JP2016202482A - 洗濯機のモータ駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い昇圧効果を得ると共に、高調波電流の増加を抑制できる洗濯機のモータ駆動装置を提供する。【解決手段】前記短絡手段により前記交流電源の電圧波形のゼロクロスタイミング間に整流回路の入力端子間を短絡させる回数を変化させる。交流電源の半周期内に前記短絡を複数回行う際には、前記半周期内における電流ピーク値に至るまで、2回目以降の短絡動作を開始する時点の電流の減少量が前記電流ピーク値の30%未満となるように、且つ前記短絡動作に伴う電流の増加量が前記電流ピーク値の40%未満となるように制御して、短絡による電流変化を発生させる度に前記ピーク値を増加させる。【選択図】図1

Description

本発明は、交流電源と整流回路との間にリアクトルを備える洗濯機のモータを駆動する装置に関する。
例えば特許文献1では、交流電源とインバータ回路との間に、リアクトルと、直流電源を生成する整流回路と、その整流回路の交流入力端子間を短絡する手段とを接続し、交流電源電圧の半周期内に、交流入力端子間を複数回短絡させてリアクトルに電流を流し、直流電源母線電圧を昇圧制御している。
特開2010−273505号公報
しかしながら、特許文献1の昇圧制御において、高い昇圧効果を得るために短絡回数を増加させると、短絡を行う毎に電源電流値の変動が大きくなり高調波電流が増加してしまう。また、交流電源電圧のゼロクロス点から短絡を開始して、短絡時間幅を調節して昇圧効果を調整する方法も提案されているが、短絡時間内にリアクトルに溜めることができる電磁エネルギーには限度がある。加えて、短絡時間が長くなるとやはり電源電流波形の歪が大きくなり、高調波電流の増加に繋がる。
そこで、高い昇圧効果を得ると共に、高調波電流の増加を抑制できる洗濯機のモータ駆動装置を提供する。
実施形態の洗濯機のモータ駆動装置によれば、
交流電源にリアクトルを介して接続される整流回路と、
この整流回路の入力端子間を短絡する短絡手段と、
前記整流回路の出力側に接続されて直流電力を交流電力に変換し、少なくとも脱水運転を行うための回転駆動力を発生させるモータを駆動するインバータ回路と、
前記脱水運転を行う場合の制御パラメータの変化に応じて、前記短絡手段により前記交流電源の電圧波形のゼロクロスタイミング間に前記入力端子間を短絡させる回数を変化させる短絡制御手段とを備え、
前記短絡制御手段は、前記交流電源の半周期内に前記短絡を複数回行う際には、前記半周期内における電流ピーク値に至るまで、2回目以降の短絡動作を開始する時点の電流の減少量が前記電流ピーク値の30%未満となるように、且つ前記短絡動作に伴う電流の増加量が前記電流ピーク値の40%未満となるように制御して、短絡による電流変化を発生させる度に前記ピーク値を増加させる。
第1実施形態であり、洗濯乾燥機における各モータの駆動制御系を概略的に示す図 ドラム式洗濯乾燥機の構成を示す縦断側面図 脱水運転の動作を概略的に示すフローチャート 昇圧制御の開始/終了判定処理を示すフローチャート 昇圧制御の開始処理を示すフローチャート 2回目以降の短絡動作処理を示すフローチャート 実際の電源電圧・電流波形の一例を示す図 特許文献1の昇圧制御を行った場合の電源電圧・電流波形の一例を示す図 本実施形態の昇圧制御について高調波電流値を測定した結果の一例を示す図 特許文献1の昇圧制御について高調波電流値を測定した結果の一例を示す図 図9に示す場合に対してパルスの出力間隔をより長く設定した場合の電源電圧・電流波形の一例を示す図 高調波電流値を測定した結果の一例を示す図 第2実施形態であり、ステップS13での交流電流値に応じて初回に出力する短絡パルスの遅延時間及び各パルスによる短絡時間を変化させる数値例を示す図 第3実施形態であり、制御系の構成を示す機能ブロック図
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について図1乃至図12を参照して説明する。図2は、ドラム式洗濯乾燥機の構成を示す縦断側面図である。外箱1は前板と後板と左側板と右側板と底板と天板を有する中空状をなすものであり、外箱1の前板には貫通孔状の出入口2が形成されている。この外箱1の前板には扉3が装着されている。この扉3は使用者が前方から閉鎖状態および開放状態相互間で操作可能なもので、扉3の閉鎖状態では出入口2が閉鎖され、扉3の開放状態では出入口2が開放される。外箱1の内部には水受槽4が固定されている。この水受槽4は後面が閉鎖された円筒状をなすもので、軸心線CLが前から後に向けて下降する傾斜状態に配置されている。この水受槽4は前面が開口するものであり、扉3の閉鎖状態では扉3が水受槽4の前面を気密状態に閉鎖する。
水受槽4の後板には、水受槽4の外部に位置してドラムモータ5が固定されている。このドラムモータ5は速度制御可能なDCブラシレスモータからなり、ドラムモータ5の回転軸6は水受槽4の内部に突出している。この回転軸6は水受槽4の軸心線CLに重ねて配置されたものであり、回転軸6には水受槽4の内部に位置してドラム7が固定されている。このドラム7は後面が閉鎖された円筒状をなすもので、ドラムモータ5の運転状態で回転軸6と一体的に回転する。このドラム7の前面は水受槽4の前面を介して出入口2に後方から対向しており、ドラム7の内部には扉3の開放状態で前方から出入口2と水受槽4の前面とドラム7の前面を通して洗濯物が出し入れされる。
ドラム7には、複数の貫通孔8が形成されており、ドラム7の内部空間は複数の貫通孔8のそれぞれを通して水受槽4の内部空間に接続されている。このドラム7には複数のバッフル9が固定されている。これら複数のバッフル9のそれぞれはドラム7が回転することに応じて軸心線CLを中心に円周方向へ移動するものであり、ドラム7内の洗濯物は複数のバッフル9のそれぞれに引掛かりながら円周方向へ移動した後に重力で落下することで撹拌される。
外箱1の内部には、給水弁10が固定されている。この給水弁10は入口および出口を有するものであり、給水弁10の入口は水道の蛇口に接続されている。この給水弁10は給水弁モータ11(図2参照)を駆動源とするものであり、給水弁10の出口は給水弁モータ11の回転量に応じて開放状態および閉鎖状態相互間で切換えられる。この給水弁10の出口は、注水ケース12に接続されており、給水弁10の開放状態では水道水が給水弁10を通して注水ケース12内に注入され、給水弁10の閉鎖状態では水道水が注水ケース12内に注入されない。この注水ケース12は外箱1の内部に水受槽4より高所に位置して固定されたものであり、筒状の注水口13を有している。この注水口13は水受槽4の内部に挿入されており、給水弁10から注水ケース12内に注入された水道水は注水口13から水受槽4の内部に注入される。
水受槽4には、最底部に位置して排水管14の上端部が接続されており、排水管14には排水弁15が介在されている。この排水弁15は排水弁モータ16(図2参照)を駆動源とするものであり、排水弁モータ16の回転量に応じて開放状態および閉鎖状態相互間で切換えられる。この排水弁15の閉鎖状態では注水口13から水受槽4内に注入された水道水が水受槽4内に貯留され、排水弁15の開放状態では水受槽4内の水道水が排水管14を通して水受槽4の外部に排出される。
外箱1の底板には、水受槽4の下方に位置してメインダクト17が固定されている。このメインダクト17は前後方向へ指向する筒状をなすものであり、メインダクト17の前端部には前ダクト18の下端部が接続されている。この前ダクト18は上下方向へ指向する筒状をなすものであり、前ダクト18の上端部は水受槽4の内部空間に水受槽4の前端部で接続されている。メインダクト17の後端部にはファンケーシング19が固定されている。このファンケーシング19は貫通孔状の吸気口20および筒状の排気口21を有するものであり、ファンケーシング19の内部空間は吸気口20を介してメインダクト17の内部空間に接続されている。
ファンケーシング19には、ファンケーシング19の外部に位置してファンモータ22が固定されている。このファンモータ22はファンケーシング19の内部に突出する回転軸23を有するものであり、回転軸23にはファンケーシング19の内部に位置してファン24が固定されている。このファン24は軸方向から空気を吸込んで径方向へ吐出する遠心式のものであり、ファンケーシング19の吸気口20はファン24にファン24の軸方向から対向し、ファンケーシング19の排気口21はファン24にファン24の径方向から対向している。
ファンケーシング19の排気口21には、後ダクト25の下端部が接続されている。この後ダクト25は上下方向へ指向する筒状をなすものであり、後ダクト25の上端部は水受槽4の内部空間に水受槽4の後端部で接続されている。これら後ダクト25とファンケーシング19とメインダクト17と前ダクト18と水受槽4は水受槽4の内部空間を始点および終点のそれぞれとする環状の循環ダクト26を構成するものであり、扉3の閉鎖状態でファンモータ22が運転されている場合にはファン24が一定方向へ回転することに基づいて水受槽4内の空気が前ダクト18内からメインダクト17内を通してファンケーシング19内に吸引され、ファンケーシング19内から後ダクト25内を通して水受槽4内に戻される。
外箱1の内部には、コンプレッサ(圧縮機)27が固定されている。このコンプレッサ27は循環ダクト26の外部に配置されたものであり、冷媒を吐出する吐出口および冷媒を吸込む吸込口を有している。このコンプレッサ27はコンプモータ28(図2参照)を駆動源とするものであり、コンプモータ28は速度制御可能なDCブラシレスモータから構成されている。
メインダクト17の内部には、コンデンサ(凝縮器)29が固定されている。このコンデンサ29は空気を加熱するものであり、蛇行状に曲折する1本の冷媒管30の外周面に板状をなす複数の加熱フィン31のそれぞれを接触状態で固定することから構成されている。このコンデンサ29の冷媒管30はコンプレッサ27の吐出口に接続されており、コンプモータ28の運転状態ではコンプレッサ27の吐出口から吐出された冷媒がコンデンサ29の冷媒管30内に進入する。
図1は、ドラムモータ5,ファンモータ22及びコンプモータ28の駆動制御系を概略的に示すものである。インバータ回路34は、6個のIGBT(スイッチング素子)35a〜35fを三相ブリッジ接続して構成されており、各IGBT35a〜35fのコレクタ−エミッタ間には、フライホイールダイオード36a〜36fが接続されている。インバータ回路34の各相出力端子は、ドラムモータ5の各相巻線に接続されている。
下アーム側のIGBT35d、35e、35fのエミッタは、シャント抵抗37u、37v、37wを介してグランドに接続されている。また、IGBT35d、35e、35fのエミッタとシャント抵抗37u、37v、37wとの共通接続点は、制御回路(マイクロプロセッサ,マイクロコンピュータ)42Aの入力端子に接続されている。
制御回路42Aの内部では、図示しないが、オペアンプなどを含んで構成されレベルシフト回路により、シャント抵抗37u〜37wの端子電圧を増幅すると共にその増幅信号の出力範囲が正側に収まるように(例えば、0〜+3.3V)バイアスを与える。また制御回路42Aには、インバータ回路34の上下アームが短絡した場合に回路の破壊を防止するために過電流検出を行なう機能がある。
そして、ファンモータ22に対しては、同様に構成されるインバータ回路38及びシャント抵抗39(u,v,w)が配置され、コンプモータ28に対しては、インバータ回路40及びシャント抵抗41(u,v,w)が配置されている。インバータ回路38及び40の制御は、もう1つの制御回路42B(マイクロプロセッサ,マイクロコンピュータ),短絡制御手段)によって行われ、制御回路42A,42Bは、シリアル通信による双方向通信が可能となっている。
インバータ回路34,38,40の入力側には、駆動用電源回路43が接続されている。駆動用電源回路43は、100Vの交流電源に対し、一端側にリアクトル(誘導性リアクタ)44を介して接続され、ダイオードブリッジで構成される全波整流回路45と、全波整流回路45の出力側に直列接続された2個のコンデンサ46a、46bとを備えている。コンデンサ46a、46bの共通接続点は、全波整流回路45の入力端子の一方に接続されている。駆動用電源回路43は、後述するリアクトル44を用いた昇圧動作を行わない場合には、100Vの交流電源を倍電圧全波整流し、約280Vの直流電圧をインバータ回路34等に供給する。
全波整流回路45の入力端子には、同様にダイオードブリッジで構成されるもう1つの全波整流回路47(短絡手段)が並列に接続されており、全波整流回路47の出力端子間には、IGBT48(短絡手段)が接続されている。IGBT48のオンオフ制御は、制御回路42Bが行う。
インバータ回路34,38の入力端子間には、それぞれ抵抗49a及び49bの直列回路、抵抗50a及び50bの直列回路が接続されており、それぞれの共通接続点は、制御回路42A,42Bの入力端子に接続されている。制御回路42A,42Bは、上記各共通接続点の電圧を参照することで、インバータ回路34,38に入力される駆動電源電圧を検知する。
また、ドラムモータ5に対しては、ロータ位置を検出するため、例えばホールICなどで構成される位置センサ51(u,v,w)が配置されており、位置センサ51が出力するセンサ信号は、制御回路42Aに与えられている。また、交流電源とリアクトル44との間には、例えば電流トランス(CT)などからなる電流センサ52が介挿されており、電流センサ52が出力するセンサ信号は、制御回路42Bに与えられている。
制御回路42A,42Bは、モータ5,22,28の各相巻線に流れる電流を検出し、その電流値に基づいて2次側の回転磁界の位相θ及び回転角速度ωを推定すると共に、三相電流を直交座標変換及びdq(direct-quadrature) 座標変換することで励磁電流成分Id、トルク電流成分Iqを得る。そして、制御回路42A,42Bは外部より速度指令が与えられると、推定した位相θ及び回転角速度ω並びに電流成分Id、Iqに基づいて電流指令Idref 、Iqref を生成し、それを電圧指令Vd、Vqに変換すると直交座標変換及び三相座標変換を行なう。最終的には、駆動信号がPWM信号として生成され、インバータ回路34,38,40を介してモータ5,22,28の各相巻線に出力される。
以上の構成において、インバータ回路34,制御回路42A及び42B,駆動用電源回路43,リアクトル44,整流回路47,IGBT48は、駆動装置60を構成している。
次に、本実施形態の作用について図3から図12も参照して説明する。図3は、脱水運転の行程を概略的に示すフローチャートである。先ず、ドラム7の回転数を徐々に上昇させるように加速を行い(S1)、回転数が1000rpmに達すると(S2:YES)昇圧制御の許可をセットする(S3)。その後、予め設定された脱水時間が終了すると(S4:YES)昇圧制御の許可をクリアする(S5)。それから、ブレーキを作動させて(S6)ドラム7の回転が停止すると(S7:YES)、脱水運転が終了する。
図4は、1m秒毎に発生する割り込みに伴い実行される、昇圧制御の開始/終了判定処理を示すフローチャートである。図3に示すステップS3において、昇圧制御の許可がセットされていれば(S11:YES)、現在のステータスが「昇圧制御中」か否かを判断する(S12)。また、昇圧制御の許可がセットされていなければ(S11:NO)、「昇圧制御中」のステータスをクリアして(S16)割り込み処理を終了する。
ステップS12において、現在のステータスが「昇圧制御中」でなければ(NO)、その時点の交流電源電流が、予め設定した昇圧制御を開始するための値(昇圧開始値,制御パラメータ)以上か否かを判断する(S13)。昇圧開始値は、例えば消費電力が550Wの場合に6A程度とする。ここで昇圧開始値以上であれば(YES)、「昇圧制御中」のステータスをセットして(S14)割り込み処理を終了し、昇圧開始値未満であれば(NO)そのまま割り込み処理を終了する。
また、ステップS12において、現在のステータスが「昇圧制御中」であれば(YES)、その時点の交流電源電流が、予め設定した昇圧制御を停止するための値(昇圧停止値)以下か否かを判断する(S15)。昇圧停止値以下であれば(YES)ステップS16に移行し、昇圧停止値を超えていれば(NO)割り込み処理を終了する。
図5は、図4に示すフローと同様に1m秒毎に発生する割り込みに伴い実行される、昇圧制御の開始処理を示すフローチャートである。現在のステータスが「昇圧制御中」であれば(S21:YES)、その時点の交流電源電流値と、電源周波数50Hz又は60Hzの何れかに応じて設定されるゼロクロス点からの遅延時間(例えば1.5m秒〜2m秒)で、最初に行う短絡動作(IGBT48のオン)の時間(パルス幅,例えば0.6m秒)で短絡パルスが出力されるようにセットする(S22)。一方、現在のステータスが「昇圧制御中」でなければ(S21:NO)、短絡パルスの出力をクリア,つまり短絡動作を行うことなく(S23)割り込み処理を終了する。
図6は、交流電源の半周期毎に実行される、2回目以降の短絡動作処理を示すフローチャートである。現在、短絡パルスを出力中(初回の短絡パルスを出力した直後)であれば(S31:YES)、ドラム7の回転数(制御パラメータ)が1600rpm以上であるか否かを判断する(S32)。回転数が1600rpmに達していなければ(NO)、短絡パルスの出力数を1個,つまり初回の短絡パルスのみの出力として(S35)割り込み処理を終了する。
ステップS32において、回転数が1600rpm以上であれば(YES)、その時点の直流電源電圧が295V(目標電圧の一例)以上か否かを判断する(S33)。直流電源電圧が295V以上であれば(YES)、限度を「6」として短絡パルス数を1つ増加させる(S34)。尚、複数の短絡パルスを出力する際に、パルスの出力間隔は例えば0.2m秒とする。また、2回目及び3回目に出力するパルスの幅は例えば0.15m秒,4回目〜6回目に出力するパルスの幅は例えば0.075m秒,といったようにパルス幅を段階的に短縮する。また、ステップS33において、直流電源電圧が295V未満であれば(NO)、短絡パルス数を、現在の交流半周期において出力しているパルス数より1つ減少させる(S36)。
図7は、実際の電源電圧・電流波形の一例を示す。商用交流電源は定格50Hz/100Vであり、直流電源電圧は304V,短絡パルス数が「4」の場合である。この場合、2回目以降の短絡動作を開始する時点の電流の減少値及び交流半周期内の電流ピーク値に対する減少量,並びに前記短絡動作に伴う電流の増加値及び同増加量は、以下のようになっている。
短絡回数 減少値(減少量) 増加値(増加量)
第2回 1.6A(10%) 3.4A(21%)
第3回 1.2A(7%) 3.0A(19%)
第4回 1.2A(7%) 2.2A(14%)
これらの昇圧制御条件は、請求項1で規定しているように、交流電源の半周期内に短絡を複数回行う際に、その半周期内における電流ピーク値に至るまで、2回目以降の短絡動作を開始する時点の電流の減少量が半周期内における電流ピーク値の30%未満となるように、且つ前記短絡動作に伴う電流の増加量が前記電流ピーク値の40%未満となるように制御したものとなっている。
これに対して、図8は、同じ電源条件で特許文献1の昇圧制御(短絡パルス数は「2」)を行った場合を示す。2回目の短絡動作を開始する時点の電流の減少値及び減少量,並びにその短絡動作に伴う電流の増加値及び増加量は、
短絡回数 減少値(減少量) 増加値(増加量)
第2回 7.2A(40%) 15.2A(84%)
である。リアクタ44に流れる電流波形の変化は図7の方が緩やかであり、整流後の直流電源電圧も図7の方が、変動がより少なくなっていることが分かる。
図9及び図10には、本実施形態と特許文献1との昇圧制御について高調波電流値を測定した結果の一例を示す。図10に示す特許文献1の場合、第9,11,13及び19次の各高調波が規制値(100%Limit,洗濯機に関するIECの規格)を超過している。これに対して、図9に示す本実施形態の場合は、第40次までの全ての高調波で規制値を下回っている。
また、図11は、図9に示す本実施形態の場合に対してパルスの出力間隔をより長く、0.5m秒に設定した場合(短絡パルス数は「3」)を示す。これは、上述した本実施形態の昇圧制御条件が維持される略臨界的なケースである。
短絡回数 減少値(減少量) 増加値(増加量)
第2回 2.5A(17%) 4.0A(27%)
第3回 2.0A(13%) 6.0A(40%)
その結果、図12に示すように、第23次高調波電流のみが規制値を超えている。
以上のように本実施形態によれば、制御回路42Bは、脱水運転を行う場合の制御パラメータの変化に応じて、IGBT48により交流電源の電圧波形のゼロクロスタイミング間に整流回路45の入力端子間を短絡させる回数を変化させる。そして、交流電源の半周期内に前記短絡動作を複数回行う際には、前記半周期内における電流ピーク値に至るまで、2回目以降の短絡動作を開始する時点の電流の減少量が前記電流ピーク値の30%未満となるように、且つ前記短絡動作に伴う電流の増加量が前記電流ピーク値の40%未満となるように制御して、短絡による電流変化を発生させる度に前記ピーク値を増加させる。このように昇圧制御を行うことで高い昇圧効果が得られると共に、高調波電流の増加を抑制できる。
また、制御回路42Bは、整流回路45より出力される直流電圧を検出し、その直流電圧が目標電圧を維持するように短絡回数を変化させるので、昇圧制御を安定化させることができる。これにより、一時的に過度な高電圧が発生することで回路部品が破損したり、昇圧不足によりドラム7の回転数が低下するなどの事象を回避できる。
更に、制御回路42Bは、脱水運転を行うモータ5の回転数を検出し、その回転数が閾値以上となる領域において短絡回数を変化させる。これにより、回転数が高い領域で必要となる高電圧を得ることができ、昇圧制御を効率的に実行できる。
(第2実施形態)
図13は第2実施形態であり、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分について説明する。第2実施形態では、図4に示すステップS13において、その時点の交流電流値に応じて初回に出力する短絡パルスの遅延時間を変化させると共に、各パルスによる短絡時間(パルス幅)も変化させる。遅延時間は、電流値6Aから0.6A毎に、最大14.4A超まで、電源周波数が50Hzの場合は2.152m秒から、0.024m秒刻みで2.490m秒まで変化させる。また、短絡パルスの幅は、0.579m秒から0.0184m秒刻みで0.647m秒まで(電流値10.2A以上は同じ値)変化させる。そして、2〜4回目に出力するパルス幅は、それぞれ1回目の1/3,1/4,1/7とし、5回目以降のパルス幅は4回目と同じ幅にする。
以上のように第2実施形態によれば、制御回路42Bは、交流電源電流の電流値に応じて短絡時間を決定するので、高調波の低減効果を電流値に応じて最適化することが可能になる。
(第3実施形態)
図14は第3実施形態を示す。第1実施形態では、図6に示すフローチャートに従って短絡パルスの出力数をインクリメント,デクリメントするように制御した。これに対して第3実施形態では、図14に示す制御系(制御回路42Bによるソフトウェア処理を中心に機能ブロック化したもの)を用いた処理を、交流の半周期毎に実行する。電圧制御部61は、目標電圧を例えば295V等に設定する。電圧検知部62は、図1に示す抵抗素子50a及び50b並びに制御回路42B内部のA/D変換器等を含むもので、これらにより実際の直流電圧値を検知する。そして、減算器63は、目標電圧と実電圧との差分を演算して電圧PI部64に入力する。
電圧PI部64は、入力される差分電圧に対しPI(Proportional-Integral)制御演算を行い、その演算結果として短絡時間幅を出力する。例えば、PIゲインの比例項は0.05%/V,積分項は10%/V・秒等に設定し、短絡時間幅の範囲が交流半周期の0〜20%となるようにする。時間幅→パルス数変換部65は、入力された短絡時間幅に応じた短絡パルス数を出力する。短絡パルス出力部66は、入力される短絡パルス数に応じたゲート駆動信号を生成し、IGBT48のゲートに出力する。
以上のように第3実施形態によれば、制御回路42Bは、目標電圧と実際の直流電源電圧との差分をPI制御することで短絡パルス数を決定する。これにより、実際の直流電源電圧が目標電圧により近似するように昇圧制御を行うことができる。
(その他の実施形態)
制御回路42A,42Bを統合して、1つの制御回路としても良い。
IGBT48により短絡を行う場合のパルス幅や、ゼロクロス点からの遅延時間についても、適宜変更して良い。
半導体スイッチング素子は、IGBTに限ることなく、バイポーラトランジスタやMOSFETを用いても良い。
回転数や電圧,電流,電力に関する閾値の設定は一例であり、個別の設計に応じて適宜変更すれば良い。
初回短絡パルスの遅延時間や、各パルスの出力間隔,パルス幅等の具体数値も一例であり、個別の設計に応じて適宜変更して実施すれば良い。
乾燥機能を持たない洗濯機に適用しても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
図面中、5はドラムモータ、7はドラム、22はファンモータ、27はコンプレッサ、28はコンプモータ、42Bは制御回路(短絡制御手段)、34,38,40はインバータ回路、43は駆動用電源回路、44はリアクトル、45は全波整流回路(整流回路)、47は全波整流回路(短絡手段)、48はIGBT(短絡手段)、60は駆動装置を示す。

Claims (4)

  1. 交流電源にリアクトルを介して接続される整流回路と、
    この整流回路の入力端子間を短絡する短絡手段と、
    前記整流回路の出力側に接続されて直流電力を交流電力に変換し、少なくとも脱水運転を行うための回転駆動力を発生させるモータを駆動するインバータ回路と、
    前記脱水運転を行う場合の制御パラメータの変化に応じて、前記短絡手段により前記交流電源の電圧波形のゼロクロスタイミング間に前記入力端子間を短絡させる回数を変化させる短絡制御手段とを備え、
    前記短絡制御手段は、前記交流電源の半周期内に前記短絡を複数回行う際には、前記半周期内における電流ピーク値に至るまで、2回目以降の短絡動作を開始する時点の電流の減少量が前記電流ピーク値の30%未満となるように、且つ前記短絡動作に伴う電流の増加量が前記電流ピーク値の40%未満となるように制御して、短絡による電流変化を発生させる度に前記ピーク値を増加させる洗濯機のモータ駆動装置。
  2. 前記短絡制御手段は、前記整流回路より出力される直流電圧を検出し、前記直流電圧が目標電圧を維持するように短絡回数を変化させる請求項1記載の洗濯機のモータ駆動装置。
  3. 前記短絡制御手段は、前記脱水運転を行うモータの回転数を検出し、前記回転数が閾値以上となる領域において短絡回数を変化させる請求項1又は2記載の洗濯機のモータ駆動装置。
  4. 前記短絡制御手段は、交流電流を検出し、その電流値に応じて短絡時間を決定する請求項1から3の何れか1項に記載の洗濯機のモータ駆動装置。
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