JP2016223142A - 雪庇防止装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】建物屋上のパラペット8の内側に設置される架台1、架台に立設される一対の支柱2、支柱間に掛け渡される支持軸3、および、支持軸に角度調節可能に取り付けられた融雪機能部を備えた、雪庇防止装置であって、融雪機能部は、(a)建物の外側に向いた融雪面6Xと、(b)パラペット8の上側に間隔を置いて配置される下端面6Yを備えており、融雪面6Xおよび下端面6Yは加熱されており、少なくとも融雪面6Xの裏面には面状発熱体7が設けられている。
【選択図】図1
Description
前記融雪機能部は、(a)前記建物の外側に向いた融雪面と、(b)前記パラペットの上側に間隔を置いて配置される下端面を備えており、前記融雪面および前記下端面は加熱されており、少なくとも前記融雪面の裏面には面状発熱体が設けられている、雪庇防止装置である。
上記の融雪機能部は、鋼板製であることが高熱伝導性、また安価である点で好ましい。また、融雪面の反対側には面状発熱体からの放熱を防ぐため、断熱効果の高い板(背面板)を取り付けることが好ましい。
なお、本発明において下端面とは、融雪機能部において、建物外方に向いた融雪面の下端にあり、融雪面を構成する金属板の下端部の断面、融雪面を取り付ける枠組みの下端部(サッシ部)の面または枠組みに沿って建物内側に折り曲げられて形成された端面をいう。
忍び返し板部および誘導板部には、直径数cmの孔を多数開けることが好ましい。
なお、本発明において曲面とは、凸状に膨らみを有して、平面状よりも表面積が拡大するものであればいずれの曲面をも包含するが、変曲点のない連続した曲面であることが好ましい。
(2)本発明の一態様の雪庇防止装置では、融雪機能部は、支柱間の支持軸に角度可変に取り付けられているために、使用環境に応じて角度調整を行って使用をすることが可能であり、滑雪効果があり、また、角度可変であるために折りたたむことが可能であり、夏季には折りたたんで保存可能である。
(3)本発明の雪庇防止装置の好ましい態様では、融雪面上に太陽電池パネル設けることにより、太陽光発電による電力で融雪面裏面および下端面裏面の面状発熱体を加熱し、融雪することが可能であり、また、夏季には建屋で利用する電力源となる。
(4)本発明の雪庇防止装置の好ましい態様では、融雪面を凸曲面状に形成することにより、ヒーター面積を大きくすることが可能であり、融雪効果をより高くすることができる。また、融雪した水が曲面に沿ってパラペット内側に導かれるのでツララ形成が防がれる。
本発明において用いられる面状発熱体としては、ニクロム線を紙やシート上に配線したもの、輻射発熱体(赤外線)などを用いた面状発熱体、フィルム、シート等の基材上に、通電発熱体としてカーボンブラック等の導電性粒子を添加した塗料、インキ等をコーティング、又は印刷したもの、炭素繊維を必須成分として含む繊維に樹脂を含浸した導電性シート、導電性粒子等がコートされた導電性繊維を含む編織物などが挙げられ、これらはいずれも本発明における融雪面の裏面または下端面裏面に配置される発熱体として用いられるが、なかでも、カーボンナノチューブで被覆された絶縁性繊維(有機繊維)を含む編織物から構成される面状発熱体が、広い面積で均一に発熱し、柔軟性・耐屈曲疲労性に優れる面状発熱体であることから本発明において好ましく用いられる。均一発熱ゆえに、従来のニクロム線などの線状発熱体と比べて対象物へ均一に熱伝導するため、特に融雪用途においては効率的な融雪機能を発揮することが可能である。これらの面状発熱体は単独でまたは2種以上組み合わせてもよい。
電極部は、通電可能な導電材料で形成されており、導電性を有していれば特に限定されず、炭素材やセラミックなどであってもよいが、通常、金属が利用される。金属としては、例えば、タングステンなどの周期表第6A族金属、マンガンなどの周期表第7A族金属、鉄、ニッケル、コバルト、白金などの周期表第8族金属、銅、銀、金などの周期表第1B族金属、亜鉛などの周期表第2B族金属、アルミニウムなどの周期表第3B族金属、スズ、鉛などの周期表第4B族金属、ビスマスなどの周期表第5B族金属などが挙げられる。これらの金属のうち、クロム、ニッケル、銅、銀、金、アルミニウムなどの金属が汎用される。電極部の形状は、発熱部の形状に応じて適宜選択でき、特に限定されないが、通常、矩形状シートである発熱部の両端部に配設されるため、帯状又は線状(繊維状又は棒状)である。電極部のサイズは、発熱部の形状に応じて選択できる。
被覆材としては、疎水性の樹脂(軟質塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレンなど)シート、フォーム、ゴム、金属箔などからなるシート状の被覆材が挙げられる。シート状の被覆材が上記の発熱体を被覆・絶縁して、融雪面部裏面および下端面裏面に取付けられている。
前記面状発熱体は、外部電源に接続されて電力の供給を受けてもよいが、融雪面または下端面の上面に、この面に適合する太陽電池パネルを設置して、前記太陽電池パネルから電力の供給を受けて、面状発熱体を発熱させることができる。なお、夏季には、太陽電池パネルにより発電された電力は、雪庇防止装置が設置されている建物において使用可能である。
また、融雪面(滑雪板)として太陽電池パネルを用いてもよい。この場合、面状発熱体を太陽光パネルの背面に取り付けて、太陽電池パネル表面の雪を融雪することができる。また融雪水が滴り落ちる太陽光パネルのフレーム部分にまで、面状発熱体を配備することにより、滴り落ちる融雪水を0℃以上に保ち、ツララの成長を阻止することができる。
融雪面(好ましくは、鋼板製)は、滑雪効果を高めるために、滑雪塗料で塗装されていることが好ましい。滑雪塗料としては、含フッ素共重合体樹脂を主成分として含む塗料(特許2614825号公報)、オルガノシリケートを主成分として含有する塗料(特開2002−206087号公報)、含フッ素樹脂に水酸基含有シロキサン化合物を加えた塗料(特開2003−292902号公報)などが挙げられる。
また、融雪面は、汚れ防止のために光触媒を含有する塗料で塗装されていることが好ましい。光触媒としては、例えば、TiO2、TiO3、SrTiO3、FeTiO3、WO3、SnO2、BiO2、In2O3、ZnO、Fe2O3、RuO2、CdO、CdS、CdSe、GaP、GaAs、CdFeO3、MoS2、LaRhO3などが挙げられる。好ましくはTiO2である。
さらに、融雪面は、上記の滑雪塗料に上記の光触媒成分を加えた塗料で塗装されることが好ましい。
本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明に係る雪庇防止装置の一例を示す側面図が示され、図2に正面斜視図、
図3に背面斜視図が示されている。
本発明に係る雪庇防止装置は、建物屋上のパラペットの内側に設置される架台(1)、前記架台(1)に立設される一対の支柱(2)、前記支柱間に掛け渡される支持軸(3)および前記支持軸(3)に角度調節可能に取り付けられる融雪機能部を備えており、前記融雪機能部は、通常、建物の外側に向いた凸曲面状の融雪面(6X)、両側面、上端面、下端面(6Y)および背面板(6Z)と、を備えており、凸曲面状の融雪面(6X)と下端面(6Y)の裏面には、面状発熱体(7)(好ましくは、導電性編織物)が取り付けられて、融雪面(6X)と下端面(6Y)を加熱融雪できるように構成されている。また、融雪面(6X)の反対面は背面板(6Z)を設けて閉鎖することにより断熱効果を高めることが可能である。
さらに、好ましくは、パラペット(8)の上面にも発熱体(ヒーター)、好ましくは面状発熱体(8A)が取り付けられて、下端面(6Y)とパラペット(8)上面の両方から積雪を加熱融雪して、ツララが発生しないように構成されている。なお、パラペット上面は、融雪面(6X)から落下する融雪した水をパラペット(8)内側に誘導すべく、建物内部方向に傾斜しているのが好ましい。
また、融雪面の曲面に適合する曲面状太陽電池パネルを設置した場合、夏場に前記のように折りたたむことにより、太陽光パネル面がより太陽に向かうようになるため、より効率的に受光発電することができる。
図1〜3に示す雪庇防止装置において、1ユニット[図3における支柱(2)間]は長さ85cmを有し、凸曲面状融雪面(6X)と下端面(6Y)とを合わせた幅は86cmである。凸曲面状融雪面(6X)の下側の曲面形状を図4に示した。この曲面の裏面に、面状発熱体(「FABHEAT」(幅85cm×長さ85cm、240W、330W/m2);太陽光サポートセンター社製。クラレ社製のカーボンナノチューブを被覆した導電繊維「CNTEC」による織物を用いて作製し、絶縁シートによりシール被覆されている。)を取り付けた。さらに、面状発熱体の上に断熱効果を上げるためにスタイロフォーム1B(厚み20mm, ダウ加工社製)を取り付けた。上記のように構成された雪庇防止装置の下端面とパラペットの上側の面との間隔を約50mmに調節して、雪庇防止装置を設置した。
また、下端面(6Y)の下のパラペット部分(8)にも帯状ヒーター(面状発熱体)(8A)(「FABHEAT」(幅20cm×長さ86cm、57W、330W/m2);太陽光サポートセンター社製、クラレ社製のカーボンナノチューブを被覆した導電繊維「CNTEC」による織物を用いて作製)を配置し、この部分の凍結を防ぐようにした。
評価の結果、積雪時の融雪面の融雪は良好であり、少量の積雪でも順次滑雪し、雪庇の形成には至らなかった。また。融雪面下部の下端面にツララの発生も認められなかった。さらに、パラペット上の凍結も防ぐことができ、融雪した水はパラペット内側の排水経路で良好に排水できた。
実施例1において、凸曲面状融雪面(6X)と下端面(6Y)の裏面に配置する面状発熱体の替わりに、線状のヒーター(CRY−5、250W、幅12mm、長さ5m、東京技術研究所社製)を約15cm間隔で取り付け、さらにその上に断熱効果を上げるためにスタイロフォーム1B(厚み20mm, ダウ加工社製)を取り付ける以外は、同様の仕様とした。
評価の結果、融雪面の加熱が部分的になるため、均一な融雪にならず、部分的に融け残りが発生した。また、融雪面の底部(下端面)も加熱が十分でなく、ツララが発生した。
下端面(6Y)に面状発熱体を設けていないこと以外は、実施例1と同一の雪庇防止装置を用いて雪庇防止実験を行った。下端面に面状発熱体を設けていないため、融雪面裏面に配置された面状発熱体(7)は幅85cm×長さ64cm、180W、330W/m2であった。
評価の結果、下端面(6Y)に面状発熱体が配置されていないため、下端面(6Y)の加熱が不十分であり、ツララが発生した。
実施例1における凸曲面状融雪面(6X)と下端面(6Y)の替わりに幅86cm×長さ75cmの鋼板(平面状;厚み1.6mm)(図5参照)(6X)を取り付け、この裏面に、面状発熱体(「FABHEAT」(幅85cm×長さ75cm、210W、330W/m2);太陽光サポートセンター社製。クラレ社製のカーボンナノチューブを被覆した導電繊維「CNTEC」による織物を用いて作製し、絶縁シートによりシール被覆されている。)(7)を取り付けた(図5参照)。さらに、その上に断熱効果を上げるためにスタイロフォーム1B(厚み20mm, ダウ加工社製)を取り付けた。融雪面裏面の全面に面状発熱体が取り付けられているため、融雪面(6X)裏面の面状発熱体(7)の加熱により下端面(6Y)も加熱されていた。なお、下端面(6Y)は前記鋼板の端面と絶縁シートでカバーされた面状発熱体の端面とから構成されている。
評価の結果、実施例1ほどではないが、積雪は順次滑雪し、雪庇の発生には至らなかった。ツララの発生も認められなかった。
実施例2において、融雪面の鋼板の裏にヒーター(面状発熱体)を取り付けない以外は、同様の仕様とした。
評価の結果、ヒーターによる融雪効果がないため鋼板(融雪面)上に積雪が進み、雪庇の形成が認められた。また鋼板の下端面にツララの発生が認められた。
実施例2における鋼板の替わりに、太陽電池パネル(カナディアンソーラーCS6P-255P)(外形:長さ1638mm×幅982mm)(平面状)を取り付け、この裏面に、面状発熱体(「FABHEAT」(幅85cm×長さ150cm、420W、320W/m2);太陽光サポートセンター社製。クラレ社製のカーボンナノチューブを被覆した導電繊維「CNTEC」による織物を用いて作製し、絶縁シートによりシール被覆されている。)を取り付けて(図6・図7参照)、融雪面(6X)を形成した。さらに、その上に断熱効果を上げるためにスタイロフォーム1B(厚み20mm, ダウ加工社製)を取り付けた。なお、裏面のヒーター(面状発熱体)は、太陽光パネルの下部の該パネルと一体となったアルミフレーム(幅982mm)の下端面6Y(長さ:約3cm)もカバーするように設置した。太陽光パネルの裏面(6X)、アルミフレームの下端面(6Y)およびパラペット面(8A)上の発熱体への電力は、この実施例では外部電力から供給した。
評価の結果、実施例1ほどではないが、積雪は順次滑雪し、雪庇の発生には至らなかった。ツララの発生も認められなかった。
融雪面として太陽光パネルを利用することにより太陽光パネルで発電した電力は、面状発熱体用の電力として,また、夏季には建屋の電力として利用が期待できる。
◎: 少量の積雪の段階で順次滑雪し、雪庇の形成はなかった。
○: 積雪がほぼ順調に滑雪し、雪庇の形成はなかった。または、ツララの発生がなかった。
△: 部分的な融け残りによる雪庇の発生があった。
×: 雪庇の形成が認められた。または、ツララが発生した。
2 支柱
3 支持軸
4 誘導板部
5 忍び返し板部
6X 融雪面
6Y 下端面
6Z 背面板
7 面状発熱体
8 パラペット
8A 面状発熱体
9 滑雪板
9A 滑雪板下端面
10(14) 取付け台
20 垂直板
22 取付けブラケット
24 電気的発熱体
30 水平板
31 回動支持軸部
34 電気的発熱体
37 バランサ(重量バランス部)
Claims (15)
- 建物屋上のパラペットの内側に設置される架台、前記架台に立設される一対の支柱、前記支柱間に掛け渡される支持軸、および、前記支持軸に角度調節可能に取り付けられた融雪機能部を備えた、雪庇防止装置であって、
前記融雪機能部は、(a)前記建物の外側に向いた融雪面と、(b)前記パラペットの上側に間隔を置いて配置される下端面を備えており、前記融雪面および前記下端面は加熱されており、少なくとも前記融雪面の裏面には面状発熱体が設けられている、雪庇防止装置。 - 前記融雪面の上端が前記支持軸に取り付けられて、前記支持軸下方に配置されており、前記支持軸上方には、忍び返し板部が、その下端が角度調節可能に前記支持軸に取り付けられて配置されており、さらに前記忍び返し板部に対して所定の角度で傾斜した平板状の誘導板部が備えられている、請求項1に記載の雪庇防止装置。
- 前記支柱は、建物の内側方向に折り畳み可能である、請求項1または2に記載の雪庇防止装置。
- 前記融雪面が、平面状または凸曲面状の形状を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の雪庇防止装置。
- 前記下端面が、前記融雪面の裏面に設けられた面状発熱体で融雪可能に加熱されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の雪庇防止装置。
- 前記下端面の裏面にも前記面状発熱体が配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の雪庇防止装置。
- 前記融雪機能部の下端面の下にある、前記パラペットに面状発熱体が配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の雪庇防止装置。
- 前記面状発熱体が、導電性繊維を含む面状発熱体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の雪庇防止装置。
- 前記面状発熱体が、絶縁性繊維の表面にカーボンナノチューブを被覆した導電性繊維である、請求項6に記載の雪庇防止装置。
- 前記融雪面の表面に太陽電池パネルが設置されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の雪庇防止装置。
- 前記凸曲面状の融雪面は、下方に向けて膨らみが大きくなる、涙滴型またはとっくり型形状の曲面を有し、該涙滴型またはとっくり型形状の底面が前記下端面を形成している、請求項4に記載の雪庇防止装置。
- 前記下端面は、融雪した水が建物内側に移動するように傾けられている、請求項9に記載の雪庇防止装置。
- 前記融雪面の表面には、滑雪効果を高める塗装が施されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の雪庇防止装置。
- 前記融雪面の表面は、光触媒を含有する塗料により塗装されている、請求項1〜11のいずれか一項記載の雪庇防止装置。
- 前記塗料は、滑雪性を有するとともに、光触媒を含有する塗料である、請求項12に記載の雪庇防止装置。
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