JP2016218067A - 電解質測定装置及び電解質測定方法 - Google Patents

電解質測定装置及び電解質測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電解質濃度の測定を行う際に、電極コネクタの断線又は外れや、電極の劣化などの異常を検出することが困難であった。【解決手段】電解質濃度の測定を行う際に、標準液の電位の測定と、希釈液の電位の測定と、検体溶液の電位の測定とを行う。そして、標準液の電位と検体溶液の電位との差から、検体溶液の電解質濃度を測定する。さらに、標準液又は検体溶液の電位と希釈液の電位との差から、電解質濃度の測定状態の異常の有無を判断する。【選択図】図4

Description

本発明は、検体と標準液との電位レベルの差に応じて電解質濃度を測定する電解質測定装置及び電解質測定方法に関する。
近年、医療分野などにおいて、血液や尿等の検体中に溶解しているイオン、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオンなどの測定を行うことが盛んに行われている。
例えば、尿や血清等の検体中の電解質濃度(イオン濃度)を、イオン選択性電極を用いて測定する電解質測定装置が知られている。また、それら複数のイオンを一度に測定するものとして、フロー型電解質測定装置がある。
このような電解質測定装置は、作用電極(イオン選択性電極)および比較電極を用いて、検体の電位を計測するとともに、標準液の電位を計測し、これら検体と標準液のそれぞれの計測データから検体に含まれる被測定成分の電解質濃度を測定するものである。すなわち、従来の電解質測定装置での測定の流れを図6に示す。電極に接続された槽に標準液を供給し、標準液で槽を洗浄する(ステップS1)。標準液は、予め濃度が所定の値に調整された液である。ステップS1の洗浄を行った後に、再度標準液を供給し、槽内の標準液の電位を、作用電極と比較電極で測定する(ステップS2)。測定後、槽内の標準液を排出する。そして槽内に、検体と希釈液とを混合した検体溶液を供給し、その検体溶液の電位を各電極で測定する(ステップS3)。そして、電解質測定装置内の演算処理部が、ステップS2の標準液の電位とステップS3の検体の電位より電解質濃度を算出する。このように1つの検体についての測定を行う毎に、標準液を使用した洗浄を行うようにして、測定結果に、直前に測定した別の検体の影響が及ばないようにしている。
特許文献1には、このような測定を行う電解質測定装置の一例が開示されている。
特開昭64−65441号公報
ところで、電解質測定装置により電解質濃度を測定する際には、電解質測定装置の測定動作に異常がないことが重要であるが、異常状態を簡単に検出することはできないという問題があった。例えば、検体の電位を計測する電極のコネクタの接続状態が不良で、コネクタに繋がるケーブルが断線した状態であったとしても、電解質測定装置では、標準液の電位と検体溶液の電位とが同じレベルで検出されてしまう。標準液の電位と検体の電位とが同じレベルであるということは、電解質濃度の測定値が安定した測定値と同じであり、従来、正しく測定が行われているのか否かを区別することは困難であった。また、測定に使用する電極自体の劣化による異常についても、簡単に判断することは困難であった。
特許文献1に記載の電解質測定装置の場合には、検体の電位を測定する前と後での、基準となる液(標準液)の電位レベルを比較して、基準となる液の劣化による測定異常の有無を判断する技術が記載されている。しかしながら、上述したように電解質測定装置の異常には、基準となる液の劣化以外にも、電極のケーブルの断線や、電極自体の劣化などの様々な異常があり、それらの異常についても正しく検知することが望まれていた。
本発明は、電解質測定装置を使用して電解質濃度を測定する際の異常状態が簡単かつ的確に判別できるようにすることを目的とする。
本発明の電解質測定装置は、希釈槽と、検体液を希釈槽に供給する検体液供給部と、希釈液を希釈槽に供給する希釈液供給部と、標準液を希釈槽に供給する標準液供給部と、作用電極と比較電極を有する電極部を用いて希釈槽に供給された液の電位を測定する測定部と、制御部とを備える。
制御部は、標準液供給部から希釈槽に供給された標準液の電位と、希釈液供給部から希釈槽に供給された希釈液の電位と、検体液供給部から供給された検体液と希釈液供給部から供給された希釈液を希釈槽で混合した検体溶液の電位との測定とを行う。さらに、制御部は、標準液の電位と検体溶液の電位との差から、検体の電解質濃度を判断すると共に、標準液又は検体溶液の電位と前記希釈液の電位との差から、異常の有無を判断する。
また本発明の電解質濃度測定方法は、希釈槽に標準液を供給する標準液供給ステップと、標準液供給ステップで希釈槽に供給した標準液の電位を測定する標準液測定ステップと、標準液測定ステップの後に、標準液を希釈槽から排出する標準液排出ステップと、標準液排出ステップの後に、希釈槽に希釈液を供給する希釈液供給ステップと、希釈液供給ステップで希釈槽に供給した希釈液の電位を測定する希釈液測定ステップと、希釈液測定ステップの後に、希釈液を希釈槽から排出する希釈液排出ステップと、希釈液排出ステップの後に、希釈槽に希釈液と検体液とを供給して検体溶液を得る検体溶液供給ステップと、検体溶液供給ステップで希釈槽に供給された検体溶液の電位を測定する検体溶液測定ステップと、検体溶液測定ステップの後に、検体溶液を前記希釈槽から排出する検体溶液排出ステップと、標準液測定ステップで測定した標準液の電位と、検体溶液測定ステップで測定した検体溶液の電位との差から、検体の電解質濃度を判断すると共に、標準液測定ステップで測定した標準液の電位又は検体溶液測定ステップで測定した検体溶液の電位と、希釈液測定ステップで測定した希釈液の電位との差から、異常の有無を判断する電解質濃度判断ステップと、を含む。
本発明によると、標準液の電位と検体溶液の電位とから検体の電解質濃度を測定できると共に、標準液又は検体溶液の電位と希釈液の電位との差から、測定の異常の有無を判断できるようになる。したがって、測定に使用する電極のコネクタの断線や外れなどの異常や、電極の劣化などの異常が発生したとき、これらの異常を確実に判定できるようになり、測定結果に異常がある状態を的確に判断できるようになる。
本発明の一実施の形態例の電解質測定装置の例を示す構成図である。 本発明の一実施の形態例の電解質測定装置による測定処理手順の例を示すフローチャートである。 本発明の一実施の形態例の電解質測定装置による異常判別処理の例を示すフローチャートである。 本発明の一実施の形態例の電解質測定装置による電位測定例を示す説明図である。 本発明の他の実施の形態例の電解質測定装置による異常判別処理の例を示すフローチャートである。 従来の電解質濃度測定処理の例を示すフローチャートである。
以下、本発明の一実施の形態例(以下、「本例」と称する。)に係る電解質測定装置について、図1〜図5を参照して説明する。
[1.電解質測定装置の構成]
図1は、本例の電解質測定装置100の構成例を示す。
電解質測定装置100は、測定部110を備える。測定部110には、電極部120が配置されている。電極部120には、3つの作用電極121,122,123と比較電極124とが配置されている。3つの作用電極121,122,123は、測定対象イオンの電極で構成される。例えば作用電極121は塩素(Cl)イオン電極、作用電極122はカリウム(K)イオン電極、作用電極123はナトリウム(Na)イオン電極で構成される。また、比較電極124は、一定の基準電位を検出する電極である。
これら3つの作用電極121,122,123と比較電極124には、希釈槽111内の液が供給され、各電極121〜124で電位が検出される。
3つの作用電極121〜123と比較電極124は、コネクタなどを介して信号処理部161に接続される。信号処理部161は、3つの作用電極121,122,123の電位と比較電極124の電位との電位差から、それぞれの作用電極121〜123で検出されるイオンの電位を検出する。信号処理部161で検出された各イオンの電位のデータは、制御部162に供給され、制御部162でイオン濃度が算出される。制御部162で算出されたイオン濃度の値は、出力部163から出力される。
測定部110には、希釈槽111が配置される。希釈槽111は、配管112と電磁弁151と配管152を介してポンプ153に接続され、ポンプ153による吸引で、希釈槽111内の液が配管112側に引き出される。配管112内の液は、電磁弁151から配管154を経由して、廃液槽155に供給される。なお、3つの作用電極121〜123と比較電極124は、配管112の途中に配置され、ポンプ153による吸引で、これらの電極121〜124が、希釈槽111から配管112に供給された液の電位を検出する。
希釈槽111には、検体供給部である検体注入ピペット101から検体が供給される。また、電解質測定装置100は、希釈液容器131と標準液容器141とを備える。希釈液供給部である希釈液容器131内には、検体を希釈するための希釈液が注入されている。標準液供給部である標準液容器141内には、測定時に基準となる濃度の液である標準液が注入されている。希釈液は標準液よりも濃度が低く、本例の場合には希釈槽111を洗浄する際にも希釈液が使用される。
希釈液容器131内の希釈液は、配管132と電磁弁133と配管135を介して希釈槽111側に供給される。電磁弁133には、配管134を介してポンプ136が接続され、ポンプ136による吐出が行われることで、希釈液が希釈槽111に供給される。
さらに、標準液容器141内の標準液が、配管142と電磁弁143と配管145を介して希釈槽111に供給される。電磁弁143には、配管144を介してポンプ146が接続され、ポンプ146による吐出が行われることで、標準液が希釈槽111に供給される。
希釈槽111への各液の供給と、希釈槽111内の液の廃液槽155側への供給は、制御部162の制御下で行われる。
[2.測定手順]
図2は、電解質測定装置100で検体の電解質濃度を測定する際の手順を示すフローチャートである。
まず、標準液容器141内の標準液が希釈槽111に供給される(ステップS11)。そして、希釈槽111内の標準液の電位が作用電極121〜123と比較電極124で検出され、信号処理部161で電位が測定される(ステップS12)。その後、希釈槽111内の標準液が廃液槽155側に排出される(ステップS13)。
次に、希釈液容器131内の希釈液が希釈槽111に供給される(ステップS14)。この希釈液により、希釈槽111や電極121〜124が配置された配管112が洗浄される。そして、希釈槽111内の希釈液の電位が、作用電極121〜123と比較電極124で検出され、信号処理部161で電位が測定される(ステップS15)。その後、希釈槽111内の希釈液が、廃液槽155側に排出される(ステップS16)。
さらに、検体注入ピペット101から希釈槽111に検体が注入されると共に、希釈液容器131内の希釈液が希釈槽111に供給され、希釈槽111内で検体と希釈液が混合した検体溶液が得られる(ステップS17)。そして、希釈槽111内の検体溶液の電位が作用電極121〜123と比較電極124で検出され、信号処理部161で電位が測定される(ステップS18)。その後、希釈槽111内の検体溶液が廃液槽155側に排出される(ステップS19)。
そして、制御部162は、ステップS12で測定された標準液の電位と、ステップS18で測定された検体溶液の電位とに基づいて、電解質濃度を算出する(ステップS20)。このとき、制御部162は、測定に異常があるか否かの判断を行う。異常があるか否かを判断する処理の詳細は、図3のフローチャートで説明する。
ここで、測定に異常がないと判断した場合には、制御部162は、算出された電解質濃度のデータを出力部163に出力する。
ここまで説明した図2のフローチャートに示す処理が、1つの検体の1回の測定ごとに実行される。
[3.濃度検出処理]
次に、3つの作用電極121,122,123と比較電極124が検出した電位から、測定対象イオンの濃度を検出する処理について説明する。
まず、作用電極121,122又は123の電位と、比較電極124の電位とから、起電力を得る公式を、(1)式に示す。
[数1]式において、Eはイオン電極と比較電極の間に生じる電位差(mV)、Eは測定系により定まる一定の電位(mV)、Tは絶対温度(K)、Rは気体定数、Zはイオン価、Fはファラデー定数、aはイオン活量である。
ここで、[数1]式の(2.303×RT/ZF)の項は、理論電位勾配で、一般的にはスロープと呼ばれる。例えば1価のイオンで、25℃の場合には、59.16mVを示す。
また、イオン活量は、活量係数とイオン濃度との間に、次の[数2]式の関係がある。
[数2]式において、aはイオン活量(mol/l)、rは活量係数、cはイオン濃度である。
検体の濃度は、標準液の濃度C(IS)を基準として、次の[数3]式で計算される。
[数3]式において、C(S)は検体(サンプル)の濃度であり、E(S)は検体の起電力である。
[4.異常検出処理]
図3のフローチャートは、制御部162が、電解質濃度の測定に異常があるか否かを判断する処理の例である。
まず制御部162は、ステップS12で測定された標準液の電位と、ステップS15で測定された希釈液の電位との差を算出する(ステップS21)。そして、制御部162は、ステップS21で算出した差が、第1の閾値TH1以上であるか否かを判断する(ステップS22)。第1の閾値TH1は、制御部162に予め設定しておく。
ステップS22の判断で、ステップS21で算出した差が、第1の閾値TH1以上である場合(ステップS22のYES)、制御部162は、測定結果に異常がないと判断する(ステップS23)。また、ステップS22の判断で、ステップS21で算出した差が、第1の閾値TH1以上でない場合(ステップS22のNO)、制御部162は、測定結果に異常の可能性があると判断する(ステップS24)。
測定結果に異常の可能性があると判断した場合、例えば制御部162から出力部163に電解質濃度のデータを出力する際に、制御部162は、異常の可能性があることを出力データに付加する。出力部163は、例えば測定値に異常の可能性があることを表示する。
[5.実際の測定例]
次に、図4の測定例を参照して、異常の有無を判断する具体的な例について説明する。図4A,図4B,図4Cに示す各測定例は、縦軸が測定液の電位(mV)であり、横軸が時間である。それぞれの例で、期間Taは、希釈槽111に標準液を入れて、その液を測定した期間であり、期間Tbは、希釈槽111に希釈液を入れて、その液を測定した期間であり、期間Tcは、希釈槽111に検体溶液を入れて、その液を測定した期間である。
図4Aは、異常のない正常な測定が行われている場合の例を示す。
図4Aに示すように、希釈槽111に標準液が充填され、その液を測定した期間Ta内のタイミングT11に、各電極121〜124により、その標準液の電位が検出される。そして、希釈槽111に希釈液が充填されて、その液を測定した期間Tb内のタイミングT12に、各電極121〜124により、その希釈液の電位が測定される。さらに、希釈槽111に検体溶液が充填されて、その液を測定した期間Tc内のタイミングT13に、各電極121〜124により、検体溶液の電位が測定される。
そして、タイミングT11で検出された標準液の電位と、タイミングT13で検出された検体溶液の電位から、検体の濃度が算出される。
また、タイミングT11で検出された標準液の電位と、タイミングT12で検出された希釈液の電位とが比較される。ここでは、正常な測定状態であるため、標準液の電位と希釈液の電位には十分な差がある。したがって、制御部162では、図3のフローチャートのステップS22で、2つの電位に第1の閾値TH1以上の電位差が検出され、正常な測定状態であると判定される。
図4Aに示す電位の例を説明すると、各タイミングT11,T12での測定値は以下の通りである。
タイミングT11での標準液電位:2.240mV
タイミングT12での希釈液電位:1.722mV
したがって、[標準液電位]−[希釈液電位]=0.518mVとなる。
図4Bは、電極121〜124と信号処理部161とを接続するケーブルが断線した状態、又はコネクタが抜けて、信号処理部161に電極121〜124の検出値が供給されない状態での、信号処理部161での測定値の例を示す。
この例では、各電極121〜124は、希釈槽111に標準液が充填されて、その液を測定した期間Ta内のタイミングT21に、その標準液の電位を測定する。そして、各電極121〜124は、希釈槽111に希釈液が充填されて、その液を測定した期間Tb内のタイミングT22に、その希釈液の電位を測定する。さらに、各電極121〜124は、希釈槽111に検体溶液が充填されて、その液を測定した期間Tc内のタイミングT23に、検体溶液の電位を測定する。但し、この例では、測定を行った値は、信号処理部161に届いていない。
このため、図4Bから判るように、タイミングT21での標準液の電位と、タイミングT22での希釈液の電位と、タイミングT23での検体溶液の電位とには、殆ど変化がなく、一定の電位(図4Bでは約2mV)が検出される。したがって、制御部162は、図3のフローチャートのステップS22で、2つの電位に第1の閾値TH1以上の電位差があると判定されず、異常な測定状態であると判定する。
図4Bに示す電位の例を説明すると、各タイミングT21,T22での測定値は以下の通りである。
タイミングT21での標準液電位:1.986mV
タイミングT22での希釈液電位:2.001mV
したがって、[標準液電位]−[希釈液電位]=−0.015mVとなる。
図4Cは、電極121〜124が劣化したために、電極121〜124の電位が本来の電位とは異なる値となった状態での、信号処理部161での測定値の例を示す。
この例では、希釈槽111に標準液が充填されて、その液を測定した期間Ta内のタイミングT31に、その標準液の電位を測定する。そして、各電極121〜124は、希釈槽111に希釈液が充填された期間Tb内のタイミングT32に、その希釈液の電位を測定する。さらに、各電極121〜124は、希釈槽111に検体溶液が充填された期間Tc内のタイミングT33に、検体溶液の電位を測定する。
ここで、図4Aと図4Cを比較すると判るように、タイミングT32で検出される希釈液の電位は、正常状態(図4A)のタイミングT12で検出される電位に比べて、標準液の電位からの低下が少ない状態である。したがって、制御部162では、図3のフローチャートのステップS22で、2つの電位に第1の閾値TH1以上の電位差が検出されず、異常な測定状態であると判定される。
図4Cに示す電位の例を説明すると、各タイミングT31,T32での測定値は以下の通りである。
タイミングT31での標準液電位:2.232mV
タイミングT32での希釈液電位:1.971mV
したがって、[標準液電位]−[希釈液電位]=0.261mVとなる。
このように本例の電解質測定装置によると、希釈液の電位を測定して、その希釈液の電位を標準液の電位と比較することで、測定状態に異常があるか否かを簡単かつ的確に判定できるようになる。したがって、本例の電解質測定装置によると、誤った検体濃度の測定値を測定結果として使用されることを的確に阻止できるようになる。異常状態か否かを判定する第1の閾値TH1としては、上述した図4Aで検出される差電位と、図4B及び図4Cで検出される差電位とが区別できる範囲内の値であれば、いずれの値としてもよい。
また、閾値として、希釈液の電位と標準液の電位との差が、正常な状態よりも大きい異常が検出できる閾値を設定して、電位差が大きいことによる異常な状態を判定できるようにしてもよい。すなわち、図4Aに示すような適正な電位差(希釈液の電位と標準液の電位の差)の状態よりも、所定値以上大きな電位差であることが検出されたとき、異常な状態であると判定するようにしてもよい。この電位差が大きいことによる異常の判定は、電位差が小さいことによる異常の判定と同時に行うようにしてもよい。
なお、図4では、異常な状態として、ケーブルが断線した状態やコネクタが抜けた状態と、電極が劣化した状態の2つの例を示すが、その他の異常な状態として、各電磁弁133,143,151の開閉不良や、異常ノイズの発生などがある。これらの電磁弁の開閉不良時や異常ノイズの発生時にも、図4Aに示す正常時とは異なる電位が検出される可能性が高く、本例の電解質測定装置では異常状態の可能性があると判別される。
[6.他の実施の形態の例(異常判別をより詳細に行う例)]
図3のフローチャートで説明した異常判別処理では、異常の可能性があるか否かだけを判別するようにした。これに対して、異常の種類を判別するようにしてもよい。
図5のフローチャートは、この場合の処理例を示す。この図5のフローチャートにおいて、ステップS21で標準液の電位と希釈液の電位との差を算出する処理と、ステップS22で算出した差が第1の閾値TH1以上であるか否かを判断する処理は、図3のフローチャートの処理と同じである。そして、ステップS22で算出した差が第1の閾値TH1以上である場合、ステップS23で制御部162が測定結果に異常がないと判断する点も図3のフローチャートの処理と同じである。
そして、この例では、ステップS21で算出した差が第1の閾値TH1以上でないと判断したとき(ステップS22のNO)、制御部162は、さらに、ステップS21で算出した差が第2の閾値TH2以内であるか否かを判断する(ステップS25)。ここでの第2の閾値TH2は、第1の閾値よりも小さな値であり、例えば、電極のケーブルやコネクタが外れた状態(図4Bの状態)と、電極が劣化した状態とを区別できる値に設定される。
ステップS25で、ステップS21で算出した差が第2の閾値TH2以内であるとき(ステップS25のYES)、制御部162は、電極コネクタの外れやケーブルの断線などの装置不良による異常の可能性が高いと判断する(ステップS26)。
また、ステップS25で、ステップS21で算出した差が第2の閾値TH2以内でないとき(ステップS25のNO)、制御部162は、電極121〜124の劣化による不良の可能性が高いと判断する(ステップS27)。
このように、検出される電位差を細かく判断することで、異常の原因の予測が可能になる。制御部162が予測した異常の原因は、例えば出力部163に出力して表示される。
[7.変形例]
なお、上述した実施の形態例では、標準液と希釈液の電位差から、濃度測定装置の異常を判別するようにした。これに対して、図4の検出波形から判るように、検体溶液と希釈液との電位についても、ほぼ同様な電位差が検出される。このため、制御部162は、検体溶液と希釈液との電位差から、測定が異常である可能性があるか否かを判断するようにしてもよい。但し、図4に示す検体溶液の電位は一例であり、検体溶液の電位は検体の濃度により変化するため、検体溶液と希釈液との電位差よりも、標準液と希釈液との電位差を検出して、異常の可能性があるか否かを判別する方が好ましい。あるいは、制御部162は、標準液と希釈液との電位差と、検体溶液と希釈液との電位差の双方を判別して、それぞれの電位差から総合的に異常状態か否かを判別するようにしてもよい。
また、本発明は上述した実施の形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。例えば、図1に示す測定部110の構成や各電極121〜124の配置状態は一例を示すものであり、本発明は、図1に示す構成に限定されるものではない。また、図4に示す電位などの数値についても、一例を示すものであり、図4などで説明した数値に限定されるものではない。
100…電解質測定装置、101…検体注入ピペット、110…測定部、111…希釈槽、112…配管、120…電極部、121,122,123…作用電極、124…比較電極、131…希釈液容器、132…配管、133…電磁弁、134,135…配管、136…ポンプ、141…標準液容器、142…配管、143…電磁弁、144,145…配管、146…ポンプ、151…電磁弁、152…配管、153…ポンプ、154…配管、155…廃液槽、161…信号処理部、162…制御部、163…出力部

Claims (4)

  1. 希釈槽と、
    検体を前記希釈槽に供給する検体供給部と、
    希釈液を前記希釈槽に供給する希釈液供給部と、
    標準液を前記希釈槽に供給する標準液供給部と、
    作用電極と比較電極を有する電極部を用いて、前記希釈槽に供給された液の電位を測定する測定部と、
    前記標準液供給部から前記希釈槽に供給された標準液の電位と、前記希釈液供給部から前記希釈槽に供給された希釈液の電位と、前記検体供給部から供給された検体と前記希釈液供給部から供給された希釈液を前記希釈槽で混合した検体溶液の電位との測定とを行う制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記標準液の電位と前記検体溶液の電位との差から、前記検体の電解質濃度を判断すると共に、前記標準液又は前記検体溶液の電位と前記希釈液の電位との差から、異常の有無を判断する
    電解質測定装置。
  2. 前記制御部は、前記異常があると判断した状態で、前記標準液又は前記検体溶液の電位と前記希釈液の電位との差が、所定値以上であるとき、前記作用電極と前記比較電極の劣化による異常の可能性があると判断し、前記所定値未満であるとき、前記電極に接続されたケーブル又はコネクタの断線又は外れによる異常の可能性があると判断する
    請求項1に記載の電解質測定装置。
  3. 希釈槽に標準液を供給する標準液供給ステップと、
    前記標準液供給ステップで前記希釈槽に供給した前記標準液の電位を測定する標準液測定ステップと、
    前記標準液測定ステップの後に、前記標準液を前記希釈槽から排出する標準液排出ステップと、
    前記標準液排出ステップの後に、前記希釈槽に希釈液を供給する希釈液供給ステップと、
    前記希釈液供給ステップで前記希釈槽に供給した希釈液の電位を測定する希釈液測定ステップと、
    前記希釈液測定ステップの後に、前記希釈液を前記希釈槽から排出する希釈液排出ステップと、
    前記希釈液排出ステップの後に、前記希釈槽に前記希釈液と検体とを供給して検体溶液を得る検体溶液供給ステップと、
    前記検体溶液供給ステップで前記希釈槽に供給された前記検体溶液の電位を測定する検体溶液測定ステップと、
    前記検体溶液測定ステップの後に、前記検体溶液を前記希釈槽から排出する検体溶液排出ステップと、
    前記標準液測定ステップで測定した前記標準液の電位と、前記検体溶液測定ステップで測定した前記検体溶液の電位との差から、前記検体の電解質濃度を判断すると共に、前記標準液測定ステップで測定した前記標準液の電位又は前記検体溶液測定ステップで測定した前記検体溶液の電位と、前記希釈液測定ステップで測定した前記希釈液の電位との差から、異常の有無を判断する電解質濃度判断ステップと、を含む
    電解質測定方法。
  4. 前記異常があると判断した状態で、前記標準液又は前記検体溶液の電位と前記希釈液の電位との差が、所定値以上であるとき、液の電位を測定する電極の劣化による異常の可能性があると判断し、前記所定値未満であるとき、前記電極に接続されたケーブル又はコネクタの断線又は外れによる異常の可能性があると判断する
    請求項3に記載の電解質測定方法。
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