JP2016201959A - 車両用電動モータの冷却装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、簡単な構造で、低油温時、円滑にオイルポンプで、オイル溜り部のオイルが電動モータへ循環されるようにした車両用電動モータの冷却装置を提供する。【解決手段】本発明は、ロータ9およびステータ7が収容されたモータ室3の下方にオイル溜り部11を有した電動モータ1と、オイル溜り部11とモータ室3の上方とをオイルポンプ27を介して接続し、オイル溜り部11のオイルをモータ室3へ循環させるオイル循環路23とを備えた冷却装置で、ロータ9の下端より上方に位置してキャッチタンク31を配設し、このキャッチタンク31の入口部31aをモータ室3へ向かうオイル循環路部分に接続し、キャッチタンク31の出口部31bをオイル溜り部11に流路37を介して接続する。このキャッチタンク31の出口部31bとオイル溜り部11との間の流路37に、オイルの温度が所定温度値以下のときに開作動するキャッチタンクバルブ43を設ける。【選択図】図1
Description
本発明は、オイルをモータ室へ循環させて電動モータを冷却する車両用電動モータの冷却装置に関する。
電気自動車やハイブリッド車などの車両に用いられる電動モータ(含むジェネレータ機能を有するモータ)は、励磁が行われると、ステータやロータなどから発熱する。このため、車両用の電動モータでは、同モータを冷却する冷却装置が設けられる。冷却装置の多くはオイルを用いて冷却が行われる。
具体的には冷却装置は、ロータやステータを収容するモータ室の上方と、モータ室の下方に形成されているオイル溜り部との間を、電動式のオイルポンプを介装したオイル循環路で接続した構造が用いられる。つまり、オイルポンプでオイル溜り部に溜まっているオイルを汲み上げ、モータ室へ流入させることにより、オイルがモータ室からオイル溜り部に戻るまでにモータ室の各部の潤滑やロータやステータの冷却が行われる。
具体的には冷却装置は、ロータやステータを収容するモータ室の上方と、モータ室の下方に形成されているオイル溜り部との間を、電動式のオイルポンプを介装したオイル循環路で接続した構造が用いられる。つまり、オイルポンプでオイル溜り部に溜まっているオイルを汲み上げ、モータ室へ流入させることにより、オイルがモータ室からオイル溜り部に戻るまでにモータ室の各部の潤滑やロータやステータの冷却が行われる。
ところで、オイルの粘度は、温度により変化する。すなわち、オイルは、低温になるにしたがい粘度が高まる性質をもつ。
このため、例えば低外気温など冷態時における車両の走行開始時では、オイルの高粘度の影響を受けやすい。すなわち、オイルの高粘度がオイルポンプに過剰負荷をもたらして、ポンプ動作を行えない状態に陥りさせ、オイルが電動モータへ十分に循環されなくなってしまうことがある。
このため、例えば低外気温など冷態時における車両の走行開始時では、オイルの高粘度の影響を受けやすい。すなわち、オイルの高粘度がオイルポンプに過剰負荷をもたらして、ポンプ動作を行えない状態に陥りさせ、オイルが電動モータへ十分に循環されなくなってしまうことがある。
そこで、特許文献1のモータ冷却装置に開示されているようにオイル溜り部の底部と側部上段とにそれぞれオイル循環路につながるオイル排出口を設け、下側のオイル排出口に開閉弁を設けて、低油温時のとき、開閉弁を閉じ、オイルポンプの駆動により、オイル溜り部の油面を上昇させて、オイルの温度を暖まりやすくする技術がみられる。
しかし、特許文献1のモータ冷却装置は、低油温時のオイルの粘度が高いときに、オイルポンプを稼働させて、オイル溜り部に溜まるオイルの量を増やすことが求められるため、当該特許文献1の実施形態の制御にも見られるようにオイルポンプの駆動で、無理して高粘度のオイルを圧送させたり、ヒータを用いてオイル溜り部のオイルを加熱してオイルの粘度を低下させたりするなど、複雑な制御や構造が必要となる。このため、簡単にはオイル溜り部の油温を上昇させることはできない。
しかし、特許文献1のモータ冷却装置は、低油温時のオイルの粘度が高いときに、オイルポンプを稼働させて、オイル溜り部に溜まるオイルの量を増やすことが求められるため、当該特許文献1の実施形態の制御にも見られるようにオイルポンプの駆動で、無理して高粘度のオイルを圧送させたり、ヒータを用いてオイル溜り部のオイルを加熱してオイルの粘度を低下させたりするなど、複雑な制御や構造が必要となる。このため、簡単にはオイル溜り部の油温を上昇させることはできない。
一方、特許文献2の動力伝達装置は、低油温のときにおけるギヤ室に収められたギヤとオイルとの抵抗が抑えられるよう、ギヤ室のギヤによって掻き上げられたオイルを一時的に貯留するキャッチタンクを設けて、低油温時におけるギヤの抵抗を抑えることも行われているが、電動モータにオイル溜り部のオイルを十分に循環させようとする技術には至っていない。
このため、電動モータの冷却装置は、簡単な構造で、低油温時におけるオイルの温度をに上昇させようとする技術は見られなく、改善が求められている。
そこで、本発明の目的は、簡単な構造で、低油温時、円滑にオイルポンプで、オイル溜り部のオイルが電動モータへ循環されるようにした車両用電動モータの冷却装置を提供する。
そこで、本発明の目的は、簡単な構造で、低油温時、円滑にオイルポンプで、オイル溜り部のオイルが電動モータへ循環されるようにした車両用電動モータの冷却装置を提供する。
本発明の態様は、ロータおよびステータが収容されたモータ室の下方にオイル溜り部を有した電動モータと、オイル溜り部とモータ室の上方とをオイルポンプを介して接続し、オイル溜り部のオイルをモータ室へ循環させるオイル循環路とを備えた車両用電動モータの冷却装置であって、ロータの下端より上方に位置して配設され、入口部がモータ室へ向かうオイル循環路部分に接続され、出口部がオイル溜り部に流路を介して接続され、モータ室へ向かうオイルの一部を貯留可能なキャッチタンクと、キャッチタンクの出口部とオイル溜り部との間の流路に設けられ、オイルの温度が所定温度値以下のときに開作動するキャッチタンクバルブとを有するものとした。
本発明によれば、低外気温時など低油温時には、キャッチタンクバルブが開き、高い位置に配置されていたキャッチタンク内の貯留オイルが、重力の作用によりオイル溜り部へ流出され、オイル溜り部の油面が、油量の増加によりロータの下端を越えるまでに上昇する。電動モータの励磁によってロータが回転するようになると、ロータを浸漬していたオイルが撹拌される。このロータによるオイルの撹拌により、ステータやロータから発する熱は、オイル溜り部の各部のオイルへ効率よく伝わり、オイル溜り部のオイルの温度が急速に上昇する。すると、オイル溜り部のオイルの粘度は低下する。これにより、高粘度を要因にオイルポンプが負担する過剰負荷は速やかに解消され、限られたオイルポンプの性能にて、電動モータへオイルを十分に圧送することができる。
したがって、キャッチタンクやキャッチタンクバルブを設けるという簡単な構造で、低油温時、円滑にオイル溜り部のオイルを電動モータへ循環させることができる。
以下、本発明を図1から図4に示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
図1中1は電気自動車、ハイブリッド車などに搭載される車両の電動モータ、例えば走行用として用いるモータ・ジェネレータ(以下、単に電動モータという)、21は電動モータ1を冷却する冷却装置をそれぞれ示している。
電動モータ1は、モータ室3を有した本体部5、モータ室3内に収められた環状のステータ7、ステータ7内に配設されたロータ9を有していて、ステータ7が所定に励磁されるにしたがいロータ9が回転駆動される。ロータシャフトは、図示していない。
図1中1は電気自動車、ハイブリッド車などに搭載される車両の電動モータ、例えば走行用として用いるモータ・ジェネレータ(以下、単に電動モータという)、21は電動モータ1を冷却する冷却装置をそれぞれ示している。
電動モータ1は、モータ室3を有した本体部5、モータ室3内に収められた環状のステータ7、ステータ7内に配設されたロータ9を有していて、ステータ7が所定に励磁されるにしたがいロータ9が回転駆動される。ロータシャフトは、図示していない。
モータ室3の直下となる本体下部分には、オイル溜り、例えば上方開口がステータ7に臨む皿状空間でなるオイルパン形のオイル溜り部11が設けられている。オイル溜り部11内には、通常時、オイル13が油面レベルaの高さまで集溜される。また本体部5の上部には、モータ室3と連通するオイル流入口15が設けられ、モータ室3の上方から供給されるオイル13が、図1中の矢印に示されるようにモータ室3内の各部、例えばステータ7やロータ9やロータシャフトを支えるベアリングなど潤滑部分(いずれも図示しない)を経て、オイル溜り部11へ至るようにしている。
冷却装置21は、モータ室3の上方のオイル流入口15とオイル溜り部11の底部側に設けられたオイル流出口17との間に接続されたオイル循環路23と、同オイル循環路23に設けられた冷却器であるオイルクーラ25およびオイル13を循環させる電動式のオイルポンプ27(本願のオイルポンプに相当)とを有している。つまり、オイル流入口15とオイル流出口17との間は、オイルクーラ25およびオイルポンプ27を介装したオイル循環路23で接続される。
これにより、オイルポンプ27が稼働されると、オイル溜り部11に貯留されたオイル13が、モータ室3内の各部を経て、再びオイル溜り部11へ戻るというルートで電動モータ1を循環する。ちなみに、オイルクーラ25には、油温に応じて、オイルクーラ25を通るルートとオイルクーラ25を通らないルートに切り換えるためのバイパス路29aやバイパスバルブ29bが設けられ、オイル13の冷却を要するときのみ、オイルクーラ25を通るようにしてある。
上記冷却装置21には、低油温時におけるオイルポンプ27の運転を助ける構造が設けられている。
同構造は、電動モータ1へ向かうオイル13の一部を貯留するキャッチタンク31と、同キャッチタンク31内のオイル13の流出を制御する制御系41とを組み合わせた構造が用いられる。具体的には、キャッチタンク31は、例えば電動モータ1の本体部5のうち、ロータ9から斜め上方の部位に、ロータ9の下端よりも上方に位置してタンク用空間を形成し、同空間をキャッチタンク31とする構造が用いられる。ちなみにキャッチタンク31は、通常時におけるオイル溜り部11の油面レベルa(通常時の油面)を、少なくともロータ9の下端部を浸す油面レベルb(図2)まで上昇させるタンク容量を備えている。
同構造は、電動モータ1へ向かうオイル13の一部を貯留するキャッチタンク31と、同キャッチタンク31内のオイル13の流出を制御する制御系41とを組み合わせた構造が用いられる。具体的には、キャッチタンク31は、例えば電動モータ1の本体部5のうち、ロータ9から斜め上方の部位に、ロータ9の下端よりも上方に位置してタンク用空間を形成し、同空間をキャッチタンク31とする構造が用いられる。ちなみにキャッチタンク31は、通常時におけるオイル溜り部11の油面レベルa(通常時の油面)を、少なくともロータ9の下端部を浸す油面レベルb(図2)まで上昇させるタンク容量を備えている。
そして、キャッチタンク31の上部に形成された入口部31aは、オイル流入口15からモータ室3に至る入側の流路23a(オイル循環路部分に相当)から分岐した分岐路35に接続される。つまり、キャッチタンク31は、モータ室3へ向かうオイル13の一部が流入して貯留が行われる。
キャッチタンク31の底部(下部)に形成された出口部31bは、出側の流路37を介して、例えばオイル溜り部11の天井壁(上部)に接続(開口)されている。つまり、キャッチタンク31のオイル13は、重力の作用により、流路37を通じ、自然とオイル溜り部11へ流出されるようにしている。
キャッチタンク31の底部(下部)に形成された出口部31bは、出側の流路37を介して、例えばオイル溜り部11の天井壁(上部)に接続(開口)されている。つまり、キャッチタンク31のオイル13は、重力の作用により、流路37を通じ、自然とオイル溜り部11へ流出されるようにしている。
制御系41は、流路37に設けられたキャッチタンクバルブであるところの電磁バルブ43と、同電磁バルブ43を制御するバルブ制御系45とを組み合わせた構造が用いられている。
すなわち、電磁バルブ43は、例えば常閉式の電磁バルブが用いられる。
バルブ制御系45は、車両の走行制御を行うECU47(マイクロコンピュータから構成される)を用いて、オイル13の温度(以下、油温という)が所定温度値以下、例えば極低温のときに電磁バルブ43を開動作させる構造が用いられる。
すなわち、電磁バルブ43は、例えば常閉式の電磁バルブが用いられる。
バルブ制御系45は、車両の走行制御を行うECU47(マイクロコンピュータから構成される)を用いて、オイル13の温度(以下、油温という)が所定温度値以下、例えば極低温のときに電磁バルブ43を開動作させる構造が用いられる。
すなわち、例えばECU47は、インバータ(図示しない)を介して電動モータ1と接続されている他に、イグニションスイッチ49、アクセルペダル(図示しない)の踏込み量を検出するアクセルセンサ51、オイルポンプ27を駆動するモータ部27aが接続されている。このECU47には、例えばイグニションスイッチ49がオンされた後、アクセルペダルを踏込むと、インバータを通じ、電動モータ1が励磁される設定がされていて、アクセルペダル操作で、車両は走行を始める。さらにECU47には、例えばアクセル操作に連動してオイルポンプ27を稼働(モータ部27aを励磁)させる設定がなされていて、電動モータ1が稼働する段階になると、オイルポンプ27が稼働して、オイル溜り部11からオイル13を汲み上げ、オイル循環路23を通じ、電動モータ1にオイル13を循環させる(冷却、潤滑)。
ECU47には、この他、油温、例えば油溜り部11に貯留されているオイル13の温度を検出する油温センサ53、外気温を検出する外気温センサ55が接続されている。ECU47は、極低温の油温を判定する閾値として所定温度値αを定め、油温センサ53で検出される油温が所定温度値α以下のとき、常閉式の電磁バルブ43を「開」にする設定がされている。つまり、オイルポンプ27の稼働に影響を与える油温(オイルの粘性:大)のときは、キャッチタンク31に貯留されているオイル13をオイル溜り部11へ流出させ、オイル溜り部11の油面をロータ9の下端部を浸漬する油面レベルbまで上昇させる制御を形成している。これにより、ロータ9の回転によるオイル13の撹拌にて、ステータ7やロータ9から発する熱を有効にオイル溜り部11の各部のオイル13へ伝え、オイル溜り部11の油温が上昇されるようにしている。
またECU47には、復帰用の所定温度値βが定められていて、油温センサ53で検出される油温が復帰用の所定温度値βを上回るときは、電磁バルブ43を「閉」にする設定にしている。この設定により、オイル13の粘性がオイルポンプ27の稼働に影響を与えない油温のときは、キャッチタンク31でオイル13を貯留し続け、通常の油面レベルaが保たれるようにしている(ロータ下端がオイル13に浸らない油面状態)。さらにECU47には、イグニションスイッチ49がオフされたとき、予め設定されている低外気温の判定を行う閾値としての所定温度値γと、外気温センサ55で検出される外気温とを対比し、所定温度値γよりも外気温が低いときは、電磁バルブ43を所定の時間だけ「開」にする設定がなされている。この開時間は、例えばキャッチタンク31内のオイル13の大部分がオイル溜り部11へ導出されるのに必要な時間で設定され、次回、車両を走行させるときに備えて、オイル溜り部11の油面を油面レベルbまで上昇させておけるようにしている。
つぎに、図3のフローチャートを参照して、この低油温時におけるオイルポンプ27の運転を助ける制御を説明する。
車両の走行を開始すべくイグニションスイッチ49をオンすると、ステップS1からステップS3へ進む。すると、オイル溜り部11のオイル13の温度(油温)が所定温度値α以下か否かの判定が行われる。
車両の走行を開始すべくイグニションスイッチ49をオンすると、ステップS1からステップS3へ進む。すると、オイル溜り部11のオイル13の温度(油温)が所定温度値α以下か否かの判定が行われる。
このとき例えば極低外気温で車両が冷態時であると、油温センサ53で検出される油温も極低温である。このためステップS3は、油温は所定温度値α以下と判定し、ステップS5へと進む。すると、ステップS5は実行され、電磁バルブ43(キャッチタンクバルブ)を開動作する。ちなみに、オイル13の温度が所定温度値αを上回るときは、オイルポンプ27の運転の助けが必要でないと判定され、ステップS7へ進み、電磁バルブ43を閉じたままとなる。
多くは図1に示されるようにキャッチタンク31内には、前回走行の際、既にオイル13が貯留されているから、電磁バルブ43の開動作によって、キャッチタンク31内のオイル13は、重力の作用により、流路37および電磁バルブ43を通じて、オイル溜り部11へ流出される。
このときオイル13の粘性は、極低温により高くなっているため、徐々にキャッチタンク31からオイル溜り部11へ流出する。これにより、オイル溜り部11内の油量は次第に増加し、当初の油面レベルaは上昇し始める。
このときオイル13の粘性は、極低温により高くなっているため、徐々にキャッチタンク31からオイル溜り部11へ流出する。これにより、オイル溜り部11内の油量は次第に増加し、当初の油面レベルaは上昇し始める。
キャッチタンク31は、ロータ9の下端よりも上方に位置して配置されているため、所定時間の経過にしたがい、多くのオイル13がキャッチタンク31から流出される。大部分のオイル13が流出されるにしたがい、図2に示されるようにオイル溜り部11の油面は、当初の通常時の油面レベルa(図1)から、電動モータ1のロータ9の下端を越え、油面レベルbまで大きく変位(上昇し)、ロータ9の下端部がオイル13で浸漬される。
一方、運転者は、イグニションオン後、走行を開始するため、アクセルペダルを踏み込む。すると、アクセルセンサ51からの出力を受けて、電動モータ1は励磁される。これにより、電動モータ1は、アクセルセンサ51からのアクセル踏込み信号にしたがい回転駆動され、ロータ9に発生する駆動力が、車両の駆動輪に伝わり、車両を走行させる。オイルポンプ27は、この走行開始にしたがい励磁が始まる。
このとき、図2に示されるように電動モータ1のロータ9は、オイル13に浸されているため、ロータ9が回転すると、ロータ9を浸漬しているオイル13が撹拌される。すると、ロータ9による撹拌により、ステータ7やロータ9から発熱する熱は、オイル溜り部11の各部にオイル13へ伝わり(加熱)、オイル溜り部11の油温を急速に上昇させる。むろん、油温の上昇は、ロータ9の撹拌による撹拌抵抗で生ずる熱(摩擦熱)にもよる。
この油温上昇により、オイル溜り部11のオイル13の粘度は回復、すなわち粘度は低下するから、高粘度のオイル13が要因にオイルポンプ27に加わる過剰負荷は解消される。つまり、オイルポンプ27は、限られたモータ部27aの性能で十分に駆動可能となる。これにより、オイルポンプ27によるオイル13の圧送は十分に行え、オイル13は電動モータ1を循環する。
ステップS9は、オイル溜り部11での油温上昇を判定していて、油温が所定温度値βを上回ると、オイルポンプ27の運転を助ける油温上昇は不要と判断し、電磁バルブ43を閉じる。
すると、電動モータ1を循環する一部のオイル13がキャッチタンク31内に貯留され始める。これにより、オイル溜り部11内の油量は次第に低下し、油面が低下する。最終的には、図1に示されるようにオイル溜り部11の油面は、当初の油面レベルaまで戻る。
すると、電動モータ1を循環する一部のオイル13がキャッチタンク31内に貯留され始める。これにより、オイル溜り部11内の油量は次第に低下し、油面が低下する。最終的には、図1に示されるようにオイル溜り部11の油面は、当初の油面レベルaまで戻る。
つまり、オイルポンプ27の運転を助ける油温上昇が必要でないときは、オイル溜り部11の油面は、ロータ9から遠ざった、ロータ9と触れないに油面レベルaに保たれる。これにより、ロータ9には、オイル13を撹拌する撹拌抵抗が発生せず、ロスの発生なく走行用の電動モータ1は稼働され続ける。
車両が走行を終えると、続くステップS15にて、次回の走行開始に備えた電磁バルブ43の設定が行われる。このルーチンが図4のフローチャートに示されている。
車両が走行を終えると、続くステップS15にて、次回の走行開始に備えた電磁バルブ43の設定が行われる。このルーチンが図4のフローチャートに示されている。
フローチャートのステップS15は、走行を終えてイグニションスイッチ49をオフしたオフ時の外気温が所定温度値γ以下のとき、次回、速やかに温度上昇が行えるようにしたものである。
すなわち、図4中のステップS17は、イグニションスイッチオフ時における外気温が、所定温度値γ以下か否かを判定する。この判定は、例えば現在の外気温が低外気温である場合、次回の走行の場合も低外気温度であることが多いことに着眼して設定されたものである。これは、例えば前日夜に駐車させた後、翌朝に車両を走行させる場合などは、前日が低外気温であると、翌朝も低外気温であることが多いので、このような場合を想定している。
すなわち、図4中のステップS17は、イグニションスイッチオフ時における外気温が、所定温度値γ以下か否かを判定する。この判定は、例えば現在の外気温が低外気温である場合、次回の走行の場合も低外気温度であることが多いことに着眼して設定されたものである。これは、例えば前日夜に駐車させた後、翌朝に車両を走行させる場合などは、前日が低外気温であると、翌朝も低外気温であることが多いので、このような場合を想定している。
イグニションスイッチオフ時、外気温が所定温度値γ以下の場合、次回の走行開始のときも電動モータ1のオイル13の粘度は高くなると判定する(予想)。そして、ステップS19へ進み、電磁バルブ43を開動作、具体的には所定時間の間、開け、キャッチタンク31のオイル13を、次回の走行開始に備えて、オイル溜り部11へ移しておく。また外気温が所定温度値γを上回る場合、電動モータ1のオイル13の粘度は高くならないと判定する(予想)。この場合、ステップS21へと進み、電磁バルブ43を閉じたままにする。
これにより、オイル13が高粘度になると予想された場合、イグニションスイッチオン後から、即、ロータ9でオイル13が撹拌されるので、即、油温上昇が行え、速やかにオイルポンプ27の運転が立上がる。
以上のように低油温時、キャッチタンク31内のオイル13を重力の作用で、オイル溜り部11へ流出させて油面をロータ下端に浸るまで上昇させ、ロータ9によるオイル13の撹拌で油温を上昇させる構造により、低油温時にオイルポンプ27に加わる過剰な負荷が解消できる。これにより、低油温時でも、既存の限られたオイルポンプ27の性能で、電動モータ1へオイル13を十分に圧送することができる。
以上のように低油温時、キャッチタンク31内のオイル13を重力の作用で、オイル溜り部11へ流出させて油面をロータ下端に浸るまで上昇させ、ロータ9によるオイル13の撹拌で油温を上昇させる構造により、低油温時にオイルポンプ27に加わる過剰な負荷が解消できる。これにより、低油温時でも、既存の限られたオイルポンプ27の性能で、電動モータ1へオイル13を十分に圧送することができる。
それ故、キャッチタンク31、電磁バルブ43(キャッチタンクバルブ)を設けるという簡単な構造で、低油温時、円滑にオイル溜り部11のオイル13を電動モータ1へ循環させることができる。
特にキャッチタンク31は、十分にロータ9をオイル13で浸すだけのタンク容量を備えているので、ロータ9の撹拌で、迅速に油温を上昇させることができる。
特にキャッチタンク31は、十分にロータ9をオイル13で浸すだけのタンク容量を備えているので、ロータ9の撹拌で、迅速に油温を上昇させることができる。
しかも、イグニッションオン時、低油温時のときに開く電磁バルブ43を用いたことにより、キャッチタンク31に貯留されたオイル13を、低油温時、速やかにオイル溜り部11へ流出させることができる。
そのうえ、電磁バルブ43は、油温の上昇により閉じるようにしてあるので、油温が上昇後は、オイル溜り部11の油面はロータ9から離れるので、ロータ9に加わる撹拌抵抗は解消され、電動モータ1が効率よく運転できる。
そのうえ、電磁バルブ43は、油温の上昇により閉じるようにしてあるので、油温が上昇後は、オイル溜り部11の油面はロータ9から離れるので、ロータ9に加わる撹拌抵抗は解消され、電動モータ1が効率よく運転できる。
加えて、終了設定としてイグニションオフ時、低外気温のとき、電磁バルブ43を開くことにより、現在の外気温から次回の走行開始を見越して(予想)、キャッチタンク31に貯留されたオイル13をオイル溜り部11へ移すよう制御したことにより、次回の走行開始の際は、即、油温上昇が行える。なお、同制御は、無くとも十分にオイル13の温度上昇を十分に果たせるものである。
図5は、本発明の第2の実施態様を示す。
本実施形態は、キャッチタンクバルブとして、第1の実施形態に示した電磁バルブでなく、サーモワックスバルブ61を用いたものである。具体的にはサーモワックスバルブ61は、ワックス61aの容積変化により,オイルの温度(油温)が所定温度値以下のときに開動作し、所定温度値を上回るとき閉動作されるバルブが用いられている。
本実施形態は、キャッチタンクバルブとして、第1の実施形態に示した電磁バルブでなく、サーモワックスバルブ61を用いたものである。具体的にはサーモワックスバルブ61は、ワックス61aの容積変化により,オイルの温度(油温)が所定温度値以下のときに開動作し、所定温度値を上回るとき閉動作されるバルブが用いられている。
こうしたサーモワックスバルブ61を用いた構造でも、第1の実施形態と同様、低油温時、ロータの撹拌にてオイルの温度を上昇させることができる。特にサーモワックスバルブ61は、電磁バルブを制御するバルブ制御系は不要なので、構造的に簡素ですむ。
但し、図5において第1の実施形態と同じ部分には、同一符号を付してその説明を省略した。
但し、図5において第1の実施形態と同じ部分には、同一符号を付してその説明を省略した。
なお、上述した実施形態における各構成および組合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能であることはいうまでもない。また本発明は、上述の実施形態によって限定されることはなく、「特許請求の範囲」によってのみ限定されることはいうまでもない。例えば上述の実施形態では、キャッチタンクは電動モータの本体部に内蔵させたが、これに限らず、電動モータのロータ下端より上方に位置して配設されるものであれば、キャッチタンクは電動モータの外側部などに設けても構わない。
1 電動モータ
3a モータ室
7 ステータ
9 ロータ
11 オイル溜り部
23 オイル循環路
27 オイルポンプ
31 キャッチタンク
31a 入口部
31b 出口部
37 流路
43,61 電磁バルブ,サーモワックスバルブ(キャッチタンクバルブ)
3a モータ室
7 ステータ
9 ロータ
11 オイル溜り部
23 オイル循環路
27 オイルポンプ
31 キャッチタンク
31a 入口部
31b 出口部
37 流路
43,61 電磁バルブ,サーモワックスバルブ(キャッチタンクバルブ)
Claims (6)
- ロータおよびステータが収容されたモータ室の下方にオイル溜り部を有した電動モータと、前記オイル溜り部と前記モータ室の上方とをオイルポンプを介して接続し、前記オイル溜り部のオイルを前記モータ室へ循環させるオイル循環路とを備えた車両用電動モータの冷却装置であって、
前記ロータの下端よりも上方に位置して配設され、入口部が前記モータ室へ向かうオイル循環路部分に接続され、出口部が前記オイル溜り部に流路を介して接続され、前記モータ室へ向かうオイルの一部を貯留可能なキャッチタンクと、
前記キャッチタンクの出口部と前記オイル溜り部との間の流路に設けられ、前記オイルの温度が所定温度値以下のときに開動作するキャッチタンクバルブと
を具備したことを特徴とする車両用電動モータの冷却装置。 - 前記キャッチタンクは、前記オイル溜り部の油面を少なくとも前記ロータの下端を浸すまで上昇させるタンク容量を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用電動モータの冷却装置。
- 前記キャッチタンクバルブは、車両のイグニションオン時、オイルの温度が所定温度値以下のときに開く電磁バルブで構成されることを特徴とする請求項1に記載の車両用電動モータの冷却装置。
- 前記電磁バルブは、所定温度値を上回るときには閉じるものであることを特徴とする請求項3に記載の車両用電動モータの冷却装置。
- 前記電磁バルブは、車両のイグニションオフ時、外気温が所定温度値以下のときに開くことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の車両用電動モータの冷却装置。
- 前記キャッチタンクバルブは、オイルの温度が所定温度値以下のとき、ワックスの容積変化により開動作するサーモワックスバルブで構成されることを特徴とする請求項1に記載の車両用電動モータの冷却装置。
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