JP2016210116A - 液体吐出装置、及び液体吐出ヘッド調整方法 - Google Patents

液体吐出装置、及び液体吐出ヘッド調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鉛直方向成分を含む方向へ液体吐出ヘッドを移動させる場合に、安定した吐出状態を実現させる液体吐出装置、及び液体吐出ヘッド調整方法を提供する。
【解決手段】液体吐出ヘッドの内部流路308、318の圧力が、鉛直方向成分を含む第一方向への液体吐出ヘッド21の移動の間に予め決められた許容範囲外になる変動を有するか否かを判断し、液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が予め決められた許容範囲外になる変動を有すると判断される場合に、第一方向への液体吐出ヘッドの移動と連動して、個別流路252、256を閉じ、液体吐出ヘッドを第一方向へ移動させる。
【選択図】図6

Description

本発明は液体吐出装置、及び液体吐出ヘッド調整方法に係り、特に液体吐出ヘッドの内部圧力の調整技術に関する。
液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置として、インクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置が知られている。インクジェットヘッドは、液体を吐出させる際の内部圧力を一定に保つことで、安定した吐出を実現している。
特許文献1はシリアル方式のインクジェット記録装置において、キャリッジの走査範囲の端部でインクの圧力を検出し、検出されたインクの圧力と予め決められた適正圧力範囲とを比較して、検出されたインクの圧力が適正圧力範囲でない場合にエラーを警告する構成が記載されている。
また、特許文献1に記載のインクジェット記録装置は、エラーを警告された場合、キャリッジの加速度を遅くして、インク圧力の検出を行う構成が記載されている。なお、本明細書における検出の用語は、特許文献1における検知の用語に対応している。
特許文献2はシリアル方式のインクジェット記録装置において、インクジェットヘッドの内部圧力の許容範囲が小さいインクジェットヘッドが混在した場合には、圧力変動を抑えるべくキャリッジの加減速制御を緩やかに行うことにより描画速度を極力低下させずに、圧力変動によるインク吐出異常に陥ることがない構成が記載されている。なお、本明細書におけるインクジェットヘッド、内部圧力、描画速度、及び吐出異常の用語は、特許文献2の記録ヘッド、水頭圧、印字速度、及び吐出不良の用語に対応している。
特開2014−104675号公報 特開平6−099594号公報
しかしながら、媒体の全幅に対応する長さにわたって吐出素子が配置されたライン型のインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置は、描画位置からメンテナンス位置への移動の際にインクジェットヘッドを鉛直方向に沿って移動させることがある。また、描画対象の媒体の浮きが検出された場合に、インクジェットヘッドの液体吐出面と媒体との接触を回避するために、インクジェットヘッドを鉛直方向に沿って移動させることがある。インクジェットヘッドを鉛直方向に沿って移動させると、移動の際の加速度によってインクジェットヘッドの内部圧力が変動し、吐出状態が不安定になることがありうる。
特許文献1、及び特許文献2に記載のインクジェット記録装置は、いずれもシリアル方式のインクジェットヘッドを備えるものであり、いずれもインクジェットヘッドの移動方向が水平方向である。
シリアル方式のインクジェットヘッドを水平方向へ移動させる場合と、ライン型のインクジェットヘッドを鉛直方向に沿って移動させる場合とでは、インクジェットヘッドの重量、インクの重量、及び移動速度等の条件が相違するので、シリアル方式のインクジェットヘッドに適用される圧力調整技術を、ライン型のインクジェットヘッドに適用することは困難である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、鉛直方向成分を含む方向へ液体吐出ヘッドを移動させる場合に、安定した吐出状態を実現させる液体吐出装置、及び液体吐出ヘッド調整方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、次の発明態様を提供する。
第1態様に係る液体吐出装置は、液体を吐出させる吐出素子を具備する液体吐出ヘッドであり、吐出素子と連通する個別流路、個別流路と連通する内部流路を具備する液体吐出ヘッドと、個別流路の開閉を切り換える個別流路開閉手段であって、個別流路に設けられる個別流路開閉手段と、鉛直方向成分を有する第一方向へ液体吐出ヘッドを移動させる第一ヘッド移動手段と、液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間に予め決められた許容範囲外になる変動を有するか否かを判断する判断手段と、判断手段によって液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が予め決められた許容範囲外になる変動を有すると判断される場合に、第一ヘッド移動手段の動作と連動して、個別流路開閉手段の動作を制御して個別流路を閉じる個別流路開閉制御手段と、を備える液体吐出装置である。
第1態様によれば、第一方向へ液体吐出ヘッドを移動させる場合に、液体吐出ヘッドの移動と連動して、吐出素子と連通する個別流路が閉じられるので、液体吐出ヘッドを第一方向へ移動させる間の個別流路と連通する液体吐出ヘッドの内部流路の圧力変動が許容範囲内に抑制される。
第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間には、実際に液体吐出ヘッドが第一方向へ移動している期間だけでなく、第一ヘッド移動手段を用いた液体吐出ヘッドの移動制御が開始されてから、実際に液体吐出ヘッドが第一方向へ移動するまでの期間、及び液体吐出ヘッドが停止してから第一ヘッド移動手段を用いた液体吐出ヘッドの移動制御が停止されるまでの期間が含まれていてもよい。
第2態様は、第1態様の液体吐出装置において、個別流路開閉制御手段は、判断手段によって液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が許容範囲外になる変動を有すると判断される場合に、第一ヘッド移動手段が第一方向へ液体吐出ヘッドを移動させる前に、個別流路開閉手段を動作させて個別流路を閉じ、第一ヘッド移動手段が第一方向への液体吐出ヘッドの移動を停止させると、個別流路開閉手段を動作させて個別流路を開ける構成とすることができる。
第2態様によれば、第一方向への液体吐出ヘッドの移動中は、個別流路が閉じられるので、第一方向へ液体吐出ヘッドを移動させる際の個別流路と連通する液体吐出ヘッドの内部流路の圧力変動が抑制される。
第3態様は、第1態様又は第2態様の液体吐出装置において、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間の液体吐出ヘッドの内部流路の圧力変動を予測する圧力変動予測手段を備え、判断手段は、圧力変動予測手段の予測結果に基づいて、液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間に許容範囲外になる変動を有するか否かを判断する構成とすることができる。
第3態様において、第一ヘッド移動手段の動作パラメータに基づいて、第一方向への液体吐出ヘッドの移動の間の液体吐出ヘッドの内部流路の圧力変動を予測することが可能である。
第一ヘッド移動手段の動作パラメータとして、第一ヘッド移動手段にアクチュエータを備える態様におけるアクチュエータの動作周波数を適用することができる。
第4態様は、第1態様の液体吐出装置において、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間の液体吐出ヘッドの加速度を測定する加速度測定手段を備え、判断手段は、加速度測定手段の測定結果に基づいて、液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間に予め決められた許容範囲外になる変動を有するか否かを判断し、個別流路開閉制御手段は、判断手段によって液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が許容範囲外になる変動を有すると判断される場合に、個別流路開閉手段を動作させて個別流路を閉じ、第一ヘッド移動手段によって第一方向への液体吐出ヘッドの移動を停止させると、個別流路開閉手段を動作させて個別流路を開ける構成とすることができる。
第4態様によれば、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間に、液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が許容範囲外になる変動を有すると判断されてから第一方向への液体吐出ヘッドの移動が停止されるまでの間は、吐出素子と連通する個別流路が閉じられるので、第一方向へ液体吐出ヘッドを移動させる際の個別流路と連通する液体吐出ヘッドの内部流路の圧力変動が抑制される。
第一方向への液体吐出ヘッドの移動が停止されるまでには、液体吐出ヘッドが実際に停止してから、第一ヘッド移動手段を用いた液体吐出ヘッドの移動制御が停止されるまでの期間が含まれていてもよい。
第5態様は、第1態様の液体吐出装置において、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間の液体吐出ヘッドの内部流路の圧力を測定する圧力測定手段を備え、判断手段は、圧力測定手段の測定に基づいて、液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間に予め決められた許容範囲外になる変動を有するか否かを判断し、個別流路開閉制御手段は、判断手段によって液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が許容範囲外になる変動を有すると判断される場合に、個別流路開閉手段を動作させて個別流路を閉じ、判断手段によって液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が許容範囲内に収まる変動を有すると判断されると、個別流路開閉手段を動作させて個別流路を開ける構成とすることができる。
第5態様によれば、液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が許容範囲外になる変動を有すると判断される期間は、吐出素子と連通する個別流路が閉じられるので、第一方向へ液体吐出ヘッドを移動させる際の個別流路と連通する液体吐出ヘッドの内部流路の圧力変動が抑制される。
第6態様は、第1態様から第5態様のいずれか一態様の液体吐出装置において、個別流路は、吐出素子へ液体を供給する供給側個別流路、及び吐出素子から液体を回収する回収側個別流路を含み、個別流路開閉手段は、供給側個別流路に設けられる供給側個別流路開閉手段、及び回収側個別流路に設けられる回収側個別流路開閉手段を含む構成とすることができる。
第6態様によれば、供給側の流路系、及び回収側の流路系を備える液体吐出装置においても、両者に第1態様から第5態様のいずれか一態様を適用することで、第一方向へ液体吐出ヘッドを移動させる際の個別流路と連通する液体吐出ヘッドの内部流路の圧力変動が抑制される。
第7態様は、第5態様の液体吐出装置において、個別流路は、吐出素子へ液体を供給する供給側個別流路、及び吐出素子から液体を回収する回収側個別流路を含み、個別流路開閉手段は、供給側個別流路に設けられる供給側個別流路開閉手段、及び回収側個別流路に設けられる回収側個別流路開閉手段を含み、液体吐出ヘッドの内部流路は、吐出素子へ供給される液体を一時的に蓄える供給側一時貯留手段であり、供給側個別流路と接続される供給側一時貯留手段、及び吐出素子から回収される液体を一時的に蓄える回収側一時貯留手段であり、回収側個別流路と接続される回収側一時貯留手段、を含み、圧力測定手段は、供給側一時貯留手段の内部圧力を検出する供給側圧力センサ、及び回収側一時貯留手段の内部圧力を検出する回収側圧力センサである構成とすることができる。
第7態様によれば、回収側の流路系を備える液体吐出装置においても、圧力測定手段の測定に基づいて、吐出素子と連通する個別流路が閉じられるので、第一方向へ液体吐出ヘッドを移動させる際の個別流路と連通する液体吐出ヘッドの内部流路の圧力変動が抑制される。
第8態様に係る液体吐出装置は、液体を吐出させる吐出素子、吐出素子と連通する個別流路、及び個別流路と連通する内部流路を具備する液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドの内部流路の圧力を調整する内部圧力調整手段と、鉛直方向成分を有する第一方向へ液体吐出ヘッドを移動させる第一ヘッド移動手段と、液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間に予め決められた許容範囲外になる変動を有するか否かを判断する判断手段と、判断手段によって液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が予め決められた許容範囲外になる変動を有すると判断される場合に、第一ヘッド移動手段の動作と連動して、内部圧力調整手段に適用される比例制御パラメータを変更して圧力変動に対する感度を上げる比例制御パラメータ変更手段と、を備える液体吐出装置である。
第8態様によれば、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間に、液体吐出ヘッドの移動と連動して、比例制御パラメータを変更して圧力変動に対する感度を上げられるので、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間の個別流路と連通する液体吐出ヘッドの内部流路の圧力変動が抑制される。
第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間には、実際に液体吐出ヘッドが第一方向へ移動している期間だけでなく、第一ヘッド移動手段を用いた液体吐出ヘッドの移動制御が開始されてから、実際に液体吐出ヘッドが第一方向へ移動するまでの期間、及び液体吐出ヘッドが停止してから第一ヘッド移動手段を用いた液体吐出ヘッドの移動制御が停止されるまでの期間が含まれていてもよい。
第9態様は、第8態様の液体吐出装置において、比例制御パラメータ変更手段は、判断手段によって液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が許容範囲外になる変動を有すると判断される場合に、第一ヘッド移動手段が第一方向へ液体吐出ヘッドを移動させる前に、内部圧力調整手段に適用される比例制御パラメータを変更して圧力変動に対する感度を上げ、第一ヘッド移動手段が第一方向への液体吐出ヘッドの移動を停止させると、比例制御パラメータを変更前に復帰させる構成とすることができる。
第9態様によれば、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動中は、比例制御パラメータが適宜変更されるので、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間の個別流路と連通する液体吐出ヘッドの内部流路の圧力変動が抑制される。
第10態様は、第8態様又は第9態様の液体吐出装置において、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間の液体吐出ヘッドの内部流路の圧力変動を予測する圧力変動予測手段を備え、判断手段は、圧力変動予測手段の予測結果に基づいて、液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間に許容範囲外になる変動を有するか否かを判断する構成とすることができる。
第10態様において、第一ヘッド移動手段の動作パラメータに基づいて、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間の液体吐出ヘッドの内部流路の圧力変動を予測することが可能である。
第11態様は、第8態様の液体吐出装置において、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間の液体吐出ヘッドの加速度を測定する加速度測定手段を備え、判断手段は、加速度測定手段の測定結果に基づいて、液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間に予め決められた許容範囲外になる変動を有するか否かを判断し、比例制御パラメータ変更手段は、判断手段によって液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が許容範囲外になる変動を有すると判断される場合に、内部圧力調整手段に適用される比例制御パラメータを変更して圧力変動に対する感度を上げ、第一ヘッド移動手段によって第一方向への液体吐出ヘッドの移動を停止させると、比例制御パラメータを変更前に復帰させる構成とすることができる。
第11態様によれば、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間に、液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が許容範囲外になる変動を有すると判断されてから第一方向への液体吐出ヘッドの移動が停止されるまでの間は、変更された比例制御パラメータに基づいて液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が制御されるので、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間の個別流路と連通する液体吐出ヘッドの内部流路の圧力変動が抑制される。
第12態様は、第8態様の液体吐出装置において、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間の液体吐出ヘッドの内部流路の圧力を測定する圧力測定手段を備え、判断手段は、圧力測定手段の測定結果に基づいて、液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間に予め決められた許容範囲外になる変動を有するか否かを判断し、比例制御パラメータ変更手段は、判断手段によって液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が許容範囲外になる変動を有すると判断される場合に、内部圧力調整手段に適用される比例制御パラメータを変更して圧力変動に対する感度を上げ、判断手段によって液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が許容範囲内に収まる変動を有すると判断されると、比例制御パラメータを変更前に復帰させる構成とすることができる。
第12態様によれば、液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が許容範囲外になる変動を有すると判断される期間は、比例制御パラメータが変更されるので、第一ヘッド移動手段による液体吐出ヘッドの第一方向への移動の間の個別流路と連通する液体吐出ヘッドの内部流路の圧力変動が抑制される。
第13態様は、第8態様から第12態様のいずれか一態様の液体吐出装置において、個別流路は、吐出素子へ液体を供給する供給側個別流路、及び吐出素子から液体を回収する回収側個別流路を含む構成とすることができる。
第13態様によれば、供給側の流路系、及び回収側の流路系を備える液体吐出装置においても、両者に第8態様から第12態様のいずれか一態様を適用することで、第一方向へ液体吐出ヘッドを移動させる際の個別流路と連通する液体吐出ヘッドの内部流路の圧力変動が抑制される。
第14態様は、第5態様又は第12態様の液体吐出装置において、液体吐出ヘッドの内部流路は、吐出素子へ供給される液体を一時的に蓄える一時貯留手段を含み、圧力測定手段は、一時貯留手段の内部圧力を検出する圧力センサである構成とすることができる。
第14態様によれば、一時貯留手段の内部圧力に基づいて、第一方向へ液体吐出ヘッドを移動させる際の個別流路と連通する液体吐出ヘッドの内部流路の圧力変動を抑制することができる。
第15態様は、第12態様の液体吐出装置において、個別流路は、吐出素子へ液体を供給する供給側個別流路、及び吐出素子から液体を回収する回収側個別流路を含み、液体吐出ヘッドの内部流路は、吐出素子へ供給される液体を一時的に蓄える供給側一時貯留手段であり、供給側個別流路と接続される供給側一時貯留手段、及び吐出素子から回収される液体を一時的に蓄える回収側一時貯留手段であり、回収側個別流路と接続される回収側一時貯留手段、を含み、圧力測定手段は、供給側一時貯留手段の内部圧力を検出する供給側圧力センサ、及び回収側一時貯留手段の内部圧力を検出する回収側圧力センサである構成とすることができる。
第15態様によれば、回収系の流路を備える場合に、供給側一時貯留手段の内部圧力、及び回収側一時貯留手段の内部圧力に基づいて、第一方向へ液体吐出ヘッドを移動させる際の個別流路と連通する液体吐出ヘッドの内部流路の圧力変動を抑制することができる。
第16態様は、第1態様から第15態様のいずれか一態様の液体吐出装置において、液体吐出ヘッドを水平方向へ移動させる第二ヘッド移動手段を備える構成とすることができる。
第16態様によれば、第一方向、及び水平方向へ液体吐出ヘッドを移動させる場合にも、第一方向へ液体吐出ヘッドを移動させる際の個別流路と連通する液体吐出ヘッドの内部流路の圧力変動を抑制することができる。
第17態様に係る液体吐出ヘッド調整方法は、液体を吐出させる吐出素子、吐出素子と連通する個別流路、及び個別流路と連通する内部流路を具備する液体吐出ヘッドの調整方法であって、液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が、鉛直方向成分を含む第一方向への前記液体吐出ヘッドの移動の間に予め決められた許容範囲外になる変動を有するか否かを判断する判断工程と、判断工程によって液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が予め決められた許容範囲外になる変動を有すると判断される場合に、第一方向への液体吐出ヘッドの移動と連動して、個別流路を閉じる個別流路閉工程と、液体吐出ヘッドを第一方向へ移動させる移動工程と、を含む液体吐出ヘッド調整方法である。
第17態様によれば、第1態様と同様の作用効果を得ることができる。
第17態様において、第2態様から第7態様、第14態様から第16態様で特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。液体吐出装置において特定される処理や動作の手段の要素は、対応する処理や機能を担う工程として把握することができる。
第18態様に係る液体吐出ヘッド調整方法は、液体を吐出させる吐出素子、吐出素子と連通する個別流路、及び個別流路と連通する内部流路を具備する液体吐出ヘッドの調整方法であって、液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が、鉛直方向成分を含む第一方向への液体吐出ヘッドの移動の間に予め決められた許容範囲外になる変動を有するか否かを判断する判断工程と、判断工程によって液体吐出ヘッドの内部流路の圧力が予め決められた許容範囲外になる変動を有すると判断される場合に、第一方向への液体吐出ヘッドの移動と連動して、液体吐出ヘッドの内部圧力の調整に適用される比例制御パラメータを変更して圧力変動に対する感度を上げる比例制御パラメータ変更工程と、を含む液体吐出ヘッド調整方法である。
第18態様によれば、第8態様と同様の作用効果を得ることができる。
第17態様において、第9態様から第16態様で特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。液体吐出装置において特定される処理や動作の手段の要素は、対応する処理や機能を担う工程として把握することができる。
本発明によれば、第一方向へ液体吐出ヘッドを移動させる場合に、液体吐出ヘッドの移動と連動して、吐出素子と連通する個別流路が閉じられるので、液体吐出ヘッドを第一方向へ移動させる間の個別流路と連通する液体吐出ヘッドの内部流路の圧力変動が許容範囲内に抑制される。
図1は本発明の第一実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成を示す全体構成図である。 図2はインクジェットヘッドの液体吐出面の透視平面図である。 図3はヘッドモジュール斜視図であり部分断面図を含む図である。 図4はヘッドモジュールにおける液体吐出面の平面透視図である。 図5はヘッドモジュールの内部構造を示す断面図である。 図6はインクジェットヘッドの内部流路の構造を示す透視斜視図である。 図7はインクジェットヘッドの内部流路の構成、及びインク供給系の構成を示すブロック図である。 図8は第一ヘッド移動部の概略構成を模式的に示した模式図である。 図9は図1に示したインクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。 図10はインクジェットヘッドの垂直移動に伴う技術課題の説明図である。 図11は本発明の第一実施形態に係るインクジェットヘッド調整方法の制御の流れを示すフローチャートである。 図12は本発明の第一実施形態に係るインクジェットヘッド調整方法の効果の説明図である。 図13は第一実施形態の第一変形例に係るインクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。 図14は本発明の第一実施形態の第一変形例に係るインクジェットヘッド調整方法の制御の流れを示すフローチャートである。 図15は本発明の第一実施形態の第二変形例に係るインクジェットヘッド調整方法の制御の流れを示すフローチャートである。 図16は本発明の第二実施形態に係るインクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。 図17は本発明の第二実施形態に係るインクジェットヘッド調整方法の説明図である。 図18は本発明の第二実施形態に係るインクジェットヘッド調整方法の制御の流れを示すフローチャートである。 図19は本発明の第二実施形態の第一変形例に係るインクジェットヘッド調整方法の制御の流れを示すフローチャートである。 図20は本発明の第二実施形態の第二変形例に係るインクジェットヘッド調整方法の制御の流れを示すフローチャートである。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
[第一実施形態]
<インクジェット記録装置の全体構成>
図1は本発明の第一実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成を示す全体構成図である。図1に示したインクジェット記録装置10は、媒体100にインクを用いてインクジェット方式で描画する画像形成装置である。また、図1に示したインクジェット記録装置10は、液体吐出装置の一態様である。インクは液体の一態様である。
以下に、本実施の形態のインクジェット記録装置10の各部の構成について詳説する。
<媒体供給部>
媒体供給部17は、ストッカー17Dから媒体100を取り出し、取り出された媒体100を描画部60へ受け渡す。媒体供給部17は、媒体100を蓄えるストッカー17D、媒体100の姿勢を一枚ずつ調整して渡し胴17Aへ受け渡す姿勢調整部17B、及び後段の描画部60へ媒体を受け渡す渡し胴17Aを備えている。
渡し胴17Aは、枠体で構成された渡し胴本体17C、及び渡し胴本体17Cに備えられたグリッパー17Gによって構成されている。渡し胴17Aは、媒体100の最大幅に対応して形成されており、図示しないモータに駆動されて回転する。
媒体の最大幅は、媒体100の搬送方向と直交する方向における媒体100の最大長さである。媒体の最大幅は図2に符号Lmaxを付して図示する。以下の説明において、媒体100の搬送方向を媒体搬送方向と記載することがある。
媒体搬送方向と直交する方向は、図2に符号Xを付して図示する。また、媒体搬送方向は、図2に符号Yを付して図示する。
本明細書における直交、又は垂直の用語は、90度を超える角度で交差する場合、又は90度未満の角度で交差する場合のうち、90度で交差する場合と同一の作用効果を奏する実質的な直交、又は垂直が含まれる。
また、本明細書における平行の用語は、二方向が非平行であるものの、平行と同一の作用効果を奏する実質的な平行が含まれる。さらに、本明細書における同一の用語は、相違があるものの、同一と同様の作用効果を得ることができる実質的な同一が含まれる。
渡し胴17Aは、図1における時計回りに回転する。これにより、グリッパー17Gが同一円周上を回転する。媒体100は、グリッパー17Gに先端部を把持されて搬送される。図1では渡し胴17Aの回転方向を矢印線により図示する。
グリッパー17Gは媒体搬送方向と直交する方向であり、渡し胴17Aの回転軸方向に沿って配置される複数の爪、爪台、及び複数の爪を一括して開閉させる爪開閉部を備えている。グリッパー17Gは爪と爪台との間に媒体100の先端を挟んで媒体100を固定する。
図1に示した媒体供給部17によって、媒体100は描画部60へ供給される。
<描画部>
描画部60は、媒体100の描画面にシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックの各色のインクを打滴して、媒体100の描画面にカラー画像を描画する。描画部60は、媒体100を搬送する描画胴61、描画胴61によって搬送される媒体100の描画面を押圧して、媒体100の描画面の反対側の面を描画胴61の外周面61Aに密着させる用紙押さえローラ63、及び媒体100にシアン、マゼンタ、イエロー、並びにブラックの各色のインクを打滴するインクジェットヘッド21C,21M,21Y,21K、及びインラインセンサを備えて構成されている。
インクジェットヘッド21C,21M,21Y,21Kは液体吐出ヘッドの一態様である。描画胴61は媒体搬送手段の一態様である。なお、本明細書における打滴の用語は、吐出と同義語として取り扱うことができる。
描画胴61は、渡し胴17Aから媒体100を受け取り、図1における反時計回りに回転して媒体100を搬送する。媒体100は描画胴61の外周面61Aに吸着保持されて搬送される。図1では描画胴61の回転方向を矢印線により図示する。なお、媒体100の描画胴61の外周面61Aへの支持は、真空吸着に限定されない。静電吸着などを適用することもできる。
描画胴61の外周面61Aにはグリッパー61Gが備えられている。媒体100はグリッパー61Gに先端部を把持されて搬送される。図1に示した描画胴61は、外周面61Aの二箇所にグリッパー61Gが備えられており、二つのグリッパー61Gが描画胴61の回転軸61Bを挟んで対称位置に配置される。描画胴61は、一回転で二枚の用紙を搬送できるように構成されている。
描画胴61に具備されるグリッパー61Gの基本的な構造は、渡し胴17Aに具備されるグリッパー17Gと共通している。媒体搬送方向と直交する方向について、描画胴61のグリッパー61Gの複数の爪の配置は、渡し胴17Aのグリッパー17Gの複数の爪の間に位置に対応している。
描画胴61の媒体受取位置において渡し胴17Aから描画胴61へ媒体100を受け渡す際に、渡し胴17Aのグリッパー17Gによって掴まれた媒体100の先端は、描画胴61のグリッパー61Gに掴まれ、渡し胴17Aのグリッパー17Gが媒体100を開放することで、渡し胴17Aから描画胴61へ媒体100が受け渡される。
媒体100は、描画胴61の媒体受取位置から、チェーン搬送部72の媒体受取位置までの領域において、描画胴61の外周面61Aによって画される円弧状の面を媒体搬送面とし、媒体搬送面の上に設定される媒体搬送経路を搬送される。媒体搬送経路は、媒体搬送方向と直交する方向における描画胴61の中央を通り、媒体100の最大幅に対応して設定される。
用紙押さえローラ63は、描画胴61の媒体受取位置の近傍に設置されており、図示しない押圧機構によって押圧力が付与されて、描画胴61の外周面61Aに押圧当接されている。渡し胴17Aから描画胴61に受け渡された媒体100は、用紙押さえローラ63と描画胴61の外周面61Aとの間を通過することによりニップされ、媒体100の描画面の反対側の面が描画胴61の外周面61Aに密着される。
シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックの各色のインクを打滴するインクジェットヘッド21C,21M,21Y,21Kは、媒体搬送経路に沿って一定の間隔で配置されている。インクジェットヘッド21C,21M,21Y,21Kは、媒体100の最大幅に対応したライン型ヘッドであり、液体吐出面に形成された複数のノズル部から、媒体100へ向けてインクを吐出する。
図1に図示しないインクジェットヘッド21C,21M,21Y,21Kの液体吐出面は、インクジェットヘッド21C,21M,21Y,21Kの描画胴61の外周面61Aと対向する面であり、インクを吐出させる液体吐出面として機能する面である。
インクジェットヘッド21C,21M,21Y,21Kから吐出させたインクによって、媒体100の描画面にカラー画像が描画される。
インラインセンサ64は、カラー画像が描画された媒体100の描画面を読み取る読取手段として機能する。インクジェット記録装置10は、インラインセンサ64の読取結果に基づいて、インクジェットヘッド21C,21M,21Y,21Kの吐出異常を検出することができる。
<回収部>
回収部70は、一連の描画処理が行われた媒体100をスタッカ71に積み重ねて回収する。回収部70は、媒体100を回収するスタッカ71と、媒体100を描画部60から受け取り、スタッカ71へ排紙するチェーン搬送部72と、チェーン搬送部72によって搬送される媒体100を支持するガイド73と、を備えて構成されている。
チェーン搬送部72は、媒体搬送方向と直交する方向に沿って配置された二本のチェーン72Aを備えている。無端状のチェーン72Aは、二つのスプロケット72B,72Cに巻き掛けられる。チェーン搬送部72は、図1における時計回り方向へスプロケット72B、又はスプロケット72Cを回転させることで、チェーン72Aを走行させる。
チェーン72Aには、媒体搬送方向に沿って複数のグリッパー72Gが設けられている。図1では、二本のチェーン72Aの一方のみを図示する。グリッパー72Gは、二本のチェーン72Aの間に掛け渡された不図示のグリッパー支持部材によって支持される。グリッパー72Gの基本的な構造、及び動作は、渡し胴17Aのグリッパー17G、及び描画胴61のグリッパー61Gと共通しているので説明を省略する。
チェーン搬送部72は、チェーン72Aの走行方向に沿って複数のグリッパー72Gが配置されている。複数のグリッパー72Gの配置間隔は、媒体搬送方向における媒体100の最大長さに対応している。
図1におけるチェーン搬送部72の下側には、ガイド73が配置されている。描画部60からチェーン搬送部72へ受け渡された媒体100は、チェーン72Aのグリッパー72Gによって先端を掴まれ、後端をガイド73に支持されて、チェーン72Aとガイド73との間を通過する。チェーン搬送部72によって搬送された媒体100は、スタッカ71へ回収される。
インクジェット記録装置10の構成は、本実施形態に限定されない。例えば、描画部60の前段に、描画前の媒体100の描画面に前処理を施す前処理部を備える態様も可能である。前処理の例として、インクに含まれる色材を凝集、又は不溶化させる処理液の塗布、処理液の乾燥処理、媒体100の加熱処理などが挙げられる。
また、描画部60の後段に後処理を施す後処理部を備える態様も可能である。後処理の例として、描画後の媒体100の定着処理、描画後の媒体100の乾燥処理などが挙げられる。
<インクジェットヘッドの構造>
図2はインクジェットヘッドの構造例を示す透視平面図である。以下の説明において、先に説明した構成と同一の構成には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
図1に示したインクジェットヘッド21C,21M,21Y,21Kは構造が共通しているので、インクジェットヘッド21C,21M,21Y,21Kを区別する必要がない場合は、符号21によりインクジェットヘッドを表すこととする。
図2に示すインクジェットヘッド21は、媒体搬送方向と直交する方向について複数のヘッドモジュール200がつなぎ合わせられた構造を有している。図2に示した複数のヘッドモジュール200は同一の構造、及び同一の機能を有している。なお、ヘッドモジュール200は単体でインクジェットヘッドとして機能させることが可能である。
図2に図示したインクジェットヘッド21は、複数のヘッドモジュール200を媒体搬送方向と直交する方向に沿って一列に配置させた構造を有し、媒体100の最大幅Lmaxに対応する長さにわたって、複数のノズル部が配置されたライン型のインクジェットヘッドである。ライン型のインクジェットヘッドはフルライン型のインクジェットヘッドと呼ばれることがある。
ノズル部は吐出素子の一態様である。吐出素子は液体を液滴として吐出させる単位である。吐出素子の構造、及び機能等の詳細は後述する。図2では吐出素子の図示は省略する。
本実施形態では、複数のヘッドモジュール200を媒体搬送方向と直交する方向に沿って一列に配置させた構造を有するインクジェットヘッド21を例示したが、複数のヘッドモジュール200を媒体搬送方向と直交する方向について千鳥状に配置させてもよいし、複数のヘッドモジュール200を一体構造としてもよい。
図3はヘッドモジュール斜視図であり部分断面図を含む図である。ヘッドモジュール200は、ノズルプレート275の液体吐出面277と反対側である、図3における上側にインク供給室232とインク循環室236等からなるインク供給ユニットを有している。
インク供給室232は、供給側個別流路252を介して不図示のインクタンクに接続され、インク循環室236は、回収側個別流路256を介して不図示の回収タンクに接続される。供給側個別流路252、及び回収側個別流路256は個別流路の一態様である。
図4はヘッドモジュールの液体吐出面の平面透視図である。図4では液体吐出面277に配置されるノズル開口280の数を省略して描いているが、1つのヘッドモジュール200の液体吐出面277には、二次元配置によって複数のノズル開口280が配置されている。
ヘッドモジュール200は、媒体搬送方向と直交する方向に対して角度βの傾きを有するV方向に沿った長辺側の端面と、媒体搬送方向に対して角度αの傾きを持つW方向に沿った短辺側の端面とを有する平行四辺形の平面形状となっており、V方向に沿う行方向、及びW方向に沿う列方向について、複数のノズル開口280がマトリクス配置されている。
ノズル開口280の配置は図4に図示した態様に限定されず、媒体搬送方向と直交する方向に沿う行方向、及び媒体搬送方向と直交する方向に対して斜めに交差する列方向に沿って複数のノズル開口280を配置してもよい。
ノズル開口280のマトリクス配置とは、複数のノズル開口280を媒体搬送方向と直交する方向に投影させて、複数のノズル開口280を媒体搬送方向と直交する方向に沿って配置させた媒体搬送方向と直交する方向の投影ノズル列280Aにおいて、ノズル開口280の配置間隔、ノズル間距離が均一となるノズル開口280の配置である。
媒体搬送方向と直交する方向の投影ノズル列280Aにおいて、隣接するヘッドモジュール200同士のつなぎ部分では、一方のヘッドモジュール200に属するノズル開口280と、他方のヘッドモジュール200に属するノズル開口280が混在している。
各ヘッドモジュール200に取り付け位置の誤差が存在しない場合、つなぎ領域における一方のヘッドモジュール200に属するノズル開口280と他方のヘッドモジュール200に属するノズル開口280とは、媒体搬送方向と直交する方向の投影ノズル列において同じ位置に配置されるので、つなぎ領域においてもノズル開口280の配置は均一である。
図5はインクジェットヘッドの内部構造を示す断面図である。符号214はインク供給路、符号218は圧力室、符号216は各圧力室218とインク供給路214とをつなぐ個別供給路、符号220は圧力室218からノズル開口280につながるノズル連通路、符号226はノズル連通路220と循環共通流路228とをつなぐ循環個別流路である。圧力室218は、液室と呼ばれることがある。
これら流路部214,216,218,220,226,228を構成する流路構造体210の上に、振動板266が設けられる。振動板266の上には接着層267を介して、下部電極265、圧電体層231及び上部電極264の積層構造から成る圧電素子230が配設されている。下部電極265は共通電極と呼ばれることがあり、上部電極264は個別電極と呼ばれることがある。
上部電極264は、各圧力室218の形状に対応してパターニングされた個別電極となっており、圧力室218ごとに、それぞれ圧電素子230が設けられている。
インク供給路214は、図3に示したインク供給室232につながっており、インク供給路214から個別供給路216を介して圧力室218にインクが供給される。入力画像データに応じて、対応する圧力室218に設けられた圧電素子230の上部電極264に駆動電圧を印加することによって、該圧電素子230及び振動板266が変形して圧力室218の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル連通路220を介してノズル開口280からインクが打滴される。
入力画像データから生成されるドット配置データに応じて各ノズル開口280に対応した圧電素子230の駆動を制御することにより、ノズル開口280からインクを打滴させることができる。
媒体100を一定の速度で媒体搬送方向に搬送しながら、その搬送速度に合わせて各ノズル開口280からのインク打滴タイミングを制御することによって、媒体100の上に所望の画像を記録することができる。
各ノズル開口280に対応して設けられている圧力室218は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部の一方にノズル開口280への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口である個別供給路216が設けられている。圧力室218の平面形状の図示は省略する。
なお、圧力室の平面形状は、正方形に限定されない。圧力室の平面形状は、菱形、長方形などの四角形、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
ノズル開口280、及びノズル連通路220を含むノズル部281には、循環出口が形成され、ノズル部281は循環出口を介して循環個別流路226と連通される。ノズル連通路220、及びノズル開口280のインクのうち、打滴に使用されないインクは循環個別流路226を介して循環共通流路228へ回収される。
循環共通流路228は、図3に示したインク循環室236につながっており、循環個別流路226を通って常時インクが循環共通流路228へ回収されることにより、非打滴時におけるノズル開口280近傍のインクの増粘が防止される。
以上説明したインクジェットヘッド21の例として、媒体搬送方向と直交する方向に沿って17個のヘッドモジュール200を一列に並べた構成が挙げられる。また、ヘッドモジュール200の例として、2048個の吐出素子を具備する構成が挙げられる。
図5に示したヘッドモジュール200における吐出素子は、一つのノズル部281、及びノズル部281に連通される圧力室218などの流路、ノズル部281に対応する圧電素子230が含まれる。
圧電素子230の例として、図4のノズル開口280に対応して個別に分離した構造を有する圧電素子230が挙げられる。もちろん、複数のノズル部281に対して一体に圧電体層231が形成され、各ノズル部281に対応して個別電極が形成され、ノズル部281ごとに活性領域が形成される構造を適用してもよい。
圧電素子に代わり圧力発生素子として圧力室218の内部にヒータを備え、ヒータに駆動電圧を供給して発熱させ、膜沸騰現象を利用して圧力室218内のインクをノズル開口280から打滴するサーマル方式を適用してもよい。
吐出素子の一態様として、図5に示したノズル部281、圧力室218等の流路、圧電素子230を含む構成を採用することができる。吐出素子は、インク供給路214等の供給流路構造を介して、図3に示した供給側個別流路252と連通される。また、吐出素子は、図5に示した循環個別流路226等の循環流路構造を介して、図3に示した回収側個別流路256と連通される。
<インク供給系の説明>
図6はインクジェットヘッドの内部流路の構造を示す透視斜視図である。図7はインクジェットヘッドの内部流路の構成、及びインク供給系の構成を示すブロック図である。図6に符号21Aを付した部材は、図7に示したインク供給系、及び図示しない制御回路基板を保護するカバーである。
図6に示すように、インクジェットヘッド21は複数のヘッドモジュール200が媒体搬送方向と直交する方向に沿って一列に並べられた構造を有している。インクジェットヘッド21に具備される複数のヘッドモジュール200は、フレーム300に支持される。媒体搬送方向と直交する方向について、フレーム300の両端にはインクジェットヘッド21を上下方向へ昇降させる際に、インクジェットヘッド21を支持する昇降支持部材302が取り付けられている。
各ヘッドモジュール200の供給側個別流路252は、供給側ダンパー304、及び供給側バルブ306を介して供給側マニホールド308と接続される。また、各ヘッドモジュール200の回収側個別流路256は、回収側ダンパー314、及び回収側バルブ316を介して回収側マニホールド318と接続される。
供給側マニホールド308は、インクジェットヘッド21の内部において、ヘッドモジュール200へ供給されるインクが一時的に貯留される各ヘッドモジュール200に共通する流路構造である。回収側マニホールド318は、インクジェットヘッド21の内部において、ヘッドモジュール200から回収されるインクが一時的に貯留される各ヘッドモジュール200に共通する流路構造である。
供給側バルブ306は供給側個別流路開閉手段に相当する。回収側バルブ316は回収側個別流路開閉手段に相当する。供給側個別流路開閉手段、及び回収側個別流路開閉手段は個別流路開閉手段の一態様である。
供給側マニホールド308は供給側一時貯留手段に相当する。回収側マニホールド318は回収側一時貯留手段に相当する。供給側一時貯留手段、及び回収側一時貯留手段は一時貯留手段の一態様である。
供給側マニホールド308内の液体の圧力を測定する手段として供給側圧力センサ320が取付けられている。回収側マニホールド318は、回収側マニホールド318内の液体の圧力を測定する手段として回収側圧力センサ322が取付けられている。
供給側圧力センサ320は供給側圧力測定センサに相当する。回収側圧力センサ322は回収側圧力測定センサに相当する。供給側圧力測定センサ、及び回収側圧力測定センサは圧力測定手段の一態様である。
回収側マニホールド318は、第一バイパス流路バルブ330、第一バイパス流路332を介して供給側マニホールド308と接続される。供給側マニホールド308は、第二バイパス流路バルブ334、第二バイパス流路336を介して回収側マニホールド318と接続される。
個別流路開閉手段は、第一バイパス流路バルブ330、及び第二バイパス流路バルブ334が含まれていてもよい。
供給側マニホールド308は、供給側流路340を介して、図7に示した供給背圧タンク342と接続される。供給背圧タンク342は密閉構造を有し、弾性膜342Aによって内部が気体室342Bと液室342Cに仕切られる構造を有している。
供給背圧タンク342の気体室342Bは、第一気体流路バルブ344、及び第一気体流路346を介して供給エアタンク348に接続される。供給エアタンク348は第一大気開放バルブ350が取付けられた第一大気開放流路352が接続される。第一大気開放バルブ350を開けることで、供給エアタンク348は大気開放される。
回収側マニホールド318は、回収側流路360を介して、図7に示した回収背圧タンク362と接続される。回収背圧タンク362は密閉構造を有し、弾性膜362Aによって内部が気体室362Bと液室362Cに仕切られる構造を有している。
供給背圧タンク342の弾性膜342A、及び回収背圧タンク362の弾性膜362Aは、インクの脈流を平滑化させるダンパーとして機能している。
回収背圧タンク362の気体室362Bは、第二気体流路バルブ364、及び第二気体流路366を介して回収エアタンク368に接続される。回収エアタンク368は第二大気開放バルブ370が取付けられた第二大気開放流路372が接続される。第二大気開放バルブ370を開けることで、回収エアタンク368は大気開放される。
供給背圧タンク342の液室342Cは第一供給流路374と接続される。第一供給流路374は第一供給流路バルブ376が取付けられる。回収背圧タンク362の液室362Cは回収流路375と接続される。回収流路375は第二供給流路バルブ378が配置される。第一供給流路374と回収流路375とは共通流路377の一方の端に合流する構造を有している。
共通流路377の他方の端は、方向切換バルブ329と接続される。方向切換バルブ329の第一出力口329Aには第二供給流路309が接続される。方向切換バルブ329の第二出力口329Bには第二回収流路319が接続される。
第二供給流路309は、供給ポンプ313を介して供給タンク311と接続される。また、第二回収流路319は、回収ポンプ323を介して回収タンク321と接続される。
供給タンク311と回収タンク321とは、ポンプ325を介して連通している。
方向切換バルブ329は、共通流路377へ第二供給流路309を接続させるか、又は第二回収流路319を接続させるかを切り換える。方向切換バルブ329による切り換えによって、供給タンク311からインクジェットヘッド21へのインク供給と、インクジェットヘッド21から回収タンク321へのインクの回収との切り換えが可能とされる。
図7に示したインク供給系は、異物を捕獲するフィルタ、インク内の気泡を除去する脱気装置、インクの逆流を防止する逆止弁等が適宜配置される。
本実施形態におけるインクジェットヘッド21の内部流路には、少なくとも、図6、及び図7に示した供給側マニホールド308が含まれる。また、インクジェットヘッド21の内部流路として回収側マニホールド318を含む態様も可能である。
<インクジェットヘッドの移動の説明>
図8は第一ヘッド移動部の概略構成を模式的に示した模式図である。図8に図示した第一ヘッド移動部400は、インクジェットヘッド21を鉛直方向に移動させる手段である。図8では、矢印線を用いてインクジェットヘッド21の移動方向を図示する。
第一ヘッド移動部400は、媒体搬送方向と直交する方向について、インクジェットヘッド21の両端の外側に配置される。第一ヘッド移動部400は、インクジェットヘッド21の昇降支持部材302を支持するヘッド支持部材402、及びヘッド支持部材402を鉛直方向に沿って昇降させるアクチュエータ404を備えている。
アクチュエータ404は、昇降機構、及び昇降機構の駆動源から構成される。昇降機構には、ボールねじなどを適用することができる。駆動源には回転型モータを適用することができる。昇降機構と駆動源とを一体構成としたリニアモータを適用してもよい。
本実施形態では、インクジェットヘッド21を鉛直方向に沿って昇降させる第一ヘッド移動部400を示したが、第一ヘッド移動部400は、鉛直方向成分を有する斜めの第一方向にインクジェットヘッド21を移動させてもよい。
図8には一つのインクジェットヘッド21を昇降させる第一ヘッド移動部400を例示したが、図1に示す四つのインクジェットヘッド21C,21M,21Y,21Kを昇降させる場合に、第一ヘッド移動部400は、四つのインクジェットヘッド21C,21M,21Y,21Kを一括して昇降させる構成を適用してもよいし、四つのインクジェットヘッド21C,21M,21Y,21Kを個別に昇降させる構成を適用してもよい。
インクジェット記録装置10は、図1に示したインクジェットヘッド21C,21M,21Y,21Kを、描画胴61の直上の描画位置から退避させる際に、インクジェットヘッド21Cを媒体搬送方向と直交する方向であり、水平方向に移動させる第二ヘッド移動部を備えている。第二ヘッド移動部は図9に符号420を付して図示し、詳細な構成の図示は省略する。
第二ヘッド移動部の構成例として、インクジェットヘッド21を支持する支持部材、インクジェットヘッド21を移動させる移動機構を備える構成が挙げられる。
インクジェットヘッド21を描画位置からメンテナンス位置へ移動させる場合、第一ヘッド移動部400を用いて、描画位置に位置するインクジェットヘッド21を鉛直上方向へ移動させ、第二ヘッド移動部を用いて、描画位置の上方へ移動させたインクジェットヘッド21を媒体搬送方向と直交する方向であり、水平方向に移動させる。
また、媒体100の浮きが検出され、インクジェットヘッド21を退避させる場合、第一ヘッド移動部400を用いて、インクジェットヘッド21を鉛直上方向へ移動させる。
第一ヘッド移動部400は第一ヘッド移動手段に相当する。図9に示す第二ヘッド移動部420は第二ヘッド移動手段に相当する。
<制御系の説明>
図9は図1に示したインクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。図9に示すように、インクジェット記録装置10は、システムコントローラ12によって各部が統括制御される。
システムコントローラ12は、通信部14、媒体供給制御部16、搬送制御部18、吐出制御部20等に指令信号を送出して、装置各部の動作を制御する。システムコントローラ12は中央演算装置、記憶装置、及び各種機能に対応するデバイスドライバーを含む構成を採用しうる。
システムコントローラ12は、画像メモリ22、パラメータ記憶部30、及びプログラム格納部32などの記憶部からの情報の読み出し、及び記憶部への情報の書込を制御するメモリーコントローラとしての機能を有している。
システムコントローラ12は、操作部24から送出される入力信号、及び設定部28から入力される設定を表す設定信号を取得し、入力信号、又は設定信号の内容に基づいて該当する構成への指令信号を生成し、該当する構成へ指令信号を送出する。また、設定信号が表す設定情報を予め決められた記憶部へ記憶する。
操作部24は、操作ボタン、キーボード、マウスなどの操作部材を適用することができる。
システムコントローラ12は、表示部26への情報の表示を制御するディスプレイドライバーとして機能する。表示部26は、ディスプレイ装置を適用することができる。タッチパネル式のディスプレイ装置を用いて、操作部24と表示部26とを兼用させることも可能である。
通信部14はホストコンピュータ15から送出される吐出データ等の各種データが入力される入力インターフェースである。通信部14とホストコンピュータ15との通信形態は有線通信でもよいし、無線通信でもよい。通信部14はネットワークを介してホストコンピュータ15と接続されてもよい。
媒体供給制御部16は、システムコントローラ12から送出される指令信号に基づいて、媒体供給部17の動作を制御する。媒体供給部17から描画の対象となる媒体が供給される。媒体供給部17の動作として、図1に示したストッカー17Dからの媒体の取り出し、及び、姿勢調整部17Bによる媒体の姿勢の調整などが挙げられる。
図9に示した搬送制御部18は、システムコントローラ12から送出される指令信号に基づいて、媒体供給部17を介して供給された媒体を搬送する搬送部19の搬送開始、搬送停止、及び搬送速度等を制御する。
搬送制御部18は、媒体搬送方向における画像形成解像度に応じて、媒体の搬送ピッチを制御する。また、搬送制御部18は、画像形成解像度、及びインクジェットヘッド21の吐出周波数に応じて媒体の搬送速度を制御する。
吐出制御部20は、インクジェットヘッド21によるインク吐出を制御する。複数色のインクを用いたカラー画像形成が実施される場合、図9に示したインクジェットヘッド21には、図1に図示した色ごとのインクジェットヘッド21C,21M,21Y,21Kが含まれる。
吐出制御部20は不図示の画像処理部、及び不図示の駆動電圧生成部を具備する。画像処理部は通信部14を介してホストコンピュータ15から送出された入力画像データから、ドットの配置を表すドットデータであり、ドットのサイズ、又は一画素あたりのドット数を表すドットデータを生成する。
ホストコンピュータ15から送出された入力画像データの例として、各画素の濃度値が0から255のデジタル値で表されるラスタデータが挙げられる。画像処理部は、入力画像データに対して、色分解処理、色変換処理、補正処理、及びハーフトーン処理を施して、色ごとのドットの位置をサイズが規定されたドットデータを生成する。
画像処理部によって生成されたドットデータに基づいて、画素位置ごとの吐出タイミング、及び吐出体積が決められる。本明細書における吐出体積は、一ドットを形成する液体であり、高周波で複数回の吐出により一ドットを形成する場合は、複数回の吐出体積の合計が吐出体積となる。吐出体積は吐出量と呼ばれることがある。
本明細書における吐出には、一回で一ドットを形成する態様を適用してもよいし、複数回で一ドットを形成する態様を適用してもよい。また、ドットとは、ハーフトーン処理後のドットデータの構成単位であり、実際に描画された画像では、高密度に配置された複数のドットは一体化している。
駆動電圧生成部は、ドット位置ごとの吐出タイミング、及び吐出体積に基づいて、インクジェットヘッド21に供給される駆動電圧を生成し、インクジェットヘッド21へ駆動電圧を供給する。駆動電圧生成部の構成例として、駆動波形が記憶される駆動波形記憶部、駆動波形を増幅する増幅部、駆動電圧が出力される駆動電圧出力部を具備する構成が挙げられる。
画像メモリ22は、通信部14を介してホストコンピュータ15から送出された入力画像データが一時的に記憶される。画像メモリ22に一時的に記憶された入力画像データは、不図示の画像処理部によって画像処理が施される。
設定部28は、インクジェット記録装置10の各種設定を行う。設定部28による設定の例として、第一ヘッド移動部400の動作パラメータの設定や、比例制御パラメータの設定などが挙げられる。第一ヘッド移動部400の動作パラメータとして、図8に示したアクチュエータ404の動作周波数が挙げられる。
パラメータ記憶部30は、インクジェット記録装置10に使用される各種パラメータが記憶される。パラメータ記憶部30に記憶されている各種パラメータは、システムコントローラ12を介して読み出され、装置各部に設定される。パラメータ記憶部30に記憶されているパラメータとして、第一ヘッド移動部400の動作パラメータ、又は比例制御パラメータが挙げられる。
プログラム格納部32は、インクジェット記録装置10の各部に使用されるプログラムが格納される。プログラム格納部32に格納されている各種プログラムは、システムコントローラ12を介して読み出され、装置各部において実行される。
プログラム格納部32に格納されるプログラムとして、コンピュータをインクジェットヘッド21の内部圧力の変動を抑制する内部圧力抑制制御手段として機能させるプログラムが挙げられる。本明細書におけるインクジェットヘッド21の内部圧力は、インクジェットヘッド21の背圧を含む概念である。背圧は複数の吐出素子に共通する圧力である。
ヘッド移動制御部40は、システムコントローラ12からの指令に基づいて、図8、及び図9に示した第一ヘッド移動部400、及び図9に示した第二ヘッド移動部420の動作を制御する。ヘッド移動制御部40は、第一ヘッド移動部400の動作を制御する第一ヘッド移動制御部、及び第二ヘッド移動部420の動作を制御する第二ヘッド移動制御部から構成されてもよい。
バルブ制御部50は、システムコントローラ12からの指令に基づいて、バルブ422の開閉を制御する。図9のバルブ422は、図7に示した供給側バルブ306、回収側バルブ316、第一バイパス流路バルブ330、第二バイパス流路バルブ334、第一気体流路バルブ344、第二気体流路バルブ364、第一大気開放バルブ350、第二大気開放バルブ370、第一供給流路バルブ376、及び第二供給流路バルブ378が含まれる。バルブ制御部50は個別流路開閉制御手段に相当する。
図9に示したポンプ制御部52は、システムコントローラ12からの指令に基づいて、ポンプ424の動作を制御する。図9に示したポンプ424は、図7に示した供給ポンプ313、回収ポンプ323、及び及循環ポンプ325が含まれる。図7に示した供給ポンプ313、回収ポンプ323は、内部圧力調整手段の一態様である。
圧力変動予測部54は、インクジェットヘッド21を鉛直方向に移動させる間のインクジェットヘッド21の内部流路の圧力を予測する手段である。圧力変動予測部54の予測結果はシステムコントローラ12を介して判断部56へ送られる。圧力変動予測部54は圧力変動予測手段に相当する。
インクジェットヘッド21を鉛直方向に移動させる間には、実際にインクジェットヘッド21が鉛直方向へ移動している期間だけでなく、ヘッド移動制御部40による第一ヘッド移動部400を用いたインクジェットヘッド21の移動制御が開始されてから、実際にインクジェットヘッド21が鉛直方向へ移動するまでの期間、及びインクジェットヘッド21が停止してから、ヘッド移動制御部40による第一ヘッド移動部400を用いたインクジェットヘッド21の移動制御が停止されるまでの期間が含まれていてもよい。
判断部56は、圧力変動予測部54の予測結果を取得すると、予測結果と予め設定されている圧力閾値とを比較して、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力が予め設定されている圧力閾値を超えるか否かを判断する。判断部56の判断結果を表す信号は、システムコントローラ12へ送られる。
システムコントローラ12は、判断部56の判断結果を表す信号を取得すると、判断結果に応じてバルブ制御部50へ指令信号を送出する。判断部56は判断手段に相当する。
バルブ制御部50はシステムコントローラ12から送出された指令信号に基づいて、バルブ422のうち、図7に示した供給側バルブ306、回収側バルブ316、第一バイパス流路バルブ330、及び第二バイパス流路バルブ334を開閉させる。
〔インクジェットヘッド調整方法の説明〕
<全体構成>
次に、第一実施形態に係るインクジェットヘッド調整方法について詳細に説明する。
図10はインクジェットヘッドの鉛直方向の移動に伴う技術課題の説明図である。図10は、図6等に示したインクジェットヘッド21の内部流路の圧力を示すグラフである。
図10に示すグラフの横軸は期間である。図10に示すグラフの横軸の単位は秒である。図10に示すグラフの縦軸はインクジェットヘッド21の内部流路の圧力である。図10に示すグラフの縦軸の単位はパスカルである。
図10に示すグラフは、インクジェットヘッド21を、描画位置から鉛直上方向へ移動させ、描画位置の上方の停止位置で停止させ、停止位置鉛直下方向へ移動させた際のインクジェットヘッド21の内部流路の圧力を表している。なお、図10に示したインクジェットヘッド21の内部流路の圧力は、図6に示した供給側圧力センサ320の圧力測定値に基づく圧力変化の傾向を表したものである。なお、供給側圧力センサ320の圧力測定値に代わり、回収側圧力センサ322の圧力測定値を用いてもよい。
図10に示したインクジェットヘッド21の内部流路の圧力測定は、図6に示した供給側バルブ306、及び回収側バルブ316を開いた状態で行った。また、インクジェットヘッド21の加速度をパラメータとして、十種類の加速度について測定を行った。インクジェットヘッド21の移動距離を20ミリメートルに固定し、設定されたインクジェットヘッド21の加速度に応じてインクジェットヘッド21の移動速度を変更した。インクジェットヘッド21の移動距離を1ミリメートル以上20ミリメートル以下の範囲で複数種類設定して、同様の測定を行った。
インクジェットヘッド21の加速度の範囲は、1ミリメートル毎平方秒以上6000ミリメートル毎平方秒である。インクジェットヘッド21の移動速度の範囲は、1ミリメートル毎秒以上10ミリメートル毎秒以下である。図10にはtからtまでの期間、tからtまでの期間、及びtからtまでの期間がそれぞれ一秒の場合の圧力変動が図示されている。
インクジェットヘッド21は、tで鉛直上方向の移動が開始され、tで描画位置の上方の停止位置で停止され、tで鉛直下方向の移動が開始され、tで描画位置に戻される。
図1に示した四つのインクジェットヘッド21C,21M,21Y,21Kは、同一の構造が適用され、同一の移動パラメータが適用されるので、本実施形態に示した圧力測定は、図1に示した四つのインクジェットヘッド21C,21M,21Y,21Kのうち、任意の一つのインクジェットヘッド21を用いて行った。
インクは特開2014−141053号公報の実施例6に記載のブラックインクを用いた。特開2014−141053号公報の実施例6に記載のインクは、色材が異なり、他の組成が同一であるので、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクについては、ブラックインクと同様の測定結果が得られことが予測できる。また、特開2014−141053号公報の実施例6に記載のインクは、水性溶媒に色材等の組成物が含有されていることを考慮すると、本実施形態に係るインクジェットヘッド調整方法において、インクジェットヘッドに適用される一般的な水性インクとして取り扱うことができる。
インクジェットヘッド21を鉛直方向に移動させると、図10に示すように、インクジェットヘッド21の鉛直方向の位置の変化に対応して、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力の変動が発生する。インクジェットヘッド21を鉛直方向に移動させると、移動に伴う加速度がノズル部281の内部のインクに作用して、ノズル部281の内部のインクが圧力変動を受けるためである。
図10のグラフにおける横軸と平行な二本の破線のうち上の破線は、画像品質に悪影響が出るインクジェットヘッド21の内部流路の圧力上限値である。すなわち、インクジェットヘッド21を鉛直方向に移動させると、内部流路の圧力変動に起因して、インクの吐出状態が変動し、画像品質に悪影響を与えることがある。
なお、図10のグラフにおける横軸と平行な二本の破線のうち下の破線は、画像品質に悪影響が出るインクジェットヘッド21の内部流路の圧力下限値である。インクジェットヘッド21の内部流路の圧力上限値、及び下限値によって規定される、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力の許容範囲は、インクジェットヘッド21の内部流路内のインクの温度、インクの種類、及び描画条件等によって決められる。
本実施形態では、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力は、図7に示した、供給側圧力センサ320によって測定される供給側マニホールド308の圧力、又は回収側圧力センサ322よって測定される回収側マニホールド318の圧力を適用することができる。インクジェットヘッド21の内部流路の圧力の許容範囲の一例として、マイナス200パスカル以上、200パスカル以下の範囲が挙げられる。インクジェットヘッド21の内部流路の圧力調整範囲は、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力の許容範囲よりも狭くされる。
本実施形態に示したインクジェット記録装置10は、インクジェットヘッド21を鉛直方向に沿って移動させる間に、インクジェットヘッド21の鉛直方向の移動に連動してインクジェットヘッド21の内部圧力の変動を抑制し、画像品質を維持する機能を具備している。
連動には、インクジェットヘッド21の鉛直方向の移動開始前における対応、インクジェットヘッド21の鉛直方向の移動中における対応が含まれる。
図11は本発明の第一実施形態に係るインクジェットヘッド調整方法の制御の流れを示すフローチャートである。インクジェットヘッド調整方法は液体吐出ヘッド調整方法に相当する。
以下に示す第一実施形態に係るインクジェットヘッド調整方法では、インクジェットヘッド21の鉛直方向への移動開始前に、図6等に示した供給側バルブ306、回収側バルブ316を閉じることで、インクジェットヘッド21の内部圧力の変動を抑制する。第一バイパス流路バルブ330、及び第二バイパス流路バルブ334を閉じてもよい。
図11に示すように、移動開始指示工程S10において、インクジェットヘッド21の鉛直方向に沿う移動を含むインクジェットヘッド21の移動開始指示がされると、動作パラメータ設定工程S12において、インクジェットヘッド21の動作パラメータが設定される。
本実施形態では、インクジェットヘッド21の動作パラメータの設定として、図8に示したアクチュエータ404の動作周波数が設定される。アクチュエータ404の動作周波数の設定には図9の設定部28が適用される。
図8に示したアクチュエータ404の動作周波数の設定の例として、パラメータ記憶部30に記憶されている動作パラメータを読み出す態様や、操作部24を用いて外部から動作パラメータを入力する態様が挙げられる。
図11の動作パラメータ設定工程S12において、インクジェットヘッド21の動作パラメータが設定されると、圧力変動予測工程S14において、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動が予測される。インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動の予測は、図9に示した圧力変動予測部54が適用される。
圧力変動予測部54によるインクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動の予測の例として、動作パラメータ設定工程S12において設定された動作パラメータに基づいて演算により予測する態様や、予め動作パラメータと圧力変動との相関関係を求めておき記憶しておき、設定された動作パラメータに対応する圧力変動の情報を読み出す態様が挙げられる。
図11の圧力変動予測工程S14において、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動が予測されると、圧力変動判断工程S16において、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動が予め決められた許容範囲内であるか、許容範囲外であるかが判断される。インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動が予め決められた許容範囲内であるか否かの判断は、許容範囲の上限値、及び下限値を圧力閾値として判断することができる。圧力閾値は許容範囲内の値を適用してもよい。なお、図11の閾値は圧力閾値である。
インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動の予測値として、図10に示したインクジェットヘッド21の内部流路の圧力を表す曲線が適用される場合は、圧力変動判断工程S16では、図10に示したインクジェットヘッド21の内部流路の圧力を表す曲線が、図10に示した上限値、又は下限値を超えているか否かが判断される。
図11の圧力変動判断工程S16においてYES判定となる、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動の予測値が圧力閾値を超え、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動の許容範囲外となる場合は、バルブ閉め工程S18に進み、図6に示した複数の供給側バルブ306、及び図6に示した複数の回収側バルブ316が一括して閉じられる。
図11の圧力変動判断工程S16においてNO判定となる、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動の予測値が圧力閾値以下であり、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動の許容範囲内となる場合は、ヘッド移動開始工程S20に進み、インクジェットヘッド21の移動開始処理が実行される。
ヘッド移動開始工程S20において、インクジェットヘッド21の移動が開始されると、ヘッド移動監視工程S22に進み、インクジェットヘッド21が目標位置に達したか否かが判断される。
ヘッド移動監視工程S22においてYES判定となる、インクジェットヘッド21が目標位置に達した場合は、ヘッド移動停止工程S24に進み、インクジェットヘッド21の移動停止処理が実行される。
ヘッド移動監視工程S22においてNO判定となる、インクジェットヘッド21が目標位置に達していない場合は、ヘッド移動監視工程S22において、インクジェットヘッド21が目標位置に達したか否かの監視が継続される。
ヘッド移動停止工程S24において、インクジェットヘッド21の移動停止処理が終了すると、バルブ開閉判断工程S26に進み、バルブ閉め工程S18において閉められたバルブである、図7に示した供給側バルブ306、回収側バルブ316が閉じられているか否かが判断される。
バルブ開閉判断工程S26においてYES判定となる、図7に示した供給側バルブ306、回収側バルブ316が閉じられている場合は、バルブ開け工程S28に進み、供給側バルブ306、回収側バルブ316が開かれ、図11のヘッド移動終了工程S30へ進む。
バルブ開閉判断工程S26においてNO判定となる、図7に示した供給側バルブ306、回収側バルブ316が開かれている場合は、ヘッド移動終了工程S30へ進む。
ヘッド移動終了工程S30では、ヘッド移動終了処理が実行される。ヘッド移動開始工程S20からヘッド移動終了工程S30までの工程は移動工程に相当する。圧力変動判断工程S16は判断工程に相当する。バルブ閉め工程S18は個別流路閉工程に相当する。
図12は本発明の第一実施形態に係るインクジェットヘッド調整方法の効果の説明図である。図12に実線で図示した曲線は、図11に示したインクジェットヘッド調整方法を適用して、インクジェットヘッド21を鉛直方向へ移動させた場合のインクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動である。図12に示したインクジェットヘッド21の内部流路の圧力の測定条件は、図10に示したインクジェットヘッド21の内部流路の圧力の測定条件と同じである。
図12に示すように、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動を、上限値、及び下限値により規定された許容範囲に収めることができる。すなわち、供給側マニホールド308から各ヘッドモジュール200へインクを供給する供給側個別流路252に設けられる供給側バルブ306、ヘッド移動終了工程S30から回収側マニホールド318へインクを回収する回収側個別流路256に設けられる回収側バルブ316を閉じて、インクジェットヘッド21を鉛直上方向、又は鉛直下方向へ移動させることで、インクジェットヘッド21の鉛直上方向、又は鉛直下方向へ移動中におけるインクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動が抑制される。
すなわち、上記した供給側バルブ306等を閉じることで、インクジェットヘッド21に具備される各ノズルと、供給側マニホールド308、及び回収側マニホールド318との連通状態が遮断され、インクジェットヘッド21の内部流路は大気と遮断されるので、インクジェットヘッド21の内部流路にあるインクに対して、インクジェットヘッド21の鉛直上方向、又は鉛直下方向へ移動に起因する加速度が作用せず、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動が抑制される。
なお、図12に一点破線を用いて図示した曲線は、図11に示したインクジェットヘッド調整方法を適用せずに、インクジェットヘッド21を鉛直方向へ移動させた場合のインクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動であり、図10に示したインクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動である。
図12には、本発明の第一実施形態に係るインクジェットヘッド調整方法を適用した、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力として、任意の圧力測定値に基づくインクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動を示した。
先に説明したインクジェットヘッド21の加速度範囲、及びインクジェットヘッド21の速度範囲は、インクジェットヘッド21の実用的な加速度範囲、及び速度範囲である。このインクジェットヘッド21の実用的な加速度範囲、及び速度範囲について、本発明の第一実施形態に係るインクジェットヘッド調整方法を適用した場合に、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動を、上限値、及び下限値により規定された許容範囲に収めることができることが確認された。
インクジェットヘッドの移動パラメータ、インクジェットヘッドの内部流路の圧力変動の上限値、及び圧力変動の下限値は、インクジェットヘッドの構造、使用条件等に依存するので、インクジェットヘッドごとに使用条件を考慮して、インクジェットヘッドの内部流路の圧力変動の上限値、及び圧力変動の下限値と、インクジェットヘッドの移動パラメータとの関係を求めておくことで、本実施形態に係るインクジェットヘッド調整方法を様々なインクジェットに広く適用することができる。
上記の如く構成された第一実施形態に係るインクジェット記録装置、及びインクジェットヘッド調整方法によれば、インクジェットヘッド21を鉛直方向に移動させる際に、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動を予測して、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力が、予め決められた圧力閾値を超えると予測された場合には、図4に示したノズル部281と、図6等に示したインクジェットヘッド21の内部流路との連通を遮断してからインクジェットヘッド21を移動させることで、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動が抑制され、インクジェットヘッド21の吐出状態を安定に維持される。
本実施形態は、インクジェットヘッド21が吐出動作を行わない非描画期間、非吐出期間において、第一方向へインクジェットヘッドを移動させる場合に適用するとよい。インクジェットヘッド21が吐出動作を行わない非描画期間、非吐出期間においてインクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動を抑制することで、吐出動作の開始から安定した吐出状態が実現される。
<第一変形例>
図13は第一実施形態の第一変形例に係るインクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。図13において、図9と同一の構成には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。以下に説明する第一実施形態の第一変形例に係るインクジェット記録装置10Aは、インクジェットヘッド21の加速度を監視する手段を備え、インクジェットヘッド21の加速度に応じて、図7に示した供給側バルブ306等の開閉を制御する。
図13に示したインクジェット記録装置10Aは、図9の圧力変動予測部54に代わり、加速度センサ58を備えている。加速度センサ58は、図1等に示したインクジェットヘッド21に取付けられ、インクジェットヘッド21を鉛直方向に移動させる際のインクジェットヘッド21の加速度を測定する。
加速度センサの例として、静電容量型加速度センサ、ピエゾ抵抗型加速度センサ、及びガス温度分布型加速度センサなどが挙げられる。すなわち、図13に示した加速度センサ58は、インクジェットヘッド21の加速度に応じた出力信号を出力させるものが適用される。加速度センサ58は加速度測定手段の一態様である。
加速度センサ58の測定結果を表す出力信号は、システムコントローラ12を介して判断部56へ送られる。判断部56は、加速度センサ58の出力信号に基づいてインクジェットヘッド21を鉛直方向に移動させる際のインクジェットヘッド21の加速度が予め決められた加速度閾値を超えるか否かを判断し、判断結果を表す信号をシステムコントローラ12へ送出する。
システムコントローラ12は、判断部56の判断結果を表す信号を取得すると、判断結果に応じてバルブ制御部50へ指令信号を送出する。
バルブ制御部50はシステムコントローラ12から送出された指令信号に基づいて、バルブ422のうち、図7に示した供給側バルブ306を開閉させる。
図14は本発明の第一実施形態の第一変形例に係るインクジェットヘッド調整方法の制御の流れを示すフローチャートである。図14において、図11と同一の工程には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。なお、図14の閾値は加速度閾値である。
図14に示したフローチャートは、図11の動作パラメータ設定工程S12、圧力変動予測工程S14、及び圧力変動判断工程S16に代わり、図13に示した加速度センサ58を用いてインクジェットヘッド21の加速度を測定する加速度測定工程S15、及び測定された加速度が予め決められた加速度閾値を超えるか否かを判断する加速度判断工程S21が追加される。
すなわち、移動開始指示工程S10において、インクジェットヘッド21の移動開始処理がされ、ヘッド移動開始工程S20においてインクジェットヘッド21の移動が開始されると、加速度測定工程S15において、インクジェットヘッド21の加速度が測定される。そして、加速度判断工程S21において、測定された加速度が予め決められた加速度閾値を超えるか否かが判断される。
加速度判断工程S21においてYES判定となる、測定された加速度が予め決められた加速度閾値を超える場合は、バルブ閉め工程S18に進み、図7に示した供給側バルブ306、回収側バルブ316が閉じられる。
加速度判断工程S21においてNO判定となる、測定された加速度が予め決められた加速度閾値以下の場合は、ヘッド移動監視工程S22へ進む。ヘッド移動監視工程S22においてYES判定となる、インクジェットヘッド21が目標位置に達した場合は、バルブ開閉判断工程S26以降の工程が実行される。
ヘッド移動監視工程S22においてNO判定となる、インクジェットヘッド21が目標位置に達していない場合は、加速度判断工程S21に戻り、加速度判断工程S21、バルブ閉め工程S18、及びヘッド移動監視工程S22が実行される。
上記の如く構成された第一実施形態の第一変形例によれば、インクジェットヘッド21を鉛直方向に移動させる際に、インクジェットヘッド21の加速度が監視される。インクジェットヘッド21の加速度に応じて図7に示した供給側バルブ306、回収側バルブ316が閉じられるので、図4に示したノズル部281と、図6等に示したインクジェットヘッド21の内部流路との連通を遮断した状態でインクジェットヘッド21を鉛直方向に移動させることで、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動が抑制され、インクジェットヘッド21の吐出状態が安定に維持される。
<第二変形例>
図15は本発明の第一実施形態の第二変形例に係るインクジェットヘッド調整方法の制御の流れを示すフローチャートである。図15において、図11、及び図14と同一の工程には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
以下に説明する第一実施形態の第二変形例に係るインクジェット記録装置は、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力を監視する手段を備え、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力に応じて、図7に示した供給側バルブ306等の開閉を制御する。
第二変形例に係るインクジェット記録装置の制御系は、図9に示したインクジェット記録装置10の制御系が適用される。
図15に示すように、移動開始指示工程S10においてインクジェットヘッド21の移動開始処理がされ、ヘッド移動開始工程S20において、インクジェットヘッド21の移動が開始されると、圧力測定工程S17において、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力が測定される。
インクジェットヘッド21の内部流路の圧力を測定する手段として、図9に示した供給側圧力センサ320、又は回収側圧力センサ322を適用することができる。すなわち、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力は、供給側マニホールド308の圧力、又は回収側マニホールド318の圧力を適用することができる。
第一圧力判断工程S23では、圧力測定工程S17によって測定されたインクジェットヘッド21の内部流路の圧力が、予め決められた第一圧力閾値を超えているか否かが判断される。なお、図15の第一圧力判断工程S23における閾値は第一圧力閾値である。
第一圧力判断工程S23におけるYES判定となる、圧力測定工程S17によって測定されたインクジェットヘッド21の内部流路の圧力が、予め決められた第一圧力閾値を超えている場合は、バルブ閉め工程S18へ進む。
第一圧力判断工程S23におけるNo判定となる、圧力測定工程S17によって測定されたインクジェットヘッド21の内部流路の圧力が、予め決められた第一圧力閾値以下の場合は、ヘッド移動監視工程S22へ進む。
ヘッド移動停止工程S24を経て、バルブ開閉判断工程S26に進み、バルブ開閉判断工程S26におけるYES判定となる、バルブ閉め工程S18において閉じられたバルブが開かれていない場合は、第二圧力判断工程S27へ進む。
バルブ開閉判断工程S26におけるNO判定となる、バルブ閉め工程S18において閉じられたバルブが開かれている場合は、ヘッド移動終了工程S30へ進む。
第二圧力判断工程S27では、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力が予め決められた第二圧力閾値を超えているか否かが判断される。第二圧力判断工程S27におけるYES判定となる、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力が、予め決められた第二圧力閾値を超えている場合は、待機工程S29を経て、第二圧力判断工程S27が繰り返し実行される。なお、図15の第二圧力判断工程S27における閾値は第二圧力閾値である。
第二圧力判断工程S27におけるNo判定となる、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力が、予め決められた第二圧力閾値以下の場合は、バルブ開け工程S28へ進む。
第二圧力判断工程S27に適用されるインクジェットヘッド21の内部流路の圧力は、圧力測定工程S17においてインクジェットヘッド21の内部流路の圧力を測定した手段が適用される。
第一圧力判断工程S23に適用される第一閾値、及び第二圧力判断工程S27に適用される第二閾値は、図10に示した上限値未満の値、又は下限値を超える値とする態様が好ましい。すなわち、インクジェットヘッド21の内部圧力の許容範囲よりも、狭い範囲内にインクジェットヘッド21の内部圧力を維持することで、突発的な圧力変動が生じた場合でも、インクジェットヘッド21の内部圧力が許容範囲を超えることが防止される。
なお、第一圧力判断工程S23に適用される第一圧力閾値と、第二圧力判断工程S27に適用される第二圧力閾値とは、同一の値としてもよいし、異なる値としてもよい。
上記の如く構成された第二変形例によれば、インクジェットヘッド21を鉛直方向に移動させる際に、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力が監視される。インクジェットヘッド21の内部流路の圧力に応じて図7に示した供給側バルブ306、回収側バルブ316が閉じられるので、図4に図示したノズル部281と、図6等に示したインクジェットヘッド21の内部流路との連通を遮断した状態でインクジェットヘッド21を鉛直方向に移動させることで、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動を抑制して、インクジェットヘッド21の吐出状態を安定した状態に維持することができる。
[第二実施形態]
<装置構成>
次に、本発明の第二実施形態に係るインクジェット記録装置、及びインクジェットヘッド調整方法について説明する。第二実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成、インクジェットヘッドの構成は、図1から図8を用いて説明した第一実施形態に係るインクジェット記録装置10と同一であり、ここでの説明は省略する。
図16は本発明の第二実施形態に係るインクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。図16において、図9と同一の構成には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
図16に示したインクジェット記録装置10Bは、図9に示したインクジェット記録装置10に対して、比例制御パラメータ設定部59が追加されている。
比例制御パラメータ設定部59によって設定された比例制御パラメータは、システムコントローラ12を介してポンプ制御部52へ送られる。ポンプ制御部52は比例制御パラメータに基づいてポンプ424のうち、図7に示した供給ポンプ313、及び回収ポンプ323の動作を制御する。
比例制御パラメータは適宜変更が可能である。比例制御パラメータ設定部59は比例制御パラメータ変更手段の一態様である。
<インクジェットヘッド調整方法の説明>
図17は本発明の第二実施形態に係るインクジェットヘッド調整方法の説明図である。図17はインクジェットヘッド21の内部流路の圧力を示すグラフである。図17において、図10、及び図12と同一の部分には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
第二実施形態に係るインクジェット記録装置は、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力制御に適用される比例制御パラメータを変更することで、インクジェットヘッド21を鉛直方向へ移動させる際における、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動を抑制する。
比例制御パラメータとは、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力を調整する際の調整感度である。比例制御パラメータをより大きい値に変更すると調整感度が大きくなり、圧力目標値に達するまでの期間を短縮することができる。また、圧力変動に対して実際の圧力を細かく追従させることができる。
比例制御パラメータの設定値を大きくすると、図7に示した供給ポンプ313の回転数、及び回収ポンプ323の回転数が上げられ、単位時間あたりのインク供給体積が増加する。
図18は本発明の第二実施形態に係るインクジェットヘッド調整方法の制御の流れを示すフローチャートである。図18において、図11と同一の工程には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
図18に示した移動開始指示工程S10、動作パラメータ設定工程S12、及び圧力変動判断工程S16は図11と同一の工程であり、ここでの説明は省略する。圧力変動判断工程S16におけるYES判定となる、インクジェットヘッド21の圧力変動の予測値が予め決められた圧力閾値を超える場合は、比例制御パラメータ変更工程S108に進む。
比例制御パラメータ変更工程S108では、比例制御パラメータの値を増加させる比例制御パラメータの変更処理が実行される。比例制御パラメータ変更工程S108において比例制御パラメータが変更されると、ヘッド移動開始工程S20へ進む。
ヘッド移動停止工程S24において、インクジェットヘッド21の移動を停止させると、比例制御パラメータ判断工程S116において、比例制御パラメータが変更されているか否かが判断される。
比例制御パラメータ判断工程S116におけるYES判定となる、比例制御パラメータが変更されている場合は、比例制御パラメータ復帰工程S118に進む。比例制御パラメータ復帰工程S118では、変更された比例制御パラメータが変更前の値に戻される。
比例制御パラメータ判断工程S116におけるNO判定となる、比例制御パラメータが変更されていない場合は、ヘッド移動終了工程S30へ進む。
ヘッド移動開始工程S20からヘッド移動終了工程S30までの工程はヘッド移動工程に相当する。圧力変動判断工程S16は判断工程に相当する。
上記の如く構成された第二実施形態に係るインクジェット記録装置、及びインクジェットヘッド調整方法によれば、インクジェットヘッド21を鉛直方向に移動させる際に、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動を予測して、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力が、予め決められた圧力閾値を超えると予測された場合には、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力制御に適用される比例制御パラメータが変更されるので、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動に対して、目標圧力に達するまでの期間を短縮することができる。また、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動に対して、実際のインクジェットヘッド21の内部流路の圧力を細かく追従させることができ、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動が抑制され、インクジェットヘッド21の吐出状態が安定に維持される。
特に、インクジェットヘッド21の第一方向への移動に関する制御パラメータを変更できない制約が有る場合に有効である。インクジェットヘッド21の第一方向への移動に関する制御パラメータを変更できない制約が有る場合として、描画中に媒体100の浮きが検出され、媒体100がインクジェットヘッド21に接触する可能性があり、インクジェットヘッド21の加速度を小さくするとインクジェットヘッド21の上昇が間に合わず、媒体100がインクジェットヘッド21に接触してしまう場合が挙げられる。
本実施形態は、吐出期間において、第一方向へインクジェットヘッド21を移動させる場合に適用するとよい。
<第一変形例>
図19は本発明の第二実施形態の第一変形例に係るインクジェットヘッド調整方法の制御の流れを示すフローチャートである。第二実施形態の第一変形例に係るインクジェット記録装置は、図13に示したインクジェット記録装置10Aの構成に対して、図16に示した比例制御パラメータ設定部59が追加される。
第二実施形態の第一変形例は、第一実施形態の第一変形例と同様に、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力を予測する構成に代わり、インクジェットヘッド21の加速度を監視する手段を備え、インクジェットヘッド21の加速度に応じて、比例制御パラメータが変更される。
図19に示したインクジェットヘッド調整方法は、図14のバルブ閉め工程S18に代わり、比例制御パラメータ変更工程S108が実行される。また、図14のバルブ開閉判断工程S26に代わり、比例制御パラメータ判断工程S116が実行される。さらに、図14のバルブ開け工程S28に代わり、比例制御パラメータ復帰工程S118が実行される。
上記の如く構成された第二実施形態の第一変形例によれば、インクジェットヘッド21を鉛直方向に移動させる際に、インクジェットヘッド21の加速度が監視される。インクジェットヘッド21の加速度に応じて比例制御パラメータが変更されるので、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動に対して実際のインクジェットヘッド21の内部流路の圧力を細かく追従させることができ、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動が抑制され、インクジェットヘッド21の吐出状態が安定に維持される。
<第二変形例>
図20は本発明の第二実施形態の第二変形例に係るインクジェットヘッド調整方法の制御の流れを示すフローチャートである。第二実施形態の第二変形例に係るインクジェット記録装置は、図16に示したインクジェット記録装置10Bの構成が適用される。
第二実施形態の第二変形例は、第一実施形態の第二変形例と同様に、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力を予測する構成に代わり、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力を監視する手段を備え、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力に応じて、比例制御パラメータが変更される。
図20に示したインクジェットヘッド調整方法は、図15のバルブ閉め工程S18に代わり、比例制御パラメータ変更工程S108が実行される。また、図15のバルブ開閉判断工程S26に代わり、比例制御パラメータ判断工程S116が実行される。さらに、図15のバルブ開け工程S28に代わり、比例制御パラメータ復帰工程S118が実行される。
上記の如く構成された第二実施形態の第二変形例によれば、インクジェットヘッド21を鉛直方向に移動させる際に、インクジェットヘッド21の内部圧力の変動が監視される。インクジェットヘッド21の内部圧力の変動に応じて比例制御パラメータが変更されるので、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動に対して実際のインクジェットヘッド21の内部流路の圧力を細かく追従させることができ、インクジェットヘッド21の内部流路の圧力変動が抑制され、インクジェットヘッド21の吐出状態が安定に維持される。
第一実施形態、及び第二実施形態では、ノズル部からインクを循環させる循環系を備えたインクジェットヘッドを備える液体吐出装置を例示したが、循環系を備えていない液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置に適用することも可能である。
[媒体について]
媒体には、記録媒体、被記録媒体、印字媒体、被印刷媒体、画像形成媒体、被画像形成媒体、受像媒体、被吐出媒体、用紙、記録用紙、印刷用紙、基板など様々な用語で呼ばれるものが含まれる。
[実施形態の組み合わせについて]
上述した実施形態、及び変形例として説明した構成を適宜組み合わせた構成を採用することが可能である。
[プログラム発明への適用例]
以上説明した装置各部、各工程に対応する手段を含むプログラム発明を構成することも可能である。すなわち、第一実施形態に係るインクジェットヘッド調整方法、及び第二実施形態に係るインクジェットヘッド調整方法の各工程に対応する手段、又は第一実施形態に係るインクジェット記録装置、及び第二実施形態に係るインクジェット記録装置の各部に対応する手段を備え、コンピュータを各手段として実行させるインクジェットヘッド調整プログラムを構成することが可能である。
以上説明した本発明の実施形態、及び変形例は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、又は削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有するものにより、多くの変形が可能である。
10,10A,10B…インクジェット記録装置、12…システムコントローラ、21,21C,21M,21Y,21K…インクジェットヘッド、28…設定部、40…ヘッド移動制御部、50…バルブ制御部、52…ポンプ制御部、54…圧力変動予測部、56…判断部、58…加速度センサ、59…比例制御パラメータ設定部、100…媒体、252…供給側個別流路、256…回収側個別流路、281…ノズル部、306…供給側バルブ、308…供給側マニホールド、316…回収側バルブ、318…回収側マニホールド、320…供給側圧力センサ、322…回収側圧力センサ、313…供給ポンプ、323…回収ポンプ、400…第一ヘッド移動部、404…アクチュエータ、420…第二ヘッド移動部

Claims (18)

  1. 液体を吐出させる吐出素子を具備する液体吐出ヘッドであり、前記吐出素子と連通する個別流路、前記個別流路と連通する内部流路を具備する液体吐出ヘッドと、
    前記個別流路の開閉を切り換える個別流路開閉手段であって、前記個別流路に設けられる個別流路開閉手段と、
    鉛直方向成分を有する第一方向へ前記液体吐出ヘッドを移動させる第一ヘッド移動手段と、
    前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が、前記第一ヘッド移動手段による前記液体吐出ヘッドの前記第一方向への移動の間に予め決められた許容範囲外になる変動を有するか否かを判断する判断手段と、
    前記判断手段によって前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が予め決められた許容範囲外になる変動を有すると判断される場合に、前記第一ヘッド移動手段の動作と連動して、前記個別流路開閉手段の動作を制御して前記個別流路を閉じる個別流路開閉制御手段と、
    を備える液体吐出装置。
  2. 前記個別流路開閉制御手段は、前記判断手段によって前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が前記許容範囲外になる変動を有すると判断される場合に、前記第一ヘッド移動手段が前記第一方向へ前記液体吐出ヘッドを移動させる前に、前記個別流路開閉手段を動作させて前記個別流路を閉じ、前記第一ヘッド移動手段が前記第一方向への前記液体吐出ヘッドの移動を停止させると、前記個別流路開閉手段を動作させて前記個別流路を開ける請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記第一ヘッド移動手段による前記液体吐出ヘッドの前記第一方向への移動の間の前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力変動を予測する圧力変動予測手段を備え、
    前記判断手段は、前記圧力変動予測手段の予測結果に基づいて、前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が、前記第一ヘッド移動手段による前記液体吐出ヘッドの前記第一方向への移動の間に前記許容範囲外になる変動を有するか否かを判断する請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記第一ヘッド移動手段による前記液体吐出ヘッドの前記第一方向への移動の間の前記液体吐出ヘッドの加速度を測定する加速度測定手段を備え、
    前記判断手段は、前記加速度測定手段の測定結果に基づいて、前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が、前記第一ヘッド移動手段による前記液体吐出ヘッドの前記第一方向への移動の間に予め決められた許容範囲外になる変動を有するか否かを判断し、
    前記個別流路開閉制御手段は、前記判断手段によって前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が前記許容範囲外になる変動を有すると判断される場合に、前記個別流路開閉手段を動作させて前記個別流路を閉じ、前記第一ヘッド移動手段によって前記第一方向への前記液体吐出ヘッドの移動を停止させると、前記個別流路開閉手段を動作させて前記個別流路を開ける請求項1に記載の液体吐出装置。
  5. 前記第一ヘッド移動手段による前記液体吐出ヘッドの前記第一方向への移動の間の前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力を測定する圧力測定手段を備え、
    前記判断手段は、前記圧力測定手段の測定結果に基づいて、前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が、前記第一ヘッド移動手段による前記液体吐出ヘッドの前記第一方向への移動の間に予め決められた許容範囲外になる変動を有するか否かを判断し、
    前記個別流路開閉制御手段は、前記判断手段によって前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が前記許容範囲外になる変動を有すると判断される場合に、前記個別流路開閉手段を動作させて前記個別流路を閉じ、前記判断手段によって前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が前記許容範囲内に収まる変動を有すると判断されると、前記個別流路開閉手段を動作させて前記個別流路を開ける請求項1に記載の液体吐出装置。
  6. 前記個別流路は、前記吐出素子へ液体を供給する供給側個別流路、及び前記吐出素子から液体を回収する回収側個別流路を含み、
    前記個別流路開閉手段は、前記供給側個別流路に設けられる供給側個別流路開閉手段、及び前記回収側個別流路に設けられる回収側個別流路開閉手段を含む請求項1から5のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
  7. 前記個別流路は、前記吐出素子へ液体を供給する供給側個別流路、及び前記吐出素子から液体を回収する回収側個別流路を含み、
    前記個別流路開閉手段は、前記供給側個別流路に設けられる供給側個別流路開閉手段、及び前記回収側個別流路に設けられる回収側個別流路開閉手段を含み、
    前記液体吐出ヘッドの前記内部流路は、前記吐出素子へ供給される液体を一時的に蓄える供給側一時貯留手段であり、前記供給側個別流路と接続される供給側一時貯留手段、及び前記吐出素子から回収される液体を一時的に蓄える回収側一時貯留手段であり、前記回収側個別流路と接続される回収側一時貯留手段、を含み、
    前記圧力測定手段は、前記供給側一時貯留手段の内部圧力を検出する供給側圧力センサ、及び前記回収側一時貯留手段の内部圧力を検出する回収側圧力センサである請求項5に記載の液体吐出装置。
  8. 液体を吐出させる吐出素子、前記吐出素子と連通する個別流路、及び前記個別流路と連通する内部流路を具備する液体吐出ヘッドと、
    前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力を調整する内部圧力調整手段と、
    鉛直方向成分を有する第一方向へ前記液体吐出ヘッドを移動させる第一ヘッド移動手段と、
    前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が、前記第一ヘッド移動手段による前記液体吐出ヘッドの前記第一方向への移動の間に予め決められた許容範囲外になる変動を有するか否かを判断する判断手段と、
    前記判断手段によって前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が予め決められた許容範囲外になる変動を有すると判断される場合に、前記第一ヘッド移動手段の動作と連動して、前記内部圧力調整手段に適用される比例制御パラメータを変更して圧力変動に対する感度を上げる比例制御パラメータ変更手段と、
    を備える液体吐出装置。
  9. 前記比例制御パラメータ変更手段は、前記判断手段によって前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が前記許容範囲外になる変動を有すると判断される場合に、前記第一ヘッド移動手段が前記第一方向へ前記液体吐出ヘッドを移動させる前に、前記内部圧力調整手段に適用される比例制御パラメータを変更して圧力変動に対する感度を上げ、前記第一ヘッド移動手段が前記第一方向への前記液体吐出ヘッドの移動を停止させると、前記比例制御パラメータを変更前に復帰させる請求項8に記載の液体吐出装置。
  10. 前記第一ヘッド移動手段による前記液体吐出ヘッドの前記第一方向への移動の間の前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力変動を予測する圧力変動予測手段を備え、
    前記判断手段は、前記圧力変動予測手段の予測結果に基づいて、前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が、前記第一ヘッド移動手段による前記液体吐出ヘッドの前記第一方向への移動の間に前記許容範囲外になる変動を有するか否かを判断する請求項8又は9に記載の液体吐出装置。
  11. 前記第一ヘッド移動手段による前記液体吐出ヘッドの前記第一方向への移動の間の前記液体吐出ヘッドの加速度を測定する加速度測定手段を備え、
    前記判断手段は、前記加速度測定手段の測定結果に基づいて、前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が、前記第一ヘッド移動手段による前記液体吐出ヘッドの前記第一方向への移動の間に予め決められた許容範囲外になる変動を有するか否かを判断し、
    前記比例制御パラメータ変更手段は、前記判断手段によって前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が前記許容範囲外になる変動を有すると判断される場合に、前記内部圧力調整手段に適用される比例制御パラメータを変更して圧力変動に対する感度を上げ、前記第一ヘッド移動手段によって前記第一方向への前記液体吐出ヘッドの移動を停止させると、前記比例制御パラメータを変更前に復帰させる請求項8に記載の液体吐出装置。
  12. 前記第一ヘッド移動手段による前記液体吐出ヘッドの前記第一方向への移動の間の前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力を測定する圧力測定手段を備え、
    前記判断手段は、前記圧力測定手段の測定結果に基づいて、前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が、前記第一ヘッド移動手段による前記液体吐出ヘッドの前記第一方向への移動の間に予め決められた許容範囲外になる変動を有するか否かを判断し、
    前記比例制御パラメータ変更手段は、前記判断手段によって前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が前記許容範囲外になる変動を有すると判断される場合に、前記内部圧力調整手段に適用される比例制御パラメータを変更して圧力変動に対する感度を上げ、前記判断手段によって前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が前記許容範囲内に収まる変動を有すると判断されると、前記比例制御パラメータを変更前に復帰させる請求項8に記載の液体吐出装置。
  13. 前記個別流路は、前記吐出素子へ液体を供給する供給側個別流路、及び前記吐出素子から液体を回収する回収側個別流路を含む請求項8から12のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
  14. 前記液体吐出ヘッドの前記内部流路は、前記吐出素子へ供給される液体を一時的に蓄える一時貯留手段を含み、
    前記圧力測定手段は、前記一時貯留手段の内部圧力を検出する圧力センサである請求項5又は12に記載の液体吐出装置。
  15. 前記個別流路は、前記吐出素子へ液体を供給する供給側個別流路、及び前記吐出素子から液体を回収する回収側個別流路を含み、
    前記液体吐出ヘッドの前記内部流路は、前記吐出素子へ供給される液体を一時的に蓄える供給側一時貯留手段であり、前記供給側個別流路と接続される供給側一時貯留手段、及び前記吐出素子から回収される液体を一時的に蓄える回収側一時貯留手段であり、前記回収側個別流路と接続される回収側一時貯留手段、を含み、
    前記圧力測定手段は、前記供給側一時貯留手段の内部圧力を検出する供給側圧力センサ、及び前記回収側一時貯留手段の内部圧力を検出する回収側圧力センサである請求項12に記載の液体吐出装置。
  16. 前記液体吐出ヘッドを水平方向へ移動させる第二ヘッド移動手段を備える請求項1から15のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
  17. 液体を吐出させる吐出素子、前記吐出素子と連通する個別流路、及び前記個別流路と連通する内部流路を具備する液体吐出ヘッドの調整方法であって、
    前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が、鉛直方向成分を含む第一方向への前記液体吐出ヘッドの移動の間に予め決められた許容範囲外になる変動を有するか否かを判断する判断工程と、
    前記判断工程によって前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が予め決められた許容範囲外になる変動を有すると判断される場合に、前記第一方向への前記液体吐出ヘッドの移動と連動して、前記個別流路を閉じる個別流路閉工程と、
    前記液体吐出ヘッドを前記第一方向へ移動させる移動工程と、
    を含む液体吐出ヘッド調整方法。
  18. 液体を吐出させる吐出素子、前記吐出素子と連通する個別流路、及び前記個別流路と連通する内部流路を具備する液体吐出ヘッドの調整方法であって、
    前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が、鉛直方向成分を含む第一方向への前記液体吐出ヘッドの移動の間に予め決められた許容範囲外になる変動を有するか否かを判断する判断工程と、
    前記判断工程によって前記液体吐出ヘッドの前記内部流路の圧力が予め決められた許容範囲外になる変動を有すると判断される場合に、前記第一方向への前記液体吐出ヘッドの移動と連動して、前記液体吐出ヘッドの内部圧力の調整に適用される比例制御パラメータを変更して圧力変動に対する感度を上げる比例制御パラメータ変更工程と、
    を含む液体吐出ヘッド調整方法。
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