以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明の実施の形態の動作を行うプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列に行われる処理であるが、必ずしも時系列に処理されなくても、並列的又は個別に実行される処理をも含んでもよい。
また、本実施の形態で説明される各機能をハードウェアで実現するか、ソフトウェアで実現するかは問わない。つまり、本実施の形態で説明される各ブロック図は、ハードウェアのブロック図と考えても、ソフトウェアの機能ブロック図と考えてもよい。例えば、各ブロック図は、回路デバイス等のハードウェアで実現されてもよく、図示しないプロセッサ等の演算装置上で実行されるソフトウェアで実現されてもよい。
また、本実施の形態で説明されるブロック図の各ブロックは、その機能が実施されればよく、それらの各ブロックで構成が分離されなくてもよい。
なお、本実施の形態のそれぞれにおいて、特に記述しない項目については実施の形態1〜4と同様とし、同一の機能及び構成については同一の符号を用いて述べることとする。
また、本実施の形態は、単独で実施されてもよく、組み合わせて実施されてもよい。いずれの場合においても、下記で説明する有利な効果を奏することとなる。
また、本実施の形態のそれぞれで説明する各種値及びフラグ等の設定例は一例を示すだけであり、特にこれらに限定されない。
また、本実施の形態において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における無線通信システム1の全体構成の一例を示す図である。図1に示すように、無線通信システム1は、無線センサ11と、ゲートウェイ装置31と、センサ情報管理サーバ33と、認証サーバ35とを備えている。ゲートウェイ装置31、センサ情報管理サーバ33、及び認証サーバ35は、例えば、有線LAN65を介して接続されている。
ここで、無線センサ11は、図1に示すように、例えば、親無線センサ41、無線中継センサ51_1、無線中継センサ51_2、子無線センサ53_1、子無線センサ53_2、子無線センサ53_3、及び子無線センサ53_4等である。
すなわち、無線センサ11は、親無線センサ41、無線中継センサ51_1、無線中継センサ51_2、子無線センサ53_1、子無線センサ53_2、子無線センサ53_3、及び子無線センサ53_4の何れかを示す用語であって、これらの上位概念を意味する用語として用いることとする。
親無線センサ41、無線中継センサ51_1、無線中継センサ51_2、子無線センサ53_1、子無線センサ53_2、子無線センサ53_3、及び子無線センサ53_4のそれぞれは、無線媒体61を介して接続される。
無線センサ11は、例えば、下位側装置21と、上位側装置23とに分類される。下位側装置21は、例えば、無線中継センサ51_1、無線中継センサ51_2、子無線センサ53_1、子無線センサ53_2、子無線センサ53_3、及び子無線センサ53_4等である。上位側装置23は、例えば、親無線センサ41である。
無線センサ11のうち、例えば、親無線センサ41は、シリアル63を介してゲートウェイ装置31に接続されている。シリアル63は、例えば、USB(Universal Serial Bus)等のシリアルバス規格に準拠したデバイスである。つまり、親無線センサ41は、上位側のインタフェースとして、シリアル63と接続するためのシリアルインタフェースと、無線媒体61と接続するための無線インタフェースと、を備えている。
無線センサ11のうち、例えば、無線中継センサ51_1及び無線中継センサ51_2のそれぞれは、同じ機能を備え、上位側の装置、例えば、親無線センサ41と、下位側の装置、例えば、子無線センサ53_1〜53_4のそれぞれと、の中継を行う。
例えば、無線中継センサ51_1は、上位側のインタフェースを経由することにより、親無線センサ41と無線媒体61を介して接続される。例えば、無線中継センサ51_1は、下位側のインタフェースを経由することにより、子無線センサ53_1及び子無線センサ53_2のそれぞれと、無線媒体61を介して接続される。
例えば、無線中継センサ51_2は、上位側のインタフェースを経由することにより、親無線センサ41と無線媒体61を介して接続される。例えば、無線中継センサ51_2は、下位側のインタフェースを経由することにより、子無線センサ53_3と、無線媒体61を介して接続される。
なお、無線中継センサ51_1と、無線中継センサ51_2とは、それぞれ上位側のインタフェース及び下位側のインタフェースの何れか一方を経由することにより、無線媒体61を介して接続されてもよい。この場合、無線中継センサ51_1と接続関係にある子無線センサ53_1及び子無線センサ53_2のそれぞれは、無線中継センサ51_2を経由することにより、無線中継センサ51_2と接続関係にある装置、例えば、子無線センサ53_3と接続される。また、同様に、無線中継センサ51_2と接続関係にある子無線センサ53_3は、無線中継センサ51_1を経由することにより、無線中継センサ51_1と接続関係にある装置、例えば、子無線センサ53_1及び子無線センサ53_2と接続される。
無線センサ11のうち、例えば、子無線センサ53_1、子無線センサ53_2、子無線センサ53_3、及び子無線センサ53_4のそれぞれは、同じ機能を備え、上位側の装置、例えば、親無線センサ41、無線中継センサ51_1、及び無線中継センサ51_2のそれぞれと、無線媒体61を介して接続するための上位側のインタフェースを備えていればよく、下位側のインタフェースを備えていなくてもよい。
例えば、子無線センサ53_1及び子無線センサ53_2のそれぞれは、上位側のインタフェースを経由することにより、無線中継センサ51_1と無線媒体61を介して接続される。例えば、子無線センサ53_3は、上位側のインタフェースを経由することにより、無線中継センサ51_2と無線媒体61を介して接続される。例えば、子無線センサ53_4は、上位側のインタフェースを経由することにより、親無線センサ41と無線媒体61を介して接続される。
ゲートウェイ装置31は、シリアル63を収容するシリアルインタフェースの機能と、有線LAN65を収容する有線LANインタフェースの機能とを備えている。ゲートウェイ装置31は、シリアル63と、有線LAN65とのプロトコル相互変換を行うプロトコル変換機能を備えている。
センサ情報管理サーバ33は、有線LAN65を収容する有線LANインタフェースの機能を備えている。センサ情報管理サーバ33は、有線LANインタフェースを経由することにより、それぞれの無線センサ11のセンサ情報を収集する機能を備えている。センサ情報管理サーバ33は、有線LANインタフェースを経由することにより、それぞれの無線センサ11のセンサ情報を管理する機能を備えている。
認証サーバ35は、有線LAN65を収容する有線LANインタフェースの機能を備えている。認証サーバ35は、有線LANインタフェースを経由することにより、それぞれの無線センサ11と各種認証を行う機能を備えている。例えば、認証サーバ35には、RADIUS認証システムがZigBee(登録商標)プロトコルに準拠して実装されていると想定する。この場合、子無線センサ53_4は、図示しないトラストセンターから交付された認証用のチケットを用いて認証サーバ35にネットワークへの参加を認証してもらえばよい。
なお、無線媒体61は、例えば、電波であるが特にこれに限定されない。無線媒体61は、例えば、赤外線、可視光、音波、超音波、及びX線等であってもよい。
なお、無線中継センサ51_1及び無線中継センサ51_2のそれぞれを特に区別しない場合、無線中継センサ51と称する。また、子無線センサ53_1、子無線センサ53_2、子無線センサ53_3、及び子無線センサ53_4のそれぞれを特に区別しない場合、子無線センサ53と称する。また、通常運用時、親無線センサ41、無線中継センサ51、及び子無線センサ53のそれぞれが接続される無線接続構成は、例えば、無線環境等の無線条件に応じて、動的に変更されるシステムとなっている。
なお、上記で説明した下位側装置21は、一例であって、特にこれに限定されない。例えば、子無線センサ53を下位側装置21と総称してもよい。また、上記で説明した上位側装置23は、一例であって、特にこれに限定されない。例えば、図示しない別の親無線センサ41も含めて上位側装置23と総称してもよい。
なお、上記で説明した認証サーバ35は、例えば、ケルベロス認証システムがZigBee(登録商標)プロトコルに準拠して実装されていてもよい。また、認証サーバ35は、RADIUS認証システムやケルベロス認証システムといった複数の認証にシステムが実装されていてもよい。
なお、図1で説明した無線通信システム1の全体構成は一例であって、特にこれに限定されない。例えば、図示しない子無線センサ53が、無線通信システム1に動的に参加し、無線中継センサ51_2を介して親無線センサ41と通信を行ってもよい。また、図示しない無線中継センサ51が、無線通信システム1に動的に参加してもよい。
なお、図1で説明した無線通信システム1において、親無線センサ41の台数、無線中継センサ51の台数、子無線センサ53の台数、ゲートウェイ装置31の台数、センサ情報管理サーバ33の台数、及び認証サーバ35の台数は、一例であって、特に限定されない。
また、ゲートウェイ装置31、センサ情報管理サーバ33、及び認証サーバ35のそれぞれが有線LAN65を介して接続されている一例について説明したが、特にこれに限定されるものではなく、無線媒体61を介して接続されていてもよい。
また、ゲートウェイ装置31、センサ情報管理サーバ33、及び認証サーバ35は、それぞれの機能が実行されるものであれば、同一の筐体に格納されていてもよい。
次に、無線センサ11の詳細について説明する。図2は、本発明の実施の形態1における無線センサ11の機能構成の一例を示す図である。図2に示すように、無線センサ11は、装置管理部81、センサ管理部82、トラヒック情報管理部83、情報格納部84、ルーティング部85、ゲートウェイ側インタフェース制御部91、上位側無線センサインタフェース制御部92、及び下位側無線センサインタフェース制御部93等を備えている。なお、センサ管理部82は、例えば、各種センサ55と各種信号を送受信している。
各種センサ55は、例えば、加速度センサ、圧力センサ、温度センサ、湿度センサ、モーションキャプチャ機能付きカメラ、及び照度センサ等であって、周囲の物理量等を検出する装置である。よって、各種センサ55と、無線センサ11とが連動することにより、遠隔値に各種センサ55のセンシング結果が伝達される。つまり、無線センサ11は、いわゆる無線センサモジュールとして機能する。
装置管理部81は、無線センサ11を統合的に管理する。装置管理部81は、無線センサ11が認証サーバ35と認証を行うときには、クライアントとして機能する。つまり、装置管理部81は、クライアント認証機能を備えている。ここで、認証サーバ35が複数の認証システムに対応する場合、装置管理部81は、認証サーバ35の複数の認証システムに対応する複数のクライアント認証機能を備えてもよい。この場合、トラストセンターが認証用のチケットに加えて認証要求先情報(交付するチケットが対応する認証システム)を交付し、装置管理部81は、交付された認証用のチケットと認証要求先情報とに基づいて複数のクライアント認証機能のうちいずれかの機能を用いて認証サーバ35で認証する。
センサ管理部82は、各種センサ55からセンサ情報を予め定めた収集タイミングで収集する。センサ管理部82は、センサ情報管理サーバ33からの要求に応じた動作を行う。センサ管理部82は、周期的に収集したセンサ情報を予め定めた通知タイミングでセンサ情報管理サーバ33に通知する。
トラヒック情報管理部83は、無線センサ11を通過するトラヒック情報を管理し、情報格納部84にトラヒック情報を格納する。トラヒック情報のうち、通信パケット量については、例えば、後述するパケット送受信情報132として格納される。トラヒック情報のうち、無線輻輳状態については、例えば、後述する無線輻輳情報134として格納される。
トラヒック情報管理部83は、無線センサ11の動作状態を管理し、情報格納部84に動作状態に関する情報を格納する。動作状態は、例えば、後述するように無線センサ11の運用状態であって、無線輻輳状態と紐付けされることにより、無線輻輳情報134の一部として格納される。
トラヒック情報管理部83は、情報格納部84を管理し、例えば、情報格納部84に格納されている各種情報を読み出したり、情報格納部84に格納されている各種情報を更新したり、情報格納部84に各種情報を書き込んだりする。ここで、情報格納部84は、例えば、半導体メモリで構成され、各種情報を保持する。
なお、トラヒック情報は、図1に示される親無線センサ41と、無線中継センサ51と、子無線センサ53との間でやり取りされるトラヒック量だけでなく、図1に示されない各種装置からのトラヒック量を含んでもよい。
ルーティング部85は、無線センサ11に到来したパケットを行き先により振り分ける。ルーティング部85は、図1に示される親無線センサ41と、無線中継センサ51と、子無線センサ53との間でやり取りされるパケットだけでなく、図1に示されない各種装置からのパケットを含めて供給されたパケットを振り分けてもよい。なお、パケットの行き先の振り分け方は特に限定されない。例えば、ルーティング部85は、予め設定されたルーティングプロトコルに応じて、到来したパケットの行き先を振り分けてもよい。
ゲートウェイ側インタフェース制御部91は、ゲートウェイ装置31と、無線センサ11との間で、シリアル通信を行うための機能であって、シリアル通信に対応したプロトコル変換を行う。上位側無線センサインタフェース制御部92は、上位側装置23と、無線センサ11との間で、無線通信を行うための機能であって、各種無線通信に対応したプロトコル変換を行う。下位側無線センサインタフェース制御部93は、下位側装置21と、無線センサ11との間で、無線通信を行うための機能であって、各種無線通信に対応したプロトコル変換を行う。
図3は、本発明の実施の形態1における無線センサ11の詳細な機能構成の一例を示す図である。なお、上記で既に説明した内容についての説明は省略する。図3に示すように、装置管理部81は、例えば、パケット生成部111、無線回線使用量演算部112、無線輻輳状態判定部113、及びパケット送受信制御部114を備えている。また、図3に示すように、情報格納部84は、例えば、無線ネットワークトポロジ情報131、パケット送受信情報132、判断テーブル133、及び無線輻輳情報134等を保持している。
無線ネットワークトポロジ情報131は、それぞれの無線センサ11同士の無線接続形態が定義されている。例えば、無線ネットワークトポロジ情報131は、物理トポロジと、論理トポロジとが定義され、物理トポロジは、無線センサ11同士の物理的な接続構成が定義され、論理トポロジは、データの流れ方を表す論理的な接続構成が定義されている。よって、無線センサ11は、無線ネットワークトポロジ情報131を参照することにより、パケットの送信先を決定することができる。
パケット送受信情報132は、詳細については後述するが、送信パケット数と、受信パケット数とを、予め設定された周期でカウントしたものが設定されたものである。パケット送受信情報132は、例えば、単位時間を1分として、単位時間当たりの送信パケット数及び受信パケット数を時間の経過に応じて格納したテーブル構成となっている。
判断テーブル133は、詳細については後述するが、パケット種別と、無線輻輳状態とに基づいて、パケットを送信するか否かと、パケットを受信するか否かとが決定される決定テーブルとして構成されている。
無線輻輳情報134は、詳細については後述するが、無線センサ11ごとに、無線運用状態と、無線輻輳状態とが紐付けされるテーブルとして構成される。詳細については後述するが、無線輻輳情報134に設定される無線輻輳状態は、無線センサ11により他の無線センサ11に適宜送信される。この動作により、無線通信システム1においては、無線センサ11のそれぞれは、無線媒体61の無線輻輳状態を共有することができる。
よって、判断テーブル133は、条件と、条件に対応した処理とが規定された静的なデータ構成であるのに対し、パケット送受信情報132及び無線輻輳情報134は、無線センサ11の動作に応じて動的に変更される動的なデータ構成となっている。
パケット生成部111は、予め設定された通信プロトコルに準拠して外部に送信するプロトコルを生成する。無線回線使用量演算部112は、無線センサ11が無線媒体61を介して送受信したパケット量に応じて、無線回線使用量を演算する。例えば、無線回線使用量演算部112は、情報格納部84に格納されているパケット送受信情報132に基づいて、無線回線使用量を演算する。無線輻輳状態判定部113は、無線回線使用量に基づいて、無線輻輳状態を判定する。例えば、無線輻輳状態判定部113は、無線回線使用量と、情報格納部84に格納されている判断テーブル133とを用いることにより、無線輻輳状態を判定し、判定結果を無線輻輳情報134として情報格納部84に格納する。
パケット送受信制御部114は、無線輻輳状態に応じて、パケットの送受信を制御する。例えば、パケット送受信制御部114は、情報格納部84に格納されている無線輻輳情報134及び無線ネットワークトポロジ情報131に基づいて、パケットの送受信を制御する。
パケット送受信制御部114は、無線輻輳状態に応じて、パケットの送受信情報を取得してトラヒック情報管理部83を介して情報格納部84に格納する。例えば、パケット送受信制御部114は、外部装置、例えば、ゲートウェイ装置31、上位側装置23、及び下位側装置21の何れかから到来した受信したパケットをトラヒック情報管理部83に供給することにより、トラヒック情報管理部83に受信パケット数をカウントさせ、カウント結果をトラヒック情報管理部83から情報格納部84にパケット送受信情報132として格納させる。
パケット送受信制御部114は、外部装置、例えば、ゲートウェイ装置31、上位側装置23、及び下位側装置21の何れかへ送信するパケットをトラヒック情報管理部83に供給することにより、トラヒック情報管理部83に送信パケット数をカウントさせ、カウント結果をトラヒック情報管理部83から情報格納部84にパケット送受信情報132として格納させる。
次に、無線センサ11の種類に応じたインタフェース制御部の種別について説明する。無線センサ11は、上記で説明したように、親無線センサ41、無線中継センサ51、及び子無線センサ53の何れかを意味する。そこで、図4〜図7を用いてそれらの特徴の差異について説明する。
図4は、発明の実施の形態1における無線センサ11とインタフェース制御部との対応関係テーブルの一例を示す図である。図5は、本発明の実施の形態1における無線センサ11のうち、親無線センサ41の詳細な機能構成の一例を示す図である。図6は、本発明の実施の形態1における無線センサ11のうち、無線中継センサ51の詳細な機能構成の一例を示す図である。図7は、本発明の実施の形態1における無線センサ11のうち、子無線センサ53の詳細な機能構成の一例を示す図である。
図4に示すように、無線センサ11は、無線センサ種別と、インタフェース制御部種別と、に応じて分類される。無線センサ種別は、例えば、親無線センサ41と、無線中継センサ51と、子無線センサ53とに分類される。インタフェース制御部種別は、例えば、ゲートウェイ側インタフェース制御部91と、上位側無線センサインタフェース制御部92と、下位側無線センサインタフェース制御部93とに分類される。
具体的には、図4及び図5に示すように、無線センサ11のうち、親無線センサ41は、ゲートウェイ側インタフェース制御部91と、下位側無線センサインタフェース制御部93とが設けられていればよく、上位側無線センサインタフェース制御部92が設けられなくてもよい。
また、図4及び図6に示すように、無線センサ11のうち、無線中継センサ51は、上位側無線センサインタフェース制御部92と、下位側無線センサインタフェース制御部93とが設けられていればよく、ゲートウェイ側インタフェース制御部91が設けられなくてもよい。
また、図4及び図7に示すように、無線センサ11のうち、子無線センサ53は、上位側無線センサインタフェース制御部92が設けられていればよく、ゲートウェイ側インタフェース制御部91と、下位側無線センサインタフェース制御部93とが設けられなくてもよい。
次に、無線センサ11が、情報格納部84の無線輻輳情報134に設定された無線輻輳状態を他の無線センサ11に送信する場合における無線輻輳状態通知メッセージ構成について説明する。図8は、本発明の実施の形態1における無線輻輳状態通知メッセージ構成の一例を示す図である。図8に示すように、無線輻輳状態通知メッセージは、例えば、MLE(Mesh Link Establishment)コマンドタイプ(Advertisement)と、複数のTLVとで構成される。TLVは、Type(輻輳通知)と、Len(TLVサイズ)と、Val(詳細情報)とで構成される。Val(詳細情報)は、ヘッダ情報と、サイズと、状態通知無線センサアドレスと、無線輻輳状態と、その他情報とで構成される。無線輻輳状態は、例えば、通常、レベル中、及びレベル高の何れかが設定される。その他情報は、未使用となっている。
無線輻輳状態のうち、通常という状態は、例えば、無線センサ11の無線通信に影響を与えない程度のトラヒック量が無線センサ11同士を行き来している状態である。無線輻輳状態のうち、レベル中という状態は、例えば、無線センサ11の無線通信に影響を与えているトラヒック量が無線センサ11同士を行き来している状態である。無線輻輳状態のうち、レベル高という状態は、例えば、レベル中よりもさらに、無線センサ11の無線通信に影響を与えているトラヒック量が無線センサ11同士を行き来している状態である。
つまり、無線輻輳状態のうち、通常という状態は、無線センサ11の無線通信状態が輻輳状態となっていない状態である。また、無線輻輳状態のうち、レベル中という状態は、無線センサ11の無線通信状態が輻輳状態となっていないものの、さらに無線通信が行われれば輻輳状態に至る状態である。また、無線輻輳状態のうち、レベル高という状態は、無線センサ11の無線通信状態が輻輳状態となっている状態であり、無線センサ11の無線通信状態の輻輳状態の程度が最も高い状態である。
このような無線センサ11の無線通信状態の輻輳状態を通知する無線輻輳状態通知メッセージは、パケット生成部111で生成され、パケット単位で無線センサ11のパケット送受信制御部114からルーティング部85を介して無線通信システム1内の他の無線センサ11に送信される。例えば、仮に、無線センサ11のうち、無線中継センサ51が無線輻輳状態通知メッセージを他の無線センサ11に送信する場合には、親無線センサ41と、子無線センサ53とに送信される。
次に、無線輻輳状態が通常、レベル中、及びレベル高の何れであるかを判断する判断テーブル133について図9を用いて説明する。図9は、本発明の実施の形態1におけるパケット送受信時の判断テーブル133の一例を示す図である。図9に示すように、判断テーブル133は、パケット種別と、無線輻輳状態とに基づいて、パケットの送受信の制御方法について規定されるものである。
パケット種別は、例えば、パケット送信という項目と、新規接続パケット受信という項目とに分類される。パケット種別のうち、パケット送信という項目は、パケットを送信する動作に対応する。パケット種別のうち、新規接続パケット受信という項目は、新規接続155の要求が到来し、受信動作を行うか否かの動作に対応する。具体的には、パケット送信は、さらに、優先度に応じて複数に分類される。パケット送信は、主に、非優先である場合と、非優先でない場合とに分類される。非優先でない場合とは、例えば、通常と、優先と、最優先とに分類される。
なお、非優先でない場合については、上記3つの場合に限定されず、例えば、優先と、最優先とで分類されてもよい。また、パケット種別は、最優先だけであってもよく、優先だけであってもよく、通常だけであってもよく、非優先だけであってもよい。
無線輻輳状態は、上記で説明したように、例えば、通常という状態と、レベル中という状態と、レベル高という状態とに分類される。なお、無線輻輳状態は、上記3つの場合に限定されず、例えば、通常であるか否か、つまり、無線輻輳状態となっていない場合と、無線輻輳状態となっている場合とで分類されてもよい。
次に、パケット種別と、無線輻輳状態とに応じて、処理する動作が判断テーブル133で判断されることにより、パケットの送受信の制御が決定される詳細例について説明する。パケット送信動作としては、例えば、設定した送信遅延時間に応じて送信する動作と、送信せずに廃棄する動作とに分類される。このうち、判断テーブル133では、送信遅延時間が設定されたり、廃棄する動作が設定されたりする。送信遅延時間は、例えば、送信遅延小、送信遅延中、及び送信遅延大というように3段階の時間が設定される。
具体的には、パケットを送信する際、優先度が最優先であって、無線輻輳状態が通常という状態である場合、パケットを送信遅延なしで送信する動作が決定される。パケットを送信する際、優先度が最優先であって、無線輻輳状態がレベル中という状態である場合、パケットを送信遅延小で送信する動作が決定される。パケットを送信する際、優先度が最優先であって、無線輻輳状態がレベル高という状態である場合、パケットを送信遅延中で送信する動作が決定される。
つまり、パケットに付与される優先度が最優先であれば、なるべく送信遅延を行わずにそのパケットを送信する動作が決定されるため、無線輻輳状態に応じて送信遅延が決定されたとしても、後述する他の動作の場合と比べて送信遅延大でそのパケットを送信する動作が決定されないようになっている。
また、パケットを送信する際、優先度が優先であって、無線輻輳状態が通常という状態である場合、パケットを送信遅延小で送信する動作が決定される。パケットを送信する際、優先度が優先であって、無線輻輳状態がレベル中という状態である場合、パケットを送信遅延中で送信する動作が決定される。パケットを送信する際、優先度が優先であって、無線輻輳状態がレベル高という状態である場合、パケットを送信遅延大で送信する動作が決定される。
つまり、パケットに付与される優先度が優先である場合には、送信遅延を設定してでもそのパケットを目的地まで送信する動作が決定される。
また、パケットを送信する際、優先度が通常であって、無線輻輳状態が通常という状態である場合、パケットを送信遅延中で送信する動作が決定される。パケットを送信する際、優先度が通常であって、無線輻輳状態がレベル中という状態である場合、パケットを送信遅延大で送信する動作が決定される。パケットを送信する際、優先度が通常であって、無線輻輳状態がレベル高という状態である場合、パケットを廃棄する動作が決定される。
つまり、パケットに付与される優先度が通常であって、無線媒体61の輻輳状態の解消に時間がかかりそうな場合には、そのパケットを廃棄する動作が決定される。
また、パケットを送信する際、優先度が非優先であって、無線輻輳状態が通常という状態である場合、パケットを送信遅延大で送信する動作が決定される。パケットを送信する際、優先度が非優先であって、無線輻輳状態がレベル中という状態である場合、パケットを廃棄する動作が決定される。パケットを送信する際、優先度が非優先であって、無線輻輳状態がレベル高という状態である場合、パケットを廃棄する動作が決定される。
つまり、パケットに付与される優先度が非優先であれば、なるべく他のパケットに無線媒体61を利用させるために、無線輻輳状態に応じて送信遅延が決定されたとしても、上述した他の場合と比べてパケットを廃棄する動作が決定されやすくなっており、送信遅延時間が設定される場合には、最も時間を要する送信遅延大でパケットを送信する動作が決定されるようになっている。
なお、上記で説明した送信遅延小、送信遅延中、及び送信遅延大というのは一例であって、特にこれに限定されない。要するに、送信するパケットに付与される優先度と、無線輻輳状態とに応じて、パケットの送信を遅延する時間が設定されればよい。つまり、本発明の目的は、特定の無線センサ11にトラヒックが集中する状態を回避させることにあるため、無線媒体61が輻輳状態である場合には、無線輻輳状態に応じて、パケットの送信を遅延させればよい。これにより、パケットの優先度だけでパケットの送信動作を制御していた場合に比べ、無線輻輳状態を考慮してパケットの送信動作が実行されるため、特定の無線センサ11にトラヒックが集中する状態は回避されるのである。
つまり、無線通信システム1は、現在の無線媒体61の使用状況に応じて動的にパケットの送信動作を制御するため、特定の無線センサ11にトラヒックが集中しそうなときには、パケットの送信を遅延又は廃棄する制御をすることにより、特定の無線センサ11にトラヒックが集中する状態を回避することができる。
なお、パケット種別が設定されるタイミングについては特に限定されないが、例えば、パケット種別は、パケットを送信する場合には、無線センサ11がパケットを送信する動作に移行する前又はその最中に優先度が設定されればよい。つまり、パケット種別は、パケットを送信するときまでに設定されていればよい。
次に、上記で概要について説明した無線回線使用量に応じて図9で示した無線輻輳状態を決定する処理例を図10を用いて説明する。図10は、本発明の実施の形態1における無線輻輳状態の状態遷移の一例を示す図である。
この動作の前提として、図10に示すように、無線輻輳状態がレベル中という状態であることを設定するか否かを判定する閾値としてレベル中設定閾値が設定され、無線輻輳状態がレベル高という状態であることを設定するか否かを判定する閾値としてレベル高設定閾値が設定されている。
また、この動作の前提として、図10に示すように、無線輻輳状態がレベル中という状態であることを解除するか否かを判定する閾値としてレベル中解除閾値が設定され、無線輻輳状態がレベル高という状態であることを解除するか否かを判定する閾値としてレベル高解除閾値が設定されている。
また、レベル中設定閾値、レベル高設定閾値、レベル中解除閾値、及びレベル高解除閾値のそれぞれが、無線回線使用量と比較されることにより、無線輻輳状態が判定されるロジックとなっており、無線輻輳状態は、第1状態としての通常という状態と、第2状態としてのレベル中という状態と、第3状態としてのレベル高という状態との何れかに遷移される動作構成となっている。
具体的には、無線輻輳状態がレベル中という状態の判定として、レベル中設定閾値と、レベル中解除閾値とが設けられ、無線輻輳状態がレベル高という状態の判定として、レベル高設定閾値と、レベル高解除閾値とが設けられているため、各種状態を細かく判定することが可能となっている。
次に、無線輻輳状態が、第1状態、第2状態、第3状態、第2状態、及び第1状態という順に状態遷移する一例について説明する。
(第1状態)
無線センサ11は、無線回線使用量がレベル中設定閾値を超えたか否かを判定する。無線センサ11は、無線回線使用量がレベル中設定閾値を超えた場合、第1状態から第2状態に遷移する。つまり、無線センサ11は、無線回線使用量がレベル中設定閾値を超えた場合、無線輻輳状態が、通常という状態からレベル中という状態に遷移する。一方、無線センサ11は、無線回線使用量がレベル中設定閾値を超えない場合、第1状態を維持する。つまり、無線センサ11は、無線回線使用量がレベル中設定閾値を超えない場合、通常という状態を維持する。
(第2状態)
無線センサ11は、無線回線使用量がレベル高設定閾値を超えたか否かを判定する。無線センサ11は、無線回線使用量がレベル高設定閾値を超えた場合、第2状態から第3状態に遷移する。つまり、無線センサ11は、無線回線使用量がレベル高設定閾値を超えた場合、無線輻輳状態が、レベル中という状態からレベル高という状態に遷移する。一方、無線センサ11は、無線回線使用量がレベル高設定閾値を超えない場合、第2状態を維持する。つまり、無線センサ11は、無線回線使用量がレベル高設定閾値を超えない場合、レベル中という状態を維持する。
(第3状態)
無線センサ11は、無線回線使用量がレベル高解除閾値を下回ったか否かを判定する。無線センサ11は、無線回線使用量がレベル高解除閾値を下回った場合、第3状態から第2状態に遷移する。つまり、無線センサ11は、無線回線使用量がレベル高解除閾値を下回った場合、無線輻輳状態が、レベル高という状態からレベル中という状態に遷移する。一方、無線センサ11は、無線回線使用量がレベル高解除閾値を下回らない場合、第3状態を維持する。つまり、無線センサ11は、無線回線使用量がレベル高解除閾値を下回らない場合、レベル高という状態を維持する。
(第2状態)
無線センサ11は、無線回線使用量がレベル中解除閾値を下回ったか否かを判定する。無線センサ11は、無線回線使用量がレベル中解除閾値を下回った場合、第2状態から第1状態へ遷移する。つまり、無線センサ11は、無線回線使用量がレベル中解除閾値を下回った場合、無線輻輳状態が、レベル中という状態から通常という状態に遷移する。一方、無線センサ11は、無線回線使用量がレベル中解除閾値を下回らない場合、第2状態を維持する。つまり、無線センサ11は、無線回線使用量がレベル中解除閾値を下回らない場合、レベル中という状態を維持する。
(第1状態)
無線センサ11は、上記と同様の処理を繰り返し実行する。
なお、無線回線使用量は、パケット送信数に基づいて求められている。つまり、パケットが送信されるにつれ、無線媒体61の使用状況が増していくことから、パケット送信数と、無線回線を使用した量との間に一定の相関関係があることとなる。よって、無線センサ11は、パケット送信数から無線回線使用量を定量的に推定できることとなる。つまり、無線通信システム1は、上記で説明したようなパケット送受信情報132を生成していくことにより、無線回線使用量を推定することができる。
次に、パケット送受信情報132の詳細な構成例について図11を用いて説明する。図11は、本発明の実施の形態1におけるパケット送受信情報132の一例を示す図である。図11に示すように、パケット送受信情報132は、パケット種別が、送信パケット数と、受信パケット数とに分類されるものであって、時刻と、送信パケット数及び受信パケット数とが紐付けされたデータ構成となっている。
具体的には、時刻が単位時間、例えば、1分ごとに設定され、単位時間ごとの送信パケット数及び受信パケット数が格納されている。例えば、時刻が10時10分のとき、送信パケット数が20であって、受信パケット数が30である。例えば、時刻が10時11分のとき、送信パケット数が25であって、受信パケット数が45である。
なお、これらの数値例及び単位時間は一例であって、特にこれらに限定されない。例えば、急峻なパケット量の変動を格納する場合には、単位時間をさらに短く、例えば、30秒に設定すればよい。また、例えば、長期的なパケット量の変動傾向を把握する場合には、単位時間をさらに長く、例えば、5分に設定すればよい。
このようなパケット送受信情報132を用いることにより、上記で説明した無線回線使用量が演算される。次に、無線回線使用量の演算例について図12を用いて説明する。図12は、本発明の実施の形態1における無線センサ11の制御例のうち、無線回線使用量演算処理の動作を説明するフローチャートである。
(ステップS31)
無線センサ11は、通信状況に基づいて1パケットの送信時間を求める。具体的には、それぞれの無線センサ11は、無線通信を行う過程で情報格納部84に蓄積されたパケット送受信情報132から無線媒体61の輻輳状態を判断するように設定されている。また、無線センサ11は、パケットの送信総和時間を無線回線使用量として用いることで、無線媒体61の輻輳状態を判断する。
よって、無線センサ11は、蓄積されたパケット送受信情報132から送信総和時間を算出する必要がある。例えば、IEEE802.15.4で規定されるZigBee(登録商標)は、1パケットがヘッダ情報込みで127byte、すなわち、127×8=1016bit単位でやり取りを行う。つまり、上記の一例では、無線センサ11は、通信状況がZigBee(登録商標)を用いた通信であれば、1パケットの送信時間として、127byte(1016bit)を要する。
(ステップS32)
無線センサ11は、送信パケット数を求める。例えば、無線センサ11が、単位時間当たりの送信パケット数として1000パケットを取得したと想定したとする。この場合、無線センサ11は、送信パケット数を求めた結果、1000パケットの送信パケット数を求めたこととなる。
(ステップS33)
無線センサ11は、パケットの送信総和時間を求める。無線センサ11は、例えば、250kbpsのデータレートで通信する場合には、1パケットの送信時間は、127byte(1016bit)/250000(250kbps)=0.004064s(4.064ms)となる。よって、上記で説明したように、例えば、単位時間当たり1000パケットのパケット送信数であれば、1000パケットの送信総和時間は、(127byte(1016bit)×1000)/250000(250kbps)=4.064s(4064ms)となる。なお、最大で250kbpsとなるようなデータレートは、通信を実施する地域等によって相違する。
なお、詳細については以降で後述するが、無線センサ11は、単位時間における送信総和時間の割合の判断基準を例えば10%として処理する。このように判断基準を10%とすることは、例えば、一般社団法人電波産業会により日本国の国内規格となっている“ARIB STD−T108”で規定されているものである。
よって、判断基準は10%でなくてもよい。例えば、8%等のように10%以下の判断基準が設定されれば、さらに厳しい輻輳状態の判断が実行されることとなる。そこで、例えば、無線センサ11のうち、無線中継センサ51は、通信する子無線センサ53が予め設定された数以上か否かを識別し、予め設定された数以上の場合、判断基準を10%以下、例えば、8%と自動設定してもよい。この場合、無線中継センサ51は、入手している無線ネットワークトポロジ情報131から子無線センサ53の数を把握し、予め設定された数以上か否かを識別する。
これにより、無線中継センサ51は、当初予定していた数以上の子無線センサ53と無線通信することになったとしても、輻輳状態の判断基準を当初予定していた場合よりも厳しく判断することになるため、特定の無線センサ11、例えば、特定の無線中継センサ51にトラヒックが集中する状態を回避することができる。
次に、無線回線使用量として求めたパケットの送信送話時間と、無線輻輳状態との関係について詳細に説明する。上記で説明したように、無線センサ11が、1000パケットの送信総和時間として4.064sを求めたと想定する。この場合、1000パケットが1分間の送信パケット数であると想定している。よって、送信パケット数だけでなく受信パケット数も含めて全体的に輻輳状態の判断を求める処理を捉えた場合、1分ごとの送受信パケット数に基づいて輻輳状態を判断するため、単位時間を1分、すなわち、60sと想定する。
また、上記で説明した判断基準を用いることとすれば、単位時間当たりの送信総和時間が10%を超える場合には輻輳状態と判断し、単位時間当たりの送信総和時間が10%以下の場合には非輻輳状態と判断することになる。このように想定すると、単位時間が1分(60s)の10%は6秒(6s)となるため、送信総和時間が6秒を超える場合には輻輳状態と判断し、送信総和時間が6秒以下の場合には非輻輳状態と判断することができることとなる。
つまり、上記の一例の場合における1000パケットを送信した無線センサ11は、単位時間当たりの送信総和時間が6秒以下、つまり、送信総和時間4.064s<単位時間1分(60s)の10%の6秒(6s)となるため、非輻輳状態と判断する。
また、上記で説明したように、輻輳状態は、3段階、例えば、通常という状態、レベル中という状態、及びレベル高という状態で輻輳レベルが判断されている。例えば、送信総和時間が10%を超えた場合をレベル高という状態に対応させ、送信総和時間が8%を超えて10%以下の場合をレベル中という状態に対応させ、送信総和時間が0%を超えて8%以下の場合を通常という状態に対応させたと想定する。
この場合、単位時間1分(60s)の10%である6秒(6s)を超えた場合をレベル高という状態に対応させたことになり、単位時間1分(60s)の8%である4.8秒(4.8s)を超えて10%である6秒(6s)以下の場合をレベル中という状態に対応させたことになり、単位時間1分(60s)の0%である0秒(0s)を超えて8%である4.8秒(4.8s)以下の場合を通常という状態に対応させたことになる。
このようにすれば、1000パケットの送信総和時間が4.064sの場合は、無線センサ11は、送信総和時間が0%以上8%以下に合致すると判断できるため、輻輳状態が通常という状態と判断することができる。
なお、上記の説明では、無線センサ11は、送信総和時間が10%を超える場合で輻輳状態であり、10%以下の場合に非輻輳状態であると判断する一例について説明した。これによると、通常という状態は、非輻輳状態に対応し、レベル中という状態は、非輻輳状態に対応し、レベル高という状態は、輻輳状態に対応することになる。
つまり、無線センサ11は、輻輳状態が通常という状態の場合、パケット送信については最低限の優先制御を行うこととなる。無線センサ11は、輻輳状態がレベル中という状態の場合、輻輳状態がレベル高に至らないようにするために接続拒否157をして送信パケット数を減らし、送信遅延を実行する優先制御を行うこととなる。無線センサ11は、輻輳状態がレベル高という状態の場合、非輻輳状態、つまり、通常という状態又はレベル中という状態、すなわち、送信総和時間が10%以下となるように接続拒否157をして送信パケット数をさらに減らし、さらに送信遅延を実行する優先制御を行うこととなる。
これにより、輻輳制御という観点で捉えるとすれば、無線センサ11は、最低限の優先制御を基礎状態として、基礎状態において接続拒否157をして送信パケット数を減らすように制御する第1の輻輳制御と、基礎状態又は第1の輻輳制御をした状態において接続拒否157をして第1の輻輳制御以上に送信パケット数を減らして送信遅延するような第2の輻輳制御と、を行うこととなる。
換言すれば、無線センサ11は、非輻輳状態であって輻輳状態となりそうな場合には、第1の輻輳制御を行い、輻輳状態となった場合には、第2の輻輳制御を行うことになるので、2段階で輻輳制御を行うこととなる。
なお、無線センサ11は、送信遅延の制御については、例えば、0.002s(2ms)、0.05s(50ms)、0.1s(100ms)及び0.4s(400ms)等の予め設定された時間だけ遅延するようにパケットを送信してもよい。
このような予め設定された時間として、無線センサ11のうち、例えば、無線中継センサ51の初期動作、つまり、通電後に無線通信可能とする動作に必要な時間が設定されてもよい。
また、このような予め設定された時間として、1パケットの送信時間、例えば、0.004064s(4.064ms)だけ遅延するように制御されてもよい。また、1パケットの送信時間を基礎として予め設定されたN倍(例えば、Nは自然数)の時間、例えば、2倍となる時間、0.004064×2=0,008128s(8.128ms)だけ遅延するようにしてもよい。
なお、送信総和時間とは、ここでは、パケットを送信するために費やした総時間である。また、上記で説明したように、単位時間における送信総和時間の割合から輻輳状態の判断が実行されている。一方、パケットを受信するために費やした総時間を含めて送受信総和時間を求め、送受信総和時間を用いて輻輳状態の判断が実行された場合、さらに厳しい輻輳状態の判断が実行されるようになる。
例えば、送信パケット数が20であって、受信パケット数が30である場合には、送受信パケット数の合算で計算すると、送受信総和時間は0.0254s(25.4ms)となる。この場合、仮に送信パケット数で同様の計算を行えば、送信総和時間は0.01016s(10.16ms)となるため、両者は相違している。つまり、無線センサ11は、輻輳状態を厳しく判断するか否かに応じて、輻輳状態の判断に用いるパラメータを送受信総和時間又は送信総和時間に切り替えることができる。
上記で説明した無線回線使用量は、無線輻輳情報134として情報格納部84に格納される。次に、無線輻輳情報134の詳細な構成例について図13を用いて説明する。図13は、本発明の実施の形態1における無線輻輳情報134の一例を示す図である。無線輻輳情報134は、無線センサ種別と、無線センサ状態とで構成される。無線センサ種別は、例えば、子無線センサ53、無線中継センサ51、及び親無線センサ41である。無線センサ状態は、例えば、無線運用状態と、無線輻輳状態とに分類される。無線運用状態は、例えば、無線センサ11が運用中であるか否かで分類される。無線輻輳状態は、例えば、通常という状態、レベル中という状態、及びレベル高という状態で分類される。
図13に示す一例においては、無線センサ種別が子無線センサ53の場合、無線運用状態は運用中であって、無線輻輳状態は通常という状態となっている。また、無線センサ種別が無線中継センサ51の場合、無線運用状態は運用中であって、無線輻輳状態はレベル中という状態となっている。
図14は、本発明の実施の形態1における無線通信システム1の制御例を説明する動作シーケンスである。まず、無線通信システム1の適用箇所の一例について説明する。無線通信では、無線送信の際、キャリアセンス(CS:Carrier Sense)をすることにより、無線チャネルの使用状況が確認される。なお、以降の説明において、キャリアセンスをCSと称することとする。
無線通信における無線送信の際、CS時間が短い無線通信局、つまり、短CS局と、CS時間が長い無線通信局、つまり、長CS局とが混在する無線通信環境も想定される。この場合、短CS局は、長CS局に比べ、送信機会が多くなる。例えば、CS時間が128μs以上となる短CS局と、CS時間が5ms以上となる長CS局とが混在する無線通信環境の場合、CS時間が128μsとなる短CS局が輻輳状態となる可能性が高くなる。そこで、実施の形態1が短CS局に適用されることにより、例えば、無線中継センサ51は自機が短CS局又は長CS局の何れであるかを識別し、短CS局と識別された場合に本実施の形態1の機能が実行されれば、特定の無線センサ11にトラヒックが集中する状態を回避することができる。なお、この場合、無線中継センサ51は、無線中継センサとしての動作を開始する前(例えば休眠していた無線センサ11が起動し動作を始めようとする前や無線中継センサ51が無線中継の動作を始めようとする前等)に、自機が含む情報(ファームウェアや設定項目等)をチェックして自機が短CS局又は長CS局の何れであるかを識別する。
次に、図14に示す動作シーケンスの前提条件とそれぞれの事例の概要を説明する。ゲートウェイ装置31、親無線センサ41、無線中継センサ51_1、子無線センサ53_2、及び子無線センサ53_1のそれぞれは、既に無線媒体61又はシリアル63で通信が行える状態として動作し、動作中のそれぞれの無線センサ11は、それぞれの無線センサ11がどのように無線接続しているかの無線接続構成、すなわち、無線ネットワークトポロジ情報131を予め入手していると想定する。
第1事例は、無線輻輳状態が通常という状態であって、子無線センサ53_2がゲートウェイ装置31に向けて非優先パケット151を送信しようとした場合の動作シーケンスである。第2事例は、無線輻輳状態がレベル中という状態に遷移してあって、子無線センサ53_2が親無線センサ41に向けて非優先パケット153を送信しようとした場合の動作シーケンスである。第3事例は、無線輻輳状態がレベル中という状態であって、子無線センサ53_1が無線中継センサ51_1に新規接続155の要求を送信した場合の動作シーケンスである。第4事例は、無線輻輳状態のレベル中という状態が解除され、通常という状態に遷移したときの動作シーケンスである。
第1事例の一連の動作の結果、無線輻輳状態がレベル中という状態となり、第2事例は、無線輻輳状態がレベル中という状態で非優先パケット153を送信する動作であり、第3事例は、無線輻輳状態がレベル中という状態で新規接続155を試みる動作であり、第4事例は、第1事例〜第3事例を経た結果、無線輻輳状態が通常という状態に戻ったときの動作である。次に、各事例について順を追って説明する。
(第1事例)
(ステップS51)
子無線センサ53_2は、判断テーブル133を用いることにより、非優先パケット151の送信可否及び送信遅延時間を判断する。具体的には、子無線センサ53_2は、非優先パケット151を送信する経路上に無線輻輳状態がレベル中という状態以上である装置が存在するか否かをパケットの優先度を考慮して判断する。この場合の経路は、無線中継センサ51_1及び親無線センサ41が対応するが、子無線センサ53_2は、このような経路を、予め入手している無線ネットワークトポロジ情報131に基づいて判断する。
また、無線輻輳情報134は、情報格納部84_3に格納されているため、子無線センサ53_2は、情報格納部84_3から無線輻輳情報134を取得し、無線輻輳状態がレベル中という状態以上である装置が存在するか否かを判断する。ここで、非優先パケット151の優先度は非優先となっていると想定する。
次に、子無線センサ53_2は、判断テーブル133に基づいて、非優先パケット151を、優先度が非優先であって、送信可能で送信遅延大と判断する。送信遅延大とは、パケット送信又は再送までの時間の送信タイミングが最も遅延される場合に対応する。次に、子無線センサ53_2は、送信遅延大で設定された遅延時間が経過した後、非優先パケット151を送信する。
次に、子無線センサ53_2は、非優先パケット151を送信後、情報格納部84_3に無線送信した送信パケット数をパケット送受信情報132_3として単位時間ごとに記憶する。
また、無線中継センサ51_1が非優先パケット151を受信した場合、無線中継センサ51_1は、情報格納部84_2に無線受信した受信パケット数をパケット送受信情報132_2として単位時間ごとに記憶する。また、親無線センサ41が非優先パケット151を受信した場合、親無線センサ41は、情報格納部84_1に無線受信した受信パケット数をパケット送受信情報132_1として単位時間ごとに記憶する。
このようにして、バケツリレー方式により、子無線センサ53_2から出発した非優先パケット151がゲートウェイ装置31に届けられる。
このようにして、通信経路上となったそれぞれの無線センサ11は、常に情報格納部84にパケット送受信情報132が蓄積されるため、自機の無線輻輳状態を判断することができる。例えば、無線中継センサ51が自機の情報格納部84_2から各種必要な情報を取得することにより、単位時間当たりの無線回線使用量を上記で説明したように算出する。
ここで、無線中継センサ51_1は、自機の無線回線使用量がレベル中という状態を超えたと判断した場合、無線輻輳状態がレベル中という状態に遷移する。無線中継センサ51_1は、このとき同時に自機の輻輳状態が遷移したことを無線輻輳状態通知メッセージで、無線通信システム1内にあるそれぞれの無線センサ11にマルチキャストパケットにて送信する。
具体的には、無線中継センサ51_1は、無線輻輳状態通知(レベル中)161という内容を無線輻輳状態通知メッセージに組み込み、パケット種別を最優先にして子無線センサ53_2に送信する。また、無線中継センサ51_1は、無線輻輳状態通知(レベル中)163という内容を無線輻輳状態通知メッセージに組み込み、パケット種別を最優先にして親無線センサ41に送信する。
子無線センサ53_2は、無線輻輳状態通知(レベル中)161を受信した場合、情報格納部84_3に記憶する。また、親無線センサ41は、無線輻輳状態通知(レベル中)163を受信した場合、情報格納部84_1に記憶する。
なお、ここでのマルチキャスト対象は、無線通信システム1内で相互に無線通信を行うことが可能になっている装置であり、動的に後から無線通信システム1にネットワークに参加した装置を含んでもよい。そして、無線輻輳状態通知メッセージを送信することになった無線センサ11には、無線通信システム1内において、最優先でパケットを送信する権利、つまり、送信権が付与されることとなる。
なお、上記の説明は、子無線センサ53_2及び親無線センサ41に無線輻輳状態通知メッセージが送信される一例であるが、マルチキャスト対象は、それ以外の装置も対象となっている。例えば、上記での説明は省略したが、無線中継センサ51_2、子無線センサ53_1、子無線センサ53_3、及び子無線センサ53_4も無線中継センサ51_1と相互に無線通信を行うことが可能になっている状態であれば、無線中継センサ51_1から無線輻輳状態通知メッセージが送信される。
(第2事例)
(ステップS52)
子無線センサ53_2は、判断テーブル133を用いることにより、非優先パケット153の送信可否及び送信遅延時間を判断する。具体的には、子無線センサ53_2は、非優先パケット153を送信する経路上に無線輻輳状態がレベル中という状態以上である装置が存在するか否かをパケットの優先度を考慮して判断する。この場合の経路は、無線中継センサ51_1が対応するが、子無線センサ53_2は、このような経路を、予め入手している無線ネットワークトポロジ情報131に基づいて判断する。
また、無線輻輳情報134は、情報格納部84_3に格納されているため、子無線センサ53_2は、情報格納部84_3から無線輻輳情報134を取得し、無線輻輳状態がレベル中という状態以上である装置が存在するか否かを判断する。ここで、非優先パケット151の優先度は非優先となっていると想定する。次に、子無線センサ53_2は、優先度が非優先であって、経路上に無線輻輳状態がレベル中という状態以上である装置が存在するため、判断テーブル133に基づいて、送信しようとしている非優先パケット153は破棄するものと判断する。
(第3事例)
(ステップS56)
子無線センサ53_1は、無線中継センサ51_1に新規接続155の要求を送信する。無線中継センサ51_1は、判断テーブル133を用いることにより、新規接続155の要求に対し、受信の許可及び受信の拒否の何れか一方を判断する。具体的には、無線中継センサ51_1は、新規接続155の要求が送信される経路上に無線輻輳状態がレベル中という状態以上である装置が存在するか否かを考慮して判断する。この場合の経路は、無線中継センサ51_1及び親無線センサ41が対応するが、子無線センサ53_1は、このような経路を、予め入手している無線ネットワークトポロジ情報131に基づいて判断する。
また、無線輻輳情報134は、情報格納部84_2に格納されているため、無線中継センサ51_1は、情報格納部84_2から無線輻輳情報134を取得し、無線輻輳状態がレベル中という状態以上である装置が存在するか否かを判断する。次に、無線中継センサ51_1は、経路上に無線輻輳状態がレベル中という状態以上である装置が存在するため、判断テーブル133に基づいて、新規接続155の応答として、接続拒否157を子無線センサ53_1に送信することにより、子無線センサ53_1の新規の接続動作を規制する。次に、子無線センサ53_1は、別の無線中継センサ51、例えば、無線中継センサ51_2又は親無線センサ41に接続を試みる。
つまり、子無線センサ53_1は、無線中継センサ51_1に新規接続155の要求を試みた結果、接続拒否157が返答される。次に、子無線センサ53_1は、無線中継センサ51_1から接続拒否157が返答されたので、別の無線中継センサ51に再接続を試みる。具体的には、子無線センサ53_1は、経路切替機能により、無線中継センサ51_1とは異なる無線中継センサ51を検索する。子無線センサ53_1は、検索の結果、発見した無線中継センサ51に対し新規接続155を試みる。
なお、子無線センサ53_1は、経路切替機能を用いることにより、周波数切替を行い、無線中継センサ51_1で接続拒否157が返答されたときに用いた周波数とは異なる周波数で新規接続155を試みてもよい。これにより、子無線センサ53_1は、別の周波数帯域で新規接続155の要求を試みることができる。このようにすることで、子無線センサ53_1は、同一周波数帯域でのさらなる輻輳状態を回避することができる。
(第4事例)
(ステップS59)
第4事例は、無線輻輳状態がレベル中という状態から解除される動作である。具体的には、無線中継センサ51_1は、情報格納部84_2から各種必要な情報を取得し、単位時間当たりの無線回線使用量を求め、自機の無線回線使用量がレベル中解除閾値を下回ったと判断した場合、無線輻輳状態が通常という状態に遷移する。
無線中継センサ51_1は、このとき同時に自機の輻輳状態が遷移したことを無線輻輳状態通知メッセージで、無線通信システム1内にあるそれぞれの無線センサ11にマルチキャストパケットにて送信する。
具体的には、無線中継センサ51_1は、無線輻輳状態通知(通常)165という内容を無線輻輳状態通知メッセージに組み込み、パケット種別を最優先にして子無線センサ53_2に送信する。また、無線中継センサ51_1は、無線輻輳状態通知(通常)167という内容を無線輻輳状態通知メッセージに組み込み、パケット種別を最優先にして親無線センサ41に送信する。
子無線センサ53_2は、無線輻輳状態通知(通常)165を受信した場合、情報格納部84_3に記憶する。また、親無線センサ41は、無線輻輳状態通知(通常)167を受信した場合、情報格納部84_1に記憶する。
なお、ここでのマルチキャスト対象は、無線通信システム1内で相互に無線通信を行うことが可能になっている装置であり、動的に後から無線通信システム1にネットワークに参加した装置を含んでもよい。
なお、上記の説明は、子無線センサ53_2及び親無線センサ41に無線輻輳状態通知メッセージが送信される一例であるが、マルチキャスト対象は、それ以外の装置も対象となっている。例えば、上記での説明は省略したが、無線中継センサ51_2、子無線センサ53_1、子無線センサ53_3、及び子無線センサ53_4も無線中継センサ51_1と相互に無線通信を行うことが可能になっている状態であれば、無線中継センサ51_1から無線輻輳状態通知メッセージが送信される。
このように、それぞれの無線センサ11が無線輻輳状態を共有し、共有している無線輻輳状態と、パケットの優先度とを考慮することでパケットの送信可否と、新たな接続可否とを制御する。そして、それぞれの無線センサ11は、パケットを送信する場合には送信遅延時間を決定する。
これにより、無線輻輳状態がレベル中という状態以上である場合、つまり、無線媒体61が輻輳状態である場合であっても、特定の無線センサ11へのトラヒック流入を低減させることができ、条件によっては特定の無線センサ11へのトラヒック流入を最低限にすることができる。
この結果、無線媒体61を用いた無線回線の品質劣化の改善をすることができる。さらに、無線センサ11に設定される条件によっては、日本国の国内規格となっている“ARIB STD−T108”で規定されている“送信総和時間を10%以下に制限する”という点についても実行することができる。
換言すれば、それぞれの無線センサ11は、自機のトラヒック状況がどの程度かを把握することができると共に、自機のトラヒック状況を無線通信システム1内のそれぞれの無線センサ11に共有させることができる。また、それぞれの無線センサ11が送信するパケットの優先度と、送信経路上に輻輳状態となっている装置の有無と、に基づいて、パケットの送信可否と、パケットの送信遅延時間とを決定することができる。さらに、無線センサ11のうち、接続要求を受信した装置は、送信経路上に輻輳状態となっている装置の有無に基づいて、接続可否を判断することができる。
したがって、無線通信システム1は、トラヒックが一箇所に集中する状態を回避することができる。これにより、無線通信システム1は、トラヒックが分散されるため、トラヒックが集中した場合に生じる無線回線の品質劣化を改善することができる。
図15は、本発明の実施の形態1における無線通信システム1の制御例のうち、無線輻輳状態に応じてパケットの送信を制御する動作を説明するフローチャートである。なお、図15に示す動作の一例は、判断テーブル133のうち、パケット種別を、非優先であるか否かに応じて判断し、無線輻輳状態を、通常であるか否かに応じて判断する処理である。
よって、図15に示す動作の一例は、判断テーブル133の全ての場合についての一例ではなく、判断テーブル133の一部の項目に基づいてパケットの送信を制御するものとなっている。つまり、パケットの送信を制御するには、パケット種別と、無線輻輳状態とに応じてパケットの送信を判断すればよく、全てのパケット種別と、全ての無線輻輳状態とまでが判断されなくてもよい。
なお、始めから送信するパケット種別が1つに限定されてあれば、パケット種別を判断する動作を省略することができ、その場合には、無線輻輳状態の判断だけでパケットの送信を制御することができる。
ここで、輻輳フラグは、無線媒体61が輻輳状態であるか否かを示すものである。また、輻輳フラグのデフォルト値は0であると想定する。また、非優先フラグは、送信するパケットの優先度が非優先であるか否かを示すものである。また、非優先フラグのデフォルト値は0であると想定する。なお、送信するパケットの優先度は、ステップS85の処理及びステップS92の処理に移行するまでには、付与されるものと想定する。ここで、付与される優先度は、最低限、非優先であるか否かが判定されるものであればよい。
また、ステップS103の無線回線使用量演算処理は、図12で上述した処理を示すものとする。また、ステップS104の無線輻輳状態遷移処理は、図10で上述した処理を示すものとする。
(ステップS81)
子無線センサ53は、パケットの送信を準備するか否かを判定する。子無線センサ53は、パケットの送信を準備する場合、ステップS82に進む。一方、子無線センサ53は、パケットの送信を準備しない場合、ステップS81に戻る。
(ステップS82)
子無線センサ53は、無線ネットワークトポロジ情報131を取得する。
(ステップS83)
子無線センサ53は、パケットを送信する経路上に無線輻輳状態がレベル中以上の装置が存在するか否かを判定する。子無線センサ53は、パケットを送信する経路上に無線輻輳状態がレベル中以上の装置が存在する場合、ステップS91に進む。一方、子無線センサ53は、パケットを送信する経路上に無線輻輳状態がレベル中以上の装置が存在しない場合、ステップS84に進む。
(ステップS84)
子無線センサ53は、輻輳フラグを0に設定する。
(ステップS85)
子無線センサ53は、送信するパケットが非優先であるか否かを判定する。子無線センサ53は、送信するパケットが非優先である場合、ステップS86に進む。一方、子無線センサ53は、送信するパケットが非優先でない場合、ステップS87に進む。
(ステップS86)
子無線センサ53は、非優先フラグを1に設定する。
(ステップS87)
子無線センサ53は、非優先フラグが1であるか否かを判定する。子無線センサ53は、非優先フラグが1である場合、ステップS88に進む。一方、子無線センサ53は、非優先フラグが1でない場合、ステップS96に進む。
(ステップS88)
子無線センサ53は、パケットが送信可能であって送信遅延大であると判断する。
(ステップS89)
子無線センサ53は、パケットを送信する。具体的には、子無線センサ53は、パケットを送信遅延大で送信する。
(ステップS90)
子無線センサ53は、送信したパケット数を単位時間ごとに記憶し、ステップS81に戻る。
(ステップS91)
子無線センサ53は、輻輳フラグを1に設定する。
(ステップS92)
子無線センサ53は、送信するパケットが非優先であるか否かを判定する。子無線センサ53は、送信するパケットが非優先である場合、ステップS93に進む。一方、子無線センサ53は、送信するパケットが非優先でない場合、ステップS94に進む。
(ステップS93)
子無線センサ53は、非優先フラグを1に設定する。
(ステップS94)
子無線センサ53は、非優先フラグが1であるか否かを判定する。子無線センサ53は、非優先フラグが1である場合、ステップS95に進む。一方、子無線センサ53は、非優先フラグが1でない場合、ステップS97に進む。
(ステップS95)
子無線センサ53は、送信するパケットを廃棄する。つまり、子無線センサ53は、優先度が非優先であるパケットを送信しない。これにより、子無線センサ53は、トラヒックの混雑の解消を試みる。
(ステップS96)
子無線センサ53は、輻輳フラグが0であって非優先フラグが0である場合に対応する処理を実行し、ステップS81に戻る。例えば、子無線センサ53は、判断テーブル133を用いることにより、無線輻輳状態が通常という状態であって、非優先でない場合の処理のうち、該当する動作を決定する。
(ステップS97)
子無線センサ53は、輻輳フラグが1であって非優先フラグが0である場合に対応する処理を実行し、ステップS81に戻る。例えば、子無線センサ53は、判断テーブル133を用いることにより、無線輻輳状態がレベル中以上の状態であって、非優先でない場合の処理のうち、該当する動作を決定する。
(ステップS101)
無線中継センサ51は、パケットを受信したか否かを判定する。無線中継センサ51は、パケットを受信した場合、ステップS102に進む。一方、無線中継センサ51は、パケットを受信しない場合、ステップS101に戻る。
(ステップS102)
無線中継センサ51は、受信したパケット数を単位時間ごとに記憶する。
(ステップS103)
無線中継センサ51は、無線回線使用量演算処理を実行する。
(ステップS104)
無線中継センサ51は、無線輻輳状態遷移処理を実行する。
(ステップS105)
無線中継センサ51は、無線輻輳状態が遷移したか否かを判定する。無線中継センサ51は、無線輻輳状態が遷移した場合、ステップS106に進む。一方、無線中継センサ51は、無線輻輳状態が遷移しない場合、処理を終了する。
(ステップS106)
無線中継センサ51は、現在の無線輻輳状態をマルチキャストパケットにて送信する。
(ステップS107)
無線中継センサ51は、自機の現在の無線輻輳状態を記憶し、処理を終了する。
図16は、本発明の実施の形態1における無線通信システム1の制御例のうち、無線輻輳状態に応じて新規接続155の要求の送受信を制御する動作を説明するフローチャートである。なお、図16に示す動作の一例は、判断テーブル133のうち、パケット種別が新規接続パケット受信である場合、無線輻輳状態に応じて、パケットを受信するか否かを判断する処理である。
ここで、輻輳フラグは、無線媒体61が輻輳状態であるか否かを示すものである。また、輻輳フラグのデフォルト値は0であると想定する。
(ステップS121)
子無線センサ53は、新規接続155の要求を送信する。
(ステップS122)
子無線センサ53は、接続拒否157が返却されたか否かを判定する。子無線センサ53は、接続拒否157が返却された場合、ステップS126に進む。一方、子無線センサ53は、接続拒否157が返却されない場合、ステップS123に進む。
(ステップS123)
子無線センサ53は、予め設定された時間が経過したか否かを判定する。子無線センサ53は、予め設定された時間が経過した場合、ステップS124に進む。一方、子無線センサ53は、予め設定された時間が経過しない場合、ステップS123に戻る。
(ステップS124)
子無線センサ53は、予め設定された回数の新規接続155の要求を再送したか否かを判定する。子無線センサ53は、予め設定された回数の新規接続155の要求を再送した場合、ステップS126に進む。一方、子無線センサ53は、予め設定された回数の新規接続155の要求を再送していない場合、ステップS125に進む。
(ステップS125)
子無線センサ53は、新規接続155の要求の送信先に新規接続155の要求を再送すし、ステップS123に戻る。
(ステップS126)
子無線センサ53は、別の無線中継センサ51又は親無線センサ41に接続を試み、処理を終了する。
(ステップS141)
無線中継センサ51は、新規接続155の要求を受信したか否かを判定する。無線中継センサ51は、新規接続155の要求を受信した場合、ステップS142に進む。一方、無線中継センサ51は、新規接続155の要求を受信しない場合、ステップS141に戻る。
(ステップS142)
無線中継センサ51は、無線ネットワークトポロジ情報131を取得する。
(ステップS143)
無線中継センサ51は、パケットを送信する経路上に無線輻輳状態がレベル中以上の装置が存在するか否かを判定する。無線中継センサ51は、パケットを送信する経路上に無線輻輳状態がレベル中以上の装置が存在する場合、ステップS144に進む。一方、無線中継センサ51は、パケットを送信する経路上に無線輻輳状態がレベル中以上の装置が存在しない場合、ステップS146に進む。
(ステップS144)
無線中継センサ51は、輻輳フラグを1に設定する。
(ステップS145)
無線中継センサ51は、接続拒否157を返却し、処理を終了する。
(ステップS146)
無線中継センサ51は、輻輳フラグを0に設定する。
(ステップS147)
無線中継センサ51は、接続処理を実行し、処理を終了する。
図17は、本発明の実施の形態1における無線通信システム1の制御例のうち、無線輻輳状態が通常の状態に遷移した場合の動作を説明するフローチャートである。なお、図17に示す動作の一例は、無線輻輳状態が再び通常に戻った場合の処理である。
また、ステップS162の無線回線使用量演算処理は、図12で上述した処理を示すものとする。また、ステップS163の無線輻輳状態遷移処理は、図10で上述した処理を示すものとする。
なお、ステップS166の処理と、ステップS167の処理とは、何れが先に実行されてもよく、同時に実行されてもよい。
ここで、輻輳フラグは、無線媒体61が輻輳状態であるか否かを示すものである。また、輻輳フラグのデフォルト値は1であると想定する。つまり、ここでの処理は、現在の無線輻輳状態がレベル中以上の輻輳状態であるものの、無線中継センサ51が定期的に無線輻輳状態を確認することにより、無線輻輳状態が通常という状態に復帰したか否かを判定するものである。
なお、後述するステップS161における予め設定された周期とは、無線中継センサ51が無線輻輳状態を定期的に確認するものであるが、無線輻輳状態の確認はこれに限定されない。例えば、無線中継センサ51は、無線輻輳状態通知メッセージを受信したタイミングにより、ステップS162以降の処理を実行してもよい。また、このような周期は、特に限定されるものではないが、例えば、上記で説明した送信遅延大のようなパケットの最大送信遅延時間よりも長い時間が設定されてもよい。
(ステップS161)
無線中継センサ51は、予め設定された周期が到来したか否かを判定する。無線中継センサ51は、予め設定された周期が到来した場合、ステップS162に進む。一方、無線中継センサ51は、予め設定された周期が到来しない場合、ステップS161に戻る。
(ステップS162)
無線中継センサ51は、無線回線使用量演算処理を実行する。
(ステップS163)
無線中継センサ51は、無線輻輳状態遷移処理を実行する。
(ステップS164)
無線中継センサ51は、無線輻輳状態が遷移したか否かを判定する。無線中継センサ51は、無線輻輳状態が遷移した場合、ステップS165に進む。一方、無線中継センサ51は、無線輻輳状態が遷移しない場合、処理を終了する。
(ステップS165)
無線中継センサ51は、無線回線使用量がレベル中解除閾値を下回ったか否かを判定する。無線中継センサ51は、無線回線使用量がレベル中解除閾値を下回った場合、ステップS166に進む。一方、無線中継センサ51は、無線回線使用量がレベル中解除閾値を下回らなかった場合、ステップS167に進む。
(ステップS166)
無線中継センサ51は、輻輳フラグを0に設定する。
(ステップS167)
無線中継センサ51は、輻輳フラグを参照して現在の無線輻輳状態をマルチキャストパケットにて送信する。例えば、無線中継センサ51は、輻輳フラグが0である場合、無線輻輳状態が通常という状態であることが設定された無線輻輳状態通知メッセージをマルチキャストパケットにて送信する。一方、無線中継センサ51は、輻輳フラグが1である場合、ステップS163の処理結果に応じて、無線輻輳状態がレベル中という状態又は無線輻輳状態がレベル高という状態が設定された無線輻輳状態通知メッセージをマルチキャストパケットにて送信する。
(ステップS168)
無線中継センサ51は、自機の現在の無線輻輳状態を記憶し、処理を終了する。
以上の説明から、無線通信システム1は、無線回線使用量に応じてパケットの送信を制御することにより、特定の無線センサ11にトラヒックが集中する状態を回避させることができる。これにより、各無線センサのトラヒックが分散されるため、トラヒックが集中した場合に生じる無線回線の品質劣化を改善することができる。
以上、本実施の形態1においては、第1の無線通信装置と、第1の無線通信装置の下位側となる第2の無線通信装置と、第1の無線通信装置の上位側となる第3の無線通信装置と、を備え、第1の無線通信装置が、第2の無線通信装置と、第3の無線通信装置とを中継する無線通信システム1であって、第1の無線通信装置は、第2の無線通信装置から第3の無線通信装置へ第1のパケットを送信したときの送信パケット数を保持し、送信パケット数に基づいて、単位時間当たりの無線回線使用量を求め、無線回線使用量に基づいて、無線輻輳状態を求め、無線輻輳状態を保持すると共に、該無線輻輳状態を第2の無線通信装置及び第3の無線通信装置に供給し、第2の無線通信装置及び第3の無線通信装置のそれぞれは、第1の無線通信装置から供給された無線輻輳状態を保持し、第1の無線通信装置、第2の無線通信装置、及び第3の無線通信装置のそれぞれは、無線輻輳状態に基づいて、第1のパケットの後に第2のパケットを送信するか否かを制御する無線通信システム1が構成される。
上記構成のため、無線通信システム1は、無線回線使用量に応じてパケットの送信を制御することにより、特定の無線センサ11にトラヒックが集中する状態を回避させることができる。これにより、無線通信システム1は、それぞれの無線センサ11のトラヒックが分散されるため、トラヒックが集中した場合に生じる無線回線の品質劣化を改善することができる。
また、本実施の形態1において、第1の無線通信装置、第2の無線通信装置、及び第3の無線通信装置のそれぞれは、第2のパケットに送信順位の優先度を設定し、送信順位の優先度と、無線輻輳状態と、の組み合わせに基づいて、第2のパケットを送信するか否かを制御する。
したがって、無線通信システム1は、優先度だけでなく、無線輻輳状態を考慮してパケットの送信を制御できるため、無線回線使用量に応じてパケットの送信を制御することができる。
また、本実施の形態1において、第1の無線通信装置は、第1のパケットの1パケット当たりの送信時間を求め、無線回線使用量として、送信時間と、送信パケット数と、に基づいて、第1のパケットの送信総和時間を求める。
したがって、無線通信システム1は、送信パケット数に基づいて、無線回線使用量を求めることができるので、より正確に無線輻輳状態を判断することができる。
また、本実施の形態1において、第1の無線通信装置、第2の無線通信装置、及び第3の無線通信装置のそれぞれは、送信順位の優先度として、少なくとも、優先及び非優先の何れか一方を設定し、無線輻輳状態として、少なくとも、通常及び非通常の何れか一方を設定し、優先及び非優先の何れか一方と、通常及び非通常の何れか一方と、の組み合わせに基づいて、第2のパケットを送信するか否かを制御する。
したがって、無線通信システム1は、パケットに付与される優先度が非優先であるか否かと、無線輻輳状態が通常であるか否かとに応じて、パケットの送信を制御することができる。これにより、無線通信システム1は、パケットの送信権と、無線輻輳状態とに基づいてパケットの送信を制御することで、トラヒックの混雑に応じてパケットの送信を制御できる。
また、本実施の形態1において、第1の無線通信装置は、新規接続155の要求を受信した場合、無線輻輳状態が通常であれば、新規接続155の要求の接続処理を実行し、無線輻輳状態が非通常であれば、新規接続155の要求の接続拒否157を実行する。
したがって、無線通信システム1は、無線輻輳状態に応じて、新規接続155の要求の接続可否を判断できるので、トラヒックの混雑を効率よく解消することができる。
また、本実施の形態1において、複数の無線通信装置を備え、複数の無線通信装置として、少なくとも、2台の無線通信装置と、該2台の無線通信装置を中継する第1の無線通信装置と、が設けられ、2台の無線通信装置として、第1の無線通信装置の下位側となる第2の無線通信装置と、第1の無線通信装置の上位側となる第3の無線通信装置と、が設けられた無線通信方法であって、第2の無線通信装置から第3の無線通信装置へ第1のパケットを送信したときの送信パケット数を保持し、送信パケット数に基づいて、単位時間当たりの無線回線使用量を求め、無線回線使用量に基づいて、無線輻輳状態を求め、無線輻輳状態を保持すると共に、該無線輻輳状態を第2の無線通信装置及び第3の無線通信装置に供給し、第1の無線通信装置から供給された無線輻輳状態を保持し、無線輻輳状態に基づいて、第2のパケットを送信するか否かを制御する。
したがって、無線通信方法により、無線通信システム1は、無線回線使用量に応じてパケットの送信を制御することができるので、特定の無線センサ11にトラヒックが集中する状態を回避させることができる。これにより、無線通信システム1は、それぞれの無線センサ11のトラヒックが分散されるため、トラヒックが集中した場合に生じる無線回線の品質劣化を改善することができる。