以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1はパチンコ機10の斜視図である。図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。図4はパチンコ機10の背面図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域61a(図6参照)内の構成を省略している。
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機主部21とを有する。
外枠11は、板材12〜15を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。外枠11を構成する板材12〜15は、左右の板材12,13がアルミなどの金属製となっており、上下の板材14,15が木製となっている。パチンコ機10は、外枠11の上下の板材14,15を島設備に取り付け固定することにより、遊技ホールに設置される。上記のように左右の板材12,13を金属製とするとともに上下の板材14,15を木製とすることで、島設備への固定を可能としつつ外枠11の補強を行うことができる。なお、外枠11の構成は上記のものに限定されることはなく、全ての板材12〜15を木製としてもよく、全ての板材12〜15を金属製としてもよい。また、板材12〜15の全部又は一部を合成樹脂製としてもよい。また、パチンコ機10が外枠11を備える構成としたが、パチンコ機10は外枠11を備えずに遊技機主部21のみを備える構成としてもよい。
外枠11の左側の板材12には、その上下の各端部に支持金具17,18が取り付けられている。これら支持金具17,18に支持させるようにして、図2及び図3に示すように、遊技機主部21が外枠11に対して回動可能に取り付けられている。
遊技機主部21は、遊技機ベースユニット(本体枠又は内枠)22と、その遊技機ベースユニット22の前方に配置される遊技機前面ユニット(前面扉又は前枠)23と、遊技機ベースユニット22の後方に配置される裏パックユニット24とを備えている。遊技機主部21のうち遊技機ベースユニット22が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端(開閉基端)側とし右側を回動先端(開閉先端)側として遊技機ベースユニット22が前方へ回動可能(開閉可能)とされている。
遊技機ベースユニット22は、図2及び図3に示すように、外枠11の開口全体を覆う大きさを有しており、その背面側であって回動先端側には施錠装置31が取り付けられている。施錠装置31は長尺状の連動杆32を備えており、当該連動杆32には上下一対の鉤金具33が設けられている。外枠11に対して遊技機ベースユニット22を閉鎖した際には、鉤金具33が外枠11の右側の板材13に設けられた受け金具34に係止され、施錠装置31により施錠状態とされるようになっている。また、遊技機ベースユニット22にはシリンダ錠35が設けられており、シリンダ錠35の操作によって連動杆32を上方向又は下方向のうち予め定められた方向に移動させると、外枠11に対する遊技機ベースユニット22の施錠状態が解除される。
遊技機ベースユニット22には、図2に示すように、遊技機前面ユニット23が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端(開閉基端)側とし右側を回動先端(開閉先端)側として前方へ回動可能(開閉可能)とされている。また、遊技機ベースユニット22には、図3に示すように、裏パックユニット24が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端(開閉基端)側とし右側を回動先端(開閉先端)側として後方へ回動可能(開閉可能)とされている。
次に、遊技機ベースユニット22、遊技機前面ユニット23及び裏パックユニット24のそれぞれについて詳細に説明する。
<遊技機ベースユニット22>
先ず、遊技機ベースユニット22の構成について詳細に説明する。図5は遊技機ベースユニット22の正面図である。図6は遊技機ベースユニット22に搭載された遊技盤61の正面図である。図7は遊技機ベースユニット22の背面図である。なお、図5では便宜上パチンコ機10の遊技領域61a内の構成を省略している。
遊技機ベースユニット22は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース41を主体に構成されている。樹脂ベース41の中央部には略楕円形状の窓孔51が形成されている。樹脂ベース41にはその後方から遊技盤61が着脱可能に取り付けられている(図3参照)。詳細には、樹脂ベース41の裏面には、図7に示すように、複数(本実施の形態では4箇所)の固定金具52〜55が設けられており、これら固定金具52〜55によって遊技盤61は後方へ脱落しないように固定されている。固定金具52〜55は手動で回動操作することができ、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とに切り換えることができるよう構成されている。
遊技盤61は合板よりなり、遊技球が流下する遊技領域61a(図6参照)が前面側に形成されており、この遊技領域61aが樹脂ベース41の窓孔51を通じて遊技機ベースユニット22の前面側に露出した状態となっている。
ここで、遊技盤61の構成を図6に基づいて説明する。遊技盤61には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口62、可変入賞装置63、上作動口64、下作動口65、ファール球入賞口401、スルーゲート66及び可変表示ユニット67等がそれぞれ設けられている。このうち、可変入賞装置63、上作動口64、下作動口65及び可変表示ユニット67は、遊技盤61の左右方向の中央において上下方向に並べて設けられており、上から可変表示ユニット67、上作動口64、下作動口65及び可変入賞装置63の順となっている。また、一般入賞口62は、遊技盤61の下部において、左側に2個及び右側に2個の合計4個設けられている。ファール球入賞口401は、遊技盤61の左下端部において、遊技領域61aよりも外側に1個設けられている。ちなみに、遊技盤61の左側は遊技機前面ユニット23の回動基端側に相当し、遊技盤61の右側は遊技機前面ユニット23の回動先端側に相当する。
一般入賞口62、可変入賞装置63、上作動口64、下作動口65及びファール球入賞口401に遊技球が入球(入賞)すると、それが後述する各入賞検知センサ325〜328及びファール球入賞検知センサ470(図23参照)により検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。具体的には、一般入賞口62に一の遊技球が入球すると単位遊技球数として10個の遊技球が払い出され、可変入賞装置63に一の遊技球が入球すると単位遊技球数として15個の遊技球が払い出され、上作動口64に一の遊技球が入球すると単位遊技球数として3個の遊技球が払い出され、下作動口65に一の遊技球が入球すると単位遊技球数として4個の遊技球が払い出され、ファール球入賞口401に一の遊技球が入球すると単位遊技球数として1個の遊技球が払い出される。 その他に、遊技盤61の遊技領域61aの最下部にはアウト口68が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口68を通って遊技領域61aから排出される。また、遊技盤61には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の遊技釘69が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示ユニット67には、いずれかの作動口64,65への入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置71が設けられている。また、可変表示ユニット67には、図柄表示装置71を囲むようにしてセンターフレーム72が配設されている。センターフレーム72の上部には、第1特定ランプ部73及び第2特定ランプ部74が設けられている。また、センターフレーム72の上部及び下部にはそれぞれ保留ランプ部75,76が設けられている。下側の保留ランプ部75は、図柄表示装置71及び第1特定ランプ部73に対応しており、遊技球が作動口64,65を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部75の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上側の保留ランプ部76は、第2特定ランプ部74に対応しており、遊技球がスルーゲート66を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部76の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
図柄表示装置71は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置101により表示内容が制御される。図柄表示装置71には、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。なお、図柄表示装置71は、CRT,ドットマトリックス,7セグメント等その他のタイプにより表示画面を構成したものであってもよい。
第1特定ランプ部73では、作動口64への入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には大当たりが発生する。また、第2特定ランプ部74では、遊技球のスルーゲート66の通過をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には下作動口65に付随する電動役物65aが所定時間だけ開放状態となる。
ちなみに、下作動口65は、開閉手段としての電動役物65aが開放状態の場合に入球が可能となり、閉鎖状態の場合に入球が不可となる。なお、これに限定されることはなく、電動役物65aが開放状態の場合に入球し易くなり、閉鎖状態の場合に入球しがたくなる構成としてもよい。
可変入賞装置63は、開閉手段としての開閉扉63aが通常は遊技球が入球できない又は入球しがたい閉鎖状態になっており、大当たりの際に遊技球が入球しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置63の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置63が繰り返し開放されるものが一般的である。
遊技盤61には、正面視において略円弧状の内レール77及び外レール78が取り付けられており、これらの一部は、遊技盤61の左側において内と外に略並行するように設けられている。内レール77及び外レール78は、遊技盤61の中央部に遊技領域61aを区画形成すると共に、これらが略並行する部分(以下、内誘導レール部77a及び外誘導レール部78aという)により遊技領域61aの外側に、その外縁部に沿う略C字状の発射球誘導通路61p(図6参照)を形成している。後述する遊技球発射機構80から発射された遊技球は、この誘導レール部77a,78aにより、発射球誘導通路61pを通り遊技領域61aの上方まで誘導される。外誘導レール部78aの遊技球発射機構80側である下端部においては、発射された遊技球が発射球誘導通路61p内に入りやすいように、また、発射球誘導通路61pを逆流してきたファール球が後述するファール球回収口150(図5参照)に流れ込みやすくするために、外誘導レール部78aは下端側に向かって徐々にその曲率が小さくなるように形成されている。ちなみに、図5に示すように、樹脂ベース41の窓孔51の右上部には返しゴム79が設けられており、所定以上の勢いで発射された遊技球は返しゴム79に当たり、遊技領域61aの中央寄りに跳ね返されるようになっている。この場合、返しゴム79はその遊技球が当たる面が遊技領域61aの中央側に向けて傾斜させて形成されているため、遊技領域61aの中央に向けた遊技球の跳ね返しが良好に行われるようになっている。
本発明の特徴である遊技球発射機構80は、図5に示すように、樹脂ベース41における窓孔51の右下方に取り付けられている。遊技球発射機構80の詳細については後述するが、遊技球発射機構80は、回動する発射杵8111を有する電磁式のロータリーソレノイド(発射部)811を備えた発射装置81と、発射レール部82と、球送り機構83などからなる(図25等参照)。後述する上皿95a(図1参照)内の遊技球は、球送り機構83によって1球ずつ発射レール821上の発射位置に送り込まれる。そして、発射位置に装填された遊技球は、ロータリーソレノイド(発射部)811への電気的な信号の入力によって動作する発射杵8111(図25等参照)により、遊技領域61a(発射球誘導通路61p内)に向けて打ち出される。遊技球発射機構80の詳細については後述するが、本発明では、発射レール部82の下方にロータリーソレノイド(発射部)811を配設し発射レール821(図25等参照)に沿うように遊技球を発射させるため、遊技球発射機構80を小型化することができ、図2に示すように、その右方には他の部材を配設するスペースが確保される。本遊技機10においては、このスペースに開閉ガイド機構90を配設している。
開閉ガイド機構90(ベースユニット側ガイド部材90a,前面ユニット側ガイド部材90b)は、図2に示すように、開閉レール部(p,q)が形成された1組の略板状の金属製部材であり、遊技機ベースユニット22の樹脂ベース41の下枠部内側の右端部と遊技機前面ユニット23の下面右端部に対向するように設けられている。ベースユニット側ガイド部材90aは、前側部分が後方に向かって徐々にせり上がるように形成された略矩形の板状部材であり、前面ユニット側ガイド部材90bは、後側部分が後方に向かって徐々にせり上がるように形成された略矩形の板状部材である。また、ベースユニット側ガイド部材90aの上面には、回動軸(支持金具17,18)を中心とする横断面が略半円の、平面視円弧状の溝である開閉溝部pが形成され、前面ユニット側ガイド部材90bの下面には、これに対向するように下方に突出する半球状の突起である開閉凸部qが形成されている。なお、開閉溝部pの横断面(半円)の径と開閉凸部qの径は略同じ大きさであるが、開閉溝部pはその前端側において、開閉凸部qを係合させやすいように溝の左右方向が若干大きくなるように形成されている。遊技機前面ユニット23の後述する窓パネル部91には大きなガラスが嵌め込まれているため、遊技機前面ユニット23は遊技機ベースユニット22から開くとその重さで僅かに下がった状態となってしまう。開閉ガイド機構90は、遊技機前面ユニット23を開閉する際にこれを正しい開閉方向に案内することにより、ヒンジ部材である支持金具17,18に掛かる負担を減らすとともに、遊技機ベースユニット22及び遊技機前面ユニット23の周縁部に配設されている部材の摩耗や破損を防ぐためのものである。例えば、遊技機前面ユニット23を閉じる際には、遊技機前面ユニット23はベースユニット側ガイド部材90aのせり上がりにより上方に押し上げられるとともに、開閉凸部qが円弧状の開閉溝部pに係合して動く。このように、遊技機前面ユニット23は、せり上がりにより上下位置が、開閉レール部p,qにより左右位置が定まるように案内されるので、ぶれることなく遊技機ベースユニット22の所定の位置にくるように閉じることができる。また、本遊技機10においては、遊技球発射機構80を小型化することにより、回動先端(開閉先端)側の端部にスペースを確保して開閉ガイド機構90を設けているので、開閉動作を容易に行うことができる。なお、本遊技機10には、遊技機前面ユニット23側にベースユニット側ガイド部材90aを設けたが、溝部と凸部を逆にして、遊技機ベースユニット22側に設けてもよい。
発射装置81(ロータリーソレノイド811)への電気的な信号の入力は、所定の条件下において、遊技機前面ユニット23の下部に設けられた遊技球発射ハンドル84(図1等参照)が操作されることに基づいて発生する。具体的には、後述する発射制御装置147は、遊技者が操作ハンドルに触れていることをタッチセンサにより検出し、かつ、遊技者が発射を停止させるための発射停止スイッチを操作していないことを条件に、遊技球発射ハンドル84の回転操作量(回転角度)に対応してソレノイドを励磁し、回転操作量に応じた打ち出し強さ(打出強度)で遊技球を発射する。遊技者は遊技球発射ハンドル84の回転角度を変化させることにより、ソレノイドの出力軸の移動量を制御し、所望の打出強度で遊技球を発射させることができる。
遊技球発射機構80の発射レール821は、樹脂ベース41の左上方の発射球誘導通路61pに通じるように、斜め左上がりとなるように設置されている。また、遊技球発射機構80(発射レール821)と発射球誘導通路61p(誘導レール部77a,78a)とは、図5に示すように間隔を空けて設置され、この空間がファール球を回収するためのファール球回収口150となっている。遊技球発射機構80から発射される遊技球は、ソレノイドの出力軸による打出強度が弱いと、遊技領域61aに到達することなく発射球誘導通路61p(誘導レール77a,78a内)を逆流する場合がある。また、遊技領域61aに進入しても遊技釘69に当たって跳ね返り、発射球誘導通路61p内に逆戻りして逆流する場合などがある。このように、遊技球発射機構80から発射されたにもかかわらず、遊技領域61aを流下することなく発射球誘導通路61pを逆流する遊技球や、打出強度が弱すぎて発射球誘導通路61p内にさえ到達しない遊技球をファール球という。ファール球は、次に発射される遊技球との衝突を避けるためにファール球回収口150に自然落下させて、遊技者に返却するように構成されている。なお、ファール球回収口150は、後述する前面側通路ユニット271のファール球用開口部281(図19参照)と連通しており、下皿96a(図1参照)に排出される。なお、発射球誘導通路61pの途中の下方には、発射球誘導通路61pを逆流するファール球が流入可能なファール球入賞口401が設けられているが、その詳細については後述する。
樹脂ベース41の前面における回動基端側にはその上端部及び下端部に支持金具42,43が取り付けられており、これら支持金具42,43に対して遊技機前面ユニット23が支持されていることで当該遊技機前面ユニット23が遊技機ベースユニット22に対して前方に回動可能となっている。また、樹脂ベース41の前面における回動先端側には、遊技機前面ユニット23の背面に設けられた鉤金具44(図2参照)を挿入するための挿入孔45が上下方向に離間させて複数設けられている。遊技機ベースユニット22に対して遊技機前面ユニット23を閉鎖した状態では、遊技機前面ユニット23の鉤金具44が挿入孔45内に入り込み、当該鉤金具44は上述した施錠装置31に係止される。これにより、遊技機ベースユニット22に対して遊技機前面ユニット23が施錠された状態となる。この施錠状態はシリンダ錠35の操作によって施錠装置31の連動杆32を、外枠11に対する遊技機ベースユニット22の解錠を行う場合とは反対側に移動させることで解除される。
<遊技機前面ユニット23>
ここで、遊技機前面ユニット23の構成について説明する。図8は遊技機前面ユニット23の背面図である。
図1及び図8に示すように、遊技機前面ユニット23は遊技機ベースユニット22の前面側全体を覆うようにして設けられている。遊技機前面ユニット23には、上記遊技領域61aの略全域を前方から視認することができるようにした略楕円形状の窓パネル部91が設けられている。窓パネル部91の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓パネル部91の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部92が設けられている。環状電飾部92では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部92の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部93が設けられている。また、窓パネル部91の左上方及び右上方には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部94が設けられている。
遊技機前面ユニット23における窓パネル部91の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部95と下側膨出部96とが上下に並設されている。上側膨出部95内側には上方に開口した上皿95aが設けられており、下側膨出部96内側には同じく上方に開口した下皿96aが設けられている。上皿95aは、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留すると共に、自然に一列に整列させながら遊技球発射機構80側へ導くための機能を有する。また、下皿96aは、上皿95a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。なお、下側膨出部96の右方には、上述した遊技球発射ハンドル84が設けられている。
遊技機前面ユニット23の背面における回動基端側(図8の右側)には、その上端部及び下端部に突起軸97,98が設けられている。これら突起軸97,98は遊技機ベースユニット22に対する組付機構を構成する。また、遊技機前面ユニット23の背面における回動先端側(図8の左側)には、上述した鉤金具44が上下方向に複数並設されている。
また、遊技機前面ユニット23の背面には、図8に示すように、前面側通路ユニット271が取り付けられている。前面側通路ユニット271は、合成樹脂により成形されており、上皿95aに通じる前扉側上皿通路(後述する前面側上皿通路部272)と、下皿96aに通じる前扉側下皿通路(後述する前面側下皿通路部273)とが形成されている(図20参照)。前面側通路ユニット271の詳細については後に説明する。
<遊技機ベースユニット22の背面構成>
次に、遊技機ベースユニット22の背面構成について図7を用いて詳細に説明する。
樹脂ベース41の背面における回動先端側には既に説明した施錠装置31が設けられている。また、樹脂ベース41の中央には上記のとおり遊技盤61が取り付けられている。
遊技盤61の中央に配置された可変表示ユニット67には、図3、図6及び図7に示すように、センターフレーム72を後方から覆う合成樹脂製のフレームカバー100が後方に突出させて設けられており、フレームカバー100に対して後側から上述した図柄表示装置71が取り付けられているとともに、その図柄表示装置71を駆動するための表示制御装置101が取り付けられている。これら図柄表示装置71及び表示制御装置101は前後方向に重ねて配置され(図柄表示装置71が前、表示制御装置101が後)、さらにその後方に音声ランプ制御装置ユニット102が搭載されている。音声ランプ制御装置ユニット102は、音声ランプ制御装置103と、取付台104とを具備する構成となっており、取付台104上に音声ランプ制御装置103が装着されている。
音声ランプ制御装置103は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容されて構成されている。
遊技盤61の背面であって可変表示ユニット67の下方には、主制御装置ユニット105が搭載されている。主制御装置ユニット105は、合成樹脂製の取付台106を有し、取付台106に主制御装置107が搭載されている。主制御装置107は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス108に収容されて構成されている。なお、当該基板ボックス108には、当該基板ボックスの開放痕跡手段としてカシメ構造や図示しない封印シールが設けられているとともに、取付台106に対する主制御装置107の離脱痕跡手段としてカシメ構造が設けられている。
遊技盤61の背面における主制御装置ユニット105により覆われた領域には、図示しない集合板ユニットが設けられている。集合板ユニットには、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入賞を検知するための入賞検知センサ325〜328及びファール球入賞検知センサ470(図21参照)などが設けられている。遊技球回収機構にて回収された遊技球は後述する排出通路144(図10参照)を介してパチンコ機10外部に排出される。遊技球回収機構は、例えば、ファール球入賞口401のファール球用貫通孔410と連通するように配置され、ファール球を回収して遊技機外部に排出するためのファール球排出樋480(図21(c)参照)を備えており、ファール球入賞検知センサ470はこのファール球排出樋480の上端部に設けられている。なお、ファール球用貫通孔410及びファール球排出樋480等については、後述する。入賞検知センサ325〜328及びファール球入賞検知センサ470は、主制御装置107と電気的に接続されており、遊技球の入賞を検知した場合の検知信号は主制御装置107にて入力される。
樹脂ベース41の背面における回動基端側(図7の右側)には、軸受け金具111,112,113が取り付けられている。軸受け金具111〜113は上下に離間させて3個設けられている。なお、軸受け金具111〜113の数は任意であり、2個であってもよく、4個以上であってもよい。これら軸受け金具111〜113に対して軸支させて遊技機ベースユニット22には裏パックユニット24が取り付けられている。裏パックユニット24により、図3に示すように、可変表示ユニット67の全部及び主制御装置ユニット105の一部が後方から覆われており、裏パックユニット24を開放させない限り可変表示ユニット67及び主制御装置ユニット105を樹脂ベース41から取り外すことができないようになっている。
樹脂ベース41の背面には、図3及び図7に示すように、裏パックユニット24を遊技機ベースユニット22に固定するための固定金具115が設けられている。固定金具115は手動で回動操作することができ、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とに切り換えることができるよう構成されている。また、図7に示すように、樹脂ベース41の背面には締結孔部116が形成されており、当該締結孔部116に対して裏パックユニット24に設けられた締結具117(図9参照)を締結させることによっても裏パックユニット24が遊技機ベースユニット22に固定される。
<裏パックユニット24>
次に、裏パックユニット24の構成について詳細に説明する。図9は裏パックユニット24の正面図である。図10は裏パックユニット24の分解斜視図である。
裏パックユニット24は、当該裏パックユニット24の上部及び中央部分を構成する第1裏パックユニット121と、当該第1裏パックユニット121に連続させて設けられ裏パックユニット24の下部を構成する第2裏パックユニット141とを備えている。第1裏パックユニット121にはその下部に開口部122が形成されており、第2裏パックユニット141の上部は当該開口部122の下縁部分を構成している。
第1裏パックユニット121と第2裏パックユニット141には、図9に示すように、それぞれ軸金具123,139が設けられており、それら軸金具123,139はそれぞれ個別に軸受け金具111〜113に支持されている。これにより、第1裏パックユニット121と第2裏パックユニット141とは、遊技機ベースユニット22に対してそれぞれ個別に回動可能となっている。
ここで、上記のとおり、第2裏パックユニット141はその上部が第1裏パックユニット121の開口部122の下縁部分を構成しており、当該下縁部分において、第1裏パックユニット121がパチンコ機10前方となるようにして第1裏パックユニット121と第2裏パックユニット141とが前後に重なっている。したがって、第1裏パックユニット121を遊技機ベースユニット22に対して閉鎖した状態で第2裏パックユニット141を開放させることはできるが、第2裏パックユニット141を閉鎖した状態で第1裏パックユニット121を開放させることはできない。なお、これに限定されることはなく、開閉の関係が第1裏パックユニット121と第2裏パックユニット141とで逆であってもよく、第1裏パックユニット121と第2裏パックユニット141とが相互に干渉することなく開閉可能な構成であってもよい。さらには、第1裏パックユニット121と第2裏パックユニット141とが一体化され個別に開閉できない構成としてもよい。
次に、第1裏パックユニット121の構成について詳細に説明する。
第1裏パックユニット121は、裏パック124を備えており、当該裏パック124に対して、払出機構部125が取り付けられている。裏パック124は透明性を有する合成樹脂により成形されており、払出機構部125などが取り付けられるベース部126と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部127とを有する。保護カバー部127は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット67を囲むのに十分な大きさを有する。
ベース部126には、その右上部に外部端子板131が設けられている。また、ベース部126には上述した第1裏パックユニット121の軸金具123が設けられている。
外部端子板131は、遊技ホール側の管理装置に対する各種情報の送信を中継するためのものであり、複数の出力端子が設けられている。出力端子は、例えば、現在の遊技状態(大当たり状態や確変モード等)に関する情報を出力するための端子、入球エラー、下皿満タンエラー、タンク球無しエラー、払出しエラーなど各種エラー状態に関する情報を出力するための端子、遊技球発射機構80から発射された遊技球の数に関する情報を出力するための端子、後述する払出制御装置146から払出される賞球数に関する情報を出力するための端子などである。これらの情報は、遊技ホール側の管理装置(所謂、ホールコンピュータ)において、不正行為や故障の有無の判定や遊技ホールの経営管理などに用いられる。
ベース部126には、保護カバー部127を迂回するようにして払出機構部125が配設されている。払出機構部125は、タンク132と、タンクレール133と、上下通路ユニット134とを備えている。タンク132は上方に開放されており、裏パック124の最上部に設けられている。タンク132には遊技ホールの島設備から遊技球が逐次補給される。タンクレール133は、タンク132の下方において当該タンク132に連結されており、下流側に向けて緩やかに傾斜している。当該タンクレール133の下流部に連結させて上下通路ユニット134が設けられている。上下通路ユニット134は上下方向に延びており、その途中位置に払出装置135が設けられている。また、上下通路ユニット134の下流側には、球受け部、裏パック側通路部、本体側通路部及び前面側通路部が設けられており、前面側通路部は上皿95a及び下皿96aに連通されている。
つまり、タンク132と、上皿95a及び下皿96aの受け皿との間には、タンクレール133、上下通路ユニット134、球受け部、裏パック側通路部、本体側通路部及び前面側通路部からなる誘導通路部が設けられており、タンク132に貯留されている遊技球は当該誘導通路部を通じて上皿95a又は下皿96aに払い出される。なお、上下通路ユニット134の構成、及びそれよりも下流側の構成については後に詳細に説明する。
払出機構部125には、裏パック基板136が設置されている。裏パック基板136には、例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ137の切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
次に、第2裏パックユニット141の構成について詳細に説明する。
第2裏パックユニット141は、排出通路盤142と制御装置集合ユニット143とを備えている。排出通路盤142は第2裏パックユニット141の前側を構成し、制御装置集合ユニット143は第2裏パックユニット141の後側を構成している。そして、これら排出通路盤142と制御装置集合ユニット143とが前後に組み付けられて第2裏パックユニット141が構成されている。
排出通路盤142は、制御装置集合ユニット143と対向する面に後方に開放された排出通路144が形成されており、当該排出通路144の開放部は制御装置集合ユニット143によって塞がれている。排出通路144は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した各種入賞口等から排出通路144に導出された遊技球は当該排出通路144を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
制御装置集合ユニット143は、横長形状をなす取付台145を有し、取付台145に払出制御装置146と電源及び発射制御装置147とが搭載されている。これら払出制御装置146と電源及び発射制御装置147とは、払出制御装置146がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置146は、基板ボックス148内に払出装置135を制御する払出制御基板が収容されている。なお、払出制御装置146から払出装置135への払出指令の信号は上述した裏パック基板136により中継される。また、払出制御装置146には状態復帰スイッチ148aが設けられている。例えば、払出装置135における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ148aが押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源及び発射制御装置147は、基板ボックス149内に電源及び発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル84の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源及び発射制御装置147にはRAM消去スイッチ149aが設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ149aを押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
<上下通路ユニット134>
次に、上下通路ユニット134の構成について詳細に説明する。図11は上下通路ユニット134の斜視図である。図12及び図13は上下通路ユニット134の分解斜視図である。図14は上下通路ユニット134に形成された通路の一部の構成を説明するための説明図である。
上下通路ユニット134は、図11に示すように、上側ユニット161と、払出装置135と、下側ユニット162とを備えている。これら上側ユニット161、払出装置135及び下側ユニット162が上下通路ユニット134として一体化されていることにより、上皿95a及び下皿96aへ通じる誘導通路部の一部が形成されている。また、上側ユニット161及び下側ユニット162により、タンク132に貯留されている遊技球を島設備に排出するための排出通路部が形成されている。これら上側ユニット161、払出装置135及び下側ユニット162について詳細に説明する。
上側ユニット161は、図12及び図13に示すように、ポリカーボネートなどといった透明性を有する合成樹脂により形成された一対のハウジング部材171,172を備えている。各ハウジング部材171,172には、それぞれ通路壁が一体形成されている。これらハウジング部材171,172は両者の間に、ハウジング部材171,172と同様に透明性を有する合成樹脂により形成された仕切板173を挟んだ状態で前後に組み付けられている。これにより、図14に示すように、パチンコ機10後側のハウジング部材171と仕切板173により第1ケースレール部174が形成されているとともに、パチンコ機10前側のハウジング部材172と仕切板173により第2ケースレール部175が形成されている。
なお、一対のハウジング部材171,172に対しては、両者を前後に挟むようにして外側カバー176が取り付けられているとともに、パチンコ機10の搬送時等においてコンセントプラグを保持するための保持部材177が取り付けられている。
第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175は前後に並設されており、上下方向の途中位置に湾曲部を有するように蛇行させて形成されている。第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175は、共に上記誘導通路部の一部を構成している。
上側ユニット161には、図14に示すように、第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175の他に、上側排出通路部178が形成されている。上側排出通路部178は、一対のハウジング部材171,172間において仕切板173により仕切られていない領域に形成されており、第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175よりもパチンコ機10外側に位置している。上側排出通路部178は、第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175の両方に対してそれらの途中位置から分岐させて設けられている。
ここで、上側排出通路部178の入口部分には、切換片181が設けられている。切換片181は、前後方向を回動軸として、両ハウジング部材171,172に対して回動可能に支持されている。切換片181は、両ハウジング部材171,172の間に内蔵されている。また、切換片181よりもパチンコ機10外側には切換操作片182が設けられている。当該切換操作片182も切換片181と同様に、前後方向を回動軸として、両ハウジング部材171,172に対して回動可能に支持されている。
切換操作片182は、両ハウジング部材171,172内に位置する押圧部183と、両ハウジング部材171,172外に位置するレバー部184とを有している。切換操作片182は、レバー部184を操作して回動させることで、押圧部183が切換片181を押圧する押圧位置と、当該押圧を解除する押圧解除位置とに切換配置可能となっている。
切換操作片182を、図14の実線で示すように、押圧位置に配置した場合には、上記のとおり切換操作片182の押圧部183により切換片181が押圧され、当該切換片181は第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175の通路壁の一部を構成する。また、この通路壁を構成する位置では、第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175は湾曲しており、切換片181は上記通路壁における底部側を構成している。ちなみに、押圧部183により押圧されて切換片181が第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175の通路壁を構成している状態が、払出誘導状態に相当する。切換片181が払出誘導状態である場合には、切換片181よりも上流側の遊技球は、第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175をそのまま流下していく。
一方、切換操作片182を、図14の二点鎖線で示すように、押圧解除位置に配置した場合には、押圧部183による切換片181の押圧状態が解除される。これにより、切換片181は自重により回動し、第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175の通路壁を構成しない状態となる。ちなみに、押圧部183による押圧が解除されて切換片181が第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175の通路壁を構成していない状態が、排出誘導状態に相当する。切換片181が排出誘導状態である場合には、切換片181よりも上流側の遊技球は、上側排出通路部178側に流れていく。切換操作片182は通常、切換片181が払出誘導状態となる位置に配置されており、パチンコ機10内部の遊技球を抜き出す場合に、切換片181が排出誘導状態となるように切換配置される。
上側ユニット161は、タンク132の球無状態を検知するための球無検知センサ186を備えている。球無検知センサ186は、第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175における切換片181よりも上流側において遊技球を検知するように設けられており、第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175のそれぞれに対応させて検知部187a,187bを備えている。なお、本パチンコ機10では、球無検知センサ186として、検知部187a,187bに設けられた突出片が遊技球に押圧されていない場合に球無検知信号を出力するセンサが用いられているが、どのようなセンサを用いるかは任意である。球無検知センサ186の検知結果は払出制御装置146に出力され、払出制御装置146では球無検知センサ186の検知結果に基づいて球無状態か否かの特定を行う。
次に、払出装置135について説明する。図15は払出装置135の分解斜視図である。なお、当該払出装置135の説明では、図12〜図14を適宜参照する。
払出装置135は、図12及び図13に示すように、下側ユニット162の上部に組み付けられている。払出装置135は、複数の部材が組み合わされてなるハウジング191を備えており、ハウジング191内には遊技球通路192が形成されている(図14参照)。遊技球通路192は、誘導通路部の一部を構成している。
遊技球通路192は、一対の入口側通路部193a,193bと、単一の出口側通路部194とを備えている。入口側通路部193a,193bは前後に並設されており、いずれもハウジング191の上面にて開放されている。これら入口側通路部193a,193bのうち、一方が第1ケースレール部174と連通しており、他方が第2ケースレール部175と連通している。入口側通路部193a,193bは、その最下流部にて出口側通路部194に合流している。出口側通路部194は、ハウジング191の下面にて開放されている。
払出装置135には、入口側通路部193a,193bから出口側通路部194へ流れる遊技球を入口側通路部193a,193b側にて一旦停止させるための球止め手段として、回転体195が設けられている。回転体195は、図15に示すように、各入口側通路部193a,193bに対応させて一対の球誘導板196,197を備えており、各球誘導板196,197が対応する入口側通路部193a,193bの下流部に収容されるようにして回転体195が配置されている。回転体195はその中心が払出モータ198の出力軸198a(図14参照)に固定されている。
払出モータ198は、ステッピングモータにより構成されており、出力軸198aは所定方向に回転駆動される。これにより、回転体195は、その所定方向に回転し、それに伴って各球誘導板196,197が各入口側通路部193a,193b内にて回転する。出力軸198aは、1パルスの駆動信号を与えることにより1step進み、360パルスの駆動信号を与えることにより1回転するように設定されている。なお、払出モータ198はハウジング191内に収容されている。
各球誘導板196,197の周縁には、180°間隔で2箇所に、凹部196a,197aが形成されている。但し、一対の入口側通路部193a,193b間では、凹部196a,197aの位置が相互に90°ずらして形成されている。回転体195が回転していない場合には、一対の入口側通路部193a,193bの両方において遊技球の流下が一旦停止される。また、回転体195が回転している場合には、凹部196a,197a上に入り込んだ遊技球のみが出口側通路部194に導出される。
出口側通路部194には、図15に示すように、略平板状をした払出検知センサ199が設置されている。払出検知センサ199は、周知の磁気検知タイプの近接センサにて構成されており、貫通孔を遊技球が通過したことによる磁界の変化を電気信号に変換して出力する。この払出検知センサ199により、払出装置135を介して払い出された遊技球の数が確認できるようになっている。
次に、下側ユニット162について説明する。
下側ユニット162は、図12に示すように、一対のハウジング部材201,202を備えており、両ハウジング部材201,202が前後に組み付けられて、上下方向に延びる払出通路部203が内部に形成されている。払出通路部203は、誘導通路部の一部を構成している。払出通路部203は払出装置135の出口側通路部194に連通されており、払出装置135から払い出された遊技球は払出通路部203を通過する。払出通路部203の下流側には仕切壁204が形成されており、払出通路部203は下流側にて2列に分岐している。これら2列の通路のうち、一方により遊技球が上皿95aへ誘導され、他方により遊技球が下皿96aへ誘導される。この誘導の様子については、後に説明する。
下側ユニット162には、払出通路部203以外にも下側排出通路部205が形成されている。下側排出通路部205は上下方向に延びており、払出通路部203よりもパチンコ機10外側に位置している。また、払出通路部203よりも上方に延長させて形成されており、上側ユニット161の上側排出通路部178に連通している。これにより、上側排出通路部178へ誘導された遊技球は、下側排出通路部205を通過することとなる。
下側ユニット162には、既に説明した裏パック基板136が搭載されている。ここで、裏パック基板136には、図12に示すように、球抜きボタン206が設けられている。本パチンコ機10では、上記のとおり球無検知センサ186が設けられており、球無検知センサ186にて球無状態が検知されている状況では払出装置135の払出動作が停止される。この場合に、球抜きボタン206が操作されることにより、上記動作停止状態が解除され、払出装置135の払出動作が可能となる。
以上のとおり、上下通路ユニット134には、上側ユニット161の第1ケースレール
部174及び第2ケースレール部175と、払出装置135の遊技球通路192と、下側ユニット162の払出通路部203とが設けられている。そして、タンクレール133から流下してきた遊技球は、払出の際に、これら通路部(174,175,192,203)を通じて、基本的には上皿95aに向けて誘導され、上皿95aに一定量以上の遊技球が貯留されている場合には下皿96aに向けて誘導される。また、上下通路ユニット134には、上側ユニット161の上側排出通路部178と、下側ユニット162の下側排出通路部205とが設けられている。そして、切換操作片182を操作して切換片181を排出誘導状態とすることにより、切換片181よりも上流側にある遊技球が、これら上側排出通路部178及び下側排出通路部205を通じてパチンコ機10外の島設備に向けて誘導される。
<上下通路ユニット134よりも下流側の通路構成>
次に、上下通路ユニット134よりも下流側の通路構成について説明する。図16は遊技球の通路構成を説明するための説明図である。なお、図16においては、便宜上、遊技機ベースユニット22側及び裏パックユニット24側の通路構成について断面で示す。
裏パックユニット24において、上下通路ユニット134の下流側には球受け部252が設けられており、上下通路ユニット134を通過した遊技球は球受け部252に導入される。球受け部252は、上下通路ユニット134を通過した遊技球を上皿95a側若しくは下皿96a側、又は第2裏パックユニット141の排出通路144に導く機能を有する。
球受け部252の構成を、図17に示す球受け部252周辺の縦断面図を参照しながら説明する。球受け部252は上方及び前方に開放しており、その内部が2つの仕切壁253a,253bによって仕切られることで3つの開口部255a,255b,255cが左右方向に並設されている。
これら開口部255a,255b,255cのうち、パチンコ機10内側の開口部255aは、払出通路部203における仕切壁204により仕切られた2列の通路のうち、パチンコ機10内側の通路の下方に位置しているとともに、上皿95aへ続く上皿通路に通じている。また、中央の開口部255bは、払出通路部203における仕切壁204により仕切られた2列の通路のうち、パチンコ機10外側の通路の下方に位置しているとともに、下皿96aへ続く下皿通路に通じている。また、外側の開口部255cは、下側排出通路部205の下方に位置しているとともに、第2裏パックユニット141の排出通路144に通じている。
上皿通路は、裏パックユニット24に設けられた裏パック側上皿通路部258と、遊技機ベースユニット22に設けられた本体側上皿通路部262と、遊技機前面ユニット23に設けられた前面側上皿通路部272とから構成されている。同様に、下皿通路は、裏パックユニット24に設けられた裏パック側下皿通路部259と、遊技機ベースユニット22に設けられた本体側下皿通路部263と、遊技機前面ユニット23に設けられた前面側下皿通路部273(図20参照)とから構成されている。
これら各通路部258,259,262,263,272,273について詳細に説明する。
<裏パック側通路部258,259>
裏パック側上皿通路部258及び裏パック側下皿通路部259は、裏パックユニット24の回動基端側においてベース部126を前後方向に貫通するようにして設けられた裏パック側通路ユニット257に形成されている(図16参照)。裏パック側上皿通路部258及び裏パック側下皿通路部259は通路壁によって区画され左右方向に並設されている。また、裏パック側上皿通路部258及び裏パック側下皿通路部259は、それぞれ前後方向に延びており、下流側に向けて下り傾斜となっている。以上の構成において裏パック側上皿通路部258及び裏パック側下皿通路部259に導入された遊技球は、底部258a,259a上を転がった後に本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263のそれぞれに排出される。
<本体側通路部262,263>
本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263は、遊技機ベースユニット22の回動基端側において樹脂ベース41を前後方向に貫通するようにして設けられた本体側通路ユニット261に形成されている。
本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263は、仕切用通路壁264によって区画されて左右方向に並設されており、それぞれ球出口262a,263aが下方を向くようにして形成されている。詳細には、本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263の上流側は下流側に向けて下り傾斜となっており、その下流側では若干下方に延出させて球出口262a,263aが形成されている。以上の構成において本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263に導入された遊技球は、底部262b,263b上を転がり球出口262a,263aを介して前面側上皿通路部272及び前面側下皿通路部273のそれぞれに排出される。
<前面側通路部272,273>
前面側上皿通路部272及び前面側下皿通路部273は、遊技機前面ユニット23の背面に設けられた前面側通路ユニット271に形成されている。ここで、前面側通路ユニット271について図18〜図20を用いて説明する。図18は前面側通路ユニット271の斜視図である。図19は前面側通路ユニット271の分解斜視図である。図20は前面側通路ユニット271の正面図である。
前面側通路ユニット271は、図19に示すように一対のベース板274a,274bを有している。これらベース板274a,274bはポリカーボネート樹脂などといった透明性を有する合成樹脂材料により形成されており、それぞれ溝部や開口部が形成されている。両ベース板274a,274bがネジ固定されていることで、前面側上皿通路部272を構成する受口部275、前面側下皿通路部273を構成する通路形成部276、ファール球用下皿通路部280を構成するファール球用開口部281などが形成されている。なお、前面側通路ユニット271は受口部275及び通路形成部276の他に板状部271aを有している。この前面側通路ユニット271は、前面側上皿通路部272の出口272aが上皿95aの球入口と前後に重なり、前面側下皿通路部273の出口273aが下皿96aの球入口と前後に重なるようにして、遊技機前面ユニット23の背面に対してパチンコ機10後方からネジ固定されている。
前面側通路ユニット271の受口部275及び通路形成部276について説明する。受口部275が形成された位置は前面側通路ユニット271において上側隅部であり、遊技機前面ユニット23との関係では当該遊技機前面ユニット23の回動基端側となっている。また、受口部275は、通路形成部276よりもパチンコ機10の後方に突出しており、さらには遊技機前面ユニット23の回動軸よりもパチンコ機10の後方にある。そして、遊技機前面ユニット23を閉鎖した状態において、受口部275は遊技機ベースユニット22の前側端部よりも後側に入り込んでいる。
但し、受口部275は遊技機ベースユニット22の後側端部よりも前側にあり、遊技機ベースユニット22(樹脂ベース41)には受口部275と対峙する位置に、当該受口部275の突出側をカバーするカバー部としての収容凹部292bが形成されている(図16参照)。よって、遊技機前面ユニット23を閉鎖した状態において受口部275は遊技機ベースユニット22を前後方向に貫通していない。
受口部275は図18等に示すように上方に開放されており、その左右方向の略中央には底部から上方に起立した仕切壁277が一体形成されている。この仕切壁277に仕切られることで、受口部275には2つの開口部278,279が左右方向に並設されている。かかる構成において、受口部275におけるパチンコ機10内側の側壁はパチンコ機10後側などに比べ背が高くなっており、当該側壁には庇部275aが形成されている。この庇部275bが形成されていることにより、上記2つの開口部278,279のうちパチンコ機10内側の開口部278はパチンコ機10外側の開口部279よりも幅寸法(左右方向寸法)が小さくなっている。
パチンコ機10内側の開口部278は、本体側上皿通路部262の球出口262aと上下に対峙しており、図20等に示すように、前面側上皿通路部272の球入口となっている。また、パチンコ機10外側の開口部279は、本体側下皿通路部263の球出口263aと上下に対峙しており、通路形成部276に形成される前面側下皿通路部273の球入口となっている。この場合に、上記のとおり、受口部275は遊技機ベースユニット22の前側端部よりも後側に入り込んでいるため、前面側上皿通路部272と本体側上皿通路部262との境界部分、及び前面側下皿通路部273と本体側下皿通路部263との境界部分は、その一部が遊技機ベースユニット22の前側端部よりも後側に入り込んでいる(図16等参照)。
内側開口部278と上皿95aの球入口196とは前後に並んでおり、前面側上皿通路部272はそれら内側開口部278と球入口196とを繋ぐように前後方向に延びている。外側開口部279と下皿96aの球入口とは左右方向及び上下方向にずれた位置関係となっている。つまり、外側開口部279が遊技機前面ユニット23の回動基端側にあり、下皿96aの球入口は遊技機前面ユニット23の左右方向の中央付近にある。また、外側開口部279に対して下皿96aの球入口は下方にある。これら外側開口部279と下皿96aの球入口とを繋ぐように、前面側下皿通路部273が形成されている。
次に、上皿95a及び下皿96aへの遊技球の流れについて説明する。
図17に示すように払出装置135からは球受け部252における内側の開口部255aに向けて遊技球が払い出される。よって、払出装置135から払い出された遊技球は各上皿通路部258,262,272によって構成される上皿通路を通って上皿95aに排出される。
但し、払出装置135から多数の遊技球が払い出され上皿95aが満杯状態となり、さらにその後も遊技球の払い出しが継続されると、上皿通路にて遊技球が連なり、図17に示すように、球受け部252における内側の開口部255aの全体に遊技球が充たされるとともに、上下通路ユニット134の払出通路部203における仕切壁204の先端の位置まで遊技球が充たされることとなる。かかる状態において払出装置135から払い出された遊技球は払出通路部203の仕切壁204を乗り越え中央の開口部255b内に入る。そして、この遊技球は各下皿通路部259,263,273によって構成される下皿通路を通って下皿96aに排出される。
なお、ファール球用下皿通路部280は、図19に示すように、前面側下皿通路部273の下端部と連通している。上述したように、ファール球回収口150に回収されたファール球は、前面側通路ユニット271のファール球用下皿通路部280から前面側下皿通路部273の下端部、出口273aを通り、下皿96aに返却される。
本実施の形態では上述したように遊技機前面ユニット23に対して前面側通路ユニット271が設けられている。また、遊技機前面ユニット23には上述したように窓パネル部91が設けられており、例えば遊技領域61aにて球詰まり等が発生しそれを解消するために遊技機前面ユニット23を開放すると、それに合わせて前面側通路ユニット271が前方に移動し、遊技機前面ユニット23側の各通路部272,273と遊技機ベースユニット22側の各通路部262,263とが離間される。そして、この遊技機前面ユニット23の開放操作が、上皿95aや下皿96aが満杯状態であり本体側上皿通路部262や本体側下皿通路部263にて遊技球が待機されている状態において行われると、その待機されている遊技球が前面側上皿通路部272や前面側下皿通路部273にて受けられなくなり散乱してしまうおそれがある。これに対して、この遊技球の散乱を防止するためにシャッタ機構291(図16参照)が設けられているが、その詳細については省略する。
<ファール球入賞口401>
次にファール球入賞口401について詳細に説明する。図21は、ファール球入賞口401を説明するための説明図であり、(a)は正面図、(b)は右斜め上方から視認した斜視図、(c)は平面図である。なお、便宜上、図21(a)においては、ファール球入賞口401の装飾部423を、(b)及び(c)においては左遊技釘440及び右遊技釘450を省略している。
本遊技機10の外誘導レール部78aには、遊技球発射機構80側である下端側に分断部78bが形成されている(図15参照)。なお、以下、発射球誘導通路61p、内誘導レール部77a及び外誘導レール部78aにおいて、遊技球発射機構80が設置されている側を遊技球発射機構側又は下端側、遊技領域61aに通ずる側を遊技領域側又は上端側という。
正面視略C字状の外誘導レール部78aは、図6及び図21に示すように、下端側に形成された分断部78bにより分断されており、上側外誘導レール部78a1と下側外誘導レール部78a2の2つ部材からなる。分断部78bは、遊技球Bが遊技領域61a内に到達可能な最低の打出強度(以下、到達最低強度という)で発射された際に、遊技球Bが当たる位置(以下、到達可能最下位置Lという)よりも遊技球発射機構側(下端側)に設けられている。具体的には、分断部78bは、図21に示すように、遊技球発射機構80の発射レール821の延長線よりも下側に設けられ、下側外誘導レール部78a2の略下端に到達可能最下位置Lが位置している。
分断部78bの中央下方には、発射球誘導通路61p内のファール球が流入可能なファール球入賞口401が設けられており、正面視において、このファール球入賞口401の左右には、それぞれファール球の移動速度を減ずるための左側減速部440及び右側減速部450が設けられている。
ファール球入賞口401は、入球(入賞)したファール球を遊技盤61の背面側に案内し、遊技機10外部に排出するためのものであり、遊技盤61を前後方向に貫通する孔であるファール球用貫通孔410と、ファール球用貫通孔410の前面側に取り付けられる本体部420とからなる。本体部420は、受け部421と、装飾部423と、受け部421及び装飾部423を遊技盤61に取り付けるための取付部425とからなる。
受け部421は正面視略U字の樋状であり、装飾部423は受け部421の前面側を覆う板状部であり前面に装飾が施されている。これらは、取付部425を介してネジなどの取付部材(図示せず)により、遊技盤61面より前方(遊技者側)に突出するように取り付けられる。受け部421の上面側には、遊技球発射機構80から到達最低強度よりも弱い強度で打ち出されたファール球が、発射球誘導通路61pの下側外誘導レール部78a2から直接、又は、発射球誘導通路61pの上側外誘導レール部78a1を逆流して、開口部421aから入球する。受け部421の背面側は遊技盤61のファール球用貫通孔410に連通する排出口421bとなっており、受け部421の底面には、入球したファール球を奥行き方向(遊技盤61の背面側)に移動させるために後方に向けて下方へ傾斜するように形成された凸部421cが設けられている。
遊技盤61の背面側には、受け部421と対向するように、ファール球排出樋480が設けられている。上述したように、遊技球回収機構のファール球排出樋480は、ファール球入賞口401の排出口421b及びファール球用貫通孔410と連通しており、入賞したファール球を排出通路144から遊技機10の外部に排出する。ファール球排出樋480のファール球用貫通孔410側である上端部には、ファール球の入球を検知するファール球入賞検知センサ470(ファール球入賞検知手段)が設けられている。ファール球入賞検知センサ470は、ファール球の入賞を検知すると、検出信号を主制御装置107(後述する主制御基板311)に出力する。つまり、ファール球入賞検知センサ470と主制御装置107とは電気的に接続されるが、上述したように、主制御装置107は主制御装置ユニット105に搭載され、ファール球入賞検知センサ470は遊技盤61と主制御装置ユニット105との間の集合板ユニットの中に設けられているので、短いハーネスで容易に接続することができ、スペースを取らない。簡単な構成となるので、製造時の組み立ても容易で経済的である。また、ファール球入賞口401は、発射球誘導通路61pの途中位置の下方に設けられ、ファール球を早期に発射球誘導通路61p内から退けることができるので、次に発射される遊技球と衝突する可能性を減ずることができる。
なお、本遊技機10においては、ファール球入賞口401が装飾部423を有する構成となっているが、必ずしも装飾部423を必要とせず、発射球誘導通路61pと同様に受け部421の前面側を窓パネル部91により覆う構成としてもよい。また、本遊技機10の窓孔51及び窓パネル部91を大きくして、遊技盤61下部におけるファール球の動きやファール球入賞口401が、遊技者から視認しやすくすることも望ましい。
ここで、図6及び図21(a)に示すように、ファール球入賞口401の受け部421の左上端部の左方及び右上端部の右方には、図21に示すように、左側減速部440及び右側減速部450が設けられている。
左側減速部440は2本の左遊技釘441,442からなり、上側外誘導レール部78a1の下端と受け部421の左上端部との間を埋めるように遊技盤61に植設されている。これらの左遊技釘441,442は、左側が上方となるように斜めに傾斜した直線上にあり、その傾きは、上側外誘導レール部78a1の下端の接線の傾きよりも大きくなるように配設されている。例えば、正面視において、左遊技釘441と左遊技釘442とを結ぶ直線と、上側外誘導レール部78a1の下端の接線とがなす角度は、10度〜50度となるように設けられている。
右側減速部450も2本の右遊技釘451,452からなり、受け部421の右上端部と下側外誘導レール部78a2の上端との間を埋めるように遊技盤61に植設されている。これらの右遊技釘451,452は、左側が上方となるように斜めに傾斜した直線上にあり、その傾きは、下側外誘導レール部78a2の上端の接線の傾きよりも僅かに大きくなるように配設されている。例えば、正面視において、右遊技釘451と右遊技釘452とを結ぶ直線と、下側外誘導レール部78a2の上端の接線とがなす角度は、1度〜20度となるように設けられている。
到達最低強度よりも弱い強度で打ち出された遊技球は、外誘導レール部78aにおいて、到達可能最下位置Lよりも下端側に当たり、発射球誘導通路61pの上端側へ移動した後、下端側へ移動(逆流)するファール球となる。ここで、ファール球は、右側減速部450や左側減速部440に接触することにより、その移動の勢い(移動速度)が弱められる。具体的には、右側減速部450及び左側減速部440は、上端側に移動する遊技球の勢いを弱め、その移動距離を短くしてファール球入賞口401への入球を早めることができる。また、左側減速部440によれば、上側外誘導レール部78a1上を下端側に移動する遊技球の勢いを弱めて、ファール球入賞口401に入球しやすくすることができる。なお、左側減速部440である2つの左遊技釘441と左遊技釘442を結ぶ直線の傾きは、発射された遊技球が当たっても遊技球発射機構80側に跳ね返ってしまうことのないような角度に設けられている。また、受け部421の右上端部は、この直線の延長線よりも上方へ突出するように設けられ、逆流してくるファール球をファール球入賞口401へ導くように設けられている。右側減速部450は、下側外誘導レール部78a2に当たり上端側へ移動する遊技球を、その勢いを弱めすぎることなくファール球入賞口401へ導くように設けられている。なお、左側減速部440及び右側減速部450は遊技釘であるので、必要に応じてその傾きの調節も可能である。
本実施例では、左側減速部440及び右側減速部450は、遊技盤61に植設した遊技釘により構成しているが、移動するファール球の運動エネルギーを減ずることができれば、これに限らない。本遊技機10では、従来のファール球回収口150を備えたままの構成として、ファール球入賞口401に入球しなかったファール球を回収すると共に、遊技終了時などに遊技球発射機構80内にある遊技球をこのファール球回収口150から下皿96aに返却できるようにしておくことにより、遊技者による遊技球の回収が容易になるように構成している。
<ファール球入賞口401の変形例>
次に、ファール球入賞口401の変形例について、図面を参照して説明する。なお、上述した実施例と同様の構成等については同様の符号、名称を付す等して重複する説明は省略する。
図22は、ファール球入賞口401の変形例であるファール球入賞口401xを説明するための正面図である。図21に示すように、実施例においては、誘導レール部78aの分断部78bに、ファール球入賞口401等を別部材として設けているが、本変形例においては、ファール球入賞口401の受け部421及び左側減速部440を、上側外誘導レール部78a1及び下側外誘導レール部78a2と一体的に外誘導レール部78xとして設けたものである。なお、外誘導レール部78xには、ファール球入賞口401の装飾部423及び右側減速部450に対応するものは形成されていない。
外誘導レール部78xには、到達可能最下位置Lよりも下端側に、正面視において斜め右下方に突出するようにファール球入賞口401xの受け部421xが、この受け部421xの左側には鋸歯状の左側減速部440xが形成されている。また、受け部421xの底面には、遊技球(ファール球)の衝撃を吸収し、かつ、遊技盤61の背面側へ導く弾力性を有する弾力材460が取り付けられている。受け部421xを右下方に突出するような形状とし、弾力材460を設けることで、上端側から逆流するファール球(遊技球)が入球しやすくなるとともに、入球したファール球が跳ね上がるのを防止することができる。なお、受け部421xは、ファール球が跳ね上がったとしても外誘導レール部78xの下端側(正面視斜め右下方の遊技球発射機構80側)への移動しないように、正面視右側面fが左斜め上方に突出するように設けられている。なお、ファール球入賞口401xは、本変形例の形状等に限らず、ファール球入賞口401xが外誘導レール部78aと一体となって構成されるものであればよい。一体として設けることにより部材が少なくて済むので、製造コストなどを抑えることができる。
<遊技球発射機構80>
次に、本発明の特徴的な構成を有する遊技球発射機構80について説明する。以下の説明においては、遊技機の前面に対面した状態を基準として左右、前後、上下の方向を表す。
図23は、遊技球発射機構80の正面図である。図24は、遊技球発射機構80の保護部材8159を開いた状態を示す正面図である。図25は、遊技球発射機構80を左斜め上方から視認した斜視図である。図26は、遊技球発射機構80を部分的に分解した状態を右斜め上方から視認した部分分解斜視図である。図27は、遊技球発射機構80のうち、支持板8の上側に支持される構成(球送り機構83、位置決め部85、発射レール部82)を分解した状態を右斜め上方から視認した分解斜視図である。図28は、遊技球発射機構80のうち、支持板8の下側に支持される構成(発射装置81、下カバー部86)を分解した状態を右斜め上方から視認した分解斜視図である。なお、便宜上、これらの図面においては球送り機構83はその一部の構成(台座部831)のみを図示し、図23〜図26においては、下カバー部86を省略している。また、図23においては、発射杵8111について、動作せず待機位置にある状態を実線で、打球動作により打球位置まで回転した状態を二点鎖線で表わしている。ここで、待機位置とは、発射杵8111が時計回りに回転した際に後述する戻り動作規制部8152によりその回転が妨げられて止まる位置をいい、打球位置とは、発射杵8111が反時計回りに回転した際に後述する打球動作規制部8151によりその回転が妨げられて止まる位置をいう。
図23〜図28に示すように、遊技機発射機構80は、発射球誘導通路61pに向けて延びる発射レール部82と、上皿95aに貯留された遊技球を1球ずつ取り込み発射レール部82の発射レール821上へ送り込む球送り機構83と、送り込まれた遊技球を発射レール821上の所定の位置(発射直前の停止位置、適宜、発射位置という)に留め置く位置決め部85と、発射位置に留め置かれた遊技球B(図23参照)を遊技領域に打ち込む発射杵8111を有する発射装置81と、発射装置81の前面下側を覆うようにカバーする下カバー部86(図28参照)と、これら(発射装置81、発射レール部82、球送り機構83、位置決め部85、下カバー部86)を支持する支持板8とからなる。
<支持板8>
支持板8は、図26〜図28等に示すように、発射装置81、発射レール部82、球送り機構83、位置決め部85及び下カバー部86をそれぞれ所定の位置に支持するベース部材であり、上述した遊技機ベースユニット(本体枠又は内枠)22の前面側右下部に固定される(図2参照)。支持板8は、略矩形状の樹脂製の板状部材からなり、発射装置81、発射レール部82、球送り機構83、位置決め部85及び下カバー部86を取り付けるための貫通孔a,h,c,d,e,f,gと、後述する球送り装置83の流入口831gと連通する連通孔8aと、後述する発射装置81のロータリーソレノイド811のコイル8112aの裏面側が嵌め入れられる嵌入孔8bと、後述する発射装置81の発射杵811の杵回動軸8114を係止する係止孔8cと、後述するストッパー部材(打球動作規制部材8151a,戻り動作規制部材8152a)を支持する支持軸8151b(図28参照),8152bを取り付ける支持孔81,82と、軸ねじ8160を取り付ける支持軸83が設けられている。
<球送り機構83>
球送り機構83は、上皿95a(図1参照)内の遊技球を、1球ずつ、発射レール821上に送り込むものである。図23〜図27には、支持板8に取り付けられる台座部831のみが示されているが、球送り機構83は、これ以外に、図23〜図27には便宜上図示していない開閉部832(図5参照)及び球送り部材(図示せず)を有する。開閉部832は、透明又は半透明の樹脂製の扉状の部材であり、後述する台座部831、発射装置81の上部、発射レール部82及び位置決め部85の前面側を覆うように、台座部831(後述する軸部831c)に開閉可能に枢支される部材である。この開閉部832と台座部831とで、電磁石(球送りソレノイド)や送出片などからなる球送り部材を内蔵するケース部材を構成している。
球送り機構83の台座部831は、図24に示すように、正面視略矩形状の透明又は半透明の樹脂製の支持部材であり、図26に示すように、右下部分には後述する発射装置81の回動規制機構815を取り付けるための切欠部831aが設けられている。また、図23や図27に示すように、台座部831の右端の中央部には1つのねじ孔a1が、左側下端部には前方に突出する円柱状の2つのボス831bにそれぞれ設けられたボス孔h1が、中央部右側には2つのねじ孔c1(図23参照)と1つ位置調節ピン挿通孔d1(図23参照)が形成されている。台座部831は、ねじ孔a1、ボス孔h1、ねじ孔c1、位置調節ピン挿通孔d1にそれぞれ挿通したねじA、ねじH、ねじC、位置調節ピンDを、貫通孔a、貫通孔h、貫通孔c、貫通孔dにそれぞれ螺合させることなどにより、支持板8の前面上部に固定される。なお、2つのボス831bは、左側のボス831bが上方となるように所定の傾斜の直線上に並んで設けられている。
図27に示すように、台座部831の右端部には、上下に2つの軸部831cが形成されており、当該軸部831cに、開閉部832の軸受部(図示せず)が着脱可能に取り付けられる。開閉部832には遊技球を1列に連なるように整列させる整列路R(図5参照)が形成されている。球送り部材(図示せず)は、この列の先頭の遊技球から1球ずつ取り込んで、台座部831の上側に整列路Rと連通するように形成された連通路831dを通して、遊技球を発射レール821上に転落させる。転落した遊技球は、発射レール821の前方を覆う開閉部832により前方へ落下することなく、基端側(発射杵8111側)の発射位置へ転がる。なお、遊技球の発射レール821上への供給動作と、後述する発射装置81(発射杵8111)の回動動作は、発射制御装置147により、一定の条件の下交互に行われるように制御される。
台座部831には、図26及び図27に示すように、左側のボス831bの左上方には前方に突出する突部831eが、右側のボス831bの右下方には前方に突出するトレー部831fが形成されており、発射レール821がこれらの間に嵌め込むようにして取り付けられる。突部831eは正面視略台形の柱状部であり、2つのボス831bよりも若干大きく前方に突出するように形成されている。また、トレー部831eは平面視略四角形の板状部であり、2つのボス831bよりも大きく前方に突出するように形成されている。
図27に示すように、略四角形のトレー部831fには、後方に向かい徐々に下方に傾斜する上面831f1と、後辺部分を除いた周縁部に上方に突出するコの字形状の周壁部831f2が形成されている。また、台座部831には、トレー部831fの上面831f1及び周壁部831f2の内側面を後方に延長するようにして、貫通孔である流入口831gが形成されている。よって、トレー部831f上に落ちた液体は、その縁からこぼれることなく、後方の流入口831gへ流れ込み、上述した支持板8の連通孔8aを通して遊技機10外部へ排出される。
<発射レール部82>
発射レール部82は、図23に示すように、後述する位置決め部85とともに、球送り機構83により装填された遊技球Bを発射位置に留め置くとともに、発射装置81より発射された遊技球Bを発射球誘導通路61p内に導き、遊技領域61aへ案内するためのものである。発射レール部82は、図27に示すように、断面略M字の金属製のレール部材である発射レール821を有し、発射レール821は、遊技球が転がるレール部821aと、これを支持するレール支持部821bとからなる。レール部821aは、横断面がV字状であり、発射された遊技球の勢いを殺ぐことのないように、直線状に延びるように形成されている。レール支持部821bはレール部821aの両端縁それぞれを下方に延ばすように形成されており、2つの取付孔h2が形成されている。また、正面視において、レール支持部821bの左端部(先端側の端部)は台座部831の突部831eの右側面に沿うように形成されており、レール支持部821bの右端部(基端側の端部)はその下側が台座部831のトレー部831fの左側面及び上面左側に沿うように切り欠かれている。
発射レール821は、遊技球を所定の発射角度(打ち出し角度)で放出するために、図25等に示すように、その延設方向が所定の傾斜角度となるように配設される。具体的には、図27に示すように、2つの取付孔h2に球送り機構83の台座部831の2つのボス831bを挿通し、前面側からねじHをボス孔h1及び貫通孔hに螺合することにより、球送り機構83の台座部831及び支持板8に斜めに傾いた状態で固定される。発射レール821の基端側(右下端側)の発射位置に装填された遊技球は、発射装置81により発射レール821に沿うように発射されて(詳細は後述)、その先端側(左上端側)から発射球誘導通路61p内に向かって飛び出す。
本遊技機10においては、図23及び図25に示すように、発射レール821の下方に発射装置81のロータリーソレノイド811が配置される。そして、これを保護するために発射レール821のレール部821aの基端(右端)の下方には、上述した台座部831のトレー部831fが設けられている。遊技者が誤って飲み物をこぼし、その液体が上皿95aから遊技球が供給される通路(整列路R、連通路831d)を通り発射レール821上に流れてきたとしても、図26に示すようにトレー部831fにより集められて、流入口831g、連通孔8aを通り遊技機外部に排出するように構成されている。このような構成とすることにより、発射装置81(ロータリーソレノイド811)が濡れて壊れてしまうことを防ぐことができる。
<位置決め部85>
位置決め部85は、図23及び図27に示すように、発射レール821上に転落して右下方へ転がる遊技球を、その基端部の発射位置に留め置くように位置決めする金属製の位置決め部材851を有する。位置決め部材851は、遊技球を支持する球支持部851aと、これを所定の箇所に取り付けるための取付部851bとからなる。球支持部851aは正面視略くの字形の板状部であり、その下部の左側面で発射レール821上に装填された遊技球を発射位置に保持する。また、取付部851bは正面視略逆V字形の板状部であり、球支持部851a上部の後端縁から垂直方向に延設されている。取付部851bには、2つのねじ孔c3及び位置調節ピン挿通孔d3が形成されており、ねじC、位置調節ピンDをそれぞれ挿通し、ねじ孔c1及び貫通孔c、位置調節ピン挿通孔d1及び貫通孔dに螺合することにより、球送り機構83の台座部831及び支持板8に固定される。なお、ねじ孔c3及び位置調節ピン挿通孔d3は略楕円形状の貫通孔であり、固定しているねじC及び位置調節ピンDを緩めて位置決め部材851の位置を調節した後に再度締めることで、遊技球の発射直前の停止位置(発射位置)を微調整することができるようになっている。
<発射装置81>
発射装置81は、発射位置に装填された遊技球を発射球誘導通路61p内に打ち込むものであり、図26に示すように、発射杵8111及びこれを駆動する杵駆動部8112を有する発射部(ロータリーソレノイド)811と、発射杵8111の動作範囲を規制する回動規制機構815とからなる。また、発射装置81は、図23に示すように、発射部811の杵駆動部8112を発射レール部821の下端に接するように配置し、回動規制機構815の上部(打球動作規制部8151や第1保持部8156など)を、球送り機構83内に組み入れるように配置することにより、小型化されている。
<発射部811>
発射部811は、遊技者の遊技球発射ハンドル84の操作に基づいて発射制御装置147により制御されるロータリーソレノイド811であり、このロータリーソレノイド811は、図26に示すように、通電により励磁する杵駆動部8112と、杵駆動部8112の励磁と消磁により回動する発射杵8111と、発射杵8111を杵駆動部8112に回動可能に軸支する杵回動軸8114と、発射杵8111の動作を補助するバネ部材8113とからなる。発射部811(ロータリーソレノイド811)は、図28に示すように、杵駆動部8112のコイル8112aの後部を支持板8の嵌入孔8bに嵌め入れ、4つのねじEそれぞれをねじ孔e4及び貫通孔eに螺合することにより、支持板8に固定される。また、杵駆動部8112の右下端部には回動軸孔8112bが形成されており、この回動軸孔8112bと支持板8の係止孔8cとに挿着される杵回動軸8114によって、発射杵8111は回動可能に軸支される。バネ部材8113は両端をフック状にした金属製のコイルバネであり、図24に示すように、その一端側が発射杵8111に、他端側が後述する回動規制機構815の支持ベース8153に取り付けられ、発射杵8111は時計周りに回転するように付勢されている。
<発射杵8111>
発射杵8111は、図24に示すように、正面視において、Tの字を時計回りに120度回転させたものを2つ、一方の下端の左側が他方の上端の右側に接するように合わせたような形をした、横断面が略四角形である横杵部材である。発射杵8111は、杵回動軸8114に基端側が軸支される金属製のアーム部8111aと、発射位置の遊技球を打つための打球部8111bと、杵駆動部8112の励磁・消磁により発射杵8111を動作させる金属製のプランジャー部8111cとからなる。打球部8111bは略直方体形状の樹脂製の部材であり、本遊技機10では、ポリエステル系熱可塑性エラストマーが採用されている。図24に示すように、打球部8111bには、アーム部8111aに取り付けるためにくり抜くように四角柱状の嵌合凹部nが形成されており、打球部8111bは、この嵌合凹部nに、アーム部8111aの上部中央に発射レール821側に突出するように形成された四角柱状の嵌合凸部mを嵌め入れて、留めピンPで止めることにより固定される。プランジャー部8111cは、アーム部8111aの下部中央から杵駆動部8112のコイル8112aの内方に突出するように形成されている。なお、打球部8111bは、アーム部8111aに交換可能に取り付けられている。
<発射杵8111の動作>
発射杵8111は、図23に示すように、ロータリーソレノイド811の通電により杵駆動部8112が励磁し、プランジャー部8111cがコイル8112a内に引き込まれて反時計回りに回転して、遊技球を打つ位置(打球位置)まで動作する(以下、打球動作という)。また、ロータリーソレノイド811の通電を停止した際には杵駆動部8112が消磁し、発射杵8111は、バネ部材8113の付勢力などにより時計回りに回転し元の位置(待機位置)まで戻るように動作する(以下、戻り動作という)。なお、発射杵8111の反時計回りの回転動作(打球動作)の動作範囲は、アーム部8111aの上端部左側面が、ストッパー部材である打球規制部材(第1規制部材)8151a(詳細は後述)の右側面に当たることより規制され、発射杵8111の時計回りの回転動作(戻り動作)の動作範囲は、アーム部8111aの中央部右側面が、ストッパー部材である戻り規制部材(第2規制部材)8152a(詳細は後述)の側面に当たることにより規制される。
発射装置81(発射杵8111)は、発射制御装置147により一定の条件下において所定時間毎に励磁・消磁が繰り返されて、上述した打球動作と戻り動作を交互に行う。そして、打球動作の際に、発射位置にある遊技球Bに打球部8111bを打ち当てて発射させる。なお、遊技者の遊技球発射ハンドル84の操作量に基づき、プランジャ部8111c(発射杵8111)の動作速度が適宜調整され、これにより、遊技球Bの発射速度ひいては飛翔量が調整されるようになっている。
<回動規制機構815>
回動規制機構815は、図28に示すように、発射杵8111の打球動作範囲を規制する打球動作規制部(第1規制部)8151と、発射杵8111の戻り動作範囲を規制する戻り動作規制部(第2規制部)8152と、打球動作規制部8151及び戻り動作規制部8152を支持する支持ベース部8153と、発射杵8111と打球動作規制部8151と戻り動作規制部8152の前方を覆いこれらを保護する保護部8158とを備えている。また、保護部8158の保護部材8159は、図23及び図24に示すように、その基端部(右下突出部8159d)が支持ベース部8153(支持ベース8154)の下端部(右下突出支持部8154d)に回動可能に支持され、発射杵8111等の前面側を開閉可能に保護するように構成されており、回動規制機構815は、この保護部材8159の先端側を着脱可能に保持する第1保持部8156及び第2保持部8157を備えている。
<支持ベース部8153>
支持ベース部8153は、図28に示すように、正面視略逆くの字形状の金属製の板部材である支持ベース8154を有している。支持ベース8154は、くの字形状の本体部8154aを延長するように、上端側には左上方向に突出する左上突出支持部8154bが、下側には右下方向に突出する左下突出支持部8154dが形成されている。また、本体部8154aの上縁には、右上方向に突出する上突出支持部8154cが段違いに形成されている。本体部8154aには2つのねじ孔f5が形成されており(図24参照)、支持ベース8154は、2つのねじFそれぞれをねじ孔f5、貫通孔fに螺着することにより、支持板8に固定される。
支持ベース8154の左上突出支持部8154bは、打球動作規制部8151及び第1保持部8156を支持するために設けられており、その中央には、打球動作規制部8151の支持軸8151bを支持するための支持孔81541が形成されている。また、左上突出支持部8154bには、上縁から左縁にかけて前方に突設された枠部xが、下縁には前方に垂設された板状の壁部yが形成されており、図25及び図26に示すように、打球動作規制部8151の打球規制部材8151aの後端の周縁の一部と、打球規制部材8151aの一側面をそれぞれ支持するように構成されている。なお、その詳細については、後述する。
支持ベース8154の本体部8154aの下部であり右下突出支持部8154dの左方には、図28に示すように、戻り動作規制部8152を支持するための支持孔81542が形成されており、戻り動作規制部8152の支持軸8152bを支持する。また、本体部8154aには、支持孔81542と右下突出支持部8154dの間に前方に突出する突部zが垂設されている。この突部zは、図24及び図28に示すように、その左側面に形成された正面視円弧状の湾曲面z1により、戻り規制部材8152aの側面部を支持する。なお、突部zにおいて、その右側面には、保護部材8159の回動を妨げないように凹状部分z2が形成されており、その下端部には、上述したバネ部材8113の端部を引っ掛けるための鉤部z3が形成されている。
支持ベース8154の上突出支持部8154cは、図28に示すように、第2保持部8157を支持するために設けられており、その中央には、第2保持部8157の支持軸8157bが螺着される支持孔81543が形成されている。
また、支持ベース8154の右下突出支持部8154dは、保護部8158を回動可能に支持するために設けられており、その中央には、保護部8158の軸ねじ8160が螺着される支持孔81544が形成されている。
<打球動作規制部(第1規制部)8151>
打球動作規制部(第1規制部)8151は、図28に示すように、発射杵8111の打球動作範囲を規制する打球規制部材(第1規制部材)8151aと、これを支持する支持軸8151bとからなる。打球規制部材8151aは、図24及び図26に示すように、正面視においては角を丸めた正方形状の、略四角柱状の樹脂製緩衝部材で、例えば、ポリエステル系熱可塑性エラストマーなどである。図28に示すように、打球規制部材8151aの中心軸部分には、支持軸8151bを挿通する挿通孔が設けられ、打球規制部材8151aは支持軸8151bに交換可能に取り付けられる。支持軸8151bは金属製の軸部材であり、その基端側が支持ベース8154の支持孔81541及び支持板8の支持孔81に取り付けられて固定される。打球規制部材(第1規制部材)8151aは、図23に示すように、発射杵8111が反時計方向に回転する打球動作を行う際に、アーム部8111aに当接してその打球動作範囲を定めるとともに、発射杵8111の打球部811bが遊技球Bを打ち放つ際の位置や角度を定める重要な役割を担うものである。本遊技機10においては、支持ベース8154の枠x及び壁yにより位置決めされる打球動作規制部材(第1規制部)8151aに形成した平面(右側面)で、アーム部8111aの上端部左側面を受けとめることにより(詳細は後述)、遊技球Bを所望の位置や角度で打ち放つことができる。
<戻り動作規制部(第2規制部)8152>
戻り動作規制部(第2規制部)8152は、図28に示すように、発射杵8111の戻り動作範囲を規制する戻り規制部材(第2規制部材)8152aと、これを支持する支持軸8152bとからなる。戻り規制部材8152aは樹脂製の円筒形緩衝部材であり、例えば、ポリエステル系熱可塑性エラストマーなどである。戻り規制部材8152aの中心孔には、支持軸8152bが挿通され、戻り規制部材8152aは支持軸8152bに交換可能に取り付けられる。支持軸8152bは金属製の軸部材であり、その基端側が支持ベース8154の支持孔81542及び支持板8の支持孔82に取り付けられて固定される。戻り規制部材(第2規制部材)8152aは、図24に示すように、発射杵8111が時計方向に回転する戻り動作を行う際に、アーム部8111aの中央部右側面に当接してその戻り動作範囲を定める。
<第1保持部8156>
第1保持部8156は、保護部材8159を着脱自在に保持するための部材であり、図26及び図28に示すように、打球動作規制部8151の前方に配設される。第1保持部8156は、第1弾性部材8156aと、これを取り付けるための止めねじ8156bとからなる。第1弾性部材8156aは、正面視略五角形状の二枚の薄板を、間隔を空けた状態でその対向する一辺において繋いで形成した平面視略コの字状の金属製の板ばね部材である。第1弾性部材8156aの二枚の薄板の略中央には挿通孔が対向するように設けられおり、ここに止めねじ8156bが挿通されて打球規制部8151の支持軸8151bの前面側に螺着される。なお、保護部材8159は、その切欠部8159b1が打球規制部材8151aと第1弾性部材8156aの間に挿入され、支持軸8151bの軸部に掛け止められることで閉じた状態に保持されるが、その詳細については後述する。
<第2保持部8157>
第2保持部8157は、保護部材8159を着脱自在に保持するための部材であり、図26及び図28に示すように、第2弾性部材8157aと、これを取り付けるための止めねじ8157bとからなる。第2弾性部材8157aは、上述した第1弾性部材8156aと同部材である。第2弾性部材8157aは、ねじ部材8157bを挿通孔に挿通し、これを支持孔81543に螺着することにより、支持ベース8154に取り付けられる。なお、保護部材8159は、その切欠部8159c1が支持ベース8154と第2弾性部材8157aの間に挿入され、止めねじ8157bの軸部に掛け止められることで閉じた状態に保持される。
<保護部8158>
保護部8158は、図25及び図26に示すように、発射杵8111と打球動作規制部8151と戻り動作規制部8152の前方を覆いこれらを保護するものであり、発射杵8111の回動するスペースを確保した状態で、支持ベース8154に対面するように配設されるものである。保護部8158は、正面視において略逆くの字形状の金属製部材である保護部材8159と、これを支持ベース8154に回動可能に軸支する軸ねじ8160とからなる。
保護部材8159は、くの字形状の板状部8159aと、板状部8159aの上端部左側に段違いに後方に形成された左上方に突出する左上突出部8159bと、板状部8159aの上端部上側に段違いに後方に形成された上方に突出する上突出部8159cと、板状部8159aの下端部右側に段違いに後方に形成された右下方に突出する右下突出部8159dとからなる。右下突出部8159dの中央には軸ねじ孔81591が設けられており、軸ねじ8160を軸ねじ孔81591、支持孔81544、支持孔83に取り付けることにより、図23及び図24に示すように、保護部材8159は支持ベース8154及び支持板8等に対して回動可能に軸支される。また、左上突出部8159bには鉤状の切欠部8159b1が、上突出部8159cには鉤状の切欠部8159c1が形成されており、保護部材8159を回動させることにより、それぞれ打球動作規制部8151の支持軸8151b、第2保持部8157の止めねじ8157bに着脱自在に掛け止められる。なお、左上突出部8159bの上端には後方へ延びる庇部8159b2が形成されている(図26参照)。
<下カバー部86>
下カバー部86は、図28に示すように、発射装置81の杵駆動部8112及び発射杵8111下部を保護するためのものであり、これらの前方を覆う樹脂製の下カバー部材861を有する。下カバー部材861は、略矩形状の板状部861aと、その上辺以外の周縁部分から後方に延びるように形成した側壁部861bと、その両側に外方に突出し中央にねじ孔g6(一部省略)が設けられた取付部861cとからなる。下カバー部86は、ねじ孔g6にねじGを挿通し、これを支持板8の貫通孔gに螺着することにより、支持板8に固定される。
<保護部材8159の開閉>
上述したように、保護部材8159は、軸ねじ8160により支持ベース8154に回動可能に軸支され、その先端側の切欠部8159b1及び切欠部8159c1は、板ばね部材である第1弾性部材8156a及び第2弾性部材8157aにより、第1保護部8156及び第2保護部8157に容易に着脱できるように保持される。よって、通常(遊技時など)は、図23に示すように閉じた状態となっている保護部材8159を、メインテナンスの際には、下カバー部86を取り外し、球送り装置83の開閉部831を開いた(又は取り外した)後に反時計回りに回転させることで、図24に示すように容易に開いた状態とすることができる。発射杵8111、第1規制部8151及び第2規制部8152を露出させることによって、打球部8111b、第1規制部材8151a及び第2規制部材8152aの交換なども可能となる。なお、保護部材8159は、図23及び図24に示すように、閉じた状態において支持軸8152bに取り付けられた戻り規制部材8152aの前方を覆い、その脱落を防ぐ役割も担っている。
<支持ベース8154の左上突出支持部8154b>
次に、支持ベース8154の左上突出支持部8154bに支持される打球動作規制部8151と第1保持部8156と保護部材8159の関係について説明する。図29は、支持ベース8154の左上突出支持部8154bと打球動作規制部8151と第1保持部8156と保護部材8159との関係を説明する図26のX−X線断面図であり、(a)は保護部材8159を掛け止める前の状態、(b)は保護部材8159を掛け止めた後の状態を示す。なお、図29においては、支持ベース8154などが支持板8に支持された状態がわかるように、支持板8を二点鎖線で示している。また、図29(a)においては、紙面前方から支持軸8151bに掛け止められる保護部材8159を、便宜上、支持軸8151bの上方に二点鎖線で示している。
図29に示すように、第1保持部8156の第1弾性部材8156aの後方の挿通孔tの径は、打球動作規制部8151の支持軸8151bの軸部の径、及び、打球動作規制部8151の打球規制部材8151aの挿通孔の径と略同じ大きさである。また、第1保持部8156の第1弾性部材8156aの前方の挿通孔uの径は、後方の挿通孔tの径よりも小さく、第1保持部8156の止めねじ8156bの軸部の径と略同じ大きさである。
保護部材8159を掛け止める前は、図29(a)に示すように、打球規制部材8151aは前方に取り付けられる第1弾性部8156により位置決めされ、その後端部は支持ベース8154の左上突出支持部8154bの枠部x及び壁部yに囲まれた空間である収容部S(図28参照)内に軽く嵌まって仮止めされる。そのため、打球規制部材8151aの前面側に容易に保護部材8159(左上突出部8159b)を挿入することができ、打球規制部材8151aを回転させることなく掛け止めることができる。
保護部材8159を掛け止めた後は、図29(b)に示すように、保護部材8159は第1弾性部材8156aの弾性力により外れないように保持され、打球規制部材8151aは第1弾性部材8156aの弾性力により支持ベース8154の左上突出支持部8154b側に強く付勢されて収容部S内にしっかり嵌め込まれて保持された状態となる。なお、掛け止められた保護部材8159は、左上突出部8159bの庇部8159b2により打球規制部材8151aの上側面を支えている。また、左上突出部8159bに庇部8159b2を設けることにより、掛け止めた保護部材8159が打球規制部材8151aに食い込むことを防いで外し易くしている。
上述のような構成により、図23〜図26に示すように、打球規制部材8151aは、支持軸8151bに所望の傾き(角度)で支持される。なお、本遊技機10では、第1弾性部材8156aを止めねじ8156bにより支持する構成としたが、支持軸8151bの長さを長くして支持軸8151bにより支持し、単に第1弾性部材8156a等の抜け止めとしてねじを取り付ける構成とすることもできる。
<発射杵8111と発射位置の遊技球B>
次に、発射杵8111の打球動作について説明する。図30は、打球時の発射杵8111の打球部8111bと、発射位置に装填された遊技球Bとの関係を説明する概略正面図であり、(a)は打球部8111bが発射位置の遊技球に接した瞬間の状態、(b)は打球部8111bが遊技球に接触しながら回転している状態、(c)は打球部8111bが遊技球を打ち放つ瞬間(打球部8111bが打球動作規制部8151により打球動作を制止された瞬間)の状態を示す。なお、発射レール821のレール部821aは横断面V字形状であり遊技球Bと2点で接するが、図30においては、便宜上、発射レール821(レール部821a)をその延設方向に延びる直線Vで表している。また、以下、打球部8111bが発射位置の遊技球Bに接する瞬間(打球開始時)の位置を打球開始位置と表し、打球部8111bが打球動作規制部8151により制止されて遊技球Bを打ち放つ瞬間(打球終了時)の位置を打球終了位置と表わす。また、遊技球Bについて、打球開始時の遊技球の位置又はその位置にある遊技球(発射位置にある遊技球)を「B1」、打球終了時の遊技球の位置等を「B2」を用いて表わして区別する。
打球開始位置の発射杵8111の打球部8111bは、図30(a)に示すように、遊技球B1との接点である点α1と、回転中心である杵回動軸8114の中心点Oとを結ぶ直線K1が、発射レール821の延設方向(直線V)に対して垂直になるように配設されている。そのため、発射杵8111は、その駆動力を遊技球B1に効率的に伝えることができる。また、打球部8111bの先端面Jは平面であり、打球開始位置において直線Vがその垂線となるように形成されている。よって、打球部8111bの位置が多少ずれても、遊技球B1の中心Boを確実に捕らえることができる。また、打球部8111bは、遊技球B1に接した際に、遊技球B1と打球部8111bとの接点α1の間に発生する摩擦力が、遊技球B1と発射レール821との間に発生する摩擦力よりも大きくなるように構成されている。具体的には、打球部8111bの先端面J(左側面)の表面加工や打球部8111b自体の素材の選択等により摩擦係数を大きくしたりすること等が考えられる。なお、例えば、先端面Jの横断面をU字状とするなどして、遊技球B1と打球部8111bの接触面積を大きくして摩擦力を大きくすることもできる。
発射杵8111の打球部8111bは、その後、図30(b)に示すように、遊技球B1に接触した状態を保ちつつ点Oを中心として回転する。この際、打球部8111bの点α1が発射レール821側に近づくように(直線Vとの距離が短くなるように)回転移動するため、打球部8111bはその摩擦力により遊技球B1を巻き込んで、遊技球B1にバックスピンを掛けながら遊技球B1´の位置に移動させる。よって、直線Vに平行に無回転状態で打ち出すことを防ぐことができ、また、遊技球B1を掬うように打ち出してしまうこともない。さらに、バックスピンを掛けることにより遊技球B1が先端面Jからの浮いてしまうのを抑えることができ、打球部8111bとの接触時間を増やして、杵駆動部8112の駆動力を効率的に遊技球B1に伝えることができる。
打球終了位置の発射杵8111の打球部8111bは、図30(c)に示すように、放つ直前の位置にある遊技球B2と接触している接点α2(第1接触部)と、杵回動軸8114の中心点Oとを結ぶ直線K2(第1直線)が、発射レール821の延設方向に対する垂線の上方を発射レール821の先端側に傾けたような直線となる。つまり、図30(c)に示すように、直線Vと直線K2がなす角γが、遊技球B2を挟むように鋭角となっている。そのため、打球部8111bは、発射レール821に押し当てるようにして遊技球B2を放つ。よって、遊技球B2は発射レール821に沿うように転がって発射装置81から発射され、その軌道は安定したものとなる。なお、遊技球B2は発射レール821側に押し出されるので、打球終了時の遊技球B2には、必ずしもバックスピンが掛かっている必要がない。
図31は、発射杵8111の打球部8111bの一例を示し、(a)は発射杵8111の一部の正面図、(b)は打球部8111bの先端面Jをその正面から視認した図である。図31に示すように、打球開始位置において遊技球B1と接触する接点α1(図30(a)参照)を含む部分(中央部分J1)と、打球終了位置において遊技球B2と接触している接点α2(図30(c)参照)を含む部分(上側部分J2)とで、遊技球に対する摩擦係数が異なるように加工されている。具体的には、中央部分J1が上側部分J2よりも摩擦係数が大きくなるように加工されている。打球開始時には、遊技球B1にバックスピンを掛けるように作用するものの、打球の途中でバックスピンを掛けることをやめ、遊技球B2を発射レール821側に押し出すように打ち放つときには、無回転であったり、トップスピンが掛かるようにして、遊技球B2の発射速度が落ちることを防いでいる。
本遊技機10によれば、発射杵8111の打球部8111bを発射レール821上の遊技球Bに垂直に当ててこれにバックスピンを掛け、遊技球を下方に押し出すように打ち放つので、発射杵8111の駆動力を効率的に伝えつつ、その軌道が安定するように遊技球を発射することができる。よって、発射レール821を短くすることができ、発射装置81(遊技球発射機構80)を小型化することが可能である。
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図32のブロック図に基づいて説明する。図32では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御装置107に設けられた主制御基板311には、主制御回路312と停電監視回路313とが内蔵されている。主制御回路312には、CPU321が搭載されている。CPU321には、当該CPU321により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM(不揮発性記憶手段)322と、そのROM322内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM(揮発性記憶手段)323と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM323は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御装置147に設けられた電源及び発射制御基板331からバックアップ電力(データ記憶保持用電力)が供給されてデータが保持される構成となっている。
CPU321には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。主制御回路312の入力側には、主制御基板311に設けられた停電監視回路313、払出制御装置146に設けられた払出制御基板332及びその他図示しないスイッチ群などが接続されている。この場合に、停電監視回路313には電源及び発射制御基板331が接続されており、主制御回路312には停電監視回路313を介して電力が供給される。
ちなみに、主制御回路312の入力側に接続されるスイッチ群としては、一般入賞口62に入球した遊技球を検知する一般入賞口センサ325と、可変入賞装置63に入球した遊技球を検知するカウントセンサ326と、上作動口64に入球した遊技球を検知する上作動口センサ327と、下作動口65に入球した遊技球を検知する下作動口センサ328と、ファール球入賞口401に入球した遊技球を検知するファール球入賞口センサ470と、払出装置135から払い出される遊技球を検知する払出検出センサ199などがある。なお、一般入賞口センサ325は、一般入賞口62に対して1対1で対応させて設けられている。これら入賞検知センサ325〜328及びファール球入賞検知センサ470からの検知結果に基づいて、主制御回路312のCPU321において、各種入賞口62〜65又はファール球入賞口401への遊技球の入球の有無が特定される。
一方、主制御回路312の出力側には、停電監視回路313、払出制御基板332、中継端子板333及び外部端子板131が接続されている。払出制御基板332には、主制御回路312から賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。また、中継端子板333を介して、音声ランプ制御装置103に設けられた音声ランプ制御基板334に対しても、各種コマンドなどが出力される。なお、外部端子板131には、遊技ホール側の管理制御装置が接続されている。
停電監視回路313は、主制御回路312と電源及び発射制御基板331とを中継し、また電源及び発射制御基板331から出力される最大電源である直流安定24ボルトの電源を監視する。
払出制御基板332は、払出装置135により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU341は、そのCPU341により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM(不揮発性記憶手段)342と、ワークメモリ等とし
て使用されるRAM(揮発性記憶手段)343とを備えている。
払出制御基板332のRAM343は、主制御回路312のRAM323と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御基板331からバックアップ電力(データ記憶保持用電力)が供給されてデータが保持される構成となっている。
払出制御基板332のCPU341には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。払出制御基板332の入力側には、主制御回路312、電源及び発射制御基板331、及び裏パック基板136が接続されている。ちなみに、裏パック基板136を通じて、球無検知センサ186の検知結果及び球抜きボタン206の操作の有無が払出制御基板332に入力される。また、払出制御基板332の出力側には、主制御回路312及び裏パック基板136が接続されている。
電源及び発射制御基板331は、電源部と発射制御部とを備えている。電源部は、二重線矢印で示す経路を通じて、主制御回路312や払出制御基板332等に対して各々に必要な動作電力を供給する。発射制御部は、遊技者による遊技球発射ハンドル84の操作にしたがって遊技球発射機構80の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構80は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
また、電源及び発射制御基板331には、バックアップ電源部331aが設けられている。バックアップ電源部331aはコンデンサからなり、パチンコ機10の電源がON状態の場合(外部電源からの電力供給が行われている場合)に充電される。また、パチンコ機10の電源がOFF状態の場合や商用電源における停電発生時といった電源遮断状態(外部電源からの電力供給が遮断されている場合)では、バックアップ電源部331aから放電され主制御回路312のRAM323及び払出制御基板332のRAM343に対してバックアップ電力が供給される。よって、かかる状況であっても、バックアップ電源部331aからバックアップ電力が供給されている間は、各RAM323,343に記憶された情報が消去されることなく記憶保持される。
ちなみに、バックアップ電源部331aの容量は比較的大きく確保されており、電源遮断前に各RAM323,343に記憶されていた情報は所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。また、バックアップ電源部331aは、コンデンサに限定されることはなく、バッテリや非充電式電池などであってもよい。非充電式電池の場合、パチンコ機10の電源がON状態の際に電断時用電源手段への蓄電を行う必要はないが、定期的に交換する必要が生じる。
音声ランプ制御基板334は、環状電飾部92、エラー表示ランプ部93、スピーカ部94及び表示制御装置101を制御するものである。演算装置であるCPU351は、そのCPU351により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM352と、ワークメモリ等として使用されるRAM353とを備えている。
音声ランプ制御基板334のCPU351にはアドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。音声ランプ制御基板334の入力側には中継端子板333に中継されて主制御回路312が接続されており、主制御回路312から出力される各種コマンドに基づいて、環状電飾部92、エラー表示ランプ部93、スピーカ部94及び表示制御装置101を制御する。表示制御装置101は、音声ランプ制御基板334から入力する表示コマンドに基づいて図柄表示装置71を制御する。
次に、主制御回路312のCPU321により実行される各制御処理を図33〜図35のフローチャート等を参照しながら説明する。かかるCPU321の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理とタイマ割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図33は、NMI割込み処理であり、当該処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に実行される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号が停電監視回路313からCPU321のNMI端子に出力され、CPU321は実行中の制御を中断してNMI割込み処理を開始する。NMI割込み処理では、ステップS101にてRAM323に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグをセットし、本処理を終了する。その後、後述する通常処理にて停電フラグがセットされていることが確認されることで、停電時処理が実行される。
次に、タイマ割込み処理について図34のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS201では、各種スイッチや払出制御基板332などからの信号読み込み処理を実行する。ここで、信号読み込み処理では、一般入賞口センサ325、カウントセンサ326、上作動口センサ327及び下作動口センサ328から遊技球を検知している旨の検知結果を入力しているか否かを特定し、その特定結果に基づいて賞球コマンドのセットを行う処理を実行する。具体的には、一般入賞口センサ325の検知結果に基づいて一般入賞口62への遊技球の入球を特定した場合には10個賞球コマンドをセットする。また、カウントセンサ326の検知結果に基づいて可変入賞装置63への遊技球の入球を特定した場合には15個賞球コマンドをセットする。また、上作動口センサ327の検知結果に基づいて上作動口64への遊技球の入球を特定した場合には3個賞球コマンドをセットする。また、下作動口センサ328の検知結果に基づいて下作動口65への遊技球の入球を特定した場合には4個賞球コマンドをセットする。また、ファール球入賞検知センサ470の検知結果に基づいてファール球入賞口401への遊技球の入球を特定した場合には1個賞球コマンドをセットする。ここで、セットされた賞球コマンドは、後述する外部出力処理(ステップS401)にて払出制御基板332に出力される。
その後、ステップS202では、始動入賞処理を実行する。始動入賞処理では、上作動口センサ327及び下作動口センサ328から入力した検知結果に基づいて、遊技球が上作動口64又は下作動口65に入球したか否かを判定する。そして、遊技球が上作動口64又は下作動口65に入球している場合には、第1特定ランプ部73及び図柄表示装置71の作動保留球数が上限値未満であることを条件として、その入球に対して大当たりを発生させるか否かの指標となるカウンタ値のRAM323への格納処理を実行する。当該カウンタ値が大当たりの発生に対応した値である場合には、その入球に対応した遊技回において大当たりが発生することとなる。つまり、始動入賞処理において、大当たりといった特別遊技状態への移行抽選機能(移行判定手段)が果たされる。
始動入賞処理の後、CPU321は本タイマ割込み処理を一旦終了する。なお、タイマ割込み処理において、大当たりを発生させるか否かの指標となるカウンタ値を更新する処理なども実行するようにしてもよい。
次に、電源投入時のリセットに伴い起動されるメイン処理について、図35のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS301では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、従側の制御基板(払出制御基板332等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウェイト処理を実行する。続くステップS302では、RAM323のアクセスを許可する。
その後、ステップS303では、電源及び発射制御装置147に設けたRAM消去スイッチ149aがオンされているか否かを判定し、続くステップS304ではRAM323の停電フラグ格納バッファに停電フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS305ではRAM判定値を算出し、続くステップS306では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。RAM判定値は、例えばRAM323の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM323の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ149aを押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ149aが押されていれば、ステップS309〜S311の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS309〜S311の処理に移行する。
ステップS309では、従側の制御基板となる払出制御基板332等を初期化するために、払出初期化コマンド等を出力する。続くステップS310ではRAM323の使用領域を0にクリアし、ステップS311ではRAM323の初期化処理を実行する。その後、ステップS312にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ149aが押されていない場合には、停電フラグが格納されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、ステップS307に進む。ステップS307では、停電フラグ格納バッファに格納されている停電フラグをクリアし、ステップS308にて従側の制御基板を電源遮断前の遊技状態に復帰させるための復電コマンドを出力する。その後、ステップS312にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。これにより、電源遮断前の状態に復帰する。
次に、通常処理について、図36のフローチャートを用いて説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。
通常処理において、ステップS401では、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データを従側の各制御基板に出力する。具体的には、上述した信号読み込み処理にてセットされた賞球コマンドを払出制御基板332に対して出力する。また、図柄表示装置71による第1図柄の変動表示に際して停止図柄コマンド、変動態様コマンド等を音声ランプ制御基板334に出力する。さらに、上述したファール球入賞口401への遊技球の入球により1個賞球コマンドがセットされている場合には、音声ランプ制御基板334へファール球入賞コマンドが出力される。ファール球入賞コマンドの入力により、音声ランプ制御基板334は、環状電飾部92、スピーカ部94、表示制御装置101などにより、遊技者に対してファール球の入賞と、払出装置146からの賞球1球が払い出されることを報知する。
なお、ファール球入賞コマンドは、ファール球の入賞や賞球1球の払い出しを遊技者に報知するだけではなく、様々な用途に利用することが可能である。例えば、ファール球入賞コマンドの出力に基づいて、遊技者が遊技球を意図的に弱く打って(所謂、チョロ打ちで)遊技を行っていると判断して、遊技者に表示制御装置101などにより報知(警告)したり、ホール管理者にホールコンピュータなどにより報知したりするように構成することも可能である。具体的には、遊技状態が通常遊技中である際に、遊技球の発射回数に対するファール球入賞コマンドの出力回数の比率が所定数よりも大きい場合や、所定の期間にファール球入賞コマンドの出力が所定回数あった場合などに、チョロ打ちによる遊技が行われていると判断するように構成することができる。
この外部出力処理においては、遊技領域61a外のファール球入賞口401への入賞による1個賞球コマンドを除き、遊技領域61a内の各入賞口62〜65への入賞による各種賞球コマンドに基づいて加算された遊技球の払出賞球数が、所定の球数ごと(例えば10球ごと)にパルス信号として、外部端子板131から遊技ホール側の管理装置に出力される。ファール球を下皿96aに戻す代わりとして遊技球を1球払い出すための1個賞球コマンドを、他の賞球コマンドと区別することにより、本来の払出賞球数をホールコンピュータにより把握することができる。なお、払出賞球数は、これに限らず種々の態様を採用することが可能であり、上述した払出検知センサ199及びファール球入賞検知センサ470の検知結果に基づいて算出することなども可能である。
続くステップS402では、第1特定ランプ部73に表示される色の切り替えを行うための第1特定ランプ部制御処理を実行する。第1特定ランプ部制御処理では、大当たり判定や第1特定ランプ部73に配設されたLEDランプの光源スイッチのオンオフ制御などが行われる。そして、第1特定ランプ制御処理では、始動入賞処理にて格納されたカウンタ値に基づいて大当たりを発生させると判定した場合、遊技状態を大当たり状態に移行させる。つまり、第1特定ランプ制御処理において、特別遊技状態への移行機能(移行手段)が果たされる。なお、第1特定ランプ部制御処理において、図柄表示装置71による第1図柄の変動表示の設定も行われる。
第1特定ランプ部制御処理の後は、ステップS403にて大入賞口開閉処理を実行する。大入賞口開閉処理では、大当たり状態である場合において可変入賞装置63の大入賞口を開放又は閉鎖する。すなわち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口を開放し、大入賞
口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数だけ入賞したかを判定する。この規定数だけ入賞したか否かの判定は、上述した大入賞口用カウンタを確認することにより行われる。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口を閉鎖する。つまり、大入賞口開閉処理において、特別遊技状態の進行機能(進行手段)が果たされる。
その後、ステップS404では、第2特定ランプ部74に表示される色の切り替え処理を行うための第2特定ランプ部制御処理を実行する。第2特定ランプ制御処理では、ゲート保留球数が1以上であることを条件に第2特定ランプ部74における表示色の切り換えを開始する。この際、表示色の切り換え時間も設定する。そして、下作動口65に付随する電動役物65aを所定時間開放する場合には、第2特定ランプ部74において所定の色の停止表示が行われる。
ステップS404の後は、ステップS405にて、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、電源及び発射制御基板331の発射制御部から発射許可信号を入力していることを条件として、所定期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球発射機構80のソレノイド81を励磁する。これにより、発射レール821上にある遊技球が遊技領域61aに向けて打ち出される。
続くステップS406では、RAM323内に設けられた停電フラグ格納バッファに停電フラグが格納されているか否かを判定する。停電フラグが格納されていない場合は、繰り返し実行される複数の処理の最後の処理が終了したこととなるので、ステップS407にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施形態では4msec)が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していない場合には、ステップS406に戻り、所定時間が経過している場合には、ステップS401に戻る。
一方、ステップ406にて、停電フラグが格納されている場合は、電源遮断が発生したことになるので、ステップS408以降の停電時処理を実行する。つまり、ステップS408では、タイマ割込み処理の発生を禁止する。続くステップS409では、電源が遮断されたことを示す停電コマンドを他の制御基板に対して出力する。そして、ステップS410にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS411にてRAM323のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。なお、電源が完全に遮断された後も、電源及び発射制御基板331のバックアップ電源部331aからバックアップ電力が供給されるため、電源遮断前にRAM323に記憶されていた情報はそのままの状態で所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。
次に、払出制御基板332のCPU341により実行される各制御処理を図37〜図40のフローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU341の処理としては大別して、主制御回路312のCPU321からのコマンドの入力により起動される入力時割込み処理と、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめに入力時割込み処理を説明し、その後、メイン処理、タイマ割込み処理の順で説明する。
入力時割込み処理は、主制御回路312のCPU321からコマンドを入力した場合に後述する他の処理を中断して実行される。入力時割込み処理では、図37のフローチャートに示すように、ステップS501にて主制御回路312のCPU321からのコマンドをRAM343のコマンド格納バッファに記憶し、その後、ステップS502にてRAM343に設けられたコマンド入力フラグ格納バッファにコマンド入力フラグを格納し、本処理を終了する。
次に、払出制御基板332のCPU341に実行されるメイン処理を、図38のフローチャートを用いて説明する。このメイン処理は、電源投入時のリセットに伴い起動される。
まず、ステップS601では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、割込みモードを設定する。そして、ステップS602に進んでRAMアクセスを許可すると共に、ステップS603で外部割込みベクタの設定を行う。
その後、ステップS604では、RAM343の停電フラグ格納バッファに停電フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS605ではRAM判定値を算出し、続くステップS606では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。RAM判定値は、例えばRAM343の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM343の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
停電フラグが格納されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合はRAM343の初期化処理(ステップS611〜S613)に移行する。つまり、ステップS611ではRAM343の全領域を0にクリアし、続くステップS612ではRAM343の初期化処理を実行する。また、ステップS613ではCPU周辺デバイスの初期設定を行う。
一方、停電フラグが格納されており、さらにRAM判定値(チェックサム値等)が正常である場合は、復電時の処理(停電による電源遮断後の復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS607にて停電フラグをクリアすると共に、ステップS608にて賞球の払出を許可する払出許可フラグをクリアする。また、ステップS609ではCPU周辺デバイスの初期設定を行う。なお、RAM判定値は、例えばRAM343の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。
ステップS609又はステップS613の処理の後は、ステップS610にて割込みを許可し、ステップS614にてRAM343の停電フラグ格納バッファに停電フラグが格納されているか否かを判定し、停電フラグが格納されていなければ、停電フラグが格納されるまで待機する。
一方、停電フラグが格納されている場合には、停電が発生したことになるので、停電時処理としてステップS615移行の処理を実行する。停電時処理では、先ずステップS615にて各割込み処理の発生を禁止する。その後、ステップS616にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS617にてRAM343のアクセスを禁止して、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。なお、電源が完全に遮断された後も、電源及び発射制御基板331からRAM343のデータ記憶保持用電力が供給されるため、電源遮断前にRAM343に記憶されていた情報は所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。
ここで、本メイン処理では、ステップS601〜ステップS613の通常時における一連の処理の終了後に、停電フラグが格納されているか否か(電源遮断が発生したか否か)を判定しているので、各処理の途中の状態で停電時処理が実行されることがない。これにより、電源遮断発生時においてRAM343に記憶するデータ量を極力少なくすることができ、さらには電源遮断前の状態に復帰する場合には、処理の途中から開始する必要はなく、払出制御基板332の処理の負担を軽減することができる。
次に、払出制御基板332のCPU341により例えば2msec毎に実行されるタイマ割込み処理について、図39のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS701では、主制御回路312のCPU321から入力したコマンドの判定を行うコマンド判定処理を実行する。このコマンド判定処理では、図40に示すように、ステップS801にて、RAM343のコマンド入力フラグ格納バッファにコマンド入力フラグが格納されているか否かを判定する。コマンド入力フラグが格納されていない場合は、新たなコマンドが主制御回路312のCPU321から出力されていないので、そのまま本処理を終了する。一方、コマンド入力フラグが格納されていた場合は、ステップS802にてコマンド読出し処理を実行する。コマンド読出し処理では、入力したコマンドをRAM343のコマンドバッファから読出し、さらにコマンド入力フラグをクリアする。
その後、読み出されたコマンドの種類を、ステップS803、ステップS805、ステップS810及びステップS811の各処理にて判定し、各コマンドに対応した処理を実行する。つまり、ステップS803では、停電コマンドであるか否かを判定し、当該コマンドである場合には、ステップS804にてRAM343の停電フラグ格納バッファに停電フラグを格納して、本処理を終了する。
ステップS805では、払出初期化コマンドであるか否かを判定し、当該コマンドである場合には、電源投入時に主制御回路312のCPU321からRAM343の初期化が指示されていることになるので、ステップS806〜ステップS809の処理を実行した後に本処理を終了する。ステップS806では、RAM343に設けられた払出許可フラグ格納バッファに払出許可フラグが格納されているか否かを判定し、当該フラグが格納されていない場合は、ステップS807にてRAM343の作業領域を0にクリアし、さらにステップS808にてRAM343の初期値を設定する。その後、ステップS809にて払出許可フラグを格納することで、賞球の払出が許可される。
なお、ステップS806において払出許可フラグが格納されている場合は、ステップS807及びステップS808の処理を行うことなく本処理を終了する。かかる構成とすることにより、RAM消去スイッチ149aが押されていないにも関わらずノイズなどの原因で払出初期化コマンドの入力を認識したとしても、その際に残っている賞球が遊技者に払い出されることなく消去されることを防止できる。
ステップS810では、復電コマンドであるか否かを判定し、当該コマンドである場合には、払出制御基板332が停電による電源遮断の前の状態に復帰するので、ステップS809にて払出許可フラグを格納した後に本処理を終了する。かかる構成とすることにより、電源遮断前に賞球が残っていた場合に当該賞球を即座に払い出すことができる。
ステップS811では、賞球コマンドである否かを判定し、当該コマンドである場合には、ステップS812にて賞球コマンドに対応した賞球個数を総賞球個数に加算した後に、ステップS809にて払出許可フラグを格納し本処理を終了する。
タイマ割込み処理(図39)の説明に戻り、コマンド判定処理を実行した後は、ステップS702にて払出許可フラグが格納されているか否かを判定する。払出許可フラグが格納されていない場合は、そのまま本処理を終了する。一方、払出許可フラグが格納されている場合は、ステップS703にて状態復帰スイッチ148aをチェックして、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する。
また、ステップS704では、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する。すなわち、球無検知センサ186の検知結果によりタンク132の球無状態を判定し、球無状態であると判定した場合には球無状態の設定を実行し、球無状態でなくなった場合には球無状態の設定を解除する。
本パチンコ機10では、払出制御装置146のRAM343に期間計測手段としてカウンタエリアが設けられており、球無検知センサ186から球無状態である旨の検知結果を入力している場合、カウンタエリアにてその入力継続期間が計測される。そして、入力継続期間が1secに達した時点で払出装置135の払出速度をそれまでよりも遅い低速周期に変更する。例えば、通常周期は60msecに1個の遊技球を払い出す周期であり、低速周期は1.2secに1個の遊技球を払い出す周期である。また、低速周期で遊技球の払出を実行している状況であって、上記入力継続期間が10secに達した場合には払出装置135が停止されるとともにその状態が維持されるように規制される。ステップS704では、上記入力継続期間が1secに達した時点で、RAM343に低速設定フラグを格納するとともに、上記入力継続期間が10secに達した時点で、賞球の払出不可状態の設定を行う。なお、期間計測手段としてカウンタエリアに代えて、リアルタイマを設けてもよい。
また、払出装置135の払出速度が低速周期である状況及び遊技球の払出が停止されている状況において球無状態である旨の検知結果が途切れることで、これら球無状態の設定が解除される。これにより、上記低速状態及び上記賞球の払出不許可状態が解除される。
ここで、球無状態となったことに基づいて払出装置135の払出動作を停止させることで、球無状態であるにも関わらず、払出装置135が払出動作を続けてしまうことが防止される。
また、払出装置135の払出動作を停止させる前段階で払出速度を低速周期に変更させたことにより、以下の効果が得られる。つまり、大当たり状態などのように多数の遊技球が短時間で払い出される場合、タンク132から上下通路ユニット134側への遊技球の流入が遅れることがある。この場合に、払出速度を低速周期に変更させない構成を想定すると、球無検知センサ186よりも下流側にある遊技球の払出が即座に完了してしまい、実際には大当たり状態に対する賞球数の情報が未だ残っているにも関わらず、遊技球の払出が停止されてしまう。そうすると、遊技者は大当たり状態における遊技球の払出が完了したと勘違いし、パチンコ機10から離れてしまう可能性がある。これに対して、上記のように払出速度を低速周期に変更させることで、上記状況となった場合には球無検知センサ186よりも下流側にある遊技球がゆっくりと払い出され、その間にタンク132から上下通路ユニット134側へ遊技球が流入する可能性が高まる。よって、上記のような不都合が発生する可能性が低減される。
タイマ割込み処理(図39)の説明に戻り、ステップS704の後は、ステップS705にて、報知する状態の有無を判定し、報知する状態が有る場合には払出制御装置242に設けた7セグメントLEDにより報知する。
ステップS706〜S709では、賞球払出の処理を実行する。先ずステップS706では、球抜きボタン206が操作されているか否かを判定する。球抜きボタン206が操作されていない場合には、ステップS707にて賞球の払出不可状態であるか否かを判定する。賞球の払出不可状態である場合にはRAM343に賞球数の情報が記憶されているか否かに関係なく、賞球払出の処理を終了する。この場合、図示は省略するが、払出モータ198の駆動制御が行われている場合にはその駆動制御を停止させ遊技球の払出を停止させる。
球抜きボタン206が操作されておりステップS706にて肯定判定をした場合又は賞球の払出不許可状態ではなくステップS707にて否定判定をした場合には、ステップS708にてRAM343に賞球数の情報が記憶されているか否かを判定する。賞球数の情報が記憶されている場合には、ステップS709に進み、賞球制御処理を開始する。
賞球制御処理では、払出装置135を駆動制御の開始又は払出速度の設定を実行する。賞球数の情報が記憶されていない場合には、賞球の払出処理を終了する。この場合、図示は省略するが、払出モータ198の駆動制御が行われている場合にはその駆動制御を停止させ遊技球の払出を停止させる。
賞球の払出処理を終了した後は、ステップS710〜S712の貸球払出の処理に移行する。貸球払出の処理において、貸球の払出不可状態でなく且つ貸球払出要求を入力していれば(ステップS710がNO、S711がYES)、ステップS712に進み、貸球制御処理を開始する。貸球制御処理では、払出装置135を駆動制御し、貸球払出要求に対応した数の遊技球を払い出す。また、貸球の払出不可状態又は貸球払出要求を入力していなければ(ステップS710がYES又はS711がNO)、ステップS713に進む。
ステップS713では、球詰まり状態であることを条件にタンク132に設けられたバイブレータの制御(バイブモータ制御)を実行する。その後、本タイマ割込み処理を終了する。
本発明の遊技機10は、ファール球をファール球入賞口401,401xから遊技機10外部に排出し、ファール球自体を遊技者に返却する代わりに払出装置135から賞球1個を上皿95aに払い出すように構成されている。上皿95aに払い出されるので、ファール球が発生した場合でもそれを下皿96aから上皿95aに移動させる必要がなく、遊技を円滑に行うことができる。また、ファール球が入賞した際には、遊技者に報知されるので、遊技者はファール球が賞球という形で返却されることを認識することができる。なお、遊技者への報知はファール球の入賞の検知によるものに限らず、例えば、1個賞球の払い出しの検知によるものとしてもよく、ファール球が賞球という形で返却されること又は返却されたことを遊技者が認識できればよい。
ファール球入賞口401,401xのファール球用貫通孔410を、遊技盤61自体に設けることにより、ファール球入賞検出センサ470を遊技盤61の背面側に設けることができ、その背面側に設置される主制御装置107に容易に接続することができる。また、ファール球入賞口401,401xを、発射球誘導通路61pの途中位置の下方に設けることにより、ファール球を早期に発射球誘導通路61p内から退けることができるので、次に発射される遊技球との衝突を少なくすることができる。また、ファール球入賞検知センサ470をファール球排出樋480の上端部に設け、ファール球の入賞を早期に検知するので、代替の遊技球(賞球)をすぐに遊技者に払い出すことができ、遊技を円滑に進行させることができる。
ファール球入賞口401,401xは、到達可能最下位置Lよりも下端側に設けられているので、遊技領域61aに到達する到達最低強度以上で発射された遊技球の動きを妨げることがない。また、到達最低強度よりも弱い強度で発射され、ファール球となる遊技球については、左側減速部440又は右側減速部450によりその移動速度を減速させることができるので、より短い時間で、また、より確実にファール球入賞口401,401xに入賞させることができる。よって、ファール球とその次に発射される遊技球とが衝突する虞を小さくすることができる。
また、1個賞球コマンドを他の賞球コマンドと区別できる構成とすることにより、本来の払出賞球数の情報を外部端子板131の外部出力端子からホールコンピュータに出力し、ホールの経営管理に活用することができる。
なお、本発明は、打球動作において、遊技球を発射レールの延設方向よりも下側に押し出すように回転する発射杵を有する構成であれば、上述した実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
以下、上述した実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、実施例で示した構成要素との対応がわかるように明示しているが、明示した構成に限定されず、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
遊技機A
遊技機Aは、遊技球を使用して遊技をするパチンコ機等の遊技機に関する。
従来、遊技機の一種であるパチンコ機には、遊技球が流下する遊技領域が前面側に設けられている。遊技球は、遊技者の発射操作に基づいて発射レール上から発射され、誘導通路を形成するレール部材により遊技領域の上部に誘導される。遊技球が遊技領域内に設けられた各種入賞口に入球すると、所定の個数の遊技球(賞球)が払出装置から受け皿に払い出される。
遊技中には、発射された遊技球が遊技領域まで到達せずに誘導通路を逆流することがある。逆流した遊技球や誘導通路まで届かなかった遊技球(以下、これらをファール球という)は、誘導通路と発射レールの間のファール球回収口により回収され受け皿に戻されて、遊技者に返却される。ここで、パチンコ機には、貯留された遊技球を遊技球発射機構側に自然に流れるように導く上皿と、上皿から余剰となった遊技球を移動させて貯留できる下皿の2つが設けられているものがある。このようなパチンコ機では、払出装置からの賞球は基本的に上皿に払い出され、ファール球は下皿に戻されるように構成されている。
ファール球が下皿に戻される理由としては、迫力ある演出のために遊技盤の遊技領域を大きくすると必然的にファール球回収口が下方に下がるため、その位置的な関係により上方の上皿に戻すことが困難であることが挙げられる。また、ファール球を下皿に戻すことにより、上皿に払い出される賞球に紛れることがないので、遊技者がファール球の返却を確認しやすいという効果もある。さらに、遊技終了時、上皿用の球抜きボタンを操作しても遊技球発射機構側に誘導されて返却されない遊技球を、ファール球回収口から下皿に戻すことによって、遊技者が回収しやすくすることなどが挙げられる。しかし、下皿に戻されたファール球を再度発射させるためには、発射操作をしていない片方の手で上皿に移す必要があり、遊技者にとって煩わしいものであった。そのため、ファール球を下皿から上皿に移す必要のない遊技機が提案されている。
例えば、特許文献2の特開平7−80141号の「弾球遊技機」は、球タンクと、この球タンク内に貯留されたパチンコ球が流下する導出樋と、この導出樋を流下するパチンコ球を1球づつ払い出すことができる球払出装置と、この球払出装置から払い出されたパチンコ球が流下する流下樋と、この流下樋の下端から分岐して下方に延びた払出樋および回収樋と、払出樋の途中の樋内部に開口した上皿払出口と、回収樋の下端に設けられ、回収樋を流下するパチンコ球を遊技機の外部に排出するための球出口と、遊技盤の下方で上方に開口したファール孔とを有した弾球遊技機において、上記弾球遊技機は、上記ファール孔から延びて上記回収樋の途中に接続され、ファール孔に投入されたファール球を上記球出口に導くファール樋と、このファール樋の途中に設けられ、ファール樋を流下するファール球を検出して検出信号を出力するファール球検出器と、このファール球検出器からの検出信号を入力するたびに、パチンコ球を1球づつ流下樋に払い出すための制御信号を上記球払出装置に出力する払出装置制御回路とを備えたことを特徴とする。
特開平7−80141号公報
特許文献2の「弾球遊技機」は、ファール球を検出しながら遊技機の外部に排出し、検出のたびに別の遊技球を球払出装置から上皿に払い出すものである。ファール球に代わる遊技球が上皿に払い出されるので、ファール球を下皿から上皿に移す手間を省くことができる。しかしながら、ファール球を回収するファール孔及び回収されたファール球を検出するファール球検出器がそれぞれ遊技盤の下方に設けられている。そのため、ファール球検出器と接続される払出装置制御回路(主制御装置)が遊技盤の背面側に設置されている場合には、これらの接続が複雑になるという問題があった。
本発明は、上述した問題を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、ファール球が入賞すると賞球1個を払い出すファール球入賞口を遊技盤に設けることにより、遊技盤の背面側に設置される主制御装置との接続を容易に行うことができる遊技機を提供することにある。
遊技機A1は、
遊技球が流下する遊技領域(遊技領域61a)と該遊技領域に遊技球を誘導するための発射球誘導通路(発射球誘導通路61p)とが形成された遊技盤(遊技盤61)と、
前記発射球誘導通路内に向けて遊技球を発射する発射装置(発射装置81)と、
前記発射装置により発射されたにもかかわらず、前記遊技領域に到達せず前記発射球誘導通路を逆流するファール球が流入可能なファール球入賞口(ファール球入賞口401,401x)と、
前記ファール球入賞口へのファール球の入賞を検知するファール球入賞検知手段(ファール球入賞検知センサ470)と、
前記ファール球入賞口への入賞が検知された際に、賞球を払い出す払出装置(払出装置135)と、
前記ファール球入賞検知手段の検知結果に基づいて所定数の賞球を払い出すように前記払出装置を制御する制御装置(主制御装置107)と、を備え、
前記ファール球入賞口は、前記遊技盤を貫通するファール球用貫通孔(ファール球用貫通孔410)を有し、
前記制御装置は、前記遊技盤の背面側に設けられ、ファール球入賞口にファール球が入賞した際には、該ファール球を返却する代わりに、前記払出装置から賞球を1球払い出すように制御する、ことを特徴とする遊技機。
遊技機A1によれば、遊技者に、ファール球の代替球として賞球1個を上皿に払い出すので、ファール球を上皿に移す手間が省け、遊技を円滑に行うことができる。ファール球入賞口のファール球用貫通孔が遊技盤に形成され、ファール球の入賞を検出する検出手段を遊技盤の背面側に設けることができるので、遊技盤の背面側に配設される制御装置と容易に接続することができる。
遊技機A2は、前記ファール球入賞口は、前記発射球誘導通路の途中位置の下方に設けられている、ことを特徴とする遊技機A1の遊技機。
遊技機A2によれば、ファール球を早期に発射球誘導通路内から退けることができるので、次に発射される遊技球との衝突を少なくして、遊技を円滑に進行させることができる。
遊技機A3は、
前記発射球誘導通路の外縁部は、発射された遊技球を前記誘導領域の上部へ導く誘導部材(外レール78)により形成されており、
前記ファール球入賞口は、前記遊技領域に到達するための最低の打ち出し強さである到達最低強度以上の打ち出し強さで発射された遊技球が、前記誘導部材に最初に当たる到達可能最下位置(到達可能最下位置L)よりも、下端側に設けられている、ことを特徴とする遊技機A2の遊技機。
遊技機A3によれば、遊技領域に到達する到達最低強度以上で発射された遊技球の移動を妨げることなく、ファール球を発射球誘導通路内から退けることができる。
遊技機A4は、
前記到達可能最下位置と前記ファール球入賞口との間に、前記到達最低強度よりも弱い打ち出し強さで発射されたファール球となる遊技球の移動速度を減ずる減速部(左側減速部440)が設けられている、ことを特徴とする遊技機A3の遊技機。
遊技機A4によれば、ファール球の移動速度を減速させることにより、ファール球の移動距離を少なくすることができるので、ファール球の入賞を早めることができ、次に発射される遊技球との衝突の可能性を減ずることすることができる。また、逆流するファール球が、ファール球入賞口を飛び越えてしまうことを防ぐことができるので、より確実にファール球をファール球入賞口に入賞させることができる。
遊技機A5は、
ファール球の入賞を報知するファール球入賞報知手段(環状電飾部92、エラー表示ランプ部93、スピーカ部94、表示制御装置101)をさらに備え、
前記制御装置は、前記ファール球入賞検知手段がファール球の入賞を検知した際には、前記ファール球入賞報知手段によりファール球の入賞を報知するように制御する、ことを特徴とする遊技機A1、A2、A3又はA4の遊技機。
遊技機A5によれば、遊技者はファール球が賞球という形で返却されることを認識することができる。
遊技機B
本発明は、遊技球を使用して遊技をするパチンコ機等の遊技機に関する。
従来、遊技機の一種であるパチンコ機の前面側には、遊技球が流下する遊技領域が設けられている。遊技球は、遊技者の操作に基づいて動作する発射装置により発射レール上から発射され、誘導通路を形成するレール部材により遊技領域の上部に誘導される。そして、遊技領域内に設けられた各種入賞口に遊技球が入球すると、所定の個数の遊技球(賞球)が遊技者に払い出される。
遊技機には、例えば、リニアソレノイドを発射装置として用いて、発射レール上の遊技球を打ち出すように構成されているものがある。このような遊技機の場合、プランジャが発射レールの延設方向と平行に往復移動できるように、リニアソレノイドを発射レールの一端側に配置する。そのため、どうしても発射装置が横長に大きくなってしまい、限られた遊技機内のスペースを有効に使用できないという問題があった。そのため、発射装置にロータリーソレノイドを用いて、これを小型化した遊技機が提案されている。
例えば、特許文献1の特開2011−92266号の「パチンコ発射装置及びそのパチンコ発射装置を備えた遊技機」は、複数の腕状部を持ち、この複数の腕状部が略180°の角度範囲内にある磁性体から成るロータと、ロータの腕状部の数と同数の磁極面を有するヨークから成るステータと、ヨークに巻かれたコイルと、を備えたロータリーソレノイドと、ロータの回転軸に略L字形状のハンマーを備え、L字の短片部と長片部で囲まれる側であって、ハンマーが遊技球を打球したときに該ハンマーの長片部が当接する一方、ハンマーが待機位置に戻るときには該ハンマーの短片部が当接する位置に、ハンマーの可動を規制するストッパを設けたことを特徴とする。
特許文献1:特開2011−92266号公報
特許文献1の「パチンコ発射装置及びそのパチンコ発射装置を備えた遊技機」は、回動するハンマーを用いて遊技球を打ち出すとともに、打球時及び待機時にハンマーの可動を規制するストッパを設けることにより、発射装置の小型化を図っている。
しかし、この遊技機によれば、発射装置を小型化することはできるものの、直線状の発射レール上にある遊技球を回動するハンマーにより打ち出すので、遊技球を一点で捕えて発射させることが困難であった。遊技球をハンマーで掬うようにして打ち出すため、遊技球が発射レールから浮き上がってしまい軌道が安定しないという問題があった。
本発明は、上述した問題を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、軌道が安定するように遊技球を発射させることができる発射装置を備えた遊技機を提供することにある。
[遊技機B1]
遊技球が流下する遊技領域が前面側に形成された遊技盤(遊技盤61)と、
前記遊技領域に向けて発射位置に装填された遊技球(遊技球B)を発射する発射装置(発射装置81)と、
前記発射装置により発射された遊技球を前記遊技領域へ導く発射レール(発射レール821)と、
前記発射装置の動作制御を行う制御装置(発射制御装置147)と、を備え、
前記発射装置は、
前記制御装置の制御信号に基づいて駆動する駆動源(杵駆動部8112)により打球動作と戻り動作とを交互に行う、回動軸(杵回動軸8114)に軸支された発射杵(発射杵 8111)を有し、
前記発射杵は、前記打球動作において、前記発射位置の遊技球を前記発射レールの延設方向よりも下方に押し出すよう動作する、ことを特徴とする遊技機。
[遊技機B2]
上記遊技機B1において、前記発射装置は、前記打球動作における前記発射杵の回転範囲を規制する第1規制部材(打球規制部材8151a)を有する回動規制機構(回動規制機構815)を備え、
前記発射杵は、正面視において、前記打球動作において前記発射位置に装填されていた遊技球を放つ直前に該遊技球と接触している第1接触部と、前記回動軸の中心とを結ぶ第1直線が、前記発射レールの延設方向に対する垂線の上方を該発射レールの先端側に傾斜させた直線と平行となるように、前記第1規制部材により規制される、ことを特徴とする遊技機。
遊技機B1又は遊技機B2によれば、発射レールに沿って移動するように遊技球を発射させることにより、遊技球の軌道を安定させることができる。また、これにより、発射レールを短くすることができ発射装置の小型化が可能である。
[遊技機B3]
上記遊技機B1又は遊技機B2において、前記発射杵は、前記打球動作において、前記発射位置の遊技球に接触しながら回転することにより、該遊技球にバックスピンを掛ける、ことを特徴とする遊技機。
[遊技機B4]
上記遊技機B1〜遊技機B3のいずれか1つにおいて、前記発射杵が前記発射位置の遊技球に接した際に、該遊技球と該発射杵の間に発生する摩擦力が、該遊技球と前記発射レールの間に発生する摩擦力よりも大きくなるように構成されている、ことを特徴とする遊技機。
遊技機B3又は遊技機B4によれば、バックスピンを掛けることにより遊技球の浮きを抑えて、軌道を安定させることができる。また、発射杵と遊技球の接触時間を増やすことにより力積を大きくして、効率的に駆動源の力を伝えることができる。
[遊技機B5]
上記遊技機B2〜遊技機B4のいずれか1つにおいて、前記回動規制機構は、
前記発射杵の前面側を開閉可能に覆う保護部材(保護部材8159)と、
前記第1規制部材が支持される支持部(支持軸8151b、止めねじ8156b)とを有し、
前記保護部材は、略垂直面内において回動可能となるように基端側が軸支され、かつ、先端側が前記支持部に着脱可能に掛け止められるように構成されている、ことを特徴とする遊技機。
遊技機B5によれば、発射杵を保護し、発射杵に対する不正を防止することができる。また、容易に開閉可能な構成となっているので、発射杵のメインテナンス作業を行い易い。保護部材の掛け止めに第1規制部材の支持軸を利用することにより簡単な構成として、発射装置を小型化することができる。
[遊技機B6]
上記遊技機B5において、前記回動規制機構は、
前記支持部に支持されている前記第1規制部材の前方に配置され、該支持部に支持される第1弾性部材(第1弾性部材8156a)と、
前記第1規制部材の後方に配置され、該第1規制部材の後部を保持する収容部(収容部S)が形成された支持ベース(支持ベース8154)とを有し、
前記第1規制部材は、前記第1弾性部材により、その後部が前記収容部内に仮止めされており、前記保護部材を前記支持部に掛け止めた際には該第1弾性部材の弾性力により該収容部内に保持される、ことを特徴とする遊技機。
遊技機B6によれば、第1弾性部材により、保護部材を外れないように保持することができる。また、収容部により、第1規制部材の向きを変えることなく保護部材を支持部に着脱することができる。また、保護部材を支持部に掛け止めることにより、第1規制部材を収容部にしっかりと保持させることができる。
[遊技機B7]
上記遊技機B1〜遊技機B6のいずれか1つにおいて、前記発射装置は、前記駆動源の上方を覆うトレー(トレー部831f)と、該トレー上に流れてきた液体を外部に排出するための排出口(流入口831g)と、を有する、ことを特徴とする遊技機。
遊技機B7によれば、遊技者が飲み物などを溢しても、駆動源が濡れることのないように保護することができる。
[遊技機B8]
上記遊技機B1〜遊技機B7のいずれか1つにおいて、前記遊技盤が支持される遊技機ベースユニット(遊技機ベースユニット22)と、
前記遊技盤の前面側を覆い、前記遊技機ベースユニットに開閉可能に設けられる遊技機前面ユニット(遊技機前面ユニット23)と、
前記遊技機ベースユニット及び前記遊技機前面ユニットの開閉端部に対向して設けられた開閉ガイド機構(開閉ガイド機構90)と、を備え、
前記開閉ガイド機構は、前記発射装置の下方の空間に配設されたレール状のガイド部材である、ことを特徴とする遊技機。
遊技機B8によれば、発射装置の小型化により空いたスペースを利用してガイド部材を設け、遊技機前面ユニットの開閉を容易とした。