JP2016222520A - 太陽電池用シリコン単結晶インゴット、およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸素析出物が少ないことにより、ライフタイムが高く、太陽電池用として優れた変換効率のウェハが切り出せるとともに、ウェハ切り出しに際して割れや欠けが生じ難い加工性の良好さを両立して備えるシリコン単結晶インゴットの提供。
【解決手段】インゴット7の直胴部において、透過型電子顕微鏡により測定した、直径又は最大対角長が0.5nm以上の酸素析出物の存在量が1×1014個/cm3以下あり、且つ直径又は最大対角長が0.3〜0.5nm未満の酸素析出物の存在量が1×1014個/cm3以上であり、好適には結晶中に溶解する酸素濃度が、12.0×1017〜20.0×1017atoms/cm3である、太陽電池用シリコン単結晶インゴット7。
【選択図】図1
【解決手段】インゴット7の直胴部において、透過型電子顕微鏡により測定した、直径又は最大対角長が0.5nm以上の酸素析出物の存在量が1×1014個/cm3以下あり、且つ直径又は最大対角長が0.3〜0.5nm未満の酸素析出物の存在量が1×1014個/cm3以上であり、好適には結晶中に溶解する酸素濃度が、12.0×1017〜20.0×1017atoms/cm3である、太陽電池用シリコン単結晶インゴット7。
【選択図】図1
Description
本発明は、太陽電池用シリコン単結晶インゴット、即ち、太陽電池用のシリコンウェハを切り出すためのシリコン単結晶インゴット、およびその製造方法に関する。
太陽電池用ウェハ材料として、高い変換効率が安定的に得易いことから、シリコン単結晶体が広く利用されている。ここで、シリコン単結晶製ウェハの製造方法としては、ルツボ中にシリコン融液を収容し、当該シリコン融液にシリコン種結晶を接触させて単結晶体を引上げ(CZ法;チョクラルスキー法)、得られたシリコン単結晶インゴットからウェハを切り出す方法が一般的である。
こうした太陽電池用シリコン単結晶ウェハに求められる性能の一つに、少数キャリアバルライフタイム(以下、「LT」と表記する)の高さがある。即ち、LTとは、例えばn型シリコン単結晶体に光、熱電気等のエネルギを加えることにより、発生した正孔(少数キャリア)が再結合するまでの時間を意味する。詳述すれば、シリコン単結晶体の表面の一部にArレーザを照射すると、そのレーザ光のエネルギによって、シリコンの価電子帯から伝導帯に電子が励起され正孔−電子対が生成される。この少数キャリアである正孔は10−3〜10-6秒程度の時間を経て電子と再結合して消滅する。この少数キャリア濃度が生成時の1/eに減少するまでの時間が再結合LTになる。この場合、結晶欠陥はバンドギャップ中に準位を形成し、少数キャリアが束縛され易くなるため再結合が容易である。この結果、結晶欠陥を有する場合は励起された少数キャリアの寿命が短く、したがってそのLTも短い。結晶欠陥を有しない単結晶体と結晶欠陥を有する単結晶体との間でのこのLTの差を求めると、該結晶欠陥が多く変換効率が低いものほど再結合LTが小さくなる。よって、該LTを測定することより、変換効率に優れるウェハであるかどうか判断することができる。
シリコン単結晶体において結晶欠陥の生成は、比抵抗調整のためのドーパント量、金属不純物量、転位数等にも関係するが、特には、酸素析出物量の影響が大きい。ここで、シリコン単結晶ウェハが半導体用である場合、活性領域である表面部分の無欠陥さは求められるものの、ウェハ内部では酸素析出物は重金属不純物のゲッタリングサイトとしての作用を担うこともあり、必ずしもその生成防止が一律に求められるものではない。これに対して、ウェハが太陽電池用の場合、ウェハ内部全域が発電に寄与するものになるため、前記LTを改善すべく、当該酸素析出物を低減する要求は格別に大きい。
而して、酸素析出物は主には、CZ法によるシリコン単結晶インゴットの製造において、高温状態でルツボの材質(石英)から溶け込んだ酸素原子が、冷却過程で、固溶限を超える過剰分が固化して生成するものであり、通常、インゴット中に相当量が含まれることが避けられない。また、その生成状態は、インゴットの製造工程における、単結晶体引上げ後の冷却条件によって大きく変化する。
このことから、インゴットの製造時において冷却工程の温度履歴を特定に制御することで、上記酸素析出物の析出量を低く抑える試みが種々検討されている。即ち、太陽電池用のシリコン単結晶インゴットの製造では、生産性を優先させて、結晶育成を速めるため、一般的に、冷却速度は大きくして、ボロンコフ理論上のV領域で結晶成長されることが多い。これに対して例えば、1200℃以下1000℃以上の温度域の冷却速度が1.0℃/ 分以下となるように除冷し、1000℃未満800 ℃以上の温度域の冷却速度が1.0℃/ 分以下となるように除冷し、さらに800 ℃未満700 ℃以上の温度域で急冷を開始する方法が提案されている(引用文献1の請求項11参照)。また、他の方法として、上記と同様に、1200℃以下1000℃以上の温度域の冷却速度を1.0℃/ 分以下となるように除冷した後、続く500℃までの温度域は一気に急冷する方法が提案されている。(引用文献2の請求項3参照)。
なお、上記500℃付近からさらに温度低下した450℃程度までの低温域は、ここを長時間経過させることにより、酸素原子の数個が凝集した微細欠陥が生成し、これが電気的に活性な準位を形成しドナーとして働くこと(サーマルドナー)が知られている。係るサーマルドナーは、結晶の抵抗値を変化させるためできるだけ低減させることが望ましい。しかし、単結晶インゴットの状態では当該低温域を急冷しても、冷却速度は不十分となり完全には生成を抑制できないため、インゴットからウェハを切り出した後、650℃程度で熱処理して溶出消去する、所謂、ドナーキラーアニールが施されて、太陽電池用のデバイス作製に供されているのが通常である(例えば、非特許文献1参照)。
鹿島一日児, "熱処理と酸素の挙動", シリコンの科学, リアライズ社, 1996, p.540
これらの冷却方法によれば、得られるインゴットに含まれる酸素析出物量を相当に低減させることが可能である。即ち、いずれの方法も、1200℃以下1000℃以上の温度域の冷却速度が小さく、この高温域を除冷しているが、これにより冷却開始当初のインゴット中で、形成された原子空孔を凝集させることができ、以降の冷却において酸素の析出に関与する空孔凝集体(ボイド)を減らすことができる。この結果、前記酸素析出物を有効に低減させることができる。
しかしながら、これら従来の冷却方法では、酸素の析出が始まる、前記1000℃を下回って以降の冷却速度条件が十分でなく、その析出量は今一歩満足できる程度にまで低減できていなかった。例えば、前記した従来技術における前者の方法の、1000℃未満800℃以上の温度域を、上記1200℃以下1000℃以上の温度域と同様に除冷する方法では、生成した酸素析出物の核を活発に成長させ、後述するようにLT低下の主要因である、大径(直径または最大対角長が0.5nm以上)の酸素析出物量を満足のいく低さで抑制できなかった。
さらに、斯様にインゴットに生成する酸素析出物の全てを物性低下の原因と捉え、一律に低減を追求した場合、得られるシリコン単結晶インゴットでは、これからのウェハ切り出しにおける加工性が低減することが見出された。即ち、前記した従来技術における後者の方法の、1000℃未満から500℃までの温度域を一気に急冷する方法では、上記大径の酸素析出物まで含めて、酸素析出物全体を高度に低減可能であるが、この場合、得られるインゴットは熱応力が蓄積したものになり、これをスライス加工すると割れや欠けが生じ易くなることが判明した。これは、前記サーマルドナーの生成が活発化する450℃程度までを、さらに急冷しても同様であった。
以上から、酸素析出物が少ないことにより、LTが高く、太陽電池用として優れた変換効率のウェハが切り出せるとともに、ウェハ切り出しに際して割れや欠けが生じ難い加工性の良好さを両立して備えるシリコン単結晶インゴットを開発することが大きな課題であった。
本発明者等は、上記課題に鑑み鋭意検討を続けてきた。その結果、シリコン単結晶インゴットの製造において、引上げた単結晶体の冷却工程で、1200℃以下1000℃以上の温度域、1000℃未満800℃以上の結晶温度域、及び800℃未満700℃以上の温度域をそれぞれ特定の冷却速度にすることで、前記の要求を満足するインゴットが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、インゴットの直胴部において、透過型電子顕微鏡により測定した、直径または最大対角長が0.5nm以上の酸素析出物の存在量が1×1014個/cm3以下あり、且つ直径または最大対角長が0.3nm以上0.5nm未満の酸素析出物の存在量が1×1014個/cm3以上である、ことを特徴とする太陽電池用シリコン単結晶インゴットである。
また、本発明は、上記太陽電池用シリコン単結晶インゴットの製造方法として、シリコン原料の加熱により得られた溶融シリコンを、冷却し結晶化させることによりシリコン単結晶インゴットを製造する方法において、、直胴部における、
A)1200℃以下1000℃以上の温度域の冷却速度を0.1℃/分以上1℃/分以下とし、
B)1000℃未満800℃以上の温度域の冷却速度を2℃/分以上20℃/分以下とし、
C)800 ℃未満700 ℃以上温度域の冷却速度を0.1℃/分以上1℃/分以下とする
方法も提供する。
A)1200℃以下1000℃以上の温度域の冷却速度を0.1℃/分以上1℃/分以下とし、
B)1000℃未満800℃以上の温度域の冷却速度を2℃/分以上20℃/分以下とし、
C)800 ℃未満700 ℃以上温度域の冷却速度を0.1℃/分以上1℃/分以下とする
方法も提供する。
さらに、本発明は、上記太陽電池用シリコン単結晶インゴットから太陽電池用ウェハを製造する方法として、該太陽電池用シリコン単結晶インゴットからウェハを切り出し、得られたウェハを600℃以上900℃未満の温度で30分以上120分以下加熱処理した後、2℃/秒以上の冷却速度で冷却する方法も提供する。
本発明は、太陽電池用シリコン単結晶インゴットに存在する酸素析出物は、その大きさによって、太陽電池用ウェハに加工した際のLTへの影響が異なること、そしてインゴットにおいて全ての酸素析出物の生成を抑制する必要はなく、特定の大径のものについて抑制できれば、太陽電池用ウェハとしての使用に実質的に問題がない知見に基づいてなされている。即ち、本発明のシリコン単結晶インゴットは、直胴部において、少数キャリアの捕獲に強く関与し、再結合中心として機能する大径(直径または最大対角長が0.5nm以上)の酸素析出物の存在量が1×1014個/cm3以下であり少ない。
その一方で、これよりも小径の酸素析出物は、サーマルドナーよりもやや大きいサイズ(具体的には、直径または最大対角長が0.3nm以上0.5nm未満)において、1×1014個/cm3以上の相当量に存在している。そして、このサイズの酸素析出物はドナー性を示さないものの、少数キャリアの捕獲には関与し、太陽電池用ウェハとしての使用時にこれが存在すると、LT低下に有意に影響する。ところが、こうした小径の酸素析出物は、実際には、インゴットから切り出したウェハを太陽電池用に供する際には、存在量が大きく低減しており、実用上問題にはならない。
即ち、前記したようにインゴットからウェハは、その後の太陽電池用のデバイス作製工程で必然的に加熱工程に供される。具体的には、前記ドナーキラーアニール工程であり、サーマルドナーを消失させるため、650℃程度、場合によってはこれ以上の高温で、30分以上120分以下加熱処理される。また、拡散層形成工程では、800℃以上900℃以下の温度域で30分以上120分以下程度の熱処理がされる。
このようにインゴットから切り出したウェハは、600℃以上900℃未満で相当時間加熱されるのが必定であり、係る加熱処理により、サーマルドナーに当たる微細な酸素析出物だけでなく、これより径がやや大きい程度の酸素析出物であれば、その多くが溶出する。その結果、前記小径の酸素析出物の存在量は大きく低減し、LT低下への影響は低減される。よって、たとえシリコン単結晶インゴットの製造段階では、前記小径の酸素析出物が一定量存在していても、太陽電池用ウェハとしての使用時に実質問題にはならない。
しかも、斯様にインゴット製造段階で、該小径の酸素析出物が一定量存在していることは、当該インゴットからのウェハの切り出し段階では、その加工性を高める、予想外の効果を齎す。これはインゴットにおいて、前記小径の酸素析出物が多数に生成するような条件で冷却された単結晶体では、単結晶の中心と外側で熱応力が発生し易いことに関係すると考えられ、これによりウェハのスライス加工における割れや欠けの発生が有意に低減する。
ここで、シリコンウェハにおける、用途に応じて求められる厚みの違いに着目すると、半導体用途では通常、0.50〜1.00mm程度のものであるのに対して、太陽電池用途では、0.08〜0.25mm程度であるため、それに搭載するウェハはより薄いことが求められ、通常、0.10〜0.22mmのものが好適とされている。このため前記インゴットからウェハを切り出す際の割れや欠けは、半導体用途ではあまり表出していなかったのに対して、斯様に薄いウェハの要求が高い太陽電池用途では問題が顕在化する。
斯くして本発明によれば、酸素析出物が少ないことにより、LTが高く、太陽電池用として優れた変換効率のウェハが切り出せるとともに、ウェハ切り出しに際して割れや欠けが生じ難い、太陽電池用途に優れるシリコン単結晶インゴットが提供される。
本発明において、シリコン単結晶のインゴットとは、溶融シリコンを冷却することにより製造したシリコン単結晶体を言う。棒状が一般的であり、安定的に結晶育成された直胴部と、その各末端に位置する、トップ部(拡径部)及びテイル部(縮径部)により構成されていることが多い。CZ法により製造したシリコン単結晶インゴットの直胴部の長さは通常、900〜1800mmであり、口径は通常、150〜230mmである。
シリコン単結晶体において導電型は、n型であってもp型であっても良いが、n型の方がLTに優れるものが得やすい等の理由から好ましい。ドープする不純物としては、例えば、n型ドーパントとしてはリン(P)、p型ドーパントとしてはボロン(B)、砒素(As)、アンチモン(Sb)が考えられる。
本発明において、シリコン単結晶インゴット中に存在する酸素析出物の存在量は、次の方法により確認するものとする。即ち、インゴットの直胴部の上端から下方2.5mmの厚みで切り出した上端ウェハサンプルと、同じくインゴットの直胴部の下面から上方2.5mmの厚みで切り出した下端ウェハサンプルのそれぞれを用意し、夫々について、測定対象の部位から100nm厚みの観察用薄片を作製し、後述する方法により各酸素析出物を測定し、これらの結果から上記直胴部全体における酸素析出物の存在量を判断する方法である。これら上端ウェハサンプルと下端ウェハサンプルの両方において、前記大径と小径の各酸素析出物が、本発明が規定する夫々の要件を満足する結果であれば、そのシリコン単結晶インゴットは直胴部全体において、本発明の上記要件を実質満足すると見做すことができる。
詳述すれば、CZ法において、融液から引上げられるインゴットへの酸素の析出は、インゴット上部に最も多く、そこから引き上げが進むにつれて暫時少なくなっていく。これは、前記したようにインゴットで析出する酸素の供給源は、ルツボの材質(石英)からが主であり、このため該ルツボからの酸素の溶出は、ルツボへの溶融シリコンの充填量が多い(即ち、溶融シリコンとルツボ内表面との接触面積が大きくなる)、引き上げ初期ほど激しくなるからである。
このことから前記上端ウェハサンプルを切り出し、酸素析出物量を測定すれば、当該直胴部全体における大径の酸素析出物の最大存在量を確認できることになる。さらに、前記下端ウェハサンプルを切り出し、酸素析出物量を測定すれば、当該直胴部における小径の酸素析出物の最大存在量を確認できることになる。斯くして、これら両測定結果を総合することにより、対象のインゴットが直胴部全体において、本発明での酸素析出物の要件を実質的に満足しているかが判断できる。
なお、上面から下面に至る直胴部の途中において、引き上げ条件の突発的な変動等により極狭領域として、前記大径と小径の各酸素析出物の要件が本発明で規定する要件を外れることもあり得るが、発明の効果に影響しない僅かの領域であれば、当該インゴットは本発明の範囲内のものとして許容される。好適には、直胴部を全体から順番に2.5mm厚みのウェハサンプルを各切り出して、夫々についてその酸素析出状態を測定した際に、前記本発明が規定する大径と小径の各酸素析出物の要件を外れるウェハが、切り出したウェハサンプル全体枚数に対して3%以下であるのが好ましい。
本発において、サンプルウェハに対する酸素析出物量の測定は、ウェハにおける各測定対象部位から100nm厚みの観察用薄片を作成し、透過型電子顕微鏡(TEM)により表面観察することにより行えば良い。測定対象部位は、上端ウェハサンプルであれば上面側表面、また、下端ウェハサンプルであれば下面側表面における、中心部と外周上の任意点を結ぶ半径(r)における均等間隔の5箇所(中心部、r/4箇所、2r/4箇所、3r/4箇所、外周近傍箇所)が採択される。これら各箇所から作製された前記観察用薄片について、大径及び小径の各酸素析出物量を測定し、これら5箇所の平均を求めて、そのサンプルウェハにおける各酸素析出物量の存在量とする。各観察用薄片のTEMによる表面観察は、大径の酸素析出物であれば4,000〜40,000倍の倍率において1.4μm×2.0μm〜400nm×600nmの視野について計測し、cm3単位での個数として求める。他方、小径の酸素析出物であれば400,000倍以上の倍率において40nm×60nmの視野について計測し、cm3単位での個数として求める。
ここで、酸素析出部の径は、直径または最大対角長として測定した値を意味する。酸素析出物は、生成された温度域、熱処理条件、カーボンの有無等によって、球状、八面体、板状など多種多様な形状をとることが知られている。従って、球状析出物の場合は直径を測定し析出物径とすれば良いが、板状析出物や多面体析出物の場合はその最大対角長を測定し、該析出物径とする。
本発明のシリコン単結晶インゴットは、直胴部において、直径または最大対角長が0.5nm以上の酸素析出物の存在量が1×1014個/cm3以下であり極めて少ない。こうした大径の酸素析出物は、ウェハを切り出し太陽電池のデバイス作製工程での加熱処理を経ても、実質そのまま残存しLT低下の原因になるが、本発明ではその量が大きく低減されているため、高LTで変換効率に優れる太陽電池が得られる。その効果の良好さを勘案すると、前記大径の酸素析出物の存在量は1×1010〜1×1013個/cm3であるのが、より好ましく、2×1010〜1×1011個/cm3であるのが、最も好ましい。
また、本発明のシリコン単結晶インゴットは、直胴部において、直径または最大対角長が0.3nm以上0.5nm未満の酸素析出物の存在量が1×1014個/cm3以上である必要がある。前記したように、斯様な小径の酸素析出物も、LT低下へは有意に影響するが、ウェハ加工後において、デバイス作製工程で必然的に導入される熱処理で、前記サーマルドナーと同様に、その多くが消失する。従って、斯様に相当量で含有されていても、太陽電池の変換効率の悪化が抑制できる。それに加えて、斯様な小径の酸素析出物が存在することで、インゴットからのウェハ切り出しの加工性が向上する副次的効果が得られる。
これら効果の良好さを勘案すると、前記小径の酸素析出物の存在量は2×1014〜5×1015個/cm3であるのがより好ましい。
上記酸素析出物の状態にある本発明のシリコン単結晶インゴットは、結晶中に溶解する酸素濃度が、10.0×1017〜20.0×1017atoms/cm3であるのが、本発明の効果が良好に発揮される観点から好ましい。さらには、溶解する酸素濃度は、12.0×1017〜18.0×1017atoms/cm3であるのが特に好ましい。ここで、結晶中に溶解する酸素濃度は、フーリエ変換赤外分光光度計により測定し、ASTM F121−79にて導出された値を言う。
また、シリコン単結晶インゴットでは、一般的に、含有される炭素濃度量が多くなるほど、酸素析出物が形成され易くなる。シリコン単結晶インゴットにおいて、炭素濃度は 1×1013〜5×1016atoms/cm3であり、特に5×1013〜1×1016atoms/cm3であるのが通常であり、本発明では、こうした炭素濃度のインゴットにおいて、前記酸素析出物量の要件を満足しているのが好ましい。なお、本発明において、シリコン単結晶インゴットに対する炭素濃度は、フーリエ変換赤外分光光度計により測定し、ASTM F123−86にて導出された値とする。
次に、本発明のシリコン単結晶インゴットの製造方法について説明する。本発明においてシリコン単結晶インゴットは、前記酸素析出物の要件を満足する限り製造方法が特定の方法に限定されるものではなく、シリコン原料の加熱により得られた溶融シリコンを、冷却し結晶化させる如何なる方法により製造したものであっても良いが、通常は、CZ法により製造したものであるのが好ましい。図1はCZ炉を備えたシリコン単結晶インゴットの引上げ装置の代表的態様の概略である。
メインチャンバー1内には、溶融シリコン2を収容するための石英ルツボ3とそれを支持する黒鉛ルツボ4が備えられている。これらの周りにはヒーター5が設けられており、石英ルツボ3内に収容されたシリコン原料は、その融点である1414℃以上まで加熱されて融液化する。このシリコン融液に種結晶6を浸漬した後、種結晶をゆっくり引上げて結晶を成長させ、インゴットはメインチャンバー1の上方に引き上がられるに従って冷却され、所定の大きさのシリコン単結晶インゴット7を製造する。
このシリコン単結晶インゴット7の引上げ及び冷却において、メインチャンバー1内の雰囲気は、酸素が炭素製部材と反応すること等を抑制するため、不活性ガス雰囲気であるのが好ましい。
こうしたCZ法によるシリコン単結晶インゴットの製造において、融液からの引上げ当初のインゴットにはシリコンの凝固過程で空孔が生成する。また、1300℃の単結晶体中に酸素の固溶限は11.0×1017atoms/cm3であり、これに近い酸素が溶解していると考えられる。そして、凝固過程を経て、インゴットを冷却されるに応じて、固溶限に対して過剰な酸素が析出する。而して、本発明のシリコン単結晶インゴットを製造するためには、このシリコン融液からのシリコンの凝固過程を経た以降の直胴部の冷却を、次の特定の冷却速度に制御することが重要である。
即ち、
A)1200℃以下1000℃以上の温度域(冷却工程A)を0.1℃/分以上1℃/分以下の冷却速度とし、
B)1000℃未満800℃以上の温度域(冷却工程B)を2℃/分以上20℃/分以下の冷却速度とし、
C)800 ℃未満700 ℃以上温度域(冷却工程C)を0.1℃/分以上1℃/分以下の冷却速度
に制御することが求められる。
A)1200℃以下1000℃以上の温度域(冷却工程A)を0.1℃/分以上1℃/分以下の冷却速度とし、
B)1000℃未満800℃以上の温度域(冷却工程B)を2℃/分以上20℃/分以下の冷却速度とし、
C)800 ℃未満700 ℃以上温度域(冷却工程C)を0.1℃/分以上1℃/分以下の冷却速度
に制御することが求められる。
ここで、上記各温度域での冷却速度は、インゴットの冷却工程において、その上限温度に達してから、さらに下限温度に温度低下するまでの要した時間をもとに、一分間当たりの低下温度として求める。このように各温度域全体からの平均値として求まるため、実際の一分間当たりの温度の低下値としては、本発明が規定する範囲を逸脱する期間も短時間であれば生じることもあり得るが、前記温度域全体から求めた平均値が本発明の範囲にあれば、酸素析出状態に与える影響は小さく本発明では許容できる。例えば、各温度域ともに、上限温度近傍および下限温度近傍では、隣接する温度域の冷却速度への切り替えのため、その本来の温度域での冷却速度の範囲を外れる可能性があるが許容される。ただし、こうした実際の一分間毎の冷却速度において、本発明の範囲を外れる時間の総計は、冷却工程A〜Cのそれぞれで要した時間に対して各5%以下に抑えられているのが好ましい。
CZ法によるシリコン単結晶インゴットを製造において、上記インゴットの冷却速度を求めるための、インゴット半径方向の温度測定箇所は、インゴットの中心部分である。ただし、実際のCZ法による製造で、冷却工程にあるインゴットの中心部分を測温することは難しく、本発明において、インゴットの冷却速度は、実際に製造するインゴットと同サイズの測温用インゴットを別に用意し、これを以下の方法により、同じ引上げ環境下に曝してその温度変化を測定することで代替して求める。
詳述すると、引上げられるシリコン単結晶インゴットにおいて、その温度状態は直胴部の引上げ方向に対して均一ではなく、下方ほど冷却され易い。従って、前記測温用インゴットは、直胴部上端測温用と直胴部下端測温用の2本を用意し、前者に対してはその直胴部上端に、後者に対してはその直胴部下端に、R熱電対を夫々インゴットの中心に届く深さで各埋め込む。そして、直胴部上端測温用インゴットの場合、石英ルツボに収容される溶融シリコンに上方から浸けていき、直胴部上端から30mm下の位置まで溶解させ、この状態で反転してこれを実際のシリコン単結晶インゴットの引き上げ条件と同一条件で引上げる。この引上げに伴い、直胴部上端に埋設する熱電対により冷却工程での温度変化を測定し、この結果から該箇所における各冷却温度域での冷却速度を代替して求める。他方、直胴部下端測温用インゴットの場合も、石英ルツボ中の溶融シリコンに、テイル部における直胴部下端から30mm下の位置まで溶解させ、以後は上記した直胴部上端測温用インゴットの場合と同様の操作を実施し、直胴部下端における各冷却温度域での冷却速度を代替して求める。
以上により求められる、直胴部上端と直胴部下端の冷却工程A〜Cでの冷却速度が、前記本発明で規定する各冷却工程での冷却速度を共に満足すれば、このシリコン単結晶インゴットの製造では、引き上げられる直胴部の上端から下端までの全域において、当該冷却要件を満足していると見做すことができる。
上記冷却方法において、シリコン融液を1200℃まで冷却させる、引上げ開始時の冷却速度は特に制限されるものではないが、隣接の冷却工程Aと同様の冷却速度で除冷するのが好ましい。そして、該冷却工程Aでは、この冷却速度を0.1℃/分以上1℃/分以下とする。このように高温域を除冷することにより、冷却開始当初のインゴット中に形成される原子空孔を凝集させることができ、以降の冷却において酸素の析出に関与する空孔点欠陥を減らすことができる。この結果、得られるシリコン単結晶インゴット中に酸素が析出し難くなる。この酸素析出物低減のための効果をより良好に発揮させる観点からは、冷却工程Aの冷却速度は0.3℃/分以上0.8℃/分以下であるのが特に好ましく、0.4℃/分以上0.8℃/分以下であるのが最も好ましい。ここで、冷却工程Aの冷却速度が0.1℃/分未満であった場合、その温度制御が難しくなり、装置内部に1200〜1000℃に加熱するための特別のヒーター等を設けなければならなくなり、大きな設備投資が必要となる。他方、冷却工程Aの冷却速度が1℃/分を超える場合、凝集性空孔欠陥(ボイド)が形成される前に前駆体の空孔点欠陥が凍結されるため、続く冷却工程Bで酸素析出物の生成が大幅に促進されるようになる。
前記冷却方法において、続く冷却工程Bでは、冷却速度を2℃/分以上20℃/分以下とする。この温度域では酸素の析出が開始され始め、この域を上記急冷することにより、ここで生成した酸素析出物の核の成長を抑える作用が発揮される。この結果、得られるシリコン単結晶インゴット中において、大径の酸素析出物の含有量を効果的に抑制することができ、前記1×1010〜1×1014個/cm3の少量を実現できる。この酸素析出物低減のための効果をより良好に発揮させる観点からは、冷却工程Bの冷却速度は5℃/分以上18℃/分以下であるのが特に好ましい。ここで、冷却工程Bの冷却速度が2℃/分未満であった場合、形成された酸素析出物が急成長して転位などの2次欠陥を生成し、ライフタイムが大きく低下する。他方、冷却工程Bの冷却速度が20℃/分を超える場合、隣接する冷却工程A及びCでの各冷却速度への円滑な移行が難しくなる。
さらに、前記冷却方法において、続く冷却工程Cでは、冷却速度を0.1℃/分以上1℃/分以下とする。この温度域は酸素の析出が特に活発化する範囲であり、ここで析出した酸素は、小径の酸素析出物として、得られるシリコン単結晶インゴット中に残存する。而して、この温度域を、本発明ではあえて除冷することにより、該インゴット中に、こうした小径の酸素析出物を前記1×1014個/cm3以上の多さで存在させる。このように小径の酸素析出物をある程度の存在量でインゴット中に含有させても、前記したとおりここから切り出したウェハは、太陽電池用途において変換効率の悪化には実質影響はなく、むしろこのように小径の酸素析出物を含有させることで、該ウェハの切り出しの加工性が向上し好都合である。
なお、インゴットに存在する酸素析出物が、前記0.5nm以上の大径のものの場合、このようなウェハに切り出した後のデバイス作製時の熱処理では、その存在状態にあまり変化はなく、前記した如くに大部分が残留してLTを低下させる。
前記小径の酸素析出物をインゴットに存在させる効果をより良好に発揮させる観点からは、冷却工程Cの冷却速度は0.2℃/分以上0.8℃/分以下であるのが特に好ましい。ここで、冷却工程Cの冷却速度が0.1℃/分未満であった場合、酸素析出物の一部がその後の工程で溶出できない大きさまで成長し、LTを低下させることになる。他方、冷却工程Cの冷却速度が1℃/分を超える場合、後の工程で溶出可能な大きさの酸素析出物の形成が不足し、ウェハ切り出し時に割れや欠けが発生し易くなる。
さらに、前記冷却方法において、冷却工程Cに続く400℃までの冷却は、特に制限されるものではなく、上記冷却工程Cと同様の冷却速度で除冷しても良い。それによりこの温度域では、より微小径の酸素析出物であるサーマルドナーが析出するが、これらがウェハに切り出した後のドナーキラーアニール等の熱処理で消失することは前述したとおりである。また、こうしたサーマルドナーをできるだけ生成させないために、前記冷却工程Bと同様に急冷しても良い。
以上の冷却方法により、前記した本発明の特徴的な酸素析出状態にあるシリコン単結晶インゴットが得られる。この冷却方法を実施するに際して、各温度域でのそれぞれの冷却速度の調整は、インゴットの製造装置における公知の冷却手段や温度保持手段を適宜に適用すれば良い。例えば、インゴットの製造装置が、前記した図1のようなCZ炉である場合、ヒーター7の設置位置や加熱温度設定で調整すれば良い。また、メインチャンバー1内の上部空間(引上げたインゴットの冷却区域)に断熱壁8やアフターヒーターを設けたり、メインチャンバーの上部外壁に冷却管を巻回させたりするのも、有効な手段である。これらのインゴットの製造装置における冷却手段や温度保持手段に、さらに、インゴットの引上げ速度等も変化させて適宜に調整すれば良い。
本発明のシリコン単結晶インゴットからのウェハの切り出しは、外周刃、ワイヤーソー、バンドソー等を用い、必要に応じて切削液等を用いて常法に従って適宜に実施すればよい。切り出すウェハの厚みは、一般的には0.5〜1.0mm以下の範囲から適宜に採択可能である。太陽電池用途として0.08〜0.25mmの薄いものが好適であり、この薄いウェハを切り出す際に、本発明のインゴットにおける加工性の良さが顕著に発揮され好ましい。
斯様にしてインゴットから切り出されたシリコン単結晶ウェハは、太陽電池用に供される。そのデバイス作製は公知の方法に従えが従えば良いが、前述の通りその過程において通常は、ドナーキラーアニールや拡散層形成工程等で、600℃以上900℃未満の温度の30分以上120分以下の加熱処理が施される。この加熱により、インゴット中に存在した小径の酸素析出物の多くが消失し、ウェハのLTを低下させることも前述したとおりである。係る小径の酸素析出物の消失効果を十分に発揮させる観点からは、ウェハ切り出し後に施される熱処理は、700℃以上900℃未満の温度での処理期間が前記時間内で設けられているのが特に好ましい。
以下に本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明がこれらの実施例の記載によって制限されるものではないことは言うまでもない。
尚、実施例および比較例において、各種物性値は、次の方法により測定した。
1)冷却工程におけるインゴットの冷却速度の測定
各実施例で製造する方法に従って、直胴部が直径8インチ長さが50mm、トップ部の長さ100mm、テイル部の長さ200mmの直胴部上端測温用インゴットと、直胴部が直径8インチ長さが1350mm(シリコン単結晶インゴットと同一サイズ)、トップ部の長さ100mm、テイル部長さ200mmの直胴部下端測温用インゴットをそれぞれ用意した。前者に対してはその直胴部上端に、後者に対してはその直胴部下端に、各ドリルで穴を空け、そこにR熱電対をインゴットの中心に届く態様で夫々埋め込んだ。
各実施例で製造する方法に従って、直胴部が直径8インチ長さが50mm、トップ部の長さ100mm、テイル部の長さ200mmの直胴部上端測温用インゴットと、直胴部が直径8インチ長さが1350mm(シリコン単結晶インゴットと同一サイズ)、トップ部の長さ100mm、テイル部長さ200mmの直胴部下端測温用インゴットをそれぞれ用意した。前者に対してはその直胴部上端に、後者に対してはその直胴部下端に、各ドリルで穴を空け、そこにR熱電対をインゴットの中心に届く態様で夫々埋め込んだ。
続いて、石英ルツボに、実施例で収容するシリコン原料の重量から、直胴部上端を測温する場合は上記直胴部上端測温用インゴットの重量を差し引いた量のシリコン原料を収容し、黒鉛ヒーターに電力を投入しAr雰囲気にて加熱溶融した。この石英ルツボに収容される溶融シリコンに、前記直胴部上端測温用インゴットを上方から浸けていき、直胴部上端から30mm下の位置まで溶解させ、この状態で反転してこれを実際のシリコン単結晶インゴットの引き上げ条件と同一条件で引上げた。この引上げに伴い、直胴部上端に埋設する熱電対により前記冷却工程A〜Cでの温度変化を測定し、この結果から該箇所における各冷却温度域での冷却速度を代替して求めた。
他方、直胴部下端測温用インゴットも、石英ルツボ中の溶融シリコンに、テイル部における直胴部下端から30mm下の位置まで溶解させ、この状態から引上げを開始する以外は、上記した直胴部上端測温用インゴットの場合と同様の操作を実施し、直胴部下端における各冷却温度域での冷却速度を代替して求めた。
2)シリコン単結晶インゴット中に溶解する酸素、炭素濃度の測定
各実施例で製造されたシリコン単結晶インゴットについて、インゴット直胴部の上端から下方2.5mmの厚みで上端サンプルを切り出した。同様に、インゴット直胴部の下端から上方2.5mmの厚みで下端サンプルを切り出した。このようにして得た上端サンプルと下端サンプルを混酸(48wt%フッ化水素酸:60wt%硝酸:100wt%酢酸=1:10:1)中でサンプル厚が2.0mmになるようエッチングし、純水で2回洗浄を行った後に、表面に付着した水分を十分に除去してから、フーリエ変換赤外分光光度計により中心部と外周上の任意点を結ぶ半径(r)における均等間隔の5箇所(中心部、r/4箇所、2r/4箇所、3r/4箇所、外周近傍箇所)から酸素濃度を測定し、ASTM F121−79にて導出して、その平均値を酸素濃度とした。同様にフーリエ変換赤外分光光度計により中心部と外周上の任意点を結ぶ半径(r)における均等間隔の5箇所(中心部、r/4箇所、2r/4箇所、3r/4箇所、外周近傍箇所)から炭素濃度を測定し、ASTM F123−86にて導出し、その平均値を炭素濃度とした。
各実施例で製造されたシリコン単結晶インゴットについて、インゴット直胴部の上端から下方2.5mmの厚みで上端サンプルを切り出した。同様に、インゴット直胴部の下端から上方2.5mmの厚みで下端サンプルを切り出した。このようにして得た上端サンプルと下端サンプルを混酸(48wt%フッ化水素酸:60wt%硝酸:100wt%酢酸=1:10:1)中でサンプル厚が2.0mmになるようエッチングし、純水で2回洗浄を行った後に、表面に付着した水分を十分に除去してから、フーリエ変換赤外分光光度計により中心部と外周上の任意点を結ぶ半径(r)における均等間隔の5箇所(中心部、r/4箇所、2r/4箇所、3r/4箇所、外周近傍箇所)から酸素濃度を測定し、ASTM F121−79にて導出して、その平均値を酸素濃度とした。同様にフーリエ変換赤外分光光度計により中心部と外周上の任意点を結ぶ半径(r)における均等間隔の5箇所(中心部、r/4箇所、2r/4箇所、3r/4箇所、外周近傍箇所)から炭素濃度を測定し、ASTM F123−86にて導出し、その平均値を炭素濃度とした。
3)シリコン単結晶インゴット中に存在する酸素析出物量の測定
各実施例で製造されたシリコン単結晶インゴットの直胴部において、「2)シリコン単結晶インゴット中に溶解する酸素、炭素濃度の測定」で切り出した上端サンプル、下端サンプルについて、前者であれば上面側表面、また、後者であれば下面側表面における、中心部と外周上の任意点を結ぶ半径(r)における均等間隔の5箇所(中心部、r/4箇所、2r/4箇所、3r/4箇所、外周近傍箇所)から、100nm厚みの観察用薄片を作成した。この観察用薄片を作製するためのサンプル加工は、イオンミリング法により実施した。
各実施例で製造されたシリコン単結晶インゴットの直胴部において、「2)シリコン単結晶インゴット中に溶解する酸素、炭素濃度の測定」で切り出した上端サンプル、下端サンプルについて、前者であれば上面側表面、また、後者であれば下面側表面における、中心部と外周上の任意点を結ぶ半径(r)における均等間隔の5箇所(中心部、r/4箇所、2r/4箇所、3r/4箇所、外周近傍箇所)から、100nm厚みの観察用薄片を作成した。この観察用薄片を作製するためのサンプル加工は、イオンミリング法により実施した。
斯様にして作成された各観察用薄片のTEMによる表面観察は、大径の酸素析出物については4,000〜40,000倍の倍率において1.4μm×2.0μm〜400nm×600nmの視野について計測し、cm3単位での個数として求めた。他方、小径の酸素析出物については400,000倍以上の倍率において40nm×60nmの視野について計測し、cm3単位での個数として求めた。
4)シリコン単結晶インゴットからのウェハ切り出しの加工性
各実施例で製造されたシリコン単結晶インゴットについて、トップ部とテイル部を切除し、次いで側表面の一部あるいは全部を切除して直胴部からなる直方構造体とし、これをマルチワイヤーを具備したスライス装置を用いて厚さ0.20mm±0.01mmのウェハに切断加工した。上面と下面から各250 枚ずつ(計500枚)のウェハを加工し、各ウエハの外観を観察し、割れや欠けが認められた枚数を数えた結果を表1に併せて表記した。
各実施例で製造されたシリコン単結晶インゴットについて、トップ部とテイル部を切除し、次いで側表面の一部あるいは全部を切除して直胴部からなる直方構造体とし、これをマルチワイヤーを具備したスライス装置を用いて厚さ0.20mm±0.01mmのウェハに切断加工した。上面と下面から各250 枚ずつ(計500枚)のウェハを加工し、各ウエハの外観を観察し、割れや欠けが認められた枚数を数えた結果を表1に併せて表記した。
5)切り出したウェハのLTの評価
各実施例で製造されたシリコン単結晶インゴットの直胴部において、「4)シリコン単結晶インゴットからのウェハ切り出しの加工性」で切りだした、加熱処理の影響評価用の上端ウェハサンプルと同下端ウェハサンプルに隣接する内側部分から各一枚ずつ、LT評価用の上端ウェハサンプルと同下端ウェハサンプルを取出した。これらLT評価用ウェハサンプルについて、RTA(Rapid thermal annealing)装置を用い、インゴット冷却中に生成したサーマルドナーを除去するために、700℃で30分のドナーキラーアニール処理を実施した後、600℃未満450℃以上の温度域の冷却速度が120℃/分以上となるよう冷却した。得られたドナーキラーアニール処理した各ウェハサンプルについてドナーキラーアニールを施した後、80℃に加熱した洗浄液1(アンモニア水:過酸化水素水:水=1:1:5)を用いて10分間洗浄した後、洗浄液2(5重量%希フッ酸)中で10分間洗浄した。その後、3重量%のヨウ素/エタノール溶液を塗布する処理(Chemical Passivation処理)を行い、LT測定装置(SEMILAB社製 WT−2000)でLTを測定した。測定結果については、1000μsec以上を◎、1000μsec未満500μsec以上を○、500μsec未満を×として評価し、表2に示した。
各実施例で製造されたシリコン単結晶インゴットの直胴部において、「4)シリコン単結晶インゴットからのウェハ切り出しの加工性」で切りだした、加熱処理の影響評価用の上端ウェハサンプルと同下端ウェハサンプルに隣接する内側部分から各一枚ずつ、LT評価用の上端ウェハサンプルと同下端ウェハサンプルを取出した。これらLT評価用ウェハサンプルについて、RTA(Rapid thermal annealing)装置を用い、インゴット冷却中に生成したサーマルドナーを除去するために、700℃で30分のドナーキラーアニール処理を実施した後、600℃未満450℃以上の温度域の冷却速度が120℃/分以上となるよう冷却した。得られたドナーキラーアニール処理した各ウェハサンプルについてドナーキラーアニールを施した後、80℃に加熱した洗浄液1(アンモニア水:過酸化水素水:水=1:1:5)を用いて10分間洗浄した後、洗浄液2(5重量%希フッ酸)中で10分間洗浄した。その後、3重量%のヨウ素/エタノール溶液を塗布する処理(Chemical Passivation処理)を行い、LT測定装置(SEMILAB社製 WT−2000)でLTを測定した。測定結果については、1000μsec以上を◎、1000μsec未満500μsec以上を○、500μsec未満を×として評価し、表2に示した。
6)切り出したウェハをドナーキラーアニール(DKA)した後の酸素析出物量の測定
各実施例で製造されたシリコン単結晶インゴットの直胴部において、「5)切り出したウェハのLTの評価」でLT評価を行った各ウェハサンプルについて、上記「3)シリコン単結晶インゴット中に存在する酸素析出物量の測定」と同様にして、大径の酸素析出物と小径の酸素析出物を各計測し、夫々についてcm3単位での個数を求めた。
各実施例で製造されたシリコン単結晶インゴットの直胴部において、「5)切り出したウェハのLTの評価」でLT評価を行った各ウェハサンプルについて、上記「3)シリコン単結晶インゴット中に存在する酸素析出物量の測定」と同様にして、大径の酸素析出物と小径の酸素析出物を各計測し、夫々についてcm3単位での個数を求めた。
実施例1
図1に示したCZ炉を用いてシリコン単結晶インゴットの製造を実施した。石英ルツボの直径は22インチ(56cm)であり、これに高純度多結晶シリコン120kg及び、これら高純度多結晶シリコンが溶融した際に、その融液中に74ppma(トップで3.5Ω・cm程度になる濃度)のリンが溶解した状態となるようにn型シリコンドーパントを調整して収容し、炉内を真空ポンプで数kPaまで減圧し、黒鉛ヒーターに電力を投入し、Ar雰囲気にて該多結晶シリコンを加熱溶融した。このシリコン融液に主面方位がSi<100>であるシリコン種結晶を接触させて単結晶体の引上げを開始し、直胴部が直径8インチ(203cm)、長さが1350mm、トップ部の長さ100mm、テイル部長さ200mmであり、結晶成長方位が<100>のシリコン単結晶インゴットを引き上げた。
図1に示したCZ炉を用いてシリコン単結晶インゴットの製造を実施した。石英ルツボの直径は22インチ(56cm)であり、これに高純度多結晶シリコン120kg及び、これら高純度多結晶シリコンが溶融した際に、その融液中に74ppma(トップで3.5Ω・cm程度になる濃度)のリンが溶解した状態となるようにn型シリコンドーパントを調整して収容し、炉内を真空ポンプで数kPaまで減圧し、黒鉛ヒーターに電力を投入し、Ar雰囲気にて該多結晶シリコンを加熱溶融した。このシリコン融液に主面方位がSi<100>であるシリコン種結晶を接触させて単結晶体の引上げを開始し、直胴部が直径8インチ(203cm)、長さが1350mm、トップ部の長さ100mm、テイル部長さ200mmであり、結晶成長方位が<100>のシリコン単結晶インゴットを引き上げた。
なお、このシリコン単結晶インゴットの製造に先立ち、直胴部上端測温用インゴットと直胴部下端測温用インゴットを別に用意し、前記1)に記載の方法に従って、冷却工程A〜Cでの直胴部上端と直胴部下端の各温度変化を測定し冷却速度を求めたところ、それぞれ表1に示す結果であった。なお、冷却工程Cに続く400℃までの冷却速度は、15℃/分の急冷条件であった。
このシリコン単結晶インゴットについて、2)、3)の方法に従って、直胴部上端および直胴部下端における、酸素濃度、炭素濃度、および酸素析出物の存在量を夫々測定した。これらの結果を表2に示した。
次いで、得られたシリコン単結晶インゴットについて、4)の方法に従って、ウェハ切り出しの加工性を評価し結果を表2に併せて示した。また、4)の方法に従って、切り出したウェハにドナーキラーアニール(DKA)を施した後のLTの評価を行い、さらに、6)の方法に従って、DKA後の酸素析出物の存在量の評価を行い、夫々の結果を表2に併せて示した。
実施例2、比較例1〜3
前記実施例1において、シリコン単結晶インゴットの製造を、冷却工程A〜Cでの直胴部上端と直胴部下端の各冷却速度が、表1に示した値になるように冷却条件を変更した以外は、当該実施例1と同様に実施した。得られた各シリコン単結晶インゴットについて、2)〜7)の各物性を測定した結果を表2に併記した。
前記実施例1において、シリコン単結晶インゴットの製造を、冷却工程A〜Cでの直胴部上端と直胴部下端の各冷却速度が、表1に示した値になるように冷却条件を変更した以外は、当該実施例1と同様に実施した。得られた各シリコン単結晶インゴットについて、2)〜7)の各物性を測定した結果を表2に併記した。
1;メインチャンバー
2;溶融シリコン
3;石英ルツボ
4;黒鉛ルツボ
5;ヒーター
6;種結晶
7;シリコン単結晶インゴット
8;断熱壁
2;溶融シリコン
3;石英ルツボ
4;黒鉛ルツボ
5;ヒーター
6;種結晶
7;シリコン単結晶インゴット
8;断熱壁
Claims (5)
- インゴットの直胴部において、透過型電子顕微鏡により測定した、直径または最大対角長が0.5nm以上の酸素析出物の存在量が1×1014個/cm3以下あり、且つ直径または最大対角長が0.3nm以上0.5nm未満の酸素析出物の存在量が1×1014個/cm3以上である、ことを特徴とする太陽電池用シリコン単結晶インゴット。
- 結晶中に溶解する酸素濃度が、12.0×1017〜20.0×1017atoms/cm3である、請求項1に記載の太陽電池用シリコン単結晶インゴット。
- シリコン原料の加熱により得られた溶融シリコンを、冷却し結晶化させることによりシリコン単結晶インゴットを製造する方法において、直胴部における、
A)1200℃以下1000℃以上の温度域の冷却速度を0.1℃/分以上1℃/分以下とし、
B)1000℃未満800℃以上の温度域の冷却速度を2℃/分以上20℃/分以下とし、
C)800 ℃未満700 ℃以上温度域の冷却速度を0.1℃/分以上1℃/分以下とする
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の太陽電池用シリコン単結晶インゴットの製造方法。 - シリコン原料の加熱により得られた溶融シリコンを、冷却し結晶化させる方法が、ルツボ中にシリコン融液を収容し、当該シリコン融液にシリコン種結晶を接触させて単結晶体を引上げる、チョクラルスキー法によるものである、請求項3に記載の太陽電池用シリコン単結晶インゴットの製造方法。
- 請求項1または請求項2に記載の太陽電池用シリコン単結晶インゴットからウェハを切り出し、該ウェハを600℃以上900℃未満の温度で30分以上120分以下加熱処理した後、2℃/sec以上の冷却速度で冷却する太陽電池用シリコン単結晶ウェハの製造方法。
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