JP2016206335A - 光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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和樹 赤阪
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Abstract

【課題】厚みが薄くても、高温保存後の液晶表示装置の表示ムラを抑制できる光学補償フィルムを提供する。【解決手段】正の複屈折性を有する樹脂を含む第一の層と、負の複屈折性を有する樹脂を含む第二の層とを含み、厚みが10〜65μmである光学補償フィルム55であって、前記第一の層の面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthが、0nm<Ro≦30nm、0nm<Rth<60nmを満たし、前記第二の層の面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthが、−250nm<Ro<−110nm、−60nm<Rth<0nmを満たし、かつ前記光学補償フィルムの面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthが、−250nm<Ro<−80nm、−60nm<Rth<60nmを満たす、光学補償フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置に関する。
近年、液晶表示装置は、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル機器の液晶ディスプレイとしての需要が増している。モバイル機器の薄型化に伴い、それに用いられる液晶表示装置は、薄型化が求められている。また、モバイル機器は様々な場所で使われることから、それに用いられる液晶表示装置は、テレビと比べて高い耐久性が求められる。特に、高温時の車に放置される場合を想定して、85℃という高温下においても表示性能が低下しないことが求められる。
モバイル機器に用いられる液晶表示装置として、IPSモードの液晶表示装置が知られている。IPSモードの液晶表示装置に用いられる光学補償フィルムとしては、負の二軸性位相差フィルム(例えばTAC)と+Cプレート(例えば垂直配向された液晶層)との積層フィルムが知られている(例えば特許文献1)。また、偏光子と、Reが60〜200nmの第1位相差膜と、Rthが−300〜−40nmの第2位相差膜とをこの順に有する偏光板一体型光学補償フィルムも知られている(例えば特許文献2)。第1位相差膜と第2位相差膜とは接着剤を介して貼り付けられることが示されている。さらに、偏光子と、ポジティブAプレートと、ポジティブCプレートとをこの順に有する偏光素子が知られている(例えば特許文献3)。
特開第4907993号公報 特開2007−286578号公報 特開2006−215221号公報
しかしながら、特許文献1〜3の光学補償フィルムを用いた液晶表示装置は、例えば85℃の高温保存後の表示性能が低いという問題があった。
この理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。偏光子は高倍率で延伸して製造されることから、大きな残留応力を有しており、高温下で収縮しやすい。そのため、特許文献1では、液晶層(+Cプレート)が偏光子の収縮力を受けて歪みを生じやすい。特許文献2では、第1位相差膜と第2位相差膜との間の接着剤層が高温下で軟化し、当該接着剤層を境界として第1位相差膜と第2位相差膜との間で歪みの差が生じやすい。このように、液晶層の歪みや位相差膜間での歪みの差が生じると、意図しない複屈折を生じて表示ムラを生じやすい。
液晶層の歪みや位相差膜間での歪みの差は、それらを含む光学補償フィルムの厚みが薄いほど顕著に生じやすい。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、厚みが薄くても、高温保存後の液晶表示装置の表示ムラを抑制できる光学補償フィルムを提供することを目的とする。
[1] 正の複屈折性を有するセルロースエステルを含む第一の層と、負の複屈折性を有するセルロースエステルを含む第二の層とを含み、厚みが10〜65μmである光学補償フィルムであって、前記第一の層の、測定波長590nm、23℃55%RH下で測定される面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthが、下記式(1a)及び式(1b)を満たし、
式(1a):0nm<Ro≦30nm
式(1b):0nm<Rth<60nm
前記第二の層の、測定波長590nm、23℃55%RH下で測定される面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthが、下記式(2a)及び式(2b)を満たし、かつ
式(2a):−250nm<Ro<−110nm
式(2b):−60nm<Rth<0nm
前記光学補償フィルムの、測定波長590nm、23℃55%RH下で測定される面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthが、下記式(3a)及び式(3b)を満たす、光学補償フィルム。
式(3a):−250nm<Ro<−80nm
式(3b):−60nm<Rth<60nm
[2] 前記第一の層と前記第二の層とは接している、[1]に記載の光学補償フィルム。
[3] 前記正の複屈折性を有するセルロースエステルは、脂肪族アシル基からなるアシル基を含み、かつ総アシル基置換度が2.0以上3.0以下である、[1]又は[2]に記載の光学補償フィルム。
[4] 前記負の複屈折性を有するセルロースエステルは、総置換度が1.0以上3.0以下であり、かつ芳香族アシル基の置換度が0.1以上1.5以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の光学補償フィルム。
[5] IPSモード用の光学補償フィルムである、[1]〜[4]のいずれかに記載の光学補償フィルム。
[6] 正の複屈折性を有するセルロースエステルを含む第一の層と、負の複屈折性を有するセルロースエステルを含む第二の層とを含み、厚みが10〜65μmである光学補償フィルムであって、前記第一の層の面内遅相軸と前記第二の層の面内遅相軸とは互いに直交しており、測定波長590nm、23℃55%RH下で測定される面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthが、下記式(3a)及び式(3b)を満たす、光学補償フィルム。
式(3a):−250nm<Ro<−80nm
式(3b):−60nm<Rth<60nm
[7] 正の複屈折性を有するセルロースエステルを含む第一の層用ドープと、負の複屈折性を有するセルロースエステルを含む第二の層用ドープとを共流延して積層物を得る工程と、前記積層物を延伸して、前記正の複屈折性を有するセルロースエステルを含む第一の層と、前記負の複屈折性を有するセルロースエステルを含む第二の層とを含み、厚みが10〜65μmであり、かつ測定波長590nm、23℃55%RH下で測定される面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthが、下記式(3a)及び式(3b)を満たす光学補償フィルムを得る工程とを含む、光学補償フィルムの製造方法。
式(3a):−250nm<Ro<−80nm
式(3b):−60nm<Rth<60nm
[8] 前記正の複屈折性を有するセルロースエステルは、脂肪族アシル基からなるアシル基を含み、かつ総アシル基置換度が2.0以上3.0以下である、[7]に記載の光学補償フィルムの製造方法。
[9] 前記負の複屈折性を有するセルロースエステルは、芳香族アシル基を含み、かつ総置換度が1.0以上3.0以下である、[7]又は[8]に記載の光学補償フィルムの製造方法。
[10] 偏光子と、[1]〜[6]のいずれかに記載の光学補償フィルムとを含み、前記光学補償フィルムの第一の層が、前記偏光子側に配置されている、偏光板。
[11] IPSモードの液晶セルと、前記液晶セルの一方の面に配置された第一の偏光板と、前記液晶セルの他方の面に配置された第二の偏光板とを含み、前記第一の偏光板は、第一の偏光子と、前記第一の偏光子と前記液晶セルとの間に配置される第一の光学補償フィルムとを含み、前記第二の偏光板は、第二の偏光子と、前記第二の偏光子と前記液晶セルとの間に配置される第二の光学補償フィルムとを含み、前記第一の光学補償フィルムが[1]〜[6]のいずれかに記載の光学補償フィルムであり、かつ前記第一の光学補償フィルムの第一の層が前記第一の偏光子側に配置されているか、前記第二の光学補償フィルムが[1]〜[6]のいずれかに記載の光学補償フィルムであり、かつ前記第二の光学補償フィルムの第一の層が前記第二の偏光子側に配置されているか、又は前記第一の光学補償フィルム及び前記第二の光学補償フィルムが、いずれも[1]〜[6]のいずれかに記載の光学補償フィルムであり、前記第一の光学補償フィルムの第一の層が前記第一の偏光子側に配置され、かつ前記第二の光学補償フィルムの第一の層が前記第二の偏光子側に配置されている、液晶表示装置。
本発明によれば、厚みが薄くても、高温保存後の液晶表示装置の表示ムラを抑制できる光学補償フィルムを提供することができる。
液晶表示装置の基本的な構成の一例を示す模式図である。 図1における偏光子の吸収軸、光学補償フィルムの面内遅相軸、及び液晶セルの遅相軸の関係の一例を示す図である。 実施例で作製した液晶層の1画素領域中の液晶分子の配向の一例を示す模式図である。
本発明者らは、高温下での液晶表示装置の表示ムラを抑制するためには、光学補償フィルムが、偏光子の収縮を受けて歪みを生じやすい液晶層や、高温下で軟化しやすい接着剤層を含まないことが有効であることを見出した。
即ち、本発明の光学補償フィルムは、正の複屈折性を有する樹脂を含む第一の層用ドープと、負の複屈折性を有する樹脂を含む第二の層用ドープとを共流延し;得られる共流延物を延伸して得られる。それにより、液晶層や接着剤層を有しなくても、IPSモードの液晶セルの光学補償や視野角補償に適した位相差を有し、かつ層間密着性に優れる光学補償フィルムを得ることができる。その結果、光学補償フィルムの厚みを薄くしても、高温下での液晶表示装置の表示ムラを好ましく抑制できる。
視野角補償性を付与する観点では、光学補償フィルムの面内方向の位相差Roはある程度大きいことが好ましい。一方、IPSモードの液晶セルの光学補償性を付与する観点では、光学補償フィルムの厚み方向の位相差Rthの絶対値は小さいことが好ましい。本発明の光学補償フィルムは、Rthについては、第一の層と第二の層を積層してRthを互いに打ち消し合うことで0に近づけると共に;Roについては、両層の材料や延伸条件を調整して一方の層のRoを他方の層のRoよりも大きく発現させることで大きくすることができる。
そのような光学補償フィルムの好ましい例として、第一の層の、測定波長590nm、23℃55%RH下で測定される面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthが、下記式(1a)及び式(1b)を満たし、
式(1a):0nm<Ro≦30nm
式(1b):0nm<Rth<60nm
前記第二の層の、測定波長590nm、23℃55%RH下で測定される面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthが、下記式(2a)及び式(2b)を満たし、かつ
式(2a):−250nm<Ro<−110nm
式(2b):−60nm<Rth<0nm
前記光学補償フィルムの、測定波長590nm、23℃55%RH下で測定される面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthが、下記式(3a)及び式(3b)を満たす光学補償フィルムが含まれる。
式(3a):−250nm<Ro<−80nm
式(3b):−60nm<Rth<60nm
通常、各層のRoの和が、光学補償フィルムのRoとなり;各層のRthの和が、光学補償フィルムのRthとなる。
本発明において、位相差Roは、延伸方向に遅相軸が配向するもの(延伸方向の屈折率>延伸方向と直交する方向の屈折率となるもの)を正で表し;延伸方向と直交する方向に遅相軸が配向するもの(延伸方向と直交する方向の屈折率>延伸方向の屈折率となるもの)を負で表す。位相差Rthは、nx、ny及びnzの屈折率を用いて下記式により決定される。
具体的には、Ro及びRthは、下記式で定義される。
〈リターデーション値の測定〉
式(I):Ro=(nx−ny)×d
式(II):Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、nx、ny及びnzは、それぞれ屈折率楕円体の主軸x、y、z方向の屈折率であって、かつ
nxは、フィルム面内方向の延伸方向の屈折率を表し、
nyは、フィルム面内方向の延伸方向と直交する方向の屈折率を表し、
nzは、フィルムの厚さ方向の屈折率を表し、
dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。)
「(フィルムの)延伸方向」は、第一の層の面内遅相軸と平行な方向であり;第二の層の面内遅相軸と直交する方向であり;光学補償フィルムの面内遅相軸と直交する方向である。直交するとは、実質的に90°とみなせる範囲であり、例えば90°±5°の範囲でありうる。
光学補償フィルムのRo及びRthは、以下の方法で測定されうる。
1)光学補償フィルムを23℃55%RHの環境下で24時間調湿した後、光学補償フィルムの平均屈折率をアッベ屈折計で測定する。具体的には、アッベ屈折率計(1T)に偏光板付き接眼鏡を付け、分光光源を用いて光学補償フィルムの両方の面のフィルム面内の一方向とそれに直交する方向、及びフィルムの厚み方向の屈折率を測定し、それらの平均値から平均屈折率を求める。また、市販のマイクロメーターを用いてフィルムの厚さdを測定する。
2)調湿後の光学補償フィルムの、波長590nmにおけるリターデーションRo及びRthを、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃55%RHの環境下で測定する。具体的には、
2-1)フィルム面の法線方向に平行に測定波長590nmの光を入射させたときのRを、KOBRA−21ADHにて測定する。
2-2)さらに、KOBRA21ADHにより、試料片の面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として、試料片の表面の法線に対してθの角度(入射角(θ))から測定波長590nmの光を入射させたときの位相差R(θ)を測定する。位相差R(θ)の測定は、θが0°〜50°の範囲で、例えば10°毎に6点で行う。試料片の面内遅相軸は、KOBRA−21ADHにより確認することができる。
2-3)測定されたR及びR(θ)と、前述の平均屈折率と膜厚とから、KOBRA−21ADHがnx、ny及びnzを算出し、上記式(II)に基づいて測定波長590nmでのRthを算出する。
光学補償フィルムを構成する第一の層と第二の層のRo及びRthは、光学補償フィルムから第一の層と第二の層をそれぞれ分離した後、得られた各層について前述と同様の測定を行うことにより得ることができる。第一の層と第二の層の分離は、第一の層と第二の層との間にカッターの刃を押し込んで切り込みを入れ、当該切り込み部分に、カッターの刃をさらに押し込むことにより行うことができる。
1.光学補償フィルム
本発明の光学補償フィルムは、正の複屈折性を有する樹脂を含む第一の層と、負の複屈折性を有する樹脂を含む第二の層とを含む。
1-1.第一の層について
1-1-1.正の複屈折性を有する樹脂
第一の層は、正の複屈折性を有する樹脂を含む。正の複屈折性を有する樹脂は、特に制限されないが、後述する第二の層用ドープと共流延で製膜しやすく、かつ良好な層間密着性が得られやすい点から、正の複屈折性を有するセルロースエステルであることが好ましい。
正の複屈折性を有するセルロースエステルは、セルロースと、少なくとも脂肪族カルボン酸を含むカルボン酸とをエステル化反応させて得られる。即ち、正の複屈折性を有するセルロースエステルは、脂肪族アシル基を含むことが好ましく、全てのアシル基が脂肪族アシル基であることがより好ましい。
脂肪族アシル基の炭素原子数は、2〜7であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が含まれる。良好な耐熱性を得る観点等から、脂肪族アシル基は、アセチル基を含むことが好ましい。
そのようなセルロースエステルの例には、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等が含まれる。これらの中でも、位相差発現性の低いものが好ましく、セルローストリアセテートが好ましい。
セルロースエステルのアシル基の総置換度は、2.0〜3.0であることが好ましく、2.4〜2.99であることがより好ましく、2.7〜2.98であることがさらに好ましく、2.8〜2.95であることが特に好ましい。光学補償フィルムのRoを負に大きくする(第二の層のRoを第一の層のRoよりも相対的に大きく発現させる)ためには、第一の層のRoを小さくすることが好ましい。第一の層のRoを小さくするためには、アシル基の総置換度を高くすることが好ましい。セルロースエステルのアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法で測定することができる。
セルロースエステルの重量平均分子量は、一定以上の機械的強度を得るためには、5.0×10〜5.0×10であることが好ましく、1.0×10〜3.0×10であることがより好ましく、1.5×10〜2.8×10であることがさらに好ましい。セルロースエステルの分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1.0〜4.5であることが好ましい。
セルロースエステルの重量平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されうる。測定条件は、以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製)を3本接続して使用する。
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standardポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1.0×10〜5.0×10までの13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に選択することが好ましい。
1-1-2.他の成分
第一の層は、必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤及び微粒子等の他の成分をさらに含んでもよい。
(可塑剤)
可塑剤の例には、ポリエステル系可塑剤(ジカルボン酸とジオールの重縮合物)、多価カルボン酸エステル系可塑剤(多価カルボン酸とアルコール化合物との縮合物)、リン酸エステル系可塑剤及び脂肪酸エステル系可塑剤等が含まれる。中でも、セルロースエステルと相溶しやすい点から、ポリエステル系可塑剤が好ましい。
可塑剤の含有量は、第一の層中のセルロースエステルに対して1〜40質量%、好ましくは5〜30質量%としうる。可塑剤の含有量が上記範囲であると、フィルムを白化させることなく、高倍率での延伸を行いやすい。
(微粒子)
基材フィルムは、表面に滑り性等を付与するために、微粒子(マット剤)をさらに含みうる。微粒子は、無機化合物又は樹脂で構成されうる。
無機化合物の例には、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が挙げられる。樹脂の例には、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂が含まれる。これらの中でも、フィルムの濁度を低くしうる点で、二酸化珪素の微粒子が好ましい。二酸化珪素の微粒子の例には、アエロジル200V、アエロジルR972Vが含まれる。
微粒子の一次粒子の平均粒径は、好ましくは5〜400nm、より好ましくは10〜300nmである。微粒子は、主に粒径0.05〜0.3μmの2次凝集体として含有されてもよく、平均粒径100〜400nmの粒子であれば凝集せずに一次粒子として含有されてもよい。
微粒子の含有量は、第一の層に対して0.01〜1質量%であることが好ましく、0.05〜0.5質量%としうる。
1-1-3.物性
第一の層の、測定波長590nm、23℃55%RH下で測定される面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthは、式(1a)及び式(1b)を満たすことが好ましい。
式(1a):0nm<Ro≦30nm
式(1b):0nm<Rth<60nm
第一の層の面内方向の位相差Roは、0nm<Ro≦20nmを満たすことがより好ましく;厚み方向の位相差Rthは、0nm<Rth≦30nmを満たすことがより好ましい。
面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthの測定は、光学補償フィルムから第二の層を除去して第一の層からなる試料片を得た後、該試料片について前述と同様の測定を行うことにより得ることができる。
第一の層の厚みは、RoとRthが前述の範囲となり、かつフィルム全体の厚みが後述する範囲となるように調整されればよく、例えば5〜70μmであり、25〜50μmであることがより好ましい。第一の層の厚みが70μm以下であると、Rthの絶対値が過剰に大きくなりにくいため、好ましい。
1-2.第二の層について
1-2-1.負の複屈折性を有する樹脂
第二の層は、負の複屈折性を有する樹脂を含む。負の複屈折性を有する樹脂は、特に制限されないが、第一の層用ドープと共流延で製膜しやすく、かつ良好な層間密着性が得られやすい点から、負の複屈折性を有するセルロースエステルであることが好ましい。
負の複屈折性を有するセルロースエステルは、セルロースと、少なくとも芳香族カルボン酸とをエステル化反応させて得られる。即ち、負の複屈折性を有するセルロースエステルは、少なくとも芳香族アシル基を含む。
芳香族アシル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがより好ましい。芳香族アシル基は、下記式(A)又は下記式(B)で表されることが好ましい。
Figure 2016206335
Figure 2016206335
式(A)及び式(B)のXは、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子)、シアノ基、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基等の炭素原子数1〜12のアルキル基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基等の炭素原子数1〜12のアルコキシ基)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等の炭素原子数6〜20のアリール基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基及びナフトキシ基等の炭素原子数6〜20のアリールオキシ基)、アシル基(例えばホルミル基、アセチル基及びベンゾイル基等の炭素原子数1〜12のアシル基)、カルボンアミド基(例えばアセトアミド基及びベンズアミド基等の炭素原子数1〜12のカルボンアミド基)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等の炭素原子数1〜12のスルホンアミド基)、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基(例えば炭素原子数2〜12のアルコキシカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニル基(例えば炭素原子数7〜12のアリールカルボニルオキシ基)、アラルキルオキシカルボニル基(例えばベンジル基、フェネチル基等の炭素原子数2〜12のアラルキルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(例えば、(無置換)カルバモイル基及びN−メチルカルバモイル基等の炭素原子数1〜12のカルバモイル基)、スルファモイル基(例えばN−メチルスルファモイル基等の炭素原子数12以下のスルファモイル基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基及びベンゾイルオキシ基等の炭素原子数12以下のアシルオキシ基)、アルケニル基(例えばビニル基、アリル基及びイソプロペニル基等の炭素原子数2〜12のアルケニル基)、アルキニル基(例えばチエニル基等の炭素原子数2〜12のアルキニル基)、アルキルスルホニル基(例えば炭素原子数1〜12のアルキニルスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えば炭素原子数6〜12のアリールスルホニル基)、アルキルオキシスルホニル基(例えば炭素原子数1〜12のアルキルオキシスルホニル基)、アリールオキシスルホニル基(例えば炭素原子数6〜12のアリールスルホニル基)、アルキルスルホニルオキシ基(例えば炭素原子数1〜12のアルキルスルホニルオキシ基)、アリールスルホニルオキシ基(例えば炭素原子数6〜12のアリールスルホニルオキシ基)、−S−R、−NH−CO−OR、−PH−R、−P(−R)、−PH−O−R、−P(−R)(−O−R)、−P(−O−R)、−PH(=O)−R−P(=O)(−R)、−PH(=O)−O−R、−P(=O)(−R)(−O−R)、−P(=O)(−O−R)、−O−PH(=O)−R、−O−P(=O)(−R)−O−PH(=O)−O−R、−O−P(=O)(−R)(−O−R)、−O−P(=O)(−O−R)、−NH−PH(=O)−R、−NH−P(=O)(−R)(−O−R)、−NH−P(=O)(−O−R)等が含まれる。中でも、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基及びアリールオキシ基が好ましく、ハロゲン原子、アルキル基及びアルコキシ基がより好ましい。
式(A)及び式(B)のnは、芳香族環に置換する置換基Xの数であり、0〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1又は2であることがさらに好ましい。芳香族環に置換する置換基の数が2以上ある場合、互いに同じでも異なっていてもよい。2以上の置換基は、互いに連結して縮合環(例えばナフタレン、インデン、インダン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、クロメン、クロマン、フタラジン、アクリジン、インドール、インドリン等)を形成してもよい。
式(A)で表される芳香族アシル基の例には、以下のものが含まれる。
Figure 2016206335
Figure 2016206335
Figure 2016206335
Figure 2016206335
式(B)で表される芳香族アシル基の例には、以下のものが含まれる。
Figure 2016206335
負の複屈折性を有するセルロースエステルは、必要に応じて脂肪族アシル基をさらに含んでもよい。脂肪族アシル基は、前述の正の複屈折性を有するセルロースエステルに含まれる脂肪族アシル基と同義でありうる。
負の複屈折性を有するセルロースエステルは、必要に応じてアルコキシ基をさらに有してもよい。アルコキシ基は、炭素原子数1〜10、好ましくは1〜5のアルコキシ基であることが好ましく、その例には、メトキシ基、エトキシ基等が含まれる。
脂肪族アシル基やアルコキシ基は、負の複屈折性を発現しにくい。従って、芳香族アシル基と脂肪族アシル基又はアルコキシ基とを組み合わせることで、負の複屈折性を適度な範囲に調整しうる。
負の複屈折性を有するセルロースエステルの総置換度は、1.0〜3.0であることが好ましく、1.5〜3.0であることがより好ましい。総置換度とは、アシル基の置換度とアルコキシ基の置換度の合計である。このうち、芳香族アシル基の置換度は、0.1〜1.5であることが好ましく、0.5〜1.5であることがより好ましく、0.7〜1.5であることがさらに好ましい。芳香族アシル基の置換度が一定以上であると、十分な負の複屈折性が得られやすく、得られる光学補償フィルムのRoを負に大きくしやすい。
例えば、光学補償フィルムのRoを負に大きくする(第二の層のRoを第一の層のRoよりも相対的に大きく発現させる)ためには、第二の層のRoを負に大きくすることが好ましい。第二の層のRoを負に大きくするためには、芳香族アシル基の置換度を高くすることが好ましく;アシル基の総置換度を0.5以上とすることが好ましい。
負の複屈折性を有するセルロースエステルの重量平均分子量は、前述の正の複屈折性を有するセルロースエステルの重量平均分子量と同様としうるが、1.0×10〜3.8×10であることがより好ましく、1.5×10〜3.5×10であることがさらに好ましい。第一の層用ドープと第二の層用ドープの粘度の差を少なくし、共流延を行いやすくするためである。
1-2-2.他の成分
第二の層は、必要に応じて第一の層と同様の可塑剤、紫外線吸収剤及び微粒子等の他の成分をさらに含んでもよい。
1-2-3.物性
第二の層の、測定波長590nm、23℃55%RH下で測定される面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthが、下記式(2a)及び式(2b)を満たすことが好ましい。
式(2a):−250nm<Ro<−110nm
式(2b):−60nm<Rth<0nm
第二の層の面内方向の位相差Roは、−240nm≦Ro≦−170nmを満たすことがより好ましく;厚み方向の位相差Rthは、−30nm≦Rth<0nmを満たすことがより好ましい。Ro及びRthの測定は、前述と同様にして行うことができる。
第二の層のRo及びRthの測定は、光学補償フィルムから第一の層を除去して第二の層からなる試料片を得た後、該試料片について前述と同様の測定を行うことにより得ることができる。
第二の層の厚みは、RoとRthが前述の範囲となり、かつフィルム全体の厚みが後述する範囲となるように調整されればよく、例えば5〜30μmであることが好ましく、10〜20μmであることがより好ましい。第二の層の厚みが30μm以下であると、RoやRthの絶対値が過剰に大きくなりにくいため、好ましい。
本発明の光学補償フィルムは、必要に応じて接着剤層や液晶層以外の他の層を有しうる。
1-3.光学補償フィルムの構成について
本発明の光学補償フィルムは、後述する通り、第一の層用ドープと第二の層用ドープとを共流延した後;得られた共流延物を延伸(好ましくは一軸延伸)して得られる。そのため、第一の層と第二の層とは接していることが好ましい。
また、正の複屈折性を有する樹脂は、延伸方向に屈折率が大きくなることから、正の複屈折性を有する樹脂を含む第一の層は、延伸方向と平行な方向に面内遅相軸を有する。負の複屈折性を有する樹脂は、延伸方向と直交する方向に屈折率が大きくなることから、負の複屈折性を有する樹脂を含む第二の層は、延伸方向と直交する方向に面内遅相軸を有する。従って、本発明の光学補償フィルムでは、第一の層の面内遅相軸と第二の層の面内遅相軸とは互いに直交している。互いに直交する範囲とは、実質的に90°とみなせる範囲であり、例えば90°±5°の範囲でありうる。また、第二の層の面内の最大屈折率>第一の層の面内の最大屈折率であることから、光学補償フィルム全体の面内遅相軸は、第二の層の面内遅相軸と平行でありうる。
各層の面内遅相軸は、前述と同様に、光学補償フィルムの一方の層をカッター等で除去した後、得られる他方の層の面内遅相軸をKOBRA21ADHにより測定することによって求めることができる。
光学補償フィルムの、測定波長590nm、23℃55%RH下で測定される面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthは、下記式(3a)及び式(3b)を満たすことが好ましい。
式(3a):−250nm<Ro<−80nm
式(3b):−60nm<Rth<60nm
光学補償フィルムの面内方向の位相差Roは、−245nm<Ro<−100nmを満たすことがより好ましく、−240nm<Ro<−150nmを満たすことがさらに好ましい。光学補償フィルムの厚み方向の位相差Rthは、−40nm<Rth<40nmであることがより好ましく、−30nm<Rth<30nmであることがさらに好ましい。このようなRo及びRthを有する光学補償フィルムは、例えばIPSモードの液晶セルの光学補償に適している。Ro及びRthの測定は、前述と同様にして測定されうる。
光学補償フィルムの厚みは、RoとRthが前述の範囲を満たし、かつ薄型化する観点から、例えば10〜100μmであることが好ましく、10〜65μmであることがより好ましく、20〜65μmであることがさらに好ましい。
本発明の光学補償フィルムは、高温下で軟化する接着剤層や、偏光子の収縮の影響を受けやすい液晶層を含まない。従って、本発明の光学補償フィルムは、厚みが60μm以下と薄くても、偏光子の収縮を受けることによる歪み等を生じにくい。
2.光学補償フィルムの製造方法
本発明の光学補償フィルムは、共流延法で製造されうる。共流延法は、溶液流延法であっても、溶融流延法であってもよい。中でも、比較的分子量の大きな樹脂でも製膜しやすい点から、溶液流延法が好ましい。
具体的には、本発明の光学補償フィルムは、1)正の複屈折性を有する樹脂を含む第一の層用ドープと、負の複屈折性を有する樹脂を含む第二の層用ドープとを共流延して積層物を得る工程と、2)積層物を延伸して、面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthが、前述の式(3a)及び式(3b)を満たす光学補償フィルムを得る工程とを含む。
1)の工程について
有機溶媒に、第一の層又は第二の層を構成する成分を添加しながら攪拌及び溶解させて、第一の層用ドープ及び第二の層用ドープを得る。
ドープの調製に用いられる有機溶媒は、前述の樹脂を溶解しうるものであればよく、その例にはジクロロメタン等の塩素系有機溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン等の非塩素系有機溶媒が含まれる。中でも、ジクロロメタン、酢酸メチル、酢酸エチル及びアセトンが好ましい。
有機溶媒は、金属支持体からの剥離性を高める観点等から、1〜40質量%の炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールをさらに含んでもよい。有機溶媒は、ジクロロメタンと炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとの混合物であることが好ましい。
ドープ中の樹脂成分の合計濃度は、ドープ全質量に対し15〜45質量%の範囲としうる。
異物故障を抑制する観点等から、得られたドープを濾材で濾過することが好ましい。濾過したドープを脱泡した後、送液ポンプで共流延ダイに供給する。
そして、第一の層用ドープと第二の層用ドープを共流延ダイから金属支持体上に共流延させる。共流延は、流延方向に異なる位置に設けられた複数の流延口からドープをそれぞれ流延させながら逐次的に積層して多層膜とする方法(逐次積層共流延)であってもよいし;流延方向に同じ位置に設けられた複数の流延口からドープを同時に流延して積層して多層膜とする方法(同時積層共流延)であってもよい。逐次積層共流延には、一方のドープを流延して得られた単層膜上に、他方のドープを流延する態様も含まれる。
金属支持体は、ステンレスベルト等の金属ベルトや、回転する金属ドラムでありうる。共流延ダイは、特に制限されず、コートハンガーダイやTダイ等でありうる。マルチマニホールドタイプダイでもよいし、フィードブロックタイプダイでもよい。
流延されたドープを金属支持体上で乾燥させた後、金属支持体から剥離して、積層物を得る。
ドープの乾燥は、ドープの表面に風を当てたり、金属支持体の裏面から液体により伝熱させたりして行うことができる。
金属支持体から剥離する際のドープの残留溶媒量は、概ね50〜120質量%であることが好ましい。残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ドープが柔らか過ぎると、剥離時に不均一に伸びる等して平面性を損ないやすく、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易い。従って、平面性を損なわない範囲で剥離時の残留溶媒量が決められる。
ドープの残留溶媒量は、下式で定義される。
残留溶媒量(%)=(膜状物の加熱処理前質量−膜状物の加熱処理後質量)/(膜状物の加熱処理後質量)×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、140℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
2)の工程について
剥離して得られた積層物を乾燥した後、延伸する。
積層物の乾燥は、積層物の残留溶媒量が延伸に適した範囲(好ましくは18%以下)となるまで行うことが好ましい。乾燥温度は、得られる光学補償フィルムの平面性を損なわないようにする観点から、30〜160℃であることが好ましく、50〜150℃であることがより好ましい。
積層物の延伸は、一方向に行ってもよいし、複数の方向に行ってもよい。IPSモードに適した光学特性を得る観点では、一方向の延伸(一軸延伸)が好ましい。一軸延伸は、流延方向(MD方向)と幅方向(TD方向)のどちらの方向に行ってもよいが、光学補償フィルムと偏光子とをロールトゥロールで貼り合わせやすくする観点から、流延方向(MD方向)に行うことが好ましい。偏光子と光学補償フィルムとは、偏光子の吸収軸と光学補償フィルムの遅相軸が直交するように貼り合わされることが必要である。光学補償フィルムをMD方向に延伸することで、光学補償フィルムの第一の層の遅相軸はMD方向に;第二の層の遅相軸はTD方向にすることができ、光学補償フィルム全体の遅相軸をTD方向にすることができる。それにより、通常、流延方向(MD方向)に吸収軸を有する偏光子と、光学補償フィルムとをロールトゥロールで貼り合わせるだけで、偏光子の吸収軸と光学補償フィルムの遅相軸とを直交させることができる。一軸延伸は、一回で行ってもよしい、複数回に分けて行ってもよい。
延伸倍率は、50〜150%であることが好ましく、70〜125%であることがより好ましい。延伸倍率は、(延伸後の積層物の延伸方向大きさ−延伸前の積層物の延伸方向大きさ)/(延伸前の積層物の延伸方向大きさ)×100(%)として定義される。延伸倍率を50%以上とすることで、得られる光学補償フィルムの引張弾性率を十分に高めることができ、かつRoの絶対値を十分に大きくすることができる。延伸倍率を150%以下とすることで、得られる光学補償フィルムの白化を高度に抑制しつつ、RoやRthの絶対値が過剰に大きくなるのを抑制しうる。
延伸温度は、135〜180℃であることが好ましく、135〜160℃であることがより好ましい。延伸温度を135℃以上とすることで、高倍率での延伸を容易にし、かつ得られる光学補償フィルムの白化を高度に抑制しうる。
延伸される積層物の残留溶媒量は、7〜18%であることが好ましく、10〜15%であることがより好ましい。残留溶媒量を7%以上とすることで、得られる光学補償フィルムの白化を高度に抑制できる。残留溶媒量を18%以下とすることで、適度な延伸張力を付与できるので、Roを十分に高めやすい。積層物の残留溶媒量は、前述と同様にして測定されうる。
延伸後の積層物を、必要に応じてスリッタ等で所定の幅にスリットした後、得られる光学補償フィルムを巻き取る。
3.偏光板
本発明の偏光板は、偏光子と、本発明の光学補償フィルムとを含む。
3-1.偏光子
偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムである。ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
ポリビニルアルコール系偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸した後、ヨウ素又は二色性染料で染色したフィルム(好ましくはさらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよいし;ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素又は二色性染料で染色した後、一軸延伸したフィルム(好ましくは、さらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよい。偏光子の吸収軸は、フィルムの延伸方向と平行である。
例えば、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、けん化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコール等が用いられる。中でも、熱水切断温度が66〜73℃であるエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましく用いられる。
偏光子の厚みは、5〜30μmであることが好ましく、偏光板を薄型化するため等から、5〜20μmであることがより好ましい。
3-2.光学補償フィルム
本発明の光学補償フィルムは、光学補償を行う観点から、第一の層が偏光子側となるように配置されることが好ましい。
3-3.偏光板保護フィルム
偏光子の他方の面には、偏光板保護フィルムが配置されうる。偏光板保護フィルムの例には、市販のセルロースアシレートフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4FR−1、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UE、KC4UE、KC4HR−1、KC4KR−1、KC4UA、KC6UA以上コニカミノルタオプト(株)製)等が含まれる。
偏光板保護フィルムの位相差値(Ro、Rth)は、組み合わされる液晶セルの種類にもよるが、例えば23℃RH55%下、波長590nmで測定される面内方向の位相差Ro(590)は0〜30nmであることが好ましく、0〜10nmであることがより好ましい。厚さ方向の位相差Rth(590)は、−30〜30nmであることが好ましく、−10〜10nmであることがより好ましい。各位相差値は、前述と同様の方法で測定されうる。
偏光板保護フィルムの厚みは、特に限定はないが、10〜100μmであることが好ましく、10〜60μmであることがより好ましく、20〜60μmであることが特に好ましい。
本発明の偏光板は、偏光子と本発明の光学補償フィルムとを接着剤を介して貼り合わる工程と;貼り合わせた積層物を所定の大きさに裁断する工程とを経て得ることができる。
貼り合わせに用いられる接着剤は、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(水糊)であってもよいし、活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて行ってもよい。
4.液晶表示装置
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを含む。
図1は、液晶表示装置の基本的な構成の一例を示す模式図である。図2は、図1における、偏光子の吸収軸、光学補償フィルムの面内遅相軸、及び液晶セルの遅相軸の関係の一例を示す図である。図1に示されるように、本発明の液晶表示装置10は、液晶セル30と、それを挟持する第一の偏光板50及び第二の偏光板70と、バックライト90とを含む。
液晶セル30の表示モードは、例えばSTN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPS等の種々の表示モードであってよい。例えば、携帯機器向けの液晶表示装置としては、IPSモードが好ましい。IPSモードの液晶セル30は、駆動電極と対向電極が配置された透明基板31と、それと対向する透明基板33と、それらの間に配置された液晶層35とを含む。
第一の偏光板50は、液晶セル30の視認側の面に配置され、第一の偏光子51と、第一の偏光子51の視認側の面に配置された偏光板保護フィルム53(F1)と、第一の偏光子51の液晶セル側の面に配置された光学補償フィルム55(F2)とを含む。
第二の偏光板70は、液晶セル30のバックライト側の面に配置され、第二の偏光子71と、第二の偏光子71の液晶セル側の面に配置された光学補償フィルム73(F3)と、第二の偏光子71のバックライト側の面に配置された偏光板保護フィルム75(F4)とを含む。
第一の偏光子51の吸収軸51aと第二の偏光子71の吸収軸71aとは直交している(クロスニコルとなっている)ことが好ましい(図2参照)。
光学補償フィルム55(F2)と73(F3)の一方が、本発明の光学補償フィルムでありうる。図1では、光学補償フィルム55(F2)が本発明の光学補償フィルムであり;光学補償フィルム73(F3)が他の光学補償フィルムである例を示す。
光学補償フィルム55(F2)は、正の複屈折性を有する樹脂を含む第一の層55Aと、負の複屈折性を有する樹脂を含む第二の層55Bとを有する。十分な光学補償を行う観点から、第一の層55Aが第一の偏光子51側に配置されることが好ましい。第一の偏光子51の吸収軸51aと光学補償フィルム55(F2)の遅相軸55aとは直交していることが好ましい(図2参照)。光学補償フィルム73(F3)は、RoとRthがいずれも0nm付近であることが好ましい。
本発明の液晶表示装置は、テレビやノートパソコン等の中・大型液晶表示装置であってもよいし、スマートフォン等の小型液晶表示装置であってもよい。小型液晶表示装置の表示領域(不図示)は、例えば対角方向の長さが10インチ以下、好ましくは6インチ以下でありうる。
本発明の液晶表示装置は、本発明の光学補償フィルムを含む。本発明の光学補償フィルムは、Roが大きい範囲に調整され、かつRthが小さい範囲に調整されている。従って、本発明の光学補償フィルムを光学補償フィルムF2又はF3として含む液晶表示装置は、広い視野角特性と光学補償性を有しうる。
さらに、本発明の光学補償フィルムは、液晶層や接着剤層を有さず、かつ高い層間密着性を有するので、高温保存後において、偏光子の収縮を受けても歪みを生じにくい。それにより、本発明の液晶表示装置は、高温保存後の表示ムラを抑制でき、高温下での耐久性が求められる小型液晶表示装置に特に好適である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.光学補償フィルムの材料
(1)正の複屈折性を有する樹脂
下記表1に示されるセルロースエステルCE-1〜CE-6を用いた。
Figure 2016206335
(2)負の複屈折性を有する樹脂
下記表2に示される変性セルロースエステル変性CE-1〜CE-16を用いた。
Figure 2016206335
2.光学補償フィルムの作製と評価
<実施例1>
下記成分をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解させた後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過して、下記組成の第一の層用ドープ及び第二の層用ドープをそれぞれ調製した。
(第一の層用ドープ)
セルロースエステルCE−1(総置換度2.90、アセチル基置換度2.90):100質量部
アエロジルR972(日本エアロジル(株)製、二酸化ケイ素微粒子(平均粒径15nm、マット剤):0.12重量部
ジクロロメタン:406質量部
メタノール:61質量部
(第二の層用ドープ)
セルロースエステル変性CE−2(総置換度1.50、メトキシ基置換度1.0、ベンゾエート基置換度0.5):100質量部
アエロジルR972(日本エアロジル(株)製、二酸化ケイ素微粒子(平均粒径15nm、マット剤):0.12重量部
ジクロロメタン:406質量部
メタノール:61質量部
得られた第一層用ドープと第二層用ドープを、走行する流延バンド上に、流延ダイから共流延(同時多層流延)した。流延したドープを、流延バンド上で乾燥させた後、剥ぎ取って積層物を得た。剥ぎ取った直後の積層物の残留溶剤量は約30質量%であった。
得られた積層物を、160℃の熱をかけながらロール間で流延方向(MD方向)に100%延伸した。延伸開始時の残留溶媒量は10%であった。延伸後の積層物を140℃で15分間乾燥させて、第一の層/第二の層(厚み10μm/50μm)を有する、総膜厚60μmの光学補償フィルムを得た。
<実施例2〜13、比較例1〜3>
第二の層の樹脂を表3に示されるものに変更した以外は実施例1と同様にして光学補償フィルムを得た。
<実施例14〜15>
第一の層の樹脂を表3に示されるものに変更した以外は実施例2と同様にして光学補償フィルムを得た。
<実施例16〜17、比較例4>
第一の層の樹脂と厚みを表3に示されるように変更した以外は実施例2と同様にして光学補償フィルムを得た。厚みの調整は、ドープの流延量を調整して行った。
<実施例18、参考例1>
第二の層の厚みを表3に示されるように変更した以外は実施例2と同様にして光学補償フィルムを得た。厚みの調整は、ドープの流延量を調整して行った。
<実施例19、参考例2>
第一の層の厚みを表3に示されるものに変更した以外は実施例2と同様にして光学補償フィルムを得た。
<比較例5>
第一の層の厚みを表3に示されるように変更し、かつ第二の層を設けなかった以外は実施例17と同様にして光学補償フィルムを得た。
<比較例6>
第一の層を設けなかった以外は実施例1と同様にして光学補償フィルムを得た。
<比較例7>
下記成分を混合して、液晶層用塗布液を調製した。
(液晶層用塗布液)
式(3)で表される液晶ポリマー(液晶化合物、重量平均分子量5000):4質量部
BSAF社製PaliocolorLC242(液晶化合物):16質量部
イルガキュア127(光重合開始剤):1質量部
アクリレート重合体(レベリング剤):0.3質量部
シクロペンタノン(溶剤):79質量部
Figure 2016206335
得られた塗布液を、バーコータ(BUSCHMAN社製、商品名mayer rot HS1.5 ♯4)を用いて、nx>ny=nzの関係を満足するノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン(株)製、商品名ゼオノア(品番ZF14−100)、厚み:100μm、Ro:120nm、Rth:100nm)上に塗布した。その後、80℃の空気循環式恒温オーブン内で3分間乾燥させて、ノルボルネン系樹脂フィルム(基材)上の、ホメオトロピック配列に配向した液晶性組成物を固化させた。
次いで、UV照射機(ウシオ電機(株)製、商品名UVC−321AM1)で、2.7cm/minの速度で搬送しながら、上記塗工溶液を塗工した側から紫外線を400mJ/cm照射して、基材上の液晶性組成物の固化層をさらに硬化させた。それにより、ノルボルネン系樹脂フィルムと、その上に設けられた液晶層(Ro:0.5nm、Rth:−100nm)とを有する積層フィルムを得た。
<比較例8>
(第1位相差膜の作製)
ポリカーボネートのペレットをメチレンクロライドに溶解してドープ液を調製した。該ドープ液を金属製のバンド上に流延し、乾燥させて、厚さ80μmのポリカーボネートフィルムを得た。ポリカーボネートフィルムを、170℃の温度で、横一軸テンター延伸機にて幅方向に3.5%延伸して、長さ500mの第1位相差領域1を得た。
(第2位相差膜の作製)
下記成分をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して溶解させて、セルロースアセテート溶液を調製した。
メチレンクロライド:285質量部
メタノール:15質量部
トリフェニルホスフェート:7.0質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート:3.5質量部
変性セルロースアシレート(ベンゾイル基の置換度0.45、アシル基の総置換度2.90):100質量部
二酸化ケイ素微粒子:0.25質量部
得られたセルロースアシレート溶液を30℃に加温し、流延ギーサーから、バンド長60mの鏡面ステンレス支持体上に流延した。流延点は、18℃に設定したロールの上に設定し、バンドを支持する他方のロールの温度は35℃とした。また、流延部全体の空間温度は80℃に設定した。流延速度は40m/分、塗布幅は140cmとした。
流延部から50cm手前で、流延して回転してきたセルロースアシレートフィルムをバンドから剥ぎ取り、テンターでフィルム両端を把持した。フィルム幅を徐々に狭めながら110℃のテンター部を搬送し、フィルムを把持した時の幅の98%になるようにしてテンターから離脱させた。フィルム両端のクリップ跡部分を切り取った後、複数のパスロールからなる135℃〜140℃の乾燥部にフィルムを通して残留溶媒量が0.2%以下になるように乾燥させた。このようにして、膜厚65μmの第2位相差膜を得た。
実施例1〜19、比較例1〜8及び参考例1〜2で得られた光学補償フィルム及びそれを構成する各層の光学特性(Ro、Rth)を、以下の方法で測定した。このうち、比較例7及び8については、各層のRo又はRthの和をフィルム全体のRo又はRthとした。
(光学フィルムのRo、Rth)
1)得られた光学補償フィルムを、23℃55%RHで調湿した。調湿後の光学補償フィルムの平均屈折率を、アッベ屈折計で測定した。具体的には、アッベ屈折率計(1T)に偏光板付き接眼鏡を付け、分光光源を用いて光学補償フィルムの両方の面のフィルム面内の一方向とそれに直交する方向、及びフィルムの厚み方向の屈折率を測定し、それらの平均値から平均屈折率を求めた。また、市販のマイクロメーターを用いてフィルムの厚さdを測定した。
2)調湿後の光学補償フィルムに、当該フィルム表面の法線に平行に測定波長590nmの光を入射させたときのRを、KOBRA−21ADH、王子計測(株)にて測定した。
3)KOBRA21ADHにより、光学補償フィルムの面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として、光学補償フィルムの表面の法線に対してθの角度(入射角(θ))から測定波長590nmの光を入射させたときの位相差R(θ)を測定した。位相差R(θ)の測定は、θが0°〜50°の範囲で、10°毎に6点行った。光学補償フィルムの面内の遅相軸は、KOBRA−21ADHにより確認した。
4)測定されたR及びR(θ)と、前述の平均屈折率と膜厚とから、KOBRA−21ADHにより、nx、ny及びnzを算出して、前述の式(II)に基づいて測定波長590nmでのRthを算出した。位相差の測定は、23℃55%RH条件下で行った。
(各層のRo、Rth)
得られた光学補償フィルムから第二の層又は第一の層を、カッターを用いて剥がし取った後、第一の層又は第二の層からなる試料片のRo及びRthを前述と同様にして測定した。
実施例1〜19、比較例1〜8及び参考例1〜2のフィルムの作製条件を表3に示す。表3中、Ac基:アセチル基、Pr基:プロピオニル基、MeO基:メトキシ基、EtO基:エトキシ基、Bz基:ベンゾイル基、TMBz基:トリメトキシベンゾイル基、PhCr:フェニルカルバメート基(−C(=O)−NH−C)を示す。なお、実施例1〜19で得られた光学補償フィルムは、第一の層の面内遅相軸は流延方向(MD方向)と平行であり;第二の層の面内遅相軸は幅方向(TD方向)と平行であり;フィルム全体の面内遅相軸は幅方向(TD方向)に平行であることを確認した。
Figure 2016206335
得られた光学補償フィルムを用いて、以下の方法で液晶表示装置を作製し、表示性能と表示ムラを評価した。
(偏光板Aの作製)
ヨウ素水溶液中で連続して染色した厚み30μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムを搬送方向(MD方向)に5倍延伸し、乾燥して長さ500m、厚み8μmの偏光子を得た。
セルローストリアセテートフィルム(コニカミノルタKC4UA、コニカミノルタ(株)製)を、以下の条件でケン化処理した後、水洗、中和及び水洗した。
ケン化工程 2M−NaOH 50℃ 90秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
中和工程 10質量%HCl 30℃ 45秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
その後、得られたフィルムを80℃で乾燥させた。同様にして、上記作製した光学補償フィルムをケン化処理した。
そして、偏光子の一方の面にケン化処理したセルローストリアセテートフィルム(コニカミノルタKC4UA、コニカミノルタ(株)製)をポリビニルアルコール系接着剤を介して積層し;他方の面にケン化処理した光学補償フィルムを、第一の層が偏光子側となるようにポリビニルアルコール系接着剤を介して積層した。得られた積層物を、ロールトゥロールで連続的に貼り合わせて、長さ500mの長尺状の偏光板を得た。
偏光子の吸収軸は、フィルム長手方向に平行であり、光学補償フィルムの遅相軸はフィルム長手方向に対して直交していた。長尺状の偏光板を20cm×20cmの大きさに切り取り、偏光板Aを得た。裁断は、一方の辺が偏光子の吸収軸と平行になる(光学補償フィルムの遅相軸と直交する)ように行った。
ただし、比較例8については、以下の方法で偏光板を作製した。即ち、上記作製した偏光子の一方の面に、ケン化処理したセルローストリアセテートフィルム(フジタックTFY80UF、富士写真フイルム(株)製)をポリビニルアルコール系接着剤を介して積層し;他方の面に、ケン化処理したセルローストリアセテートフィルム(フジタックT40UZ、富士写真フイルム(株)製、厚さ40μm、Re=1nm、Rth=35nm)をポリビニルアルコール系接着剤を介して積層し、ロールトゥロールで連続的に貼り合わせた。
次いで、接着剤として、PVA糊(日本合成化学工業株式会社製、商品名:ゴーセファイマーZ−200)8%水溶液に、架橋剤としてグリオキザール(日本合成化学工業株式会社製)を0.8%添加し、接着剤を調製した。そして、T40UZの上に、前述の第1位相差領域1を、接着剤を介して貼り合わせた後;前述の第2位相差領域Cを、第1位相差領域1上に接着剤を介して貼り合わせ、加熱して接着剤を硬化させて、長さ500mの長尺状の偏光板を得た。偏光子の吸収軸はフィルム長手方向に対して平行であり、第1位相差領域1の遅相軸はフィルム長手方向に対して直交していた。そして、長尺状の偏光板を前述と同様にして裁断し、比較例8の偏光板を得た。
(偏光板Bの作製)
偏光板Aの作製において、光学補償フィルムをセルローストリアセテートフィルム(コニカミノルタKC2CT1、コニカミノルタ(株)製)に変更した以外は同様にして20cm×20cmの大きさの偏光板Bを得た。裁断は、一方の辺が偏光子の吸収軸と平行になるように行った。
(液晶セルの作製)
図3は、液晶層の1画素領域中の液晶分子の配向の一例を示す模式図である。一対のガラス基板のうち一方のガラス基板上に、隣接する電極間距離が20μmとなるように電極(図3の符号37及び39)を設け、その上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行った。ラビング処理は、図3の方向33a(31a)に行った。他方のガラス基板上にポリイミド膜を設け、ラビング処理を行い、配向膜とした。これらのガラス基板を、配向膜同士が対向するように、基板の間隔(ギャップd):3.9μm、ラビング方向:反平行(図2参照)となるようにして貼り合わせた。基板で囲まれた空間に、屈折率異方性(Δn)が0.0769及び誘電率異方性(Δε)が正の4.5であるネマティック液晶組成物を封入し、IPSモードの液晶セルを得た。この液晶セルでは、液晶分子は、電圧無印加時には41aと41bに示されるように配向し、電圧印加時には41c及び41dに示されるように配向する。液晶層のd・Δnの値は300nmであった。
(液晶表示装置の作製)
作製したIPSモード液晶セルの視認側の面に、上記作製した偏光板Aを貼り付けた。偏光板Aの貼り付けは、偏光板Aの吸収軸51aと液晶セルのラビング方向33a(黒表示時の液晶分子の遅相軸方向35a)とが直交し(偏光板Aの透過軸と黒表示時の液晶分子の遅相軸方向とが平行となり)、かつ偏光板Aの光学補償フィルムが液晶セル側となるように行った(図2参照)。
次いで、液晶セルのバックライト側の面に、上記作製した偏光板Bを貼り付けた。偏光板Bの貼り付けは、偏光板Bの吸収軸71aと偏光板Aの吸収軸51aとが直交し(クロスニコルとなり)、かつ偏光板BのKC2CT1が液晶セル側になるように行った(図2参照)。それにより、液晶表示装置を作製した。
(視野角の評価)
23℃55%RHの環境で、各々の液晶表示装置のバックライトを1週間連続点灯した後、当該液晶表示装置の表示画面の法線方向から60°傾けた方向におけるコントラスト(60°コントラスト)を測定した。具体的には、ELDIM社製EZ−Contrast160Dを用いて、液晶表示装置を白表示させたときの60°方向の輝度と、黒表示させたときの60°方向の輝度をそれぞれ測定し、それらの比(60°コントラスト=60°方向における白表示時の輝度/60°方向における黒表示時の輝度)を求めた。そして、視野角特性の評価を、以下の基準に基づいて行った。
◎:60°コントラストが1000以上
○:60°コントラストが900以上1000未満
△:60°コントラストが800以上900未満
×:60°コントラストが800未満
(高温保存後の表示ムラの評価)
得られた液晶表示装置を、恒温槽内で、85℃、相対湿度10%環境下で1500時間保存した。その後、恒温槽から取り出して、25℃、相対湿度60%の環境下で20時間調湿した後、バックライトを点灯させて、黒表示での表示ムラを観察した。表示ムラを以下の基準で評価した。
◎:ムラは全く認められない
○:ムラはほとんど気にならない
△:ムラが認められる
×:ムラが著しい
実施例1〜19、比較例1〜8及び参考例1〜2の液晶表示装置の評価結果を表4に示す。
Figure 2016206335
第一の層と第二の層のRo及びRthを所定の範囲とした実施例1〜19の光学補償フィルムは、液晶表示装置の視野角特性が良好であり、かつ高温保存後の表示ムラも抑制されることがわかる。
これに対して、比較例1の光学補償フィルムはRoの絶対値が小さすぎることから、液晶表示装置の視野角特性が低下することが示される。比較例2の光学補償フィルムは、第二の層に含まれるセルロースエステルが芳香族アシル基を含まないことから、全体のRoやRthが正に大きくなりすぎて、視野角特性が低下することが示される。比較例3の光学補償フィルムはRthの絶対値が大きすぎることから、液晶表示装置の視野角特性が低下することが示される。
比較例5の光学補償フィルムは、第二の層を含まないことから、実施例17の光学補償フィルムよりも、Roの絶対値は小さく、Rthの絶対値は大きくなり、視野角特性が低下することが示される。比較例6の光学補償フィルムは、第一の層を含まないことから、実施例1の光学補償フィルムよりも、RoとRthの絶対値がいずれも大きくなりすぎて、視野角特性が低下することが示される。
比較例7と8の光学補償フィルムは、高温保存後の表示ムラが大きいことが示される。比較例7の光学補償フィルムは、液晶層が高温保存下で偏光子の収縮を受けて歪んだことに起因すると考えられる。比較例8の光学補償フィルムは、接着剤層が高温保存下で軟化したことから、接着剤層を挟んで第1位相差膜と第2位相差膜との間で歪みの差が生じたことに起因すると考えられる。
本発明によれば、厚みが薄くても、高温保存後の液晶表示装置の表示ムラを抑制できる光学補償フィルムを提供できる。
10 液晶表示装置
30 液晶セル
31、33 透明基板
35 液晶層
50 第一の偏光板
51 第一の偏光子
53 偏光板保護フィルム(F1)
55 光学補償フィルム(F2)
70 第二の偏光板
71 第二の偏光子
73 光学補償フィルム(F3)
75 偏光板保護フィルム(F4)
90 バックライト

Claims (11)

  1. 正の複屈折性を有するセルロースエステルを含む第一の層と、
    負の複屈折性を有するセルロースエステルを含む第二の層とを含み、厚みが10〜65μmである光学補償フィルムであって、
    前記第一の層の、測定波長590nm、23℃55%RH下で測定される面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthが、下記式(1a)及び式(1b)を満たし、
    式(1a):0nm<Ro≦30nm
    式(1b):0nm<Rth<60nm
    前記第二の層の、測定波長590nm、23℃55%RH下で測定される面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthが、下記式(2a)及び式(2b)を満たし、かつ
    式(2a):−250nm<Ro<−110nm
    式(2b):−60nm<Rth<0nm
    前記光学補償フィルムの、測定波長590nm、23℃55%RH下で測定される面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthが、下記式(3a)及び式(3b)を満たす、光学補償フィルム。
    式(3a):−250nm<Ro<−80nm
    式(3b):−60nm<Rth<60nm
  2. 前記第一の層と前記第二の層とは接している、請求項1に記載の光学補償フィルム。
  3. 前記正の複屈折性を有するセルロースエステルは、脂肪族アシル基からなるアシル基を含み、かつ総アシル基置換度が2.0以上3.0以下である、請求項1又は2に記載の光学補償フィルム。
  4. 前記負の複屈折性を有するセルロースエステルは、総置換度が1.0以上3.0以下であり、かつ芳香族アシル基の置換度が0.1以上1.5以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学補償フィルム。
  5. IPSモード用の光学補償フィルムである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学補償フィルム。
  6. 正の複屈折性を有するセルロースエステルを含む第一の層と、負の複屈折性を有するセルロースエステルを含む第二の層とを含み、厚みが10〜65μmである光学補償フィルムであって、
    前記第一の層の面内遅相軸と前記第二の層の面内遅相軸とは互いに直交しており、
    測定波長590nm、23℃55%RH下で測定される面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthが、下記式(3a)及び式(3b)を満たす、光学補償フィルム。
    式(3a):−250nm<Ro<−80nm
    式(3b):−60nm<Rth<60nm
  7. 正の複屈折性を有するセルロースエステルを含む第一の層用ドープと、負の複屈折性を有するセルロースエステルを含む第二の層用ドープとを共流延して積層物を得る工程と、
    前記積層物を延伸して、前記正の複屈折性を有するセルロースエステルを含む第一の層と、前記負の複屈折性を有するセルロースエステルを含む第二の層とを含み、厚みが10〜65μmであり、かつ測定波長590nm、23℃55%RH下で測定される面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthが、下記式(3a)及び式(3b)を満たす光学補償フィルムを得る工程と
    を含む、光学補償フィルムの製造方法。
    式(3a):−250nm<Ro<−80nm
    式(3b):−60nm<Rth<60nm
  8. 前記正の複屈折性を有するセルロースエステルは、脂肪族アシル基からなるアシル基を含み、かつ総アシル基置換度が2.0以上3.0以下である、請求項7に記載の光学補償フィルムの製造方法。
  9. 前記負の複屈折性を有するセルロースエステルは、芳香族アシル基を含み、かつ総置換度が1.0以上3.0以下である、請求項7又は8に記載の光学補償フィルムの製造方法。
  10. 偏光子と、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学補償フィルムとを含み、
    前記光学補償フィルムの第一の層が、前記偏光子側に配置されている、偏光板。
  11. IPSモードの液晶セルと、前記液晶セルの一方の面に配置された第一の偏光板と、
    前記液晶セルの他方の面に配置された第二の偏光板とを含み、
    前記第一の偏光板は、第一の偏光子と、前記第一の偏光子と前記液晶セルとの間に配置される第一の光学補償フィルムとを含み、
    前記第二の偏光板は、第二の偏光子と、前記第二の偏光子と前記液晶セルとの間に配置される第二の光学補償フィルムとを含み、
    前記第一の光学補償フィルムが請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学補償フィルムであり、かつ前記第一の光学補償フィルムの第一の層が前記第一の偏光子側に配置されているか、
    前記第二の光学補償フィルムが請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学補償フィルムであり、かつ前記第二の光学補償フィルムの第一の層が前記第二の偏光子側に配置されているか、又は
    前記第一の光学補償フィルム及び前記第二の光学補償フィルムが、いずれも請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学補償フィルムであり、前記第一の光学補償フィルムの第一の層が前記第一の偏光子側に配置され、かつ前記第二の光学補償フィルムの第一の層が前記第二の偏光子側に配置されている、液晶表示装置。
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