JP2016211692A - 摩擦係合装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数の増加及び製造コストの上昇を抑制しながら引き摺りトルクの低減を図ることが可能な摩擦係合装置を提供する。
【解決手段】クラッチ装置1は、ハウジング2と、ハウジング2に対して相対回転可能なシャフト3と、ハウジング2との相対回転が規制されたヨーク4と、シャフト3との相対回転が規制されたフリクションプレート5と、ヨーク4とフリクションプレート5とを摩擦接触させる磁力を発生する電磁石6とを備える。ヨーク4は、摩擦面40における少なくとも外周側の一部がシャフト3の径方向に対して傾斜した傾斜面40aとして形成され、電磁石6が磁力を発生させない非作動時には、ヨーク4の傾斜面40aとフリクションプレート5の摩擦面50との軸方向における間隔が傾斜面40aの外周側ほど広く、電磁石6が磁力を発生させる作動時には、摩擦面50がヨーク4の摩擦面40に沿うようにフリクションプレート5が弾性変形する。
【選択図】図2
【解決手段】クラッチ装置1は、ハウジング2と、ハウジング2に対して相対回転可能なシャフト3と、ハウジング2との相対回転が規制されたヨーク4と、シャフト3との相対回転が規制されたフリクションプレート5と、ヨーク4とフリクションプレート5とを摩擦接触させる磁力を発生する電磁石6とを備える。ヨーク4は、摩擦面40における少なくとも外周側の一部がシャフト3の径方向に対して傾斜した傾斜面40aとして形成され、電磁石6が磁力を発生させない非作動時には、ヨーク4の傾斜面40aとフリクションプレート5の摩擦面50との軸方向における間隔が傾斜面40aの外周側ほど広く、電磁石6が磁力を発生させる作動時には、摩擦面50がヨーク4の摩擦面40に沿うようにフリクションプレート5が弾性変形する。
【選択図】図2
Description
本発明は、複数の摩擦部材間に摩擦力を発生させる摩擦係合装置に関する。
従来、複数の摩擦部材間に摩擦力を発生させるクラッチ装置が例えば車両に用いられている。この種のクラッチ装置には、非動作状態における摩擦部材間の引き摺りトルクを低減させるための構成を備えたものがある(例えば、特許文献1,2参照)。
特許文献1に記載のクラッチ装置は、摩擦部材として複数のディスクプレート及び複数のクラッチプレートを備え、これらのディスクプレートとクラッチプレートとが軸方向に沿って交互に配置されている。ディスクプレートを挟んで隣り合うクラッチプレートの間には、一対の皿バネが配置されている。そして、この皿バネの弾性力によってクラッチプレート同士が離間することにより、引き摺りトルクが低減される。
特許文献2に記載のクラッチ装置は、摩擦部材として複数のクラッチディスク及び複数のクラッチプレートを備え、これらのクラッチディスクとクラッチプレートとが軸方向に沿って交互に配置されている。クラッチプレートには、板厚方向へ変位するように湾曲形成された弾性部が設けられている。この弾性部は、例えば周方向へ波状に連続して形成され、複数の山部と谷部とが交互に配置されている。そして、山部及び谷部が隣接するクラッチディスクに当接することでクラッチディスク同士の間隔が広がり、引き摺りトルクが低減される。
しかし、特許文献1に記載の電磁クラッチ装置では、クラッチプレート同士を離隔させるための部品として皿バネが必要となるため、部品点数が増加してしまう。一方、特許文献2に記載の電磁クラッチ装置では、部品点数は増加しないものの、クラッチプレートを湾曲させる加工が必要となり、製造コストが上昇してしまう。
そこで、本発明は、部品点数の増加及び製造コストの上昇を抑制しながら引き摺りトルクの低減を図ることが可能な摩擦係合装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成するため、ハウジングと、前記ハウジングに対して相対回転可能な回転部材と、前記ハウジングとの相対回転が規制された第1摩擦部材と、前記回転部材との相対回転が規制された第2摩擦部材と、前記第1摩擦部材と前記第2摩擦部材とを摩擦接触させる作動力を発生する作動力発生部とを備え、前記第1摩擦部材の第1摩擦面と前記第2摩擦部材の第2摩擦面との接触により摩擦力を発生させる摩擦係合装置であって、前記第1摩擦部材は、前記第1摩擦面における少なくとも外周側の一部が前記回転部材の径方向に対して傾斜した傾斜面として形成され、前記作動力発生部が前記作動力を発生させない非作動時には、前記第1摩擦部材の前記傾斜面と前記第2摩擦部材の前記第2摩擦面との前記回転部材の軸方向における間隔が前記傾斜面の外周側ほど広く、前記作動力発生部が前記作動力を発生させる作動時には、前記第2摩擦面が前記第1摩擦面に沿うように前記第2摩擦部材が弾性変形する、摩擦係合装置を提供する。
本発明に係る摩擦係合装置によれば、部品点数の増加及び製造コストの上昇を抑制しながら引き摺りトルクの低減を図ることが可能となる。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態について、図1乃至図4を参照して説明する。
本発明の第1の実施の形態について、図1乃至図4を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るクラッチ装置を示し、(a)は軸方向から見た側面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。図2は、クラッチ装置の一部を軸方向に沿った断面で示す拡大図であり、(a)はクラッチ装置の非作動時の状態を、(b)はクラッチ装置の作動時の状態を、それぞれ示している。
クラッチ装置1は、本発明の摩擦係合装置の一態様であり、ハウジング2と、ハウジング2に対して相対回転可能な回転部材としてのシャフト3と、ハウジング2との相対回転が規制された第1摩擦部材としてのヨーク4と、シャフト3との相対回転が規制された第2摩擦部材としてのフリクションプレート5と、ヨーク4とフリクションプレート5とを摩擦接触させる作動力を発生する作動力発生部としての電磁石6と、電磁石6が発生する作動力としての磁力によってヨーク4側に移動するアーマチャ7とを備えている。
このクラッチ装置1は、ヨーク4の摩擦面40とフリクションプレート5の摩擦面50との接触により摩擦力を発生させ、この摩擦力によって、ハウジング2とシャフト3との相対回転が抑制される。また、クラッチ装置1は、例えば車両の自動変速機等の潤滑油が介在する潤滑環境下で用いられる湿式のクラッチ装置であり、ヨーク4とフリクションプレート5との摩擦摺動が潤滑油によって潤滑される。
本実施の形態では、ハウジング2が図略の支持部材に固定された非回転部材であり、クラッチ装置1の作動時にシャフト3の回転が制動される。以下の説明では、シャフト3の回転軸線Oに平行な方向を単に軸方向といい、この軸方向に直交するシャフト3の径方向を単に径方向という。
ハウジング2は、シャフト3の回転軸線Oを中心軸として円筒状に形成された円筒部21と、円筒部21の軸方向の一端部における外周面に立設されたフランジ部22と、円筒部21の軸方向の他端部から内方に突出して形成された環状の底壁部23と、底壁部23の内周側の端部から円筒部21とは反対側に延在する円筒状の延在部24と、延在部24における軸方向中央部の内周面から内方に突出する突壁部25とを一体に有している。
フランジ部22には、ハウジング2の支持部材への固定のためのボルトを挿通させる複数のボルト挿通孔221が形成されている。円筒部21の内部には、ヨーク4が収容されている。ヨーク4は、例えば低炭素鋼等の軟磁性体からなる環状の部材であり、ハウジング2の底壁部23に形成されたボルト挿通孔231に挿通されたボルト81によってハウジング2に固定されている。
電磁石6は、例えば導線をエナメルによって被覆したエナメル線を環状に巻き回してなる電磁コイル60と、電磁コイル60を封止する樹脂部材61と、リード線62とを有している。電磁コイル60及び樹脂部材61はリング状に形成されている。電磁コイル60には、リード線62から励磁電流が供給される。リード線62は、樹脂部材61における底壁部23側の側面から導出され、図略の電源に接続されている。
ヨーク4には、電磁石6の電磁コイル60及び樹脂部材61を収容する環状の凹部41が形成されている。凹部41は、ヨーク4における底壁部23側とは反対側の側面に開口している。本実施の形態では、この側面がヨーク4の摩擦面40として形成されている。また、ヨーク4には、電磁石6のリード線62をハウジング2の底壁部23に形成された貫通孔232を介してハウジング2の外部に導出させる導出孔42が形成されている。貫通孔232は、底壁部23を軸方向に貫通している。底壁部23の貫通孔232及びヨーク4の導出孔42の内部には、合成ゴムからなるキャップ82が配置されている。リード線62は、このキャップ82を軸方向に貫通している。
シャフト3は、外径が互いに異なる大径部31、中径部32、及び小径部33を一体に有している。大径部31の外周面には、複数のスプライン突起が軸方向に延在して形成されたスプライン係合部310が形成されている。また、シャフト3は、外輪91、内輪92、及び複数の転動体93を有する軸受9によって回転可能に支持されている。外輪91は、ハウジング2の延在部24の内側に嵌着され、外輪91の側面は突壁部25に当接している。シャフト3の小径部33は、内輪92の内側に嵌挿されている。
図3は、フリクションプレート5を示す平面図である。フリクションプレート5は、低炭素鋼等の軟磁性体からなる平板状の部材である。またフリクションプレート5は、シャフト3の大径部31を中心部に挿通させる環状に形成され、その内周部には、シャフト3の大径部31に形成されたスプライン係合部310に係合する複数の係合突起51が設けられている。
またさらに、フリクションプレート5には、複数の円弧状のスリット52が形成されている。各スリット52は、フリクションプレート5の周方向に延びるように形成され、周方向に隣り合う2つのスリット52の間には、フリクションプレート5における複数のスリット52よりも外側の部分と内側の部分とを連結する連結部53が設けられている。これらのスリット52は、電磁コイル60への通電により発生する磁束の短絡を防いで後述する磁路Gを形成するために設けられている。
フリクションプレート5は、ヨーク4に軸方向に対向する対向面が、ヨーク4の摩擦面40と摩擦接触する摩擦面50として形成されている。フリクションプレート5の摩擦面50には、潤滑油を流動させるための油溝500が格子状に形成されている。この油溝500を流動する潤滑油によって、フリクションプレート5の摩擦面50がヨーク4の摩擦面40に向かって押し付けられた状態でフリクションプレート5がシャフト3と共に回転する際の摩擦摺動による摩耗や焼き付きが抑止されている。
アーマチャ7は、フリクションプレート5と同様に低炭素鋼等の軟磁性体からなり、シャフト3の大径部31を中心部に挿通させる環状に形成されている。アーマチャ7の内周部には、シャフト3の大径部31に形成されたスプライン係合部310に係合する複数の係合突起71が設けられている。
アーマチャ7は、ヨーク4との間にフリクションプレート5を挟む位置に配置されている。また、アーマチャ7は、ハウジング2の円筒部21の内周に嵌着されたスナップリング83によって、ヨーク4から離間する方向へのハウジング2に対する軸方向移動が規制されている。
フリクションプレート5及びアーマチャ7は、係合突起51,71がシャフト3のスプライン係合部310に係合することにより、シャフト3に対して軸方向移動可能かつ相対回転不能に連結されている。
電磁コイル60は、通電によりヨーク4、フリクションプレート5、及びアーマチャ7を通過する磁路Gに磁束を発生させる。図2(b)では、この磁路Gを破線で図示している。
図4は、ヨーク4を単体で示す断面図である。ヨーク4は、摩擦面40における外周側の一部が、径方向に対して傾斜した傾斜面40aとして形成されている。本実施の形態では、摩擦面40が、内周側の平坦面40b及び外周側の傾斜面40aからなる。平坦面40bは、軸方向に対して垂直な平面である。傾斜面40aは、クラッチ装置1の非作動状態において、ヨーク4の外周面4a側ほどフリクションプレート5との軸方向の間隔が広がるように傾斜している。
傾斜面40aの径方向幅Waは、平坦面の径方向幅Wbよりも大きい。本実施の形態では、傾斜面40aの径方向幅Waが平坦面の径方向幅Wbの約4倍である。なお、ヨーク4の摩擦面40の全体が傾斜面40aによって形成されていてもよい。つまり、摩擦面40における少なくとも外周側の一部が傾斜面40aによって形成されていればよい。ただし、平坦面40bが存在することにより、例えばヨーク4の残留磁気によりフリクションプレート5がヨーク4に接触した状態でシャフト3が回転する場合のフリクションプレート5の局所的な摩耗が抑制される。このため、ヨーク4の摩擦面40の内周側の端部には、平坦面40bが形成されていることが望ましい。
傾斜面40aの傾斜角θは、0.3〜6.0°(0.3°以上かつ6.0°以下)であることが望ましい。傾斜角θが0.3°未満であると、後述する引き摺りトルクの低減効果が小さくなってしまい、傾斜角θが6.0°を超えると、後述するクラッチ装置1の作動状態におけるフリクションプレート5の変形量が過大となるためである。
傾斜面40aの外周側の端部と平坦面40bとの軸方向間隔gは、例えば0.1〜2.0mmである。また、ヨーク4の外半径(回転軸線Oからヨーク4の外周面4aまでの距離)R1は例えば60mmであり、ヨーク4の内半径(回転軸線Oからヨーク4の内周面4bまでの距離)R2は例えば40mmである。
アーマチャ7は、フリクションプレート5をヨーク4側に押圧する押圧面70が、傾斜面70a及び平坦面70bによって形成されている。傾斜面70a及び平坦面70bは共に環状であり、平坦面70bは傾斜面70aの内側に形成されている。アーマチャ7の押圧面70における傾斜面70aは、ヨーク4の摩擦面40における傾斜面40aと平行となるように形成されている。また、アーマチャ7の押圧面70における平坦面70bは、軸方向に対して垂直な平面であり、ヨーク4の摩擦面40における平坦面40bと平行となるように形成されている。
電磁コイル60に通電されると、図2(b)に示すように磁路Gに磁束が発生し、アーマチャ7が磁力によってヨーク4側に引き寄せられる。これにより、フリクションプレート5がヨーク4とアーマチャ7との間に挟まれ、フリクションプレート5の摩擦面50がヨーク4の摩擦面40に摩擦接触する。この際、フリクションプレート5は、その摩擦面50がヨーク4の摩擦面40に沿うように弾性変形する。つまり、フリクションプレート5がヨーク4の摩擦面40における傾斜面40aとアーマチャ7の押圧面70における平坦面70bとの間に挟まれて、ヨーク4の傾斜面40aの傾斜角θに対応する角度で屈曲される。
これにより、フリクションプレート5の摩擦面50とヨーク4の摩擦面40(傾斜面40a及び平坦面40b)とが面接触し、摩擦力を発生させる。この摩擦力がシャフト3のハウジング2に対する回転力よりも大きければ、ヨーク4とフリクションプレート5との摩擦係合によってシャフト3のハウジング2に対する回転が停止する。
一方、電磁コイル60が磁力を発生させない非作動時には、図2(a)に示すように、ヨーク4の摩擦面40における傾斜面40aとフリクションプレート5の摩擦面50との軸方向における間隔が傾斜面40aの外周側ほど広くなる。これにより、特に周速が速くなるフリクションプレート5の外周側において、フリクションプレート5の摩擦面50とヨーク4の傾斜面40aとの隙間が確保されるので、この隙間に潤滑油が介在しても、潤滑油の粘性による引き摺りトルクが大きく低減される。
(第1の実施の形態の作用及び効果)
以上説明した第1の実施の形態によれば、クラッチ装置1の非作動時においてフリクションプレート5の摩擦面50とヨーク4の摩擦面40との軸方向間隔が、特にフリクションプレート5の外周側において大きく確保される。これにより、部品点数の増加をもたらすことなく、非作動時における引き摺りトルクが低減される。
以上説明した第1の実施の形態によれば、クラッチ装置1の非作動時においてフリクションプレート5の摩擦面50とヨーク4の摩擦面40との軸方向間隔が、特にフリクションプレート5の外周側において大きく確保される。これにより、部品点数の増加をもたらすことなく、非作動時における引き摺りトルクが低減される。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、図5(a)及び(b)を参照して説明する。本実施の形態に係るクラッチ装置1Aは、アーマチャ7を備えておらず、電磁コイル60への通電時に、フリクションプレート5A自体に作用する磁力によってフリクションプレート5Aの摩擦面50がヨーク4の摩擦面40に摩擦接触する構成が、第1の実施の形態に係るクラッチ装置1と異なる。図5(a)及び(b)において、第1の実施の形態について説明したものと同一の機能を有する構成要素については、共通する符号を付してその重複した説明を省略する。
次に、本発明の第2の実施の形態について、図5(a)及び(b)を参照して説明する。本実施の形態に係るクラッチ装置1Aは、アーマチャ7を備えておらず、電磁コイル60への通電時に、フリクションプレート5A自体に作用する磁力によってフリクションプレート5Aの摩擦面50がヨーク4の摩擦面40に摩擦接触する構成が、第1の実施の形態に係るクラッチ装置1と異なる。図5(a)及び(b)において、第1の実施の形態について説明したものと同一の機能を有する構成要素については、共通する符号を付してその重複した説明を省略する。
本実施の形態に係るフリクションプレート5Aは、第1の実施の形態に係るフリクションプレート5と同様に、低炭素鋼等の軟磁性体からなる平板状の部材であり、その内周部にはシャフト3の大径部31に形成されたスプライン係合部310に係合する複数の係合突起51が設けられているが、スリット52は設けられていない。また、フリクションプレート5Aは、シャフト3に対して軸方向移動可能かつ相対回転不能に連結されており、ヨーク4から離間する方向への軸方向移動は、スナップリング83によって規制されている。
電磁コイル60に通電されると、図5(b)に示すように、ヨーク4及びフリクションプレート5Aを通過する磁路Gに磁束が発生し、フリクションプレート5Aが磁力によってヨーク4に引き寄せられると共に、フリクションプレート5Aの摩擦面50aがヨーク4の摩擦面40における傾斜面40a及び平坦面40bに沿うように、フリクションプレート5Aが弾性変形する。これにより、フリクションプレート5Aの摩擦面50とヨーク4の摩擦面40とが面接触し、摩擦力を発生させる。
一方、電磁コイル60が磁力を発生させない非作動時には、図5(a)に示すように、ヨーク4の摩擦面40における傾斜面40aとフリクションプレート5Aの摩擦面50との軸方向における間隔が傾斜面40aの外周側ほど広くなる。これにより、特に周速が速くなるフリクションプレート5Aの外周側において、フリクションプレート5Aの摩擦面50とヨーク4の傾斜面40aとの隙間が確保され、引き摺りトルクが低減される。
本実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の作用及び効果が得られる。また、アーマチャ7が不要となるので、第1の実施の形態に係るクラッチ装置1に比較して、さらなる低コスト化を図ることが可能となる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について、図6(a)及び(b)を参照して説明する。本実施の形態に係るクラッチ装置1Bは、第2の実施の形態に係るクラッチ装置1Aに対し、フリクションプレート5Bがボルト84によってシャフト3に締結された構成が異なる。また、本実施の形態に係るクラッチ装置1Bは、フリクションプレート5Bがシャフト3に対して軸方向移動不能であるので、フリクションプレート5Bの軸方向移動を規制するためのスナップリング83(図5参照)を有していない。その他の構成については第2の実施の形態と同様であるので、図6(a)及び(b)において、第2の実施の形態について説明したものと同一の機能を有する構成要素については、共通する符号を付してその重複した説明を省略する。
次に、本発明の第3の実施の形態について、図6(a)及び(b)を参照して説明する。本実施の形態に係るクラッチ装置1Bは、第2の実施の形態に係るクラッチ装置1Aに対し、フリクションプレート5Bがボルト84によってシャフト3に締結された構成が異なる。また、本実施の形態に係るクラッチ装置1Bは、フリクションプレート5Bがシャフト3に対して軸方向移動不能であるので、フリクションプレート5Bの軸方向移動を規制するためのスナップリング83(図5参照)を有していない。その他の構成については第2の実施の形態と同様であるので、図6(a)及び(b)において、第2の実施の形態について説明したものと同一の機能を有する構成要素については、共通する符号を付してその重複した説明を省略する。
本実施の形態に係るフリクションプレート5Bは、第1及び第2の実施の形態に係るフリクションプレート5,5Aの係合突起51に替えて、シャフト3に対して軸方向に相対移動不能に締結される締結部54を有している。締結部54は、フリクションプレート5Bの内周側の端部に設けられている。ボルト84は、フリクションプレート5Bの締結部54に形成されたボルト挿通孔540に挿通されて、シャフト3に螺合している。締結部54は、シャフト3の大径部31と中径部32との間に形成された段差面30に固定されている。フリクションプレート5Bは、締結部54がボルト84によってシャフト3に固定されることにより、シャフト3との相対回転が規制されると共に、シャフト3に対して軸方向に相対移動不能である。
また、フリクションプレート5Bは、電磁コイル60に通電されない非作動時において、ヨーク4の摩擦面40における平坦面40bとの間に隙間が形成される位置に固定されている。また、この非作動時には、図6(a)に示すように、ヨーク4の摩擦面40における傾斜面40aとフリクションプレート5Bの摩擦面50との軸方向における間隔が傾斜面40aの外周側ほど広くなる。これにより、特に周速が速くなるフリクションプレート5Bの外周側において、フリクションプレート5Bの摩擦面50とヨーク4の傾斜面40aとの隙間が確保され、引き摺りトルクが低減される。
一方、電磁コイル60に通電されると、フリクションプレート5Bがヨーク4の摩擦面40における傾斜面40aに沿うように弾性変形する。これにより、フリクションプレート5Aの摩擦面50とヨーク4の摩擦面40とが面接触し、摩擦力を発生させる。
本実施の形態によれば、第1及び第2の実施の形態と同様の作用及び効果が得られる。また、シャフト3にスプライン係合部310を形成する必要がないので、第2の実施の形態に係るクラッチ装置1Aに比較して、さらなる低コスト化を図ることが可能となる。
(付記)
以上、本発明の摩擦係合装置を第1乃至第3の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記第1乃至第3の実施の形態では、作動力発生部として電磁石6を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば油圧によって作動するものであってもよい。この場合には、第2摩擦部材が例えば油圧ピストンの押圧力によって第1摩擦部材に押し付けられ、摩擦力を発生させる。
以上、本発明の摩擦係合装置を第1乃至第3の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記第1乃至第3の実施の形態では、作動力発生部として電磁石6を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば油圧によって作動するものであってもよい。この場合には、第2摩擦部材が例えば油圧ピストンの押圧力によって第1摩擦部材に押し付けられ、摩擦力を発生させる。
また、上記実施の形態では、ハウジング2が支持部材に固定された非回転部材である場合について説明したが、これに限らず、ハウジング2が回転部材であってもよい。すなわち、第1摩擦部材と第2摩擦部材との間に発生する摩擦力によって、ハウジングと回転部材との間でトルクが伝達されるものであってもよい。
1,1A,1B…クラッチ装置(摩擦係合装置)、2…ハウジング、21…円筒部、22…フランジ部、221…ボルト挿通孔、23…底壁部、231…ボルト挿通孔、232…貫通孔、24…延在部、25…突壁部、3…シャフト、30…段差面、31…大径部、310…スプライン係合部、32…中径部、33…小径部、4…ヨーク(第1摩擦部材)、40…摩擦面(第1摩擦面)、40a…傾斜面、40b…平坦面、41…凹部、42…導出孔、4a…外周面、4b…内周面、5,5,5A…フリクションプレート(第2摩擦部材)、50…摩擦面(第2摩擦面)、500…油溝、50a…摩擦面、51…係合突起、52…スリット、53…連結部、54…締結部、540…ボルト挿通孔、6…電磁石(作動力発生部)、60…電磁コイル、61…樹脂部材、62…リード線、7…アーマチャ、70…押圧面、70a…傾斜面、70b…平坦面、71…係合突起、81…ボルト、82…キャップ、83…スナップリング、84…ボルト、9…軸受、91…外輪、92…内輪、93…転動体、G…磁路、g…軸方向間隔、O…回転軸線、Wa…傾斜面の径方向幅、Wb…平坦面の径方向幅、θ…傾斜角
Claims (5)
- ハウジングと、前記ハウジングに対して相対回転可能な回転部材と、前記ハウジングとの相対回転が規制された第1摩擦部材と、前記回転部材との相対回転が規制された第2摩擦部材と、前記第1摩擦部材と前記第2摩擦部材とを摩擦接触させる作動力を発生する作動力発生部とを備え、前記第1摩擦部材の第1摩擦面と前記第2摩擦部材の第2摩擦面との接触により摩擦力を発生させる摩擦係合装置であって、
前記第1摩擦部材は、前記第1摩擦面における少なくとも外周側の一部が前記回転部材の径方向に対して傾斜した傾斜面として形成され、
前記作動力発生部が前記作動力を発生させない非作動時には、前記第1摩擦部材の前記傾斜面と前記第2摩擦部材の前記第2摩擦面との前記回転部材の軸方向における間隔が前記傾斜面の外周側ほど広く、
前記作動力発生部が前記作動力を発生させる作動時には、前記第2摩擦面が前記第1摩擦面に沿うように前記第2摩擦部材が弾性変形する、
摩擦係合装置。 - 前記第1摩擦部材及び前記第2摩擦部材が軟磁性体からなり、
前記作動力発生部は、前記第1摩擦部材及び前記第2摩擦部材を通過する磁路に磁束を発生させる電磁コイルを有する、
請求項1に記載の摩擦係合装置。 - 前記第1摩擦部材との間に前記第2摩擦部材を挟む位置に軸方向移動可能に配置されたアーマチャをさらに備え、
前記第2摩擦部材は、前記電磁コイルの磁力によって前記アーマチャが前記第1摩擦部材側に引き寄せられることで前記第2摩擦面が前記第1摩擦部材の前記第1摩擦面に摩擦接触する、
請求項2に記載の摩擦係合装置。 - 前記電磁コイルへの通電時に、前記第2摩擦部材自体に作用する磁力によって前記第2摩擦面が前記第1摩擦部材の前記第1摩擦面に摩擦接触する、
請求項2に記載の摩擦係合装置。 - 前記第2摩擦部材は、前記回転部材に対して軸方向に相対移動不能に締結される締結部を有する、
請求項4に記載の摩擦係合装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015097394A JP2016211692A (ja) | 2015-05-12 | 2015-05-12 | 摩擦係合装置 |
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Family Applications (1)
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2015
- 2015-05-12 JP JP2015097394A patent/JP2016211692A/ja active Pending
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