JP2016199887A - セグメント用継手金具の製造方法およびセグメント用継手金具 - Google Patents

セグメント用継手金具の製造方法およびセグメント用継手金具 Download PDF

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Abstract

【課題】簡略な構成で組立てが容易であり安価でありつつ、高い引張性能を有するセグメント用継手金具の製造方法およびセグメント用継手金具を提供する。
【解決手段】筒体よりなるメス金具と、先端に拡径頭部が形成された軸部を備えるオス金具とよりなるセグメント用継手金具のメス金具を、中間部から先端部に向けてテーパーを設ける加工にて漸次縮径し、先端部を前記オス金具の頭部より小さい内径に形成した後、熱処理加工を施し、その後、前記先端部から中間部に向かうスリットを複数形成する
【選択図】図2

Description

本発明は、トンネルの覆工体を構成するセグメントを連結するためのセグメント用継手金具の製造方法およびセグメント用継手金具に関する。
シールド工法を採用してトンネルを構築する場合、切羽の掘進に応じてその後方にて複数のセグメントをトンネル円周方向に接続してセグメントリングを構成し、このセグメントリングをトンネル軸方向に接続して筒状の覆工体を形成する。そして、セグメントリングをトンネル軸方向に接続するにあたり、その接合面には、リング継手が設けられている。
例えば、特許文献1に開示されているリング継手は、係合筒を内方に備えた接合筒と、接合棒を有しており、接合棒は、軸部の基端部が一方のセグメントに固定されるとともに、先端部には大径の頭部を有しており、軸部と頭部との間に係合段部が形成されている。また、接合筒は、接合棒の挿入口を他方のセグメントにおける接合面に設けた状態で、セグメント内に埋設されており、接合筒に内包されている係合筒は、基端部が接合筒の内周面に固定され、先端部に向けて漸次縮径するとともに、先端部近傍には軸方向に延びるスリットが複数設けられている。
そして、セグメントリングを接続する際には、接合棒の先端部を接合筒の挿入口に挿入し押力を作用させる。すると、接合棒の頭部が、係合筒の内方にてスリットを広げながら押し進み、係合筒の先端を通過する。これと同時に、スリットが設けられた係合筒の先端は復帰し、その外径が元の縮径状態に戻る。こうして、係合筒の先端が接合棒の係合段部に係合し、両者が結合される点が開示されている
特開平10−82283号公報
しかし、特許文献1に記載のリング継手は、製造方法や材質が記載されておらず、スリットや縮径部を有する係合筒を用いてリング継手に必要な引張性能をどのように確保しているのかが明確にされていない。
また、係合筒に設けられているスリットは、長くすると変形しやすいため接合棒の頭部を挿入しやすいが、係合筒の先端が接合棒の係合段部に係合した状態から、接合棒に引張力を作用させると係合筒が変形や座屈しやすく、リング継手に必要な引張性能が得られない。一方、スリットを短くすると接合棒の頭部を挿入することで係合筒が塑性変形してしまい、接合棒の頭部が係合筒の先端を通過しても、スリットを設けた係合筒の先端は元の径まで復元せず、接合棒の係合段部に十分係合しない。この状態から接合棒に引張力を作用させると、接合棒が係合筒から容易に抜けてしまい、やはりリング継手に必要な引張性能が得られない。
このように、係合筒と接合棒がリング継手として必要な引張性能を発揮するためには、係合筒の先端が、接合棒の係合段部に十分係合するよう良好なスプリングバック性能を保持するとともに、変形や座屈の生じにくい耐力を有するよう、係合筒の材質や製造方法、スリット長等の仕様を明確にする必要がある。
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、簡略な構成で安価でありつつ、高い引張性能を有するセグメント用継手金具の製造方法およびセグメント用継手金具を提供することである。
かかる目的を達成するため本発明のセグメント用継手金具の製造方法は、セグメントのトンネル軸方向に向かい合う端面の一方に設置され、先端部が基端部より縮径された筒体に、その先端部から基端部に向けて複数のスリットが形成されてなるメス金具と、前記向かい合う端面の他方に設置され、先端部に段差部を設けて形成した拡径頭部を備える軸部を備えるオス金具とよりなるセグメント用継手金具の製造方法であって、前記メス金具が、前記オス金具を挿通可能な内径を有する鋼製筒体を、中間部から先端部に向けてテーパーを設ける加工にて漸次縮径した後、熱処理加工を施し、その後、前記先端部から基端部に向かうスリットを複数形成することを特徴とする。
本発明のセグメント用継手金具の製造方法によれば、メス金具を製造する工程で熱処理加工を施すことにより、メス金具の高耐力化が図られるとともに、良好なスプリングバック性能を確保することが可能となり、高い引張性能を有するセグメント用継手を製造することが可能となる。
また、スリットを形成する加工の前に熱処理加工を終えることにより、メス金具のスリット形成部分における捻じれ等の変形を回避し、スリットを形成する加工の前にテーパーを設ける加工を終えることにより、スリットの幅を均一に形成することができるため、スリットによる欠損を少なくでき、所定の性能を備えたメス金具を、簡略な方法で安価に製造することが可能となる。
本発明のセグメント用継手金具は、前記メス金具の中間部から先端部に向かうテーパー比が、1/50以上1/2以下であることを特徴とする。
本発明のセグメント用継手金具によれば、経済的で、かつセグメント用継手金具に引張力が作用した際にもメス金具に変形や座屈が生じにくい構造とすることが可能となる。
本発明のセグメント用継手金具は、前記メス金具のスリット長が、鋼管厚の5倍以上50倍以下であることを特徴とする。
上記のセグメント用継手金具は、オス金具をメス金具に挿入する際の挿入荷重を抑えつつ、セグメント用継手金具に引張力を作用させた際にもメス金具に変形や座屈が生じにくい構造とすることが可能となる。
セグメント用継手金具の概略を示す図である。 メス金具の製造方法を示す図である。 メス金具にオス金具を挿入する挿入試験の概要を示す図である。 メス金具にオス金具を挿入する挿入試験の試験結果を示す図である。 メス金具にオス金具を押し込む押込試験の概要を示す図である。 メス金具にオス金具を押し込む押込試験の試験結果を示す図である。
以下に、本発明のセグメント用継手金具1の製造方法およびセグメント用継手金具1を、図1〜図6を用いて説明する。
本発明のセグメント用継手金具1は、複数のセグメント11をトンネル円周方向に接続して形成したセグメントリングをトンネル軸方向に接続するためのリング継手として用いられるものであって、図1(a)で示すように、セグメント11の切羽側端面111にオス金具2、坑口側端面112にメス金具5がそれぞれ設置されている。
図1(b)に示すように、オス金具2は、基端部に雄ねじが切られた軸部21と、軸部21の先端部に形成され、軸部21より径の大きい拡径頭部22と、軸部21と拡径頭部22との間に形成された段差部23とを有している。
軸部21に切られた雄ねじは、インサート3の一方の雌ねじに螺合され、インサート3の他方の雌ねじにはアンカーボルト4が螺合されて、アンカーボルト4とインサート3の一部がセグメント11に埋設されている。こうしてオス金具2は、セグメント11の切羽側端面111から突出し、かつ着脱自在に設置されている。
一方、図1(c)に示すように、メス金具5は、基端部51にオス金具2の拡径頭部22を挿入可能な内径を有するとともに、中間部52から先端部53に向けて漸次縮径し、先端部53にオス金具2の軸部21と略同径の内径を有する鋼製の筒体よりなる。そして、メス金具5の先端部53には、基端部51に向かうスリット54が複数設けられており、先端部53における内径の拡大が可能な形状を有している。
メス金具5は、中央にメス金具5の基端部51と略同径の開口を備えたリング部材よりなる端板6の裏面に基端部51を固定されており、端板6の裏面から突出するように設置されている。また、端板6の裏面には、メス金具5を内包可能な内径を有するアンカー筒体7の基端部も溶接固定されて一体化されている。したがって、メス金具5は、アンカー筒体7に全体を覆われる状態となっている。
そして、アンカー筒体7の先端部には定着部71が形成されており、端板6の表面のみがセグメント11の坑口側端面112から露出される状態で、端板6とアンカー筒体7はセグメント11に埋設されている。こうしてメス金具5は、端板6とアンカー筒体7とにより形成された空間内に配置された状態で、セグメント11の坑口側端面112近傍に埋設されている。
なお、メス金具5と端板6との間には、両者を離間させる方向に大きな力が作用することはないため、メス金具5の基端部51と端板6の裏面との固定手段は特に限定されるものではなく、例えば、点溶接にて固定するものであってもよい。
上述する構成のセグメント用継手金具1は、向かい合うセグメント11の一方に設置されたメス金具5に対して他方に設置されたオス金具2の位置合わせを行ったうえで、セグメント11どうしを当接させるよう押力を作用させる。すると、オス金具2の拡径頭部22は、端板6の開口を介してメス金具5の基端部51に挿入し、スリット54の間隔を広げながらメス金具5の内方を押し進む。
そして、セグメント11の切羽側端面111からオス継手2の段差部23までの距離と、セグメント11の坑口側端面112からメス金具5の先端部53までの距離が、略同一に形成されているため、オス金具2の拡径頭部22がメス金具5の先端部53を通過すると、図1(a)で示すように、向かい合うセグメント11の坑口側端面112と切羽側端面111とが当接する。このとき、メス金具5の先端部53は、スリット54の間隔を広げられて拡開されていた状態から原形に弾性復元して縮径状態に戻り、オス金具2の段差部23と当接する。これにより、オス金具2とメス金具5が結合され、向かい合うセグメント11どうしも結合されることとなる。
ところで、メス金具5が上記の挙動を示すためには、オス金具2の拡径頭部22が挿入されてスリット54の間隔を広げられた際にも塑性変形することがなく、オス金具2の拡径頭部22がメス金具5の先端部53を通過した際には復元して先端部53をオス金具2の段差部23に対して確実に当接させるべく、良好なスプリングバック性能を持たせるよう、メス金具5を製造する必要がある。
そこで、本発明ではメス金具5の製造工程において、図2(a)に示すようなメス金具5の原材料である鋼製筒体8に対して熱処理加工を施す工程を追加して、塑性変形することのない良好なスプリングバック性能を確保することとした。
してみると、本発明では、メス金具5を製造するにあたり鋼製筒体8に対して、熱処理を施す加工、鋼製筒体の先端部83から基端部81に向けてスリット84を設ける加工、鋼製筒体8の中間部82から先端部83に向けて漸次縮径させるテーパーを設ける加工、の少なくとも3つの加工を施すこととなる。
しかし、一般に鋼材に熱処理を施すと曲り等の熱処理変形が生じることが知られており、スリット84を設けた後の鋼製筒体8に熱処理加工を施すと、スリット形成部分である先端部83に捻じれが生じやすい。また、スリット84を設けた鋼製筒体8にテーパーを設ける加工を施すと、スリット84の幅が不揃いとなりやすい、といった課題が生じる。
そこで、本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討し、その結果、メス金具5を製造する方法として、オス金具2の拡径頭部22が挿入可能な内径を有する鋼製筒体8を、図2(b)に示すように中間部82から先端部83に向けてテーパーを設ける加工にて漸次縮径し、先端部83を前記オス金具2の軸部21と略同径の内径に縮径した後、図2(c)に示すように熱処理加工を施し、その後、図2(d)に示すように前記先端部83から中間部82に向かうスリット84を複数形成することとした。
なお、鋼製筒体8にテーパーを設ける加工を施す際の方法は、なんら限定されるものではなく、従来より用いられているいずれの加工方法を採用してもよい。また、熱処理加工の方法も、鋼材を加熱した後に急冷する焼入れを行った後、焼もどしを行い鋼材に硬さと粘り強さを付与する、従来より実施されている方法を採用するものであり、焼入れ時の加熱温度や冷却速度、焼もどし温度等は、鋼製筒体8の材料等に応じて適宜調整すればよい。なお、鋼製筒体8に対して、熱処理加工が可能な材料を採用することは言うまでもない。
上記の製造方法にて製造したメス金具5の性能を把握するべく、図3〜図4に示すような、メス金具5にオス金具2を挿入する挿入試験、及び、図5〜図6に示すような、メス金具5に挿入された状態のオス金具2の拡径頭部22に押力を作用させる押込試験を行った。なお、参考例として、熱処理加工を施していないメス金具5を別途製作し、同様の試験を行ってその性能を比較した。
挿入試験及び押込試験を行ったメス金具5の供試体は以下の3体であり、いずれも基端部51の外径50.8mm、先端部53の内径30.0mm、鋼管厚4.0mm、中間部52から先端部53に向かうテーパー比1/12.8、スリット54の長さ55mm(鋼管厚の13.75倍)、スリット54の数量4本に成形されている。
供試体A:SCM435(機械構造用合金鋼鋼管:クロムモリブデン鋼)
熱処理加工有り、強度区分10.9相当
供試体B:STKM13A(機械構造用炭素鋼鋼管)
熱処理加工無し
供試体C:S45C(機械構造用高炭素鋼鋼管)
熱処理加工無し
また、試験に用いたオス金具2は、軸部21の径30.0mm、拡径頭部22の径38.0mm、段差部23の高さ4.0mmで、材質はSCM435(機械構造用合金鋼鋼管:クロムモリブデン鋼)、熱処理加工有り、強度区分10.9相当である。
<挿入試験>
まず、図3に挿入試験の試験方法を示す。
挿入試験は、図3(a)に示すように、供試体A〜Cをメス金具5として用いたセグメント用継手金具1を、オス金具2の拡径頭部22が供試体A〜Cの内周面に当接するまでオス金具2を供試体A〜Cに挿入した状態で、圧縮試験機9にセットする。そして、図3(b)に示すように、オス金具2に対して挿入荷重の付与を開始し、圧縮試験機の間隔の変位Δlを計測する。挿入試験は、オス金具2の拡径頭部22が供試体A〜Cの先端部53を通過するまで、挿入荷重の付与を行った。
上記の試験方法による挿入試験の結果を図4に示す。
熱処理加工を行った供試体Aは、図4(a)のグラフを見ると、変位が大きくなるに従い、つまり、オス金具2が供試体A内を先端部53に向けて移動するに従い、挿入荷重が大きくなり、オス金具2が拡径頭部22にてスリット54を押し広げながら、20mm程度移動している。その後、スリット54が広がった状態の先端部53に生じる、スプリングバック性能による元の形状に戻ろうとする力に抗いながら、オス金具2は40mm程度まで移動し、45mm程度の時点で拡径頭部22が供試体Aの先端部53を通過した様子がわかる。
このように、図4(a)に示すグラフにおいて、熱処理加工を行った供試体Aは、オス金具2の拡径頭部22が挿入されたことにより、オス金具2の拡径頭部22が供試体Aの先端部53を通過した際には、供試体Aの先端部53が復元する様子が再現されている。なお、挿入試験の終了後、供試体Aの先端部53が、試験前の形状に復元している状態を目視確認している。
一方、熱処理加工を行っていない供試体Bおよび供試体Cは、図4(a)を見ると、オス金具2が拡径頭部22にてスリット54を押し広げつつ5mm程度まで移動しているものの、それ以降は、挿入荷重が減少しながらもオス金具2は移動し続け、40mm以上移動した後に、拡径頭部22が供試体Bおよび供試体Cの先端部53を通過した様子がわかる。
このように、図4(a)に示すグラフにおいて、熱処理加工を行っていない供試体Bおよび供試体Cは、オス金具2の拡径頭部22がスリット54の間隔を広げながら5mm程度移動したところで塑性変形してスリット54が広がったままの状態となり、その後、供試体Bおよび供試体Cのスプリングバック性能はほぼ消失している様子が再現されている。
図4(b)で示した挿入試験終了後の供試体Bの写真を見ると、供試体Bであるメス金具5が塑性変形してスリット54が開いたままの状態となっており、先端部53が試験前の外径まで弾性復元していないことが目視確認できる。また、図4(c)で示した挿入試験終了後の供試体Cの写真も同様に、供試体Cであるメス金具5が塑性変形してスリット54が開いたままの状態となっていることが目視確認できる。
<押込試験>
次に、図5に押込試験の試験方法を示す。
押込試験は、図5に示すように、供試体A〜Cをメス金具5として用いたセグメント用継手金具1を、供試体A〜Cとオス金具2が結合した状態で、圧縮試験機9にセットする。そして、オス金具2の拡径頭部22に対して押込荷重の付与を開始し、圧縮試験機の間隔の変位Δlを計測する。押込試験は、供試体A〜Cとオス金具2の結合状態が失われるまで、押込荷重の付与を行った。
上記の試験方法による押込試験の結果を図6に示す。
熱処理加工を行った供試体Aは、図6(a)のグラフをみると、変位が大きくなるに従い、つまり、オス金具2の拡径頭部22が供試体Aに押し込まれるに従い押込荷重が急上昇し、2.5mm程度押し込まれた時点で挿入荷重が約600kNと最大になり、その後、挿入荷重がほぼ横ばいのまま4mm程度まで押し込まれた後、供試体Aとオス金具2の結合状態が失われた様子がわかる。
図6(b)で示した押込試験終了後の供試体Aの写真をみると、供試体Aのスリット54に開きが認められず、先端部53の座屈も生じていないことから、供試体Aは健全な状態であることがわかる。一方で、オス金具2の段差部23には、角部にめくれ等の塑性変形が認められることから、供試体Aとオス金具2の結合状態が失われた原因は、供試体Aではなくオス金具2の塑性変形であることは明らかである。
一方、図6(a)を見ると、熱処理加工を行っていない供試体Cは、変位が大きくなっても、つまり、オス金具2の拡径頭部22が供試体Bに押し込まれる量が増加しても、押込荷重の上昇量は小さく、1.5mm程度押し込まれた時点で挿入荷重が約150kNと最大となるが、熱処理加工を行った供試体Aの場合と比較して最大荷重は1/4程度と小さい。その後、挿入荷重が緩やかに減少しながら変位量は大きくなり、押込荷重がほぼ0となる様子がわかる。
同じく熱処理加工を行っていない供試体Bにいたっては、押込荷重の最大値が100kNにも満たないまま、変位のみが大きくなり、押込荷重がほぼ0となる様子がわかる。
図6(c)で示した押込試験終了後の供試体Bの写真、及び図6(d)で示した押込試験終了後の供試体Cの写真を見ると、供試体Bおよび供試体Cのスリット54が大きく開き、オス金具2の拡径頭部22が供試体Bおよび供試体Cの内方に没している様子が認められる。したがって、押込荷重を付与した早期の段階で、供試体Bおよび供試体Cが塑性変形してスリット54が開いたままとなってオス金具2が抜けてしまい、供試体Bおよび供試体Cとオス金具2の結合状態が失われた様子がわかる。
以上のとおり、挿入試験の結果から、熱処理加工を行わない供試体B及び供試体Cは、オス金具2が挿入されると塑性変形してスリット54が広がったままの状態となり、その後、スプリングバック性能はほぼ消失してしまうため、供試体B及び供試体Cの先端部53とオス金具2の段差部23とが当接する結合状態を形成できない。
一方、熱処理加工を行った供試体Aは、オス金具2が挿入されるとスリット54の間隔が広がるものの塑性変形することなく、先端部53はスプリングバック性能により弾性復元するため、供試体Aの先端部53とオス金具2の段差部23が当接し、良好な結合状態が得られることは明らかである。
また、押込試験の結果から、結合状態の供試体B及び供試体Cとオス金具2において、オス金具2を供試体B及び供試体Cに押し込むと、供試体B及び供試体Cが塑性変形してスリット54が開いたままの状態となってオス金具2が抜けてしまうため、結合状態を維持できない。
一方、結合状態の供試体Aとオス金具2において、オス金具2を供試体Aに押し込んだ場合にも、供試体Aは健全な状態であり、オス金具2の塑性変形が生じるまで、結合状態を維持できることは明らかである。
このように、メス金具5を製造する工程で熱処理加工を施すことにより、高耐力化が図られるとともに、良好なスプリングバック性能を確保することができ、セグメント式継手金具に高い引張性能をもたらすことが可能となる。
また、メス金具5を製造するに際し、スリット54を形成する加工の前に熱処理加工を終えることにより、スリット54の形成部分である先端部53に対して捻じれ等の変形を回避することが可能となる。また、スリット54を形成する加工の前にメス金具5にテーパーを設ける加工を終えることにより、スリット54の幅を均一に形成することができる。これにより、スリットによる欠損を少なくでき、所定の性能を備えたメス金具を、簡略な方法で安価に製造することが可能となる。
なお、本実施の形態では、メス金具5における中間部52から先端部53に向かうテーパーのテーパー比を1/12.8としたが、必ずしもこの数値に限定されるものではない。発明者の知見から、メス金具5を製造する工程で熱処理加工を施した場合において、テーパー比は1/50以上1/2以下が好ましく、1/10が構造的・経済的により好ましい。これは、1/2より大きいと、セグメント用継手金具1に引張荷重を作用させた際に、メス金具5の先端部53が変形しやすく、1/50より小さいとメス金具5の先端部53が変形しにくいものの、メス金具5が長くなり経済性に劣るためである。
また、本実施の形態では、メス金具5のスリット54の長さを55mmとし、メス金具5の肉厚の約14倍に設定したが、必ずしもこの数値に限定されるものではない。発明者の知見から、メス金具5を製造する工程で熱処理加工を施した場合において、スリット長はメス金具5の肉厚の5倍以上50倍以下が好ましく、メス金具5の鋼管厚の10倍以上15倍以下が構造的・経済的により好ましい。これは、5倍より小さいと、オス金具2の拡径頭部22をメス金具5に挿入した際に、スリット54が効率よく開かず過大な挿入荷重が必要となり、また、塑性化により十分なスプリングバック性能が得られない。また、50倍より大きいと、オス金具2の拡径頭部22をメス金具5に挿入する際の挿入荷重は小さくなるものの、セグメント用継手金具1に引張荷重を作用させた際に、メス金具5の先端53が座屈しやすいためである。
なお、本発明のセグメント用継手金具1の製造方法およびセグメント用継手金具1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、本実施の形態では、メス金具5に対してスリット54を4本設けたが、その数量は3本以上であれば、いずれの数量を採用してもよい。
また、メス金具5の原材料となる鋼製筒体8の材質も、SCM435に限定されるものではなく、熱処理加工が可能な材料であって所望の耐力を得られる材質であれば、いずれを採用してもよい。
1 セグメント用継手金具
2 オス金具
21 軸部
22 拡径頭部
23 段差部
3 インサート
4 アンカーボルト
5 メス金具
51 基端部
52 中間部
53 先端部
54 スリット
6 端板
7 アンカー筒体
71 定着部
8 鋼製筒体
81 基端部
82 中間部
83 先端部
9 圧縮試験機
10 引張試験機
11 セグメント
111 切羽側端面
112 坑口側端面

Claims (3)

  1. セグメントのトンネル軸方向に向かい合う端面の一方に設置され、先端部が基端部より縮径された筒体に、その先端部から基端部に向けて複数のスリットが形成されてなるメス金具と、前記向かい合う端面の他方に設置され、先端部に段差部を設けて形成した拡径頭部を備える軸部を備えるオス金具とよりなるセグメント用継手金具の製造方法であって、
    前記メス金具が、前記オス金具を挿通可能な内径を有する鋼製筒体を、中間部から先端部に向けてテーパーを設ける加工にて漸次縮径した後、熱処理加工を施し、その後、前記先端部から基端部に向かうスリットを複数形成することを特徴とするセグメント用継手金具の製造方法。
  2. 請求項1に記載のセグメント用継手金具の製造方法にて製造されたセグメント用継手金具であって、
    前記メス金具の中間部から先端部に向かうテーパー比が、1/50以上1/2以下であることを特徴とするセグメント用継手金具。
  3. 請求項1または2に記載のセグメント用継手金具の製造方法にて製造されたセグメント用継手金具であって、
    前記メス金具のスリット長が、鋼管厚の5倍以上50倍以下であることを特徴とするセグメント用継手金具。
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