JP2016207968A - 窒化物系半導体のエッチング方法および窒化物系半導体の結晶欠陥検出方法 - Google Patents

窒化物系半導体のエッチング方法および窒化物系半導体の結晶欠陥検出方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016207968A
JP2016207968A JP2015091760A JP2015091760A JP2016207968A JP 2016207968 A JP2016207968 A JP 2016207968A JP 2015091760 A JP2015091760 A JP 2015091760A JP 2015091760 A JP2015091760 A JP 2015091760A JP 2016207968 A JP2016207968 A JP 2016207968A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
etching
nitride
based semiconductor
etch pits
agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015091760A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6574104B2 (ja
Inventor
永昭 姚
Nagaaki Yo
永昭 姚
由加里 石川
Yukari Ishikawa
由加里 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Fine Ceramics Center
Original Assignee
Japan Fine Ceramics Center
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Fine Ceramics Center filed Critical Japan Fine Ceramics Center
Priority to JP2015091760A priority Critical patent/JP6574104B2/ja
Publication of JP2016207968A publication Critical patent/JP2016207968A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6574104B2 publication Critical patent/JP6574104B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Testing Or Measuring Of Semiconductors Or The Like (AREA)
  • Weting (AREA)

Abstract

【課題】窒化物系半導体においてエッチピットを安定的に形成する。
【解決手段】窒化物系半導体SPCにおいてエッチピットを安定的に形成するため、まず、アルカリ金属水酸化物からなる主剤に、酸化性固体からなる添加剤を添加したエッチング剤を準備する。次いで、準備したエッチング剤を融解し、溶融したエッチング剤に窒化物系半導体SPCを浸漬する。これにより、窒化物系半導体SPCの表面は、主として異方性の化学エッチングによりエッチングされるので、窒化物系半導体SPCの表面には、安定的にエッチピットが形成される。
【選択図】図1

Description

この発明は、窒化物系半導体においてエッチピットを安定的に形成する技術に関する。
窒化物系半導体である窒化ガリウム(GaN)と、窒化アルミニウム(AlN)と、窒化インジウム(InN)とを組み合わせることにより、窒化物系半導体のみで赤外領域から紫外領域までの様々な発光波長の発光デバイスを製造することが可能となるため、窒化物系半導体は、発光デバイスの材料として極めて有用な材料である。また、窒化物系半導体を用いることにより、シリコン(Si)等の従来の半導体材料では実現困難な、高出力、高周波、高耐圧、高耐環境性を有する半導体素子を実現することが可能となる。そのため、窒化物系半導体は、発光デバイスの材料としてのみならず、大電力制御や省エネルギーを可能とするパワーデバイス材料、高速大容量の通信デバイス材料、車載用の耐熱性デバイス材料、耐放射線デバイス材料等の広い範囲への応用が期待されている。
ところで、窒化物系半導体を発光デバイスやパワーデバイス等の種々の電子デバイスに使用するためには、基板や、エピタキシャル成長された単結晶膜(エピ膜)等の窒化物系半導体材料の結晶欠陥を低減することが求められるが、結晶欠陥を低減するためには、窒化物系半導体材料における結晶欠陥の発生状況を評価する必要がある。結晶欠陥は、電子線照射で発生する発光(カソードルミネセンス:CL)の強弱分布を走査型電子顕微鏡等を用いて観察するCLイメージングや、シンクロトロン放射光などの高輝度X線光源を用いたX線トポグラフィにより検出することが可能である。しかしながら、いずれの方法も、高価な設備が必要であり、結晶欠陥の発生状況を簡便かつ低コストで行うことが困難である。
そこで、窒化物系半導体の結晶欠陥を検出するため、エッチングにより結晶欠陥を顕在化したエッチピットを形成することが提案されている。非特許文献1および非特許文献2には、エッチピットを形成する方法として、共晶条件で混合された水酸化カリウム(KOH)および水酸化ナトリウム(NaOH)を融解し、融解した溶融液を用いてGaN基板をエッチングすること(溶融アルカリエッチング)が記載されている。
しかしながら、GaN基板のGa面においては、溶融アルカリエッチングによりナノパイプと呼ばれる螺旋転位は顕在化可能であるが、刃状転位は顕在化できない。そのため、GaN基板等の窒化物系半導体における結晶欠陥の密度を正確に評価することは困難である。また、GaN基板のN面においては、エッチピットを形成することができるものの、その形状が等方的な円錐状となる。そのため、エッチピットとして顕在化された結晶欠陥の種類を特定することが困難であり、また、エッチピットの密度と結晶欠陥の密度との対応関係も十分に検証されていない。
さらに、溶融アルカリエッチングでは、エッチング過程において等方的な電気化学エッチングが促進されやすい。そのため、窒化物系半導体のドープ型やキャリア濃度等によっては、同一のエッチング条件でエッチングを行っても、安定的にエッチピットを形成することができない場合がある。加えて、窒化物系半導体基板は、通常、エピ膜をサファイヤ(Al)等の異種基板上に成長させ、成長させたエピ膜を異種基板から分離することにより製造される。このような基板では、格子不整合による結晶欠陥が基板全体に分布することを抑制するため、結晶欠陥を局所的に集中させることが行われる。この結晶欠陥を局所的に集中させる方法が異なると、基板への応力の加わり方が変わり、エッチピットを安定して形成することが困難となる。また、エピ膜についても、エピタキシャル成長をさせる際の基板の種類、あるいは、結晶欠陥の集中方法が異なると、エッチピットを安定的に形成することが困難となる。
J.L. Weyher, P.D. Brown, J.L. Rouviere, T. Wosinski, A.R.A. Zauner, I. Grzegory: Journal of Crystal Growth Vol. 200 (2000), p. 151-156 S. K. Hong, T. Yao, B. J. Kim, S. Y. Yoon, and T. I. Kim: Applied Physics Letters Vol. 77 (2000), p. 82-84
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、窒化物系半導体においてエッチピットを安定的に形成することを目的とする。
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
窒化物系半導体のエッチング方法であって、アルカリ金属水酸化物からなる主剤に、酸化性固体からなる添加剤を添加したエッチング剤を融解し、溶融した前記エッチング剤に前記窒化物系半導体を浸漬することにより前記窒化物系半導体をエッチングする、エッチング方法。酸化性固体を添加することにより、溶融したエッチング剤中で酸化性固体が熱分解して酸素原子が生成される。この生成された酸素原子により異方性の化学エッチングが促進されることにより、エッチピットが安定的に形成される。
[適用例2]
前記主剤は、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの少なくとも一方を含んでいる、適用例1記載のエッチング方法。水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとは、入手が容易で、安価であるため、より容易にエッチングを行うことが可能であるとともに、エッチングに要するコストを低減することができる。
[適用例3]
前記添加剤の添加量は、前記主剤に対する重量比で1%から10%の範囲である、適用例1または2記載のエッチング方法。添加剤の添加量を主剤に対する重量比で1%以上とすることで、化学エッチングの促進効果が十分に維持されるので、より安定的にエッチピットを形成することが可能となる。また、添加剤の添加量を主剤に対する重量比で10%以下とすることで、反応性が高い酸素原子が過剰に生成されることが抑制されるので、エッチング剤の取り扱いをより容易とすることができる。
[適用例4]
前記エッチングは、460℃から600℃の温度範囲で行われる、適用例1ないし3のいずれか記載のエッチング方法。エッチングを460℃以上で行うことにより、添加剤がより確実に熱分解するため、安定的なエッチピットの形成をより確実に行うことができる。また、エッチングを600℃以下で行うことにより、エッチピットが重なり合うことを抑制することができるので、結晶欠陥の密度をより正確に評価することができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、窒化物系半導体のエッチング方法、そのエッチング方法を用いた窒化物系半導体の結晶欠陥検出方法等の態様で実現することができる。
GaN基板の結晶欠陥検出方法において使用されるエッチング工程を示す工程図。 エッチング前のGaN基板の表面形態を示す光学顕微鏡像。 実施例1のエッチング後におけるGaN基板の表面形態を示す説明図。 実施例2のエッチング後におけるGaN基板の表面形態を示す光学顕微鏡像。 比較例のエッチング後におけるGaN基板の表面形態を示す光学顕微鏡像。 実施例3のエッチング後におけるGaN基板の表面形態を示す光学顕微鏡像。
本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A1.結晶欠陥の検出
A2.実施例および比較例:
A1.結晶欠陥の検出:
図1は、本発明の一実施形態として窒化ガリウム(GaN)基板の結晶欠陥を検出する際のエッチング工程の具体例を示す説明図である。詳細については後述するが、図1に一例を示すエッチング工程を経ることにより、GaN基板表面の結晶欠陥の位置には窪み(エッチピット)が形成される。このエッチング工程においてエッチピットが形成され、結晶欠陥が顕在化されたGaN基板の表面の形態を光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて観察することにより、GaN基板の結晶欠陥を検出することができる。また、エッチピットは、結晶欠陥の種類によってその形状が異なるため、エッチピットの形状を観察することにより、GaN基板が有する結晶欠陥の種類を判別することが可能となる。さらに、エッチピットが形成された表面の形態観察による結晶欠陥の検出の他、例えば、エッチング工程により十分に小さなエッチピットを形成した後、SEMによりエッチピットの位置を特定し、特定されたエッチピット近傍の結晶構造を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察することによって、結晶欠陥の発生原因や、結晶欠陥の伝播特性等を評価することも可能である。
本実施形態において、エッチングは、空気雰囲気中で加熱・融解したエッチング剤(後述する)中に試料SPCとしてのGaN基板を浸漬することにより行われる。具体的には、まず、図1(a)に示すように、ヒータ12内に、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、アルミナ(Al)等のエッチング剤に対する耐食性を有する素材からなる坩堝21を配置する。坩堝21には、その内部に熱電対13が配置されるとともに、固体のエッチング剤が装入される。温度調節器11は、熱電対13により計測されたエッチング剤の温度に応じて、ヒータ12への供給電力を制御することにより、エッチング剤の温度を予め設定された温度(設定温度)に調節する。
エッチング剤は、温度調節器11の設定温度を漸次高くしていくことにより、加熱され昇温する。加熱によりエッチング剤の温度が融解温度を超えると、図1(b)に示すようにエッチング剤が融解して、坩堝21内に融解したエッチング剤(溶融エッチング剤)が収容された状態となる。エッチング剤の昇温は、エッチング剤が融解した後も、エッチング剤の温度が所定のエッチング温度(後述する)に到達するまで継続される。
エッチング剤の温度がエッチング温度に到達した後、試料SPCをNiあるいはPtからなる試料ホルダ22に載せ、試料SPCを溶融エッチング剤に浸漬する(図1(c))。試料SPCの溶融エッチング剤への浸漬を開始してから所定のエッチング時間(例えば、2〜6分)が経過した後、試料SPCは溶融エッチング剤から引き上げられる。なお、エッチング時間は、エッチング剤の組成、エッチング温度、および、試料SPCであるGaN基板の状態に応じて、適宜変更される。
次いで、溶融エッチング剤から引き上げられた試料SPCは、水中に投入され、洗浄される。これにより、試料SPCを覆うエッチング剤が溶解し、図1(d)に示すように、試料SPCが取り出される。なお、試料SPCの水中への投入は、急冷による試料SPCの破損を抑制するため、溶融エッチング剤からの引き上げから所定の冷却時間(例えば5分)経過してから行うのが好ましい。
エッチング剤としては、水酸化カリウム(KOH)に過酸化ナトリウム(Na)を適量添加したものを用いることができる。一般的に、GaNはバンドギャップが広く、ドープ型やキャリア濃度によるバンドギャップの中にあるフェルミ準位の変化範囲が広いため、GaNにおけるフェルミ準位とエッチング剤におけるフェルミ準位の差が大きくなる場合がある。フェルミ準位の差が大きくなると、GaNと溶融KOH等のエッチング剤との界面付近ではGaNのバンドベンディングが大きくなる。このようにして、例えば、バンドが上方に大きくベンドした場合、界面付近には多くの正孔が供給されるため、エッチング過程における電気化学エッチング成分が強くなる。電気化学エッチングは等方的なエッチングであるため、結晶欠陥の近傍領域以外においてもエッチングが進行し、エッチピットが形成されにくくなる。また、エッチピットが形成される場合においても、結晶欠陥の種類の違いによる形状の変化が現れにくいため、結晶欠陥の種類を特定することが困難である。
また、GaNは、化学的な特性が異なる極性面(Ga面およびN面)を有しており、溶融KOH等のエッチング剤を用いると、反応性の違いによりGa面とN面とでエッチング特性が異なったものとなる。特に、N面側では、N面自体のエッチング速度がファセット面のエッチング速度よりも速いため、エッチピットの形成がGa面よりもさらに困難になるとともに、結晶欠陥の種類の違いによるエッチピットの形状変化が起きにくい。
一方、本実施形態においては、KOHにNaを添加することにより、Naが分解して生成された酸素原子が化学エッチングを促進するため、エッチング過程における化学エッチング成分が、電気化学エッチング成分よりも強くなる。化学エッチングは、異方性のエッチングであるため、結晶欠陥の近傍領域においてエッチングが進行して、エッチピットが安定的に形成される。また、エッチングの異方性により、結晶欠陥の種類の違いにより形状の異なるエッチピットが形成されるので、結晶欠陥の種類を特定することが可能となる。さらに、化学エッチング成分が電気化学エッチング成分よりも強くなることにより、面の極性によるエッチング特性の変化が抑制されるので、Ga面およびN面のいずれの極性面においてもより容易にエッチピットを形成することができる。
なお、Naの添加量が少なくなると、上述した化学エッチングの促進効果が減弱し、エッチピットの形成が抑制される。一方、Naの添加量が多くなると、反応性が高い酸素原子の分解生成量が多くなるため、坩堝21の腐食等が進行しやすくなる等、エッチング剤の取り扱いが必ずしも容易ではなくなる。このような特性を考慮して、Naの添加量は、KOHに対する重量比(Na/KOH)で1%から10%の範囲とするのが好ましく、3%から7%の範囲とするのがより好ましい。
また、本実施形態では、KOHにNaを添加したエッチング剤を用いているが、一般的に、エッチング剤は、アルカリ金属水素化物からなる主剤に、酸化性固体からなる添加剤を添加したものを使用することができる。主剤としては、1種のアルカリ金属水素化物(LiOH、NaOH、KOH、RbOHもしくはCsOH)、あるいは、これらの混合物を用いることができる。但し、入手がより容易である点で、エッチング剤としては、NaOH、KOH、あるいは、NaOHとKOHとの混合物を用いるのが好ましい。添加剤としては、Naの他、熱分解により酸素原子を生成する種々の酸化性固体を用いることができる。添加剤としては、具体的には、アルカリ金属過酸化物(Na、K等)、アルカリ土類金属過酸化物(MgO、CaO、BaO等)、アルカリ金属塩素酸塩(NaClO、KClO等)、アルカリ金属硝酸塩(NaNO、KNO等)およびこれらの混合物を用いることができる。
エッチング温度は、主剤の融解温度(KOHでは406℃)と添加剤の分解開始温度(Naでは460℃)とのいずれもより高ければよい。但し、エッチング温度が高くなると、エッチピットのサイズが大きくなりすぎてエッチピットが重なり合う(「オーバーラップ」と呼ばれる)ため、結晶欠陥の密度を正確に評価することが困難となる。そのため、エッチング温度は、600℃以下とするのが好ましく、510℃以下とするのがより好ましい。
なお、本実施形態では、上述のエッチング方法を用いることによりGaN基板の結晶欠陥の検出を行っているが、当該エッチング方法は、GaN基板に限らず、GaNと、窒化アルミニウム(AlN)および窒化インジウム(InN)の少なくとも一方との混晶等、窒化物系半導体の基板の結晶欠陥の検出にも用いることができる。また、本実施形態のエッチング方法および結晶欠陥検出方法は、種々の基板上に窒化物系半導体をエピタキシャル成長した窒化物系半導体の単結晶膜等、窒化物系半導体一般に適用することができる。
また、図1の例では、予めKOHにNaを添加したエッチング剤を坩堝21に装入しているが、KOHが融解しエッチング温度に達した後、試料SPCの浸漬の前にNaを坩堝21に装入するものとしても良い。また、KOHにNaを添加したエッチング剤と、試料SPCとを予め坩堝21に装入し、マッフル炉等により坩堝21全体を加熱するものとしても良い。
A2.実施例および比較例:
[実施例1]
本実施形態の第1の実施例(実施例1)として、GaN基板をエッチングして、その表面形態を観察した。具体的には、まず、GaN基板上にGaN単結晶膜(エピ膜)をエピタキシャル成長した基板(エピ基板)を準備した。準備したエピ基板のエピ膜側の表面形態を、光学顕微鏡を用いて観察した。なお、準備したエピ基板のエピ膜は、基板のGa面側に形成されたエピ膜であり、エピ膜の表面もGa面となっている。
図2は、エッチング前のGaN基板の表面形態を示す光学顕微鏡像である。図2に示すように、GaN基板の表面には、エピ膜がスパイラル成長することにより形成される螺旋状のパターンが形成されていた。また、図2の上半分および下半分に示すように、エピ膜側の表面には螺旋状のパターンが複数形成されており、エピ膜を成長させる際のスパイラル成長の基点が面内に複数分布していることが確認できた。
表面形態の観察に引き続き、GaN基板のエッチングを行った。具体的には、まず、Ni製の坩堝に、主剤であるKOHに対する重量比(Na/KOH)が6.7%のNaを添加したエッチング剤を装入した。次いで、ヒータで坩堝を加熱してエッチング剤を融解し、さらに昇温を継続してエッチング剤の温度をエッチング温度(510℃)とした。エッチング剤の温度がエッチング温度に到達した後、溶融したエッチング剤にGaN基板を浸漬した。そして、エッチング時間(4分)の経過後、GaN基板を取り出し、エッチングされたGaN基板を水中に投入することによりエッチング剤を溶解させ、エッチングが行われたGaN基板を得た。次いで、エッチング後のGaN基板のエピ膜側(Ga面)の表面形態を、光学顕微鏡を用いて観察した。
図3は、実施例1のエッチング後におけるGaN基板の表面形態を示す説明図である。図3(a)は、エッチング後のGaN基板の光学顕微鏡像であり、図3(b)は、図3(a)において矩形の枠で示した領域(矩形領域)の拡大像である。なお、図3(a)において、視野全体に亘る縦方向および横方向の線は、低倍率の光学顕微鏡像を生成した際に現れたアーチファクト(偽像)である。
図3に示すように、エッチング後のGaN基板の表面からは、エピ膜の表面に形成されていた螺旋状のパターンが消失するとともに、エッチピットが形成されることが確認できた。また、図3(b)に示すように、エッチピットには、サイズが異なる六角形のエッチピット(図中のSおよびE)と、彗星形状のエッチピット(図中のB)とが形成された。六角形のエッチピット(SおよびE)のうち、サイズが大きいエッチピット(S)は、螺旋転位に起因し、サイズが小さいエッチピット(E)は、刃状転位に起因するものと判断することができる。また、彗星形状のエッチピットは、基底面転位に起因するものと判断することができる。このように、実施例1のエッチングを行うことにより、GaN基板のGa面にエッチピットを形成することが可能となるとともに、エッチピットの形状から結晶欠陥の種類を判別することが可能であることが判った。また、上述のように、螺旋転位、刃状転位および基底面転位が顕在化されていることから、結晶欠陥の密度をより正確に評価できることが確認できた。
[実施例2]
実施例1と同様のエッチングを行った後、表面形態の観察を行った。実施例2では、エッチング剤におけるNaの添加量をKOHに対する重量比(Na/KOH)にして3%とし、エッチング時間を6分とした。他の点は実施例1と同じである。
図4は、実施例2のエッチング後におけるGaN基板の表面形態を示す光学顕微鏡像である。図4に示すように、実施例2のエッチングによっても、エッチピットのサイズは小さくなるものの、サイズが異なる六角形のエッチピットが形成されることが確認できた。このように、Naの添加量をKOHに対する重量比(Na/KOH)にして3%としても、エッチピットを形成することが可能であるとともに、エッチピットの形状から結晶欠陥の種類を判別することが可能であることが判った。また、実施例1と同様に、螺旋転位および刃状転位のいずれもが顕在化していることから、結晶欠陥の密度をより正確に評価できることが確認できた。さらに、Naの添加量を変化させてもエッチピットが形成されていることから、Naを添加することにより、エッチピットが安定的に形成できることが判った。
[比較例]
比較例として、Naを添加せず、KOHのみでGaN基板にエッチピットが形成されるか否かを評価した。具体的には、エッチング剤としてKOHのみを用い、エッチング時間を6分とした。他の点は、実施例1と同じである。
図5は、比較例のエッチング後におけるGaN基板の表面形態を示す光学顕微鏡像である。図5に示すように、比較例では、エッチピットは確認されなかった。また、図5において矢印で示す領域には、エピ膜のスパイラル成長により生じた螺旋状のパターンが残存していた。このことから、比較例のようにKOHのみを用いた場合には、エッチピットがほとんど形成されないのみならず、等方的なエッチングの進行も遅いことが判った。
[実施例3]
第3の実施例(実施例3)では、GaN基板のN面にエッチピットが形成されるか否かを評価した。実施例3では、エッチングの対象となるGaN基板として、異種基板上にエピタキシャル成長されたエピ膜を異種基板から分離して得られた基板を準備した。次いで、実施例2と同一の条件でエッチングを行い、エッチング後の基板のN面を光学顕微鏡で観察した。
図6は、実施例3のエッチング後におけるGaN基板の表面形態を示す光学顕微鏡像である。図6に示すように、実施例2と同一条件でエッチングを行うことにより、GaN基板のN面にも、エッチピットが形成されることが確認できた。なお、図6に示す試料では、エッチピットがオーバーラップしているため、個々のエッチピットの形状を把握することは困難である。しかしながら、図示はしないが、実施例3と同様にエッチングを行った試料のうち、エッチピットのオーバーラップが生じていない試料では、サイズが異なる六角形のエッチピットが形成されていた。このことから、N面においても、実施例1および実施例2と同様に、螺旋転位と刃状転位とのいずれもをも顕在化させて結晶欠陥の密度をより正確に評価することが可能であること、および、エッチピットの形状から結晶欠陥の種類を判別することが可能であることが確認できた。
以上のように、KOHにNaを添加したエッチング剤を融解し、溶融したエッチング剤にGaN基板を浸漬することにより、GaN基板のGa面およびN面のいずれにおいても、エッチピットを安定的に形成することができた。また、サイズや形状の異なるエッチピットが形成されたことから、結晶欠陥の種類を特定することが可能であること、および、結晶欠陥の密度をより正確に評価することが可能であることが確認できた。
11…温度調節器
12…ヒータ
13…熱電対
21…坩堝
22…試料ホルダ
SPC…試料

Claims (5)

  1. 窒化物系半導体のエッチング方法であって、
    アルカリ金属水酸化物からなる主剤に、酸化性固体からなる添加剤を添加したエッチング剤を融解し、
    溶融した前記エッチング剤に前記窒化物系半導体を浸漬することにより前記窒化物系半導体をエッチングする、
    エッチング方法。
  2. 前記主剤は、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの少なくとも一方を含んでいる、請求項1記載のエッチング方法。
  3. 前記添加剤の添加量は、前記主剤に対する重量比で1%から10%の範囲である、請求項1または2記載のエッチング方法。
  4. 前記エッチングは、460℃から600℃の温度範囲で行われる、請求項1ないし3のいずれか記載のエッチング方法。
  5. 窒化物系半導体の結晶欠陥の検出方法であって、
    請求項1ないし4のいずれか記載のエッチング方法に前記窒化物系半導体をエッチングする工程と、
    前記エッチングが行われた窒化物系半導体の表面形態を観察することにより、前記窒化物系半導体の結晶欠陥を検出する工程と、
    を備える、結晶欠陥の検出方法。
JP2015091760A 2015-04-28 2015-04-28 窒化物系半導体のエッチング方法および窒化物系半導体の結晶欠陥検出方法 Active JP6574104B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015091760A JP6574104B2 (ja) 2015-04-28 2015-04-28 窒化物系半導体のエッチング方法および窒化物系半導体の結晶欠陥検出方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015091760A JP6574104B2 (ja) 2015-04-28 2015-04-28 窒化物系半導体のエッチング方法および窒化物系半導体の結晶欠陥検出方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016207968A true JP2016207968A (ja) 2016-12-08
JP6574104B2 JP6574104B2 (ja) 2019-09-11

Family

ID=57490316

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015091760A Active JP6574104B2 (ja) 2015-04-28 2015-04-28 窒化物系半導体のエッチング方法および窒化物系半導体の結晶欠陥検出方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6574104B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018113379A (ja) * 2017-01-13 2018-07-19 一般財団法人ファインセラミックスセンター 窒化物系半導体の非極性面のエッチング方法および窒化物系半導体の非極性面における結晶欠陥の検出方法
JP2018133489A (ja) * 2017-02-16 2018-08-23 国立大学法人埼玉大学 エッチング方法

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005041283A1 (ja) * 2003-10-27 2005-05-06 Sumitomo Electric Industries, Ltd. 窒化ガリウム系半導体基板と窒化ガリウム系半導体基板の製造方法
JP2009130039A (ja) * 2007-11-21 2009-06-11 Sumitomo Electric Ind Ltd Iii族窒化物結晶の転位密度の評価方法
US7888270B2 (en) * 2007-09-04 2011-02-15 National Chiao Tung University Etching method for nitride semiconductor
JP2011151317A (ja) * 2010-01-25 2011-08-04 Toyota Motor Corp 炭化珪素単結晶の欠陥検出方法
JP2011159956A (ja) * 2010-02-02 2011-08-18 Chonbuk National Univ Industrial Cooperation Foundation 改善された発光効率を有する発光ダイオードおよびその製造方法
US20110256386A1 (en) * 2010-04-07 2011-10-20 Massachusetts Institute Of Technology Fabrication of Large-Area Hexagonal Boron Nitride Thin Films
JP2012049392A (ja) * 2010-08-27 2012-03-08 Toyota Central R&D Labs Inc 転位の出現深さを特定する方法
US20130143396A1 (en) * 2011-11-23 2013-06-06 University Of South Carolina Pretreatment Method for Reduction and/or Elimination of Basal Plane Dislocations Close to Epilayer/Substrate Interface in Growth of SiC Epitaxial
JP2015012124A (ja) * 2013-06-28 2015-01-19 一般財団法人ファインセラミックスセンター 半導体ウェハのエッチング方法、半導体ウェハとその製造方法および半導体ウェハの結晶欠陥検出方法。

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005041283A1 (ja) * 2003-10-27 2005-05-06 Sumitomo Electric Industries, Ltd. 窒化ガリウム系半導体基板と窒化ガリウム系半導体基板の製造方法
US7888270B2 (en) * 2007-09-04 2011-02-15 National Chiao Tung University Etching method for nitride semiconductor
JP2009130039A (ja) * 2007-11-21 2009-06-11 Sumitomo Electric Ind Ltd Iii族窒化物結晶の転位密度の評価方法
JP2011151317A (ja) * 2010-01-25 2011-08-04 Toyota Motor Corp 炭化珪素単結晶の欠陥検出方法
JP2011159956A (ja) * 2010-02-02 2011-08-18 Chonbuk National Univ Industrial Cooperation Foundation 改善された発光効率を有する発光ダイオードおよびその製造方法
US20110256386A1 (en) * 2010-04-07 2011-10-20 Massachusetts Institute Of Technology Fabrication of Large-Area Hexagonal Boron Nitride Thin Films
JP2012049392A (ja) * 2010-08-27 2012-03-08 Toyota Central R&D Labs Inc 転位の出現深さを特定する方法
US20130143396A1 (en) * 2011-11-23 2013-06-06 University Of South Carolina Pretreatment Method for Reduction and/or Elimination of Basal Plane Dislocations Close to Epilayer/Substrate Interface in Growth of SiC Epitaxial
JP2015012124A (ja) * 2013-06-28 2015-01-19 一般財団法人ファインセラミックスセンター 半導体ウェハのエッチング方法、半導体ウェハとその製造方法および半導体ウェハの結晶欠陥検出方法。

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
KAMLER, G. ET AL: "Defect-selective etching of GaN in a modified molten bases system", JOURNAL OF CRYSTAL GROWTH, vol. 246, JPN6019027940, 2002, pages 21 - 24, XP004391272, ISSN: 0004080159, DOI: 10.1016/S0022-0248(02)01786-4 *
WANG, HONGJUN ET AL.: "Formation of GaN nanostructures with various morphologies by photo-assisted electroless chemical etc", MATERIALS LETTERS, vol. 54, JPN6019027939, 2010, pages 2380 - 2383, ISSN: 0004080158 *

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018113379A (ja) * 2017-01-13 2018-07-19 一般財団法人ファインセラミックスセンター 窒化物系半導体の非極性面のエッチング方法および窒化物系半導体の非極性面における結晶欠陥の検出方法
JP2018133489A (ja) * 2017-02-16 2018-08-23 国立大学法人埼玉大学 エッチング方法
WO2018150638A1 (ja) * 2017-02-16 2018-08-23 信越ポリマー株式会社 エッチング方法
US11227771B2 (en) 2017-02-16 2022-01-18 Shin-Etsu Polymer Co., Ltd. Etching method

Also Published As

Publication number Publication date
JP6574104B2 (ja) 2019-09-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Shao et al. Characterization of dislocation etch pits in HVPE-grown GaN using different wet chemical etching methods
Guo et al. Comparative study of etching high crystalline quality AlN and GaN
US20050059229A1 (en) Method of manufacturing Group III nitride crystal substrate, etchant used in the method, Group III nitride crystal substrate, and semiconductor device including the same
WO2017043411A1 (ja) 窒化ガリウム結晶及びその製造方法、並びに、結晶成長装置
JPWO2004013385A1 (ja) Iii族元素窒化物単結晶の製造方法およびそれにより得られたiii族元素窒化物透明単結晶
ElAfandy et al. Exfoliation of Threading Dislocation‐Free, Single‐Crystalline, Ultrathin Gallium Nitride Nanomembranes
JP2010180111A (ja) 自立基板、およびその製造方法
JP4920875B2 (ja) Iii族窒化物結晶の製造方法、およびiii族窒化物基板の製造方法
JP6152548B2 (ja) 酸化ガリウム基板及びその製造方法
CN103487453A (zh) 异质外延生长的氮化镓位错密度测定方法
JP6574104B2 (ja) 窒化物系半導体のエッチング方法および窒化物系半導体の結晶欠陥検出方法
JP6143148B2 (ja) Iii族窒化物結晶の製造方法および半導体装置の製造方法
JP6579951B2 (ja) 窒化アルミニウム単結晶積層体、該積層体の製造方法、及び該積層体を利用した半導体素子の製造方法
ha Choi et al. Photo-enhanced acid chemical etching of high-quality aluminum nitride grown by metal-organic chemical vapor deposition
Lee et al. Nearly perfect GaN crystal via pit-assisted growth by HVPE
JP5085067B2 (ja) Iii族窒化物結晶の結晶品質改善方法
Dai et al. A novel porous substrate for the growth of high quality GaN crystals by HVPE
JP6890979B2 (ja) 窒化物系半導体の非極性面のエッチング方法および窒化物系半導体の非極性面における結晶欠陥の検出方法
JP2000188285A (ja) エッチング方法および結晶性評価方法並びに半導体装置の製造方法
US10538858B2 (en) Method for manufacturing group 13 nitride crystal and group 13 nitride crystal
KR101418004B1 (ko) 산화제가 첨가된 에천트를 이용한 고농도 실리콘카바이드 에칭방법
CN105762064A (zh) 用于氮化物生长硅衬底实时图形化的方法
US20160027656A1 (en) Defect free single crystal thin layer
JP2016150871A (ja) Iii族窒化物結晶の製造方法、iii族窒化物結晶および半導体装置
Wen et al. Wet etching of semi-polar (11–22) GaN on m-sapphire by different methods

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180423

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190221

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190723

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190815

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6574104

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250