JP2016208861A - アミノ酸含有飲料の製造方法 - Google Patents

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清史 川井
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基喜 大越
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りえ 又吉
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Abstract

【課題】加熱殺菌後の製品中の異臭が低減されたアミノ酸含有飲料の製造方法の提供。
【解決手段】飲料の主成分を含む液を、pH4.5〜5.5の条件で121℃以上の高温で1分以内の短時間で殺菌して、第1液、アミノ酸を含む液を塩基性のpH調整剤の存在下で121℃以上の高温で1分以内の短時間で殺菌して第2液として、それぞれ個別に高温短時間加熱殺菌し、冷却した後、第1液と第2液とを無菌環境下で混合して、pH5.2〜7.0に調整する混合工程を備えるアミノ酸含有飲料。第1液の飲料成分が、コーヒー抽出液を含み、第2液の飲料成分が、飲料全量に対して0.001〜0.1質量%となる量のL−フェニルアラニン、及び/又は0.001〜0.1質量%となる量のL−メチオニンを含むアミノ酸含有飲料、及び製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、アミノ酸含有飲料の製造方法、特にアミノ酸を含む飲料における加熱殺菌後の異臭発生の低減に関する。
アミノ酸には、疲労回復、筋力の向上、免疫力の向上といった様々な効果が認められており、近年、これらの効果を付与することを目的として、各種アミノ酸を添加した機能性飲料が多数開発されている(例えば、アミノ酸含有コーヒーについて特許文献1,2参照)。他方、コーヒーや茶、果汁飲料等の容器詰飲料は、通常、容器に充填する前に加熱殺菌処理を行なう必要があり、近年では、十分な殺菌効果を得るとともに、加熱による風味の劣化を最小限に抑えるため、通常、121℃以上、1分以内の条件で加熱殺菌を行なう超高温短時間加熱殺菌(UHT殺菌)処理が広く行われている。
しかし、従来、アミノ酸を添加した飲料を加熱殺菌処理すると、製品中で異臭が発生してしまうという問題があった。このため、加熱殺菌処理を要する飲料においては、異臭を生じない特定種のアミノ酸を用いるか、アミノ酸の添加量を異臭が感じられない程度のごく少量に制限する必要があった。あるいは、飲料中へと他の香料やマスキング剤等を添加することによって異臭を抑える方法も考えられるものの、この方法では、製品本来の風味が損なわれてしまうことが多い。
特許第5475429号 特許第5567732号
本発明は前記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、すなわち、その解決すべき課題は、加熱殺菌後の製品中の異臭が低減されたアミノ酸含有飲料の製造方法を提供することにある。
本発明者らが、前記従来技術の課題に鑑みて鋭意検討を行なった結果、飲料の主成分を含む液を第1液、アミノ酸を含む液を第2液として、それぞれ個別に高温短時間加熱殺菌した後、第1液と第2液とを混合することによって、製品中の異臭が低く抑えられたアミノ酸含有飲料が得られることを見出した。また、このようにして得られたアミノ酸含有飲料においても、特定種のアミノ酸を添加した場合には、経時で異臭が生じてしまうことがあったものの、これら特定種のアミノ酸の添加量を特定の範囲内へと調整とすることで、経時によっても異臭をほとんど生じないアミノ酸含有飲料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかるアミノ酸含有飲料の製造方法は、第1液として、飲料の主成分を含む飲料成分を、121℃以上、1分以内の条件で高温短時間加熱殺菌し、その後冷却する第1液殺菌工程と、第2液として、アミノ酸を含む飲料成分を、121℃以上、1分以内の条件で高温短時間加熱殺菌し、その後冷却する第2液殺菌工程と、前記各工程により得られた第1液と第2液とを無菌環境下で混合する混合工程とを備えることを特徴とするものである。
また、前記方法において、第2液の飲料成分が、飲料全量に対して0.001〜0.1質量%となる量のL−フェニルアラニン、及び/又は0.001〜0.1質量%となる量のL−メチオニンを含むことが好適である。
また、前記方法において、第1液の飲料成分が、コーヒー抽出液を含むことが好適である。
また、前記方法において、第1液をpH4.5〜5.5の条件下で高温短時間殺菌し、第2液として、アミノ酸とともに塩基性のpH調整剤を含む飲料成分を高温短時間加熱殺菌し、混合工程において第1液と第2液とを混合してpHを5.2〜7.0に調整することが好適である。
また、前記方法において、第1液をpH4.5〜5.5の条件下で高温短時間殺菌し、第3液として、塩基性のpH調整剤を含む飲料成分を121℃以上、1分以内の条件で高温短時間加熱殺菌し、混合工程において第1液と第2液と第3液とを混合してpHを5.2〜7.0に調整することが好適である。
本発明によれば、飲料主成分を含む第1液とアミノ酸を含む第2液とをそれぞれ個別に高温短時間加熱殺菌した後、混合することによって、製品中の異臭が低く抑えられたアミノ酸含有飲料が得られる。また、L−フェニルアラニン及び/又はL−メチオニンの各添加量を飲料全量中0.001〜0.1質量%の範囲とすることで、経時によっても異臭をほとんど生じないアミノ酸含有飲料が得られる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の方法によって製造されるアミノ酸含有飲料は、製造時に加熱殺菌を要する飲料であり、例えば、コーヒー飲料、茶飲料、果汁飲料の容器詰製品が挙げられる。コーヒー飲料の場合、飲料の主成分として、第1液にコーヒー抽出液が含まれる。コーヒー抽出液は、例えば、公知の方法にてコーヒー豆を熱水抽出して得られた抽出液、あるいは他の方法により得られたコーヒーエキスが用いられる。コーヒー抽出液は、濃縮あるいは水希釈によってコーヒー固形分濃度が適宜調整されていてもよい。茶飲料としては、例えば、煎茶、焙じ茶、抹茶等の不発酵茶、ウーロン茶等の半発酵茶、紅茶、プーアル茶等の発酵茶が挙げられる。第1液に添加される茶飲料成分としては、公知の方法によって各種茶葉を熱水抽出して得られた抽出液、あるいは破砕処理する等して得られた粉末成分を溶解した水溶液が用いられる。また、果汁飲料としては、例えば、バナナジュース、マンゴージュース等が挙げられる。
なお、本発明の方法は、飲料の主成分を含む第1液とアミノ酸を含む第2液とをそれぞれ個別に高温短時間加熱殺菌することによって、加熱殺菌後の異臭の発生が抑制されるという効果を奏するものである。したがって、第1液にはアミノ酸が添加されていない必要がある。ただし、コーヒーや茶、フルーツジュース等の飲料主成分には、もともと少量のアミノ酸を含有しており、このような生来含まれているアミノ酸の含有量まで制限するものではない。第1液には、アミノ酸以外の成分、例えば、糖類、乳成分、pH調整剤、酸化防止剤、乳化剤、増粘剤、着色料、香料等が含まれていてもよい。なお、飲料中に糖類又は乳成分を添加する必要がある場合、アミノ酸を含む第2液に糖類、乳成分を添加するのではなく、第1液中に糖類、乳成分を添加し、飲料主成分とともに加熱殺菌することが望ましい。あるいは、第3液として、別途糖類又は乳成分を含む飲料成分を加熱殺菌し、その後、第1液及び第2液とともに混合してもよい。また、第1液中にこれら他の成分を含む場合、高温短時間加熱殺菌を行なう前に予め混合しておく必要がある。また、乳成分を含む場合には、乳化剤や増粘剤を溶解・混合後、乳化処理を実施しておくことが望ましい。
また、本発明のアミノ酸含有飲料がコーヒー飲料である場合、コーヒー抽出液を含む第1液をpH4.5〜5.5の条件下で高温短時間加熱殺菌を行なうことが望ましい。第1液の加熱殺菌時のpH条件を4.5〜5.5の範囲とすることで、加熱殺菌によるコーヒーの風味の劣化を低く抑え、香り、味ともに良好なコーヒー飲料とすることができる。なお、コーヒー抽出液のpHは、コーヒー豆の品種、産地、焙煎度等により異なるものの、一般的におおよそpH4.5〜6.0の範囲であるため、仮にコーヒー抽出液のpHが4.5〜5.5の範囲であれば、pH調整を行なわずにそのままの状態で高温短時間加熱殺菌を行なえばよい。あるいは、クエン酸等のpH調整剤を添加してpHを調整してもよい。また、コーヒー抽出液のpHが5.5を超えてしまう場合、コーヒー豆の品種や焙煎度等を適宜設定することによって、pH4.5〜5.5の範囲となるように調整することもできる。
第2液には、アミノ酸が含まれる。アミノ酸は、第1液の飲料主成分に対して溶解可能なものであればよく、例えば、L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−システイン、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリンの20種のタンパク構成アミノ酸、これらのD−L体またはD体のほか、シスチン、ヒドロキシプロリン、オルニチン、シトルリン、クレアチン、γ−アミノ酪酸、テアニン等が挙げられる。また、酸性あるいは塩基性のアミノ酸は、ナトリウム塩や塩酸塩等の中和物として用いてもよい。通常、第2液としては、これらのアミノ酸を水に適当量溶解したものが用いられる。アミノ酸の添加量は、特に限定されるものではないが、通常、飲料全量に対して0.001〜10質量%程度である。
なお、これらのアミノ酸のうち、特にL−フェニルアラニン又はL−メチオニンを第2液に所定量以上用いると、飲料主成分を含む第1液とは個別に加熱殺菌した場合であっても、混合後の飲料製品において経時で若干の異臭を生じるおそれがある。このため、本発明の方法では、第2液におけるL−フェニルアラニン又はL−メチオニンの添加量を、それぞれ飲料全量に対して0.001〜0.1質量%の範囲に調整することが望ましい。添加量が0.1質量%を超えると、製品完成後、経時で異臭を生じる場合があり、他方、0.001質量%未満であると、アミノ酸添加による効果がほとんど得られない。
第2液には、アミノ酸以外の成分として、pH調整剤、酸化防止剤、乳化剤、増粘剤、着色料、香料等が含まれていてもよい。ただし、飲料中に糖類又は乳成分を添加する必要がある場合、これら糖類、乳成分は第2液中に含まないことが望ましい。第2液として、アミノ酸と糖類又は乳成分をともに加熱殺菌すると、製品に異臭を生じる場合がある。このため、飲料中に糖類又は乳成分を添加する場合、第1液中に糖類又は乳成分を添加して飲料主成分とともに加熱殺菌するか、あるいは、第3液として、別途糖類又は乳成分を含む飲料成分を加熱殺菌し、その後、第1液及び第2液とともに混合してもよい。また、第2液中に他の成分を含む場合、高温短時間加熱殺菌を行なう前に予め混合しておくことが望ましい。
なお、本発明のアミノ酸含有飲料がコーヒー飲料である場合、コーヒー抽出液を含む第1液は一般的に弱酸性を示すことが多いため、第2液に塩基性のpH調整剤を添加し、第1液と第2液とを混合することで、製品となるコーヒー飲料全体のpHを調整することができる。あるいは、第3液として、別途塩基性のpH調整剤を含む飲料成分を加熱殺菌した後、第1液及び第2液と混合してもよい。なお、一般にコーヒー飲料に使用される塩基性のpH調整剤として、例えば、重曹等の炭酸塩が挙げられる。
また、先に述べたように、第1液に用いられる飲料主成分、第2液に用いられるアミノ酸以外の飲料成分について、別途第3液を準備し、第1液や第2液とは個別に高温短時間加熱殺菌を行ない、その後、第1液及び第2液とともに混合してもよい。第3液を用いる場合、第1液から第3液のそれぞれの成分の安定性を考慮した上で、配合成分及び配合割合を決定することが望ましい。なお、第3液には、飲料主成分及びアミノ酸以外の飲料成分、例えば、糖類、乳成分、pH調整剤、酸化防止剤、乳化剤、増粘剤、着色料、香料等を添加することができる。特に、第2液に用いられるアミノ酸と塩基性のpH調整剤との相性が悪い場合には、第3液として、塩基性のpH調整剤を含む飲料成分を別途加熱殺菌することが望ましい。第3液に添加する飲料成分は、高温短時間加熱殺菌を行なう前に予め混合しておく必要がある。また、乳成分を含む場合には、乳化剤や増粘剤を溶解・混合後、乳化処理を実施しておくことが望ましい。第3液を別途設けることによって、例えば、飲料主成分を含む第1液、アミノ酸を含む第2液、あるいはその他成分を含む第3液の各配合成分を、必要に応じてそれぞれ個別に変更することができ、飲料の成分変更が容易になるという利点もある。
第1液と第2液(及び第3液)との混合比は、容積比で、第1液:第2液(及び第3液)=1:3〜3:1の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは1:2〜2:1の範囲である(別途第3液を設ける場合には、第2液と第3液の容積の合計として容積比を計算する)。なお、第1液と第2液(及び第3液)に含まれる成分の濃度は、混合後の最終製品における成分濃度に合わせて設定されるため、それぞれの飲料成分が濃縮された状態で含まれている。このため、第1液として用いられる飲料主成分は、第1液と第2液(及び第3液)との混合比に応じた濃度に予め調整されている必要がある。例えば、容積比で第1液:第2液(及び第3液)=1:1とすると、第1液の飲料主成分の濃度は最終製品の2倍の濃度に調整されることになる。ここで、本発明の飲料がコーヒー飲料あるいは茶飲料である場合、コーヒーや茶の濃度(固形分濃度)がより高い状態で高温短時間加熱殺菌を行なうことによって、加熱殺菌処理にともなう香りや味の劣化を低く抑えることができる。これに対して、第2液や第3液の混合比率が極端に少ないと、第1液の飲料主成分濃度は最終製品とほぼ同程度となってしまうため、飲料主成分の濃縮による加熱殺菌時の劣化を抑制する効果はほとんど期待できない。
本発明で行なわれる第1液と第2液(及び第3液)の加熱殺菌の方法としては、後の工程で無菌条件下での混合が必要であることから、予め製品を充填・密封した状態で行なわれる従来のレトルト殺菌法は適用できない。このため、本発明においては、高温短時間加熱殺菌法(UHT殺菌法)が用いられる。高温短時間加熱殺菌の方法としては、プレート式、チューブ式等の間接加熱方式が選択できる。なお、第1液と第2液(及び第3液)の殺菌順序はいずれが先であっても構わないが、飲料成分中に乳成分を含む場合には、乳成分の殺菌よりも先もしくは同時にpH調整剤を殺菌しておく必要がある。
第1液と第2液(及び第3液)の高温短時間加熱殺菌の条件は、混合後の製品のpHで発育し得る微生物を考慮して殺菌条件を設定した上で、第1液、第2液(及び第3液)ともに同一の殺菌条件(加熱温度、加熱保持時間)で殺菌を行うことが望ましい。より具体的には、121℃以上、1分以内の条件で加熱殺菌を行うことが望ましい。121℃未満であると、例えば、1分以内といった短時間の加熱では十分な殺菌を行うことができず、結果として長時間の加熱処理を行なう必要があるため、飲料の香りや味が劣化してしまう場合がある。より好ましくは、121〜150℃、1秒〜1分である。なお、第1液、第2液(及び第3液)を同一の殺菌条件(加熱温度、加熱保持時間)とすることによって、工程内で同一の殺菌装置(加熱装置)を使用することができ、工程を簡易化することができるという利点もある。
以上の条件にて高温短時間加熱殺菌された第1液と第2液(及び第3液)は、無菌条件下のミキシングタンクへと送液され、当該ミキシングタンク内で両者が混合され、最終製品とされる。第2液又は第3液にpH調整剤を添加し、製品全体のpHを調整する場合、飲料製品のpHは、飲用に適しており、かつ製品の貯蔵安定性に適したpH域に設定される。本発明の飲料がコーヒー飲料である場合、高温短時間加熱殺菌によるpH低下によって、通常、加熱殺菌後のpHは処理前よりもさらに0.1〜0.5程度低下し、加熱殺菌前をpH4.5〜5.5とすると、加熱殺菌後にはpH4.0〜5.4程度となる。これに対し、予め設定された量のpH調整剤を含む第2液あるいは第3液を混合することで、最終製品として適したpH域へと調整される。例えば、乳成分を含まないコーヒー飲料の場合、pHが5.2未満では酸味が強く感じられ、苦みとの呈味バランスが悪い。一方で、pHが6.0を超えると、酸味が弱く感じられ、新鮮味の無い古びた呈味となる。したがって、製品液のpHを5.2〜6.0の間になるように、第2液あるいは第3液のpH調整剤の量を調整することが望ましい。他方、乳成分を含むミルクコーヒー飲料の場合、pHが6.0未満であると、乳由来タンパク質の等電点が存在するpH領域となるため、乳化状態が損なわれ易くなり、貯蔵安定性が失われる。一方で、pHが7.0を超えると、乳成分とコーヒー固形分の量によっては、乳成分に含まれるκカゼインとβラクトグロブリンによるチオール=ジスルフィド交換反応によって、乳タンパクの凝集が生じ易くなり、貯蔵安定性が失われる。したがって、製品のpHが6.0〜7.0の間になるように、第2液あるいは第3液のpH調整剤の量を調整することが望ましい。
無菌条件下のミキシングタンク内で混合された製品液は、無菌条件下で予め殺菌された容器内に無菌的に充填され、無菌条件下で密封されることで、アミノ酸含有飲料の最終製品となる。
<比較例1〜16:アミノ酸含有コーヒー(同時加熱殺菌)>
焙煎したコーヒー豆1.2kgを90℃の熱水で抽出し、直ちに冷却した後、ろ過及び遠心分離を行なって、抽出液9.2kgを得た。つづいて得られた抽出液を希釈してコーヒー固形量(Brix)1.2%に調整した。以上で得られたコーヒー抽出液に対し、下記表1に示す各種アミノ酸をそれぞれ飲料全量中0.25質量%となる量添加した。また、別途pH調整剤として重曹を適当量添加し、飲料のpHを5.6〜5.7へと調整した。得られたコーヒー飲料を缶容器に充填・密封した後、121℃、10分の条件で高温短時間加熱殺菌を行ない、比較例1〜16とした。加熱殺菌後の各試料について、専門パネラー5名により、下記評価基準に基づいて異臭の有無の評価を行なった。パネラーの評価が一致しない場合には多数決により評価を決定した。
上記比較例1〜16の試験結果をまとめたものを下記表1に示す。
・異臭の有無
◎:アミノ酸を添加しないほかは同様にして調製したコーヒー飲料(コントロール)と比較して、まったく異臭が認められなかった。
○:コントロールと比較すると、わずかに異臭が認められるが、風味に影響はなかった。
△:コントロールと比較して、異臭が認められた。
×:コントロールと比較して、著しい異臭が認められた。
Figure 2016208861
上記表1に示すように、コーヒー抽出液に各種アミノ酸を添加し、缶に充填・密封後、加熱殺菌を行なった比較例1〜16のアミノ酸含有コーヒーでは、いずれのものも異臭を生じる結果となった。各種アミノ酸のうち、特にL−フェニルアラニン、L−メチオニン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−プロリンを用いた比較例1〜5においては、著しい異臭の発生が認められた。
<実施例1〜5:アミノ酸含有コーヒー(分別殺菌)>
上記比較例のうち、特に著しい異臭が認められた5種のアミノ酸を用い、コーヒー抽出液とアミノ酸液とをそれぞれ個別に加熱殺菌した後、両者を混合して、実施例1〜5のアミノ酸含有コーヒーを調製した。
第1液として、上記比較例と同様にして製造したコーヒー固形量(Brix)2.4%のコーヒー抽出液を、137℃,30秒の条件で高温短時間加熱殺菌した。第2液として、第1液との混合後のアミノ酸量が0.25質量%となる量の各種アミノ酸、及び混合後のpHが5.6〜5.7の範囲となる量の重曹を添加した水溶液を準備し、第1液と同様、137℃,30秒の条件で高温短時間加熱殺菌した。加熱殺菌後の第1液と第2液とを等量混合(容積比)し、混合直後の各試料、および混合後の試料を容器に充填・密封し、室温で3週間保存した後の各試料について、前述の評価基準により、異臭の有無の評価を行なった。
上記実施例1〜5の試験結果をまとめたものを下記表2に示す。
Figure 2016208861
上記表2に示すように、コーヒー抽出液と各種アミノ酸水溶液をそれぞれ個別に高温短時間加熱殺菌した後、両者を混合して得られた実施例1〜5のアミノ酸含有コーヒーは、いずれも加熱殺菌直後において、アミノ酸を含まないコントロール飲料と比較して、まったく異臭が認められなかった。なお、これら5種のアミノ酸は、上記表1に示したように、コーヒー抽出液とともに殺菌した場合に、特にひどい異臭が生じてしまったものであることから、コーヒー抽出液とアミノ酸とを個別に殺菌することによって、加熱殺菌後の異臭の発生が極めて低く抑えられることが明らかとなった。しかし、アミノ酸としてL−フェニルアラニンを用いた実施例1,及びL−メチオニンを用いた実施例2では、室温で3週間保存した後で、若干の異臭を生じてしまっていた。
つづいて、上記実施例で用いたアミノ酸の添加量を0.003〜0.25質量%の範囲で変化させた各種アミノ酸含有コーヒーをそれぞれ調製した。室温で3週間保存し、開封した直後の各種コーヒー試料の異臭の有無について、上記試験と同様にして評価した。
評価結果をまとめたものを下記表3に示す。
Figure 2016208861
上記表3に示すように、アミノ酸としてL−フェニルアラニンあるいはL−メチオニンを用いた場合であっても、飲料全量に対して0.1質量%までであれば、室温3週間保存後においても異臭は低く抑えられ、製品の風味に影響しないレベルであった。特に0.05質量%以下の範囲では、まったく異臭が生じなかった。以上の結果から、コーヒー液とアミノ酸をそれぞれ個別に加熱殺菌した場合であっても、L−フェニルアラニンあるいはL−メチオニンを用いる場合には、飲料全量中0.1質量%以下の濃度に調整することが望ましい。
<実施例6:アミノ酸含有コーヒー(三液分別殺菌)>
焙煎したコーヒー豆1.2kgを90℃の熱水で抽出し、直ちに冷却した後、ろ過及び遠心分離を行なって、抽出液9.2kgを得た。つづいて得られた抽出液を希釈してコーヒー固形量(Brix)3.0%に調整した。以上で得られたコーヒー抽出液を第1液として、137℃,30秒の条件で高温短時間加熱殺菌した。第2液として、全量混合後のアミノ酸量が0.05質量%となる量のL−フェニルアラニン及びL−メチオニンを添加した水溶液を準備し、137℃,30秒の条件で高温短時間加熱殺菌した。第3液として、混合後の含有量が15質量%となる量の牛乳、混合後の含有量が5質量%となる量の砂糖、混合後のpHが6.6となる量の重曹を添加した水溶液を準備し、137℃,30秒の条件で高温短時間加熱殺菌した。加熱殺菌後の第1液と第2液と第3液とを等量混合(容積比)し、容器に充填・密封した。
以上で得られたアミノ酸含有コーヒー飲料を開封し、香りを嗅いだところ、異臭はまったく認められなかった。
<実施例7:アミノ酸含有茶>
市販の煎茶葉を90℃の熱水で抽出した後、冷却し、茶抽出液を得た。得られた抽出液を希釈して茶葉固形量(Brix)0.8%に調整した。以上で得られた茶抽出液を第1液として、137℃,30秒の条件で高温短時間加熱殺菌した。第2液として、第1液との混合後のアミノ酸量が0.05質量%となる量のL−フェニルアラニン及びL−メチオニンを添加した水溶液を準備し、第1液と同様、137℃,30秒の条件で高温短時間加熱殺菌した。加熱殺菌後の第1液と第2液を等量混合(容積比)し、容器に充填・密封した。
以上で得られたアミノ酸含有茶飲料を開封し、香りを嗅いだところ、異臭はまったく認められなかった。

Claims (5)

  1. 第1液として、飲料の主成分を含む飲料成分を、121℃以上、1分以内の条件で高温短時間加熱殺菌し、その後冷却する第1液殺菌工程と、
    第2液として、アミノ酸を含む飲料成分を、121℃以上、1分以内の条件で高温短時間加熱殺菌し、その後冷却する第2液殺菌工程と、
    前記各工程により得られた第1液と第2液とを無菌環境下で混合する混合工程と
    を備えることを特徴とするアミノ酸含有飲料の製造方法。
  2. 第2液の飲料成分が、飲料全量に対して0.001〜0.1質量%となる量のL−フェニルアラニン、及び/又は0.001〜0.1質量%となる量のL−メチオニンを含むことを特徴とする請求項1記載のアミノ酸含有飲料の製造方法。
  3. 第1液の飲料成分が、コーヒー抽出液を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のアミノ酸含有飲料の製造方法。
  4. 第1液をpH4.5〜5.5の条件下で高温短時間殺菌し、第2液として、アミノ酸とともに塩基性のpH調整剤を含む飲料成分を高温短時間加熱殺菌し、混合工程において第1液と第2液とを混合してpHを5.2〜7.0に調整することを特徴とする請求項3記載のアミノ酸含有飲料の製造方法。
  5. 第1液をpH4.5〜5.5の条件下で高温短時間殺菌し、第3液として、塩基性のpH調整剤を含む飲料成分を121℃以上、1分以内の条件で高温短時間加熱殺菌し、混合工程において第1液と第2液と第3液とを混合してpHを5.2〜7.0に調整することを特徴とする請求項3記載のアミノ酸含有飲料の製造方法。
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