処理面の上にワイヤーバーで連続的に塗布した。調光層塗布液(A)の溶媒の乾燥及び円盤状液晶性化合物の配向熟成のために、120℃の温風で90秒間加熱した。
次いで、80℃にてUV照射を行い、円盤状液晶性化合物の配向を固定化した。
調光層(すなわち液晶性化合物層)の厚さが1.9μmになるように調節し、550nmにおけるRe(550)が260nmであるフィルムBを得た。フィルムBのRe(550)は本明細書中に記載の方法で測定して求めた。
フィルムBを表示させたい文字の形に切り抜き、粘着材(総研化学社製 SK2057)を用いて実施例1の(5)で作製したパターン光学異方性層付き偏光板のパターン光学異方性層上に貼合し、調光層の表面にパターン光学異方性層付き偏光板を粘着材を介して一体化した部材を形成した。
[実施例6]
実施例1において、調光層形成液(A)の円盤状液晶性化合物−1および円盤状液晶性化合物−2の代わりに下記の円盤状液晶性化合物を含む調光層形成液を用い、さらに調光層のRe(550)が下記表1に記載の値となるように調光層膜厚を調整した以外は実施例1と同様にして、実施例6の積層体を作製した。
[実施例7]
実施例1において、パターン光学異方性層に用いた円盤状液晶組成物1の代わりに下記の棒状液晶化合物を含む液晶組成物を用い、調光層形成液(A)の円盤状液晶性化合物−1および円盤状液晶性化合物−2の代わりに下記の棒状液晶化合物を含む調光層形成液を用い、さらに調光層のRe(550)が下記表2に記載の値となるように調光層膜厚を調整した以外は実施例1と同様にして、実施例7の積層体を作製した。
[実施例8]
実施例1において、調光層形成液(A)の円盤状液晶性化合物−1および円盤状液晶性化合物−2の代わりに下記の円盤状液晶性化合物を含む調光層形成液を用い、さらに調光層のRe(550)が下記表2に記載の値となるように
調光層膜厚を調整した以外は実施例1と同様にして、実施例8の積層体を作製した。
[実施例9]
実施例1において、パターン光学異方性層の第1位相差領域の遅相軸と第2位相差領域の遅相軸とのなす角度を以下の方法で+25°と−65°に変更し、調光層形成液(A)の円盤状液晶性化合物−1および円盤状液晶性化合物−2の代わりに下記の棒状液晶化合物を含む調光層形成液を用い、さらに調光層のRe(550)が下記表2に記載の値となるように調光層膜厚を調整した以外は実施例1と同様にして、実施例9の積層体を作製した。
パターン光学異方性層の第1位相差領域の遅相軸と第2位相差領域の遅相軸とのなす角度を、以下の方法で+25°と−65°に制御した。
配向膜のラビング処理角度をフィルムの搬送方向に対して絶対値で25°の角度になるようにした以外は実施例1と同様にして制御した。
[実施例10]
実施例1において、各偏光子の吸収軸の配置をクロスニコルからパラニコルに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例10の積層体を作製した。
[実施例11]
実施例5と同様の方法で作製したフィルムBを表示させたい文字の形に切り抜き、粘着材(総研化学社製 SK2057)を用いてガラス基板に貼合した部材を、2枚の実施例1の(5)で作製したパターン光学異方性層付き偏光板で挟み、実施例11の積層体を作製した。
実施例11の積層体は、これらの部材を粘着材で貼り合わせていないために、調光層の一方の表面と一方のパターン光学異方性層との間にはガラス基板および空気界面が存在し、調光層の他の一方の表面ともう一方のパターン光学異方性層との間には空気界面が存在していた。すなわち、調光層の表面とパターン光学異方性層はそれぞれ単独で存在し、隣接していなかった。その旨を下記表2に記載した。
[実施例12]
実施例1において、実施例1の(4)のブラックストライプ付パターン配向膜のラビング処理方法におけるラビング処理方向をブラックストライプの長手方向に対して42°の方向に変更してパターン光学異方性層の第1位相差領域の遅相軸と第2位相差領域の遅相軸とのなす角度を+42°と−48°に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例12の積層体を作製した。
[実施例13]
実施例1において、パターン光学異方性層の第1位相差領域の遅相軸と第2位相差領域の遅相軸とのなす角度を以下の方法で+55°と−35°に変更し、調光層形成液(A)の円盤状液晶性化合物−1および円盤状液晶性化合物−2の代わりに下記の棒状液晶化合物を含む調光層形成液を用い、さらに調光層のRe(550)が下記表3に記載の値となるように調光層厚みを調整した以外は実施例1と同様にして、実施例13の積層体を作製した。
パターン光学異方性層の第1位相差領域の遅相軸と第2位相差領域の遅相軸とのなす角度を、以下の方法で+55°と−35°に制御した。
配向膜のラビング処理角度をフィルムの搬送方向に対して絶対値で55°の角度になるようにした以外は実施例1と同様にして制御した。
[比較例1]
実施例1において、調光層形成液(A)の円盤状液晶性化合物−1および円盤状液晶性化合物−2の代わりに下記の棒状液晶化合物を含む調光層形成液を用い、さらに調光層のRe(550)が下記表3に記載の値となるように調光層厚みを調整した以外は実施例1と同様にして、比較例1の積層体を作製した。
[比較例2]
実施例1において、実施例1の(7)で準備したパターン光学異方性層付き偏光板21のパターン光学異方性層の代わりに、偏光板無しのパターン光学異方性層(実施例1の(1)で準備した偏光板保護フィルムと同一のフィルムを支持体として実施例1の(2)〜(5)まで行って作製した支持体/第一の配向膜/パターン状の第二の配向膜/パターン状のブラックストライプ/パターン光学異方性層の積層体)を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例2の積層体を作製した。
[比較例3]
実施例1において、パターン光学異方性層および調光層付き偏光板の代わりに、実施例1の(5)で作製したパターン光学異方性層付き偏光板のパターン光学異方性層上に表示させたい文字の形に切り抜いた黒紙を粘着材(総研化学社製 SK2057)を用いて貼合した部材を用いて、実施例5の積層体を作製した。
黒紙は、紀州製紙製の色上質紙(黒色、薄口)紙を用いた。
黒紙である調光層のRe(550)を本明細書中に記載の方法で測定したところ、測定不可であった。
[評価]
各実施例の積層体を目視にて外観を観察し、以下の基準で評価した。
<モード変化>
各実施例の積層体の遮光モードおよび透過モードを切り換え、調光層が存在する領域と調光層が存在しない領域の見え方をそれぞれ目視で観察した。
得られた結果を下記表1〜3に記載した。ただし、明確化の目的で、各実施例の積層体の調光層が存在する領域の形状(文字の形状)を、第1位相差領域および第2位相差領域にまたがる星の形状に置き換えて記載した。
<調光層が存在する領域>
(コントラスト)
各実施例および比較例の積層体の調光層が存在する領域の透過率と調光層が存在しない領域の透過率を、自動偏光フィルム測定装置「VAP−7070」(日本分光株式会社)を用いて、測定波長430nmで、遮光モードと透過モードのそれぞれについて測定した。
遮光モードと透過モードのそれぞれについて調光層が存在する領域の透過率と調光層が存在しない領域の透過率のうち、透過率の大きい方の値T大を透過率の小さい方の値T小で割って得られた値T大/T小を以下の基準で評価した。なお、遮光モードと透過モードのそれぞれのT大/T小の値は一致した。
実用上、調光層が存在する領域のコントラストはAA、AまたはBであることが必要であり、AAまたはAであることが好ましく、AAであることがより好ましい。
AA:20≦T大/T小
A:4≦T大/T小<20
B:1.4≦T大/T小<4
C:T大/T小<1.4
得られた結果を下記表1〜3に記載した。
<表示色の均一性>:
各実施例および比較例の積層体の透過モードをガラス越しに目視観察した場合に、調光層が存在する領域の表示色を確認した。得られた結果を以下の基準で評価した。
調光層が存在する領域の表示色の均一性はAであることが好ましい。
A:調光層が存在する領域の表示色が均一に見える。
B:調光層が存在する領域の表示色が部分的に異なる色を呈している。
得られた結果を下記表1〜3に記載した。
<調光層が存在しない領域>
(斜め色味)
各実施例および比較例の積層体の透過モードをガラス越しに基材に対して極角30〜70°、パターン光学異方性相の遅相軸方位を0°とした場合の方位角−45〜45°の範囲の斜め視野から目視観察した場合に、調光層が存在しない領域(パターン光学異方性層のみの部分)の斜め色味を確認した。得られた結果を以下の基準で評価した。
調光層が存在しない領域の斜め色味はAであることが好ましい。
A:ほとんど黄色味付きがない。
B:わずかに黄色味付いている。
得られた結果を下記表1〜3に記載した。
<遮光モード時の光漏れ>
各実施例および比較例の積層体の遮光モード(黒表示)時の調光層が存在しない領域(パターン光学異方性層のみの部分)の光漏れを以下の方法で評価した。
各実施例および比較例の積層体について、1対の偏光板(実施例1では、パターン光学異方性層付き偏光板21、ならびに、パターン光学異方性層および調光層付き偏光板)の2枚を対向させ、上下で重なり合うパターン光学異方性層の各位相差領域の遅相軸が互いに直交になるように配置し、即ち偏光板がほぼ透過していない遮光モード(黒表示)状態に配置した。この遮光モード(黒表示)時の積層体に対し、点光源にて光を入射した際の調光層が存在しない領域の光漏れを評価した。
遮光モード時の光漏れはA、BまたはCであることが好ましく、AまたはBであることがより好ましく、Aであることが特に好ましい。
A:ほとんど光漏れなく良好
B:わずかに光漏れあり、青味がさして見える
C:光漏れあり、全体的に青く見える
D:光を透過していて、全体的に白く見える
得られた結果を下記表1〜3に記載した。
上記表1〜3より、本発明の積層体は、遮光モードおよび透過モードを切り換えた場合に調光層が存在する領域と調光層が存在しない領域の光の透過状態が異なり、かつ、調光層が存在する領域のコントラストが高いことがわかった。各実施例の積層体について、調光層が存在する領域と調光層が存在しない領域の光の透過状態を以下に記載する。
実施例1、2、7、9、10、12では、遮光モードの調光層の透過光はほぼ無色(わずかに液晶に起因する色付きがあり、開口していないことがわかる程度。以下、他の実施例の「ほぼ無色」も同じ。)であり、透過モードの調光層の透過光がほぼ無かった(調光層の透過光に相当する部分が黒色に見える)。ただし、実施例10は1対の偏光子をパラニコルに配置したため、他の実施例と遮光モードと透過モードの初期状態が逆であり、上記表2には説明のため他の実施例の遮光モードと透過モードの初期状態に揃えて記載した。実施例1の積層体の遮光モードの写真を図12に、透過モードの写真を図13にそれぞれ示した。図13より、パターン光学異方性層と調光層の遅相軸が揃っている場合は、透過モードの調光層のうち第1位相差領域と重なる領域も第2位相差領域と重なる領域も文字の見え方が同じであり、いずれも黒く見えることがわかった。
実施例3では、遮光モードおよび透過モードのいずれも調光層の透過光は灰色であった。
実施例4では、遮光モードの調光層の透過光は白色であり(調光層のRe(550)が非常に高いために偏光解消のため白色に色付いていると思われる)、透過モードの調光層の透過光は白色であった(ただし、調光層が存在しない領域のほぼ無色の透過光とは区別できた)。
実施例5および11では、遮光モードの調光層の透過光はほぼ無色であり、透過モードの調光層のうち第1位相差領域と重なる領域(遅相軸方位がパターン光学異方性層の第1位相差領域の遅相軸方位と同じ領域)の透過光がほぼ無かった(調光層の透過光が黒色)が、透過モードの調光層のうち第2位相差領域と重なる領域(遅相軸方位がパターン光学異方性層の第2位相差領域の遅相軸方位と異なる領域)の透過光は赤く色づいて見えた。実施例11の積層体の透過モードの写真を図14に示した。図14より、パターン光学異方性層と調光層の遅相軸が揃っていない場合は、同じ文字の中で黒い部分(透過モードの調光層のうち第1位相差領域と重なる領域)と赤い部分(透過モードの調光層のうち第2位相差領域と重なる領域)ができてしまうことがわかった。
実施例6および8では、遮光モードの調光層の透過光はそれぞれ青色と黄色であり、透過モードの調光層の透過光がほぼ無かった(調光層の透過光に相当する部分が黒色に見える)。
一方、比較例1より、調光層のRe(550)が本発明で規定する下限値を下回る場合、調光層が存在する領域のコントラストが低いことがわかった。なお、比較例1では、遮光モードおよび透過モードのいずれも調光層の透過光は灰色であった。
比較例2より、偏光子の枚数が本発明で規定する下限値を下回る場合、遮光モードおよび透過モードを切り換えられないことがわかった。
比較例3より、調光層として遮光機能を有する黒紙を用いて調光層のRe(550)が本発明で規定する下限値を下回る場合、遮光モードで調光層が存在する領域と調光層が存在しない領域の光の透過状態がほぼ同じとなり、調光層が存在する領域のコントラストが低いことがわかった。なお、比較例3では、遮光モードおよび透過モードのいずれも調光層の透過光が少なかった(調光層の透過光に相当する部分が黒色に見える)。
1 第1位相差領域
1A 第1位相差領域の遅相軸方位
2 第2位相差領域
2A 第2位相差領域の遅相軸方位
3 境界線
4 色素部分(ブラックストライプ)
10 光透過性基板
12 偏光子
14a 偏光板保護フィルム
16 パターン光学異方性層
17 調光層
17a 第1位相差領域と重なる領域
17A 第1位相差領域と重なる領域の遅相軸方位
17b 第2位相差領域と重なる領域
17B 第2位相差領域と重なる領域の遅相軸方位
21 パターン光学異方性層付き偏光板
22 パターン光学異方性層および調光層付き偏光板
31 調光層が存在する領域
32 調光層が存在しない領域
L 各位相差領域の幅(第1位相差領域または第2位相差領域の幅)
L1 境界線の幅

Claims (14)

  1. 1対の偏光子と、
    前記1対の偏光子の間に配置された少なくとも2枚のパターン光学異方性層と、
    前記1対の偏光子の間に配置された調光層とを有し、
    前記パターン光学異方性層が互いに偏光能が異なる第1位相差領域および第2位相差領域を面内に交互にストライプ状に有し、
    前記調光層の面内方向のレターデーションRe(550)が10nm以上である積層体。
  2. 前記パターン光学異方性層のうち少なくとも一層について、
    前記第1位相差領域の遅相軸方位とその上に配置された調光層のうち第1位相差領域と重なる領域の遅相軸方位とのなす角が−10°以上10°以下であり、かつ、
    前記第2位相差領域の遅相軸方位とその上に配置された調光層のうち第2位相差領域と重なる領域の遅相軸方位とのなす角が−10°以上10°以下である請求項1に記載の積層体。
  3. 前記調光層の少なくとも一方の表面が、前記パターン光学異方性層の少なくとも1つに直接接触して隣接する請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記調光層と直接接触して隣接する前記パターン光学異方性層について、
    前記第1位相差領域の遅相軸方位とその上に配置された調光層のうち第1位相差領域と重なる領域の遅相軸方位とのなす角が−10°以上10°以下であり、かつ、
    前記第2位相差領域の遅相軸方位とその上に隣接する調光層のうち第2位相差領域と重なる領域の遅相軸方位とのなす角が−10°以上10°以下である請求項3に記載の積層体。
  5. 前記第1位相差領域の遅相軸と前記第1位相差領域または前記第2位相差領域の長手方向とのなす角度が30°以上60°以下であり、かつ、
    前記第2位相差領域の遅相軸と前記第1位相差領域または前記第2位相差領域の長手方向とのなす角度が−30°以上−60°以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
  6. 前記パターン光学異方性層のうち少なくとも一層について、前記第1位相差領域および前記第2位相差領域の面内方向のレターデーションRe(550)の絶対値が100〜160nmである請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 前記調光層の面内方向のレターデーションRe(550)が100nm以上300nm未満であり、
    前記調光層が白・灰・黒表示をする請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体。
  8. 前記調光層の面内方向のレターデーションRe(550)が300nm以上800nm以下であり、
    前記調光層が任意の色表示をする請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体。
  9. 前記パターン光学異方性層のうち少なくとも一層について、前記第1位相差領域および前記第2位相差領域が円盤状液晶性化合物を垂直配向状態で含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層体。
  10. 前記パターン光学異方性層のうち少なくとも一層について、前記第1位相差領域および前記第2位相差領域が液晶性化合物の重合体を含む請求項1〜9のいずれか一項に記載の積層体。
  11. 前記調光層が液晶性化合物を含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の積層体。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の積層体を有する窓。
  13. 1対の偏光子の間に少なくとも2枚のパターン光学異方性層を配置する工程と、
    前記1対の偏光子の間に調光層をする配置する工程を含み、
    前記パターン光学異方性層が互いに偏光能が異なる第1位相差領域および第2位相差領域を面内に交互にストライプ状に有し、
    前記調光層の面内方向のレターデーションRe(550)が10nm以上である積層体の製造方法。
  14. 前記調光層の少なくとも一方の表面が前記パターン光学異方性層上に直接接触するように前記調光層を形成する請求項13に記載の積層体の製造方法。
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