JP2016220187A - 通信システム、および通信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】所定のエリア(例えば数km程度の半径のエリア)をカバーする通信システムを構築する際に、その構築コストを抑えつつ、データ通信の信頼性の確保やスループットの確保に柔軟に対処できるようにする。【解決手段】通信システムを構成する通信装置として、以下の通信制御部、電力線通信部および無線通信部を有する通信装置を提供する。電力線通信部は、電力線を介して他の通信装置と通信する。無線通信部は他の通信装置と無線通信する。通信制御部は、他の通信装置から送信されたデータを複数の通信手段の少なくとも1つにより受信したこと、または他の通信装置から送信されたデータを複数の通信手段の全てにより受信したこと、の何れかを他の通信装置とのデータ通信完了の判定基準として他の通信装置とデータ通信する。【選択図】図13
Description
この発明は、所定のエリアをカバーする通信システムにおけるデータ通信技術に関する。
この種のデータ通信技術として電力線通信が注目を集めている。電力線通信では既設の電力線を通信媒体として利用するため、データ通信専用の通信線を新たに配線する必要がなく、システムの構築コストを低く抑えることができるからである。しかし、電力線には、その電力線を介して電力の供給を受ける種々の電子機器が接続される。電力線通信では、電力線に接続された電子機器からのノイズにより、ビット誤りなどのデータ誤りが発生する等、データ通信に影響が生じる場合がある。また、電力線のインピーダンスはその電力線に接続された電子機器の動作状態によって変化するため、このようなインピーダンスの変化によってデータ通信に影響が生じる場合もある。電力線通信と同様にデータ通信専用の通信線の配線を必要としない通信技術として、無線LAN(Local Area Network)などの無線通信技術がある。無線通信では、空間的伝送路である無線区間に遮蔽物があると通信状況が悪化する。例えば工場内の通信システムとして無線通信システムを用いた場合には、工場の操業に伴って作業員やクレーン等の移動機器が無線区間を横切ることによって無線通信の通信状況が一時的に悪化し、データ誤りが増加する場合がある。
このように、データ通信専用の通信線の配線が不要な通信技術には、データ誤りが発生し易く、データ通信の信頼性が低くい、といった共通の問題がある。工場等に敷設される通信システムでは、このようなデータ誤りが多発すると、操業が停止したり、予期せぬ事故が発生したりする虞がある。そこで、このような問題を解決するための技術が従来より種々提案されており、その一例としては特許文献1や特許文献2に開示の技術が挙げられる。特許文献1には、電力線通信と無線通信を併用することで通信の信頼性を向上させる技術が開示されている。特許文献2には、伝送対象のデータの種類に応じて電力線通信と無線通信の何れか一方或いは両方を用いるといった具合にデータの種類に応じて通信媒体を使い分けることで高品質な通信を実現する技術が開示されている。
しかし、特許文献1に開示の技術では電力線通信或いは無線通信においてデータ誤りが発生した場合について考慮されていない。一般にデータ誤りが発生すると、データの再送信が必要になるため、データの送信先における単位時間当たりのデータ処理量、すなわちスループットが低下する。つまり、特許文献1に開示の技術では、スループットの低下を招かないようにすることについて何ら考慮されていない。この点は特許文献2に開示の技術についても同様である。もっとも、データ誤りが発生したとしてもデータの再送を行わないようにすればスループットの低下を招かないようにすること、すなわち、スループットを確保することは可能ではあるが、データ通信の信頼性が損なわれてしまう。
本発明は以上に説明した課題に鑑みて為されたものであり、所定のエリア(例えば数km程度の半径のエリア)をカバーする通信システムを構築する際に、その構築コストを抑えつつ、データ通信の信頼性の確保やスループットの確保に柔軟に対処できるようにする技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、所定のエリア(例えば、数km程度の半径のエリア)をカバーするのに好適な通信システムとして、以下の通信装置を複数含む通信システムを提供する。この通信装置は、複数の通信手段と、以下の通信制御手段とを有する。通信制御手段は、通信相手となる他の通信装置へ送信するデータを複数の通信手段の全てにより送信する一方、他の通信装置から送信されたデータを複数の通信手段の少なくとも1つにより受信したこと、または他の通信装置から送信されたデータを複数の通信手段の全てにより受信したこと、の何れかを他の通信装置とのデータ通信完了の判定基準として他の通信装置とデータ通信する。上記複数の通信手段の各々の具体例としては、他の通信装置と無線通信する無線通信手段、および電力線を介して他の通信装置と通信する電力線通信手段が挙げられる。この種の通信手段を備えた通信装置を用いて通信システムを構築すれば、データ通信専用の通信線を新たに配線する必要はなく、通信システムの構築コストを抑えることができることは前述した通りである。また、データ通信完了の判定基準、換言すれば後続処理の実行契機を、他の通信装置から送信されたデータを複数の通信手段の全てにより受信したこととするのか、それとも、複数の通信手段の少なくとも1つによりデータを受信したこととするのかについては、他の通信装置から受信するデータの種類、他の通信装置の種類、或いは自装置の複数の通信手段の各々による通信状況に応じて切り換えるようにしても良く、また予め定められたスケジュールにしたがって切り換えるようにしても良い。
本発明の通信システムでは、他の通信装置へ送信するデータは複数の通信手段の各々により別個独立かつ同時に送信される。このように別個独立に送信された全てのデータに同時にデータ誤りが発生する可能性は低いため、上記各通信手段を単独で用いる場合に比較してデータ通信の信頼性を向上させることができる。信頼性の確保についての優先度がさらに高いデータについては、複数の通信手段の全てによりデータを受信したこと、或いは、複数の通信手段の全てによりデータ誤りのないデータを受信したことを、データ通信完了の判定基準とすれば、データ通信の信頼性を一層向上させることができる。これに対してスループットの確保が優先されるデータについては、複数の通信手段の少なくとも1つにより受信したことを後続処理の実行契機とすれば良い。上記複数の通信手段の各々による通信のうちの少なくとも1つが成功していれば、後続処理を何ら問題なく実行することができるからである。なお、複数の通信手段の少なくとも1つにより受信したことをデータ通信完了の判定基準とする態様においては、上記複数の通信手段の各々による通信が全て失敗した場合にデータの再送信を行うようにすれば良い。
より好ましい態様においては、通信制御手段は、複数の通信手段の各々について、他の通信装置との通信が失敗するまで通信速度を予め定められた初期値から徐々に引き上げる制御を行うとともに、通信が失敗した時点の通信速度に応じて初期値を更新する。このような制御の具体例としては、TCPにおけるスロースタートが挙げられる。このような態様によれば、各通信媒体における輻輳の発生を避けつつデータ通信を行うことが可能になる。さらに好ましい態様においては、通信制御手段は、複数の通信手段の各々について通信が失敗した時点の通信速度を記憶装置に書き込み、複数の通信手段による通信が全て失敗したことを契機として、記憶装置に記憶されている通信速度に応じて初期値を更新することを特徴とする。詳細については後述するが、このような態様によれば、輻輳の発生を回避しつつ、データの再送信が頻発しない程度の通信速度でデータ通信を行うことが可能になる。
また、別の好ましい態様においては、通信制御手段は、複数の通信手段の各々について通信の成否を示す情報を記憶装置に書き込み、当該記憶装置に記憶されている情報に応じて1または複数の通信手段を選択し、当該選択した通信手段を用いてデータを再送信することを特徴とする。詳細については後述するが、このような態様によれば効率良くデータの再送信を行うことが可能になる。
また、別の好ましい態様においては、通信制御手段は、データの送信先の通信装置へ至る通信経路として複数の通信媒体により冗長化された冗長化通信経路が複数ある場合には、各冗長化通信経路を介したデータ通信の通信品質に応じて選択した1つの冗長化通信経路を介してデータを送信することを特徴とする。データの送信元の通信装置から当該データの宛先の通信装置へ1または複数の他の通信装置を介して至る冗長化通信経路が複数ある場合に、各冗長化通信経路の通信品質に応じて選択した1つの冗長化通信経路、例えば最も通信品質の高い冗長化通信経路を選択してデータを送信することで、データの再送信が行われる確率を引き下げ、通信システム全体のスループットの低下を回避することが可能になる。
また、別の好ましい態様においては、通信制御手段は、複数の通信手段のうちの少なくとも1つを用いて、当該複数の通信手段のうちの他の通信手段に関する通信情報と他の通信装置へ送信するデータとを送信することを特徴とする。
また、上記課題を解決するために本発明は、複数の通信手段と、通信相手となる他の通信装置へ送信するデータを複数の通信手段の各々により送信する一方、他の通信装置から送信されたデータを複数の通信手段の全てにより受信したこと、および複数の通信手段の少なくとも1つにより受信したことの何れか一方を契機として後続処理を実行する通信制御手段と、を有する通信装置、を提供する。このような通信装置を用いて数km程度の半径のエリアをカバーする通信システムを構築すれば、構築コストを抑えつつ、データ通信の信頼性の確保やスループットの確保に柔軟に対処することが可能になる。
本発明の別の態様としては、CPU(Central Processing Unit)などのコンピュータを上記通信制御手段として機能させるプログラムを提供する態様が考えられ、このようなプログラムの具体的な提供態様としては、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)やDVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に当該プログラムを書き込んで配布する態様や、インターネットなどの電気通信回線経由のダウンロードにより配布する態様が考えられる。通信線とは異なる通信媒体を介して各々通信する複数の通信手段を有する既存の通信装置のCPUを上記プログラムにしたがって作動させることで、当該通信装置を本発明の通信装置として機能させることが可能になるからである。
以上説明したように、本発明によれば、数km程度の半径のエリアをカバーする通信システムを構築する際に、その構築コストを抑えつつ、データ通信の信頼性の確保やスループットの確保に柔軟に対処することが可能になる。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
(A:第1実施形態)
(A−1:構成)
図1は、本発明の第1実施形態の通信システム1の構成例を示す図である。図1に示す通信システム1は、数km程度の半径のエリア内のデータ通信を実現するシステムである。本実施形態の通信システム1は、工場内に敷設され、当該工場内に設置された各種機器への電力の供給状況を表すデータを収集するための電力監視システムである。図1の通信装置10Aと通信装置10Bは、上記工場内に敷設された電力線40に接続されている。電力線40は、上記工場内に設置された電動機等の各種機器に電力を供給するためのものである。なお、通信システム1に含まれる各装置(通信装置10A、通信装置10B、上位機器20、および計測機器30)についても電力線40を介して電力を供給しても良く、他の電源から電力を供給しても良い。
(A:第1実施形態)
(A−1:構成)
図1は、本発明の第1実施形態の通信システム1の構成例を示す図である。図1に示す通信システム1は、数km程度の半径のエリア内のデータ通信を実現するシステムである。本実施形態の通信システム1は、工場内に敷設され、当該工場内に設置された各種機器への電力の供給状況を表すデータを収集するための電力監視システムである。図1の通信装置10Aと通信装置10Bは、上記工場内に敷設された電力線40に接続されている。電力線40は、上記工場内に設置された電動機等の各種機器に電力を供給するためのものである。なお、通信システム1に含まれる各装置(通信装置10A、通信装置10B、上位機器20、および計測機器30)についても電力線40を介して電力を供給しても良く、他の電源から電力を供給しても良い。
図1に示すように、通信装置10Aには上位機器20が接続されており、通信装置10Bには計測機器30が接続されている。上位機器20は例えばパーソナルコンピュータである。上位機器20は、各種機器への電力の供給状況を表すデータを予め定められた周期Tで収集する装置である。計測機器30は、各種機器に供給される電力を計測するためのセンサである。本実施形態では、上位機器20は、計測機器30に対して上記電力の計測結果を示す計測データの送信を要求する処理を周期Tで繰り返し実行し、計測機器30は上位機器20からの要求に応じて計測データを返信する。通信装置10Aと通信装置10Bは、例えばネットワークアダプタであり、上位機器20と計測機器30との間のデータ通信を中継する。通信装置10Aと通信装置10Bには、各々固有の識別情報(例えば、通信アドレス)が予め割り当てられている。
より詳細に説明すると、通信装置10Bは、計測機器30の出力データを通信装置10Aへ送信する送信装置であり、通信装置10Bにはその通信相手となる通信装置10Aの識別情報が予め記憶されている。一方、通信装置10Aは通信装置10Bから送信されてくるデータを受信して上位機器20に与える受信装置である。通信装置10Aにもその通信相手となる通信装置10Bの識別情報が予め記憶されている。図1を参照すれば明らかように、通信装置10Aの構成と通信装置10Bの構成は同一である。このため、両者を区別する必要がない場合には単に「通信装置10」と表記する。また、図1に示す通信システム1には、計測機器と当該計測機器に接続された通信装置の組が1組だけ含まれているが、複数組含まれていても勿論良い。上位機器と当該上位機器に接続された通信装置の組についても同様である。
通信装置10は、通信線とは異なる通信媒体を別個独立に同時に用いて1つのデータを送受信するように構成されており、この点に本実施形態の特徴がある。具体的には、通信装置10は、通信相手への送信対象のデータを電力線40経由で当該相手装置へ送信するのと並列に同データを無線通信により当該通信相手に送信するように構成されており、この点に本実施形態の特徴がある。通信装置10をこのように構成した理由は以下の通りである。電力線40には、当該電力線40から電力の供給を受ける様々な機器が接続されており、これらの機器からのノイズが電力線40に伝搬するため、電力線40を介したデータ通信がこのノイズの影響により失敗する場合がある。通信装置10Aと通信装置10Bとの間の無線通信についても、通信システム1が設置されている工場の操業に伴って様々な影響が生じる場合があり、常に成功するとは限らない。例えば、通信装置10Aと通信装置10Bとの間の無線区間を遮蔽物が横切る等した場合には、データ通信が失敗する場合がある。
通信装置10Aと通信装置10Bとの間のデータ通信を電力線通信と無線通信の何れか一方のみで行うとした場合、上記ノイズの影響や遮蔽物の影響等に起因してデータ通信の失敗が発生したとしてもデータ通信の信頼性に影響が生じないようにするには、失敗したデータ通信に係るデータを再送信するしかない。このような再送信が多発すると周期Tで計測データを収集することが困難になり、システム全体のスループットが低下してしまう。これに対して本実施形態では、電力線通信と無線通信の両方が同時に失敗しない限り、伝送対象のデータはその宛先へ伝送されるため、何れか一方の失敗であれば再送信の必要はない。このため、本実施形態によれば、通信装置間のデータ通信を電力線通信と無線通信の何れか一方で行う通信システムに比較してスループットの低下が発生することはない。これが、1つのデータを複数種の通信媒体を同時に使用して送受信するように通信装置10を構成した理由である。以下、本実施形態の特徴を顕著に示す通信装置10を中心に説明する。
図1に示すように通信装置10は、通信制御部110、電力線通信部120、無線通信部130、およびインタフェース(以下、「I/F」と略記)部140を有する。電力線通信部120、無線通信部130およびI/F部140は、図示せぬバスを介して通信制御部110に接続されている。なお、通信装置10Aと通信装置10Bの構成要素を区別する必要がある場合には符号「A」または「B」を付与して表記する。例えば、通信装置10Aの通信制御部110と通信装置10Bの通信制御部110を区別する必要がある場合には、前者を「通信制御部110A」と表記し、後者を「通信制御部110B」と表記する。
電力線通信部120は電力線40に接続されている。電力線通信部120は、通信制御部110による制御の元、電力線40に接続された他の通信装置と当該電力線40を介してデータリンク層以下のプロトコル階層のデータ通信、例えばODFM等のマルチキャリア通信によるデータ通信を行う。より詳細に説明すると、電力線通信部120は、通信制御部110から与えられたデータを電力線40を介してその宛先となる他の通信装置へ送信する一方、電力線40を介して受信したデータを通信制御部110に与える。本実施形態において他の通信装置とは、通信装置10Aから見れば通信装置10Bのことであり、通信装置10Bから見れば通信装置10Aのことである。
無線通信部130は、通信制御部110による制御の下、2.4GHz帯或いは5GHzの無線通信チャネルを用いて他の通信装置とデータリンク層以下のプロトコル階層のデータ通信を行う無線通信モジュールである。無線通信部130は、通信制御部110から与えられたデータを上記無線通信チャネルを介してその宛先となる他の通信装置へ送信する一方、上記無線通信チャネルを介して他の通信装置から受信したデータを通信制御部110に与える。I/F部140は、シリアルインタフェースやパラレルインタフェースなど、各種外部機器を接続するための外部機器インタフェースの集合体である。I/F部140Aには上位機器20が接続されており、I/F部140Bには計測機器30が接続されている。I/F部140は、その接続先の外部機器から受け取ったデータを通信制御部110に与える一方、通信制御部110から与えられたデータを当該外部機器へと送出する。
通信制御部110は、CPUと、当該CPUに本実施形態の特徴を顕著に示す処理を実行させる通信プログラムの記憶された記憶部と、を含んでいる(図1では何れも図示略)。通信制御部110は、上記通信プログラムにしたがって上記CPUを作動させることで、電力線通信部120、無線通信部130およびI/F部140の作動制御を行い、計測データを収集するためのデータ通信を行う。具体的には、通信制御部110Aは通信装置10Bに対して計測データの送信を要求し、通信装置10Bから返信されてくる計測データを上位機器20へ送信する。これに対して、通信装置10Bは通信装置10Aからの要求に応じて計測データを返信する。
本実施形態では、上記要求を表すデータ、計測データ、これらデータの受信をその送信元へ通知するための確認応答を表すデータの送信態様に特徴の一つがある。通信制御部110は、他の通信装置へ送信するデータを電力線通信部120により当該他の通信装置へ送信するとともに当該データを無線通信部130により当該他の通信装置へ送信する制御を行う。これにより、他の通信装置への送信対象のデータは電力線通信部120と無線通信部130の各々により別個独立かつ同時に送信される。そして、通信制御部110は、電力線通信部120によるデータ通信と無線通信部130によるデータ通信の両方が失敗した場合にのみデータの再送信を行う。この点も本実施形態の特徴の一つである。
本実施形態において、電力線通信部120によるデータ通信が失敗したとは、電力線通信部120によりデータを送信した時刻を起算点として所定のタイムアウト時間が経過するまでにそのデータの受信を通知する確認応答が返信されてこないことを言う。したがって、電力線通信部120によるデータ通信の失敗には、電力線通信部120により送信したデータがその宛先に届かなかった場合やその宛先に届いたもののビット誤り等のデータ誤りが発生していた場合の他に、上記宛先から返信された確認応答がその伝送過程で消失した場合や当該確認応答にビット誤りが発生した場合が含まれる。無線通信部130によるデータ通信の失敗についても同様である。
以上が通信装置10の構成である。
以上が通信装置10の構成である。
(A−2:動作)
次いで、図面を参照しつつ通信システム1におけるデータの伝送手順を説明する。
図2は、電力線通信と無線通信の両者が成功した場合の通信シーケンスを示す図である。前述したように本実施形態では、上位機器20は計測データの送信を要求する電文等を表すリクエストデータREQ010を周期Tで通信装置10Aに与える。通信制御部110AはI/F部140Aを介してリクエストデータREQ010を受け取ると、当該リクエストデータREQ010を電力線通信部120Aに与えるとともに無線通信部130Aにも与える。図2では、電力線通信部120Aに与えられるリクエストデータと無線通信部130Aに与えられるリクエストデータの区別を明瞭にするため、前者には符号REQ012が付与されており、後者には符号REQ013が付与されている。
次いで、図面を参照しつつ通信システム1におけるデータの伝送手順を説明する。
図2は、電力線通信と無線通信の両者が成功した場合の通信シーケンスを示す図である。前述したように本実施形態では、上位機器20は計測データの送信を要求する電文等を表すリクエストデータREQ010を周期Tで通信装置10Aに与える。通信制御部110AはI/F部140Aを介してリクエストデータREQ010を受け取ると、当該リクエストデータREQ010を電力線通信部120Aに与えるとともに無線通信部130Aにも与える。図2では、電力線通信部120Aに与えられるリクエストデータと無線通信部130Aに与えられるリクエストデータの区別を明瞭にするため、前者には符号REQ012が付与されており、後者には符号REQ013が付与されている。
電力線通信部120AはリクエストデータREQ012を電力線40を介して通信装置10Bへ送信し、無線通信部130AはリクエストデータREQ013を無線通信により通信装置10Bへ送信する。電力線通信部120Bは電力線40を介してリクエストデータREQ012を受信すると、当該リクエストデータREQ012を通信制御部110Bに与えるとともに確認応答ACK012を返信する。無線通信部130Bも同様に、リクエストデータREQ013を受信すると、当該リクエストデータREQ013を通信制御部110Bに与えるとともに確認応答ACK013を返信する。
図2に示すように確認応答ACK012は、リクエストデータREQ012の辿った通信経路を逆順に辿って通信制御部110Aに到達し、確認応答ACK013は、リクエストデータREQ013の辿った通信経路を逆順に辿って通信制御部110Aに到達する。通信制御部110Aは、確認応答ACK012と確認応答ACK013のうちの先に受け取った方を確認応答ACK010として上位機器20に与えるとともに、これら確認応答の受信により、電力線通信によるリクエストデータの伝送と無線通信によるリクエストデータの伝送が共に成功したことを検出する。なお、本実施形態では、確認応答ACK012と確認応答ACK013のうちの先に受け取った方を確認応答ACK010として上位機器20に与える場合について説明したが、後から受け取った方を確認応答ACK010として上位機器20に与えても良い。
通信制御部110Bは、リクエストデータREQ012とリクエストデータREQ013のうち先に受け取った方をリクエストデータREQ010とし、I/F部140Bを介して計測機器30に与える。計測機器30はリクエストデータREQ010を受信すると、計測データDATA020を返信する。通信制御部110BはI/F部140Bを介して計測データDATA20を受け取ると、当該計測データDATA20を電力線通信部120Bに与えるとともに無線通信部130Bにも与える。図2では、電力線通信部120Bに与えられる計測データと無線通信部130Bに与えられる計測データの区別を明瞭にするため、前者には符号DATA022が付与されており、後者には符号DATA023が付与されている。
電力線通信部120Bは計測データDATA022を電力線40を介して通信装置10Aへ送信し、無線通信部130Bは計測データDATA023を無線通信により通信装置10Aへ送信する。電力線通信部120Aは電力線40を介して計測データDATA022を受信すると、当該計測データDATA022を通信制御部110Aに与えるとともに確認応答ACK022を返信する。無線通信部130Aも同様に、計測データDATA023を受信すると、当該計測データDATA023を通信制御部110Aに与えるとともに確認応答ACK023を返信する。
図2に示すように確認応答ACK022は、計測データDATA022の辿った通信経路を逆順に辿って通信制御部110Bに到達し、確認応答ACK023は、計測データDATA023の辿った通信経路を逆順に辿って通信制御部110Bに到達する。通信制御部110Bは、確認応答ACK022と確認応答ACK023のうちの先に受け取った方を確認応答ACK020として計測機器30に与えるとともに、これら確認応答の受信により電力線通信による計測データの伝送と無線通信による計測データの伝送が共に成功したことを検出する。一方、通信制御部110Aは、計測データDATA022と計測データDATA023のうち先に受け取った方を計測データDATA020とし、I/F部140Aを介して上位機器20に与える。これにより、一回分の計測データの収集が完了する。
次いで、電力線通信と無線通信の何れか一方が失敗した場合の動作を図3を参照しつつ説明する。図3には、確認応答ACK022の伝送過程で障害が発生し、計測データDATA022の送信時点から所定のタイムアウト時間が経過しても通信制御部110Bが確認応答ACK022を受信しなかった場合、すなわち、通信装置10Aと通信装置10Bの間の電力線通信が失敗した場合の通信シーケンスが例示されている。図3では、×印で当該障害、具体的には確認応答ACK022の消失が表現されている。
従来の通信装置では、データを送信してから所定のタイムアウト時間が経過するまでに当該データの受信を通知する確認応答を当該データの宛先から受信しない場合には、当該データの再送信が行われていた。これに対して本実施形態では、通信制御部110Bは計測データDATA022の送信時点から所定のタイムアウト時間が経過するまでに確認応答ACK022を受信していない場合であっても、確認応答ACK023を受信していれば、電力線通信部120Bによる計測データDATA022の再送信を行わない。これは、確認応答ACK023を受信したということは計測データDATA023が通信装置10Aに正しく到達したことを意味しており、この計測データDATA023を上位機器20に与えれば、以後の処理に何らの支障は生じないからである。
ここで、図3に示す通信シーケンスを実現するには、計測データの再送制御として図4に示す処理を通信制御部110Bに実行させるようにすれば良い。図4に示す処理は、計測データの送信を契機として通信制御部110Bが実行を開始する処理である。通信制御部110Bは、まず、タイムアウトの発生を検知するためのカウンタtrを0に初期化し(ステップSA100)、確認応答ACK022の受信の有無を判定する(ステップSA110)。なお、図4では、確認応答ACK022は「PLCAck」と表記されている。このステップSA110の判定結果が“Yes”であれば、通信制御部110Bは当該再送制御を終了する。確認応答ACK022を受信したということは計測データDATA022がその宛先へ正しく到達したことを意味し、計測データの再送信は不要だからである。
ステップSA110の判定結果が“No”である場合には、通信制御部110Bは、確認応答ACK023の受信の有無を判定し(ステップSA120)、その判定結果が“Yes”であれば、当該再送制御を終了する。確認応答ACK023を受信した場合も、計測データの再送信は不要だからである。なお、図4では、確認応答ACK023は「無線Ack」と表記されている。また、本実施形態では確認応答ACK022の受信の有無を判定した後に確認応答ACK023の受信の有無を判定する場合について説明したが、両者の判定順序を入れ替えても良い。
ステップSA120の判定結果が“No”である場合には、通信制御部110Bは、カウンタtrの値がタイムアウト時間に対応する値trmaxより大きいか否かを判定し(ステップSA130)、その判定結果が“No”であれば、カウンタtrを所定値Δtだけカウントアップ(ステップSA140)してステップSA110以降の処理を実行する。逆に、ステップSA130の判定結果が“Yes”であれば、通信制御部110Bは計測データDATA020を電力線通信部120Bと無線通信部130Bの各々に与えて再送信する(ステップSA150)。
本動作例では、通信制御部110Bは確認応答ACK023を受信するため、ステップSA120の判定結果が“Yes”となり、ステップSA150の処理は実行されないのである。なお、本動作例では、通信装置10Aから通信装置10Bに返信された確認応答ACK022が消失した場合について説明したが、通信装置10Bから通信装置10Aに送信された確認応答ACK023のみが消失した場合も同様に計測データの再送信は行われない。
図5は、計測データDATA022の伝送過程と計測データDATA023の伝送過程の両方で障害が発生した場合の通信シーケンスを示す図である。この場合、通信装置10Aから通信装置10Bへ確認応答ACK022および確認応答ACK023が返信されることはない。このため、図4のフローチャートにおけるステップSA110およびステップSA120の判定結果は常に“No”となり、計測データを送信してから所定のタイムアウト時間が経過するとステップSA130の判定結果は“Yes”となってステップSA150の処理が実行される。つまり、図5に示すように、通信装置10Bから通信装置10Aへ計測データDATA022と計測データDATA023が再送信される。
以上説明したように本実施形態では通信装置10Aと通信装置10Bとの間のデータ通信は、電力線40経由の通信と無線通信により冗長化されており、何れか一方のみを用いる場合に比較してデータ通信の信頼性を向上させることができる。加えて、本実施形態で電力線通信と無線通信の両方が失敗しない限りデータの再送信は発生しないため、データ通信が失敗する毎に再送信を行う場合に比較してスループットが低下することもない。このように、本実施形態によれば、数km程度の半径のエリアをカバーする通信システムを構築する際に、その構築コストを抑えつつ、データ通信の信頼性を確保し、かつスループットの低下を招かないようにすることが可能になる。
(A−3:第1実施形態の変形)
以上本発明の第1実施形態について説明したが、この実施形態を以下のように変形しても勿論良い。
(1)上記実施形態では、通信システム1に2台の通信装置10が含まれていたが3台以上の通信装置10が含まれていても良い。また、上記実施形態では、工場に設置される通信システムへの本発明の適用例を説明したが、本発明の適用対象は工場に設置される産業用通信システムには限定されず、オフィス等に設置される社内情報通信用の通信システムであっても良く、また、家庭内に敷設される通信システムであっても良い。要は、最大でも数km程度の半径のエリアをカバーする通信システムであって、通信線とは異なる通信媒体を介して通信する複数種の通信手段を有する通信装置を複数含む通信システムであれば本発明を適用可能である。
以上本発明の第1実施形態について説明したが、この実施形態を以下のように変形しても勿論良い。
(1)上記実施形態では、通信システム1に2台の通信装置10が含まれていたが3台以上の通信装置10が含まれていても良い。また、上記実施形態では、工場に設置される通信システムへの本発明の適用例を説明したが、本発明の適用対象は工場に設置される産業用通信システムには限定されず、オフィス等に設置される社内情報通信用の通信システムであっても良く、また、家庭内に敷設される通信システムであっても良い。要は、最大でも数km程度の半径のエリアをカバーする通信システムであって、通信線とは異なる通信媒体を介して通信する複数種の通信手段を有する通信装置を複数含む通信システムであれば本発明を適用可能である。
(2)上記実施形態では、上位機器20と計測機器30との間のデータ通信を中継するネットワークアダプタへの本発明の適用例を説明したが、通信線とは異なる通信媒体を介して通信する複数の通信手段を有する通信装置であれば、スイッチングハブ或いはルータなどの一般的な中継装置であっても良く、また、上位機器20や計測機器30などデータ伝送経路の終端に位置する通信装置であっても良い。伝送経路の終端に位置する通信装置に本発明を適用する場合には当該通信装置がI/F部140を有している必要はない。つまり、I/F部140は本発明の通信装置の必須構成要素ではなく、省略可能である。
また、上記実施形態では、通信線とは異なる通信媒体を介して通信を行う通信手段の具体例として電力線通信部120と無線通信部130を挙げたが、各々異なる無線通信チャネルを用いて無線通信する複数の無線通信部を上記通信手段として用いても良く、また、各々異なる電力線を介して通信する複数の電力線通信部を上記通信手段として用いても良い。他にも光を用いて通信する光通信部や音を用いて通信する音響通信部を上記通信手段として用いても良い。要は、通信線とは異なる通信媒体を介して通信する複数の通信手段を有する通信装置であれば本発明を適用可能である。
また、上記実施形態では、他の通信装置へ送信するデータを複数の通信手段の各々により送信するとともに、電力線通信部120および無線通信部130の各々による通信が全て失敗した場合にデータを再送信する制御を通信制御部110に実行させたが、電力線通信部120および無線通信部130の各々がデータの再送信機能、すなわちデータを送信した時点を起算点として所定のタイムアウト時間が経過するまでに確認応答を受信しなかった場合に当該データを再送信する機能を有している場合には、電力線通信部120および無線通信部130の各々による通信が全て失敗したと判定されるまで上記再送信の実行を差し止める処理を通信制御部110に実行させるようにしても良い。
(3)上記実施形態では、通信装置10Aと通信装置10Bの間のデータ通信において、電力線通信と無線通信の両方が失敗した場合には電力線通信と無線通信の両方によりデータを再送信する場合について説明した。しかし、電力線通信部120と無線通信部130の何れか一方のみを優先的に用いてデータを再送信する制御を通信制御部110に行わせても良い。通信装置10Aおよび通信装置10B以外の通信装置が通信システム1に含まれている場合には、電力線40や無線区間等の通信媒体は通信装置10Aおよび通信装置10B以外の通信装置にも利用されるため、全ての通信媒体の通信帯域が再送データにより圧迫されることは好ましくないからである。また、送信対象のデータの種類毎に電力線通信部120と無線通信部130の何れを用いてデータを再送信するのかを定めておき、再送信するデータの種類に応じた方のみを優先的に用いて再送信する制御を通信制御部110に行わせても良い。例えば、送信対象のデータが計測データである場合には無線通信のみで再送信を行い、送信対象のデータが電動機等の機器の制御のための制御データであれば電力線通信のみで再送信を行う、といった具合である。
電力線通信の方が無線通信よりも常に信頼性が高いなど両者の信頼性に恒常的な差があるのであれば、信頼性の高い方のみを用いてデータを再送信することも考えられるが、電力線通信の通信状況や無線通信の通信状況は別個独立に時々刻々と変化するため、何れか一方の信頼性が常に高いとは断言できない。そこで、通信制御部110に、電力線通信部120と無線通信部130を用いてデータを送信する毎にその成否を示す情報を記憶装置に書き込み、両方の通信が失敗したことを契機として当該記憶装置の記憶内容を参照してその時点の信頼性の高い方、すなわち、通信失敗の発生頻度が低い方を用いてデータを再送信する制御を行わせるようにしても良い。ここで、上記記憶装置は通信制御部110に含まれる記憶部であっても良く、通信装置10とは別個の装置、例えばI/F部140に接続されるハードディスク装置や電力線40に接続されたネットワーク対応のハードディスク装置であっても良い。
他の通信装置と通信する複数の通信手段として、各々異なる無線電波を使用する複数の無線通信部を用いる場合や各々異なる電力線を介して通信する複数の電力線通信部を用いる場合も同様である。要は、通信線とは異なる通信媒体を介して各々通信する複数の通信手段と、他の通信装置へ送信するデータを複数の通信手段の各々により送信するとともに複数の通信手段の各々による通信が全て失敗した場合にデータを再送信する通信制御手段とを有する通信装置において、通信制御手段は、複数の通信手段の各々について通信の成否を示す情報を記憶装置に書き込み、当該記憶装置に記憶されている情報に応じて1または複数の通信手段を選択し、当該選択した通信手段を用いてデータを再送信する態様であれば良い。このような態様によれば、別個独立に時々刻々変化する各通信媒体の通信状況に応じて、データの再送信を行う時点において信頼性の高い方を用いてデータを再送信することが可能になる。
(4)上記実施形態では、データリンク層以下のプロトコル階層における通信を行う通信装置への本発明の適用を説明したが、より上位のプロトコル階層の通信を行う通信装置に本発明を適用しても良い。トランスポート層の通信プロトコルの一例であるTCPには、通信装置間のデータ通信を仲介する通信網における輻輳の発生を回避するため、通信網へ送出するデータ量を調整するフロー制御が含まれている。フロー制御とは、図6に示すように、データの送信側の通信装置において通信速度を予め定められた初期値V0から徐々に引き上げ、通信の失敗の発生を契機として通信速度を上記初期値V0まで引き下げた後に再度、通信速度を徐々に引き上げる制御をいう。このようなフロー制御を本発明の通信装置の通信制御部に行わせても良い。なお、通信速度とは単位時間当たりに通信媒体へ送出するデータ量のことを言う。
ここで留意しなければならない、本発明の通信装置では複数の通信手段によるデータの送信を同時並列に行う必要があるため、上記通信速度の初期値、および通信速度を当該初期値から徐々に引き上げるアルゴリズムを複数の通信手段間で共通にする必要がある一方、通信の失敗が発生するタイミングは複数の通信手段間で必ずしも一致しない、という点である。この問題点を解消するため、通信制御部110に以下の制御を行わせるようにすれば良い。すなわち、通信制御部110は、他の通信装置との通信が失敗するまで通信速度を予め定められた初期値から徐々に引き上げる制御を行うとともに複数の通信手段の各々について最初に通信が失敗した時点の通信速度を記憶装置に書き込む。そして、通信制御部110は、1つのデータについての複数の通信手段による通信が全て失敗したことを契機として当該記憶装置に記憶されている通信速度に応じて上記初期値を更新する。
上記初期値の更新態様としては種々の態様が考えられる。例えば、電力線通信部120の方が先に失敗した場合、すなわち、電力線通信が最初に失敗した通信速度VA<無線通信が最初に失敗した通信速度VBの場合、上記初期値を通信速度VAに応じた値、具体的には通信速度VA或いは、通信速度VAより一割小さい値など通信速度VAよりも若干小さい値にする第1の態様と、上記初期値を通信速度VBに応じた値、具体的には通信速度VB或いは通信速度VBよりも若干小さい値にする第2の態様と、上記初期値を通信速度VAおよびVBに応じた値、例えば両者の平均値にする第3の態様の少なくとも3つの態様が考えられる。第1の態様であれば、通信速度の初期値は通信速度VBよりも低いため、少なくとも無線通信については成功する可能性が高く、データの再送信の発生を回避できる可能性が高くなる。これに対して、第2の態様であれば、通信速度を引き上げつつデータ通信を行う過程でデータの再送信が発生する可能性が上記第1の態様よりも高くなるものの、高速なデータ通信を行うこと、すなわちデータ通信の効率向上が期待される。そして、第3の態様であれば、上記第1の態様と第2の態様の中間の効果を期待できる。
また、TCPでは通信の失敗を意味する事象としてデータを送信してから所定のタイムアウト時間以内に確認応答を受信しないことに他に、重複確認応答を3回受信したことが定められており、後者の事象は軽度の輻輳或いは一時的な通信障害を意味している。TCPにしたがって通信する通信装置に本発明を適用する場合には、TCPでは通信の失敗を意味する事象に重複確認応答を3回受信したことを含めても良く、複数の通信手段の各々による通信にて当該事象が発生した場合には、通信速度の引き下げを行わないようにしても良い。前述したように当該事象は軽度の輻輳或いは一時的な通信障害を意味しており、次のデータ送信タイミングでは回復が期待されるからである。
(5)上記実施形態では、通信装置10Aと通信装置10Bとの間のデータ通信の通信経路を通信線とは異なる複数の通信媒体で冗長化し、さらにルータやスイッチングハブなどの他の通信装置を介さずに当該データ通信を行う態様について説明した。しかし、通信装置10Aと通信装置10Bとの間に1または複数の他の通信装置が介在する態様、すなわち、通信装置10Aから送信されたデータが1または複数の他の通信装置による転送を経て通信装置10Bへ伝送される態様も勿論考えられる。データの送信元の通信装置と当該データの宛先の通信装置との間に1または複数の通信装置が介在する場合、図7に示すように、データの送信元の通信装置10Aから当該データの宛先の通信装置10Bへ至る冗長化された通信経路が複数存在する場合がある。
図7に示す例では、各通信装置間の通信経路が電力線通信と無線通信とで冗長化されており、図7では電力線通信の通信経路は実線矢印で、無線通信の通信経路は点線矢印で示されている。以下では複数の通信媒体で冗長化された通信経路のことを「冗長化通信経路」と呼ぶ。図7に示すように、データの送信元の通信装置と当該データの宛先の通信装置との間に冗長化通信経路が複数存在する場合、データの再送信を極力回避するためは最も通信品質の高い通信経路を介してデータ通信を行うことが好ましい。これを実現するには、通信装置10の通信制御部110の記憶部に図8に示す経路管理テーブルを通信媒体毎に記憶させておくとともに、図9に示すデータ送信処理を通信制御部110に実行させるようにすれば良い。
図8は、通信制御部110の記憶部に通信媒体毎に記憶されている経路管理テーブルの一例を示す図である。例えば、図7に示すように通信装置間の通信経路が電力線通信と無線通信とで冗長化されている場合、通信装置10Aの通信制御部110には、電力線通信に関する経路管理テーブルと、同無線通信に関する経路管理テーブルの2種類の経路管理テーブルが記憶されている。図8に示すように、経路管理テーブルには、データの宛先となる通信装置を一意に示す宛先識別子に対応付けて、当該宛先識別子の示す通信装置に至る各通信経路を示す経路識別子と当該通信経路の通信品質を示す品質指標値とが格納されている。本変形例では、宛先識別子としてデータの宛先となる通信装置の通信アドレスが用いられている。図8では、通信装置10Bの通信アドレスは“addrB”と、通信装置10Xの通信アドレスは“addrX”と、通信装置10Yの通信アドレスは“addrY”と、通信装置10Zの通信アドレスは“addrZ”と、表記されている。本変形例では、経路識別子として、データの送信元を上流、データの宛先を下流とした場合において、一つ下流側の通信装置、すなわち、自装置から直接データを転送される通信装置の通信アドレスが用いられる。
品質指標値としては、通信経路上に存在する複数の通信装置間の各データ通信における受信信号強度に応じて求められる値、例えば、それら受信信号強度の平均値や最小値或いは最大値等の統計値、または換算値を用いることが考えられる。ここでは本変形例の品質指標値として受信信号強度の平均値に基づく0から15までの換算値が用いられており、その値が大きいほど通信品質が高いことを意味している。本変形例では、通信制御部110は、通信品質が一定の水準以上の通信経路、すなわち品質指標値が所定閾値以上の通信経路に関するデータのみが経路管理テーブルに格納されるように、経路管路テーブルの格納内容を随時更新する。より詳細に説明すると、通信制御部110は、通信システム1への自装置の接続を契機として接続済みの他の通信装置10から通信媒体毎の経路管理テーブルを取得して記憶部に書き込むとともに、自装置を介してデータ通信が行われる毎にそのデータ通信における品質指標値を通信経路毎に算出し、その算出結果に応じて経路管理テーブルの格納内容を更新する。
図9は、通信制御部110が実行するデータ送信処理の流れを示すフローチャートである。図9に示すように、このデータ送信処理では、通信制御部110は、まず、冗長化通信経路が複数あるか否かを判定する(ステップSB010)。より詳細に説明すると、通信制御部110は、データの宛先に対応する宛先識別子に対応付けて電力線通信に関する経路管理テーブルに格納されている経路識別子を読み出し、経路識別子についての第1の集合を生成する。次いで、通信制御部110は、データの宛先に対応する宛先識別子に対応付けて無線通信に関する経路管理テーブルに格納されている経路識別子を読み出し、経路識別子についての第2の集合を生成する。そして、通信制御部110は、第1の集合と第2の集合に重複して含まれている経路識別子、すなわち第1および第2の集合の直積集合に含まれている経路識別子が複数ある場合に、複数の冗長化通信経路があると判定する。
通信制御部110は、ステップSB010の判定結果が“Yes”であればステップSB020以降の処理を実行する。これに対して、ステップSB010の判定結果が“No”である場合、すなわち、冗長化通信経路が1つの場合には、通信制御部110は当該冗長化通信経路経由でデータが送信されるように、電力線通信部120と無線通信部130の作動制御を行う(ステップSB040)。
ステップSB010の判定結果が“Yes”である場合に実行されるステップSB020では、通信制御部110は複数の冗長化通信経路の各々について、冗長化通信経路全体の通信品質を示す総合品質指標値を算出する。具体的には、通信制御部110は冗長化通信経路に各々について、無線通信についての品質指標値と電力線通信についての品質指標値の和を算出し、当該和の値を総合品質指標値とする。例えば、前掲図7に示すように、通信装置10Aから通信装置10Bへ至る冗長化通信経路として、通信装置10Xを経由する経路(以下、経路X)、通信装置10Yを経由する経路(以下、経路Y)および通信装置10Zを経由する経路(以下、経路Z)の3つの経路があり、電力線通信に関する経路X、経路Y、および経路Zの品質指標値が15、12、8である一方、無線通信に関する経路X、経路Y、および経路Zの品質指標値が5、12、10であったとする。この場合、経路X、経路Y、および経路Zの各経路の総合品質指標値は、それぞれ、20、24、18となる。
次いで、通信制御部110は、ステップSB020にて算出した総合品質指標値に応じて1つの冗長化通信経路を選択し(ステップSB030)、前述したステップSB040の処理を実行する。本変形例における品質指標値は、大きな値である程、通信品質が良好であることを意味している。したがって、ステップSB020にて算出された総合品質指標値もその値が大きいほど高い通信品質を意味する。このため、本変形例のステップSB030では、総合指標値が最大の冗長化通信経路を通信制御部110に選択させるようにすれば良い。経路X、経路Y、および経路Zの各経路の総合指標値がそれぞれ、20、24、18であったとすると、通信制御部110は経路Yを選択し、この経路Yに沿ってデータが送信されるように、電力線通信部120と無線通信部130の作動制御を行う。本態様によれば、複数想定される冗長化通信経路のうち最も通信品質の良い冗長化通信経路を選択することで電力線通信と無線通信の両方が失敗してデータの再送信が発生する確率を低減させ、スループットの低下を回避することができる。
(6)上記変形例(5)では、データの送信元の通信装置から当該データの宛先の通信装置へ至る冗長化通信経路が複数存在する場合について説明したが、冗長化通信経路を構成する各通信経路の通信品質は各々別個独立に変化し、各通信媒体に対応する経路管理テーブルの格納内容も別個独立に更新されるため、前述した直積集合が空集合になること、すなわち、冗長化通信経路が1つも存在しないことが起こり得る。そこで、データの宛先へ至る冗長化通信経路が1つも存在しない場合に備えて、図9に示すデータ送信処理を図10のように変形しても良い。図10に示すデータ送信処理が図9に示すデータ送信処理と異なるのは、ステップSB010に先立って冗長化通信経路が存在するか否かを判定するステップSB005を含む点、このステップSB005の判定結果が“Yes”である場合にステップSB010以降の処理が実行される点、およびステップSB005の判定結果が“No”である場合に実行されるステップSB050以降の処理を含む点である。以下、変形例(5)との相違点であるステップSB005の処理およびステップSB050以降の処理を中心に説明する。
ステップSB005では、通信制御部110は、電力線通信に関する経路管理テーブルと無線通信に関する経路管理テーブルとを参照し、冗長化通信経路があるか否かを判定する。このステップSB005では、通信制御部110は、前述したステップSB010における処理と同様に上記第1および第2の集合を生成し、当該第1の集合と第2の集合に重複して含まれる経路識別子が1つも無い場合に、冗長化通信経路は存在しないと判定する。なお、本変形例では、ステップSB005にて第1および第2の集合を生成済であるため、ステップSB005の判定結果が“Yes”である場合に実行されるステップSB010においてこれら集合を改めて生成する必要はない。
ステップSB005の判定結果が“No”である場合に実行されるステップSB050では、通信制御部110は、通信品質が最も高い電力線通信の通信経路と通信品質が最も高い無線通信の通信経路を比較対象として両者の通信品質を比較し、前者の方が後者よりも通信品質が高いか否かを判定する。そして、通信制御部110は、ステップSB050の判定結果が“Yes”である場合には、電力線通信のみによってデータが送信されるように電力線通信部120の作動制御を行い(ステップSB060)、ステップSB050の判定結果が“No”である場合には、無線通信のみによってデータが送信されるように無線通信部130の作動制御を行う(ステップSB070)。本態様によれば、電力線通信と無線通信とにより冗長化された通信経路が存在しない場合であっても、データ通信に失敗する確率を低減させ、データの再送信に起因するスループットの低下を回避することが可能になる。
本変形例では、冗長化通信経路が存在しない場合には、無線通信と電力線通信のうち通信品質の高い方を選択したが、両者の差が所定の閾値未満であるなど、両者に差がない場合には予め定められた方を選択しても良く、また、品質指標値以外の第2の指標値を用いて選択を行っても良い。第2の指標値の具体例としては、経路識別子の示す通信装置との間のデータ通信の通信エラーレートを用いることが考えられる。このような第2の指標値を用いた選択を可能にするため、図11に示すように、経路識別子に対応付けて当該第2の指標値を経路管理テーブルに格納しておいても良い。
(B:第2実施形態)
次いで、本発明の第2実施形態について説明する。図12は、本実施形態の通信システム2における通信手順を示すシーケンス図である。図12では、第1実施形態の通信システム1におけるものと同一の構成要素には同一の符号が付されている。図12と図2とを対比すれば明らかように、通信システム2と通信システム1の相違点は、通信装置10Aおよび通信装置10Bに代えて通信装置12Aおよび通信装置12Bを設けた点にある。以下では、通信装置12Aと通信装置12Bとを区別する必要がない場合には「通信装置12」と表記する。通信装置12と通信装置10の相違点は、通信制御部110に代えて通信制御部112を設けた点である。以下では、通信装置12Aの構成要素と通信装置12Bの構成要素を区別する必要がある場合には、「通信制御部112A」或いは「通信制御部112B」のように表記する。電力線通信部120や無線通信部130についても同様の表記とする。
次いで、本発明の第2実施形態について説明する。図12は、本実施形態の通信システム2における通信手順を示すシーケンス図である。図12では、第1実施形態の通信システム1におけるものと同一の構成要素には同一の符号が付されている。図12と図2とを対比すれば明らかように、通信システム2と通信システム1の相違点は、通信装置10Aおよび通信装置10Bに代えて通信装置12Aおよび通信装置12Bを設けた点にある。以下では、通信装置12Aと通信装置12Bとを区別する必要がない場合には「通信装置12」と表記する。通信装置12と通信装置10の相違点は、通信制御部110に代えて通信制御部112を設けた点である。以下では、通信装置12Aの構成要素と通信装置12Bの構成要素を区別する必要がある場合には、「通信制御部112A」或いは「通信制御部112B」のように表記する。電力線通信部120や無線通信部130についても同様の表記とする。
図12と図2を対比すれば明らかなように、本実施形態における通信手順は、符号CONF003および符号ACK003により示されるシーケンスを含む点が図2の通信手順と異なる。より詳細に説明すると、通信制御部112Aは、データ通信の開始に先立って、図12に示すように、通信相手となる通信装置12Bとの間の無線通信において使用される通信情報CONF003を電力線通信経由で相手装置へ送信する。通信情報CONF003は、例えば無線通信に使用するチャネルや変調方式を示す情報など、無線通信における通信リンクの確立ためのネゴシエーションの際に使用される情報である。
通信制御部112Bは電力線通信部120Bを介して通信情報CONF003を受け取ると、通信情報CONF003にしたがって無線通信部130Bの設定変更、すなわち、通信チャネルの変更或いは変調方式の変更を行い、確認応答ACK003を返信する。通信制御部112Aは電力線通信部120Aを介して確認応答ACK003を受信すると、通信相手側での設定変更の完了を検知し、電力線通信および無線通信を同時並列に用いたデータ通信を開始する。以降のデータ通信のシーケンスは第1実施形態と同一である。
ここで注目すべき点は、本実施形態では、通信装置12Aと通信装置12B間の無線通信は、上位機器20による収集対象の計測データの伝送のみに用いられる一方、通信装置12Aと通信装置12B間の電力線通信は当該計測データの伝送と無線通信についての通信情報の伝送とに併用される点である。このような構成とした理由は以下の通りである。
従来、データ通信を仲介する通信媒体の環境が変化した場合には、通信チャネルや変調方式を変更することで対応することが一般的であった。通信チャネルや変調方式を変更する場合、変更先の変調方式等を示す通信情報の通信を上記通信媒体経由、すなわちデータ通信に使用される通信媒体経由、で行うと、通信情報の伝送に使用される帯域の分だけ本来のデータ通信のスループットが低下する。前述したように、無線通信は、ノイズ等による影響を受けやすく、通信チャネルや変調方式の変更が頻発すると上記スループットの低下が一層深刻になる虞がある。これに対して本実施形態によれば、無線通信に関する通信情報CONF03の伝送は、無線通信におけるものとは異なる通信媒体を介して行われる。このため、無線通信のスループットが低下することはない。なお、無線通信に関する通信情報CONF03の伝送の分だけ電力線通信のスループットが低下する虞があるが、本実施形態では無線通信と電力線通信の両方が同時に失敗しない限りデータの再送信を行う必要はなく、特段の問題は生じない。
本実施形態によれば、第1実施形態と同一の効果が奏されることに加えて、無線通信のスループットを低下させることなく無線通信環境の変化に迅速に対応することが可能になる、といった効果が奏される。なお、本実施形態では、無線通信と電力線通信の2つの通信のうち、前者をデータ伝送のみに用い、後者をデータ伝送と他方の通信に関する通信情報の伝送に用いた。しかし、無線通信と電力線通信の役割を入れ替えても良く、無線通信と電力線通信の各々における通信速度やエラー発生率等の通信状況に応じて、何れを併用回線とするのかを切り換える処理を通信制御部112に行わせるようにしても良い。また、上記変形例(1)〜(6)を本実施形態に適用しても勿論良い。
(C:第3実施形態)
電力線通信と無線通信を同時並列に用いてデータを送信する場合、電力線通信と無線通信の何れか一方の通信が成功していれば受信側において後続処理を実行可能である。この点に着目し、第1および第2実施形態では、電力線通信と無線通信の両方が失敗しない限りデータの再送信を行わなかった。このようにすることで、スループットの低下を回避できることは前述した通りである。
電力線通信と無線通信を同時並列に用いてデータを送信する場合、電力線通信と無線通信の何れか一方の通信が成功していれば受信側において後続処理を実行可能である。この点に着目し、第1および第2実施形態では、電力線通信と無線通信の両方が失敗しない限りデータの再送信を行わなかった。このようにすることで、スループットの低下を回避できることは前述した通りである。
第1および第2実施形態のように、電力線通信と無線通信の両方が失敗しない限りデータの再送信を行わない態様においては、受信側における後続処理の実行契機、すなわち、データ通信完了と判定する判定基準は、「電力線通信と無線通信の少なくとも一方によりデータを受信したこと」となる。これに対して、従来と同様に電力線通信と無線通信の各々についてデータ通信の成功/失敗を判定し、通信媒体毎に再送信を行う態様も勿論考えられる。この態様であれば、「電力線通信と無線通信の両方によりデータを受信したこと」を契機として、或いは「電力線通信と無線通信の両方によりデータ誤りのない正しいデータを受信したこと」を契機として、後続処理を実行する等、伝送データの信頼性を確保しつつ後続処理を実行することが可能になる。スループットの確保よりもデータの信頼性の確保が優先される場合には、後者の態様のほうが好ましいことは言うまでもない。
スループットの確保が優先されるのか、それとも、伝送データの信頼性の確保が優先されるのかは、伝送データの種類に応じて定まることが一般的である。例えば、計測データの送信を要求する旨のリクエストデータ等の制御指令が伝送データであればスループットの確保が優先され、計測データが伝送データであれば信頼性の確保が優先される、といった具合である。データ通信完了の判定基準として、「電力線通信と無線通信の少なくとも一方によりデータを受信したこと」を採用するのか、それとも「電力線通信と無線通信の両方により正しいデータを受信したこと」を採用するのかを、伝送データの種類に応じて切り換えることができると便利である。後者の判定基準を採用する場合、受信データ毎に伝送経路を判別できることが前提となる。
特許文献3に開示の技術等の先行技術では、データを伝送するためのデータブロックに伝送経路を示す伝送経路情報を書き込んでおくことで伝送経路の判別を可能にしていた。データブロックとは、通信システムにおけるデータの送受信単位のことを言い、データリンク層においては上記データブロックはフレームであり、ネットワーク層においてはパケットである。しかし、このような態様では伝送経路情報の分だけデータブロックのデータサイズが大きくなり、通信エラーの発生率が増加したり、データの伝送効率が低下するという不具合があった。本実施形態の特徴は、デーブロックのデータサイズを大きくすることなく上記判別を行うことが可能で、さらに、データ通信完了の判定基準を切り換えが可能なように構成されている点にある。
図13は、本実施形態の通信システム4の構成例を示す図である。図13では図1におけるものと同一の構成要素には同一の符号が付されている。図13と図1とを対比すれば明らかなように、通信システム4と通信システム1の相違点は、通信装置10Aおよび通信装置10Bに代えて通信装置14Aおよび通信装置14Bを設けた点にある。以下、通信装置14Aおよび通信装置14Bを区別する必要がない場合には、「通信装置14」と表記する。図13と図1を対比すれば明らかなように、通信装置14と通信装置10の相違点は、通信制御部110に代えて通信制御部114を設けた点にある。本実施形態においても、通信装置14Aの構成要素と通信装置14Bの構成要素を区別する必要がある場合には、「通信制御部114A」或いは「通信制御部114B」といった具合に表記する。電力線通信部120や無線通信部130等の他の構成要素についても同様の表記とする。
通信制御部114は、ユーザの指示に応じてデータ通信完了の判定基準を切り換える。本実施形態では、通信装置14Bは、通信装置14Aから送信されたリクエストデータ、すなわち制御指令を受信して計測機器30に転送する通信装置である。制御指令についてはスループットの確保が優先されるのであるから、ユーザは、無線通信と電力線通信の少なくとも一方によりリクエストデータを受信したことをそのリクエストデータについてのデータ通信完了の判定基準とする旨の指示を通信装置14Bに与える。通信制御部114Bは、この指示に応じてデータ通信完了の判定基準を設定し、電力線通信部120Bと無線通信部130Bの少なくとも一方により上記リクエストデータを受信したことを契機として後続処理を実行する。
一方、通信装置14Aは、通信装置14Bから送信された計測データを受信して上位機器20へ転送する通信装置である。計測データについてはデータの信頼性の確保が優先されるのであるから、ユーザは、無線通信と電力線通信の両方によりデータ誤りのない正しい計測データを受信したことをデータ通信完了の判定基準とする旨の指示を通信装置14Aに与える。通信制御部114Aは、この指示に応じてデータ通信完了の判定基準を設定し、電力線通信部120Aと無線通信部130Aの両方によりデータ誤りのない正しいデータを受信したことを契機として後続処理を実行する。
図13では詳細な図示を省略したが、本実施形態では、電力線通信部120と無線通信部130に各々を一意に示すモジュール識別子が割り当てられており、この点も第1実施形態と異なる。モジュール識別子は、通信システム4において当該モジュール識別子の割り当て先の通信モジュールを一意に示すデータある。つまり、電力線通信部120Aと無線通信部130Aに互いに異なるモジュール識別子が割り当てられることは勿論、電力線通信部120Aと電力線通信部120Bにも互いに異なるモジュール識別子が割り当てられる。モジュール識別子の具体例としては、電力線通信部120と無線通信部130の各々に割り当てられているMAC(Media Access Control address)アドレスが挙げられる。なお、通信装置14がネットワーク層の通信プロトコルにしたがってデータの送受信を行う装置である場合、電力線通信部120と無線通信部130の各々に異なるIP(Internet Protocol)アドレスを割り当て、それらIPアドレスをモジュール識別子として用いても良い。
本実施形態において、モジュール識別子は以下のように使用される。図14は、通信システム4において通信装置14間で送受信されるデータブロックのデータ構造を示す図である。図14に示すように、通信システム4において送受信されるデータブロックは、送信先識別子、送信元識別子、シーケンスコード、データおよび誤り訂正符号を含んでいる。送信先識別子は、上記データブロックの送信先を示すデータであり、送信元識別子は上記データブロックの送信元を示すデータである。例えば、電力線を介して通信装置14Aから通信装置14Bへ送信されるデータブロックには、通信制御部114Aによって、上記送信元識別子として電力線通信部120Aのモジュール識別子がセットされるとともに上記送信先識別子として電力線通信部120Bのモジュール識別子がセットされる。つまり、モジュール識別子は、通信システム4において送受信されるデータブロックの送信元或は送信先を示す識別子として使用される。
図14におけるシーケンスコードは、通信制御部114がデータを送信する毎に自動生成する一連番号である。シーケンスコードは、無線通信と電力線通信の両方によりデータ誤りのない正しいデータを受信したことがデータ通信完了の判定基準となっている通信装置において、データブロックを受信した際に当該データブロックに含まれているデータを別の伝送経路経由で受信済であるか否かを判定する際に利用される。通信制御部114は、第1実施形態における通信制御部110と同様に、計測データ或は制御指令を通信相手へ送信する際に、1つのデータを無線通信と電力通信の両方を同時並列に用いて送信する。より詳細に説明すると、通信制御部114は、送信対象のデータを書き込んだデータブロックを2つ生成し、一方を電力線通信部120に与えるとともに他方を無線通信部130に与える。
このとき、通信制御部114は、同一のデータを書き込んだデータブロックには同一のシーケンスコードを付与する。このため、データブロックの受信側の通信制御部114は受信したデータブロックに書き込まれているシーケンスコードを参照することでそのデータブロックに書き込まれているデータを他の伝送経路経由で既に受信済みであるか否かを判定することができる。誤り訂正符号は、例えばCRC(Cyclic Redundancy Check)であり、データブロックの受信側において当該データブロックにビット誤り等の不具合が発生しているか否かを判定する際に使用される。図14に示すように、本実施形態において通信装置14間で送受信されるデータブロックには、特許文献3に開示の技術におけるもののような伝送経路情報は含まれておらず、データブロックのデータサイズが不必要に大きくなることはない。
通信制御部114は、第1実施形態の通信制御部110と同様にCPUと記憶部を有する(図13では図示略)。図13では詳細な図示を省略したが、通信制御部114の記憶部には、通信モジュール管理テーブルが記憶されており、この点も第1実施形態と異なる。通信モジュール管理テーブルには、自装置の通信相手となる他の通信装置に搭載されている複数の通信モジュール(本実施形態では、電力線通信部120および無線通信部130)の各々に割り当てられているモジュール識別子に対応づけて、当該モジュール識別子の示す通信モジュールの使用する通信媒体を示す媒体識別子が格納されている。例えば本実施形態では、媒体識別子として1バイトの文字コードが用いられている。具体的には、電力線を示す媒体識別子として0x31が用いられており、無線を示す媒体識別子として0x30が用いられている。
本実施形態では、通信装置14Aから見た通信相手の他の通信装置は通信装置14Bであり、通信装置14Bから見た通信相手の他の通信装置は通信装置14Aである。このため、通信装置14Aの通信モジュール管理テーブルには、電力線通信部120Bに割り当てられているモジュール識別子に対応付けて媒体識別子として0x31が格納されているとともに、無線通信部130Bに割り当てられているモジュール識別子に対応付けて媒体識別子として0x30が格納されている。同様に、通信装置14Bの通信モジュール管理テーブルには、電力線通信部120Aに割り当てられているモジュール識別子に対応付けて媒体識別子として0x31が格納されているとともに、無線通信部130Aに割り当てられているモジュール識別子に対応付けて媒体識別子として0x30が格納されている。詳細については後述するが、通信モジュール管理テーブルの格納内容は、通信相手から受信したデータブロックの伝送経路、すなわち、無線経由のデータブロックであるかそれとも電力線経由のデータブロックであるかを判別する際に利用される。
前述したように、通信装置14Bでは、電力線通信部120Bと無線通信部130Bの少なくとも一方によりデータブロックを受信したことが、データ通信完了の判定基準となっている。このため、電力線通信部120B或は無線通信部130Bを介してデータブロックを受信した際に通信制御部114Bが実行する処理は、第1実施形態において通信制御部110が実行する処理と特段に変わるところはない。これに対して、通信装置14Aでは、電力線通信部120Aと無線通信部130Aの両方によりデータ誤りのない正しいデータを受信したことが、データ通信完了の判定基準となっており、電力線通信部120A或は無線通信部130Aを介してデータブロックを受信した際に通信制御部114Aが実行する処理(以下、データブロック受信処理)は、第1実施形態において通信制御部110が実行する処理とは大きく異なる。よって、以下では、通信制御部114Aが実行するデータブロック受信処理を中心に説明する。
図15は、通信制御部114Aが実行するデータブロック受信処理の流れを示すフローチャートである。このデータブロック受信処理は、電力線通信部120A或は無線通信部130Aを介してデータブロックを受信する毎に実行される処理である。図15に示すように通信制御部114Aは、まず、受信データブロックの伝送経路を判別する(ステップSC100)。より詳細に説明すると、通信制御部114Aは、受信データブロックの送信元識別子を検索キーとして自装置の通信モジュール管理テーブルを検索し、当該送信元識別子に対応付けて通信モジュール管理テーブルに格納されている媒体識別子を取得する。そして、通信制御部114Aは、取得した媒体識別子が電力線を示す場合には、受信データブロックの伝送経路を電力線と判別し、取得した媒体識別子が無線を示す場合には、受信データブロックの伝送経路を無線と判別する。
次いで、通信制御部114Aは、受信データブロックと同一のシーケンスコードを有するデータブロックを受信済であるか否かを判定する(ステップSC110)。なお、図15のステップSC110では、シーケンスコードは「SC」と略記されている。より詳細に説明すると、通信制御部114Aは、受信データブロックに含まれているシーケンスコードと同一のシーケンスコードを含む受信記録情報が自装置の記憶部に記憶されている場合に、受信データブロックと同一のシーケンスコードを有するデータブロックを受信済と判定する。なお、受信記録情報の詳細については後に明らかにする。ステップSC110の判定結果が“No”である場合には、通信制御部114Aは、ステップSC120の処理を実行する。これに対して、ステップSC110の判定結果が“Yes”である場合には、通信制御部114Aは、ステップSC150の処理を実行する。
ステップSC110の判定結果が“No”である場合に実行されるステップSC120では、通信制御部114Aは、受信データブロックのCRCを用いて当該受信データブロックに含まれているデータにデータ誤りが発生しているか否かを判定する。データ誤りが発生していると判定した場合(ステップSC120:Yes)、通信制御部114は、受信データブロックを破棄して(ステップSC130)、データブロック受信処理を終了する。これに対してステップSC120の判定結果が“No”である場合、すなわち、受信データブロックにデータ誤りが発生していないと判定した場合には、通信制御部114Aは、当該受信データブロックに含まれているシーケンスコードとステップSC100にて取得した媒体識別子とを対応づけて受信記録情報を生成し(ステップSC140)、当該受信記録情報を記憶部に書き込んだ後にデータブロック受信処理を終了する。
例えば、計測データを伝送するために通信装置14Bから無線区間と電力線の各々に同時並列に送信されたデータブロックのうち、無線区間経由のデータブロックのほうが先に通信装置14Aに到達したとする。この場合、無線区間経由のデータブロックを通信制御部114Aが受信する時点では、当該データブロックに含まれているシーケンスコードを有する受信記録情報は記憶部には格納されていない。このため、ステップSC110の判定結果は“No”となり、ステップSC120の処理が実行される。無線区間経由のデータブロックにデータ誤りが発生していなければ、ステップSC120の判定結果は“No”となり、ステップSC140の処理が実行される。すなわち、無線区間経由のデータブロックに含まれていたシーケンスコードと無線を示す媒体識別子とを含む受信記録情報が通信制御部114Aの記憶部に格納される。これに対して、通信装置14Bから電力線経由で送信されたデータブロックの受信時点では、当該データブロックに含まれているものと同一のシーケンスコードを含む受信記録情報が記憶部に格納されているため、ステップSC110の判定結果は“Yes”となり、ステップSC150の処理が実行される。
ステップSC150では、通信制御部114Aは、受信データブロックの伝送経路が既に受信済みのデータブロックの伝送経路と同一であるか否かを判定する。具体的には、通信制御部114Aは、受信データブロックに含まれているシーケンスコードと同一のシーケンスコードを含む受信記録情報に含まれている媒体識別子と、当該受信データブロックについてステップSC100にて取得した媒体識別子とが同一である場合に、受信データブロックの伝送経路が既に受信済みのものと同一であると判定する。そして、ステップSC150の判定結果が“Yes”である場合、すなわち、受信データブロックの伝送経路が既に受信済みのものと同一であった場合には、通信制御部114AはステップSC130の処理を実行してデータブロック受信処理を終了する。これは、同一伝送経路経由で再送されたデータブロックの受信に起因する誤動作を回避するためである。
本動作例では通信制御部114Aの記憶部に格納されている受信記録情報の示す伝送経路は無線であるため、通信装置14Bから電力線経由で送信されたデータブロックの受信を契機として実行されたデータブロック受信処理におけるステップSC150の判定結果は“No”となる。ステップSC150の判定結果が“No”である場合、通信制御部114Aは、受信データブロックのCRCを用いて当該受信データブロックに含まれているデータにビット誤り等のデータ誤りが発生しているか否かを判定する(ステップSC160)。このステップSC160の処理内容はステップSC120の処理内容と同一である。通信制御部114は、ステップSC160の判定結果が“Yes”である場合には、前述したステップSC130の処理を実行してデータブロック受信処理を終了する。これに対して、ステップSC160の判定結果が“No”である場合には、通信制御部114Aは、受信データブロックに含まれているデータを用いて後続処理を実行する(ステップSC170)。
以上が本実施形態におけるデータブロック受信処理である。
以上が本実施形態におけるデータブロック受信処理である。
電力線通信と無線通信の何れか一方の成功をデータ通信完了の判定基準とする場合のデータの再送制御については上記第1実施形態と同一であり、この場合は第1実施形態と同様の効果が得られる。これに対して、電力線通信と無線通信の両方の成功をデータ通信完了の判定基準とする場合の再送制御は従来技術と同様であり、この場合はスループットの低下が生じる虞があるものの、伝送データの信頼性を確保することが可能になる。つまり、本実施形態によれば、データ通信の信頼性の確保やスループットの確保に柔軟に対処することが可能になる。なお、上記変形例(1)〜(6)を本実施形態に適用しても勿論良い。本実施形態においても通信線の敷設は不要であるため、システム構築コストを抑えることができるのであるが、通信媒体として通信線を用いる通信システムにおいても、スループットの確保が優先されるのか、それとも、伝送データの信頼性の確保が優先されるのかに応じてデータ通信完了の判定基準を切り換えができると便利であると考えられる。そこで、通信媒体として通信線を用いる通信システムに本態様を適用しても良い。
本実施形態では、ユーザの指示に応じてデータ通信完了の判定基準を通信制御部114に設定させた。しかし、通信相手となる他の通信装置から受信するデータの種類に応じて通信制御部114にデータ通信完了の判定基準を自動設定させても良い。具体的には、通信装置14間で伝送されるデータブロックにそのデータブロックに書き込まれているデータの種別を示すデータ種別識別子を付与し、当該データ種別識別子の値に応じて上記判定基準を切り換える処理を通信制御部114に実行させれば良い。
また、通信相手となる他の通信装置がコントローラであるのかそれともIO装置であるのか、或はコントローラ側の通信装置であるのかそれともIO装置側の通信装置であるのか等の通信相手となる他の通信装置の種類に応じてデータ通信完了の判定基準を通信制御部114に自動設定させても良い。通信相手となる他の通信装置の種類に応じて当該通信装置から送信されてくるデータの種類は定まるからである。このような態様を実現するには、前述したモジュール識別子に対応付けてそのモジュール識別子の示す通信モジュールを有する通信装置の種別を示す装置種別識別子を通信モジュール管理テーブルに格納しておき、受信データブロックの送信元識別子を検索キーとしてその受信データブロックの送信元の通信装置の種別を通信制御部114に判定させ、その判定結果に応じてデータ通信完了の判定基準を切り換える処理を通信制御部114に実行させるようにすれば良い。
また、電力線通信部120や無線通信部130などの複数の通信手段の各々による通信状況に応じて通信制御部114にデータ通信完了の判定基準を自動設定させても良い。例えば、複数の通信手段の各々における単位時間当たり通信エラーの発生頻度を計測し、全ての通信手段について単位時間当たり通信エラーの発生頻度が第1の閾値未満となっていれば、複数の通信手段の全てによりデータを受信したことをデータ通信完了の判定基準とし、単位時間当たり通信エラーの発生頻度が第1の閾値未満である通信手段の数が第2の閾値を下回ったことを契機として、複数の通信手段の少なくとも1つによりデータを受信したことをデータ通信完了の判定基準とする、といった具合である。このような態様によれば、通信環境が動的に変化する状況下で通信環境の劣化に起因するスループットの低下を回避することができる。
また、データ通信の発生頻度等が時間帯毎に異なる場合には、予め定められたスケジュールにしたがって、データ通信完了の判定基準を切り換えるようにしても良い。例えば通信環境が良好と推定される時間帯或いは通信環境が良好である旨の測定結果が得られている時間帯については複数の通信手段の全てによりデータを受信したことをデータ通信完了の判定基準とし、その他の時間帯については複数の通信手段の少なくとも1つによりデータを受信したことをデータ通信完了の判定基準とする、といった具合である。
本実施形態では、通信制御部114の記憶部に通信モジュール管理テーブルが予め格納されていた。しかし、電力線通信部120には末尾が偶数のモジュール識別子を割り当て、当該電力線通信部120と対になる無線通信部130、すなわち、当該電力線通信部120を有する通信装置14が有する無線通信部130には、当該電力線通信部120のモジュール識別子に1を加算したモジュール識別子を割り当てるといった具合に一定の規則にしたがってモジュール識別子を割り当てる場合には、通信モジュール管理テーブルを通信制御部114の記憶部に格納しておく必要はない。上記規則にしたがってステップSC150の判定を行うことができるからである。
1,2,4…通信システム、10,10A,10B,12,12A,12B,14,14A,14B…通信装置、110,112,114…通信制御部、120…電力線通信部、130…無線通信部、140…I/F部、20…上位機器、30…計測機器、40…電力線。
Claims (9)
- 複数の通信手段を有する通信装置を複数含む通信システムにおいて、
複数の前記通信装置の各々は、
他の通信装置から送信されたデータを複数の通信手段の少なくとも1つにより受信したこと、または他の通信装置から送信されたデータを複数の通信手段の全てにより受信したこと、の何れかを他の通信装置とのデータ通信完了の判定基準として他の通信装置とデータ通信する通信制御手段を有する
ことを特徴とする通信システム。 - 前記通信制御手段は、
他の通信装置から受信するデータの種類、または自装置の複数の通信手段の各々による通信状況に応じて前記判定基準を切り換える
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。 - 前記通信制御手段は、
通信相手となる他の通信装置へ送信するデータを複数の通信手段の全てにより送信し、
他の通信装置におけるデータ通信完了の判定基準が複数の通信手段の少なくとも1つによるデータの受信である場合には、自装置の複数の通信手段の各々による通信が全て失敗した場合にデータを再送信する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通信システム。 - 前記通信制御手段は、
自装置の複数の通信手段の各々について通信の成否を示す情報を記憶装置に書き込み、当該記憶装置に記憶されている情報に応じて1または複数の通信手段を選択し、当該選択した通信手段を用いてデータを再送信する
ことを特徴とする請求項3の何れか1項に記載の通信システム。 - 前記通信制御手段は、
他の通信装置との通信が失敗するまで通信速度を予め定められた初期値から徐々に引き上げる制御を行うとともに自装置の複数の通信手段の各々について通信が失敗した時点の通信速度を記憶装置に書き込み、自装置の複数の通信手段による通信が全て失敗したことを契機として前記記憶装置に記憶されている通信速度に応じて前記初期値を更新する
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の通信システム。 - 前記通信制御手段は、
自装置の複数の通信手段のうちの少なくとも1つを用いて、当該複数の通信手段のうちの他の通信手段に関する通信情報と他の通信装置へ送信するデータとを送信する
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の通信システム。 - 前記複数の通信手段には、他の通信装置と無線通信する無線通信手段と電力線を介して他の通信装置と通信する電力線通信手段とが含まれる
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の通信システム。 - 前記通信制御手段は、
データの送信先の通信装置へ至る通信経路として複数の通信媒体により冗長化された冗長化通信経路が複数ある場合には、各冗長化通信経路を介したデータ通信の通信品質に応じて選択した1つの冗長化通信経路を介してデータを送信する
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の通信システム。 - 複数の通信手段と、
他の通信装置から送信されたデータを前記複数の通信手段の少なくとも1つにより受信したこと、または他の通信装置から送信されたデータを前記複数の通信手段の全てにより受信したこと、の何れかを他の通信装置とのデータ通信完了の判定基準として他の通信装置とデータ通信する通信制御手段を有する
を有することを特徴とする通信装置。
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