JP2016222573A - 老化防止剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バイオマスを原材料にしながら老化防止剤を工業的生産性に優れた方法で製造する。【解決手段】グルコースを発酵させて得られたイソプロパノールを酸化することによりアセトンを生成する工程、得られたアセトンからアミン系老化防止剤を合成する工程を含むことを特徴とする。【選択図】なし
Description
本発明は、バイオマスを原材料にして老化防止剤を得る製造方法に関する。
空気入りタイヤなどのゴム製品には、老化防止剤が使用される。これら老化防止剤のなかでアミン系老化防止剤は、アセトンやアニリンを原料として合成される。しかしアセトンおよびアニリンは、化石資源を原料として生産されるため、大量の熱や二酸化炭素が排出されるので地球環境への影響が懸念される。
このため特許文献1は、グルコースを微生物によって安息香酸または安息香酸誘導体に変換し得られた安息香酸または安息香酸誘導体からアニリンまたはアニリン誘導体を得ること、アセトンブタノール発酵によりアセトンを得ることを記載する。また特許文献2は、糖類またはバイオエタノールからフェノールを合成し、得られたフェノールからアニリンを合成すること、アセトンブタノール発酵、木酢液やバイオエタノールからアセトンを合成することを提案する。しかし、これらの製造方法は、いずれも天然資源からアニリンおよびアセトンを得るまでの工程数が多く、収率がそれほど高くないため工業的生産性が低いという課題があった。特にアセトンについては生産コストが高く、化石資源を原料として生産されたアセトンを置き換えることが困難であった。
本発明の目的は、バイオマスを原材料にしながら老化防止剤を工業的生産性に優れた方法で製造することにある。
上記目的を達成する本発明の老化防止剤の製造方法は、グルコースを発酵させて得られたイソプロパノールを酸化することによりアセトンを生成する工程、得られたアセトンからアミン系老化防止剤を合成する工程を含むことを特徴とする。
本発明の老化防止剤の製造方法は、グルコースを発酵させて得られたイソプロパノールを酸化することによりアセトンを高い収率で効率的に得ることができる。またアセトンを得るまでの工程数が少なく、合成に要する熱エネルギーも少ないため工業的生産性に優れるため生産コストを大幅に抑制することができる。このアセトンを用いてアミン系老化防止剤を製造することにより、バイオマスを原料にしながら生産コストを大幅に抑制したタイヤ用ゴム薬品を得ることができる。
上述したアセトンと、植物から得られたアニリンを反応させてアミン系老化防止剤を合成するができる。アミン系老化防止剤としては、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミンを例示することができる。
前記アセトンからメチルイソブチルケトンを合成する工程、得られたメチルイソブチルケトンからアミン系老化防止剤を合成することができる。このアミン系老化防止剤としては、N−フェニル−N′−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミンを例示することができる。
本発明の老化防止剤の製造方法は、グルコースを発酵させて得られたイソプロパノールを酸化することによりアセトンを生成する。グルコースとしては、植物系原料に酸を加え加水分解あるいは加圧熱水処理することにより得られたグルコースを用いることができる。また植物系原料としては、バイオマス材料に使用される通常の植物の他、食用作物の可食部分以外の部分(茎、根、木部)、稲わら、麦わら、もみ殻、雑草、木材や廃木材、等を例示することができる。
本発明において、グルコースを発酵させることによりイソプロパノールを生成する。グルコースを発酵させてイソプロパノールを得る方法は特に限定されるものではない。例えばバイオエタノールに発酵させたときに副生するイソプロパノールを用いることができる。あるいは大腸菌等を遺伝子工学的手法によって改変しイソプロパノールを代謝する経路を導入した微生物を用いることによりグルコースを発酵させてイソプロパノールを得ることができる。具体的に遺伝子組み換え技術によりイソプロパノール生合成酵素遺伝子群を導入した大腸菌を代謝改変することにより、イソプロパノールをグルコースから効率よく生産することが報告されている。このイソプロパノールの生産性は、48時間で発酵液1L当たりイソプロパノール113gであり、バイオエタノール発酵量と同等レベルの高い生産性が得られている。
本発明の製造方法では、グルコースを発酵させて得られたイソプロパノールを酸化することによりアセトンを生成する工程を含む。イソプロパノールを酸化する方法は、特に制限されるものではないが、例えばチタン、ジルコニウム、ハフニウム等から選ばれる金属の酸化物および酸化亜鉛を共沈法で調製した複合酸化物によりイソプロパノールを酸化することができる。さらにクロム酸酸化やジメチルスルホキシドを使用して酸化(スワーン酸化)する方法や、銅やアルミニウム等のその他の金属酸化物や有機金属錯体を触媒として加え、酸化剤として酸素や過酸化水素を用いる方法等により、イソプロパノールを酸化させてアセトンを得ることができる。なかでもイソプロパノールからアセトンを合成する方法として、工業的にも確立されているIPA法を用いる方法が好ましい。この合成方法により、アセトンの生産性をより高くすることができる。
IPA法について、以下に記述する。蒸留したイソプロピルアルコールを気化させて、反応器に送り、脱水素させる。その後、水素をスクラッパーで分離し、トッピング塔で水を除去し、蒸留塔などの設備で精製することで実施する。酸化反応時の圧力は、1〜5MPa、より好ましくは2〜4MPaにすることができる。さらに酸化反応を行う時間は好ましくは0.1〜10時間、より好ましくは0.2〜5時間にすることができる。イソプロパノールを酸化する反応装置は、特に制限されるものではなく、バッチ式、連続式のいずれでもよい。
このようにイソプロパノールからアセトンを合成する方法は、バイオマスからアセトンを合成する他の方法(例えばアセトンブタノール発酵法、エタノール発酵からのアセトン変換方法等)に比べ、工程数が少なくしかも室温等の温和な条件でエネルギーコストを少なくしてアセトンを合成することができる。しかもアセトンの収率が高いことに加え、原料や副生成物から分離回収するのにかかる設備、労力やコストも他の方法に比べ大幅に小さくすることができる。本発明の製造方法により得られるアセトンは、バイオマスを原材料にしながら、通常、化石資源を使用して製造されたアセトンを代替し得る生産性を有する。
本発明の老化防止剤の製造方法は、アセトンからメチルイソブチルケトンを合成する工程を含むことができる。アセトンからメチルイソブチルケトンを合成する方法としては、例えば2分子のアセトンをアルドール反応させることによりジアセトンアルコールを生成する。このジアセトンアルコールは容易に脱水されてメシチルオキシドになる。このメシチルオキシドを水素化することによりメチルイソブチルケトンが合成される。なお水素化には、パラジウム、金、白金等の貴金属を共存させるとよい。アセトンからメチルイソブチルケトンを合成する方法は、上記の例に限定されるものではない。
得られたメチルイソブチルケトンは、バイオマスでありながら生産性に優れたアセトンを原料にしているため、生産コストを抑制することができる。このメチルイソブチルケトンも、化石資源を使用して製造されたメチルイソブチルケトンを代替し得る生産性を有する。
上記で得られたアセトンおよびメチルイソブチルケトンは、種々の工業化学品を製造するのに使用することができる。本発明では、アセトンおよびメチルイソブチルケトンを原料にしてアミン系老化防止剤を製造する。アミン系老化防止剤としては、キノリン系、アルキルアリール−p−フェニレンジアミン系の各種老化防止剤を挙げることができる。これらアミン系老化防止剤は、アニリン、およびアセトンまたはメチルイソブチルケトンを用いて通常の方法で合成することができる。
キノリン系老化防止剤は、例えば2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物(RD)、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン(AW)等を挙げることができる。
アルキルアリール−p−フェニレンジアミン系老化防止剤は、例えばN−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(3PPD)、N−フェニル−N′−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD)等を挙げることができる。
本発明の製造方法は、アミン系老化防止剤の原料となる他の化合物についても植物系資源から得られるものを使用するとよい。とりわけアニリンは、植物から抽出されたインジゴを原料にして合成することができる。インジゴからアニリンを合成する方法としては、インジゴを無溶媒で熱分解することによりアニリンを合成する方法、およびインジゴを加水分解して2−アミノ安息香酸を生成しこれを脱炭酸することによりアニリンを合成する方法を挙げることができる。これらの方法でインジゴから合成されたアニリンは、高い収率で容易に製造することができ生産性が優れる。この植物系資源由来のアニリンは、化石資源を使用して製造されたアニリンを代替し得る。
インジゴは、青藍の染料であり、体系名をΔ2,2’(3H,3’H)―ビ[1H−インドール]−3,3’―ジオンという。インジゴは、種々の植物に含有されており、例えば蓼藍(タデ科)、インド藍(マメ科)、琉球藍(キツネノマゴ科)、蝦夷藍(アブラナ科)、山藍(トウダイグサ科)、大青(ウォード、アブラナ科)等(以下、「藍植物」ということがある。)に多く含まれている。これら藍植物から抽出したインジゴを使用することができる。インジゴを抽出する方法は特に制限されるものではなく、藍植物から水溶性のインジカンを抽出して取り出し、このインジカンを加水分解してインドキシルを生成する。この加水分解のときインジカン分解酵素を添加することもできる。得られたインドキシルの2分子が酸化し酸素と結合することによりインジゴが得られる。インジゴは、室温で粉末状の形態である。
本発明の第1のアニリンの製造方法は、植物から抽出されたインジゴを無溶媒で熱分解することによりアニリンに変換するものである。インジゴを無溶媒で熱分解することにより、アニリンの化学純度を高く、かつ収率を高くすることができ、分離回収にかかるコストを低減することができる。すなわち粉末状のインジゴを無溶媒で熱分解することにより、アニリンが気体状態または液体状態で生成するので、これを回収し適宜、分離することができる。例えばインジゴを無溶媒で400℃で熱分解すると、アニリンが約29%生成する。これらの収率は、インジゴをアルカリ水溶液中で400℃で熱分解したときのアニリンの収率(約3%)やインジゴをジメチルスルホキシド中で400℃で熱分解したときのアニリンの収率(約2%)と比べ大幅に高いものである。
インジゴを熱分解する温度は、好ましくは320〜430℃、より好ましくは350℃〜400℃にすることができる。インジゴの熱分解温度が320℃より低いと分解量が少量になる。またインジゴの熱分解温度が430℃より高いと副生する化合物が多くなり、アニリンの収率が低くなる。なおインジゴは、無溶媒の状態で、かつ不活性ガスの雰囲気中で熱分解することによりアニリンの収率をより高くすることができる。
インジゴを熱分解する装置は、粉末状のインジゴを所定の温度で加熱し、生成したアニリンを回収することが可能であれば特に制限されるものではなく、バッチ式、連続式のいずれでもよい。インジゴを熱分解する装置として、例えば窒素雰囲気環状炉、窒素雰囲気バッチ炉等を挙げることができる。
本発明の第2のアニリンの製造方法は、植物から抽出されたインジゴを加水分解して2−アミノ安息香酸を生成しこれを脱炭酸することによりアニリンを合成する方法である。加水分解の条件は、特に限定されるものではないが、好ましくは40〜80℃、より好ましくは50〜70℃で加水分解することができる。インジゴはこのような温和な条件で効率的に2−アミノ安息香酸に加水分解することができる。インジゴは水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液中で加水分解することもできる。使用するアルカリ水の性状は、特に限定されるものではないが、pHが好ましくは8〜14、より好ましくはpH10〜12であるとよい。アルカリの種類としては、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等を例示することができる。
次に得られた2−アミノ安息香酸を脱炭酸することによりアニリンを得ることができる。2−アミノ安息香酸を脱炭酸する条件は、特に限定されるものではないが、好ましくは酢酸、硫酸などの酸等の存在下、或いは酸等の不存在下で、好ましくは室温〜200℃、より好ましくは50〜150℃で脱炭酸することができる。また脱炭酸するときの圧力は、好ましくは大気圧〜2.0MPa(ゲージ圧)にするとよい。さらに脱炭酸する時間は、好ましくは0.5〜24時間、より好ましくは0.5〜10時間にすることができる。上述した条件で2−アミノ安息香酸を脱炭酸することにより、アニリンの収率をより高くすることができる。
インジゴを加水分解する装置や2−アミノ安息香酸の脱炭酸に使用する装置は、特に制限されるものではなく、各操作に通常用いられる装置を使用することができる。
本発明の製造方法では、バイオマスのグルコースから得られたアセトンおよび植物から得られたアニリンを反応させてアミン系老化防止剤を合成する工程を含む。例えばアニリンを出発原料にしてN−フェニル−p−フェニレンジアミンを合成し、このN−フェニル−p−フェニレンジアミンにアセトンを反応させることにより、N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(3PPD)を合成することができる。またアセトンおよびアニリンを出発原料にして2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体を合成することができる。
本発明の製造方法において、バイオマスのグルコースから得られたアセトンから合成したメチルイソブチルケトンと、植物から得られたアニリンを反応させてアミン系老化防止剤を合成する工程を含む。例えばアニリンを出発原料にしてN−フェニル−p−フェニレンジアミンを合成し、このN−フェニル−p−フェニレンジアミンにメチルイソブチルケトンを反応させることにより、N−フェニル−N′−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD)を合成することができる。
本発明の製造方法により得られた老化防止剤は、通常のゴム製品、特に空気入りタイヤやコンベアベルトの配合剤として好適に使用することができる。
空気入りタイヤやコンベアベルトを構成するゴム組成物には、ゴム成分、カーボンブラック、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤からなる基本配合に、シリカ、クレー、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機充填剤、シランカップリング剤、プロセスオイル、軟化剤、加硫促進助剤などの通常、用いられる配合剤を適宜配合することができる。
ゴム組成物として、加硫系配合剤を除く配合剤およびゴム成分をバンバリーミキサー、オープンロールなどのゴム混練機を用いて混練した後、冷却してから加硫系配合剤を混合することにより未加硫ゴム組成物が調製される。得られた未加硫ゴム組成物を、空気入りタイヤの各部品の形状に合わせて押出し成形し、タイヤ成型機上にてグリーンタイヤを形成する。さらに、このグリーンタイヤを加硫機中で加硫成形することにより空気入りタイヤが製造される。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
<グルコースからイソプロパノールの生成>
グルコースを出発原料にし、例えば、特許第5568562号、特許第5628288号に例示されるような大腸菌を使って発酵することにより、培養開始から48時間後、蒸留精製し、イソプロパノールを得た。イソプロピルアルコールイソプロパノールの収率は、グルコースに対し48%であった。
<グルコースからイソプロパノールの生成>
グルコースを出発原料にし、例えば、特許第5568562号、特許第5628288号に例示されるような大腸菌を使って発酵することにより、培養開始から48時間後、蒸留精製し、イソプロパノールを得た。イソプロピルアルコールイソプロパノールの収率は、グルコースに対し48%であった。
<イソプロパノールからアセトンの合成>
上記で得られたイソプロパノールに過酸化水素水を滴下しながら、酸化させた。イソプロパノールからアセトンへの変換収率は95%以上であった。またグルコースに対する発酵製造量は100〜120g/Lであった。
上記で得られたイソプロパノールに過酸化水素水を滴下しながら、酸化させた。イソプロパノールからアセトンへの変換収率は95%以上であった。またグルコースに対する発酵製造量は100〜120g/Lであった。
<アセトンからメチルイソブチルケトンの合成>
上記で得られたアセトンを塩基または酸触媒を使用し、例えば、工業的には水酸化ナトリウムを使用して、室温の条件で2分子でアルドール縮合反応させることにより容易にジアセトンアルコールを生成した(収率100%)。得られたジアセトンアルコールをヨウ素を触媒として還流させることにより、脱水してメシチルオキシドを生成した(収率91%)。その後、得られたメシチルオキシドをパラジウムの存在下、室温〜50℃の条件で水素化することによりメチルイソブチルケトンを合成した(収率99%)。
上記で得られたアセトンを塩基または酸触媒を使用し、例えば、工業的には水酸化ナトリウムを使用して、室温の条件で2分子でアルドール縮合反応させることにより容易にジアセトンアルコールを生成した(収率100%)。得られたジアセトンアルコールをヨウ素を触媒として還流させることにより、脱水してメシチルオキシドを生成した(収率91%)。その後、得られたメシチルオキシドをパラジウムの存在下、室温〜50℃の条件で水素化することによりメチルイソブチルケトンを合成した(収率99%)。
<藍からインジゴの抽出>
藍(インド藍)から刈取った葉を水で洗った後、80℃の熱湯で煮だした後、ミキサーにかけてろ過を行った。この液に水酸化ナトリウムを加え、0.1N規定のアルカリ溶液中に調整した。この操作で、葉の中のインジカンからインドキシルに加水分解する。この液を2日間空気にさらすことでゆるやかに酸化が行われる。さらに、ろ過を行い、24時間乾燥することにより、粉末状のインジゴを得た。このインジゴの純度は、91%であった。
藍(インド藍)から刈取った葉を水で洗った後、80℃の熱湯で煮だした後、ミキサーにかけてろ過を行った。この液に水酸化ナトリウムを加え、0.1N規定のアルカリ溶液中に調整した。この操作で、葉の中のインジカンからインドキシルに加水分解する。この液を2日間空気にさらすことでゆるやかに酸化が行われる。さらに、ろ過を行い、24時間乾燥することにより、粉末状のインジゴを得た。このインジゴの純度は、91%であった。
<インジゴからアニリンの合成>
熱分解装置として排ガス管の途中に冷却トラップが接続されている窒素雰囲気バッチ炉を使用した。
熱分解装置に、インジゴ5gをセットし、雰囲気を窒素で置換した。
雰囲気温度を400℃まで20分かけて昇温し、20分間その温度を保つことにより、インジゴを熱分解した。インジゴを無溶媒で400℃で熱分解し、排出ガスを冷却することにより、アニリン1.6g(収率32%)が合成された。
熱分解装置として排ガス管の途中に冷却トラップが接続されている窒素雰囲気バッチ炉を使用した。
熱分解装置に、インジゴ5gをセットし、雰囲気を窒素で置換した。
雰囲気温度を400℃まで20分かけて昇温し、20分間その温度を保つことにより、インジゴを熱分解した。インジゴを無溶媒で400℃で熱分解し、排出ガスを冷却することにより、アニリン1.6g(収率32%)が合成された。
<アセトンおよびアニリンから老化防止剤の合成>
上記で得られたアニリンから、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンを合成した。アセトン導入装置、蒸留装置、温度計および攪拌機を備えたフラスコに、アニリン93gと、塩酸3.6gを加え、120℃まで加熱した。120℃に保温しながら、6時間にわたりアセトン174gをフラスコ内に連続的に供給した。留出する未反応のアセトンやアニリンは、随時フラスコ内に戻した。2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物81g(収率約30%)を得た。重合度は2〜3であった。なお、未反応のアニリン、および2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンのモノマーは、減圧蒸留により回収した。140℃で未反応のアニリンが留出し、その後190℃まで昇温することにより、モノマーが留出した。
上記で得られたアニリンから、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンを合成した。アセトン導入装置、蒸留装置、温度計および攪拌機を備えたフラスコに、アニリン93gと、塩酸3.6gを加え、120℃まで加熱した。120℃に保温しながら、6時間にわたりアセトン174gをフラスコ内に連続的に供給した。留出する未反応のアセトンやアニリンは、随時フラスコ内に戻した。2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物81g(収率約30%)を得た。重合度は2〜3であった。なお、未反応のアニリン、および2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンのモノマーは、減圧蒸留により回収した。140℃で未反応のアニリンが留出し、その後190℃まで昇温することにより、モノマーが留出した。
<メチルイソブチルケトンおよびアニリンから老化防止剤の合成>
上記で得られたメチルイソブチルケトンおよびアニリンから、N−フェニル−N′−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD)を合成した。
上記の方法で得たアニリン、とアニリンをタングステン触媒を用いて過酸化水素水で酸化することによりニトロベンゼンを準備した。溶媒はt-ブタノールを用いて合成した。また、ニトロベンゼンは特許第3755955号等に記載のバイオ由来のベンゼンを硝酸と硫酸を用いてニトロ化することによって合成しても良い。
25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAOH)187gを、温度55℃、圧力75mbarで蒸留濃縮して、35%溶液を得た。上記バイオマス由来アニリン5gに水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液に添加した後、温度80℃、圧力0.0090MPaで溜去した。この液にニトロベンゼン4.5gを加え、3時間撹拌した。この間、水/アニリン共沸混合物の蒸留を継続した。Ni触媒10mgを、この粗混合液に添加した。次に、温度80℃において、水素を用いて圧力を0.6MPaにして、そして反応混合液を、水素のさらなる吸収が認められなくなるまで撹拌した。これにトルエン10mlを添加し、触媒を濾別し、有機相と水相を分液ロートにて分離した。硫酸マグネシウムで脱水した後精製することにより、4−アミノジフェニルアミンを98%の収率で得た。
その後、オートクレーブに、得られた4−アミノジフェニルアミンとメチルイソブチルケトンを白金触媒及び活性炭を入れ、水素雰囲気下とした後、槽内を200℃にした。次いで、水素を加圧して、1時間反応を行った。
常圧、室温まで槽内を戻して、アセトンで濾下することにより、活性炭および触媒を除去し、4−(1,3−ジメチルブチルアミノ)ジフェニルアミンを95%の収率で得た。
上記で得られたメチルイソブチルケトンおよびアニリンから、N−フェニル−N′−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD)を合成した。
上記の方法で得たアニリン、とアニリンをタングステン触媒を用いて過酸化水素水で酸化することによりニトロベンゼンを準備した。溶媒はt-ブタノールを用いて合成した。また、ニトロベンゼンは特許第3755955号等に記載のバイオ由来のベンゼンを硝酸と硫酸を用いてニトロ化することによって合成しても良い。
25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAOH)187gを、温度55℃、圧力75mbarで蒸留濃縮して、35%溶液を得た。上記バイオマス由来アニリン5gに水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液に添加した後、温度80℃、圧力0.0090MPaで溜去した。この液にニトロベンゼン4.5gを加え、3時間撹拌した。この間、水/アニリン共沸混合物の蒸留を継続した。Ni触媒10mgを、この粗混合液に添加した。次に、温度80℃において、水素を用いて圧力を0.6MPaにして、そして反応混合液を、水素のさらなる吸収が認められなくなるまで撹拌した。これにトルエン10mlを添加し、触媒を濾別し、有機相と水相を分液ロートにて分離した。硫酸マグネシウムで脱水した後精製することにより、4−アミノジフェニルアミンを98%の収率で得た。
その後、オートクレーブに、得られた4−アミノジフェニルアミンとメチルイソブチルケトンを白金触媒及び活性炭を入れ、水素雰囲気下とした後、槽内を200℃にした。次いで、水素を加圧して、1時間反応を行った。
常圧、室温まで槽内を戻して、アセトンで濾下することにより、活性炭および触媒を除去し、4−(1,3−ジメチルブチルアミノ)ジフェニルアミンを95%の収率で得た。
比較例1
グルコースを原料にして、Clostridium acetobutylicum菌を用いて、アセトンブタノール発酵を室温(30℃)で、嫌気性条件にて、48時間行った。培地および培養条件は、ブタノール発酵の分野で公知のものを使用した。振盪速度は300rpmで実施した。得られたアセトンの発酵製造量は2〜3g/Lと少なかった。またアセトンを利用するには、副生成物が多いため反応溶液を複数回蒸留してアセトンを分離、回収しなければならない。
グルコースを原料にして、Clostridium acetobutylicum菌を用いて、アセトンブタノール発酵を室温(30℃)で、嫌気性条件にて、48時間行った。培地および培養条件は、ブタノール発酵の分野で公知のものを使用した。振盪速度は300rpmで実施した。得られたアセトンの発酵製造量は2〜3g/Lと少なかった。またアセトンを利用するには、副生成物が多いため反応溶液を複数回蒸留してアセトンを分離、回収しなければならない。
比較例2
グルコースを原料にし酵母を加えたエタノール発酵によりエタノールを生成した。エタノールの収率は、グルコースに対し45%であった。得られたエタノールを原料にして
脱水してエチレン、その後、Niおよびタングステン触媒を利用してプロピレンに変換することが出来た(収率は最大75%)。このプロピレンに濃硫酸を反応させてイソプロパノールが得られる。イソプロパノールから上記と同様に酸化して、アセトンを得ることができる。エタノールからアセトンへの変換収率はトータルで50%で、最大温度は200℃、変換工程数が5と多かった。得られたアセトンの発酵製造量は100〜120g/Lであった。またアセトンを利用するには、副生成物があるため反応溶液を複数回蒸留してアセトンを分離、回収しなければならない。
グルコースを原料にし酵母を加えたエタノール発酵によりエタノールを生成した。エタノールの収率は、グルコースに対し45%であった。得られたエタノールを原料にして
脱水してエチレン、その後、Niおよびタングステン触媒を利用してプロピレンに変換することが出来た(収率は最大75%)。このプロピレンに濃硫酸を反応させてイソプロパノールが得られる。イソプロパノールから上記と同様に酸化して、アセトンを得ることができる。エタノールからアセトンへの変換収率はトータルで50%で、最大温度は200℃、変換工程数が5と多かった。得られたアセトンの発酵製造量は100〜120g/Lであった。またアセトンを利用するには、副生成物があるため反応溶液を複数回蒸留してアセトンを分離、回収しなければならない。
比較例3
グルコースを原料にしエタノール発酵によりエタノールを生成した。エタノールの収率は、グルコースに対し45%であった。得られたエタノールを原料にして
Zr−Fe触媒の存在下で500℃以上に加熱することでアセトンへの変換反応を行った。温度条件や触媒量を変更したが、エタノールからアセトンへの変換収率は最大80%で、変換工程数は1であった。得られたアセトンの発酵製造量は100〜120g/Lであった。またアセトンを利用するには、副生成物があるため反応溶液を蒸留してアセトンを分離、回収しなければならない。
グルコースを原料にしエタノール発酵によりエタノールを生成した。エタノールの収率は、グルコースに対し45%であった。得られたエタノールを原料にして
Zr−Fe触媒の存在下で500℃以上に加熱することでアセトンへの変換反応を行った。温度条件や触媒量を変更したが、エタノールからアセトンへの変換収率は最大80%で、変換工程数は1であった。得られたアセトンの発酵製造量は100〜120g/Lであった。またアセトンを利用するには、副生成物があるため反応溶液を蒸留してアセトンを分離、回収しなければならない。
比較例4
木酢液からクロマトグラムを用いて500℃でアセトンを分離、回収した。木酢液100%に対するアセトンの回収率は0.1%以下であった。
木酢液からクロマトグラムを用いて500℃でアセトンを分離、回収した。木酢液100%に対するアセトンの回収率は0.1%以下であった。
Claims (5)
- グルコースを発酵させて得られたイソプロパノールを酸化することによりアセトンを生成する工程、得られたアセトンからアミン系老化防止剤を合成する工程を含むことを特徴とする老化防止剤の製造方法。
- 前記アセトンおよび植物から得られたアニリンを反応させてアミン系老化防止剤を合成する工程を含むことを特徴する請求項1に記載の老化防止剤の製造方法。
- 前記アミン系老化防止剤が、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体またはN−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミンであることを特徴する請求項1または2に記載の老化防止剤の製造方法。
- 前記アセトンからメチルイソブチルケトンを合成する工程、得られたメチルイソブチルケトンからアミン系老化防止剤を合成する工程を含むことを特徴する請求項1または2に記載の老化防止剤の製造方法。
- 前記アミン系老化防止剤が、N−フェニル−N′−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミンであることを特徴する請求項4に記載の老化防止剤の製造方法。
Priority Applications (2)
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JP2015109472A JP2016222573A (ja) | 2015-05-29 | 2015-05-29 | 老化防止剤の製造方法 |
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Applications Claiming Priority (1)
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2015
- 2015-05-29 JP JP2015109472A patent/JP2016222573A/ja active Pending
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