JP2016198948A - 延伸フィルム巻回体及びその製造方法 - Google Patents

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誉大 上田
Yodai Ueda
誉大 上田
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Abstract

【課題】使用した樹脂量に対して使用できる割合が高い延伸フィルム巻回体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の延伸フィルム巻回体の製造方法は、熱可塑性樹脂を押出成形して未延伸フィルムを作製する押出成形工程と、前記未延伸フィルムを一軸延伸又は二軸延伸して延伸フィルムを作製する延伸工程と、前記延伸フィルムを巻き回す巻回工程とを有し、延伸フィルムの幅方向の90%以上の範囲が一定厚みになるようにする。
【選択図】なし

Description

本発明は、延伸フィルム巻回体及びその製造方法に関する。
熱収縮性フィルム、光学フィルム等の各種機能性フィルムを構成する基材、包装フィルム等においては、一軸方向又は二軸方向に延伸した延伸フィルムが使用されることがある。
延伸フィルムの製造方法としては、熱可塑性樹脂を押出成形して未延伸フィルムを作製し、該未延伸フィルムを一軸延伸又は二軸延伸する方法が広く知られている(特許文献1)。
通常、押出成形において作製される未延伸フィルムは、樹脂の性質上、その両端近傍部の厚みが、両端近傍部以外よりも厚くなる。この厚くなった部分(以下、「肉厚部」という。)は延伸後でも目標の厚さにならず、製品にならない部分であった。しかし、肉厚部を有すると、巻き回した際に巻きずれが生じにくくなるため、意図的に肉厚部を残して延伸フィルムを巻き回すことがあった。
特開2005−67081号公報
従来、未延伸フィルムの肉厚部の管理が不充分であり、肉厚部が多くなることがあったが、肉厚部が多いと、使用した樹脂量に対して使用できる割合が低くなった。
本発明は、使用した樹脂量に対して使用できる割合が高い延伸フィルム巻回体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の延伸フィルム巻回体は、幅方向の90%以上の範囲が一定厚みになっている延伸フィルムが巻き回されたものである。
本発明の延伸フィルム巻回体においては、延伸フィルムの幅方向の一方の端部の近傍にナーリング加工が施されていることが好ましい。
本発明の延伸フィルム巻回体の製造方法は、熱可塑性樹脂を押出成形して未延伸フィルムを作製する押出成形工程と、前記未延伸フィルムを一軸延伸又は二軸延伸して延伸フィルムを作製する延伸工程と、前記延伸フィルムを巻き回す巻回工程とを有し、延伸フィルムの幅方向の90%以上の範囲が一定厚みになるようにする。
本発明の延伸フィルム巻回体の製造方法においては、前記延伸工程と前記巻回工程との間に、延伸フィルムにナーリング加工を施すナーリング工程を有することが好ましい。
本発明の延伸フィルム巻回体は、使用した樹脂量に対して使用できる割合が高い。
本発明の延伸フィルム巻回体の製造方法によれば、使用した樹脂量に対して使用できる割合が高い延伸フィルム巻回体を容易に製造できる。
実施例1及び比較例1における延伸フィルムの幅方向の厚み測定結果を示すグラフである。 図1に示すグラフを部分的に拡大したグラフである。 図1に示すグラフを部分的に拡大したグラフである。
<延伸フィルム巻回体>
本発明の延伸フィルム巻回体の製造方法における延伸フィルム巻回体は、熱可塑性樹脂を一軸延伸又は二軸延伸したフィルムが巻き回されたものである。通常は、巻取軸に延伸フィルムが巻き回されて巻回体とされている。
延伸フィルムを形成する熱可塑性樹脂は、ポリスチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン単独重合体、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−アクリル共重合体等)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
本発明における延伸フィルムは、その幅方向の90%以上、好ましくは93%以上の範囲が一定厚みになっている。通常、延伸フィルムは、その幅方向の両端近傍部が、該両端近傍部以外の中央部よりも厚くなっている。該延伸フィルムの中央部は、延伸フィルムの幅方向の90%以上の範囲であり、一定厚みになっている。ここで、「一定厚み」とは、目標とする厚み±4%の範囲内の厚みのことである。延伸フィルムの幅方向の一定厚みの範囲が前記下限値未満であると、使用した樹脂量に対して使用できる割合が低くなる。
また、延伸フィルムの幅方向の一定厚み範囲は、通常は98%以下とされ、96%以下とされてもよい。
延伸フィルムの厚さは、用途に応じて適宜決められ、例えば、40〜80μmの範囲内とされる。
フィルムの厚さは、フィルムの幅方向に沿って設けられた直線状のガイドと、ガイドに移動可能に取り付けられたセンサとを備える測定装置によって測定できる。この測定装置では、センサがガイドに沿って往復動するようになっている。センサとしては、γ線、X線、赤外線、可視光などを利用したものが挙げられるが、高精度である点で、γ線を利用したものが好ましい。
<延伸フィルム巻回体の製造方法>
本発明の延伸フィルム巻回体の製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態の延伸フィルム巻回体の製造方法は、押出成形工程と延伸工程とナーリング工程と巻回工程を有する。
押出成形工程は、熱可塑性樹脂を押出成形して未延伸フィルムを作製する工程である。押出成形工程では、幅方向の両端近傍部が中央部よりも厚く、中央部が一定厚みの未延伸フィルムを作製する。
押出成形では、Tダイを備えた押出機が使用される。押出機は一軸押出機であってもよいし、二軸押出機であってもよい。
押出成形時のTダイの温度は、成形する熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜決定される。熱可塑性樹脂がポリスチレン系樹脂である場合には、190〜200℃にすることが好ましい。
押出成形された未延伸フィルムは、直接、延伸工程に供給されてもよいし、一旦、巻き取られてもよい。
延伸工程は、未延伸フィルムを一軸延伸又は二軸延伸して延伸フィルムを作製する工程である。
一軸延伸の場合には、未延伸フィルムの幅方向の一方の端部(第1端部)を第1クリップで把持し、幅方向の他方の端部(第2端部)を第2クリップで把持し、第1クリップと第2クリップとが離間するように広げ、未延伸フィルムを幅方向に引っ張って延伸する方法を適用することができる。また、一軸延伸の場合には、未延伸フィルムの供給速度よりも引き取り速度を速くし、未延伸フィルムを長手方向に引っ張って延伸する方法を適用することができる。
二軸延伸の場合には、上記の、未延伸フィルムを幅方向に引っ張って延伸する方法、未延伸フィルムを長手方向に引っ張って延伸する方法の両方を組み合わせればよい。
通常、延伸工程は、未延伸フィルムを移動させながら未延伸フィルムを一軸延伸又は二軸延伸する。
延伸倍率は、使用する熱可塑性樹脂の種類や延伸フィルムの用途に応じて異なり、例えば、熱可塑性樹脂がポリスチレン系樹脂で、延伸フィルムの用途が熱収縮性フィルムである場合には、延伸倍率を3〜8倍にすることが好ましい。
延伸工程の際には、未延伸フィルムを延伸しやすくするために加熱することが好ましい。加熱する場合の加熱温度は、熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜決定される。熱可塑性樹脂がポリスチレン系樹脂である場合には、80〜100℃にすることが好ましい。
押出成形工程及び延伸工程では、延伸フィルムの幅方向の90%以上、好ましくは93%以上の範囲が一定厚みになるように、延伸フィルムを作製する。延伸フィルムの幅方向を前記下限値未満にすると、使用した樹脂量に対して使用できる割合が低くなる。
延伸フィルムの幅方向を前記範囲にするためには、押出成形工程におけるTダイの開口の調整、Tダイの温度、Tダイからの樹脂の吐出速度や、延伸工程における延伸倍率、延伸速度、延伸温度等を調整すればよい。
ナーリング工程は、延伸フィルムの幅方向の一方の端部近傍に折り目を形成するナーリング加工を施す工程である。具体的に、ナーリング工程では、周方向に沿って凸部が形成されたナーリングロールを用いてナーリング加工する。延伸フィルムの幅方向の一方の端部近傍に、ナーリングロールの凸部を押し当ることで、折り目を形成することができる。
ナーリング加工によって、巻き回し前の延伸フィルムの幅方向の一方の端部近傍に形成した折り目は滑り止めになり、延伸フィルムを巻き回す際、あるいは巻き回した後の巻きずれを防ぐ。したがって、ナーリング工程を有していれば、肉厚部で巻きずれを防止しなくてもよくなるため、延伸フィルムの幅方向の90%以上の範囲を一定厚みにすることがより容易になる。
巻回工程は、延伸フィルムを巻き回す工程であり、本実施形態では、ナーリング加工が施された延伸フィルムを巻き回す。通常、巻回工程では、回転する巻取軸に延伸フィルムを巻き取ることによって、延伸フィルム巻回体を得ることができる。
以上説明したように、上記延伸フィルム巻回体の製造方法では、幅方向の90%以上の範囲が一定厚みになるように未延伸フィルムを延伸して延伸フィルムを得ているため、使用できない部分が少なく、使用した樹脂量に対して使用できる割合が高い。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、ナーリング工程が省略されてもよい。ただし、ナーリング工程が省略されている場合には、延伸フィルムの幅方向の一定厚みの範囲は99%以下であることが好ましい。延伸フィルムの幅方向の一部に肉厚部を有していると、ナーリング加工を施さなくても、延伸フィルム巻回体において巻きずれを防止しやすくなる。
(実施例1)
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(スチレン単位:85質量%、ブタジエン単位:15質量%)を、Tダイを備えた一軸押出機を用い、Tダイ温度200℃で押出成形し、28℃の冷却ロールで冷却固化させて、未延伸フィルムを作製した。次いで、前記未延伸フィルムを84〜103℃で、延伸装置を用い、幅方向に3.78倍延伸して、目標厚み50μmで幅3550mmの延伸フィルムを得た。その延伸フィルムの幅方向の一方の端部近傍に、ナーリングロールを用いてナーリング加工を施した後、巻取軸に巻き取って巻回体を得た。
本例における延伸フィルムの幅方向の厚みを、厚み測定機を用いて6.7mm間隔で測定した。測定結果を図1〜3に示す。なお、図1〜3の横軸は、延伸フィルムの幅方向の測定ポイントである。
実施例1における延伸フィルムは、幅方向の94.1%が50±2μmの範囲内にあった。この延伸フィルムは、使用した樹脂量に対して使用できる割合が高い。
(比較例1)
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(スチレン単位:85質量%、ブタジエン単位:15質量%)を、Tダイを備えた一軸押出機を用い、Tダイ温度200℃で押出成形し、26℃の冷却ロールで冷却固化させて、未延伸フィルムを作製した。次いで、前記未延伸フィルムを82〜103℃で、延伸装置を用い、幅方向に3.9倍延伸して、目標厚み50μmで幅4000mmの延伸フィルムを得た。その延伸フィルムの幅方向の一方の端部近傍に、ナーリングロールを用いてナーリング加工を施した後、巻取軸に巻き取って巻回体を得た。
本例における延伸フィルムの幅方向の厚みを、厚み測定機を用いて6.7mm間隔で測定した測定結果を図1〜3に示す。
比較例1における延伸フィルムは、幅方向の89.1%が50±2μmの範囲内にあった。この延伸フィルムは、使用した樹脂量に対して使用できる割合が低い。
本発明により得た延伸フィルムは、ボトルのラベル等に使用される熱収縮性フィルム、光学フィルム等の各種機能性フィルムを構成する基材、食品等を包装する包装フィルムなどに好適に使用することができる。

Claims (4)

  1. 幅方向の90%以上の範囲が一定厚みになっている延伸フィルムが巻き回された、延伸フィルム巻回体。
  2. 延伸フィルムの幅方向の一方の端部の近傍にナーリング加工が施されている、請求項1に記載の延伸フィルム巻回体。
  3. 熱可塑性樹脂を押出成形して未延伸フィルムを作製する押出成形工程と、前記未延伸フィルムを一軸延伸又は二軸延伸して延伸フィルムを作製する延伸工程と、前記延伸フィルムを巻き回す巻回工程とを有し、
    延伸フィルムの幅方向の90%以上の範囲が一定厚みになるようにする、延伸フィルム巻回体の製造方法。
  4. 前記延伸工程と前記巻回工程との間に、延伸フィルムにナーリング加工を施すナーリング工程を有する、請求項3に記載の延伸フィルム巻回体の製造方法。
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