JP2016217523A - 取付構造 - Google Patents

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勇司 小澤
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Abstract

【課題】位置決めピン及びボルトを用いた取付構造において作業性を向上させる。
【解決手段】ヘッドカバースペーサ30に形成された貫通孔30Aに挿通される筒状の位置決めピン50と、ボルト70とを備え、ボルト70の軸部71は、位置決めピン50の突出端側から位置決めピン50の内部に挿通された後、その先端部においてカムハウジング10にねじ止めされるものとされ、位置決めピン50における突出端側の部分は、突出端に向かうにつれて先細りするテーパ部51とされ、テーパ部51は、突出端からカムハウジング10側に延びる複数本のスリット52によって、複数の片部53に分割されており、複数の片部53の各々は、ボルト70の軸部71が位置決めピン50の内部に挿通される過程で、ボルト70に押圧されることで、カムハウジング10側に屈曲し、ボルト70の座面70Aを弾性的に押圧する押圧部56となることに特徴を有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、取付構造に関する。
従来、ボルトを用いた取付構造として、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1のものでは、カムキャップに形成された挿通孔にボルトが挿通され、ボルトの先端部分がカムハウジングに対して締結される構成となっている。
特開2011−7067号公報
また、カムハウジングに位置決めピン(ピンリング)を設け、カムキャップの挿通孔に位置決めピンを挿通させることで、カムハウジングに対してカムキャップを位置決めし、その後、位置決めピンの内部にボルトを挿通させることで、カムハウジングに対してカムキャップを取り付ける構成も知られている。このような位置決めピンは、筒状をなしており、その外周面と、挿通孔の内周面との間のクリアランスを小さく設定することで、位置決め精度を高くすることができる。しかしながら、位置決めピンと挿通孔のクリアランスが小さいと、挿通孔に対する位置決めピンの挿通作業が困難となる。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、位置決めピン及びボルトを用いた取付構造において作業性を向上させることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、第1部材に第2部材を取り付ける取付構造であって、前記第1部材から前記第2部材側に突出する形で設けられ、前記第2部材に形成された貫通孔に挿通される筒状の位置決めピンと、前記第2部材を前記第1部材に締結するボルトと、を備え、前記ボルトの軸部は、前記位置決めピンの突出端側から前記位置決めピンの内部に挿通された後、その先端部において前記第1部材にねじ止めされるものとされ、前記位置決めピンにおける前記突出端側の部分は、前記突出端に向かうにつれて先細りするテーパ部とされ、前記テーパ部は、前記突出端から前記第1部材側に延びる複数本のスリットによって、複数の片部に分割されており、前記複数の片部の各々は、前記ボルトの前記軸部が前記位置決めピンの内部に挿通される過程で、前記ボルトに押圧されることで前記第1部材側に屈曲し、前記ボルトの座面を弾性的に押圧する押圧部となる構成であることに特徴を有する。
本発明によれば、位置決めピンがテーパ部を有している。これにより、第2部材の貫通孔に対して位置決めピンを容易に挿通させることができ、作業性を向上させることができる。また、位置決めピンのテーパ部はスリットによって複数の片部に分割されており、各片部は、ボルトの軸部が位置決めピンの内部に挿通される過程で、第1部材側に屈曲し、ボルトの座面を押圧する押圧部となる。これにより、押圧部にスプリングワッシャの機能を持たせることができ、ボルトの緩みをより確実に抑制することができる。
また、前記位置決めピンは円筒状をなし、前記押圧部は、前記軸部の径方向に沿って延びる板状をなすと共に、前記径方向と直交する板幅方向の中央部が前記第1部材側に向かう湾曲形状をなしているものとすることができる。押圧部を湾曲する板状とすれば、その板厚方向において弾性変形させ易く、弾性力によって、より確実にボルトの座面を押圧することができる。
本発明によれば、位置決めピン及びボルトを用いた取付構造において作業性を向上させることができる。
カムハウジング及びヘッドカバースペーサを示す断面図 位置決めピンを示す正面図 位置決めピンにボルトを挿通する過程を示す断面図 テーパ部が拡径変形した状態を示す断面図 カムハウジングにボルトが締結された状態を示す断面図(図7のV−V線で切断した図に対応) 位置決めピンを示す平面図(ボルトが挿通される側から視た図) 変形後の位置決めピンを示す平面図 押圧部を示す断面図(図5のVIII−VIII線で切断した図に対応) 変形例1を示す断面図 変形例2を示す断面図
本発明の一実施形態を図1ないし図8によって説明する。本実施形態では、車両用エンジンを構成するカムハウジング10(第1部材)に対するヘッドカバースペーサ30(第2部材)の取付構造について説明する。本実施形態の取付構造は、カムハウジング10と、ヘッドカバースペーサ30と、位置決めピン50と、ボルト70(図5参照)と、を備えている。ヘッドカバースペーサ30は、ヘッドカバー(図示せず)とカムハウジング10の間に介在され、ヘッドカバーを支持する機能を担っている。図1に示すように、カムハウジング10には、複数の位置決めピン50が設けられている。図5に示すように、ヘッドカバースペーサ30は、位置決めピン50及びボルト70を介してカムハウジング10に取り付けられている。
位置決めピン50(ピンリング)は、例えば、金属などの弾性を有する材質によって構成され、ボルト70の軸部71を挿通させるための挿通孔50Aを有する円筒状をなしている。位置決めピン50は、その一端部においてカムハウジング10に形成された取付孔10Aに圧入されている。ヘッドカバースペーサ30の外周端部には、円形状をなす貫通孔30Aが形成されている。貫通孔30Aに位置決めピン50を挿通させることで、水平方向(カムハウジング10の上面の延設方向)におけるヘッドカバースペーサ30の位置決めが可能となっている。
位置決めピン50及び取付孔10Aは、ヘッドカバースペーサ30の外周端部において、複数箇所に設けられている。なお、本実施形態では、ヘッドカバースペーサ30は、図1に示すように、断面視においてカムハウジング10側に開口された凹形状をなしており、ヘッドカバースペーサ30の外周端部は、図1の左側の外周端部31に対して右側の外周端部32が低い位置に配されている。このため、外周端部32に対応する位置決めピン50は、外周端部31に対応する位置決めピン50よりも低い位置に配されている。
位置決めピン50は、カムハウジング10からヘッドカバースペーサ30側に突出する形で設けられている。位置決めピン50における基端部55(カムハウジング10側の部分)は、図2に示すように、その外径D4が、貫通孔30Aの孔径D5(図1参照)とほぼ同じで設定されている。これに対して、位置決めピン50における突出端側の部分は、その突出端に向かうにつれて外径が小さくなるテーパ部51とされる。つまり、テーパ部51は、その突出端に向かうにつれて先細りするものとされる。テーパ部51には、複数のスリット52が形成されている。スリット52は、位置決めピン50の突出端からカムハウジング10側(図1の下側)に延びている。図6の平面視に示すように、本実施形態では、複数本(本実施形態では8本)のスリット52が、位置決めピン50の周方向に沿って配列されている。テーパ部51は、8本のスリット52によって、複数(本実施形態では8個)の片部53に分割されている。
ボルト70は、図5に示すように、軸部71と、頭部72と、を備えている。カムハウジング10の取付孔10Aの底面には、取付孔10Aよりも孔径の小さい締結孔10Bが形成されている。ボルト70の軸部71は、円筒状をなす位置決めピン50の内部に挿通された後、その先端部において、締結孔10Bに挿通される構成となっている。軸部71の外周面及び締結孔10Bの内周面には、それぞれ、ねじ部(図示せず)が形成されており、軸部71の先端部が締結孔10Bにねじ止めされる構成となっている。また、軸部71の外径D1は、図3に示すように、位置決めピン50の基端部55の内径D2とほぼ同じ(又はわずかに小さい)値で設定されている。このため、軸部71は基端部55の内部を通過可能となっている。また、テーパ部51の突出端の内径D3は、軸部71の外径D1よりも小さい値で設定されている。軸部71の先端部71Aは、下方に向かうにつれて、その外径が小さくなるテーパ状をなしている。頭部72の下端には、フランジ部73が設けられ、フランジ部73の下面がボルト70の座面70Aとされる。
次に、本実施形態の作用について説明する。本実施形態において、カムハウジング10にヘッドカバースペーサ30を取り付ける際には、次のようにする。まず、図1に示すように、カムハウジング10の上面にヘッドカバースペーサ30を載置しつつ、各位置決めピン50を対応する貫通孔30Aにそれぞれ挿通する。この状態では、位置決めピン50の基端部55が貫通孔30Aに嵌合され、テーパ部51の大部分がヘッドカバースペーサ30の上側(表側)に突出した形で配される。これにより、水平方向においてヘッドカバースペーサ30が位置決めされる。なお、図1では、位置決めピン50に取り付ける前のヘッドカバースペーサ30を2点鎖線で図示し、符号33を付してある。次に、図3に示すように、位置決めピン50の内部(挿通孔50A)に対して、ボルト70の軸部71を上方から挿通する。テーパ部51の突出端の内径D3は、軸部71の外径D1よりも小さい値で設定されている。このため、軸部71の先端部71Aの外周面が、テーパ部51の上端部に当接する。
この状態からボルト70を下方に押圧すると、図4に示すように、スリット52によって分割されている片部53の各々が、軸部71の先端に押圧されることで、テーパ部51の径方向について弾性的に撓み変位する。つまり、テーパ部51がボルト70によって押し広げられ、拡径方向に変形する。テーパ部51が拡径変形することで軸部71を位置決めピン50の内部(挿通孔50A)に挿通することが可能となる。そして、挿通孔50Aに挿通した軸部71の先端部を締結孔10Bに到達させた後、締結孔10Bのねじ部に軸部71をねじ止めする。
軸部71を挿通孔50Aに挿通させ、締結孔10Bにねじ止めする過程では、ボルト70に押圧された片部53が変形する。具体的には、まず、軸部71によって、片部53が押圧され、テーパ部51が拡径変形することで片部53の下側部分が貫通孔30Aの内周面に当接する。それ以降は、片部53の上側部分(貫通孔30Aの内周面に当接していない部分)が座面70Aに上方から押圧され、貫通孔30Aの内周面における上端30D(図5参照)を起点としてヘッドカバースペーサ30の上面30Bに近づくように弾性的に屈曲する。これにより、締結孔10Bに対する軸部71のねじ止めが完了した状態では、図5に示すように、片部53が座面70Aと、ヘッドカバースペーサ30の上面30Bの間に介在された状態となる。片部53が弾性変形している場合、その弾性力によって座面70Aが上側に押圧された状態となる。つまり、片部53は、座面70Aをカムハウジング10から遠ざかる方向に押圧する押圧部56となる。
押圧部56は、図5及び図7に示すように、軸部71の径方向(図5では左右方向に相当)に沿って延びる板状をなしている。また、押圧部56は、円筒状をなすテーパ部51をスリット52によって分割してなるものである。このため、押圧部56は、図8に示すように、板幅方向(軸部71の径方向と直交する方向、図8の左右方向)の中央部がヘッドカバースペーサ30側(及びカムハウジング10側、図8の下側)に向かう湾曲形状をなしている。これにより、押圧部56は、板幅方向の中央部において、ヘッドカバースペーサ30の上面30Bと当接し、幅方向の両端部において座面70Aと当接する。また、押圧部56は、図7に示すように、先端部に向かうにつれて幅B1が小さくなる形状をなしている。なお、本実施形態では、8個の押圧部56が、基端部55を中心として放射状に延びる形で配される。また、各押圧部56の先端は、平面視にて、フランジ部73(座面70A)の外周端よりも外側に配されている。これにより、押圧部56は、図5に示すように、座面70Aをより確実に押圧することが可能となっている。
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態によれば、位置決めピン50がテーパ部51を有している。これにより、ヘッドカバースペーサ30の貫通孔30Aに対して位置決めピン50を容易に挿通させることができ、作業性を向上させることができる。また、位置決めピン50のテーパ部51は複数のスリット52によって複数の片部53に分割されており、各片部53は、ボルト70の軸部71が位置決めピン50の内部に挿通される過程で、カムハウジング10側に屈曲し、ボルト70の座面70Aをカムハウジング10から遠ざかる方向に押圧する押圧部56となる。つまり、押圧部56にスプリングワッシャの機能を持たせることができ、ボルト70の緩みをより確実に抑制することができる。
また、位置決めピン50は円筒状をなし、押圧部56は、軸部71の径方向に沿って延びる板状をなすと共に、径方向と直交する板幅方向の中央部がカムハウジング10側に向かう湾曲形状をなしている。押圧部56を湾曲する板状とすれば、その板厚方向において弾性変形させ易く、弾性力によって、より確実にボルト70の座面70Aを押圧することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、位置決めピン50が円筒形状をなすものを例示したが、これに限定されない。例えば、位置決めピン50が角筒状をなしていてもよい。
(2)上記実施形態では、軸部71の先端をテーパ状にすることで、テーパ部51を押圧可能とし、テーパ部51を拡径変形させる構成を例示したが、これに限定されない。例えば、図9に示すように、テーパ部51の突出端部にテーパ面151を設け、軸部71にテーパ面151が押圧されることで、テーパ部51が拡径変形される構成としてもよい。また、図10に示すように、ボルト70の軸部171の基端にテーパ面152を設け、このテーパ面152によってテーパ部51の先端を押圧することで、テーパ部51を拡径変形させる構成としてもよい。また、図10に示すように、軸部171の外径をテーパ部51の突出端の内径よりも小さい値で設定してもよい。
(3)上記実施形態では、第1部材として、カムハウジング10を例示し、第2部材として、ヘッドカバースペーサ30を例示したが、これに限定されない。第1部材及び第2部材は、ボルトと位置決めピンを介して取り付け可能なものであればよい。例えば、第1部材としてカムキャップを例示し、第2部材としてカムキャップに組み付け可能なヘッドカバースペーサを例示することができる。また、第1部材としてカムハウジングを例示し、第2部材としてカムハウジングに組み付け可能なカムキャップを例示することができる。
(4)上記実施形態では、テーパ部51が8個の片部53によって分割構成されたものを例示したが、テーパ部51の分割数は、これに限定されない。また、押圧部56は、弾性力によってボルト70の座面70Aを押圧するものとされる。このため、押圧部56の板厚や幅を適宜設定することで、座面70Aに対する押圧力を設定することが可能である。
(5)上記実施形態1において、軸部71の基端にテーパ部71B(図4において2点鎖線で示す)又はR部(図示せず)を設けてもよい。このようなテーパ部71Bを設けることで、片部53をヘッドカバースペーサ30側により確実に屈曲させることができる。
10…カムハウジング(第1部材)、30…ヘッドカバースペーサ(第2部材)、30A…貫通孔、50…位置決めピン、51…テーパ部、52…スリット、53…片部、56…押圧部、70…ボルト、70A…ボルトの座面、71…ボルトの軸部

Claims (2)

  1. 第1部材に第2部材を取り付ける取付構造であって、
    前記第1部材から前記第2部材側に突出する形で設けられ、前記第2部材に形成された貫通孔に挿通される筒状の位置決めピンと、
    前記第2部材を前記第1部材に締結するボルトとを備え、
    前記ボルトの軸部は、前記位置決めピンの突出端側から前記位置決めピンの内部に挿通された後、その先端部において前記第1部材にねじ止めされるものとされ、
    前記位置決めピンにおける前記突出端側の部分は、前記突出端に向かうにつれて先細りするテーパ部とされ、
    前記テーパ部は、前記突出端から前記第1部材側に延びる複数本のスリットによって、複数の片部に分割されており、
    前記複数の片部の各々は、前記ボルトの前記軸部が前記位置決めピンの内部に挿通される過程で、前記ボルトに押圧されることで前記第1部材側に屈曲し、前記ボルトの座面を弾性的に押圧する押圧部となる構成である取付構造。
  2. 前記位置決めピンは円筒状をなし、
    前記押圧部は、前記軸部の径方向に沿って延びる板状をなすと共に、前記径方向と直交する板幅方向における中央部が前記第1部材側に向かう湾曲形状をなしている請求項1に記載の取付構造。
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