JP2016212991A - 全固体二次電池、全固体二次電池用電極シート、および全固体二次電池の製造方法 - Google Patents

全固体二次電池、全固体二次電池用電極シート、および全固体二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】固体粒子間に良好な界面を形成し、サイクル特性向上と放電容量の向上とを両立することができる全固体二次電池、全固体二次電池用電極シート、および全固体二次電池の製造方法を提供する。
【解決手段】正極活物質を含む正極活物質層と、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する硫化物系無機固体電解質を含む固体電解質層と、負極活物質を含む負極活物質層と、固体電解質層と負極活物質層との間に、特定の式で表される化合物を含む中間層を有し、負極活物質層における炭素元素含有量が、負極活物質層の全固形成分に対し20質量%以上であり、粒子状ポリマーを正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層の少なくとも1層に含有する全固体二次電池、全固体二次電池用電極シート、および全固体二次電池の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、全固体二次電池、全固体二次電池用電極シート、および全固体二次電池の製造方法に関する。
リチウムイオン電池には、電解液が用いられてきた。その電解液を固体電解質に置き換え、構成材料を全て固体にした全固体二次電池とする試みが進められている。無機の固体電解質を利用する技術の利点として挙げられるのが、電池の性能全体を総合した信頼性である。例えば、リチウムイオン二次電池に用いられる電解液には、その媒体として、カーボネート系溶媒など、可燃性の材料が適用されている。様々な安全対策が採られているものの、過充電時などに不具合を来たすおそれがないとは言えず、さらなる対応が望まれる。その抜本的な解決手段として、電解質を不燃性のものとしうる全固体二次電池が位置づけられる。
全固体二次電池のさらなる利点としては、電極のスタックによる高エネルギー密度化に適していることが挙げられる。具体的には、電極と電解質を直接並べて直列化した構造を持つ電池にすることができる。このとき、電池セルを封止する金属パッケージ、電池セルをつなぐ銅線やバスバーを省略することができるので、電池のエネルギー密度が大幅に高められる。また、高電位化が可能な正極材料との相性の良さなども利点として挙げられる。
上記のような各利点から、次世代のリチウムイオン電池として全固体二次電池の開発が進められている(非特許文献1)。例えば、特許文献1には、電極層とガラス電解質層の間に結晶電解質層を有する全固体電池が記載されている。特許文献2には、負極層とリチウムイオン伝導性無機固体電解質層との間にリチウムと反応してリチウムより電極電位の高い材料層を形成する中間層を設けたリチウム電池素子が記載されている。
特開2014−216131号公報 特開2005−353309号公報
NEDO技術開発機構,燃料電池・水素技術開発部,蓄電技術開発室「NEDO次世代自動車用蓄電池技術開発 ロードマップ2013」(平成25年8月)
上記特許文献1および2に記載の技術では、負極活物質層と固体電解質層間の良好な界面形成が十分できず、サイクル特性および放電容量に問題があると考えられる。
そこで本発明は、固体粒子間に良好な界面を形成し、サイクル特性向上と放電容量の向上とを両立することができる全固体二次電池、これに用いる全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記問題に鑑み鋭意検討した結果、固体電解質層と負極活物質層との間に後述の式(I)で表される化合物を含む中間層を設け、かつ粒子状ポリマーを含有する全固体二次電池により、サイクル特性向上と放電容量の向上とを両立することができることを見出した。本発明はこの知見に基づきなされたものである。
すなわち、上記課題は以下の手段により解決された。
<1>正極活物質を含む正極活物質層と、
周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する硫化物系無機固体電解質を含む固体電解質層と、
負極活物質を含む負極活物質層と、
固体電解質層と負極活物質層との間に、下記式(I)で表される化合物を含む中間層を有し、
負極活物質層における炭素元素含有量が、負極活物質層の全固形成分に対し20質量%以上であり、粒子状ポリマーを正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層の少なくとも1層に含有する全固体二次電池。
Li 式(I)
式(I)において、Mは半金属元素もしくは遷移金属元素またはこれらの組み合わせを表し、a〜cは各元素の組成比を表し、a:b:cは、1〜10:0〜10:1〜10である。
<2>負極活物質層が、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する硫化物系無機固体電解質を、負極活物質の含有量との合計100質量%に対して、40質量%以下の割合で含む<1>に記載の全固体二次電池。
<3>固体電解質層の厚さが100μm以下である<1>または<2>に記載の全固体二次電池。
<4>中間層の厚さが1nm〜1,000nmである<1>〜<3>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<5>正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層の少なくとも1層が分散剤を含有し、
分散剤が、分子量200以上3,000未満であり、かつ、下記官能基群(I)から選択される少なくとも1種の官能基と、炭素数8以上のアルキル基または炭素数10以上のアリール基とを有する化合物である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
官能基群(I):酸性基、塩基性窒素原子を有する基、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリルアミド基、アルコキシシリル基、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、シアノ基、チオール基およびヒドロキシ基。
<6>固体電解質層が粒子状ポリマーを含有し、
粒子状ポリマーの含有量の硫化物系無機固体電解質の含有量に対する割合が、0.1〜10%である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<7>負極活物質がケイ素原子を有する<1>〜<6>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<8>正極活物質を含む正極活物質層と、
周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する硫化物系無機固体電解質を含む固体電解質層と、
負極活物質を含む負極活物質層と、
固体電解質層と負極活物質層との間に、下記式(I)で表される化合物を含む中間層を有し、
負極活物質層における炭素元素含有量が、負極活物質層の全固形成分に対し20質量%以上であり、粒子状ポリマーを正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層の少なくとも1層に含有する全固体二次電池用電極シート。
Li 式(I)
式(I)において、Mは半金属元素もしくは遷移金属元素またはこれらの組み合わせを表し、a〜cは各元素の組成比を表し、a:b:cは、1〜10:0〜10:1〜10である。
<9> <8>に記載の全固体二次電池用電極シートを用いて、全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。
本明細書において、「負極活物質がケイ素原子を有する」とは、負極活物質がケイ素(Si)単体であることまたはケイ素原子(Si)を有することを意味する。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基が複数あるとき、あるいは複数の置換基等(置換基数の規定も同様)を同時もしくは択一的に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。また、複数の置換基等が近接するときにはそれらが互いに結合したり縮合したりして環を形成していてもよい。
本明細書において、単に「アクリル」と記載するときは、メタアクリルおよびアクリルの両方を含む意味で使用する。
本発明の全固体二次電池は、サイクル特性向上と放電容量の向上とを両立することができる。また、本発明の全固体二次電池用電極シートは、上記優れた性能を有する全固体二次電池の提供に好適に用いることができる。さらに、本発明の全固体二次電池の製造方法により、上記優れた性能を有する全固体二次電池を好適に製造することができる。
本発明の好ましい実施形態に係る全固体二次電池を模式化して示す縦断面図である。 実施例で利用した試験装置を模式的に示す縦断面図である。
本発明の全固体二次電池は、
正極活物質を含む正極活物質層と、
周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する硫化物系無機固体電解質を含む固体電解質層と、
負極活物質を含む負極活物質層と、
固体電解質層と負極活物質層との間に、後述の式(I)で表される化合物を含む中間層を有し、
負極活物質層における炭素元素含有量が20質量%以上であり、粒子状ポリマーを正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層の少なくとも1層に含有する。
以下、その好ましい実施形態について説明する。
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る全固体二次電池(リチウムイオン二次電池)を模式化して示す断面図である。本実施形態の全固体二次電池10は、負極側からみて、負極集電体1、負極活物質層2、中間層3、固体電解質層4、正極活物質層5、正極集電体6を、その順で有する。各層はそれぞれ接触しており、積層した構造をとっている。このような構造を採用することで、充電時には、負極側に電子(e)が供給され、そこにリチウムイオン(Li)が蓄積される。一方、放電時には、負極に蓄積されたリチウムイオン(Li)が正極側に戻され、作動部位7に電子が供給される。図示した例では、作動部位7に電球を採用しており、放電によりこれが点灯するようにされている。本発明における固体電解質組成物は、上記負極活物質層、正極活物質層、固体電解質層の成形材料として好ましく用いることができる。また、本発明における中間層用組成物は、上記中間層の成形材料として好ましく用いることができる。
正極活物質層5、負極活物質層2の厚さは特に限定されない。なお、一般的な電池の寸法を考慮すると、10〜1,000μmが好ましく、20μm以上500μm未満がより好ましい。
本発明の全固体二次電池においては、固体電解質層4の厚さは100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましい。固体電解質層4の厚さの下限は特に制限されないが、
0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。固体電解質層4の厚さが上記範囲内にあることにより、固体電解質層の抵抗を抑制し、電池の短絡を防止するという観点から好ましい。
また、中間層3の厚さは1nm〜1,000nmが好ましく、5nm〜1,0000nmがより好ましい。中間層3の厚さが上記範囲内にあることにより、負極活物質層と固体電解質層との間に存在し、良好な界面を形成するという観点から好ましい。
<<各層の構成成分>>
以下、本発明の全固体二次電池を構成する正極活物質層、固体電解質層、中間層および負極活物質層の各層の構成要素を説明する。なお、各層の構成要素は、それぞれ対応する層の成形材料として用いられる固体電解質組成物および中間層の含有成分として、好ましく適用される。また、本発明の全固体二次電池を構成する正極活物質層、固体電解質層、中間層および負極活物質層の各層の構成要素は、本発明の全固体二次電池用電極シートの構成要素として用いることもできる。さらに、本発明の全固体二次電池用電極シートを用いて本発明の全固体二次電池を好適に製造することができる。
(固体電解質層)
本発明に用いられる固体電解質層は周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する硫化物系無機固体電解質を含有する。以下、無機固体電解質についてまず説明する。
(無機固体電解質)
無機固体電解質とは、無機の固体電解質のことであり、固体電解質とは、その内部においてイオンを移動させることができる固体のことである。
無機固体電解質は、有機物すなわち炭素原子を含まないことから、有機固体電解質(PEO(ポリエチレンオキサイド)などに代表される高分子電解質、LiTFSI〔リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド〕などに代表される有機電解質塩)とは明確に区別される。また、無機固体電解質は定常状態では固体であるため、カチオンおよびアニオンが解離または遊離しておらず、電解液やポリマー中でカチオンおよびアニオンが解離または遊離している無機電解質塩(LiPF、LiBF、LiFSI〔リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド〕、LiClなど)とも明確に区別される。無機固体電解質は周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有するものであれば特に限定されず電子伝導性を有さないものが一般的である。
本発明に用いられる無機固体電解質は、なかでも、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質が好ましい。上記無機固体電解質は、この種の製品に常用される固体電解質材料を適宜選定して用いることができる。無機固体電解質(以下、固体電解質とも称す。)は(i)硫化物系無機固体電解質(以下、硫化物系固体電解質とも称す。)と(ii)酸化物系無機固体電解質(以下、酸化物系固体電解質とも称す。)が代表例として挙げられる。
(i)硫化物系無機固体電解質
硫化物系固体電解質は、硫黄原子(S)を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば下記式(1)で示される組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質が挙げられる。
Liaabbccddee (1)
式(1)中、Mは、B、Zn、Sn、Si、Cu、Ga、Sb、Al及びGeから選択される元素を示す。なかでも、B、Sn、Si、Al、Geが好ましく、Sn、Al、Geがより好ましい。Aは、I、Br、Cl、Fを示し、I、Brが好ましく、Iが特に好ましい。aa〜eeは各元素の組成比を示し、aa:bb:cc:dd:eeは1〜12:0〜1:1:2〜12:0〜5を満たす。aaはさらに、1〜9が好ましく、1.5〜4がより好ましい。bbは0〜0.5が好ましい。ddはさらに、3〜7が好ましく、3.25〜4.5がより好ましい。eeはさらに、0〜3が好ましく、0〜2がより好ましい。
式(1)において、Li、M、P、S及びAの組成比は、好ましくはbb、eeが0であり、より好ましくはbb=0、ee=0で且つaa、cc及びddの比(aa:cc:dd)がaa:cc:dd=1〜9:1:3〜7であり、さらに好ましくはbb=0、ee=0で且つaa:cc:dd=1.5〜4:1:3.25〜4.5である。各元素の組成比は、後述するように、硫化物系固体電解質を製造する際の原料化合物の配合量を調整することにより制御できる。
硫化物系固体電解質は、非結晶(ガラス)であっても結晶化(ガラスセラミックス化)していてもよく、一部のみが結晶化していてもよい。例えば、Li、PおよびSを含有するLi−P−S系ガラス、またはLi、PおよびSを含有するLi−P−S系ガラスセラミックスを用いることができる。
硫化物系無機固体電解質は、[1]硫化リチウム(LiS)と硫化リン(例えば五硫化二燐(P))、[2]硫化リチウムと単体燐および単体硫黄の少なくとも一方、または[3]硫化リチウムと硫化リン(例えば五硫化二燐(P))と単体燐および単体硫黄の少なくとも一方、の反応により製造することができる。
Li−P−S系ガラスおよびLi−P−S系ガラスセラミックスにおける、LiSとPとの比率は、LiS:Pのモル比で、好ましくは65:35〜85:15、より好ましくは68:32〜75:25である。LiSとPとの比率をこの範囲にすることにより、リチウムイオン伝導度を高いものとすることができる。具体的には、リチウムイオン伝導度を好ましくは1×10−4S/cm以上、より好ましくは1×10−3S/cm以上とすることができる。上限は特にないが、1×10−1以下であることが実際的である。
具体的な化合物例としては、例えばLiSと、第13族〜第15族の元素の硫化物とを含有する原料組成物を用いてなるものを挙げることができる。具体的には、LiS−P、LiS−LiI−P、LiS−LiI−LiO−P、LiS−LiBr−P、LiS−LiO−P、LiS−LiPO−P、LiS−P−P、LiS−P−SiS、LiS−P−SnS、LiS−P−Al、LiS−GeS、LiS−GeS−ZnS、LiS−Ga、LiS−GeS−Ga、LiS−GeS−P、LiS−GeS−Sb、LiS−GeS−Al、LiS−SiS、LiS−Al、LiS−SiS−Al、LiS−SiS−P、LiS−SiS−P−LiI、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−LiSiO、LiS−SiS−LiPO、Li10GeP12などが挙げられる。その中でも、LiS−P、LiS−GeS−Ga、LiS−LiI−P、LiS−LiI−LiO−P、LiS−GeS−P、LiS−SiS−P、LiS−SiS−LiSiO、LiS−SiS−LiPO、LiS−LiPO−P、LiS−GeS−P、Li10GeP12からなる結晶質およびまたは非晶質の原料組成物が高いリチウムイオン伝導性を有するので好ましい。このような原料組成物を用いて硫化物系固体電解質材料を合成する方法としては、例えば非晶質化法を挙げることができる。非晶質化法としては、例えば、メカニカルミリング法および溶融急冷法を挙げることができ、中でもメカニカルミリング法が好ましい。常温での処理が可能になり、製造工程の簡略化を図ることができるからである。
(ii)酸化物系無機固体電解質
酸化物系無機固体電解質は、酸素原子(O)を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではない。
具体的な化合物例としては、例えばLiLaTiO〔x=0.3〜0.7、y=0.3〜0.7〕(LLT)、LiLaZr(MはAl,Mg,Ca,Sr,V,Nb,Ta,Ti,Ge,In,Snの少なくとも1種以上の元素でありxは5≦x≦10を満たし、yは1≦y≦4を満たし、zは1≦z≦4を満たし、mは0≦m≦2を満たし、nは5≦n≦20を満たす。)Li(式中MはC,S,Al,Si,Ga,Ge,In,Snの少なくとも1種以上の元素でありxは0≦x≦5を満たし、yは0≦y≦1を満たし、zは0≦z≦1を満たし、nは0≦n≦6を満たす。)、Li(Al,Ga)(Ti,Ge)Si(ただし、1≦x≦3、0≦y≦1、0≦z≦2、0≦a≦1、1≦m≦7、3≦n≦13)、Li(3−2x)DO(xは0以上0.1以下の数を表し、Mは2価の金属原子を表す。Dはハロゲン原子または2種以上のハロゲン原子の組み合わせを表す。)、LiSi(1≦x≦5、0<y≦3、1≦z≦10)、Li(1≦x≦3、0<y≦2、1≦z≦10)、LiBO−LiSO、LiO−B−P、LiO−SiO、LiBaLaTa12、LiPO(4−3/2w)(wはw<1)、LISICON(Lithium super ionic conductor)型結晶構造を有するLi3.5Zn0.25GeO、ペロブスカイト型結晶構造を有するLa0.55Li0.35TiO、NASICON(Natrium super ionic conductor)型結晶構造を有するLiTi12、Li(1+x+y)(Al,Ga)(Ti,Ge)(2−x)Si(3−y)12(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1)、ガーネット型結晶構造を有するLiLaZr12等が挙げられる。またLi、P及びOを含むリン化合物も望ましい。例えばリン酸リチウム(LiPO)、リン酸リチウムの酸素の一部を窒素で置換したLiPON、LiPOD(Dは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Ag、Ta、W、Pt、Au等から選ばれた少なくとも1種)等が挙げられる。また、LiAON(Aは、Si、B、Ge、Al、C、Ga等から選ばれた少なくとも1種)等も好ましく用いることができる。
リチウムイオン伝導性の酸化物系固体電解質としてのイオン伝導度は、1×10−6S/cm以上であることが好ましく、5×10−6S/cm以上であることがより好ましく、1×10−5S/cm以上であることが特に好ましい。
本発明においては、固体電解質層は硫化物系固体電解質を含有する。また、正極活物質層および負極活物質層の各層は、なかでも硫化物系固体電解質を含有することが好ましい。硫化物系固体電解質は総じて酸化物系固体電解質に比べてより硬度が低いため、全固体二次電池において界面抵抗の上昇を生じにくく、本発明を適用することにより、その対応として効果がより顕著になる。
上記無機固体電解質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機固体電解質の体積平均粒子径は特に限定されないが、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。上限としては、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。
無機固体電解質の体積平均粒子径の測定は、特に断らない限り、以下に記載の測定条件および定義によるものとする。
無機固体電解質を、水(水に不安定な物質の場合はヘプタン)を用いて1質量%の分散液を調製する。この分散液試料を用い、「レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920」(商品名、HORIBA社製)を用いて、無機固体電解質の体積平均粒子径を測定する。
無機固体電解質の正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層の各層中での含有量は、電池性能と界面抵抗の低減・維持効果の両立を考慮したとき、全固形成分に対して、0質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、2質量%以上であることが特に好ましい。上限としては、同様の観点から、99.9質量%以下であることが好ましく、99.5質量%以下であることがより好ましく、99.0質量%以下であることが特に好ましい。ただし、後述の正極活物質または負極活物質とともに用いるときには、その総和が上記の濃度範囲であることが好ましい。
なお、本明細書において固形成分とは、170℃で6時間乾燥処理を行ったときに、揮発ないし蒸発して消失しない成分を言う。典型的には、後述の分散媒体以外の成分を指す。
本発明において、固体電解質層中の硫化物系固体電解質の含有量は、固体電解質層の全固形分に対して90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。
また、本発明において、固体電解質層が後述の粒子状ポリマーを含有することが好ましい。固体電解質層において、粒子状ポリマーの含有量の硫化物系無機固体電解質の含有量に対する割合[粒子状ポリマーの含有量(質量)/硫化物系無機固体電解質の含有量(質量)×100]が、結着性と抵抗抑制という観点から0.1〜10%であることが好ましく、0.5〜5%であることがより好ましい。
(中間層)
本発明の全固体二次電池においては、硫化物系固体電解質を含む固体電解質層と負極活物質を含む負極活物質層の間に中間層を有する。中間層は、少なくとも一種の下記式(I)で表される化合物を含む。
本発明の全固体二次電池において、中間層を設けることにより、短絡を防止することができ、応力を加えられた際の変形を防止することもできる。
また、理由は定かではないが、本発明に用いられる中間層が下記式(I)で表される化合物を含むことにより、負極活物質層と固体電解質層との間に抵抗被膜が形成されるのを防ぐことができ、層間の抵抗を減少させることができると考えられる。
Li 式(I)
式(I)中、a〜cは各元素の組成比を表し、a:b:cは、1〜10:0〜10:1〜10である。Mは半金属元素もしくは遷移金属元素またはこれらの組み合わせを表す。
は、好ましくは、B、Al、Si、Geなどの半金属元素、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Wなどの遷移金属元素から選択することが出来る。また、これらの元素を2つ以上組合せたものであってもよい。
なかでも、Al、Si、Ti、V、Fe、Cu、Zr、Nb、Wがより好ましく、Al、Si、Ti、V、Zr、Nbがさらに好ましく、地球上に多く存在し、安価であることと、複合酸化物としてのイオン伝導性という観点から、Al、Si、Zr、Nbが特に好ましい。
a:b:cは、1〜5:0〜5:1〜5が好ましく、1〜3:0〜3:1〜3がより好ましく、1〜5:1:1〜5が特に好ましい。
なお、上記式(I)で表される化合物は常法により合成することができる。例えば、対応するアルコキシドを出発原料として、ゾルゲル法を用いても良いし、対応する炭酸塩や酸化物などを出発原料として、固相反応やフラックス法を用いても良い。
本発明に用いられる中間層における式(I)で表される化合物の含有量は特に制限されないが、中間層の全固形分に対して90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。一方、上限は特に制限されるものではない。
負極活物質層と固体電解質層の良好な界面形成という観点から、中間層における式(I)で表される化合物の含有量が上記範囲内にあることが好ましい。
一般式(I)で表わされる化合物の具体例としては、Li2Ti25、Li4Ti512、LiNbO3、LiAlO2、Li2ZrO3、Li2SiO等が挙げられる。
中間層を形成する方法として、特に制限はないが、例えば、中間層用組成物を負極活物質層の上に、スピンコートやディップコート、アプリケータによる塗布など、分散液を塗布する方法を採用しても良いし、エアロゾルデポジション(AD)法や、パルスレーザーデポジション(PLD)法などの固体状態からそのまま成膜する方法を採用しても良い。
(負極活物質層)
本発明の全固体二次電池においては、負極活物質層は負極活物質を含有し、負極活物質層中の炭素元素の含有量は、全固形成分100質量%に対して20質量%以上である。この炭素元素は天然黒鉛や人造黒鉛などで負極活物質として含有していても良いし、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブなどの炭素繊維などの導電助剤として、含有していても良い。また、活物質および導電助剤いずれの機能を有していても良い。
炭素元素の含有量が20質量%以上であることにより、活物質として用いる場合には、高容量化が可能となり、導電助剤として用いる場合には、十分な導電性の付与が可能となる。
炭素元素含有量は20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましい。一方、炭素元素含有量の上限は特に制限されるものではないが、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
(負極活物質)
負極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものが好ましい。このような材料は、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、及び、SnやSi等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。なかでも炭素質材料又はSi等のリチウムと合金形成可能な金属が充電時に低電位となり、電池電圧を高くする点から好ましく用いられ、ケイ素(Si)単体またはケイ素原子(Si)を有する負極活物質がより好ましく用いられる。また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であることが好ましい。その材料は、特には制限されるものではなく、構成成分としてチタンを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
負極活物質として用いられる炭素質材料とは、実質的に炭素からなる材料である。例えば、石油ピッチ、天然黒鉛、気相成長黒鉛等の人造黒鉛、及びPAN(ポリアクリロニトリル)系の樹脂やフルフリルアルコール樹脂等の各種の合成樹脂を焼成した炭素質材料を挙げることができる。さらに、PAN系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水PVA系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維、活性炭素繊維等の各種炭素繊維類、メソフェーズ微小球体、グラファイトウィスカー、平板状の黒鉛等を挙げることもできる。
これらの炭素質材料は、黒鉛化の程度により難黒鉛化炭素材料と黒鉛系炭素材料に分けることもできる。また炭素質材料は、特開昭62−22066号公報、特開平2−6856号公報、同3−45473号公報に記載される面間隔や密度、結晶子の大きさを有することが好ましい。炭素質材料は、単一の材料である必要はなく、特開平5−90844号公報記載の天然黒鉛と人造黒鉛の混合物、特開平6−4516号公報記載の被覆層を有する黒鉛等を用いることもできる。
負極活物質として適用される金属酸化物及び金属複合酸化物としては、特に非晶質酸化物が好ましく、さらに金属元素と周期律表第16族の元素との反応生成物であるカルコゲナイトも好ましく用いられる。ここでいう非晶質とは、CuKα線を用いたX線回折法で、2θ値で20°〜40°の領域に頂点を有するブロードな散乱帯を有するものを意味し、結晶性の回折線を有してもよい。2θ値で40°以上70°以下に見られる結晶性の回折線の内最も強い強度が、2θ値で20°以上40°以下に見られるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の100倍以下であることが好ましく、5倍以下であることがより好ましく、結晶性の回折線を有さないことがさらに好ましい。
上記非晶質酸化物及びカルコゲナイドからなる化合物群のなかでも、半金属元素の非晶質酸化物、及びカルコゲナイドがより好ましく、周期律表第13(IIIB)族〜第15(VB)族の元素、Al、Ga、Si、Sn、Ge、Pb、Sb、Biの1種単独あるいはそれらの2種以上の組み合わせからなる酸化物、及びカルコゲナイドがさらに好ましい。好ましい非晶質酸化物及びカルコゲナイドの具体例としては、例えば、Ga、SiO、GeO、SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、Bi、Bi、SnSiO、GeS、SnS、SnS、PbS、PbS、Sb、Sb、SnSiSなどが好ましく挙げられる。また、これらは、酸化リチウムとの複合酸化物、例えば、LiSnOであってもよい。
負極活物質として適用されるSi等のリチウムと合金形成可能な化合物としては、下記式(2)で表される活物質が好ましい。
Si (1−x) 式(2)
式(2)中、xは0.01以上1未満の数を表し、モル分率を意味する。Mはカルコゲン元素、半金属元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素もしくは遷移金属元素のいずれかまたはこれらの組み合わせを表す。
は、好ましくは、O、S、Seなどのカルコゲン元素や、B、Geなどの半金属元素、Li、Naなどのアルカリ金属元素、Mg、Caなどのアルカリ土類金属元素、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cuなどの遷移金属元素から選択することが出来る。また、これらの元素を2つ以上の組合せたものであってもよい。
なかでも、カルコゲン元素や遷移金属元素が好ましく、遷移金属元素がより好ましい。遷移金属元素の中でも、第一遷移金属元素が好ましく、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cuがより好ましく、Ti、Mn、Fe、Co、Niが特に好ましい。
xは0.1以上1未満が好ましく、0.1以上0.99以下がより好ましく、0.2以上0.98以下がさらに好ましく、0.3以上0.95以下が特に好ましい。
本発明で用いることが出来る負極活物質の粒子径は特に制限されないが、平均粒子径が、0.1μm〜60μmが好ましく、0.2μm〜50μmがより好ましく、0.5μm〜30μmが特に好ましい。負極活物質の平均粒子径は、上述の無機固体電解質の平均粒子径の測定方法と同様の方法により測定する。
負極活物質の濃度は特に限定されない。なお、負極活物質の含有量は、負極活物質層を構成する全固形成分に対して、10〜100質量%が好ましく、20〜95質量%がより好ましい。
なお、負極活物質が導電助剤として用いられる場合の「負極活物質の含有量」は、負極活物質の含有量と導電助剤の含有量との合計を意味する。
負極活物質層の単位面積(cm)当たりの負極活物質の質量(mg)(目付量)は特に限定されるものではない。設計された電池容量に応じて、任意に決めることができる。
負極活物質層は、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する硫化物系無機固体電解質を含んでいてもよく、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する硫化物系無機固体電解質を、負極活物質の含有量との合計100質量%に対して、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下の割合で含んでいることが好ましい。下限に特に制限は無いが、0質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。
負極活物質層中のイオン伝導度の確保と、負極活物質量との良好なバランスという観点から硫化物系無機固体電解質の含有量の割合が上記範囲内にあることが好ましい。
(正極活物質層)
本発明の全固体二次電池においては、正極活物質層は正極活物質を含有する。
(正極活物質)
正極活物質には遷移金属酸化物を用いることが好ましく、中でも、遷移金属元素M(Co、Ni、Fe、Mn、Cu、Vから選択される1種以上の元素)を有することが好ましい。また、混合元素M(リチウム以外の金属周期律表の第1(Ia)族の元素、第2(IIa)族の元素、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなど)を混合してもよい。
遷移金属酸化物は、例えば、下記式(MA)〜(MC)のいずれかで表されるものを含む特定遷移金属酸化物、またはその他の遷移金属酸化物としてV、MnO等が挙げられる。正極活物質には、粒子状の正極活性物質を用いてもよい。
具体的に、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できる遷移金属酸化物を用いることができ、上記特定遷移金属酸化物を用いることが好ましい。
遷移金属酸化物は、上記遷移金属元素Mを含む酸化物等が好適に挙げられる。このとき混合元素M(好ましくはAl)などを混合してもよい。混合量としては、遷移金属元素の量に対して0〜30mol%が好ましい。Li/Mのモル比が0.3〜2.2になるように混合して合成されたものが、より好ましい。
〔式(MA)で表される遷移金属酸化物(層状岩塩型構造)〕
リチウム含有遷移金属酸化物としては中でも下式で表されるものが好ましい。
Lia111b1 ・・・ 式(MA)
式(MA)中、M11は上記Mと同義であり、好ましい範囲も同じである。a1は0〜1.2(0.2〜1.2が好ましい)を表し、0.6〜1.1が好ましい。b1は1〜3を表し、2が好ましい。M11の一部は上記混合元素Mで置換されていてもよい。
式(MA)で表される遷移金属酸化物は典型的には層状岩塩型構造を有する。
式(MA)で表される遷移金属酸化物は、下記の各式で表されるものがより好ましい。
(MA−1) LiCoO
(MA−2) LiNiO
(MA−3) LiMnO
(MA−4) LiCoNi1−j
(MA−5) LiNiMn1−j
(MA−6) LiCoNiAl1−j−i
(MA−7) LiCoNiMn1−j−i
ここで、gは上記a1と同義であり、好ましい範囲も同じである。jは0.1〜0.9を表す。iは0〜1を表す。ただし、1−j−iは0以上になる。kは上記b1と同義であり、好ましい範囲も同じである。
これらの遷移金属化合物の具体例としては、LiCoO(コバルト酸リチウム[LCO])、LiNi(ニッケル酸リチウム)、LiNi0.85Co0.10Al0.05(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム[NCA])、LiNi0.33Co0.33Mn0.33(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム[NMC])、LiNi0.5Mn0.5(マンガンニッケル酸リチウム)が挙げられる。
式(MA)で表される遷移金属酸化物は、一部重複するが、表記を変えて示すと、下記で表されるものも好ましい例として挙げられる。
(i)LiNixcMnycCozc(xc>0.2,yc>0.2,zc≧0,xc+yc+zc=1)
代表的なもの:
LiNi1/3Mn1/3Co1/3
LiNi1/2Mn1/2
(ii)LiNixdCoydAlzd(xd>0.7,yd>0.1,0.1>zd≧0.05,xd+yd+zd=1)
代表的なもの:
LiNi0.8Co0.15Al0.05
〔式(MB)で表される遷移金属酸化物(スピネル型構造)〕
リチウム含有遷移金属酸化物としては中でも下記式(MB)で表されるものも好ましい。
Lic1 d1 ・・・ 式(MB)
式(MB)中、Mは上記Mと同義であり、好ましい範囲も同じである。c1は0〜2を表し、0.2〜2が好ましく、0.6〜1.5がより好ましい。d1は3〜5を表し、4が好ましい。
式(MB)で表される遷移金属酸化物は、下記の各式で表されるものがより好ましい。
(MB−1) LiMn
(MB−2) LiMnAl2−p
(MB−3) LiMnNi2−p
mはc1と同義であり、好ましい範囲も同じである。nはd1と同義であり、好ましい範囲も同じである。pは0〜2を表す。
これらの遷移金属酸化物は、例えば、LiMn、LiMn1.5Ni0.5が挙げられる。
式(MB)で表される遷移金属酸化物は、さらに下記の各式で表されるものも好ましい例として挙げられる。
(a) LiCoMnO
(b) LiFeMn
(c) LiCuMn
(d) LiCrMn
(e) LiNiMn
高容量、高出力の観点で上記のうちNiを含む電極がさらに好ましい。
〔式(MC)で表される遷移金属酸化物〕
リチウム含有遷移金属酸化物は、リチウム含有遷移金属リン酸化物が好ましく、なかでも下記式(MC)で表されるものも好ましい。
Lie1(POf1 ・・・ 式(MC)
式(MC)中、e1は0〜2(0.2〜2が好ましい)を表し、0.5〜1.5が好ましい。f1は1〜5を表し、1〜2が好ましい。
はV、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、NiおよびCuからなる群から選択される1種以上の元素を表す。Mは、上記の混合元素Mの他、Ti、Cr、Zn、Zr、Nb等の他の金属で置換していてもよい。具体例としては、例えば、LiFePO、LiFe(PO等のオリビン型リン酸鉄塩、LiFeP等のピロリン酸鉄類、LiCoPO等のリン酸コバルト類、Li(PO(リン酸バナジウムリチウム)等の単斜晶ナシコン型リン酸バナジウム塩が挙げられる。
なお、Liの組成を表す上記a1、c1、g、m、e1値は、充放電により変化する値であり、典型的には、Liを含有したときの安定な状態の値で評価される。式(a)〜(e)では特定値としてLiの組成を示しており、これも同様に電池の動作により変化するものである。
本発明の全固体二次電池で使用する正極活物質の平均粒子径(球換算平均粒子径)は特に限定されない。なお、0.1μm〜50μmが好ましい。正極活性物質を所定の粒子径にするには、通常の粉砕機や分級機を用いればよい。焼成法によって得られた正極活物質は、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤にて洗浄した後使用してもよい。正極活物質粒子の平均粒子径は、上述の無機固体電解質の平均粒子径の測定方法と同様の方法により測定する。
正極活物質の濃度は特に限定されない。なお、正極活物質の含有量は、正極活物質層を構成する全固形成分に対して、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。
正極活物質層の単位面積(cm)当たりの正極活物質の質量(mg)(目付量)は特に限定されるものではない。設計された電池容量に応じて、任意に決めることができる。
また、正極活物質層には、適宜必要に応じて導電助剤を含有させてもよい。一般的な導電助剤としては、電子伝導性材料である、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉、金属繊維、ポリフェニレン誘導体などを含ませることができる。
(粒子状ポリマー)
本発明に用いられる粒子状ポリマーは、任意で添加剤等と組み合わせて、固体粒子間および層間の結着性を向上させる役割を果たす。ここで、本発明に規定される「粒子状ポリマー」とは、後述の分散媒体に添加しても溶解せず粒子状のまま分散媒体に分散し、0.01μm超の平均粒子径を示すものを指す。
本発明の全固体二次電池おいて、正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層の少なくとも1層に粒子状ポリマーが含有される。粒子状であることにより、固体粒子同士の界面全体を覆うことなく、かつ、イオンまたは電子のやり取りを阻害することなく、固体粒子間および層間の十分な結着性を得ることができる。
粒子状ポリマーは、固体電解質層に含まれていることが好ましい。また、固体電解質層および負極活物質層に含まれていることがより好ましい。さらに、固体電解質層、負極活物質層および正極活物質層の全ての層に含まれていることが特に好ましい。各層に含まれることで、電池全体での結着性が向上するためである。
本発明に用いられる粒子状ポリマーは、活物質と無機固体電解質の良好な結着性を示す限り、有機ポリマー粒子であっても、有機無機ハイブリッドポリマー粒子であっても構わない。
有機ポリマー粒子を構成する樹脂は、例えば、フッ素系樹脂(ポリビニレンジフルオリド(PVdF)など)、炭化水素系樹脂(水素添加スチレンブタジエンゴム(HSBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)など)、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂、エステル系樹脂、エーテル系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、カーボネート樹脂、シリコーン系樹脂またはそれらの組み合わせなどが挙げられる。
本発明において、粒子状ポリマーに用いられる樹脂は、1種に限定するものでなく2種以上用いてもよく、またそれらの組み合わせであってもよい。
ここで、本発明に用いられる粒子状ポリマーは、ブロック共重合体、交互共重合体またはランダム共重合体のいずれの粒子状ポリマーであってもよい。
また、全固体二次電池に硫化物系固体電解質を用いる場合には、硫化物系固体電解質と水との反応による硫化水素の発生を抑制し、イオン伝導度の低下を抑制する観点等から、粒子状ポリマーの含水率は100ppm以下が好ましい。
含水率は、80℃で真空乾燥した後の粒子状ポリマーを試料とし、カールフィッシャー液アクアミクロンAX(商品名、三菱化学(株)製)を用い、カールフィッシャー法により試料中の水分量(g)を測定し、水分量(g)を試料質量(g)で除して算出する。
本発明に用いられる粒子状ポリマーのガラス転移温度は50℃以下が好ましく、−200℃以上40℃以下がより好ましく、−150℃以上30℃以下がさらに好ましい。ガラス転移温度が上記範囲内にあることで、良好なイオン伝導度が得られる。
ガラス転移温度(Tg)は、乾燥試料を用いて、示差走査熱量計「X−DSC7000」(SII・ナノテクノロジー(株)社製)を用いて下記の条件で測定する。測定は同一の試料で二回実施し、二回目の測定結果を採用する。
測定室内の雰囲気:窒素(50mL/min)
昇温速度:5℃/min
測定開始温度:−100℃
測定終了温度:200℃
試料パン:アルミニウム製パン
測定試料の質量:5mg
Tgの算定:DSCチャートの下降開始点と下降終了点の中間温度の小数点以下を四捨五入することでTgを算定する。
本発明に用いられる粒子状ポリマーの質量平均分子量は、5,000以上1,000,000以下が好ましく、10,000以上500,000以下がより好ましく、30,000以上200,000以下がさらに好ましい。
粒子状ポリマーの質量平均分子量が上記範囲内にあることで、より良好な結着性が発現するとともにハンドリング性(製造適性)が良好となる。
本発明において、粒子状ポリマーの分子量は、特に断らない限り、質量平均分子量を意味する。質量平均分子量は、GPCによってポリスチレン換算の分子量として計測することができる。このとき、GPC装置HLC−8220(東ソー(株)社製)を用い、カラムはG3000HXL+G2000HXLを用い、23℃で流量は1mL/minで、RIで検出することとする。溶離液としては、THF(テトラヒドロフラン)、クロロホルム、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、m−クレゾール/クロロホルム(湘南和光純薬(株)社製)から選定することができ、溶解するものであればTHFを用いることとする。
本発明に用いられる粒子状ポリマーは、活物質と無機固体電解質を結着することができればよく、形状は限定されない。
粒子状ポリマーは真球状であっても扁平形状であってもよく、さらに無定形であってもよい。また、粒子状ポリマーの表面は平滑であっても凹凸形状を形成していてもよい。さらに、粒子状ポリマーはコアシェル構造を取ってもよく、コア(内核)とシェル(外殻)が同様の材料で構成されていても、異なる材質で構成されていても良い。また中空であっても良く、中空率についても限定されない。
なお、粒子状ポリマーは単一分散であっても多分散であっても良い。
本発明に用いられる粒子状ポリマーは、界面活性剤、乳化剤または分散剤の存在下で重合性モノマーを重合する方法、分子量が増大するにしたがって結晶状に析出させる方法等によって合成することができる。
また既存のポリマーを機械的に破砕して粒子状ポリマーにしてもよく、ポリマー溶液に溶解しているポリマーを再沈殿させることによって粒子状ポリマーとしてもよい。
本発明に用いられる粒子状ポリマーの平均粒子径は特に制限されないが、後述の分散媒体に分散させた状態において、0.02μm以上が好ましく、0.05μm〜50μmがより好ましく、0.07μm〜40μmがさらに好ましく、0.1μm〜30μmが特に好ましい。
本発明に用いられる粒子状ポリマーの平均粒子径は、特に断らない限り、以下に記載の測定条件および定義によるものとする。
粒子状ポリマーを任意の溶媒(固体電解質組成物の調製に用いる分散媒体。例えば、ヘプタン)を用いて20mlサンプル瓶中で1質量%の分散液を希釈調整する。希釈後の分散試料は、1kHzの超音波を10分間照射し、その直後に試験に使用する。この分散液試料を用い、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(商品名、HORIBA社製)を用いて、温度25℃で測定用石英セルを使用してデータ取り込みを50回行い、得られた体積平均粒子径を平均粒子径とする。その他の詳細な条件等は必要によりJISZ8828:2013「粒子径解析−動的光散乱法」の記載を参照する。1水準につき5つの試料を作製しその平均値を採用する。
なお、作成された全固体二次電池からの測定は、例えば、電池を分解し電極を剥がした後、その電極材料について上述の粒子状ポリマーの平均粒子径測定の方法に準じてその測定を行い、あらかじめ測定していた粒子状ポリマー以外の粒子状ポリマーの平均粒子径の測定値を排除することにより行うことができる。
本発明に用いられる粒子状ポリマーは、上述の方法で得たものを用いてもよく、一般的な市販品を用いてもよい。以下、本発明に用いられる粒子状ポリマーの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
フッ素系樹脂
本発明における粒子状ポリマーとして用いることができるフッ素系樹脂としては、マイクロディスパーズシリーズ(テクノケミカル(株)社製、例えば、マイクロディスパーズ−200(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子、200nm)、マイクロディスパーズ−3000(PTFE粒子、3μm)、マイクロディスパーズ−8000(PTFE粒子、8μm))、ディスパーズイージー−300(PTFE粒子、200nm、テクノケミカル(株)社製)、FluonADシリーズ(旭硝子(株)社製、例えば、FluonAD911E、FluonAD915E、FluonAD916E、FluonAD939E)、アルゴフロンシリーズ(ソルベイ(株)社製、例えば、アルゴフロンF(PTFE粒子、15〜35μm)、アルゴフロンS(PTFE粒子、15〜35μm))、ルブロンシリーズ(ダイキン(株)社製、例えば、ルブロンL−2(PTFE粒子、3.5μm)、ルブロンL−5(PTFE粒子、5μm)、ルブロンL−5F(PTFE粒子、4.5μm))(いずれも商品名で、括弧書きの数値は平均粒子径を表す。)等があり、市販品として入手できる。
炭化水素系樹脂
本発明における粒子状ポリマーとして用いることができる炭化水素系樹脂としてはソフトビーズ、ザイクセン(ポリオレフィンエマルジョン)、セポルジョンG(ポリオレフィンエマルジョン)、セポレックスIR100(ポリイソプレンラテックス)、セポレックスCSM(クロロスルホン化ポリエチレンラテックス)、フローセン(ポリエチレン粉末)、フローセンUF(ポリエチレン粉末)、フローブレン(ポリプロピレン粉末)、フロービーズ(ポリエチレン−アクリル共重合粉末)(いずれも商品名で住友精化(株)社製)等があり、市販品として入手できる。
アクリル系樹脂
本発明における粒子状ポリマーとして用いることができるアクリル系樹脂としては、アートパールシリーズ(根上工業(株)社製、例えば、アートパールGR、アートパールSE、アートパールG、アートパールGR、アートパールGR、アートパールGS、アートパールJ、アートパールMF、アートパールBE)、タフチックシリーズ(東洋紡(株)社製、例えば、タフチックAR−650、タフチックAR−750、タフチックFH−S、ケミスノーシリーズ(総研化学(株)社製、例えば、ケミスノーMP−1451、ケミスノーMP−2200、ケミスノーMP−1000、ケミスノーMP−2701、ケミスノーMP−5000、ケミスノーMP−5500、ケミスノーMP−300、ケミスノーKMR−3TA、ケミスノーMX−80H3wT、ケミスノーMX−150、ケミスノーMX−180TA、ケミスノーMX−300、ケミスノーMX−500、ケミスノーMX−500H、ケミスノーMX−1000、ケミスノーMX−1500H、ケミスノーMX−2000、ケミスノーMX−3000、FSシリーズ(日本ペイント(株)社製、例えば、FS−101、FS−102、FS−106、FS−107、FS−201、FS−301、FS−501、FS−701)、MGシリーズ(日本ペイント(株)社製、例えば、MG−155E、MG−451、MG−351)、テクポリマーシリーズ(積水化成品工業(株)社製、例えば、テクポリマーMBX、テクポリマーSBX、テクポリマーMSX、テクポリマーSSX、テクポリマーBMX、テクポリマーABX、テクポリマーARX、テクポリマーAFX、テクポリマーMB、テクポリマーMBP)、アドバンセルHB−2051(積水化学(株)社製)、ハヤビーズL−11、ハヤビーズM−11(いずれも早川ゴム(株)社製)、アロンTシリーズ、アロンAシリーズ、アロンSD−10、アロンACシリーズ、ジュリマーACシリーズ(いずれも東亜合成(株)社製)、エポスターMA、エポスターMX(いずれも日本触媒(株)社製)(いずれも商品名)等があり、市販品として入手できる。
アクリル系樹脂粒子は、国際公開第2015/046314号に記載のアクリル系樹脂粒子を用いることも好ましい。
スチレン系樹脂
本発明における粒子状ポリマーとして用いることができるスチレン系樹脂としては、ケミスノーKSR−3A(総研化学(株)製)、エポスターST(日本触媒(株)製)(いずれも商品名)等があり、市販品として入手できる。
アミド系樹脂
本発明における粒子状ポリマーとして用いることができるアミド系樹脂としては、セポルジョンPA(共重合ナイロンエマルジョン、住友精化(株)製)、トレパールPAI(ポリアミドイミド粒子、東レ(株)製)(いずれも商品名)等があり、市販品として入手できる。
イミド系樹脂
本発明における粒子状ポリマーとして用いることができるイミド系樹脂としては、ポリイミドパウダーP84(R)NT(ダイセルエヴォニック(株)社製)、ポリイミドパウダーPIP−3、ポリイミドパウダーPIP−25、ポリイミドパウダーPIP−60(いずれもセイシン企業(株)社製)、ポリイミドパウダーUIP−R、ポリイミドパウダーUIP−S(いずれも宇部興産(株)社製)(いずれも商品名)等があり、市販品として入手できる。
ウレタン系樹脂
本発明における粒子状ポリマーとして用いることができるウレタン系樹脂としては、ダイミックビーズUCN−8070CM(7μm)、ダイミックビーズUCN−8150CM(15μm)(いずれも大日精化(株)社製)、アートパールシリーズ(根上工業(株)社製、例えば、アートパールC、アートパールP、アートパールJB、アートパールU、アートパールCE、アートパールAK、アートパールHI、アートパールMM、アートパールFF、アートパールTK、アートパールC−TH、アートパールRW、アートパールRX、アートパールRY、アートパールRZ、アートパールRU、アートパールRV、アートパールBP)、グロスデールSシリーズ、グロスデールMシリーズ、グロスデールVシリーズ、グロスデールTシリーズ(いずれも三井化学(株)社製)、インフィナジー(BASF社製)(いずれも商品名で、括弧書きの数値は平均粒子径を表す。)等があり、市販品として入手できる。
ウレタン系樹脂は、国際公開第2015/046313号に記載のウレタン結合を有するポリマーを用いることも好ましい。
ウレア系樹脂
ウレア系樹脂は、国際公開第2015/046313号に記載のウレア結合を有するポリマーが好ましく用いられる。
エステル系樹脂
本発明における粒子状ポリマーとして用いることができるエステル系樹脂としては、セポルジョンES(商品名、共重合ポリエステルエマルジョン、住友精化(株)製)等があり、市販品として入手できる。
エーテル系樹脂
本発明における粒子状ポリマーとして用いることができるエーテル系樹脂としては、トレパールPPS(ポリフェニレンスルフィド粒子、東レ(株)製)、トレパールPES(ポリエーテルスルホン粒子、東レ(株)製)(いずれも商品名)等があり、市販品として入手できる。
フェノール樹脂
本発明における粒子状ポリマーとして用いることができるフェノール樹脂としては、LPSシリーズ(リグナイト(株)製)、マリリンFMシリーズ(群栄化学工業(株)製)、マリリンHFシリーズ(群栄化学工業(株)製)(いずれも商品名)等があり、市販品として入手できる。
エポキシ樹脂
本発明における粒子状ポリマーとして用いることができるエポキシ樹脂としては、トレパールEP(エポキシ樹脂粒子、東レ(株)製)(いずれも商品名)等があり、市販品として入手できる。
カーボネート樹脂
本発明における粒子状ポリマーとして用いることができるポリカーボネート樹脂は、例えば、国際公開2011/004730号パンフレットに記載の方法で合成できる。具体的にはエポキシ化合物に二酸化炭素を反応させることで重合することが可能である。
シリコーン系樹脂
本発明における粒子状ポリマーとして用いることができるシリコーン系樹脂としては、シーホスターKEシリーズ(日本触媒(株)社製、例えば、シーホスターKE−Eシリーズ、シーホスターKE−Wシリーズ、シーホスターKE−Pシリーズ、シーホスターKE−Sシリーズ)、シリコーン複合パウダーシリーズ(例えば、シリコーン複合パウダーKMP−600、シリコーン複合パウダーKMP−601、シリコーン複合パウダーKMP−602、シリコーン複合パウダーKMP−605、シリコーン複合パウダーX−52−7030)、シリコーンレジンパウダーシリーズ(例えば、シリコーンレジンパウダーKMP−590、シリコーンレジンパウダーKMP−701、シリコーンレジンパウダーX−52−854、シリコーンレジンパウダーX−52−1621)、シリコーンゴムパウダーシリーズ(例えば、シリコーンゴムパウダーKMP−597、シリコーンゴムパウダーKMP−598、シリコーンゴムパウダーKMP−594、シリコーンゴムパウダーX−52−875)(いずれも信越シリコーン(株)社製)、シャリーヌR−170S(シリコーンアクリル共重合、日信化学工業(株)社製)(いずれも商品名)等があり、市販品として入手できる。
正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層の各層における粒子状ポリマーの含有量は、上記無機固体電解質(活物質を用いる場合はこれを含む)100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましく、1質量部以上であることが特に好ましい。上限としては、20質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることが特に好ましい。
また、正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層の各層において、その固形分中、粒子状ポリマーが0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。上限としては、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
粒子状ポリマーを上記の範囲内で用いることにより、一層効果的に無機固体電解質の結着性と界面抵抗の抑制とを両立して実現することができる。
なお、本発明に適用される粒子状ポリマーは、各種の添加剤を組み合わせて用いてもよい。上記の配合量は粒子状ポリマー量として規定しているが、粒子状ポリマーの総量に読み替えてもよい。
(分散剤)
本発明において、正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層の少なくとも1層が分散剤を含有することが好ましい。分散剤を添加することで電極活物質および無機固体電解質のいずれかの濃度が高い場合においてもその凝集を抑制し、均一な電極層および固体電解質層を形成することができるため、出力密度向上に効果を奏すると考えられる。
分散剤は、分子量200以上3,000未満であり、かつ、下記官能基群(I)から選択される少なくとも1種の官能基と、炭素数8以上のアルキル基または炭素数10以上のアリール基とを有する化合物である。
官能基群(I):酸性基、塩基性窒素原子を有する基、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリルアミド基、アルコキシシリル基、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、シアノ基、チオール基及びヒドロキシ基
本発明に用いられる分散剤は、低分子、オリゴマーおよびポリマーのいずれに分類される化合物であってもよい。なお、分散剤がオリゴマーおよびポリマーである場合、分子量とは質量平均分子量のことを意味し、質量平均分子量はGPCにより測定することができる。
以下、分散剤についてより詳細に記載する。
分散剤の分子量は200以上3,000未満であり、好ましくは200以上、2,000未満であり、より好ましくは250以上1,000未満である。上記上限値以下であると、電極活物質や無機固体電解質の粒子の凝集が生じにくくなり、出力密度の低下を効果的に抑制することができる。また上記下限値以上であると、固体電解質組成物スラリーを塗布し乾燥する段階で揮発しやすくなり、全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池の製造の観点から好ましい。
官能基群(I)において、酸性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、塩基性窒素原子を有する基としては、アミノ基、ピリジル基等が挙げられる。
官能基群(I)のなかでも酸性基、塩基性窒素原子を有する基、シアノ基が好ましく、最も好ましくは酸性基である。酸性基のなかでもカルボキシ基が最も好ましい。
・炭素数8以上のアルキル基
分散剤が有する炭素数8以上のアルキル基は、総炭素数が8以上のアルキル基であればよく、直鎖状でもよく、分岐状でもよく、環状でもよく、炭化水素である場合に限らず、炭素−炭素結合間にヘテロ原子を介した結合を含有してもよい。また、炭素数8以上のアルキル基は、無置換でもよく、さらに置換基を有していてもよく、さらに途中に不飽和炭素−炭素結合を有していても良い。
炭素数8以上のアルキル基としては、炭素数8以上50以下のアルキル基が好ましく、炭素数8以上30以下のアルキル基がより好ましく、炭素数8以上20以下のアルキル基がさらに好ましく、炭素数8以上18以下のアルキル基が特に好ましい。
具体的には、ノルマルオクチル基、ノルマルデシル基、ノルマルドデシル基、ノルマルテトラデシル基、ノルマルヘキサデシル基、ステアリル基、ラウリル基、リノール基、リノレン基、2−エチルヘキシル基、2−エチルオクチル基、2−エチルドデシル基、ポリエチレングリコールモノメチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基等が挙げられる。
これらの中でも、ノルマルオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノルマルノニル基、ノルマルデシル基、ノルマルウンデシル基、ノルマルドデシル基、ノルマルテトラデシル基、及びノルマルオクタデシル基(ステアリル基)が好ましい。
炭素数8以上のアルキル基が置換基を有する場合、置換基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6以上アリール基、ハロゲン原子等が挙げられ、なかでもハロゲン原子が好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
置換基を有する炭素数8以上のアルキル基としては、例えば、アリール基で置換されたアルキル基、ハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキル基が挙げられる。
・炭素数10以上のアリール基
分散剤が有する炭素数10以上のアリール基は、総炭素数が10以上のアリール基であればよく、炭化水素である場合に限らず炭素−炭素結合間にヘテロ原子を含有してもよい。また、炭素数10以上のアリール基は、無置換でもよく、さらに置換基を有していてもよい。
炭素数10以上のアリール基としては、炭素数10以上50以下のアリール基が好ましく、炭素数10以上30以下のアリール基がより好ましく、炭素数10以上20以下のアリール基がさらに好ましく、炭素数10以上18以下のアリール基が特に好ましい。
具体的には、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基、ターフェニル基、ナフタセニル基、ペンタセニル基、ベンゾピレニル基、クリセニル基、トリフェニレニル基、コランニュレニル基、コロネニル基、オバレニル基等が挙げられる。
これらの中でも、縮環式芳香族炭化水素基が好ましい。
炭素数10以上のアリール基が置換基を有する場合、置換基としては、例えば、ノルマルオクチル基等の炭素数8以上のアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられ、なかでもハロゲン原子が好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
置換基を有する炭素数10以上のアリール基としては、例えば、アルキル基で置換されたアリール基が挙げられる。
分散剤としては、カルボキシ基と炭素数8以上のアルキル基とを有することが最も好ましく、具体的には、長鎖飽和脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、長鎖不飽和脂肪酸(例えば、オレイン酸、リノレン酸)をより好適に用いることができる。
分散剤としてはなかでも、官能基群(I)から選択される少なくとも1種の官能基を1つ以上有し、かつ、炭素数8以上のアルキル基または炭素数10以上のアリール基を2つ以上有することがより好ましい。
本発明では、正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層用の少なくとも1層に含まれる分散剤の含有量は、各層の全固形成分に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%が好ましく、1〜3質量%がより好ましい。
(リチウム塩)
本発明においては、正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層のいずれか1層にリチウム塩が含有されることも好ましい。本発明に用いることができるリチウム塩としては、通常この種の製品に用いられるリチウム塩が好ましく、特に制限はなく、例えば、以下に述べるものが好ましい。
(L−1)無機リチウム塩:LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF等の無機フッ化物塩;LiClO、LiBrO、LiIO等の過ハロゲン酸塩;LiAlCl等の無機塩化物塩等。
(L−2)含フッ素有機リチウム塩:LiCFSO等のパーフルオロアルカンスルホン酸塩;LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(FSO、LiN(CFSO)(CSO)等のパーフルオロアルカンスルホニルイミド塩;LiC(CFSO等のパーフルオロアルカンスルホニルメチド塩;Li[PF(CFCFCF)]、Li[PF(CFCFCF]、Li[PF(CFCFCF]、Li[PF(CFCFCFCF)]、Li[PF(CFCFCFCF]、Li[PF(CFCFCFCF]等のフルオロアルキルフッ化リン酸塩等。
(L−3)オキサラトボレート塩:リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート等。
これらのなかで、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiClO、Li(RfSO)、LiN(RfSO、LiN(FSO、及びLiN(RfSO)(RfSO)が好ましく、LiPF、LiBF、LiN(RfSO、LiN(FSO、及びLiN(RfSO)(RfSO)などのリチウムイミド塩がさらに好ましい。ここで、RfおよびRfはそれぞれ独立にパーフルオロアルキル基を表す。
なお、リチウム塩は、1種を単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせてもよい。
リチウム塩の含有量は、各層における固体電解質100質量部に対して0質量部を超えることが好ましく、5質量部以上がより好ましい。上限としては、50質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
(分散媒体)
本発明においては、正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層の成形材料として用いられる固体電解質組成物および中間層用組成物が、上記の各成分を分散させる分散媒体を含有していてもよい。分散媒体の具体例としては、例えば、下記の溶媒が挙げられる。
アルコール化合物溶媒は、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、2−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ソルビトール、キシリトール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールが挙げられる。
エーテル化合物溶媒は、例えば、アルキレングリコールアルキルエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等)、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンが挙げられる。
アミド化合物溶媒は、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドが挙げられる。
ケトン化合物溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンが挙げられる。
芳香族化合物溶媒は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンが挙げられる。
脂肪族化合物溶媒は、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカンが挙げられる。
ニトリル化合物溶媒は、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリルが挙げられる。
本発明においては、なかでも、エーテル化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、脂肪族化合物溶媒およびニトリル化合物溶媒を用いることが好ましく、脂肪族化合物溶媒およびニトリル化合物溶媒を用いることがより好ましい。分散媒体は常圧(1気圧)での沸点が50℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。上限は250℃以下であることが好ましく、220℃以下であることがさらに好ましい。上記分散媒体は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、固体電解質組成物における分散媒体の量は、固体電解質組成物の粘度と乾燥負荷とのバランスで任意の量とすることができる。一般的に、固体電解質組成物中、20〜99質量%であることが好ましい。
一方、中間層用組成物における分散媒体の量は、目的とする膜厚によって、任意の量とすることができる。一般的に、中間層用組成物中、5〜99質量%であることが好ましい。
<集電体(金属箔)>
正・負極の集電体は、化学変化を起こさない電子伝導体が好ましい。正極の集電体は、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウム、アルミニウム合金がより好ましい。負極の集電体は、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンが好ましく、アルミニウム、銅、銅合金がより好ましい。
集電体の形状は、通常フィルムシート状のものが使用されるが、ネット、パンチされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体なども用いることができる。
集電体の厚みは、特に限定されないが、1μm〜500μmが好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
<全固体二次電池の作製>
全固体二次電池の作製は常法によればよい。具体的には、本発明における固体電解質組成物を集電体となる金属箔上に塗布し、塗膜を形成した全固体二次電池用電極シートとする方法が挙げられる。
例えば、負極集電体である金属箔上に負極材料となる組成物を塗布し、負極活物質層を形成し、全固体二次電池用負極シートを作製する。負極活物質層の上に、中間層を形成し、本発明における固体電解質組成物を塗布し、固体電解質層を形成する。さらに、固体電解質層の上に、正極材料となる組成物を塗布し、正極活物質層を形成する。正極活物質層の上に、正極側の集電体(金属箔)を重ねることで、正極活物質層と負極活物質層の間に、固体電解質層および中間層が挟まれた全固体二次電池の構造を得ることができる。
なお、上記の中間層用組成物以外の各組成物の塗布方法は常法によればよい。このとき、正極活物質層を形成するための組成物、無機固体電解質層を形成するための組成物および負極活物質層を形成するための組成物は、それぞれ塗布した後に乾燥処理を施してもよいし、重層塗布した後に乾燥処理をしてもよい。乾燥温度は特に限定されない。なお、下限は30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、上限は、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。このような温度範囲で加熱することで、分散媒体を除去し、固体状態にすることができる。
中間層は、例えば、中間層用組成物においてゾルゲル反応を進行させ、粉末として取り出してから、粉を圧縮成形して中間層を形成することができる。また、ゾルゲル反応を進行させ、分散液の状態で全固体二次電池用電極シートに塗布、乾燥して中間層を形成してもよい。形成する中間層の厚みに応じて適宜選択することができる。
<全固体二次電池の用途>
本発明に係る全固体二次電池は種々の用途に適用することができる。適用態様には特に限定はないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
なかでも、高容量且つ高レート放電特性が要求されるアプリケーションに適用されることが好ましい。例えば、今後大容量化が予想される蓄電設備等においては高い信頼性が必須となりさらに電池性能の両立が要求される。また、電気自動車などは高容量の二次電池を搭載し、家庭で日々充電が行われる用途が想定され、過充電時に対して一層の信頼性が求められる。本発明によれば、このような使用形態に好適に対応してその優れた効果を発揮することができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下のような各応用形態が導かれる。
〔1〕正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層の少なくとも1層がリチウム塩を含有する全固体二次電池。
〔2〕負極活物質層の成形材料として用いられる固体電解質組成物を金属箔上に適用し、負極活物質層を製膜し、負極活物質層上に中間層を形成してなる全固体二次電池用電極シート。
〔3〕正極活物質層の成形材料として用いられる固体電解質組成物を金属箔上に適用し、正極活物質層を製膜し、正極活物質層上に固体電解質層の成形材料として用いられる固体電解質組成物を適用し、固体電解質層を製膜し、固体電解質層上に中間用組成物を塗布乾燥して中間層を製膜してなる全固体二次電池用電極シート。
〔4〕固体電解質組成物を金属箔上に適用し、製膜する全固体二次電池用電極シートの製造方法。
〔5〕固体電解質層が、非水系分散媒体によって硫化物系固体電解質が分散されたスラリーを湿式塗布し製膜される全固体二次電池の製造方法。
なお、金属箔上に固体電解質組成物を適用する方法には、例えば、塗布(好ましくは湿式塗布)、スプレー塗布、スピンコート塗布、ディップコート、スリット塗布、ストライプ塗布、バーコート塗布が挙げられる。
全固体二次電池とは、正極、負極、電解質がともに固体で構成された二次電池を言い、本発明においては負極と電解質との間の中間層も固体で構成されている二次電池を言う。換言すれば、電解質としてカーボネート系の溶媒を用いるような電解液型の二次電池とは区別される。このなかで、本発明は無機全固体二次電池を前提とする。全固体二次電池には、電解質としてポリエチレンオキサイド等の高分子化合物を用いる有機(高分子)全固体二次電池と、上記のLi−P−SやLLT、LLZ等を用いる無機全固体二次電池とに区分される。なお、無機全固体二次電池に高分子化合物を適用することは妨げられず、固体粒子(正極活物質、負極活物質、無機固体電解質)間および層間の結着性を向上させるために適用することができる。
無機固体電解質とは、上述した高分子化合物をイオン伝導媒体とする電解質(高分子電解質)とは区別されるものであり、無機化合物がイオン伝導媒体となるものである。具体例としては、上記のLi−P−SやLLT、LLZが挙げられる。無機固体電解質は、それ自体が陽イオン(Liイオン)を放出するものではなく、イオンの輸送機能を示すものである。これに対して、電解液ないし固体電解質層に添加して陽イオン(Liイオン)を放出するイオンの供給源となる材料を電解質と呼ぶことがあるが、上記のイオン輸送材料としての電解質と区別するときにはこれを「電解質塩」または「支持電解質」と呼ぶ。電解質塩としては例えばLiTFSIが挙げられる。
本発明において「組成物」というときには、2種以上の成分が均一に混合された混合物を意味する。ただし、実質的に均一性が維持されていればよく、所望の効果を奏する範囲で、一部において凝集や偏在が生じていてもよい。
以下に、実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。以下の実施例において「部」および「%」というときには、特に断らない限り質量基準である。
<合成例>
硫化物系無機固体電解質(Li−P−S系ガラス)の合成
本発明に用いられる硫化物系固体電解質は、T.Ohtomo,A.Hayashi,M.Tatsumisago,Y.Tsuchida,S.Hama,K.Kawamoto,Journal of Power Sources,233,(2013),pp231−235およびA.Hayashi,S.Hama,H.Morimoto,M.Tatsumisago,T.Minami,Chem.Lett.,(2001),pp872−873の非特許文献を参考にして合成した。
具体的には、アルゴン雰囲気下(露点−70℃)のグローブボックス内で、硫化リチウム(LiS、Aldrich社製、純度>99.98%)2.42g、五硫化二リン(P、Aldrich社製、純度>99%)3.90gをそれぞれ秤量し、メノウ製乳鉢に投入し、メノウ製乳鉢を用いて、5分間混合した。なお、LiSおよびPはモル比でLiS:P=75:25とした。
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを66個投入し、上記硫化リチウムと五硫化二リンの混合物全量を投入し、アルゴン雰囲気下で容器を完全に密閉した。フリッチュ社製遊星ボールミルP−7(商品名)に容器をセットし、温度25℃、回転数510rpmで20時間メカニカルミリングを行い、黄色粉体の硫化物系固体電解質材料(Li−P−S系ガラス)6.20gを得た。
<実施例1>
二次電池負極用組成物(N−1)の調製
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを180個投入し、上記で合成したLi−P−S系ガラス1.8g、粒子状ポリマーとして、住友精化(株)製の商品名フロービーズLE−1080を0.2g、分散媒体としてイソブチロニトリル12.3gを投入した。フリッチュ社製遊星ボールミルP−7に容器をセットし、温度25℃、回転数300rpmで2時間混合を続けた後、活物質として黒鉛(平均粒子径20μm、日本黒鉛(株)製)8.0gを容器に投入し、同様に、遊星ボールミルP−7に容器をセットし、温度25℃、回転数100rpmで10分間混合を続け二次電池負極用組成物(N−1)を調製した(以下、二次電池負極用組成物を負極用組成物とも称す)。
負極用組成物(N−2)〜(N−9)、(CN−1)および(CN−2)の調製
下記表1に記載の組成に変えた以外は、上記負極用組成物(N−1)と同様の方法で、負極用組成物(N−2)〜(N−9)、(CN−1)および(CN−2)を調製した。
下記表1に、負極用組成物の成分をまとめて記載する。
Figure 2016212991
<表の注>
(1)Li−P−S:上記で合成したLi−P−S系ガラス
(2)Liメタル:金属リチウム箔(本城金属株式会社製) 厚み100μm
(3)黒鉛:日本黒鉛工業株式会社製、平均粒子径20μm
(4)NiTiSi:Ni、Ti、Siからなる合金(NiTiSiのモル分率、Ni:0.04、Ti:0.04、Si:0.92)
(5)Si:(株)豊島製作所製、平均粒子径75μm
(6)VGCF:気相成長炭素繊維
(7)LE−1080:住友精化株式会社製、商品名フロービーズLE−1080、平均粒子径6μm
(8)X−52−875:信越シリコーン株式会社製、商品名シリコーンゴムパウダーX−52−875、平均粒子径30μm
固体電解質組成物(SE−1)の調製
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを180個投入し、上記で合成したLi−P−S系ガラス9.8g、粒子状ポリマーとして、住友精化(株)製の商品名フロービーズLE−1080を0.2g、分散媒体としてイソブチロニトリル15.0gを投入した。その後、フリッチュ社製遊星ボールミルP−7に容器をセットし、温度25℃、回転数300rpmで2時間攪拌を続け、固体電解質組成物(SE−1)を調製した。
固体電解質組成物(SE−2)、(CSE−1)および(CSE−2)の調製
下記表2に記載の組成に変えた以外は、上記固体電解質組成物(SE−1)と同様の方法で、固体電解質組成物(SE−2)、(CSE−1)および(CSE−2)を調製した。下記表2に、固体電解質組成物の成分をまとめて記載する。
Figure 2016212991
<表の注>
(1)Li−P−S:上記で合成したLi−P−S系ガラス
(2)LE−1080:住友精化株式会社製、商品名フロービーズLE−1080、平均粒子径6μm
(3)X−52−875:信越シリコーン株式会社製、商品名シリコーンゴムパウダーX−52−875、平均粒子径30μm
(4)LLT:(株)豊島製作所製、Li0.33La0.55TiO
二次電池正極用組成物(P−1)の調製
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを180個投入し、上記で合成したLi−P−S系ガラス3.8g、粒子状ポリマーとして、住友精化(株)製の商品名フロービーズLE−1080を0.2g、分散媒体としてイソブチロニトリル12.3gを投入した。フリッチュ社製遊星ボールミルP−7に容器をセットし、温度25℃、回転数300rpmで2時間混合を続けた後、活物質としてLCO(日本化学工業(株)製)6.0gを容器に投入し、同様に、遊星ボールミルP−7に容器をセットし、温度25℃、回転数200rpmで15分間混合を続け二次電池正極用組成物(P−1)を調製した(以下、二次電池正極用組成物を正極用組成物とも称す)。
正極用組成物(P−2)〜(P−6)および(CP−1)の調製
下記表3に記載の組成に変えた以外は、上記正極用組成物(P−1)と同様の方法で、正極用組成物(P−2)〜(P−6)および(CP−1)を調製した。
下記表3に、正極用組成物の成分をまとめて記載する。
Figure 2016212991
<表の注>
HSBRはヘプタンに溶解したため、正極用組成物(CP−1)においては、HSBRは本発明に規定の粒子状ポリマーではないため、非粒子状ポリマーに分類した。
(1)Li−P−S:上記で合成したLi−P−S系ガラス
(2)LE−1080:住友精化株式会社製、商品名フロービーズLE−1080、平均粒子径6μm
(3)X−52−875:信越シリコーン株式会社製、商品名シリコーンゴムパウダーX−52−875、平均粒子径30μm
(4)LCO:LiCoO コバルト酸リチウム
(5)NMC:LiNi0.33Co0.33Mn0.33 ニッケルマンガンコバルト酸リチウム
(6)HSBR:JSR株式会社製水素添加ブタジエンゴム[商品名:ダイナロン1321P]
中間層用組成物(M-1)の調製
環流管を備えた500mL三つ口フラスコに、和光純薬工業製アセチルアセトン3.0g、和光純薬工業製チタンテトライソプロポキシド8.5g、脱水エタノール300mL、1Mリチウムエトキシド エタノール溶液30mLを投入した。その後、水を1滴(0.05mL)投入し、温度25℃、回転数300rpmで5時間攪拌した。さらに、温度を50℃に昇温し、回転数300rpmで6時間攪拌を続けた。次いで、ヘプタン500mLを少しずつ加えながら、エタノール(分散媒体A)を留去した。式(I)で表される化合物としてLiTiを含む、ヘプタン(分散媒体B)に分散した中間層用組成物(M−1)を調製した。
アセチルアセトンは後述するように、負極活物質層上に中間層用組成物を塗布した後、ヘプタンと共に乾燥させることにより除いた。
中間層用組成物(M−2)〜(M−6)の調製
下記表4に記載の構成に変えた以外は、上記中間層用組成物(M−1)と同様の方法で、中間層用組成物(M−2)〜(M−6)を調製した。
下記表4に、中間層用組成物の成分をまとめて記載する。
Figure 2016212991
<表の注>
(1)LiOEt:リチウムエトキシド
(2)Ti(OiPr):チタンテトライソプロポキシド
(3)Nb(OEt):ニオブペンタエトキド
(4)Al(sec-OBu):アルミニウムトリ−sec-ブトキシド
(5)Zr(OiPr):ジルコニウムトリイソプロポキシド
(6)Si(OEt): テトラエトキシシラン
全固体二次電池用負極シートの作製
上記で調製した二次電池負極用組成物を厚み20μmのアルミ箔上に、クリアランスが調節可能なアプリケーターにより塗布し、80℃で1時間加熱後、さらに110℃で1時間加熱し、分散媒体を乾燥した。その後、ヒートプレス機を用いて、任意の密度になるように加熱および加圧し、負極活物質層を作製した。
上記で作製した負極活物質層上に、上記で調製した中間層用組成物を、クリアランスが調節可能なアプリケーターにより塗布し、80℃で1時間加熱後、さらに200℃で6時間加熱し中間層を形成した。その後、中間層上に上記で調製した固体電解質組成物をさらに塗布し、80℃で1時間加熱後、さらに110℃で1時間加熱し固体電解質層を形成した。負極活物質層上に中間層と固体電解質層を形成したシートをヒートプレス機を用いて、任意の密度になるように加熱および加圧し、全固体二次電池用負極シートを作製した。
全固体二次電池用正極シートの作製
上記で調製した二次電池正極用組成物を厚み20μmのアルミ箔上に、クリアランスが調節可能なアプリケーターにより塗布し、80℃で1時間加熱後、さらに110℃で1時間加熱し、分散媒体を乾燥した。その後、ヒートプレス機を用いて、任意の密度になるように加熱および加圧し、全固体二次電池用正極シートを作製した。
全固体二次電池の製造
上記で製造した全固体二次電池用負極シートを直径14.5mmの円板状に切り出し、直径13.0mmの円板状に切り出した全固体二次電池用正極シートの正極活物質層と全固体二次電池用負極シートの固体電解質層が向かい合うようにして全固体二次電池用電極シートを作製し、スペーサーとワッシャーを組み込んだステンレス製の2032型コインケースに入れ、下記表5に記載の試験No.101〜113およびc11〜c15の全固体二次電池を製造した(試験体は図2を参照)。
全固体二次電池用電極シートは図1の構成を有する。正極活物質層、負極活物質層、中間層および固体電解質層は、それぞれ表5に記載の膜厚を有する。
上記で製造した試験No.101〜113およびc11〜c15の全固体二次電池について、以下の評価を行った。
<放電容量の測定>
上記で製造した全固体二次電池を、東洋システム(株)製の充放電評価装置「TOSCAT−3000」(商品名)により測定した。
充電は電池電圧が4.2Vになるまで、電流値0.2mAで行ない、放電は電池電圧が3.0Vになるまで、電流値0.2mAで行ない、これを1サイクルとした。同様の充放電を繰り返し、3サイクル目の放電容量を電池の放電容量とした。下記表5において、放電容量を「容量」と記載した。
<サイクル特性の評価>
上記で製造した全固体二次電池のサイクル特性を、東洋システム(株)製の充放電評価装置「TOSCAT−3000」(商品名)により測定した。
充放電は、上記容量算出と同様に行った。3サイクル目の放電容量を100とし、放電容量が80未満となったときのサイクル数から、以下の基準で評価した。なお、評価「C」以上が本試験の合格レベルである。
A:50回以上
B:40回以上50回未満
C:30回以上40回未満
D:10回以上30回未満
E:10回未満
Figure 2016212991
<表5の注>
目付量:活物質層の単位面積(cm)当たりの活物質の質量(mg)意味する。
表5から明らかなように、本発明の規定を満たす試験No.101〜113の全固体二次電池は、放電容量が大きく、サイクル特性に優れることが分かった。
これに対して、本発明に規定の中間層を有しない試験No.c11、13および14の全固体二次電池は、サイクル特性が合格レベルではなかった。試験No.c12の全固体二次電池は固体電解質層にLLTを用いたが、正極活物質層と負極活物質層の絶縁を維持できず、短絡したため、放電容量およびサイクル特性を測定することができなかった。また、本発明に規定の中間層は有しているが、負極活物質層に炭素原子を含まず、かつ中間層に粒子状ポリマーを用いずに非粒子状ポリマーを用いた試験No.c15の全固体二次電池は放電容量が低く、サイクル特性が合格レベルではなかった。
1 負極集電体
2 負極活物質層
3 中間層
4 固体電解質層
5 正極活物質層
6 正極集電体
7 作動部位
10 全固体二次電池
11 コインケース
12 全固体二次電池用電極シート
13 コイン電池

Claims (9)

  1. 正極活物質を含む正極活物質層と、
    周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する硫化物系無機固体電解質を含む固体電解質層と、
    負極活物質を含む負極活物質層と、
    前記固体電解質層と前記負極活物質層との間に、下記式(I)で表される化合物を含む中間層を有し、
    前記負極活物質層における炭素元素含有量が、前記負極活物質層の全固形成分に対し20質量%以上であり、粒子状ポリマーを前記正極活物質層、前記負極活物質層および前記固体電解質層の少なくとも1層に含有する全固体二次電池。
    Li 式(I)
    式(I)において、Mは半金属元素もしくは遷移金属元素またはこれらの組み合わせを表し、a〜cは各元素の組成比を表し、a:b:cは、1〜10:0〜10:1〜10である。
  2. 前記負極活物質層が、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する硫化物系無機固体電解質を、前記負極活物質の含有量との合計100質量%に対して、40質量%以下の割合で含む請求項1に記載の全固体二次電池。
  3. 前記固体電解質層の厚さが100μm以下である請求項1または2に記載の全固体二次電池。
  4. 前記中間層の厚さが1nm〜1,000nmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
  5. 前記正極活物質層、前記固体電解質層および前記負極活物質層の少なくとも1層が分散剤を含有し、
    当該分散剤が、分子量200以上3,000未満であり、かつ、下記官能基群(I)から選択される少なくとも1種の官能基と、炭素数8以上のアルキル基または炭素数10以上のアリール基とを有する化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
    官能基群(I):酸性基、塩基性窒素原子を有する基、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリルアミド基、アルコキシシリル基、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、シアノ基、チオール基およびヒドロキシ基。
  6. 前記固体電解質層が粒子状ポリマーを含有し、
    当該粒子状ポリマーの含有量の前記硫化物系無機固体電解質の含有量に対する割合が、0.1〜10%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
  7. 前記負極活物質がケイ素原子を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
  8. 正極活物質を含む正極活物質層と、
    周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する硫化物系無機固体電解質を含む固体電解質層と、
    負極活物質を含む負極活物質層と、
    前記固体電解質層と前記負極活物質層との間に、下記式(I)で表される化合物を含む中間層を有し、
    前記負極活物質層における炭素元素含有量が、前記負極活物質層の全固形成分に対し20質量%以上であり、粒子状ポリマーを前記正極活物質層、前記負極活物質層および前記固体電解質層の少なくとも1層に含有する全固体二次電池用電極シート。
    Li 式(I)
    式(I)において、Mは半金属元素もしくは遷移金属元素またはこれらの組み合わせを表し、a〜cは各元素の組成比を表し、a:b:cは、1〜10:0〜10:1〜10である。
  9. 請求項8に記載の全固体二次電池用電極シートを用いて、全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。
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