JP2016217756A - ガスセンサ用デバイス、ガスセンサデバイス及びその製造方法、情報処理システム - Google Patents
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このスクリーニングに用いて例えば癌を早期に発見する技術としては、呼気中に含まれる癌特有のマーカーガスを検知する方法がある。例えば、胃癌の危険因子であるピロリ菌感染のマーカーガスとしてアンモニアが知られており、肺癌のマーカーガスとしてアセトアルデヒドやノナナールが知られている。
しかしながら、CuBr膜は、ガスセンサを使用する前に長時間大気にさらされたり、製造工程中に溶液などにさらされたりすると、劣化してしまい、この結果、ガスセンサの感度が低下し、場合によっては検知不能になることもある。
本ガスセンサデバイスは、ガスを検知する際に、上述のガスセンサ用デバイスのCu膜を臭化して第2CuBr膜にし、積層膜を第1CuBr膜と第2CuBr膜とを備える感応膜にして用いられる。
本ガスセンサデバイスの製造方法は、第1CuBr膜と第1CuBr膜を覆うCu膜とを備える積層膜と、積層膜を介して電気的に接続される2つの電極とを備えるガスセンサ用デバイスを作製する工程と、ガスを検知する際に、ガスセンサ用デバイスのCu膜を臭化して第2CuBr膜にする処理を施し、積層膜を第1CuBr膜と第2CuBr膜とを備える感応膜にして、ガスセンサ用デバイスをガスセンサデバイスとする工程とを含む。
本実施形態にかかるガスセンサデバイスは、呼気・体臭中に含まれるガス、特に各種疾病特有のマーカーガスを感知するガスセンサデバイスである。
このCuBrを用いたガスセンサでは、CuBr膜にアンモニア分子が吸着すると、吸着した部分のCuBr中のCu+イオンの濃度が変化し、半導体であるCuBrの抵抗値(又は電位)が変化するため、この抵抗値(又は電位)の変化によって微量のアンモニアを検知することができる。
ここで、ガスセンサ用デバイス1を作製する工程は、第1CuBr膜2と第1CuBr膜2を覆うCu膜3とを備える積層膜4と、積層膜4を介して電気的に接続される2つの電極5、6とを備えるガスセンサ用デバイス1を作製する工程である。なお、積層膜4をセンサ膜ともいう。
ここで、Cu膜3を臭化して第2CuBr膜3Xにする処理、即ち、Cu膜3をCuBr化する処理としては、例えばCuBr溶液(CuBr2溶液;例えばCuBr20.01M水溶液)中に浸漬する処理(溶液処理)を行なえば良い。
本実施形態では、Cu膜3の表面を部分的に覆う絶縁膜(絶縁保護膜)7も備える。ここで、絶縁膜7は、例えば感光性の有機レジストからなる絶縁膜とすれば良い。
ここでは、2つの電極5、6の一方の電極6の上方のCu膜3の表面上に絶縁膜7を設け、他方の電極5の上方のCu膜3の表面上には絶縁膜7を設けずにCu膜3の表面を露出させるようにしている。つまり、Cu膜3の表面が部分的に露出するようにCu膜3の表面を覆う絶縁膜7が設けられている。
なお、ここでは、2つの電極5、6の間にギャップgを設け、このギャップgの上方のCu膜3の表面を露出させている。このため、後述するようにしてCu膜3を臭化してCuBr膜3Xにしてガスを検知する際に、その表面の露出している部分にアンモニア分子が吸着した場合に、2つの電極5、6の間でCuBr膜2、3Xの抵抗値も変化することになる。このため、CuBr膜2、3Xの抵抗値の変化によっても微量のアンモニアを検知することが可能である。したがって、絶縁膜7を設けなくてもアンモニアを検知することは可能である。つまり、ガスセンサ用デバイス1は絶縁膜7を備えないものとしても良い。
また、本実施形態にかかるガスセンサデバイス10は、ガスを検知(測定)する際に、図2に示すように、上述のガスセンサ用デバイス1のCu膜3を臭化して第2CuBr膜3Xにし、積層膜4を第1CuBr膜2と第2CuBr膜3Xとを備える感応膜4Xにして用いられる。
このように、CuBr膜2の表面をCu膜3で覆ったガスセンサ用デバイス1を作製し、ガスを検知する際に、Cu膜3をCuBr化する処理を施して、ガスセンサ用デバイス1をガスセンサデバイス10とする。
これにより、CuBr膜2が、ガスセンサを使用する前に長時間大気にさらされたり、製造工程中に溶液などにさらされたりして、CuBr膜2が劣化してしまうのを防止することができる。例えば、CuBr膜2の成膜後のデバイス製造工程中に大気にさらされて、酸化したり、大気中のガスが吸着したりして、その表面が劣化してしまうのを防止することができる。また、例えば、製造工程中にCuBr膜2が溶液に接触して溶解し、劣化してしまうのを防止することができる。
そして、ガスを検知する際に(例えば測定直前に)、CuBr膜2上のCu膜3をCuBr化する処理が施される。例えばCuBr溶液(CuBr2溶液;例えばCuBr20.01M水溶液)中に浸漬する処理が施される。例えば、ガスセンサ用デバイス1のCu膜3をCuBr溶液に漬けても良いし、ガスセンサ用デバイス1のCu膜3上にCuBr溶液をたらしても良い。
つまり、ガスセンサデバイス10の感応膜4Xの検知対象ガスが接触(吸着)する面が劣化していない清浄な状態で、高い感度で安定してガスの検知を行なうことが可能となる。
なお、Cuは、CuBrのようには大気中で大きく劣化しないだけでなく、製造工程で例えばレジストを除去するために用いられる有機溶剤や例えばレジストパターンを作製する際のアルカリ現像液などへの耐性もある。
また、CuBr膜2を覆うように保護膜を設けておき、ガスを検知する際に、この保護膜をウェットエッチングによって除去することも考えられるが、ウェットエッチングに用いられる溶液によってCuBr膜が劣化してしまうことになるため、上述のようにしている。また、CuBr膜を覆うように保護膜を設けておき、ガスを検知する際に、この保護膜をドライエッチングによって除去することも考えられるが、ドライエッチングを行なうために大がかりな装置が必要になるため、上述のようにしている。
まず、例えば厚さ約300nmの熱酸化膜(SiO2膜;絶縁膜)9付きのSi基板8上に、例えば厚さ約50nmのTi膜(密着層)及び例えば厚さ約100nmのAu膜を例えばRFスパッタリング法で成膜して、ガスセンサ用デバイス1に備えられる2つの電極5、6を形成する(図1参照)。ここでは、これらの2つの電極5、6の大きさは約10nm×約50mmであり、電極間距離(ギャップg)は約1mmである。
次に、絶縁保護膜7として、例えば感光性の有機レジストをパターニングする(図1参照)。
そして、使用時まで、窒素(N2)ガス中に保管する。例えば、積層膜4を構成するCu膜3の絶縁保護膜7で覆われずに露出している部分を、窒素(N2)ガスを封入して密閉しておく。
その後、ガスを検知する際に、即ち、ガスを測定する前に、ガスセンサ用デバイス1をCuBr20.01M水溶液中に約30秒浸漬し、純水で洗浄し、乾燥させる。これにより、CuBr膜2上のCu膜3がCuBr化され、感応膜4Xとして表面にCuBr膜3Xが露出しているガスセンサデバイス10が作製される(図2参照)。
このようにして作製したガスセンサデバイス10を、N2ガス、アンモニアガス(ここでは1ppmアンモニアガス)、N2ガスの順に暴露し、抵抗値を測定したところ、アンモニアガス中ではN2中の3倍程度抵抗値が増加した。
このため、ガスセンサデバイス10の抵抗値の測定を行ない、測定対象ガスに暴露する前後での抵抗値の変化の有無をみることで、測定対象ガス中にアンモニアが含まれているか測定(判断)することができる。
ところで、上述の実施形態のガスセンサデバイス10を備えるガスセンサを用いて測定したデータ(情報)を、ネットワークを介して収集し、蓄積して、データベースを構築したり、これらのデータを解析し、その結果をフィードバックしたりすることも可能である。
例えば、呼気の被測定者の癌の有無、あるいは他の疾病との相関を解析することで、スクリーニング精度の向上や他の疾病のスクリーニングへの展開が可能となり、医療費が増大する高齢化社会への寄与が大きい。
なお、ガスセンサ12は、上述の実施形態のガスセンサデバイス10のほかに、例えば、検知部としての回路、コントローラ、通信回路等を備えるものとすれば良い。また、情報処理システム11をセンサネットワークシステムともいう。
以下、上述の実施形態及び変形例に関し、更に、付記を開示する。
(付記1)
第1CuBr膜と、前記第1CuBr膜を覆うCu膜とを備える積層膜と、
前記積層膜を介して電気的に接続される2つの電極とを備えることを特徴とするガスセンサ用デバイス。
前記Cu膜の表面を部分的に覆う絶縁膜を備えることを特徴とする、付記1に記載のガスセンサ用デバイス。
(付記3)
前記2つの電極は、前記第1CuBr膜の前記Cu膜で覆われている側の反対側に設けられていることを特徴とする、付記1又は2に記載のガスセンサ用デバイス。
前記2つの電極に接続され、前記積層膜の電気特性の変化を検知する検知部を備えることを特徴とする、付記1〜3のいずれか1項に記載のガスセンサ用デバイス。
(付記5)
ガスを検知する際に、付記1〜4のいずれか1項に記載のガスセンサ用デバイスの前記Cu膜を臭化して第2CuBr膜にし、前記積層膜を前記第1CuBr膜と前記第2CuBr膜とを備える感応膜にして用いられることを特徴とするガスセンサデバイス。
付記5に記載のガスセンサデバイスを備えるガスセンサと、
前記ガスセンサにネットワークを介して接続され、前記ガスセンサによって得られたデータを処理するコンピュータとを備えることを特徴とする情報処理システム。
(付記7)
第1CuBr膜と前記第1CuBr膜を覆うCu膜とを備える積層膜と、前記積層膜を介して電気的に接続される2つの電極とを備えるガスセンサ用デバイスを作製する工程と、
ガスを検知する際に、前記ガスセンサ用デバイスの前記Cu膜を臭化して第2CuBr膜にする処理を施し、前記積層膜を前記第1CuBr膜と前記第2CuBr膜とを備える感応膜にして、前記ガスセンサ用デバイスをガスセンサデバイスとする工程とを含むことを特徴とするガスセンサデバイスの製造方法。
2 第1CuBr膜
3 Cu膜
3X 第2CuBr膜
4 積層膜
4X 感応膜
5、6 電極
7 絶縁膜(絶縁保護膜)
8 基板(シリコン基板)
9 絶縁膜(SiO2膜)
10 ガスセンサデバイス
11 情報処理システム
12 ガスセンサ
13 ネットワーク
14 サーバ(コンピュータ)
Claims (4)
- 第1CuBr膜と、前記第1CuBr膜を覆うCu膜とを備える積層膜と、
前記積層膜を介して電気的に接続される2つの電極とを備えることを特徴とするガスセンサ用デバイス。 - ガスを検知する際に、請求項1に記載のガスセンサ用デバイスの前記Cu膜を臭化して第2CuBr膜にし、前記積層膜を前記第1CuBr膜と前記第2CuBr膜とを備える感応膜にして用いられることを特徴とするガスセンサデバイス。
- 請求項2に記載のガスセンサデバイスを備えるガスセンサと、
前記ガスセンサにネットワークを介して接続され、前記ガスセンサによって得られたデータを処理するコンピュータとを備えることを特徴とする情報処理システム。 - 第1CuBr膜と前記第1CuBr膜を覆うCu膜とを備える積層膜と、前記積層膜を介して電気的に接続される2つの電極とを備えるガスセンサ用デバイスを作製する工程と、
ガスを検知する際に、前記ガスセンサ用デバイスの前記Cu膜を臭化して第2CuBr膜にする処理を施し、前記積層膜を前記第1CuBr膜と前記第2CuBr膜とを備える感応膜にして、前記ガスセンサ用デバイスをガスセンサデバイスとする工程とを含むことを特徴とするガスセンサデバイスの製造方法。
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