JP2016205956A - 異常診断装置、軸受、回転装置及び車両 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コントローラ37dは、車輪22の温度Tdと車輪22の基準温度Trとに基づき車輪22の基準径Rrに対する熱膨張量ΔRを算出し、この熱膨張量ΔRを基準径Rrに加算して熱補正車輪径Rtを算出し、この熱補正車輪径Rtと車速Vdとに基づき、回転装置2の振動測定値から回転装置2の異常に係る特徴周波数成分を抽出するための熱補正車軸回転数ωtを算出する。
【選択図】 図6
Description
また、本発明の第3の態様に係る回転装置は、上記第1の態様に係る異常診断装置を備える。
また、本発明の第4の態様に係る車両は、上記第1の態様に係る異常診断装置を備える。
(構成)
本発明の一実施形態に係る鉄道車両1は、図1(a)及び(b)に示すように、複数の回転装置2を含んで構成される。
回転装置2は、車軸21と、車軸21の両端部において車軸21を支持する一対の複列円すいころ軸受3と、車軸21の一対の複列円すいころ軸受3よりも内側の両端部に固定支持された一対の車輪22とを含んで構成される。
複列円すいころ軸受3は、図2に示すように、軸受ハウジング23の内側にて車軸21の端部を回転自在に支持する。
第1の円すいころ軸受部24Aは、第1の内輪26Aと、複数個の第1の円すいころ27Aと、第1の保持器28Aとを備え、第2の円すいころ軸受部24Bは、第2の内輪26Bと、複数個の第2の円すいころ27Bと、第2の保持器28Bとを備える。
第1の内輪26Aは、外周面に円すい凸面状の第1の内輪軌道31Aを有し、第2の内輪26Bは、外周面に円すい凸面状の第2の内輪軌道31Bを有し、それぞれ車軸21の端部に外嵌固定した状態で、使用時にこの車軸21と共に回転するように構成されている。
また、第2の円すいころ27Bは、第2の外輪軌道30Bと、第2の内輪軌道31Bとの間にそれぞれ複数個ずつ、第2の保持器28Bにより保持された状態で転動自在に設けられている。
更に、複列円すいころ軸受3は、図2に示すように、軸受ハウジング23の外周面に取り付けられた異常診断装置4を含んで構成される。この異常診断装置4は、複列円すいころ軸受3の傷や剥離、車軸21の偏摩耗、車輪22のフラット磨耗等、異常診断対象である回転装置2の構成部品に生じる異常を診断するものである。
加速度センサ33は、複列円すいころ軸受3の近傍で発生する振動を電気信号として出力する。
加速度センサ33は、異常診断対象の異常発生時の振動特性に応じて、1軸方向の加速度を測定可能なもの、2軸方向の加速度を測定可能なもの、3軸方向の加速度を測定可能なもの等を適宜選択して使用する。また、測定したい振動の方向に合わせて、1軸又は2軸のセンサを複数配置する構成としてもよい。また、本実施形態では、異常診断対象の異常が複数軸方向への振動を発生する場合、異常発生時の振動方向のうち最も大きい振動レベルの振動方向を代表軸方向として決定し、この軸方向の振動を測定可能な加速度センサを使用する。
なお、この構成に限らず、複数軸方向の振動を2以上検出する構成としてもよい。この場合は、後段の異常診断処理において、1の異常診断対象に対して、例えば、2以上の特徴周波数成分に対する異常診断が行われる。
車速センサ39は、本実施形態において、鉄道車両1の床下に設けられており、レール面に対してマイクロ波又はミリ波を照射し、この照射波とレール面からの反射波とのドップラシフト量から走行速度Vを検出するセンサである。以下、鉄道車両1の走行速度Vは、「車速V」と略記する場合がある。
この異常診断ユニット35は、車輪22の直径Rの熱膨張による誤差を補正した車軸回転数である熱補正車軸回転数ωtの算出処理、回転装置2を構成する各部品に摩耗や破損等の異常が生じているか否かを診断する処理等を行う為に、加速度センサ33、温度センサ38及び車速センサ39の出力した電気信号等を演算処理するものである。以下、車輪22の直径Rは、「車輪径R」と記載する場合がある。
第1のI/F部37aは、温度センサ38から出力されるアナログの電気信号である車輪22の温度を示す温度信号Tを、後段のコントローラ37dで演算処理可能な信号形式に変換するものである。
従って、本実施形態の第1のI/F部37aは、図示省略するが、例えば、アナログ信号をデジタル信号に変換するためのA/D変換器、フィルタ回路、ACカップリングのためのコンデンサ、信号増幅のための信号増幅器等を含んで構成されている。
第2のI/F部37bは、第1のI/F部37aと同様の構成を有し、車速センサ39から出力されるアナログの電気信号である車速信号Vを、後段のコントローラ37dで演算処理可能な信号形式に変換するものである。第2のI/F部37bは、変換後のデジタルの車速信号Vdを、コントローラ37dに出力する。
なお、温度センサ38、車速センサ39及び加速度センサ33がいずれもデジタルのセンサである場合、第1〜第3のI/F部37a〜37cから、A/D変換器が不要となる。
コントローラ37dは、図5に示すように、各種制御や演算処理を担う中央演算処理装置であるCPU60と、主記憶装置を構成するRAM(Random Access Memory)61と、読み出し専用の記憶装置であるROM(Read Only Memory)62と、時間計測用のタイマ63とを備える。加えて、データ転送用の各種内外バス65と、入出力インターフェース(I/F)64とを備える。本実施形態では、RAM61は、例えばNOR型のフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリから構成される。
熱補正車輪径算出部371は、予め設定した補正タイミングにおいて、第1のI/F部37aからの温度信号Tdと、ROM62に予め記憶された車輪22の基準温度Tr、基準車輪径Rr及び熱膨張係数αとに基づき、車輪22の熱膨張による基準車輪径Rrに対する誤差を補正した熱補正車輪径Rtを算出する。以下、基準車輪径Rrは、「基準径Rr」と記載する場合がある。
ΔR=α×(Td−Tr)×Rr ・・・(1)
Rt=Rr+ΔR ・・・(2)
ここで、上記補正タイミングは、本実施形態において、鉄道車両1が運転を開始(モータ又はエンジンを始動)してから最初の熱補正車輪径Rtの算出処理(初期化処理)が行われた後に、予め設定した補正判断時間Tjが経過する毎のタイミングとなる。補正判断時間Tjの経過は、タイマ63によって計時することで判断する。
また、上記熱膨張係数αは、車輪22の材質に応じて異なる係数である。車輪22は、一般に炭素鋼から構成されており、炭素の含有量や他の含有金属等によって値が異なってくるものである。具体的に、鉄鋼材料の熱膨張係数αは、例えば、純鉄が「11.7」であり、炭素の含有量が増えるほど小さくなっていき、例えば炭素含有量が0.6%の炭素鋼で「11.1」となる。
一方、熱補正車輪径算出部371は、補正タイミングでは無いときは、熱補正車輪径Rtの算出処理を行わずに、熱補正車軸回転数算出指令Stωを熱補正車軸回転数算出部372に出力する。
具体的に、下式(3)に従って、車速Vdと熱補正車輪径Rtと円周率πとから熱補正車軸回転数ωtを算出する。なお、下式(3)において、Vdの単位は[km/h]、ωtの単位は[rpm]となる。
熱補正車軸回転数算出部372は、算出した熱補正車軸回転数ωtを、振動測定部373に出力する。
振動測定部373は、予め設定した測定タイミングにおいて、熱補正車軸回転数算出部372からの熱補正車軸回転数ωtに基づき、車軸21が予め設定した設定回転数ωsで回転しているか否かを判定する。そして、設定回転数ωsで回転していると判定したときに回転装置2に生じる振動に応じた加速度値を測定する。
本実施形態において、振動測定部373は、予め設定した初期測定タイミングにおいて、車軸21が予め設定した設定回転数ωsで回転しているときに回転装置2に生じる振動に応じた加速度値Gdを測定する。加えて、振動測定部373は、初期測定タイミング以降の実測タイミングにおいて、車軸21が設定回転数ωsで回転しているときに回転装置2に生じる振動に応じた加速度値Gdを測定する。
一方、振動測定部373は、実測タイミングにおいて、経過時間tpが診断可能時間tf以上となった場合に、測定処理を停止すると共に、実測周波数成分As1〜AsNの抽出処理の開始を指示する実測抽出開始指令Stsを特徴周波数成分抽出部374に出力する。
また、振動測定部373は、測定タイミングに関係なく、経過時間tpが診断可能時間tf未満であった場合に、タイマ63をクリアすると共に、これまでに記憶した加速度値GdをRAM61から削除する。また、特徴周波数成分抽出部374において、特徴周波数成分の抽出処理が完了した場合も、完了した特徴周波数成分に対応する加速度値Gd(初期振動値群Gde又は実測振動値群Gds)をRAM61から削除する。
特徴周波数成分抽出部374は、振動測定部373からの初期抽出開始指令Steの入力に応じて、初期測定タイミングにおいてRAM61に記憶された初期振動値群Gdeに対して次数解析処理を行う。これにより、初期振動値群Gdeで示される振動波形に含まれる、予め設定した測定対象の次数1〜N(Nは2以上の自然数)にそれぞれ対応する特徴周波数成分(以下、「初期周波数成分Ae1〜AeN」と称す)を抽出する。
また、実測タイミングは、基本的に、初期測定タイミング以降であって、且つ、初期周波数成分を抽出後の運転タイミングとなる。
異常診断部375は、特徴周波数成分抽出部374から診断開始指令Sdが入力されると、下式(4)に従って、RAM61に記憶された実測周波数成分As1〜AsNと、RAM61に記憶された初期周波数成分Ae1〜AeNとの次数毎の差分値(以下、「差分値Ad1〜AdN」と称す)をそれぞれ演算する。即ち、初期周波数成分Ae1〜AeNに対する次数成分毎の現在までの変化量を演算する。
次に、異常診断部375は、差分値Ad1〜AdNを、次数毎に予め設定された診断閾値Th1〜ThNと比較する。そして、各比較結果に基づき、回転装置2の各構成部品に異常が発生しているか否かを診断する。異常診断部375は、この異常診断結果を、例えば、車載ネットワークを介して、統括制御装置へと出力する。
次に、図7に基づき、異常診断装置4における異常診断処理の処理手順の一例を説明する。なお、異常診断処理は、鉄道車両1の運転中(駆動源の駆動中又は車両走行中)に所定周期で繰り返し実行される処理である。
CPU60において、プログラムが実行され異常診断処理が開始されると、図7に示すように、まず、ステップS100に移行する。
ステップS100では、熱補正車輪径算出部371及び熱補正車軸回転数算出部372において、熱補正車軸回転数演算処理を実行して、熱補正車軸回転数ωtを算出して、ステップS102に移行する。
ステップS104に移行した場合は、振動測定部373において、振動測定処理を実施して、初期振動値群Gde又は実測振動値群Gdsを測定する。そして、測定結果をRAM61に記憶して、ステップS106に移行する。
ステップS108では、異常診断部375において、異常診断処理を実施して、回転装置2の各構成部品に異常が発生しているか否かを診断して、一連の処理を終了する。
次に、図8に基づき、ステップS100の熱補正車軸回転数演算処理の処理手順の一例を説明する。
ステップS100で熱補正車軸回転数演算処理が開始されると、図8に示すように、まず、ステップS200に移行する。
なお、本実施形態では、鉄道車両1の運転開始(モータ又はエンジンが始動)直後において、補正判断時間Tjの経過を待たずに補正タイミングであると判定するようになっている。即ち、運転開始直後において熱補正車輪径Rtを初期化するようになっている。
ステップS202に移行した場合は、熱補正車輪径算出部371において、第1のI/F部37aからの温度Tdを取得して、ステップS204に移行する。
ステップS208では、熱補正車輪径算出部371において、RAM61の所定領域に記憶された熱補正車輪径Rtを、ステップS206で算出した熱補正車輪径Rtに更新する。その後、熱補正車軸回転数算出指令Stωを熱補正車軸回転数算出部372に出力して、ステップS210に移行する。
ステップS212では、熱補正車軸回転数算出部372において、ROM62から熱補正車輪径Rt及び円周率πを読み出す。その後、ステップS214に移行する。
次に、図8に基づき、本実施形態に係る鉄道車両1の具体的な動作例を説明する。
鉄道車両1が運転を開始して回転装置2を含む各種装置に電源が供給されると、加速度センサ33が回転装置2に生じる振動に応じた加速度Gの出力を開始し、温度センサ38が車輪22の温度Tの出力を開始し、車速センサ39が車速Vの出力を開始する。これにより、第1〜第3のI/F部37a〜37cを介して、加速度Gd、温度Td及び車速Vdがコントローラ37dに入力される。
一方、コントローラ37dは、電源供給に応じて起動し異常診断処理を開始する。そして、熱補正車軸回転数演算処理を開始すると、熱補正車輪径算出部371において、現在は始動直後であるため補正タイミングであると判定する。そして、現在の温度Td、基準温度Tr、熱膨張係数α及び基準径Rrから熱膨張量ΔRを算出し、算出した熱膨張量ΔRと基準径Rrとから熱補正車輪径Rtを算出する。更に、RAM61の所定領域に記憶された熱補正車輪径Rtを、算出した熱補正車輪径Rtへと更新(初期化)する。
ここで、車輪22の温度Tdは、鉄道車両1が走行を開始することでレール面との摩擦により上昇し、特にブレーキが使用されることで急激に上昇する。この温度上昇によって、車輪22は熱膨張し、その車輪径Rが基準径Rrよりも大きくなる。
一方、振動測定部373は、熱補正車軸回転数算出部372からの熱補正車軸回転数ωtの入力に応じて、現在は初期測定タイミングであるか否かを判定する。ここでは、既にRAM61に初期周波数成分Ae1〜AeNが記憶されており、振動測定部373は、初期測定タイミングでは無いと判定したとする。また、ここでは、N=5として、初期周波数成分Ae1〜Ae5がRAM61に記憶されていることとする。
具体的に、振動測定部373は、熱補正車軸回転数算出部372から所定周期で繰り返し入力される熱補正車軸回転数ωtが設定回転数ωsとなったか否かを判定する。このとき、完全一致とせずに予め設定した誤差範囲内であれば設定回転数ωsになったと判定してもよい。
具体的に、特徴周波数成分抽出部374は、FFT等の処理によって、実測振動値群Gdsから、例えば、図9に示すようなスペクトル曲線を得る。そして、図9に示すように、基本周波数fsの周波数成分を1次成分として抽出すると共に、ここでは、初期周波数成分Ae1〜Ae5に合わせて、基本周波数の2倍〜5倍の周波数成分を2〜5次成分として抽出する。そして、これら抽出した1〜5次成分を実測周波数成分As1〜As5としてRAM61に記憶する。その後、診断開始指令Sdを、異常診断部375に出力する。
そして、差分値Ad1〜Ad5と、ROM62に記憶された診断閾値Th1〜Th5とを末尾の数字が同じもの同士で比較し、差分値が診断閾値以上となる次数について、各次数に対応する部品に異常が発生していると判定し、診断閾値未満となる次数について、各次数に対応する部品に異常が無いと判定する。異常診断部375は、この診断結果を、RAM61に記憶すると共に、例えば、車載ネットワークを介して統括制御装置へと送信する。
また、熱補正車輪径算出部371が、熱膨張量算出部及び熱補正車輪径算出部に対応し、熱補正車軸回転数算出部372が、熱補正車軸回転数算出部に対応する。
(1)異常診断装置4は、加速度センサ33が、車軸21を支持する複列円すいころ軸受3を含んで構成される回転装置2に生じる振動を検出する。温度センサ38が、車軸21に固定された車輪22の温度Tを検出し、車速センサ39が、車軸21を備える鉄道車両1の車速Vを検出する。熱補正車輪径算出部371が、温度センサ38で検出した温度Tに基づき車輪径Rの基準径Rrに対する熱膨張量ΔRを算出する。熱補正車輪径算出部371が、基準径Rrに熱膨張量ΔRを加算して熱補正車輪径Rtを算出する。熱補正車軸回転数算出部372が、車速センサ39で検出した車速Vと、熱補正車輪径Rtとに基づき熱補正車軸回転数ωtを算出する。特徴周波数成分抽出部374が、熱補正車軸回転数算出部372で算出した熱補正車軸回転数ωtに基づき、加速度センサ33で検出した振動の値である振動値から回転装置2の異常に係る特徴周波数成分を抽出する。異常診断部375が、特徴周波数成分抽出部374で抽出した特徴周波数成分に基づき回転装置2の異常を診断する。
これによって、車輪22の熱膨張による回転装置2の異常の誤診断を低減することが可能となる。
この構成によって、車輪22の温度Tdを検出することで、容易に基準径Rrに対する熱膨張量ΔRを算出することが可能である。
この構成であれば、回転装置2の構成部品毎の異常を診断することが可能となり、構成部品毎に修理や交換等を行うことが可能となる。これによって、回転装置のメンテナンスにかかるコストを低減することが可能となる。
これによって、回転装置2の稼働中(即ち鉄道車両1の運転中)に異常診断を行うことが可能となるので異常の早期発見が可能になるという効果が得られる。加えて、差分値との診断閾値比較を行うことによって、従来と比較して、個体差に起因した初期値のばらつきを無視することが可能となり、個体差によるばらつきを無視した(変化量のみに着目した)診断閾値設定を行うことが可能となる。その結果、従来と比較して診断閾値設定を容易に行うことができるという効果が得られる。
この構成によって、上記(1)〜(4)のいずれか1に記載した異常診断装置4の作用及び効果と同等の作用及び効果を得ることが可能である。
(6)回転装置2は、異常診断装置4を備える。
この構成によって、上記(1)〜(4)のいずれか1に記載した異常診断装置4の作用及び効果と同等の作用及び効果を得ることが可能である。
(7)車両の1種である鉄道車両1は、異常診断装置4を備える。
この構成によって、上記(1)〜(4)のいずれか1に記載した異常診断装置4の作用及び効果と同等の作用及び効果を得ることが可能である。
(1)上記実施形態では、温度センサ38を非接触型のセンサから構成したが、この構成に限らず、例えば、無線通信機能を有した接触型の温度センサから構成するなど他の構成としてもよい。
(2)上記実施形態では、異常診断装置4が車速センサ39を備える構成としたが、この構成に限らず、車速センサを備えない構成としてもよい。例えば、第2のI/F部37bによって、車両が元々備えている車速センサから車載ネットワーク等を介して車速を取得する構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、熱補正車軸回転数ωtが設定回転数ωsのときの振動を測定する構成としたが、この構成に限らない。例えば、走行中の振動を全て測定して、測定時の熱補正車軸回転数ωtから、各回転数における異常に係る特徴周波数成分を抽出する構成とするなど他の構成としてもよい。
(6)上記実施形態では、1つの加速度センサの出力する加速度信号に対して異常診断処理をする構成としたが、この構成に限らない。例えば、加速度センサを2つ以上設け、2つ以上の加速度センサの出力する2つ以上の加速度信号に対して、異常診断部によって異常診断処理を行う構成としてもよい。この場合、例えば、2つ以上の加速度信号から得た2つ以上の加速度値の平均値を求め、この平均値に対して異常診断処理を行う。
(8)上記実施形態では、回転軸(車軸)を支持する軸受として、複列円すいころ軸受を例に挙げて説明したが、この構成に限らない。例えば、円筒ころ軸受、針状ころ軸受、自動調心ころ軸受等の他のころ軸受、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受など他の軸受とする構成としてもよい。なお、複列の軸受に限らず、単列の軸受、四列の軸受など他の構成としてもよい。
(11)上記実施形態では、振動を検出するセンサを、複列円すいころ軸受の近傍に設ける構成としたが、この構成に限らず、回転装置の構成部品の異常に係る特徴周波数成分を含む振動を検出可能であれば他の位置に設ける構成としてもよい。
Claims (7)
- 車軸を支持する軸受を含んで構成される回転装置に生じる振動を検出する振動検出部と、
前記車軸に固定された車輪の温度を検出する温度検出部と、
前記車軸を備える車両の車速を取得する車速取得部と、
前記温度検出部で検出した前記車輪の温度に基づき該車輪の直径の基準径に対する熱膨張量を算出する熱膨張量算出部と、
前記基準径に前記熱膨張量を加算して熱補正車輪径を算出する熱補正車輪径算出部と、
前記車速取得部で取得した前記車速と前記熱補正車輪径とに基づき、前記熱膨張量による誤差を補正した前記車軸の回転数である熱補正車軸回転数を算出する熱補正車軸回転数算出部と、
前記熱補正車軸回転数に基づき、前記振動検出部で検出した振動の値である振動値から前記回転装置の異常に係る特徴周波数成分を抽出する特徴周波数成分抽出部と、
前記特徴周波数成分抽出部で抽出した前記特徴周波数成分に基づき前記回転装置の異常を診断する異常診断部と、を備える異常診断装置。 - 前記熱補正車輪径算出部は、前記基準径に、前記温度検出部で検出した前記車輪の温度と前記車輪の基準温度との差分と、前記車輪の材質に対応する熱膨張係数とを乗算することで前記熱膨張量を算出する請求項1に記載の異常診断装置。
- 前記回転装置は、前記軸受と、前記車軸と、前記軸受に支持された車輪とを含んで構成され、
前記異常診断部の異常診断対象は、少なくとも前記軸受、前記車軸及び前記車輪を含む前記回転装置の構成部品である請求項1又は2に記載の異常診断装置。 - 前記熱補正車軸回転数に基づき前記車軸が予め設定した設定回転数で回転しているときに前記振動検出部で検出される前記振動を測定する振動測定部を備え、
前記特徴周波数成分抽出部は、前記回転装置の稼働中における予め設定した初期測定タイミングに前記振動測定部が測定した前記振動値である初期振動値から、前記回転装置の異常に係る特徴周波数成分を抽出する初期周波数成分抽出部と、前記回転装置の稼働中における予め設定した前記初期測定タイミング以降の実測タイミングに前記振動測定部が測定した前記振動値である実測振動値から、前記特徴周波数成分を抽出する実測周波数成分抽出部と、を備え、
前記異常診断部は、前記初期振動値から抽出した前記特徴周波数成分である初期周波数成分と前記実測振動値から抽出した前記特徴周波数成分である実測周波数成分との差分値を演算し、前記差分値と予め設定した診断閾値とを比較し、該比較の結果に基づき前記回転装置の異常を診断する請求項1から3のいずれか1項に記載の異常診断装置。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の異常診断装置を備えた軸受。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の異常診断装置を備えた回転装置。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の異常診断装置を備えた車両。
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