JP2016204496A - 両面粘着シートの製造方法、両面粘着シート付き透明面材の製造方法、表示装置の製造方法 - Google Patents

両面粘着シートの製造方法、両面粘着シート付き透明面材の製造方法、表示装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】無溶剤型の光硬化性樹脂組成物から形成された粘着層が2層積層し、各粘着層の層間密着性が優れ、かつ各粘着層の混層が抑制された両面粘着シートの製造方法、両面粘着シート付き透明面材の製造方法および表示装置の製造方法の提供。
【解決手段】2層の粘着層を有する両面粘着シート10の製造方法であって、塗工により、セパレータ30上に無溶剤型の第1の光硬化性樹脂組成物の層21を形成し、光を照射して第1の光硬化性樹脂組成物の層21を硬化させて、硬化率が10〜95%の一次硬化層を得る工程と、一次硬化層21の面上に、塗工により、無溶剤型の第2の光硬化性樹脂組成物の層22を形成し、光を照射して一次硬化層21及び第2の光重合性樹脂組成物の層22をそれぞれ硬化させて、2層の粘着層20を得る工程と、を有する両面粘着シートの製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、両面粘着シートの製造方法、両面粘着シート付き透明面材の製造方法、表示装置の製造方法に関する。
液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置等の表示装置において、表示面を保護する目的で、透明面材(保護パネル)を、透明な両面粘着シートを介して表示パネルに貼合することが行われている。このような用途に用いられる両面粘着シートとして、多層構造のものが提案されている。例えば、偏光板とガラス基板とを貼合する場合のように、物性の異なる部材同士の貼合において用いられる多層構造の両面粘着シートとして、一方の部材(偏光板)と密着力の高い粘着層と、他方の部材(ガラス基板)と密着力の高い粘着層を積層したものが挙げられる。
例えば特許文献1では、保護パネルと偏光フィルムとの間に配置される画像表示装置用透明粘着シートとして、異なる粘弾性挙動を有する第1粘着層及び第2粘着層をそれぞれ1層以上有し、且つ、これらの層を積層し一体化してなる構成を備えた粘着シートであって、第1粘着層及び第2粘着層のうちの少なくとも一層が特定の組成物からなり、該粘着シートについての特定条件で測定した動的貯蔵せん断弾性率G’の値が特定の範囲内であるものが提案されている。該粘着シートは、第1粘着層付きシート、第2粘着層付きシートをそれぞれ作製した後、それらを一体化することにより製造されている。
特許文献2では、物性が異なる複数の樹脂層を有する両面粘着シートの製造方法として、塗工対象面に複数の光重合樹脂組成物を同時に塗工し、複数の樹脂層を形成する工程と、形成した樹脂層に光透過性フィルムをラミネートする工程と、ラミネート後に紫外線または電子線を照射し、樹脂層を硬化させる工程とを有する製造方法が提案されている。
特許第4806730号公報 特開2014−111784号公報
しかし、特許文献1に記載の方法では、第1粘着層、第2粘着層をそれぞれ無溶剤型の光硬化性樹脂組成物で形成する場合、得られる粘着シートの第1粘着層と第2粘着層との間の密着性が不充分である。
粘着層間の密着性が不充分であると、表示パネルと透明面材とを固定する際等に、粘着層間に気泡が発生するおそれがある。また、表示パネルと透明面材とを固定する力が不足し、透明面材の位置が経時的にずれたり脱離したりするおそれがある。
特許文献2に記載の方法では、光重合樹脂組成物の塗工後、硬化させるまでの間に、隣接する樹脂層の間で光重合樹脂組成物の成分が移動する混層が生じやすい問題がある。混層が生じると、たとえば両面粘着シートの表裏で粘着力等の特性に差をつけるような場合に、その差が目的の値よりも小さくなってしまう。
本発明の目的は、無溶剤型の光硬化性樹脂組成物から形成された粘着層が2層積層し、各粘着層の層間密着性が優れ、かつ各粘着層の混層が抑制された両面粘着シートの製造方法、両面粘着シート付き透明面材の製造方法および表示装置の製造方法を提供することにある。
本発明は、以下の[1]〜[10]の構成を有する、両面粘着シートの製造方法、両面粘着シート付き透明面材の製造方法、表示装置の製造方法を提供する。
[1]2層の粘着層を有する両面粘着シートの製造方法であって、
塗工により、セパレータ上に無溶剤型の第1の光硬化性樹脂組成物の層を形成し、光を照射して前記第1の光硬化性樹脂組成物の層を硬化させて、硬化率が10%以上95%以下の一次硬化層を得る工程と、
前記一次硬化層の面上に、塗工により、無溶剤型の第2の光硬化性樹脂組成物の層を形成し、光を照射して前記一次硬化層および前記第2の光重合性樹脂組成物の層をそれぞれ硬化させて、2層の粘着層を得る工程と、
を有することを特徴とする両面粘着シートの製造方法。
[2]前記2層の粘着層を得る工程での光の照射は、得られる2層の粘着層それぞれの硬化率が85%以上、かつ前記一次硬化層の硬化率と前記一次硬化層から形成される粘着層の硬化率との差が3%以上となる条件で行われる[1]に記載の両面粘着シートの製造方法。
[3]前記第1の光硬化性樹脂組成物および前記第2の光硬化性樹脂組成物の25℃における粘度がそれぞれ10〜100000mPa・sである[1]または[2]に記載の両面粘着シートの製造方法。
[4]前記両面粘着シートの25℃、周波数1Hzにおける貯蔵せん断弾性率G’が5×10〜2.5×10Paである[1]〜[3]のいずれかに記載の両面粘着シートの製造方法。
[5]前記両面粘着シートの25℃、周波数1Hzにおける損失正接tanδが1.4以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の両面粘着シートの製造方法。
[6]前記第1の光硬化性樹脂組成物および前記第2の光硬化性樹脂組成物がそれぞれ、硬化性基を有し数平均分子量が1000〜100000である硬化性ポリマー(A1)、硬化性基を有し分子量が125〜600である硬化性モノマー(A2)、光重合開始剤(B)、および非硬化性ポリマー(C)を含む[1]〜[5]のいずれかに記載の両面粘着シートの製造方法。
[7]前記硬化性ポリマー(A1)、前記硬化性モノマー(A2)および前記非硬化性ポリマー(C)のうちの少なくとも一種が、水酸基およびカルボキシ基のいずれか一方または両方を有する[6]に記載の両面粘着シートの製造方法。
[8]前記第1の光硬化性樹脂組成物と前記第2の光硬化性樹脂組成物とが異なる組成物である[1]〜[7]のいずれかに記載の両面粘着シートの製造方法。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の両面粘着シートの製造方法で得られた両面粘着シートを、透明面材の少なくとも一方の主面上に貼合する工程を有する両面粘着シート付き透明面材の製造方法。
[10]透明面材と表示パネルとを、[1]〜[8]のいずれかに記載の両面粘着シートの製造方法で得られた両面粘着シートを介して貼合する工程を有する表示装置の製造方法。
本発明の両面粘着シートの製造方法によれば、無溶剤型の光硬化性樹脂組成物から形成された粘着層が2層積層し、各粘着層の層間密着性が優れ、かつ各粘着層の混層が抑制された両面粘着シートを製造が得られる。
本発明の両面粘着シート付き透明面材の製造方法によれば、透明面材上に、無溶剤型の光硬化性樹脂組成物から形成された粘着層が2層積層した両面粘着シートを備え、各粘着層の層間密着性が優れ、かつ各粘着層の混層が抑制された両面粘着シート付き透明面材が得られる。
本発明の表示装置の製造方法によれば、無溶剤型の光硬化性樹脂組成物から形成された粘着層が2層積層した両面粘着シートを介して透明面材と表示装置本体とが貼合され、各粘着層の層間密着性が優れ、かつ各粘着層の混層が抑制された表示装置が得られる。
本発明の両面粘着シートの製造方法の第1実施形態で製造される両面粘着シート20の平面図である。 両面粘着シート20の図1におけるII−II断面図である。 両面粘着シート20を製造するための製造装置を示す概略構成図である。 本発明の両面粘着シート付き透明面材の製造方法の第1実施形態で製造される両面粘着シート付き透明面材を示す断面図である。 本発明の表示装置の製造方法の第1実施形態で製造される表示装置を示す断面図である。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「光硬化性樹脂組成物」とは、露光により硬化し得る樹脂組成物を意味する。
「無溶剤型」とは、溶剤を含まない、または溶剤の含有割合が、光硬化性樹脂組成物の総質量(100質量%)のうち、5質量%以下であることを意味する。
「溶剤」とは、沸点が150℃以下の液体(揮発性希釈剤)を意味する。
「貼合面」は、他材(他の粘着層、透明面材、表示パネル等)と貼合される面を意味する。粘着層同士の貼合面を「積層面」ともいう。
「透明面材」における「透明」とは、面材と表示パネルの表示面とを粘着層を介して、空隙なく貼合した後に、表示パネルの表示画像の全体または一部が光学的な歪を受けることなく面材を通して視認できる様態を意味する。したがって、表示パネルから面材に入射する光の一部が面材により吸収され、反射され、または光学的に位相が変化して、面材の可視光透過率が低くなっても、面材を通して光学的な歪なく表示パネルの表示画像を視認できれば、「透明」であるということができる。
「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
「厚さ」とは、マイクロゲージまたはレーザー変位計等を用いた測定方法により測定された厚さを意味する。典型的には、10箇所について測定された厚さの平均値とする。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更できる。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
<両面粘着シートの製造方法>
本発明の両面粘着シートの製造方法(以下、本製造方法という。)は、2層の粘着層を有する両面粘着シートの製造方法であって、
塗工により、セパレータ上に無溶剤型の第1の光硬化性樹脂組成物の層を形成し、光を照射して前記第1の光硬化性樹脂組成物の層を硬化させて、硬化率が10%以上95%以下の一次硬化層を得る工程(工程i)と、
前記一次硬化層の面上に、塗工により、無溶剤型の第2の光硬化性樹脂組成物の層を形成し、光を照射して前記一次硬化層および前記第2の光重合性樹脂組成物の層をそれぞれ硬化させて、2層の粘着層を得る工程(工程ii)と、
を有することを特徴とする。
以下、図1〜2に示す両面粘着シート20を、図3に示す製造装置100を用いて製造する場合を例に挙げて、本製造方法の実施形態を説明する。
図1は、両面粘着シート20の平面図である。図2は、両面粘着シート20の図1におけるII−II断面図である。
両面粘着シート20の平面視形状は、図1に示すように、矩形状である。
両面粘着シート20は、図2に示すように、第一粘着層21と第二粘着層22とが積層したものである。そして、両面粘着シート20の第一粘着層21側の面には第一セパレータ30が積層し、第二粘着層22側の面には第二セパレータ31が積層して、セパレータ付き両面粘着シート10を形成している。
[工程i]
本実施形態において、工程iは、第一セパレータ30上に第1の光硬化性樹脂組成物を塗工して第1の光硬化性樹脂組成物の層(未硬化層)23を形成し、層23に光を照射して一次硬化層24を得る工程である。
本実施形態では、まず、ロール状に巻き取られた第一セパレータ30が第一巻出しロール50によって巻き出される。次に、巻き出された第一セパレータ30の面上に、第一塗工部51にて、第1の光硬化性樹脂組成物が塗工されて層23が形成される。
層23が形成された第一セパレータ30は、第一露光部61に搬送される。第一露光部61では、光源62から紫外線が照射(露光)される。第一セパレータ30がある側から紫外線が照射されることで、層24(第1の光硬化性樹脂組成物)が硬化されて、一次硬化層24が得られる。
光源62としては、たとえば、通常知られた高圧水銀灯、メタルハライドランプおよびUV−LED(Light Emitting Diode)等を用いることができる。
本実施形態においては、光源の数は限定されず、図3に示すように一つだけ用いてよく、2つ以上用いてもよい。
本実施形態において、紫外線が入射する側の第一セパレータ30は光(紫外線)を透過するものが用いられる。
第一露光部61での光の照射は、大気等の酸素を含む雰囲気下で行ってもよく、不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
酸素を含む雰囲気下で光の照射を行うと、層23の表面で、光の照射によって生じるラジカルが酸素で失活する副反応が生じる。一般にこのような副反応は、硬化の進行を妨げるため好ましくなく、層の両側にセパレータを配置して酸素が接触しないようにした状態で露光が行われている。しかし本実施形態では、酸素を含む雰囲気下で光の照射を行った方が、層23の表面の硬化があまり進まず、その上に形成される粘着層との間の密着性がより優れる傾向があり、好ましい。
第一露光部61での光の照射は、形成される一次硬化層24の硬化率、つまり第一露光部61での光の照射後の第1の光硬化性樹脂組成物の硬化率が、10%以上95%以下となる条件で行われる。一次硬化層24の硬化率は、12%以上93%以下が好ましく、15%以上90%以下がより好ましい。
一次硬化層24の硬化率が前記範囲の下限値以上であれば、一次硬化層24上に第2の光硬化性樹脂組成物を塗工して層25を形成した後に、層25中の成分が一次硬化層24に移動し、一次硬化層24中の成分が層25に移動することによる混層を抑制できる。一次硬化層24の硬化率が前記範囲の上限値以下であれば、両面粘着シートの第一粘着層21と第二粘着層22との間の層間密着性が優れたものとなる。
一次硬化層24の硬化率は、光の照射量(強度、照射時間等)によって調整できる。
硬化率(%)は、光の照射前の光硬化性樹脂組成物中の硬化性基のうち、硬化反応した硬化性基の割合を示すものである。光硬化性樹脂組成物の層(未硬化層)および一次硬化層の硬化率は、以下の方法によって計測される。
未硬化層および一次硬化層それぞれについて、反射型赤外分光器を用い、約800〜825cm−1に現れるビニル基由来のピーク値の強度を測定する。これらのピーク値から、下式1により一次硬化層の硬化率(%)を求める。
一次硬化層の硬化率(%)=(1−(「一次硬化層について測定したピーク値の強度」/「未硬化層について測定したピーク値の強度」))×100 ・・・(式1)
約800〜825cm−1のピークは他のピークと重なることがあるが、その場合はバックグラウンドとして他のピークを減じた後の値を採用する。
[工程ii]
本実施形態において、工程iiは、工程iで得た一次硬化層24の面上(第一セパレータ30側とは反対側)に、第2の光硬化性樹脂組成物を塗工して層25を形成し、次いで、層25の面上に第二セパレータ31を積層し、第一セパレータ30がある側から一次硬化層24および層25に光を照射して、2層の粘着層を得る工程である。
本実施形態では、一次硬化層24が形成された第一セパレータ30が第一露光部61から第二塗工部52に送られ、第二塗工部52にて、一次硬化層24の面上に、第2の光硬化性樹脂組成物が塗工されて層25が形成される。
貼合ロール54とバックアップロール55の間を通過する際、第二巻出しロール53によって巻き出された第二セパレータ31が層23の面上に貼合される。これにより、第一セパレータ30、一次硬化層24、層25および第二セパレータ31がこの順に積層した積層体が形成される。
形成された積層体は、バックアップロール55により第二露光部64に搬送され、第二露光部64にて光源65から紫外線が照射される。第一セパレータ30がある側から紫外線が照射されることで、一次硬化層24および層25がそれぞれ硬化して、一次硬化層24が第一粘着層21、層25が第二粘着層22となる。これにより、セパレータ付き両面粘着シート10が得られる。
第二露光部64での光の照射の際、チャンバー66内は、不活性ガス雰囲気であることが好ましい。たとえば、チャンバー66内に窒素が充填され、酸素濃度が100ppm以下に制御されていることが好ましい。チャンバー66内が不活性ガス雰囲気下となっていれば、光の照射により一次硬化層24および層25を硬化させる際に、光の照射によって生じるラジカルが酸素で失活する副反応を抑制することができる。
第二露光部64での光の照射は、第一粘着層21および第二粘着層22それぞれの硬化率が、80%以上となるように行われることが好ましい。該硬化率は、85%以上がより好ましく、88%以上が特に好ましい。各粘着層の硬化率が88%以上であれば、未硬化の硬化性化合物等の低分子量成分が少なく、両面粘着シート20の信頼性が優れる。
第二露光部64での光の照射は、一次硬化層24の硬化率と第一粘着層21の硬化率との差が、3%以上となるように行われることが好ましい。該差は、5%以上がより好ましく、10%以上が特に好ましい。該差が3%以上であれば、つまり第二露光部64での光の照射により硬化率が3%以上上昇すれば、両面粘着シート20における第一粘着層21と第二粘着層22との間の層間密着性が優れる。
該差の上限は特に限定されないが、第二露光部64での光の照射時の光の照射量の点では、75%以下が好ましい。
各粘着層の硬化率は、一次硬化層の代わりに粘着層のビニル基由来のピーク値の強度を測定する以外は、一次硬化層の硬化率と同様にして求められる。
すなわち、光硬化性樹脂組成物の層(未硬化層)、粘着層それぞれについて測定したビニル基由来のピーク値の強度から、下式2により粘着層の硬化率(%)を求める。
粘着層の硬化率(%)=(1−(「粘着層について測定したピーク値の強度」/「未硬化層について測定したピーク値の強度」))×100 ・・・(式2)
約800〜825cm−1のピークは他のピークと重なることがあるが、その場合はバックグラウンドとして他のピークを減じた後の値を採用する。
第一粘着層21と第二粘着層22との積層物である両面粘着シート20は、25℃、周波数1Hzで測定される貯蔵せん断弾性率G’が5×10〜2.5×10Paであることが好ましく、1.5×10〜1.75×10Paであることがより好ましく、3×10〜1.5×10Paであることがさらに好ましい。
両面粘着シート20の貯蔵せん断弾性率G’が前記下限値以上であれば、両面粘着シート20の形状を維持しやすい。また、両面粘着シート20を介して透明面材を表示装置の表示パネルに貼合する際に、両面粘着シート20が貼合時の圧力などで変形しにくい。また、透明面材を表示パネルに充分に固定することができる。一方、両面粘着シート20の貯蔵せん断弾性率G’が前記上限値以下であれば、表示パネルとの貼合時に、第一粘着層21と第二粘着層22との界面、透明面材や表示パネルと両面粘着シート20との界面等において気泡が発生したとしても、その気泡が短時間で消失し、残存しにくい。
第一粘着層21と第二粘着層22との積層物である両面粘着シート20は、25℃、周波数1Hzで測定される損失正接tanδが1.4以下であることが好ましく、0.05〜1.2であることがより好ましく、0.1〜1であることがさらに好ましい。
両面粘着シート20の損失正接tanδが前記下限値以上であれば、各粘着層と被貼合物(例えば、透明面材)との濡れ性がより優れる。第二粘着層22それぞれの損失正接tanδが前記上限値以下であれば、セパレータの剥離性がより優れる。
第一粘着層21の密着力と第二粘着層22の密着力とは、同じでもよく、異なってもよい。本製造方法で得られた両面粘着シート20が2層構造であることの有用性の点において、第一粘着層21の密着力と第二粘着層22の密着力とが異なることが好ましい。また、後述のように、第一粘着層21と透明面材とを貼合し、第二粘着層22と表示装置の表示パネルとを貼合する場合には、第二粘着層22の密着力が第一粘着層21の密着力より小さいことが好ましい。これにより、表示パネルに対する透明面材(保護板)の貼合位置がずれる等した場合において、一度表示パネルから透明面材を剥離して、貼合し直すこと(リワーク)が容易にできる。
第一粘着層21および第二粘着層22の密着力は、第二粘着層22の密着力が、0.2〜1.0N/25mmであり、第一粘着層21の密着力が、第二粘着層22の密着力以上であることが好ましい。
本明細書において、密着力(N/25mm)は、以下の方法によって計測されたものである。
まず、両面にセパレータが積層した両面粘着シートを長さ98mm、幅25mmとなるようにカットし、評価片を得る。そして、密着力を測定する面(以下、「測定面」という。)に貼着したセパレータを部分的に剥離して測定面を露出させ、該測定面を、エタノール拭きした2mm厚のガラス板(旭硝子社製、商品名:フロート板ガラス)に貼合し、長さ方向に30mmだけ、ガラス板と測定面とが貼合された状態にする。
次に、両面粘着シートの端部を、ガラス板の表面に対して90°上方に、引っ張り試験機(オートグラフ、島津製作所社製)を用いて引張し、残りの部分を剥離させる。剥離させる速度は、50mm/分となるようにし、両面粘着シートの剥離に要した力を密着力とする。
第一粘着層21および第二粘着層22それぞれの密着力は、各粘着層を形成する光硬化性樹脂組成物(第2の光硬化性樹脂組成物、第1の光硬化性樹脂組成物)の組成によって調整できる。
たとえば、光硬化性樹脂組成物において、後述する硬化性ポリマー(A1)、硬化性モノマー(A2)および連鎖移動剤(D)の含有割合が多いほど、形成される粘着層の密着力を大きくできる傾向にある。
両面粘着シート20の厚さは、100〜2000μm程度が好ましく、200〜800μm程度がより好ましい。両面粘着シート20の厚さが前記下限値以上であれば、透明面材と表示パネルとを貼合した際に、透明面材側からの外力による衝撃等を両面粘着シート20が効果的に緩衝し、表示パネルを保護できる。また、透明面材と表示パネルとの間に両面粘着シート20の厚さを超えない異物が混入しても、両面粘着シート20の厚さが大きく変化することがなく、光透過性能への影響が少ない。一方、両面粘着シート20の厚さが前記上限値以下であれば、両面粘着シート20を介して透明面材を表示パネルに貼合しやすく、表示装置の全体の厚さが不要に厚くならない。
本実施形態において、両面粘着シート20の厚さは、第一粘着層21の厚さと、第二粘着層22の厚さとを合わせた厚さである。
第一粘着層21の厚さと、第二粘着層22の厚さとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。たとえば、図2においては、第一粘着層21および第二粘着層22は同程度の厚さで記載されているが、一方の粘着層の厚さを、他方の粘着層の厚さに比べて十分に小さくしてもよい。
第一粘着層21の貯蔵せん断弾性率G’と第二粘着層22の貯蔵せん断弾性率G’とが異なる場合は、貯蔵せん断弾性率G’の大きい方の粘着層の厚さを、貯蔵せん断弾性率G’の小さい方の粘着層の厚さよりも薄くすることが好ましい。
第一粘着層21、第二粘着層22それぞれの厚さは、100μm以上が好ましく、200μm以上がより好ましい。第一粘着層21、第二粘着層22それぞれの厚さが前記下限値以上であれば、膜厚偏差が均一なフィルムが作製できる。
第一粘着層21、第二粘着層22それぞれの厚さの上限は、両面粘着シート20の厚さに応じて設定され、特に限定されないが、第一粘着層21および第二粘着層22のうちのいずれか一方の粘着層の厚さが1000μm以下であることが好ましく、500μm以下がより好ましい。
本製造方法では、一次硬化層を形成した後、その上に第2の光硬化性樹脂組成物を塗工するため、個々の粘着層に自立性は要求されない。そのため、本製造方法では、薄い粘着層を含む両面粘着シートを製造できる。
また、第一粘着層21の厚さと第二粘着層22の厚さとの比を容易に、幅広い範囲で変更可能である。第一粘着層21の厚さと第二粘着層22の厚さとの比は、特に限定されないが、第一粘着層21の厚さ(μm):第二粘着層22の厚さ(μm)=9:1〜1:9が好ましく、3.5:1〜1:3.5がより好ましい。
本実施形態で得られた両面粘着シート20は、必要に応じて切断され、個片化される。切断は、レーザーカッター、回転刃等の公知の切断手段を用いて行うことができる。両面粘着シートが柔らかく、たとえば、貯蔵せん断弾性率G’が100kPaより小さい場合には、切断後の再付着を防止する面から、レーザーカッターを用いて切断することが好ましい。
以上、本製造方法について、実施形態を示して説明したが、本製造方法は上記実施形態に限定されない。上記実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
たとえば、本製造方法は、製造装置100を用いて製造する場合に限定されず、例えば、工程iおよび工程iiをそれぞれ別々の装置を用いて実施してもよい。
両面粘着シート20は、たとえば、透明面材と、該透明面材の少なくとも一方の面に積層した両面粘着シートとを備える両面粘着シート付き透明面材を製造する用途、透明面材と、該透明面材の少なくとも一方の面に積層した両面粘着シートと、該両面粘着シートを介して前記透明面材と貼合された表示パネルとを備える表示装置を製造する用途等に用いられる。
[光硬化性樹脂組成物]
本製造方法において用いられる第1の光硬化性樹脂組成物および第2の光硬化性樹脂組成物について説明する。以下、単に「光硬化性樹脂組成物」という場合は、第1の光硬化性樹脂組成物および第2の光硬化性樹脂組成物の両方を示すものとする。
光硬化性樹脂組成物は、無溶剤型である。光硬化性樹脂組成物は、乾燥工程が省ける点、時間とエネルギーを省くことができる点で、溶剤を含まないことが最も好ましい。
光硬化性樹脂組成物の25℃における粘度(以下、「粘度(25℃)」ともいう。)は、10〜100000mPa・sが好ましく、100〜50000mPa・sがより好ましく、1000〜10000mPa・sが特に好ましい。光硬化性樹脂組成物の粘度(25℃)が前記範囲内にあれば、塗工により光硬化性樹脂組成物の層(未硬化層)を形成しやすい。
光硬化性樹脂組成物の粘度は、B型粘度計を用いて測定される。
光硬化性樹脂組成物は、硬化性基を有する硬化性化合物(A)および光重合開始剤(B)を含む。必要に応じて、光重合開始剤(B)以外の他の非硬化性成分が含まれてもよい。非硬化性成分としては、非硬化性ポリマー(C)、連鎖移動剤(D)、他の添加剤等が挙げられる。
{硬化性化合物(A)}
硬化性化合物(A)の硬化性基としては、付加重合性の不飽和基(アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等)、不飽和基とチオール基との組み合わせ等が挙げられる。硬化速度が速い点および透明性の高い粘着層が得られる点から、アクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基からなる群から選ばれる基が好ましい。
硬化性化合物(A)は、以下の硬化性ポリマー(A1)と、以下の硬化性モノマー(A2)とを含むことが好ましい。硬化性ポリマー(A1)と硬化性モノマー(A2)とを含むことで、光硬化性樹脂組成物の粘度を好ましい範囲に調整しやすい。
硬化性ポリマー(A1):硬化性基を有し、数平均分子量が1000〜100000であるポリマー。
硬化性モノマー(A2):硬化性基を有し、分子量が125〜600であるモノマー。
硬化性ポリマー(A1)における硬化性基と、硬化性モノマー(A2)における硬化性基とは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
比較的高分子量の硬化性ポリマー(A1)における硬化性基は、比較的低分子量の硬化性モノマー(A2)における硬化性基よりも反応性が低くなりやすい。そのため、硬化性モノマー(A2)の硬化が先に進んで急激に組成物全体の粘性が高まり、硬化反応が不均質となるおそれがある。両者の硬化性基の反応性の差を小さくし、均質な粘着層を得るために、硬化性ポリマー(A1)の硬化性基を比較的反応性の高いアクリロイルオキシ基とし、硬化性モノマー(A2)の硬化性基を比較的反応性の低いメタクリロイルオキシ基とすることがより好ましい。
硬化反応に必要な時間を短縮したり、粘着層の粘着力を高めるためには、硬化性ポリマー(A1)と硬化性モノマー(A2)の硬化性基をいずれもアクリロイルオキシ基とすることが好ましい。
「硬化性ポリマー(A1)」
硬化性ポリマー(A1)の数平均分子量(Mn)は、1000〜100000であり、10000〜70000が好ましい。硬化性ポリマー(A1)の数平均分子量がこの範囲であると、光硬化性樹脂組成物の粘度を前記範囲に調整しやすい。
硬化性ポリマー(A1)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)の測定によって得られた、ポリスチレン換算の数平均分子量である。
なお、GPCの測定において、未反応の低分子量成分(モノマー等)のピークが現れる場合は、ピークを除外して数平均分子量を求める。
硬化性ポリマー(A1)としては、光硬化性樹脂組成物の硬化性、形成される粘着層の機械的特性の点から、分子中における硬化性基の数が2個以上4個以下であるものが好ましく、2個または3個がより好ましい。なお、硬化性化合物(A)の製造時に硬化性基を有さない副生成物が生じる場合も考慮すると、硬化性化合物(A)の硬化性基の平均数は1.8〜4が好ましく、1.8〜3がより好ましい。
硬化性ポリマー(A1)としては、ウレタン結合を有するウレタン(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンポリオールのポリ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリオールのポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ウレタン鎖の分子設計等によって硬化後の樹脂の機械的特性、面材との密着性等を幅広く調整できる点から、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートのなかでも、ポリオールおよびポリイソシアネートを原料に用いて合成されたウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。ポリオールはポリオキシアルキレンポリオールが好ましい。
数平均分子量が30000〜100000の範囲のウレタン(メタ)アクリレートは、高粘度となるため、通常の方法では合成が難しく、合成できたとしても硬化性モノマー(A2)との混合が難しい。そのため、ウレタン(メタ)アクリレートを、硬化性モノマー(A2)(下記のモノマー(A21)および(A22))を用いる合成方法で合成した後、得られた生成物をそのまま、または得られた生成物をさらに硬化性モノマー(A2)(下記のモノマー(A21)、モノマー(A23)等)で希釈して、光硬化性樹脂組成物に用いることが好ましい。
・モノマー(A21):硬化性基を有し、かつイソシアネート基と反応する基を有さないモノマー。
・モノマー(A22):硬化性基を有し、かつイソシアネート基と反応する基を有するモノマー。
・モノマー(A23):硬化性基を有し、かつ水酸基およびカルボキシ基のいずれか一方または両方を有するモノマー。
硬化性モノマー(A2)を用いるウレタン(メタ)アクリレートの合成方法としては、たとえば、希釈剤としてモノマー(A21)の存在下、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてイソシアネート基を有するプレポリマーを得た後、該プレポリマーのイソシアネート基に、モノマー(A22)を反応させる方法が挙げられる。
ポリオール、ポリイソシアネートとしては、公知の化合物、たとえば、国際公開第2009/016943号パンフレットに記載のウレタン系オリゴマー(a)の原料として記載された、ポリオール(i)、ジイソシアネート(ii)等が挙げられ、本明細書に組み入れられる。
硬化性ポリマー(A1)は、1種を単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
「硬化性モノマー(A2)」
硬化性モノマー(A2)の分子量は125〜600であり、140〜400が好ましい。硬化性モノマー(A2)の分子量が125以上であると、減圧手段を用いて粘着層を形成するような場合にモノマーの揮発が抑えられる。硬化性モノマー(A2)の分子量が600以下であると、粘着層の密着性が良好である。
硬化性モノマー(A2)は、光硬化性樹脂組成物の硬化性、形成される粘着層の機械的特性の点から、硬化性基を1分子あたり1個〜3個有するものが好ましい。
硬化性モノマー(A2)としては、前述のモノマー(A21)〜(A23)等が挙げられる。
モノマー(A21)としては、炭素数8〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート、イソオクタデシル(メタ)アクリレート、n−ベヘニル(メタ)アクリレート等)、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等)が挙げられる。これらの中では、n−デシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、n−ドデシルメタクリレートが好ましい。
モノマー(A22)としては、活性水素(水酸基、カルボキシ基、アミノ基等)および硬化性基を有するモノマーが挙げられる。具体的には、炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等)等が挙げられる。
モノマー(A23)としては、モノマー(A22)のうち、水酸基またはカルボキシ基を有するものが挙げられる。
モノマー(A22)、モノマー(A23)としては、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキルアクリレートが好ましく、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートが特に好ましい。
硬化性モノマー(A2)は、1種を単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
硬化性モノマー(A2)は、硬化性基を有し、かつ水酸基を有するモノマー(A23)を含むことが好ましい。モノマー(A23)を含むと、透明面材や表示パネル等と粘着層との良好な密着性が得られやすい。また、モノマー(A23)は、非硬化性ポリマー(C)の安定化に寄与する。
硬化性モノマー(A2)は、モノマー(A23)とともに、モノマー(A21)を含むことが好ましい。モノマー(A21)を含むと、相溶性が優れる。
「含有割合」
硬化性ポリマー(A1)の含有割合は、硬化性化合物(A)の全体(100質量%)のうち、1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましい。硬化性ポリマー(A1)の割合が1質量%以上であると、粘着層の耐熱性が良好である。硬化性ポリマー(A1)の割合が90質量%以下であると、光硬化性樹脂組成物の硬化性、粘着層の透明面材に対する密着性等が良好である。
硬化性モノマー(A2)の含有割合は、硬化性化合物(A)の全体(100質量%)のうち、10〜99質量%が好ましく、20〜95質量%がより好ましい。硬化性モノマー(A2)の割合が10質量%以上であると、光硬化性樹脂組成物の硬化性、粘着層の透明面材に対する密着性等が良好である。硬化性モノマー(A2)の割合が99質量%以下であると、粘着層の耐熱性が良好である。
硬化性モノマー(A2)がモノマー(A23)を含む場合、モノマー(A23)の含有割合は、硬化性化合物(A)の全体(100質量%)のうち、10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。モノマー(A23)の含有割合が10質量%以上であると、透明面材や表示パネル等と粘着層との密着性向上効果、光硬化性樹脂組成物の安定性向上効果等が充分に得られやすい。
硬化性化合物(A)中の硬化性ポリマー(A1)と硬化性モノマー(A2)との合計の含有割合は、硬化性化合物(A)の全体(100質量%)のうち、60質量%以上が好ましく、100質量%が特に好ましい。すなわち、硬化性化合物(A)は、硬化性ポリマー(A1)と硬化性モノマー(A2)とからなることが特に好ましい。
{光重合開始剤(B)}
光重合開始剤(B)としては、アセトフェノン系、ケタール系、ベンゾインまたはベンゾインエーテル系、フォスフィンオキサイド系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、キノン系等の光重合開始剤が挙げられる。これらの中では、フォスフィンオキサイド系、チオキサントン系の光重合開始剤が好ましい。光重合反応後に着色を抑える面ではフォスフィンオキサイド系が特に好ましい。高強度の光照射による光重合反応を行う場合には、アセトフェノン系の光重合開始剤を用いると、硬化速度を高めることができるため、好ましい。
光重合開始剤(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
光硬化性樹脂組成物における光重合開始剤(B)の含有割合は、硬化性化合物(A)の全体100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましい。
{非硬化性ポリマー(C)}
非硬化性ポリマー(C)は、光硬化性樹脂組成物の硬化時に組成物中の硬化性化合物(A)と硬化反応しないポリマーである。非硬化性ポリマー(C)は、不揮発性希釈剤として機能する。
非硬化性ポリマー(C)の数平均分子量(Mn)は、1000〜10000が好ましく、1500〜9000がより好ましく、2000〜8000が特に好ましい。非硬化性ポリマー(C)の数平均分子量がこの範囲であると、硬化性化合物(A)との相溶性を高くできる。
非硬化性ポリマー(C)の数平均分子量は、硬化性ポリマー(A1)の数平均分子量と同様にして測定される。
非硬化性ポリマー(C)としては、水酸基を有するものが好ましい。
非硬化性ポリマー(C)の1分子当たりの水酸基数は、0.8個〜3個が好ましく、1.8個〜2.3個がより好ましい。
水酸基を含有する非硬化性ポリマー(C)の例としては、高分子量のポリオールなどが挙げられる。水酸基を有する非硬化性ポリマー(C)は、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、またはポリカーボネートポリオールが好ましい。
ポリオキシアルキレンポリオールとしては、たとえば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、分枝構造を有するポリオキシプロピレングリオール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコールが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの脂肪族ジオールの残基とグルタル酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸の残基とを有する脂肪族系ポリエステルジオールが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、たとえば、1,6−ヘキサンジオールなどのジオール残基を有する脂肪族ポリカーボネートジオール、脂肪族環状カーボネートの開環重合体などの脂肪族ポリカーボネートジオールが挙げられる。
非硬化性ポリマー(C)としては、粘着層の弾性率がより低くなりやすい点で、ポリオキシアルキレンポリオールが好ましく、ポリオキシプロピレンポリオールが特に好ましい。ポリオキシプロピレンポリオールのオキシプロピレン基の一部がオキシエチレン基で置換されてもよい。
硬化性ポリマー(A1)が、ポリオキシアルキレンポリオールおよびポリイソシアネートを原料に用いて合成されたウレタン(メタ)アクリレートであり、非硬化性ポリマー(C)がポリオキシアルキレンポリオールであることが、相溶性の点で好ましい。
非硬化性ポリマー(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
光硬化性樹脂組成物中の非硬化性ポリマー(C)は、減圧または常圧雰囲気下で両面粘着シート付き透明面材と表示パネル等とを貼合した後、大気圧雰囲気下において、表示パネルと両面粘着シートとの界面に生じた気泡が消失するのに必要な時間の短縮に寄与する。光硬化性樹脂組成物中の非硬化性ポリマー(C)の含有割合が少なすぎると、所定の効果が得られず、多すぎると、粘着層の硬化が不充分となるおそれがある。粘着層の硬化が不十分であると、硬化後の粘着層から、該粘着層に貼着したセパレータ(第一セパレータ30、第二セパレータ31)を剥離することが困難となる場合がある。
したがって、光硬化性樹脂組成物における非硬化性ポリマー(C)の含有割合は、光硬化性樹脂組成物の全体(100質量%)のうち、10〜90質量%であることが好ましく、該範囲内で、上記の不都合が生じないように、他の成分とのバランスも考慮して設定されることが好ましい。
{連鎖移動剤(D)}
連鎖移動剤(D)は、ラジカル重合によって成長するポリマーからラジカルを受け取り、ポリマーの伸長を抑制する。そのため、連鎖移動剤(D)の含有割合を調節することによって、硬化物の分子量、粘着層の貯蔵せん断弾性率G’、密着力等を調節することができる。
連鎖移動剤(D)としては、たとえば、チオール基を有する化合物(n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)等が挙げられる。
光硬化性樹脂組成物が連鎖移動剤(D)を含む場合、その配合割合は、光硬化性樹脂組成物の全体(100質量%)のうち、0.1質量%以上が好ましい。連鎖移動剤(D)を0.1質量%以上含むと、粘着層の貯蔵せん断弾性率G’が低くなり、表示装置との貼合後に貼合時の空隙が消失しやすい。
また、連鎖移動剤(D)の含有割合は、光硬化性樹脂組成物の全体(100質量%)のうち、1.5質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がさらに好ましい。連鎖移動剤(D)の含有割合が1.5質量%以下であれば、硬化物の分子量が小さくなりすぎず、高温保管時に粘着層の形状が変化しにくい等、耐久性が優れる。
{他の添加剤}
必要に応じて含んでもよい他の添加剤としては、たとえば、重合禁止剤、光硬化促進剤、光安定剤(紫外線吸収剤、ラジカル捕獲剤等)、酸化防止剤、難燃化剤、接着性向上剤(シランカップリング剤、タッキファイヤ等)、顔料、染料等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記のうち、重合禁止剤、光安定剤、熱安定剤等を含むことが好ましい。特に、重合開始剤より少ない量の重合禁止剤を含むことにより、光硬化性樹脂組成物の安定性を改善でき、硬化後の分子量も調整できる。また、光安定剤や熱安定剤を含むことにより、光硬化性樹脂組成物やその硬化物である粘着層の安定性を高めることができる。
重合禁止剤としては、たとえば、ハイドロキノン系(2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン等)、カテコール系(p−t−ブチルカテコール等)、アンスラキノン系、フェノチアジン系、ヒドロキシトルエン系等が挙げられる。
光安定剤としては、たとえば、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒドロキシフェニトリアジン系、サリチレート系等)、ラジカル捕獲剤(ヒンダードアミン系)等が挙げられる。
酸化防止剤としては、たとえば、リン系、イオウ系の化合物が挙げられる。
他の添加剤の合計量は、硬化性化合物(A)の全体100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
本発明において用いられる光硬化性樹脂組成物としては、硬化性基を有し数平均分子量が1000〜100000である硬化性ポリマー(A1)、硬化性基を有し分子量が125〜600である硬化性モノマー(A2)、光重合開始剤(B)、および非硬化性ポリマー(C)を含むものが好ましい。
該光硬化性樹脂組成物は、連鎖移動剤(D)をさらに含むことが好ましい。
該光硬化性樹脂組成物においては、透明面材(ガラス基板等)への密着安定性を向上できる点で、硬化性ポリマー(A1)、硬化性モノマー(A2)および非硬化性ポリマー(C)のうちの少なくとも一種が、水酸基およびカルボキシ基のいずれか一方または両方を有することが好ましい。
硬化性モノマー(A2)として、水酸基およびカルボキシ基のいずれか一方または両方を有するもの(たとえばモノマー(A23))を含む場合、硬化性モノマー(A2)として、水酸基およびカルボキシ基を有しないもの(たとえばモノマー(A21))をさらに含んでもよい。硬化性ポリマー(A1)、非硬化性ポリマー(C)においても同様である。
第1の光硬化性樹脂組成物と第2の光硬化性樹脂組成物とは、同じものであってもよく、異なるものであってもよい。本発明の有用性の点では、異なるものであることが好ましい。
第1の光硬化性樹脂組成物と第2の光硬化性樹脂組成物とが異なるものであれば、第二粘着層22の特性と第一粘着層21の特性とを異なるものとすることができ、両面粘着シートを多層構造とすることの有用性が高い。たとえば第二粘着層22の粘着力と第一粘着層21の粘着力とを変えて、表示装置等の製造におけるリワーク性等の向上を図ることができる。
[セパレータ]
本製造方法で用いられるセパレータ(第一セパレータ30、および第二セパレータ31)は、粘着層(第一粘着層21、第二粘着層22)と強固に密着しないものが好ましい。
セパレータとしては、下記(1)または(2)が好ましい。
(1)フィルム基材の少なくとも片面(粘着層と接する面)に離型剤が塗工されたフィルム。
(2)密着性の比較的低い樹脂のフィルム。
前記(1)におけるフィルム基材としては、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等が挙げられる。離型剤としては、たとえばシリコーン樹脂等が挙げられる。
前記(2)における密着性の比較的低い樹脂としては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂等が挙げられる。
外部から気体(酸素ガス、窒素ガス、水蒸気等)がセパレータを透過して粘着層に混入するのを防止するために、セパレータの一部(フィルムの表面、多層構造のフィルムの層間等)にガスバリア層が設けられてもよい。
セパレータの粘着層との密着力は、適宜設定される。
セパレータの厚さは、セパレータとして離型剤が塗工されたPETフィルム等の硬いフィルムを用いる場合には、0.025mm〜0.175mmが好ましく、0.038mm〜0.125mmがさらに好ましい。セパレータとしてポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の比較的柔軟なフィルムを用いる場合には、0.04mm〜0.2mmが好ましく、0.06mm〜0.1mmがさらに好ましい。
セパレータの厚さが前記下限値以上であると、粘着層からセパレータを剥離する際に粘着層の変形を抑えることができる。一方、セパレータの厚さが前記上限値以下であると、剥離時にセパレータが撓みやすく、剥離させることが容易である。
第一セパレータ30と第二セパレータ31は、第一セパレータ30と第一粘着層21との密着力と、第二セパレータ31と第二粘着層22との密着力とで密着力に差が出るように材料を選定することが好ましい。
<両面粘着シート付き透明面材の製造方法>
本発明の両面粘着シート付き透明面材の製造方法は、
前述の本製造方法により得られた両面粘着シートを透明面材の少なくとも一方の主面上に貼合する工程を有することを特徴とする。
以下、図4に示す両面粘着シート付き透明面材80を製造する場合を例に挙げて、本発明の両面粘着シート付き透明面材の製造方法の実施形態を説明する。
両面粘着シート付き透明面材80は、図4に示すように、透明面材81と、遮光印刷部82と、両面粘着シート20と、第二セパレータ31と、を備える。両面粘着シート20は、第一粘着層21と第二粘着層22とが積層したものである。
本実施形態においては、前述のセパレータ付き両面粘着シート10を製造し、所定の大きさに両面粘着シート10を切り出し、セパレータ付き両面粘着シート10から第一セパレータ30を剥離して透明面材81の一方の主面(以下、「上面」ともいう。)で遮光印刷部82を有する面に貼合することにより、両面粘着シート付き透明面材80を製造する。
[透明面材]
透明面材81は、ガラス板や透明樹脂板などが使用される。表示パネルの画像表示面側に設けられて表示パネルを保護する場合には保護板として機能する。
透明面材81の平面視形状は、特に限定されず、透明面材81が貼合される被貼合物(例えば、表示パネル。)の形状に応じて適宜設定できる。
透明面材81を保護板として使用する場合、表示パネルからの射出光や反射光に対して透明性が高い点、耐光性、低複屈折性、高い平面精度、耐表面傷付性、高い機械的強度を有する点から、透明面材81の材料は、ガラス板が好ましい。
ガラス板の材料としては、ソーダライムガラス等のガラス材料が挙げられ、鉄分がより低く、青みの少ない高透過ガラス(白板ガラス)がより好ましい。安全性を高めるために表面材として強化ガラスを用いてもよい。特に薄いガラス板を用いる場合には、化学強化を施したガラス板を用いることが好ましい。
透明樹脂板の材料としては、透明性の高い樹脂材料(ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等)が挙げられる。
透明面材81は、一方向に湾曲した板でもよい。たとえば、両面粘着シート付き透明面材80を厚みの薄い表示パネルに貼合する際には、透明面材81の湾曲した方向と同方向に表示パネルを湾曲させて、表示パネルに両面粘着シート付き透明面材80を貼合する。
透明面材81は、両面粘着シートを設けない面(以下、「下面」ともいう。)に機能層を設けてもよい、機能層は、透明面材81が使用される用途に応じて自由に設計される。例えば、透明面材81を保護板として使用する場合には、反射防止膜が設けられる。反射防止膜を設けると、表示画像のコントラストを高めることができる。
なお、機能層は透明面材に直接積層してもよく、樹脂フィルム等に機能層を積層し、樹脂フィルムを透明面材に接着剤などを介して貼合して設けてもよい。
透明面材81は、使用する目的に応じて、透明面材81の一部または全体を着色したり、透明面材81の主面の一部または全体を磨りガラス状にして光を散乱させたり、透明面材81の主面の一部または全体に微細な凹凸等を形成して透過光を屈折または反射させたりしてもよい。また、着色フィルム、光散乱フィルム、光屈折フィルム、光反射フィルム等を、透明面材81の主面の一部または全体に貼着してもよい。
透明面材81の厚さは、機械的強度、透明性の点から、ガラス板の場合は通常0.2mm〜25mmである。屋内で使用するテレビ受像機、PC用ディスプレイ等の用途では、表示装置の軽量化の点から、0.3mm〜6mmが好ましく、屋外に設置する公衆表示用途では、0.4mm〜20mmが好ましい。化学強化ガラスを用いる場合は、ガラスの厚さは、強度の点で、0.2mm〜1.5mm程度が好ましい。透明樹脂板の場合は、2mm〜10mmが好ましい。
[遮光印刷部]
遮光印刷部82は、枠状に形成された、加飾印刷部である。遮光印刷部82は、表示パネルの画像表示領域以外が透明面材81側から視認できないようにして、表示パネルに接続されている配線部材等を隠蔽する。
なお、本実施形態では、透明面材81の上面に遮光印刷部82を設けているが、遮光印刷部82は必須の構成要素では無い。
遮光印刷部82は、図4に示すように透明面材81の上面に設けてもよく、図4とは異なり、下面に設けてもよい。遮光印刷部82と画像表示領域との視差を低減する点では、遮光印刷部82は、透明面材81の上面に形成することが好ましい。
透明面材81がガラス板の場合、遮光印刷部82に黒色顔料を含むセラミック印刷を用いると遮光性が高く好ましい。
遮光印刷部82は、公知の方法により形成できる。たとえばスクリーン印刷法が挙げられる。また、予め遮光印刷部82が形成された透明面材81を用いてもよい。
以上、本発明の両面粘着シート付き透明面材の製造方法について、実施形態を示して説明したが、本発明の両面粘着シート付き透明面材の製造方法は上記実施形態に限定されない。上記実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
たとえば、両面粘着シート付き透明面材80は、透明面材81の上面にのみ両面粘着シート20が設けられている構成であるが、透明面材81の上面及び下面の両方に両面粘着シート20が設けられる構成としてもよい。この場合、上面に設けられる両面粘着シートと、下面に設けられる両面粘着シートとは、同じ物を用いてもよく、異なるものを用いてもよい。
<表示装置の製造方法>
本発明の表示装置の製造方法は、
透明面材と表示パネルとを前述の本製造方法で得られた両面粘着シートを介して貼合する工程を有することを特徴とする。
以下、図5に示す表示装置1000を製造する場合を例に挙げて、本発明の表示装置の製造方法の実施形態を説明する。
図5は、本発明における表示装置の一実施形態を示す断面図である。
表示装置1000は、両面粘着シート付き透明面材80と、表示パネル90と、表示パネル90に接続されたフレキシブルプリント配線板99とを備える。
両面粘着シート付き透明面材80は、両面粘着シート20における第二粘着層22が表示パネル90に接するように、表示パネル90に貼合されている。
表示パネル90は、カラーフィルタを設けた透明基板92と、TFT(薄膜トランジスタ)を設けた透明基板94とを、液晶層96を介して貼合し、これを一対の偏光板98で挟んだ構成の液晶パネルである。
フレキシブルプリント配線板99は、表示パネル90を動作させる駆動ICを搭載したものである。
本実施形態においては、前述の方法で両面粘着シート付き透明面材80を製造する。
次いで、両面粘着シート付き透明面材80から第二セパレータ31を剥離して両面粘着シート20を露出させ、表示パネル90を貼合する。これにより、表示装置1000が得られる。
本発明の表示装置の製造方法の他の実施形態としては、表示パネルに両面粘着シートを貼合し、次いで、両面粘着シートの他面を透明面材に貼合する製造方法が挙げられる。
以上、本発明の表示装置の製造方法について、実施形態を示して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。上記実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
たとえば、本発明の表示装置の製造方法により製造される表示装置は表示装置1000に限定されない。
両面粘着シート付き透明面材は、本発明の製造方法により製造されるものであれば両面粘着シート付き透明面材80に限定されない。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
〔製造例1:硬化性ポリマーの製造〕
分子末端をエチレンオキシドで変性した2官能のポリプロピレングリコール(数平均分子量:4000)と、イソホロンジイソシアネートとを、ポリプロピレングリコール:イソホロンジイソシアネート=4:5のモル比で混合し、錫化合物の触媒存在下で、70℃で反応させてプレポリマーを得た。
得られたプレポリマーと、2−ヒドロキシエチルアクリレートとを、プレポリマー:2−ヒドロキシエチルアクリレート=ほぼ1:2のモル比で加えて70℃で反応させて、ウレタンアクリレートポリマー(以下、UA−1と記す。)を得た。
UA−1の1分子あたりの硬化性基数は2であり、数平均分子量は約24000であり、25℃における粘度は約830Pa・sであった。
〔製造例2:光硬化性樹脂組成物D1の製造〕
UA−1の50質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業製、4HBA)の20質量部、n−ドデシルアクリレート(共栄社化学製、ライトアクリレート(登録商標)L−A LA)の30質量部を均一に混合し、該混合物の100質量部に、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(光重合開始剤、BASF社製、IRGACURE(登録商標) 819)の0.5質量部、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン(重合禁止剤、東京化成社製、DTBHQ)の0.08質量部、n−ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤、花王社製、チオカルコール(登録商標)20)の0.5質量部、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5-ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](酸化防止剤、BASF社製、IRGANOX(登録商標)1010)の0.5質量部、およびベンゼンプロパン酸,3−(2H−べンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−,C7−9側鎖及び直鎖アルキルエステル(紫外線吸収剤、BASF社製、Tinuvin(登録商標)384−2)の0.3質量部を均一に溶解させて、組成物PD1を得た。
次に、組成物PD1の60質量部と、非硬化性成分(C−1)の20質量部と、非硬化性成分(C−2)の20質量部とを均一に溶解させて光硬化性樹脂組成物D1を得た。
非硬化性成分(C−1)としては、分子末端をエチレンオキシドで変性した2官能のポリプロピレングリコール(数平均分子量:4000)を用いた。
非硬化性成分(C−2)としては、分子末端をエチレンオキシドで変性した3官能のポリプロピレングリコール(数平均分子量:6200)を用いた。
光硬化性樹脂組成物D1の25℃における粘度は3000mPa・sであった。
〔製造例3:光硬化性樹脂組成物D2の製造〕
UA−1の50質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業製、4HBA)の10質量部、n−ドデシルアクリレート(共栄社化学製、ライトアクリレートL−A LA)の40質量部を均一に混合し、該混合物の100質量部に、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(光重合開始剤、BASF社製、IRGACURE 819)の0.5質量部、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン(重合禁止剤、東京化成社製、DTBHQ)の0.08質量部、n−ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤、花王社製、チオカルコール20)の0.2質量部、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5-ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](熱安定剤、BASF社製、IRGANOX1010)の0.5質量部、およびベンゼンプロパン酸,3−(2H−べンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−,C7−9側鎖及び直鎖アルキルエステル(紫外線吸収剤、BASF社製、Tinuvin384−2)の0.3質量部を均一に溶解させて、組成物PD2を得た。
次に、組成物PD2の60質量部と、非硬化性成分(C−1)の20質量部と、非硬化性成分(C−2)の20質量部とを均一に溶解させて光硬化性樹脂組成物D2を得た。
非硬化性成分(C−1)と非硬化性成分(C−2)はそれぞれ、製造例2で用いたものと同じである。
光硬化性樹脂組成物D2の25℃における粘度は2700mPa・sであった。
〔評価方法〕
後述の各例で用いた評価方法は以下の通りである。
(硬化率)
一次硬化層、粘着層、それらの形成に用いた光硬化性樹脂組成物の塗工により形成した未硬化層それぞれについて、反射型赤外分光器を用い、約800〜825cm−1に現れるビニル基由来のピーク値を測定した。
一次硬化層の硬化率は以下の式1により算出した。
一次硬化層の硬化率(%)=(1−(「一次硬化層について測定したピーク値の強度」/「未硬化層について測定したピーク値の強度」))×100 ・・・(式1)
粘着層の硬化率は以下の式2により算出した。
粘着層の硬化率(%)=(1−(「粘着層について測定したピーク値の強度」/「未硬化層について測定したピーク値の強度」))×100 ・・・(式2)
約800〜825cm−1のピークは他のピークと重なることがあるが、その場合はバックグラウンドとして他のピークを減じた後の値を採用した。
(フィルム剥離時層間剥離)
得られたセパレータ付き両面粘着シートについて、厚さ125μmのセパレータまたは厚さ75μmのセパレータを剥がした際に、1層目の粘着層と2層目の粘着層との層間で樹脂が剥離しないかを観察した。
(層間密着力)
得られたセパレータ付き両面粘着シートから、試験片(25mm×100mm)を切りだし、厚さ125μmのセパレータをはがし、露出した粘着層を長さ74mm、幅68mm、厚さ1.3mmのソーダライムガラス板に貼りつけた。次いで、厚さ75μmのセパレータを剥離し、粘着剤つきPETフィルム(ポリエステル粘着テープ、日東電工社製、No.31B35ハイ)に貼り替えた。これにより、ソーダライムガラス板/1層目の粘着層/2層目の粘着層/粘着剤つきPETフィルムの構成の積層体1を得た。
得られた積層体1について、層間密着力を、90°ピール試験(JIS Z0237の引き剥がし粘着力試験に準拠)によって室温で評価した。具体的には、2層目の粘着層の端部を、粘着剤つきPETフィルムごとチャックでつかんで90°に折り返し、50mm/secの速度で引き剥がした時の粘着力(N/25mm)で評価した。
(ガラス−粘着層の密着力)
以下の手順で、両面粘着シートの1層目または2層目の粘着層側におけるガラス板に対する密着力(ガラス−粘着層の密着力)を評価した。
セパレータ付き両面粘着シートから、試験片(100mm×100mm)を切りだし、厚さ125μmのセパレータをはがして粘着剤つきPETフィルム(ポリエステル粘着テープ、日東電工社製、No.31B35ハイ)に貼り替え、スリット状(25mm×100mm)サンプルに加工した。スリット状サンプルの厚さ75μmのセパレータをはがし、露出した粘着層を長さ100mm、幅100mm、厚さ1.3mmの化学強化ガラス板に貼りつけた。これにより、化学強化ガラス板/2層目の粘着層/1層目の粘着層/粘着剤つきPETフィルムの構成の積層体2を得た。
得られた積層体2について、2層目の粘着層側におけるガラス−粘着層の密着力を、90°ピール試験(JIS Z0237の引き剥がし粘着力試験に準拠)によって室温で評価した。具体的には、1層目および2層目の粘着層の端部を、粘着剤つきPETフィルムごとチャックでつかんで90°に折り返し、50mm/secの速度で引き剥がした時の粘着力(N/25mm)で評価した。
最初に厚さ75μmのセパレータをはがし、積層体2の構成を化学強化ガラス板/1層目の粘着層/2層目の粘着層/粘着剤つきPETフィルムとした以外は上記と同様にして、1層目の粘着層側におけるガラス−粘着層の密着力を評価した。
(偏光板−粘着層の密着力)
以下の手順で、両面粘着シートの1層目または2層目の粘着層側における偏光板に対する密着力(偏光板−粘着層の密着力)を評価した。
得られたセパレータ付き両面粘着シートから、試験片(100mm×100mm)を切りだし、厚さ125μmのセパレータをはがして粘着剤つきPETフィルム(ポリエステル粘着テープ、日東電工社製、No.31B35ハイ)に貼り替え、スリット状(25mm×100mm)サンプルに加工した。スリット状サンプルの厚さ75μmのセパレータはがし、露出した粘着層を液晶ディスプレイ(LCD)パネル(DELL社製、P2214Hb)表面の偏光板層に貼りつけた。これにより、化学強化ガラス板/2層目の粘着層/1層目の粘着層/LCDパネルの構成の積層体3を得た。
得られた積層体3について、2層目の粘着層側における偏光板−粘着層の密着力を、90°ピール試験(JIS Z0237の引き剥がし粘着力試験に準拠)によって室温で評価した。具体的には、1層目および2層目の粘着層の端部を、粘着剤つきPETフィルムごとチャックでつかんで90°に折り返し、50mm/secの速度で引き剥がした時の粘着力(N/25mm)で評価した。
最初に厚さ75μmのセパレータをはがし、積層体3の構成を化学強化ガラス板/1層目の粘着層/2層目の粘着層/LCDパネルとした以外は上記と同様にして、1層目の粘着層側における偏光板−粘着層の密着力を評価した。
(両面粘着シートの貯蔵せん断弾性率と損失正接tanδの測定)
以下の手順で、両面粘着シートの貯蔵せん断弾性率と損失正接を評価した。
得られたセパレータ付き両面粘着シートから、試験片(30mm×30mm)を切りだし、厚さ125μmのセパレータをはがして動的粘弾性測定装置(アントンパール社製、Physica MCR301)のステージ上に貼り付けた。次に厚さ75μmのセパレータを剥がし、測定用スピンドル(アントンパール社製、D−PP12/AL/S07)で挟持した。測定中、スピンドル法線方向に応力が発生しないようスピンドル位置を自動追従させ、大気雰囲気下にてステージ温度を1分あたり3℃の昇温速度にて−10℃から90℃に変化させながら1%の動的せん断歪を印加して、25℃、周波数1Hzにおける貯蔵せん断弾性率および損失正接を測定した。
<実施例1>
長さ150mm、幅150mm、厚さ125μmのセパレータ(離型剤が塗工されたPETフィルム)上に、光硬化性樹脂組成物D1を厚さ120μmとなるようにダイコート法で塗工した。ここに水銀ランプで照射強度を150mW/cm、照射時間を7.5秒として紫外線を照射して光硬化性樹脂組成物D1の一次硬化層を得た。
次いで、前記一次硬化層の上に、光硬化性樹脂組成物D2を厚さ380μmとなるようにバーコート法で塗工した。得られた光硬化性樹脂組成物D2の層の上に、長さ150mm、幅150mm、厚さ75μmのセパレータ(離型剤が塗工されたPETフィルム)を乗せて、水銀ランプで照射強度を150mW/cm、照射時間を10秒として紫外線を照射した。これにより、セパレータ(厚さ125μm)/光硬化性樹脂組成物D1から形成された1層目の粘着層(厚さ120μm)/光硬化性樹脂組成物D2から形成された2層目の粘着層(厚380μm)/セパレータ(厚さ75μm)の構成のセパレータ付き両面粘着シートを得た。
一次硬化層、1層目の粘着層、2層目の粘着層それぞれの硬化率、該評価結果から求めた硬化率差(「1層目の粘着層の硬化率」−「一次硬化層の硬化率」)を表1に示す。また、両面粘着シート(1層目の粘着層+2層目の粘着層)の貯蔵せん断弾性率と損失正接tanδの測定結果を表2に示し、層間密着力、ガラス−粘着層の密着力、偏光板−粘着層の密着力の評価結果を表3に示す。
<実施例2>
光硬化性樹脂組成物D1を、厚さ265μmとなるように塗工し、光硬化性樹脂組成物D2を、厚さ235μmとなるように塗工したこと以外は、実施例1と同様にしてセパレータ付き両面粘着シートを得た。
一次硬化層、1層目の粘着層、2層目の粘着層それぞれの硬化率、該評価結果から求めた硬化率差(「1層目の粘着層の硬化率」−「一次硬化層の硬化率」)を表1に示す。また、両面粘着シート(1層目の粘着層+2層目の粘着層)の貯蔵せん断弾性率と損失正接tanδの測定結果を表2に示し、層間密着力、ガラス−粘着層の密着力、偏光板−粘着層の密着力の評価結果を表3に示す。
Figure 2016204496
Figure 2016204496
Figure 2016204496
表3に示すとおり、実施例1、2で得られた両面粘着シートはいずれも、層間密着力の評価において1層目の粘着層と2層目の粘着層との間に剥離が生じなかった。また、ガラス−粘着層の密着力および偏光板−粘着層の密着力の評価から、1層目側と2層目側とで密着力の異なる両面粘着シートが得られたことが確認された。
上記結果から、本発明の製造方法を使用すれば、粘着層同士の層間密着性に優れ、かつ各粘着層の混層が抑制され、表層と裏層との物性を制御した両面粘着シートが得られることが示された。
10 セパレータ付き両面粘着シート
20 両面粘着シート
21 第一粘着層
22 第二粘着層
23 第1の光硬化性樹脂組成物の層(未硬化層)
24 一次硬化層
25 第2の光硬化性樹脂組成物の層(未硬化層)
30 第一セパレータ
31 第二セパレータ
50 第一巻出しロール
51 第一塗工部
52 第二塗工部
53 第二巻出しロール
54 貼合ロール
55 バックアップロール
56 搬送ロール
57 巻き取りロール
61 第一露光部
62 光源
64 第二露光部
65 光源
66 チャンバー
80 両面粘着シート付き透明面材
81 透明面材
90 表示パネル
100 製造装置
1000 表示装置

Claims (10)

  1. 2層の粘着層を有する両面粘着シートの製造方法であって、
    塗工により、セパレータ上に無溶剤型の第1の光硬化性樹脂組成物の層を形成し、光を照射して前記第1の光硬化性樹脂組成物の層を硬化させて、硬化率が10%以上95%以下の一次硬化層を得る工程と、
    前記一次硬化層の面上に、塗工により、無溶剤型の第2の光硬化性樹脂組成物の層を形成し、光を照射して前記一次硬化層および前記第2の光重合性樹脂組成物の層をそれぞれ硬化させて、2層の粘着層を得る工程と、
    を有することを特徴とする両面粘着シートの製造方法。
  2. 前記2層の粘着層を得る工程での光の照射が、得られる2層の粘着層それぞれの硬化率が85%以上、かつ前記一次硬化層の硬化率と前記一次硬化層から形成される粘着層の硬化率との差が3%以上となる条件で行われる請求項1記載の両面粘着シートの製造方法。
  3. 前記第1の光硬化性樹脂組成物および前記第2の光硬化性樹脂組成物の25℃における粘度がそれぞれ10〜100000mPa・sである請求項1または2に記載の両面粘着シートの製造方法。
  4. 前記両面粘着シートの25℃、周波数1Hzにおける貯蔵せん断弾性率G’が5×10〜2.5×10Paである請求項1〜3のいずれか一項に記載の両面粘着シートの製造方法。
  5. 前記両面粘着シートの25℃、周波数1Hzにおける損失正接tanδが1.4以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の両面粘着シートの製造方法。
  6. 前記第1の光硬化性樹脂組成物および前記第2の光硬化性樹脂組成物がそれぞれ、硬化性基を有し数平均分子量が1000〜100000である硬化性ポリマー(A1)、硬化性基を有し分子量が125〜600である硬化性モノマー(A2)、光重合開始剤(B)、および非硬化性ポリマー(C)を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の両面粘着シートの製造方法。
  7. 前記硬化性ポリマー(A1)、前記硬化性モノマー(A2)および前記非硬化性ポリマー(C)のうちの少なくとも一種が、水酸基およびカルボキシ基のいずれか一方または両方を有する請求項6に記載の両面粘着シートの製造方法。
  8. 前記第1の光硬化性樹脂組成物と前記第2の光硬化性樹脂組成物とが異なる組成物である請求項1〜7のいずれか一項に記載の両面粘着シートの製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の両面粘着シートの製造方法で得られた両面粘着シートを透明面材の少なくとも一方の主面上に貼合する工程を有する両面粘着シート付き透明面材の製造方法。
  10. 透明面材と表示パネルとを、請求項1〜8のいずれか一項に記載の両面粘着シートの製造方法で得られた両面粘着シートを介して貼合する工程を有する表示装置の製造方法。
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