JP2016211429A - 下流側空燃比センサの異常診断装置 - Google Patents

下流側空燃比センサの異常診断装置 Download PDF

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Abstract

【課題】下流側空燃比センサの出力空燃比が理論空燃比からリッチ側又はリーン側に変化するときのむだ時間の異常を精度良く診断することができる、下流側空燃比センサの異常診断装置を提供する。
【解決手段】下流側空燃比センサ41の異常診断装置は空燃比制御手段を備え、空燃比制御手段は、下流側出力空燃比が理論空燃比よりもリッチ側及びリーン側のいずれか一方の側にあるときに目標空燃比を理論空燃比に設定し、その後、下流側空燃比センサに到達した排気ガスの空燃比が理論空燃比であると判定されている間に目標空燃比を理論空燃比から上記一方の側の空燃比に切り替え、下流側空燃比センサの異常診断装置は、目標空燃比を上記一方の側の空燃比に切り替えてから下流側出力空燃比が上記一方の側に向かって変化し始めるまでの時間が基準時間以上である場合に、下流側空燃比センサにむだ時間による異常が生じていると判定する。
【選択図】図6

Description

本発明は、下流側空燃比センサの異常診断装置に関する。
従来、内燃機関の燃焼室における混合気の燃焼によって生じる排気ガス中の有害物質を浄化すべく、排気通路に排気浄化触媒を設けることが知られている。
排気浄化触媒の浄化効率は、排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比であるときに最大となる。このため、排気浄化触媒の排気流れ方向上流側及び下流側に上流側空燃比センサ及び下流側空燃比センサをそれぞれ配置し、これら空燃比センサの出力に基づいて、排気空燃比が理論空燃比となるように、燃焼室に供給する燃料量を制御することが知られている。斯かる空燃比センサには、排気浄化触媒の浄化効率の低下による排気エミッションの悪化を抑制するために、排気空燃比が理論空燃比からリッチ側又はリーン側に変化したことを迅速に検出することが要求される。
しかしながら、空燃比センサには、多かれ少なかれ応答遅れが存在する。下流側空燃比センサの応答遅れが過度に増大すると、排気浄化触媒から流出する排気空燃比の変化を迅速に検出することができないため、排気エミッションが悪化するおそれがある。そこで、特許文献1、2では、下流側空燃比センサの応答遅れの異常を診断する異常診断装置が提案されている。
特開平5−256175号公報 特開2009−221992号公報
ところで、空燃比センサの応答遅れの原因として、排気空燃比を変化させてから空燃比センサの出力が反応し始めるまでにかかるむだ時間と、空燃比センサの出力が反応し始めてから実際の排気空燃比に相当する出力になるまでにかかる一次遅れとが知られている。応答遅れの異常が生じた空燃比センサを適切に修理するためには、応答遅れの異常の原因が特定されることが望ましい。また、米国の法規では、空燃比センサのむだ時間の異常と一次遅れの異常とを区別して検出することが要求されている。
特許文献1に記載の異常診断装置では、目標空燃比がリッチとリーンとの間で切り替えられてから下流側空燃比センサの出力が所定の閾値に達するまでの時間が所定時間以上である場合に、下流側空燃比センサの応答遅れが異常であると診断される。しかしながら、目標空燃比がリッチとリーンとの間で切り替えられてから下流側空燃比センサの出力が所定の閾値に達するまでの時間はむだ時間の増加だけではなく一次遅れの増大によっても増加する。したがって、特許文献1に記載の異常診断装置では、下流側空燃比センサのむだ時間の異常と一次遅れの異常とを区別して検出することができない。
また、特許文献2に記載の異常診断装置では、燃料カット開始後に下流側空燃比センサの異常診断が実施される。このため、下流側空燃比センサの出力空燃比が理論空燃比よりもリッチな値から理論空燃比に向かって変化するときのむだ時間を検出することができたとしても、下流側空燃比センサの出力空燃比が理論空燃比からリッチ側又はリーン側に向かって変化するときのむだ時間を検出することができない。
そこで、上記課題に鑑みて、本発明の目的は、下流側空燃比センサの出力空燃比が理論空燃比からリッチ側又はリーン側に変化するときのむだ時間の異常を精度良く診断することができる、下流側空燃比センサの異常診断装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、内燃機関の排気通路において排気浄化触媒の排気流れ方向下流側に配置された下流側空燃比センサの異常診断装置であって、排気浄化触媒に流入する排気ガスの目標空燃比を設定すると共に、排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比が目標空燃比に一致するように燃焼室に供給する燃料量を制御する空燃比制御手段を備え、空燃比制御手段は、下流側空燃比センサの異常診断を実施するために、下流側空燃比センサによって検出された下流側出力空燃比が、理論空燃比よりもリッチ側及びリーン側のいずれか一方の側にあるときに、下流側出力空燃比が理論空燃比に向かって変化するように目標空燃比を理論空燃比に設定し、その後、下流側出力空燃比に基づいて下流側空燃比センサに到達した排気ガスの空燃比が理論空燃比であると判定されている間に目標空燃比を理論空燃比から理論空燃比よりも上記一方の側の空燃比に切り替え、下流側空燃比センサの異常診断装置は、目標空燃比を理論空燃比から上記一方の側の空燃比に切り替えてから下流側出力空燃比が上記一方の側に向かって変化し始めるまでの時間が基準時間以上である場合に、下流側空燃比センサにむだ時間による異常が生じていると判定するように構成される、下流側空燃比センサの異常診断装置が提供される。
本発明によれば、下流側空燃比センサの出力空燃比が理論空燃比からリッチ側又はリーン側に変化するときのむだ時間の異常を精度良く診断することができる、下流側空燃比センサの異常診断装置が提供される。
図1は、本発明の実施形態に係る下流側空燃比センサの異常診断装置が用いられる内燃機関を概略的に示す図である。 図2は、空燃比センサの構造を概略的に示す図である。 図3は、各排気空燃比におけるセンサ印加電圧と出力電流との関係を示す図である。 図4は、センサ印加電圧を一定にしたときの排気空燃比と出力電流との関係を示す図である。 図5は、下流側空燃比センサのリッチ側異常診断における目標空燃比及び下流側空燃比センサの出力空燃比のタイムチャートである。 図6は、下流側空燃比センサのリッチ側異常診断処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。 図7は、下流側空燃比センサのリーン側異常診断における目標空燃比及び下流側空燃比センサの出力空燃比のタイムチャートである。 図8は、下流側空燃比センサのリーン側異常診断処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
<内燃機関全体の説明>
図1は、本発明の実施形態に係る下流側空燃比センサの異常診断装置が用いられる内燃機関を概略的に示す図である。図1を参照すると1は機関本体、2はシリンダブロック、3はシリンダブロック2内で往復動するピストン、4はシリンダブロック2上に固定されたシリンダヘッド、5はピストン3とシリンダヘッド4との間に形成された燃焼室、6は吸気弁、7は吸気ポート、8は排気弁、9は排気ポートをそれぞれ示す。吸気弁6は吸気ポート7を開閉し、排気弁8は排気ポート9を開閉する。
図1に示したようにシリンダヘッド4の内壁面の中央部には点火プラグ10が配置され、シリンダヘッド4の内壁面周辺部には燃料噴射弁11が配置される。点火プラグ10は、点火信号に応じて火花を発生させるように構成される。また、燃料噴射弁11は、噴射信号に応じて、所定量の燃料を燃焼室5内に直接噴射する。すなわち、本実施形態の内燃機関は筒内噴射式内燃機関である。なお、内燃機関はポート噴射式内燃機関であっても良く、この場合、燃料噴射弁11は、吸気ポート7内に燃料を噴射するように配置される。また、本実施形態では、燃料として理論空燃比が14.6であるガソリンが用いられる。
各気筒の吸気ポート7はそれぞれ対応する吸気枝管13を介してサージタンク14に連結され、サージタンク14は吸気管15を介してエアクリーナ16に連結される。吸気ポート7、吸気枝管13、サージタンク14、吸気管15等は、空気及び燃料を含む混合気を燃焼室5に導く吸気通路を形成する。また、吸気管15内にはスロットル弁駆動アクチュエータ17によって駆動されるスロットル弁18が配置される。スロットル弁18は、スロットル弁駆動アクチュエータ17によって回動せしめられることで、吸気通路の開口面積を変更することができる。
一方、各気筒の排気ポート9は排気マニホルド19に連結される。排気マニホルド19は、各排気ポート9に連結される複数の枝部とこれら枝部が集合した集合部とを有する。排気マニホルド19の集合部は排気浄化触媒20を内蔵したケーシング21に連結される。ケーシング21は排気管22に連結される。排気ポート9、排気マニホルド19、ケーシング21、排気管22等は、燃焼室5における混合気の燃焼によって生じた排気ガスを排出する排気通路を形成する。
電子制御ユニット(ECU)31はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス32を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)33、ROM(リードオンリメモリ)34、CPU(マイクロプロセッサ)35、入力ポート36および出力ポート37を具備する。吸気管15には、吸気管15内を流れる空気流量を検出するためのエアフロメータ39が配置され、このエアフロメータ39の出力は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。また、排気マニホルド19の集合部には排気マニホルド19内を流れる排気ガス(すなわち、排気浄化触媒20に流入する排気ガス)の空燃比を検出する上流側空燃比センサ40が配置される。加えて、排気管22内には排気管22内を流れる排気ガス(すなわち、排気浄化触媒20から流出する排気ガス)の空燃比を検出する下流側空燃比センサ41が配置される。これら空燃比センサ40、41の出力も対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。なお、これら空燃比センサ40、41の構成については後述する。
また、アクセルペダル42にはアクセルペダル42の踏込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ43が接続され、負荷センサ43の出力電圧は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。クランク角センサ44は例えばクランクシャフトが15度回転する毎に出力パルスを発生し、この出力パルスが入力ポート36に入力される。CPU35ではこのクランク角センサ44の出力パルスから機関回転数が計算される。一方、出力ポート37は対応する駆動回路45を介して点火プラグ10、燃料噴射弁11及びスロットル弁駆動アクチュエータ17に接続される。なお、ECU31は、内燃機関の制御を行う制御装置として機能する。
排気浄化触媒20は、酸素吸蔵能力を有する三元触媒である。具体的には、排気浄化触媒20は、セラミックから成る担体に、触媒作用を有する貴金属(例えば、白金(Pt))及び酸素吸蔵能力を有する物質(例えば、セリア(CeO2))を担持させたものである。排気浄化触媒20は、所定の活性温度に達すると、未燃ガス(HCやCO等)と窒素酸化物(NOx)とを同時に浄化する触媒作用に加えて、酸素吸蔵能力を発揮する。
排気浄化触媒20の酸素吸蔵能力によれば、排気浄化触媒20は、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンな空燃比であるときには排気ガス中の酸素を吸蔵する。一方、排気浄化触媒20は、流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチな空燃比であるときには、排気浄化触媒20に吸蔵されている酸素を放出する。この結果、排気浄化触媒20の酸素吸蔵能力が維持されている限り、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比に関わらず、排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比はほぼ理論空燃比となる。
<空燃比センサの説明>
本実施形態では、空燃比センサ40、41としては、コップ型の限界電流式空燃比センサが用いられる。図2を用いて、空燃比センサ40、41の構造について簡単に説明する。図2は、空燃比センサの構造を概略的に示す図である。空燃比センサ40、41は、固体電解質層51と、その一方の側面上に配置された排気側電極52と、その他方の側面上に配置された大気側電極53と、通過する排気ガスの拡散律速を行う拡散律速層54と、基準ガス室55と、空燃比センサ40、41の加熱、特に固体電解質層51(素子)の加熱を行うヒータ部56とを具備する。
特に、本実施形態のコップ型の空燃比センサ40、41では、固体電解質層51は一端が閉じられた円筒状に形成される。その内部に画成された基準ガス室55には、大気ガス(空気)が導入されると共に、ヒータ部56が配置される。固体電解質層51の内面上に大気側電極53が配置され、その外面上に排気側電極52が配置される。固体電解質層51及び排気側電極52の外面上にはこれらを覆うように拡散律速層54が配置される。なお、拡散律速層54の外側には、拡散律速層54の表面上に液体等が付着するのを防止するための保護層(図示せず)が設けられてもよい。
固体電解質層51は、ZrO2(ジルコニア)、HfO2、ThO2、Bi23等にCaO、MgO、Y23、Yb23等を安定剤として配当した酸素イオン伝導性酸化物の焼結体により形成されている。また、拡散律速層54は、アルミナ、マグネシア、けい石質、スピネル、ムライト等の耐熱性無機物質の多孔質焼結体により形成されている。さらに、排気側電極52及び大気側電極53は、白金等の触媒活性の高い貴金属により形成されている。
また、排気側電極52と大気側電極53との間には、ECU31に搭載された印加電圧制御装置60によりセンサ印加電圧Vが印加される。加えて、ECU31には、センサ印加電圧を印加したときに固体電解質層51を介してこれら電極52、53間に流れる電流Iを検出する電流検出装置61が設けられる。この電流検出装置61によって検出される電流が空燃比センサ40、41の出力電流である。
このように構成された空燃比センサ40、41は、図3に示したような電圧−電流(V−I)特性を有する。図3は、各排気空燃比におけるセンサ印加電圧と出力電流との関係を示す図である。図3からわかるように、出力電流Iは、排気空燃比が高くなるほど(リーンになるほど)、大きくなる。また、各排気空燃比におけるV−I線には、V軸に平行な領域、すなわちセンサ印加電圧が変化しても出力電流がほとんど変化しない領域が存在する。この電圧領域は限界電流領域と称され、このときの電流は限界電流と称される。図3では、排気空燃比が18であるときの限界電流領域及び限界電流をそれぞれW18、I18で示している。
一方、センサ印加電圧が限界電流領域よりも低い領域では、センサ印加電圧にほぼ比例して出力電流が変化する。このときの傾きは、固体電解質層51の直流素子抵抗によって定まる。また、センサ印加電圧が限界電流領域よりも高い領域では、センサ印加電圧の増加に伴って出力電流も増加する。この領域では、排気側電極52上にて排気ガス中に含まれる水分の分解が生じること等により、センサ印加電圧の変化に応じて出力電流が変化する。
図4は、印加電圧を0.45V程度で一定にしたときの、排気空燃比と出力電流Iとの関係を示す図である。図4からわかるように、空燃比センサ40、41では、排気空燃比が高くなるほど(すなわち、リーンになるほど)、空燃比センサ40、41からの出力電流Iが大きくなるように、排気空燃比に対して出力電流がリニアに(比例するように)変化する。加えて、空燃比センサ40、41は、排気空燃比が理論空燃比であるときに出力電流Iがゼロになるように構成される。また、排気空燃比が一定以上に大きくなったとき、或いは一定以下に小さくなったときには、排気空燃比の変化に対する出力電流の変化の割合が小さくなる。
なお、上記例では、空燃比センサ40、41として図2に示した構造の限界電流式の空燃比センサを用いている。しかしながら、排気空燃比に対して出力電流がリニアに変化するものであれば、空燃比センサ40、41として如何なる空燃比センサを用いてもよい。したがって、空燃比センサ40、41としては例えば積層型の限界電流式空燃比センサ等の他の構造の限界電流式の空燃比センサや、限界電流式ではない空燃比センサ等、如何なる空燃比センサを用いてもよい。また、空燃比センサ40、41は互いに異なる構造の空燃比センサであってもよい。
<基本的な空燃比制御>
本実施形態では、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの目標空燃比が機関運転状態に基づいて設定され、上流側空燃比センサ40の出力空燃比が目標空燃比(例えば理論空燃比(14.6))に一致するように、燃焼室5に供給する燃料量がフィードバック制御される。なお、出力空燃比とは、空燃比センサの出力値に相当する空燃比を意味する。
なお、上流側空燃比センサ40を用いることなく、燃焼室5に供給する燃料量が制御されてもよい。この場合、燃焼室5に供給される燃料と空気との比率が目標空燃比に一致するように、エアフロメータ39によって検出された吸入空気量と、目標空燃比とから算出された燃料量が燃焼室5に供給される。
<下流側空燃比センサの異常診断>
ところで、空燃比センサ40、41には、多かれ少なかれ応答遅れが存在する。下流側空燃比センサ41の応答遅れが過度に増大すると、排気浄化触媒20から流出する排気空燃比の変化を迅速に検出することができないため、排気エミッションが悪化するおそれがある。そこで、本実施形態の内燃機関は下流側空燃比センサ41の異常診断装置を備える。本実施形態の異常診断装置は、下流側空燃比センサ41の出力空燃比が理論空燃比からリッチ側又はリーン側に変化するときの応答遅れの異常を診断する。また、本実施形態の異常診断装置は空燃比制御手段を備える。空燃比制御手段は、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの目標空燃比を設定すると共に、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比が目標空燃比に一致するように燃焼室5に供給する燃料量を制御する。
空燃比制御手段は、下流側空燃比センサ41の下流側出力空燃比が理論空燃比からリッチ側に変化するときの応答遅れの異常を診断するために、下流側出力空燃比が理論空燃比よりもリッチ側にあるときに、下流側出力空燃比が理論空燃比に向かって変化するように目標空燃比を理論空燃比に設定し、その後、下流側出力空燃比に基づいて、下流側空燃比センサ41に到達した排気ガスの空燃比が理論空燃比であると判定されている間に目標空燃比を理論空燃比から理論空燃比よりもリッチ側の空燃比に切り替える。
異常診断装置は、空燃比制御手段によって目標空燃比を理論空燃比からリッチ側の空燃比に切り替えてから下流側出力空燃比がリッチ側に向かって変化し始めるまでの時間をむだ時間として検出し、むだ時間が基準時間以上である場合に、下流側空燃比センサ41にむだ時間による異常が生じていると判定する。また、異常診断装置は、下流側出力空燃比が理論空燃比からリッチ側に向かって変化するときの一次遅れ時定数を検出し、一次遅れ時定数が基準値以上である場合に、下流側空燃比センサ41に一次遅れによる異常が生じていると判定する。
また、空燃比制御手段は、下流側空燃比センサ41の下流側出力空燃比が理論空燃比からリーン側に変化するときの応答遅れの異常を診断するために、下流側出力空燃比が理論空燃比よりもリーン側にあるときに、下流側出力空燃比が理論空燃比に向かって変化するように目標空燃比を理論空燃比に設定し、その後、下流側出力空燃比に基づいて、下流側空燃比センサ41に到達した排気ガスの空燃比が理論空燃比であると判定されている間に目標空燃比を理論空燃比から理論空燃比よりもリーン側の空燃比に切り替える。
異常診断装置は、空燃比制御手段によって目標空燃比を理論空燃比からリーン側の空燃比に切り替えてから下流側出力空燃比がリーン側に向かって変化し始めるまでの時間をむだ時間として検出し、むだ時間が基準時間以上である場合に、下流側空燃比センサ41にむだ時間による異常が生じていると判定する。また、異常診断装置は、下流側出力空燃比が理論空燃比からリーン側に向かって変化するときの一次遅れ時定数を検出し、一次遅れ時定数が基準値以上である場合に、下流側空燃比センサ41に一次遅れによる異常が生じていると判定する。
以下、図5〜図8を参照して、斯かる異常診断について具体的に説明する。
<リッチ側異常診断のタイムチャート>
図5は、下流側空燃比センサ41のリッチ側異常診断における目標空燃比AFT及び下流側空燃比センサ41の出力空燃比AFdwnのタイムチャートである。図示したタイムチャートでは、下流側空燃比センサ41の出力空燃比AFdwn(以下「下流側出力空燃比AFdwn」ともいう)が理論空燃比からリッチ側に変化するときの応答遅れの異常診断が実施される。
図5の例では、時刻t1以前には、目標空燃比AFTが理論空燃比(14.6)に設定されている。このため、下流側出力空燃比AFdwnも理論空燃比となっている。時刻t1では、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量は不明である。そこで、時刻t1において、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量をゼロにするために、目標空燃比AFTが理論空燃比からリッチ設定空燃比AFTrichに切り替えられる。リッチ設定空燃比AFTrichは、理論空燃比よりもリッチである予め定められた空燃比であり、例えば14〜14.5程度とされる。
その後、理論空燃比よりもリッチな排気ガスが下流側空燃比センサ41に到達し、時刻t2において、下流側出力空燃比AFdwnが理論空燃比からリッチ側に向かって変化する。その後、時刻t3において、下流側出力空燃比AFdwnがリッチ判定空燃比AFrich以下になる。リッチ判定空燃比AFrichは、理論空燃比よりもリッチであり且つリッチ設定空燃比AFTrichよりもリーンである予め定められた空燃比である。なお、リッチ判定空燃比AFrichはリッチ設定空燃比AFTrichと同一であってもよい。時刻t3では、理論空燃比よりもリッチなリッチ判定空燃比AFrichが下流側空燃比センサ41によって検出されているため、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量はゼロである。
時刻t3において、目標空燃比AFTがリッチ設定空燃比AFTrichから理論空燃比に切り替えられる。その後、下流側出力空燃比AFdwnが、理論空燃比よりもリッチ側から理論空燃比に向かって変化し、時刻t4においてリッチ側ストイキ判定空燃比AFsticr以上になる。リッチ側ストイキ判定空燃比AFsticrは、理論空燃比よりも僅かにリッチである予め定められた空燃比である。また、リッチ側ストイキ判定空燃比AFsticrは、目標空燃比をリッチ設定空燃比AFTrichから理論空燃比に切り替えた後、正常な下流側空燃比センサの41の一次遅れを考慮して、理論空燃比の排気ガスが下流側空燃比センサ41に到達したと考えられる空燃比に相当する。したがって、時刻t4では、下流側空燃比センサ41に到達した排気ガスの空燃比が理論空燃比であると判定され、目標空燃比AFTが理論空燃比からリッチ設定空燃比AFTrichに切り替えられる。時刻t4では、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量はゼロのままである。なお、リッチ側ストイキ判定空燃比AFsticrは理論空燃比であってもよい。この場合、目標空燃比AFTは、下流側出力空燃比AFdwnが理論空燃比に収束するまで理論空燃比に維持される。
その後、時刻t5において、下流側出力空燃比AFdwnが理論空燃比からリッチ側に向かって変化し始める。図5の例では、目標空燃比AFTを理論空燃比からリッチ側の空燃比に切り替えてから下流側出力空燃比AFdwnがリッチ側に向かって変化し始めるまでの時間である時刻t4から時刻t5までの時間が下流側空燃比センサ41のむだ時間として検出される。時刻t5では、下流側出力空燃比AFdwnの時間変化の傾きが正から負の値に変化する。したがって、例えば、下流側出力空燃比AFdwnの時間変化の傾き、すなわち下流側出力空燃比AFdwnの微分値に基づいて、下流側出力空燃比AFdwnがリッチ側に向かって変化し始めるタイミングを検出することができる。この場合、具体的には、下流側出力空燃比AFdwnの微分値が、予め定められた値以下、例えば0以下になったときに下流側出力空燃比AFdwnがリッチ側に向かって変化し始めたと判定される。
検出されたむだ時間が予め定められた基準時間以上である場合、下流側空燃比センサ41にむだ時間による異常が生じていると判定される。基準時間は、正常な下流側空燃比センサ41のむだ時間の上限値よりも大きな値とされる。
また、時刻t5において下流側出力空燃比AFdwnがリッチ側に向かって変化し始めると、下流側空燃比センサ41の一次遅れ時定数Tが検出される。一次遅れ時定数Tは、例えば、図5に示されるように、時刻t5の直後における下流側出力空燃比AFdwnの時間変化の傾きに基づいて算出される。
検出された一次遅れ時定数Tが予め定められた基準値以上である場合、下流側空燃比センサ41に一次遅れによる異常が生じていると判定される。基準値は、正常な下流側空燃比センサ41の一次遅れ時定数の上限値よりも大きな値とされる。
その後、時刻t6において、下流側空燃比センサ41の出力空燃比AFdwnがリッチ判定空燃比AFrich以下になると、目標空燃比AFTが、t1以前の目標空燃比である理論空燃比に戻される。なお、目標空燃比AFTは、下流側空燃比センサ41の一次遅れ時定数Tが検出された後、下流側空燃比センサ41の出力空燃比AFdwnがリッチ判定空燃比AFrichに達する前にリッチ設定空燃比AFTrichから理論空燃比に戻されてもよい。
ところで、下流側空燃比センサ41のむだ時間を検出するときの排気浄化触媒20の酸素吸蔵量がゼロでない場合、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量及び劣化度合いに応じて、目標空燃比AFTを理論空燃比からリッチ設定空燃比AFTrichに切り替えてから、理論空燃比よりもリッチな排気ガスが下流側空燃比センサ41に到達するまでの時間が変動する。この結果、下流側空燃比センサ41の異常以外の要因である排気浄化触媒20の酸素吸蔵量及び劣化度合いによってもむだ時間が変動するため、下流側空燃比センサ41のむだ時間の異常を精度良く診断することができない。
一方、本実施形態では、下流側出力空燃比AFdwnが理論空燃比よりもリッチ側にあるときにむだ時間が検出される。このため、むだ時間は、常に排気浄化触媒20の酸素吸蔵量がゼロの状態で検出され、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量及び劣化度合いの影響を受けない。したがって、本実施形態では、下流側空燃比出力空燃比AFdwnが理論空燃比からリッチ側に変化するときのむだ時間の異常を精度良く診断することができる。
また、本実施形態では、下流側空燃比出力空燃比AFdwnが理論空燃比からリッチ側に変化するときのむだ時間及び一次遅れ時定数を精度良く検出することができる。このことによって、下流側空燃比センサ41の出力の補正が可能となり、下流側空燃比センサ41に基づく空燃比制御が改善される。また、下流側空燃比センサ41を用いた排気浄化触媒20の異常診断において、誤った診断を行う可能性が低減される。
<リッチ側異常診断の制御ルーチン>
以下、図6のフローチャートを参照して、下流側空燃比センサ41のリッチ側異常診断について詳細に説明する。図6は、下流側空燃比センサ41のリッチ側異常診断処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンでは、下流側空燃比センサ41の出力空燃比AFdwnが理論空燃比からリッチ側に変化するときの応答遅れの異常が診断される。
図示した制御ルーチンは、例えば、内燃機関の始動毎に、内燃機関の始動後の所定のタイミングで実行される。最初に、ステップS101において、異常診断処理の実行条件が成立しているか否かが判定される。下流側空燃比センサ41の応答特性は、吸入空気量、大気圧、センサ素子の温度等によって変動する。このため、ステップS101では、異常診断の精度を高めるために、例えば、吸入空気量、大気圧及びセンサ素子の温度が所定の範囲内にあるか否かが判定される。
ステップS101において、異常診断処理の実行条件が成立していないと判定された場合、異常診断が実施されることなく、本制御ルーチンは終了する。ステップS101において、異常診断処理の実行条件が成立していると判定された場合、ステップS102へと進む。ステップS102では、下流側出力空燃比AFdwnがリッチ判定空燃比AFrich以下であるか否かが判定される。リッチ判定空燃比AFrichは、理論空燃比よりもリッチである予め定められた空燃比である。ステップS102において、下流側出力空燃比AFdwnがリッチ判定空燃比AFrich以下であると判定された場合、すなわち排気浄化触媒20の酸素吸蔵量がゼロである場合、ステップS103へと進む。ステップS103では、目標空燃比AFTが理論空燃比(14.6)に設定される。
一方、ステップS102において、下流側出力空燃比AFdwnがリッチ判定空燃比AFrichよりも大きい(リーンである)と判定された場合、ステップS109へと進む。本制御ルーチンの開始時に目標空燃比AFTが理論空燃比に設定されていた場合、空燃比制御が正常に行われていれば、下流側出力空燃比AFdwnは理論空燃比を示す。したがって、このような場合には、ステップS102において、下流側出力空燃比AFdwnがリッチ判定空燃比AFrichよりも大きい(リーンである)と判定される。
ステップS109では、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量をゼロにするために、目標空燃比AFTがリッチ設定空燃比AFTrichに設定される。リッチ設定空燃比AFTrichは、理論空燃比よりもリッチであり且つリッチ判定空燃比AFrichよりもリッチである予め定められた空燃比であり、例えば14〜14.5程度とされる。なお、リッチ設定空燃比AFTrichはリッチ判定空燃比AFrichと同一であってもよい。
ステップS109は、ステップS102において下流側出力空燃比AFdwnがリッチ判定空燃比AFrich以下であると判定されるまで繰り返される。したがって、目標空燃比AFTは、下流側出力空燃比AFdwnがリッチ判定空燃比AFrichに達するまでリッチ設定空燃比AFTrichに維持される。この結果、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量がゼロなり、その後、ステップS103において、目標空燃比AFTが理論空燃比(14.6)に設定される。
次いで、ステップS104では、下流側出力空燃比AFdwnがリッチ側ストイキ判定空燃比AFsticr以上であるか否かが判定される。リッチ側ストイキ判定空燃比AFsticrは、理論空燃比よりも僅かにリッチである予め定められた空燃比である。ステップS104において、下流側出力空燃比AFdwnがリッチ側ストイキ判定空燃比AFsticrよりも小さい(リッチである)と判定された場合、ステップS103に戻る。したがって、目標空燃比AFTは、下流側出力空燃比AFdwnがリッチ側ストイキ判定空燃比AFsticrに達するまで理論空燃比に維持される。ステップS104において、下流側出力空燃比AFdwnがリッチ側ストイキ判定空燃比AFsticr以上であると判定されると、ステップS105へと進む。なお、リッチ側ストイキ判定空燃比AFsticrは理論空燃比であってもよい。この場合、目標空燃比AFTは、下流側出力空燃比AFdwnが理論空燃比に収束するまで理論空燃比に維持される。
ステップS105では、目標空燃比AFTが理論空燃比からリッチ設定空燃比AFTrichに切り替えられる。次いで、ステップS106では、目標空燃比AFTが理論空燃比からリッチ設定空燃比AFTrichに切り替えられてから下流側出力空燃比AFdwnが理論空燃比からリッチ側に向かって変化し始めるまでのむだ時間が検出される。検出されたむだ時間が基準時間以上である場合、下流側空燃比センサ41のむだ時間に異常が生じていると判定する。この場合、斯かる異常をユーザに知らせるために、警告灯が点灯せしめられる。
次いで、ステップS107では、下流側出力空燃比AFdwnが理論空燃比からリッチ設定空燃比AFTrichに向かって変化するときの一次遅れ時定数が検出される。検出された一次遅れ時定数が基準値以上である場合、下流側空燃比センサ41の一次遅れに異常が生じていると判定する。この場合、斯かる下流側空燃比センサ41の異常をユーザに知らせるために、警告灯が点灯せしめられる。
次いで、ステップS108では、異常診断が終了したため、目標空燃比AFTが理論空燃比に設定される。なお、ステップS108において設定される目標空燃比AFTは、このときの機関運転状態に応じた理論空燃比以外の空燃比であってもよい。ステップS108の後、本制御ルーチンは終了する。
なお、本制御ルーチンは、内燃機関の運転中に、下流側出力空燃比AFdwnがリッチ判定空燃比AFrich以下になったときに実行されてもよい。この場合、本制御ルーチンのステップS102及びステップS109は省略される。下流側出力空燃比AFdwnは、例えば、目標空燃比AFTが理論空燃比よりもリーンな空燃比と理論空燃比よりもリッチな空燃比との間で交互に切り替えられることによって、又は燃料カット制御後に目標空燃比AFTが理論空燃比よりもリッチな空燃比に設定されることによって、リッチ判定空燃比AFrich以下になる場合がある。
<リーン側異常診断のタイムチャート>
図7は、下流側空燃比センサ41のリーン側異常診断における目標空燃比AFT及び下流側空燃比センサ41の出力空燃比AFdwnのタイムチャートである。図示したタイムチャートでは、下流側空燃比センサ41の出力空燃比AFdwnが理論空燃比からリーン側に変化するときの応答遅れの異常診断が実施される。
図7の例では、時刻t1以前には、目標空燃比AFTが理論空燃比(14.6)に設定されている。このため、下流側出力空燃比AFdwnも理論空燃比となっている。時刻t1では、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量は不明である。そこで、時刻t1において、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量を最大にするために、目標空燃比AFTが理論空燃比からリーン設定空燃比AFTleanに切り替えられる。リーン設定空燃比AFTleanは、理論空燃比よりもリーンである予め定められた空燃比であり、例えば14.7〜15.2程度とされる。
その後、理論空燃比よりもリーンな排気ガスが下流側空燃比センサ41に到達し、時刻t2において、下流側出力空燃比AFdwnが理論空燃比からリーン側に向かって変化する。その後、時刻t3において、下流側出力空燃比AFdwnがリーン判定空燃比AFlean以上になる。リーン判定空燃比AFleanは、理論空燃比よりもリーンであり且つリーン設定空燃比AFTleanよりもリッチである予め定められた空燃比である。なお、リーン判定空燃比AFleanはリーン設定空燃比AFTleanと同一であってもよい。時刻t3では、理論空燃比よりもリーンなリーン判定空燃比AFleanが下流側空燃比センサ41によって検出されているため、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量は最大である。
時刻t3において、目標空燃比AFTがリーン設定空燃比AFTleanから理論空燃比に切り替えられる。その後、下流側出力空燃比AFdwnが、理論空燃比よりもリーン側から理論空燃比に向かって変化し、時刻t4においてリーン側ストイキ判定空燃比AFsticl以下になる。リーン側ストイキ判定空燃比AFsticlは、理論空燃比よりも僅かにリーンである予め定められた空燃比である。また、リーン側ストイキ判定空燃比AFsticlは、目標空燃比をリーン設定空燃比AFTleanから理論空燃比に切り替えた後、正常な下流側空燃比センサの41の一次遅れを考慮して、理論空燃比の排気ガスが下流側空燃比センサ41に到達したと考えられる空燃比に相当する。したがって、時刻t4では、下流側空燃比センサ41に到達した排気ガスの空燃比が理論空燃比であると判定され、目標空燃比AFTが理論空燃比からリーン設定空燃比AFTleanに切り替えられる。時刻t4では、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量は最大のままである。なお、リーン側ストイキ判定空燃比AFsticlは理論空燃比であってもよい。この場合、目標空燃比AFTは、下流側出力空燃比AFdwnが理論空燃比に収束するまで理論空燃比に維持される。
その後、時刻t5において、下流側出力空燃比AFdwnが理論空燃比からリーン側に向かって変化し始める。図7の例では、目標空燃比AFTを理論空燃比からリーン側の空燃比に切り替えてから下流側出力空燃比AFdwnがリーン側に向かって変化し始めるまでの時間である時刻t4から時刻t5までの時間が下流側空燃比センサ41のむだ時間として検出される。時刻t5では、下流側出力空燃比AFdwnの時間変化の傾きが負から正の値に変化する。したがって、例えば、下流側出力空燃比AFdwnの時間変化の傾き、すなわち下流側出力空燃比AFdwnの微分値に基づいて、下流側出力空燃比AFdwnがリーン側に向かって変化し始めるタイミングを検出することができる。この場合、具体的には、下流側出力空燃比AFdwnの微分値が、予め定められた値以上、例えば0以上になったときに下流側出力空燃比AFdwnがリーン側に向かって変化し始めたと判定される。
検出されたむだ時間が予め定められた基準時間以上である場合、下流側空燃比センサ41にむだ時間による異常が生じていると判定される。基準時間は、正常な下流側空燃比センサ41のむだ時間の上限値よりも大きな値とされる。
また、時刻t5において下流側出力空燃比AFdwnがリーン側に向かって変化し始めると、下流側空燃比センサ41の一次遅れ時定数Tが検出される。一次遅れ時定数Tは、例えば、図7に示されるように、時刻t5の直後における下流側出力空燃比AFdwnの時間変化の傾きに基づいて算出される。
検出された一次遅れ時定数Tが予め定められた基準値以上である場合、下流側空燃比センサ41に一次遅れによる異常が生じていると判定される。基準値は、正常な下流側空燃比センサ41の一次遅れ時定数の上限値よりも大きな値とされる。
その後、時刻t6において、下流側空燃比センサ41の出力空燃比AFdwnがリーン判定空燃比AFlean以上になると、目標空燃比AFTが、t1以前の目標空燃比である理論空燃比に戻される。なお、目標空燃比AFTは、下流側空燃比センサ41の一次遅れ時定数Tが検出された後、下流側空燃比センサ41の出力空燃比AFdwnがリーン判定空燃比AFleanに達する前にリーン設定空燃比AFTleanから理論空燃比に戻されてもよい。
ところで、下流側空燃比センサ41のむだ時間を検出するときの排気浄化触媒20の酸素吸蔵量が最大でない場合、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量及び劣化度合いに応じて、目標空燃比AFTを理論空燃比からリーン設定空燃比AFTleanに切り替えてから、理論空燃比よりもリーンな排気ガスが下流側空燃比センサ41に到達するまでの時間が変動する。この結果、下流側空燃比センサ41の異常以外の要因である排気浄化触媒20の酸素吸蔵量及び劣化度合いによってもむだ時間が変動するため、下流側空燃比センサ41のむだ時間の異常を精度良く診断することができない。
一方、本実施形態では、下流側出力空燃比AFdwnが理論空燃比よりもリーン側にあるときにむだ時間が検出される。このため、むだ時間は、常に排気浄化触媒20の酸素吸蔵量が最大の状態で検出され、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量及び劣化度合いの影響を受けない。したがって、本実施形態では、下流側空燃比出力空燃比AFdwnが理論空燃比からリーン側に変化するときのむだ時間の異常を精度良く診断することができる。
また、本実施形態では、下流側空燃比出力空燃比AFdwnが理論空燃比からリーン側に変化するときのむだ時間及び一次遅れ時定数を精度良く検出することができる。このことによって、下流側空燃比センサ41の出力の補正が可能となり、下流側空燃比センサ41に基づく空燃比制御が改善される。また、下流側空燃比センサ41を用いた排気浄化触媒20の異常診断において、誤った診断を行う可能性が低減される。
<リーン側異常診断の制御ルーチン>
以下、図8のフローチャートを参照して、下流側空燃比センサ41のリーン側異常診断について詳細に説明する。図8は、下流側空燃比センサ41のリーン側異常診断処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンでは、下流側空燃比センサ41の出力空燃比AFdwnが理論空燃比からリーン側に変化するときの応答遅れの異常が診断される。
図示した制御ルーチンは、例えば、内燃機関の始動毎に、内燃機関の始動後の所定のタイミングで実行される。最初に、ステップS201において、異常診断処理の実行条件が成立しているか否かが判定される。下流側空燃比センサ41の応答特性は、吸入空気量、大気圧、センサ素子の温度等によって変動する。このため、ステップS201では、異常診断の精度を高めるために、例えば、吸入空気量、大気圧及びセンサ素子の温度が所定の範囲内にあるか否かが判定される。
ステップS201において、異常診断処理の実行条件が成立していないと判定された場合、異常診断が実施されることなく、本制御ルーチンは終了する。ステップS201において、異常診断処理の実行条件が成立していると判定された場合、ステップS202へと進む。ステップS202では、下流側出力空燃比AFdwnがリーン判定空燃比AFlean以上であるか否かが判定される。リーン判定空燃比AFleanは、理論空燃比よりもリーンである予め定められた空燃比である。ステップS202において、下流側出力空燃比AFdwnがリーン判定空燃比AFlean以上であると判定された場合、すなわち排気浄化触媒20の酸素吸蔵量が最大である場合、ステップS203へと進む。ステップS203では、目標空燃比AFTが理論空燃比(14.6)に設定される。
一方、ステップS202において、下流側出力空燃比AFdwnがリーン判定空燃比AFleanよりも小さい(リッチである)と判定された場合、ステップS209へと進む。本制御ルーチンの開始時に目標空燃比AFTが理論空燃比に設定されていた場合、空燃比制御が正常に行われていれば、下流側出力空燃比AFdwnは理論空燃比を示す。したがって、このような場合には、ステップS202において、下流側出力空燃比AFdwnがリーン判定空燃比AFleanよりも小さい(リッチである)と判定される。
ステップS209では、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量を最大にするために、目標空燃比AFTがリーン設定空燃比AFTleanに設定される。リーン設定空燃比AFTleanは、理論空燃比よりもリーンであり且つリーン判定空燃比AFleanよりもリーンである予め定められた空燃比であり、例えば14.7〜15.2程度とされる。なお、リーン設定空燃比AFTleanはリーン判定空燃比AFleanと同一であってもよい。
ステップS209は、ステップS202において下流側出力空燃比AFdwnがリーン判定空燃比AFlean以上であると判定されるまで繰り返される。したがって、目標空燃比AFTは、下流側出力空燃比AFdwnがリーン判定空燃比AFleanに達するまでリーン設定空燃比AFTleanに維持される。この結果、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量が最大なり、その後、ステップS203において、目標空燃比AFTが理論空燃比(14.6)に設定される。
次いで、ステップS204では、下流側出力空燃比AFdwnがリーン側ストイキ判定空燃比AFsticl以下であるか否かが判定される。リーン側ストイキ判定空燃比AFsticlは、理論空燃比よりも僅かにリーンである予め定められた空燃比である。ステップS204において、下流側出力空燃比AFdwnがリーン側ストイキ判定空燃比AFsticlよりも大きい(リーンである)と判定された場合、ステップS203に戻る。したがって、目標空燃比AFTは、下流側出力空燃比AFdwnがリーン側ストイキ判定空燃比AFsticlに達するまで理論空燃比に維持される。ステップS204において、下流側出力空燃比AFdwnがリーン側ストイキ判定空燃比AFsticl以下であると判定されると、ステップS205へと進む。なお、リーン側ストイキ判定空燃比AFsticlは理論空燃比であってもよい。この場合、目標空燃比AFTは、下流側出力空燃比AFdwnが理論空燃比に収束するまで理論空燃比に維持される。
ステップS205では、目標空燃比AFTが理論空燃比からリーン設定空燃比AFTleanに切り替えられる。次いで、ステップS206では、目標空燃比AFTが理論空燃比からリーン設定空燃比AFTleanに切り替えられてから下流側出力空燃比AFdwnが理論空燃比からリーン側に向かって変化し始めるまでのむだ時間が検出される。検出されたむだ時間が基準時間以上である場合、下流側空燃比センサ41のむだ時間に異常が生じていると判定する。この場合、斯かる異常をユーザに知らせるために、警告灯が点灯せしめられる。
次いで、ステップS207では、下流側出力空燃比AFdwnが理論空燃比からリーン設定空燃比AFTleanに向かって変化するときの一次遅れ時定数が検出される。検出された一次遅れ時定数が基準値以上である場合、下流側空燃比センサ41の一次遅れに異常が生じていると判定する。この場合、斯かる下流側空燃比センサ41の異常をユーザに知らせるために、警告灯が点灯せしめられる。
次いで、ステップS208では、異常診断が終了したため、目標空燃比AFTが理論空燃比に設定される。なお、ステップS208において設定される目標空燃比AFTは、このときの機関運転状態に応じた理論空燃比以外の空燃比であってもよい。ステップS208の後、本制御ルーチンは終了する。
なお、本制御ルーチンは、内燃機関の運転中に、下流側出力空燃比AFdwnがリーン判定空燃比AFlean以上になったときに実行されてもよい。この場合、本制御ルーチンのステップS202及びステップS209は省略される。下流側出力空燃比AFdwnは、例えば、目標空燃比AFTが理論空燃比よりもリーンな空燃比と理論空燃比よりもリッチな空燃比との間で交互に切り替えられることによって、又は燃料カット制御が実施されることによって、リーン判定空燃比AFlean以上になる場合がある。
なお、上述した全ての制御は内燃機関のECU31によって制御される。
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。
1 機関本体
5 燃焼室
6 吸気弁
7 吸気ポート
8 排気弁
9 排気ポート
11 燃料噴射弁
19 排気マニホルド
20 排気浄化触媒
31 ECU
40 上流側空燃比センサ
41 下流側空燃比センサ

Claims (1)

  1. 内燃機関の排気通路において排気浄化触媒の排気流れ方向下流側に配置された下流側空燃比センサの異常診断装置であって、
    前記排気浄化触媒に流入する排気ガスの目標空燃比を設定すると共に、前記排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比が前記目標空燃比に一致するように燃焼室に供給する燃料量を制御する空燃比制御手段を備え、
    前記空燃比制御手段は、前記下流側空燃比センサの異常診断を実施するために、該下流側空燃比センサによって検出された下流側出力空燃比が、理論空燃比よりもリッチ側及びリーン側のいずれか一方の側にあるときに、前記下流側出力空燃比が理論空燃比に向かって変化するように前記目標空燃比を理論空燃比に設定し、その後、前記下流側出力空燃比に基づいて前記下流側空燃比センサに到達した排気ガスの空燃比が理論空燃比であると判定されている間に前記目標空燃比を理論空燃比から理論空燃比よりも前記一方の側の空燃比に切り替え、
    当該下流側空燃比センサの異常診断装置は、前記目標空燃比を理論空燃比から前記一方の側の空燃比に切り替えてから前記下流側出力空燃比が前記一方の側に向かって変化し始めるまでの時間が基準時間以上である場合に、前記下流側空燃比センサにむだ時間による異常が生じていると判定するように構成される、下流側空燃比センサの異常診断装置。
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