JP2016214053A - モータシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】モータの構造及び制御を工夫し、高トルク・高回転駆動の両立を図ることができるモータシステムを提供する。【解決手段】モータ10は、コイル磁極を備えるステータ11と、磁石磁極Ms,Mnと突極磁極Spとを有し3つの磁極Ms,Mn,Spが周方向に並んで繰り返す構造のロータ21とを用いて構成される。制御回路50のインバータ51,52は、ステータ11のコイル磁極を第1及び第2系統に分け各系統のコイル磁極に3相の駆動電流を生成する。そして、低回転駆動時にはモータ10を主として磁石磁極Ms,Mnによる永久磁石モータとして機能し、高回転駆動時にはモータ10を主として突極磁極Spによるリラクタンスモータとして機能する通電態様となるように3相駆動電流の位相設定がインバータ51,52を通じて変更される。【選択図】図1
Description
本発明は、永久磁石磁極(磁石トルク)と突極磁極(リラクタンストルク)とを利用する構成のモータ及びその制御回路を含むモータシステムに関する。
永久磁石を磁極としたロータを用いるブラシレスモータ等の永久磁石モータは、小型・高トルク・高効率が要求される用途に多く適用されている。しかしながら、ロータが高回転駆動になるほど、ロータの永久磁石による鎖交磁束の増加によりステータコイルに発生する誘起電圧が大きくなり、この誘起電圧がモータ出力を低下させ、モータの高回転化の妨げになる。
一方、永久磁石の代わりに突極磁極としたロータを用いるリラクタンスモータは、ステータコイルに生じる誘起電圧が小さいために高回転化に向いている。しかしながら、同体格の永久磁石モータよりも出力トルクが小さいため、所望トルクを得ようとするとモータの体格が大きくなってしまう。
そこで、リラクタンスモータに用いるロータに補助的に永久磁石を組み込んで、出力トルクの向上を図るようにしたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
ところで、モータの使用用途によっては、出力トルクを維持しつつ、更なる高回転駆動が要求されている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、モータの構造及び制御を工夫し、高トルク・高回転駆動の両立を図ることができるモータシステムを提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、モータの構造及び制御を工夫し、高トルク・高回転駆動の両立を図ることができるモータシステムを提供することにある。
上記課題を解決するモータシステムは、コイル磁極を有するステータと、該ステータにて生じる回転磁界を受けて回転するロータとを備えてなるモータと、前記モータのステータに供給する3相の駆動電流を生成し、その駆動電流を通じて前記モータの回転制御を行う制御回路とを備えたモータシステムであって、前記ステータは、前記コイル磁極を3個毎で構成し、前記ロータは、永久磁石を用いる磁石磁極と、ロータコアの突部を用いる突極磁極とを有し、異なる極性の磁石磁極と突極磁極との3磁極が周方向に並び、この並びを周方向に繰り返す構造にて構成し、前記制御回路は、前記ステータの3個のコイル磁極に3相の駆動電流を生成して供給するインバータを備え、前記制御回路の制御切替部は、前記モータの低回転駆動時にはそのモータが主として前記磁石磁極による永久磁石モータとして機能する通電態様となるように、前記モータの高回転駆動時にはそのモータが主として前記突極磁極によるリラクタンスモータとして機能する通電態様となるように、前記3相の駆動電流の位相設定を変更すべく前記インバータの制御を切り替える。
この構成によれば、モータは、コイル磁極を3個毎で構成されるステータと、磁石磁極と突極磁極とを有し異なる極性の磁石磁極と突極磁極との3磁極が周方向に並んで周方向に繰り返す構造のロータとを用いて構成される。これに対し、制御回路に備えられるインバータは、ステータの3個(3相)のコイル磁極に3相の駆動電流をそれぞれ生成する。このようなモータシステムにおいて、モータの低回転駆動時にはモータが主として磁石磁極による永久磁石モータとして機能する通電態様となるように、モータの高回転駆動時にはモータが主として突極磁極によるリラクタンスモータとして機能する通電態様となるように3相の駆動電流の位相設定を変更すべく(図4、図5、図15、図16等参照)、制御回路の制御切替部にてインバータの制御が切り替えられる。つまり、モータを主として永久磁石モータとして機能させる高トルク駆動と、モータを主としてリラクタンスモータとして機能させる高回転駆動との両立が可能である。
上記課題を解決するモータシステムは、コイル磁極を有するステータと、該ステータにて生じる回転磁界を受けて回転するロータとを備えてなるモータと、前記モータのステータに供給する3相の駆動電流を生成し、その駆動電流を通じて前記モータの回転制御を行う制御回路とを備えたモータシステムであって、前記ステータは、前記コイル磁極を3個毎に分け周方向に交互に第1及び第2系統として構成し、前記ロータは、永久磁石を用いる磁石磁極と、ロータコアの突部を用いる突極磁極とを有し、異なる極性の磁石磁極と突極磁極との3磁極が周方向に並び、この並びを周方向に繰り返す構造にて構成し、前記制御回路は、前記ステータの第1系統の3個のコイル磁極に3相の駆動電流を生成して供給するとともに、第2系統の3個のコイル磁極に3相の駆動電流を生成して供給するインバータを備え、前記制御回路の制御切替部は、前記モータの低回転駆動時にはそのモータが主として前記磁石磁極による永久磁石モータとして機能する通電態様となるように、前記モータの高回転駆動時にはそのモータが主として前記突極磁極によるリラクタンスモータとして機能する通電態様となるように、前記3相の駆動電流の位相設定を変更すべく前記インバータの制御を切り替える。
この構成によれば、モータは、コイル磁極を3個毎に分け周方向に交互に第1及び第2系統として構成されるステータと、磁石磁極と突極磁極とを有し異なる極性の磁石磁極と突極磁極との3磁極が周方向に並んで周方向に繰り返す構造のロータとを用いて構成される。これに対し、制御回路に備えられるインバータは、ステータの第1及び第2系統の3個(3相)のコイル磁極に3相の駆動電流をそれぞれ生成する。このようなモータシステムにおいて、モータの低回転駆動時にはモータが主として磁石磁極による永久磁石モータとして機能する通電態様となるように、モータの高回転駆動時にはモータが主として突極磁極によるリラクタンスモータとして機能する通電態様となるように3相の駆動電流の位相設定を変更すべく(図4、図5、図15、図16等参照)、制御回路の制御切替部にてインバータの制御が切り替えられる。つまり、モータを主として永久磁石モータとして機能させる高トルク駆動と、モータを主としてリラクタンスモータとして機能させる高回転駆動との両立が可能である。
上記のモータシステムにおいて、前記ステータは、3m(mは2以上の整数)個の前記コイル磁極を備え、前記ロータは、4m個の前記磁石磁極と、2m個の前記突極磁極とを備え、前記制御回路のインバータは、前記モータを低回転駆動させる際、前記モータを永久磁石モータとして機能させるための3相駆動電流を生成し、前記モータを高回転駆動させる際、前記モータをリラクタンスモータとして機能させるべく前記低回転駆動時よりも進角で更に何れか2相を入れ替えた3相駆動電流を生成することが好ましい。
この構成によれば、モータは、3m個のコイル磁極を備えるステータと、4m個の磁石磁極と2m個の突極磁極とを備えるロータとを用いて構成される。そして、制御回路のインバータは、モータを低回転駆動させる際、モータを永久磁石モータとして機能させるための3相駆動電流を生成する。これに対し、モータを高回転駆動させる際、モータをリラクタンスモータとして機能させるべく低回転駆動時よりも進角で更に何れか2相を入れ替えた3相駆動電流を生成する。つまり、この構成のモータに対しては、インバータにて生成する3相駆動電流の進角、何れか2相の入れ替えといった位相設定を低回転駆動時と高回転駆動時とで変更するだけで容易に対応可能である。
上記のモータシステムにおいて、前記ステータは、3m(mは2以上の整数)個の前記コイル磁極を備え、前記ロータは、8m個の前記磁石磁極と、4m個の前記突極磁極とを備え、前記制御回路のインバータは、前記モータを低回転駆動させる際、前記モータを永久磁石モータとして機能させるための3相駆動電流を生成し、前記モータを高回転駆動させる際、前記モータをリラクタンスモータとして機能させるべく前記低回転駆動時よりも進角で更に何れか2相を入れ替えた3相駆動電流を生成することが好ましい。
この構成によれば、モータは、3m個のコイル磁極を備えるステータと、8m個の磁石磁極と4m個の突極磁極とを備えるロータとを用いて構成される。そして、制御回路のインバータは、モータを低回転駆動させる際、モータを永久磁石モータとして機能させるための3相駆動電流を生成する。これに対し、モータを高回転駆動させる際、モータをリラクタンスモータとして機能させるべく低回転駆動時よりも進角で更に何れか2相を入れ替えた3相駆動電流を生成する。つまり、この構成のモータに対しては、インバータにて生成する3相駆動電流の進角、何れか2相の入れ替えといった位相設定を低回転駆動時と高回転駆動時とで変更するだけで容易に対応可能である。
上記のモータシステムにおいて、前記ステータは、6n(nは1以上の整数)個の前記コイル磁極を備え、前記ロータは、4n個の前記磁石磁極と、2n個の前記突極磁極とを備え、前記制御回路は、前記ステータの第1系統の3個のコイル磁極に3相の駆動電流を生成して供給する第1インバータと、前記第2系統の3個のコイル磁極に3相の駆動電流を生成して供給する第2インバータとを備え、前記モータを低回転駆動させる際、前記第1及び第2インバータは、同一の3相駆動電流を生成し、前記モータを高回転駆動させる際、前記第1及び第2インバータは、前記低回転駆動時よりも進角で且つ互いに逆相、更に何れか2相を入れ替えた3相駆動電流を生成することが好ましい。
この構成によれば、モータは、6n個のコイル磁極を備えるステータと、4n個の磁石磁極と2n個の突極磁極とを備えるロータとを用いて構成される。また、制御回路は2つのインバータを備え、第1インバータはステータの第1系統の3個のコイル磁極に3相の駆動電流を生成して供給し、第2インバータはステータの第2系統の3個のコイル磁極に3相の駆動電流を生成して供給する。そして、モータを低回転駆動させる際、第1及び第2インバータは同一の3相駆動電流を生成、この場合モータを永久磁石モータとして機能させる3相駆動電流を生成する。これに対し、モータを高回転駆動させる際、第1及び第2インバータは低回転駆動時よりも進角で且つ互いに逆相、更に何れか2相を入れ替えた3相駆動電流を生成、この場合モータをリラクタンスモータとして機能させる3相駆動電流を生成する。つまり、この構成のモータに対しては、第1及び第2インバータにて生成する3相駆動電流の進角、逆相、何れか2相の入れ替えといった位相設定を低回転駆動時と高回転駆動時とで変更するだけで容易に対応可能である。
上記のモータシステムにおいて、前記ロータは、異なる極性の前記磁石磁極と前記突極磁極との3磁極が同等の角度範囲にて構成されることが好ましい。
この構成によれば、異なる極性の磁石磁極と突極磁極との3磁極が同等の角度範囲にて構成されるロータに対し、第1及び第2インバータにおける3相駆動電流の位相設定が行われるため、3相駆動電流の位相設定は容易である。
この構成によれば、異なる極性の磁石磁極と突極磁極との3磁極が同等の角度範囲にて構成されるロータに対し、第1及び第2インバータにおける3相駆動電流の位相設定が行われるため、3相駆動電流の位相設定は容易である。
本発明のモータシステムによれば、モータの構造及び制御を工夫することで、高トルク・高回転駆動の両立を図ることができる。
以下、モータシステムの一実施形態について説明する。
図1(a)(b)に示す本実施形態のモータシステムは、モータ10と制御回路50とを備えている。
図1(a)(b)に示す本実施形態のモータシステムは、モータ10と制御回路50とを備えている。
モータ10は、ブラシレスモータとして構成され、円環状のステータ11の内側にロータ21が回転可能に収容されている。ステータ11は、ステータコア12とコイル13とを備えている。ステータコア12は、磁性金属にて略円環状に形成され、その周方向の等角度間隔においてそれぞれ径方向内側に延びる12個のティース12aを有している。コイル13は、ティース12aと同数の12個備えられ、各ティース12aにそれぞれ集中巻きにて同一方向に巻装されている。つまり、ティース12a及びコイル13により構成されるコイル磁極は、30°等角度間隔で、磁極数が12極で構成されている。このコイル磁極を構成するコイル13は、図1(a)において反時計回り方向に順に、U1、V1、W1、U2、V2、W2、U3、V3、W3、U4、V4、W4とする。尚、各コイル13の結線及び通電態様については後述する。
図1(a)及び図2に示すように、ステータ11(ティース12a)の径方向内側の空間に収容されるロータ21は、ロータコア22と永久磁石23とを備えている。ロータコア22は、磁性金属にて略円盤状に形成され、中心部に回転軸24が固定されている。ロータコア22の外周部には、磁石保持凹部22aと突部22bとが交互にそれぞれ4箇所ずつ形成されている。磁石保持凹部22aの深さ(径方向長さ)は、ロータ21の外周部寄りの所定深さに設定され、周方向において一定である。また、磁石保持凹部22aの周方向長さは、突部22bの周方向長さの約2倍に設定、換言すると磁石保持凹部22aは60°角度範囲、突部22bは30°角度範囲にそれぞれ設定されている。
永久磁石23は、1つのロータ21において4個用いられている。永久磁石23は、ロータコア22の磁石保持凹部22aに対応した円弧状に形成され、磁石保持凹部22aに嵌合されて固着されている。この固着状態では、永久磁石23の外周面と突部22bの外周面とが面一となる寸法設定となっている。また、永久磁石23は、周方向半分(30°角度範囲毎)で極性が異なる着磁態様となっており、磁石保持凹部22aへの固着状態においては、例えば反時計回り側の外周面がS極(内周面側がN極)、時計回り側の外周面がN極(内周面側がS極)となっている。つまり、ロータ21の外周面、即ちステータ11との対向面の磁極は、時計回り方向において順に、永久磁石23によるS極の磁石磁極Ms、N極の磁石磁極Mn、突部22bによる突極磁極Sp、S極の磁石磁極Ms、N極の磁石磁極Mn、突部22bによる突極磁極Sp、・・・を繰り返す構成となっている。
また換言すると、ロータ21は、永久磁石23による磁石磁極Ms,Mnが8極、突部22bによる突極磁極Spが4極で構成されている。S極の磁石磁極Ms、N極の磁石磁極Mn、及び突極磁極Spは周方向に30°等角度間隔で並び、同一磁極Ms,Mn,Sp同士はそれぞれ90°等角度間隔となっている。
図1(b)に示すように、ステータ11のコイル13の結線態様について、第1系統と第2系統との2つの給電系統に分かれてそれぞれY結線がなされている。ここで、モータ10を制御する制御回路50は、第1インバータ51と第2インバータ52との2つの給電部を備え、第1インバータ51から給電がなされる系統を第1系統、第2インバータ52から給電がなされる系統を第2系統とする。第1及び第2インバータ51,52からは、それぞれ120°の位相差を有するU相、V相、W相の3相給電がなされる。
第1系統としては、互いに180°対向するコイル「U1」「U3」は同第1系統のU相コイルとして直列接続され、コイル「U1」の一端が第1インバータ51のU相出力端子に接続されている。U相のコイル「U1」「U3」に対して反時計回り側に隣接する180°対向のコイル「V1」「V3」はV相コイルとして直列接続され、コイル「V3」の一端が第1インバータ51のV相出力端子に接続されている。V相のコイル「V1」「V3」に対して反時計回り側に隣接する180°対向のコイル「W1」「W3」はW相コイルとして直列接続され、コイル「W3」の一端が第1インバータ51のW相出力端子に接続されている。U相のコイル「U3」の他端、V相のコイル「V1」の他端、及びW相のコイル「W1」の他端は、Y結線の中性点として互いに接続されている。
第2系統としては、第1系統のU相のコイル「U1」「U3」に対して反時計回り側の90°回転位置に配置されるコイル「U2」「U4」は第2系統のU相コイルである。同様に、第1系統のV相のコイル「V1」「V3」に対して反時計回り側の90°回転位置に配置されるコイル「V2」「V4」は第2系統のV相コイルであり、第1系統のW相のコイル「W1」「W3」に対して反時計回り側の90°回転位置に配置されるコイル「W2」「W4」は第2系統のW相コイルである。第2系統のU相のコイル「U2」「U4」、V相のコイル「V2」「V4」、及びW相のコイル「W2」「W4」は、第1系統と同様なY結線がなされ、U相のコイル「U2」の一端、V相のコイル「V4」の一端、及びW相のコイル「W4」の一端は、第2インバータ52のU相、V相、W相出力端子にそれぞれ接続されている。
図4(a)及び図5(a)に示すように、第1インバータ51は、互いに120°の位相差を有する正弦波状のU相、V相、W相駆動電流を生成し、U相のコイル「U1」「U3」、V相のコイル「V1」「V3」、W相のコイル「W1」「W3」のそれぞれに出力する。第2インバータ52についても、互いに120°の位相差を有する正弦波状のU相、V相、W相駆動電流を生成し、U相のコイル「U2」「U4」、V相のコイル「V2」「V4」、W相のコイル「W2」「W4」のそれぞれに出力する。そして、本実施形態の制御回路50は、モータ10の回転駆動領域を二分した場合のその低回転駆動領域と高回転駆動領域とで第1及び第2インバータ51,52で生成するU相、V相、W相駆動電流の位相の設定を変更し、モータ10の回転数(回転速度)に応じた制御態様に切り替えるようになっている。そのため、制御回路50には、制御切替部53が備えられている。
「低回転駆動モード:磁石磁極駆動」
図4(a)に示すように本駆動モードにおいては、第1インバータ51は、U相駆動電流と、U相駆動電流から遅角側に120°の位相差を有するV相駆動電流と、V相駆動電流から遅角側に120°の位相差を有するW相駆動電流とを生成する。また、第2インバータ52においても、同一(位相差ゼロ)のU相、V相、W相駆動電流を生成する。また、本駆動モードにおいては、第1及び第2インバータ51,52で生成するU相、V相、W相駆動電流は、q軸電流である。
図4(a)に示すように本駆動モードにおいては、第1インバータ51は、U相駆動電流と、U相駆動電流から遅角側に120°の位相差を有するV相駆動電流と、V相駆動電流から遅角側に120°の位相差を有するW相駆動電流とを生成する。また、第2インバータ52においても、同一(位相差ゼロ)のU相、V相、W相駆動電流を生成する。また、本駆動モードにおいては、第1及び第2インバータ51,52で生成するU相、V相、W相駆動電流は、q軸電流である。
このようなU相、V相、W相駆動電流がステータ11のコイル13に供給されると、第1及び第2インバータ51,52の同相電流が同一位相であるため、例えばU相駆動電流の正側ピーク時におけるステータ11(コイル磁極)の励磁態様は、図4(b)に示すようにU相のコイル「U1」〜「U4」が同時にN極に励磁される。つまり、ステータ11(コイル磁極)では、U相のコイル「U1」〜「U4」が位置する90°間隔の4箇所でN極が現れる。一方、V相及びW相のコイル「V1」〜「V4」「W1」〜「W4」は同時にS極に励磁される。
次いで、W相駆動電流が負側でピークとなる。以降はステータ11の励磁態様の図示を省略するが、この場合では、W相のコイル「W1」〜「W4」が位置する90°間隔の4箇所でS極が現れる。U相及びV相のコイル「U1」〜「U4」「V1」〜「V4」は同時にN極に励磁される。
次いで、V相駆動電流が正側でピークとなり、この場合では、V相のコイル「V1」〜「V4」が位置する90°間隔の4箇所でN極が現れる。U相及びW相のコイル「U1」〜「U4」「W1」〜「W4」は同時にS極に励磁される。
次いで、U相駆動電流が負側でピークとなり、この場合では、U相のコイル「U1」〜「U4」が位置する90°間隔の4箇所でS極が現れる。V相及びW相のコイル「V1」〜「V4」「W1」〜「W4」は同時にN極に励磁される。
このようにU相、V相、W相駆動電流が進むに伴い、ステータ11では反時計回り方向の回転磁界が生じる。また、この場合の各相駆動電流はq軸電流であり、また上記した本実施形態のロータ21の構造を踏まえると、ステータ11側で生じる回転磁界はロータ21の永久磁石23による8極の磁石磁極Ms,Mnに対する励磁態様となっている。そのため、この駆動モードでは、高トルク駆動が行われる。そして、制御回路50の制御切替部53は、図3に示すようにモータ10の回転数が所定回転数Nthとなるまで、低回転駆動モードにより各インバータ51,52を介してモータ10を制御し、主としてモータ10を高トルク駆動として望ましい永久磁石モータとして機能させる。
因みに、図6に示すモータ10の出力トルク特性からも分かるように、基準とするU相駆動電流を進み角無し(進み角0°)とする本駆動モードでは、磁石磁極Ms,Mnによる磁石トルクは略最大であり、突極磁極Spによるリラクタンストルクは略ゼロとなっている。つまり、突極磁極Spにも若干の磁束が通るものの、本駆動モードにおいてモータ10の回転駆動に寄与する主たる磁束は磁石磁極Ms,Mn側を通り、突極磁極Spを通る磁束がモータ10の回転駆動の妨げとなることは抑えられている。このように同図6からも本駆動モードにて駆動するモータ10は、主として永久磁石モータとして機能することが分かる。
「高回転駆動モード:突極磁極駆動」
制御回路50の制御切替部53は、図3に示すようにモータ10を所定回転数Nth以上で駆動する場合、高回転駆動モードに制御態様を切り替える。
制御回路50の制御切替部53は、図3に示すようにモータ10を所定回転数Nth以上で駆動する場合、高回転駆動モードに制御態様を切り替える。
図5(a)に示すように本駆動モードにおいては、第1インバータ51は、U相駆動電流と、U相駆動電流から遅角側に120°の位相差を有するW相駆動電流と、W相駆動電流から遅角側に120°の位相差を有するV相駆動電流とを生成する。つまり、図4(a)にて示した低回転駆動モードの各相駆動電流と比べて、本駆動モードにおいてはU相駆動電流を基準にW相駆動電流の位相を120°進み側に、V相駆動電流の位相を120°遅れ側にそれぞれシフトし、要するにV相とW相駆動電流が入れ替えられる。また、本駆動モード(4極の突極磁極駆動)においては図4(a)にて示した低回転駆動モード(8極の磁石磁極駆動)と比べて、基準としたU相駆動電流は90°進み側にシフトされている。また、V相及びW相駆動電流は、互いに入れ替えた状態で更に90°進み側にシフトされている。つまり、本駆動モードで生成する各相駆動電流は、d軸電流となっている。また、第2インバータ52においては、第1インバータ51にて生成されるU相、V相、W相駆動電流に対して逆相(位相差180°)に設定されている。
このようなU相、V相、W相駆動電流がステータ11のコイル13に供給されると、第1及び第2インバータ51,52の各同相電流が互いに逆相であるため、例えば第1インバータ51側のU相駆動電流の正側ピーク時におけるステータ11(コイル磁極)の励磁態様は、図5(b)に示すようにU相のコイル「U1」「U3」が同時にN極に、U相のコイル「U2」「U4」が同時にS極に励磁される。つまり、ステータ11(コイル磁極)では、U相のコイル「U1」〜「U4」が位置する90°間隔の4箇所でN極、S極が交互に現れる。一方、V相及びW相のコイル「V1」「V3」「W1」「W3」は同時にS極に、V相及びW相のコイル「V2」「V4」「W2」「W4」は同時にN極に励磁される。
次いで、第1インバータ51側においてV相駆動電流が負側でピークとなる。以降はステータ11の励磁態様の図示を省略するが、この場合では、V相のコイル「V1」「V3」が同時にS極に、V相のコイル「V2」「V4」が同時にN極に励磁され、V相のコイル「V1」〜「V4」が位置する90°間隔の4箇所でS極、N極が交互に現れる。U相及びW相のコイル「U1」「U3」「W1」「W3」は同時にN極に、U相及びW相のコイル「U2」「U4」「W2」「W4」は同時にS極に励磁される。
次いで、第1インバータ51側においてW相駆動電流が正側でピークとなり、この場合では、W相のコイル「W1」「W3」が同時にN極に、W相のコイル「W2」「W4」が同時にS極に励磁され、W相のコイル「V1」〜「V4」が位置する90°間隔の4箇所でN極、S極が交互に現れる。U相及びV相のコイル「U1」「U3」「V1」「V3」は同時にS極に、U相及びV相のコイル「U2」「U4」「V2」「V4」は同時にN極に励磁される。
次いで、第1インバータ51側においてU相駆動電流が負側でピークとなり、この場合では、U相のコイル「U1」「U3」が同時にS極に、U相のコイル「U2」「U4」が同時にN極に励磁され、U相のコイル「U1」〜「U4」が位置する90°間隔の4箇所でS極、N極が交互に現れる。V相及びW相のコイル「V1」「V3」「W1」「W3」は同時にN極に、V相及びW相のコイル「V2」「V4」「W2」「W4」は同時にS極に励磁される。
このようにU相、V相、W相駆動電流が進むに伴い、ステータ11では反時計回り方向の回転磁界が生じる。また、この場合の各相駆動電流はq軸電流より90°進角したd軸電流であり、また上記した本実施形態のロータ21の構造を踏まえると、ステータ11側で生じる回転磁界はロータ21の突部22bによる4極の突極磁極Spに対する励磁態様となっている。そのため、この駆動モードでは、コイル13の鎖交磁束が低減され誘起電圧の小さい高回転駆動が行われる。そして、制御回路50の制御切替部53は、図3に示すようにモータ10の回転数が所定回転数Nth以上で駆動する場合、高回転駆動モードにより各インバータ51,52を介してモータ10を制御し、主としてモータ10を高回転駆動として望ましいリラクタンスモータとして機能させる。
因みに、図6に示すモータ10の出力トルク特性からも分かるように、基準とするU相駆動電流を進み角90°とする本駆動モードでは、突極磁極Spによるリラクタンストルクは略最大であり、磁石磁極Ms,Mnによる磁石トルクは略ゼロとなっている。つまり、磁石磁極Ms,Mnにも若干の磁束が通るものの、本駆動モードにおいてモータ10の回転駆動に寄与する主たる磁束は突極磁極Sp側を通り、磁石磁極Ms,Mnを通る磁束がモータ10の回転駆動の妨げとなることは抑えられている。このように同図6からも本駆動モードにて駆動するモータ10は、主としてリラクタンスモータとして機能することが分かる。
このように本実施形態では、モータ10に組み込まれるロータ21の構造の適正化と、制御回路50(制御切替部53)によるモータ10の制御切り替え(通電タイミング)を適切に行うことで、出力トルクの維持を図りながらもより一層の高回転駆動が可能となっている。しかも、モータ10の高回転駆動化に用いられている弱め界磁制御に頼らずとも、高回転駆動化が可能である。
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)モータ10は、12個のコイル13を用いたコイル磁極を備えるステータ11と、永久磁石23を用いた8個の磁石磁極Ms,Mnとロータコア22の突部22bを用いた4個の突極磁極Spとを有し異なる極性の磁石磁極Ms,Mnと突極磁極Spとの3磁極が周方向に並んで周方向に繰り返す構造のロータ21とを用いて構成される。これに対し、制御回路50に2つのインバータ51,52を備え、第1及び第2インバータ51,52は、ステータ11のコイル磁極を3個毎に分け周方向に交互に第1及び第2系統とした場合の各系統の3個(3相)のコイル磁極に3相の駆動電流をそれぞれ生成する。このようなモータシステムにおいて、モータ10の低回転駆動時にはモータ10が主として磁石磁極Ms,Mnによる永久磁石モータとして機能する通電態様となるように、モータ10の高回転駆動時にはモータ10が主として突極磁極Spによるリラクタンスモータとして機能する通電態様となるように3相の駆動電流の位相設定を変更すべく、制御回路50の制御切替部53にて第1及び第2インバータ51,52の制御が切り替えられる。つまり、本実施形態では、モータ10を主として永久磁石モータとして機能させる高トルク駆動と、モータ10を主としてリラクタンスモータとして機能させる高回転駆動との両立を図ることができる。
(1)モータ10は、12個のコイル13を用いたコイル磁極を備えるステータ11と、永久磁石23を用いた8個の磁石磁極Ms,Mnとロータコア22の突部22bを用いた4個の突極磁極Spとを有し異なる極性の磁石磁極Ms,Mnと突極磁極Spとの3磁極が周方向に並んで周方向に繰り返す構造のロータ21とを用いて構成される。これに対し、制御回路50に2つのインバータ51,52を備え、第1及び第2インバータ51,52は、ステータ11のコイル磁極を3個毎に分け周方向に交互に第1及び第2系統とした場合の各系統の3個(3相)のコイル磁極に3相の駆動電流をそれぞれ生成する。このようなモータシステムにおいて、モータ10の低回転駆動時にはモータ10が主として磁石磁極Ms,Mnによる永久磁石モータとして機能する通電態様となるように、モータ10の高回転駆動時にはモータ10が主として突極磁極Spによるリラクタンスモータとして機能する通電態様となるように3相の駆動電流の位相設定を変更すべく、制御回路50の制御切替部53にて第1及び第2インバータ51,52の制御が切り替えられる。つまり、本実施形態では、モータ10を主として永久磁石モータとして機能させる高トルク駆動と、モータ10を主としてリラクタンスモータとして機能させる高回転駆動との両立を図ることができる。
(2)モータ10を低回転駆動させる際、第1及び第2インバータ51,52は同一の3相駆動電流を生成、この場合モータ10を永久磁石モータとして機能させる3相駆動電流を生成する。これに対し、モータ10を高回転駆動させる際、第1及び第2インバータ51,52は低回転駆動時よりも90°進角で且つ互いに逆相(位相差180°)、更に何れか2相を入れ替えた3相駆動電流を生成、この場合モータ10をリラクタンスモータとして機能させる3相駆動電流を生成する。つまり、このモータ10に対しては、第1及び第2インバータ51,52にて生成する3相駆動電流の進角、逆相、何れか2相の入れ替えといった位相設定を低回転駆動時と高回転駆動時とで変更するだけで容易に対応することができる。
(3)異なる極性の磁石磁極Ms,Mnと突極磁極Spとの3磁極が同等の角度範囲にて構成されるロータ21に対し、第1及び第2インバータ51,52における3相駆動電流の位相設定が行われるため、3相駆動電流の位相設定を容易に行うことができる。
尚、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・ロータ21の構成を適宜変更してもよい。
例えば上記実施形態のロータ21は、永久磁石23を4個用いて8個(8極)の磁石磁極Ms,Mnを構成したが、磁石磁極Ms,Mn毎に分けた8個の永久磁石23を用いてもよい。
・ロータ21の構成を適宜変更してもよい。
例えば上記実施形態のロータ21は、永久磁石23を4個用いて8個(8極)の磁石磁極Ms,Mnを構成したが、磁石磁極Ms,Mn毎に分けた8個の永久磁石23を用いてもよい。
また図2に示す上記実施形態のロータ21は径方向配向の永久磁石23を用いたが、図7に示すロータ21aのように極異方性配向の永久磁石23aを用いてもよい。永久磁石23aは反時計回り方向側の外周面がS極、時計回り方向側の外周面がN極である。尚、この永久磁石23aの径方向寸法は、図7ではロータコア22の半径寸法の1/2程度に設定されている。また、永久磁石23aの内側面及びその内側面部分と嵌合するロータコア22の磁石保持凹部22cは、永久磁石23aの配向方向に倣って円弧状としてもよい。この図7に示すロータ21aにおいても、磁石磁極Ms,Mnと突極磁極Spとの3磁極が同等の角度範囲で構成され、3磁極が周方向に並んで繰り返す構成となっている。
また図8に示すロータ21bは、図7に示すロータ21aの構成を更に変更したものであり、ロータコア22において隣接の突部22b(突極磁極Sp)に向けて円弧状に延び、突極磁極Spにおける磁束の流れを整流する複数のスリット22dが形成された構成となっている。
また図9に示すロータ21cは、図8に示すロータ21bの構成を更に変更したものであり、永久磁石23b(磁石磁極Ms,Mn)の外周面が突部22b(突極磁極Sp)の外周面よりも径方向内側に位置するように、例えば永久磁石23bが若干小さく形成された構成となっている。
また図10に示すロータ21dは、図9に示すロータ21cの構成を更に変更したものであり、永久磁石23b(磁石磁極Ms,Mn)が小さく構成されることで、隣接の突部22b(突極磁極Sp)が互いに幅狭の連結部22eにて連結された構成となっている。連結部22eは、永久磁石23bの外周面を押さえ、飛散防止等に寄与する。また、連結部22eと磁石保持凹部22cにて形成される磁石保持孔に永久磁石23bが埋め込まれる態様とも言える。また、この連結部22eの途中に潰し等により磁気抵抗部22fを形成してもよい。
また図2に示す上記実施形態のロータ21は、ロータコア22の外周面に永久磁石23が固着された表面磁石型構造(SPM構造)をなしていたが、図11に示すロータ21eのように、ロータコア22の外周面よりも内側部分に永久磁石23cを埋め込む態様とした埋込磁石型構造(IPM構造)としてもよい。永久磁石23cは板状をなし、永久磁石23cを嵌挿して固着するためのロータコア22の磁石保持孔22gは長方形状をなしている。この図11に示すIPM型のロータ21eにおいても、磁石磁極Ms,Mnと突極磁極Spとの3磁極が同等の角度範囲で構成され、3磁極が周方向に並んで繰り返す構成となっている。
また図12に示すロータ21fは、図11に示すロータ21eの構成を更に変更したものであり、ロータコア22における永久磁石23cの固着部分よりも径方向外側部分において、異なる極性の磁石磁極Ms,Mn間にスリット22hが設けられ、隣接の磁石磁極Ms,Mn間の漏れ磁束が低減された構成となっている。
また図示しないが、ロータ21(21a〜21f)のように、永久磁石23による磁石磁極Ms,Mnとロータコア22の突部22bによる突極磁極Spとの角度範囲(周方向幅)を同等としたが、例えば磁石磁極Ms,Mnと突極磁極Spとでその角度範囲(周方向幅)を若干異ならせてもよい。
・ステータ11の構成を適宜変更してもよい。
例えば上記実施形態のステータ11は、12個のコイル13がティース12aに集中巻きにされてコイル磁極を構成していたが、分布巻きにてコイル磁極を構成してもよい。また、図13に示すステータ11aのように集中巻きと分布巻きとを混在させてもよい。この場合、例えばU相のコイル「U1」〜「U4」が集中巻き、U相のコイル「U1a」〜「U4a」が例えば3個のティース12aに跨ってコイル13が巻回される分布巻きである。また、集中巻きのコイル「U1」〜「U4」を低回転駆動時(磁石磁極駆動時)に用い、分布巻きのコイル「U1a」〜「U4a」を交互に逆方向に巻回して高回転駆動時(突極磁極駆動時)に用いるようにしてもよい。V相、W相コイルについても同様である。
例えば上記実施形態のステータ11は、12個のコイル13がティース12aに集中巻きにされてコイル磁極を構成していたが、分布巻きにてコイル磁極を構成してもよい。また、図13に示すステータ11aのように集中巻きと分布巻きとを混在させてもよい。この場合、例えばU相のコイル「U1」〜「U4」が集中巻き、U相のコイル「U1a」〜「U4a」が例えば3個のティース12aに跨ってコイル13が巻回される分布巻きである。また、集中巻きのコイル「U1」〜「U4」を低回転駆動時(磁石磁極駆動時)に用い、分布巻きのコイル「U1a」〜「U4a」を交互に逆方向に巻回して高回転駆動時(突極磁極駆動時)に用いるようにしてもよい。V相、W相コイルについても同様である。
・ステータ11とロータ21(21a〜21f)との磁極数を適宜変更してもよい。図1に示す上記実施形態のモータ10は、12個のコイル13を用いた12個(極)のコイル磁極を有するステータ11に対し、永久磁石23による磁石磁極Ms,Mnが8個(極)、ロータコア22の突部22bによる突極磁極Spが4個(極)のロータ21を組み合わせたが、ステータ11のコイル磁極を6n(nは1以上の整数)個、ロータ21の磁石磁極Ms,Mnを4n個、突極磁極Spを2n個の関係で適宜極数を変更してもよい(上記実施形態では、n=2である)。また、これら6n、4n、2n以外の極数の組み合わせとしてもよい。
具体例として例えば、図14(a)のモータ10aは、上記実施形態と同じく12個のコイル13を用いた12個(極)のコイル磁極を有するステータ11が用いられるのに対し、永久磁石23による磁石磁極Ms,Mnが16個(極)、ロータコア22の突部22bによる突極磁極Spが8個(極)のロータ21gが組み合わされている。この磁石磁極Ms,Mnと突極磁極Spとの3磁極においても同等の角度範囲である。
制御回路50aは、図14(b)に示すようにインバータ51aと制御切替部53とを備え、制御切替部53により低回転駆動(磁石磁極駆動)と高回転駆動(突極磁極駆動)とにおけるインバータ51aに対する制御態様を切り替えている。インバータ51aとコイル13との接続については、インバータ51aのU相出力端子には、U相のコイル「U1」の一端とコイル「U2」の一端がそれぞれ接続され、直列接続のU相のコイル「U1」「U3」と直列接続のU相のコイル「U2」「U4」とが並列接続されている。つまり、U相のコイル「U1」〜「U4」には、同一のU相駆動電流が供給される。V相のコイル「V1」〜「V4」、W相のコイル「W1」〜「W4」についても同様な接続となっており、それぞれ同一のV相駆動電流、W相駆動電流が供給されるようになっている。
そして、図15に示すように低回転駆動モードにおいては、図4(a)にて示す上記実施形態の同駆動時と同一の駆動電流がインバータ51aにて生成され各相のコイル磁極に出力される。これにより、モータ10aが永久磁石モータとして機能する。因みに、ステータ11の励磁状態(変化)は図4(b)と同様となる。
一方、図16に示すように高回転駆動モードにおいては、図15にて示した低回転駆動モードと比べて、基準としたU相駆動電流は90°進み側にシフトされると共に、V相及びW相駆動電流は互いに入れ替えられて同様に90°進み側にシフトされる駆動電流としてインバータ51aにて生成され各相のコイル磁極に出力される。これにより、モータ10aがリラクタンスモータとして機能する。
つまり、このモータ10aに対しては、インバータ51aにて生成する3相駆動電流の進角、何れか2相の入れ替えといった位相設定を低回転駆動時と高回転駆動時とで変更するだけで容易に対応することができる。また、1つのインバータ51aで対応可能である。
因みに、この図14(a)のモータ10aは、ステータ11のコイル磁極が12極、ロータ21gの磁石磁極Ms,Mnが16極、突極磁極Spが8極の組み合わせである。即ち、ステータ11のコイル磁極を3m(mは2以上の整数)個、ロータ21gの磁石磁極Ms,Mnを4m個、突極磁極Spを2m個の関係で適宜極数を変更してもよい(図14(a)のモータ10aでは、m=4である)。
また、図17のモータ10bは、6個のコイル13を用いた6個(極)のコイル磁極を有するステータ11bが用いられるのに対し、上記した図14(a)のものと同じく永久磁石23による磁石磁極Ms,Mnが16個(極)、ロータコア22の突部22bによる突極磁極Spが8個(極)のロータ21gが組み合わされている。このモータ10bにおいても、図14(b)に示したインバータ51aと制御切替部53とを備える制御回路50aが用いられる。尚、インバータ51aとコイル13との接続について図示しないが、インバータ51aのU相出力端子に対してU相のコイル「U1」「U2」が直列又は並列に接続、V相出力端子に対してV相のコイル「V1」「V2」が直列又は並列に接続、W相出力端子に対してW相のコイル「W1」「W2」が直列又は並列に接続される。
そして、低回転駆動モードにおいては、図15と同一の駆動電流がインバータ51aにて生成され各相のコイル磁極に出力されて、モータ10bが永久磁石モータとして機能するようになっている。一方、高回転駆動モードにおいても、図16と同一の駆動電流がインバータ51aにて生成され各相のコイル磁極に出力されて、モータ10bがリラクタンスモータとして機能するようになっている。
つまり、このモータ10bに対しても、インバータ51aにて生成する3相駆動電流の進角、何れか2相の入れ替えといった位相設定を低回転駆動時と高回転駆動時とで変更するだけで容易に対応することができる。1つのインバータ51aで対応可能でもある。
因みに、この図17のモータ10bは、ステータ11bのコイル磁極が6極、ロータ21gの磁石磁極Ms,Mnが16極、突極磁極Spが8極の組み合わせである。即ち、ステータ11bのコイル磁極を3m(mは2以上の整数)個、ロータ21gの磁石磁極Ms,Mnを8m個、突極磁極Spを4m個の関係で適宜極数を変更してもよい(図17のモータ10bでは、m=2である)。
図18は、ステータ側磁極数(コイル磁極数)とロータ側磁極数(磁石磁極数、突極磁極数)との組み合わせの一例を示す。
図18(a)には、ステータ側のコイル磁極を「6n」個、ロータ側の磁石磁極Ms,Mnを「4n」個、突極磁極Spを「2n」個とする構成のモータ(図1(a)の形態を含む)の巻線係数が示されている。図18(b)には、ステータ側のコイル磁極を「3m」個、ロータ側の磁石磁極Ms,Mnを「4m」個、突極磁極Spを「2m」個とする構成のモータ(図14(a)の形態を含む)の巻線係数が示されている。図18(c)には、ステータ側のコイル磁極を「3m」個、ロータ側の磁石磁極Ms,Mnを「8m」個、突極磁極Spを「4m」個とする構成のモータ(図17の形態を含む)の巻線係数が示されている。各組み合わせとも巻線係数が適正範囲となっている。
図18(a)には、ステータ側のコイル磁極を「6n」個、ロータ側の磁石磁極Ms,Mnを「4n」個、突極磁極Spを「2n」個とする構成のモータ(図1(a)の形態を含む)の巻線係数が示されている。図18(b)には、ステータ側のコイル磁極を「3m」個、ロータ側の磁石磁極Ms,Mnを「4m」個、突極磁極Spを「2m」個とする構成のモータ(図14(a)の形態を含む)の巻線係数が示されている。図18(c)には、ステータ側のコイル磁極を「3m」個、ロータ側の磁石磁極Ms,Mnを「8m」個、突極磁極Spを「4m」個とする構成のモータ(図17の形態を含む)の巻線係数が示されている。各組み合わせとも巻線係数が適正範囲となっている。
・図14(a)のモータ10a及び図17のモータ10bのように、制御回路50aに備えられるインバータ51aが1つで対応できる構成のモータにおいて、図14(b)に示すように各相のコイル13を2直列、2並列接続としたが、これ以外の接続態様としてもよい。例えば、各相のコイル13を4直列接続としてもよく、また4並列接続としてもよい。
・第1及び第2インバータ51,52が生成する3相駆動電流は正弦波状であったが、矩形波状であってもよい。また、図4(a)及び図5(a)で示した通電タイミングは一例であり、これを適宜変更してもよい。特に、ステータ11とロータ21(21a〜21f)との磁極数を変更した場合、その変更に応じて通電タイミングを設定する必要がある。また、2つのインバータ51,52を用いて各系統に出力する駆動電流をそれぞれ生成したが、各系統それぞれに出力する駆動電流を1つのインバータで生成する構成としてもよい。
・上記実施形態の制御回路50(制御切替部53)は、モータ10を永久磁石モータとして機能させる低回転駆動時(磁石磁極駆動時)と、モータ10をリラクタンスモータとして機能させる高回転駆動時(突極磁極駆動時)との切り替えを、図3に示すように永久磁石モータの特性を示す直線とリラクタンスモータの特性を示す直線の交点の回転数Nthで行うようにしたが、制御を切り替える回転数はこれ以外に設定してもよい。
・上記実施形態では低回転駆動時(磁石磁極駆動時)に0°進角(進角無し)、高回転駆動時(突極磁極駆動時)に90°進角としたが、図6の出力トルク特性から約20°〜35°の進角で制御すると、磁石トルクとリラクタンストルクとの合成トルク(図中、破線)が略最大となるため、回転数よりも出力トルクをより重要視した場合、約20°〜35°の進角で制御する態様もある。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)請求項1〜6の何れか1項に記載のモータシステムにおいて、
前記制御切替部による制御切り替えは、前記モータを永久磁石モータとして機能させた時の特性を示す直線とリラクタンスモータとして機能させた時の特性を示す直線の交点の回転数で行われることを特徴とするモータシステム。
(イ)請求項1〜6の何れか1項に記載のモータシステムにおいて、
前記制御切替部による制御切り替えは、前記モータを永久磁石モータとして機能させた時の特性を示す直線とリラクタンスモータとして機能させた時の特性を示す直線の交点の回転数で行われることを特徴とするモータシステム。
10,10a,10b…モータ、11,11a,11b…ステータ、12a…ティース(コイル磁極)、13…コイル(コイル磁極)、21,21a〜21g…ロータ、22…ロータコア、22b…突部、23…永久磁石、23a〜23c…永久磁石、50,50a…制御回路、51…第1インバータ(インバータ)、51a…インバータ、52…第2インバータ(インバータ)、53…制御切替部、Ms,Mn…磁石磁極、Sp…突極磁極、U1,U3,V1,V3,W1,W3…第1系統のコイル、U2,U4,V2,V4,W2,W4…第2系統のコイル。
Claims (6)
- コイル磁極を有するステータと、該ステータにて生じる回転磁界を受けて回転するロータとを備えてなるモータと、
前記モータのステータに供給する3相の駆動電流を生成し、その駆動電流を通じて前記モータの回転制御を行う制御回路と
を備えたモータシステムであって、
前記ステータは、前記コイル磁極を3個毎で構成し、
前記ロータは、永久磁石を用いる磁石磁極と、ロータコアの突部を用いる突極磁極とを有し、異なる極性の磁石磁極と突極磁極との3磁極が周方向に並び、この並びを周方向に繰り返す構造にて構成し、
前記制御回路は、前記ステータの3個のコイル磁極に3相の駆動電流を生成して供給するインバータを備え、
前記制御回路の制御切替部は、前記モータの低回転駆動時にはそのモータが主として前記磁石磁極による永久磁石モータとして機能する通電態様となるように、前記モータの高回転駆動時にはそのモータが主として前記突極磁極によるリラクタンスモータとして機能する通電態様となるように、前記3相の駆動電流の位相設定を変更すべく前記インバータの制御を切り替えることを特徴とするモータシステム。 - コイル磁極を有するステータと、該ステータにて生じる回転磁界を受けて回転するロータとを備えてなるモータと、
前記モータのステータに供給する3相の駆動電流を生成し、その駆動電流を通じて前記モータの回転制御を行う制御回路と
を備えたモータシステムであって、
前記ステータは、前記コイル磁極を3個毎に分け周方向に交互に第1及び第2系統として構成し、
前記ロータは、永久磁石を用いる磁石磁極と、ロータコアの突部を用いる突極磁極とを有し、異なる極性の磁石磁極と突極磁極との3磁極が周方向に並び、この並びを周方向に繰り返す構造にて構成し、
前記制御回路は、前記ステータの第1系統の3個のコイル磁極に3相の駆動電流を生成して供給するとともに、第2系統の3個のコイル磁極に3相の駆動電流を生成して供給するインバータを備え、
前記制御回路の制御切替部は、前記モータの低回転駆動時にはそのモータが主として前記磁石磁極による永久磁石モータとして機能する通電態様となるように、前記モータの高回転駆動時にはそのモータが主として前記突極磁極によるリラクタンスモータとして機能する通電態様となるように、前記3相の駆動電流の位相設定を変更すべく前記インバータの制御を切り替えることを特徴とするモータシステム。 - 請求項1又は2に記載のモータシステムにおいて、
前記ステータは、3m(mは2以上の整数)個の前記コイル磁極を備え、
前記ロータは、4m個の前記磁石磁極と、2m個の前記突極磁極とを備え、
前記制御回路のインバータは、
前記モータを低回転駆動させる際、前記モータを永久磁石モータとして機能させるための3相駆動電流を生成し、
前記モータを高回転駆動させる際、前記モータをリラクタンスモータとして機能させるべく前記低回転駆動時よりも進角で更に何れか2相を入れ替えた3相駆動電流を生成することを特徴とするモータシステム。 - 請求項1又は2に記載のモータシステムにおいて、
前記ステータは、3m(mは2以上の整数)個の前記コイル磁極を備え、
前記ロータは、8m個の前記磁石磁極と、4m個の前記突極磁極とを備え、
前記制御回路のインバータは、
前記モータを低回転駆動させる際、前記モータを永久磁石モータとして機能させるための3相駆動電流を生成し、
前記モータを高回転駆動させる際、前記モータをリラクタンスモータとして機能させるべく前記低回転駆動時よりも進角で更に何れか2相を入れ替えた3相駆動電流を生成することを特徴とするモータシステム。 - 請求項2に記載のモータシステムにおいて、
前記ステータは、6n(nは1以上の整数)個の前記コイル磁極を備え、
前記ロータは、4n個の前記磁石磁極と、2n個の前記突極磁極とを備え、
前記制御回路は、前記ステータの第1系統の3個のコイル磁極に3相の駆動電流を生成して供給する第1インバータと、前記第2系統の3個のコイル磁極に3相の駆動電流を生成して供給する第2インバータとを備え、
前記モータを低回転駆動させる際、前記第1及び第2インバータは、同一の3相駆動電流を生成し、
前記モータを高回転駆動させる際、前記第1及び第2インバータは、前記低回転駆動時よりも進角で且つ互いに逆相、更に何れか2相を入れ替えた3相駆動電流を生成することを特徴とするモータシステム。 - 請求項1〜5の何れか1項に記載のモータシステムにおいて、
前記ロータは、異なる極性の前記磁石磁極と前記突極磁極との3磁極が同等の角度範囲にて構成されていることを特徴とするモータシステム。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015092179 | 2015-04-28 | ||
JP2015092179 | 2015-04-28 |
Publications (1)
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JP2016214053A true JP2016214053A (ja) | 2016-12-15 |
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ID=57552182
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2015123060A Pending JP2016214053A (ja) | 2015-04-28 | 2015-06-18 | モータシステム |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2016214053A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6639756B1 (ja) * | 2018-05-07 | 2020-02-05 | 三菱電機株式会社 | 回転機の制御装置 |
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2015
- 2015-06-18 JP JP2015123060A patent/JP2016214053A/ja active Pending
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JP6639756B1 (ja) * | 2018-05-07 | 2020-02-05 | 三菱電機株式会社 | 回転機の制御装置 |
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