JP2016205934A - 気密封止デバイスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】陽極接合を用いた気密封止デバイスの製造方法において、簡便にかつ信頼性が高い方法で密閉空間の圧力を調整する。【解決手段】気密封止デバイス1の製造方法は、可動部2を有するデバイス構造が形成された半導体基板15とガラス製覆い19とを大気圧下で陽極接合することによって、デバイス構造を密閉するステップと、ガラス製覆い19によって密閉された密閉空間20の圧力を所望の目標圧力まで増加させるために、陽極接合後の半導体基板15およびガラス製覆い19を目標圧力に応じた温度で加熱するステップとを備える。【選択図】図2

Description

この発明は、可動部を有するデバイス構造体が気密封止された気密封止デバイスの製造方法に関し、たとえばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスの製造に好適に用いられるものである。
一般に、加速度センサなど、可動部を有するMEMSデバイスは、半導体基板上に形成された微細な構造体の可動空間を確保し、可動空間内に水やゴミが混入しないように気密封止される。たとえば、特許文献1(特開2005−172543号公報)に記載されたMEMSデバイスでは、凹部が形成されたガラス基板と半導体基板とが陽極接合されることによって密閉空間が形成される。
加速度センサの場合、感度周波数特性が密閉空間の圧力により変化する。具体的に、低圧ではセンサ本体の共振周波数において感度にピークが発生する。圧力が高くなるにつれて内部気体のダンピングの影響を受けるために、感度のピークが高周波側に徐々にシフトし、やがてピークが消滅する(たとえば、非特許文献1を参照)。したがって、加速度センサの場合、共振周波数において感度にピークが発生するような圧力でセンサ本体を気密封止してはならない。なぜなら、共振周波数に等しい高周波成分を含む加速度が加速度センサに印加されると、センサ本体が共振状態になって振動が増大してしまい、加速度を正確に検出できなくなるからである。
一方、角速度センサの場合には、コリオリの力を測定するために可動部をある一定の周波数で駆動振動させる必要がある。このため、密閉空間の圧力が高い状態ではダンピングの影響を強く受けるために可動部を振動させることが困難になる。
このように、加速度センサおよび角速度センサのようなMEMSデバイスを正常に動作させるためには、MEMSデバイスを気密封止している密閉空間の圧力を適切な値に保つ必要がある。以下、気密封止されたMEMSデバイスの内圧調整方法に関する先行技術を紹介する。
特許文献2(特開2002−5950号公報)に記載のセンサ素子の製造方法では、陽極接合前に予めガラス基板に通気孔用のスルーホールが形成される。陽極接合後に、スルーホールが封止用部材(たとえば樹脂または半田)によって塞がれることによって、内部空間が大気圧で気密封止される。
特許文献3(国際公開第2010/119573号公報)に記載のセンサ素子の製造方法では、ガラス製のキャップ部材の内面にガス発生材料が予め塗布される。陽極接合後に、ガス発生材料を加熱することによって、内部空間の圧力が調整される。
特開2005−172543号公報 特開2002−5950号公報 国際公開第2010/119573号公報
浅沼、他2名、「スクイズフィルム効果を考慮した静電容量型マイクロ加速度センサの特性評価と設計」、電気学会論文誌E、125巻2号、2005年、95〜100頁
しかしながら、上記の先行技術に記載されたセンサ素子の製造方法には、以下のような問題がある。まず、特許文献2に記載の製造方法では、陽極接合後に通気孔用のスルーホールを異種材料の密着によって気密封止している。したがって、デバイスを長期間利用する際には気体リークの可能性があるので、長期の安定性に問題がある。たとえ気体リークが発生しなかったとしても、経時劣化や温度履歴により異種材料の境界面に歪みが生じる可能性があるので、機械強度の点で信頼性に問題がある。
特許文献3に記載の製造方法では、キャップ部材にガス発生材料を塗布するため、複雑な追加工が必要であり生産性が低下するという問題がある。さらに、ガス発生材料を用いるために、材料費が高価になるという問題がある。
この発明は、上記の問題点を考慮してなされたものであって、陽極接合を用いた気密封止デバイスの製造方法において、簡便にかつ信頼性が高い方法で密閉空間の圧力を調整可能な製造方法を提供することである。
この発明による気密封止デバイスの製造方法は、可動部を有するデバイス構造が形成された半導体基板とガラス製覆いとを大気圧下で陽極接合することによって、デバイス構造を密閉するステップと、ガラス製覆いによって密閉された密閉空間の圧力を所望の目標圧力まで増加させるために、陽極接合後の半導体基板およびガラス製覆いを目標圧力に応じた温度で加熱するステップとを備える。
この発明によれば、上記の加熱するステップでの加熱温度が増加するほど、密閉空間の圧力を増加させることができるので、簡便にかつ信頼性が高い方法で密閉空間の圧力を調整することできる。
第1の実施形態に係る陽極接合型気密封止デバイスの一例を示す平面図である。 図1のII−II線に沿った断面図である。 容量型加速度センサにおける静電容量変化の測定原理について説明するための図である。 図3の容量型加速度センサと容量−電圧変換回路との等価回路を示す図である。 図1および図2の気密封止デバイスの製造時の陽極接合について説明するための断面図である。 気密封止デバイスの製造方法を示すフローチャートである。 加速度センサの感度周波数特性と封止圧力との関係を示す図である。 アニール温度と密閉空間の圧力との関係を示す図である。 第3の実施形態において、感度周波数特性の測定法を説明するための図である。 図9の交流電源の印加電圧とその2乗の値を示すグラフである。 第3の実施形態による気密封止デバイスの製造方法において、アニール工程の詳細を示すフローチャートである。
以下、各実施形態について図面を参照して詳しく説明する。以下の説明では、陽極接合を用いた気密封止デバイスの一例として容量型加速度センサを例に挙げて説明する。無論、気密封止デバイスはこの例に限られず、いわゆるMEMSデバイスと呼ばれる可動部を有するデバイス構造体に対して以下の製造方法を適用することができる。各実施形態の説明では、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰り返さない場合がある。
<第1の実施形態>
[気密封止デバイスの構成]
図1は、第1の実施形態に係る陽極接合型気密封止デバイスの一例を示す平面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1、図2では、気密封止デバイスとして、容量型加速度センサを例示している。各図において、シリコン基板15の面内方向をX方向およびY方向とし、シリコン基板15に垂直な方向をZ方向とする。X方向は、アンカー3A,3Bを結ぶ方向である。
図1、図2を参照して、加速度センサ1は、デバイス構造体としての慣性力検知部7と、電極パッド9〜12と、接合枠2と、ガラスキャップ19と、下層配線8(8A〜8D)と、シリコン基板15と、絶縁膜16,17,18とを備える。慣性力検知部7は、アンカー3(3A,3B)と、梁4(4A,4B)と、可動部としての可動質量体5と、検出電極6A,6Bと、自己診断電極6Cとを含む。
アンカー3A,3Bは、絶縁膜16,17を介在して、シリコン基板15の主表面S1上に設けられる。アンカー3A,3Bは、それぞれ梁4A,4Bがシリコン基板15から離間するように梁4A,4Bをシリコン基板15の主表面S1の上方に支持する。梁4A,4Bは、可動質量体5がシリコン基板15から離間するように可動質量体5をシリコン基板15の主表面S1の上方に支持する。
接合枠2は、絶縁膜16〜18を介在して、シリコン基板15の主表面S1上に設けられる。平面視して、接合枠2は慣性力検知部7を囲む。ガラスキャップ19は、慣性力検知部7を覆うように接合枠2と陽極接合されている。この陽極接合によって、慣性力検知部7は密閉空間20に気密封止される。
電極パッド11は、アンカー3Aおよび梁4Aを介して可動質量体5と電気的に接続されている。電極パッド10は、検出電極6Aと電気的に接続されている。電極パッド12は、検出電極6Bと電気的に接続されている。電極パッド9は、自己診断電極6Cと電気的に接続されている。
下層配線8A〜8Dは、絶縁膜16と絶縁膜18とに挟まれ、かつ絶縁膜17と同じ層に埋め込まれている。下層配線8Dは、接合枠2の下を通過し、可動質量体5と電極パッド11とを電気的に接続する。下層配線8Aは、接合枠2の下を通過し、検出電極6Aと電極パッド10とを電気的に接続する。下層配線8Bは、接合枠2の下を通過し、検出電極6Bと電極パッド12とを電気的に接続する。下層配線8Cは、接合枠2の下を通過し、自己診断電極6Cと電極パッド9とを電気的に接続する。下層配線8A,8B,8Cと、検出電極6A,6Bおよび自己診断電極6Cとの間には、それぞれ図1で破線で示すコンタクトが設けられている。電極パッド9〜12は、たとえば、図示しない信号処理IC(Integrated Circuit)とボンディングワイヤで接続される。
シリコン基板15は、絶縁膜16,17,18の少なくとも一層によって、上述した電極パッド9〜12、下層配線8A〜8D、接合枠2、およびアンカー3A,3Bと電気的に絶縁されている。したがって、シリコン基板15は、下層配線8A〜8Dと接続されている検出電極6A,6Bおよび自己診断電極6Cとも電気的に絶縁され、アンカー3A,3Bによって支持されている梁4A,4Bおよび可動質量体5とも電気的に絶縁されている。
慣性力検知部7および接合枠2は、たとえば同一の導電材料で形成されている。この材料はたとえば、不純物をドープした導電性を有するポリシリコン、あるいは単結晶シリコンである。下層配線8A〜8Dは、たとえば導電性を有するポリシリコンで形成されている。絶縁膜16〜18は、たとえばシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜などの薄膜絶縁材料で形成されている。
可動質量体5は、可動電極として機能する。梁4は、可動質量体5と一体に形成され、検出すべき加速度の方向A(X方向)に伸縮することにより、可動質量体5を方向Aに沿って移動させる。方向Aは、アンカー3A,3Bを結ぶ方向である。方向Aに加速度が印加されると、可動質量体5が移動する。この移動により生じる可動質量体5と検出電極6A,6Bとの間の静電容量変化に基づいて加速度が検出される。電極パッド9〜12は信号処理IC(図示しない)と接続される。信号処理ICは、検出された静電容量変化を加速度の大きさに変換する。加速度の検出方法の一例については図3で後述する。
自己診断電極6Cはセンサ動作を確認する電極であり、自己診断電極6Cと可動質量体5間に電圧を印加して静電力により強制的に可動質量体5を方向Aに沿って移動させる。この時の可動質量体5と検出電極6A,6Bとの間の静電容量変化により、容量型加速度センサ1が正常動作しているか確認する。
[容量型加速度センサの測定原理]
図3は、容量型加速度センサにおける静電容量変化の測定原理について説明するための図である。図3を参照して、加速度の大きさに応じて、電極パット10,11間の容量値と、電極パッド12,11間の容量値とが変化する。この容量の変化を検出するために、容量を電圧に変換する容量−電圧変換回路22が用いられる。
図4は、図3の容量型加速度センサと容量−電圧変換回路22との等価回路を示す図である。図3および図4を参照して、電極パッド10,11間の静電容量をC1とし、電極パッド12,11間の静電容量をC2とする。この場合、出力電圧Voutは、次式(1)で表される。次式(1)において、容量を構成する電極の面積をSとし、質量体変位をuとし、加速度0の場合の電極間距離(図1の可動質量体5と検出電極6Aとの距離、ならびに可動質量体5と検出電極6Bとの距離)をdとしている。
Figure 2016205934
上式(1)の変位uは加速度に比例するので、出力電圧Voutから加速度を求めることができる。
[気密封止デバイスの製造方法]
次に、図1および図2の気密封止デバイスの製造法について述べる。
図5は、図1および図2の気密封止デバイスの製造時の陽極接合について説明するための断面図である。図5では、ガラスキャップ19が接合される前の気密封止デバイス1の断面図(図1のII−II線に沿う)を示している。
図6は、気密封止デバイスの製造方法を示すフローチャートである。図5、図6を参照して、シリコン基板15上に慣性力検知部(図1の7)が、薄膜堆積、パターニングおよびエッチングなど公知の半導体製造技術を用いて形成される。この結果、可動質量体5、剛性を有する梁4(図1参照)、アンカー3A,3B、下層配線8A〜8D、および電極検出電極パッド11等が主表面S1上に形成されたシリコン基板15が準備される(ステップST100)。
ガラスキャップ19は、ガラス基板の加工によって形成される。ガラスキャップ19の内面(慣性力検知部7に対向する側)には慣性力検知部7の動作を妨げないように予めエッチング、サンドブラストなどで凹部が加工されている。ただし、接合枠2の高さが十分であるならば、図5のガラスキャップ19に代えて板状のガラス材料を用いても構わない。この明細書では、特に形状を限定しない場合に、シリコン基板15上のデバイス構造体(すなわち、慣性力検知部7)を覆う部分をガラス製覆い19と称する。
次に、ガラスキャップ19と接合枠2との位置合わせを行なう(ステップST110)。すなわち、図5に示すように、ガラスキャップ19が慣性力検知部(図1の7)を覆い、かつ、ガラスキャップ19と接合枠2とが接するように、ガラスキャップ19を配置する。
次に、大気圧の空気中で、たとえば450℃程度にシリコン基板15を加熱する(ステップST120)。この450℃程度という温度はこの温度には限定されないが、ガラスの歪み点温度よりも低く設定する必要がある。シリコン基板15が450℃程度に加熱された状態で、シリコン基板15を接地し、ガラスキャップ19にマイナス電圧を印加することにより、接合枠2とガラスキャップ19とを陽極接合する(ステップST130)。陽極接合により図2に示す密閉空間20が形成される。後述するように、陽極接合の間に、密閉空間20の気体(第1の実施形態の場合、空気)が主としてガラスキャップ19の表面に吸着されると考えられる。
陽極接合後に、気密封止デバイス1をアニールする(ステップST140)。後述するように、アニールによってガラスキャップ19に吸着された気体の一部または全部が密閉空間20に放出される。これによって、封止圧力を最適化する。
[加速度センサの感度周波数特性と封止圧力の関係]
図7は、加速度センサの感度周波数特性と封止圧力との関係を示す図である。図7を参照して、横軸は、加速度センサ1を振動させたときの振動周波数を示し、縦軸はセンサの感度(たとえば、図3の出力電圧Vout)を示す。グラフ(a)が最も圧力が低い場合の感度周波数特性であり、グラフ(c)が最も圧力が高い場合の感度周波数特性である。
以下、図7を用いて加速センサの感度周波数特性と封止圧力の関係を説明する。周波数が低い場合(たとえば、真空の場合)は、感度は周波数に対してほぼ一定で圧力依存性はない。周波数が高くなると、低圧ではグラフ(a)に示すように加速度センサの共振周波数でピークが発生する。グラフ(a)の場合よりさらに圧力が高くなると、グラフ(b)および(c)に示すように、封止気体のダンピングの影響を受け、ピークが消滅する過減衰ダンピング特性となる。加速度センサの場合、共振によってピークが発生すると振動が増大して正確な加速度を検出できないだけでなく、図1に示す可動質量体5と検出電極6A,6Bとが接触して、素子が破壊される危険性がある。このため、通常、図7(b)、(c)に示されている過減衰特性のほうが望ましい。
ここで、図7の感動周波数特性(b)と(c)とを比較すると、高振動数領域での感度の減衰量は(c)のほうが大きくなる。言い換えると、圧力がより高い(c)の特性では、より低い周波数から感度が減衰し始める。測定対象となる周波数範囲では、感度は周波数依存性がなく一定値であることが望ましいため、加速度センサの気密封止したときの密閉空間の圧力には最適値が存在する。この最適圧力のときに最適に感度周波数特性が得られる。最適の感動周波数特性とは、測定対象周波数範囲では周波数によらず感度が一定で、かつ共振周波数が存在せず、測定対象周波数を超える周波数では感度が減少するというものである。測定対象周波数を超えた周波数では感度がゼロであるのが理想的であるが、現実にはあり得ない。
[封止圧力の調整方法]
次に、封止圧力の調整方法について説明する。大気圧下450℃でガラスキャップ19を接合枠2に陽極接合した場合、室温での密閉空間(図2の20)の圧力は、陽極接合時の温度および圧力に応じた値(大気圧より低圧の負圧)になるはずである。すなわち、陽極接合時の雰囲気圧力を大気圧(101kPa)とし、接合温度を450℃(=723K)とし、室温を25℃(=298K)とすると、陽極接合後の室温での密閉空間20の圧力Pはボイル・シャルルの法則に従って、
P=101kPa×293/723=42kPa …(2)
となるはずである。しかしながら、実際の密閉空間20の圧力は10〜15kPaとなり、上記の推定圧力よりもさらに低圧となる。ところが、陽極接合後に気密封止デバイス1をアニールすると、密閉空間の20の圧力は10〜15kPaから増加する。
図8は、アニール温度と密閉空間の圧力との関係を示す図である。図8に示すように、アニール温度が増加するほど、密閉空間20の圧力(内圧)[kPa]は増加する。密閉空間20の圧力は一旦上昇すると不可逆であり、室温でも元に戻らず、アニール時の圧力を保つ。したがって、陽極接合後に適切な温度でアニールすることによって、デバイス構造体に最適な封止圧力に調整することができる。
上記したように、接合後の圧力が想定より低くなり、その後のアニールによって圧力が上昇する理由は、完全には明確となっていない。しかし、最もあり得る理由は、陽極接合時の温度と電圧の効果により、ガラス表面に気体が吸着し、陽極接合後の加熱により吸着した気体が脱離したためであると思われる。本発明者が鋭意検討した結果、アニール工程を行うことによって、少なくとも密閉空間20の圧力が例えば図8に示すような特性に従って上昇することについては、再現性が得られている。
密閉空間20の封止ガスの組成は、アニールによって変化しない。例えば、本件発明者は、窒素雰囲気で陽極接合した場合、ガス組成のほとんどが窒素であることを確認している。さらに、陽極接合で発生する微量の酸素と、普遍的に不純物として存在する炭素と微量酸素とが結合した二酸化炭素とが封止ガスに含まれる。この事実によれば、アニールによる密閉空間の圧力上昇は、アニールによってガラスもしくはシリコン基板をガスが透過したからではなく、元々ガラスやシリコン基板に内在しているガスが出現したからでもない。陽極接合中に雰囲気ガスがガラス表面に吸着し、アニール温度に依存して吸着ガスの一部放出されたことが、アニール時に圧力上昇の原因と考えられる。
アニール工程における加熱温度は、陽極接合時の温度以下に設定する。図8に示すように、陽極接合時の温度450℃においてガラスキャップ19の表面に吸着されたガスのほぼ全て放出されるからである(すなわち、密閉空間の圧力は、式(2)に従って想定される圧力にほぼ等しくなる)。陽極接合時の温度450℃よりも高い温度でアニールをしても密閉空間の内部の圧力はほとんど変わらない。陽極接合温度以下の加熱であるため、アニール温度は、ガラスの歪み点温度を超えないので、ガラスキャップ19に歪みが発生することはない。
さらに、本件発明者は、アニール工程における封止圧力に対する加熱方法及び加熱時間の依存性について調べた結果、これらは封止圧力にほとんど影響をしないことを確認している。すなわち、加熱時の温度上昇率等の加熱条件を変化させたとしても、最終的な封止圧力はほとんど変わらない。アニール時間を増加させると、封止圧力は一定の飽和値に近付く。したがって、半導体基板全体を均一に加熱できる設備(たとえば、電気オーブン)を用いて一定時間以上加熱すれば、アニール温度に応じた所望の封止圧力にすることができる。
[効果]
以上のとおり、第1の実施形態による気密封止デバイスの製造方法によれば、ガラス製覆いと半導体基板とを大気圧下で陽極接合した後、陽極接合時の温度よりも低い温度で気密封止デバイスを加熱(アニール)する。陽極接合中には、密閉空間のガスがガラス表面に吸着される。そして、陽極接合後の加熱工程では加熱温度に応じて吸着ガスが放出されることによって、加熱温度が増加するほど密閉容器内の圧力が上昇する。この性質を利用して加熱温度を制御することにより、密閉空間の圧力を所望の圧力となるように調整できる。アニール工程での加熱温度は、陽極接合温度以下の温度であるので、ガラスの歪み点温度より当然に低くなるためにガラスキャップに歪みを発生させない。
<第2の実施形態>
陽極接合時(図6のステップST120,ST130)のガス雰囲気を大気ではなく、不活性ガス(すなわち、窒素、またはアルゴンなど希ガス、またはこれらの混合物)とすれば、酸化によるデバイス構造体(慣性力検知部7)の劣化を防ぐことができる。
図8に示す密閉空間の圧力(内圧)とアニール温度との関係はガス組成により変化はあるが、傾向は同一である。したがって、予め使用するガス組成に対する特性データ(内圧とアニール温度との関係)を求めておくことにより、この特性データに基づいて加熱温度を制御すれば、密閉空間(図2の20)圧力を所望の圧力に調整することができる。
なお、本実施形態は、後述する第3および第4の実施形態とも組み合わせることができる。
<第3の実施形態>
第3の実施形態では、図7に例示した感度周波数特性を測定しながら、アニール工程(図6のステップST100)を実行することによってアニール温度を最適化し、これによって最適の感度周波数特性が得られるようにしたものである。以下、図面を参照して詳しく説明する。
[感度周波数特性の測定法]
図9は、第3の実施形態において、感度周波数特性の測定法を説明するための図である。図9に示すように、電極パッド9と電極パッド11との間に周波数可変の交流電源21が接続される。これによって、自己診断電極6Cと可動質量体5の間に交流電圧が印加されるので、両電極間の静電力によって可動質量体5が周期的に変位する。図9の加速度センサでは、さらに、図3で説明した容量−電圧変換回路22が接続されている。変換後の出力電圧Voutは、FFT(Fast Fourier Transform)アナライザ23に入力される。
図10は、図9の交流電源の印加電圧とその2乗の値を示すグラフである。図10(A)のグラフは、交流電源21の印加電圧Vacを示す。交流電源21は、0Vを基準電位とする正弦波を電極パッド9,11間に印加する。図10(B)のグラフは、印加電圧Vacの2乗(Vac2)を示す。
正弦波の振幅をAc、周波数をF、時間をtとすると、印加電圧Vacは、
Vac=Ac×sin(2π・F・t) …(3)
で表される。自己診断電極6Cと可動質量体5との間に生じる静電力Feは、印加電圧Vacの2条に比例するので、
Fe∝Vac2=Ac2・sin2(2π・F・t)
=Ac2・1/2・(1−cos(4π・F・t)) …(4)
で表される。上式および図10から明らかように、可動質量体5は、印加電圧Vacの周波数Fの2倍の周波数で振動する。したがって、交流電源21の周波数Fを走査しながら、可動質量体5と検出電極6A,6Bとの間の静電容量の変化に基づくセンサ出力Voutの変化、特にその2×Fの周波数成分の変化を測定すれば、加速度センサ1の感度周波数特性を測定することができる。
[アニール工程の詳細]
図11は、第3の実施形態による気密封止デバイスの製造方法において、アニール工程の詳細を示すフローチャートである。図6のフローチャートのうちステップST100〜ST130は第3の実施形態でも同じである。
図7で示したように感度周波数特性は密閉空間(図2の20)の圧力に依存し、図8で示したように密閉空間20の圧力はアニール温度の増加に伴って増加する。したがって、アニール時の設定温度を徐々に増加させながら、各設定温度ごとに図9に示す構成で感度周波数特性を測定し、所望の感度周波数特性が得られた時点でアニールを終了すれば、最適な感度周波数特性を有するMEMSデバイスを製造することできる。
たとえば、図11に示すように、まず、アニール工程の開始温度までシリコン基板を加熱し(ステップST200)、この温度で感度周波数特性の測定を行う(ステップST210)。所望の感度週数特性が得られない場合には(ステップST220でNO)、基板加熱時の設定温度をΔTだけ増加させ(ステップST230)、再度、感度周波数特性を測定する(ステップS210)。上記のステップS230およびS210は、所望の感度周波数特性が得られるまで(ステップS220でYESとなるまで)繰り返される。所望の感度周波数特性が得られたらシリコン基板の加熱を終了する。
上記の感度周波数特性の測定時に可動質量体5を振動させるためには、図9に示した交流電圧の印加以外に、加振によって可動質量体5を直接振動させてもよい。
また、上記のアニール工程は、加速度センサ以外のMEMSデバイスの製造にも適用できる。一般的なMEMSデバイスでは、可動部を含むデバイス構造体の電気特性が可動部の変位に応じて変化する。この場合に、可動部の振動周波数を走査しながら電気特性を測定することによって周波数特性が測定できる。そして、この周波数特性の測定を行いながらMEMSデバイスのアニールを行うことによってアニール温度を最適化することができる。
[効果]
このように第3の実施形態による気密封止デバイスの製造方法によれば、感度周波数特性を測定しながらアニール工程を実行することによって、アニール温度(結果として最適な密閉空間の圧力)を最適化することができる。特に、同一ウエハ内の素子間の個体差(ばらつき)が大きい場合には、素子分離後に個別に上記の方法で密閉空間の圧力調整を行えば、個体差のない同一の感度周波数特性を有するMEMSデバイスを製造できる。
<第4の実施形態>
第4の実施形態では、同一ウェハ内およびウェハ間での特性ばらつきを抑える他の方法について説明する。
陽極接合後の密閉空間(図2の20)の初期圧力、および図6に示すアニール温度と密閉空間20の圧力との関係は、同一ウェハ内およびウェハ間で完全に同一ではなく、ばらつきがある。しかし、図5で説明したように陽極接合温度以上で加熱すれば、密閉空間20の圧力はボイル・シャルルの法則で想定される圧力に収束する。したがって、アニール温度を接合温度以上かつガラス歪み温度以下に設定することによって、密閉空間20の圧力を同一ウェハ内およびウェハ間で揃えることができる。この結果、密閉空間20の圧力の設計値と実際の値とのずれに起因した製品不良を無くして、製品の歩留まりを向上させることができる。
上記において、最終的な室温での密閉空間20の圧力は、式(2)で説明したように、陽極接合時のシリコン基板の温度によって決まる。したがって、この圧力において最適な感動周波数特性が得られるようにMEMSデバイスを設計する必要がある。
陽極接合時の圧力を大気圧と異なる圧力に設定したり、陽極接合時の基板温度を変更すれば、最終的な室温での密閉空間20の圧力をさらに変更することは可能である。ただし、この場合には、陽極接合プロセスが複雑になるというディメリットがあり、素子の特性ばらつきが増加する原因にもなる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 容量型加速度センサ(気密封止デバイス)、2 接合枠、3,3A,3B アンカー、4,4A,4B 梁、5 可動質量体、6A,6B 検出電極、6C 自己診断電極、7 慣性力検知部、8,8A〜8D 下層配線、9〜12 電極パッド、15 シリコン基板、16〜18 絶縁膜、19 ガラスキャップ、20 密閉空間、21 交流電源、22 容量−電圧変換回路、23 FFTアナライザ。

Claims (5)

  1. 可動部を有するデバイス構造が形成された半導体基板とガラス製覆いとを大気圧下で陽極接合することによって、前記デバイス構造を密閉するステップと、
    前記ガラス製覆いによって密閉された密閉空間の圧力を所望の目標圧力まで増加させるために、前記陽極接合後の前記半導体基板および前記ガラス製覆いを前記目標圧力に応じた温度で加熱するステップとを備えた、気密封止デバイスの製造方法。
  2. 前記密閉するステップでは、大気圧の不活性ガス雰囲気で陽極接合する、請求項1に記載の気密封止デバイスの製造方法。
  3. 前記加熱するステップでは、前記陽極接合時の温度よりも低い温度で加熱する、請求項1または2に記載の気密封止デバイスの製造方法。
  4. 前記デバイス構造は、前記可動部の変位に応じて電気特性が変化し、
    前記加熱するステップは、
    前記半導体基板および前記ガラス製覆いの加熱時の設定温度を徐々に増加させるステップと、
    前記設定温度ごとに前記可動部を振動させながら前記デバイス構造の電気特性を測定するステップと、
    前記測定するステップで所望の電気特性が得られたときに前記半導体基板および前記ガラス製覆いの加熱を終了するステップとを含む、請求項1または2に記載の気密封止デバイスの製造方法。
  5. 前記加熱するステップでは、前記陽極接合時の温度以上で前記ガラス製覆いの歪み点より低い温度で加熱する、請求項1または2に記載の気密封止デバイスの製造方法。
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