以下、図面を参照しながら、実施形態1,2に係る粉塵検出装置および粉塵検出システムの詳細について説明する。
(実施形態1)
実施形態1に係る粉塵検出装置1は、図1〜4に示すように、筐体2と、捕集体3と、粉塵センサ4と、エアブロー機構5と、流速センサ6と、粘着部材7とを備えている。ただし、以下の説明では、図1において上下左右前後の各方向を規定し、図1における左右方向を前後方向、図1の紙面に垂直な方向を左右方向と定義する。
筐体2は、試料空気91が導入される導入口28と、試料空気91が排出される排出口29とを有している。筐体2は、略矩形状であり、ボディ21と、カバー22とを備えている。ボディ21は、金属または合成樹脂などで形成されている。カバー22は、金属または合成樹脂などで形成されており、ボディ21の開口部を覆う。
ボディ21は、底部23と、第1の壁部24と、第2の壁部25と、第1のホース26と、第2のホース27とを備えている。底部23と第1の壁部24と第2の壁部25とは、いずれも板状であり、一体に設けられている。なお、底部23と第1の壁部24と第2の壁部25との各々は、遮光性を有する合成樹脂製の板材などであってもよい。この場合、底部23と第1の壁部24と第2の壁部25とは、接着剤などで接合されてボディ21を構成する。
第1の壁部24の中央には、円状の導入口28が開口している。第2の壁部25の中央には、円状の排出口29が開口している。第1のホース26は、金属または合成樹脂などで筒状に形成されており、導入口28に挿通されている。第1のホース26は、試料空気91の流入路となる。第2のホース27は、金属または合成樹脂などで筒状に形成されており、第2のホース27の通路が排出口29に連通するようにボディ21の第2の壁部25に取り付けられている。第2のホース27は、試料空気91の流出路となる。
捕集体3は、筐体2内に収納されており、導入口28から導入される試料空気91に含まれる粉塵を捕集するように構成されている。捕集体3は、金属または合成樹脂などでコーン状に形成されており、円状の第1の開口端31と、円状の第2の開口端32とを有している。すなわち、捕集体3は、第1の開口端31から第2の開口端32に近づくほど、第1の開口端31の開口面に平行な断面の面積が小さくなるように形成されている。第1の開口端31は、導入口28(第1のホース26の開口部)と対向している。第2の開口端32は、粉塵センサ4の貫通路44と対向している。より詳細には、捕集体3は、第1の開口端31が導入口28(第1のホース26)と所定の距離を離して対向し、第2の開口端32がセンサ本体41の貫通路44と対向するように、筐体2内に配置されている。筐体2と捕集体3との間には、試料空気91を流すための流路となる隙間(空間)が形成されている。
捕集体3は、第1の開口端31の開口面積(内径R1)が導入口28(第1のホース26)の開口面積(内径R2)以上である(R1≧R2)ように形成されている。また、捕集体3は、第1の開口端31の開口面積が第2の開口端32の開口面積(内径R3)よりも大きくなる(R1>R3)ように形成されている。さらに、捕集体3は、第2の開口端32の開口面積が粉塵センサ4の貫通路44の開口面積(直径R4)以上である(R3≧R4)ように形成されている。なお、第1の開口端31の開口面積と導入口28の開口面積との比率は、図示例の比率には限定されない。第1の開口端31の開口面積が導入口28の開口面積以上であれば(R1≧R2)、第1の開口端31の開口面積と導入口28の開口面積との比率は、どのような比率であってもよい。第1の開口端31の開口面積と第2の開口端32の開口面積との比率は、図示例の比率には限定されない。第1の開口端31の開口面積が第2の開口端32の開口面積よりも大きければ(R1>R3)、第1の開口端31の開口面積と第2の開口端32の開口面積との比率は、どのような比率であってもよい。第2の開口端32の開口面積と貫通路44の開口面積との比率は、図示例の比率には限定されない。第2の開口端32の開口面積が貫通路44の開口面積以上であれば(R3≧R4)、第2の開口端32の開口面積と貫通路44の開口面積との比率は、どのような比率であってもよい。
粉塵センサ4は、筐体2内に収納されており、捕集体3で捕集される粉塵を検出するように構成されている。すなわち、粉塵センサ4は、試料空気91に含まれる粉塵を検出するように構成されている。粉塵センサ4は、例えば光電式のセンサである。粉塵センサ4は、図3に示すように、センサ本体41と、発光部42と、受光部43とを備えている。
センサ本体41は、遮光性を有する合成樹脂などで矩形箱状に形成されている。センサ本体41は、流入側に設けられた表板411(図7B参照)と、流出側に設けられた裏板412(図7B参照)とを備えている。表板411は、試料空気91が通過する第1の通過孔441(図7B参照)を有している。裏板412は、試料空気91が通過する第2の通過孔442(図7B参照)を有している。
センサ本体41は、第1の通過孔441と第2の通過孔442との間に形成された円筒状の貫通路44を有している。貫通路44は、センサ本体41の略中央に形成されている。貫通路44は、捕集体3および粘着部材7と対向している。試料空気91は、第1の通過孔441からセンサ本体41内に導入され、第2の通過孔442からセンサ本体41の外へ排出される。すなわち、捕集体3で捕集される粉塵92は、貫通路44を通過する。
センサ本体41は、図7Aに示すように、接続口451と、接続口452とを有している。接続口451は、丸状であり、センサ本体41において貫通路44よりも下方に有している。接続口451には、後述の継手54が接続されている。接続口452は、丸状であり、センサ本体41において貫通路44よりも下方に有している。接続口452には、後述の継手57が接続されている。
貫通路44の開口面積は、導入口28の開口面積および排出口29の開口面積よりも小さい。すなわち、第1の通過孔441および第2の通過孔442の開口面積は、導入口28の開口面積および排出口29の開口面積よりも小さい。
発光部42は、センサ本体41内に収納されており、貫通路44に向けて光を発するように構成されている。発光部42は、センサ本体41内において、貫通路44よりも上方に設けられている。発光部42は、光を発する発光素子と、発光素子を駆動する駆動回路と、発光素子から発せられた光を平行光に変換するレンズとを備えている。発光素子は、例えば発光ダイオードである。発光部42は、貫通路44に平行光を照射する。すなわち、発光部42は、第1の通過孔441から導入されてセンサ本体41内を通過する試料空気に平行光を照射する。
受光部43は、センサ本体41内に収納されており、発光部42から発せられて貫通路44を通過する粉塵で反射した光を受けるように構成されている。より詳細には、受光部43は、センサ本体41内において、貫通路44よりも上方に設けられている。受光部43は、貫通路44を通過する粉塵で反射した光を受光素子に集めるレンズと、光を受け取る受光素子と、受光素子の出力信号を増幅する増幅器とを備えている。受光素子は、例えばフォトダイオードやフォトトランジスタなどである。受光部43は、試料空気91に含まれる粉塵に反射した光を受ける。なお、発光部42から発せられた光のうち、粉塵92で反射しなかった光は、貫通路44を横切るため、受光部43には受光されない。
粉塵検出装置1は、図1,4に示すように、捕集体3および粉塵センサ4を筐体2に支持するための支持具11を備えている。支持具11は、金属または合成樹脂などで形成されている。支持具11は、筐体2のボディ21に取り付けられている。支持具11は、導入口28および排出口29の中心軸と、捕集体3の中心軸と、粉塵センサ4の貫通路44の中心軸とが略直線(図1における一点鎖線)上に並ぶように、捕集体3および粉塵センサ4を筐体2内に支持している。なお、支持具11は、ボディ21に対する支持具11の取付位置を前後方向(図1の左右方向)に調整可能とし、第1のホース26と捕集体3の第1の開口端31との間の距離を調整することができるようにすることが好ましい。
エアブロー機構5は、エア供給源82(図10参照)に接続されており、エア供給源82から供給されるエア83をセンサ本体41内に噴射するように構成されている。エアブロー機構5は、図3〜5に示すように、第1のエアブロー機構51と、第2のエアブロー機構52とを備えている。エア83は、粉塵などを含まない清浄なもの(少なくとも検出対象の粉塵を含まないもの)である。エア83は、大気と同じ成分比率であることが好ましい。ただし、エア83は、大気と同じ成分比率であることには限定されず、適宜のガス成分を含んでもよい。
第1のエアブロー機構51は、図7Aに示すように、センサ本体41内において受光部43と対向する位置から受光部43に向けてエア83を噴射するように構成されている。すなわち、第1のエアブロー機構51は、受光部43に向けて高圧のエア83を放出するように構成されている。
第1のエアブロー機構51は、ノズル53と、継手54とを備えている。ノズル53は、センサ本体41内に設けられている。より詳細には、ノズル53は、センサ本体41内において、受光部43の受光面と対向する位置に設けられている。ノズル53は、エア83が噴射される噴射口531を有している。継手54は、センサ本体41外に設けられており、ノズル53と通路管55とを連通させる。すなわち、継手54は、ノズル53と通路管55とを接続するために接続口451に取り付けられている。通路管55は、例えばチューブであり、エア供給源82からのエア83が通る。すなわち、エア供給源82からのエア83は、通路管55および継手54を通ってノズル53から受光部43に向けて噴射される。
第2のエアブロー機構52は、センサ本体41内において発光部42と対向する位置から発光部42に向けてエア83を噴射するように構成されている。すなわち、第2のエアブロー機構52は、発光部42に向けて高圧のエア83を放出するように構成されている。
第2のエアブロー機構52は、ノズル56と、継手57とを備えている。ノズル56は、センサ本体41内に設けられている。より詳細には、ノズル56は、センサ本体41内において、発光部42の発光面と対向する位置に設けられている。ノズル56は、エア83が噴射される噴射口561を有している。継手57は、センサ本体41外に設けられており、ノズル56と通路管58とを連通させる。すなわち、継手57は、ノズル56と通路管58とを接続するために接続口452に取り付けられている。通路管58は、例えばチューブであり、エア供給源82からのエア83が通る。すなわち、エア供給源82からのエア83は、通路管58および継手57を通ってノズル56から発光部42に向けて噴射される。
図1〜4に示す流速センサ6は、試料空気91の流速を測定するように構成されている。本実施形態の流速センサ6は、筐体2内において粉塵センサ4と排出口29との間に設けられている。より詳細には、流速センサ6は、センサ本体41の下流側であって排出口29の入口付近に取り付けられている。
導入口28付近では、試料空気91の乱流が発生するため、試料空気91の流速が大きく変動する。このため、試料空気91の流速を精度よく測定することができない。そこで、流速センサ6は、試料空気91が乱流ではなく層流である位置に配置されていることが好ましい。そこで、本実施形態の流速センサ6は、排出口29の入口付近に取り付けられている。なお、流速センサ6は、排出口29の入口付近に配置されていることに限定されず、試料空気91が乱流ではなく層流である位置に配置されていればよい。例えば、流速センサ6は、第1のホース26に取り付けられていてもよいし、第2のホース27に取り付けられていてもよい。
ところで、流速センサ6の測定結果は、粉塵センサ4の検出周期を決める際に用いられる。粉塵センサ4は、貫通路44の長さL1を流速センサ6で測定された流速V1で除することによって得られる時間T1(=L1/V1)よりも短い検出周期T2で、貫通路44を通過する粉塵を検出する。例えば、貫通路44の長さL1が20mm、流速センサ6で測定された流速V1が20m/sである場合、時間T1は1msである。したがって、検出周期T2は、例えば0.5msであればよい。
粘着部材7は、貫通路44を通過する粉塵92を採取するように構成されている。粘着部材7は、フィルム状であり、粘着面701(図6B参照)を有している。粘着部材7は、貫通路44と排出口29との間において、粘着面701が貫通路44の開口面(第2の通過孔442)と対向する位置に設けられている。
本実施形態において、粘着部材7と粉塵センサ4との間の距離D1は、貫通路44の直径R4の3倍以下である。すなわち、粘着部材7は、以下のプレート71およびガイド部材46によって、粘着部材7と粉塵センサ4との間の距離D1が貫通路44の直径R4の3倍以下であるような位置に設けられている。
粉塵検出装置1は、図6A,6Bに示すように、粘着部材7を支持する支持機構として、開口部713を有するプレート71を備えている。プレート71は、筐体2の取付孔201(図1,2参照)に挿入され、粉塵センサ4のガイド部材46によってガイドされる。
プレート71は、合成樹脂または金属などで板状に形成されている。プレート71は、本体部711と、先端部712とを一体に備えている。本体部711は、丸孔の開口部713と、複数(図示例では4つ)の長孔の貫通孔714とを有している。開口部713は、粉塵採取用の開口部であり、粘着部材7によって覆われている。すなわち、粘着部材7は、粘着面701が貫通路44と対向して開口部713を覆うようにプレート71に取り付けられている。各貫通孔714は、試料空気用の貫通路であり、各貫通孔714を試料空気91が通過する。
また、図1に示すように、粉塵センサ4は、プレート71をガイドするガイド部材46を備えている。ガイド部材46は、金属または合成樹脂で形成されている。ガイド部材46は、センサ本体41に接するように取り付けられている。ガイド部材46は、2つの溝461を有している。各溝461は、プレート71の本体部711の長手方向の断面形状と略同じ形状である。各溝461には、プレート71が差し込まれている。これにより、ガイド部材46は、プレート71の開口部713すなわち粘着部材7が貫通路44の開口面と対向する位置にプレート71をガイドする。
さらに、筐体2は、プレート71を取り付けるための取付孔201を有している。より詳細には、取付孔201は、カバー22のうちボディ21の底部23に対向する位置に形成されている。粘着部材7を用いて粉塵92を採取する場合、取付孔201には、図1に示すように、プレート71が差し込まれている。これにより、筐体2を分解せずにプレート71に取り付けられた粘着部材7を筐体2内に配置することができる。一方、粉塵92を採取しない場合、図2に示すように、ガイド部材46をセンサ本体41から外し、取付孔201を蓋部材202にて塞いでおけばよい。
次に、本実施形態に係る粉塵検出装置1の動作について図1を参照しながら説明する。導入口28に挿入されている第1のホース26を通して、試料空気91が筐体2内に導入される。一方、開口部が排出口29に連通する第2のホース27には集塵機構(集塵機など)が接続されており、集塵機構が第2のホース27を通して試料空気91を吸引することにより、導入口28から排出口29に向かう試料空気91の流れが生じる。
第1のホース26内に流れてきた試料空気91は、第1のホース26から筐体2内に出た後に急激に流速が低下する。したがって、流速が低下した試料空気91の一部は、捕集体3と筐体2との間の流路を通って排出口29(第2のホース27)から排出される。一方、試料空気91に含まれる粉塵は、慣性の法則によって第1のホース26を移動してきた速度を略維持した状態で捕集体3内に流入し、さらに、粉塵センサ4の貫通路44を通過する。ただし、一部の粉塵は、捕集体3の第1の開口端31から貫通路44へ直接進行するのではなく、捕集体3の内周面に衝突した後に第2の開口端32へ移動することになる。なお、捕集体3の内周面が貫通路44に向かって傾斜する傾斜面となっているので、捕集体3の内周面に衝突した粉塵をスムーズに貫通路44へ導くことができる。
その後、粉塵センサ4は、捕集体3で捕集された粉塵を検出する。そして、粉塵センサ4の貫通路44を通過した粉塵は、貫通路44から出て、粘着部材7に付着される。そして、流速センサ6は、試料空気91の流速を測定する。その後、試料空気91は、排出口29から筐体2の外へ排出される。
上記のように本実施形態に係る粉塵検出装置1では、試料空気91に含まれる粉塵を捕集体3で捕集し、かつ、粉塵センサ4で検出し、さらに、試料空気91の一部を、捕集体3に流入させずに捕集体3の外側の流路を通して排出口29から排出している。このため、粉塵センサ4の貫通路44を単位時間当たりに通過する試料空気91(粉塵92を含む試料空気91)の量を、導入口28から単位時間当たりに導入される試料空気91の量よりも減らすことができる。その結果、本実施形態に係る粉塵検出装置1では、単位時間当たりの試料空気91の量が多い場合でも検出精度の低下を抑制し、試料空気91の流速が速い場合にも短時間で粉塵92を検出することができる。言い換えると、粉塵センサ4の貫通路44の直径が小さく(例えば直径10mm程度)、単位時間当たりの試料空気91の量が多い(流速が速い)場合であっても、検出精度の低下を抑制し、短時間で粉塵92を検出することができる。
次に、本実施形態に係るエアブロー機構5の動作について図7A〜9Bを参照しながら説明する。
まず、第1のエアブロー機構51の動作について説明する。図7A,7Bに示すように、第1のエアブロー機構51は、受光部43と対向する位置に設けられたノズル53からエア83を噴射する。図8A,8Bに示すように、受光部43に付着などによって滞留している粉塵92は、エア83によって吹き飛ばされる。その後、図9A,9Bに示すように、エア83によって吹き飛ばされた粉塵92は、貫通路44を通って第2の通過孔442からセンサ本体41の外に排出される。
続いて、第2のエアブロー機構52の動作について説明する。第2のエアブロー機構52についても第1のエアブロー機構51と同様である。まず、第2のエアブロー機構52は、発光部42と対向する位置に設けられたノズル56からエア83を噴射する。発光部42に付着などによって滞留している粉塵92は、エア83によって吹き飛ばされる。その後、エア83によって吹き飛ばされた粉塵92は、貫通路44を通って第2の通過孔442からセンサ本体41の外に排出される。
このように試料空気91に含まれている粉塵92が粉塵センサ4の発光部42および受光部43に付着した場合、エアブロー機構5によって、発光部42にエア83を噴射して発光部42に付着されている粉塵92を粉塵センサ4の外へ放出し、受光部43にエア83を噴射して受光部43に付着されている粉塵92を粉塵センサ4の外へ放出することができる。
次に、本実施形態に係る粉塵検出システム8について図10を参照しながら説明する。
粉塵検出システム8は、粉塵検出装置1と、処理装置81と、エア供給源82とを備えている。
処理装置81は、中央処理装置およびメモリが搭載されたコンピュータ(マイクロコンピュータ)を主構成要素とし、プログラムを実行することによって、制御部、演算部および流速制御部としての機能を実現するように構成されている。
処理装置81は、制御部の機能として、粉塵センサ4の発光部42の駆動回路を制御するように構成されている。処理装置81は、発光部42の駆動回路を周期的に駆動することによって、パルス状の光を発するように発光部42を制御する。すなわち、処理装置81は、検出周期T2で光を発するように発光部42を制御する。
処理装置81は、演算部の機能として、粉塵センサ4の検出結果(粉塵センサ4の受光部43の受光量)に基づいて粉塵の量(個数および濃度の少なくとも一方)を求めるように構成されている。より詳細には、処理装置81は、粉塵センサ4の検出結果から、受光部43の受光量に対応した信号レベルを取得する。そして、処理装置81は、上記信号レベルに基づいて粉塵の量を演算する。
ここで、処理装置81は、粉塵センサ4の検出周期T2が時間T1(貫通路44の長さL1/流速センサ6で測定された流速V1)よりも短くなるように、粉塵センサ4を制御する。そして、処理装置81は、閾値レベル以上の信号レベルを計数することによって粉塵の量を検出する。例えば加工工程などにおいて広範囲の質量を有する粉塵が発生する場合、処理装置81は、粉塵センサ4の検出結果から得られる信号レベルと不良との因果関係から不良原因となる大きさの質量に相当する値(閾値レベル)以上の信号レベルを計数すればよい。
処理装置81は、流速制御部の機能として、集塵機構85を制御するように構成されている。より詳細には、処理装置81は、流速センサ6で測定される流速が予め決められた範囲内になるように、集塵機構85を制御する。すなわち、処理装置81は、流速センサ6の測定結果を用いて、一定値以上の流速が確保されるように集塵機構85を制御するように構成されている。集塵機構85は、例えば集塵機や集塵システムであり、試料空気91を移動させるための機構である。
処理装置81は、報知部の機能として、流速センサ6で測定された流速(試料空気91の流速)を報知するように構成されている。処理装置81は、例えばスピーカなどの音出力部を備えていてもよいし、例えばモニタなどの表示部を備えていてもよい。
処理装置81は、流速センサ6で測定される流速が予め決められた範囲外である場合、警報を発するように構成されている。予め決められた範囲は、予め決められた値以上の範囲であってもよいし、予め決められた値であってもよい。これにより、流速センサ6の測定結果を監視することによって、流速が一定値未満にならないように集塵システムを制御することができる。例えば、処理装置81は、流速センサ6で測定された流速が一定値未満である場合に警報を発するように構成されている。これにより、一定値以上の流速が確保されていることを監視することができる。また、上記警報によって、ユーザは、集塵機構85を調整することができる。
次に、本実施形態に係る粉塵検出システム8の使用例について図10を参照しながら説明する。具体的には、粉塵検出システム8を製品の製造ラインに用いた場合について説明する。粉塵検出システム8は、製造時において検査対象物に付着した粉塵を検出する。検査対象物は、完成品であってもよいし、製造途中段階である中間品であってもよい。
粉塵検出装置1において、導入口28側には、製造ラインの一部である加工部84が接続されており、排出口29側に集塵機構85が接続されている。加工部84の所定位置に、検査対象物にエアを噴射する噴射機構と、噴射機構からのエアによって検査対象物から離れた粉塵を集めるための集塵システムとが配置されている。集塵システムは、試料空気91を引き込むための集塵機構85と、加工部84から集塵機構85までを試料空気91が通過するホースとを備えている。そして、集塵システムにおけるホースの中間に本実施形態に係る粉塵検出装置1が接続されている。すなわち、粉塵検出装置1では、検査対象物から離れた粉塵を含む試料空気91が導入口28から導入され、排出口29から集塵機構85に向けて排出される。
まず、噴射機構が検査対象物に対してエアを噴射する。検査対象物に付着されていた粉塵は、上記エアによって検査対象物から離れる。検査対象物から離れた粉塵を含む試料空気91は、ホースを通って、粉塵検出装置1に導入される。
粉塵検出装置1は、試料空気91に含まれている粉塵を検出し、処理装置81は、粉塵検出装置1で検出された粉塵の量を求める。粉塵の量が所定値未満である場合、処理装置81は、製造ラインのベルトコンベアを移動させる。粉塵の量が所定値以上である場合、処理装置81は、検査対象物に再度エアを噴射するように噴射機構を制御する。
上記のように粉塵の量に応じた制御を行うことによって、噴射機構が全ての検査対象物に対して一定時間だけエアを噴射する場合に比べて、検査対象物の歩留まりを高めることができる。例えば、粉塵が多い検査対象物に対しては、エアを噴射する回数を多くしてエアの噴射時間を長くし、粉塵が少ない検査対象物に対しては、エアを噴射する回数を少なくしてエアの噴射時間を短くすることができる。
また、処理装置81は、流速センサ6の測定結果を流速センサ6から受け取る。そして、処理装置81は、流速センサ6の測定結果に基づいて、試料空気91の流速が一定値以上になるように集塵システムを制御する。
複数の検査対象物が連続して一定量以上の粉塵を有する場合、処理装置81は、製造ラインに問題が生じていると判定し、警報を報知するように構成されていてもよい。
本実施形態に係る粉塵検出装置1および粉塵検出システム8の使用例は、上記に限らず、次に示す用途に適用してもよい。粉塵検出装置1および粉塵検出システム8は、自動車部品や電子機器、電池、精密部品の製造、食品加工、自然環境や生活環境での粉塵または発塵の検出、エア洗浄の除塵程度の確認に用いることができる。また、粉塵検出装置1および粉塵検出システム8は、自動車部品や電子機器、電池、精密部品の製造、食品加工において、製造工程現場へ入る前のエアシャワー室内の環境の検出に用いることができる。さらに、粉塵検出装置1および粉塵検出システム8は、自然環境や生活環境、製造環境などにおいて空気中に浮遊している粉塵の変化の確認に用いることができる。
以上説明した本実施形態に係る粉塵検出装置1は、粉塵センサ4のセンサ本体41内にエア83を噴射する。これにより、センサ本体41内に粉塵92が付着などによって滞留していても、粉塵92をセンサ本体41内から除去することができる。その結果、粉塵センサ4の検出精度の低下を抑制することができる。また、センサ本体41内にエア83を噴射して粉塵92を除去するというセルフクリーニングを実現することによって、センサ本体41を分解して清掃する必要がなくなり、保守時間の増加を抑制することができる。
本実施形態に係る粉塵検出装置1は、受光部43と対向する位置から受光部43に向けてエア83を噴射する。これにより、粉塵検出装置1は、受光部43に粉塵92が付着などによって滞留していても、粉塵92をエア83によって吹き飛ばしてセンサ本体41の外に排出することができるので、粉塵92を除去することができる。その結果、受光部43の受光量の低下に起因する粉塵センサ4の検出精度の低下を抑制することができる。
より詳細に説明すると、捕集体3で捕集された粉塵92は、貫通路44を通過する際に、発光部42からの光を反射し、受光部43が反射光を検出することによって、粉塵92を検出するが、受光部43に粉塵92が付着などによって滞留していると、反射光を精度よく検出することができなくなるという問題がある。このような問題に対し、本実施形態に係る粉塵検出装置1は、受光部43にエア83を噴射することによって粉塵92を除去することができるので、粉塵センサ4の検出精度の低下を抑制することができる。
本実施形態に係る粉塵検出装置1は、発光部42と対向する位置から発光部42に向けてエア83を噴射する。これにより、粉塵検出装置1は、発光部42に粉塵92が付着などによって滞留していても、粉塵92をエア83によって吹き飛ばしてセンサ本体41の外に排出することができるので、粉塵92を除去することができる。その結果、発光部42からの光の光量低下に起因する粉塵センサ4の検出精度の低下を抑制することができる。
より詳細に説明すると、捕集体3で捕集された粉塵92は、貫通路44を通過する際に、発光部42からの光を反射し、受光部43が反射光を検出することによって、粉塵92を検出するが、発光部42に粉塵92が付着などによって滞留していると、発光部42からの光の光量が低下するという問題がある。このような問題に対し、本実施形態に係る粉塵検出装置1は、発光部42にエア83を噴射することによって粉塵92を除去することができるので、粉塵センサ4の検出精度の低下を抑制することができる。
以上説明した本実施形態に係る粉塵検出装置1では、貫通路44の長さL1を流速センサ6で測定された流速V1で除することによって得られる時間T1(=L1/V1)よりも短い検出周期T2で粉塵センサ4が粉塵を検出する。これにより、一定値以上の流速を維持した状態であっても、検出漏れの粉塵の発生を低減させることができるので、一定値以上の質量を有する粉塵を精度よく検出することができる。例えば、精密部品などの加工工程で発生する樹脂や金属の粉塵(一定値以上の質量を有する粉塵)を個別に検出することができる。
本実施形態に係る粉塵検出装置1では、筐体2内において粉塵センサ4と排出口29との間に流速センサ6が設けられている。これにより、試料空気91の乱流の影響を低減させた状態で試料空気91の流速を測定することができる。
本実施形態に係る粉塵検出システム8では、貫通路44の長さL1を流速センサ6で測定された流速V1で除することによって得られる時間T1(=L1/V1)よりも短い検出周期T2で粉塵センサ4が粉塵を検出し、粉塵センサ4の検出結果に基づいて処理装置81が粉塵の量を求める。これにより、一定値以上の質量を有する粉塵の量を短時間で精度よく検出することができる。その結果、例えば、精密部品などの加工工程で不良原因となる粉塵の発生に対して短時間で対応することができるので、不良品の発生を抑制することができる。
以上説明した本実施形態に係る粉塵検出装置1では、センサ本体41の貫通路44と筐体2の排出口29との間において貫通路44の開口面と対向する位置に粘着部材7が設けられている。これにより、貫通路44を通過した直後の粉塵を採取することができるので、貫通路44を通過した粉塵を精度よく採取することができる。また、粘着部材7と粉塵センサ4との間の距離D1は、貫通路44の直径R4の3倍以下であることによって、粉塵の速度が高い状態で粉塵を検出することができるので、貫通路44から出てきた粉塵が筐体2の下方に落ちて採取できないことを低減させることができる。
本実施形態に係る粉塵検出装置1では、試料空気91が通過する貫通孔714をプレート71が有する。これにより、試料空気91の流速による粘着部材7の振動および試料空気91の乱流を抑制しながら、粘着部材7を筐体2内に安定して配置することができる。
なお、本実施形態の変形例として、図11に示すように、粉塵センサ4は、補強機構47を備えていてもよい。補強機構47は、継手54,57とセンサ本体41との間に設けられている。言い換えると、補強機構47は、センサ本体41の一の外壁(図11の例では表板411)に接するように設けられている。継手54,57は、補強機構47に取り付けられている。補強機構47は、3つの補強部材48,491,492を備えている。
補強部材48は、継手54,57とセンサ本体41との間に設けられており、継手54,57の接続部分を補強する。補強部材48は、金属または樹脂などで板状に形成されている。補強部材48は、貫通路44に連通する凹部481を有している。凹部481には、捕集体3が嵌め込まれる。
補強部材491は、金属または樹脂などでL字状に形成されており、継手54と補強部材48との間に設けられている。補強部材491は、継手54が接続されている接続口を有している。補強部材491が継手54と補強部材48との間に設けられているときに、補強部材491の接続口は、センサ本体41の接続口451に連通している。本変形例では、継手54は、粉塵センサ4の捕集体3側において、補強部材48,491を介してノズル53と通路管55とを接続している。
補強部材492は、金属または樹脂などでL字状に形成されており、継手57と補強部材48との間に設けられている。補強部材492は、継手57が接続されている接続口を有している。補強部材492が継手57と補強部材48との間に設けられているときに、補強部材492の接続口は、センサ本体41の接続口452に連通している。本変形例では、継手57は、粉塵センサ4の捕集体3側において、補強部材48,492を介してノズル56と通路管58とを接続している。
以上説明した本変形例に係る粉塵検出装置1では、継手54,57が補強機構47に取り付けられている。これにより、センサ本体41への機械的ストレスを低減させることができるので、センサ本体41に対するクラックや変形の発生を抑制することができる。
また、本変形例に係る粉塵検出装置1では、センサ本体41の貫通路44に連通し捕集体3が嵌め込まれる凹部481を補強部材48が有している。これにより、捕集体3を補強部材48に確実に固定しながら、捕集体3で捕集された粉塵92を確実にセンサ本体41の貫通路44に送ることができる。
補強機構47は、粉塵センサ4の排出口29側(捕集体3側とは反対側)に設けられていてもよい。この場合、継手54は、粉塵センサ4の排出口29側において、補強機構47を介してノズル53と通路管55とを接続している。継手57は、粉塵センサ4の排出口29側において、補強機構47を介してノズル56と通路管58とを接続している。
なお、本実施形態において、エアブロー機構5は、発光部42および受光部43の両方にエア83を噴射するように構成されていることに限定されず、発光部42または受光部43のいずれかのみにエア83を噴射するように構成されていてもよい。言い換えると、エアブロー機構5は、受光部43のみにエア83を噴射するように構成されていてもよい。すなわち、エアブロー機構5は、第1のエアブロー機構51のみを備えていてもよい。また、エアブロー機構5は、発光部42のみにエア83を噴射するように構成されていてもよい。すなわち、エアブロー機構5は、第2のエアブロー機構のみを備えていてもよい。
本実施形態の変形例として、処理装置81は、エア制御部としての機能を実現するように構成されていてもよい。処理装置81は、エア制御部の機能として、エア供給源82を制御する。より詳細には、処理装置81は、試料空気91が筐体2内に導入されていないときに、粉塵92の量が閾値以上である場合に、粉塵センサ4のセンサ本体41内にエア83を噴射するようにエア供給源82を制御するように構成されてもよい。
なお、本実施形態の変形例として、図12に示すように、粉塵検出装置1は、粘着部材7を粉塵センサ4と対向する位置に移動させるための供給部72および巻取部73を備えていてもよい。図12の粉塵検出装置1は、粘着部材7を支持する支持機構として、プレート71に代えて、プレート71aを備えている。供給部72および巻取部73は、粘着部材7を一定速度で移動させるように構成されている。供給部72は、粘着部材7を筐体2内へ供給するように構成されている。巻取部73は、粘着部材7を筐体2内から巻き取るように構成されている。巻取部73は、回転軸74と、モータ75とを備えている。回転軸74には、粘着部材7が巻き取られる。モータ75は、粘着部材7を巻き取るように回転軸74を回転させる。
本変形例に係る粉塵検出装置1では、粉塵採取用の粘着部材7が筐体2内へ供給されて、試料空気91に含まれる粉塵92が採取され、その後、粉塵92が付着した粘着部材7が巻取部73に巻き取られていく。これにより、粘着部材7を交換する動作を行うことなく、試料空気91に含まれている粉塵92を時系列に採取することができる。その結果、粘着部材7に連続的に採取された粉塵92を調べることによって、粉塵92の時間経過による変化を容易に分析することができる。また、非連続な粘着部材を時系列に並べて別の台紙に貼りかえるなどの手間を省くことができる。
また、本実施形態の変形例として、図13に示すように、粉塵検出装置1の巻取部73は、モータ75(図12参照)に代えて、ファン76と、回転伝達機構77とを備えていてもよい。ファン76は、試料空気の流れによって回転するように構成されている。より詳細には、ファン76は、捕集体3および粉塵センサ4と筐体2との間の空間(流路)を通る試料空気、すなわち、捕集体3および粉塵センサ4を通らない試料空気の流れによって、回転するように構成されている。回転伝達機構77は、例えばギアボックスなどであり、ファン76の回転を回転軸74に伝達するように構成されている。
本変形例に係る粉塵検出装置1では、試料空気91の流れによって回転軸74を回転させることができるので、粘着部材7を巻き取るためにモータを用いる必要がない。これにより、粘着部材7を巻き取るための電源および配線が不要であるので、モータを用いた場合に比べて少ない消費電力量で粘着部材7を巻き取ることができる。その結果、センサ本体41を通過した粉塵92を長時間採取することができる。例えば、試料空気91の流速を一定に制御することによって、粘着部材7を一定速度で供給することができるので、長時間にわたって粉塵92を安定に採取することができる。
なお、本実施形態の変形例として、粉塵検出システム8の処理装置81は、流速センサ6で測定された流速に関する流速情報(流速信号)を、集塵機構85に出力するように構成されていてもよい。これにより、集塵機構85の排気流速を制御して、試料空気91の流速を一定値以上に維持することができる。
(実施形態2)
実施形態2に係る粉塵検出装置1は、図14,15に示すように複数(図示例では4つ)の排気ファン12,13を備えている点で、実施形態1に係る粉塵検出装置1(図1参照)と相違する。なお、実施形態1に係る粉塵検出装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の粉塵検出装置1は、複数の排気ファン12,13を備えている。複数の排気ファン12,13の各々は、筐体2に取り付けられている。本実施形態では、排気ファン12,13は、筐体2の6面のうち、導入口28を有する面とインタフェースを有する面以外の4面に配置されている。
複数の排気ファン12,13の各々は、試料空気91を筐体2内から筐体2外へ排出するように構成されている。特に、排気ファン12は、筐体2内において粉塵センサ4の下流側すなわち排出口29に設けられている。
排気ファン12は、粉塵センサ4のセンサ本体41の後方に配置されている。排気ファン12は、箱形のハウジング内に収納された回転翼121を回転させることによって、センサ本体41の貫通路44を通過する試料空気91に流動エネルギーを与えて流速の向上を図る。各排気ファン13は、箱形のハウジング内に収納された回転翼131を回転させることによって、試料空気91に流動エネルギーを与えて流速の向上を図る。
以上説明した本実施形態に係る粉塵検出装置1では、試料空気91を筐体2内から筐体2外へ排出する排気ファン12,13が設けられている。これにより、集塵機構に粉塵検出装置1を接続することなく粉塵検出装置1を単独で用いることができる。また、集塵機構に粉塵検出装置1を接続できない製造ラインにおいても、粉塵92を検出することができる。さらに、集塵機構が不要であるから、集塵機構を含めた機器全体を小型にすることができる。その結果、粉塵検出装置1の設置場所を変更する場合に、粉塵検出装置1を集塵機構と一緒に移動させる必要がないので、粉塵検出装置1を容易に移動させることができる。
なお、本実施形態の変形例として、図16に示すように、粉塵検出装置1の筐体2は、中間壁203を備えていてもよい。中間壁203は、中間口204を有している。
本実施形態では、粉塵検出装置1は、4個の排気ファン12,13を備えているが、排気ファンの個数は、4個には限定されない。粉塵検出装置1は、1個の排気ファンのみを備えていてもよい。あるいは、粉塵検出装置1は、4個以外の複数の排気ファンを備えていてもよい。
なお、実施形態1,2では、処理装置81は、粉塵検出装置1とは別体に設けられているが、これには限定されない。処理装置81は、粉塵検出装置1と一体に設けられていてもよい。例えば、処理装置81としてのマイクロコンピュータが筐体2内に設けられていてもよい。
また、実施形態1,2において、粉塵検出装置1は、例えば粉塵の量を表示する表示器を備えていてもよい。上記表示器は、例えば筐体2に設置される。